(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】正方晶相チタン酸バリウムナノ粒子の製造方法
(51)【国際特許分類】
C01G 23/00 20060101AFI20240514BHJP
C04B 35/468 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
C01G23/00 C
C04B35/468 600
(21)【出願番号】P 2022548111
(86)(22)【出願日】2020-02-27
(86)【国際出願番号】 CN2020076963
(87)【国際公開番号】W WO2021168736
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2023-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】502041886
【氏名又は名称】▲東▼南大学
【氏名又は名称原語表記】SOUTHEAST UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】No.2 Sipailou,Xuanwu Nanjing,Jiangsu 210096 China
(74)【代理人】
【識別番号】100167184
【氏名又は名称】井上 真一郎
(72)【発明者】
【氏名】董 岩
(72)【発明者】
【氏名】▲寧▼尚超
(72)【発明者】
【氏名】徐▲勤▼▲勤▼
(72)【発明者】
【氏名】▲ヂャン▼子豪
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼安▲ハン▼
(72)【発明者】
【氏名】魏默予
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼▲東▼志
(72)【発明者】
【氏名】▲蒋▼建清
【審査官】▲高▼橋 真由
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106187163(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106241862(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106044810(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102173785(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110540255(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107151029(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104003437(CN,A)
【文献】特開平08-208225(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01G 23/00
C04B 35/468
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含むことを特徴とする、高分散性の正方晶相チタン酸バリウムナノ粒子の製造方法。
1)テトラブチルチタネートを有機溶媒に溶解して溶液Aを得、氷酢酸にバリウム化合物を添加して溶解又は反応させて溶液Bを得、溶液Aと溶液Bを混合して、チタン及びバリウムを含むオルガノゾルを調製する。前記有機溶媒は、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、エチレングリコール及びプロピレングリコールのうちの1種である。
2)チタン及びバリウムを含むオルガノゾルと
、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、塩化カリウムまたは塩化ナトリウムである水溶性塩を混合し、静置または遠心分離して水溶性塩を沈降させ、上部の余分なオルガノゾルを除去して、チタン及びバリウムを含むオルガノゾルと水溶性塩の混合物を得る。
3)当該混合物を60℃~120℃に保温してゾル-ゲル転移を起こし、ゲルを乾燥させて、水溶性塩粒子の表面を乾燥ゲル膜で被覆する。
