(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】内部の1つ又は複数のパラメータを測定するためのセンサーを備えた極低温貯蔵システム
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20240514BHJP
【FI】
C12M1/00 A
(21)【出願番号】P 2022525679
(86)(22)【出願日】2020-10-28
(86)【国際出願番号】 US2020057779
(87)【国際公開番号】W WO2022066192
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2022-06-27
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521084389
【氏名又は名称】ティーエムアールダブリュ ライフサイエンシーズ,インコーポレイテツド
【氏名又は名称原語表記】TMRW Life Sciences, Inc.
【住所又は居所原語表記】250 Hudson Street, Floor 6, New York, NY 10013 (US)
(74)【代理人】
【識別番号】100105131
【氏名又は名称】井上 満
(74)【代理人】
【識別番号】100105795
【氏名又は名称】名塚 聡
(72)【発明者】
【氏名】グプタ,アミット
(72)【発明者】
【氏名】デサノ,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ムレイ,アラン,レロイ
【審査官】鳥居 敬司
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-067719(JP,A)
【文献】特開2004-053205(JP,A)
【文献】特表2016-515852(JP,A)
【文献】特表2017-508984(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0313498(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00-1/42
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体容器を温度制御された環境に保管するための低温貯蔵システムであって、
低温貯蔵タンクの内部を形成し、前記低温貯蔵タンクの内部をその外部から断熱して前記温度制御された環境を提供する少なくとも1つの壁を備える低温貯蔵タンクであって、前記低温貯蔵タンクは、前記温度制御された環境への出入りを提供する開口を含む、該低温貯蔵タンクと、
前記低温貯蔵タンクの内部の前記温度制御された環境の第1の領域内の温度を感知するように配置された少なくとも第1の温度センサーと、
前記低温貯蔵タンクの内部の前記温度制御された環境内の低温媒体の量を感知するように配置された少なくとも第1のレベルセンサーと、
前記開口から離れた前記温度制御された環境への流体経路に沿った、前記低温貯蔵タンクの内部の前記温度制御された環境への低温媒体の通過を提供するポートと、
前記ポートを通過する任意の低温媒体の温度を測定するように配置されたポート温度センサーと、
前記ポートに接続され、前記流体経路から分岐したバイパスと、
前記ポート温度センサーに通信可能に結合され、前記バイパスを介して流量を制御するように動作可能に結合された制御システムをさらに備え、
前記制御システムは、i)前記ポートを通過する前記低温媒体の温度が許容範囲外であることに応答して、前記バイパスを介した前記低温媒体の通過を提供し、前記流体経路を介した前記低温媒体の通過を防止し、ii)前記ポートを通過する前記低温媒体の温度が許容範囲内であることに応答して、前記流体経路を介した前記低温媒体の通過を提供し、前記バイパスを介した前記低温媒体の通過を防止するように動作可能である、
低温貯蔵システム。
【請求項2】
前記第1の領域は前記温度制御された環境の上側領域であり、前記第1の温度センサーは、前記温度制御された環境の前記上側領域の温度を感知するように配置され、
前記低温貯蔵タンクの内部の前記温度制御された環境の第2の領域内の温度を感知するように配置された第2の温度センサーをさらに備え、
前記第2の領域は前記温度制御された環境の下側領域であり、前記下側領域は、前記温度制御された環境の前記上側領域よりも相対的に下に間隔をあけて配置されている、請求項1に記載の低温貯蔵システム。
【請求項3】
前記低温貯蔵タンクの内部の前記温度制御された環境の第3の領域内の温度を感知するように配置された第3の温度センサーをさらに備え、前記温度制御された環境の前記第3の領域は前記低温貯蔵タンクの内部の前記温度制御された環境の中間領域であり、前記中間領域は、前記温度制御された環境の前記上側領域と前記下側領域との間に間隔をあけて配置されている、請求項2に記載の低温貯蔵システム。
【請求項4】
前記第1のレベルセンサーは、前記低温貯蔵タンクの内部の前記温度制御された環境内の低温媒体の量を感知するように配置された唯一のレベルセンサーである、請求項1~3のいずれかに記載の低温貯蔵システム。
【請求項5】
前記第1のレベルセンサーは、低温媒体の量を測定するように、前記低温貯蔵タンクの内部の縦方向の軸に沿って配向されている、請求項4に記載の低温貯蔵システム。
【請求項6】
前記第1のレベルセンサーは、低温媒体の第1の単一の明確な量を測定するように、前記低温貯蔵タンクの内部の第1の高さに配置されている、請求項1~3のいずれかに記載の低温貯蔵システム。
【請求項7】
少なくとも第2のレベルセンサーをさらに備え、前記第2のレベルセンサーは、低温媒体の第2の単一の明確な量を測定するように、前記低温貯蔵タンクの内部の第2の高さに配置されており、低温媒体の前記第2の単一の明確な量は、低温媒体の前記第1の単一の明確な量とは異なる、請求項6に記載の低温貯蔵システム。
【請求項8】
前記ポートはバルブを含み、前記
少なくとも第1のレベルセンサーは、前記
少なくとも第1のレベルセンサーが前記低温貯蔵タンク内部の低温媒体の量が第1の閾値を下回ると測定するときに、前記バルブが開き、それによって、前記低温媒体の追加量が前記低温貯蔵タンクに入ることを可能にするように、前記バルブに通信可能に結合される、請求項1に記載の低温貯蔵システム。
【請求項9】
前記
少なくとも第1のレベルセンサーは、前記
少なくとも第1のレベルセンサーが前記低温貯蔵タンク内部の低温媒体の量が第2の閾値を上回ると測定するときに、前記バルブが閉じ、それによって、前記低温媒体の任意の追加量が前記低温貯蔵タンクに入るのを防止するように、前記バルブに通信可能に結合される、請求項8に記載の低温貯蔵システム。
【請求項10】
少なくとも1つのプロセッサと、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能なプロセッサ実行可能命令を記憶する、前記少なくとも1つのプロセッサに通信可能に結合された少なくとも1つの非一時的記憶媒体とを含むプロセッサベースの制御システムをさらに備え、
少なくとも、前記第1の温度センサーは前記少なくとも1つのプロセッサに通信可能に結合されて、前記温度制御された環境内の温度を表す信号を前記少なくとも1つのプロセッサに提供し、少なくとも前記第1のレベルセンサーは、前記少なくとも1つのプロセッサに通信可能に結合されて、前記低温貯蔵タンク内部の低温媒体の前記量を表す信号を前記少なくとも1つのプロセッサに提供する、請求項1~9のいずれか1項に記載の低温貯蔵システム。
【請求項11】
前記少なくとも1つのプロセッサが通信可能に結合されている少なくとも1つのユーザーインターフェースシステムが、前記少なくとも1つのユーザーインターフェースシステムにユーザーインターフェースを提示させ、
前記少なくとも1つのプロセッサは、
ある期間にわたる温度を表す信号を受信して前記温度制御された環境における前記温度に基づく第1の推定残り時間を提供し、
前記低温貯蔵タンク内の前記
低温媒体の前記量を表す前記信号を前記ある期間にわたって受信して前記低温貯蔵タンク内の前記
低温媒体の前記量に基づく第2の推定残り時間を提供し、
前記少なくとも1つのプロセッサによる前記プロセッサ実行可能命令の実行は、前記少なくとも1つのプロセッサに、前記少なくとも1つのユーザーインターフェースシステムによる1つ又は複数のステータス表示の出力を生じさせ、前記1つ又は複数のステータス表示は、前記第1の推定残り時間、前記第2の推定残り時間、又はその両方に少なくとも部分的に基づくものである、請求項10に記載の低温貯蔵システム。
【請求項12】
前記1つ又は複数のステータス表示は、前記温度制御された環境内の前記温度が第1の閾値を横切る前に残っている推定時間量を含む、請求項11に記載の低温貯蔵システム。
【請求項13】
前記第1の閾値は、前記検体容器内の検体が低温安定を維持する最高温度である、請求項12に記載の低温貯蔵システム。
【請求項14】
前記1つ又は複数のステータス表示は、前記低温貯蔵タンク内の前記
低温媒体の前記量が第2の閾値を横切る前に残っている推定時間量を含む、請求項12又は13に記載の低温貯蔵システム。
【請求項15】
前記少なくとも1つのプロセッサによる前記プロセッサ実行可能命令の実行に応答して、前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、前記少なくとも1つのユーザーインターフェースシステムに、前記第1の推定残り時間、前記第2の推定残り時間、又はその両方に少なくとも部分的に基づいて、受信者のセットの第1の受信者に警告を出力させる、請求項11~13のいずれか1項に記載の低温貯蔵システム。
【請求項16】
前記少なくとも1つのプロセッサによる前記プロセッサ実行可能命令の実行に応答して、前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、前記第1の受信者から第1の定義された期間内に確認通知が受信されない場合、前記少なくとも1つのユーザーインターフェースシステムに、前記受信者のセットの第2の受信者に前記警告を出力させる、請求項15に記載の低温貯蔵システム。
【請求項17】
前記少なくとも1つのプロセッサによる前記プロセッサ実行可能命令の実行に応答して、前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、前記確認通知が前記第1の受信者又は前記第2の受信者のいずれかから第2の定義された期間内に受信されず、第3の受信者が前記受信者のセットから除外されている場合に、前記少なくとも1つのユーザーインターフェースシステムに前記第3の受信者に前記警告を出力させる、請求項16に記載の低温貯蔵システム。
【請求項18】
前記
少なくとも第1のレベルセンサーは前記低温貯蔵タンク内部の前記低温媒体の質量を測定するように動作可能であり、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記低温貯蔵タンクの寸法に基づいて前記低温媒体の量を計算するように較正される、請求項10に記載の低温貯蔵システム。
【請求項19】
前記少なくとも1つのプロセッサによる前記プロセッサ実行可能命令の実行に応答して、前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、前記少なくとも1つのユーザーインターフェース
