(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】情報処理装置、決定方法、プログラム、及び端末のアプリケーションプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/123 20060101AFI20240514BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20240514BHJP
G05D 1/225 20240101ALI20240514BHJP
G05D 1/43 20240101ALI20240514BHJP
G05D 1/644 20240101ALI20240514BHJP
【FI】
G08G1/123 A
G01C21/26 A
G05D1/225
G05D1/43
G05D1/644
(21)【出願番号】P 2021020272
(22)【出願日】2021-02-10
(62)【分割の表示】P 2020117400の分割
【原出願日】2020-07-07
【審査請求日】2023-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】519362136
【氏名又は名称】Zenmov株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】田中 清生
【審査官】田中 将一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-049629(JP,A)
【文献】特開2005-165543(JP,A)
【文献】特開2020-052890(JP,A)
【文献】特開2013-206055(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
G01C 21/00 - 21/36
G01C 23/00 - 25/00
G05D 1/00 - 1/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端末と通信する情報処理装置であって、
前記複数の端末各々を搭載した複数の移動体が、移動する移動経路を記憶している記憶部と、
前記複数の端末各々から、当該端末の位置情報を受信する受信部と、
前記移動経路を、前記移動経路を巡回する複数の移動体の数以上の複数の区間に分割し、前記複数の移動体のうちの一つの移動体を基準移動体として、前記位置情報に基づいて各移動体を前記複数の区間のいずれかに、移動体間距離が均等になるように配置位置を決定し、決定した配置位置に位置するように移動体各々が加速すべきか減速すべきかを決定する決定部と、
前記決定部が決定した移動体に対する加速又は減速を指示する速度情報を、前記移動経路を走行する移動体の端末に送信する送信部と、を備える
情報処理装置。
【請求項2】
複数の端末と通信する情報処理装置が、前記複数の端末各々を搭載した複数の移動体各々の移動態様を決定する決定方法であって、
前記複数の端末各々を搭載した複数の移動体が、移動する移動経路を記憶している記憶ステップと、
前記複数の端末各々から、当該端末の位置情報を受信する受信ステップと、
前記移動経路を、前記移動経路を巡回する複数の移動体の数以上の複数の区間に分割し、前記複数の移動体のうちの一つの移動体を基準移動体として、前記位置情報に基づいて各移動体を前記複数の区間のいずれかに、移動体間距離が均等になるように配置位置を決定し、決定した配置位置に位置するように移動体各々が加速すべきか減速すべきかを決定する決定ステップと、
前記決定ステップが決定した移動体に対する加速又は減速を指示する速度情報を、前記移動経路を走行する移動体の端末に送信する送信ステップと、を実行する
決定方法。
【請求項3】
複数の端末と通信する情報処理装置のコンピュータに、
前記複数の端末各々を搭載した複数の移動体が、移動する移動経路を記憶している記憶機能と、
前記複数の端末各々から、当該端末の位置情報を受信する受信機能と、
前記移動経路を、前記移動経路を巡回する複数の移動体の数以上の複数の区間に分割し、前記複数の移動体のうちの一つの移動体を基準移動体として、前記位置情報に基づいて各移動体を前記複数の区間のいずれかに、移動体間距離が均等になるように配置位置を決定し、決定した配置位置に位置するように移動体各々が加速すべきか減速すべきかを決定する決定機能と、
前記決定機能が決定した移動体に対する加速又は減速を指示する速度情報を、前記移動経路を走行する移動体の端末に送信する送信機能と、を実現させる
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の移動体の走行態様を決定する情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
交通網が発達していない地域において、開発等により交通網の整備が所望される地域が様々な国において存在する。このような交通網の整備は一例として、利用客による出勤、退勤等に用いられる。ところで、そのような交通網としては鉄道を敷設することが考えられるが、鉄道の敷設にはコスト、設備運用に至るまでの時間がかかるという問題がある。そこで、車両を利用した利用客の運搬を行うことが考えられる。特許文献1には、タクシーの走行を支援するシステムが開示されている。また、特許文献2には、複数の自立走行可能な走行装置により監視巡回走行を行う場合に、いずれかの走行装置が何らかの要因で走行経路から離脱しても監視機能を損なうことのない走行管理装置が開示されている。また、特許文献3には、複数の輸送手段を連結させて移動する連結モードでの輸送と、単一の輸送手段での輸送とを行う輸送手段管理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-77433号公報
【文献】特開2018-163471号公報
【文献】特許第6608888号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、利用客が利用可能な交通網としてはバスを利用することが考えられる。このようなバスは、予め定められた停留所を巡回するものであり、各停留所への発着時刻が定められており、この発着時刻通りに運行することが求められる。しかし、交通事情によっては、予め定められた発着時刻通りに運行できるとは限らず、定刻通りにバスが停留所に来ないと、利用客にとって不便であるとともに、利用客がいらだちを抱えるという問題がある。また、バスの場合、予め定められた停留所を巡回するため利用者によっては利便性に欠けるという問題もある。また、バスを運用側としても、渋滞等の予期せぬ事態により時刻表通りに運用できない可能性があるという問題があるとともに、速やかな運航のための時刻表の設定自体も煩雑であるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は上記問題に鑑みて成されたものであり、複数の移動体により利用客を運搬する場合の各移動体を効率よく管理する情報処理装置、その方法、プログラム、及び端末のアプリケーションプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、複数の端末と通信する情報処理装置であって、複数の端末各々を搭載した複数の移動体が、移動する移動経路を記憶している記憶部と、複数の端末各々から、当該端末の位置情報を受信する受信部と、複数の移動体各々について、複数の移動体各々が、予め定められた移動経路を移動する第1モードと、複数の移動体各々が、個別に指定された行先に向かって移動する第2モードと、のいずれかのモードを設定する設定部と、設定部が設定したモードを示すモード情報を、複数の移動体各々の端末に送信する送信部と、を備え、複数の移動体各々は、端末に送信されたモード情報にしたがって移動する。
