(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】ペット用自動給水器
(51)【国際特許分類】
A01K 7/06 20060101AFI20240514BHJP
【FI】
A01K7/06 B
(21)【出願番号】P 2020140391
(22)【出願日】2020-08-21
【審査請求日】2023-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000137188
【氏名又は名称】株式会社凡美社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】米田 太一
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-045717(JP,A)
【文献】特開2006-081404(JP,A)
【文献】特開2019-024334(JP,A)
【文献】特開2011-036137(JP,A)
【文献】米国特許第04246870(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペット収容装置のパネルに固定されて、ボトルの下端から流下する液体をサイフォンの原理を利用して受水皿に一定量までためるペット用自動給水器であって、
前記ボトルの下端部を支持し、下端に流下口を有するボトル支持部を備え、
前記ボトル支持部に、前記流下口に通じる流路を開閉するコックが設けられ
、
前記パネルを内外に挟みつけて固定される取付け部材が設けられ、
前記取付け部材に、前記ボトル支持部を保持する保持部が形成され、
前記受水皿が、ボウル状の貯水部と、前記貯水部から一方に延びる細幅水路状の導水部を有し、
前記取付け部材に、前記導水部を挿入保持する貫通保持部が形成されるとともに、
前記ボトル支持部と前記取付け部材との間に、前記取付け部材に対する前記ボトル支持部の高さを、前記受水皿の前記導水部を抜き差し可能な高さまで、保持した状態のまま上昇させる高さ変更機構が設けられた
ペット用自動給水器。
【請求項2】
前記ボトルの上端に、開閉可能な開口部が形成されるとともに、前記開口部を密閉する蓋体が備えられた
請求項1に記載のペット用自動給水器。
【請求項3】
前記貯水部における前記導水部側に位置する後壁が、前記後壁と反対側の前壁よりも高く形成された
請求項1または請求項2に記載のペット用自動給水器。
【請求項4】
前記貯水部における前記前壁を中心とした部分の上端縁に厚肉部が形成された
請求項
3に記載のペット用自動給水器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ペットケージ等のようなペット収容装置に収容されたペットのための自動給水器に関する。
【背景技術】
【0002】
ペット用自動給水器としては、下記特許文献1、2に開示されたものがある。
【0003】
特許文献1の給水器は、受水皿と、受水皿を保持する保持具と、受水皿に水を補給するための給水容器(ボトル)を着脱自在に支持するための支持具と、保持具と支持具でペット用柵を挟持するように固定するための固定手段を備えている。ボトルは、倒立姿勢で支持具に支持され、ボトルの先端(下端)には、受水皿に押し当てられて押圧されると水を出す弁機構が設けられている。
【0004】
特許文献2の給水器は、特許文献1のような弁機構は有さず、受け具(受水皿)に給水ボトル(ボトル)の雄ネジ口部が螺合可能な雌ネジ部と、受水皿の底面と雄ネジ部との間に水流入用の間隙を形成するための当たり部を有している。
【0005】
これらいずれの給水器も、ボトルの先端又は雄ネジ口部を上に向けた起立姿勢で内部に水を入れたのち、ボトルを上下反転して倒立姿勢にする。特許文献2のボトルの場合には、受水皿を取り付けたのちにひっくり返す。
【0006】
すると、ボトル内の水は先端又は雄ネジ口部から流下して、その水は、ボトルの下端位置の流下口と同じ高さまで受水皿内にたまる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第5925087号公報
【文献】特許第6715804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、ボトルを上下反転する際に内部の水がこぼれることがある。特許文献1のように弁機構を備えている場合であっても、弁棒の動きの不具合等に起因して水が漏れることがある。