システムに、前記低温貯蔵タンク内の前記
低温媒体の前記量を表す値、又は将来の時点における前記低温貯蔵タンク内の前記
低温媒体の予測量を表す値が定義された閾値を下回った場合に、バックアップシステムを開始させて前記低温貯蔵タンク内の前記
低温媒体の前記量を増加させる、請求項
11に記載の低温貯蔵システム。
【請求項20】
前記1つ又は複数のステータス表示は、機器故障までの予測時間量を含む、請求項11に記載の低温貯蔵システム。
【請求項21】
前記少なくとも1つのプロセッサによる前記プロセッサ実行可能命令の実行に応答して、前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、前記ユーザーインターフェース
システムに、前記低温貯蔵システムとのユーザ対話の連続的な追跡を出力させる、請求項
11に記載の低温貯蔵システム。
【請求項22】
前記少なくとも1つのプロセッサによる前記プロセッサ実行可能命令の実行に応答して、前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、前記ユーザーインターフェース
システムに、前記低温貯蔵システムへの侵入の検出を出力させる、請求項
11に記載の低温貯蔵システム。
【請求項23】
前記温度制御された環境内のそれぞれの位置における前記
少なくとも第1の温度センサーのうちの1つによる温度測定は、前記それぞれの位置に最も近い前記検体容器のうちの1つ又は複数に関連付けられる、請求項1に記載の低温貯蔵システム。
【請求項24】
少なくとも1つのプロセッサと、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能なプロセッサ実行可能命令を記憶する少なくとも1つの非一時的記憶媒体とを含むプロセッサベースの制御システムを通信可能に結合するステップと、
少なくとも第1の温度センサーを少なくとも1つのプロセッサと通信可能に結合して、低温貯蔵タンクの内部の温度制御された環境における温度を表す信号を提供するステップと、
少なくとも第1のレベルセンサーを前記少なくとも1つのプロセッサと通信可能に結合して、前記低温貯蔵タンクの内部内の低温媒体の量を表す信号を提供するステップと、
前記少なくとも1つのプロセッサと、前記温度制御された環境への流体経路に沿った、前記低温貯蔵タンクの内部の前記温度制御された環境への前記低温媒体の通過を提供するポートを通る前記低温媒体の温度を測定するように配置されたポート温度センサーとを通信可能に結合するステップと、
前記ポートを通過する前記低温媒体の温度を測定するステップと、
前記測定された温度が閾値以下であることに応答して、前記流体経路を通して温度制御された環境への
前記低温媒体の通過を許可するか、あるいは、前記測定された温度が閾値以上であることに応答して、前記ポートに連結された前記流体経路から分岐したバイパスを通して前記低温媒体の通過を許容し、前記温度制御された環境への
前記低温媒体の通過を阻止するステップ
を含む低温貯蔵システムを動作させる方法。
【請求項25】
前記温度制御された環境の第1の領域における温度を表す信号を提供するように、前記少なくとも第1の温度センサーを配置するステップと、
第2の温度センサーを前記少なくとも1つのプロセッサと通信可能に結合して、前記温度制御された環境内の温度を表す信号を提供するステップと、
前記温度制御された環境の第2の領域内の温度を表す信号を提供するように、前記第2の温度センサーを配置するステップと、をさらに含み、
前記第2の領域は、前記温度制御された環境の下側の領域であり、前記下側の領域は前記温度制御された環境の上側の領域よりも相対的に下に間隔をあけて配置されている、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
第3の温度センサーを前記少なくとも1つのプロセッサと通信可能に結合して、前記温度制御された環境内の温度を表す信号を提供するステップと、
前記温度制御された環境の第3の領域内の温度を表す信号を提供するように前記第3の温度センサーを配置するステップと、をさらに含み、
前記温度制御された環境の前記第3の領域は、前記上側の領域と前記下側の領域との間に位置する前記温度制御された環境の中間領域である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記少なくとも1つのプロセッサをユーザーインターフェースシステムと通信可能に結合して、ユーザーインターフェースを提示するステップと、
前記温度を表す前記信号をある期間にわたって受信して、前記温度制御された環境における温度に基づく第1の推定残り時間を提供するステップと、
前記低温貯蔵タンク内の前記
低温媒体の前記量を表す前記信号を、前記ある期間にわたって受信して、前記低温貯蔵タンク内の前記
低温媒体の前記量に基づく第2の推定残り時間を提供するステップと、
前記温度の前記第1の推定残り時間、前記第2の推定残り時間、又はその両方に少なくとも部分的に基づいて、1つ又は複数のステータス表示を出力するステップと、をさらに含む、請求項24~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記1つ又は複数のステータス表示を出力するステップは、前記温度制御された環境内の前記温度が第1の閾値を横切る前に残っている推定時間量を出力するステップを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記第1の閾値は、生体組織サンプルが低温安定を維持する最高温度である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記1つ又は複数のステータス表示を出力するステップは、前記低温貯蔵タンク内の前記
低温媒体の前記量が第2の閾値を横切る前に残っている推定時間量を出力するステップを含む、請求項28又は29に記載の方法。
【請求項31】
前記少なくとも1つのプロセッサによる前記プロセッサ実行可能命令の実行に応答して、前記第1の推定残り時間、前記第2の推定残り時間、又はその両方に少なくとも部分的に基づいて、受信者のセットの第1の受信者に警告を出力するステップをさらに含む、請求項27~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記少なくとも1つのプロセッサによる前記プロセッサ実行可能命令の実行に応答して、前記第1の受信者から第1の定義された期間内に確認通知が受信されない場合、前記受信者のセットの第2の受信者に前記警告を出力するステップをさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記少なくとも1つのプロセッサによる前記プロセッサ実行可能命令の実行に応答して、前記確認通知が前記第1の受信者又は前記第2の受信者のいずれかから第2の定義された期間内に受信されず、第3の受信者が前記受信者のセットから除外されている場合に、前記第3の受信者に前記警告を出力するステップをさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記1つ又は複数のステータス表示を出力するステップは、機器故障までの予測時間量を出力するステップを含む、請求項27~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記少なくとも1つのプロセッサによる前記プロセッサ実行可能命令の実行に応答して、前記ユーザーインターフェースを介して、前記低温貯蔵システムとのユーザ対話の連続的な追跡を出力するステップをさらに含む、請求項27から34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記少なくとも1つのプロセッサによる前記プロセッサ実行可能命令の実行に応答して、前記ユーザーインターフェースを介して、前記低温貯蔵システムへの侵入の検出を出力するステップをさらに含む、請求項27~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記温度制御された環境内のそれぞれの位置における前記
少なくとも第1の温度センサーのうちの1つによる温度測定を、前記それぞれの位置に最も近い1つ又は複数の検体容器に関連付けるステップをさらに含む、請求項24~36のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して、温度制御された環境内に検体容器を保管し、温度制御された環境内の1つ又は複数のパラメータを監視して、検体容器内の生物学的サンプルが、生物学的サンプルの生存率を危険にさらすパラメータに曝されるのを防止するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
凍結保存による細胞・組織の長期保存は、組織工学、不妊・生殖医療、再生医療、幹細胞、血液バンキング、動物株保存、臨床サンプル保存、移植医療、in vitro薬物検査など多分野で幅広い影響を与えている。これは、貯蔵デバイス(例えば、凍結保存ストロー、凍結保存チューブ、スティック又はスパチュラ)中又は上に含まれる生物学的検体又はサンプル(例えば、卵母細胞、胚、生検)が生物学的検体及び貯蔵デバイスを液体窒素などの物質中に置くことによって急速に冷却される、ガラス化のプロセスを含み得る。これは生物学的検体(例えば、分子レベルのガラス構造)のガラス様凝固又はガラス状態をもたらし、これは細胞内氷及び細胞外氷の不在を維持し(例えば、細胞損傷及び/又は死を減少させる)、解凍時に、解凍後の細胞生存率を改善する。生存性を確保するために、ガラス化された生物学的検体は次いで、液体窒素デュワー又は液体窒素を含む他の容器(これは摂氏マイナス190度の温度である)中に連続的に保存されなければならない。
【0003】
しかしながら、これらの生物学的検体がどのように保管され、識別され、管理され、在庫され、回収されているか等には、多くの懸念がある。
【0004】
例えば、各採取された胚は硬質検体ホルダー(例えば、胚ストロー、スティック又はスパチュラ)上に載せられる。管状検体ホルダーの場合、管は一方の端部で閉鎖(例えば、閉塞)され、他方の端部で開放されてもよい。胚を含むか又は保持する凍結保存デバイス(例えば、検体ホルダー)は例えばガラス化を達成するために、約-190℃の温度の低温(又は、極低温/凍結/cryogenic)フリーザー(又は、冷凍庫)の液体窒素槽中に、生物学的物質を含む凍結保存デバイスを投入することによって、可能な限り迅速に冷却される。より具体的には、複数の凍結保存装置が液体窒素貯蔵タンク又はフリーザー(又は、冷凍庫/冷凍装置)内に配置するためにゴブレット内に配置される。ゴブレットは複数の凍結保存装置が液体窒素中に吊るされるように、液体窒素貯蔵タンクに取り付けられる。適切なマーカーペンを使用して手動で書き込まれるか、又はカスタムプリンタを使用して印刷されるラベルが、ストロー及び/又はゴブレットに取り付けられる。このような標識は胚が採取された個体に対応する識別情報、及び他の適切な情報(例えば、凍結保存貯蔵デバイス番号、施術者番号など)を含み得る。
【0005】
