(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】新規の消化管微生物叢の細菌のDysosmobacter属、およびその使用。
(51)【国際特許分類】
C12N 1/20 20060101AFI20240514BHJP
A23L 33/135 20160101ALI20240514BHJP
A61K 35/741 20150101ALI20240514BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20240514BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240514BHJP
C12N 15/09 20060101ALN20240514BHJP
【FI】
C12N1/20 E ZNA
A23L33/135
A61K35/741
A61P3/04
A61P3/10
C12N15/09 Z
(21)【出願番号】P 2021500539
(86)(22)【出願日】2019-07-10
(86)【国際出願番号】 EP2019068539
(87)【国際公開番号】W WO2020011856
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2022-07-05
(32)【優先日】2018-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【微生物の受託番号】BCCM/LMG LMG P-30603
(73)【特許権者】
【識別番号】511294534
【氏名又は名称】ウニベルシテ カソリーク デ ルーベン
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】カニ,パトリース
(72)【発明者】
【氏名】ル ロワ,ティフェンヌ
【審査官】松原 寛子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/182796(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/20
A23L 33/135
A61K 35/741
A61P 3/04
A61P 3/06
A61P 3/10
C12N 15/09
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LMG P-30603として2018年3月14日にBCCM/LMGに寄託されたディソスモバクター・ウェルビオニス(Dysosmobacter welbionis) J115株である、単離された細菌。
【請求項2】
前記細菌が、低温殺菌されている、請求項1に記載の細菌。
【請求項3】
前記細菌が、凍結されている、請求項1~2のいずれか1項に記載の細菌。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の細菌を含む、組成物。
【請求項5】
請求項4に記載の組成物と少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤とを含む、医薬組成物。
【請求項6】
請求項4に記載の組成物と少なくとも1つの栄養学上許容される賦形剤とを含む、栄養組成物。
【請求項7】
請求項4に記載の組成物と少なくとも1つの美容上許容される賦形剤とを含む、美容用組成物。
【請求項8】
医薬として使用するための
、請求項4に記載の組成
物。
【請求項9】
それを必要とする対象において消化管微生物叢に関連する障害の処置に使用するための
、請求項4に記載の組成
物。
【請求項10】
前記消化管微生物叢に関連する障害が、肥満、メタボリックシンドローム、インスリン欠乏またはインスリン抵抗性関連障害、真性糖尿病、耐糖能障害、脂質代謝異常、高血糖、脂質異常症、高コレステロール、LDLコレステロールの上昇、HDLコレステロールの低下、およびトリグリセリドの上昇を含むリストから選択される、代謝性疾患である、請求項9に記載
の組成
物。
【請求項11】
医薬として使用するための、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項12】
それを必要とする対象において消化管微生物叢に関連する障害の処置に使用するための、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記消化管微生物叢に関連する障害が、肥満、メタボリックシンドローム、インスリン欠乏またはインスリン抵抗性関連障害、真性糖尿病、耐糖能障害、脂質代謝異常、高血糖、脂質異常症、高コレステロール、LDLコレステロールの上昇、HDLコレステロールの低下、およびトリグリセリドの上昇を含むリストから選択される、代謝性疾患である、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
対象において、体重減少を促進させるための、食物摂取量を減少させるための、筋肉量を増加させるための、体脂肪量を減少させるための、満腹感を増大させるための、および/または食物摂取量に関連する体重増加を減少させるための
、請求項4に記載の組成
物。
【請求項15】
対象において、体重減少を促進させるための、食物摂取量を減少させるための、筋肉量を増加させるための、体脂肪量を減少させるための、満腹感を増大させるための、および/または食物摂取量に関連する体重増加を減少させるための、請求項6に記載の栄養組成物。
【請求項16】
対象において、体重減少を促進させるための、食物摂取量を減少させるための、筋肉量を増加させるための、体脂肪量を減少させるための、満腹感を増大させるための、および/または食物摂取量に関連する体重増加を減少させるための、請求項7に記載の美容用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腸内微生物叢に関する。より具体的には、本発明は、Dysosmobacter属の細菌、および腸内微生物叢関連障害の処置におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの腸は、宿主と絶え間なく相互作用する1000超の異なる種に相当する多様で複雑かつ動的な微生物のコミュニティによりコロニー形成されている。腸内微生物叢のホメオスタシスは、宿主の特徴(年齢、性別、遺伝的背景...)および環境上の条件(ストレス、薬物、消化管外科手術、感染性作用物質および毒性作用物質)だけでなく、毎日の食事の変化にも依存している。
【0003】
近年、腸管微生物叢は、多くの疾患に関与していることが認知されている。たとえば、腸内微生物叢の不均衡は、結腸直腸がんなどの癌の発症のリスク因子であることが示された。また、肥満および関連障害、脳障害および腸炎、または腸の疼痛の発症における腸内微生物叢の役割を裏付けるエビデンスが増加している。
【0004】
よって、腸内微生物叢を標的とする生成物での処置は、幅広い範囲の障害の処置にとって見込みのある治療用ツールであると思われた。これら生成物は、大部分のプロバイオティクスの場合などでは生きている微生物からなり得、またはそれらの死んでいる微生物またはフラグメントを含み得る。さらに、これら生成物は、プレバイオティクスの事例などでは腸内微生物叢により使用される物質を含み得、または特定の抗菌性化合物などでは、腸管微生物叢の均衡を変える化合物を含み得る。たとえば、国際特許公開公報第2008/076696号は、肥満および関連障害を処置するための治療の標的としての腸内微生物叢を記載している。国際特許公開公報第2008/076696号は特に、抗生物質および/またはプロバイオティクスを対象に投与することにより、対象の腸におけるBacteroidetes門および/またはFirmicutes門の存在量を変えるための方法を記載している。さらに、欧州特許公開公報第2 030 623号は、腸において腸内細菌の量を調節することによる、たとえば肥満関連障害などの代謝性障害の予防および/または処置に関する。欧州特許公開公報第2 030 623号は、たとえばBifidobacterium属、Lactococcus属、Streptococcus属、Enterococcus属、またはLactobacillus属などの腸内に有益な細菌を投与することにより腸において腸内細菌の量を減らすことを開示している。
【0005】
しかしながら、微生物叢関連疾患の処置に関して治療上見込みのある、他の生成物、たとえば腸内微生物叢由来の他の生成物が依然として必要とされている。
【0006】
Clostridial cluster IVは、運動性および非運動性種、胞子形成細菌および非胞子形成細菌、ならびにグラム染色陽性、陰性、または可変性種を含む表現型的に不均一なグループである。これらの大部分は、様々な動物の消化管から単離されるかまたは少なくとも消化管で遭遇する嫌気性桿菌であり、たとえばシジミ属の二枚貝のOscillibacter valericigenes、ウシのOscillibacter ruminantium、木材を摂取するシロアリのSporobacter termitidis、ネコのAgathobaculum desmolans、およびヒトのClostridium leptum、Faecalibacterium prausnitzii、またはPapillibacter cinnamivoransがある。これらのうちのいくつか、特にF.prausnitziiおよびButyricicoccus pullicaecorumは、消化管において主要な酪酸塩産生株であり、健康を促進する性質が立証されている(Sokol et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 2008 Oct 28;105(43):16731-6; Eeckhaut et al., Gut. 2013 Dec;62(12):1745-52)。他の種は、培養とは無関係な試験において健康に関連するパラメータとの定型的な関連のため、有用な性質を有する疑いがある。これは、Oscillospira guilliermondiiの場合であり、痩身と正に関連し、炎症性腸疾患および肝疾患と負に関連する(Konikoff et al., Trends Microbiol. 2016 Jul;24(7):523-524)。
【0007】
これら分類群を代表する培養可能な単離された菌株の不存在は、これら細菌の生理学の良好な理解、および動物の健康に及ぼすそれらの因果関係を示す影響の証明を妨げる。
【0008】
本発明では、本出願人らは、ヒトの腸から単離された有望な新規の細菌性微生物を同定する試みにおいて、健常な25歳の女性の糞便サンプルから、新規の細菌株J115を単離および培養することができた。J115株は、新規の種の基準株である、Dysosmobacter welbioniを表し、それ自体が、新規な属のDysosmobacterの種であり、この同定は、消化管微生物叢関連障害の処置でのその使用に関する道を切り開いた。驚くべきことに、本明細書において本出願人らは、この新規の細菌種が、in vivoで投与される際に、腸内微生物叢に関連する疾患の処置に関する治療上の可能性、および美容上の可能性、たとえば体重減少を誘導するための美容上の可能性を提示することを示した。
【0009】
よって本発明は、Dysosmobacter属の細菌細胞、および治療方法または美容法におけるその使用に関する。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、ディソスモバクター(Dysosmobacter)属に属する単離された細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメントに関する。
【0011】
一実施形態では、本発明に係る細菌は、ディソスモバクター・ウェルビオニス(Dysosmobacter welbionis)種および/またはそのバリアントに属する。
【0012】
一実施形態では、本発明の単離された細菌の16S rRNA遺伝子のヌクレオチド配列は、配列番号1と少なくとも約90%の同一性を有する。
【0013】
一実施形態では、本発明に係る単離された細菌は、myo-イノシトールを発酵できる。
【0014】
一実施形態では、本発明に係る単離された細菌は、LMG P-30603として2018年3月14日にBCCM/LMGに寄託されたJ115株、および/またはそのバリアントである
【0015】
一実施形態では、本発明に係る単離された細菌は、低温殺菌されている。
【0016】
一実施形態では、本発明に係る単離された細菌は、凍結されている。
【0017】
また本発明は、本発明に係る単離された細菌および/またはそのフラグメントを含む組成物に関する。
【0018】
また本発明は、本発明に係る組成物および少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物に関する。
【0019】
また本発明は、本発明に係る組成物および少なくとも1つの栄養学上許容される賦形剤を含む栄養組成物に関する。
【0020】
また本発明は、本発明に係る組成物および少なくとも1つの美容上許容される賦形剤を含む美容用組成物に関する。
【0021】
また本発明は、医薬として使用するための、本発明に係る単離された細菌、組成物、または医薬組成物に関する。
【0022】
また本発明は、それを必要とする対象の消化管微生物叢に関連する障害の処置に使用するための、本発明に係る単離された細菌、組成物、または医薬組成物に関する。
【0023】
一実施形態では、消化管微生物叢に関連する障害は、好ましくは肥満、メタボリックシンドローム、インスリン欠乏またはインスリン抵抗性に関連する障害、真性糖尿病、耐糖能障害、脂質代謝異常、高血糖、脂質異常症、高コレステロール、LDLコレステロールの上昇、HDLコレステロールの低下、およびトリグリセリドの上昇を含むリストから選択される、代謝性疾患である。
【0024】
また本発明は、対象において、体重減少を促進させるための、食物摂取量を減少させるための、筋肉量を増加させるための、体脂肪量を減少させるための、満腹感を増大させるための、および/または食物摂取量に関連する体重増加を減少させるための、本発明に係る単離された細菌、組成物、栄養組成物、または美容用組成物の使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
定義
本発明では、以下の用語は以下の意味を有する。
【0026】
ある数字に先行する「約」は、上記数字の値の±10%を意味する。
【0027】
「許容される」は、たとえば「薬学的に許容される」、「栄養学上許容される」、および「美容上許容される」との表現で使用される場合は、必要に応じて対象、特にヒトに投与する際に、有害反応、アレルギー反応、または他の望ましくない反応をもたらさない分子の実体および組成物を表す。
【0028】
「細菌株」は、細菌種のサブタイプを表す。
【0029】
「Clostridium cluster IV」は、運動性および非運動性種、胞子形成細菌および非胞子形成細菌、ならびにグラム染色陽性、陰性、または可変性種を含む表現型的に不均一なグループを表す。これらの大部分は、様々な動物の消化管から単離されるかまたは少なくとも消化管で遭遇する嫌気性桿菌であり、たとえばシジミ属の二枚貝のOscillibacter valericigenes、ウシのOscillibacter ruminantium、木材を摂取するシロアリのSporobacter termitidis、ネコのAgathobaculum desmolans、およびヒトのClostridium leptum、Faecalibacterium prausnitzii、またはPapillibacter cinnamivoransがある。これらのうちのいくつか、特にF.prausnitziiおよびButyricicoccus pullicaecorumは、消化管において主要な酪酸塩産生株であり、健康を促進する性質が立証されている。他の種は、培養とは無関係な試験において健康に関連するパラメータとの定型的な関連のため、有用な性質を有する疑いがある。これは、Oscillospira guilliermondiiの場合であり、痩身と正に関連し、炎症性腸疾患および肝疾患と負に関連する
【0030】
「美容上有効量」は、美容効果を促進するため、たとえば対象の体重減少を誘導するために必要かつ十分な美容用組成物の量を表す。
【0031】
「Dusodibacter」[dy.so.di.bac’ter. a Gr. n. dusodia putrescent, fetid smell; N.L. masc. n. bacter rod; N.L. masc. n. a rod producing a fetid smell]および「Dysosmobacter」[Dys.os.mo.bac’ter. Gr. masc. adj. dysosmos bad smelling; N.L. masc. n. bacter a rod; N.L. masc. n. Dysosmobacter a bad-smelling rod]は、以下の性質を有する本明細書中記載される新規細菌属を表すために互換可能に使用される:細胞は、偏性嫌気性、非着色性であり、胞子を形成せず、非運動性であり、グラム染色陰性である。細胞は、主に1.8~3.0μmの直線状の桿菌を形成するが、増殖期が何であっても最大20μmまで伸びた桿菌を形成する。呼吸性メナノキンは産生されない。この属は、Ruminococcaceae科に属する。このタイプの種は、Dysosmobacter welbionisである。一実施形態では、細胞壁における特徴的なジアミノ酸は、meso-2,6-ジアミノピメリン酸である。
【0032】
「Dusodibacter welbiota」[u’εl.bi’o.ta. welbiota]および「Dysosmobacter welbionis」[wel.bi.o’nis. N.L. gen. n. welbionis]は、本明細書中上述されるDysosmobacter属の性質に加え、以下の性質を有する本明細書中記載される新規細菌種を表すために互換可能に使用される:嫌気性条件下にて37℃で72時間インキュベートした後に固体の改変したYCFA上のコロニーは、点状、クリーム状、半透明、円形、完全な状態であり、わずかに凸面状であり滑らかである。増殖は、2(w/v)%の胆汁または2(w/v)%のNaClの存在により阻害される。エスクリンは、加水分解されない。インドールは、産生されない。硝酸塩は、還元されない。ゼラチンは、消化されない。ウレアーゼは、産生されない。カタラーゼは、産生されない。酸は、myo-イノシトールから産生されるが、D-グルコース、D-アラビノース、D-リボース、およびD-キシロースからは産生されない。陽性反応は、アルギニンジヒドロラーゼおよびグルタミン酸デカルボキシラーゼで得られる。API 20AおよびRapid ID 32Aからの他の全ての試験(bioMerieux, Lyon, France)は、陰性である。myo-イノシトールからの主要な発酵最終産物は、酪酸塩である。高速液体クロマトグラフィー(HLPC)による基準株のDNAのGC含有量は、59.3mol%である。一実施形態では、遺伝子配列に基づく基準株のDNAのGC含有量は、58.9mol%である。基準株は、J115(LMG P-30603として2018年3月14日にBCCM/LMGに寄託)であり、ヒトの糞便から単離されたものであった。一実施形態では、主要な細胞脂肪酸は、分岐鎖飽和脂肪酸およびDMAである。一実施形態では、主要なDMA脂肪酸は、C18:0 DMAであり、主要な分岐鎖飽和脂肪酸は、イソC15:0およびアンテイソ-C15:0である。
【0033】
「発酵」は、酸素の非存在下で糖を消費する代謝的なプロセスを表す。この産物は、有機酸、気体、またはアルコールである。これは、酵母および細菌で起こり、また乳酸発酵の場合のように、酸素の不足した筋肉細胞でも起こる。
【0034】
「消化管微生物叢関連障害」または「消化管微生物叢関連疾患」は、対象の消化管微生物叢および/またはその産物の組成の不均衡、欠乏、または過剰に関連する疾患または障害のグループを表すように互換可能に使用される。消化管微生物叢に関連する障害の例として、限定するものではないが、代謝性疾患、たとえば肥満、メタボリックシンドローム、インスリン欠乏またはインスリン抵抗性関連障害、真性糖尿病(たとえば2型糖尿病など)、耐糖能障害、高血糖、脂質代謝異常、脂質異常症、高コレステロール、LDLコレステロールの上昇、LDLコレステロールの減少、およびトリグリセリドの上昇など、感染症、大腸炎、たとえば炎症性腸疾患(たとえばクローン病および潰瘍性大腸炎)、虚血性大腸炎、過敏性腸症候群、リンパ球性大腸炎、およびコラーゲン性大腸炎など、がん、たとえば結腸直腸がんなど、免疫系の機能不全、たとえば湿疹、アレルギー、食物アレルギー、およびセリアック病など、心理的障害、たとえばストレス、不安、および中毒など、神経性障害、たとえばパーキンソン病およびアルツハイマー病など、肝疾患、たとえば肝硬変、非アルコール性脂肪性肝疾患、および脂肪肝など、カヘキシア、プラダー・ウィリ症候群、消化管の機能不全、たとえば潰瘍および胆嚢疾患など、摂食行動障害、たとえば神経性食欲不振症、神経性大食症、およびむちゃ食い障害など、心血管疾患および病態、たとえば脳卒中、アテローム性動脈硬化、および高血圧など、喘息、睡眠時無呼吸、ならびに変形性関節症が挙げられる。
【0035】
「腸内微生物叢」または「消化管微生物叢」は、ヒトおよび他の動物の消化管で生きている微生物の複雑なコミュニティを表すように互換可能に使用される。消化管微生物叢の組成は、宿主動物の生涯を通して変化し、または宿主の食事が変化する場合に変化する。またこれは、消化管によって変化する。消化管は、腸の内容物1gあたり最大1012個の細胞を有する密集して集団形成した微生物の生態系を含む。腸の中の多くの種が、宿主の外側において試験されておらず、これはこれらの大部分が培養できないためである。ヒトの腸において4つの優位な細菌門は、Firmicutes門、Bacteroidetes門、Actinobacteria門、およびProteobacteria門である。大部分の細菌は、Bacteroides属、Clostridium属、Faecalibacterium属、Eubacterium属、Ruminococcus属、Peptococcus属、PeptoStreptococcus属、Blautia属、Subdoligranulum属、Alistipes属、Coprococcus属、Dialister属、Lachnoclostridium属、Oscillospira属、Parabacteroides属、Prevotella属、Roseburia属、Ruminiclostridium属、Sutterella属、およびBifidobacterium属に属する。Escherichia属、Enterococcus属、Barnesiella属、Butyricimonas属、Butyricicoccus属、Lachnospira属、Odoribacter属、Turicibacter属、およびLactobacillus属などの他の属が、比較的低度は低いが存在する。腸内微生物叢は、潜在的な病原体と競合し、腸内保護および免疫系、代謝の発達に関与し、消費される栄養物の消化を支援し、栄養素の吸収を補助し、ビタミンを合成することにより、病原体に対する防御において機能すると考えられている。また腸内微生物叢は、中枢神経系および神経内分泌系および神経免疫系の機能と相互作用する。
【0036】
「メナキノン」は、微生物の呼吸の間の電子伝達に重要な役割を果たす細菌の呼吸鎖の構成要素を表す。
【0037】
「変異体」は、本明細書中使用される場合、生物の実体の防御の性質に干渉しないその遺伝子構造の天然または誘導性の(すなわち変異誘発による)変化を経た、上記生物の実体を表す。この遺伝子構造の変化は、ゲノム配列の1つ以上のヌクレオチドの挿入または欠失または置換であり得る。たとえば、Dysosmobacter welbionis変異体は、Dysosmobacter welbionis種に属していることを妨げない遺伝子構造に天然または遺伝子工学技術による変化を経たDysosmobacter welbionis菌株を表す。
【0038】
「栄養学上有効量」は、対象において生理的利点を提供するかまたは不快感を低減するために必要かつ十分な栄養組成物、食品、または健康食品の量を表す。
【0039】
「低温殺菌された細菌」は、熱処理(または加熱プロセス)に供した細菌を表す。
【0040】
「薬学的に許容される担体または賦形剤」は、適宜、対象、特にヒトに投与される際に、有害反応、アレルギー反応、または他の望ましくない反応をもたらさない分子の実体および組成物を表す。これは、あらゆる溶媒、分散媒体、コーティング剤、抗細菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを含む。ヒトへの投与では、調製物は、たとえばFDA局またはEMAなどの規制局が要求する発熱性、一般的な安全性、および純度の基準と一致すべきである。よって、薬学的に許容される担体または賦形剤は、任意の種類の非毒性の固体、半固体、または液体のフィラー、希釈剤、カプセル化の材料、または補助製剤を表し得る。
【0041】
「プレバイオティクス」は、対象により(たとえばヒトなどにより)消化され得ないが、腸内の微生物によるその代謝を介して腸内微生物叢の組成および/または活性を調節することにより、宿主に有益な生理作用を提供する物質を表す。
【0042】
「プロバイオティクス」は、有効量で投与される場合に、対象の健康または健全性に有益な作用を提供する微生物細胞の調製物(たとえば生きている微生物細胞)を表す。定義により、全てのプロバイオティクスは、非病原性の特徴を有することが証明されている。一実施形態では、これら健康の利点は、ヒトまたは動物の消化管の微生物叢の均衡の改善および/または正常な微生物叢の回復に関連している。
【0043】
「対象」は、温血動物、好ましくはヒト、ペット、または家畜を表す。本明細書中使用される場合、用語「ペット」および「家畜」は、限定するものではないが、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、および家禽を含む。一部の実施形態では、対象は、雄性または雌性の対象である。一部の実施形態では、対象は、成年または小児である。一部の実施形態では、対象は、「患者」、すなわち、医療の受診を待機しているか、医療を受診しているか、または過去/現在/将来に本発明の方法に係る医療上の手法の対象であった/ある/あり得るか、または疾患の発症に関してモニタリングされている対象であり得る。
【0044】
「実質的に健常な対象」は、処置される疾患を罹患していないか、または軽減される不快感の影響を受けていない対象を定義するために使用される。たとえば、本発明の細菌またはそのフラグメントが肥満を処置するために使用される場合、実質的に健常な対象は、肥満を罹患していない。好ましくは、実質的に健常な対象は、処置される対象と共通する特徴、たとえば同じ性別、年齢、性、食事、薬物摂取、またはジオロケーションなどを共有する。
【0045】
「治療上有効量」は、標的に有意な負または有害な副作用をもたらすことなく、(1)疾患、障害、もしくは病態の発症を遅延もしくは予防すること;(2)疾患、障害、もしくは病態の1つ以上の症状の進行、増悪、もしくは悪化を遅延もしくは停止すること;(3)疾患、障害、もしくは病態の症状の寛解をもたらすこと;(4)疾患、障害、もしくは病態の症状の重症度もしくは発症率を下げること;または(5)疾患、障害、もしくは病態を治癒することを目的とする作用物質のレベルまたは量を表す。治療上有効量は、防止的または予防的な作用のため、疾患、障害、または病態の発症の前に投与され得る。あるいはまたはさらに、治療上有効量は、治療的な作用のため、疾患、障害、または病態の開始後に投与され得る。
【0046】
「処置」は、治療的な処置および防御的または予防的な手段(この目的は、目的の病態または障害を予防するかまたは遅延させる(弱める)ことである)の両方を表す。処置を必要とするものは、すでに障害を有するものおよび障害を有する傾向のあるものまたは障害を予防すべきものを含む。本発明に係るDysosmobacter welbionisおよび/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメントの治療量を投与した後に、患者が以下の観察可能かつ/または測定可能な変化:特定の疾患または病態に関連する症状のうちの1つ以上に関連する寛解、罹患率および死亡率の低下、ならびにクオリティオブライフの改善のうちの1つ以上を示す場合、対象または哺乳類への「処置」は成功している。処置の成功および疾患の改善を評価するための上記パラメータは、医師によく知られている規定の手段により容易に測定可能である。
【0047】
「基準株」は、国際細菌命名規約(International Code of Nomenclature of Bacteria)で定義される、命名法による種のタイプおよび他の全ての菌株が当該種に属しるかどうかを知るために比較される参照ポイントを表す。たとえば、健常な25歳の女性の糞便サンプルから単離されたJ115株は、Dysosmobacter welbionis種の基準株である。
【0048】
「バリアント」は、種が定義する特徴を保持する種の遺伝的または表現型により明確に異なる全ての菌株を表す。また用語バリアントは、属または菌株などの他の系統学的な分類群に準拠して使用される。本明細書中使用される場合、用語「バリアント」は、本明細書中開示および例示される細菌の天然に存在するバリアントまたは変異体および特に開発したバリアントまたは変異の両方を表す。一実施形態では、バリアントは、本明細書中例示される細菌と同じ同定した生物学的特徴を有してもよくまたは有さなくてもよいが、ただし、これらは、疾患の処置または予防の観点から類似する好適な性質を共有する。一実施形態では、本発明の細菌のバリアントは、本発明の細菌と同じ機能的および/または治療上の性質を有する。本明細書中例示される微生物株のバリアントを調製するのに適した方法の例示的な例として、限定するものではないが、遺伝子統合技術、たとえばエレメントもしくはトランスポゾンの挿入によりもたらされる遺伝子統合技術、または相同組み換えによりもたらされる遺伝子統合技術、遺伝子を修飾、挿入、欠失、活性化、またはサイレンシングするための他の組み換えDNA技術、種内プロトプラスト融合、紫外線もしくはX線での照射による変異誘発、またはニトロソグアニジン、メチルメタンスルホナート、ナイトロジェンマスタードなどの化学的変異誘発物質などでの処理による変異誘発、およびバクテリオファージが介在する形質導入が挙げられる。適切かつ適用可能な方法は、当該分野でよく知られており、たとえば特にJ. H. Miller, Experiments in Molecular Genetics, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y, (1972); J, H. Miller, A Short Course in Bacterial Genetics, Cold Spring Harbor Laborator Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1992);およびJ. Sambrook, D. Russell, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N. Y. (2001)に記載されている。
【0049】
詳細な説明
まず本発明は、Dysosmobacter属に属する細菌(または細菌細胞)に関する。命名法の変更後、この属はまた、Dysosmobacterとしても知られている。両用語は、本出願を通して同等かつ互換可能である。再度分類法を変更する場合、当業者は、本発明で使用され得る細菌を推測するように分類の変化を適合する方法を知るものであろう。
【0050】
Dysosmobacter属に属する細菌は、本明細書において本発明者らにより最初に記載された。Dysosmobacter属は、Ruminococcaceae科に属する。一実施形態では。Dysosmobacterに属する細菌は、以下の特徴を有する:細胞は、嫌気性であり;非着色性であり;胞子を形成せず;非運動性であり;グラム染色陰性であり;細胞は、桿菌、たとえば直線状の桿菌(たとえば約1.8~3μm長など)を形成するかまたは細長い桿菌を形成し;細胞は、呼吸性メナキノンを産生せず;細胞脂肪酸の少なくとも約10%、好ましくは少なくとも約20%、より好ましくは約30%が、分岐鎖飽和脂肪酸およびDNA脂肪酸であり;C18:0DMAは、細胞脂肪酸の少なくとも約5%、好ましくは少なくとも約10%、より好ましくは約15%を表し;イソ-C15:0は、細胞脂肪酸の少なくとも約10%、好ましくは少なくとも約15%、より好ましくは約10%を表し;アンテイソ-C15:0は、細胞脂肪酸の少なくとも約5%、好ましくは少なくとも約7.5%、より好ましくは少なくとも約10%を表す。一実施形態では、Dysosmobacter属に属する細菌の細胞壁の特徴的なジアミノ酸は、meso-2,6-ジアミノピメリン酸である。
【0051】
Dysosmobacter welbionisのJ115株の16S rRNA遺伝子の配列、配列番号1は、GenBank/EMBL/DDBJ寄託番号MG963288の下寄託されている。
【0052】
16S rRNA遺伝子の配列は、多くの場合、全ての細菌におけるその超可変性領域の変異の集積および当該遺伝子の存在により、異なる細菌種を同定するために使用される。
【0053】
一実施形態では、本発明の細菌の16S rRNA遺伝子のヌクレオチド配列は、配列番号1の配列を有するか、または配列番号1と少なくとも約90%の同一性、好ましくは配列番号1と少なくとも約91%、92%、93%、94%、95%、96%、96.5%、97%、97.5%、97.6%、97.7%、97.8%、97.9%、98.0%、98.1%、98.2%、98.3%、98.4%、98.5%、98.6%、98.65%、98.7%、98.8%、98.9%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、もしくはそれ以上の同一性を提示する配列を有する。
【0054】
一実施形態では、本発明の細菌の16S rRNA遺伝子のヌクレオチド配列は、配列番号1の配列を有するか、または配列番号1と少なくとも約99.9%の同一性、好ましくは配列番号1と少なくとも約99.91%、99.92%、99.93%、99.94%、99.95%、99.96%、99.97%、99.98%、99.99%、もしくはそれ以上の同一性を提示する配列を有する。
【0055】
