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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】イミダゾテトラジン化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20240514BHJP
   A61K 31/4188 20060101ALI20240514BHJP
   A61K 31/422 20060101ALI20240514BHJP
   A61K 31/427 20060101ALI20240514BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240514BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
C07D487/04 144
C07D487/04 CSP
A61K31/4188
A61K31/422
A61K31/427
A61P35/00
A61P25/00
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021506472
(86)(22)【出願日】2019-08-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 US2019045986
(87)【国際公開番号】W WO2020033880
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2022-08-01
(31)【優先権主張番号】62/716,390
(32)【優先日】2018-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/778,750
(32)【優先日】2018-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/873,669
(32)【優先日】2019-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500436215
【氏名又は名称】ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ ユニバーシテイ オブ イリノイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハーゲンローザー、ポール ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ファン、ティモシー エム.
(72)【発明者】
【氏名】シュベック、ライリー エル.
【審査官】早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-066182(JP,A)
【文献】特表2011-506588(JP,A)
【文献】特表2008-513523(JP,A)
【文献】特表2012-530775(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101190917(CN,A)
【文献】J. Med. Chem.,1984年,27,196-201
【文献】Russian Chemical Bulletin, International Edition,2016年,65,1867-1872
【文献】J. Med. Chem.,1987年,30,357-366
【文献】ACS Chem. Biol.,2018年,13,3206-3216
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K 31/
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

式中、
XはO又はSであり;
は、ハロであり
は、-(C-C)アルキル、-(C-C)シクロアルキル、プロパルギル、フェニル、又は5員もしくは6員の複素環であり;ならびに
は、H、-(C-C)アルキル、又は(C-C)シクロアルキルであり;
ここで、各-(C-C)アルキル、-(C-C)シクロアルキル、プロパルギル、フェニル、及び5員又は6員の複素環は、置換されていないか若しくは1つ以上の置換基で置換されておりかつ各-(C-C)アルキルは分岐していないか又は分岐してい
の化合物又はその塩。
【請求項2】
クロロである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
XがOであり、かつがHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
XがOである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
XがOであり、Rが-(C-C)アルキルであり、及びRがHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
が-(C-C)アルキルであり、及びRがHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
がプロパルギル又は置換フェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
置換フェニルが、ハロ、アルキル、アルコキシ、フェノキシ、ジアルキルアミン、又はそれらの組合せで置換されている、請求項に記載の化合物。
【請求項9】
化合物が、
【化2】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
がんを治療するための医薬の製造における請求項1~のいずれか一項に記載の化合物の使用
【請求項11】
がんが膠芽腫(GBM)である、請求項10に記載の使用
【請求項12】
がんを治療するための、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項13】
がんが膠芽腫(GBM)である、請求項12に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2018年8月9日に出願された米国仮特許出願第62/716,390号、2018年12月12日に出願された同第62/778,750号、及び2019年7月12日に出願された同第62/873,669号に対する35U.S.C.§119(e)の下での優先権を主張するものであり、これらのそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
政府の支援
本発明は、国立衛生研究所(National Institutes of Health)によって授与された助成金番号R21-CA195149の下で政府の支援を受けてなされた。政府は本発明に一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
多形性膠芽腫(GBM)は、最も蔓延し、浸潤性で致死的な原発性悪性脳腫瘍であり、5年間生存する患者はわずかに10%である。GBMの現在の標準治療は、肉眼的外科的切除と、それに続く、小分子DNAアルキル化剤であるテモゾロミド(TMZ)と組み合わせた放射線療法である。TMZの抗腫瘍効果は、最終的には、グアニン残基のO位のメチル化とその後のミスマッチ修復依存性細胞死によって媒介される2-6。TMZの有益な特性の中には、好ましい薬物動態(100%の経口バイオアベイラビリティを含む)、非酵素的プロドラッグ活性化、及び脳内のいくらかの蓄積(ヒト癌患者における脳脊髄液:血液比17:838,9)がある。TMZは、GBM患者の一部に重要な治療上の利益を提供する。例えば、腫瘍が、O-メチルグアニン病変を除去する酵素であるO-メチルグアニンDNAメチルトランスフェラーゼ(MGMT)を発現しない患者では、TMZは生存期間の中央値を約2年に延長する10。個別化された抗癌療法の時代でさえ、TMZは、GBMに加えて乏突起膠腫、びまん性星状細胞神経膠腫及び多形性黄色星状細胞腫の最前線の治療法であり続けている11。しかし、MGMTを発現する腫瘍に対するTMZの無効性と、マルチモーダル併用療法後のGBMの避けられない再発を考えると、より良い治療戦略に対する重要な臨床的必要性が残されている。
【0004】
TMZは、活性アルキル化成分であるメチルジアゾニウムを最終的に放出する、水溶液中で活性化されるプロドラッグである(スキーム1(a))。TMZの半減期はインビボ及びインビトロの水溶液中で約2時間であり、この薬剤は、神経膠腫のよりアルカリ性の環境では加水分解速度が増加し、癌性細胞と非癌性細胞の選択性を提供することが示唆されている12-15。この2時間の半減期は、TMZが中枢神経系(CNS)に到達し、メチルジアゾニウムを放出することを可能にするが、半減期と抗癌活性の関係についての情報は乏しい;具体的には、治療効果を最大化するために2時間が最適であるかどうか、又はより短い(もしくはより長い)半減期がその効果を増強し得るかどうかは不明である。TMZの有利な特徴を考えると、その構造、加水分解安定性、及び抗癌活性の関係の理解。
【0005】
TMZは20年間FDAに承認されているが、全身毒性がより低い、神経膠芽腫に対してより効果的な薬剤が望ましい。有効であるのに十分な濃度でびまん性腫瘍全体に到達することができる治療用化合物が求められている。したがって、TMZの望ましい特性を有するが、より良好な脳浸透、より低い毒性を有し、改善された患者の生存率を提供する新しい化合物が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書では、イミダゾテトラジンの加水分解安定性及び半減期を正確に予測するためのモデルの開発について説明する。このモデルは、GBMのマウスモデルにおけるものを含む、TMZと比較して並外れたBBB浸透性と優れた抗癌活性を備えた新規イミダゾテトラジンを発見するために使用された。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、本開示は、式I:
【化1】