生物学的検体へのアクセスは、通常の操作の間に必要とされる。例えば、特定の生物学的検体(単数又は複数)が手順(例えば、受精卵の移植)を実施するために必要とされ得る。生物学的検体が保管されている低温冷蔵庫又は低温タンクからの凍結保存装置及び関連する生物学的検体の回収は回収された生物学的検体を非低温条件(例えば、マイナス190℃を超える温度に曝し、及び暴露の持続時間に応じて、生物学的検体を危険にさらす。生物学的検体の保管方法(例えば、カセットに配列された凍結保存貯蔵装置、積み重ねて配列されたカセット)のために、1つ又は複数の所望の生物学的検体の回収はしばしば、その時点で必要とされない追加の生物学的検体の回収を必要とし、そのような危険にさらされる。さらに、低温冷蔵庫から意図された使用(例えば、受精、移植)の部位への生物学的検体の輸送は、生物学的検体を危険にさらす。
【0006】
これらの生物学的検体の貯蔵及び管理に関して、施設は液体窒素貯蔵タンクを維持し(例えば、必要なときに液体窒素をそれらに再充填することによって)、貯蔵された生物学的検体の在庫を管理する(例えば、定期的なアカウンティングを実施することによって)ことが要求される人員を採用する。しかしながら、これらの生物学的検体の適切な保管に関する記録はほとんどない。例えば、ガラス化された生物学的検体又はサンプルのその後の同定又は他の取り扱いは、温度制御された貯蔵からの検体の除去及びサンプルの周囲温度への曝露を含み得、したがって、サンプルの生存能力を潜在的に危険にさらす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
概要
従って、生物学的検体(例えば、卵、精子、胚)を、温度制御された環境へ、及び温度制御された環境から移送し、そして温度制御された環境内で生物学的検体を貯蔵するための新規な装置及び方法を提供することが望ましい。また、保管された生物学的検体の各々についての条件の記録を維持しながら、保管及び回収プロセスの間中、保管された生物学的検体が適切な条件(例えば、特定の温度未満)に維持されたことを確認するための新しい装置及び方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
検体容器を温度制御された環境に保管するための低温貯蔵システムは、低温貯蔵タンクを含む。低温貯蔵タンクは、低温貯蔵タンクの内部を形成し、低温貯蔵タンクの内部をその外部から熱的に絶縁して温度制御された環境を提供する少なくとも1つの壁を含む。低温貯蔵タンクは、温度制御された環境への出入りを提供する開口を含む。低温貯蔵システムは、低温貯蔵タンクの内部の温度制御された環境の第1の領域内の温度を感知するように配置された少なくとも第1の温度センサーをさらに含む。低温貯蔵システムは、低温貯蔵タンクの内部の温度制御された環境内の低温媒体(又は、極低温媒体/cryogenic medium)のレベルを感知するように配置された少なくとも第1のレベルセンサーをさらに含む。
【0009】
一実施形態によれば、低温貯蔵システムの第1の領域は温度制御された環境の上側領域を含み、第1の温度センサーは、温度制御された環境の上側領域の温度を感知するように配置される。低温貯蔵システムはさらに、低温貯蔵タンクの内部の温度制御された環境の第2の領域内の温度を感知するように配置された第2の温度センサーを含み、第2の領域は温度制御された環境の下側領域であり、下側領域は、温度制御された環境の上側領域よりも相対的に下に間隔をあけて配置されている。
【0010】
一実施形態によれば、少なくとも第1の温度センサー及び少なくとも第1のレベルセンサーは、各々、低温貯蔵タンクの内部の状態を測定する。低温貯蔵システムは、測定された状態があるしきい値を横切ったことに応答して、あるしきい値を再び横切る(recross)ことによって状態を許容可能な値に回復させるための是正措置を促す通知又は警告を生成する。
【0011】
一実施形態によれば、低温貯蔵システムは、温度制御された環境内に貯蔵された検体容器の各々について記録を作成する。この記録は、それぞれの検体容器のそれぞれに関連する1つ又は複数の条件を含む。1つ又は複数の条件は、それぞれの検体容器が領域内に配置された期間にわたる、温度制御された環境の内部内の領域の温度を含む。1つ又は複数の条件は温度制御された環境からのそれぞれの検体容器の取り出し、及び取り出しから温度制御された環境に戻るそれぞれの検体容器の再進入(re-entry)までの時間の長さを含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図面において、同一の参照番号は、同様の要素又は作用を示す。図面における要素のサイズ及び相対位置は、必ずしも一定の縮尺で描かれてはいない。例えば、さまざまな要素の形状及び角度は一定の縮尺で描かれず、これらの要素のいくつかは、図面を見やすくするために、随時適当に拡大及び配置されている。さらに、描かれた要素の特定の形状は、特定の要素の実際の形状に関するいかなる情報も伝えることを意図しておらず、図面における認識を容易にするために単に選択されたものである。
【0013】
【
図1】
図1は少なくとも1つの実施形態による低温貯蔵システムの等角図であり、低温貯蔵システムは液体窒素槽を保持する低温フリーザー又は貯蔵タンクと可搬型断熱キャリアとの間での生物学的検体(例えば、卵、精子、胚)の移送を容易にするため、及び/又は保管された生物学的検体の識別及び取扱い中の証拠の保管連鎖を容易にするための、移送システムを含むか、又は移送システムとインターフェースする。
【0014】
【
図2】
図2は複数の検体容器を保持する貯蔵カセットの等角図であり、それらの保管容器の態様をより良く示すために、検体容器のうちの2つを貯蔵カセットから取り外した状態である。
【0015】
【
図3】
図3は、別の実施形態による貯蔵カセットの等角図である。
【0016】
【
図4】
図4は、少なくとも1つの実施形態による、移送システムのリーダのアンテナアレイに対して位置決めされた複数のキャリアカセットを搬送又は保持する、可搬型断熱低温キャリアの等角図である。
【0017】
【
図5】
図5は少なくとも1つの実施形態による、低温貯蔵システムの側面立面図であり、低温貯蔵システムは、低温貯蔵システムの温度制御された環境と共に、少なくとも1つのパラメータを測定するための少なくとも1つのセンサーを含むか、又はそれとインターフェースする。
【0018】
【
図6】
図6は少なくとも1つの実施形態による、複数の検体容器を保持する貯蔵カセットの等角図である。
【0019】
【0020】
【
図8】
図8は、少なくとも1つの実施形態による、第1の時点におけるユーザーインターフェースのタンクステータスウィンドウを示すスクリーンプリントである。
【0021】
【
図9】
図9は、少なくとも1つの実施形態による、第2の時点におけるユーザーインターフェースのタンクステータスウィンドウを示すスクリーンプリントである。
【0022】
【
図10】
図10は、少なくとも1つの実施形態による、第3の時点におけるユーザーインターフェースのタンクステータスウィンドウを示すスクリーンプリントである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
種々の実施態様が正しく理解されるように、開示内容の詳細を以下に説明する。但し、当業者ならば、これら特定の細部の1つ又は2つ以上を欠いても、又は他の方法、他の構成部材、他の材料でも実施が可能であることは容易に理解するところであろう。他の例では、コンピュータシステム、アクチュエータシステム、及び/又は通信ネットワークに関連する周知の構造は実施形態の説明を不必要に曖昧にすることを避けるために、詳細には示されておらず、又は説明されていない。他の例では実施形態の説明を不必要に曖昧にすることを回避するために、1つ又は複数のオブジェクトなどの知覚データ及びボリュメトリック表現を生成するための周知のコンピュータビジョン方法及び技法は詳細には説明されていない。
【0024】
本明細書及び特許請求の範囲において理由が必要ない限り、用語”を有する(comprise)”及びその派生語(comprises、comprising)は確定していない包括的な意味、即ち、”含む(including)”であるとみなされるが、それに限定されるものではない。
【0025】
本明細書全体を通して、「一実施形態」又は「実施形態」という言及は、実施形態に関連して説明した特定の機能、構成、又は特徴が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書における表現”一実施形態における”又は”実施形態における”の全てが、必ずしも同様の実施形態について記載されてはいない。さらに、特別な特徴、構造又は特質は1以上の実施形態において任意の適当な方法で組み合わせられ得る。
【0026】
本明細書及び同時提出の特許請求の範囲で用いられているように、単数表現は内容が明確に定められていない限り、複数の存在を包含するものである。また、表現”又は”は一般に、内容が明確に定められていない限り、”及び/又は”を包含する意味で用いられる。
【0027】
発明の名称及び要約は便宜上のものであり、本発明の範囲を表すものではなく、又は実施形態を意味するものでもない。
【0028】
図1は、少なくとも1つの図示された実施形態による低温貯蔵システム100を示す。低温貯蔵システム100は多種多様な形態のうちの1つをとることができ、典型的には、フリーザー例えば、約マイナス190℃以下の温度で液体窒素の槽中に浸漬された低温環境に多数の容器を貯蔵することができる低温貯蔵タンク又はフリーザー102を含む。低温貯蔵タンク又はフリーザー102は高度に断熱されていてもよく、例えば、真空及び/又は他の断熱材料を間に備えたステンレス鋼の内壁及び外壁を含むことができる。
【0029】
図2及び
図3に図示されるように、低温貯蔵タンク又はフリーザー102によって貯蔵される容器は、検体容器200(1つだけ示す)として形成される。これらの検体容器200は低温貯蔵タンク又はフリーザー102のような低温冷蔵庫を介して長期間貯蔵するために、貯蔵カセット202又は貯蔵カセット302に貯蔵することができる。各検体容器200はバイアル204(1つだけ示す)、キャップ206(1つだけ示す)、1つ又は複数の無線トランスポンダ(例えば、無線周波数識別(RFID)トランスポンダ)208(1つだけ示す)、細長い検体ホルダー209(例えば、ストロー、ロッド、スパチュラ)、1つ又は複数の機械可読記号210(1つだけ示す)、又はそれらの任意の組合せを含むことができる。
【0030】
検体容器200は例えば、卵、精子、又は胚などの生物組織の検体を、例えば、細長い検体ホルダー209上に保管するような大きさにすることができる。検体容器の様々な実施形態が、2020年5月18日に出願された米国特許出願第63/026,526号、2019年11月15日に出願された米国特許出願第62/936,133号、2019年10月29日に出願された米国特許出願第62/927,566号、2019年9月13日に出願された米国特許出願第62/900,281号、2019年7月31日に出願された米国特許出願第62/880,786号、2019年7月26日に出願された米国特許出願第62/879,160号、2018年10月5日に出願された米国特許出願第62/741,986号、及び2018年10月5日に出願された米国特許出願第62/741,998号に記載されている。
【0031】