一実施形態では、本発明の細菌の16S rRNA遺伝子のヌクレオチド配列は、配列番号1の配列を有するか、または配列番号1の全長にわたり少なくとも約90%の同一性またはそれ以上の同一性、好ましくは配列番号1の全長にわたり少なくとも約91%、92%、93%、94%、95%、96%、96.5%、97%、97.5%、97.6%、97.7%、97.8%、97.9%、98.0%、98.1%、98.2%、98.3%、98.4%、98.5%、98.6%、98.65%、98.7%、98.8%、98.9%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99,6%、99.7%、99.8%、99.9%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99,6%、99.7%、99.8%、99.9%、99.91%、99.92%、99.93%、99.94%、99.95%、99.96%、99.97%、99.98%、99.99%、もしくはそれ以上の同一性を提示する配列を有する。
【0056】
用語「同一性」は、2つ以上のポリペプチドまたは2つ以上の核酸分子の配列間の関係に使用される場合、2つ以上のアミノ酸またはヌクレオチドの残基の鎖間の一致数により決定される、ポリペプチド間または核酸分子間の配列の関連性の度合いを表す。「同一性」は、特定の数学モデルまたはコンピュータプログラム(すなわち「アルゴリズム」)により提示されるギャップアライメント(存在する場合)を伴う2つ以上の配列の小さな配列に合わせた配列間の同一である一致のパーセントを測定する。関連するポリペプチドの同一性は、既知の方法により容易に計算され得る。このような方法として、限定するものではないが、Computational Molecular Biology, Lesk, A. M., ed., Oxford University Press, New York, 1988; Biocomputing: Informatics and Genome Projects, Smith, D. W., ed., Academic Press, New York, 1993; Computer Analysis of Sequence Data, Part 1 griffin, A. M., and Griffin, H. G., eds., Humana Press, New Jersey, 1994; Sequence Analysis in Molecular Biology, von Heinje, G., Academic Press, 1987; Sequence Analysis Primer, Gribskov, M. and Devereux, J., eds., M. Stockton Press, New York, 1991;およびCarillo et al., SIAM J. Applied Math. 48, 1073 (1988)に記載されるものが挙げられる。同一性を決定するための好ましい方法は、試験される配列間で最大の一致を提供するように設計される。同一性を決定する方法は、公的に利用可能なコンピュータプログラムで記載されている。2つの配列間をの同一性を決定するための好ましいコンピュータプログラム方法として、GAP(Devereux et al., Nucl. Acid. Res. \2, 387 (1984); Genetics Computer Group, University of Wisconsin, Madison, Wis.)、BLASTP、BLASTN、およびFASTA(Altschul et al., J. MoI. Biol. 215, 403-410 (1990))を含むGCGプログラムパッケージが挙げられる。BLASTXプログラムは、アメリカ国立生物工学情報センター(NCBI)および他の供給源(BLAST Manual, Altschul et al. NCB/NLM/NIH Bethesda, Md. 20894; Altschul et al., 上記参照)から公的に利用可能である。よく知られているSmith Watermaもまた、同一性を決定するために使用され得る。一実施形態では、用語同一性は、それが表す配列の長さ全体にわたり測定される。
【0057】
一実施形態では、本発明の細菌は、ディソスモバクター・ウェルビオニス(Dysosmobacter welbionis)種に属する。命名法の変更後、この種はまた、デュソジバクター・ウェルビオタ(Dusodibacter welbiota)としても知られている。両用語は、本出願を通して同等かつ互換可能である。
【0058】
一実施形態では、本発明者らにより最初に記載されたDysosmobacter welbionis種に属する細菌は、Dysosmobacter属の本明細書中上述した特徴に加えて、以下の特徴を有する:嫌気性条件下にて37℃で72時間インキュベートした後に固体の改変YCFA上に形成したコロニーは、点状、クリーム状、半透明、円形、完全な状態であり、わずかに凸面状であり滑らかである。一実施形態では、細菌の増殖は、約1(w/v)%、好ましくは2(w/v)%以上の培地中の胆汁の濃度、および/または約1(w/v)%、好ましくは2(w/v)%以上のNaClの濃度により阻害される。一実施形態では、細胞は、カタラーゼ活性を有さない。一実施形態では、細胞は、アルギニンジヒドロラーゼ、および/またはグルタミン酸デカルボキシラーゼの活性を有する。
【0059】
一実施形態では、本発明の細菌は、myo-イノシトールを発酵できる。
【0060】
一実施形態では、本発明の細菌は、D-グルコース、D-リボース、D-アラビノース、およびD-キシロースを発酵することができない。
【0061】
一実施形態では、本発明の細菌は、D-グルコースおよび/またはD-キシロースを発酵することができない。
【0062】
細菌が発酵できる物質を決定するための技術は、当業者に知られている。たとえば、この性質決定は、test API 50CH(BioMerieux, Lyon, France)などの嫌気性生物試験キットを使用して行われ得る。
【0063】
一実施形態では、嫌気性生物試験キットAPI20A(BioMerieux, Lyon, France)からの少なくとも1、好ましくは少なくとも2、3、4、5、6、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20の試験が、陰性である。
【0064】
嫌気性生物試験キットAPI20A(BioMerieux, Lyon, France)は、20の生化学的試験、すなわちウレアーゼ活性、インドール産生、ゼラチンの加水分解、エスクリンの加水分解、D-グルコース、D-マンニトール、D-ラクトース、D-ショ糖、D-マルトース、サリシン、D-キシロース、L-アラビノース、グリセロール、D-セロビオース、D-マンノース、D-メレジトース、D-ラフィノース、D-ソルビトール、L-ラムノース、およびD-トレハロースの発酵を可能にすることにより、嫌気性細菌の生化学的な性質決定を可能にする。
【0065】
一実施形態では、嫌気性生物試験キット(BioMerieux, Lyon, France)から少なくとも1、好ましくは少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、または32の試験が陰性である。
【0066】
rapid ID32A(BioMerieux, Lyon, France)は、32の生化学的試験、すなわちウレアーゼ、アルギニンジヒドロラーゼ、α-ガラクトシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ-6-ホスフェート、α-グルコシダーゼ、α-アラビノシダーゼ、β-グルクロニダーゼ、N-アセチルグルコサミニダーゼ、グルタミン酸デカルボキシラーゼ、α-フコシダーゼ、アルカリホスファターゼ、アルギニンアリールアミダーゼ、プロリンアリールアミダーゼ、ロイシルグリシンアリールアミダーゼ、フェニルアラニンアリールアミダーゼ、ロイシンアリールアミダーゼ、ピログルタミン酸アリールアミダーゼ、チロシンアリールアミダーゼ、アラニンアリールアミダーゼ、グリシドアリールアミダーゼ、ヒスチジンアリールアミダーゼ、グルタミン酸グルタミルアリールアミダーゼ、およびセリンアリールアミダーゼの酵素的活性、ならびに硝酸塩の還元、インドールの産生、ならびにマンノースおよびラフィノースの発酵を可能にすることにより嫌気性細菌の生化学的な性質決定を可能にする。
【0067】
一実施形態では、本発明の細菌は、運動性ではない。一実施形態では、本発明の細菌は、鞭毛を有さない。
【0068】
一実施形態では、本発明の細菌は、J115株(LMG P-30603として2018年3月14日にBCCM/LMGに寄託)である。J115株は、Dysosmobacter welbionis(以前にDysosmobacter welbiotaと呼ばれている)種の基準株である
【0069】
一実施形態では、本発明の細菌のゲノムにおけるGC含有量は、約50~約70%、好ましくは約55~65%の範囲にあり、より好ましくは約59%である。
【0070】
ゲノムのGC含有量(すなわちDNA配列におけるグアニン-シトシンの比率)を決定するための方法は、当業者によく知られており、限定するものではないが、全ゲノムシーケンシング、高圧液体クロマトグラフィー、DNA融解温度解析、およびフローサイトメトリーを含む。
【0071】
Dysosmobacter welbionisのJ115株のゲノム配列の配列番号10は、GenBank/EMBL/DDBJ寄託番号CP034413の下寄託されている。
【0072】
一実施形態では、本発明の細菌のゲノム配列は、配列番号10の配列を有するか、または配列番号10と少なくとも約65%、好ましくは配列番号10と少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%の同一性、より好ましくは配列番号10と少なくとも約91%、92%、93%、94%、95%、96%、96.5%、97%、97.5%、97.6%、97.7%、97.8%、97.9%、98.0%、98.1%、98.2%、98.3%、98.4%、98.5%、98.6%、98.65%、98.7%、98.8%、98.9%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、もしくはそれ以上の同一性を提示する配列を有する。
【0073】
一実施形態では、本発明の細菌は、配列番号10のゲノムと比較する際に、約60超、好ましくは約74、75、80、85、90超、より好ましくは約95超、さらにより好ましくは約96、97、98、98.5、98.65、99超、またはそれ以上のANI(Average Nucleotide Identity)を有する。
【0074】
ANI値を決定するための技術は、当業者に知られている(たとえば、Kim et al., Int J Syst Evol Microbiol. 2014 Feb;64(Pt 2):346-51で実施される方法など)。簡潔に述べると、ANIは、BBH遺伝子の全長より除算されるアライメントの長さを乗算した同一性の各2方向の最良のヒット(BHH-ゲノムにおけるそれらの位置および配列同一性に基づき同定されたオルトログの配列)の合計に対応する。
【0075】
一実施形態では、本発明の発明の細菌は、約60%超、好ましくは約61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%超、より好ましくは約70%超の配列番号10とのハイブリッドDNA-DNAハイブリダイゼーション値(DHH値とも呼ばれる)を有する。
【0076】
DDH値を決定するための技術は、当業者に知られており(たとえば、Rossello-Mora, in Stackebrandt et al., Molecular Identification, Systematics, and Population Structure of Prokaryotes, p23-50, 2006, Springer, Berlin, Heidelbergにより論評された方法など)、以下の一般的な原則:(i)アッセイした生物のゲノムDNA(gDNA)および参照生物のgDNA(たとえば本発明の文脈では基準株J115(LMG P-30603として2018年3月14日にBCCM/LMGに寄託)を600~800bpの小さなフラグメントに共有すること;(ii)DNA二本鎖を解離するために両鎖からのDNAフラグメントの混合物を加熱すること;および(iii)その後フラグメントが再度アニーリングするまで温度を下げることに依存する。二本鎖の融解温度は、両鎖間の塩基対形成の一致の度合いに依存しているという理由のため、ゲノムの(dis)類似性は、融解温度から推論され得る。ハイブリッドDDH値は、通常、それ自体と参照ゲノムをハイブリダイズすることにより得られるDDH値と比較して特定される。70%以下のDDH値は、試験した生物が参照として使用される基準株と異なる種に属する指標とみなされ得る。またDDH値は、たとえばMeier-Kolthoff et al.(BMC Bioinformatics. 2013 Feb 21; 14:60)に記載される方法を使用するなど、公的に利用可能なコンピュータプログラムを使用して比較される菌株のゲノム配列に基づき評価され得る。
【0077】
一実施形態では、本発明の細菌は、約0.5未満、好ましくは約0.22、0.21、0.20、0.19、0.18、0.17、0.16、0.15、0.14未満、より好ましくは約0.13、0.12、0.11、0.10未満、またはそれより低い、配列番号10とのゲノム間距離(intergenome distance)を有する。
【0078】
ゲノム間距離、またはGGD(genome-genome distance)を決定するために技術は、当業者に知られている。たとえば、Meier-Kolthoff et al.(BMC Bioinformatics 2013;21:14-60; Int J Syst Evol Microbiol 2014;1:352-6)により記載される方法が使用され得る。このような方法は、ローカルアライメントツールとしてBLAST+および全HSP長で除算したHSP(high-scoring segment pairs)で見出される全ての同一性の合計を使用するgenome calculator 2.1(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen-DSMZ)を使用して実施され得る。
【0079】
また本発明は、本明細書中上述される本発明の細菌のバリアントに関する。上記バリアントはまた、本発明の細菌の派生菌株を意味し得る。一実施形態では、本発明の細菌のバリアントは、本明細書中記載される細菌の変異、変動、または組み換えにより入手され得る。本発明では、本発明の細菌のバリアントはまた、本発明の細菌の変異体と呼ばれ得る。
【0080】
一実施形態では、本発明の細菌のバリアントは、Dysosmobacter welbionisのバリアントである。
【0081】
一実施形態では、本発明の細菌のバリアントは、J115株(LMG P-30603として2018年3月14日にBCCM/LMGに寄託)のバリアントである。
【0082】
一実施形態では、本発明の細菌のバリアントは、それが由来する細菌のゲノムと少なくとも約70%、好ましくは少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.8%、またはそれ以上同一のゲノムを有する。
【0083】
一実施形態では、本発明の細菌のバリアントのゲノム配列は、それが由来する細菌のゲノム配列と少なくとも約65%の同一性、好ましくはそれが由来する細菌のゲノム配列と少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%の同一性、より好ましくはそれが由来する細菌のゲノム配列と少なくとも約91%、92%、93%、94%、95%、96%、96.5%、97%、97.5%、97.6%、97.7%、97.8%、97.9%、98.0%、98.1%、98.2%、98.3%、98.4%、98.5%、98.6%、98.65%、98.7%、98.8%、98.9%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99,6%、99.7%、99.8%、99.9%、またはそれ以上の同一性を有する。
【0084】
一実施形態では、本発明の細菌のバリアントのゲノム配列は、配列番号10と少なくとも約65%の同一性、好ましくは配列番号10と少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%の同一性、より好ましくは配列番号10と少なくとも約91%、92%、93%、94%、95%、96%、96.5%、97%、97.5%、97.6%、97.7%、97.8%、97.9%、98.0%、98.1%、98.2%、98.3%、98.4%、98.5%、98.6%、98.65%、98.7%、98.8%、98.9%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99,6%、99.7%、99.8%、99.9%、またはそれ以上の同一性を有する。
【0085】
一実施形態では、本発明の細菌のバリアントは、それが由来する細菌の16S rRNA遺伝子と少なくとも約90%の同一性、好ましくはそれが由来する細菌の16S rRNA遺伝子と少なくとも約91%、92%、93%、94%、95%、96%、96.5%、97%、97.5%、97.6%、97.7%、97.8%、97.9%、98.0%、98.1%、98.2%、98.3%、98.4%、98.5%、98.6%、98.65%、98.7%、98.8%、98.9%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99,6%、99.7%、99.8%、99.9%、またはそれ以上の同一性を有する16S rRNA遺伝子配列を有する。
【0086】
一実施形態では、本発明の細菌のバリアントは、それが由来する細菌の16S rRNA遺伝子と少なくとも約99.9%の同一性、好ましくはそれが由来する細菌の16S rRNA遺伝子と少なくとも約99.91%、99.92%、99.93%、99.94%、99.95%、99.96%、99.97%、99.98%、99.99%、またはそれ以上の同一性を有する16S rRNA遺伝子配列を有する。
【0087】
一実施形態では、本発明の細菌のバリアントは、配列番号1と少なくとも約90%の同一性、好ましくは配列番号1と少なくとも約91%、92%、93%、94%、95%、96%、96.5%、97%、97.5%、97.6%、97.7%、97.8%、97.9%、98.0%、98.1%、98.2%、98.3%、98.4%、98.5%、98.6%、98.65%、98.7%、98.8%、98.9%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99,6%、99.7%、99.8%、99.9%、またはそれ以上の同一性を有する16S rRNA遺伝子配列を有する。
【0088】
一実施形態では、本発明の細菌のバリアントは、配列番号1と少なくとも約99.9%の同一性、好ましくは配列番号1と少なくとも約99.91%、99.92%、99.93%、99.94%、99.95%、99.96%、99.97%、99.98%、99.99%、またはそれ以上の同一性を有する16S rRNA遺伝子配列を有する。
【0089】
一実施形態では、本発明の細菌のバリアントは、その全長にわたり配列番号1と少なくとも約90%の同一性、好ましくはその全長にわたり配列番号1と少なくとも約91%、92%、93%、94%、95%、96%、96.5%、97%、97.5%、97.6%、97.7%、97.8%、97.9%、98.0%、98.1%、98.2%、98.3%、98.4%、98.5%、98.6%、98.65%、98.7%、98.8%、98.9%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99,6%、99.7%、99.8%、99.9%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99,6%、99.7%、99.8%、99.9%、99.91%、99.92%、99.93%、99.94%、99.95%、99.96%、99.97%、99.98%、99.99%、またはそれ以上の同一性を有する16S rRNA遺伝子配列を有する。
【0090】
一実施形態では、本発明の細菌のバリアントは、約60%超、好ましくは約61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%超、より好ましくは約70%超のハイブリッドDNA間ハイブリダイゼーション値(DDH値とも呼ばれる)を有する。
【0091】
一実施形態では、本発明の細菌のバリアントは、約60%超、好ましくは約61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%超、より好ましくは約70%超のそれが由来する細菌のゲノムとのハイブリッドDNA間ハイブリダイゼーション値(DDH値とも呼ばれる)を有する。
【0092】
一実施形態では、本発明の細菌のバリアントは、約60%超、好ましくは約61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%超、より好ましくは約70%超の配列番号10とのハイブリッドDNA間ハイブリダイゼーション値(DDH値とも呼ばれる)を有する。
【0093】
一実施形態では、本発明の細菌のバリアントは、約60%超、好ましくは約65%、70%、75%、80%、85%、90%超、より好ましくは約95%超、さらにより好ましくは約96%超のANI(Average Nucleotide Identity)値を有する。
【0094】
一実施形態では、本発明の細菌のバリアントは、それが由来する細菌のゲノム配列と比較する際に、約60超、好ましくは約74、75、80、85、90超、より好ましくは約95超、さらにより好ましくは約96、97、98、98.5、98.65、99超、またはそれ以上のANI(Average Nucleotide Identity)スコアを有する。
【0095】
一実施形態では、本発明の細菌のバリアントは、配列番号10と比較される際に、約60超、好ましくは約74、75、80、85、90超、より好ましくは約95超、さらにより好ましくは約96、97、98、98.5、98.65、99超、またはそれ以上のANI(Average Nucleotide Identity)スコアを有する。
【0096】
一実施形態では、本発明の細菌のバリアントは、約0.5未満、好ましくは約0.22、0.21、0.20、0.19、0.18、0.17、0.16、0.15、0.14未満、より好ましくは約0.13、0.12、0.11、0.10未満、またはそれより少ない、それが由来する細菌のゲノム(the genome of the bacterium from with derives)とのゲノム間距離を有する
【0097】
一実施形態では、本発明の細菌のバリアントは、約0.5未満、好ましくは約0.22、0.21、0.20、0.19、0.18、0.17、0.16、0.15、0.14未満、より好ましくは約0.13、0.12、0.11、0.10未満、またはそれより少ない、配列番号10とのゲノム間距離を有する。
【0098】
一実施形態では、本発明の細菌のバリアントのゲノムにおけるGC含有量は、約50~70%、好ましくは約55~65%の範囲にあり、より好ましくは約59%である。
【0099】
一実施形態では、本発明の細菌のバリアントは、myo-イノシトールを発酵できる。
【0100】
一実施形態では、本発明の細菌のバリアントは、D-グルコースおよび/またはD-キシロースを発酵できない。
【0101】
一実施形態では、本発明の細菌のバリアントの細胞壁における特徴的なジアミノ酸は、meso-2,6-ジアミノピメリン酸である。
【0102】
一実施形態では、本発明の細菌のバリアントは、それが由来する細菌と同じ機能的および/または治療上の性質を有する。
【0103】
一実施形態では、本発明の細菌および/またはそのバリアントは、生細胞である。別の実施形態では、本発明の細菌および/またはそのバリアントは、非生細胞である。
【0104】
本明細書中使用される場合、用語「生細胞」は、増殖できない「非生細胞」とは反対に増殖できる細胞を表す。細胞のバイアビリティおよび増殖を測定するための方法は、当業者に知られている。たとえば、細胞のバイアビリティおよび増殖は、本発明の少なくとも1種の細菌を含む溶液をペトリ皿に拡散し、最適な増殖条件で所定の時間のインキュベーションの後にコロニーの数を計測することにより、評価され得る。あるいは細胞は、液体培地で増殖されてもよく、増殖は、最適な増殖条件下での所定の時間のインキュベーションの後に細菌培養物の光学密度を測定することにより測定され得る。また顕微鏡での観察により生細胞および非生細胞を含む細胞の数を決定することも可能である。位相差顕微鏡は、これを行うためのよく知られている方法ではあるが、微生物細胞は、顕微鏡での観察を容易にするためおよびフローサイトメトリーにより細胞を計測するため、色素、蛍光プローブ、または抗体での特異的な染色によりさらに視覚化され得る。
【0105】
一実施形態では、本発明の細菌および/またはそのバリアントは、増殖することができる。一実施形態では、本発明の細菌および/またはそのバリアントは、生きている。一実施形態では、本発明の細菌および/またはそのバリアントは、代謝的に活性である。
【0106】
一実施形態では、本発明の細菌および/またはそのバリアントは、未処置(fresh)である。用語「未処置」は、本明細書中使用される場合、本発明の細菌が、最後の増殖期と使用と間で凍結されなかったことを意味する。
【0107】
一実施形態では、本発明の細菌および/またはそのバリアントは、低温殺菌されている。一実施形態では、本発明の細菌および/またはそのバリアントは、低温殺菌された細菌である。
【0108】
一実施形態では、低温殺菌された本発明の細菌および/またはそのバリアントは、約50℃~約100℃、好ましくは約60℃~約95°C、より好ましくは約70℃~約90℃の範囲の温度で加熱された。一実施形態では、低温殺菌された本発明の細菌および/またはそのバリアントは、約50、51、52、53、54、55、56、57、58、または59℃の温度で加熱された。別の実施形態では、低温殺菌された本発明の細菌および/またはそのバリアントは、約60、61、62、63、64、65、66、67、68、または69℃の温度で加熱された。さらなる別の実施形態では、低温殺菌された本発明の細菌および/またはそのバリアントは、約70、71、72、73、74、75、76、77、78、または79℃の温度で加熱された。さらなる別の実施形態では、低温殺菌された本発明の細菌および/またはそのバリアントは、約80、81、82、83、84、85、86、87、88、または89℃の温度で加熱された。さらなる別の実施形態では、低温殺菌された本発明の細菌および/またはそのバリアントは、約90、91、92、93、94、95、96、97、98、99℃、または100℃の温度で加熱された。
【0109】
一実施形態では、低温殺菌された本発明の細菌および/またはそのバリアントは、約100℃超の温度で加熱されなかった。特定の実施形態では、低温殺菌された本発明の細菌および/またはそのバリアントは、たとえば約110℃~約140℃の範囲の温度などの超高温で加熱されなかった。一実施形態では、低温殺菌された本発明の細菌および/またはそのバリアントは、約90℃超の温度で加熱されなかった。よって本発明の一実施形態では、本発明の細菌および/またはそのバリアントは、滅菌されなかった。滅菌は、全ての生物形態および他の生物学的作用物質を破壊、殺滅、または不活性化するように意図された処理である。これは、微生物およびそれらの胞子、ならびにウイルスおよびプリオンを含む。滅菌とは異なり、低温殺菌は、全ての微生物を殺滅するようには意図されてはいないが、通常、多くの生きている病原体の数を減らす目的で食品に適用される。
【0110】
本発明の一実施形態では、低温殺菌された本発明の細菌および/またはそのバリアントは、少なくとも約10分間加熱された。本発明の別の実施形態では、低温殺菌された本発明の細菌および/またはそのバリアントは、少なくとも約15、20、25、30、35、または45分間加熱された。一実施形態では、低温殺菌された本発明の細菌および/またはそのバリアントは、約10~約45分間の間加熱された。
【0111】
一実施形態では、低温殺菌された本発明の細菌および/またはそのバリアントは、短期間加熱されなかった。特定の実施形態では、低温殺菌された本発明の細菌および/またはそのバリアントは、約30秒未満、約60秒未満、約90秒未満、または約120秒未満加熱されなかった。好ましい実施形態では、低温殺菌された本発明の細菌および/またはそのバリアントは、約1分未満の時間、好ましくは約5、6、7、8、または9分未満の間加熱されなかった。
【0112】
一実施形態では、低温殺菌された本発明の細菌および/またはそのバリアントは、少なくとも約10分間、約50℃~約100℃の範囲の温度で加熱された。特定の実施形態では、低温殺菌された本発明の細菌および/またはそのバリアントは、約20または約30分間の間約60℃で加熱された。別の特定の実施形態では、低温殺菌された本発明の細菌および/またはそのバリアントは、約20または約30分間約70℃で加熱された。別の特定の実施形態では、低温殺菌された本発明の細菌および/またはそのバリアントは、約20または約30分間約80℃で加熱された。別の特定の実施形態では、低温殺菌された本発明の細菌および/またはそのバリアントは、約20または約30分間約90℃で加熱された。
【0113】
特定の実施形態では、低温殺菌された本発明の細菌および/またはそのバリアントは、約1~約120秒間約110℃超の温度で加熱されなかった。別の特定の実施形態では、低温殺菌された本発明の細菌および/またはそのバリアントは、約1~約120秒間約100℃超の温度で加熱されなかった。別の特定の実施形態では、低温殺菌された本発明の細菌および/またはそのバリアントは、約1~約120秒間約90℃超の温度で加熱されなかった。
【0114】
一実施形態では、本発明の細菌および/またはそのバリアントは、超高温度(UHT)処理で処理されている。
【0115】
本明細書中使用される場合、「UHT」処理は、短時間、たとえば約1~約60秒、好ましくは約1~約30秒、より好ましくは約1~約10秒間、少なくとも約135℃の温度で組成物を加熱することにより組成物の少なくとも部分的な滅菌に関与する超高温処理または超加熱処理(両方ともUHTと略される)を表す。
【0116】
主に2種類のUHTシステム:直接的なシステムおよび間接的なシステムが存在する。直接的なシステムでは、生成物は、蒸気の注射または蒸気の注入により処理され、間接的なシステムでは、生成物は、プレート式熱交換器、多管式熱交換器、またはかき取り式表面熱交換器を使用して加熱処理される。UHTシステムの組み合わせは、生成物調製のプロセスのいずれかのステップまたは複数のステップで適用され得る。
【0117】
一実施形態では、本発明の細菌および/またはそのバリアントは、瞬間低温殺菌される。よって一実施形態では、本発明の細菌および/またはそのバリアントは、約15~約30秒間の間、約71.5℃~約74℃の範囲の温度で処理される。
【0118】
別の実施形態では、本発明の細菌および/またはそのバリアントは、未処置ではない。一実施形態では、本発明の細菌および/またはそのバリアントは、凍結されている。
【0119】
本明細書中使用される場合、用語「凍結された」は、細菌において液体から固体への相転移を可能にする温度以下で冷却された細菌を表す。一実施形態では、上記温度は、約-5℃、-20℃、-70℃、-80℃、または-190℃である。
【0120】
一実施形態では、凍結された本発明の細菌および/またはそのバリアントから回収された細胞は、生きている。言い換えると、一実施形態では、本発明の細菌および/またはそのバリアントは、凍結されており、かつ生きている。
【0121】
一実施形態では、凍結された本発明の細菌から回収された細胞の少なくとも約50%が生きており、好ましくは凍結された本発明の細菌から回収された細胞の少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%が、生きており、より好ましくは、凍結された本発明の細菌から回収された細胞の少なくとも86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、または95%、またはそれ以上が生きている。
【0122】
生細胞が回収され得る細菌の凍結されたストックを調製するための方法は、当業者に知られている。限定するものではないが、簡潔に述べると、細菌は、所望の細胞密度に達するために適切な液体培養培地で増殖し得る。所望の容量の細菌調製物を、15(v/v)%~50(v/v)%のグリセロールから構成されるグリセロールの最終濃度の無菌性グリセロール溶液で希釈され得、低温貯蔵用のバイアルなどの低温を維持できる容器に移され得る。次に、この容器は、-70℃以下の温度に冷却され得る。
【0123】
一実施形態では、凍結された本発明の細菌および/またはそのバリアントから回収された細胞は、生きていない。言い換えると、一実施形態では、本発明の細菌および/またはそのバリアントは、凍結されており、かつ生きていない。
【0124】
一実施形態では、凍結された本発明の細菌から回収された細胞の約50%未満が生きており、好ましくは凍結された本発明の細菌から回収された細胞の約40%、35%、30%、25%、20%、15%未満が生きており、より好ましくは凍結された本発明の細菌から回収された細胞の約14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%未満、またはそれより少ない細胞が生きている。一実施形態では、凍結された本発明の細菌から回収された細胞の約7%が生きている。
【0125】
一実施形態では、本発明の細菌および/またはそのバリアントは、増殖することができない。一実施形態では、本発明の細菌および/またはそのバリアントは、死んでいる。一実施形態では、本発明の細菌および/またはそのバリアントは、代謝的に活性ではないか、または代謝的に不活性である。
【0126】
一実施形態では、本発明の細菌は、熱失活されている。一実施形態では、本発明の細菌は、加熱により殺滅されている。
【0127】
本発明の細菌および/またはそのバリアントが死んでいるかまたは生きていない特定の実施形態では、上記細菌および/またはそのバリアントは、加熱により殺滅された。一実施形態では、熱失活されているかまたは加熱により殺滅された本発明の細菌および/またはそのバリアントは、少なくとも約90℃、好ましくは少なくとも約100℃、105℃、110℃、115℃、または120℃、より好ましくは少なくとも約121℃、125℃、130℃、135℃、140℃、またはそれ以上の温度で加熱された。一実施形態では、熱失活されているかまたは熱により殺滅された本発明の細菌および/またはそのバリアントは、約90℃、好ましくは約100℃、105℃、110℃、115℃、または120℃、より好ましくは約121℃、125℃、130℃、135℃、または140℃の温度で加熱された。