式中、
XはO又はSであり;
は、ハロ、-CN、-NO、-(C-C)アルキル、-C(=O)R、フェニル、又は5員もしくは6員の複素環であり、ここで、Rは、H、ハロ、-(C-C)アルキル、-(C-C)シクロアルキル、OR、SR、又はNRであり;ここで、
は、H、-(C-C)アルキル、又は(C-C)シクロアルキルであり;
は、H、-(C-C)アルキル、又は(C-C)シクロアルキルであるか;又は
が-NRである場合、RbとRは一緒になって複素環を形成してもよく;
は、-(C-C)アルキル、-(C-C)シクロアルキル、プロパルギル、フェニル、又は5員もしくは6員の複素環であり;ならびに
は、H、-(C-C)アルキル、又は(C-C)シクロアルキルであり;
ここで、各-(C-C)アルキル、-(C-C)シクロアルキル、プロパルギル、フェニル、及び5員又は6員の複素環は1つ以上の置換基で置換されていてもよく、各-(C-C)アルキルは分岐していないか又は分岐していてもよい、
の化合物又はその塩を提供する。
【0008】
本開示はまた、癌の治療を必要とする対象に、治療有効量の上記に開示された化合物を投与することを含み、それによって癌が治療される、癌を治療する方法を提供する。
【0009】
本発明は、式I~III(A/B/C)の新規化合物、式I~IIIの化合物の合成のための中間体、及び式I~IIIの化合物を調製する方法を提供する。本発明はまた、他の有用な化合物の合成のための中間体として有用である式I~IIIの化合物を提供する。本発明は、ヒトなどの哺乳動物における細菌感染症の治療に有用な薬剤を製造するための式I~IIIの化合物の使用を提供する。
【0010】
本発明は、薬物療法で使用するための本明細書に記載の組成物の使用を提供する。薬物療法は、癌、例えば乳癌、肺癌、膵臓癌、前立腺癌、結腸癌、又は神経膠芽腫などの脳の癌を治療することであり得る。本発明はまた、哺乳動物における疾患、例えばヒトにおける癌を治療するための薬剤を製造するための、本明細書に記載の組成物の使用を提供する。薬剤は、薬学的に許容される希釈剤、賦形剤、又は担体を含むことができる。
【0011】
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、本発明の特定の実施形態又は様々な態様をさらに実証するために含まれる。場合によっては、本発明の実施形態は、本明細書に提示される詳細な説明と組み合わせて添付の図面を参照することによって最もよく理解され得る。この説明及び添付の図面は、本発明の特定の具体的な例又は特定の態様を強調し得る。しかしながら、当業者は、例又は態様の一部が、本発明の他の例又は態様と組み合わせて使用され得ることを理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】C8置換イミダゾテトラジンの加水分解安定性。(a)C8置換基のハメット定数に対してプロットした、2時間後に残存する化合物のパーセンテージ。TMZと同様の加水分解安定性を有する化合物を楕円形で囲んでいる(表1c参照)。
図2】(a)TMZ、Me-TMZ、及びDiMe-TMZ(25mg/kg)の関連する脳:血清比を、マウスへのIV注射の5分後に測定した。値は、TMZに対する脳:血清比の倍率変化である。2番目の実験では、TMZ及びC8類似体(25mg/kg)の脳(b)及び血清(c)濃度を、マウスへのIV注射の5分後に定量した。(d)脳:血清比は、マウスの血液量を58.5mL/kgと仮定して(b)及び(c)に基づいて計算した(スキーム2b参照)。エラーはSEM、コホートあたりのマウス数=3である。統計的有意性は、2標本スチューデントt検定(等分散を仮定した両側検定)を使用して決定した。
図3】インビボでのイミダゾテトラジンの血液毒性の評価。マウスに125mg/kgのイミダゾテトラジンの単回IV用量を投与した。7日後、全血を採取し、個々のマウスについて全血球数を得た。(a)総WBC数。対照対Ox-TMZ:P=0.7、対照対K-TMZ:P=0.9。(b)リンパ球濃度。対照対Ox-TMZ:P=0.5、対照対K-TMZ:P=0.9。エラーはSEM、コホートあたりのマウス数=4である。統計的有意性は、2標本スチューデントt検定(等分散を仮定した両側検定)を使用して決定した。他の関連する血液成分の濃度を図8に示す。
図4】イミダゾテトラジンを、O6BG(100μM)の3時間の前処理を伴って又は伴わずにT98G細胞に添加した。7日間のインキュベーション後のIC50値及び(+/-)O6BG処理間の倍率変化を報告している。すべての化合物について、IC50値(+/-)O6BG間のP値<0.02。エラーはSEM、n≧3である。統計的有意性は、2標本スチューデントt検定(等分散を仮定した両側検定)を使用して決定した。
図5】GBMの頭蓋内マウスモデルにおけるイミダゾテトラジンの評価。GBM Br23c腫瘍球(oncosphere)を雌性無胸腺ヌードマウスに頭蓋内移植した。移植の5日後に処置を開始した。(a)マウスに15mg/kgのTMZ又は等モル用量のMe-TMZ(16.1mg/kg)又はDiMe-TMZ(17.2mg/kg)を1日1回、週5回、7週間にわたって経口投与した。対照対TMZ:P=0.0014、TMZ対DiMe-TMZ:P=0.061、TMZ対Me-TMZ:P=0.016。(b)マウスに15mg/kgのTMZ又は等モル用量のDiMe-TMZ(17.2mg/kg)又はK-TMZ(14.9mg/kg)を1日1回、合計5回経口投与した。対照対TMZ:P=0.0007、DiMe-TMZ対TMZ:P=0.7、K-TMZ対TMZ:P=0.055。各処置の直前に、化合物をPBS中の10%PEGで製剤化した。処置コホートあたりのマウス数≧5。ログランク検定を使用して生存率曲線を比較した。
図6】使用したすべての細胞株のMGMT状態のウェスタンブロット。
図7】37℃で2時間後に残存する親化合物のパーセンテージを計算することによって、pH7.0、7.4、及び8.0の生理食塩水中で評価したTMZ及びK-TMZの加水分解安定性。
図8】インビボでのイミダゾテトラジンの血液毒性の評価。マウスを125mg/kgのイミダゾテトラジンの単回IV用量で処置し、7日後に各マウスについて全血球数を得た。(a)好中球濃度、(b)RBC濃度、(c)血小板濃度(表2b参照)。
図9】GBM腫瘍球(oncosphere)Br23c細胞を雌性無胸腺ヌードマウスに頭蓋内移植した。移植の5日後に処置を開始した。マウスに化合物14(12.8mg/kg、15mg/kg TMZと等モル)を1日1回、5回経口投与した。化合物をPBS中の10%PEGで製剤化した。n≧5。この実験は、図5bに提示されているものと並行して実施した;対照群は図5b及び図9で同じである。
図10】MGMTに依存しないイミダゾテトラジンの開発経路。脳:血清比のグラフ:マウスに25mg/kgの化合物IVを投与した。15分後、マウスを犠死させ、血液と脳を採取した。それぞれの薬剤濃度をLC-MS/MSによって定量化した。コホートあたりN≧3のマウス、エラーはSEMである。*P<0.05、**P<0.01。
【発明を実施するための形態】
【0013】
個別化医療と免疫療法の時代でさえ、小分子DNAアルキル化剤であるテモゾロミド(TMZ)は、膠芽腫(GBM)の標準治療であり続けている。TMZは独特な作用機序を有しており、インビボでの加水分解を介して自発的にその活性成分に変換する。TMZは20年間FDAに承認されているが、腫瘍が耐性酵素MGMTを発現し、骨髄抑制によって全身毒性を引き起こす患者にはほとんど利益をもたらさない。TMZは1984年に最初に合成されたが、TMZの化学的感受性のために特定の重要な誘導体がアクセスできず、イミダゾテトラジン構造と生物学的活性との関連を幅広く検討することを妨げてきた。したがって、プロドラッグ活性化の最適なタイミングを特定し、血液脳関門浸透度の増加を介して有効性が高められた適切な化合物を開発することを目的として、イミダゾテトラジンの加水分解安定性と抗癌活性との関係を見極めることが求められた。
【0014】
この作業では、イミダゾテトラジンのC8位でこれまで調べられていない官能基(脂肪族、ケトン、ハロゲン、及びアリール基など)へのアクセスを提供する新しい合成方法の開発が必要であった。様々な水性安定性(0.5~40時間)を有する一連の化合物の合成と評価を通して、C8置換基のハメット定数に基づくイミダゾテトラジンの加水分解安定性の予測モデルを導き出した。GBM細胞株のパネルに対する活性、適切な加水分解及び代謝安定性、ならびにTMZと比較して劇的に上昇した脳対血清比を有し、GBMのマウスモデルにおいてTMZよりも低い血液毒性プロフィール及び優れた活性をもたらす有望な化合物を同定した。この作業は、新規で有効な抗癌性イミダゾテトラジンの開発に向けての明確な道筋を示す。
【0015】
TMZのC8のアミドは、活性に不可欠であることが過去に示唆されていたが2,16、その後相反する報告が、この位置では別の官能基が許容され得ることを示した17-19。実際に、分析により、C8での戦略的置換を使用してイミダゾテトラジンの加水分解安定性を調整することができ、そうすることで、様々な半減期を有する一連の化合物を構築できるという確信がもたらされた。プロドラッグの安定性を変化させることに加えて、C8位置での改変は、TMZの好ましい薬物動態特性を保持するが、CNS浸透度が増加した化合物につながる可能性がある。血液脳関門(BBB)の浸透度が増強されたイミダゾテトラジンは、より低い全身毒性を示し、TMZの用量制限毒性(骨髄抑制)がCNS関連ではないため、より高く、より効果的な投与レジメンを可能にする7,20,21
【0016】
定義
以下の定義は、本明細書及び特許請求の範囲の明確で一貫した理解を提供するために含まれる。本明細書で使用される場合、列挙される用語は以下の意味を有する。本明細書で使用される他のすべての用語及び語句は、当業者が理解するそれらの通常の意味を有する。そのような通常の意味は、R.J.Lewis,John Wiley&Sons,New York,N.Y.,2001によるHawley’s Condensed Chemical Dictionary 14th Editionなどの専門用語辞典を参照することによって得られ得る。
【0017】
本明細書における「一実施形態」、「1つの実施形態」などへの言及は、記載される実施形態が特定の態様、特徴、構造、部分、又は特性を含み得るが、すべての実施形態が必ずしもその態様、特徴、構造、部分、又は特性を含むとは限らないことを示す。さらに、そのような句は、必ずしもそうとは限らないが、本明細書の他の部分で言及される同じ実施形態を指し得る。さらに、特定の態様、特徴、構造、部分、又は特性が一実施形態に関連して説明される場合、明示的に記載されているかどうかにかかわらず、他の実施形態に関するそのような態様、特徴、構造、部分、又は特性に影響を及ぼす又は結びつくことは、当業者の知識の範囲内である。
【0018】
単数形「1つの」、及び「その」は、文脈上明らかに異なる指示がない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「1つの化合物」への言及は、複数のそのような化合物を含み、その結果、1つの化合物Xは複数の化合物Xを含む。さらに、特許請求の範囲は、随意的要素を除外するように作成され得ることに留意されたい。したがって、この記述は、本明細書に記載の任意の要素、及び/又は特許請求の範囲の要素の列挙又は「消極的」制限の使用に関連して、「単独で」、「のみ」などの排他的な用語を使用するための先行詞として機能することを意図している。
【0019】
「及び/又は」という用語は、この用語が関連付けられている項目のいずれか1つ、項目の任意の組合せ、又は項目の全部を意味する。「1つ以上」及び「少なくとも1つ」という語句は、特にその使用法の文脈で読まれる場合、当業者によって容易に理解される。例えば、この語句は、1、2、3、4、5、6、10、100、又は記載されている下限より約10、100、又は1000倍高い上限を意味し得る。例えば、フェニル環上の1つ以上の置換基は、例えばフェニル環が二置換されている場合、1から5、又は1から4を指す。
【0020】
当業者に理解されるように、成分の量、分子量、反応条件などの特性を表すものを含むすべての数値は近似値であり、すべての場合に「約」という用語で修飾されていてもよいと理解される。これらの値は、本明細書の説明の教示を利用して当業者が得ようとする所望の特性に応じて異なり得る。そのような値は、本質的に、それらのそれぞれの試験測定で認められた標準偏差から必然的に生じる変動性を含むことも理解される。値が近似値として表される場合、先行詞「約」を使用することにより、修飾語である「約」のない特定の値もさらなる態様を形成することが理解されよう。
【0021】
「約」と「およそ」という用語は互換的に使用される。どちらの用語も、指定された値の±5%、±10%、±20%、又は±25%の変動を指すことができる。例えば、「約50」パーセントは、いくつかの実施形態では、45から55パーセントまでの変動、又は特定の特許請求の範囲によって別段に定義される変動を担うことができる。整数範囲の場合、「約」という用語は、範囲の各末端に記載される整数よりも大きい及び/又は小さい1つ又は2つの整数を含むことができる。本明細書で別段の指示がない限り、「約」及び「およそ」という用語は、個々の成分、組成物、又は実施形態の機能に関して同等である、記載されている範囲に近い値、例えば重量パーセントを含むことが意図されている。「約」及び「およそ」という用語は、この段落で前述したように、列挙されている範囲の終点を修飾することもできる。
【0022】
当業者に理解されるように、あらゆる目的のために、特に書面による説明を提供することに関して、本明細書に列挙されるすべての範囲はまた、そのありとあらゆる可能な部分範囲及び部分範囲の組合せ、ならびに範囲を構成する個々の値、特に整数値を包含する。したがって、2つの特定の単位の間の各単位も開示されることが理解される。例えば、10から15が開示される場合、11、12、13、及び14もまた、個別に、及び範囲の一部として開示される。列挙される範囲(例えば重量パーセントまた炭素基)には、範囲内の各特定の値、整数、小数、又は同一性が含まれる。列挙される範囲は、少なくとも2等分、3等分、4等分、5等分、又は10等分に分解される同じ範囲を十分に説明し、可能にすると容易に認識され得る。非限定的な例として、本明細書で論じられる各範囲は、下3分の1、中3分の1、及び上3分の1などに容易に分解することができる。同じく当業者に理解されるように、「まで」、「少なくとも」、「より大きい」、「より小さい」、「より多い」、「又はそれより多い」などのすべての言語は、列挙される数を含み、そのような用語は、上記で論じたように後で部分範囲に分解することができる範囲を指す。同様に、本明細書に列挙されるすべての比率は、より広い比率に含まれるすべての部分的な比率も含む。したがって、ラジカル、置換基、及び範囲について列挙される特定の値は、例示のみを目的とする;それらは、ラジカル及び置換基についての他の定義された値又は定義された範囲内の他の値を除外しない。さらに、各範囲の終点は、その他の終点に関して、及びその他の終点とは独立して、意味をなすことも理解されよう。
【0023】
当業者はまた、メンバーがマルクーシュグループなどの一般的な方法で一緒にグループ化される場合、本発明は、全体として列挙されたグループ全体だけでなく、グループの各メンバーを個別に、及び主グループのすべての可能なサブグループを包含することを容易に認識するであろう。さらに、すべての目的のために、本発明は、主グループだけでなく、1つ以上のグループメンバーが存在しない主グループも包含する。したがって、本発明は、列挙されるグループのいずれか1つ以上のメンバーの明確な除外を想定する。したがって、但し書きは、開示されるカテゴリ又は実施形態のいずれかに適用され得、それにより、列挙される要素、種、又は実施形態のいずれか1つ以上が、例えば明確な消極的制限において使用するために、そのようなカテゴリ又は実施形態から除外され得る。
【0024】
「接触すること」という用語は、例えば溶液中、反応混合物中、インビトロ、又はインビボで、例えば生理学的反応、化学反応、又は物理的変化をもたらすために、細胞レベル又は分子レベルを含む、触れる、接触する、又は密接もしくは近接させる行為を指す。
【0025】
「有効量」は、疾患、障害、及び/もしくは状態を治療するために、又は記載される効果をもたらすために有効な量を指す。例えば、有効量は、治療されている状態又は症状の進行又は重症度を軽減するのに有効な量であり得る。治療有効量の決定は、十分に当業者の能力の範囲内である。「有効量」という用語は、例えば、宿主における疾患もしくは障害を治療もしくは予防するために、又は疾患もしくは障害の症状を治療するために有効である、本明細書に記載の化合物の量、又は本明細書に記載の化合物の組合せの量を含むことが意図されている。したがって、「有効量」は、一般に、所望の効果を提供する量を意味する。
【0026】
あるいは、本明細書で使用される「有効量」又は「治療有効量」という用語は、治療されている疾患又は状態の症状の1つ以上をある程度緩和する、投与される薬剤又は組成物又は組成物の組合せの十分な量を指す。結果は、疾患の徴候、症状、もしくは原因の軽減及び/もしくは緩和、又は生物学的システムの他の望ましい変化であり得る。例えば、治療用途の「有効量」は、疾患の症状の臨床的に有意な減少を提供するために必要とされる、本明細書に開示されるような化合物を含む組成物の量である。個々の症例における適切な「有効」量は、用量漸増試験などの技術を使用して決定され得る。用量は、1回以上の投与で投与することができる。しかし、有効用量と見なされるものの正確な決定は、患者の年齢、大きさ、疾患の種類又は程度、疾患の病期、組成物の投与経路、使用される補足療法の種類又は程度、進行中の疾患過程、及び所望される治療の種類(例えば積極的治療対従来の治療)を含むがこれらに限定されない、各患者に個別の因子に基づき得る。
【0027】
「治療すること」、「治療する」及び「治療」という用語は、(i)疾患、病的もしくは医学的状態の発生を防ぐこと(例えば予防);(ii)疾患、病的もしくは医学的状態を阻害するかもしくはその発症を阻止すること;(iii)疾患、病的もしくは医学的状態を緩和すること;及び/又は(iv)疾患、病的もしくは医学的状態に関連する症状を軽減することを含む。したがって、「治療する」、「治療」、及び「治療すること」という用語は、予防にまで拡大することができ、治療されている状態又は症状の進行又は重症度を予防する、予防、予防すること、低下させること、停止又は逆転させることを含み得る。したがって、「治療」という用語は、必要に応じて、医学的、治療的、及び/又は予防的投与を含むことができる。
【0028】
本明細書で使用される場合、「対象」又は「患者」は、疾患又は他の悪性腫瘍の症状を有するか、又はそのリスクがある個体を意味する。患者は、ヒト又は非ヒト動物であり得、例えば、本明細書に記載されるマウスモデルなどの研究目的のための「モデル系」として使用される動物系統又は種を含み得る。同様に、患者は、成体又は若齢(例えば小児)のいずれかを含み得る。さらに、患者は、任意の生物、好ましくは本明細書で企図される組成物の投与から利益を受ける可能性のある哺乳動物(例えばヒト又は非ヒト動物)を意味し得る。哺乳動物の例には、哺乳動物クラス:ヒト、チンパンジー及び他の類人猿及びサル種などの非ヒト霊長動物;ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタなどの家畜;ウサギ、イヌ及びネコなどの飼育動物;ラット、マウス及びモルモットなどのげっ歯動物を含む実験動物の任意のメンバーが含まれるが、これらに限定されない。非哺乳動物の例には、鳥、魚などが含まれるが、これらに限定されない。本明細書で提供される方法の一実施形態では、哺乳動物はヒトである。
【0029】
本明細書で使用される場合、「提供すること」、「投与すること」、「導入すること」という用語は、本明細書では互換的に使用され、本開示の組成物の所望の部位への少なくとも部分的な局在化をもたらす方法又は経路によって、組成物を対象内に配置することを指す。組成物は、対象における所望の場所への送達をもたらす任意の適切な経路によって投与することができる。本明細書に記載の組成物は、組成物の安定性及び活性を延長するためのさらなる組成物と共に、又は他の治療薬と組み合わせて投与され得る。
【0030】
「阻害する」、「阻害すること」、及び「阻害」という用語は、疾患、感染、状態、又は細胞群の成長又は進行を遅らせる、停止させる、又は逆転させることを指す。阻害は、例えば、治療又は接触がない場合に起こる成長又は進行と比較して、約20%、40%、60%、80%、90%、95%、又は99%より大きくなり得る。
【0031】
本明細書で使用される「実質的に」という用語は、広義の用語であり、限定されることなく、必ずしも全体ではないが主に、指定されているものを含むその通常の意味で使用される。例えば、この用語は、完全な数値の100%ではない可能性のある数値を指し得る。完全な数値より、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約15%、又は約20%少ない可能性がある。
【0032】
本明細書で使用される場合、「置換された」又は「置換基」という用語は、「置換された」(又は「置換基」)を使用する表現で指示される基上の1つ以上(例えば、様々な実施形態では1~20、他の実施形態では1~10、1、2、3、4、又は5;いくつかの実施形態では1、2、又は3;及び他の実施形態では1又は2)の水素が、指示される基(1つ又は複数)からの選択物で、又は当業者に公知の適切な基で置き換えられ、ただし、指示される原子の通常の原子価を超えず、置換が安定な化合物をもたらすことを条件とすることを示すことが意図されている。適切な指示される基には、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、アルカノイル、アルコキシカルボニル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリフルオロメチルチオ、ジフルオロメチル、アシルアミノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、カルボキシ、カルボキシアルキル、ケト、チオキソ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、及びシアノが含まれる。さらに、置換された炭素(又は他の)原子に結合することができる置換基の非限定的な例には、F、Cl、Br、I、OR’、OC(O)N(R’)、CN、CF、OCF、R’、O、S、C(O)、S(O)、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、N(R’)、SR’、SOR’、SOR’、SON(R’)、SOR’、C(O)R’、C(O)C(O)R’、C(O)CHC(O)R’、C(S)R’、C(O)OR’、OC(O)R’、C(O)N(R’)、OC(O)N(R’)、C(S)N(R’)、(CH0-2NHC(O)R’、N(R’)N(R’)C(O)R’、N(R’)N(R’)C(O)OR’、N(R’)N(R’)CON(R’)、N(R’)SOR’、N(R’)SON(R’)、N(R’)C(O)OR’、N(R’)C(O)R’、N(R’)C(S)R’、N(R’)C(O)N(R’)、N(R’)C(S)N(R’)、N(COR’)COR’、N(OR’)R’、C(=NH)N(R’)、C(O)N(OR’)R’、又はC(=NOR’)R’が含まれ、ここで、R’は水素又は炭素ベースの部分であり得、炭素ベースの部分はそれ自体がさらに置換され得る。置換基が、例えばF又はClのように一価である場合、置換基は、単結合によって置換している原子に結合される。置換基が、二価であるOのように一価より多価である場合、置換基は、複数の結合によって置換している原子に結合され得る、すなわち二価の置換基は二重結合によって結合される;例えば、Oで置換されたCは、カルボニル基、C=Oを形成し、ここで、C及びOは二重結合している。あるいは、O、S、C(O)、S(O)、又はS(O)などの二価の置換基を、2つの単結合によって2つの異なる炭素原子に接続することができる。例えば、二価の置換基であるOは、2つの隣接する炭素原子のそれぞれに結合してエポキシド基を提供することができ、又はOは、隣接している又は隣接していない炭素原子の間に架橋エーテル基を形成することができ、例えばシクロヘキシル基の1,4-炭素を架橋して[2.2.1]-オキサビシクロ系を形成する。さらに、任意の置換基は、(CH又は(CR’などのリンカーによって炭素又は他の原子に結合することができ、ここで、nは1、2、3、又はそれ以上であり、各R’は独立して選択される。
【0033】
「ハロ」又は「ハロゲン化物」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードを指す。同様に、「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素を指す。
【0034】
「アルキル」という用語は、例えば1~20個の炭素原子又はその間の範囲(2~8又は3~8個の炭素など)、多くの場合1~12、1~10、1~8、1~6、又は1~4個の炭素原子を有する分岐又は非分岐炭化水素を指す。本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は、以下に定義される「シクロアルキル」も包含する。例としては、メチル、エチル、1-プロピル、2-プロピル(イソプロピル)、1-ブチル、2-メチル-1-プロピル(イソブチル)、2-ブチル(sec-ブチル)、2-メチル-2-プロピル(t-ブチル)、1-ペンチル、2-ペンチル、3-ペンチル、2-メチル-2-ブチル、3-メチル-2-ブチル、3-メチル-1-ブチル、2-メチル-1-ブチル、1-ヘキシル、2-ヘキシル、3-ヘキシル、2-メチル-2-ペンチル、3-メチル-2-ペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3-メチル-3-ペンチル、2-メチル-3-ペンチル、2,3-ジメチル-2-ブチル、3,3-ジメチル-2-ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシルなどが含まれるが、これらに限定されない。アルキルは、置換されていなくてもよく、又は、例えば以下に記載される置換基で置換されていてもよい。アルキルはまた、部分的又は完全に不飽和であってもよい。したがって、アルキル基の記述には、アルケニル基とアルキニル基の両方が含まれ得る。アルキルは、上記で説明し、例示したように、一価の炭化水素ラジカルであってもよく、又は二価の炭化水素ラジカル(すなわちアルキレン)であってもよい。
【0035】
「シクロアルキル」という用語は、例えば単一の環状環又は複数の縮合環を有する3~10個の炭素原子の環状アルキル基を指す。シクロアルキル基には、例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロオクチルなどの単一環構造、又はアダマンチルなどの複数環構造が含まれる。シクロアルキルは、置換されていなくてもよく、又は置換されていてもよい。シクロアルキル基は一価又は二価であり得、アルキル基について記載されたように置換されていてもよい。シクロアルキル基は、1つ以上の不飽和の部位を含んでもよく、例えばシクロアルキル基は、例えば1-シクロペント-1-エニル、1-シクロペント-2-エニル、1-シクロペント-3-エニル、シクロヘキシル、1-シクロヘキス-1-エニル、1-シクロヘキス-2-エニル、1-シクロヘキス-3-エニルなどの1つ以上の炭素-炭素二重結合を含むことができる。
【0036】
「ヘテロシクロアルキル」という用語は、窒素、硫黄、酸素から選択される少なくとも1個のヘテロ原子、好ましくは少なくとも1つの環に1~3個のヘテロ原子を含む飽和又は部分飽和の単環式、二環式、又は多環式環を指す。各環は、好ましくは3~10員、より好ましくは4~7員である。適切なヘテロシクロアルキル置換基の例には、ピロリジル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロチオフラニル、ピペリジル、ピペラジル、テトラヒドロピラニル、モルホリノ、1,3-ジアザパン、1,4-ジアザパン、1,4-オキサゼパン、及び1,4-オキサチアパンが含まれる。この基は、末端基又は架橋基であってもよい。
【0037】
「アリール」という用語は、親芳香環系の1個の炭素原子から少なくとも1個の水素原子を除去することによって誘導される芳香族炭化水素基を指す。ラジカル結合部位は、親環系の飽和又は不飽和炭素原子に存在し得る。アリール基は、6~30個の炭素原子、例えば約6~10個の炭素原子を有することができる。他の実施形態では、アリール基は、6~60個の炭素原子、6~120個の炭素原子、又は6~240個の炭素原子を有することができる。アリール基は、単一の環(例えばフェニル)又は複数の縮合(融合)環を有することができ、少なくとも1つの環は芳香族(例えばナフチル、ジヒドロフェナントレニル、フルオレニル、又はアントリル)である。典型的なアリール基には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニルなどから誘導されるラジカルが含まれるが、これらに限定されない。アリールは、置換されていなくてもよく、又は置換されていてもよい。
【0038】
「ヘテロアリール」という用語は、1つ、2つ、又は3つの芳香環を含み、芳香環に少なくとも1つの窒素、酸素、又は硫黄原子を含む単環式、二環式、又は三環式環系を指す。ヘテロアリールは、置換されていなくてもよく、又は「置換された」の定義に記載されているように、例えば1つ以上、特に1~3個の置換基で置換されていてもよい。典型的なヘテロアリール基は、1つ以上のヘテロ原子に加えて、環骨格に2~20個の炭素原子を含む。ヘテロアリール基の例には、2H-ピロリル、3H-インドリル、4H-キノリジニル、アクリジニル、ベンゾ[b]チエニル、ベンゾチアゾリル、β-カルボリニル、カルバゾリル、クロメニル、シンノリニル、ジベンゾ[b,d]フラニル、フラザニル、フリル、イミダゾリル、イミジゾリル、インダゾリル、インドリシニル(indolisinyl)、インドリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、オキサゾリル、ペリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナルサジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、テトラゾリル、及びキサンテニルが含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、「ヘテロアリール」という用語は、炭素を含む5又は6個の環原子を含み、非過酸化物酸素、硫黄、及びN(Z)から独立して選択される1、2、3、又は4個のヘテロ原子を含む単環式芳香環を意味し、ここで、Zは存在しないか又はH、O、アルキル、アリール、もしくは(C-C)アルキルアリールである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、それから誘導される約8~10個の環原子のオルト縮合した二環式複素環、特にベンズ誘導体、又はそれにプロピレン、トリメチレン、もしくはテトラメチレンジラジカルを縮合することによって誘導されるものを意味する。
【0039】
本発明の実施形態
本開示は、式I:
【化2】