検体容器200は典型的には例えば、2次元アレイ(例えば、7×7、10×10、8×12、14×14)で配列された貯蔵カセット202、302に配列される。貯蔵カセット202、302は、通常、低温貯蔵タンク又はフリーザー102に垂直スタックで貯蔵され、垂直スタックはラックとも呼ばれる。貯蔵カセット202、302のスタック又はラックは、低温貯蔵タンク又はフリーザー102の中心軸を中心として、低温貯蔵タンク又はフリーザー102内に環状に配列されていてもよい。低温貯蔵タンク又はフリーザー102は、貯蔵カセット202、302のスタック又はラックが搬送されるターンテーブル又はコンベアをその内部に含むことができる。これにより、貯蔵カセット202のそれぞれのスタック又はラックを、配置又は取り出しのために、低温冷蔵庫の開口116と整列させることができる。
【0032】
貯蔵カセット302は少なくとも1つの実施態様によれば、検体容器200のアレイ、例えば検体容器200の別個の49個の低温状態を維持する。図示の実施形態に示すように、貯蔵カセット302は、内部区画328を画定するバルク容器312を含むことができる。内部区画328は内部区画プロファイルを有することができ、バルク容器312は、その上部に開口330を有することができる。
【0033】
貯蔵カセット302はさらに、基板334を備えたサーマルシャント332を含んでもよい。一実施形態によれば、基板334は金属を含む。図に示すように、基板334は第1の主要面336と第2の主要面338を含み、第2の主要面338は第1の主要面336から基板334の厚さをはさんで反対側にある。基板334は、基板334の厚さを通って延びる複数の貫通孔340のアレイを有することができる。基板334の貫通孔340の各々は、検体容器200の少なくとも一部を受け入れるような形状及び大きさにすることができる。
【0034】
図示のように、基板334は、バルク容器312の内部区画328内に密接して受け入れることができる。サーマルシャント332はサーマルシャント332がバルク容器312の内部区画328内に正しく配置されることを確実にするために、非対称である外側プロファイルを有することができる。サーマルシャント332は様々な材料のいずれかで作ることができ、好ましくは、貯蔵カセット302に貯蔵される材料と比較して比較的大きな熱質量を有する。サーマルシャント332のための適切な材料は例えば、非鉄金属のスラブ、又は金属が非鉄金属であるか、又は金属が、それを通る電流の形成を防止又は遅延させるために十分に小さくかつ不連続である小片、粒子又はストランドの形態である、金属含浸ポリマーを含み得る。少なくとも幾つかの実装形態では、サーマルシャント332がアルミニウム板、スラブ、又はスラグの形態をとる。
【0035】
貯蔵カセット302はバルク容器312の内部区画328内に密接して受け入れることのできる断熱材料342をさらに含んでもよく、断熱材料342はそこを通って延びる複数の貫通孔344のアレイを有することができる。断熱材料342は、サーマルシャント332から貯蔵カセット302の外部環境に向かって外側への熱伝達(伝導、対流、又はその両方を介して)を低減する。
【0036】
一実施形態によれば、断熱材料342の貫通孔344の各々は、検体容器200の少なくとも一部を受け入れるような形状及び大きさにすることができる。一実施形態によれば、断熱材料342は、第1の部分346及び第2の部分348を含むことができる。示されるように、第1の部分346及び第2の部分348は例えば、1つ又は複数の留め具350を用いて、互いに固定可能であり得る。
【0037】
断熱材料342及びサーマルシャント332は断熱材料342の貫通孔344のそれぞれが、サーマルシャント332の貫通孔340のそれぞれの1つと軸方向に整列するように、バルク容器312の内部区画328内に積み重ねられてもよい。貫通孔340及び344は整合形状を有していてもよく、あるいは貫通孔340が貫通孔344の形状とは異なる形状を有していてもよい。貫通孔340、貫通孔344、又は貫通孔340及び344の両方が円形であってもよい。貫通孔340、貫通孔344、又は貫通孔340及び344の両方は、角が丸い正方形であってもよい。
【0038】
図1に戻ると、低温貯蔵タンク又はフリーザー102は開口116と、開口116を選択的に開閉し、その外部から低温貯蔵タンク又はフリーザー102の内部へのアクセスをそれぞれ提供し、アクセスを防止し、外部から内部を気密封止して低温貯蔵タンク又はフリーザー102の内部の低温を維持するためのドア又はカバー118とを含む。貯蔵カセット202、302のスタック又はラックは、低温で貯蔵するために低温貯蔵タンク又はフリーザー102の内部に選択的に配置され、開口116を介して使用するために低温貯蔵タンク又はフリーザー102の内部から取り出されてもよい。
【0039】
一実施形態によれば、低温貯蔵タンク又はフリーザー102は、貯蔵カセット202、302のスタック又はラックのうちの1つ又は複数を取り囲むように展開可能な1つ又は複数の断熱スリーブを含むことができる。貯蔵カセット202、302のスタック又はラックが低温貯蔵タンク又はフリーザー102への挿入及びそこからの取り出しのために取り扱われているか、又はアクセスされているときに、1つ又は複数の断熱スリーブを展開することができる。例えば、第1のラック内の貯蔵カセット202、302のうちの1つが取り扱われている場合、他のラックを取り囲むように断熱スリーブを配備することができる。
【0040】
一実施形態によれば、低温貯蔵タンク又はフリーザー102は、1つ又は複数の分離パネル又は取り外し可能パネルを含むことができる。したがって、故障(例えば、停電)の場合には、温度制御環境17の内部に迅速にアクセスして、貯蔵カセット20の取り出しを容易にし、貯蔵カセット20を別の温度制御環境に迅速に配置することができる。一実施形態によれば、低温貯蔵タンク又はフリーザー102の少なくとも一部は、温度制御された環境17外部から温度制御された環境17内部の貯蔵カセット20が見えるように透明であってもよい。
【0041】
幾つかの実装形態では、貯蔵カセット202、302のスタック又はラックは必要に応じて低温貯蔵タンク又はフリーザー102から手動で取り外し、低温貯蔵タンク又はフリーザー102に手動で置いて、検体を低温で検体容器200内に貯蔵する。他の実施形態では、低温貯蔵システム100はピッカー又はエレベーター120を含み、必要に応じて貯蔵カセット202、302のスタック又はラックの選択されたものを低温貯蔵タンク又はフリーザー102から自動的に取り出し、検体容器200を備えた貯蔵カセット202、302を低温貯蔵タンク又はフリーザー102内に自動的に配置して検体容器200内の検体を低温で貯蔵する。
【0042】
低温貯蔵タンク又はフリーザー102の貯蔵及び検索機構(例えば、ターンテーブル、ピッカー又はエレベーター)は人間の動きを自動的に再現することができ、従って、ロボット又はロボットシステムとして称される。手動で動かされても自動的に動かされても、典型的には、約-190℃より高い温度(例えば、周囲室温又は約23℃)への検体の暴露を最小限にすることが重要である。
【0043】
移送システム122は、貯蔵カセット202からキャリアカセット及び/又はキャリアカセットが搬送されるポータブル断熱低温キャリアへの検体容器200の移送を容易にすることができる。移送システム122は、低温貯蔵システム100の一部であってもよく、又は低温貯蔵システム100とインターフェースする別個のシステムとして提供されてもよい。例えば、移送システム122は従来の市販の低温自動貯蔵システム(例えば、Brooks Life Sciencesによって販売されているBistore III Cryo-190℃システム)とインターフェースすることができる。
【0044】
移送システム122は、それぞれの検体容器200、貯蔵カセット202、及び/又はキャリアカセット302(
図3)に物理的に関連付けられた1つ又は複数の無線トランスポンダから情報を読み取るように動作可能な1つ又は複数のリーダ124(
図1には1つだけが示されている)を含む。本明細書で詳細に説明するように、リーダ124は1つ又は複数のアンテナ、例えば、アンテナ126の2次元アレイと、1つ又は複数の送信機、受信機、トランシーバ(集合的に無線機)とを含むことができ、これらのアンテナは、問い合わせ信号を発信させ、問い合わせ信号に応答した応答信号を受信するように動作可能である。リーダ124は、RFIDリーダ又はインタロゲータの形態をとることができる。移送システム122は1つ又は複数の専用ユーザーインターフェース構成要素(例えば、タッチスクリーンディスプレイ、スピーカ、マイクロフォン)を含むことができ、又は低温貯蔵システム100のユーザーインターフェース構成要素、例えば、1つ又は複数のタッチスクリーンディスプレイ128を使用することができる。
【0045】
低温システム100の部分は、従来の設計のものであってもよい。例えば、低温貯蔵タンク又はフリーザー及び/又はピッカー又はエレベーターは市販の自動貯蔵システム(例えば、Brooks Life Sciencesによって販売されているBistore III Cryo-190℃システム)の形態をとってもよい。低温システム100のいくつか、又はさらには全てが、本明細書に記載される構造及び方法を含んでもよく、したがって、出願人には従来のもの又は市販のものいずれであるかが知られていない。例えば、リーダ124を含む移送システム122は可搬式の断熱低温キャリア400(後述する
図4)と共に作動し、貯蔵カセット202、302と可搬式キャリアとの間での検体容器200の移送を容易にするように動作可能である。
【0046】
図4は、少なくとも1つの例示としての実装形態による、移送システム122のリーダ124のアンテナアレイ126に対して位置決めされた複数のキャリアカセット202、302a、302b(上述のより小さいバージョンの貯蔵カセット302)を運ぶ、又は保持する可搬型の断熱低温キャリア350を示す。
【0047】
可搬型の断熱低温キャリア350は、カバーなしで示され、様々な特徴をより良く図示するようにキャリアカセット302a、302bを取り外した状態で示される。使用時には可搬型断熱低温キャリア300がその内部に液体窒素槽を保持することができ、キャリアカセット302a、302bは可搬型断熱低温キャリア350の内部の液体窒素槽に少なくとも部分的に浸漬して配置することができ、カバーは可搬型断熱低温キャリア350の上部の開口を閉じるように配置される。
【0048】
アンテナアレイ126及び/又はリーダ124は、プラットフォーム又はフレーム356によって支持されてもよい。プラットフォーム又はフレーム356はプラットフォーム又はフレーム356を低温貯蔵タンク又はフリーザー102の構造(例えば、縁部、取っ手)から吊り下げることを可能にするリップ358を有していてもよく、好都合には、アンテナアレイ126及び/又はリーダ124を低温貯蔵タンク又はフリーザー102の近くに配置して間の移動を容易にすることができる。これはまた、プロセッサベースの移送システム122の低温貯蔵タンク又はフリーザー102への簡素化されたレトロフィット(又は、後付け)を有利に可能にする。これに代えて、又はこれに加えて、プラットフォーム又はフレーム356は他の構造を介して低温貯蔵タンク又はフリーザー102に固定されてもよく、例えば、締結具(例えば、ボルト、ネジ、リベット)を介してそこに締結されるか、接着剤又はエポキシによってそこに接着されるか、又はんだ接合を介してそこにはんだ付けされてもよい。
【0049】
図5乃至