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る移動体の走行態様の決定方法は、複数の端末と通信する情報処理装置が、複数の端末各々を搭載した複数の移動体各々の移動態様を決定する決定方法であって、複数の端末各々を搭載した複数の移動体が、移動する移動経路を記憶している記憶部と、複数の端末各々から、当該端末の位置情報を受信する受信ステップと、複数の移動体各々について、複数の移動体各々が、予め定められた移動経路を移動する第1モードと、複数の移動体各々が、個別に指定された行先に向かって移動する第2モードと、のいずれかのモードを設定する設定ステップと、設定ステップが設定したモードを示すモード情報を、複数の移動体各々の端末に送信する送信ステップと、を含み、複数の移動体各々は、端末に送信されたモード情報にしたがって移動する。
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る移動体の走行態様を決定するプログラムは、複数の端末と通信する情報処理装置のコンピュータに、複数の端末各々を搭載した複数の移動体が、移動する移動経路を記憶している記憶機能と、複数の端末各々から、当該端末の位置情報を受信する受信機能と、複数の移動体各々について、複数の移動体各々が、予め定められた移動経路を移動する第1モードと、複数の移動体各々が、個別に指定された行先に向かって移動する第2モードと、のいずれかのモードを設定する設定機能と、設定機能が設定したモードを示すモード情報を、複数の移動体各々の端末に送信する送信機能と、を実現させ、複数の移動体各々は、端末に送信されたモード情報にしたがって移動する。
【0009】
上記情報処理装置において、設定部は、複数の移動体各々に対して、時間帯に応じて第1モードと第2モードとを切替えることとしてもよい。
【0010】
上記情報処理装置において、移動体は乗客を乗せて移動するものであり、受信部は、複数の移動体各々から、移動体に乗車している乗客情報を受信し、設定部は、乗客情報に基づいて、モードを設定することとしてもよい。
【0011】
上記情報処理装置において、設定部は、複数の移動体各々から受信した乗客情報に基づき、複数の移動体全体に対する乗客の乗車率が所定の閾値を下回った場合に、複数の移動体のうち所定数の移動体のモードを第2モードに設定することとしてもよい。
【0012】
上記情報処理装置において、端末の位置情報に基づいて、第1モードで走行する移動体それぞれについて、移動経路上において前後を移動する移動体との間の車間距離が均等になるように、当該移動体の移動速度を決定する決定部を備え、送信部は、第1モードで走行する移動体に対して、決定部が決定した移動体の移動速度に関する速度情報を、当該移動体の端末に送信することとしてもよい。
【0013】
上記情報処理装置において、移動経路は、移動体が複数の停留所を巡回するための経路を示すものであり、決定部は、移動経路の距離と、移動経路を移動する移動体の台数とに基づいて、移動速度を決定することとしてもよい。
【0014】
上記情報処理装置において、決定部は、移動経路が環状である場合に、移動経路の距離を移動体の台数で除した距離を、車間距離とし、複数の移動体のうち、1台の移動体を基準移動体とした場合に、基準移動体を基準に、車間距離を取れるように、複数の移動体のうち基準移動体を除く移動体各々の移動速度を決定することとしてもよい。
【0015】
上記情報処理装置において、決定部は、移動経路が環状でない場合に、移動経路の距離を移動体の台数で除した距離を、車間距離として、移動経路を移動する移動体のうち、出発点に最も近い移動体を基準移動体とし、基準移動体から順に車間距離を開けて複数の移動体が移動するように、複数の移動体のうち基準移動体を除く移動体各々の移動速度を決定することとしてもよい。
【0016】
上記情報処理装置において、前記決定部は、前記移動経路を、前記移動経路を巡回する複数の移動体の数以上の複数の区間に分割し、前記位置情報に基づいて各移動体を前記複数の区間のいずれかに、移動体間距離が均等になるように配置位置を決定し、決定した配置位置に位置するように移動体各々の移動速度を決定することとしてもよい。
【0017】
上記情報処理装置において、前記決定部は、前記複数の移動体を所定数の移動体が含まれる複数のグループに分割し、各グループ間の距離が均等になるように、移動体各々の移動速度を決定することとしてもよい。
【0018】
上記情報処理装置において、速度情報は、各移動体が移動する移動速度を指定する情報であることとしてもよい。
【0019】
上記情報処理装置において、速度情報は、各移動体が移動する速度として決定部により決定された移動速度となるように、加速または減速を指示する情報であることとしてもよい。
【0020】
本発明の一態様に係る端末のコンピュータが実行するアプリケーションプログラムは、移動体に着脱自在に設置して用いられる端末のコンピュータに、予め定められた移動経路を移動する第1モードと、個別に指定された行先に向かって移動する第2モードと、のいずれかのモードを指定するモード情報を受信する受信機能と、モード情報を出力する出力機能と、を実現させ、移動体は、モード情報にしたがって移動する。
【0021】
上記アプリケーションプログラムにおいて、出力機能は、移動体の移動を制御する制御機構にモード情報を出力し、制御機構は、モード情報にしたがって、移動体の移動の制御を実行することとしてもよい。
【0022】
上記アプリケーションプログラムにおいて、受信機能は、更に、移動体が移動する速度に関する速度情報を受信し、出力機能は、速度情報を出力することとしてもよい。
【0023】
上記アプリケーションプログラムにおいて、出力機能は、移動体の移動を制御する制御機構に速度情報を出力し、制御機構は、速度情報に基づいて移動体の移動速度を制御することとしてもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、複数の移動体が予め定められた走行経路を移動するモードと、個別に指定された行先に向けて移動するモードと、2種の態様で移動するように設定できるので、移動体が人や物を載せていない状態をなるべくつくらないように、移動体各々を効率よく運用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】移動体管理システムの構成例を示すシステム図である。
【
図2】情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
【
図4】移動体が走行経路を走行する様子を示す模式図である。
【
図5】移動体が走行経路を均一な車間距離を保って走行する様子を示す模式図である。
【
図6】(a)、(b)は、移動体間の距離を均一に保つための方法を説明するための説明図である。
【
図7】移動体管理システムに係る移動体の走行モードの設定に係るやり取りの例を示すシーケンス図である。
【
図8】
図7に示すシーケンス図に係る情報処理装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図9】
図7に示すシーケンス図に係る端末の動作例を示すフローチャートである。
【
図10】移動体管理システムに係る各装置間のやり取りの例を示すシーケンス図である。
【
図11】
図10に示すシーケンス図に係る端末の動作例を示すフローチャートである。
【
図12】
図10に示すシーケンス図に係る情報処理装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図13】端末200における速度情報の表示例を示す画面図である。
【
図14】移動体をグループとして移動させる態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施態様に係る情報処理装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0027】