式中、
XはO又はSであり;
は、ハロ、-CN、-NO、-(C-C)アルキル、-C(=O)R、フェニル、又は5員もしくは6員の複素環であり、ここで、Rは、H、ハロ、-(C-C)アルキル、-(C-C)シクロアルキル、OR、SR、又はNRであり;ここで
は、H、-(C-C)アルキル、又は(C-C)シクロアルキルであり;
は、H、-(C-C)アルキル、又は(C-C)シクロアルキルであるか;又は
が-NRである場合、RbとRは一緒になって複素環を形成してもよく;
は、-(C-C)アルキル、-(C-C)シクロアルキル、プロパルギル、フェニル、又は5員もしくは6員の複素環であり;ならびに
は、H、-(C-C)アルキル、又は(C-C)シクロアルキルであり;
ここで、各-(C-C)アルキル、-(C-C)シクロアルキル、プロパルギル、フェニル、及び5員又は6員の複素環は1つ以上の置換基で置換されていてもよく、各-(C-C)アルキルは分岐していないか又は分岐していてもよい、
の化合物又はその塩を提供する。
【0040】
いくつかの実施形態では、フェニル及び(C-C)アルキルは、それぞれ独立して、例えば、限定されないが、ハロ(例えば1つ以上のクロロもしくはフルオロ)、アルコキシ、又はアミノアルキルで置換される。いくつかの他の実施形態では、置換基はフェニル基を含まないか、又は置換基の分子量が約100、約90、約80、約70、約60、又は約50未満である。さらに他の実施形態では、R及びRの両方がHであることはできない。
【0041】
他の実施形態では、Rは、-C(=O)-(C-C)アルキル、-C(=O)-NH(C-C)アルキル、又はC(=O)-N[(C-C)アルキル]である。さらに他の実施形態では、XはOであり、RはHであり、Rは、-C(=O)-(C-C)アルキル、-C(=O)-NH(C-C)アルキル、又はC(=O)-N[(C-C)アルキル]である。さらに他の実施形態では、XはOであり、Rは-C(=O)-(C-C)アルキルである。さらなる実施形態では、XはOであり、Rは-(C-C)アルキルであり、RはHである。他のいくつかの実施形態では、Rは-(C-C)アルキルであり、RはHである。他の様々な実施形態では、Rはプロパルギル又は置換フェニルである。いくつかの実施形態では、XはOであり、RはHである。
【0042】
様々な実施形態では、Rは、式IB:
【化3】

式中、
WはO、S、又はNRであり;ここで、RはH、-(C-C)アルキル、又は(C-C)シクロアルキルであり;
VはN又はCRであり、ここで、RはH、-(C-C)アルキル、又は(C-C)シクロアルキルであり;
YはN又はCRであり、ここで、RはH、-(C-C)アルキル、又は(C-C)シクロアルキルであり;及び
ZはN又はCHである、
の部分である。
【0043】
他の様々な実施形態では、Rは、
【化4】

のうちの1つであり、
ここで、5員複素環部分Rは置換されていてもよい(炭素原子CHのいずれか一方で、それによりその炭素をC置換基に修飾し、置換基は本明細書で定義される置換基である)。
【0044】
さらなる実施形態では、Rは、i、ii、又はiii:
【化5】

であり、
ここで、(i)、(ii)及び(iii)は、4位又は5位で置換されていてもよい。
【0045】
さらなる実施形態では、Rはパラ置換フェニルであり、各置換基の分子量は、約300ダルトン未満、約200ダルトン未満、又は約100ダルトン未満である。さらに他の実施形態では、パラ置換基は、ハロ、-CN、-CF、-CFCF、又は(C-C)アルキルである。他のいくつかの実施形態では、Rは、ハロ、-(C-C)アルキル、又は(C-C)シクロアルキルである。
【0046】
様々なさらなる実施形態では、置換フェニルは、ハロ、アルキル、アルコキシ、フェノキシ、アミン、アルキルアミン、ジアルキルアミン、又はそれらの組合せで置換されている。
【0047】
他の実施形態では、化合物は、
【化6】

である。
【0048】
さらなる実施形態では、式Iの化合物は、式IC:
【化7】

式中、Gは、ハロ、アルキル、アルコキシ、フェノキシ、又はジアルキルアミンである、
の化合物である。いくつかの実施形態では、Gは、OCH、OCHCH、OPh、又はN(CHである。
【0049】
他の様々な実施形態では、式Iの化合物は、式II:
【化8】

の化合物である。
【0050】
さらなる実施形態では、Rは-(C-C)アルキルであり、RはHである。さらに他の実施形態では、化合物はK-TMZ:
【化9】

である。
【0051】
さらなる実施形態では、Rは、CH、CHCH、NHCH、NHCHCH、N(CH、N(CHCH、N(CHCHCH、N(CHCHCHCH、N(CHCH、N[(CHCHO]、OCH、OCHCH、SCH、又はSCHCHである。他の実施形態では、化合物は、
【化10】

である。
【0052】
さらなる実施形態では、式Iの化合物は、式IIIA又はIIIB:
【化11】

式中、RはH、ハロ、-(C-C)アルキル、又は(C-C)シクロアルキルである、
の化合物である。他の実施形態では、RはCH又はCHCHである。さらに他の実施形態では、化合物は、
【化12】

である。
【0053】
本開示はさらに、癌の治療を必要とする対象に、治療有効量の請求項1~19のいずれか一項に記載の化合物を投与することを含み、それによって癌が治療される、癌を治療する方法を提供する。他のさらなる実施形態では、癌は膠芽腫(GBM)である。
【0054】
いくつかの実施形態では、組成物は、上記に開示された化合物及び第2の活性薬剤を含む。他の実施形態では、第2の活性薬剤は、プロカスパーゼ-3活性化因子、例えばPAC-1:
【化13】