4)乾燥ゲル膜で被覆された水溶性塩を600℃以上、塩の融点以下で焼成し、乾燥ゲル膜がチタン酸バリウムナノ粒子に変化し、水溶性塩粒子の表面に分散して付着し、焼成物を形成する。
5)焼成物を水洗、乾燥し、正方晶相チタン酸バリウムナノ粒子を得る。
【請求項2】
前記チタン及びバリウムを含むオルガノゾル中のチタンのモル濃度がO.01M~1Mの間であり、テトラブチルチタネート、バリウム化合物、氷酢酸のモル比が1:1:1~6である、請求項1に記載の高分散性の正方晶相チタン酸バリウムナノ粒子の製造方法。
【請求項3】
前記バリウム化合物が酢酸バリウム、水酸化バリウム、硝酸バリウムまたは炭酸バリウムである、請求項1に記載の高分散性の正方晶相チタン酸バリウムナノ粒子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正方晶相チタン酸バリウムナノ粒子の製造技術に関し、電子セラミックス材料の製造技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
チタン酸バリウム(BaTiO3)は、高い誘電率と低い誘電損失、優れた強誘電性、圧電性、耐電圧性、絶縁性を持つ電子セラミックス部品の基本母材であり、電子セラミックスの要と称されている。高容量キャパシタ、多層基板、各種センサ、半導体材料、高感度素子に広く応用されている。電子部品の高集積化、高精度化、小型化への急速な発展に伴い、高分散性かつ高結晶性のナノサイズのチタン酸バリウムを製造することが求められており、ナノサイズのチタン酸バリウムの製造技術も、一貫して電子セラミックス材料分野の重点的研究対象とされてきた。
【0003】
現在のチタン酸バリウム粉末は、一般的に高温固相法によって製造される。原料として二酸化チタンと炭酸バリウムを使用し、混合して高温焼成により合成するが、合成温度は1400~1500℃の高さに達することが多く、製造されるチタン酸バリウム粒子は粗く、粒径はミクロンレベルである。ナノサイズのチタン酸バリウム粒子を製造する方法には、化学沈殿法、ゾル-ゲル(Sol-Gel)法、水熱法等があり、化学沈殿法には直接沈殿法、シュウ酸塩共沈法、クエン酸塩法、複合過酸化物法、アルコキシド加水分解法等が含まれ、いずれもまず水酸化物やシュウ酸塩等の前駆体を調製し、その後高温で焼成、反応させてチタン酸バリウム相を生成するものである。ゾル-ゲル法は、チタンとバリウムを含むゲルを調製し、高温焼成による分解、反応を経てチタン酸バリウム相を合成するものである。しかし、化学沈殿法、ゾル-ゲル法は、いずれも高温合成の過程でナノ粒子の凝集や焼結が避けられず、したがって高分散性のチタン酸バリウムナノ粒子を得ることは困難である。水熱法は分散したチタン酸バリウムナノ粒子を製造することができるが、合成温度が低すぎるため、純粋な正方晶相のチタン酸バリウムは得られ難い。
【0004】
分離相として高融点の水溶性塩を使用すれば、チタン酸バリウム前駆体粒子の凝集を防ぎ、高温焼成過程でのチタン酸バリウム粒子の焼結を防止することができ、なおかつ焼成後は水洗により容易に除去でき、取り扱いが簡単である。本発明のプロジェクトチームは、初期段階において、マイクロエマルションから塩で被覆する方法(中国特許出願第201610365324.4号)、塩含有ヒドロゾルによる沈殿法(中国特許出願第201610699775.1号)、水溶性硫酸塩の共沈法(中国特許出願第201810037875.7号)、水溶性塩によるナノ粒子分離法(中国特許出願第201810037620.0号)及び金属アセチルアセトン塩溶液による含浸法(中国特許出願第2019101041603号)など様々な方法を用いたが、これらのプロセスは複雑で、純粋相のチタン酸バリウムの合成は困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】中国特許出願第201610365324.4号
【文献】中国特許出願第201610699775.1号
【文献】中国特許出願第201810037875.7号
【文献】中国特許出願第201810037620.0号
【文献】中国特許出願第2019101041603号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、正方晶相チタン酸バリウムナノ粒子を迅速に合成できる方法を提供し、大規模化によって、粒子径が100nmより小さく、粒子径が均一で、分散性に優れた純粋な正方晶チタン酸バリウムナノ粒子を製造することができ、この製造技術は電子セラミックス分野において高い利用可能性を有する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による高分散性の正方晶相チタン酸バリウムナノ粒子の製造方法は、以下の工程を含む。