<実施の形態>
<構成>
本実施の形態に係る移動体管理システムは、基本的には、予め定められた停留所を巡回する複数の移動体を管理するためのシステムである。移動体は、所定の動力により移動可能な物体であればよく、自動車に代表される車両、バイクなどの人を乗せて移動することができるものの他、飛行機やドローンなどであってもよい。本実施形態においては移動体としては自動車を想定して説明する。また、移動体は、人を乗せるだけでなく動物や物品(貨物)を載せて移動するものであってもよい。物品の場合であれば、移動体は停留所相当の物品管理所に物品を届けて載置し、その物品管理所にて人が物品を受領するようにしてもよいし、直接指定された場所に貨物を届けるようにしてもよい。停留所は、移動体が停車し、乗客が乗降する場所である。移動体管理システムは、各停留所において、移動体待ちをする乗客がなるべく少なくかつ均一になるように移動体を運行する。
【0028】
図1は、移動体管理システムのシステム概要を示す図である。
図1に示すように、移動体管理システムは、複数の移動体20それぞれに個別に搭載される端末200と、端末200とネットワーク400を介して通信する情報処理装置100とからなる。
【0029】
端末200は、自機の位置を測定する測位システムを搭載し、情報処理装置100と通信を実行できる情報処理端末であればよく、例えば、携帯端末やスマートフォン、タブレット端末等により実現されるが、これらに限定するものではない。
【0030】
情報処理装置100は、端末と通信を実行できる情報処理装置であればよく、例えば、PC、タブレット端末、サーバ装置等により実現されるが、これらに限定するものではない。
【0031】
移動体20は、予め定められた走行経路50を走行し、端末200を搭載する。端末200は、移動体20に対して取り付け、取り外しが自在である。即ち、端末200は、一般的に流通するスマートフォンやタブレット端末での利用が可能である。もちろん、端末200は、移動体管理システム専用の端末として製造されてもよい。
【0032】
移動体20に搭載された各端末200は、自端末の位置を測位した位置情報21を逐次情報処理装置100に送信する。情報処理装置100は、各端末200から送信された位置情報21を受信し、各移動体20の走行経路50上の位置を認識する。そして、各移動体20が、走行経路50上で均等間隔をおいて走行するように、理想の位置からずれた位置を走行している移動体20の端末200に対して、走行速度に関する速度情報11を送信する。ここでいう均等間隔とは前後を走る他の移動体との距離が等しくなることをいうが、ここでいう等しくとは距離が完全に一致する必要はなく、運用上ある程度等しくなっていればよく、多少のずれを許容するものである。また、ここでは均等としているが、運用上、例えば、多くの乗客が待っている停留所の前では、移動体同士の間隔は狭くなり、少数の乗客が待っている停留所の前では、移動体同士の間隔が広くなるような運用を行ってもよい。移動体20は、この速度情報11に従って運航することにより、前後を走行する移動体20との間の車間距離を均等に保って走行することができる。その結果各停留所においては、決まった間隔で移動体20に乗車することができるようになるので、移動体待ちをする乗客をなるべく少なく均一にすることができる。また、移動体待ちをする乗客にしても、定期的に移動体20が来ることが分かっているので、心を落ち着けて移動体20を待つことができる。以下、詳細に説明する。
【0033】
なお、
図1に示した移動体20及び端末200の台数は一例であり、5台に限定するものではない。また、
図1においては、情報処理装置100は、1台である例を示しているが、複数の情報処理装置による並列処理により、その機能が実現されてもよい。また、
図1においては、1台の端末200と情報処理装置100との間での位置情報21と速度情報11のやり取りをしている例を示しているが、これは、図面の見やすさを考慮したためであり、上述の通り、実際には、各移動体20の各端末200と間で同様のやり取りが実行される。
【0034】
また、ネットワーク400は、各種の機器との間を相互に接続させるためのネットワークであり、例えば、無線ネットワークや有線ネットワークである。具体的には、ネットワークは、ワイヤレスLAN(wireless LAN:WLAN)や広域ネットワーク(wide area network:WAN)、ISDNs(integrated service digital networks)、無線LANs、LTE(long term evolution)、LTE-Advanced、第4世代(4G)、第5世代(5G)、CDMA(code division multiple access)、WCDMA(登録商標)、イーサネット(登録商標)などである。また、ネットワークは、これらの例に限られず、例えば、公衆交換電話網(Public Switched Telephone Network:PSTN)やブルートゥース(Bluetooth(登録商標))、ブルートゥースローエナジー(Bluetooth Low Energy)、光回線、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線、衛星通信網などであってもよく、どのようなネットワークであってもよい。ネットワークは、ユーザの住居に備えられる場合には、ホームネットワークと呼称されることもある。また、ネットワークは、例えば、NB-IoT(Narrow Band IoT)や、eMTC(enhanced Machine Type Communication)であってもよい。なお、NB-IoTやeMTCは、IoT向けの無線通信方式であり、低コスト、低消費電力で長距離通信が可能なネットワークである。また、ネットワークは、これらの組み合わせであってもよい。また、ネットワークは、これらの例を組み合わせた複数の異なるネットワークを含むものであってもよい。例えば、ネットワークは、LTEによる無線ネットワークと、閉域網であるイントラネットなどの有線ネットワークとを含むものであってもよい。
【0035】
<情報処理装置100の構成例>
図2は、情報処理装置100の構成例を示すブロック図である。情報処理装置100は、複数の移動体20の運行管理を行う情報処理装置である。
図2に示すように、情報処理装置100は、通信部110と、入力部120と、制御部130と、記憶部140と、出力部150と、を備える。通信部110と、入力部120と、制御部130と、記憶部140と、出力部150とは、バス160を介して互いに通信可能に構成されてよい。
【0036】
通信部110は、他の装置と通信を実行するための機能を有する通信インターフェースである。通信部110は、情報処理装置100からの他の装置に情報を送信する送信部及び他の装置から情報を受信する受信部として機能する。通信部110は、他の装置と通信可能であれば、いずれの通信プロトコルにより通信を行ってもよく、有線、無線のいずれでの通信であってよい。通信部110は、各端末200から送信された位置情報21を受信し、制御部130に伝達する。また、通信部110は制御部130からの指示にしたがって、指定された端末200に速度情報11を送信する。
【0037】
入力部120は、情報処理装置100のオペレータ等からの入力を受け付けて、制御部130に伝達する機能を有する入力インターフェースである。入力部120は、タッチパネル等のソフトキーにより実現されてもよいし、ハードキーにより実現されてもよい。また、あるいは、入力部120は、音声入力を受け付けるためのマイクであってもよい。また、入力部120は、フラッシュメモリ等の記憶媒体からの入力を受け付けるポートであってもよい。入力部120は、例えば、オペレータから移動体20に対する速度に関する指示を受け付けて、制御部130に伝達してもよい。