である。
【0055】
なおさらなる実施形態では、本明細書に開示される化合物及び第2の活性薬剤は、癌の治療のために同時に又は連続的に対象に投与される。いくつかのさらなる実施形態では、開示される化合物及び第2の活性薬剤は、対象に同時に投与される。他の実施形態では、開示される化合物及び第2の活性薬剤は、対象に連続的に投与される。いくつかの他の実施形態では、開示される化合物は、第2の活性薬剤の前に対象に投与される。さらにより多くの実施形態では、開示される化合物は、第2の活性薬剤の後に対象に投与される。
【0056】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される化合物の濃度は、約1nM~約10μMである。さらに他の実施形態では、第2の活性薬剤の濃度は、約1nM~約1μMである。
【0057】
この開示は、体積、質量、パーセンテージ、比率などの変数に対する範囲、制限、及び偏差を提供する。「1」から「2」などの範囲は、整数及び小数を含む連続する数の範囲を意味することが当業者には理解される。例えば、1から10は、1、2、3、4、5、…9、10を意味する。また、1.0、1.1、1.2.1.3、…、9.8、9.9、10.0も意味し、及び1.01、1.02、1.03なども意味する。開示される変数が「10」未満の数である場合、上記で論じたように、10未満の整数及び小数を含む連続する範囲を意味する。同様に、開示される変数が「10」より大きい数である場合、10より大きい整数及び小数を含む連続する範囲を意味する。これらの範囲は、上記で意味を説明した「約」という用語によって修飾され得る。
【0058】
結果及び考察
C8置換イミダゾテトラジンの構築。TMZのC8位にアミドが含まれているのは、主にイミダゾトリアゼン及びイミダゾテトラジンの最初の合成のアーティファクトである。ダカルバジンとTMZはどちらも、前駆体である4-ジアゾイミダゾール-5-カルボキサミド(1、スキーム1b)から誘導される。報告によれば室温で2.5年超22というこのジアゾ種の顕著な安定性は、他のジアゾイミダゾール種(4-ジアゾイミダゾール(2)など)が単純に分解する探索化学のための使用を可能にした23。したがって、1962年のダカルバジン及び1984年のTMZの最初の合成には、それぞれジメチルアミンによる1のクエンチング24、又はイソシアン酸メチルによる1の環化25が含まれ、第一級アミド部分が残存した。時が経つと共に、このアミドは抗癌活性に重要であることが示唆されてきた。そのような主張は、C8の水素結合ドナーが活性に必要であることを示唆する理論的研究によって裏付けられたが2,16、状況を分かりにくくさせているのは、非CNS癌モデルにおける関連化合物(ミトゾロミド)の誘導体から採用された矛盾する構造-活性相関(SAR)である26。C8位で新規誘導体を構築するために使用できる一般的な合成経路を確立することにはかなりの課題がある;これらの合成上の課題は新しいイミダゾテトラジンの開発を妨げており、新しい化合物及び生物学的データがないため、時代遅れのSARが存続している。
【0059】
スキーム1.(a)水溶液中のテモゾロミド(TMZ)活性化の機構。(b)関連するバージョン(2など)と比較した化合物1の良好な安定性は、TMZのC8でのアミドの取り込みを説明する。
【化14】

C8アミドを置き換えることの課題には、水性感受性;塩基感受性;ジアゾイミダゾール分解;及びCHNCOの不良な代用物が含まれる。
【0060】
新規イミダゾテトラジンを製造するための重要な課題には、プロトン性溶媒又は塩基性試薬に対する感受性、中間体ジアゾ種の不安定性、及びN3メチルを導入するための効率的な試薬の欠如が含まれる。塩基又は水(pH>6)が関与する条件に対するプロドラッグの感受性により、テトラジノンは多くの実際的なクロスカップリング又は還元条件に対して不安定になる。上記で示唆したように、別の課題は中間体ジアゾ種の不安定性である。特権的な4-ジアゾイミダゾール-5-カルボキサミド(1、スキーム1b)は、純粋で安定な化合物として溶液から容易に沈殿する;しかし、他の4-ジアゾイミダゾール(2など)は水溶液中に残り、非常に分解しやすく、熱、衝撃、及び多くの場合光に感受性である23。最後に、TMZへの最初の経路でのN3-メチル基の導入は、イソシアン酸メチルによる環化を介して達成された25。しかし、イソシアン酸メチルは有毒ガスであり、もはや市販されていない。そのため、環化の収率を低下させる、代替経路27又はN-スクシンイミジルN-メチルカルバマートもしくはN-メチルカルバミン酸クロリドなどのイソシアン酸メチルのあまり有効でない代用物を使用しなければならない。
【0061】
C8アミドの特定の誘導体へのアクセスを提供するために、これらのタイプの化合物の探索は、主にミトゾロミドのために開発された確立されたルートを変更することによって開始された28。このシーケンスは、TMZのアミドをカルボン酸3に加水分解することから始まり(スキーム2a)、次にこれを酸塩化物に変換することができる。この中間体から、様々な求核試薬で置換すると、高い収率で生成物が得られる。この経路を使用して、アミド、エステル、及びチオエステル誘導体4~10を合成した(スキーム2a)。さらに、確立された反応を使用して、TMZから直接シアノ基(11)を導入した(スキーム2a)29。しかし、C8類似体の構造的に多様なパネルを作成するには、特に脂肪族、ケトン、ハロゲン、及びアリール基を有するものについて、新規の合成経路が必要になる:そのような置換基は、TMZの約35年の歴史の中でこの位置では記述されていない。したがって、C8の脂肪族基を、5-アミノ-4-メチルイミダゾール12のジアゾ種13へのジアゾ化、及びそれに続くイソシアン酸メチル代用物N-メチルカルバモイルクロリドによる環化によって導入して、C8-メチル誘導体14を得た(スキーム2b)。
【0062】
様々なアミド、エステル、及びチオアミドがC8に導入されたが、グリニャール試薬又はアルキルリチウム試薬を使用する最初の試みがテトラジノン環の完全な分解をもたらしたため、おそらく当然のことながら、ケトンは全く存在しなかった。したがって、段階的な環化を利用して、6-メチルプリンN-オキシド(15)の加水分解で得られる30、その二置換前駆体16からメチルケトン誘導体17を合成した(スキーム2c)。臭素及び塩素置換基を、デス-マーチンペルヨージナン及びそれぞれのテトラエチルアンモニウム塩を使用した中間体3の脱炭酸ハロゲン化により、中程度の収率でC8に直接組み込んだ(化合物18及び19、スキーム2a)。この戦略は、これまでイミダゾールには適用されたことがなく、それら自体が新規誘導体であることに加えて、多様性という潜在的なポイントを与える。しかし、18をクロスカップリングのパートナーとして使用することは、塩基性の水性条件が必要とされるために成功しなかった。代わりに、鈴木カップリングは、5-ニトロ-4-ブロモイミダゾール(20)前駆体から5-ニトロ-4-フェニルイミダゾール(21)を形成し、その後これを対応するアミン22に還元し、上記のようにフェニル置換イミダゾテトラジンに環化することができた(スキーム2d)。この方法は、23及び少量のp-置換アリール誘導体24~26を提供した。最後に、複素環式化合物27及び28(スキーム2e)を、それぞれC8アミド又はチオアミドの環化によって合成した;類似の経路が、C8位にかさばる4-置換オキサゾール及びチアゾールを導入するために利用されていたが19、より小さなメチル基の導入には利用されていなかった。
【0063】
C8置換イミダゾテトラジンの抗癌活性。取り組んでいる一連のイミダゾテトラジンを用いて、各化合物をヒトGBM細胞株のパネルに対して評価した(表1a、表1b)。細胞株を、MGMTを発現する細胞株とMGMTを欠く細胞株を含むように選択し(図6)、文献の報告と一致して、無視できるMGMT発現の細胞株はTMZに感受性であり(IC50が約50μM以下)、有意なMGMT発現がある細胞株は耐性であった(IC50>300μM)。アミド置換誘導体4~8、ならびにエステル(9)及びチオエステル(10)誘導体は、MGMT欠損のU87及びD54細胞株においてTMZに匹敵する活性を有していた。特に、二置換アミド(5~8)及びエステル(9)イミダゾテトラジンの活性の保持は、C8に水素結合ドナーが必要ないことを確認する。U118MG及びT98G MGMTを発現するGBM細胞では、TMZと比較してこれらの誘導体でより強力な活性が観察された。ケトン類似体17は、MGMT欠損細胞株に対しても有効であり、C8位にアミドが必要ないことを実証した。14、19、23、及び27などのカルボニルを完全に欠く化合物は、MGMTの非存在下ではTMZと同等に(又はそれ以上に)強力であり、MGMTを発現する細胞株では有意により強力であることが証明された。メチル(14)及びフェニル(23)置換は、すべての細胞株にわたって最も活性が高かった。シアノ誘導体11及びカルボン酸誘導体3は、MGMTの非存在下でも、試験したすべての細胞株で不活性であった(TMZよりも>7倍活性が低かった)。これらの標準的な接着性GBM細胞株に加えて、ほとんどの類似体は、無血清幹細胞条件下で培養された患者由来のU3054MG GBM細胞株においてTMZよりも活性であった31
【0064】
スキーム2.新規C8置換イミダゾテトラジンの合成。DMP=デス-マーチンペルヨージナン、SNMC=N-スクシンイミジルN-メチルカルバマート。
【化15】

【表1a】
【0065】
C8置換イミダゾテトラジンの加水分解安定性。イミダゾテトラジンの抗癌活性を支配する主要な側面は、プロドラッグの加水分解活性化である。スキーム1(a)に示すように、TMZは、ヒトでは約2時間の半減期を有する。このタイムラインは、無傷のプロドラッグが脳に到達し、除去される前に活性なメチル化成分を放出することを可能にする。TMZを超えて、イミダゾテトラジンの安定性と抗癌活性の関係は不明である;すなわち、癌細胞死には加水分解による活性化が必要であるが、この事象の最適なタイミングはインビトロとインビボの両方で不明確である。この目的に向けて、各新規化合物の加水分解安定性を、インビボ条件を模倣する緩衝生理食塩水中で評価した(pH7.4のPBS中でTMZは119分の半減期を有する(図1))。pH7.4、37℃で2時間後に溶液中に残る無傷のプロドラッグの割合を定量化するために、HPLCアッセイを開発した。この実験の結果は、C8での電子置換基効果が、二環を介して加水分解部位であるC4に直接変換されることを示唆する。この効果の大きさは劇的であり、C8位の置換基に依存して、2時間後に0%から97%の範囲の安定性が残っていた(図1)。C8の基は、プロドラッグの水性安定性にそのような明確な影響を及ぼすようであるので、そのハメット定数(σ)を2時間後に残存するパーセントに対してプロットした。図1に示すように、これら2つのパラメータの間には明らかな関係があり、σを使用してC8置換イミダゾテトラジンの安定性を正確に予測できることを示唆する。第一級アミド(σ=0.36)と同様の電子(0.23<σ<0.50)を持つ置換基を有する化合物の中には、アミド誘導体4及び5、ケトン誘導体17、ならびにクロロ誘導体19があった。それぞれが、pH7.4のPBS中でTMZの1時間以内の半減期を有すると測定された(表1c)。両端には、0.5時間の半減期のシアノ類似体11(σ=0.66)、及び半減期が40時間で最も長くプロドラッグ形態のままであったメチル誘導体14(σ=-0.17)があった。同じアッセイを使用して、C8置換誘導体(例えばK-TMZ 17、図7)の加水分解がpH依存性のままであることを確認した。
【表1b】