【0009】
また、ボトルにおける使用時において上に位置する底は閉じているので、使用中の倒立姿勢になっているボトルに対して、水の注ぎ足しはできない。
【0010】
そこで、この発明は、不測の水漏れが生じないようにして、取扱い性を向上できるようにすることを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そのための手段は、ペット収容装置のパネルに固定されて、ボトルの下端から流下する液体をサイフォンの原理を利用して受水皿に一定量まで溜めるペット用自動給水器であって、前記ボトルの下端部を支持し、下端に流下口を有するボトル支持部を備え、前記ボトル支持部に、前記流下口に通じる流路を開閉するコックが設けられたペット用自動給水器である。
【0012】
この構成では、液体が入ったボトルを取り付けたボトル支持部を取り扱うときや液体の流下が不要なときには、コックを操作して流路を閉じ、液体が出ないようにする。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、流路を選択的に開閉ができるので、不測の水漏れなどをなくして、床を汚したりすることを防止できる。しかも、コックは流路を開閉するものであって簡素な構成であり、操作も容易である。このため、取扱い性を高められる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】ペット用自動給水器の使用状態をペットケージの外側か見た斜視図。
【
図2】ペット用自動給水器の使用状態をペットケージの内側か見た斜視図。
【
図8】高さ変更機構によってボトル支持部を上昇させた状態の斜視図。
【
図10】受水皿とボトル支持部の分離状態を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
【0016】
図1、
図2に、ペット用自動給水器11(以下、「給水器」という)の使用状態の斜視図を示す。
図1は給水器11をペット収容装置としてのペットケージ12の外側から見た斜視図、
図2はそれを内側から見た斜視図である。
【0017】
これらの図に示すように給水器11は、ペットケージ12を外界と区画するパネル21に着脱可能に固定される取付け部材13と、取付け部材13に着脱自在に取り付けられる受水皿15及びボトル支持部17と、ボトル支持部17に下端部が支持されるボトル19を備えている。この給水器11は、ペットケージ12のパネル21に固定されて、ボトル19の下端から流下する液体をサイフォンの原理を利用して受水皿15に一定量まで自動で溜めるものである。
【0018】
パネル21は、線材を縦横に組んで構成されるフェンスからなり、給水器11は、パネル21の外側に備えたボトル19内の液体を、受水皿15におけるパネル21の内側の部分に、ペットが飲めるように供給する構造である。液体の供給は、受水皿15に一定量の液体を溜めて、ペットが飲んで水位が下がるとサイフォンの原理で自動的に補充するようになされる。
【0019】
取付け部材13は、パネル21を内外に挟みつけて固定されるものであり、パネル21の外側に位置する外側部材31と、内側に位置する内側部材32を有している。外側部材31は、
図3に示したように縦長の板状部33と、板状部33における挟持面33aとは反対方向である外方に突出する突出部34を有している。板状部33の幅は、パネル21を構成し互いに隣り合う縦線22の間隔よりも広く形成されている。
【0020】
板状部33の挟持面33aにおける上部には、
図4に示したように、上下方向に延びる多数の溝部35が円形を描いて配設された係合部36が形成されている。溝部35の大きさはパネル21を構成する縦線22の径方向の一部が嵌る大きさである。多数の溝部35がなす円形の係合部36の中心には、雌ねじ37が形成されている。
【0021】
係合部36より下方には、挟持面33aから突出する突段部38が形成されている。突段部38は正面視方形状である。
【0022】
突段部38の下には、外方に向けて延びて突出部34を貫通する貫通保持部39が形成されている。貫通保持部39は受水皿15を保持する部分であり、貫通保持部39の幅は、パネル21を構成し互いに隣り合う縦線22の間隔よりも狭い。また、貫通保持部39の天井面は水平であるが、底面は下に凸の円弧状である。