【0008】
1)テトラブチルチタネートを有機溶媒に溶解して溶液Aを得、氷酢酸にバリウム化合物を添加して溶解又は反応させて溶液Bを得、溶液Aと溶液Bを混合して、チタン及びバリウムを含むオルガノゾルを調製する。 前記有機溶媒は、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、エチレングリコール及びプロピレングリコールのうちの1種である。
【0009】
2)チタン及びバリウムを含むオルガノゾルと水溶性塩を混合し、静置または遠心分離して水溶性塩を沈降させ、上部の余分なオルガノゾルを除去して、金属元素を含むオルガノゾルと水溶性塩の混合物を得る。
【0010】
3)当該混合物を60℃~120℃に保温してゾル-ゲル転移を起こし、ゲルを乾燥させて、水溶性塩粒子の表面を乾燥ゲル膜で被覆する。
【0011】
4)乾燥ゲル膜で被覆された水溶性塩を600℃以上、塩の融点以下で焼成し、乾燥ゲル膜がチタン酸バリウムナノ粒子に変化し、水溶性塩粒子の表面に分散して付着し、焼成物を形成する。
【0012】
5)焼成物を水洗、乾燥し、正方晶相チタン酸バリウムナノ粒子を得る。
【0013】
さらに、本発明の方法において、工程2)の水溶性塩は、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、塩化カリウム又は塩化ナトリウムである。
【0014】
さらに、本発明の方法において、工程1)のチタン及びバリウムを含むオルガノゾル中のチタンのモル濃度は0.01M~1Mの間であり、テトラブチルチタネート、バリウム化合物、氷酢酸のモル比は1:1:1~6である。
【0015】
さらに、本発明の方法において、工程1)のチタン及びバリウムを含むオルガノゾル中のバリウム化合物は、酢酸バリウム、水酸化バリウム、硝酸バリウムまたは炭酸バリウムである。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、従来技術と比較して以下の利点を有する。
【0017】
チタン酸バリウムナノ粒子を製造する従来の方法としては、例えば化学沈殿法、ゾル-ゲル法等のように、金属水酸化物や金属錯体ゲル等の前駆体を最初に調製し、その後、高温で反応させてチタン酸バリウム粒子を生成する方法が一般的である。高温反応過程では、表面エネルギーの高いチタン酸バリウムナノ粒子の凝集・焼結が避けられないため、高分散性のチタン酸バリウム粒子の製造は難しく、また、焼成温度を下げると純粋な正方晶相のチタン酸バリウムナノ粒子を得ることができなくなる。水熱法は、分散したチタン酸バリウムナノ粒子を得ることができるが、合成温度が低すぎて純粋な正方晶相のチタン酸バリウムを得るのが難しく、プロセスが複雑で安全性に劣るという問題がある。
【0018】
分離相として高融点の水溶性塩を使用すれば、高温でのナノ粒子の凝集と焼結を防ぐことができ、焼成後の水洗による除去が容易で、プロセスが簡単である。本発明のプロジェクトチームは当初、溶融塩分離法、マイクロエマルションから塩で被覆する方法、塩含有ヒドロゾルによる沈殿法、水溶性硫酸塩による共沈法、水溶性塩によるナノ粒子分離法、金属アセチルアセトン塩溶液による含浸法等の様々な方法で酸化物または複合酸化物ナノ粒子の製造を試みたが、これらの方法はチタン酸バリウムの製造に用いた際、問題が生じた。いずれも純相のチタン酸バリウムの合成が困難であり、得られたナノ粒子には二酸化チタン等の不純物相が残っていることが多かった。その原因としては、これらの方法では、高温焼成時にまず二酸化チタンと酸化バリウムの混合物を生成し、次にその2つが反応してチタン酸バリウムを生成する。粒子同士の接触及び反応が不十分なため、不純物相が非常に残りやすい。
【0019】