【表1c】
【0066】
加水分解安定性と抗癌活性の関係。メチル及びフェニル誘導体14及び23は、試験した各細胞株において一貫して最も強力な化合物であった(表1a)。興味深いことに、それらは電子供与性置換基も有し、したがって、最大の水性安定性を有しており(図1)、より長寿命のプロドラッグが細胞培養での有効性に有利であることを示唆した。反対の作用は、溶液中で最も安定性が低い化合物11で観察された。MGMTを欠くU87細胞でさえ、TMZと比較して10倍の活性喪失を示し、それより下では加水分解が迅速に起こりすぎて標的DNAをメチル化できないという水性安定性の臨界閾値が存在することを示唆する。4、5、17、19、及び27などのTMZと同様の加水分解安定性を有する化合物は、培養下で活性を保持した。特に、ケトン誘導体17は、水性半減期が短くてもTMZと同等の効力があり、σ約0.50の化合物が依然として著明な抗癌活性を保持できることを示した。
【0067】
肝ミクロソームの安定性。TMZは、偶然にも、一次代謝の回避を含むいくつかの理想的な薬物動態特性を有する。C8でのアミドの修飾又は置換が有意な代謝的不安定性につながるかどうかを評価するために、マウス肝ミクロソームの存在下で2時間後に選択した化合物の安定性を評価した。プロドラッグの加水分解は、肝ミクロソームを含まない対照での実施を含めることによって説明された。作業溶液のわずかに酸性のpHは、PBSのみでのインキュベーションと比較してTMZの安定性の増強をもたらした。予想通りに、TMZの不安定性は加水分解によって完全に説明されたため、TMZは代謝摂動に非感受性であった(表2a)。メチル(1つ又は複数)のアミド(化合物4及び5)への付加は、ミクロソームの効果にある程度の感受性をもたらし、この効果はより大きなアミド置換(化合物7)で増幅され、改善された水性安定性を示したが、肝ミクロソームでは著明に低い安定性を示した。ケトン17及びクロロ19は、一般に酸化的代謝に対して安定であり、これらの化合物の場合、TMZと同様に、加水分解がインビボでの薬物動態を促進できることを示唆した。
【0068】
血液脳関門浸透度。小分子薬の98%超がBBBに浸透しないことが報告されており32、特に抗癌剤の中で、TMZを独特なものにしている。ヒトでは、TMZは急速に吸収され、数分で脳に到達し、脳脊髄液濃度は血漿中の平均20%であり8,9、BBB浸透度を高めることによって脳内にさらに多くの薬剤を蓄積することは、CNSベースの腫瘍に対する有効性を高めるための実行可能な戦略であり得る。新規イミダゾテトラジンのBBB浸透度を予測するために、cLogPと総極性表面積を利用した式に基づいてlogBB値を計算した(cLogBB)33。一貫した薬剤足場全体に適用した場合、これらのタイプのインシリコメトリックは、常に絶対濃度を反映するわけではないが、BBB浸透度の相対的変化及び他の生物学的現象を予測するために信頼可能に使用されている34-38。TMZのcLogBB値は-1.58である(表2a)。第一級アミドを置き換えると、TMZと比較してcLogBBの顕著な増加、及びより大きな予測される脳:血液比をもたらした。重要なことに、cLogBBは分子量を考慮していないため、魅力的な予測値を有する場合でも、大きな疎水性官能基を有する類似体(例えば7)には注意が必要である。より包括的な測定基準であるCNSマルチパラメータ最適化(MPO)ツール39,40も、予想されるBBB透過性を測定するために利用された。CNS MPOスコアは、6つの物理化学的特性の最適範囲に基づいて0から6.0の範囲にわたる。TMZは4.9の良好なMPOを有するが、C8類似体の場合はより高いスコアが達成され、いくつかの場合には最高の望ましい値に達した(表2a)。パネルで予測されたより良好なcLogBB及びCNS MPO値は、特定の誘導体がTMZよりも脳内でより高い薬剤濃度を達成し得ることを示唆する。
【0069】
そこで、上位化合物(良好な抗癌活性、適切な加水分解及び肝ミクロソーム安定性、ならびに予測されるBBB浸透度を有するもの、スキーム2b)のBBB浸透度をインビボで評価した。最初の実験では、Me-TMZ(4)及びDiMe-TMZ(5)をTMZと直接試験して、C8アミドのアルキル化が脳:血液比を高めることができるかどうかを調べた。マウスに25mg/kgの薬剤を静脈内投与し、注射の5分後に犠死させた。血清及び灌流した脳試料を、プロドラッグの分解を防ぐために直ちに酸性化した後、各区画内の薬剤濃度をLC-MS/MSによって定量した。5分後、脳内の薬剤濃度は、TMZと比較して類似体Me-TMZ及びDiMe-TMZで有意に上昇し、各化合物の脳:血清比は3倍超増加した(図2a)。Me-TMZとDiMe-TMZの同等の脳:血清比は、ジメチル化アミドのモノメチル化対応物への迅速な代謝に起因する可能性が高い。この予備実験は、予測されるBBB浸透度がより高い他の誘導体は、インビボでより大きな脳透過性をもたらし得ることを示唆した。したがって、化合物Ox-TMZ(27)及びK-TMZ(17)を、DiMe-TMZ及びTMZと直接評価した。5分後、各誘導体は、TMZよりも数値的に高い濃度を脳内に蓄積していた(図2b)。対応する血清濃度と組み合わせると(図2c)、TMZの相対的な脳:血清比は、マウス系における他のいくつかのTMZ生体内分布実験に匹敵する0.23±0.03ng/g:ng/mLであった41,42。マウスの平均血液量を同じ単位に割り当てると、TMZの脳と血清の絶対比は8:92であったが、Ox-TMZとK-TMZは、それぞれ55:45と69:31の脳:血清比を有していた。(図2d)。薬剤分配の劇的な違いは、C8でのアミドの置換が、血液と比較して脳内の局所薬剤濃度を有意に増加させるための実行可能な戦略であることを示唆し、これは、脳腫瘍に対する有効性を高め、血液毒性も減少させる可能性がある。
【0070】
スキーム2b.リードC8置換化合物の構造。イミダゾテトラジンの血液脳関門透過性(図2参照)。
【化16】