【0038】
記憶部140は、情報処理装置100が動作上必要とする各種のプログラム及びデータを記憶する機能を有する。記憶部140は、例えば、HDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等により実現することができる。記憶部140は、例えば、走行経路50に関する情報や、各移動体が走行する走行モードに関する情報を保持する。
【0039】
出力部150は、制御部130からの指示にしたがって、指定された情報を出力する機能を有する。出力部150による出力は、画像信号、音声信号のいずれでの出力であってもよい。画像信号による出力の場合、情報処理装置100に接続されたモニタへの出力であってよい。また、音声信号による出力の場合、情報処理装置100に接続された(又は情報処理装置100が備える)スピーカーへの出力であってよい。出力部150は、例えば、各移動体20の位置を示す情報を地図と共に示す画像情報を出力してもよい。
【0040】
制御部130は、情報処理装置100の各部を制御する機能を有するプロセッサである。制御部130は、シングルコアにより実現されてもよいし、マルチコアにより実現されてもよい。制御部130は、記憶部140に記憶される各種プログラムを実行することで、情報処理装置100としての機能を実現する。
【0041】
制御部130は、制御部130が実現する機能として、決定部131と、設定部132とを備える。
【0042】
決定部131は、各移動体20が、予め定められた走行経路50上を走行する場合に、なるべく均等間隔をあけて走行するように、各移動体20を管理する。そのために、決定部131は、各移動体20に備えられた端末200から送信された位置情報に基づいて、各移動体20の走行経路50上の現在位置を特定する。そして、特定した位置から、位置の基準となる基準移動体から、等間隔になるように、各移動体20にとって望ましい理想位置を特定する。そして、基準移動体を除く各移動体20について理想位置と現在位置とを比較し、ずれがある場合に、その移動体20に対して走行の速度に関する速度情報11を生成する。
【0043】
ここで、移動体の走行経路上での位置決めと速度の調整方法について、図面を用いて、具体例を説明する。
【0044】
図4は、走行経路50を地図形式で示し、走行経路50を走行する移動体20を模式的に示した具体例を示す図である。
図4において、破線で示す矢印が、走行経路50を示している。この走行経路50上を、移動体20a~20hが、停留所40を巡回するように走行している。なお、
図4、
図5において、走行経路50は、環状になっているが、走行経路50は、環状である必要はなく、一本道であってもよく、その場合に、移動体20は、その一本道の走行経路50を往復することとしてもよいし、往復しなくてもよい。
【0045】
本実施の形態において、走行経路50上を走行する移動体20間の車間距離がなるべく等しくなることが望ましい。即ち、
図4の例でいえば、移動体20aと移動体20bとの間の車間距離、移動体20bと移動体20cとの間の車間距離、移動体20cと移動体20dとの間の車間距離、移動体20dと移動体20eとの間の車間距離、移動体20eと移動体20fとの間の車間距離、移動体20fと移動体20gとの間の車間距離、移動体20gと移動体20hとの間の車間距離、移動体20hと移動体20aとの間の車間距離それぞれが等しくなることが望ましい。なお、ここでいう車間距離は、走行経路50に沿った距離となる。
【0046】
図4の例では、移動体20aと移動体20bの間、移動体20cと移動体20dの間、移動体20aと移動体20hとの間の車間距離が離れているのに対し、移動体20bと移動体20cとの間、移動体20gと移動体20hとの間は詰まったようになっている。この
図4の例に対し、本来であれば、
図5に示すような態様で、各移動体20が走行しているのが望ましい。
【0047】
そこで、情報処理装置100の決定部131は、以下に示すような手法により、各移動体20間の距離が等しくなるように制御を行う。
【0048】
図6(a)は、走行経路50と走行経路50を走行する移動体を模式的に示した図である。決定部131は、走行経路50の全長を、複数の区域に分割する。分割数は、走行経路50を走行する移動体20の台数以上の数とする。また、各区域の長さは、少なくとも移動体20の全長よりも長いことが望ましい。
【0049】
図6(a)の例では、走行経路50を、A~Lの12の区域に分割した例を示している。また、
図6(a)に示す走行経路50を走行する移動体の台数を移動体20a~20fの6台であるとする。すると、この場合、走行経路50を分割した区域の数を移動体の台数で除すると、2区域に1台、走行していることが望ましく、移動体間に1区域挟まれていると、等間隔になることがわかる。そこで、情報処理装置100は、走行経路50を走行する移動体20のうちの1台を基準移動体として選択する。そして、選択した基準移動体から順に、算出した区域を開けて各移動体20が存在しているかを特定する。
【0050】
図6(a)の例で言えば、移動体20aを基準移動体とした場合、移動体20aが区域Aに存在することから、残りの各移動体20b~20fは、区域C、E、G、I、Kに存在していることが望ましいことが理解できる。
図6(a)の例では、移動体20cは存在していることが望ましいと特定された区域Eに存在しておらず、移動体20eも同様に区域Iに存在していない。より具体的には、移動体20cは、区域Eの手前の区域Dにおり、移動体20eは、区域Iの先の区域Jに存在している。即ち、移動体20cは、移動体全体の運行から見ると遅れており、移動体20eは逆に予定よりも進んでいることになる。
【0051】
そこで、決定部131は、移動体20cに対してはより早い速度で走行することを指示する速度情報11を生成して送信し、移動体20eに対してはより遅い速度で走行することを指示する速度情報11を生成して送信する。この速度情報11は、走行する速度(時速)を指定するものであってもよいし、単純に速度を上げる、あるいは、下げる指示であってもよく、画像により表現されてもよい。
【0052】
図6(b)は、決定部131が移動体20c、20eに上述の速度情報11を送信した結果を示す例を示している。
図6(b)は、時系列上で
図6(a)よりも後の状態を示しており、移動体20aは、区域Aから区域Bにまで進出している。移動体20b、20d、20fについては速度を維持することで、それぞれ望ましい区域D、H、Lに存在することになる。
【0053】
一方、移動体20cについては走行速度の上昇を指示されたことにより、望ましい区域Fに到達している。また、移動体20eについても、速度減少を指示されたことにより、
図6(a)の場合よりも、より望ましい区域Jに近い位置を走行している状態になっている。
【0054】
このように、決定部131は、移動体20から受信したそれぞれの位置情報と、基準移動体の位置に基づくそれぞれの存在していることが望ましい区域とのずれを基に、各移動体20に対して送信する速度情報を決定する。移動体20が存在して欲しいある程度距離幅のある区域を、移動体20が存在すべき位置として指定することで、各移動体20をフレキシブルに運用することができる。
【0055】