図7を参照すると、低温貯蔵システム100は少なくとも部分的に、例えば、低温貯蔵タンク又はフリーザー102によって少なくとも部分的に形成された温度制御環境17を封入する。低温貯蔵タンク又はフリーザー102は各々が多数の検体容器22を保持する多数の貯蔵カセット20を、温度制御環境17内に貯蔵するように寸法決めされており、その結果、検体容器22の各々内に収容された生物学的検体は、閾値温度以下に維持される。
【0050】
一実施形態によれば、貯蔵カセット20は貯蔵カセット202(
図2に示される)又はキャリアカセット302(
図3に示される)と同様であってよく、その結果、各々の開示は貯蔵カセット20に適用される。同様に、一実施形態によれば、検体容器22は検体容器200(
図2に示す)と同様であってもよく、検体容器200の開示が検体容器22に適用される検体。
【0051】
低温貯蔵タンクは、温度制御された環境17のための境界の一部を各々形成する底面24及び上面26を含んでもよい。図示のように、上面26は底面に面し、温度制御された環境17の高さを規定するように、底面24から離間することができる。上面26は、貯蔵カセット20のための温度制御環境17への出入りを可能にする開口116(
図1に示す)を含むことができる。
【0052】
低温貯蔵システム100は、温度制御された環境17内の温度を測定するように配置された少なくとも1つの温度センサー28を含むことができる。一実施形態によれば、少なくとも1つの温度センサー28は例えば、低温貯蔵タンク又はフリーザー102によって運ばれる温度制御環境17内に配置することができる。一実施形態によれば、少なくとも1つの温度センサー28は、底面24からよりも上面26(又は開口116)により近い。
【0053】
このような配置は、温度制御環境17の頂部が温度上昇の影響をより受けやすくなり得るので、有益であり得る。この感受性(susceptibility)は、温度制御された環境17の頂部付近の開口116の近傍、ならびに他の要因に加えて温度制御された環境17の底部に向かって低温媒体が沈降する傾向に起因する可能性がある。
【0054】
少なくとも1つの温度センサー28のうちの1つ又は複数は、温度制御された環境17の第1の領域(サブセット)内の温度を測定するように配置されてもよい。少なくとも1つの温度センサー28の別のものは、温度制御された環境17の第2の領域の温度を測定するように配置することができる。第1の領域は、第2の領域よりも比較的高くてもよい(上方にあってもよい)。温度制御環境17内の1つ又は複数の領域は同じ領域内の他の少なくとも1つの温度センサー28が故障した場合にバックアップ又は冗長センサーが存在するように、前記少なくとも1つの温度センサー28を複数含むことができる。
【0055】
前記少なくとも1つの温度センサー28の複数は例えば、複数の温度センサー28の各々が同じ高さになるように、上面26から等距離に配置することができる。前記少なくとも1つの温度センサー28の複数は例えば、前記少なくとも1つの温度センサー28の複数が互いに等距離にあるように、低温貯蔵タンク又はフリーザー102の中心軸の周りに放射状に間隔をあけて配置することができる。
【0056】
一実施形態によれば、少なくとも1つの温度センサー28は、上面26からよりも底面24により近い位置に配置された温度センサー28のサブセットを含むことができる。温度制御された環境17内の種々の位置における正確な温度の読み取りは、温度制御された環境17全体にわたって一貫した温度を保証することができ、例えば、低温貯蔵タンク又はフリーザー102内の漏れのような局所化された問題の識別を補助することができる。
【0057】
低温貯蔵システム100は、低温貯蔵タンク又はフリーザー102の内部の低温媒体の量を測定するように配置された少なくとも1つのレベルセンサー30を含むことができる。一実施形態によれば、少なくとも1つのレベルセンサー30は温度制御された環境17内に配置することができ、例えば、少なくとも1つのレベルセンサー30が上面26からよりも底面24により近くなるように、低温貯蔵タンク又はフリーザー102によって担持される。一実施形態によれば、少なくとも1つのレベルセンサー30は温度制御環境17内の最低点、例えば、低温貯蔵タンク又はフリーザー102の底面24に配置された圧力センサーを含み、圧力センサーは、低温貯蔵タンク又はフリーザー102内の低温媒体の質量(又は、重量/量/mass)を測定する。
【0058】
一実施形態によれば、少なくとも1つのレベルセンサー30は、低温貯蔵タンク又はフリーザー102によって運ばれた、温度制御された環境17内に、例えば、少なくとも1つのレベルセンサー30が底面24からよりも上面26により近くなるように配置することができる。少なくとも1つのレベルセンサー30はフロートバルブ型構造を含むことができ、例えば、センサー自体は温度制御環境17の外側に配置され、一方、フロート及びアームの一部が温度制御環境17内に延びる。
【0059】
一実施形態によれば、少なくとも1つのレベルセンサー30は、温度制御された環境17の幅にわたってビーム(例えば、赤外線ビーム)を発射するか、又はビームを長手方向(垂直方向)に発射し、低温媒体(例えば、液体窒素)の上面からの反射の戻りの飛行時間を測定する光学センサーであってもよく、又は1つの位置(例えば、温度制御された環境17の上部に近接する)に送信機を含み、反対側(例えば、温度制御された環境17の底部に近接する)に受信機を含み、温度制御された環境17内の低温媒体の量を決定するために送信又は減衰又は位相シフトする時間を測定する光学センサーであってもよい。
【0060】
一実施形態によれば、少なくとも1つのレベルセンサー30は、低温媒体に沈められたときに、低温媒体の存在を検出する充填センサーを含んでもよい。充填センサーが低温媒体に浸漬されなくなるほどに低温媒体のレベルが低下すると、充填センサーは、この状態の変化を検出する。少なくとも1つのレベルセンサー30は、1つ又は複数の充填センサーが上面26からよりも底面24により近接して配置された1つ又は複数の充填センサー、底面24からよりも上面26により近接して配置された1つ又は複数の充填センサー、又は、いくつかが上面26により近接して配置され、他のものが底面24により近接して配置された充填センサーの組合せを含むことができる。
【0061】
低温貯蔵システム100は、開口116から離れた経路に沿った温度制御された環境17内への低温媒体の通路を提供するポート32を含んでもよい。ポート32は、ポート32を通過する媒体の温度を測定するように配置された少なくとも1つの温度センサー28の別のものを含むことができる。ポート32は、次のようにバイパス34に連結させることができる:1)ポート32の温度センサー28がポート32を通過する媒体の温度を許容温度範囲内で測定すると、バイパス34が閉じられ、温度制御された環境17への経路が開放され、2)ポート32の温度センサー28がポート32を通過する媒体の温度を許容温度範囲外で測定すると、バイパス34が開放され、温度制御された環境17への経路が遮断される。
【0062】
バイパス34及び経路の開閉は、バルブ36によって実施されてもよい。一実施形態によれば、バルブ36は、ポート32の温度センサー28から送られる信号に応答して作動されてもよい。例えば、液体窒素などの低温媒体の供給源がポート32に接続され、液体窒素がポート32を通って流れる場合、ポート32の温度センサー28は低温媒体の温度が許容温度範囲内にあることを検出し、バルブ36は、バイパス34が遮断され、温度制御された環境17への経路が開くように配向される。一方、非低温媒体の供給がポート32に接続されている場合、ポート32の温度センサー28は媒体の温度が許容温度範囲外であることを検出し、バイパス34が開いて温度制御された環境17への経路が遮断されるように、バルブ36が配向され、したがって、温度制御環境17が負の影響を受けないようになる。
【0063】
一実施形態によれば、少なくとも1つのレベルセンサー30は、低温貯蔵タンク又はフリーザー102内の低温媒体の量が第1の閾値未満であると測定すると、ポート32が開き、それによって、追加の量の低温媒体が低温貯蔵タンク又はフリーザー102に入るように、ポート32に通信可能に結合されてもよい。少なくとも1つのレベルセンサー30は、低温貯蔵タンク又はフリーザー102内部の低温媒体の量を第2の閾値を超えると測定すると、ポート32が閉じ、それによって、低温貯蔵タンク又はフリーザー102に入る低温媒体の追加の量を防止するように、ポート32に通信可能に結合されてもよい。
【0064】
低温貯蔵システム100は、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのプロセッサに通信可能に結合され、例えば以下に述べるようなプロセッサ実行可能命令を記憶する少なくとも1つの非一時的メモリとを含む、プロセッサベースの制御システムを含んでもよい。少なくとも1つの温度センサー28は、少なくとも1つのプロセッサに結合することができ、少なくとも1つの温度センサー28が温度制御された環境17内の温度を表す信号を少なくとも1つのプロセッサに提供するように動作可能であるようにしてもよい。同様に、少なくとも1つのレベルセンサー30は、少なくとも1つのプロセッサに結合されて、少なくとも1つのレベルセンサー30が低温貯蔵タンク内部の低温媒体の量を表す信号を少なくとも1つのプロセッサに提供するように動作可能であるようにしてもよい。
【0065】
低温貯蔵システム100は、少なくとも1つのプロセッサに通信可能に接続された少なくとも1つのユーザーインターフェースシステムを含んでもよく、少なくとも1つのプロセッサがプロセッサ実行可能命令を実行してユーザーインターフェースを提示するようにしてもよい。少なくとも1つのユーザーインターフェースシステムは、1つ又は複数のディスプレイスクリーン、1つ又は複数のタッチセンシティブディスプレイスクリーン、1つ又は複数のスピーカ、1つ又は複数のマイクロフォン、1つ又は複数のキーボード、1つ又は複数のポインタデバイス、1つ又は複数の触覚インターフェース、又はそれらの任意の組合せを含むことができる。
【0066】
一実施形態によれば、少なくとも1つのプロセッサはプロセッサ実行可能命令を実行するように動作可能であり、プロセッサ実行可能命令は少なくとも1つのプロセッサに、ある期間にわたって温度を表す信号を受け取って温度制御された環境17内の温度の時間領域表現を形成するステップと、ある期間にわたって低温貯蔵タンク又はフリーザー102内の低温流体のレベルを表す信号を受け取って低温貯蔵タンク又はフリーザー102内の低温流体のレベルの時間領域表現を形成するステップとのうちの少なくとも1つを実行させる。前記少なくとも1つのプロセッサは前記プロセッサ実行可能命令を実行するようにさらに動作可能であってもよく、前記プロセッサ実行可能命令は前記少なくとも1つのプロセッサに、前記少なくとも1つのユーザーインターフェースシステムへの1つ又は複数のステータス表示、前記温度の時間領域表現、前記レベルの時間領域表現、又はその両方に少なくとも一部基づいた前記1つ又は複数のステータス表示を出力するステップを実行させる。
【0067】
一実施形態によれば、前記1つ又は複数の状態表示は、温度制御された環境17内の温度が閾値を横切る(又は、超える/cross)前に残っている推定時間量を含むことができる。閾値は検体容器22内の検体が低温安定性を維持する最高温度であってもよく、又は、検体容器22内の検体が低温安定性を維持し、安全係数が組み込まれた最高温度、例えば、-175℃に基づいてもよい。
【0068】