【0023】
貫通保持部39における挟持面33aの縁には、突段部38よりも高さが低い凸条39aが形成されている。凸条39aの突出高さは係合部36の突出高さと同じである(
図5参照)。
【0024】
挟持面33aと反対側に設けられた突出部34は、受水皿15を保持するほか、ボトル支持部17を保持する部分であり、突出部34の貫通保持部39の上端から上の部分は、ボトル支持部17の円筒形状に合わせて凹曲面に形成されている。
【0025】
そして突出部34の上端は、ボトル支持部17を保持する保持部を構成する一部としての半円環状の固定側環41を有している。固定側環41の一端には、保持部を構成する他の一部としての半円環状の開閉部材42が枢着されており、開閉部材42の遊端と固定側環41の他端には、互いに係脱する係脱手段43が形成されている。開閉部材42は閉じると、固定側環41と協働で円環状になる。
【0026】
固定側環41の内面の一部には、
図3に一部を拡大して示すように、径方向内方に突出する凸部45が形成されている。凸部45は平面視略等脚台形状であり、正面視方形であって、凸部45の突出先端面(内周面)45aは固定側環41と同心の円弧面で構成されている。
【0027】
取付け部材13の内側部材32は、
図2に示したように係合部36と同一又は略同じ径の円板状である。挟持面32aと反対側の面には回転操作のためのつまみ46を有し、挟持面32aの中心には、外側部材31の雌ねじ37に螺合する雄ねじ47が突設されている(
図5参照)。
【0028】
受水皿15は、ボウル状の貯水部51と、貯水部51から一方に延び、貯水部51よりも細い細幅水路状の導水部52を有している。受水皿15は全体が透明であり、貯水部51と導水部52は一体である。
【0029】
貯水部51は、底板53と、底板53の全周を囲み、上方ほど周囲に広がるように緩やかに円弧を描いて上方へ延びる周壁54を有している。貯水部51の平面視形状は、適宜設定されるが、例えば
図5に示したように、平面視形状が円形に近いもの(
図6(a))や、奥行きが
図6の(a)の貯水部51と同じでも平面視形状が長円形に近いもの(
図6(b))にすることができる。このように、大きさ、つまり貯水量の異なる複数種類の貯水部51を有する受水皿15を備えると、ペットの成長や洗い替えに備えることができる。
【0030】
周壁54のうち、導水部52側に位置する後壁54aは、後壁54aと反対側の前壁54bよりも高く形成されている。具体的には、前壁54bから平面視円弧状の側壁54cの途中にかけての部分が同じような高さに形成され、側壁54cのうち後壁54aにかけて斜めに高さが高くなり、後壁54aへ連続している。
【0031】
周壁54の内面における前壁54bの上端よりも下の位置であって、自動給水される一定量の液体の表面位置には、水位線55が形成されている。この水位線55は、
図5に一部を拡大して示したように、それよりも下側の部分の肉厚を厚くすることによって形成される。
【0032】
また、貯水部51における前壁54bを中心とした部分の上端縁に厚肉部56が形成されている。具体的には、前壁54bから側壁54cの後壁54a寄りの位置までの上端縁が、
図5に一部を拡大して示したように、外周側に向けて厚く形成されている。
【0033】
導水部52は、後壁54aの左右方向中央に形成されており、取付け部材13の貫通保持部39に挿入して保持される部分である。
【0034】
導水部52の幅(太さ)は、既存の給水器、すなわちボトルの下に斜めに延びる給水管を有し、給水管の下端に備えた止水ボールをペットが舌で押し上げて水を飲む構造の給水器における給水管の太さと同じか、それ以下に設定される。
【0035】
導水部52の高さは、後壁54aの高さよりも低く、前述した取付け部材13の貫通保持部39に入る高さであり、下へ凸に湾曲した底板61と、底板61の両側から上方へまっすぐのびる側壁62と、先端を閉鎖する平面視半円形の先端壁63を有している。側壁62における先端壁63に近い部位には、側壁62の肉厚を薄くするように凹む縦に延びる一対の凹溝62aが形成されている。凹溝62aの形成位置は、パネル21が前述したようなフェンスからなる場合であって、受水皿15を取付け部材に13の貫通保持部39に正しく保持したときにボトル19の中心線に重なる位置である。