図2に戻って、設定部132は、各移動体20が走行する走行モードを設定する。ここで、移動体20の走行モードとは、移動体20の運用態様を示す情報である。走行モードには、少なくとも、予め定められた走行経路50上を走行する第1モードと、移動体20に乗車した乗客から行先の指定を受け付けて、走行経路50と関係なく自由に走行する第2モードとがあり、その他のモードが含まれてもよい。その他のモードとしては、複数の関連のない乗客それぞれから行先の指定を受け付けて順にその行先まで走行するモードなどが考えられる。設定部132は、移動体20それぞれについてその走行モードを設定する。設定部132は、入力部120を介してオペレータからの指定によって各移動体20に対する走行モードを設定してもよいし、予め定められた条件に従って、設定部132が自動で設定してもよい。設定部132は、移動体20に対して設定した走行モードを示す走行モード情報を、通信部110を介して、対応する移動体20の端末200に送信する。
【0056】
なお、本実施の形態における走行モードの設定は、移動体20を運転する各ドライバーに通知するためのものであるが、移動体20が自動運転により走行する移動体である場合には、移動体20は、通知された走行モード情報にしたがって走行する。即ち、走行モード情報が第1モードを示している場合には、移動体20は、予め定められている走行経路50上を、停留所で停止するように自動運転を行い、走行モード情報が第2モードを示している場合には、移動体20は、乗客が指定した行先までの経路探索を行い、探索された経路に従って自動運転を行う。設定部132は、各移動体20の端末200それぞれについて、その走行モードを示す走行モード情報を対応付けて記憶部140に記憶することで管理する。
【0057】
以上が、情報処理装置100の構成の説明である。
【0058】
<端末200の構成例>
図3は、端末200の構成例を示すブロック図である。前述の通り、端末200は、一般的なスマートフォンやタブレット端末と同様の端末である。
【0059】
図3に示すように、端末200は、通信部210と、入力部220と、位置情報取得部230と、制御部240と、記憶部250と、出力部260と、を備える。通信部210と、入力部220と、位置情報取得部230と、制御部240と、記憶部250と、出力部260とは、バス270を介して互いに通信可能に構成されてよい。
【0060】
通信部210は、他の装置と通信を実行するための機能を有する通信インターフェースである。通信部210は、端末200から他の装置に情報を送信する送信部及び他の装置から情報を受信する受信部として機能する。通信部210は、他の装置と通信可能であれば、いずれの通信プロトコルにより通信を行ってもよく、有線、無線のいずれでの通信であってよい。通信部210は、位置情報21を情報処理装置100に送信する。また、通信部210は、情報処理装置100から送信された速度情報11を受信し、制御部240に伝達する。
【0061】
入力部220は、移動体20の運転手等からの入力を受け付けて、制御部240に伝達する機能を有する入力インターフェースである。入力部220は、タッチパネル等のソフトキーにより実現されてもよいし、ハードキーにより実現されてもよい。また、あるいは、入力部220は、音声入力を受け付けるためのマイクであってもよい。また、入力部220は、フラッシュメモリ等の記憶媒体からの入力を受け付けるポートであってもよい。入力部220は、例えば、運転手から乗客の行先に関する情報の入力を受け付けて、制御部130に伝達してもよい。
【0062】
位置情報取得部230は、端末200の位置、即ち、端末200が搭載されている移動体20の位置を示す情報を取得する。位置情報取得部230は、GPSを含むGNSS等の測位システムにより実現することができる。位置情報取得部230は、逐次、端末200の位置情報(経緯度情報)を取得し、取得した位置情報を制御部240に伝達する。
【0063】
制御部240は、端末200の各部を制御する機能を有するプロセッサである。制御部240は、シングルコアにより実現されてもよいし、マルチコアにより実現されてもよい。制御部240は、記憶部250に記憶される各種プログラムを実行することで、端末200としての機能を実現する。
【0064】
記憶部250は、端末200が動作上必要とする各種のプログラム及びデータを記憶する機能を有する。記憶部250は、例えば、HDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等により実現することができる。記憶部250は、例えば、走行経路50に関する情報や、自移動体が走行する走行モードに関する情報を保持する。
【0065】
出力部260は、制御部240からの指示にしたがって、指定された情報を出力する機能を有する。出力部260による出力は、画像信号、音声信号のいずれでの出力であってもよい。画像信号による出力の場合、端末200に接続されたモニタへの出力であってよい。また、音声信号による出力の場合、端末200に接続された(又は端末200が備える)スピーカーへの出力であってよい。出力部260は、例えば、各移動体20の位置を示す情報と走行経路とを地図と共に示す画像情報をモニタに出力してもよい。また、出力部260は、例えば、情報処理装置100から送信された速度情報11に基づく情報をモニタに出力してもよい。
【0066】
以上が、端末200の構成の説明である。
【0067】
<動作>
ここから、移動体管理システムに係る各装置の動作について説明する。本移動体管理システムにおいては、移動体が所定の走行経路50上を移動する第1モードと、移動体が所定の位置、即ち、乗客により指定された箇所まで個別に移動する第2モードと、の切替を行って、移動体20を管理する。各移動体20の運転手は、端末200に対して指定されたモードで移動体20を移動させる。
【0068】
各移動体20は、走行経路50上を走行し続けてもよいが、その場合に移動体20の運用上効率が悪くなる場合がある。これは、例えば、時間帯によっては乗客数が少ないにも関わらず走行経路50上を走行させ続けると燃費が悪くなる。一方で、停留所にて多くの乗客が望める場合には移動体20が個別に走行するよりも一つの移動体に複数の乗客を乗せて運用した効率がよい場合もある。そこで、情報処理装置100は、一定期間(基本的には一日)の中で、移動体20の運用方法を切り替えることとしてもよい。ここでいう運用方法の切り替えとは、移動体20が、走行経路50上を走行する第1モードと、走行経路50上を走行するのではなく乗客の指定する行先に向けて走行する第2モードと、の切り替えのことである。
【0069】
図7は、走行モードの切り替えに係る情報処理装置100と端末200との間のやり取りの例を示すシーケンス図である。
【0070】
図7に示すように情報処理装置100は、各移動体20について走行モードを決定する(ステップS701)。情報処理装置100は、各移動体に対して決定した走行モードを示す走行モード情報を、対応する端末200に送信する(ステップS702)。
【0071】
端末200は、走行モード情報を受信すると、その内容を表示する(ステップS703)。そして、移動体20は、指定された走行モードで、移動体20の運転手により運行される(ステップS704)。なお、移動体20が自動運転(走行支援)により運行される場合には、走行モード情報で示されるモードが、移動体20の運行態様として、移動体20の自動運転を制御するプロセッサに設定される。そして、移動体20は、設定された走行モード情報で示されるモードで、移動体20の移動を制御する。即ち、移動体20の移動(駆動)を制御する制御機構は、走行モード情報が第1モードを示す場合には、走行経路50上を移動体20が巡回するように移動体20の各部を制御し、第2モードを示す場合にはユーザからの目的地の入力を受け付けて、現在地から目的地までの経路探索を行って探索された経路を走行する。
【0072】
図8は、