【表2a】
【0071】
血液毒性の評価。TMZと比較してOx-TMZ及びK-TMZでの処置時に観察された脳濃度の上昇及び血清濃度の劇的な低下(図2b、図2c)は、これらのC8修飾イミダゾテトラジンが、臨床でTMZについて観察された用量制限血液毒性を減弱することを示した。この仮説を調べるために、マウスを125mg/kgのTMZ、Ox-TMZ、又はK-TMZの単回静脈内投与で処置した;この用量のTMZは、マウスにおいて非致死的な毒性を誘発する43,44。処置の7日後、全血を採取し、個々のマウスについて全血球数を得た。予想通り、125mg/kg TMZの投与は、対照マウスと比較して白血球(WBC)の枯渇を引き起こし(図3a)、薬剤誘発性の骨髄抑制を示唆した。リンパ球(図3b)と好中球(図8a)の両方の濃度は、TMZ処置マウスで減少した。逆に、125mg/kgのOx-TMZ又はK-TMZでの処置は骨髄抑制を生じさせなかった。これらの化合物で処置されたマウスの総WBC、リンパ球、及び好中球数は、対照マウスのものと同等であった。特に、新規イミダゾテトラジンは、赤血球(RBC)毒性(図8b)又は血小板減少症(図8c)などの他の血液学的症状を引き起こさず、処置後7日で体重減少を生じさせなかった(表2b)。
【表2b】
【0072】
新規イミダゾテトラジンはアルキル化を介した癌細胞死を誘導する。TMZの細胞毒性は、Oグアニンのメチル化によって媒介される;その後の一本鎖及び二本鎖切断とアポトーシスは、ミスマッチ修復システムによって促進される2-6。新規イミダゾテトラジンが同じ機構を介して死滅させるかどうかを評価するために、O-メチルグアニン付加物を、100又は1000μMの各イミダゾテトラジンで処理したU87細胞で定量した。化合物と共に8時間インキュベートした後、ゲノムDNAを単離し、定量化し、その構成要素であるデオキシリボヌクレオシドに加水分解し、これをLC-MS/MS分析によって定量した。O-メチル化デオキシグアノシンの濃度の用量依存的な増加がTMZ及び各リード化合物で観察され(表2c)、DNAメチル化が起こっていることを示した。新規化合物がDNAアルキル化剤のままであることのさらなる確認は、MGMT阻害剤O-ベンジルグアニン(O6BG)で前処理したときに得られた。O6BGは、酵素の細胞貯蔵を抑制するMGMTの偽基質であり、O-メチルグアニンDNA付加物の持続性をもたらす。MGMTを発現するT98G細胞をO6BG(100μM)と共にプレインキュベートすると、文献の報告と一致して45,46、TMZの細胞毒性の8倍の増強がもたらされた(図4)。同様に、DiMe-TMZ、Ox-TMZ、及びK-TMZは、O6BGの後に投与すると活性の有意な増加を示し、O-メチルグアニン病変が細胞死の原因であることを示唆した。
【0073】
新規イミダゾテトラジンはGBMのマウスモデルにおいて優れた活性を有する。TMZと比較してアミド誘導体(Me-TMZ及びDiMe-TMZ)で観察されたBBB浸透度の増加は、脳内の薬剤濃度が高いほど頭蓋内腫瘍モデルでより高い有効性をもたらし得ることを示唆した。GBM腫瘍球(oncosphere)株は、血清中で継代され、典型的にはインビボでコンパクトな塊として増殖する従来の接着細胞株よりも、ヒトGBMの遺伝的及び組織病理学的特徴をより正確に再現するので、これらの試験のために選択した47。Br23c GBM腫瘍球(oncosphere)細胞株は、MGMTを発現せず、TMZ及び新規C8置換イミダゾテトラジンに感受性であったため(表2d)、モデル系として選択した。これらの細胞を頭蓋内に移植したマウスに、15mg/kgのTMZ又は等モル相当のMe-TMZ又はDiMe-TMZを1日1回、週5回、強制経口投与した。予想されたように、TMZは、ビヒクルと比較して生存期間中央値を有意に増加させた(図5a)。しかし、Me-TMZとDiMe-TMZの両方で処置されたマウスは、TMZを上回り、生存期間中央値がそれぞれ24%と46%増加し、イミダゾテトラジンプロドラッグのBBB透過性を高めることが有効性を改善するための実行可能な戦略であることを示唆した。2番目の実験では、K-TMZを、その最も好ましい脳:血液比により、評価のために選択した(図2d)。Br23c細胞を頭蓋内に移植したマウスをK-TMZで処置し(経口強制投与によって)、これは、TMZ処置マウスを上回る50日超の延長された生存期間中央値をもたらし、DiMe-TMZと比較してもより高い有効性を示した(図5b)。重要なことに、細胞培養で優れた効果があるが、水溶液中で延長された(40時間)半減期を有するメチル誘導体14は、このインビボモデルでは効果がなく(図9)、劇的に延長された半減期は、おそらく加水分解活性化前の化合物クリアランスに起因して、インビボで有害であることを示唆した。
【表2c】
【0074】
結論
1984年以来公知であり、FDAは1999年から承認し、2009年には売上高が10億ドルに達したにもかかわらず、TMZは依然として唯一の承認されたイミダゾテトラジン抗癌剤である;これはおそらく、従来の医薬品化学キャンペーンを妨げるこのクラスの化合物の一般化された合成の欠如に起因する。本明細書では、以前にはアクセスできなかった新規C8置換イミダゾテトラジンの構築を可能にする新しい合成方法を報告する。体系的な直接アッセイでこれらの化合物を評価することにより、C8アミドは抗癌活性に必要ではなく、実際に、C8でH結合ドナー又はアクセプタ(又は両方)を欠く化合物は、培養下の癌細胞に対してTMZに匹敵する活性を依然として保持できるという最終的な結論に至った。C8でのアミドの必要性から解放されたので、この位置を変化させてイミダゾテトラジンのパネルを合成した。驚くべきことに、C8の置換基の電子特性は、これまで定義されていなかった現象である、対応するプロドラッグの活性化に劇的な影響を及ぼす。イミダゾテトラジンの加水分解安定性とC8の電子との間の本明細書で導き出された関係は、容易にアクセスできるσ値を使用してプロドラッグの安定性を調整できるようにし、インビボで同様の安定性を有するTMZ誘導体の合理的な設計を可能にし、イミダゾテトラジンプロドラッグ活性化の最適なタイミングの検討を促進する。
【0075】
この研究から、半減期が非常に短い化合物(11など、t1/2=0.57時間)は、単に加水分解が迅速すぎて、DNA微小環境に蓄積する前にメチルジアゾニウムを放出し、抗癌活性を低下させるようである。したがって、培養下の癌細胞に対する活性については、1時間以上の半減期が最適である。逆に、半減期が非常に長い化合物(14又は23など、t1/2>20時間)は、プロドラッグが活性なメチル化剤に変換される前に核に分布する十分な時間を有するため、細胞培養下のTMZよりも明らかに強力であり得る。しかし、加水分解安定性が著明に増加したこれらの化合物は、アルキル化種に活性化される前に代替経路(無傷のプロドラッグの排泄、酸化的代謝など)による除去が起こるため、インビボで有用である可能性はより低い。この仮説は、化合物14のインビボでの有効性の欠如を説明する。
【0076】
GBMの特徴は、初期段階で周囲の脳組織に浸潤し、外科的切除による治癒を達成不可能にすることである。したがって、有効であるのに十分な濃度でびまん性腫瘍全体に到達することができる改善された化合物に対する明らかな臨床的必要性が存在する。重要なことに、本明細書のデータは、イミダゾテトラジンのBBB浸透度がC8位での修飾によって改善できることを示す。特に、Ox-TMZ及びK-TMZの劇的に増強された脳:血清分布は、CNS癌の治療のためにTMZに比べて実質的な改善を提供し得る。これらの化合物は両方とも、TMZの好ましい特徴(適時なプロドラッグの活性化、肝ミクロソームに対する安定性)を保持しながら、脳内のより高い薬剤濃度と血中の低下した濃度も蓄積する。イミダゾテトラジンを腫瘍の部位により多く分配し、副作用の原因となる区画により少なく分配することは、抗癌活性を増強すると同時に全身毒性を低減することによって治療ウィンドウを拡大すると仮定された。骨髄毒性は、TMZで治療された患者の約20%で発生し、主要な用量制限毒性であり48、高齢者及び女性のGBM患者で増悪する49,50。Ox-TMZ及びK-TMZは、おそらくCNSへの分配の増加の直接的な結果である、TMZと比較してWBCに対する有意に少ないインビボ毒性を示した。毒性プロフィールがより低いこれらのようなイミダゾテトラジンは、投与スケジュールの延長とさらなる抗癌効果を可能にし、及び/又はこの薬剤クラスをより多くの患者が利用できるようにし得る。
【0077】
文献中の様々な組成の他のイミダゾテトラジンは、細胞培養での有望な結果にもかかわらず、前臨床モデルでTMZと比較して生存期間中央値を改善することができなかった42,51,52。GBMの頭蓋内マウスモデルで1つの誘導体だけがTMZを上回り、生存期間中央値をわずかに10%増加させた53。明らかに、TMZをGBMの最前線の治療として維持してきた好ましい特性を保持することとその構造を調節することとの間の相互作用は簡単ではない。本明細書で報告するデータは、イミダゾテトラジンがこれらの利点を失うことなく実質的に修飾され得ることを示唆し、実際に、そのような新しい化合物は、劇的に増強されたインビボでの効力を有し得る。TMZは依然として最も攻撃的な脳腫瘍を治療するためのゴールドスタンダードであり、他の癌からの脳転移に対する有望さを示し54、その予測可能な活性(臨床バイオマーカに基づく)は最近、多様な癌タイプの管理におけるTMZの使用拡大の提唱につながっている55。このように、本明細書で報告する新規イミダゾテトラジンは、GBM及び他の癌の治療のためにかなりの有望さを保持する可能性がある。
【表2d】
【0078】
一般的な合成方法
本発明はまた、本発明の化合物及び組成物を製造する方法に関する。化合物及び組成物は、有機合成の適用可能な技術のいずれか、例えば本明細書に記載される技術によって調製することができる。多くのそのような技術は当技術分野で周知である。ただし、公知の技術の多くは、Compendium of Organic Synthetic Methods(John Wiley&Sons,New York),Vol.1,Ian T.Harrison and Shuyen Harrison,1971;Vol.2,Ian T.Harrison and Shuyen Harrison,1974;Vol.3,Louis S.Hegedus and Leroy Wade,1977;Vol.4,Leroy G.Wade,Jr.,1980;Vol.5,Leroy G.Wade,Jr.,1984;and Vol.6,Michael B.Smith、ならびにMarch’s Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms,and Structure,5th Ed.by M.B.Smith and J.March(John Wiley&Sons,New York,2001);Comprehensive Organic Synthesis;Selectivity,Strategy&Efficiency in Modern Organic Chemistry,in 9 Volumes,Barry M.Trost,Ed.-in-Chief(Pergamon Press,New York,1993 printing));Advanced Organic Chemistry,Part B:Reactions and Synthesis,Second Edition,Cary and Sundberg(1983);Protecting Groups in Organic Synthesis,Second Edition,Greene,T.W.,and Wutz,P.G.M.,John Wiley&Sons,New York;及びComprehensive Organic Transformations,Larock,R.C.,Second Edition,John Wiley&Sons,New York(1999)などの標準有機参照テキストに詳述されている。
【0079】
本発明の化合物を調製するためのいくつかの例示的な方法を以下に提供する。これらの方法は、そのような調製物の性質を説明することを意図しており、適用可能な方法の範囲を限定することを意図しない。
【0080】
一般に、温度、反応時間、溶媒、後処理手順などのような反応条件は、実施される特定の反応について当技術分野で一般的なものである。引用される参考資料は、その中で引用される資料と共に、そのような条件の詳細な説明を含む。典型的には、温度は-100℃~200℃であり、溶媒は必要な条件に応じて非プロトン性又はプロトン性であり、反応時間は1分~10日である。後処理は、典型的には、未反応の試薬をクエンチした後、水/有機層系の間で分配(抽出)し、生成物を含む層を分離することからなる。
【0081】
酸化及び還元反応は、典型的には室温に近い温度(約20℃)で実施されるが、金属水素化物の還元の場合は、しばしば温度を0℃~-100℃に低下させる。必要に応じて加熱も使用することができる。溶媒は、典型的には還元については非プロトン性であり、酸化についてはプロトン性又は非プロトン性のいずれかであり得る。反応時間は、所望の変換を達成するように調整される。
【0082】
縮合反応は、典型的には室温に近い温度で実施されるが、平衡化されていない、速度論的に制御された縮合の場合は、低温(0℃~-100℃)も一般的である。溶媒は、プロトン性(平衡反応で一般的)又は非プロトン性(速度論的に制御された反応で一般的)のいずれかであり得る。反応副生成物の共沸除去及び無水反応条件(例えば不活性ガス環境)の使用などの標準的な合成技術は、当技術分野で一般的であり、該当する場合は適用される。
【0083】
保護基。「保護基」という用語は、ヒドロキシ又は他のヘテロ原子に結合したときに、この基で望ましくない反応が起こるのを防ぎ、ヒドロキシル基を再確立するための従来の化学的又は酵素的工程によって除去することができる任意の基を指す。使用される特定の除去可能な保護基は、必ずしも重要であるとは限らず、好ましい除去可能なヒドロキシル保護基には、例えばアリル、ベンジル、アセチル、クロロアセチル、チオベンジル、ベンジリデン、フェナシル、メチルメトキシ、シリルエーテル(例えばトリメチルシリル(TMS)、t-ブチル-ジフェニルシリル(TBDPS)、又はt-ブチルジメチルシリル(TBS))などの従来の置換基、及びヒドロキシル官能基に化学的に導入し、後で、生成物の性質と適合性の穏やかな条件で化学的又は酵素的方法のいずれかによって選択的に除去できる他の任意の基が含まれる。
【0084】
適切なヒドロキシル保護基は当業者に公知であり、T.W.Greene,Protecting Groups In Organic Synthesis;Wiley:New York,1981(“Greene”)及びその中で引用される参考文献、ならびにKocienski,Philip J.;Protecting Groups(Georg Thieme Verlag Stuttgart,New York,1994)により詳細に開示されており、これらは両方とも参照により本明細書に組み込まれる。
【0085】
保護基は、利用可能であり、一般的に公知で、一般的に使用されており、合成手順、すなわち本発明の方法によって化合物を調製するための経路又は方法の間、保護された基との副反応を防止するために使用されてもよい。ほとんどの場合、どの基を保護するか、いつ保護するか、及び化学的保護基「PG」の性質に関する決定は、保護されるべき反応の化学的性質(例えば酸性、塩基性、酸化的、還元的又は他の条件)及び意図される合成の方向に依存する。
【0086】
医薬製剤
本明細書に記載の化合物は、例えば化合物を薬学的に許容される希釈剤、賦形剤、又は担体と組み合わせることによって、治療用医薬組成物を調製するために使用することができる。化合物は、塩又は溶媒和物の形態で担体に添加し得る。例えば、化合物が安定な非毒性の酸又は塩基塩を形成するのに十分に塩基性又は酸性である場合、塩としての化合物の投与が適切であり得る。薬学的に許容される塩の例は、生理学的に許容される陰イオンを形成する酸で形成される有機酸付加塩、例えばトシル酸塩、メタンスルホン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、マロン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩、アスコルビン酸塩、α-ケトグルタル酸塩、及びβ-グリセロリン酸塩である。塩酸塩、ハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、重炭酸塩、及び炭酸塩を含む適切な無機塩も形成され得る。
【0087】
薬学的に許容される塩は、当技術分野で周知の標準的な手順を使用して、例えばアミンなどの十分に塩基性の化合物を適切な酸と反応させて生理学的に許容されるイオン性化合物を提供することによって入手し得る。カルボン酸のアルカリ金属(例えばナトリウム、カリウムもしくはリチウム)塩又はアルカリ土類金属(例えばカルシウム)塩も、類似の方法によって調製することができる。
【0088】
本明細書に記載の式の化合物は、医薬組成物として製剤化し、ヒト患者などの脊椎動物又は哺乳動物宿主に様々な形態で投与することができる。形態は、選択された投与経路、例えば経口又は静脈内、筋肉内、局所又は皮下経路による非経口投与に特に適合させることができる。
【0089】
本明細書に記載の化合物は、不活性希釈剤又は同化可能な食用担体などの薬学的に許容されるビヒクルと組み合わせて全身投与され得る。経口投与の場合、化合物は、ハードシェル又はソフトシェルのゼラチンカプセルに封入する、錠剤に圧縮する、又は患者の食事の食品に直接組み込むことができる。化合物はまた、1つ以上の賦形剤と組み合わせてもよく、摂取可能な錠剤、口腔錠、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ、カシェ剤などの形態で使用され得る。そのような組成物及び調製物は、典型的には少なくとも0.1%の活性化合物を含む。組成物及び調製物のパーセンテージは変動する可能性があり、好都合には、所与の単位剤形の重量の約0.5%~約60%、約1%~約25%、又は約2%~約10%であり得る。そのような治療上有用な組成物中の活性化合物の量は、有効投与量レベルを得ることができる量である。
【0090】
錠剤、トローチ、丸剤、カプセルなどはまた、以下のうちの1つ以上を含み得る:トラガカントガム、アカシア、トウモロコシデンプン又はゼラチンなどの結合剤;リン酸二カルシウムなどの賦形剤;トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、アルギン酸などの崩壊剤;及びステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤。スクロース、フルクトース、ラクトースもしくはアスパルテームなどの甘味料;又はペパーミント、冬緑油もしくはサクランボフレーバなどの香味料を添加してもよい。単位剤形がカプセルである場合、上記の種類の材料に加えて、植物油又はポリエチレングリコールなどの液体担体を含み得る。コーティングとして、又は固体単位剤形の物理的形態を改変するために、他の様々な材料が存在し得る。例えば、錠剤、丸剤、又はカプセルを、ゼラチン、ワックス、シェラック又は砂糖などでコーティングし得る。シロップ又はエリキシルは、活性化合物、甘味料としてのスクロース又はフルクトース、防腐剤としてのメチル及びプロピルパラベン、染料、ならびにサクランボ又はオレンジフレーバなどの香味料を含み得る。任意の単位剤形を調製する際に使用される任意の材料は、薬学的に許容され、使用される量で実質的に非毒性であるべきである。さらに、活性化合物は、徐放性調製物及び装置に組み込まれ得る。
【0091】
活性化合物は、注入又は注射によって静脈内又は腹腔内に投与され得る。活性化合物又はその塩の溶液は、水中で調製することができ、非毒性の界面活性薬剤と混合してもよい。分散液は、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、トリアセチン、もしくはそれらの混合物中で、又は薬学的に許容される油中で調製することができる。通常の保存及び使用条件下では、調製物は、微生物の増殖を防ぐための防腐剤を含み得る。
【0092】
注射又は注入に適した医薬剤形には、リポソームに封入されていてもよい、滅菌水溶液、分散液、又は滅菌の注射用もしくは注入用溶液もしくは分散液の即時調製に適合された活性成分を含む滅菌粉末が含まれ得る。最終的な剤形は、無菌で流動性があり、製造及び保存の条件下で安定であるべきである。液体担体又はビヒクルは、例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、植物油、非毒性のグリセリルエステル、及びそれらの適切な混合物を含む溶媒又は液体分散媒であり得る。適切な流動性は、例えばリポソームの形成によって、分散液の場合は必要な粒径の維持によって、又は界面活性剤の使用によって維持することができる。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤及び/又は抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによってもたらされ得る。多くの場合、等張剤、例えば糖、緩衝剤、又は塩化ナトリウムを含めることが好ましい。注射用組成物の長期吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウム及び/又はゼラチンによってもたらされ得る。
【0093】
滅菌注射用溶液は、必要に応じて、上記に列挙した他の様々な成分と共に必要な量の活性化合物を適切な溶媒に組み込むことによって調製することができ、その後濾過滅菌してもよい。滅菌注射用溶液を調製するための滅菌粉末の場合、調製方法は、真空乾燥及び凍結乾燥技術を含むことができ、これは、活性成分及び溶液中に存在する任意のさらなる所望の成分の粉末を生成する。
【0094】
局所投与の場合、化合物は、例えばそれらが液体である場合、純粋な形態で適用され得る。しかしながら、一般に、例えば固体、液体、ゲルなどであり得る皮膚科学的に許容される担体と組み合わせて、活性薬剤を組成物又は製剤として皮膚に投与することが望ましい。
【0095】
有用な固体担体には、タルク、粘土、微結晶セルロース、シリカ、アルミナなどの微粉化された固体が含まれる。有用な液体担体には、水、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アルコール、グリコール、又は水-アルコール/グリコールブレンドが含まれ、任意で非毒性の界面活性剤を用いて、化合物を有効レベルでその中に溶解又は分散させることができる。香料及びさらなる抗菌剤などの補助剤を添加して、所与の用途に合わせて特性を最適化することができる。得られた液体組成物は、吸収パッドから塗布する、帯具及び他の包帯を含浸させるために使用する、又はポンプ型噴霧器もしくはエアロゾル噴霧器を使用して患部に噴霧することができる。
【0096】
合成ポリマー、脂肪酸、脂肪酸塩及びエステル、脂肪アルコール、変性セルロース、又は変性鉱物材料などの増粘剤を、液体担体と共に使用して、使用者の皮膚に直接塗布するための塗布可能なペースト、ゲル、軟膏、石鹸などを形成することもできる。
【0097】
活性薬剤を皮膚に送達するための皮膚用組成物の例は当技術分野で公知であり、例えば米国特許第4,992,478号(Geria)、同第4,820,508号(Wortzman)、同第4,608,392号(Jacquet et al.)、及び同第4,559,157号(Smith et al.)参照。そのような皮膚用組成物は、そのような組成物の成分を任意に本明細書に記載の化合物で置き換えることができる、又は本明細書に記載の化合物を組成物に添加することができる場合、本明細書に記載の化合物と組み合わせて使用することができる。
【0098】
本明細書に記載の化合物の有用な投与量は、それらのインビトロ活性と動物モデルにおけるインビボ活性を比較することによって決定することができる。マウス及び他の動物における有効な投与量をヒトに外挿するための方法は当技術分野で公知であり、例えば米国特許第4,938,949号(Borch et al.)参照。治療に使用するために必要な化合物又はその活性な塩もしくは誘導体の量は、選択される特定の化合物又は塩だけでなく、投与経路、治療される状態の性質、ならびに患者の年齢及び状態によっても異なり、最終的には主治医又は臨床医の裁量に委ねられる。
【0099】
しかしながら、一般に、適切な用量は、1日あたりレシピエントの体重1キログラムにつき約0.5~約100mgの範囲、例えば約10~約75mg/kg/日、例えば3~約50mg/kg/日、好ましくは6~90mg/kg/日の範囲、最も好ましくは15~60mg/kg/日の範囲である。
【0100】
化合物は、好都合には単位剤形に製剤化され、例えば単位剤形あたり5~1000mg、好都合には10~750mg、最も好都合には50~500mgの活性成分を含む単位剤形に製剤化される。一実施形態では、本発明は、そのような単位剤形に製剤化された本発明の化合物を含む組成物を提供する。
【0101】
化合物は、例えば単位剤形あたり5~1000mg/m、好都合には10~750mg/m、最も好都合には、50~500mg/mの活性成分を含む単位剤形で好都合に投与され得る。所望の用量は、好都合には、単回用量で、又は適切な間隔で投与される分割用量として、例えば1日あたり2、3、4、又はそれ以上の部分用量として提示され得る。部分用量自体は、例えばいくつかの別個の緩やかな間隔での投与にさらに分割され得る。
【0102】
所望の用量は、好都合には、単回用量で、又は適切な間隔で投与される分割用量として、例えば1日あたり2、3、4、又はそれ以上の部分用量として提示され得る。部分用量自体は、例えば、吹送器からの複数回の吸入又は眼への複数の滴の適用などの、いくつかの別個の緩やかな間隔での投与にさらに分割され得る。
【0103】
本明細書に記載の化合物は、有効な抗腫瘍剤であり得、TMZと比較してより高い効力及び/又は低減された毒性を有し得る。好ましくは、本発明の化合物は、TMZよりも強力で毒性が低く、及び/又はTMZで遭遇する異化代謝の潜在的な部位を回避する、すなわちTMZとは異なる代謝プロフィールを有する。
【0104】
本発明は、哺乳動物における癌を治療する治療方法を提供し、これは、癌を有する哺乳動物に、本明細書に記載の有効量の化合物又は組成物を投与することを含む。哺乳動物には、霊長動物、ヒト、げっ歯動物、イヌ、ネコ、ウシ、ヒツジ、ウマ、ブタ、ヤギ、ウシなどが含まれる。癌は、様々なタイプの悪性新生物、例えば結腸癌、乳癌、黒色腫及び白血病を指し、一般に、望ましくない細胞増殖、例えば無秩序な成長、分化の欠如、局所組織浸潤、及び転移を特徴とする。
【0105】
癌を治療する本発明の化合物の能力は、当技術分野で周知のアッセイを使用することによって決定し得る。例えば、治療プロトコルの設計、毒性評価、データ分析、腫瘍細胞死滅の定量化、及び移植可能な腫瘍スクリーンの使用の生物学的重要性が知られている。
【0106】
以下の例は、上記の発明を説明することを意図しており、その範囲を制限するように解釈されるべきではない。当業者は、例が、本発明を実施することができる他の多くの方法を示唆することを容易に認識するであろう。本発明の範囲内に留まりながら、多数の変形及び修正が行われ得ることが理解されるべきである。
【実施例
【0107】
例1.生物学的データの実験情報。
細胞培養及び試薬。すべての細胞株を、37℃、5%CO、加湿環境において、1%ペニシリン/ストレプトマイシンを含む培地で増殖させた。細胞培養条件は次の通りである:従来の細胞株U87及びT98Gは、10%FBSを含むEMEMで増殖させた。従来の細胞株D54及びU118MGは、10%FBSを含むDMEMで増殖させた。HGCC患者由来の細胞株U3054MGは、無血清幹細胞条件下で培養した(1:1のneurobasal培地:B27、N2、hEGF、及びhFGFを添加したDMEM/F12培地)。GBM腫瘍球(oncosphere)細胞株Br23cは、0.0002%ヘパリン、hEGF、及びhFGFを添加したNeuroCult NS-A増殖キット(Stem Cell Technologies)で培養した。テモゾロミド(TMZ)はAK Scientificから購入した。TMZ類似体は下記で説明するように合成した。細胞培養試験のために、化合物をDMSO(最終濃度1%、Fisher Chemical)に溶解した。
【0108】
細胞生存率アッセイ。細胞を採取し、96ウェルプレートに播種し、接着させた。3時間後、化合物を各ウェルのDMSO中に添加した(最終濃度1%)。細胞を7日間インキュベートした後、アラマーブルーアッセイによって生存率を評価した。ラプチナル(20μM)を死対照として使用した。
【0109】
マウス肝ミクロソーム安定性アッセイ。PBS(pH7.4)、NADPH再生システム溶液A(Corning Life Sciences)、及びNADPH再生システム溶液B(Corning Life Sciences)の混合物を、振とうインキュベータにて37℃で5分間インキュベートした。次に、化合物をDMSOに添加した後(最終濃度50μM、0.5%DMSO)、氷冷マウス肝ミクロソーム(Thermo Fisher、雄性CD-1マウス、プール)を添加した(最終タンパク質濃度1mg/mL)。アリコートを直ちに取り出し、等量の100μM内部標準及び氷冷アセトニトリル中の0.5%塩酸でクエンチし、13,000rcfで3分間遠心分離した。上清をddHOで1:5に希釈し、LC-MSによって分析した。反応物を振とうインキュベータにて37℃で2時間インキュベートした。2番目のアリコートを取り出し、クエンチし、前と同じように希釈し、LC-MSによって分析した。2時間での分析物:内部標準の面積の比率をtでの比率と比較して、残存する化合物のパーセンテージを決定した。分析は、1.8μm、2.1x50mmのAgilent ZORBAX Eclipse Plus C18カラムを備えたAgilent 6230 LC/MS TOFシステムで実施した。内部標準=N3-プロピルTMZ。
【0110】
-メチルデオキシグアノシンの定量。U87細胞を6ウェルプレートに1x10c/wでプレートした後、指示された濃度(最終濃度1%DMSO)の化合物で処理した。8時間のインキュベーション後、細胞を回収し、ペレット化した。DNeasy Blood&Tissue Kit(Qiagen、ID:69504)を使用してゲノムDNAを抽出した。次に、以下の手順を使用してDNAを沈殿させた:1/10 v/vの3M酢酸ナトリウム(pH5.2)及び2.5x v/vのエタノールを各試料に添加し、-80℃で1時間保持した。混合物を最大で4℃で30分間遠心分離し、傾瀉してDNAのペレットを得、これを、10mMトリス塩基(pH7.5)及び1mM EDTAを含むddHOに再懸濁した。各試料のDNA濃度は、NanoDrop 2000 UV-Vis分光光度計(Thermo Fisher)で吸光度を測定して定量化した。各試料からのDNA(10μg)をDNA加水分解緩衝液に添加し、37℃で6時間インキュベートした。次に、加水分解された試料をLC-MS/MS定量に供した。試料を、1200シリーズHPLCシステム(Agilent)を備えた5500 QTRAP LC/MS/MSシステム(AB Sciex)で分析した。
【0111】
インビボ血液脳関門透過性。すべての実験手順は、University of Illinoisの施設内動物管理使用委員会(Institutional Animal Care and Use Committee)によって検討され、承認された。CD-1 IGSマウスに、PBS中の1%DMSO(図2a)又は10%DMSO(図2b~d)中の化合物を25mg/kgで外側尾静脈注射によって投与した。注射の5分後、マウスを犠死させ、眼科剪刀で右心耳を裂くことによって採血した。18ゲージの血管カテーテルを左心室に挿入し、アナログ蠕動ポンプを介して0.9%生理食塩水を灌流することによってすべての残留循環容量を除去した。血液試料を直ちに13,000rcfで5分間遠心分離し、上清を収集し、8.5%HPO水溶液で酸性化した。脳を頭蓋円蓋部から採取し、0.3%HPO水溶液で酸性化し、瞬間冷凍した。均質化した脳試料を13,000rcfで10分間2回遠心分離し、上清と組織片を分離した。得られた上清を血漿と共にLC-MS/MSによって分析し、化合物濃度を決定した。脳と血清の絶対比(ng薬剤:ng薬剤血清)を計算するために、各マウスについてマウス血液量を58.5mL/kgと仮定した。
【0112】
インビボ有効性モデル。ヒトGBM Br23c幹様ニューロスフェア細胞を、雌性無胸腺ヌードマウスに頭蓋内移植した(150,000細胞/マウス)。腫瘍細胞の移植後5日目から開始して、薬剤を生理食塩水中の10%PEG 400で製剤化し、15mg/kg TMZ(又は等モル用量のC8類似体)を1日1回7週間(図5a)、又は1日1回合計5回の処置で(図5b)強制経口投与した。TMZ及びC8類似体は、各使用のたびに新たに溶解した。マウスを、悪化、神経毒性、又は運動障害の徴候について毎日観察した。Johns Hopkins Animal Care and Use Guidelinesに従って、マウスを痛み及び苦痛の徴候について検査した。症状が持続し、衰弱をもたらした場合は、プロトコルに従って動物を安楽死させた。
【0113】
血液毒性の評価。雄性CD-1 IGSマウス(n=4匹のマウス/群)に125mg/kgの化合物の単回用量を静脈内投与した。イミダゾテトラジンは、注射の直前に滅菌水中のSBEβCDで製剤化した。処置の7日後、マウスを人道的に犠死させ、総白血球、リンパ球、好中球、血小板、及び赤血球の評価のために全血を採取した。
【0114】
例2.合成方法。
材料及び方法。化学試薬は商業的供給源から購入し、さらに精製することなく使用した。フラッシュクロマトグラフィはシリカゲル(230~400メッシュ)を使用して行った。無水溶媒は、窒素の陽圧下で活性アルミナが充填されたカラムに通した後、乾燥させた。特に断りのない限り、すべての反応は、窒素雰囲気下で磁気撹拌しながらオーブンで乾燥させたガラス器具で実施した。H及び13C NMRスペクトルは、Bruker 500(500MHz、H;125MHz、13C)又はVarian Unity Inova 500(500MHz、H)MHz分光計で記録した。スペクトルは、残留クロロホルム(δ=7.26ppm、H;77.16ppm、13C)又はジメチルスルホキシド(δ=2.50ppm、H;39.52ppm、13C)を基準とする。多重度は、s(シングレット)、d(ダブレット)、t(トリプレット)、q(カルテット)、m(マルチプレット)、及びbr(広幅)で示す。結合定数Jはヘルツ(Hz)で報告する。高分解能質量分析(HRMS)は、エレクトロスプレーイオン化(ESI)又は電子衝撃イオン化(EI)を備えたWaters Q-Tof Ultima又はWaters Synapt G2-Si機器で実施した。
【0115】
C8類似体の調製と特性評価。化合物3、9、11、15、16、29、3110及び33についての実験情報は以前に報告されている。
【0116】
アミド、エステル、及びチオエステル誘導体4~10の調製のための一般的なスキーム:
【化17】