【0036】
一対の凹溝62aよりも先端壁63側の部分は、第2嵌合部62bであり、平面視C字状をなす。第2嵌合部62bは、パネル21が前述したフェンスよりも厚い場合であって、受水皿15を取付け部材に13の貫通保持部39に正しく保持したときにボトル19の中心線に重なる位置に形成される。
【0037】
前述のように後壁54aの高さよりも低い導水部52は、後壁54aの上端位置よりも下に形成されている。このため、後壁54aの上端には切り欠き部57が形成されることになる。この切り欠き部57は、前述した取付け部材13の突段部38が嵌合する部分である(
図5参照)。
【0038】
また導水部52の側壁62における貯水部51側の端には、貯水部51の底板53の下面に突設した環状支持リブ53aに向けて延びるリブ58が連設されている。
【0039】
受水皿15と同様に取付け部材13に対して着脱自在に取り付けられるボトル支持部17は、
図3、
図5、
図7に示したように、縦に延びる円筒状の本体部71と、本体部71の下部側面から内部に取り付けられたコック72で構成されている。
【0040】
本体部71の内部には、上下に延びる流路73が形成されている。本体部71は、上端部に、それより下の部分よりも径が大きい大径部74を有している。この大径部74の内周面には、雌ねじ75が形成され、雌ねじ75より下には、パッキン76が備えられている(
図5参照)。
【0041】
本体部71の下部には、コック72を装着するためのコック取付け部77が側方に突設されている。本体部71におけるコック取付け部77よりも下の下端には、コック取付け部77より上の部分よりも小径の円筒状をなす流下口78が形成されている。
【0042】
流下口78の先端(下端)は、先割れ状になっており、流下口78の中心を挟んで相対向する部位に一対の切り込み78aを有している。流下口78の長さは受水皿15との位置関係を考慮して所望の水位になる給水ができるように適切に設定される。つまり、取付け部材13に取り付けた際における切り込み78aの先端位置の高さが前述した受水皿15の水位線55に略対応するように設定される(
図5の仮想線参照)。
【0043】
流下口78の位置と直径について付言すると、ボトル支持部17を受水皿15が保持された取付け部材13に取り付けたとき、流下口78の位置は受水皿15の導水部52における凹溝62a又は第2嵌合部62bに対応する位置である。また、流下口78の太さは凹溝62a間に嵌る大きさであり、且つ第2嵌合部62bに嵌る大きさである。
【0044】
また、本体部71の外周面における大径部74とコック取付け部77の間には、前述した取付け部材13の固定側環41の凸部45と共に高さ変更機構81の一部を構成するガイド溝部82が形成されている。
【0045】
高さ変更機構81とは、取付け部材13に対するボトル支持部17の高さを、一定量の貯水を行う高さから、
図8に示したように受水皿15の導水部52を抜き差し可能な高さまで、保持した状態のまま上昇させる機構である。高さ変更機構81はボトル支持部17と取付け部材13との間に設けられる。
【0046】
つまり、ガイド溝部82は凸部45が移動可能に嵌る部分であり、凸部45との間で相対移動して、ボトル支持部17を、その流下口78が受水皿15の導水部52に入り込んだ位置と、導水部52よりも上方に出る位置との間を上下動可能にする構成である。このガイド溝部82は、本体部71の外周面に沿って水平に延びる2本の水平溝部82aと、これら水平溝部82aの同一方向の端部同士を上下に連結する垂直溝部82bで構成されている。
【0047】
2本の水平溝部82aの間隔は、所望の上下動距離に対応している。また、2本の水平溝部82aのうち上側に位置する水平溝部82aの高さは、凸部45が嵌っている状態において、
図5に示したように、保持部、すなわち固定側環41と開閉部材42の上に大径部74が載る高さに設定されている。下側に位置する水平溝部82aの高さは、凸部45が嵌っている状態において、
図8に示したように、コック取付け部77と干渉しない高さに設定される。
【0048】
さらに、2本の水平溝部82aにおける長手方向の中間部82cは、ボトル支持部17の回転動作に節度を持たせるため両端部に比べて浅く形成されている。