図7に示すやり取りを実現するための情報処理装置100の動作例であって、走行モードの決定処理の一例を示すフローチャートである。なお、これは走行モードの決定方法の一例であって、これに限定するものではない。本処理の前提として、各移動体20の端末200は、搭載されている移動体20に乗車している利用客の人数を示す乗車数情報を情報処理装置100に送信しているものとする。この乗車数情報の特定は、例えば、移動体20に移動体20内の利用客が乗車する席を撮像するカメラを設けて、そのカメラから出力される撮像画像を端末200が入力部120に対して入力し、撮像画像を解析することで得られる。また、その他の態様としては、移動体20の乗降口に、乗降口を通過する際に利用客を検知するセンサを設けて、そのセンサの出力を入力部120に対して入力して、利用客の人数を特定することとしてもよい。乗車数情報は、利用客が乗降する度に、端末200から情報処理装置100に送信される。
【0073】
図8に示すように、情報処理装置100の通信部110は、各端末200から、その端末200が搭載されている移動体20に乗車している利用客の数を示す乗車数情報を受信する(ステップS801)。通信部110は、受信した乗車数情報を制御部130に伝達する。
【0074】
制御部130の設定部132は、乗車数情報を伝達されると、第1モードで走行している移動体20の乗車数情報から、第1モードで走行している移動体全体に対する乗車率を算出する(ステップS802)。即ち、設定部132は、予め定められた走行経路50上を巡回する移動体20全体の利用率を算出しているともいえる。
【0075】
設定部132は、算出した乗車率が、予め定められた第1閾値未満であるか否かを判定する(ステップS803)。第1閾値は、走行経路50を巡回する移動体20の利用率が悪いか否かを判定するための閾値であり、移動体管理システムの過去の運行状況に基づいて、情報処理装置100のオペレータ等により設定されることとしてよい。
【0076】
乗車率が第1閾値未満であった場合には(ステップS803のYES)、走行経路50を巡回する移動体20の運行効率が低下していると判断し、設定部132は、第1モードで走行する移動体20のうち、所定数の移動体20を第1モードから第2モードに設定する(ステップS804)。即ち、設定部132は、設定部132は、各移動体20に搭載される端末200のうち、所定数の走行モードを第2モードとして対応付けて記憶部140に記憶する。
【0077】
そして、設定部132は、第1モードから第2モードに設定した移動体20の端末200に、第2モードでの走行を指示する走行モード情報を、通信部110を介して送信する(ステップS805)。
【0078】
一方、ステップS803において、乗車率が第1閾値未満でなかった場合に(ステップS803のNO)、設定部132は、乗車率が第2閾値以上であるか否かを判定する(ステップS806)。ここで、第2閾値は、走行経路50上を走行する移動体20の利用率が高いか否かを判定するための閾値であり、走行経路50を巡回する移動体20に対する需要の高さを判定するための閾値である。第2閾値は、第1閾値と同じであってもよいし、異なる値であってもよい。第2閾値は、移動体管理システムの過去の運行状況に基づいて、情報処理装置100のオペレータ等により設定されることとしてよい。乗車率が第2閾値以上でない場合には(ステップS806のNO)、ステップS809の処理に移行する。
【0079】
乗車率が第2閾値以上であった場合(ステップS806のYES)、走行経路50を巡回する移動体20の需要が高まっていることを意味する。したがって、設定部132は、第2モードで走行している移動体20の走行モードを第1モードに設定して、記憶部140に記憶する(ステップS807)。
【0080】
そして、設定部132は、第1モードに設定した移動体20に搭載されている端末200に、第1モードでの走行を指示する走行モード情報を、通信部110を介して、送信する(ステップS808)。
【0081】
制御部130は、入力部120を介して、終了の入力があるか否かを判定する(ステップS809)。ここでいう、終了の入力は、
図8に示す処理の実行の終了であってもよいし、情報処理装置100の電源を切る入力であってもよい。終了の入力がない場合には(ステップS809のNO)、ステップS801の処理に戻って以降の処理を実行し、終了の入力があった場合には(ステップS809のYES)、処理を終了する。
【0082】
以上が、走行モードの設定に係る情報処理装置100の動作例の説明である。
【0083】
図9は、
図7に示すやり取りを実現するための端末200の動作例を示すフローチャートである。
【0084】
図9は、
図7に示すやり取りを実現するための、端末200の動作例を示すフローチャートである。
【0085】
図9に示すように、端末200の入力部220は、適宜、自端末を搭載する移動体20に乗車している乗客数を取得する(ステップS901)。入力部220は、例えば、移動体20に設けられたカメラであってよく、当該カメラにより移動体内を撮影し、撮影された画像を解析することにより乗客数を取得することとしてもよいし、移動体20の運転手により手入力に基づいて乗客数を取得することとしてもよい。入力部220は、取得した乗客数を制御部240に伝達する。
【0086】
制御部240は、通信部210を介して、情報処理装置100に伝達された乗車数情報を送信する(ステップS902)。
【0087】
制御部240は、通信部210を介して、乗車数情報に応じたモード情報を受信したか否かを判定する(ステップS903)。モード情報は、自端末を搭載する移動体が走行すべき走行態様を指定する情報であり、モードには、走行経路50を移動する第1モードと、指定された目的地に向けて自由に移動する第2モードとがある。モード情報を受信している場合には(ステップS903のYES)、出力部260はモニタにモード情報が示す内容を表示(出力)する(ステップS904)。モード情報を受信していない場合には(ステップS903のNO)、ステップS905の処理に移行する。このとき、端末200を搭載する移動体20が自動運転により走行するものである場合には、自動運転を制御するコントローラに対して、モード情報で指定されるモードの設定を行って、指定されたモードで走行するように制御する。
【0088】
制御部240は、入力部220を介して、終了の入力があるか否かを判定する(ステップS905)。ここでいう、終了の入力は、
図9に示す処理の実行の終了であってもよいし、端末200の電源を切る入力であってもよい。また、この入力は情報処理装置100からの指示によるものであってもよい。終了の入力がない場合には(ステップS905のNO)、ステップS901の処理に戻って以降の処理を実行し、終了の入力があった場合には(ステップS905のYES)、処理を終了する。
【0089】
以上が
図7のシーケンス図に係る端末200の動作である。
【0090】
次に、
図10は、移動体管理システムに係る各端末200と、情報処理装置100との間のやり取りの例を示すシーケンス図である。なお、端末200としては、全て同じ動作を行うので、ここでは、各端末を区別せずに、端末200として説明する。
【0091】
図10に示すように、端末200は、自機の位置を示す位置情報を取得する(ステップS1001)。そして、端末200は、取得したい位置情報を、情報処理装置100に送信する(ステップS1002)。
【0092】
情報処理装置100は、各移動体20の端末200から位置情報を受信すると、当該位置情報に基づいて、走行経路50上で、各移動体がいるべき位置を特定する(ステップS1003)。情報処理装置100は、各移動体がいるべき位置に近づくように、各移動体の走行速度に関する速度情報を生成する(ステップS1004)。そして、情報処理装置100は、生成した速度情報を、それぞれ対応する端末200に送信する(ステップ705)。
【0093】
端末200は、情報処理装置100から、速度情報を受信すると、受信した速度情報に基づく情報を出力(表示)する(ステップS1006)。
【0094】
情報処理装置100と、各移動体20の端末200は、移動体20が走行経路50上を走行している間、
図10に示す処理を繰り返し実行する。
【0095】
図11は、