【0128】
一実施形態では、熱失活されているかまたは熱により殺滅された本発明の細菌および/またはそのバリアントは、少なくとも約10psig、好ましくは少なくとも約11、12、13、14、15、またはそれ以上のpsigの飽和蒸気圧を使用して加熱された。一実施形態では、死んでいるかまたは生きていない本発明の細菌および/またはそのバリアントは、約10psig、好ましくは約11、12、13、14、または15psigの飽和蒸気圧を使用して加熱された。
【0129】
一実施形態では、熱失活されているかまたは熱により殺滅された本発明の細菌および/またはそのバリアントは、少なくとも約5分間、好ましくは少なくとも約10分間、15分間、20分間、25分間、30分間、またはそれ以上加熱された。一実施形態では、熱失活されているかまたは熱により殺滅された本発明の細菌および/またはそのバリアントは、約5分間、好ましくは約10分間、15分間、20分間、25分間、または30分間加熱された。
【0130】
さらに本発明は、本発明の細菌および/またはそのバリアントのフラグメントに関する。
【0131】
本明細書中使用される場合、用語「フラグメント」は、本発明の細菌および/またはそのバリアントの代謝からもたらされる細胞の成分、代謝物、分泌性分子またはベシクル、および化合物などを表す。細胞の成分の例として、限定するものではないが、細菌細胞壁の成分、たとえばペプチドグリカン、細菌性核酸、たとえばDNAおよびRNA、細菌性膜の成分、および細菌の構造上の成分、たとえばタンパク質、炭水化物、脂質、およびこれらの組み合わせ、たとえばリポタンパク質、糖脂質、および糖タンパク質、細菌性代謝物、有機酸、無機酸、塩基、ペプチド、酵素、および補酵素、アミノ酸、炭水化物、脂質、糖タンパク質、リポタンパク質、糖脂質、ビタミン、生体活性化合物、および無機成分を含む代謝物が挙げられる。フラグメントは、本発明の細菌の培養物の上清を回収するか、または本発明の細菌および/もしくはそのバリアントの培養物由来の細胞成分もしくは細胞フラクション、代謝物、もしくは分泌性化合物、消化産物、単離された形態の成分、本発明の細菌もしくはそのバリアントに由来する1つ以上の成分のいずれかの混合物、またはたとえば組み換えDNA技術を使用するなどの別の方法で、微生物の宿主もしくは他のいずれかの(生)合成プロセスなどにおいて産生される本発明の細菌および/もしくはそのバリアントに存在する1つ以上の成分を抽出することにより、入手され得る。
【0132】
さらに本発明は、本明細書中記載されるDysosmobacter属またはDysosmobacter welbioni種に属する細菌を含む細菌集団に関する。よって本発明は、少なくとも1種の本発明の細菌および/またはそのバリアントを含む細菌集団に関する。
【0133】
一実施形態では、本発明の細菌集団は、実質的に純粋、すなわち細菌集団の細菌細胞の少なくとも約50%が、本発明の細菌細胞および/またはそのバリアントであり、好ましくは細菌集団の細菌細胞の少なくとも約60%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上が、本発明の細菌細胞および/またはそのバリアントである。
【0134】
一実施形態では、本発明の細菌および/またはそのバリアントは、単離されている。
【0135】
本明細書中使用される場合、用語単離されたとは、たとえば腸内微生物叢、水、土壌、または皮膚といった環境に存在する、生きた微生物の天然の混合した集団からの細菌細胞の分離を表す。単離された細菌は、所定の研究培地で増幅され得る。
【0136】
さらに本発明は、本明細書中記載される本発明の細菌および/またはそのバリアントを単離するための方法に関する。
【0137】
本発明の細菌および/またはそのバリアントを単離するための方法の非限定的な例は、実験のパートに提供されている。
【0138】
一実施形態では、糞便サンプルは、対象から得られ、嫌気性チャンバー(Coy)(たとえば気体雰囲気として100%のN2または80%のN2、15%のCO2、5%のH2を含む)に移し、即座に適切な培地で(たとえば1/10希釈で)希釈される。適切な培地の非限定的な例として、任意選択で抗酸化剤を多く含み得る改変YCFA(酵母抽出物-カゼイン加水分解物-脂肪酸)がある。
【0139】
次に、糞便懸濁物は、たとえば約20%のCO2-約80%のN2、または100%のCO2の雰囲気下などで、密閉したチューブに移され得る。
【0140】
次に、単一細胞培養が、1つのバイアルが平均して1つの細胞を受領するように終点希釈(extinction dilution)技術を使用して行われ得る。
【0141】
一実施形態では、約24時間~約7日間の範囲の期間後の陽性培養物が、適切な細胞培養培地(たとえば本明細書中記載の改変YCFA培地など)を含む固体のプレート上に拡散され、O2を吸収しCO2を生成する作用物質を含む嫌気性ジャーで約72時間~約7日間の範囲の期間の間インキュベートされる。次に、単一のコロニーを採取し、未処置の培地に移してもよく、このプロセスは、培養物が純粋とみなされるまで反復される。培養物の純度は、たとえば、プレーティングした細菌の観察、蛍光 in situ ハイブリダイゼーション(FISH)サイトメトリーと組み合わせられ得る顕微鏡での観察、PCR、および/または、特にサンプル中の異なる細菌種の相対的な比率の同定および決定を可能にするマルチプレックス次世代シーケンシング(NGS)技術を使用して16s rRNA遺伝子をシーケンシングすることによる方法などの、当業者によく知られている方法を使用して、評価され得る。
【0142】
一実施形態では、本発明の細菌および/またはそのバリアントは、特異的なプライマーを使用した核酸増幅反応により検出可能である。
【0143】
一実施形態では、本発明の細菌および/またはそのバリアントは、配列番号17および配列番号18を含むかまたはからなる群から選択される少なくとも1つのプライマーを使用する核酸増幅反応により、検出可能である。
【0144】
一実施形態では、本発明の細菌および/またはそのバリアントは、配列番号17および配列番号18の配列のプライマーを使用する核酸増幅反応により、検出可能である。
【0145】
さらに本発明は、本明細書中記載される単離された細菌を培養するための方法に関する。一実施形態では、上記方法は、嫌気性雰囲気(たとえばO2を吸収しCO2を生成する作用物質を含む嫌気性ジャー)で適切な培地において、約37℃の温度で細菌細胞を培養することを含む。
【0146】
本発明の細菌を増殖させるために使用され得る所定の研究培地の組成の非限定的な例は、本明細書において以下の表1および2に提供されている。
【0147】
一実施形態では、本発明の細菌の培養は、本明細書において以下の実施例に記載されるように行われる。限定するものではないが、簡潔に述べると、本発明の細菌は、20%のCO2-80%のN2、または100%のCO2の雰囲気下、表1および2に定義される改変YCFA(酵母抽出物-カゼイン加水分解物-脂肪酸)培地において、37℃で48時間、懸濁物において培養され得る。
【0148】
一実施形態では、改変YCFA培地は、0g/L超~約20g/L、好ましくは約2g/L~約6g/Lの範囲の量、より好ましくは約4g/Lの量のダイズペプトンを含む。
【0149】
一実施形態では、改変YCFA培地は、0g/L超~約20g/L、好ましくは約2g/L~約6g/Lの範囲の量、より好ましくは約4g/Lの量のコムギペプトンを含む。
【0150】
一実施形態では、改変YCFA培地は、0g/L超~約20g/L、好ましくは約2g/L~約6g/Lの範囲の量、より好ましくは約4g/Lの量のNa2CO3を含む。
【0151】
一実施形態では、改変YCFA培地は、0mg/L超~約500mg/L、好ましくは約25mg/L~約75mg/Lの範囲の量、より好ましくは約50mg/Lの量のMgCl2を含む。
【0152】
一実施形態では、改変YCFA培地は、0g/L超~約5g/L、好ましくは約0.5g/L~約1.5g/Lの範囲の量、より好ましくは約1g/Lの量のグルタチオンを含む。
【0153】
一実施形態では、改変YCFA培地は、0g/L超~約1g/L、好ましくは約0.25g/L~約0.75g/Lの範囲の量、より好ましくは約0.5g/Lの量のアスコルビン酸塩を含む。
【0154】
一実施形態では、改変YCFA培地は、0g/L超~約1.2g/L量、好ましくは約0.2g/L~約0.4g/Lの範囲の量、より好ましくは約0.3g/Lの量の尿酸を含む。
【0155】
一実施形態では、改変YCFA培地は、約4g/Lの量のダイズペプトン、約4g/Lの量のコムギペプトン、約50mg/Lの量のNa2CO3、約1g/Lの量のグルタチオン、約1g/Lの量のアスコルビン酸塩、約0.5g/Lの量のアスコルビン酸塩、および約0.3g/Lの量の尿酸を含む。
【0156】
一実施形態では、改変YCFA培地は、表1および2に定義される通りである。
【0157】
また本発明は、少なくとも1つの本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメントを含むか、からなるか、または本質的にからなる組成物に関する。
【0158】
本明細書中使用される場合、組成物に関する用語「~から本質的にからなる」は、少なくとも1つの本発明の細菌またはそのフラグメントが、上記組成物内で唯一生体活性を有する作用物質であることを意味する。
【0159】
一実施形態では、本発明の組成物における細菌細胞の少なくとも約0.5%が、本発明の細菌の細胞および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメントであり、好ましくは本発明の組成物における細菌細胞の少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上が、本発明の細菌の細胞および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメントである。
【0160】
本発明の一実施形態では、本発明の組成物は、本組成物の約1.102~約1.1015cfu/g、好ましくは本組成物の約1.104~約1.1012cfu/g、より好ましくは本組成物の約1.105~約1.1010cfu/g、さらにより好ましくは本組成物の約1.106~約5.109cfu/gの範囲の量の本発明の細菌および/またはそのバリアントを含む。一実施形態では、本発明の組成物は、本組成物の約1.104~約1.1014cfu/g、好ましくは本組成物の約1.105~約1.1013cfu/g、より好ましくは本組成物の約1.106~約1.1012cfu/g、さらにより好ましくは本組成物の約1.107~約1.1011cfu/g、本組成物の約1.108~約1.1010cfu/g、さらにより好ましくは本組成物の約2.108~約6.109cfu/gの範囲の量の本発明の細菌および/またはそのバリアントを含む。
【0161】
本明細書中使用される場合、「cfu」は、「コロニー形成単位」を意味する。
【0162】
本発明の一実施形態では、本発明の組成物は、本組成物の約1.102~約1.1015cfu/mL、好ましくは本組成物の約1.104~約1.1012cfu/mL、より好ましくは本組成物の約1.105~約1.1010cfu/mL、さらにより好ましくは本組成物の約1.106~約5.109cfu/mLの範囲の量の本発明の細菌および/またはそのバリアントを含む。一実施形態では、本発明の組成物は、本組成物の約1.104~約1.1014cfu/mL、好ましくは本組成物の約1.105~約1.1013cfu/mL、より好ましくは本組成物の約1.106~約1.1012cfu/mL、さらにより好ましくは本組成物の約1.107~約1.1011cfu/mL、本組成物の1.108~約1.1010cfu/mL、さらにより好ましくは本組成物の約2.108~約6.109cfu/mLの範囲の量の本発明の細菌および/またはそのバリアントを含む。
【0163】
本発明の一実施形態では、本発明の組成物は、本組成物の約1.106~約1.1010cfu/gまたはcfu/mL、好ましくは約1.108~約1.1010cfu/gまたはcfu/mL、より好ましくは約1.109~約1.1010cfu/gまたはcfu/mLの範囲の量の本発明の細菌を含む。本発明の一実施形態では、本発明の組成物は、本組成物の約1.106~約1.1011cfu/gまたはcfu/mL、好ましくは約1.108~約1.1011cfu/gまたはcfu/mL、より好ましくは約1.1010~約1.1011cfu/gまたはcfu/mLの範囲の量の本発明の細菌を含む。
【0164】
本発明の一実施形態では、本発明の組成物は、本組成物の約1.102~約1.1015個の細胞/g、好ましくは本組成物の約1.104~約1.1012個の細胞/g、より好ましくは本組成物の約1.105~約1.1010個の細胞/g、さらにより好ましくは本組成物の約1.106~約1.109個の細胞/gの範囲の量の本発明の細菌および/またはそのバリアントを含む。一実施形態では、本発明の組成物は、本組成物の約1.104~約1.1014個の細胞/g、好ましくは本組成物の約1.105~約1.1013個の細胞/g、より好ましくは本組成物の約1.106~約1.1012個の細胞/g、さらにより好ましくは本組成物の約1.107~約1.1011個の細胞/g、本組成物の約1.108~約1.1010個の細胞/g、さらにより好ましくは本組成物の約1.109~約1.1010個の細胞/gの範囲の量の本発明の細菌および/またはそのバリアントを含む。
【0165】
本発明の一実施形態では、本発明の組成物は、本組成物の約1.102~約1.1015個の細胞/mL、好ましくは本組成物の約1.104~約1.1012個の細胞/mL、より好ましくは本組成物の約1.105~約1.1010個の細胞/mL、さらにより好ましくは本組成物の約1.106~約1.109個の細胞の範囲の量の本発明の細菌および/またはそのバリアントを含む。一実施形態では、本発明の組成物は、本組成物の約1.104~約1.1014個の細胞/mL、好ましくは本組成物の約1.105~約1.1013個の細胞/mL、より好ましくは本組成物の約1.106~約1.1012個の細胞/mL、さらにより好ましくは本組成物の約1.107~約1.1011個の細胞/mL、本組成物の約1.108~約1.1010個の細胞/mL、さらにより好ましくは本組成物の約1.109~約1.1010個の細胞/mLの範囲の量の本発明の細菌および/またはそのバリアントを含む。
【0166】
本発明の一実施形態では、本発明の組成物は、本組成物の約1.106~約1.1010個の細胞/gまたは細胞/mL、好ましくは約1.108~約1.1010個の細胞/gまたは細胞/mL、より好ましくは約1.109~約1.1010個の細胞/gまたは細胞/mLの範囲の量の本発明の細菌を含む。本発明の一実施形態では、本発明の組成物は、本組成物の約1.106~約1.1011個の細胞/gまたは細胞/mL、好ましくは約1.108~約1.1011個の細胞/gまたは細胞/mL、より好ましくは約1.1010~約1.1011個の細胞/gまたは細胞/mLの範囲の量の本発明の細菌を含む。
【0167】
本発明の一実施形態では、本発明の組成物は、本組成物の約1.102~約1.1015cfu/g、好ましくは本組成物の約1.104~約1.1012cfu/g、より好ましくは本組成物の約1.105~約1.1010cfu/g、さらにより好ましくは本組成物の約1.106~約1.109cfu/gの範囲の量の本発明の細菌および/またはそのバリアントに対応する量の本発明の細菌および/またはそのバリアントのフラグメントを含む。一実施形態では、本発明の組成物は、本組成物の約1.104~約1.1014cfu/g、好ましくは本組成物の約1.105~約1.1013cfu/g、より好ましくは本組成物の約1.106~約1.1012cfu/g、さらにより好ましくは本組成物の約1.107~約1.1011cfu/g、本組成物の約1.108~約1.1010cfu/g、さらにより好ましくは本組成物の約2.108~約6.109cfu/gの範囲の量の本発明の細菌および/またはそのバリアントに対応する量の本発明の細菌および/またはそのバリアントのフラグメントを含む。
【0168】
本発明の一実施形態では、本発明の組成物は、本組成物の約1.102~約1.1015cfu/mL、好ましくは本組成物の約1.104~約1.1012cfu/mL、より好ましくは本組成物の約1.105~約1.1010cfu/mL、さらにより好ましくは本組成物の約1.106~約1.109cfu/mLの範囲の量の本発明の細菌および/またはそのバリアントに対応する量の本発明の細菌および/またはそのバリアントのフラグメントを含む。本発明の一実施形態では、本発明の組成物は、本組成物の約1.104~約1.1014cfu/mL、好ましくは本組成物の約1.105~約1.1013cfu/mL、より好ましくは本組成物の約1.106~約1.1012cfu/mL、さらにより好ましくは本組成物の約1.107~約1.1011cfu/mLの範囲の量の本発明の細菌および/またはそのバリアントに対応する量の本発明の細菌および/またはそのバリアントのフラグメントを含む。本発明の一実施形態では、本発明の組成物は、本組成物の約1.108~約1.1010cfu/mL、好ましくは本組成物の約2.108~約6.109cfu/mLの範囲の量の本発明の細菌および/またはそのバリアントに対応する量の本発明の細菌および/またはそのバリアントのフラグメントを含む。
【0169】
本発明の一実施形態では、本発明の組成物は、本組成物の約1.106~約1.1010cfu/gまたはcfu/mL、好ましくは約1.108~約1.1010cfu/gまたはcfu/mL、より好ましくは約1.109~約1.1010cfu/gまたはcfu/mLの範囲の量の本発明の細菌および/またはそのバリアントに対応する量の本発明の細菌および/またはそのバリアントのフラグメントを含む。
【0170】
本発明の一実施形態では、本発明の組成物は、本組成物の約1.106~約1.1011cfu/gまたはcfu/mL、好ましくは約1.108~約1.1011cfu/gまたはcfu/mL、より好ましくは約1.1010~約1.1011cfu/gまたはcfu/mLの範囲の量の本発明の細菌に対応する量の本発明の細菌のフラグメントを含む。
【0171】
本発明の一実施形態では、本発明の組成物は、本組成物の約1.102~約1.1015個の細胞/g、好ましくは本組成物の約1.104~約1.1012個の細胞/g、より好ましくは本組成物の約1.105~約1.1010個の細胞/g、さらにより好ましくは本組成物の約1.106~約1.109個の細胞/gの範囲の量の本発明の細菌および/またはそのバリアントに対応する量の本発明の細菌および/またはそのバリアントのフラグメントを含む。本発明の一実施形態では、本発明の組成物は、本組成物の約1.104~約1.1014個の細胞/g、好ましくは本組成物の約1.105~約1.1013個の細胞/g、より好ましくは本組成物の約1.106~約1.1012個の細胞/g、さらにより好ましくは本組成物の約1.107~約1.1011個の細胞/gの範囲の量の本発明の細菌および/またはそのバリアントに対応する量の本発明の細菌および/またはそのバリアントのフラグメントを含む。本発明の一実施形態では、本発明の組成物は、本組成物の約1.108~約1.1010個の細胞/g、好ましくは本組成物の1.109~約1.1010個の細胞/gの範囲の量の本発明の細菌および/またはそのバリアントに対応する量の本発明の細菌および/またはそのバリアントのフラグメントを含む。
【0172】
本発明の一実施形態では、本発明の組成物は、本組成物の約1.102~約1.1015個の細胞/mL、好ましくは本組成物の約1.104~約1.1012個の細胞/mL、より好ましくは本組成物の約1.105~約1.1010個の細胞/mL、さらにより好ましくは本組成物の約1.106~約1.109個の細胞の範囲の量の本発明の細菌および/またはそのバリアントに対応する量の本発明の細菌および/またはそのバリアントのフラグメントを含む。本発明の一実施形態では、本発明の組成物は、本組成物の約1.104~約1.1014個の細胞/mL、好ましくは本組成物の約1.105~約1.1013個の細胞/mL、より好ましくは本組成物の約1.106~約1.1012個の細胞/mL、さらにより好ましくは本組成物の約1.107~約1.1011個の細胞/mLの範囲の量の本発明の細菌および/またはそのバリアントに対応する量の本発明の細菌および/またはそのバリアントのフラグメントを含む。本発明の一実施形態では、本発明の組成物は、本組成物の約1.108~約1.1010個の細胞/mL、好ましくは本組成物の約1.109~約1.1010個の細胞/mLの範囲の量の本発明の細菌および/またはそのバリアントに対応する量の本発明の細菌および/またはそのバリアントのフラグメントを含む。
【0173】
本発明の一実施形態では、本発明の組成物は、本組成物の約1.106~約1.1010個の細胞/gまたは細胞/mL、好ましくは約1.108~約1.1010個の細胞/gまたは細胞/mL、より好ましくは約1.109~約1.1010個の細胞/gまたは細胞/mLの範囲の量の本発明の細菌に対応する量の本発明の細菌のフラグメントを含む。
【0174】
本発明の一実施形態では、本発明の組成物は、本組成物の約1.106~約1.1011個の細胞/gまたは細胞/mL、好ましくは約1.108~約1.1011個の細胞/gまたは細胞/mL、より好ましくは約1.1010~約1.1011個の細胞/gまたは細胞/mLの範囲の量の本発明の細菌に対応する量の本発明の細菌のフラグメントを含む。
【0175】
一実施形態では、本発明の細菌および/またはそのバリアントは低温殺菌されており、本明細書中記載される量は、低温殺菌のステップの前の量に対応する。
【0176】
一実施形態では、本発明の細菌および/またはそのバリアントは凍結されており、本明細書中記載される量は、凍結ステップの前の量に対応する。別の実施形態では、本発明の細菌および/またはそのバリアントは凍結されており、本明細書中記載される量は、凍結ステップ後の量に対応する。
【0177】
また本発明は、プロバイオティクスとしての本明細書中上記に記載される少なくとも1つの細菌および/またはそのバリアントに関する。一実施形態では、少なくとも1つの本発明の細菌、好ましくはJ115株、および/またはそのバリアントは、プロバイオティクスであり、対象の胃腸の環境の改善に有用である。
【0178】
さらに本発明は、少なくとも1つの本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメントの治療上の使用に関する。
【0179】
一実施形態では、本発明の組成物は、医薬組成物または医薬である。
【0180】
よって本発明はまた、本発明に係る細菌または組成物および少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含むか、またはから本質的になるか、またはからなる医薬組成物に関する。
【0181】
本発明の組成物で使用され得る薬学的に許容される賦形剤として、限定するものではないが、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、トレハロース、バッファー物質、たとえばホスフェート、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和性植物脂肪酸の部分的なグリセリド混合物、水、塩、または電解質、たとえば硫酸プロタミン、リン酸第二ナトリウム(disodium hydrogen phosphate)、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、シリカ、コロイドシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質(たとえばナトリウムカルボキシメチルセルロース)、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸塩、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリエチレングリコール、および羊毛脂が挙げられる。
【0182】
一実施形態では、本医薬組成物は、腸内微生物叢に関連する疾患、好ましくは代謝性疾患を処置および/または予防するためのものである。
【0183】
さらに本発明は、本発明に係る細菌または組成物を含むか、から本質的になるか、またはからなる医薬に関する。また本発明は、医薬の製造のための本発明に係る細菌または組成物の使用に関する。
【0184】
一実施形態では、本医薬は、腸内微生物叢に関連する疾患、好ましくは代謝性疾患を処置および/または予防するためのものである。
【0185】
一実施形態では、本発明の医薬組成物または医薬は、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、BHT、ソルビン酸カリウム、またはRosmarinus officinalis抽出物などの抗酸化剤をさらに含み得る。
【0186】
一実施形態では、本発明の医薬組成物または医薬は、糖、果物またはお茶の香味料などの着香料をさらに含み得る。
【0187】
一実施形態では、少なくとも1つの本発明の細菌および/またはそのフラグメントを含む組成物は、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と適切に混合した水で調製され得る。
【0188】
一実施形態では、少なくとも1つの本発明の細菌および/またはそのフラグメントを含む組成物はまた、グリセロール、液体のポリエチレングリコール、およびそれらの混合物において、ならびに油において調製され得る。
【0189】
一実施形態では、少なくとも1つの本発明の細菌および/またはそのフラグメントを含む組成物は、たとえば水、エタノール、ポリオール(たとえばグリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、それらの適切な混合物、およびオレイン酸などの植物油を含む溶媒または分散媒体でもあり得る担体を含み得る。
【0190】
適切な流動性が、たとえばレシチン(すなわちダイズレシチンまたは脱脂したダイズレシチン)などのコーティング剤の使用、分散の場合では必要とされる粒径の維持、および界面活性剤の使用により、維持され得る。
【0191】
多くの場合、たとえば糖または塩化ナトリウムなどの等張剤を含むように調製可能である。一般的に分散は、様々な無菌化した有効成分を、基本的な分散媒体および上記に列挙されるものに由来する必要とされる他の成分を含む無菌性のビヒクルに組み込むことにより調製される。
【0192】
製剤化の後、本発明の医薬組成物または医薬は、投薬の処方と適合可能である方法にて有効な量で投与される。本発明の医薬組成物または医薬は、薬物放出カプセルなどの様々な剤形で投与され得る。投薬変動の一部は、処置される対象の病態に応じて必然的に起こる。投与の責任者は、全てのイベントにおいて、個々の対象にとって適切な用量を決定する。
【0193】
本発明の医薬組成物および医薬、本発明の細菌および/またはそのバリアント、および/またはそれらのフラグメントは、単独または別の有効な原則と組み合わせて、従来の薬学的な担体(support)との混合物として、単位投与形態にて動物およびヒトへと投与され得る。適切な単位投与形態は、経口経路の形態、たとえば錠剤、ゲルカプセル剤、散剤、顆粒剤、および経口用懸濁剤または液剤、舌下およびバッカル用投与形態、エアロゾル、インプラント、皮下、経皮、局所、腹腔内、筋肉内、静脈内、真皮下、経皮、髄腔内、および鼻腔内の投与形態、ならびに直腸用の投与形態を含む。
【0194】
一実施形態では、本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメント、本発明の組成物、医薬組成物、または医薬は、全身または局所的に投与されるか、または投与するのに適している。
【0195】
一実施形態では、本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメント、本発明の組成物、医薬組成物、または医薬は、経口投与、バッカル投与、注射による投与、経皮投与、非経口投与、腹腔内投与、内視鏡検査による投与、局所投与、経皮投与、経粘膜投与、経鼻投与、吸入スプレーによる投与、直腸による投与、膣による投与、気管内投与、およびインプラントリザーバーを介する投与、またはそれらのいずれかの組み合わせにより投与されるか、または投与するのに適している。
【0196】
一実施形態では、本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメント、本発明の組成物、医薬組成物、または医薬は、経口投与されるか、または経口投与するのに適している。経口投与に適した製剤の例として、限定するものではないが、固体の形態、液体の形態、およびゲルが挙げられる。経口投与に適した固体の形態の例として、限定するものではないが、丸剤、錠剤、カプセル剤、軟ゼラチンカプセル剤、硬ゼラチンカプセル剤、ドラジェ、顆粒剤、カプレット剤、圧縮錠、カシェー、ウェハ、糖衣丸剤、糖衣錠剤、または分散錠剤/崩壊錠、散剤、経口投与の前の液体への溶解または懸濁に適した固体の形態、および発泡錠剤が挙げられる。経口投与に適した液体の形態の例として、限定するものではないが、液剤、懸濁剤、飲用可能な液剤、エリキシル剤、密閉されたバイアル、水薬(potion、drench)、シロップ剤、アルコール飲料、およびスプレーが挙げられる。
【0197】
一実施形態では、本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメント、本発明の組成物、医薬組成物、または医薬は、直腸に投与されるか、または直腸投与に適している。直腸投与に適した製剤の例として、限定するものではないが、坐薬、マイクロかん腸剤、かん腸剤、ゲル、直腸用のフォーム、クリーム、軟膏が挙げられる。
【0198】
一実施形態では、本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメント、本発明の組成物、医薬組成物、または医薬は、注射されるか、または注射に適している。注射に適した製剤の例として、限定するものではないが、液体の液剤または懸濁剤、注射前に液体への溶解または懸濁に適した固体の形態が挙げられる。
【0199】
全身性注射の例として、限定するものではないが、静脈内、腫瘍内、頭蓋内、リンパ内、腹腔内、筋肉内、皮下、皮内、関節内、関節滑液嚢内、胸骨内、髄腔内、膀胱内、肝内、病巣内、海綿体内への注入技術および灌流が挙げられる。別の実施形態では、注射される場合、本発明の組成物、医薬組成物、または医薬は、無菌性である。無菌性の医薬組成物を得るための方法として、限定するものではないが、GMP合成が挙げられる(GMPは、「適正製造基準:Good Manufacturing Practice」を意味する)。
【0200】
一実施形態では、本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメント、本発明の組成物、医薬組成物、または医薬は、即時放出の形態で投与されるか、または投与するのに適している。一実施形態では、本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメント、本発明の組成物、医薬組成物、または医薬は、混合型の放出形態で、投与されるか、または投与するのに適している。一実施形態では、本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメント、本発明の組成物、医薬組成物、または医薬は、腸溶コーティングされた形態で、投与されるか、または投与するのに適している。一実施形態では、本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメント、本発明の組成物、医薬組成物、または医薬は、徐放の形態で、投与されるか、または投与するのに適している。
【0201】
一実施形態では、本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメント、本発明の組成物、医薬組成物、または医薬は、有効成分の放出を制御する送達システムを含む。
【0202】
一実施形態では、本発明の組成物、医薬組成物、または医薬は、少なくとも1つのさらなるプロバイオティクススの菌株もしくは種、たとえば細菌のプロバイオティクスの菌株もしくは種;細菌以外の原核生物のプロバイオティクス;または真菌の菌株もしくは種、好ましくは酵母の菌株もしくは種をさらに含む。一実施形態では、上記さらなるプロバイオティクスの菌株または種は、対象の腸、好ましくはヒトの腸、より好ましくは実質的に健常なヒトの対象の腸に天然に存在するものから選択される。一実施形態では、上記さらなるプロバイオティクスの菌株または種は、たとえば乳製品で見出されるものなどの、対象の腸に天然に存在するものによらない菌株または種で選択される。
【0203】
一実施形態では、本発明の組成物、医薬組成物、または医薬は、Lactobacillus、Lactococcus、Akkermansia、Bifidobacterium、Veillonella、Desemzia、Christensenella、Allobaculum、Coprococcus、Collinsella、Citrobacter、Turicibacter、Sutterella、Subdoligranulum、Streptococcus、Sporobacter、Sporacetigenium、Ruminococcus、Roseburia、Proteus、Propionibacterium、Leuconostoc、Weissella、Pediococcus、Streptococcus、Prevotella、Parabacteroides、Papowderibacter、Oscillospira、Melissococcus、Dorea、Dialister、Clostridium、Cedecea、Catenibacterium、Butyrivibrio、Buttiauxella、Bulleidia、Bilophila、Bacteroides、Anaerovorax、Anaerostopes、Anaerofilum、腸内細菌科、Fermicutes、Atopobium、Alistipes、Acinetobacter、Slackie、Shigella、Shewanella、Serratia、Mahella、Lachnospira、Klebsiella、Idiomarina、Fusobacterium、Faecalibacterium、Eubacterium、Enterococcus、Enterobacter、およびEggerthella、またはそれらの混合物を含むかまたはからなる群から選択される少なくとも1つの細菌のプロバイオティクスの菌株または種をさらに含む。
【0204】