【0049】
コック72は、90度回転することで流路73を開閉できるように構成され、コック取付け部77に保持されている。
【0050】
ボトル支持部17に下端部が支持されるボトル19は、
図9に示したように、上端に、開閉可能な開口部91が形成されるとともに、開口部91を密閉する蓋体92が備えられており、2つの部材で構成されている。すなわち、上下両端が開口したボトル本体93と蓋体92で構成される。
【0051】
ボトル本体93は、全体が透明であり、下端にそれよりも上の部分よりも小径の円筒形状の流出口94が形成されている。流出口94には、前述したボトル支持部17の雌ねじ75に螺合する雄ねじ95が形成されている。流出口94の下端94aは、ボトル支持部17に内蔵したパッキン76に圧接する部分である(
図5参照)。
【0052】
またボトル本体93は流出口94の上方部分が半球状に形成されており、それよりも上の部分が円筒状に形成されている。円筒状の部分は人体の手が入る程度の大径に設定される。具体的には例えば直径70mm程度であるとよい。ボトル本体93の外周面には、内容量を示す目盛り96が設けられている。
【0053】
ボトル本体93の上端の開口部91を囲む外周面には雄ねじ97が形成されている。この雄ねじ97は蓋体92を着脱可能にするためのものである。
【0054】
蓋体92は、ボトル本体93の上端の雄ねじ97に螺合する雌ねじ98を内周面に有し、ボトル本体93の上端縁91aが当接する位置には、パッキン99が内蔵されている。
【0055】
以上のように構成された給水器11は、次のようにして使用される。
【0056】
まず、取付け部材13を外側部材31と内側部材32に分離して、パネル21を内外で挟むように結合して所望高さに固定する。このとき外側部材31はパネル21の外側、内側部材32は内側に位置させる。
【0057】
つぎに、
図10に示したように、取付け部材13に受水皿15を取付け、続いて、ボトル19の下端部を支持したボトル支持部17を取付け部材13に取り付ける。パネル21が図示したようなフェンスである場合、受水皿15の凹溝62aとボトル支持部17の流下口78が嵌り合う。パネル21がフェンスよりも厚い場合には、受水皿15の第2嵌合部62bとボトル支持部17の流下口78が嵌り合う。
【0058】
受水皿15は導水部52を貫通保持部39に差し込めば取り付けられる。
【0059】
ボトル19は液体を充填したものでも、入れていない状態のものでもよい。これは、ボトル19に対する液体の供給は後でもできるからである。この説明においては、予め液体を供給したものとする。ボトル19への液体の供給は、蓋体92を開けて開口部91から行っても、下端の流出口94から行ってもよい。いずれの場合もボトル支持部17を取付け部材13に取り付ける際には、コック72で流路73を閉じておく。
【0060】
ボトル支持部17は、固定部の一部である開閉部材42をいったん開いてから固定側環41と開閉部材42との間に保持する。
【0061】
このとき、
図5に示したように、ボトル支持部17のガイド溝部82における上側の水平溝部82aに凸部45を嵌めた状態にする。
【0062】
この状態でコック72を回転して流路73を開くと、ボトル19内の液体は流下口78から流下して、受水皿15内の所定高さまでたまる。
【0063】
ペットが水を飲んで水位が下がると、その都度自動的に、液体がボトル19から流出して受水皿15内へ補充される。
【0064】
受水皿15への給水を行う必要がない場合には、コック72を閉じる。
【0065】
ボトル19内の液体がなくなったり減ったりして補充する必要がある場合には、いったんコック72を閉にしてボトル19の蓋体92を外し、開口部91から液体を供給する。
【0066】
コック72を閉じておけば、ボトル支持部17と共にボトル19を外しても液体が不測に漏れることがない。
【0067】
ボトル19を支持したボトル支持部17を取付け部材13に保持した状態のまま受水皿15を、洗浄や交換等のために外す場合には、コック72閉にしたのち、次のようにする。つまり、まずボトルを所定角度水平回転して、ガイド溝部82の垂直溝部82bを固定側環41の凸部45に位置させる。この状態でボトル19を上昇させたのち、下側の水平溝部82aに凸部45が嵌るように先とは逆方向に水平回転する。これにより、