プロセッサベースの制御システムは低温貯蔵システム100の将来の保守を予測するのに役立つことができ、このような保守は、低温媒体の補充、及び故障前の構成要素の修理/交換を含む。したがって、1つ又は複数のステータス表示は、低温貯蔵タンク又はフリーザー102内の低温流体のレベルが第2の閾値を横切るまでの残りの推定時間量を含んでもよい。一実施形態によれば、1つ又は複数のステータス表示は、機器故障までの予測時間量を含むことができる。
【0069】
少なくとも1つのプロセッサは、少なくとも1つのプロセッサに、温度の時間領域表現、レベルの時間領域表現、又はその両方に少なくとも部分的に基づいて、受信者のセットの第1の受信者に警告を出力させるプロセッサ実行可能命令を実行させるように動作可能であり得る。少なくとも1つのプロセッサは、少なくとも1つのプロセッサに、第1の受信者からの第1の定義された時間内に確認通知が受信されない場合に、前記受信者のセットの第2の受信者に警告を出力させるプロセッサ実行可能命令を実行するようにさらに動作可能であってもよい。
【0070】
少なくとも1つのプロセッサは、少なくとも1つのプロセッサに、第1の受信者又は第2の受信者のいずれかから第2の定義された期間内に確認通知が受信されない場合に、前記受信者のセットから除外されている第3の受信者に、第3の受信者に警告を出力させるプロセッサ実行可能命令を実行するようにさらに動作可能であってもよい。第3の受信者は、管理者、マネージャ、又は受信者の元のセットを超えたエスカレーション(escalation)を表す他の個人であってもよい。
【0071】
少なくとも1つのプロセッサは、少なくとも1つのプロセッサに、低温貯蔵タンク又はフリーザー102内の低温媒体の量を表す値、又は将来の時点における低温貯蔵タンク又はフリーザー102内の低温媒体の予測量を表す値が定義された閾値を下回ったときに、低温媒体のリオーダリング(又は、再注文/reordering)プロセスの開始を実行させるプロセッサ実行可能命令を実行するように動作可能であってもよい。少なくとも1つのプロセッサは、少なくとも1つのプロセッサに、低温貯蔵タンク又はフリーザー102内の低温流体の量を表す値、又は将来の時点における低温貯蔵タンク内の低温流体の予測量を表す値が定義された閾値を下回ったときに、低温貯蔵タンク又はフリーザー102内の低温流体の量を増加させるバックアップシステムの開始を実行させるプロセッサ実行可能命令を実行するように動作可能であってもよい。
【0072】
少なくとも1つのプロセッサは、少なくとも1つのプロセッサに、例えば、権限のないユーザによる低温貯蔵システムへの侵入の検出を実行させるプロセッサ実行可能命令を実行するように動作可能であってもよい。一実施形態によれば、温度制御された環境17内のそれぞれの位置における少なくとも1つの温度センサー28のうちの1つによる温度測定は、それぞれの位置に最も近い1つ又は複数の検体容器22に関連付けられてもよい。
【0073】
一実施形態によれば、少なくとも1つのプロセッサは、非一時的なプロセッサ可読媒体において、検体容器22の温度を検体容器22と論理的に関連付けることができる。この関連付けは、ある範囲の期間中の各期間における検体容器22の温度を記憶すること、又は単に、その期間中の任意の時点で検体容器22の閾値温度を超えたかどうか、その期間中の任意の時点で閾値温度を第1の定義された持続時間にわたって超えたかどうか、又はその期間中の2つ以上の別個の持続時間の累積にわたって閾値温度を超えたかどうかを示すフラグ又は他のインジケータを設定することを含むことができる。関連付けに関連するデータは、2つ、3つ、又はそれ以上の異なる被験者又は患者に関連する検体容器22のための情報を記憶するデータ記憶装置に記憶されてもよい。一実施形態によれば、少なくとも1つのプロセッサは、例えば、検体容器22の一部(例えば、バイアル、キャップ、又はストロー)に物理的に結合された、又は物理的に組み込まれた無線(例えば、RFID)トランスポンダの読み取り/書き込み可能メモリに保存された、それぞれの検体容器22に物理的に関連付けられたメモリに温度データを保存することができる。
【0074】
低温貯蔵システム100は、貯蔵カセット20を回収するために使用されるロボットの現在位置を識別する1つ又は複数の位置センサー40を含んでもよい。低温貯蔵システム100は、貯蔵/回収事象中の予期しない電力損失が貯蔵/回収事象に関与する検体容器22の保管連鎖(chain-of-custody)を維持することを含む貯蔵/回収事象の完了を妨げないように、無停電電源42を含んでもよい。
【0075】
図8~
図10は、プロセスベースの移送システム122のオペレーションを容易にするための例示的なユーザーインターフェースを示す。これは、無線トランスポンダ及び/又は機械可読記号でマークされた検体容器に格納される検体ホルダー又は「凍結装置」上に保持された検体を格納し、回収し、在庫管理するように動作可能なバックエンドシステムと考えることができる。これらの検体容器は1つ又は複数のサンプルホルダを保持することができ、一般に、特定の患者に論理的に関連付けられる。検体容器は、低温冷蔵庫に保管するための貯蔵カセットと、例えば検体を患者との間で移送するために使用される可搬型断熱キャリアに格納するためのキャリアカセットとの間で移送可能である。
【0076】
図8は、少なくとも1つの例示としての実施に従って、最初に、低温ロボットシステムのためのユーザーインターフェースのタンクステータスウィンドウ700を示し、タンクステータスウィンドウ700は低温タンク(例えば、低温貯蔵タンク又はフリーザー102)のステータスを提供する。低温貯蔵システム100の少なくとも1つのプロセッサは、少なくとも1つの温度センサー28、少なくとも1つのレベルセンサー30、又はその両方によって送信された信号に基づいて、ディスプレイモニタ、ヘッドアップディスプレイ、又は他のユーザインターフェースデバイスを介してタンクステータスウィンドウ700を提示させることができる。
【0077】
タンクステータスウィンドウ700は、タンク識別702、液体窒素槽の温度インジケータ704、液体窒素槽のレベルインジケータ706、又はそれらの任意の組合せを含むことができる。タンク識別702は、図示のように温度インジケータ704及びレベルインジケータ706を含むタンクステータスウィンドウ700のパネル内に配置することができる。一実施形態によれば、タンク識別702は、例えば、タンク識別が温度インジケータ704及びレベルインジケータ706の下方に配置されるように、タンクステータスウィンドウ700の別個のパネル内に配置されてもよい。タンクステータスウィンドウ700は、例えば、メッセージ(例えば、「Everything is safe(すべて安全です)」)708、グラフィカルインジケータ(例えば、「safe(安全)」という語のチェックマーク)710a、710b、色(例えば、緑色)712、又はそれらの任意の組合せを介して、温度及びレベルの両方が許容可能な条件内にあるという1つ又は複数のインジケータを提供することができる。
【0078】
タンクステータスウィンドウ700は、例えば、デフォルトウィンドウとして、例えば、さもなければユーザーインターフェースと対話しない場合には「スクリーンセーバー」ウィンドウとして提示されてもよい。さらに、又は代替的に、タンクステータスウィンドウ700は他の時間に、例えば、初期化又は状態チェックの実行に応答して提示されてもよい。タンクステータスウィンドウ700は例えば、連続的に、又は特定の条件(例えば、1つ又は複数の定義された閾値を上回る温度、1つ又は複数の定義された閾値を下回る流体)の発生に応答して警告として提示されてもよい。さらに、1つ又は複数の警告が例えば、テキストメッセージ、電子メール等を介して発行されてもよい。
【0079】
図9は、少なくとも1つの例示としての実装形態による、別の時刻における低温ロボットシステムのユーザーインターフェースの、
図8のタンクステータスウィンドウ700に類似した、タンクステータスウィンドウ800を示し、タンクステータスウィンドウ800は低温タンク(例えば、低温貯蔵タンク又はフリーザー102)のステータスを提供する。低温システム100のプロセッサベースの移送システム122は、ディスプレイモニタ、ヘッドアップディスプレイ、又は他のユーザインターフェースデバイスを介して、タンクステータスウィンドウ800を提示する。
【0080】
タンクステータスウィンドウ800は、タンク識別802、液体窒素槽の温度インジケータ804、液体窒素槽のレベルインジケータ806、又はそれらの任意の組み合わせを含む。タンク識別802は図示のように、温度インジケータ804及びレベルインジケータ806を含むタンクステータスウィンドウ800のパネル内に配置することができる。一実施形態によれば、タンク識別802は例えば、タンク識別が温度インジケータ804及びレベルインジケータ806の下方に配置されるように、タンクステータスウィンドウ800の別個のパネル内に配置されてもよい。
【0081】
タンクステータスウィンドウ800は例えば、メッセージ(例えば、「警告!直ちに注意を払う必要がある」)808、グラフィカルインジケータ(例えば、感嘆符及び警告という単語)810a、810b、色(例えば、黄色)812、又はそれらの任意の組み合わせを介して、温度及びレベルの両方が限界状態に近づいているか、又は限界状態にあることを示す1つ又は複数のインジケータを提供することができる」。特に、
図8のタンクステータスウィンドウ800は低温タンク又は低温槽内の状態が劣化している(例えば、温度が第1の温度閾値に近づいているか、又は流体のレベルが第1の流体レベル閾値に近づいているか、又はレベルが第1の流体レベル閾値である)ことに関する第1のレベルの警告を提供する。一実施形態によれば、タンクステータスウィンドウ800は、臨界状態を示すことができる。
【0082】
低温貯蔵システム100の少なくとも1つのプロセッサは、少なくとも1つの温度センサー28、少なくとも1つのレベルセンサー30、又はその両方によって送信される信号に基づいて、ディスプレイモニタ、ヘッドアップディスプレイ、又は他のユーザインターフェースデバイスを介してタンクステータスウィンドウ800を提示することができる。一実施形態によれば、タンクステータスウィンドウ800は、潜在的な将来の問題を防止するために必要なアクションを示す情報を含む。例えば、少なくとも1つのレベルセンサー30は、温度制御された環境17内の低温媒体の量が落ちていること、及び温度の安全でない上昇を防止するために一定の時間内に補充が必要であることを判断することができる。
【0083】
タンクステータスウィンドウ800は例えば、デフォルトウィンドウとして、例えば、さもなければユーザーインターフェースと対話しない場合には「スクリーンセーバー」ウィンドウとして提示されてもよい。タンクステータスウィンドウ800は例えば、連続的に、又は特定の条件(例えば、1つ又は複数の定義された閾値を上回る温度、1つ又は複数の定義された閾値を下回る流体)の発生に応答して警告として提示されてもよい。さらに、1つ又は複数の警告が例えば、テキストメッセージ、電子メール等を介して発行されてもよい。
【0084】
図10はさらに別の時刻における低温ロボットシステムのユーザーインターフェースのタンクステータスウィンドウ900を示しており、少なくとも1つの例示としての実装形態による、タンクステータスウィンドウ900は低温タンク(例えば、低温貯蔵タンク又はフリーザー102)のステータスを提供する。低温システム100のプロセッサベースの移送システム122は、ディスプレイモニタ、ヘッドアップディスプレイ、又は他のユーザインターフェースデバイスを介して、タンクステータスウィンドウ900の提示を引き起こす。