一実施形態では、本発明の組成物、医薬組成物、または医薬は、Archaea、Firmicutes、Verrucomicrobia(たとえばAkkermansia muciniphilaなど)、Christensenella、Bacteroidetes(たとえばAllistipes、Bacteroides ovatus、Bacteroides splachnicus、Bacteroides stercoris、Bacteroides vulgatus、Parabacteroides、Prevotella ruminicola、Porphyromondaceae、および関連する属)、Proteobacteria、BetaProteobacteria(たとえば、AquabacteriumおよびBurkholderia)、GammaProteobacteria(たとえばXanthomonadaceaeなど)、Actinobacteria(たとえばActinomycetaceaeおよびAtopobiumなど)、Methanobacteria、Spirochaetes、Fibrobacteres、Deferribacteres、Deinococcus、Thermus、Cyanobacteria、Methanobrevibacteria、Ruminococcus、Coprococcus、Subdolingranulum、Dorea、Bulleidia、Anaerofustis、Gemella、Roseburia、Dialister、Anaerotruncus、Staphylococcus、Micrococcus、Propionibacteria、腸内細菌科、Faecalibacterium、Bacteroides、Parabacteroides、Prevotella、Eubacterium、Bacilli(たとえばLactobacillus salivarius、および関連する種、Aerococcus、Granulicatella、Streptococcus bovisおよび関連する属、およびStreptococcus intermediusおよび関連する属)、Clostridium(たとえばEubacterium hallii、Eubacterium limosumおよび関連する属)、ならびにButyrivibrio、またはそれらの混合物含むかまたはからなる群から選択される少なくとも1つの原核生物の菌株または種をさらに含む。
【0205】
一実施形態では、本発明の組成物、医薬組成物、または医薬は、Ascomycetes、ZygomycetesおよびDeuteromycetes、好ましくはAspergillus属(group)、Torulopsis属、Zygosaccharomyces属、Hansenula属、Candida属、Saccharomyces属、Clavispora属、Bretanomyces属、Pichia属、Amylomyces属、Zygosaccharomyces属、Endomycess属、Hyphopichia属、Zygosaccharomyces属、Kluyveromyces属、Mucor属、Rhizopus属、Yarrowia属、Endomyces属、Debaryomyces属、およびPenicillium属、またはそれらの混合物を含むかまたはからなる少なくとも1つの真菌のプロバイオティクスの菌株または種、好ましくは酵母のプロバイオティクスの菌株または種をさらに含む。
【0206】
一実施形態では、本発明の組成物、医薬組成物、または医薬は、少なくとも1つのプレバイオティクスをさらに含む。
【0207】
一実施形態では、本発明の組成物、医薬組成物、または医薬は、myo-イノシトール、イヌリンおよびイヌリン型フルクタン、オリゴフルクトース、βグルカン、キシロース、アラビノース、アラビノキシラン、リボース、ガラクトース、ラムノース、セロビオース、フルクトース、ラクトース、サリシン、スクロース、グルコース、エスクリン、tween 80、トレハロース、マルトース、マンノース、メリビオース(mellibiose)、粘液またはムチン、ラフィノース、フルクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、アミノ酸、アルコール、発酵性糖質、およびそれらのいずれかの組み合わせを含むかまたはからなる群から選択される少なくとも1つのプレバイオティクスをさらに含む。
【0208】
特定の実施形態では、本発明の組成物、医薬組成物、または医薬は、myo-イノシトールをさらに含む。
【0209】
プレバイオティクスの他の非限定的な例として、水溶性セルロース誘導体、非水溶性セルロース誘導体、未加工のオートミール、メタムシル、オールブラン、ポリフェノール、およびそれらのいずれかの組み合わせが挙げられる。
【0210】
水溶性セルロース誘導体の例として、限定するものではないが、メチルセルロース、メチルエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、陽イオン性ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロースが挙げられる。
【0211】
また本発明は、別々の投与、同時投与、または連続投与のための治療用併用製品に関する。
【0212】
本明細書中使用される場合、用語「治療用併用製品」(治療用のキットオブパーツとも呼ばれ得る)は、少なくとも2つの以下のパーツを含むかまたはからなる製品を表す。:第1のパーツは、(好ましくは治療上有効量(therapeutically affective amount)の本発明の細菌および/またはそのバリアント、本発明に係る組成物、本発明に係る医薬組成物、または本発明に係る医薬を含み、第2のパーツは、少なくとも1つのプロバイオティクスおよび/または少なくとも1つのプレバイオティクスおよび/または治療に使用するための1つの他の薬物を含む組成物を含む。一実施形態では、治療用併用製品は、腸内微生物叢に関連する疾患、好ましくは代謝性疾患を処置および/または予防するためのものである。
【0213】
代謝性疾患の処置および/または予防での使用で知られている他の薬物の例として、限定するものではないが、スルホニルウレア(たとえばアセトヘキサミド、カルブタミド、クロルプロパミド、グリシクルアミド、メタヘキサミド、トラザミド、トルブタミド、グリベンクラミド、グリボルヌリド、グリクラジド、グリピジド、グリキドン、グリソキセピド、グリクロピラミド、およびグリメピリドおよびそれらの誘導体など);ビグアナイド(たとえばメトホルミン、フェンホルミン(pheformin)、およびブホルミンなど);αグルコシダーゼ阻害剤グルコシダーゼ(たとえばアカルボース、ミグリトール、およびボグリボースなど);チアゾリジンジオン(たとえばピオグリタゾン、ロシグリタゾン、およびロベグリタゾンなど);HMG-CoA還元酵素阻害剤(またはスタチン)(たとえばシンバスタチン、プラバスタチン、アトルバスタチン、メバスタチン、セリバスタチン、ロスバスタチン、およびフルバスタチンなど);ジペプチジルペプチダーゼ4阻害剤(またはグリプチン)(たとえばシタグリプチン、ビルダグリプチン、サワグリプチン(sawagliptin)、リナグリプチン、ゲミグリプチン、アナグリプチン、テネリグリプチン、アログリプチン、トレラグリプチン、オマリグリプチン、エボグリプチン、gosopliptin、dutogliptin、およびベルベリンなど);グルカゴン様ペプチド類縁体およびアゴニスト(たとえばエキセナチド、リラグルチド、およびリキシセナチドなど);ナトリウム/グルコース共輸送体2阻害剤(たとえばエンパグリフロジン、ダパグリフロジン、カナグリフロジン、イプラグリフロジン、エルツグリフロジン、ルセオグリフロジン、ベキサグリフロジン、トホグリフロジン(todogliflozin)、henagliflozin、ソタグリフロジン、レモグリフロジン、セルグリフロジン、およびatigliflozinなど);コレスチラミン、コレセベラム、コレスチポール、およびエゼチミブが挙げられる。
【0214】
一実施形態では、本発明に係る治療用併用製品の少なくとも2つのパーツは、同時に投与される。別の実施形態では、本発明に係る治療用併用製品の少なくとも2つのパーツは、異なる時間に投与される。別の実施形態では、本発明に係る治療用併用製品の少なくとも2つのパーツは、連続して投与される。
【0215】
一実施形態では、本発明に係る治療用併用製品の少なくとも2つのパーツは、異なる投与経路を使用して投与される。(たとえば1つのパーツは経口投与により投与され、第2のパーツは注射により投与されるなど)。別の実施形態では、本発明に係る治療用併用製品の少なくとも2つのパーツは、同じ投与経路(たとえば経口投与または注射など)を使用して投与される。
【0216】
一実施形態では、本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメント、本発明の組成物、医薬組成物、治療用併用製品は、医薬として使用されるためのものである。
【0217】
さらに本発明は、それを必要とする対象の消化管微生物叢に関連する障害の処置および/または予防に使用するための、少なくとも1つの本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメント、または本発明の組成物、医薬組成物、医薬、もしくは治療用併用製品に関する。
【0218】
消化管微生物叢に関連する障害の例として、限定するものではないが、代謝性疾患(たとえば肥満、メタボリックシンドローム、インスリン欠乏またはインスリン抵抗性関連障害、真性糖尿病(たとえば2型糖尿病など)、耐糖能障害、高血糖、脂質代謝異常、脂質異常症、高コレステロール、LDLコレステロールの上昇、LDLコレステロールの減少、トリグリセリドの上昇、脂肪組織炎症および脂肪組織線維症、感染症、大腸炎(たとえば炎症性腸疾患(たとえばクローン病および潰瘍性大腸炎)、虚血性大腸炎、過敏性腸症候群、リンパ球性大腸炎、およびコラーゲン性大腸炎など)、がん(たとえば結腸直腸がんなど)、免疫系の機能不全(たとえば湿疹、アレルギー、食物アレルギー、およびセリアック病など)、心理的障害(たとえばストレス、不安、および中毒など)、神経性障害(たとえばパーキンソン病およびアルツハイマー病など)、肝疾患(たとえば肝硬変、非アルコール性脂肪性肝疾患、および脂肪肝など)、カヘキシア、プラダー・ウィリ症候群、消化管の機能不全(たとえば潰瘍および胆嚢疾患など)、摂食行動障害(たとえば神経性食欲不振症、神経性大食症、およびむちゃ食い障害など)、心血管疾患および病態(たとえば脳卒中、アテローム性動脈硬化、および高血圧など)、喘息、睡眠時無呼吸、変形性関節症、および炎症性疾患が挙げられる。
【0219】
一実施形態では、少なくとも1つの本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメント、本発明の組成物、医薬組成物、医薬、または治療用併用製品は、代謝性疾患、肥満、メタボリックシンドローム、インスリン欠乏またはインスリン抵抗性関連障害、真性糖尿病、2型糖尿病、1型糖尿病、耐糖能障害、高血糖、脂質代謝異常、脂質異常症、高コレステロール、LDLコレステロールの上昇、LDLコレステロールの減少、トリグリセリドの上昇、脂肪組織炎症、脂肪組織線維症、感染症、大腸炎、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、虚血性大腸炎、過敏性腸症候群、リンパ球性大腸炎、コラーゲン性大腸炎、腸炎、がん、結腸直腸がん、免疫系の機能不全、湿疹、アレルギー、食物アレルギー、セリアック病、心理的障害、ストレス、不安、中毒、神経性障害、パーキンソン病、アルツハイマー病、肝疾患、肝硬変、非アルコール性脂肪性肝疾患、脂肪肝、カヘキシア、プラダー・ウィリ症候群、消化管の機能不全、潰瘍、胆嚢疾患、摂食行動障害、神経性食欲不振症、神経性大食症、むちゃ食い障害、心血管疾患、脳卒中、アテローム性動脈硬化および高血圧、喘息、睡眠時無呼吸、変形性関節症、および炎症性疾患を含むかまたはからなる群から選択される疾患の処置および/もしくは予防のためのものであるか、または処置および/もしくは予防に使用するためのものである。
【0220】
一実施形態では、少なくとも1つの本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメント、本発明の組成物、医薬組成物、医薬、または治療用併用製品は、代謝性疾患、肥満、メタボリックシンドローム、インスリン欠乏またはインスリン抵抗性関連障害、真性糖尿病、2型糖尿病、1型糖尿病、耐糖能障害、高血糖、脂質代謝異常、脂質異常症、高コレステロール、LDLコレステロールの上昇、LDLコレステロールの減少、トリグリセリドの上昇、脂肪組織炎症、脂肪組織線維症、感染症、大腸炎、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、虚血性大腸炎、過敏性腸症候群、リンパ球性大腸炎、コラーゲン性大腸炎、腸炎、食物アレルギー、セリアック病、潰瘍、カヘキシア、プラダー・ウィリ症候群、摂食行動障害、およびむちゃ食い障害を含むかまたはからなる群から選択される疾患の処置および/もしくは予防のためのものであるか、または処置および/もしくは予防に使用するためのものである。
【0221】
一実施形態では、少なくとも1つの本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメント、本発明の組成物、医薬組成物、医薬、または治療用併用製品は、代謝性疾患、感染症、大腸炎、腸炎、食物アレルギー、セリアック病、潰瘍、カヘキシア、プラダー・ウィリ症候群、および摂食行動障害を含むかまたはからなる群から選択される疾患の処置および/もしくは予防のためのものであるか、または処置および/もしくは予防に使用するためのものである。
【0222】
一実施形態では、消化管微生物叢に関連する障害は、代謝性疾患である。
【0223】
代謝性疾患の例として、限定するものではないが、肥満、メタボリックシンドローム、インスリン欠乏またはインスリン抵抗性関連障害、真性糖尿病(たとえば2型糖尿病など)、耐糖能障害、脂質代謝異常、高血糖、脂質異常症、高コレステロール、LDLコレステロールの上昇、HDLコレステロールの低下、トリグリセリドの上昇、脂肪組織炎症、および脂肪組織線維症が挙げられる。
【0224】
一実施形態では、少なくとも1つの本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメント、本発明の組成物、医薬組成物、医薬、または治療用併用製品は、肥満、メタボリックシンドローム、インスリン欠乏またはインスリン抵抗性関連障害、真性糖尿病、2型糖尿病、1型糖尿病、耐糖能障害、高血糖、脂質代謝異常、脂質異常症、高コレステロール、LDLコレステロールの上昇、LDLコレステロールの減少、トリグリセリドの上昇、脂肪組織炎症、および脂肪組織線維症を含むかまたはからなる群から選択される代謝性疾患の処置および/もしくは予防のためのものであるか、または処置および/もしくは予防に使用するためのものである。
【0225】
一実施形態では、消化管微生物叢に関連する障害は、好ましくは肥満、真性糖尿病、好ましくは2型糖尿病、メタボリックシンドローム、インスリン欠乏またはインスリン抵抗性関連障害、および耐糖能障害を含むかまたはからなる群から選択される代謝性疾患である。
【0226】
一実施形態では、消化管微生物叢に関連する障害は、肥満である。一実施形態では、消化管微生物叢に関連する障害は、2型糖尿病である。
【0227】
一実施形態では、消化管微生物叢に関連する障害は、好ましくは脂質代謝異常、高血糖、脂質異常症、高コレステロール、LDLコレステロールの上昇、HDLコレステロールの低下、およびトリグリセリドの上昇を含むかまたはからなる群から選択される、代謝性疾患である。
【0228】
一実施形態では、消化管微生物叢に関連する障害は、感染症である。
【0229】
一実施形態では、消化管微生物叢に関連する障害は、好ましくは炎症性腸疾患(たとえばクローン病および潰瘍性大腸炎)、虚血性大腸炎、過敏性腸症候群、リンパ球性大腸炎、およびコラーゲン性大腸炎を含むかまたはからなる群から選択される、大腸炎である。
【0230】
一実施形態では、消化管微生物叢に関連する障害は、がん、好ましくは結腸直腸がんである。
【0231】
一実施形態では、消化管微生物叢に関連する障害は、好ましくは湿疹、アレルギー、食物アレルギー、およびセリアック病を含む群から選択される、免疫系の機能不全である。
【0232】
一実施形態では、消化管微生物叢に関連する障害は、食物アレルギーおよびセリアック病を含むかまたはからなる群から選択される。
【0233】
一実施形態では、消化管微生物叢に関連する障害は、好ましくはストレス、不安、および中毒を含むかまたはからなる群から選択される、心理的障害である。
【0234】
一実施形態では、消化管微生物叢に関連する障害は、好ましくはパーキンソン病およびアルツハイマー病を含むかまたはからなる群から選択される、神経性障害である。
【0235】
一実施形態では、消化管微生物叢に関連する障害は、肝硬変、非アルコール性脂肪性肝疾患、および脂肪肝を含むかまたはからなる群から選択される、肝疾患である。
【0236】
一実施形態では、消化管微生物叢に関連する障害は、カヘキシアである。
【0237】
一実施形態では、消化管微生物叢に関連する障害は、プラダー・ウィリ症候群である。
【0238】
一実施形態では、消化管微生物叢に関連する障害は、好ましくは潰瘍および胆嚢疾患を含むかまたはからなる群から選択される、消化管の機能不全である。
【0239】
一実施形態では、消化管微生物叢に関連する障害は、好ましくは神経性食欲不振症、神経性大食症、およびむちゃ食い障害を含むかまたはからなる群から選択される、摂食行動障害である。
【0240】
一実施形態では、消化管微生物叢に関連する障害は、好ましくは脳卒中、アテローム性動脈硬化、および高血圧を含むかまたはからなる群から選択される、心血管疾患または病態である。
【0241】
一実施形態では、少なくとも1つの本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメント、本発明の組成物、医薬組成物、医薬、または治療用併用製品は、炎症性疾患の処置および/もしくは予防のためのものであるか、または処置および/もしくは予防に使用するためのものである。一実施形態では、炎症性疾患は、脂肪組織の炎症、脂肪組織の機能不全、大腸炎、および腸炎を含むかまたはからなる群から選択される。
【0242】
本発明者らは、腸内微生物叢における本発明の細菌の存在が、腸の上皮性関門の統合性を促進することを見出した。特に1型糖尿病における代謝機能におけるその重要性に加え、腸の上皮性関門の統合性の減少は、感染症、大腸炎、腸炎、湿疹、アレルギー、食物アレルギー、肝疾患、炎症性腸疾患(たとえばクローン病および潰瘍性大腸炎)、セリアック病、および心理的障害(たとえば不安、ストレス、および中毒)などのいくつかの他の疾患と関連することが見出されている。
【0243】
よって本発明はさらに、上皮性関門の透過性の増大に関連する疾患の処置もしくは予防のためであるか、または処置および/もしくは予防に使用するための、本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメント、または本発明の組成物、医薬組成物、医薬、もしくは治療用併用商品に関する。上皮性関門の透過性の増大に関連する疾患の例として、限定するものではないが、感染症、大腸炎、腸炎、I型糖尿病、湿疹、アレルギー、食物アレルギー、肝疾患、炎症性腸疾患(たとえばクローン病および潰瘍性大腸炎)、セリアック病、ならびに心理的障害(たとえば不安、ストレス、および中毒)が挙げられる。
【0244】
一実施形態では、少なくとも1つの本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメント、本発明の組成物、医薬組成物、医薬、または治療用併用製品は、腸の上皮性関門の統合性に関連する疾患の処置のためか、または処置に使用するためのものである。一実施形態では、腸の上皮性関門の統合性に関連する疾患は、感染症、大腸炎、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、虚血性大腸炎、過敏性腸症候群、リンパ球性大腸炎、コラーゲン性大腸炎、腸炎、セリアック病、および食物アレルギーを含むかまたはからなる群から選択される。
【0245】
本発明は、対象において代謝性疾患、肥満、メタボリックシンドローム、インスリン欠乏またはインスリン抵抗性関連障害、真性糖尿病、2型糖尿病、1型糖尿病、耐糖能障害、高血糖、脂質代謝異常、脂質異常症、高コレステロール、LDLコレステロールの上昇、LDLコレステロールの減少、トリグリセリドの上昇、脂肪組織炎症、脂肪組織線維症、感染症、大腸炎、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、虚血性大腸炎、過敏性腸症候群、リンパ球性大腸炎、コラーゲン性大腸炎、腸炎、がん、結腸直腸がん、免疫系の機能不全、湿疹、アレルギー、食物アレルギー、セリアック病、心理的障害、ストレス、不安、中毒、神経性障害、パーキンソン病、アルツハイマー病、肝疾患、肝硬変、非アルコール性脂肪性肝疾患、脂肪肝、カヘキシア、プラダー・ウィリ症候群、消化管の機能不全、潰瘍、胆嚢疾患、摂食行動障害、神経性食欲不振症、神経性大食症、むちゃ食い障害、心血管疾患、脳卒中、アテローム性動脈硬化、および高血圧、喘息、睡眠時無呼吸、変形性関節症、および炎症性疾患からなる群から選択される障害を処置および/または予防するための方法であって、少なくとも1つの本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらの少なくとも1つのフラグメントを対象に投与するステップを含む、方法に関する。
【0246】
本発明は、対象において代謝性疾患、肥満、メタボリックシンドローム、インスリン欠乏またはインスリン抵抗性関連障害、真性糖尿病、2型糖尿病、1型糖尿病、耐糖能障害、高血糖、脂質代謝異常、脂質異常症、高コレステロール、LDLコレステロールの上昇、LDLコレステロールの減少、トリグリセリドの上昇、脂肪組織炎症、脂肪組織線維症、感染症、大腸炎、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、虚血性大腸炎、過敏性腸症候群、リンパ球性大腸炎、コラーゲン性大腸炎、腸炎、食物アレルギー、セリアック病、潰瘍、カヘキシア、プラダー・ウィリ症候群、摂食行動障害、およびむちゃ食い障害からなる群から選択される障害を処置および/または予防するための方法であって、少なくとも1つの本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらの少なくとも1つのフラグメントを対象に投与するステップを含む、方法に関する。
【0247】
本発明は、対象において代謝性疾患、感染症、大腸炎、腸炎、食物アレルギー、セリアック病、潰瘍、カヘキシア、プラダー・ウィリ症候群、および摂食行動障害からなる群から選択される障害を処置および/または予防するための方法であって、少なくとも1つの本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらの少なくとも1つのフラグメントを対象に投与するステップを含む、方法に関する。
【0248】
本発明は、対象の代謝性疾患を処置および/または予防するための方法であって、少なくとも1つの本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらの少なくとも1つのフラグメントを対象に投与するステップを含む、方法に関する。一実施形態では、本方法は、肥満、真性糖尿病、好ましくは2型糖尿病、メタボリックシンドローム、インスリン欠乏またはインスリン抵抗性関連障害、および耐糖能障害を含むかまたはからなる群から選択される疾患を処置および/または予防するためのものである。
【0249】
一実施形態では、本方法は、それを必要とする対象において肥満を処置および/または予防するためのものである。一実施形態では、本方法は、それを必要とする対象において2型糖尿病を処置および/または予防するためのものである。
【0250】
本発明は、対象において、好ましくは感染症、大腸炎、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、虚血性大腸炎、過敏性腸症候群、リンパ球性大腸炎、コラーゲン性大腸炎、腸炎、セリアック病、および食物アレルギーからなる群から選択される、腸の上皮性関門の統合性に関連する障害を処置および/または予防するための方法であって、少なくとも1つの本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらの少なくとも1つのフラグメントを対象に投与するステップを含む、方法に関する。
【0251】
一実施形態では、対象はヒトである。
【0252】
一実施形態では、対象は、現在/過去に消化管微生物叢に関連する障害と診断されている/されていた。
【0253】
一実施形態では、対象は、消化管微生物叢に関連する障害を発症するリスクがある。リスク因子の例は、限定するものではないが、対象が過体重もしくは肥満であるという事実、または素因、たとえば当該障害に対する家族性の素因などを含み得る。
【0254】
一実施形態では、対象は、肥満である。本明細書中使用される場合、用語「肥満」は、本明細書において、好ましくは対象が約30超、好ましくは約35超、より好ましくは約40超のBMIを有する医学的状態を表す。
【0255】
「BMI」または「ボディマス指数」は、対象の身長(メートル)の2乗で除算した対象の体重(キログラム)として定義されている。医学で広く使用されている式は、kg/m2の測定単位をもたらす。
【0256】
本発明者らは、実質的に健常な対象の腸内微生物叢における本発明の細菌の比率が、対象の糞便で見出される総細菌の約0.1%~5%;好ましくは約0.5%~4%、より好ましくは約0.8%~3%の範囲にあると推定している。一実施形態では、実質的に健常な対象の腸内微生物叢における本発明の細菌の比率は、対象の糞便で見出される総細菌の約2.45%である。
【0257】
本発明の一実施形態では、対象は、腸内微生物叢の組成の調節不全(deregulation)を呈する。好ましくは上記対象の腸内微生物叢は、より好ましくは実質的に健常な対象の腸内微生物叢と比較して、本発明の細菌が枯渇している。
【0258】
一実施形態では、本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメント、本発明の組成物、医薬組成物、医薬、または治療用併用商品は、当業者により決定されかつ各対象に個人的に適した用量で、投与される。
【0259】
さらに、いずれかの特定の対象に特有の治療上有効量は、使用される特定の組成、対象の年齢、体重、一般的な健康状態、性別、および食事;投与時間、投与経路、処置期間;本発明の組成物と併用してまたは同時に使用される薬物;ならびに医療、栄養学、および美容の分野でよく知られている同様の要因を含む様々な要因に応じて変化する。
【0260】
一実施形態では、本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメント、本発明の組成物、医薬組成物、医薬、または治療用併用商品の治療上有効量が、少なくとも1日1回、少なくとも1日2回、少なくとも1日3回、投与される。
【0261】
一実施形態では、本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメント、本発明の組成物、医薬組成物、医薬、または治療用併用商品の治療上有効量が、2日ごと、3日ごと、4日ごと、5日ごと、6日ごとに投与される。
【0262】
一実施形態では、本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメント、本発明の組成物、医薬組成物、医薬、または治療用併用商品の治療上有効量が、1週間に2回、毎週、2週間ごと、1カ月に1回、投与される。
【0263】
一実施形態では、本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメント、本発明の組成物、医薬組成物、医薬、または治療用併用商品の治療上有効量が、1カ月ごと、2カ月ごと、3カ月ごと、4カ月ごと、5カ月ごと、6カ月ごと、1年に1回、投与される。
【0264】
一実施形態では、本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメント、本発明の組成物、医薬組成物、医薬、または治療用併用商品の治療上有効量が、約1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、1週間、2週間、3週間、1カ月間、2カ月間、3カ月間、6カ月間、1年間、またはより長い期間、たとえば数年間、または対象の残りの寿命の間、投与される。
【0265】
一実施形態では、本発明の治療用併用製品が対象に投与される場合、上記併用製品の各パーツは、異なる頻度および異なる期間で投与され得る。
【0266】
いずれかの特定の対象に特有の治療上有効量は、処置される疾患および疾患の重症度を含む様々な要因に応じて変化する。たとえば、所望の治療効果を達成するために必要とされるレベルよりも低いレベルで治療用化合物の投与を開始し、所望の効果が達成されるまでこの用量を徐々に増加させることは十分に当業者の範囲内にあるが、反対に、より迅速に定常状態の血漿中濃度を達成するための方法(ボーラスとも呼ばれる)の負荷投与で開始し、次に任意で除去プロセスの作用を正確に補償するように計算された維持用量で続行することが同様に有用であり得る。
【0267】
本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメント、本発明の組成物、医薬組成物、医薬、または治療用併用商品の一日の総使用量は、正しい医学的な判断の範囲内において担当医により決定される
【0268】
一実施形態では、本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメント、本発明の組成物、医薬組成物、医薬、または治療用併用商品の治療上有効量は、消化管微生物叢に関連する障害の処置もしくは軽減まで;または所望の治療効果が達成されるまで投与される。
【0269】
本発明の細菌の投与に関連する所望の治療効果の例として、限定するものではないが、好ましくは実質的に健常な対象で測定された本発明の細菌の比率により定義される、対象の腸における本発明の細菌の正常な比率の回復、対象の腸における本発明の細菌の比率の増加、対象の腸における本発明の細菌のいずれかの有効な化合物の存在量の増加、耐糖能障害の減少、インスリン抵抗性の減少、腸バリアの透過性の減少、上皮性関門の確立および/または維持に関与する遺伝子、たとえばオクルディン、クローディン、接合部接着分子(JAM)、E-カドヘリン、カテニン、ネクチン、アファディン、ゾヌリンおよび閉鎖帯(ZO)-1、ZO-2、およびZO-3をコードする遺伝子などの発現レベルの増加、腸上皮による粘液の分泌の増加、プログルカゴン、グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)および/またはグルカゴン様ペプチド2(GLP-2)のレベルの増加、食事誘導性空腹時高血糖の低下、対象の腸内微生物叢の他の微生物の増殖および/または生物学的活性の阻害および/または活性化、外来性病原性細菌に対する防御の支援、対象の腸における抗細菌性化合物、ビタミン、SCFA、酢酸塩、酢酸、プロピオン酸塩、プロピオン酸、イソプロピオン酸塩、イソプロピオン酸 吉草酸塩、吉草酸、イソ吉草酸塩、イソ吉草酸、イソ酪酸塩、イソ酪酸、酪酸塩および/または酪酸の消化および産生の増加の支援が挙げられる。
【0270】
一実施形態では、本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメント、本発明の組成物、医薬組成物、医薬、または治療用併用商品の治療上有効量は、慢性的な処置のために投与される。別の実施形態では、本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメント、本発明の組成物、医薬組成物、医薬、または治療用併用商品の治療上有効量は、急性的な処置のために投与される。
【0271】
一実施形態では、1日あたりに投与される本発明の細菌および/またはそのバリアントの治療上有効量は、約1.102~約1.1015cfu/日、好ましくは約1.105~約1.1012cfu/日、より好ましくは約1.108~約1.1010cfu/日、さらにより好ましくは約1.109~約1.1010cfu/日の範囲にある。一実施形態では、1日あたり投与される本発明の細菌および/またはそのバリアントの治療上有効量は、約1.107~約1.1010cfu/日、好ましくは約1.108~約1.109cfu/日の範囲にある。
【0272】
一実施形態では、1日あたりに投与される本発明の細菌の治療上有効量は、約1.106~約1.1010cfu/日、好ましくは約1.108~約1.1010cfu/日、より好ましくは約1.109~約1.1010cfu/日の範囲にある。
【0273】
一実施形態では、1日あたりに投与される本発明の細菌の治療上有効量は、約1.106~約1.1011cfu/日、好ましくは約1.108~約1.1011cfu/日、より好ましくは約1.1010~約1.1011cfu/日の範囲にある。
【0274】
一実施形態では、1日あたりに投与される本発明の細菌および/またはそのバリアントの治療上有効量は、約1.102~約1.1015個の細胞/日、好ましくは約1.105~約1.1012個の細胞/日、より好ましくは約1.108~約1.1011個の細胞/日、さらにより好ましくは約1.109~約1.1010個の細胞/日の範囲にある。一実施形態では、1日あたりに投与される本発明の細菌および/またはそのバリアントの治療上有効量は、約1.108~約1.1011個の細胞/日、好ましくは約5.108~約5.1010個の細胞/日の範囲にある。
【0275】
一実施形態では、1日あたりに投与される本発明の細菌の治療上有効量は、約1.106~約1.1010個の細胞/日、好ましくは約1.108~約1.1010個の細胞/日、より好ましくは約1.109~約1.1010個の細胞/日の範囲にある。
【0276】
一実施形態では、1日あたりに投与される本発明の細菌の治療上有効量は、約1.106~約1.1011個の細胞/日、好ましくは約1.108~約1.1011個の細胞/日、より好ましくは約1.1010~約1.1011個の細胞/日の範囲にある。
【0277】
一実施形態では、1日あたりに投与される本発明の細菌のフラグメントの治療上有効量は、約1.102~約1.1015cfu/日、好ましくは約1.105~約1.1012cfu/日、より好ましくは約1.108~約1.1010cfu/日、さらにより好ましくは約1.109~約1.1010cfu/日の範囲の本発明の細菌またはそのバリアントの量に対応する。一実施形態では、1日あたりに投与される本発明の細菌のフラグメントの治療上有効量は、約1.107~約1.1010cfu/日、好ましくは約1.108~約1.109cfu/日の範囲の本発明の細菌またはそのバリアントの量に対応する。