4~10の調製のための一般的な手順。オーブンで乾燥させた25mLの丸底フラスコ中で、塩化アシル29(148.6mg、0.70mmol、1当量)を無水THF(2.8mL、0.25M)に溶解した。次にメチルアミン(エタノール中33%w/w、0.09mL、0.73mL、1.05当量)を添加し、反応物を室温で3時間撹拌した。完了したら、反応を停止し、溶媒を蒸発させた。粗固体をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィ(100%酢酸エチル)によって精製して、98.3mg(68%)の純粋な4を白色固体として得た。
【0117】
化合物3、9、及び29についての実験データは公開されている4,5,9
【化18】
【0118】
N,3-ジメチル-4-オキソ-3,4-ジヒドロイミダゾ[5,1-d][1,2,3,5]テトラジン-8-カルボキサミド(4、Me-TMZ):
【数1】
【0119】
N,N,3-トリメチル-4-オキソ-3,4-ジヒドロイミダゾ[5,1-d][1,2,3,5]テトラジン-8-カルボキサミド(5、DiMe-TMZ):白色固体として収率76%。
【数2】
【0120】
N,N-ジエチル-3-メチル-4-オキソ-3,4-ジヒドロイミダゾ[5,1-d][1,2,3,5]テトラジン-8-カルボキサミド(6):白色固体として91%。
【数3】
【0121】
N,N-ジブチル-3-メチル-4-オキソ-3,4-ジヒドロイミダゾ[5,1-d][1,2,3,5]テトラジン-8-カルボキサミド(7):白色固体として収率85%。
【数4】
【0122】
3-メチル-8-(ピロリジン-1-カルボニル)イミダゾ[5,1-d][1,2,3,5]テトラジン-4(3H)-オン(8):淡黄色固体として収率55%。
【数5】
【0123】
S-エチル3-メチル-4-オキソ-3,4-ジヒドロイミダゾ[5,1-d][1,2,3,5]テトラジン-8-カルボチオアート(10):白色固体として92%。
【数6】
【0124】
3,8-ジメチルイミダゾ[5,1-d][1,2,3,5]テトラジン-4(3H)-オン(14):
【化19】

手順。15mLの丸底フラスコに、4-メチル-1H-イミダゾール-5-アミン二塩酸塩12(44.2mg、0.3mmol、1当量)を添加し、1M HCl(0.4mL、0.65M)に溶解した後、水(0.4mL、0.65M)中の亜硝酸ナトリウム(26.2mg、0.4mmol、1.5当量)を暗所にて0℃で添加した。溶液を30分間撹拌し、次に濃縮し、トルエンで2回共沸して、粗ジアゾ13を得た。酢酸エチル(1.3mL、0.2M)に懸濁した粗ジアゾに、無水トリエチルアミン(0.08mL、0.6mmol、2.2当量)及びメチルカルバミン酸クロリド(79mg、0.8mmol、3.2当量)を暗所で添加した。反応物を一晩撹拌した後、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィ(4:1のヘキサン:酢酸エチル)によって精製して、2.4mg(6%)の14を淡黄色固体として得た。注:粗ジアゾ種の分解を最小限に抑えるために、濃縮は、(加熱せずに)暗所でできるだけ早く行った。
【数7】
【0125】
8-アセチル-3-メチルイミダゾ[5,1-d][1,2,3,5]テトラジン-4(3H)-オン(17、K-TMZ):
【化20】