図8に示したように流下口78が受水皿15よりも上に位置した状態で保持される。
【0068】
以上のようにこの給水器11によれば、ボトル支持部17の流路73を選択的に開閉するコック72を備えているので、ボトル19を着脱するときや、自動給水を停止するとき、受水皿15を着脱するとき、ボトル19に液体を注ぎ足すときに、流路73を閉じることができる。このため、それらの操作が容易にできるうえに、流路73を閉じれば液体が出ないようになるので、不測の水漏れを防止できる。この結果、液体の漏れで床を汚さずにすむうえ、ボトル19を反転したりするときの操作も簡単であり、取扱い性が良い。
【0069】
しかも、ボトル19に液体が入った状態であっても、前述の自動給水の停止や、受水皿15単独での着脱、ボトル19への液体の注ぎ足しという、これまでの自動給水器ではできなかった作業ができる。この点からも、取扱い性が高まる。
【0070】
取扱い性の良さは次の点からもいえる。
【0071】
すなわち給水器11は、パネル21に固定される取付け部材13を備え、取付け部材13を主体として、取付け部材13に、受水皿15とボトル支持部17を着脱可能に保持する構成である。このため、受水皿15側に対する操作とボトル19側に対する操作を切り離せる。そのうえで、ボトル支持部17にコック72を備えているので、自動給水の機能を確保しつつも、取扱い性が向上させることができる。
【0072】
また、ボトル本体93の直径は手が入るほどに大きく形成しているうえに、上下両端が開口しているので、ボトル19の洗浄は簡単に、しかも隅々まできれいに行える。
【0073】
さらに、受水皿15についていえば、後壁54aを周壁54の他の部位によりも高く形成しているので、ペットが液体を飲む際に周囲に液体を飛び散らしたりすることを抑制できる。
【0074】
またペットと対向する側である前壁34bを中心とした部分の上端縁に厚肉部56を有しているので、ペットがかじったりするいたずらを抑制できる。
【0075】
そのうえ、受水皿15の導水部52は取付け部材13の貫通保持部39に挿入して保持されるうえに、切り欠き部57は取付け部材16の突段部38に嵌り、さらに凹溝62a又は第2嵌合部62bとボトル支持部17の流下口78が嵌り合う。このため、ペットが受水皿15にかじりついたりしても揺るがない強固な取付け状態が得られる。この点からも不測の水の飛散などがなく、美麗な使用状態を得られる。
【0076】
これらの結果、掃除負担を軽減でき、この点からも取扱い性が向上する。
【0077】
加えて、受水皿15は貯水部51を有し、貯まった水をペットが飲む構造であるので、給水管の下端に備えた止水ボールをペットが舌で押し上げて水を飲む構造の既存の給水器では水が飲みにくいペットにとっても飲みやすいものとなる。しかも、受水皿15の導水部52の幅(太さ)は、既存の給水器の給水管の太さと同じか、それ以下に設定されているので、既存の給水器に代えて使用することができる。
【0078】
以上の構成はこの発明を実施するための一形態の構成であって、この発明は前述の構成のみに限定されるものではなく、その他の構成を採用することもできる。
【0079】
たとえば、ボトル支持部17の雌ねじ75は、既存のペットボトルを取り付けられる大きさであるとよい。前述のボトル19に代えて既存のペットボトルを使用できる。
【0080】
取付け部材13におけるボトル支持部17を保持する保持部は、前述のように固定側環41と開閉部材42からなる開閉する円環状の構成ではなく、一部が開いた弾性変形可能な平面視C字型のものなど、他の構造であってもよい。保持部が平面視C字型のものである場合には、高さ変更機構は、保持部が嵌る上下に配設された2カ所の溝で構成できる。
【0081】
またペット収容装置のパネル21は、フェンスからなるものではなく、板からなるものであってもよい。
【符号の説明】
【0082】
11…ペット用自動給水器
12…ペットケージ
13…取付け部材
15…受水皿
17…ボトル支持部
19…ボトル
21…パネル
39…貫通保持部
41…固定側環
42…開閉部材
45…凸部
51…貯水部
52…導水部
54a…後壁
54b…前壁
56…厚肉部
72…コック
73…流路
78…流下口
81…高さ変更機構
82…ガイド溝部
91…開口部
92…蓋体