本発明は、チタン及びバリウムを含むオルガノゾルを用いて水溶性塩を含浸させ、オルガノゾルは後続の保温過程でゾル-ゲル転移を起こす。ゲル中の有機溶媒が蒸発するとゲルが収縮し、完全に乾燥してから水溶性塩粒子の表面を乾燥ゲル膜で被覆することができる。その後の高温焼成過程で、乾燥ゲル膜中の有機物が焼成により分解し、チタン酸バリウムナノ粒子が生成される。生成したチタン酸バリウムナノ粒子は水溶性塩粒子の表面に分散して付着し、冷却後の水洗により塩を除去すれば、良好な分散性及び結晶性を有するチタン酸バリウムナノ粒子を得ることができる。ゾル-ゲル転移の過程で、チタンイオンとバリウムイオンが錯体化作用により結合するため、600℃以上で純粋な正方晶相チタン酸バリウムを合成することができ、不純物相の残留の問題が完全に解決される。
【0020】
本発明は、ゲル乾燥時の収縮性を利用して、水溶性塩粒子の表面に均一な乾燥ゲル膜を生成する。高温焼成時に、有機物が分解し、この乾燥ゲル膜がチタン酸バリウムナノ粒子となって水溶性塩粒子の表面に分散する。我々の研究により、これらのナノ粒子は塩粒子の表面に付着し、水溶性塩粒子との強い結合力を有しており、塩粒子表面から脱落しないことが明らかになっている。同時に、これらのナノ粒子は互いに接触しないため、拡散による物質移動が起こらず、凝集と焼結も発生することがない。また、本発明は焼成温度が高い(最高で硫酸カリウムの融点まで)ため、ナノ粒子の結晶が完全であり、粒子内部に結晶欠陥がほとんどなく、立方相チタン酸バリウムの残留もない。このように、本発明によれば、高分散性の純粋な正方晶相チタン酸バリウムナノ粒子が得られる。
【0021】
好ましい選択として、本発明は、硫酸カリウム(融点1067℃)、硫酸ナトリウム(融点884℃)、塩化ナトリウム(融点801℃)、塩化カリウム(融点770℃)の4種類の水溶性塩を用いて、チタン酸バリウムナノ粒子を製造する。
【0022】
オルガノゾル中に界面活性剤を添加すると、チタン酸バリウムナノ粒子のサイズ均一性をさらに向上させることができる。界面活性剤は、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、カルボン酸系界面活性剤等を含む。
【0023】
本発明は、分散性に優れた純粋な正方晶相チタン酸バリウムナノ粒子を、迅速かつ大量に製造し、ナノ粒子の凝集及び焼結の問題を解決することができる。
【0024】
本発明に記載のオルガノゾルには、La、Ce、Al、Mn、Nd等の元素を含む金属塩が溶解しており、チタン酸バリウムに対しドープを実現することができる。
【0025】
本発明の製造方法は簡便であり、大量生産が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の方法を用いて900℃で製造したチタン酸バリウムナノ粒子であり、粒子径約60~80nm、分散性が良好である。
【
図2】チタン酸バリウムナノ粒子が塩粒子表面に分布した状態であり、チタン酸バリウムナノ粒子が分散して分布している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、実施例及び明細書の添付図面と関連付けて、本発明をさらに説明する。
【実施例1】
【0028】
テトラブチルチタネートをエチレングリコールモノメチルエーテルに溶解して溶液Aを得、氷酢酸に酢酸バリウムを添加して溶液Bを得、溶液Aと溶液Bを混合して、チタン及びバリウムを含むオルガノゾルを調製した。ここで、チタンのモル濃度は0.1Mであり、テトラブチルチタネート、酢酸バリウム、氷酢酸のモル比は1:1:3であった。このオルガノゾルと硫酸カリウムを混合し、沈降後に余分なオルガノゾルを流し、オルガノゾルと硫酸カリウムの混合物を得た。この混合物を60℃~120℃で保温し、乾燥後、粗い粉末を得た。粉末を600℃から硫酸カリウムの融点以下で焼成し、焼成物を水洗、乾燥し、正方晶相チタン酸バリウムナノ粒子を得た。
【実施例2】
【0029】
テトラブチルチタネートをエチレングリコールモノメチルエーテルに溶解して溶液Aを得、氷酢酸に酢酸バリウムを添加して溶液Bを得、溶液Aと溶液Bを混合して、チタン及びバリウムを含むオルガノゾルを調製した。ここで、チタンのモル濃度は0.1Mであり、テトラブチルチタネート、酢酸バリウム、氷酢酸のモル比は1:1:3であった。このオルガノゾルと硫酸ナトリウムを混合し、沈降後に余分なオルガノゾルを流し、オルガノゾルと硫酸ナトリウムの混合物を得た。この混合物を60℃~120℃で保温し、乾燥後、粗い粉末を得た。粉末を600℃から硫酸ナトリウムの融点以下で焼成し、焼成物を水洗、乾燥し、正方晶相チタン酸バリウムナノ粒子を得た。
【実施例3】
【0030】