図10に示すやり取りを実現するための、端末200の動作例を示すフローチャートである。
【0096】
図11に示すように、端末200の位置情報取得部230は、逐次、自端末の位置を測位する(ステップS1101)。位置情報取得部230は、測位により得られた位置情報を制御部240に伝達する。
【0097】
制御部240は、通信部210を介して、情報処理装置100に伝達された位置情報を送信する(ステップS1102)。
【0098】
制御部240は、通信部210を介して、位置情報に応じた速度情報を受信したか否かを判定する(ステップS1103)。速度情報を受信している場合には(ステップS1103のYES)、出力部260はモニタに速度情報が示す内容を表示(出力)する(ステップS1104)。速度情報を受信していない場合には(ステップS1103のNO)、ステップS1105の処理に移行する。なお、移動体20が自動運転(走行支援)により運行される場合には、移動体20の移動を制御する制御機構は、速度情報に基づいて、移動体20の移動速度を制御する。即ち、移動体20の移動(駆動)を制御する制御機構は、一例として速度情報が走行する速度を指定している場合には、移動速度がその速度になるように制御を行い、速度情報が走行速度の抑制を指定している場合には、移動速度が低下するように制御を行う。
【0099】
制御部240は、入力部220を介して、終了の入力があるか否かを判定する(ステップS1105)。ここでいう、終了の入力は、
図11に示す処理の実行の終了であってもよいし、端末200の電源を切る入力であってもよい。また、この入力は情報処理装置100からの指示によるものであってもよい。終了の入力がない場合には(ステップS1105のNO)、ステップS1101の処理に戻って以降の処理を実行し、終了の入力があった場合には(ステップS1105のYES)、処理を終了する。
【0100】
以上が
図10のシーケンス図に係る端末200の動作である。
【0101】
図12は、
図10に示すやり取りを実現するための情報処理装置100の動作例を示すフローチャートである。
【0102】
図12に示すように、情報処理装置100の通信部110は、各端末200から送信されたそれぞれの位置情報を受信する(ステップS1201)。通信部110は、受信した位置情報を、制御部130に伝達する。
【0103】
制御部130の決定部131は、伝達された位置情報から、走行経路50上で、各移動体が現在存在する位置を特定する。次に、決定部131は、走行経路50上を走行する移動体20のうちの1台の移動体20を基準移動体として選択する。この選択はランダムであってもよいし、予め定められていることとしてよい。予め定める場合には、走行速度を一定に保つように運転する運転技術の高い運転手により運転される移動体を基準移動体として選択するとよい。そして、その基準移動体から、他の移動体が順に均等間隔になるように各移動体が存在すべき位置を特定する(ステップS1202)。
【0104】
次に決定部131は、各移動体が存在すべき位置から、ずれがある移動体を特定する。そして、ずれがあった移動体に対する速度情報を生成する(ステップS1203)。決定部131は、走行経路上で移動体が存在すべき位置よりも先の位置に存在する場合には、速度を低下させる、あるいは、現在のその移動体の走行速度よりも低い速度を示す速度情報を生成する。また、決定部131は、走行経路上で移動体が存在すべき位置よりも後ろの位置に存在する場合には、速度を上昇させる、あるいは、現在のその移動体の走行速度よりも速い速度を示す速度情報を生成する。なお、この速度情報は、全ての移動体20に対して生成することとしてもよいし、存在すべき位置にいない移動体20飲みに対して生成することとしてもよい。
【0105】
決定部131は、生成した速度情報を、通信部110を介して、対応する端末200に送信する(ステップS1204)。
【0106】
制御部130は、入力部120を介して、終了の入力があるか否かを判定する(ステップS1205)。ここでいう、終了の入力は、
図12に示す処理の実行の終了であってもよいし、情報処理装置100の電源を切る入力であってもよい。終了の入力がない場合には(ステップS1205のNO)、ステップS1201の処理に戻って以降の処理を実行し、終了の入力があった場合には(ステップS1205のYES)、処理を終了する。
【0107】
以上が、
図10のシーケンス図に係る情報処理装置100の動作例の説明である。
【0108】
図13は、端末200における速度情報11に基づく表示例を示す画面図である。
【0109】
図13に示すように、端末200は、端末200が搭載されている移動体20の現在の位置を示す移動体画像20rと、本来存在することが望ましい位置を示す移動体画像20tとをそれぞれ表示態様を異にして表示することで、移動体20の運転手に移動体20の速度を上げるべきなのか、さげるべきなのかを示すこととしてよい。
図13の例では、現在の位置を示す移動体画像20rを実線で、本来存在することが望ましい位置を示す移動体画像20tを破線で示している。移動体画像20tの方が、移動体画像20rよりも奥側に存在することから、本来移動体20はより先に存在するべきであることが理解できることから速度を上げることを示唆していることが読み取れる。なお、移動体20が本来存在すべき位置が現在よりも走行経路50上でより後方にある場合には、移動体画像20rよりも移動体画像20tの方がより手前側に表示されることとなる。
【0110】
また、速度情報11は、そのまま速度の上げ下げを示すテキスト情報1300として表示されることとしてもよいし、図示はしていないが、走行速度そのものを指定する情報が表示されてもよい。また、速度情報11が示す内容は、音声により指示されてもよい。この出力により、移動体20の運転手は、移動体20の速度調整を行って、各移動体20の車間距離が均等になるように移動体20を運転することができる。
【0111】
<まとめ>
上記実施の形態に示したように、移動体管理システムにおいては、移動体20が予め定めた走行経路50を走行するモードと、走行経路50ではなく乗客が指定した行先を目指して走行するモードとを使いわけることで、情報処理装置100は、利便性の高い移動体20(端末200)を提供することができるとともに、移動体20の運行効率を向上させることができる。また、情報処理装置100は、予め定められた走行経路50上を走行する各移動体20の移動体間の間隔がなるべく均一になるように、移動体20に搭載される端末200に移動体20が走行する速度を指定する速度情報を送信する。これにより、各移動体20は、前後を走行する他の移動体20との間の距離を均一に保って運行することができる。したがって、移動体20を利用する利用客は、停留所40で待っていれば、必ず次の移動体20が到着することを理解できるので、心安らかに移動体20の到着を待って利用することができる。また、本移動体管理システムでは、各移動体20を、それぞれの移動体20に搭載する端末200と、端末200と通信する情報処理装置100だけの運用が可能であり、かつ、端末200としては市販のタブレット端末等を用いた運用も可能であるので、新規の移動体システム(例えば列車とその運用システム)を開発して設置するよりも、システム導入における手間やコストを抑制することができる。
【0112】
<補足>
上記実施の形態に係る装置は、上記実施の形態に限定されるものではなく、他の手法により実現されてもよいことは言うまでもない。以下、各種変形例について説明する。
【0113】
(1) 上記実施の形態においては、1台の移動体間の距離をなるべき均等になるように制御したが、これはその限りではない。複数の移動体群を1グループとし、グループ単位で、グループ間の距離がなるべく均等になるように制御することとしてもよい。このグループ内において、移動体の走行順序は、順不同であってもよいし、予め定められた順序にそって走行することとしてもよい。