手順。オーブンで乾燥させた25mLの丸底フラスコに、16(186mg、0.89mmol、1当量)及びN-スクシンイミジルN-メチルカルバマート(321mg、1.86mmol、2.1当量)を添加し、無水アセトニトリル(1.5mL、0.6M)に懸濁した。次に、窒素下で、乾燥トリエチルアミン(0.34mL、2.4mmol、2.7当量)を緩やかに添加し、溶液を室温で一晩撹拌した。完了したら、混合物を濃縮し、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィ(100%ジクロロメタンから4:1のジクロロメタン:メタノール)によって精製して、106mg(66%)の中間体16aを金色固体として得た。
【数8】
【0126】
15mLの丸底フラスコ中で、LiCl(802mg、19mmol、36当量)を蒸留水(1.3mL、0.4M)及びAcOH(0.10mL、5.3M)に溶解し、発熱がなくなるまで30分間撹拌した。中間体16a(96.3mg、0.53mmol、1当量)を一度に添加し、30分間撹拌した。次に、懸濁液を氷浴中で0℃に冷却した後、最小量の蒸留水中のNaNO(57mg、0.8mmol、1.5当量)の溶液を滴下した。得られた混合物を0℃で30分間撹拌し、次に室温に温め、さらに5時間撹拌した。完了したら、反応混合物をCHClで希釈し、有機層を分離した。水層をジクロロメタンで抽出し(6回)、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して粗固体を得、これをフラッシュシリカクロマトグラフィ(1:1の酢酸エチル:ヘキサン)によって精製して、36mg(35%)の17を白色個体として得た。
【数9】
【0127】
中間体31、15、及び16についての実験データは公開されている7,8,10
【0128】
8-ブロモ-3-メチルイミダゾ[5,1-d][1,2,3,5]テトラジン-4(3H)-オン(18):
【化21】

手順。無水CHCN(2.6mL、0.2M)中のデス-マーチンペルヨージナン(477mg、1.12mmol、2.2当量)の撹拌懸濁液に、臭化テトラエチルアンモニウム(240mg、1.12mmol、2.2当量)を添加した。反応物を室温で5分間撹拌した後、3(100mg、0.51mmol、1当量)を添加した。得られた反応混合物を50℃で2時間加熱した。完了したら、溶媒を減圧下で濃縮して粗生成物を得、これをフラッシュシリカゲルクロマトグラフィ(9:1のヘキサン:酢酸エチル)によって精製して、73mg(58%)の18を白色固体として得た。
【数10】
【0129】
8-クロロ-3-メチルイミダゾ[5,1-d][1,2,3,5]テトラジン-4(3H)-オン(19):
【化22】

手順。無水CHCN(2.6mL、0.2M)中のデス-マーチンペルヨージナン(477mg、1,12mmol、2.2当量)の撹拌懸濁液に、塩化テトラメチルアンモニウム(123mg、1.12mmol、2.2当量)を添加した。反応物を室温で5分間撹拌した後、3(100mg、0.51mmol、1当量)を添加した。得られた反応混合物を50℃で2時間加熱した。完了したら、溶媒を減圧下で濃縮して粗生成物を得、これをフラッシュシリカクロマトグラフィ(9:1のヘキサン:酢酸エチル)によって精製して、43mg(45%)の19を白色固体として得た。
【数11】
【0130】
アリール誘導体23~26の調製のための一般的なスキーム:
【化23】

23~26の調製のための一般的な手順。(a)鈴木カップリング。窒素下で、4-ブロモ-5-ニトロ-1H-イミダゾール20(400mg、2.08mmol、1当量)、フェニルボロン酸(507mg、4.17mmol、2当量)、XPhosPdG(164mg、0.2mmol、0.1当量)及びKPO(1.32g、6.24mmol、3当量)の混合物を、脱気した1:1のHO:ジオキサン(16mL、0.13M)に懸濁した。得られた混合物を110℃で16時間撹拌した。反応物を室温に冷却し、HOを添加した。水層を酢酸エチルで3回抽出し、合わせた有機層をNaSOで乾燥し、濃縮した。得られた残留物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィ(100%酢酸エチル)によって精製して粗生成物21を得、これをさらに精製することなく次の工程に使用した。
【0131】
(b)ニトロ還元。粗21を、10%Pd/Cを含む乾燥MeOH(10mL、0.2M)に溶解した後、H(1原子)を導入した。反応物を室温で16時間撹拌した後、触媒をセライトで濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィ(95:5のDCM:MeOH)によって精製して化合物22を得、これをさらに精製することなく次の工程に使用した。
【0132】
(c)環化。0℃の1M HCl(2.9mL、0.7M)中の中間体22の懸濁液に、HO(2.9mL、0.9M)中のNaNO(186mg、2.7mmol、1.3当量)の予め形成した溶液を滴下した。得られた混合物を暗所にて0℃で30分間撹拌した。完了したら、溶媒を蒸発させ、粗ジアゾ化合物を酢酸エチル(9.6mL、0.2M)に溶解した後、トリエチルアミン(544μL、4.6mmol、2当量)及びメチルカルバミン酸クロリド(1010mg、10.8mmol、5.2当量)を添加した。反応混合物を、遮光して室温で16時間撹拌した。反応が完了したら、溶媒を減圧下で濃縮し、残留物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィ(9:1のヘキサン:酢酸エチル)によって精製して、28mg(6%)の純粋な23を白色固体として得た。
【0133】
3-メチル-8-フェニルイミダゾ[5,1-d][1,2,3,5]テトラジン-4(3H)-オン(23):
【化24】

一般的な手順を使用して生成物を得た。白色固体、収率6%(4工程)。
【数12】
【0134】
8-(4-フルオロフェニル)-3-メチルイミダゾ[5,1-d][1,2,3,5]テトラジン-4(3H)-オン(24):
【化25】

一般的な手順を使用して生成物を得た。黄色固体、収率3%(4工程)。
【数13】
【0135】
3-メチル-8-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)イミダゾ[5,1-d][1,2,3,5]テトラジン-4(3H)-オン(25):
【化26】

一般的な手順を使用して生成物を得た。黄色固体、収率5%(4工程)。
【数14】
【0136】
8-(4-クロロフェニル)-3-メチルイミダゾ[5,1-d][1,2,3,5]テトラジン-4(3H)-オン(26):
【化27】

一般的な手順を使用して生成物を得た。黄色固体、収率1.2%(4工程)。
【数15】
【0137】
3-メチル-4-オキソ-N-(2-オキソプロピル)-3,4-ジヒドロイミダゾ[5,1-d][1,2,3,5]テトラジン-8-カルボキサミド(32):
【化28】

手順。29(447mg、2.09mmol、1当量)及び2-アミノアセトフェノン塩酸塩(229mg、2.09mmol、1当量)に、DMF(4.4mL、0.47M)及びピリジン(0.9mL)を添加した。反応混合物を室温で16時間撹拌した。水を添加し、水層を酢酸エチルで5回抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥し、濃縮した。得られた残留物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィ(100%酢酸エチル)によって精製して、266mg(51%)の32を橙色固体として得た。
【数16】
【0138】
3-メチル-8-(5-メチルオキサゾール-2-イル)イミダゾ[5,1-d][1,2,3,5]テトラジン-4(3H)-オン(27、Ox-TMZ):
手順:中間体32(266mg、1.06mmol、1当量)を塩化ホスホリル(6.5mL、0.16M)に添加し、撹拌した混合物を110℃で3時間加熱した。完了したら、氷水を添加し、水層を酢酸エチルで4回抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥し、濃縮した。得られた残留物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィ(100%酢酸エチル)によって精製して、80mg(32%)の生成物27を黄色固体として得た。
【数17】
【0139】
イミダゾテトラジンのC8位の4-置換オキサゾール-2-イルへの経路は公知であるが11、中間体32を介した化合物27の合成は報告されていなかった。
【0140】
3-メチル-4-オキソ-3,4-ジヒドロイミダゾ[5,1-d][1,2,3,5]テトラジン-8-カルボチオアミド(28)
【化29】

手順。アセトニトリル(40mL、0.07M)中の33(550mg、2.6mmol、1当量)の溶液にα-ブロモアセトン(220μL、2.6mmol、1当量)を添加し、この溶液を室温で18時間撹拌した。完了したら、反応を停止し、沈殿物を濾過し、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィ(4:6のヘキサン:酢酸エチル)によって精製して、167mg(26%)の所望の生成物28を黄色固体として得た。
【数18】
【0141】
イミダゾテトラジンのC8位の4-置換チアゾール-2-イルへの経路は公知であるが11、化合物28の合成は報告されていなかった。中間体33についての実験データは公開されている
【0142】
例3.アレーン、プロパルギル、及びジアゾアルカン化合物の合成。
アレーン及びプロパルギル置換イミダゾテトラジンは、以下のように調製することができる。
【化30】

ここで、Gは、OCH、OCHCH、OPh、N(CH、プロパルギル、又は本明細書で定義される置換基である。
【0143】
TMZは、ジアゾメタンの非爆発性で計量可能な代用物である。TMZ及び他のイミダゾテトラジンは、以下に例示するように合成ジアゾアルカン前駆体として使用することができる。
【化31】
【0144】
例4.医薬剤形。
以下の製剤は、本明細書に記載の式の化合物、本明細書に具体的に開示される化合物、又はその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物(以下「化合物X」と称する)の治療的又は予防的投与のために使用し得る代表的な医薬剤形を例示する:
(i)錠剤1 mg/錠
「化合物X」 100.0
ラクトース 77.5
ポビドン 15.0
クロスカルメロースナトリウム 12.0
微結晶セルロース 92.5
ステアリン酸マグネシウム 3.0
300.0
(ii)錠剤2 mg/錠
「化合物X」 20.0
微結晶セルロース 410.0
デンプン 50.0
デンプングリコール酸ナトリウム 15.0
ステアリン酸マグネシウム 5.0
500.0
(iii)カプセル mg/カプセル
「化合物X」 10.0
コロイド状二酸化ケイ素 1.5
ラクトース 465.5
アルファ化デンプン 120.0
ステアリン酸マグネシウム 3.0
600.0
(iv)注射剤1(1mg/mL) mg/mL
「化合物X」(遊離酸型) 1.0
二塩基性リン酸ナトリウム 12.0
一塩基性リン酸ナトリウム 0.7
塩化ナトリウム 4.5
1.0N水酸化ナトリウム溶液 適量
(pHを7.0~7.5に調整)
注射用水 1mLにするための十分量
(v)注射剤2(10mg/mL) mg/mL
「化合物X」(遊離酸型) 10.0
一塩基性リン酸ナトリウム 0.3
二塩基性リン酸ナトリウム 1.1
ポリエチレングリコール400 200.0
0.1N水酸化ナトリウム溶液 適量
(pHを7.0~7.5に調整)
注射用水 1mLにするための十分量
(vi)エアロゾル mg/缶
「化合物X」 20
オレイン酸 10
トリクロロモノフルオロメタン 5,000
ジクロロジフルオロメタン 10,000
ジクロロテトラフルオロエタン 5,000
(vii)局所ゲル1 重量%
「化合物X」 5%
カルボマー934 1.25%
トリエタノールアミン 適量
(pHを5~7に調整)
メチルパラベン 0.2%
精製水 100gにするための適量
(viii)局所ゲル2 重量%
「化合物X」 5%
メチルセルロース 2%
メチルパラベン 0.2%
プロピルパラベン 0.02%
精製水 100gにするための適量
(ix)局所軟膏 重量%
「化合物X」 5%
プロピレングリコール 1%
無水軟膏基剤 40%
ポリソルベート80 2%
メチルパラベン 0.2%
精製水 100gにするための適量
(x)局所クリーム1 重量%
「化合物X」 5%
白色蜜ろう 10%
流動パラフィン 30%
ベンジルアルコール 5%
精製水 100gにするための適量
(xi)局所クリーム2 重量%
「化合物X」 5%
ステアリン酸 10%
モノステアリン酸グリセリル 3%
ポリオキシエチレンステアリルエーテル 3%
ソルビトール 5%
パルミチン酸イソプロピル 2%
メチルパラベン 0.2%
精製水 100gにするための適量
【0145】
これらの製剤は、製薬分野で周知の従来の手順によって調製し得る。上記の医薬組成物は、異なる量及び種類の活性成分「化合物X」に対応するために、周知の製薬技術に従って変更され得ることが理解されるであろう。エアロゾル製剤(vi)は、標準的な定量エアロゾルディスペンサと組み合わせて使用し得る。さらに、特定の成分及び比率は説明を目的とするものである。成分は、適切な等価物に交換してもよく、比率は、目的の剤形の所望の特性に従って変化させてもよい。
【0146】
引用文献
【数19-1】

【数19-2】

【数19-3】

【数19-4】

【数19-5】

【数19-6】

【数19-7】

【数19-8】
【0147】
特定の実施形態を、開示された実施形態及び例を参照して上記で説明してきたが、そのような実施形態は例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。変更及び修正は、以下の特許請求の範囲で定義される本発明のより広い態様において、本発明から逸脱することなく当業者に従って行われ得る。
【0148】
すべての刊行物、特許、及び特許文書は、参照により個別に組み込まれるかのように、参照により本明細書に組み込まれる。本開示と矛盾するいかなる制限も、そこから理解されるべきではない。本発明を、様々な特定の好ましい実施形態及び技術を参照して説明してきた。しかしながら、本発明の精神及び範囲内に留まりながら、多くの変形及び修正が行われ得ることが理解されるべきである。

図1
図2-1】
図2-2】
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10-1】
図10-2】