【0278】
一実施形態では、1日あたりに投与される本発明の細菌のフラグメントの治療上有効量は、約1.106~約1.1010cfu/日、好ましくは約1.108~約1.1010cfu/日、より好ましくは約1.109~約1.1010cfu/日の範囲の本発明の細菌の量に対応する。
【0279】
一実施形態では、1日あたりに投与される本発明の細菌のフラグメントの治療上有効量は、約1.106~約1.1011cfu/日、好ましくは約1.108~約1.1011cfu/日、より好ましくは約1.1010~約1.1011cfu/日の範囲の本発明の細菌の量に対応する。
【0280】
一実施形態では、1日あたりに投与される本発明の細菌のフラグメントの治療上有効量は、約1.102~約1.1015個の細胞/日、好ましくは約1.105~約1.1012個の細胞/日、より好ましくは約1.108~約1.1011個の細胞/日、さらにより好ましくは約1.109~約1.1010個の細胞/日の範囲の本発明の細菌および/またはそのバリアントの量に対応する。一実施形態では、1日あたりに投与される本発明の細菌のフラグメントの治療上有効量は、1.108~約1.1011個の細胞/日、好ましくは約5.108~約5.1010個の細胞/日の範囲の本発明の細菌および/またはそのバリアントの量に対応する。
【0281】
一実施形態では、1日あたりに投与される本発明の細菌のフラグメントの治療上有効量は、約1.106~約1.1010個の細胞/日、好ましくは約1.108~約1.1010個の細胞/日、より好ましくは約1.109~約1.1010個の細胞/日の範囲の本発明の細菌の量に対応する。
【0282】
一実施形態では、1日あたりに投与される本発明の細菌のフラグメントの治療上有効量は、約1.106~約1.1011個の細胞/日、好ましくは約1.108~約1.1011個の細胞/日、より好ましくは約1.1010~約1.1011個の細胞/日の範囲の本発明の細菌の量に対応する。
【0283】
また本発明は、対象において生理的な利点を得るため、健全性を改善するため、不快感を軽減するための、少なくとも1つの本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメントの栄養学的な使用に関する。
【0284】
さらに本発明は、対象および/または他の人物による対象の外観の認知を改善するための、少なくとも1つの本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメントの美容上の使用に関する。
【0285】
一実施形態では、本発明の組成物は、食品添加物、飲料添加物、栄養補助食品、栄養製品、医療食、または栄養組成物の形態にある。
【0286】
さらに本発明は、本発明に係る組成物および少なくとも1つの栄養学上許容される賦形剤を含む栄養組成物に関する。
【0287】
さらに本発明は、本発明に係る組成物および少なくとも1つの美容上許容される美容用組成物に関する。
【0288】
本発明の栄養組成物または美容用組成物では、単独でかまたは別の有効な原則と組み合わせた、本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメントが、従来の担体との混合物として単位投与形態で動物およびヒトへと投与され得る。適切な単位投与形態は、錠剤、ゲル、カプセル剤、散剤、顆粒剤、および経口懸濁剤または液剤などの経口経路の形態、舌下投与およびバッカル投与の形態、エアロゾル、インプラント、皮下、経皮、局所、腹腔内、筋肉内、静脈内、真皮下、髄腔内、鼻腔内、および直腸での投与の形態を含む。
【0289】
一実施形態では、本発明に係る栄養組成物または美容用組成物は、食品および飲料に対する栄養補助食品として使用され得る。
【0290】
本発明に係る栄養組成物または美容用組成物は、保護的な親水コロイド(ガム、タンパク質、修飾されたデンプンなど)、結合剤、フィルム形成剤、カプセル化剤/物質、壁/セル物質、マトリックス化合物、コーティング剤、乳化剤、界面活性剤、可溶化剤(油、脂肪、ワックス、レシチンなど)、吸着剤、担体、フィラー、共化合物、分散剤、湿潤剤、処理助剤(溶媒)、流動化剤、味遮蔽剤、増量剤、ゼリー化剤、ゲル形成剤、抗酸化剤、および抗菌剤をさらに含み得る。
【0291】
さらに、複数のビタミンおよびミネラルのサプリメントが、一部の食事で失われている適切な量の必須栄養素を得るために、本発明の栄養組成物または美容用組成物に添加され得る。また複数のビタミンおよびミネラルのサプリメントは、疾患の予防ならびにライフスタイルのパターンによる栄養の喪失および欠失に対する保護に有用であり得る。
【0292】
本発明に係る栄養組成物または美容用組成物は、身体への投与に適したいずれかのガレヌスの形態(galenic form)、特に経口投与に関して従来よりあるいずれかの形態であり得る。
【0293】
一実施形態では、本発明の栄養組成物または美容用組成物は、経口投与される。
【0294】
経口投与に適した製剤の例として、限定するものではないが、固体の形態、液体の形態、およびゲルが挙げられる。経口投与に適した固体の形態の例として、限定するものではないが、丸剤、錠剤、カプセル剤、軟ゼラチンカプセル剤、硬ゼラチンカプセル剤、ドラジェ、顆粒剤、カプレット剤、圧縮錠、カシェー、ウェハ、糖衣丸剤、糖衣錠剤、または分散錠剤/崩壊錠、散剤、経口投与前の液体への溶解または懸濁に適した固体の形態、および発泡錠剤が挙げられる。経口投与に適した液体の形態の例として、限定するものではないが、液剤、懸濁剤、飲用可能な液剤、エリキシル剤、密閉されたバイアル、水薬(potion、drench)、シロップ剤、アルコール飲料、およびスプレーが挙げられる。
【0295】
経口投与に適した固体の形態の他の例として、限定するものではないが、食品または飼料(のための添加剤/サプリメント)、あらかじめ混合された食品または飼料、栄養価が高められた食品または飼料、錠剤、丸剤、顆粒剤、ドラジェ、カプセル剤、および発泡製剤、たとえば散剤および錠剤が挙げられる。
【0296】
経口投与に適した液体の形態の他の例として、限定するものではないが、液剤、エマルジョン、または懸濁剤、たとえば飲料、ペースト、および油状の懸濁剤が挙げられる。ペーストは、硬シェルまたは軟シェルカプセル剤に組み込まれてもよく、これにより、カプセル剤は、たとえば(魚、ブタ、家禽、ウシ)のゼラチン、植物性タンパク質、またはリグニンスルホン酸塩のマトリックスを特徴とする。
【0297】
本発明の一実施形態では、本発明の組成物、栄養組成物、または美容用組成物は、栄養的組成物の形態にあり、すなわち、液体または固体の食品、飼料、または飲料水を含む。本発明の一実施形態では、本発明の組成物、栄養組成物、または美容用組成物は、食品、たとえば乳製品、乳飲料、ヨーグルト、果物または植物性のジュースまたはその濃縮物、散剤、麦芽、ダイズ、または穀類ベースの飲料、ミューズリーフレークなどの朝食のシリアル、果物および植物性のジュースの粉末、シリアルバーおよび/またはチョコレートバー、菓子類、スプレッド、小麦粉、乳、スムージー、菓子類、乳製品、乳系粉末、還元乳、発酵乳、ヨーグルト、飲用ヨーグルト、固形ヨーグルト、飲料、乳飲料、乳系飲料、チョコレート、ゲル、アイスクリーム、シリアル、還元果実製品、スナックバー、食品バー、ミューズリーバー、スプレッド、ソース、ディップ、ヨーグルトおよびチーズを含む乳製品、乳ベース飲料および非乳ベース飲料を含む飲料、乳ベースおよび非乳ベースのスポーツ用サプリメントを含むスポーツ用サプリメントである。
【0298】
食物の例は、限定するものではないが、マーガリン、スプレッド、バター、チーズ、ソーセージ、ソース、ヨーグルト、乳系飲料、アイスクリーム、ガム、チューインガム、グミキャンディ、タフィー、キャラメルキャンディー、ファッジ、およびハードキャンディがある。
【0299】
栄養価の高められた食物の例として、限定するものではないが、スィートコーン、パン、シリアルバー、ケーキ、パイ、およびクッキーなどのパン・菓子類、ならびにポテトチップまたはクリスプが挙げられる。
【0300】
飲料は、非アルコール性飲料およびアルコール性飲料、ならびに飲用水および液体食品に添加される液体調製物を包有する。非アルコール性飲料として、限定するものではないが、ソフトドリンク、スポーツドリンク、エナジードリンク、フルーツジュース、レモネード、ソーダ、紅茶、および乳ベース飲料が挙げられる。液体食品として、限定するものではないが、スープおよび乳製品が挙げられる。
【0301】
一実施形態では、本発明の組成物、栄養組成物、または美容用組成物は、たとえば細菌のプロバイオティクスの菌株または種;細菌以外の原核生物のプロバイオティクス;または真菌の菌株または種、好ましくは酵母の菌株または種などのさらなるプロバイオティクスの菌株または種をさらに含む。一実施形態では、上記さらなるプロバイオティクスの菌株または種は、対象の腸、好ましくはヒトの腸、より好ましくは実質的に健常なヒト対象の腸に天然に存在するものから選択される。プロバイオティクスの菌株の例は、本明細書中上記に列挙されている。
【0302】
一実施形態では、本発明の組成物、栄養組成物、または美容用組成物は、プレバイオティクスをさらに含む。プレバイオティクス化合物の例は、本明細書中上記に列挙されている。
【0303】
また本発明は、別々の投与、同時投与、または連続投与のための栄養学上または美容用の併用製品である。
【0304】
本明細書中使用される場合、「栄養学上または美容用の併用製品」(栄養学上または美容上のキットオブパーツとも呼ばれ得る)は、少なくとも以下の2つのパーツを含むかまたはからなる製品を表す:第1のパーツは、(好ましくは栄養学上または美容上有効な量(effective affective amount)の本発明の細菌および/またはそのバリアント、本発明に係る組成物、本発明に係る栄養組成物、または本発明に係る美容用組成物を含み、第2のパーツは、少なくとも1つのプロバイオティクスおよび/または少なくとも1つのプレバイオティクスを含む組成物を含む。
【0305】
一実施形態では、本発明に係る栄養学上または美容用の併用製品の少なくとも2つのパーツは、同時に投与される。別の実施形態では、本発明に係る栄養学上または美容用の併用製品の少なくとも2つのパーツは、異なる時間に投与される。別の実施形態では、本発明に係る栄養学上または美容用の併用製品の少なくとも2つのパーツは、連続して投与される。
【0306】
一実施形態では、本発明に係る栄養学上または美容用の併用製品の少なくとも2つのパーツは、異なる投与経路を使用して投与される。(たとえば1つのパーツは経口投与により投与され、第2のパーツは注射により投与されるなど)。別の実施形態では、本発明に係る栄養学上または美容用の併用製品の少なくとも2つのパーツは、同じ投与経路(たとえば経口投与または注射など)を使用して投与される。
【0307】
さらに本発明は、対象において、健全性を改善するため、生理的利点を得るため、および/または美容上の利点を得るための非治療的な方法であって、上記方法が、少なくとも1つの本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメント、または本発明の組成物、栄養組成物もしくは併用製品または美容用組成物もしくは併用製品を対象に投与するステップを含む、方法に関する。
【0308】
よって本発明は、本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメントの栄養学的または美容上の使用に関する。
【0309】
一実施形態では、本発明の方法は、本発明の細菌および/またはそのフラグメント、本発明の組成物または美容用組成物の美容上有効量を対象に投与するステップを含む。
【0310】
一実施形態では、本発明の方法は、本発明の細菌および/またはそのフラグメント、または本発明の組成物または栄養組成物または栄養学上併用組成物の栄養学上有効量を対象に投与するステップを含む。
【0311】
本明細書中使用される場合、用語「生理的利点」は、対象における生理機能の効率の増加、または対象における不快感の部分的もしくは完全な軽減を表す。
【0312】
本明細書中使用される場合、「健全性」は、対象による自身の健康状態の認知の改善を表す。
【0313】
本明細書中使用される場合、「美容上の利点」は、対象または他の人物による対象の外観の認知の改善を表す。
【0314】
一実施形態では、本発明の方法は、対象の健全性を改善するための方法である。よって本発明は、対象の健全性を改善するための、本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメントの使用に関する。
【0315】
一実施形態では、本発明の方法は、対象の体重減少を促進するための方法である。よって本発明は、対象の体重減少を促進するための、本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメントの使用に関する。
【0316】
一実施形態では、本発明の方法は、対象の食物摂取量を減少させるための方法である。よって本発明は、対象の食物摂取量を減少させるための、本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメントの使用に関する。
【0317】
一実施形態では、本発明の方法は、対象の筋肉量を増大させるための方法である。よって本発明は、対象の筋肉量を増大させるための、本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメントの使用に関する。
【0318】
一実施形態では、本発明の方法は、対象の体脂肪量を減少させるための方法である。よって本発明は、対象の体脂肪量を減少させるための本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメントの使用に関する。一実施形態では、本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメントは、脂肪蓄積の異常、脂肪分解の変化、および高脂肪の蓄積を減少させる。一実施形態では、本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメントは、脂肪分解を増大させる。
【0319】
一実施形態では、本発明の方法は、対象の満腹感を増大させるための方法である。よって本発明は、対象の満腹感を増大させるための、本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメントの使用に関する。
【0320】
一実施形態では、本発明の方法は、対象の食物摂取量に関連する体重増加を減少させるための方法である。よって本発明は、対象の食物摂取量に関連する体重増加を減少させるための、本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメントの使用に関する。
【0321】
一実施形態では、本発明の方法は、対象の食物摂取量に関連する腸内吸収を減少させるための方法である。よって本発明は、対象の食物摂取量に関連する腸内吸収を減少させるための、本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメントの使用に関する。
【0322】
一実施形態では、対象は、特に腸内微生物叢に関連する障害に関して、実質的に健常である。
【0323】
一実施形態では、対象は肥満ではない。一実施形態では、対象は、約40未満、好ましくは約35未満、より好ましくは約30未満のBMIを有する。一実施形態では、対象は、過体重ではない。一実施形態では、対象は、約30未満、より好ましくは約25未満のBMIを有する。
【0324】
一実施形態では、本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメント、または本発明の組成物、栄養組成物または栄養学上併用製品、または本発明の美容用組成物または併用製品は、当業者により決定され、かつ各対象に個人的に適した用量で投与される。
【0325】
さらに、いずれかの特定の対象に特有の栄養学上または美容上有効な量は、使用される特定の組成、対象の年齢、体重、一般的な健康状態、性別、および食事;投与時間、投与経路、処置期間;本発明の組成物と併用してまたは同時に使用される薬物;ならびに医療、栄養学、および美容の分野でよく知られている同様の要因を含む様々な要因に応じて変化する。
【0326】
一実施形態では、本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメント、または本発明の組成物、栄養組成物または栄養学上併用製品、または本発明の美容用組成物または併用製品の栄養学上または美容上有効量が、少なくとも1日1回、少なくとも1日2回、少なくとも1日3回、投与される。
【0327】
一実施形態では、本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメント、または本発明の組成物、栄養組成物または栄養学上併用製品、または本発明の美容用組成物または併用製品の栄養学上または美容上有効量が、2日ごと、3日ごと、4日ごと、5日ごと、6日ごとに投与される。
【0328】
一実施形態では、本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメント、または本発明の組成物、栄養組成物または栄養学上併用製品、または本発明の美容用組成物または併用製品の栄養学上または美容上有効量が、1週間に2回、1週間ごと、2週間ごと、1カ月に1回、投与される。
【0329】
一実施形態では、本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメント、または本発明の組成物、栄養組成物または栄養学上併用製品、または本発明の美容用組成物または併用製品の栄養学上または美容上有効量が、1カ月ごと、2カ月ごと、3カ月ごと、4カ月ごと、5カ月ごと、6カ月ごと、1年に1回、投与される。
【0330】
一実施形態では、本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメント、または本発明の組成物、栄養組成物または栄養学上併用製品、または本発明の美容用組成物または併用製品の栄養学上または美容上有効量が、約1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、1週間、2週間、3週間、1カ月間、2カ月間、3カ月間、6カ月間、1年間、またはより長い期間、たとえば数年間、または対象の残りの寿命の間、投与される。
【0331】
一実施形態では、本発明の栄養学上または美容用の併用製品が対象に投与される場合、上記併用製品の各パーツが、異なる頻度および異なる期間投与され得る。
【0332】
一実施形態では、本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメント、または本発明の栄養組成物または栄養学上併用製品、または本発明の組成物、栄養組成物または栄養学上併用製品、または美容用組成物または併用製品の栄養学上または美容上有効量は、所望の生理的または美容上の利点が達成されるまで投与される。
【0333】
生理的または美容上の利点の例として、限定するものではないが、健全性の改善、体重減少、筋肉量の増加、体脂肪量の低下、食物摂取量の低下、満腹感の増加、食物摂取量に関連する体重増加の減少、食物摂取量に関連する腸内吸収の減少が挙げられる。
【0334】
一実施形態では、1日あたり投与される本発明の細菌および/またはそのバリアントの栄養学上または美容上有効量は、約1.102~約1.1015cfu/日、好ましくは約1.105~約1.1012cfu/日、より好ましくは約1.108~約1.1010cfu/日、さらにより好ましくは約1.109~約1.1010cfu/日の範囲にある。一実施形態では、1日あたり投与される本発明の細菌および/またはそのバリアントの栄養学上または美容上有効量は、約1.107~約1.1011cfu/日、好ましくは約1.108~約1.1010cfu/日の範囲にある。
【0335】
一実施形態では、1日あたり投与される本発明の細菌の栄養学上または美容上有効量は、約1.106~約1.1010cfu/日、好ましくは約1.108~約1.1010cfu/日、より好ましくは約1.109~約1.1010cfu/日の範囲にある。
【0336】
一実施形態では、1日あたり投与される本発明の細菌の栄養学上または美容上有効量は、約1.106~約1.1011cfu/日、好ましくは約1.108~約1.1011cfu/日、より好ましくは約1.1010~約1.1011cfu/日の範囲にある。
【0337】
一実施形態では、1日あたり投与される本発明の細菌および/またはそのバリアントの栄養学上または美容上有効量は、約1.102~約1.1015個の細胞/日、好ましくは約1.105~約1.1012個の細胞/日、より好ましくは約1.108~約1.1010個の細胞/日、さらにより好ましくは約1.109~約1.1010個の細胞/日の範囲にある。一実施形態では、1日あたり投与される本発明の細菌および/またはそのバリアントの栄養学上または美容上有効量は、約1.108~約1.1011個の細胞/日、好ましくは約5.108~約5.1010個の細胞/日の範囲にある。
【0338】
一実施形態では、1日あたり投与される本発明の細菌の栄養学上または美容上有効量は、約1.106~約1.1010個の細胞/日、好ましくは約1.108~約1.1010個の細胞/日、より好ましくは約1.109~約1.1010個の細胞/日の範囲にある。
【0339】
一実施形態では、1日あたり投与される本発明の細菌の栄養学上または美容上有効量は、約1.106~約1.1011個の細胞/日、好ましくは約1.108~約1.1011個の細胞/日、より好ましくは約1.1010~約1.1011個の細胞/日の範囲にある。
【0340】
一実施形態では、1日あたり投与される本発明の細菌のフラグメントの栄養学上または美容上有効量は、約1.102~約1.1015cfu/日、好ましくは約1.105~約1.1012cfu/日、より好ましくは約1.108~約1.1010cfu/日、さらにより好ましくは約1.109~約1.1010cfu/日の範囲の本発明の細菌および/またはそのバリアントの量に対応する。一実施形態では、1日あたり投与される本発明の細菌のフラグメントの栄養学上または美容上有効量は、約1.107~約1.1011cfu/日、好ましくは約1.108~約1.1010cfu/日の範囲の本発明の細菌および/またはそのバリアントの量に対応する。
【0341】
一実施形態では、1日あたり投与される本発明の細菌のフラグメントの栄養学上または美容上有効量は、約1.106~約1.1010cfu/日、好ましくは約1.108~約1.1010cfu/日、より好ましくは約1.109~約1.1010cfu/日の範囲の本発明の細菌の量に対応する。
【0342】
一実施形態では、1日あたり投与される本発明の細菌のフラグメントの栄養学上または美容上有効量は、約1.106~約1.1011cfu/日、好ましくは約1.108~約1.1011cfu/日、より好ましくは約1.1010~約1.1011cfu/日の範囲の本発明の細菌の量に対応する。
【0343】
一実施形態では、1日あたり投与される本発明の細菌のフラグメントの栄養学上または美容上有効量は、約1.102~約1.1015個の細胞/日、好ましくは約1.105~約1.1012個の細胞/日、より好ましくは約1.108~約1.1011個の細胞/日、さらにより好ましくは約1.109~約1.1010個の細胞/日の範囲の本発明の細菌および/またはそのバリアントの量に対応する。一実施形態では、1日あたり投与される本発明の細菌のフラグメントの栄養学上または美容上有効量は、約1.108~約1.1011個の細胞/日、好ましくは約5.108~約5.1010個の細胞/日の範囲の本発明の細菌および/またはそのバリアントの量に対応する。
【0344】
一実施形態では、1日あたり投与される本発明の細菌のフラグメントの栄養学上または美容上有効量は、約1.106~約1.1010個の細胞/日、好ましくは約1.108~約1.1010個の細胞/日、より好ましくは約1.109~約1.1010個の細胞/日の範囲の本発明の細菌の量に対応する。
【0345】
一実施形態では、1日あたり投与される本発明の細菌のフラグメントの栄養学上または美容上有効量は、約1.106~約1.1011個の細胞/日、好ましくは約1.108~約1.1011個の細胞/日、より好ましくは約1.1010~約1.1011個の細胞/日の範囲の本発明の細菌の量に対応する。
【0346】
本発明は、対象の消化管微生物叢に関連する障害を処置するための方法であって、少なくとも1つの本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/または少なくとも1つのそれらのフラグメントを対象に投与するステップを含む、方法に関する。
【0347】
また本発明は、対象の腸内微生物叢に関連する機能を回復および/または高めるための方法であって、少なくとも1つの本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/または少なくとも1つのそれらのフラグメントを対象に投与するステップを含む、方法に関する。
【0348】
本発明は、対象の耐糖能障害および/またはインスリン抵抗性を減少させるための方法であって、少なくとも1つの本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/または少なくとも1つのそれらのフラグメントを対象に投与するステップを含む、方法に関する。
【0349】
本発明は、それを必要とする対象の腸内微生物叢に存在する本発明の細菌の正常な比率を回復させるための方法であって、少なくとも1つの本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/または少なくとも1つのそれらのフラグメントを対象に投与するステップを含む、方法に関する。一実施形態では、上記正常な比率は、実質的に健常な対象で観察される比率に対応する。一実施形態では、上記正常な比率は、対象の糞便で見出される総細菌の約0.1%~約5%、好ましくは約0.5%~約4%、より好ましくは約0.8%~約3%の範囲にある。一実施形態では、実質的に健常な対象における正常な比率は、対象の糞便で見出される総細菌の約2.45%である。一実施形態では、上記正常な比率は、実質的に健常な対象の糞便で見出される総細菌の少なくとも0.5%、好ましくは少なくとも0.6%、0.7%、0.8%、0.85%、0.90%、0.95%、1%、1.05%、1.10%、1.15%、1.20%、1.25%、1.30%、1.35%、1.40%、1.45%、より好ましくは少なくとも1.50%、1.55%、1.60%、1.65%、1.70%、1.75%、1.80%、1.85%、1.90%、2%、2.05%、2.10%、2.15%、2.20%、2.25%、2.30%、2.35%、2.40%、またはそれ以上である。
【0350】
本発明の細菌の存在および/または比率を決定するための技術は、当業者に知られており、限定するものではないが、PCR、qPCR、ハイブリダイゼーション技術(FISH、ノーザンブロット)、細菌同定キット、およびDNAまたはRNAのシーケンシング、ならびにイムノ検出の技術を含む。
【0351】
本発明は、対象の腸バリアの透過性を減少させるための方法であって、少なくとも1つの本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/または少なくとも1つのそれらのフラグメントを対象に投与するステップを含む、方法に関する。
【0352】
本発明は、上皮性関門の確立および/または維持に関与する遺伝子、たとえばムチン(muc-限定するものではないがムチン2を含む)、オクルディン、クローディン(cldn-限定するものではないがクローディン3、4、7、15、および23を含む)、デフェンシン(defa-限定するものではないがデフェンシン5、17、21、22、24、30、34を含む)、REG(Regenerating islet-derived protein)(reg-限定するものではないがREG1、3a、3b、および3gを含む)接合部接着分子(JAM)、E-カドヘリン、カテニン、ネクチン、アファディン、ゾヌリン、および閉鎖帯(ZO)-1、ZO-2、およびZO-3をコードする遺伝子などの発現レベルを増大させるための方法であって、本発明の方法が、少なくとも1つの本発明の細菌および/または少なくとも1つのそのフラグメントを対象に投与するステップを含む、方法に関する。
【0353】
本発明は、腸上皮による粘液の分泌を増大させるための方法であって、本発明の方法が、少なくとも1つの本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/または少なくとも1つのそれらのフラグメントを対象に投与するステップを含む、方法に関する。
【0354】
本発明は、対象においてプログルカゴンおよび/またはグルカゴン様ペプチド1(GLP-1)および/またはグルカゴン様ペプチド2(GLP-2)のレベルを増大させるための方法であって、少なくとも1つの本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/または少なくとも1つのそれらのフラグメントを上記対象に投与するステップを含む、方法に関する。
【0355】
本発明は、対象の脂肪組織の線維症を減少させるための方法であって、少なくとも1つの本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/または少なくとも1つのそれらのフラグメントを上記対象に投与するステップを含む、方法に関する。
【0356】
本発明は、対象の脂肪組織の線維症に関与する遺伝子、好ましくはThbs2、Col6a2、S100a6、Myoc、Col1a2、Col1a1、Col5a2、Col3a1、Ntn1、Ctsc2、Serpinf1、Adamts4、Col6a1、Anxa1、Nid2、Cilp、Lum、およびMmp14を含むかまたはからなる群から選択される遺伝子の発現を減少させるための方法であって、少なくとも1つの本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/または少なくとも1つのそれらのフラグメントを上記対象に投与するステップを含む、方法に関する。
【0357】
本発明は、対象の褐色脂肪組織の線維症に関与する遺伝子、好ましくはThbs2、Col6a2、S100a6、Myoc、Col1a2、Col1a1、Col5a2、Col3a1、Ntn1、Ctsc2、Serpinf1、Adamts4、Col6a1、Anxa1、Nid2、Cilp、Lum、Mmp14、およびCol10aを含むかまたはからなる群から選択される遺伝子の発現を減少させるための方法であって、少なくとも1つの本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/または少なくとも1つのそれらのフラグメントを上記対象に投与するステップを含む、方法に関する。
【0358】
本発明は、対象の皮下脂肪組織の線維症に関与する遺伝子、好ましくはThbs2、Adamts12、Lum、Cela1、S100a6、Cilp、Ctsc2、Serpinf1、Anxa1、Mmp14、Col1a2、Col3a1、Col5a2、Col6a1、Col6a2、Col1a1、Myoc、Nid2、Ntn1、およびAdamts4を含むかまたはからなる群から選択される遺伝子の発現を減少させるための方法であって、少なくとも1つの本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/または少なくとも1つのそれらのフラグメントを上記対象に投与するステップを含む、方法に関する。
【0359】
本発明は、対象の脂肪組織、好ましくは褐色脂肪組織の炎症を減少させるための方法であって、少なくとも1つの本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/または少なくとも1つのそれらのフラグメントを上記対象に投与するステップを含む、方法に関する。
【0360】
本発明は、対象の脂肪組織、好ましくは褐色脂肪組織の炎症に関与する遺伝子、好ましくはNaip6、Anxa1、Lbp、Ccl6、Pycard、F2rl1、Ccl9、Smpdl3b、Cela1、Tnfrsf1b、Cd5l、Ptafr、C3ar1、Pf4、Loxl3、Ccr5、Saa3、Ccr1、Adra2a、Tlr13、Ccl2、Alox5、Fcgr1、Ccl7、Ccl8、Ptgs2、Havcr2、Relb2、Ticam2、Stab1、Themis2_2、Tlr11、Ptger2、Orm2、Cxcr3、Pxk1、Pelb1、Nlrp10、Ccl12、Ppbp、Cd180、C,cl3、Ptgir2、Ptgir1、Chst1_2、Adma8、Nrros、Ptger1、およびThemis2_1を含むかまたはからなる群から選択される遺伝子の発現を減少させるための方法であって、少なくとも1つの本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/または少なくとも1つのそれらのフラグメントを上記対象に投与するステップを含む、方法に関する。
【0361】
本発明は、対象の食事誘導性空腹時高血糖を低減させるための方法であって、少なくとも1つの本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/または少なくとも1つのそれらのフラグメントを上記対象に投与するステップを含む、方法に関する。
【0362】
本発明は、対象のエネルギー消費を増大させるための方法であって、少なくとも1つの本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/または少なくとも1つのそれらのフラグメントを上記対象に投与するステップを含む、方法に関する。
【0363】
本発明は、対象のエネルギー腸内吸収を減少させるための方法であって、少なくとも1つの本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/または少なくとも1つのそれらのフラグメントを上記対象に投与するステップを含む、方法に関する。
【0364】
同じ環境を共有する場合、微生物間の相互作用は、競合的および/または協同的な作用をもたらし得る。
【0365】
よってさらに本発明は、対象の腸内微生物叢の他の微生物の増殖および/または生物学的な活性を活性化するための方法であって、少なくとも1つの本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/または少なくとも1つのそれらのフラグメントを上記対象に投与するステップを含む、方法に関する。
【0366】
また本発明は、対象の腸内微生物叢の他の微生物の増殖および/または生物学的な活性を阻害するための方法であって、少なくとも1つの本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/または少なくとも1つのそれらのフラグメントを上記対象に投与するステップを含む、方法に関する。