【0114】
以下、
図14を参照しながら、説明する。
図14は、複数の移動体20を1グループとして走行経路50を走行させる態様を示す図である。
図14においては、移動体20a1、20a2、20a3が1グループ、移動体20a1、20a2、20a3が1グループ、移動体20b1、20b2、20b3が1グループ、移動体20c1、20c2、20c3が1グループ、移動体20d1、20d2、20d3が1グループ、移動体20e1、20e2、20e3が1グループ、移動体20f1、20f2、20f3が1グループ、として、グループ間の距離がなるべく均等になるように走行させている例を示している。
【0115】
この態様の場合、端末200は、グループに含まれる各移動体20に搭載されてもよいし、グループに含まれるいずれか(例えば、先頭を走行する移動体20)一つにのみ搭載し、残りの移動体20はその移動体20に追随するように走行することとしてもよい。そして、情報処理装置100の決定部131は、各グループの間の距離がなるべく均等となるように、各グループの走行速度を決定する。ここでグループ間の距離は、グループに含まれる複数の端末それぞれの位置の平均値を用いて算出することとしてもよいし、代表の移動体(例えば、先頭の移動体でもよいし、真ん中の移動体でもよい)の位置を用いてもよいし、先頭車両と後尾車両の位置を用いてもよい。先頭車両と後尾車両との位置を用いるとは、移動体20b3と移動体20a1との間の距離、移動体20c3と移動体20b1との間の距離、移動体20d3と移動体c1との間の距離…、をグループ間の距離を用いることを意味する。
【0116】
端末200を代表の移動体20にのみ搭載する場合には上記実施形態に示した場合と同様に運用することができる。一方で、各移動体20に端末200を搭載する場合には、どの端末200がどのグループに属するかを示すグループ管理情報を情報処理装置100の記憶部140に記憶しておく必要がある。グループ管理情報は、図示はしないが、グループを示す識別情報と、当該グループに属する端末200(移動体20)を示す識別情報を対応付けた情報である。このグループ管理情報があることにより、情報処理装置100は、グループとその位置の管理を行って、グループ間の距離を均等に保つように各移動体20の端末200に速度情報やモード情報を送信することができる。このような運用態様により、自動車をさながら列車のように人を運搬できる交通機関として運用することができる。
【0117】
(2) 上記実施の形態において
図6では、走行経路50を複数の区域に分割したうえで、各移動体について、基準移動体を起点に、望ましい区域に存在するか否かによって、移動体間の距離がなるべく均等になるように制御を行った。これは、移動体20の走行は、運転手の技量や停留所で乗降する乗客の数、道路の混雑状況によって、移動体20毎でばらつきが発生し得るため、厳密な制御は困難であるため、ある程度大雑把な制御をした方が現実的であるためである。しかし、移動体20の位置の制御方法は、
図6に示した例に限定するものではない。より厳密に、走行経路50の全長を測定し、その全長を移動体の台数で除した距離を車間距離として、基準移動体からその算出した距離を保つように制御を行うこととしてもよい。
【0118】
(3) 上記実施の形態では、走行モードの切り替えを、走行経路50を走行する移動体に対する乗客の乗車率に応じて行う例を示したが、これはその限りではない。設定部132は、一日の中の時間帯によって、走行モードの設定の切り替えを実行することとしてもよい。この切替のタイミングは、走行経路50を移動体が走行している場合の利用客数を集計しておき、その利用客数の合計が所定の閾値よりも少なくなる、あるいは所定の閾値(前述の閾値と同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい)を超えるタイミングを切り替えのタイミングとして、走行モードの切り替えを行ってもよい。前者は、走行モードを第1モードから第2モードに切り替えるタイミングであり、後者は、第2モードから第1モードに切り替えるタイミングとなる。この場合は、情報処理装置100は、上記実施の形態よりも単純かつ簡単に走行モードの設定を自動で行うことができる。
【0119】
また、本変形例と上記実施の形態に示した切り替えとを組み合わせることとしてもよい。例えば、複数の移動体のうち一定数を、スケジュールにより第1モードと第2モードとの切り替えを行うとともに、残りの一定数を、乗車率によって走行モードを切り替える態様としてもよい。
【0120】
(4) 上記実施の形態においては記載していないが、移動体20を利用する利用客から移動体20の利用料を徴収することとしてよい。このとき、第1モードで走行する場合の単位当たりの料金よりも第2モードで走行する場合の単位当たりの料金を高くなるように設定してもよい。ここでいう単位は走行距離であってもよいし、走行時間であってもよい。また、第1モードで走行する場合には料金をとらず、第2モードで走行する場合にのみ料金を徴収するようにしてもよい。
【0121】
(5) 上記実施の形態においては、移動体20として、車両(自動車)が人を運搬する例を示した。なお、上記実施の形態にも示したが、移動体20としては、ドローンのような飛行体であってもよいし、船舶であってもよい。ドローンの場合であれば、走行経路50の代わりに、飛行経路を設定し、物品を運搬する態様としてもよい。そして、停留所40は、物品を受領する引き渡し所として機能させればよい。また、船舶の場合であれば、走行経路50の代わりに、海路を設定し、人または物品を運搬する態様としてもよい。そして、停留所40は、港であってもよい。
【0122】
(6) また、上記実施の形態においては、情報処理装置において各移動体20の走行態様(速度及び走行モード)を決定する手法として、情報処理装置のプロセッサがプログラム等を実行することにより、歩行教示することとしているが、これは装置に集積回路(IC(Integrated Circuit)チップ、LSI(Large Scale Integration))等に形成された論理回路(ハードウェア)や専用回路によって実現してもよい。また、これらの回路は、1または複数の集積回路により実現されてよく、上記実施の形態に示した複数の機能部の機能を1つの集積回路により実現されることとしてもよい。LSIは、集積度の違いにより、VLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIなどと呼称されることもある。
【0123】
また、上記プログラムは、プロセッサが読み取り可能な記録媒体に記録されていてよく、記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、当該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記プロセッサに供給されてもよい。本発明は、上記歩行教示プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0124】
なお、上記プログラムは、例えば、ActionScript、JavaScript(登録商標)などのスクリプト言語、Objective-C、Java(登録商標)などのオブジェクト指向プログラミング言語、HTML5などのマークアップ言語などを用いて実装できる。
【0125】
(7) 上記実施の形態並びに<補足>に示す各種変形例は適宜組み合わせることとしてよい。
【符号の説明】
【0126】
100 情報処理装置
110 通信部
120 入力部
130 制御部
140 記憶部
150 出力部
160 バス
200 端末
210 通信部
220 入力部
230 位置情報取得部
240 制御部
250 記憶部
260 出力部
270 バス