テトラブチルチタネートをエチレングリコールモノメチルエーテルに溶解して溶液Aを得、氷酢酸に酢酸バリウムを添加して溶液Bを得、溶液Aと溶液Bを混合して、チタン及びバリウムを含むオルガノゾルを調製した。ここで、チタンのモル濃度は0.1Mであり、テトラブチルチタネート、酢酸バリウム、氷酢酸のモル比は1:1:3であった。このオルガノゾルと塩化カリウムを混合し、沈降後に余分なオルガノゾルを流し、オルガノゾルと塩化カリウムの混合物を得た。この混合物を60℃~120℃で保温し、乾燥後、粗い粉末を得た。粉末を600℃から塩化カリウムの融点以下で焼成し、焼成物を水洗、乾燥し、正方晶相チタン酸バリウムナノ粒子を得た。
【実施例4】
【0031】
テトラブチルチタネートをエチレングリコールモノメチルエーテルに溶解して溶液Aを得、氷酢酸に酢酸バリウムを添加して溶液Bを得、溶液Aと溶液Bを混合して、チタン及びバリウムを含むオルガノゾルを調製した。ここで、チタンのモル濃度は0.1Mであり、テトラブチルチタネート、酢酸バリウム、氷酢酸のモル比は1:1:3であった。このオルガノゾルと塩化ナトリウムを混合し、沈降後に余分なオルガノゾルを流し、オルガノゾルと塩化ナトリウムの混合物を得た。この混合物を60℃~120℃で保温し、乾燥後、粗い粉末を得た。粉末を600℃から塩化ナトリウムの融点以下で焼成し、焼成物を水洗、乾燥し、正方晶相チタン酸バリウムナノ粒子を得た。
【実施例5】
【0032】
テトラブチルチタネートをエチレングリコールモノメチルエーテルに溶解して溶液Aを得、氷酢酸に酢酸バリウムを添加して溶液Bを得、溶液Aと溶液Bを混合して、チタン及びバリウムを含むオルガノゾルを調製した。ここで、チタンのモル濃度は0.01Mであり、テトラブチルチタネート、酢酸バリウム、氷酢酸のモル比は1:1:3であった。このオルガノゾルと硫酸カリウムを混合し、沈降後に余分なオルガノゾルを流し、オルガノゾルと硫酸カリウムの混合物を得た。この混合物を60℃~120℃で保温し、乾燥後、粗い粉末を得た。粉末を600℃から硫酸カリウムの融点以下で焼成し、焼成物を水洗、乾燥し、正方晶相チタン酸バリウムナノ粒子を得た。
【実施例6】
【0033】
テトラブチルチタネートをエチレングリコールモノメチルエーテルに溶解して溶液Aを得、氷酢酸に酢酸バリウムを添加して溶液Bを得、溶液Aと溶液Bを混合して、チタン及びバリウムを含むオルガノゾルを調製した。ここで、チタンのモル濃度は1Mであり、テトラブチルチタネート、酢酸バリウム、氷酢酸のモル比は1:1:3であった。このオルガノゾルと硫酸カリウムを混合し、沈降後に余分なオルガノゾルを流し、オルガノゾルと硫酸カリウムの混合物を得た。この混合物を60℃~120℃で保温し、乾燥後、粗い粉末を得た。粉末を600℃から硫酸カリウムの融点以下で焼成し、焼成物を水洗、乾燥し、正方晶相チタン酸バリウムナノ粒子を得た。
【実施例7】
【0034】
テトラブチルチタネートをエチレングリコールモノメチルエーテルに溶解して溶液Aを得、氷酢酸に酢酸バリウムを添加して溶液Bを得、溶液Aと溶液Bを混合して、チタン及びバリウムを含むオルガノゾルを調製した。ここで、チタンのモル濃度は0.1Mであり、テトラブチルチタネート、酢酸バリウム、氷酢酸のモル比は1:1:1であった。このオルガノゾルと硫酸カリウムを混合し、沈降後に余分なオルガノゾルを流し、オルガノゾルと硫酸カリウムの混合物を得た。この混合物を60℃~120℃で保温し、乾燥後、粗い粉末を得た。粉末を600℃から硫酸カリウムの融点以下で焼成し、焼成物を水洗、乾燥し、正方晶相チタン酸バリウムナノ粒子を得た。
【実施例8】
【0035】
テトラブチルチタネートをエチレングリコールモノメチルエーテルに溶解して溶液Aを得、氷酢酸に酢酸バリウムを添加して溶液Bを得、溶液Aと溶液Bを混合して、チタン及びバリウムを含むオルガノゾルを調製した。ここで、チタンのモル濃度は0.1Mであり、テトラブチルチタネート、酢酸バリウム、氷酢酸のモル比は1:1:6であった。このオルガノゾルと硫酸カリウムを混合し、沈降後に余分なオルガノゾルを流し、オルガノゾルと硫酸カリウムの混合物を得た。この混合物を60℃~120℃で保温し、乾燥後、粗い粉末を得た。粉末を600℃から硫酸カリウムの融点以下で焼成し、焼成物を水洗、乾燥し、正方晶相チタン酸バリウムナノ粒子を得た。
【実施例9】
【0036】