【0367】
また本発明は、対象において外来性病原性細菌に対する防御を支援するための方法であって、少なくとも1つの本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/または少なくとも1つのそれらのフラグメントを上記対象に投与するステップを含む、方法に関する。
【0368】
本発明は、対象において抗細菌性化合物の産生を増大させるための方法であって、少なくとも1つの本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/または少なくとも1つのそれらのフラグメントを上記対象に投与するステップを含む、方法に関する。
【0369】
本発明は、対象においてデフェンシンの産生を増大させるための方法であって、少なくとも1つの本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/または少なくとも1つのそれらのフラグメントを上記対象に投与するステップを含む、方法に関する。
【0370】
腸内微生物叢の細菌は、ビタミンの消化および産生に関与することにより宿主の代謝に関与する。
【0371】
よってさらに本発明は、対象においてビタミンの消化および/または産生を支援するための方法であって、少なくとも1つの本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/または少なくとも1つのそれらのフラグメントを上記対象に投与するステップを含む、方法に関する。
【0372】
腸内微生物叢の嫌気性細菌により産生される酪酸塩は、エネルギー代謝および関連する代謝性疾患に関して宿主の健康に多くの有益な作用を有する。またこれは、免疫調節作用、抗菌作用、および抗腫瘍形成作用を有する。本発明の細菌としての、clostridial cluster IVに属する細菌は、主要な酪酸塩産生株である。酪酸塩の唯一の役割以外に、他の短鎖脂肪酸(SCFA)、たとえばギ酸塩、酢酸塩、イソ酪酸塩、プロピオン酸塩、イソ吉草酸塩、および吉草酸塩などが、宿主の代謝および免疫に有用な作用を有する。
【0373】
よって本発明は、対象の腸におけるSCFAの産生を増大させるための方法であって、少なくとも1つの本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/または少なくとも1つのそれらのフラグメントを上記対象に投与するステップを含む、方法に関する。
【0374】
また本発明は、対象の腸における酪酸塩、イソ酪酸塩、酪酸、および/またはイソ酪酸の産生を増大させるための方法であって、少なくとも1つの本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/または少なくとも1つのそれらのフラグメントを上記対象に投与するステップを含む、方法に関する。
【0375】
本発明は、対象の腸における酢酸塩および/または酢酸の産生を増大させるための方法であって、少なくとも1つの本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/または少なくとも1つのそれらのフラグメントを上記対象に投与するステップを含む、方法に関する。
【0376】
本発明は、対象の腸におけるプロピオン酸塩、イソプロピオン酸塩、プロピオン酸、および/またはイソプロピオン酸の産生を増大させるための方法であって、少なくとも1つの本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/または少なくとも1つのそれらのフラグメントを上記対象に投与するステップを含む、方法に関する。
【0377】
本発明は、対象の脂肪組織、好ましくは褐色脂肪組織および/または皮下脂肪組織の炎症応答に関与する遺伝子の発現を減少させるための方法であって、少なくとも1つの本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/または少なくとも1つのそれらのフラグメントを上記対象に投与するステップを含む、方法に関する。
【0378】
本発明は、対象の脂肪組織、好ましくは褐色脂肪組織および/または皮下脂肪組織の炎症応答に関与する遺伝子の発現を減少させるための方法であって、少なくとも1つの本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/または少なくとも1つのそれらのフラグメントを上記対象に投与するステップを含む、方法に関する。
【0379】
本発明は、対象の脂肪組織、好ましくは褐色脂肪組織および/または皮下脂肪組織の線維症に関与する遺伝子の発現を減少させるための方法であって、少なくとも1つの本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/または少なくとも1つのそれらのフラグメントを上記対象に投与するステップを含む、方法に関する。
【0380】
本発明は、対象の腸におけるToll様受容体2(TLR2)の活性化を増大させるための方法であって、少なくとも1つの本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/または少なくとも1つのそれらのフラグメントを上記対象に投与するステップを含む、方法に関する。一実施形態では、本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらのフラグメントは、対象の腸上皮細胞においてToll様受容体2(TLR2)の活性化を増大させる。
【0381】
本発明は、対象の腸において吉草酸塩、イソ吉草酸塩、吉草酸、および/またはイソ吉草酸の産生を増大させるための方法であって、少なくとも1つの本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/または少なくとも1つのそれらのフラグメントを上記対象に投与するステップを含む、方法に関する。
【0382】
一実施形態では、本発明の治療上の方法は、本発明の組成物、医薬組成物、または医薬を対象に投与するステップを含む。一実施形態では、少なくとも1つの本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらの少なくとも1つのフラグメントの治療上有効量が、対象に投与される。
【0383】
一実施形態では、本発明の非治療上の方法は、本発明の組成物、栄養組成物、または美容用組成物を対象に投与するステップを含む。一実施形態では、少なくとも1つの本発明の細菌および/またはそのバリアントおよび/またはそれらの少なくとも1つのフラグメントの美容上または栄養学上有効な量が、対象に投与される。
【図面の簡単な説明】
【0384】
【
図1】
図1は、対数期におけるJ115株の細胞の走査型電子顕微鏡写真を示す。(a)50 000倍の倍率、スケールバー=1μm。(b)10 000倍の倍率、スケールバー=2μm。
【
図2A】
図2は、J115株(Dysosmobacter welbionis)、Oscillibacter. ruminantium JCM 18333
T(=GH1T=KCTC 15176=NBRC 108824)Oscillibacter valericigenes DSM 18026
T(Sjm18-20T=NBRC 101213)、Oscillospira guilliermondii、および他の関連する分類群の間の関連を示す、16S rRNA遺伝子配列に基づく系統樹を示す。GenBank寄託番号が、丸括弧で示されている。1000個のレプリケートに基づくブートストラップ値が、分岐点上に表されている。バー、ヌクレオチド位置あたり0.02置換。(a)近隣結合法による系統樹、(b)最尤法による系統樹。
【
図3A】
図3は、J115株(Dysosmobacter welbionis)、Oscillibacter. ruminantium JCM 18333
T(=GH1T=KCTC 15176=NBRC 108824)Oscillibacter valericigenes DSM 18026
T(Sjm18-20
T=NBRC 101213)、および他の関連する分類群の間の関連を示す、12のタンパク質をコードする遺伝子の連鎖状配列に基づくMLSAの系統樹を示す。遺伝子配列を回収するために使用される完全なゲノムのGenBank寄託番号が、丸括弧で示されている。1000個のレプリケートに基づくブートストラップ値が、分岐点上に表されている。MLSAに含まれている12個の遺伝子は、RNAポリメラーゼ胞子形成特異的シグマ因子SigE(sigE)、ホスホリボシルホルミルグリシンアミジンシクロ-リガーゼ(purM)、アルギニノコハク酸シンテターゼ(ass)、アスパルトキナーゼ(lysC)、ホスフェート飢餓誘導性タンパク質(phoH)、カタボライト抑制HPr様タンパク質(crh)、シャペロンgroEL(groEL)、tRNA修飾 GTPase MnmE(thdF)、翻訳開始因子IF-2(infB)、タンパク質recA(recA)、RNAポリメラーゼシグマ因子RpoD(rpoD)、およびDNAジャイレースサブユニットB(gyrB)である。バー、ヌクレオチド位あたり0.05の置換。(A)近隣結合法による系統樹、(b)最尤法による系統樹。
【
図4】
図4は、J115株(Dysosmobacter welbionis)、Oscillibacter. ruminantium JCM 18333
T(=GH1T=KCTC 15176=NBRC 108824)Oscillibacter valericigenes DSM 18026
T(Sjm18-20T=NBRC 101213)、および他の関連する分類群の間の関連を示す、全ゲノムに基づくANI(Average Nucleotide Identity)非加重結合法(UPGMA)による系統樹を示す。使用される完全なゲノムのGenBank寄託番号が、丸括弧で示されている。
【
図5】
図5は、J115株(Dysosmobacter welbionis)、Oscillibacter ruminantium JCM 18333
T(=GH1T=KCTC 15176=NBRC 108824) Oscillibacter valericigenes DSM 18026
T(Sjm18-20T=NBRC 101213)、および他の関連する分類群の間の関連を示す、全ゲノムに基づくゲノム間距離(GGD)のUPGMAによる系統樹を示す。使用される完全なゲノムのGenBank寄託番号が、丸括弧で示されている。
【
図6】
図6は、8週間の間、毎日Dysosmobacter welbionis J115(200μLの無菌性嫌気性のリン酸塩-炭酸塩バッファー生理食塩水(PCBS)に懸濁された10
9個の細菌細胞)で強制経口投与により処置し、高脂肪食を与えたマウス(HFD-Dysosmobacter J115)、または対照食を与え毎日等量の無菌性嫌気性PCBS-炭酸塩を強制経口投与することにより処置したマウス(対照)、または高脂肪食を与え毎日等量の無菌性嫌気性PCBS-炭酸塩を強制経口投与することにより処置したマウス(HFD)の体重曲線を示すグラフである(n=10/グループ)。
【
図7】
図7は、
図6に記載される8週間の処置の終了時に各グループで測定された体重増加を示すグラフである。データは、中央値の散布図として示されている。*:p<0.05、クラスカル=ウォリス検定、次いでペアワイズ比較を行った。
【
図8】
図8は、
図6に記載される8週間の処置の間の2つのマウスのケージの毎週の食物摂取量に基づき計算された1日の食物摂取量量を示すグラフである。データは、中央値の散布図として示されている。**:p<0.01、クラスカル=ウォリス検定、次いでペアワイズ比較を行った。
【
図9】
図9は、
図6に記載される8週間の処理の6週目および7週目の間のマウス当たり摂取されたカロリーの1日量を示すグラフである。データは、中央値の散布図として示されている。*:p<0.05、クラスカル=ウォリス検定、次いでペアワイズ比較を行った。
【
図10】
図10は、
図6に記載される8週間の処置の6週目および7週目の間のマウス当たりの排泄されたカロリー(産出された糞便エネルギー)の1日量を示すグラフである。データは、中央値の散布図として示されている。*:p<0.05、クラスカル=ウォリス検定、次いでペアワイズ比較を行った。
【
図11】
図11は、
図6に記載される8週間の処置の6週目および7週目の間のマウス当たりの吸収されたカロリー(吸収されたエネルギー)の1日量を示すグラフである。データは、中央値の散布図として示されている。*:p<0.05、クラスカル=ウォリス検定、次いでペアワイズ比較を行った。
【
図12】
図12は、
図6に記載される8週間の処置の終了時の食物摂取量を通した体重増加の比率を示すグラフである。データは、中央値の散布図として示されている。
【
図13】
図13は、
図6に記載される8週間の処置の終了時の回腸終端部で測定されたプログルカゴンmRNA発現レベルを示すグラフである。データは、中央値の散布図として示されている。**:p<0.01、クラスカル=ウォリス検定、次いでペアワイズ比較を行った。
【
図14】
図14は、in vitroでのDysosmobacter welbionisのJ115株により産生される短鎖脂肪酸(SCFA)を示すヒストグラムである。
【
図15】
図15は、
図6に記載される8週間の処置の終了時の回腸終端部で測定されたオクルディン mRNA発現レベルを示すグラフである。データは、中央値の散布図として示されている。*:p<0.05、クラスカル=ウォリス検定、次いでペアワイズ比較を行った。
【
図16】
図16は、異なる濃度のD.welbionis J115
Tへの2時間曝露(exposition)した後のGLUtag細胞の上清における総GLP-1の相対濃度を示すグラフである。データは、中央値の散布図として示されている。
【
図17】
図17は、異なる濃度のD.welbionis J115
Tへの2時間曝露(exposition)した後のGLUtag細胞におけるGLP-1の細胞外(上清)および細胞内の相対濃度の合計を示すグラフである。データは、中央値の散布図として示されている。
【
図18】
図18は、1日あたりのマウスあたりに投与される未処置の凍結された懸濁物におけるD.welbionis J115の死細胞および生細胞の量を示すグラフである。
【
図19】
図19は、13週間、毎日5.10
9個のD.welbionis J115
Tの細胞の未処置および凍結した懸濁物を強制経口投与することにより処置し、HF食を与えたマウス(それぞれHFD-J115-freshおよびHFD-J115-frozen)、または対照食を与え、毎日等量の嫌気性PBS-炭酸塩バッファー生理食塩水中15%の無菌性トレハロースを強制経口投与することにより処置したマウス(対照)、または高脂肪食を与え、毎日等量の嫌気性PBS-炭酸塩バッファー生理食塩水中15%の無菌性トレハロースを強制経口投与することにより処置したマウス(HFD)の体重の発展を示すグラフである(n=12/グラフ)。星印または(+)の印は、一元ANOVA、次いでペアワイズ比較およびテューキーによる補正を行うことからなる統計解析による2つのグループ間の有意差(*または+:p<0.05;**または++:p<0.01;***または+++:p<0.001)を表す。*は、HFDグループとHFD-J115-freshグループとの間の統計的有意性を表し、+は、HFDグループとHFD-J115-frozenグループとの間の統計的有意性を表す。
【
図20】
図20は、13週間、毎日5.10
9個のD.welbionis J115
Tの細胞の未処置および凍結した懸濁物を強制経口投与することにより処置し、HF食を与えたマウス(それぞれHFD-J115-freshおよびHFD-J115-frozen)、または対照食を与え、毎日等量の嫌気性PBS-炭酸塩バッファー生理食塩水中15%の無菌性トレハロースを強制経口投与することにより処置したマウス(対照)、または高脂肪食を与え、毎日等量の嫌気性PBS-炭酸塩バッファー生理食塩水中15%の無菌性トレハロースを強制経口投与することにより処置したマウス(HFD)の体重増加の合計を示すグラフである(n=12/グループ)。星は、一元ANOVA、次いでペアワイズ比較およびテューキーによる補正を行うことからなる統計解析による2つのグループ間の有意差(*:p<0.05)を表す。
【
図21】
図21は、13週間にわたる2つのマウスのケージの毎週の食物摂取量に基づき計算された、13週間、毎日5.10
9個のD.welbionis J115
Tの細胞の未処置および凍結した懸濁物を強制経口投与することにより処置し、HF食を与えたマウス(それぞれHFD-J115-freshおよびHFD-J115-frozen)、または対照食を与え、毎日等量の嫌気性PBS-炭酸塩バッファー生理食塩水中15%の無菌性トレハロースを強制経口投与することにより処置したマウス(対照)、または高脂肪食を与え、毎日等量の嫌気性PBS-炭酸塩バッファー生理食塩水中15%の無菌性トレハロースを強制経口投与することにより処置したマウス(HFD)の、1日あたりのマウスあたりの1日の食物摂取量量を示すグラフである(n=12/グループ)。星は、一元ANOVA、次いでペアワイズ比較およびテューキーによる補正を行うことからなる統計解析による2つのグループ間の有意差(****:p<0.0001)を表す。
【
図22】
図22は、13週間、毎日5.10
9個のD.welbionis J115
Tの細胞の未処置および凍結した懸濁物を強制経口投与することにより処置し、HF食を与えたマウス(それぞれHFD-J115-freshおよびHFD-J115-frozen)、または対照食を与え、毎日等量の嫌気性PBS-炭酸塩バッファー生理食塩水中15%の無菌性トレハロースを強制経口投与することにより処置したマウス(対照)、または高脂肪食を与え、毎日等量の嫌気性PBS-炭酸塩バッファー生理食塩水中15%の無菌性トレハロースを強制経口投与することにより処置したマウス(HFD)の、実験の6週目および8週目の間の1日あたりのマウスあたりの摂取したエネルギー(カロリー)を示すグラフである(n=12/グループ)。データは、中央値の散布図として示されている。
【
図23】
図23は、13週間、毎日5.10
9個のD.welbionis J115
Tの細胞の未処置および凍結した懸濁物を強制経口投与することにより処置し、HF食を与えたマウス(それぞれHFD-J115-freshおよびHFD-J115-frozen)、または対照食を与え、毎日等量の嫌気性PBS-炭酸塩バッファー生理食塩水中15%の無菌性トレハロースを強制経口投与することにより処置したマウス(対照)、または高脂肪食を与え、毎日等量の嫌気性PBS-炭酸塩バッファー生理食塩水中15%の無菌性トレハロースを強制経口投与することにより処置したマウス(HFD)の、実験の6週目および8週目の間の1日あたりのマウスあたりの産出された糞便エネルギー(排出されたカロリー)を示すグラフである(n=12/グループ)。データは、中央値の散布図として示されている。
【
図24】
図24は、13週間、毎日5.10
9個のD.welbionis J115
Tの細胞の未処置および凍結した懸濁物を強制経口投与することにより処置し、HF食を与えたマウス(それぞれHFD-J115-freshおよびHFD-J115-frozen)、または対照食を与え、毎日等量の嫌気性PBS-炭酸塩バッファー生理食塩水中15%の無菌性トレハロースを強制経口投与することにより処置したマウス(対照)、または高脂肪食を与え、毎日等量の嫌気性PBS-炭酸塩バッファー生理食塩水中15%の無菌性トレハロースを強制経口投与することにより処置したマウス(HFD)の、実験の6週目および8週目の間の1日あたりのマウスあたりの吸収されたエネルギー(カロリー)を示すグラフである(n=12/グループ)。未処置または凍結した5.10
9個のD.welbionis J115
Tでの毎日の強制経口投与。データは、中央値の散布図として示されている。
【
図25】
図25は、13週間、毎日5.10
9個のD.welbionis J115
Tの細胞の未処置および凍結した懸濁物を強制経口投与することにより処置し、HF食を与えたマウス(それぞれHFD-J115-freshおよびHFD-J115-frozen)、または対照食を与え、毎日等量の嫌気性PBS-炭酸塩バッファー生理食塩水中15%の無菌性トレハロースを強制経口投与することにより処置したマウス(対照)、または高脂肪食を与え、毎日等量の嫌気性PBS-炭酸塩バッファー生理食塩水中15%の無菌性トレハロースを強制経口投与することにより処置したマウス(HFD)の、13週間の実験の終了時の食物摂取量を通した体重増加の比率を示すグラフである(n=12/グループ)。データは、中央値の散布図として示されている。星は、一元ANOVA、次いでペアワイズ比較およびテューキーによる補正を行うことからなる統計解析による2つのグループ間の有意差(**:p<0.01)を表す。
【
図26】
図26は、13週間、毎日5.10
9個のD.welbionis J115
Tの細胞の未処置および凍結した懸濁物を強制経口投与することにより処置し、HF食を与えたマウス(それぞれHFD-J115-freshおよびHFD-J115-frozen)、または対照食を与え、毎日等量の嫌気性PBS-炭酸塩バッファー生理食塩水中15%の無菌性トレハロースを強制経口投与することにより処置したマウス(対照)、または高脂肪食を与え、毎日等量の嫌気性PBS-炭酸塩バッファー生理食塩水中15%の無菌性トレハロースを強制経口投与することにより処置したマウス(HFD)の、総体脂肪量の発展を示すグラフである(n=12/グラフ)。データは、中央値の散布図として示されている。星印および+の印は、一元ANOVA、次いでペアワイズ比較およびテューキーによる補正を行うことからなる統計解析による2つのグループ間の有意差(*または+:p<0.05;**または++:p<0.01;***または+++:p<0.001)を表す。*は、HFDグループとHFD-J115-freshグループとの間の統計的有意性を表し、+は、HFDグループとHFD-J115-frozenグループとの間の統計的有意性を表す。
【
図27】
図27は、13週間、毎日5.10
9個のD.welbionis J115
Tの細胞の未処置および凍結した懸濁物を強制経口投与することにより処置し、HF食を与えたマウス(それぞれHFD-J115-freshおよびHFD-J115-frozen)、または対照食を与え、毎日等量の嫌気性PBS-炭酸塩バッファー生理食塩水中15%の無菌性トレハロースを強制経口投与することにより処置したマウス(対照)、または高脂肪食を与え、毎日等量の嫌気性PBS-炭酸塩バッファー生理食塩水中15%の無菌性トレハロースを強制経口投与することにより処置したマウス(HFD)の、13週間の終了時の腸間膜、皮下、および精巣上体の脂肪パッドの重量を示すグラフである(n=12/グラフ)。データは、中央値の散布図として示されている。星は、一元ANOVA、次いでペアワイズ比較およびテューキーによる補正を行うことからなる統計解析による2つのグループ間の有意差(*:p<0.05;**:p<0.01;***:p<0.001)を表す。
【
図28】
図28は、13週間、毎日5.10
9個のD.welbionis J115
Tの細胞の未処置および凍結した懸濁物を強制経口投与することにより処置し、HF食を与えたマウス(それぞれHFD-J115-freshおよびHFD-J115-frozen)、または対照食を与え、毎日等量の嫌気性PBS-炭酸塩バッファー生理食塩水中15%の無菌性トレハロースを強制経口投与することにより処置したマウス(対照)、または高脂肪食を与え、毎日等量の嫌気性PBS-炭酸塩バッファー生理食塩水中15%の無菌性トレハロースを強制経口投与することにより処置したマウス(HFD)の、13週間の終了時の皮下脂肪組織(SCAT)の代表的なヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)で染色した写真のシリーズである(n=12/グループ)。
【
図29】
図29は、13週間、毎日5.10
9個のD.welbionis J115
Tの細胞の未処置および凍結した懸濁物を強制経口投与することにより処置し、HF食を与えたマウス(それぞれHFD-J115-freshおよびHFD-J115-frozen)、または対照食を与え、毎日等量の嫌気性PBS-炭酸塩バッファー生理食塩水中15%の無菌性トレハロースを強制経口投与することにより処置したマウス(対照)、または高脂肪食を与え、毎日等量の嫌気性PBS-炭酸塩バッファー生理食塩水中15%の無菌性トレハロースを強制経口投与することにより処置したマウス(HFD)の、13週間の終了時のSCATにおける脂肪細胞の直径(μm)の分布を示すグラフである(n=12/グループ)。データは、中央値の散布図として示されている。星印および+印は、一元ANOVA、次いでペアワイズ比較およびテューキーによる補正を行うことからなる統計解析による2グループ間の有意差(*または+:p<0.05;**または++:p<0.01;***または+++:p<0.001)を表す。*は、HFDグループとHFD-J115-freshグループとの間の統計的有意性を表し、+は、HFDグループとHFD-J115-frozenグループとの間の統計的有意性を表す。
【
図30】
図30は、13週間、毎日5.10
9個のD.welbionis J115
Tの細胞の未処置および凍結した懸濁物を強制経口投与することにより処置し、HF食を与えたマウス(それぞれHFD-J115-freshおよびHFD-J115-frozen)、または対照食を与え、毎日等量の嫌気性PBS-炭酸塩バッファー生理食塩水中15%の無菌性トレハロースを強制経口投与することにより処置したマウス(対照)、または高脂肪食を与え、毎日等量の嫌気性PBS-炭酸塩バッファー生理食塩水中15%の無菌性トレハロースを強制経口投与することにより処置したマウス(HFD)の、13週間の終了時の腸間膜脂肪組織(MAT)の代表的なヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)で染色した写真のシリーズである(n=12/グループ)。
【
図31】
図31は、13週間、毎日5.10
9個のD.welbionis J115
Tの細胞の未処置および凍結した懸濁物を強制経口投与することにより処置し、HF食を与えたマウス(それぞれHFD-J115-freshおよびHFD-J115-frozen)、または対照食を与え、毎日等量の嫌気性PBS-炭酸塩バッファー生理食塩水中15%の無菌性トレハロースを強制経口投与することにより処置したマウス(対照)、または高脂肪食を与え、毎日等量の嫌気性PBS-炭酸塩バッファー生理食塩水中15%の無菌性トレハロースを強制経口投与することにより処置したマウス(HFD)の、13週間の終了時のMATにおける脂肪細胞の直径(μm)の分布を示すグラフである(n=12/グループ)。データは、中央値の散布図として示されている。星印および+印は、一元ANOVA、次いでペアワイズ比較およびテューキーによる補正を行うことからなる統計解析による2グループ間の有意差(*または+:p<0.05;**または++:p<0.01;***または+++:p<0.001)を表す。*は、HFDグループとHFD-J115-freshグループとの間の統計的有意性を表し、+は、HFDグループとHFD-J115-frozenグループとの間の統計的有意性を表す。
【
図32】
図32は、13週間、毎日5.10
9個のD.welbionis J115
Tの細胞の未処置および凍結した懸濁物を強制経口投与することにより処置し、HF食を与えたマウス(それぞれHFD-J115-freshおよびHFD-J115-frozen)、または対照食を与え、毎日等量の嫌気性PBS-炭酸塩バッファー生理食塩水中15%の無菌性トレハロースを強制経口投与することにより処置したマウス(対照)、または高脂肪食を与え、毎日等量の嫌気性PBS-炭酸塩バッファー生理食塩水中15%の無菌性トレハロースを強制経口投与することにより処置したマウス(HFD)の、経口糖負荷試験(OGTT)の間の血漿中グルコース(mg/dL)のプロファイルを示すグラフである(n=12/グループ)。データは、中央値の散布図として示されている。星印およびプラス印は、一元ANOVA、次いでペアワイズ比較およびテューキーによる補正を行うことからなる統計解析による2つのグループ間の有意差(*または+:p<0.05;**または++:p<0.01;***または+++:p<0.001)を表す。*は、HFDグループとHFD-J115-freshグループとの間の統計的有意性を表し、+は、HFDグループとHFD-J115-frozenグループとの間の統計的有意性を表す。
【
図33】
図33は、13週間、毎日5.10
9個のD.welbionis J115
Tの細胞の未処置および凍結した懸濁物を強制経口投与することにより処置し、HF食を与えたマウス(それぞれHFD-J115-freshおよびHFD-J115-frozen)、または対照食を与え、毎日等量の嫌気性PBS-炭酸塩バッファー生理食塩水中15%の無菌性トレハロースを強制経口投与することにより処置したマウス(対照)、または高脂肪食を与え、毎日等量の嫌気性PBS-炭酸塩バッファー生理食塩水中15%の無菌性トレハロースを強制経口投与することにより処置したマウス(HFD)の、経口糖負荷試験(OGTT)の間のOGTTの間のグルコース投与の30分前および投与から15分後に測定した血漿中インスリン濃度(μg/L)を示すグラフである(n=12/グループ)。データは、中央値の散布図として示されている。星は、一元ANOVA、次いでペアワイズ比較およびテューキーによる補正を行うことからなる統計解析による2つのグループ間の有意差(*:p<0.05)を表す。
【
図34】
図34は、13週間、毎日5.10
9個のD.welbionis J115
Tの細胞の未処置および凍結した懸濁物を強制経口投与することにより処置し、HF食を与えたマウス(それぞれHFD-J115-freshおよびHFD-J115-frozen)、または対照食を与え、毎日等量の嫌気性PBS-炭酸塩バッファー生理食塩水中15%の無菌性トレハロースを強制経口投与することにより処置したマウス(対照)、または高脂肪食を与え、毎日等量の嫌気性PBS-炭酸塩バッファー生理食塩水中15%の無菌性トレハロースを強制経口投与することにより処置したマウス(HFD)の、血漿中の空腹時レプチン濃度(ng/mL)を示すグラフである(n=12/グループ)。データは、中央値の散布図として示されている。星は、一元ANOVA、次いでペアワイズ比較およびテューキーによる補正を行うことからなる統計解析による2つのグループ間の有意差(*:p<0.05)を表す。
【
図35】
図35は、13週間、毎日5.10
9個のD.welbionis J115
Tの細胞の未処置および凍結した懸濁物を強制経口投与することにより処置し、HF食を与えたマウス(それぞれHFD-J115-freshおよびHFD-J115-frozen)、または対照食を与え、毎日等量の嫌気性PBS-炭酸塩バッファー生理食塩水中15%の無菌性トレハロースを強制経口投与することにより処置したマウス(対照)、または高脂肪食を与え、毎日等量の嫌気性PBS-炭酸塩バッファー生理食塩水中15%の無菌性トレハロースを強制経口投与することにより処置したマウス(HFD)の、肩甲骨間褐色脂肪組織(BAT)の重量を示すグラフである(n=12/グループ)。データは、中央値の散布図として示されている。星は、一元ANOVA、次いでペアワイズ比較およびテューキーによる補正を行うことからなる統計解析による2つのグループ間の有意差(*:p<0.05)を表す。
【
図36】
図36は、3週間、毎日5.10
9個のD.welbionis J115
Tの細胞の凍結した懸濁物を強制経口投与することにより処置し、HF食を与えたマウス(HFD-J115-fresh)、または高脂肪食を与え、毎日等量の嫌気性PBS-炭酸塩バッファー生理食塩水中15%の無菌性トレハロースを強制経口投与することにより処置したマウス(HFD)の体温を示すグラフである(n=7/グループ)。データは、中央値の散布図として示されている。星は、Mann-Whitney検定からなる統計解析による2つのグループ間の有意差(**:p<0.01)を表す。
【
図37】
図37は、3週間、毎日5.10
9個のD.welbionis J115
Tの細胞の凍結した懸濁物を強制経口投与することにより処置し、HF食を与えたマウス(HFD-J115-fresh)または高脂肪食を与え、毎日等量の嫌気性PBS-炭酸塩バッファー生理食塩水中15%の無菌性トレハロースを強制経口投与することにより処置したマウス(HFD)のBAT体重と体温との間の相関を示すグラフである(n=7/グループ)。データは、中央値の散布図として示されている。p値は、スピアマン相関からなる統計解析により表されている。
【
図38】
図38は、13週間、毎日5.10
9個のD.welbionis J115
Tの細胞の凍結した懸濁物を強制経口投与することにより処置し、HF食を与えたマウスの、高脂肪食を与え、毎日等量の嫌気性PBS-炭酸塩バッファー生理食塩水中15%の無菌性トレハロースを強制経口投与することにより処置したマウス(HFD)の炎症性応答遺伝子のオントロジーのグループに属する遺伝子の相対発現を表す、BATでのRNAseq解析から得られたグラフである(n=12/グループ)。データは、未処置のマウスの発現に対する処置したマウスでの発現の比率として示されている。
【
図39】
図39は、13週間、毎日5.10
9個のD.welbionis J115
Tの細胞の未処置および凍結した懸濁物を強制経口投与することにより処置し、HF食を与えたマウス(それぞれHFD-J115-freshおよびHFD-J115-frozen)、または対照食を与え、毎日等量の嫌気性PBS-炭酸塩バッファー生理食塩水中15%の無菌性トレハロースを強制経口投与することにより処置したマウス(対照)、または高脂肪食を与え、毎日等量の嫌気性PBS-炭酸塩バッファー生理食塩水中15%の無菌性トレハロースを強制経口投与することにより処置したマウス(HFD)の、F4/80の相対発現を表す、BATでのqPCR解析から得られたグラフである(n=12/グループ)。データは、中央値の散布図として示されている。星は、一元ANOVA、次いでペアワイズ比較およびテューキーによる補正を行うことからなる統計解析による2つのグループ間の有意差(*:p<0.05;**:p<0.01)を表す。
【
図40】
図40は、13週間、毎日5.10
9個のD.welbionis J115
Tの細胞の未処置および凍結した懸濁物を強制経口投与することにより処置し、HF食を与えたマウス(それぞれHFD-J115-freshおよびHFD-J115-frozen)、または対照食を与え、毎日等量の嫌気性PBS-炭酸塩バッファー生理食塩水中15%の無菌性トレハロースを強制経口投与することにより処置したマウス(対照)、または高脂肪食を与え、毎日等量の嫌気性PBS-炭酸塩バッファー生理食塩水中15%の無菌性トレハロースを強制経口投与することにより処置したマウス(HFD)の、ColA1の相対発現を表すBATでのqPCR解析から得られたグラフである(n=12/グループ)。データは、中央値の散布図として示されている。星は、一元ANOVA、次いでペアワイズ比較およびテューキーによる補正を行うことからなる統計解析による2つのグループ間の有意差(**:p<0.01)を表す。