【0085】
タンクステータスウィンドウ900はタンク識別902、例えば、監視されている低温貯蔵タンク又はフリーザー102の特定の1つ、タンク902内の液体窒素の温度インジケータ904、タンク902内の液体窒素のレベルインジケータ906、又はそれらの組合せを含むことができる。タンク識別902は図示されるように、温度インジケータ904及びレベルインジケータ906を含むタンクステータスウィンドウ900のパネル内に配置することができる。一実施形態に従って、タンク識別902は例えば、タンク識別が温度インジケータ904及びレベルインジケータ906の下方に位置するように、タンクステータスウィンドウ900の別個のパネル内に位置してもよい。
【0086】
タンクステータスウィンドウ900は例えば、メッセージ(例えば、「警告!直ちに行動を!」)908、グラフィカルインジケータ(例えば、感嘆符及び単語「警告」)910a、910b、色(例えば、赤)912、又はそれらの任意の組み合わせを介して、温度及びレベルの両方が許容条件以下であることを示す1つ又は複数のインジケータを提供することができる。特に、
図10のタンクステータスウィンドウ900は低温タンク又は槽内の状態が悪化している(例えば、温度が第2の温度閾値に近づくもしくは第2の温度閾値にある、又は第2の流体レベル閾値に近づくもしくは第2の流体レベル閾値にある)ことに関して、第1のレベルよりも深刻な第2のレベルの警告を提供する。一実施形態によれば、タンクステータスウィンドウ900は、故障状態を示すことができる。
【0087】
図のように、1つ又は複数の表示は、温度制御された環境17内の温度が閾値を横切る前に残る推定時間量814aを含み得る。閾値は検体容器22内の検体が低温安定性を維持する最高温度であってもよく、又は、検体容器22内の検体が低温安定性を維持し、安全係数が組み込まれた最高温度、例えば、-175℃に基づいてもよい。温度制御された環境17内の温度が閾値を横切るまでの残りの推定時間量814aは低温貯蔵タンク又はフリーザー102内の温度の履歴、例えば、温度が上昇している速度、又は温度が上昇している時間に基づくことができる。
【0088】
図のように、1つ又は複数の表示は、温度制御された環境17内の低温媒体(例えば、液体窒素)の量が閾値を横切る前に残っている推定時間量814bを含むことができる。閾値は、検体容器22内の生物学的サンプルの全てが低温媒体中に浸漬されたままである最小量とすることができる。温度制御された環境17内の低温媒体の量が閾値を横切るまでの残りの推定時間量814bは低温貯蔵タンク又はフリーザー102内の低温媒体の量の履歴、例えば、量が減少している速度、又は量が減少している時間に基づいてもよい。
【0089】
低温貯蔵システム100の少なくとも1つのプロセッサは、少なくとも1つの温度センサー28、少なくとも1つのレベルセンサー30、又はその両方によって送信される信号に基づいて、ディスプレイモニタ、ヘッドアップディスプレイ、又は他のユーザインターフェースデバイスを介してタンクステータスウィンドウ900を提示することができる。一実施形態によれば、タンクステータスウィンドウ900は、潜在的な将来の問題を回避するために必要な行動を示す情報を含む。例えば、少なくとも1つのレベルセンサー30は、温度制御された環境17内の低温媒体の量が落下していること、及び温度の安全でない上昇を防止するために一定の時間内に補充が必要であることを判断することができる。
【0090】
タンクステータスウィンドウ900は例えば、デフォルトウィンドウとして、例えば、ユーザーインターフェースと対話しないとき、「スクリーンセーバー」ウィンドウとして、提示されてもよい。タンクステータスウィンドウ900は例えば、連続的に、又は特定の条件(例えば、1つ又は複数の定義された閾値を上回る温度、1つ又は複数の定義された閾値を下回る流体)の発生に応答して警告として提示されてもよい。さらに、1つ又は複数の警告が例えば、テキストメッセージ、電子メール等を介して発行されてもよい。
【0091】
一実施形態によると、残りの推定時間量814a及び814bは、常時(例えば、タンクステータスウィンドウ700、800、及び900の各々において)存在していてもよい。代替的に、残りの推定時間量814a及び814bは一定の時間、例えば、推定時間量の値があるしきい値と交差するときにのみ存在してもよい。
【0092】
上述の様々な実装及び実施形態は、さらなる実装及び実施形態を提供するために組み合わせることができる。本明細書で言及され、かつ/又は出願データシートに列挙された、同一出願人による米国特許出願公開、外国特許、及び外国特許出願のすべて(2020年9月24日出願の米国特許出願第63/082,640;2020年5月18日出願の米国特許出願第16/842,034;2020年4月7日出願の米国特許出願第16/840,720;2020年4月6日出願の米国特許出願第16/840,718;2019年11月15日出願の米国特許出願第62/936,133;2019年10月29日出願の米国特許出願第62/927,566;米国)米国特許出願第62/900,281号(令和1年9月13日出願);米国特許出願第62/880,786号(令和1年7月31日出願)令和1年7月26日に出願された米国特許出願第62/879,160号、平成30年10月5日に出願された米国特許出願第62/741,986号、及び平成30年10月5日に出願された米国特許出願第62/741,998号は、それぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。上記の詳細説明に照らして、上記の及び他の変形がそれらの実施形態に対して行われることが可能である。
【0093】
一般に、以下の特許請求の範囲では、使用される用語が特許請求の範囲を、明細書及び特許請求の範囲に開示された特定の実施形態及び実施形態に限定するように解釈されるべきではなく、そのような特許請求の範囲が権利を有する均等物の全範囲とともに、すべての可能な実施形態及び実施形態を含むように解釈されるべきである。したがって、特許請求の範囲は、本開示によって限定されない。
訳注:ユーザ対話(user interaction)はユーザ相互作用であり得、連続的な追跡(continuous tracking)は、連続追跡/連続トラッキング/連続的なトラッキングであり得る。
下記は、本願の出願当初に記載の発明である。
<請求項1>
検体容器を温度制御された環境に保管するための低温貯蔵システムであって、
低温貯蔵タンクの内部を形成し、前記低温貯蔵タンクの内部をその外部から断熱して前記温度制御された環境を提供する少なくとも1つの壁を備える低温貯蔵タンクであって、前記低温貯蔵タンクは、前記温度制御された環境への出入りを提供する開口を含む、該低温貯蔵タンクと、
前記低温貯蔵タンクの内部の前記温度制御された環境の第1の領域内の温度を感知するように配置された少なくとも第1の温度センサーと、
前記低温貯蔵タンクの内部の前記温度制御された環境内の低温媒体のレベルを感知するように配置された少なくとも第1のレベルセンサーと、を備える低温貯蔵システム。
<請求項2>
前記第1の領域は前記温度制御された環境の上側領域であり、前記第1の温度センサーは、前記温度制御された環境の前記上側領域の温度を感知するように配置され、
前記低温貯蔵タンクの内部の前記温度制御された環境の第2の領域内の温度を感知するように配置された第2の温度センサーをさらに備え、
前記第2の領域は前記温度制御された環境の下側領域であり、前記下側領域は、前記温度制御された環境の前記上側領域よりも相対的に下に間隔をあけて配置されている、請求項1に記載の低温貯蔵システム。
<請求項3>
前記低温貯蔵タンクの内部の前記温度制御された環境の第3の領域内の温度を感知するように配置された第3の温度センサーをさらに備え、前記温度制御された環境の前記第3の領域は前記低温貯蔵タンクの内部の前記温度制御された環境の中間領域であり、前記中間領域は、前記温度制御された環境の前記上側領域と前記下側領域との間に間隔をあけて配置されている、請求項2に記載の低温貯蔵システム。
<請求項4>
前記第1のレベルセンサーは、前記低温貯蔵タンクの内部の前記温度制御された環境内の低温媒体のレベルを感知するように配置された唯一のレベルセンサーである、請求項1~3のいずれかに記載の低温貯蔵システム。
<請求項5>
前記第1のレベルセンサーは、前記低温貯蔵タンクの内部の縦方向の軸に沿ってエネルギーを伝送し、低温媒体の少なくとも3つの別個のレベルを測定するように配向されている、請求項4に記載の低温貯蔵システム。
<請求項6>
前記第1のレベルセンサーは、前記低温貯蔵タンクの内部の横方向の軸に沿ってエネルギーを伝送し、低温媒体の第1の単一の明確なレベルを測定するように配向されている、請求項1~3のいずれかに記載の低温貯蔵システム。
<請求項7>
少なくとも第2のレベルセンサーをさらに備え、前記第2のレベルセンサーは低温貯蔵タンクの内部の横方向の軸に沿ってエネルギーを伝送し、低温媒体の第2の単一の明確なレベルを測定するように配向されており、低温媒体の前記第2の単一の明確なレベルは、低温媒体の前記第1の単一の明確なレベルとは異なる、請求項6に記載の低温貯蔵システム。
<請求項8>
前記低温貯蔵タンクは、前記開口から離れた流体経路に沿った、前記低温貯蔵タンクの内部の前記温度制御された環境への低温媒体の通路を提供するポートをさらに備える、請求項1に記載の低温貯蔵システム。
<請求項9>
前記ポートを通過する任意の低温媒体の温度を測定するように配置されたポート温度センサーをさらに備える、請求項8に記載の低温貯蔵システム。
<請求項10>
前記ポートが接続されるバイパスをさらに備える、請求項9に記載の低温貯蔵システム。
<請求項11>
前記ポート温度センサーに通信可能に結合され、前記バイパスを介して流量を制御するように動作可能に結合された制御システムをさらに備え、前記制御システムは、i)前記ポートを通過する前記低温媒体の温度が許容範囲外であることに応答して、前記バイパスを介した前記低温媒体の通過を提供し、前記バイパスを介して前記低温媒体の通過を防止し、ii)前記ポートを通過する前記低温媒体の温度が許容範囲内であることに応答して、前記ポートを介した前記低温媒体の通過を提供し、前記バイパスを介して前記低温媒体の通過を防止するように動作可能である、請求項10に記載の低温貯蔵システム。
<請求項12>
前記ポートはバルブを含み、前記少なくとも1つのレベルセンサーは、前記少なくとも1つのレベルセンサーが前記低温貯蔵タンク内部の低温媒体の量が第1の閾値を下回ると測定するときに、前記バルブが開き、それによって、前記低温媒体の追加量が前記低温貯蔵タンクに入ることを可能にするように、前記バルブに通信可能に結合される、請求項9~11のいずれか1項に記載の低温貯蔵システム。
<請求項13>
前記少なくとも1つのレベルセンサーは、前記少なくとも1つのレベルセンサーが前記低温貯蔵タンク内部の低温媒体の量が第2の閾値を上回ると測定するときに、前記バルブが閉じ、それによって、前記低温媒体の任意の追加量が前記低温貯蔵タンクに入るのを防止するように、前記バルブに通信可能に結合される、請求項12に記載の低温貯蔵システム。
<請求項14>