【
図41】
図41は、凍結したD.welbionis J115
Tの濃度を増大させることによるヒトHEK-hTLR2細胞の刺激を示すグラフである。
【
図42】
図42は、ヒトHEK-hTLR2細胞の最大刺激の半分(EC50)を得るために必要な凍結したD.welbionis J115
Tの有効濃度を示すグラフである。
【
図43】
図43は、13週間、毎日5.10
9個のD.welbionis J115
Tの細胞の未処置および凍結した懸濁物を強制経口投与することにより処置し、HF食を与えたマウス(それぞれHFD-J115-freshおよびHFD-J115-frozen)、または対照食を与え、毎日等量の嫌気性PBS-炭酸塩バッファー生理食塩水中15%の無菌性トレハロースを強制経口投与することにより処置したマウス(対照)、または高脂肪食を与え、毎日等量の嫌気性PBS-炭酸塩バッファー生理食塩水中15%の無菌性トレハロースを強制経口投与することにより処置したマウス(HFD)の、デフェンシンα(DEFA)の相対発現を表す空腸でのqPCR解析から得られたグラフである(n=12/グループ)。データは、中央値の散布図として示されている。星は、一元ANOVA、次いでペアワイズ比較およびテューキーによる補正を行うことからなる統計解析による2つのグループ間の有意差(*:p<0.05;**:p<0.01)を表す。
【
図44】
図44は、ヒトにおいて、糞便のDysosmobacter sppの相対的な存在量がボディマス指数(BMI)と負に相関することを示すグラフである。BMIと便におけるDysosmobacter sppの相対的な存在量のlogとの間のピアソン相関。
【実施例】
【0385】
本発明を、さらに以下の実施例により説明する。
【0386】
実施例1:健常な25歳の女性の糞便サンプルからのJ115株の単離
単離物が新規種であることを判定するために、いくつかの解析:形態学的(運動性および鞭毛など)、生化学的(酵素の特性および発酵の特性)、生理的(脂肪酸解析など)、および系統学的(ANI(Average Nucleotide Identity)、DNA-DNAハイブリダイゼーションおよびGC含有量)な性質決定が行われるべきである。
【0387】
糞便サンプルを、O2を吸収しCO2を生成する作用物質(Genbox Anaer;Biomerieux)を含む密閉した容器に保存し、回収から2時間以内に単離を行った。サンプルを、気体雰囲気として100%のN2を含む嫌気性チャンバー(Coy)に移し、即座に抗酸化剤を多く含む改変YCFA(酵母抽出物-カゼイン加水分解物-脂肪酸)で1/10に希釈した(表1および表2)。
【0388】
【0389】
【0390】
次に、糞便懸濁物を、20%のCO2-80%のN2の雰囲気下にてブチルゴムで密閉したチューブに移した。次に、単一細胞培養を、終点希釈技術を使用して行い、すなわち糞便懸濁物を希釈し、単一のバイアルが平均1つの細胞を受領するように300のバイアルにアリコートした。37℃で24時間~7日後の陽性培養を、固体の改変YCFAに広げ、O2を吸収しCO2を生成する作用物質(Genbox Anaer;Biomerieux)を含む嫌気性ジャー(Merck)において同じ温度で72時間~7日間インキュベートした。単一のコロニーを採取し、無処理の培地に移し、培養物が純粋とみなされるまでこのプロセスを反復した。得られた培養物のうち1つをJ115と表記し、さらなる試験の対象とした。改変YCFA培地での48時間(Forty height)の培養物を、規定のインキュベーション、増殖試験、および生化学解析に使用した。この菌株を、20%のグリセロールに-80℃で保存した。
【0391】
J115株は、Oscillibacter属の種、O.valericigenesおよび/またはO.ruminantiumに関連すると同定された(本明細書において以下の系統学的な解析のセクションを参照)。よって、これら2つの種のそれぞれの基準株は、比較の目的のため入手した。O.ruminantium JCM 18333T(=GH1T=KCTC 15176=NBRC 108824)は、微生物材料開発研究室(JCM:Japan Collection of Microorganisms)から入手し、O.valericigenes DSM 18026T(Sjm18-20T=NBRC 101213)は、DSMZ(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen)から入手した。37℃の改変YCFA培地における48時間の培養物を、規定のインキュベーション、増殖試験、および生化学解析に使用した。これら菌株を、20%のグリセロールに-80℃で保存した。
【0392】
走査型電子顕微鏡は、J115細胞が、単独で生息し、主に0.5~0.6×1.8~3.0μmと測定される直線状の桿菌であるが、最大18~20μm長が対数期および早期定常期の間に定期的に観察されたことを示した(
図1)。嫌気性雰囲気下にて37℃で72時間インキュベーションした後の固体の改変YCFA上のJ115コロニーは、点状、クリーム状、半透明、円形、完全な状態であり、わずかに凸面状であり滑らかである。菌株は、半固体の改変YCFA(0.5%のアガー)の中で穿刺により植菌し、37℃で72時間建機的にインキュベートした場合、運動性に対して陰性であった。J115細胞とは対照的に、O.valericigenes DSM 18026
T細胞およびO.ruminantium JCM 18333
T細胞は、運動性があり、鞭毛を有する。
【0393】
胆汁およびNaClに耐性がある特性を、増大する濃度のウシの胆汁(Sigma, 10(w/v)%の未処置の胆汁に対応する1(w/v)%の脱水させた胆汁)またはNaCl(VWR)を含む液体の改変YCFAにおいて試験した。菌株の増殖は、2%未満の胆汁または2%未満のNaClを含む培地上では行われたが、2.5%の胆汁もしくはNaClを含む培地または2.25%以上の胆汁もしくはNaClを含む培地では起こらなかった。O.ruminantium JCM 18333Tは、0~2%の胆汁を有する培地で増殖でき、O.valericigenes DSM 18026Tは、0~1%の胆汁を含む培地で増殖できた。
【0394】
グラム染色は陰性であった。KOH試験(3(w/v)%)は陽性であった。透過型電子顕微鏡または走査型電子顕微鏡(Philips Electron Microscope CM12/STEM)において、対数期および定常期で胞子形成は観察されなかった。70%のエタノールで30分間処理した後に増殖は行われなかった。分離菌J115では、カタラーゼは3(w/v)%のH2O2を使用して検出されず、この菌株は厳密な嫌気性条件でのみ増殖した。
【0395】
生化学的な性質決定
生化学的な性質決定の結果を、種を説明において表3および表4に提供する。ラピッドID 32A嫌気性生物同定キット(Biomerieux)は、製造社の説明、ならびにAPI 20A嫌気性生物試験キットおよびAPI 50CH炭水化物(carbohydrates)キット(Biomerieux)に準じて、炭素供給源を伴わず改変YCFAを伴い使用した。試験は、3つの別々の培養物において三連で行った。ラピッドID 32AおよびAPI 20Aは、J115株が、グルタミン酸デカルボキシラーゼおよびアルギニンジヒドロラーゼに対して陽性であるが、他の全ての試験に対して陰性であったことを示した(表3)。
【0396】
【0397】
様々な炭素供給源からの発酵による酸の産生を、API 50CHキットを使用して試験し、J115株が、mio-イノシトールを発酵する特性ならびにD-グルコースおよびD-キシロースを発酵できない特性により両Oscillibacter種と区別できることが見出された(表4)。
【0398】
【0399】
細胞脂肪酸の組成
細胞脂肪酸を、Miller(J Clin Microbiol. 1982 Sep;16(3):584-6)およびKuykendallら(Int J Syst Evol Microbiol. 1988;38(4):358-361)の方法を若干改変して使用したけん化、メチル化、および抽出により凍結乾燥した細胞30mgから、DSMZの同定サービス(Identification Service)(Braunschweig, Germany)により解析した。O.valericigenes Sjm18-20TおよびO.ruminantium GH1Tの場合と同じく、J115株の主な細胞の分岐鎖飽和脂肪酸は、イソ-C15:0(24.2%)およびアンテイソ-C15:0(15.2%)である(表5)。しかしながら、その量は、実質的に大きく異なり、Oscillibacter種において、イソ-C15:0は、細胞脂肪酸の9.8%および8.9%を提示した。さらにアンテイソ-C15:0は、O.valericigenes DSM 18026TおよびO.ruminantium JCM 18333Tの主要な細胞脂肪酸ではない。逆に、飽和直鎖脂肪酸C14:0およびC16:0が、O.valericigenes DSM 18026TおよびO.ruminantium JCM 18333Tの主要な細胞脂肪酸であるが、J115株では、微量のみ検出される。
【0400】
【0401】
しかしながら、J115株は、J115株では豊富であるが(18.4%)、Oscillibacter種では存在しない、C18:0 DMAなどのジメチルアセタール(DMA)として見出される脂肪アルデヒドにより、2つの種とは異なる。さらに、C16:0 DMAが、Oscillibacter種よりもかなり低い濃度でJ115株において見出されている。C16:0 DMAは、2つのOscillibacter種において細胞脂肪酸の25.2%および19.9%を提示した。さらに、C14:0 DMAが、O.valericigenes DSM 18026TおよびO.ruminantium JCM 18333Tにおいて認識できる量で検出され(それぞれ6.2%および4.5%)るが、J115株の細胞脂肪酸では微量のみ提示される。
【0402】
呼吸性リポキノン
J115株の呼吸性リポキノンおよびジアミノピメリン酸を、DSMZの同定サービス(Braunschweig, Germany)により解析した。簡潔に述べると、キノンを、メタノール:ヘキサンを使用して凍結乾燥した細胞100mgから抽出し、次にTindall法によりヘキサンの中へと相分離を行った。Oscillibacter種の場合と同じく、キノンは、J115株で検出されなかった。全細胞の加水分解産物を、Rhulandらの溶媒システム(J Am Chem Soc 1955;77:4844-6)を使用してセルロースプレート上での薄層クロマトグラフィーにより試験した。J115株は、特徴的な細胞壁のペプチドグリカンであるジアミノ酸としてmeso-2,6-ジアミノピメリン酸を含んでいた。
【0403】
DNAベースの組成の解析を、DSMZの同定サービス(Braunschweig, Germany)により行った、J115株のDNAのGC含有量は、59.3%であり、O.valericigenes Sjm18-20T およびO.ruminantium GH1TのGC含有量(それぞれ52.9%および54.9%)よりもわずかに高かった。
【0404】
系統学的な解析
J115株のほぼ完全な(1428bp-配列番号1)16S rRNA配列は、ユニバーサルなプライマー8F(5’-AGAGTTTGATCCTGGCTCAG-3’ 配列番号2)および1492R(5’-GGTTACCTTGTTACGACTT-3’ 配列番号3)を使用して入手した。以前に同定されたJ115株の最も近縁種の16S rRNAを、EzBioCloudの同定サービス(2017.10.23にアップデートされたデータベース)およびGenBank database(登録商標)を使用して入手し、回収した。
【0405】
配列の多重整列を、MUSCLEを使用して行った、距離を、Maximum Composite Likelihood法を使用してコンピュータ計算し、系統樹を、ギャップおよび未知の塩基を排除した後に、MEGA 7.0で近隣結合法により構築した。J115株は、低GC含有量のクロストリジウムの細菌の分岐のクラスターIVの中にある。J115株は、Oscillibacter ruminantium GH1T(95.4%の類似性)およびOscillibacter valericigenes Sjm 18-20T(94.1%の類似性)に関連していた。またJ115株は、Oscillospira guilliermondii系統群の近くに位置していた。系統学的に、J115
T株は、近隣結合法および最尤法による系統樹の両方において、100%のブートストラップ値により支援されるOscillibacter-Oscillospira系統群に対する姉妹系統群として位置した単系統的な別の分岐を形成した(
図2AおよびB)。
【0406】
全ゲノム配列では、高分子量DNAを、Qiagen DNeasy UltraClean Microbial kitを使用して抽出した。長いリードは、Eurofins GATC companyでPacBio技術を使用して入手した。アセンブリは、階層的なゲノムアセンブリプロセスを使用して行い、1つのコンティグ[NCBI accession number CP034413]において3 576 111塩基対の完全なゲノムをもたらした(カバードの深度は242であった)。ContEst16Sアルゴリズムを使用したゲノム解析は、J115T株のゲノムがコンタミネーションされていなかったことを表した。3つの16S RNAの遺伝子のコピーの配列を回収し、PCRおよびサンガーシーケンシングにより得られた16S rRNA遺伝子配列と比較した。3つのコピーは、PCRにより得られた配列と厳密に同一であった。
【0407】
MLSA(Multilocus sequence analysis)を、J115株とRuminococcaceae科に属する近隣の分類群との間のより高い分解能の系統学的な関係を得るために行った。12のタンパク質コード遺伝子(sigE、purM、ass、lysC、phoH、crh、groEL、thdF、infB、recA、rpoD、およびgyrB)の配列を、完全なゲノムが利用可能ではないOscillispira guillermondiiおよびFlintibacter butyricusを除き、全ての基準株の完全なゲノムから回収した。同様に、16S rRNA遺伝子解析に対して、連鎖状配列を、MUSCLEを使用してアライメントし、系統樹を、1000のブートストラップの複製で近隣結合法および最尤法により構築した(
図3AおよびB)。上述のように、J115は、両方の系統樹で100%のブートストラップ値により支援される、Oscillibacter系統群に対する姉妹系統群として位置した単系統的な別々の分岐を形成した。
【0408】
菌株、ANI(Average Nucleotide Identity)、J115株、および利用可能な参照菌株のゲノムの間の遺伝的な関連性のロバストな測定を、OAT standalone 0.93.1 softwareを使用して計算した。ANIスコアは、ヒートマップとして提示され、非加重結合法(UPGMA)でデンドログラムを構築するために使用した(
図4)。98.65%(または98.7%)より高い参照種または菌株で得たANIスコアは、単離物が新規種であることを暗示している。16S rRNA遺伝子配列およびMLSAの場合と同じく、J115
T株に最も近い分類群は、それぞれ73.37および73.24のANIスコアを有するO.ruminantium JCM 18333
TおよびO.valericigenes DSM 18026
Tであった。
【0409】
ANIに基づきこの解析を補完するために、ゲノム間距離を、DSMZにより提供されるgenome to genome calculator2.1を使用して計算した。使用した設定は、ローカルアライメントツールとしてのBLASTおよび式2、すなわち全HSP(high-scoring segment pairs)長で除算したHSPで見出される全ての識別(identity)の合計であった。次に、ゲノム間距離を使用して、70%超のDNA間ハイブリダイゼーション(DDH)を有する可能性を決定し、OAT standalone 0.93.1 softwareを使用してUPGMAによる系統樹に沿ってヒートマップを作成した(
図5)。ゲノム間距離に基づくUPGMAによる系統樹は、以前に得られた系統樹とかなり異なるトポロジーを有していた。実際に、ゲノム間距離による命名において位置する最も近い種は、Faecalibacterium prausnitzii ATCC 27768
Tであり、これは、0.19の70%以上のDDHの可能性および31.5[29.1~34]%のin silicoでのDDH値に対応する、0.1342のゲノム間距離を有する。16S rRNA遺伝子配列、MLSAおよびANIに基づく結果との相違があるにも関わらず、in silicoでのDDHの結果は、J115株が、Clostridial cluster IVのRuminococcaceae科に属しており、命名法において位置する最も近い分類群:Oscillibacter属と有意に異なっていることを明らかに表している。
【0410】
結論
表6は、J115株と、最も近い関連する種Oscillibacter.ruminantium JCM 18333
T(=GH1T=KCTC 15176=NBRC 108824)Oscillibacter valericigenes DSM 18026
T(Sjm18-20T=NBRC 101213)の基準株との間で観察される差異をまとめている。
【表6】
【0411】
J115株の16S rRNA遺伝子配列は、、4.6~5.9%、O.ruminantium GH1TおよびO.valericigenes Sjm 18-20Tの配列と異なり、これは、原核生物の属の描写で提案される6%の閾値よりも低い。J115株の細胞は、直線状の桿菌であり、通常1.8~3.0μmであるが、多くの場合、細長い桿菌を形成する。J115株は、偏性嫌気性であり、呼吸性キノンを有さなかった。これら性質は、Oscillibacter種の性質と類似していた。しかしながら、J115株は、非運動性であり、鞭毛を有さず、異なる細胞脂肪酸組成を有していた。さらに、J115株は、Oscillibacter属に属する種とは対照的にグルコースおよびキシロースを利用することができないが、myo-イノシトールを発酵することができた。系統学的に、J115株は、Oscillibacter-Oscillospiraの系統群とは別の分岐を形成した。これら2つの下位系統群は、すでに2つの別々の属として提供されている。この系統学的な位置ならびに上述される生化学的および生理的な性質に基づき、J115株は、最も近い培養された属のメンバー、すなわちOscillibacter ruminantiumおよびOscillibacter valericigenesと有意に異なる。結果として、J115株は、新規属の新規種を表し、名称Dysosmobacter welbionis gen. nov. sp. novが、提案される。
【0412】
実施例2:Dysosmobacter gen. novの説明
Dysosmobacter細胞は、偏性嫌気性、非着色性であり、胞子を形成せず、非運動性であり、グラム染色陰性である。細胞は、主に1.8~3.0μmの直線状の桿菌を形成するが、多くの場合、増殖期が何であっても細長い桿菌を形成する。呼吸性メナキノンが産生される。細胞壁において特徴的なジアミノ酸は、meso-2,6-ジアミノピメリン酸である。この属は、Ruminococcaceae科のメンバーである。このタイプの種は、Dysosmobacter welbionisである。
【0413】
実施例3:Dysosmobacter welbionis sp. novの説明
Dysosmobacter welbionisは、属の説明での特徴に加え、以下の特徴を有する。嫌気性条件下にて37℃で72時間インキュベーションした後の固体の改変YCFA上のコロニーは、点状、クリーム状、半透明、円形、完全な状態であり、わずかに凸面状であり滑らかである。増殖は、2%の胆汁または2%のNaClにより阻害される。エスクリンは加水分解されない。インドールは、産生されない。硝酸塩は還元されない。ゼラチンは消化されない。ウレアーゼは産生されない。カタラーゼは産生されない。酸は、myo-イノシトールから産生されるが、D-グルコース、D-アラビノース、D-リボース、およびD-キシロースからは産生されない。陽性反応は、アルギニンジヒドロラーゼおよびグルタミン酸デカルボキシラーゼで得られる。API 20AおよびRapid ID 32A由来の他の全ての試験は、陰性である(すなわちアルカリホスファターゼ、α-ガラクトシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、α-グルコシダーゼ、β-グルコシダーゼ、α-アラビノシダーゼ、β-グルクロニダーゼ、N-アセチルグルコサミニダーゼ、α-フコシダーゼ、アルギニンアリールアミダーゼ、プロリンアリールアミダーゼ、ロイシル-グリシンアリールアミダーゼ、フェニルアラニンアリールアミダーゼ、ピログルタミン酸アリールアミダーゼ、チロシンアリールアミダーゼ、アラニンアリールアミダーゼ、グリシンアリールアミダーゼ、ヒスチジンアリールアミダーゼ、セリンアリールアミダーゼ)。酸は、myo-イノシトールから産生されるが、D-アドニトール、アミグダリン(Amygdaline)、D/L-アラビノース、D/L-アラビトール、アルブチン、D-セロビオース、ズルシトール、エリトロール、D-フルクトース、D/L-フコース、D-ガラクトース、ゲンチビオース、D-グルコース、グリセロール、グリコーゲン、イヌリン、D-ラクトース、リキソース、D-マルトース、D-マンニトール、D-マンノース、D-メレジトール(melezitol)、D-メリビオース(mellibiose)、メチル-αD-グルコピラノシド、メチル-αD-マンノピラノシド、メチル-βD-キシラノピラノシド(xylanopyranoside)、N-アセチルグルコサミン、D-ラフィノース、L-ラムノース、D-リボース、D-ショ糖、サリシン、D-ソルビトール、L-ソルボース、デンプン、タガトース、D-トレハロース、D-ツラノース、キシリトール、およびD/L-キシロース)からは産生されない。myo-イノシトールからの主要な発酵最終産物は、酪酸塩(または酪酸)である。基準株のDNAのGC含有量は、58.92mol%である。主要な細胞脂肪酸は、分岐鎖飽和脂肪酸およびDMAである。主要なDMA脂肪酸は、C18:0 DMAであり、主要な分岐鎖飽和脂肪酸は、イソ-C15:0およびアンテイソ-C15:0である。この種の基準株はJ115(LMG P-30603として2018年3月14日にBCCM/LMGに寄託)であり、ヒトの糞便から単離された。今後J115株はまた、本明細書中J115T株とも呼ばれる。
【0414】
実施例4:関連する分類群の説明に対する変更
関連する種のOscillibacter valericigenesおよびOscillibacter ruminantiumの基準株の特徴とJ115の特徴との比較の間になされた知見は、関連する属Oscillibacter、ならびに関連する種Oscillibacter valericigenesおよびOscillibacter ruminantiumの以前に公開された説明に対して必要な更新をもたらす。
【0415】
Oscillibacter属の修正された説明
この説明は、Iinoら(Int J Syst Evol Microbiol 2007; 57:1840-5)により提供される通りであるが、以下の変更が加えられている。グルタミン酸デカルボキシラーゼおよびアルギニンジヒドロラーゼに対し陽性。アルカリホスファターゼ、α-ガラクトシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、α-グルコシダーゼ、β-グルコシダーゼ、α-アラビノシダーゼ、β-グルクロニダーゼ、N-アセチルグルコサミニダーゼ、α-フコシダーゼ、アルギニンアリールアミダーゼ、プロリンアリールアミダーゼ、ロイシル-グリシンアリールアミダーゼ、フェニルアラニンアリールアミダーゼ、ピログルタミン酸アリールアミダーゼ、チロシンアリールアミダーゼ、アラニンアリールアミダーゼ、グリシンアリールアミダーゼ、ヒスチジンアリールアミダーゼ、セリンアリールアミダーゼに対し陰性。インドールは、トリプトファンから産生されない。ゼラチンは、消化されない。
【0416】
Oscillibacter valericigenesの修正された説明
この説明は、Iinoら(Int J Syst Evol Microbiol 2007; 57:1840-5)により提供される通りであり、以下の変更が加えられている。エスクリンは加水分解されない。増殖を可能にする胆汁濃度の範囲は、0~1%である。酸は、タガトースから産生される。酸は、D/L-アラビノースおよびD-リボースから産生されない。
【0417】
Oscillibacter ruminantiumの修正された説明
この説明は、Leeら(Int J Syst Evol Microbiol 2013; 63:1942-6)により提供される通りであり、以下の変更が加えられている。エスクリンは加水分解される。増殖を可能にする胆汁濃度の範囲は、0~2%である。酸は、D-アラビノースおよびD-メレジトール(melezitol)から産生される。
【0418】
実施例5:代謝、摂食行動、および腸バリアに及ぼすDysosmobacter welbionisの作用
材料および方法
マウス
10週齢のC57BL/6Jマウスのセット(30匹のマウス、n=10/グループ)(Janvier Labs, France)を、食物および水を自由にアクセスさせつつ、2匹のマウス/ケージのグループに収容した。マウスに、対照食(CT)(AIN93Mi;Research diet, New Brunswick, NJ, USA)または高脂肪食(HFD)(60%の脂肪および20%の炭水化物(kcal/100g), D12492, Research diet, New Brunswick, NJ, USA)を与えた。マウスを、無菌性嫌気性リン酸塩-炭酸塩バッファー生理食塩水に懸濁した用量1.109cfu/0.2mLにて強制経口投与によるDysosmobacter welbionisの経口投与で処置し(HFD-Dysosmobacter J115)、対照グループを、等量の無菌性嫌気性リン酸塩-炭酸塩バッファー生理食塩水の強制経口投与で処置した(対照およびHFD)。処置は、8週間続行した。
【0419】
D.welbionis J115(LMG P-30603として2018年3月14日にBCCM/LMGに寄託)は、実施例1に記載されるようにイノシトールを多く含む改変YCFA培地において嫌気的に増殖させ、次に洗浄し、1.109cfu/0.2mLの最終濃度となるまで嫌気性リン酸塩-炭酸塩バッファー生理食塩水に懸濁した。
【0420】
食物および水の摂取を、1週間に1回記録した。体重組成を、7.5MHzのTD-NMR(time domain-nuclear magnetic resonance)(LF50 minispec, Bruker, Rheinstetten, Germany)を使用することにより評価した。
【0421】
全てのマウスの実験は、地方の倫理委員会のガイドラインにより承認され、これに従い行われた。収容条件は、実験動物の保護に関して2010年4月6日のベルギーの法律により指定されたものであった(承諾番号LA1230314)。
【0422】
Dysosmobacter welbionis J115Tの培養および列挙
D.welbionis J115T(LMG P-30603)を、前述のように(Le Roy et al, Int J Syst Evol Microbiol, 2019, DOI 10.1099/ijsem.0.003547に公開)イノシトールを多く含む改変YCFA培地で嫌気的に増殖させた。
【0423】
組織のサンプリング
動物に、イソフルラン(Forene(登録商標), Abbott, Queenborough, Kent, England)で麻酔をかけた後に、全採血および組織のサンプルを行い、次に頚椎脱臼によりマウスを殺害した。腸のセグメント(十二指腸、空腸、回腸、盲腸、および結腸)を解体し、液体窒素に含侵し、さらなる解析のため-80℃に保存した。
【0424】
RNA調製およびリアルタイムPCR解析
総RNAを、TriPure reagent(Roche)を使用して組織から調製した。総RNAの定量化および統合性の解析を、Agilent 2100 Bioanalyzer(Agilent RNA 6000 Nano Kit, Agilent)に各サンプル1μLをかけることにより行った。
【0425】
cDNAは、Reverse Transcription System kit(Promega, Leiden, The Netherlands)を使用した総RNA1μgの逆転写により調製した。リアルタイムPCRは、製造社の説明に従い検出するためのMesa Fast qPCR(商標)(Eurogentec, Seraing, Belgium)を使用し、StepOnePlus(商標)リアルタイムPCRシステムおよびソフトウェア(Applied Biosystems, Den Ijssel, The Netherlands)で行った。RPL19をハウスキーピング遺伝子として選択した。全てのサンプルを、単一の96ウェル反応プレートにおいて二連で実験し、データを、2-ΔΔCt法により解析した。増幅させた産物の同一性および純度を、増幅の終了時に行われた融解曲線の解析を介して確認した。目的のマウス遺伝子用のプライマー配列を、以下の表7に提示する。
【0426】
【0427】
腸のエネルギー吸収
実験の開始から6週間後に、27日間の糞便を回収した。同じ時間の間、食物摂取量をモニタリングした。糞便は、60℃で2時間乾燥させ、重量を測定した。食事および糞便の総エネルギーは、ボンベ熱量計(C1, IKA, USA)により決定した。正味の腸内吸収は、消化および排泄されたエネルギーに基づき計算され、産出される糞便で回収されなかった消化エネルギーの比率として提示された。
【0428】
統計解析
データは、平均値±s.e.mとして表される。グループ間の差異は、一元ANOVA、次にペアワイズ比較を行うことにより比較され、Benjamini、Krieger、およびYekutielのtwo-stage step-up法を使用してFDRに関して試験した。相関を、変数がシャピロ-ウィルク正規性検定に合格したかどうかに応じてピアソンまたはノンパラメトリックなSpearman検定により評価した。データは、ウィンドウズ(登録商標)のGraphPad Prism version 7.00(GraphPad Software, San Diego, CA, USA)を使用して解析した。結果は、p<0.05である場合に統計的に有意であるとみなした。
【0429】
結果
Dysosmobacter welbionisが、宿主の代謝的な健康に影響するかどうかおよびどのように影響するかどうかを解読するために、細菌J115を、8週間の間高脂肪食を与えたマウスに経口投与した。結果は、1日あたり10
9個のD.welbionis細胞を補給することが、高脂肪食による誘導される体重増加を29%(すなわち1.5g)減少させたことを示している(
図6および
図7)。さらに、結果はまた、D.welbionisの投与が、食物摂取量を有意に減少させ、よって、総エネルギー摂取を、実験過程にわたり5%減少させたことを示している(
図8および
図9)。この食物摂取量の減少が実際に宿主の代謝で利用可能なエネルギーの減少をもたらしたことを検証するために、27日間(two seven days)の糞便を回収し、これら糞便に含まれる総エネルギーを、ボンベ熱量計により測定した。糞便で産出されるエネルギーは、D.welbionisの投与により減少した(
図10)。しかしながら、正味の腸内吸収は、HFDマウスよりも7.7%低いままであった(
図11)。さらに、食物摂取量に対する体重増加の比率は、D.welbionisを補給したマウスにおいて、HFDマウスの比率よりも15.5%低かった(
図12)。これは、D.welbionisが、食物エネルギーを体重に変換する特性を減少させたことを表している。まとめると、これら結果は、D.welbionisが、2つの手段:食物摂取量の減少および吸収されるエネルギーを保存する特性の減少により、高脂肪食により誘導される体重増加を予防することを示している。
【0430】
グルカゴン様ペプチド-1(GLP1)は、ヒトおよび動物において、満腹感、よって食物摂取量を調節する血液中にある腸により分泌されるタンパク質である。GLP1は、プログルカゴン遺伝子によりコードされており、腸粘膜のL細胞により発現される。回腸でのプログルカゴン遺伝子の発現が測定され、D.welbionisの投与が、プログルカゴンの回腸での発現を26%増大させたことが見出された(
図13)。
【0431】
腸管微生物叢による短鎖脂肪酸(SCFA)の産生は、局所的および末梢的に宿主の代謝および免疫に制御的な役割を有するため、D.welbionisによるSCFA産生は、in vitroで測定された。SCFAは、腸内細菌による炭水化物の発酵の最終産物であり、これらは、L細胞の頂端膜で見出されるGタンパク質共役型受容体(GPCR)41および43を活性化させることが知られている。GPCR41/43の活性化は、タイトジャンクション構成タンパク質の発現の刺激を介して腸バリアの強化をもたらす。タイトジャンクション構成タンパク質は、腸の上皮細胞の側膜で見出されるタンパク質であり、それらのジャンクションは、上皮の統合性を確保する。D.welbionisは特に、大量のSCFA、特に酪酸塩を産生した(
図14)。よって本発明者らは、D.welbionisの投与が、腸バリアを強化するとの仮説を立て、タイトジャンクション構成タンパク質のオクルディンおよびクローディン3をコードする遺伝子のmRNA発現を測定した(
図15およびデータ不図示)。この仮説と一致して、オクルディンおよびクローディン3の発現の増加が、D.welbionisで処置したマウスの回腸で見出された。
【0432】
結論
まとめると、これら知見は、全て、宿主の腸上皮性関門の代謝および統合性におけるD.welbionisの役割を指摘している。
【0433】
より具体的には、マウスにおいて109個のJ115細胞を毎日投与することにより、高脂肪食に関連するいくつかの有害な結果の寛解:体重増加の減少、食物摂取量の減少、食物摂取量あたりの体重増加の減少、腸でのエネルギー吸収の減少、およびプログルカゴンのmRNA発現の減少がもたらされた。これら知見は、代謝性疾患(特に肥満)および摂食行動障害の処置に対するJ115の投与の有用な作用を指摘している。
【0434】
さらに、マウスにおいて109個のJ115細胞を毎日投与することは、SCFAの量およびタイトジャンクションマーカーの量を増大させており、J115の投与に関連する腸バリアの強化を示唆している。これら知見は、腸バリアの機能不全に関連する疾患、特に腸炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、食物アレルギー、セリアック病、潰瘍、感染症、非アルコール性脂肪性肝炎、結腸がんの処置に対するJ115の投与の有用な作用を指摘している。
【0435】
実施例6:GLP-1の産生および分泌に及ぼすD.welbionisの投与の作用
材料および方法
in vitroでのGLP-1産生アッセイ
マウスの腸内L細胞株由来の腸内分泌細胞のGLUTag細胞を、第17継代~第28継代まで使用した。細胞を、10(v/v)%の不活性化したFBSおよび1(v/v)%のペニシリン/ストレプトマイシンを補充したDMEM GlutaMAXにおいて、5%のCO2/95%の空気の雰囲気、37℃で増殖させた。GLUTag細胞(1.8×105細胞/ウェル)を、24ウェルの細胞培養プレートに、ウェルあたり500μLで播種し、24時間接着させた。翌日、細胞を、50μMの最終濃度のDPP-IV阻害剤(ジペプチジルペプチダーゼ-4)の存在下で1.107~2.109個の細胞の範囲の濃度のD.welbionis J115Tで2時間処置した。総GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)の濃度を、Meso Scale Discovery ELISA kits(MesoScale, Gaithersburg, USA)を使用して決定し、上清で検出されるGLP-1の量、および培地プラス細胞におけるGLP-1の総量として表した。
【0436】
結果
腸内分泌細胞によるGLP-1の分泌は、腸バリアを強化することだけでなく、食物摂取量を低下することに寄与しているため、本発明者らは、D.welbionis J115
Tが、腸内分泌細胞によるGLP-1の産生および分泌を誘発することを確認しようと努めた。これにより、マウスの腸のL細胞株由来の細胞のGLUTagを、増大する濃度のD.welbionis J115
Tに供した。総GLP-1の細胞外濃度は、1.10
7個の細胞/mL増加したが、それぞれ、1mLあたり1.10
8、5.10
8、1.10
9および2.10
9個の細胞などの高い濃度のD.welbionis J115
Tに曝露した場合は、16.2%、79.5%、119.69%、および199.7%増加した(
図16)。この結果は、D.welbionis J115
Tが、腸内分泌細胞によるGLP-1の分泌を誘導することを表している。D.welbionis J115
TがGLP-1の産生をも増加させるかどうかを解読するために、試験の間GLUTag細胞により産生されたGLP-1の総量、すなわち細胞内および細胞外のGLP-1の量の合計を測定した。GLP-1の総量は、1.10
7個の細胞/mLに影響を与えないが、それぞれ、1mLあたり1.10
8、5.10
8、1.10
9、および2.10
9個の細胞の濃度によって、32.9%、19.5%、38.5%、および54.3%増加した(
図17)。よって、D.welbionis J115
Tが、グルカゴン様ペプチド(たとえばGLP-1およびGLP-2)の内因的な産生を増加させることが示されている。
【0437】
結論
D.welbionis J115T投与によるマウスの回腸終端部で観察されたプログルカゴンの発現の増大と一致して、D.welbionis J115Tへの曝露による分泌性GLP-1および総GLP-1の用量依存的な増加が観察される。GLP-2の産生は、GLP-1の産生の増加と関連している(Drucker et al., Best Pract Res Clin Endocrinol Metab. 2004 Dec;18(4):531-54)。これら結果は、GLP-1およびGLP-2の産生および分泌に及ぼすD.welbionis J115Tの促進作用の役割を表している。
【0438】
GLP-1は、エネルギー摂取の低下、より高いエネルギー消費、より高いインスリンの分泌、より低いインスリン抵抗性および満腹感に関連している。GLP-1は、腸バリアの強化、小腸の腸バリアにおける増殖的経路および細胞保護的な経路の誘導に関連している。よって、これら知見もまた、腸バリアの機能不全および/または摂食障害に関連する疾患の処置に対するJ115の投与の有用な作用を指摘している。
【0439】
実施例7:D.welbionisの投与に関連する作用に及ぼす用量およびバイアビリティの影響
材料および方法
Dysosmobacter welbionis J115Tの培養および列挙
D.welbionis J115T(LMG P-30603)を、前述のように(Le Roy et al, Int J Syst Evol Microbiol, 2019, DOI 10.1099/ijsem.0.003547に公開)イノシトールを多く含む改変YCFA培地で嫌気的に増殖させた。
【0440】
D.welbionis J115Tの未処置の培養物を調製し、HFD-J115 freshのグループに属するマウスに毎日投与した。培養物を、嫌気性チャンバーにおいて50mLのチューブに移し、次に5000gで20分間遠心分離した。次に、上清を除去し、ペレットを、リン酸塩-炭酸塩バッファー生理食塩水において15%の適切な容量のトレハロースに再懸濁し、培養物の光学密度から計算した細胞/mLの数での所望の最終濃度を得た。
【0441】
実験を開始する前にD.welbionis J115Tの凍結した懸濁物を1つのバッチで調製し、次にこれを凍結し、アリコートを、マウスへの毎日の投与のため毎日解凍し、HFD J115 frozenグループと表した。簡潔に述べると、培養物を、嫌気性チャンバーにおいて50mLのチューブに移し、次に5000gで20分間遠心分離した。次に、上清を除去し、ペレットを、リン酸塩-炭酸塩バッファー生理食塩水において15%の適切な容量のトレハロースに再懸濁し、所望の最終濃度を得た。最後に、懸濁物を、嫌気性無菌性のバイアルに移し、-20℃で保存した。
【0442】
未処置および凍結した懸濁物中の生細菌を、嫌気性リン酸塩-炭酸塩バッファーで懸濁物の1:10の段階希釈を行うことにより計測した。次に、各希釈物100μLを、あらかじめ還元したアガーYCFAペトリ皿上に三連でプレーティングした。嫌気性ジャーにおいて37℃で5日間インキュベートした後、コロニーを計測した。
【0443】
マウス
10週齢のC57BL/6Jマウスのセット(48匹のマウス、n=12/グループ)(Janvier Labs, France)を、食物および水を自由にアクセスさせつつ、2匹のマウス/ケージのグループよりSPF(Specific pathogen free)で収容した。マウスに、対照食(CT)または高脂肪食(HFD)を与えた。マウスの一グループは、リン酸塩-炭酸塩バッファー生理食塩水において15%のトレハロースの無菌性嫌気性溶液に懸濁したD.welbionis J115Tの調製された未処置の培養物を、5.109個の細菌/0.2mL(2.109cfu/0.2mLに対応)の用量での強制経口投与により毎日経口投与して処置した(HFD J115 fresh)。別のマウスのグループは、リン酸塩-炭酸塩バッファー生理食塩水において15%のトレハロースの無菌性嫌気性溶液に懸濁したD.welbionis J115Tの凍結された溶液を、5.109個の細菌/0.2mL(3,5.108cfu/mLに対応)の用量での強制経口投与により処置した(HFD J115 frozen)。HFDグル―プおよび対照グループは、等量のリン酸塩-炭酸塩バッファー生理食塩水において15%のトレハロースの強制経口投与で処置した(対照およびHFD)。処置は、13週間続行した。マウスは、6時間の絶食期間の後に安楽死させた。
【0444】
食物および水の記録を、1週間に1回記録した。体重組成を、7.5MHzのTD-NMR(time domain-nuclear magnetic resonance)(LF50 minispec, Bruker, Rheinstetten, Germany)を使用することにより評価した。
【0445】
腸のエネルギー吸収
実験の開始から6週間後に、27日間の糞便を回収した。同じ時間の間、食物摂取量をモニタリングした。糞便を、60℃で2時間乾燥し、重量を測定した。食事および糞便のエネルギーの合計を、ボンベ熱量計(C1, IKA, USA)により決定した。正味の腸内吸収は、消化および排泄されたエネルギーに基づき計算され、産出された糞便で回収されなかった消化エネルギーの比率を表した。
【0446】
結果
Dysosmobacter welbionis J115
Tの用量および/またはバイアビリティがHFDにより誘導される肥満および代謝の変更に対する保護に影響するかどうか、ならびに凍結された細菌が毎日培養された細菌と同様に活性であるかどうかを解明するために、1日あたり5.10
9個の未処置の細菌および凍結した細菌を、HFDを与えたマウスに13週間投与した。毎日未処置の細菌の投与での調製の前後のcfuの列挙は、細菌の40%が生存しており、よって5.10
9個の細胞が2.10
9個の生きた細胞に対応し、すなわち培養可能な細菌であることを表した(
図18)。対照的に、凍結した細菌の調製の前後での列挙は、細菌の7%のみが生存し、よって5.10
9個の細胞が3.5 10
8個の培養可能な細菌に対応することを表した(
図18)。
【0447】
結果は、1日あたり5.10
9個の未処置で調製された細菌の補給が、8週間の処置および18週間の処置の後に、それぞれ24.7および26.8%(すなわち3.5および4.9g)、HFD誘導性体重増加を減少させたことを示している(
図19および20)。同様に、1日あたり5.10
9個の調製された細菌の補給は、8週間の処置および18週間の処置の後に、それぞれ22.8および33.3%(すなわち3.1および5.8g)、HFD誘導性体重増加を減少させた(
図19および
図20)。未処置の調製物および凍結された調製物の効果の度合いは、8週間の処置の後では同様であり、試験の終了時(13週)では、統計的に有意ではないが凍結された調製物でわずかに高かった。同じ総量ではあるが異なるバイアビリティレベルを有するD.welbionis J115
Tの調製物は、マウスに同じ生理作用を発揮するため、バイアビリティは抗肥満作用を得るために必要な特性ではないと思われる。言い換えると、死んでいる培養可能ではないD.welbionis J115
Tの細胞は、生きており培養可能なD.welbionis J115
Tの細胞と比較して同じ有用な性質を有する。
【0448】
未処置および凍結したD.welbionis J115
Tの投与は、実験過程にわたり、食物摂取量、よって総エネルギー摂取を、7.9%および9.0%有意に減少させた(
図21)。この食物摂取量の減少が実際に宿主の代謝に利用可能なエネルギーの減少をもたらしたことを検証するために、7日間の2つの期間の糞便を回収し、糞便に含まれる総エネルギーをボンベ熱量計により測定した。糞便で産出されたエネルギーは、未処置または凍結したD.welbionisの投与の影響を受けなかった(
図22および
図23)が、吸収されるカロリーの量は、HFDマウスより8.2%および9.5%低いままであった(
図24)。さらに、食物摂取量に対する体重増加の比率は、未処置および凍結したD.welbionisを補給したマウスにおいてHFDマウスより19.5%および25.6%低かった(
図25)。これは、D.welbionisが、食物エネルギーを体重に変換する特性を減少させたことを表している。まとめると、この結果は、D.welbionisが、2つの相補的な機構、すなわち食物摂取量の減少および吸収されるエネルギーを保存する特性の低下により高脂肪食により誘導される体重を妨げることを示している。
【0449】
結論
これら結果は、J115の投与が高脂肪食に関連するいくつかの有害な結果の寛解:体重増加の減少、食物摂取量の減少、食物摂取量あたりの体重増加の減少、および腸でのエネルギー吸収の減少をもたらすとの実施例5でなされた知見を確認するものである。これら知見は、代謝性疾患(特に肥満)および摂食行動障害の処置に対するJ115の投与の有用な作用を指摘している。これら作用は、5.109個の細胞/マウスのJ115の毎日の投与で確認され、3.5.108~2.109個の細胞/マウス/日の範囲の生きている/培養可能なJ115で観察されている。特に、7%の生きている/培養可能な細胞を含む凍結したJ115細胞の投与は、40%の生きている/培養可能な細胞を含む凍結していない調製物と同様に効果がある。これは、生きていないJ115細胞も同様に、高脂肪食に関連するいくつかの有害な結果に関して健康状態を寛解できることを示唆している:体重増加の減少、食物摂取量の減少、食物摂取量あたりの体重の増加、および腸でのエネルギー吸収の減少。
【0450】
実施例8:脂肪組織に及ぼすD.welbionisの投与の作用
材料および方法
Dysosmobacter welbionis J115Tの培養および列挙
対応する実施例7のセクションを参照。
【0451】
マウス
対応する実施例7のセクションを参照。
【0452】
組織のサンプリング
動物に、イソフルラン(Forene(登録商標), Abbott, Queenborough, Kent, England)で麻酔をかけた後に、全採血および組織のサンプルを行い、次に頚椎脱臼によりマウスを殺害した。腸のセグメント(十二指腸、空腸、回腸、盲腸、および結腸)を解体し、液体窒素に含侵し、さらなる解析のため-80℃に保存した。
【0453】
皮下脂肪組織および腸間膜脂肪組織における脂肪細胞の直径
5μmのパラフィン切片を、ヘマトキシリンおよびエオシンで染色した。画像は、SCN400 slide scannerおよびDigital Image Hub software(Leica Biosystems, Wetzlar, Germany)を使用して入手した。脂肪組織の大きさおよび分布を、Fiji and Adiposoft softwaresを使用してサンプルあたり5つの領域から計算した。
【0454】
結果
肥満は、脂肪細胞の肥大化、不十分な脂肪分解、ならびにインスリン抵抗性および異所性脂肪沈着に寄与する炎症促進性の表現型を特徴とする脂肪沈着の拡散および脂肪組織の機能の分布に関連する。結果は、1日あたり5.10
9個の未処置および凍結したD.welbionis J115
T細胞の補給が、高脂肪食により誘導される脂肪組織の重量増加を20.0および24.2%(すなわち3.1および3.8グラム)減少させたことを示している(
図26)。これは、腸間膜、皮下(鼠径部)、および精巣上体の脂肪沈着の重量の有意な減少に対応している(
図27)。脂肪細胞の肥大化は、脂肪細胞の機能不全の特徴であるため、脂肪細胞の直径を、皮下脂肪組織(SCAT)および腸間膜脂肪組織(MAT)において、組織検査および画像解析により測定した。未処置および凍結したD.welbionis J115
Tでの処置は、SCATにおいて有意に小脂肪細胞(直径50μm未満)の比率を増加させ、大脂肪細胞(直径70μm超)の比率を減少させた(
図28および
図29)。内臓の脂肪組織の機能不全は、代謝の変更、よって、脂肪細胞の大きさに特に関連しており、MATの分布も同様に測定された。1日あたり未処置および凍結したD.welbionis J115
T細胞の補給は、MATにおいて有意に小脂肪細胞の比率を増加させ、大脂肪細胞の比率を減少させた(
図30および
図31)。厳密に述べると、D.welbionis J115
Tでの処置は、脂肪細胞の大きさの分布が、未処置または凍結したD.welbionis J115
Tで処置した、対照食を与えたマウスおよびHDFを与えたマウスにおいて同一であったため、HFD誘導性MAT脂肪細胞の肥大化を完全に無効にした。
【0455】
結論
これら結果は、J115の投与が、高脂肪食に関連するいくつかの有害な結果の寛解:脂肪組織の重量(腸間膜、皮下(鼠径部)、および精巣上体の脂肪沈着を含む)の減少、脂肪組織の肥大化(SCATおよびMATの肥大化を含む)の減少をもたらすことを表している。これら知見は、代謝性疾患(特に肥満、メタボリックシンドローム、高血圧、異所性脂肪沈着、2型糖尿病、および脂質異常症)の処置に対して有用なJ115の投与の作用を指摘している。これら作用は、5.109個の細胞/マウスのJ115の毎日の投与で観察され、3.5.108~2.109個の細胞/マウス/日の範囲の生きている/培養可能なJ115で観察されている。特に、7%の生きている/培養可能な細胞を含む凍結したJ115細胞の投与は、40%の生きている/培養可能な細胞を含む凍結していない調製物と同様に効果がある。これは、生きていないJ115細胞も同様に、高脂肪食に関連するいくつかの有害な結果に関して健康状態を寛解できることを示唆している:脂肪組織の重量(腸間膜、皮下(鼠径部)、および精巣上体の脂肪沈着を含む)の減少、脂肪組織の肥大化(SCATおよびMATの肥大化を含む)の減少
【0456】
実施例9:代謝上の健康に及ぼすD.welbionis投与の作用
材料および方法
Dysosmobacter welbionis J115Tの培養および列挙
対応する実施例7のセクションを参照。
【0457】
マウス
対応する実施例7のセクションを参照。
【0458】
経口糖負荷試験(OGTT)
13週間の処置の後、6時間絶食させたマウスを、強制経口投与によるグルコース充填(体重1kgあたり2gのグルコース)で処置した。血中グルコースを、経口グルコース充填の30分前および直前の時間0、次に経口グルコース充填から15、30、60、90、および120分後に測定した。血中グルコースは、グルコースメーター(Accu Check, Roche, Switzerland)を用いて、尾静脈の先端から回収した血液サンプルで決定した。血漿中インスリン濃度は、製造社の指示に従いELISA kit (Mercodia, Uppsala, Sweden)を使用して決定した。
【0459】
空腹時レプチン濃度
循環性レプチン濃度は、multiplex immunoassay kit(Mouse diabetes assay, Bio-Plex Pro, Bio-Rad, Belgium)を使用して決定し、Luminex技術(Bioplex, Bio-Rad, Belgium)を使用して測定した。
【0460】
結果
グルコースの代謝および代謝上の健康に及ぼすD.welbionis J115
Tでの処置の影響を良好に性質決定するために、経口糖負荷試験を、12週間のHFDならびに未処置および凍結したD.welbionis J115
Tの補給の後に行った。空腹時の血漿中グルコースは、グルコース充填から15分後の場合、処置したマウスおよび処置していないマウスで類似していた。しかしながら、未処置および凍結したD.welbionis J115
Tを補給したマウスにおいて、血漿中グルコースの減少がより迅速であった(
図32)。さらに、類似する血漿中グルコースレベルにも関わらず、血漿中インスリンレベルは、グルコース充填の前および充填から15分後に低くなる傾向があり(
図33)、インスリン感受性が、未処置および凍結したD.welbionis J115
Tにより改善された可能性があったことを表している。良好な代謝上の健康状態と一致して、空腹時血漿中レプチンレベルは、未処置および凍結したD.welbionis J115
Tにより有意に低下した(
図34)。
【0461】
結論
これら結果は、J115の投与が、高脂肪食に関連するいくつかの有害な結果の寛解:グルコース耐性の減少、インスリン感受性の減少、および空腹時血漿中レプチンレベルの減少をもたらすことを表している。これら知見は、代謝性疾患(特に肥満、インスリン抵抗性、耐糖能障害、高血糖、メタボリックシンドローム、2型糖尿病、1型糖尿病、脂質異常症、内因性グルコース産生の変化)の処置に対して有用なJ115の投与の作用を指摘している。これら作用は、5.109個の細胞/マウスのJ115の毎日の投与で観察され、3.5.108~2.109個の細胞/マウス/日の範囲の生きている/培養可能なJ115で観察されている。特に、7%の生きている/培養可能な細胞を含む凍結したJ115細胞の投与は、40%の生きている/培養可能な細胞を含む凍結していない調製物と同様に効果がある。これは、生きていないJ115細胞も同様に、高脂肪食に関連するいくつかの有害な結果に関して健康状態を寛解できることを示唆している:グルコース耐性の減少、インスリン感受性の減少、および空腹時血漿中レプチンレベルの減少。
【0462】
実施例10:褐色脂肪組織および皮下脂肪組織に及ぼすD.welbionis投与の作用
材料および方法
Dysosmobacter welbionis J115Tの培養および列挙
対応する実施例7のセクションを参照。
【0463】
マウス
対応する実施例7のセクションを参照。
図36および37に提示される実験では、10週齢のC57BL/6Jマウスのセット(14匹のマウス、n=7/グループ)(Janvier Labs, France)を、食物および水を自由にアクセスさせつつ、個別に収容した。マウスに高脂肪食(HFD)を与えた、マウスの一グループは、リン酸塩-炭酸塩バッファー生理食塩水において15%のトレハロースの無菌性嫌気性溶液に懸濁したD.welbionis J115
Tの凍結した溶液を用いて、5.10
9個の細菌/0.2mL(3,5.10
8cfu/mLに対応)の用量で強制経口投与により処置したHFD J115 frozen)。HFDグループは、等量のリン酸塩-炭酸塩バッファー生理食塩水において15%のトレハロースの無菌性嫌気性溶液の強制経口投与で処置した(HFD)。処置は、3週間続行した。実験の最終日に、マウスの体温を、げっ歯類用の直腸検温器を使用して測定した。絶食期間に供することなくマウスを午前中に安楽死させた。
【0464】
組織のサンプリング
対応する実施例8のセクションを参照。
【0465】
RNA調製、リアルタイムqPCR、およびRNAseq解析
RNAの調製およびqPCRの解析を、対応する実施例5のセクションに記載されるように現実化した。以下の表8に提示されるプライマーを使用した。
【0466】
【0467】
RNAseq解析において、褐色脂肪組織(BAT)および皮下脂肪組織(SCAT)に由来するRNAの統合性は、RNA 6000 Nano LabChip kitを伴いAgilent bioanalyzer 2100 systemを使用して決定した。0~10の範囲の尺度で8未満のRNA統合性ナンバーを有するBATサンプル、および6.5未満のRNA統合性ナンバーを有するSCATサンプルを排除した。次に、サンプルを50ng/μLの最終濃度になるまで集めた(HFD poolおよびHFD-J115 pool)。サンプルを、ポリA含有mRNA分子の精製、次にmRNAのフラグメンテーション、ランダムにプライミングを行ったcDNA合成(鎖特異的)、アダプターのライゲーションおよびアダプターに特有のPCR増幅、および最後に2×150bpのリード長でのペアエンドIlluminaシーケンシングから構成されるEurofins Genomicsによりシーケンシングされている。8000万~9000万のリード長を入手し、RNA-STARおよびhtseq modulesを使用してGalaxyのサーバーで解析した。
【0468】
結果
D.welbionis J115
Tは、食物エネルギーを体重へ変換する特性を減少させた。この現象は、エネルギー消費の増加の結果であり得る。褐色脂肪組織(BAT)は、特に代謝的に活性な脂肪沈着である。実際に、非震え熱産生の主要な部位であり、これにより身体全体の体温、エネルギー消費、および体脂肪を制御する。結果は、1日あたり5.10
9個の未処置で調製した細菌および凍結した細菌の補充が、13週間の処置の後にBATをそれぞれ24.7および26.8%(すなわち61.6および56.4mg)減少させたことを示している(
図35)。BATの代謝の調節を介した体温およびエネルギー消費に及ぼすD.welbionis J115
Tの作用を確認するために、10週齢のHFDを与えたC57BL/6Jマウスのセットを、ビヒクル、または5.10
9個のD.welbionis J115
Tの凍結した細胞のいずれかでの3週間の処置に供した(14匹のマウス、n=7/グループ、実験3)。凍結したD. welbonis J115
Tで処置したマウスの体温は、HFDを与えビヒクルで処置した対照マウスの体温よりも0.27℃高かった(39.0℃vs38.73℃、
図36)。さらに、これらマウスのBATの重量は、体温と負に相関していた(
図37)。線維症および炎症は、脂肪組織の機能不全の引き金として次第に認識されている。D.welbionis J115
Tで処置したマウスで観察される脂肪組織の代謝の改善が炎症および線維症レベルの低下に由来するかどうかを判定するために、HFDグループおよびHFD-J115-frozenグループのBATおよびSVATにおいてRNAseq解析を行った。細胞外マトリックスに関連する、すなわち線維症に多く含まれすぎている22の遺伝子は、凍結したD.welbionis J115
Tで処置したマウスのBATおよびSCATにおいてダウンレギュレートされた(表9)。
【0469】
【0470】
よって、炎症性応答遺伝子のオントロジーに関連する50の遺伝子は、1つを除き全てが、HFDを与えたマウスと比較してD.welbionis J115
Tで処置したマウスのBATにおいてダウンレギュレートされ、D.welbionis J115
Tが、HFDにより誘導される炎症および線維症から脂肪組織を保護することを表している(
図38)。また炎症(F4/80,マクロファージ浸潤のマーカー)および線維症(コラーゲンA1、細胞外マトリックスの構成要素)に関連する2つの遺伝子の相対的なmRNA発現を、qPCRにより測定し、これら遺伝子が、NDと比較してHFDによりアップレギュレートされ、未処置および凍結したD.welbionis J115
Tにより正常化されていたことを確認した(
図39および
図40)。
【0471】
結論
これら結果は、J115の投与が、高脂肪食に関連するいくつかの有害な結果の寛解:褐色脂肪組織の重量の減少、褐色脂肪組織および皮下脂肪組織における線維症の減少、ならびに褐色脂肪組織における炎症の減少をもたらすことを表している。これら知見は、代謝性疾患(特に肥満、脂肪組織炎症、脂肪組織線維症、および脂肪蓄積異常、脂肪分解の変化、高脂肪保存)の処置に有用なJ115の投与の作用を指摘している。これら作用は、5.109個の細胞/マウスのJ115の毎日の投与で観察され、3.5.108~2.109個の細胞/マウス/日の範囲の生きている/培養可能なJ115で観察されている。特に、7%の生きている/培養可能な細胞を含む凍結したJ115細胞の投与は、40%の生きている/培養可能な細胞を含む凍結していない調製物と同様に効果がある。これは、生きていないJ115細胞も同様に、高脂肪食に関連するいくつかの有害な結果に関して健康状態を寛解できることを示唆している:褐色脂肪組織の重量の減少、褐色脂肪組織および皮下脂肪組織における線維症の減少、ならびに褐色脂肪組織における炎症の減少。
【0472】
実施例11:TLR2シグナリングおよび腸バリアに及ぼすD.welbionis strain J115T株投与の作用
材料および作用
Dysosmobacter welbionis J115Tの培養および列挙
対応する実施例7のセクションを参照。
【0473】
マウス
対応する実施例7のセクションを参照。
【0474】
組織のサンプリング
対応する実施例8のセクションを参照。
【0475】
RNA調製、リアルタイムqPCR、およびRNAseq解析
RNA調製、qPCR解析を、対応する実施例5および10のセクションに記載されるように実現した。以下の表10に提示されるプライマーを、dPCR解析に使用した。
【表10】
【0476】
ヒトHEK-Blue hTLR2細胞株のin vitroでの培養および刺激
免疫受容体刺激解析ではHEK-Blue hTLR2細胞株(Invivogen, CA, USA)を使用した。hTLR2のリガンドでの刺激により、分泌性胚性アルカリホスファターゼ(SEAP)の産生を誘導するNFκBを活性化し、このレベルを、QUANTI-Blue比色分析酵素アッセイおよび分光光度計(Spectramax, Molecular Devices, CA, USA)を使用して測定した。HEK-Blue hTLR2細胞株を増殖させ、4.5g/lのD-グルコース、50U/mLのペニシリン、50μg/mLのストレプトマイシン、100μg/mLのNormocin、2mMのL-グルタミン、および10(v/v)%の熱失活したFBSを補充した維持培地DMEMを使用して70~80%のコンフルエンスまで培養した。免疫応答実験を、平底の96ウェルプレートにHEK-hTLR2細胞を播種(200μLのウェルあたり50000個の細胞)し、次に20μlの細菌懸濁物または陽性対照としてのPam3CSK4(合成トリアシル化リポペプチド、Invivogen, CA, USA)を添加することによりこれらを刺激することにより、行った。96ウェルプレートを、5%CO2/95%の空気の雰囲気にて、37℃で24時間インキュベートした。SEAPの分泌は、誘導されたHEK-Blue hTLR2上清20μlにQUANTI-Blue(Invivogen)180μlを添加してから1時間後にOD600を測定することにより、検出した。
【0477】
結果
腸でのToll様受容体2(TLR2)の刺激は、バリア機能を強化し、代謝的な健康を改善することが知られている。結果は、凍結したD.welbionis J115
Tが、用量依存的な方法でTLR2を発現する細胞を特に活性化したことを示している(
図41)。EC50は、半数効果濃度であり、ベースラインと2時間の曝露後の最大値との間の中間の応答を誘導する細菌の濃度を表す。D.welbionis J115
Tの場合、このEC50は、1mLあたり3.9×10
5個の細胞であり、これは比較的低い濃度であり、D.welbionis J115
TがTLR2の強力なアクチベーターであることを表している(
図42)。TLR2シグナリングは、バリア機能の強化に関連することが知られている。実際に、空腸でのRNAseq解析は、抗菌性ペプチドおよびタイトジャンクション構成タンパク質をコードする遺伝子の発現が、D.welbionis J115
Tで処置したマウスの空腸でアップレギュレートされたことを示している(表11)。
【0478】
【0479】
同様にデフェンシンαの相対的なmRNA発現を、qPCRにより測定し、この遺伝子が、未処置および凍結したD.welbionis J115
Tの両方によりアップレギュレートされることを確認した(
図43)。
【0480】
結論
これら結果は、J115の投与が、高脂肪食に関連するいくつかの有害な結果の寛解:タイトジャンクション関連遺伝子の発現の増加および抗菌性ペプチドの発現の増加をもたらすことを表している。さらに、J115は、TLR2の強力なアクチベーターである。TLR2の活性化は、抗炎症性経路を促進し、腸関門を強化する。(Oppong et al., Infect Immun. 2013 Feb;81(2):478-86)。これら知見は、腸バリアの機能不全に関連する疾患、特に腸炎、食物アレルギー、セリアック病、大腸炎、潰瘍、感染症、肝疾患、脂肪性肝炎に関連する疾患の処置に有用なJ1115の投与の作用を指摘している。これら作用は、5.109個の細胞/マウスのJ115の毎日の投与で観察され、3.5.108~2.109個の細胞/マウス/日の範囲の生きている/培養可能なJ115で観察されている。特に、7%の生きている/培養可能な細胞を含む凍結したJ115細胞の投与は、40%の生きている/培養可能な細胞を含む凍結していない調製物と同様に効果がある。これは、生きていないJ115細胞も同様に、高脂肪食に関連するいくつかの有害な結果に関して健康状態を寛解できることを示唆している:タイトジャンクション関連遺伝子の発現の増加、抗菌性ペプチドの発現の増加、およびTLR2シグナリングの効率的な活性化
【0481】
実施例12:ヒト腸管微生物相におけるD.welbionisの比率は、体重と負に相関する
材料および方法
qPCRによる糞便中のDysosmobacter sppの定量化
ゲノムDNAを、bead-beatingステップを含みQIAamp DNA Stool Mini Kit(Qiagen, Germany)を使用して、ヒトの糞便から抽出した。DNAの濃度を決定し、純度(A260/A280)を、NanoDrop2000(Thermo Fisher Scientific, USA)を使用して確認した。サンプルを、TEバッファー中10および0.1ng/μLの最終濃度(pH8)に希釈した。標準曲線は、純粋な培養物からゲノムDNAを希釈することにより各プレートに包含された。細胞の計数はDNA抽出前にプレーティングすることにより決定し、cfuと表した。糞便中のDysosmobacter sppの量は、総細菌のパーセンテージとして表した。qPCRを、Dysosmobacter種に特異的なプライマーおよび全ての細菌からの増幅を可能にするプライマーを用いて実施例5に記載の通りに行った(表12)。
【0482】
【0483】
結果
18.0~50.7kg.m
-2の範囲のボディマス指数(BMI)を有する62名の個体の糞便微生物叢におけるDysosmobacter属の相対的な存在量を、qPCRにより測定した。結果は、Dysosmobacter sppの相対的存在量のlogが、0.0001未満のp値でこのコホートにおいてBMIと負に相関したことを示している(
図44)。マウスモデルで得られた前臨床データと一致して、この結果により、Dysosmobacter属に属する細菌、特にD.welbionis J115
Tが、肥満に効果的であり、痩身および代謝的な健康に寄与していることが確認されている。25未満のBMIを有する対象では、Dysosmobacterの比率は2.45%であった。25~30の範囲のBMIを有する対象では、Dysosmobacterの比率は1.5%であった。30~35の範囲のBMIを有する対象では、Dysosmobacterの比率は0.85%であった。35~40の範囲のBMIを有する対象では、Dysosmobacterの比率は0.5%であった。
【0484】
結論
これら知見は、ヒトの腸管微生物相におけるDysosmobacter属の細菌、特にD.welbionis J115Tの存在の正の寄与を示唆している。観察される負の相関は、肥満の患者(30超のBMIを有する)に限定されず、同様に健常な対象(30未満のBMIを有する対象および25未満のBMIを有する対象)をも包有する。これら知見は、再度、代謝性疾患(特に肥満)の処置に対して有用なJ115の投与の作用を指摘している。健常な対象を使用してなされた相関もまた、健全性を改善するため、ならびに美容上の目的、特に体重減少を促進および/または体重増加を予防するために有用な、健常な対象へのJ115の投与の作用を指摘している。
【配列表】