少なくとも1つのプロセッサと、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能なプロセッサ実行可能命令を記憶する、前記少なくとも1つのプロセッサに通信可能に結合された少なくとも1つの非一時的媒体とを含むプロセッサベースの制御システムをさらに備え、
少なくとも、前記第1の温度センサーは前記少なくとも1つのプロセッサに通信可能に結合されて、前記温度制御された環境内の温度を表す信号を前記少なくとも1つのプロセッサに提供し、少なくとも前記第1のレベルセンサーは、前記少なくとも1つのプロセッサに通信可能に結合されて、前記低温貯蔵タンク内部の低温媒体の前記量を表す信号を前記少なくとも1つのプロセッサに提供する、請求項1~13のいずれか1項に記載の低温貯蔵システム。
<請求項15>
前記少なくとも1つのプロセッサが通信可能に結合されている少なくとも1つのユーザーインターフェースシステムが、前記少なくとも1つのユーザーインターフェースシステムにユーザーインターフェースを提示させ、
前記少なくとも1つのプロセッサは、
ある期間にわたる温度を表す信号を受信して前記温度制御された環境における前記温度の時間領域表現を形成し、
前記低温貯蔵タンク内の前記低温流体の前記レベルを表す前記信号を前記ある期間にわたって受信して前記低温貯蔵タンク内の前記低温流体の前記レベルの時間領域表現を形成し、
前記少なくとも1つのプロセッサによる前記プロセッサ実行可能な命令の実行は、前記少なくとも1つのプロセッサに、前記少なくとも1つのユーザーインターフェースシステムによる1つ又は複数のステータス表示の出力を生じさせ、前記1つ又は複数のステータス表示は、前記温度の時間領域表現、前記レベルの時間領域表現、又はその両方に少なくとも部分的に基づいていることをさらに含む、請求項14に記載の低温貯蔵システム。
<請求項16>
前記1つ又は複数のステータス表示は、前記温度制御された環境内の前記温度が閾値を横切る前に残っている推定時間量を含む、請求項15に記載の低温貯蔵システム。
<請求項17>
前記閾値は、前記検体容器内の検体が低温安定を維持する最高温度である、請求項16に記載の低温貯蔵システム。
<請求項18>
前記1つ又は複数のステータス表示は、前記低温貯蔵タンク内の前記低温流体の前記レベルが第2の閾値を横切る前に残っている推定時間量を含む、請求項15~17のいずれか1項に記載の低温貯蔵システム。
<請求項19>
前記少なくとも1つのプロセッサによる前記プロセッサ実行可能命令の実行に応答して、前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、前記少なくとも1つのユーザーインターフェースシステムに、前記温度の時間領域表現、前記レベルの時間領域表現、又はその両方に少なくとも部分的に基づいて、受信者のセットの第1の受信者に警告を出力させる、請求項15~17のいずれか1項に記載の低温貯蔵システム。
<請求項20>
前記少なくとも1つのプロセッサによる前記プロセッサ実行可能命令の実行に応答して、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記第1の受信者から第1の定義された期間内に確認通知が受信されない場合、前記少なくとも1つのユーザーインターフェースシステムに、前記受信者のセットの第2の受信者に前記警告を出力させる、請求項19に記載の低温貯蔵システム。
<請求項21>
前記少なくとも1つのプロセッサによる前記プロセッサ実行可能命令の実行に応答して、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記確認通知が前記第1の受信者又は前記第2の受信者のいずれかから第2の定義された期間内に受信されず、第3の受信者が前記受信者のセットから除外されている場合に、前記少なくとも1つのユーザーインターフェースシステムに前記第3の受信者に前記警告を出力させる、請求項20に記載の低温貯蔵システム。
<請求項22>
前記少なくとも1つのレベルセンサーは前記低温貯蔵タンク内部の前記低温媒体の質量を測定するように動作可能であり、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記低温貯蔵タンクの寸法に基づいて前記低温媒体の量を計算するように較正される、請求項14に記載の低温貯蔵システム。
<請求項23>
前記少なくとも1つのプロセッサによる前記プロセッサ実行可能命令の実行に応答して、前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、前記少なくとも1つのユーザーインターフェースに、前記低温貯蔵タンク内の前記低温流体の前記量を表す値、又は将来の時点における前記低温貯蔵タンク内の前記低温流体の予測量を表す値が定義された閾値を下回った場合に、バックアップシステムを開始させて前記低温貯蔵タンク内の前記低温流体の前記量を増加させる、請求項14に記載の低温貯蔵システム。
<請求項24>
前記1つ又は複数のステータス表示は、機器故障までの予測時間量を含む、請求項15に記載の低温貯蔵システム。
<請求項25>
前記少なくとも1つのプロセッサによる前記プロセッサ実行可能命令の実行に応答して、前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、前記ユーザーインターフェースに、前記低温貯蔵システムとのユーザ対話の連続的な追跡を出力させる、請求項14に記載の低温貯蔵システム。
<請求項26>
前記少なくとも1つのプロセッサによる前記プロセッサ実行可能命令の実行に応答して、前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、前記ユーザーインターフェースに、前記低温貯蔵システムへの侵入の検出を出力させる、請求項14に記載の低温貯蔵システム。
<請求項27>
前記温度制御された環境内のそれぞれの位置における前記少なくとも1つの温度センサーのうちの1つによる温度測定は、前記それぞれの位置に最も近い前記検体容器のうちの1つ又は複数に関連付けられる、請求項1に記載の低温貯蔵システム。
<請求項28>
少なくとも1つのプロセッサと、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能なプロセッサ実行可能命令を記憶する少なくとも1つの非一時的媒体とを含むプロセッサベースの制御システムを通信可能に結合するステップと、
少なくとも第1の温度センサーを少なくとも1つのプロセッサと通信可能に結合して、低温貯蔵タンクの内部の温度制御された環境における温度を表す信号を提供するステップと、
少なくとも第1のレベルセンサーを前記少なくとも1つのプロセッサと通信可能に結合して、前記低温貯蔵タンクの内部内の低温媒体の量を表す信号を提供するステップと、を含む低温貯蔵システムを動作させる方法。
<請求項29>
前記温度制御された環境の第1の領域における温度を表す信号を提供するように、前記少なくとも第1の温度センサーを配置するステップと、
第2の温度センサーを前記少なくとも1つのプロセッサと通信可能に結合して、前記温度制御された環境内の温度を表す信号を提供するステップと、
前記温度制御された環境の第2の領域内の温度を表す信号を提供するように、前記第2の温度センサーを配置するステップと、をさらに含み、
前記第2の領域は、前記温度制御された環境の下側の領域であり、前記下側の領域は前記温度制御された環境の上側の領域よりも相対的に下に間隔をあけて配置されている、請求項28に記載の方法。
<請求項30>
第3の温度センサーを前記少なくとも1つのプロセッサと通信可能に結合して、前記温度制御された環境内の温度を表す信号を提供するステップと、
前記温度制御された環境の第3の領域内の温度を表す信号を提供するように前記第3の温度センサーを配置するステップと、をさらに含み、
前記温度制御された環境の前記第3の領域は、前記上側の領域と前記下側の領域との間に位置する前記温度制御された環境の中間領域である、請求項29に記載の方法。
<請求項31>
前記少なくとも1つのプロセッサをユーザーインターフェースと通信可能に結合して、ユーザーインターフェースを提示するステップと、
前記温度を表す前記信号をある期間にわたって受信して、前記温度制御された環境における温度の時間領域表現を形成するステップと、
前記低温貯蔵タンク内の前記低温流体の前記レベルを表す前記信号を、前記ある期間にわたって受信して、前記低温貯蔵タンク内の前記低温流体の前記レベルの時間領域表現を形成するステップと、
前記温度の前記時間領域表現、前記レベルの前記時間領域表現、又はその両方に少なくとも部分的に基づいて、1つ又は複数のステータス表示を出力するステップと、をさらに含む、請求項28~30のいずれか1項に記載の方法。
<請求項32>
前記1つ又は複数のステータス表示を出力するステップは、前記温度制御された環境内の前記温度が閾値を横切る前に残っている推定時間量を出力するステップを含む、請求項31に記載の方法。
<請求項33>
前記閾値は、生体組織サンプルが低温安定を維持する最高温度である、請求項32に記載の方法。
<請求項34>
前記1つ又は複数のステータス表示を出力するステップは、前記低温貯蔵タンク内の前記低温流体の前記レベルが第2の閾値を横切る前に残っている推定時間量を出力するステップを含む、請求項31~33のいずれか1項に記載の方法。
<請求項35>
前記少なくとも1つのプロセッサによる前記プロセッサ実行可能命令の実行に応答して、前記温度の前記時間領域表現、前記レベルの前記時間領域表現、又はその両方に少なくとも部分的に基づいて、受信者のセットの第1の受信者に警告を出力するステップをさらに含む、請求項31~33のいずれか1項に記載の方法。
<請求項36>
前記少なくとも1つのプロセッサによる前記プロセッサ実行可能命令の実行に応答して、前記第1の受信者から第1の定義された期間内に確認通知が受信されない場合、前記受信者のセットの第2の受信者に前記警告を出力するステップをさらに含む、請求項35に記載の方法。
<請求項37>
前記少なくとも1つのプロセッサによる前記プロセッサ実行可能命令の実行に応答して、前記確認通知が前記第1の受信者又は前記第2の受信者のいずれかから第2の定義された期間内に受信されず、第3の受信者が前記受信者のセットから除外されている場合に、前記第3の受信者に前記警告を出力するステップをさらに含む、請求項36に記載の方法。
<請求項38>
前記1つ又は複数のステータス表示を出力するステップは、機器故障までの予測時間量を出力するステップを含む、請求項31~37のいずれか1項に記載の方法。
<請求項39>
前記少なくとも1つのプロセッサによる前記プロセッサ実行可能命令の実行に応答して、前記ユーザーインターフェースを介して、前記低温貯蔵システムとのユーザ対話の連続的な追跡を出力するステップをさらに含む、請求項31から38のいずれか1項に記載の方法。
<請求項40>
前記少なくとも1つのプロセッサによる前記プロセッサ実行可能命令の実行に応答して、前記ユーザーインターフェースを介して、前記低温貯蔵システムへの侵入の検出を出力するステップをさらに含む、請求項31~39のいずれか1項に記載の方法。
<請求項41>
前記温度制御された環境内のそれぞれの位置における前記少なくとも1つの温度センサーのうちの1つによる温度測定を、前記それぞれの位置に最も近い1つ又は複数の検体容器に関連付けるステップをさらに含む、請求項28~40のいずれか1項に記載の方法。