テトラブチルチタネートをエチレングリコールモノエチルエーテルに溶解して溶液Aを得、氷酢酸に酢酸バリウムを添加して溶液Bを得、溶液Aと溶液Bを混合して、チタン及びバリウムを含むオルガノゾルを調製した。ここで、チタンのモル濃度は0.1Mであり、テトラブチルチタネート、酢酸バリウム、氷酢酸のモル比は1:1:3であった。このオルガノゾルと硫酸カリウムを混合し、沈降後に余分なオルガノゾルを流し、オルガノゾルと硫酸カリウムの混合物を得た。この混合物を60℃~120℃で保温し、乾燥後、粗い粉末を得た。粉末を600℃から硫酸カリウムの融点以下で焼成し、焼成物を水洗、乾燥し、正方晶相チタン酸バリウムナノ粒子を得た。
【実施例10】
【0037】
テトラブチルチタネートをエチレングリコールモノブチルエーテルに溶解して溶液Aを得、氷酢酸に酢酸バリウムを添加して溶液Bを得、溶液Aと溶液Bを混合して、チタン及びバリウムを含むオルガノゾルを調製した。ここで、チタンのモル濃度は0.1Mであり、テトラブチルチタネート、酢酸バリウム、氷酢酸のモル比は1:1:3であった。このオルガノゾルと硫酸カリウムを混合し、沈降後に余分なオルガノゾルを流し、オルガノゾルと硫酸カリウムの混合物を得た。この混合物を60℃~120℃で保温し、乾燥後、粗い粉末を得た。粉末を600℃から硫酸カリウムの融点以下で焼成し、焼成物を水洗、乾燥し、正方晶相チタン酸バリウムナノ粒子を得た。
【実施例11】
【0038】
テトラブチルチタネートをエタノールに溶解して溶液Aを得、氷酢酸に酢酸バリウムを添加して溶液Bを得、溶液Aと溶液Bを混合して、チタン及びバリウムを含むオルガノゾルを調製した。ここで、チタンのモル濃度は0.1Mであり、テトラブチルチタネート、酢酸バリウム、氷酢酸のモル比は1:1:3であった。このオルガノゾルと硫酸カリウムを混合し、沈降後に余分なオルガノゾルを流し、オルガノゾルと硫酸カリウムの混合物を得た。この混合物を60℃~75℃で保温し、乾燥後、粗い粉末を得た。粉末を600℃から硫酸カリウムの融点以下で焼成し、焼成物を水洗、乾燥し、正方晶相チタン酸バリウムナノ粒子を得た。
【実施例12】
【0039】
テトラブチルチタネートをn-プロパノールに溶解して溶液Aを得、氷酢酸に酢酸バリウムを添加して溶液Bを得、溶液Aと溶液Bを混合して、チタン及びバリウムを含むオルガノゾルを調製した。ここで、チタンのモル濃度は0.1Mであり、テトラブチルチタネート、酢酸バリウム、氷酢酸のモル比は1:1:3であった。このオルガノゾルと硫酸カリウムを混合し、沈降後に余分なオルガノゾルを流し、オルガノゾルと硫酸カリウムの混合物を得た。この混合物を60℃~90℃で保温し、乾燥後、粗い粉末を得た。粉末を600℃から硫酸カリウムの融点以下で焼成し、焼成物を水洗、乾燥し、正方晶相チタン酸バリウムナノ粒子を得た。
【実施例13】
【0040】
テトラブチルチタネートをイソプロパノールに溶解して溶液Aを得、氷酢酸に酢酸バリウムを添加して溶液Bを得、溶液Aと溶液Bを混合して、チタン及びバリウムを含むオルガノゾルを調製した。ここで、チタンのモル濃度は0.1Mであり、テトラブチルチタネート、酢酸バリウム、氷酢酸のモル比は1:1:3であった。このオルガノゾルと硫酸カリウムを混合し、沈降後に余分なオルガノゾルを流し、オルガノゾルと硫酸カリウムの混合物を得た。この混合物を60℃~75℃で保温し、乾燥後、粗い粉末を得た。粉末を600℃から硫酸カリウムの融点以下で焼成し、焼成物を水洗、乾燥し、正方晶相チタン酸バリウムナノ粒子を得た。
【実施例14】
【0041】
テトラブチルチタネートをn-ブタノールに溶解して溶液Aを得、氷酢酸に酢酸バリウムを添加して溶液Bを得、溶液Aと溶液Bを混合して、チタン及びバリウムを含むオルガノゾルを調製した。ここで、チタンのモル濃度は0.1Mであり、テトラブチルチタネート、酢酸バリウム、氷酢酸のモル比は1:1:3であった。このオルガノゾルと硫酸カリウムを混合し、沈降後に余分なオルガノゾルを流し、オルガノゾルと硫酸カリウムの混合物を得た。この混合物を60℃~110℃で保温し、乾燥後、粗い粉末を得た。粉末を600℃から硫酸カリウムの融点以下で焼成し、焼成物を水洗、乾燥し、正方晶相チタン酸バリウムナノ粒子を得た。
【実施例15】
【0042】
テトラブチルチタネートをエチレングリコールに溶解して溶液Aを得、氷酢酸に酢酸バリウムを添加して溶液Bを得、溶液Aと溶液Bを混合して、チタン及びバリウムを含むオルガノゾルを調製した。ここで、チタンのモル濃度は0.1Mであり、テトラブチルチタネート、酢酸バリウム、氷酢酸のモル比は1:1:3であった。このオルガノゾルと硫酸カリウムを混合し、沈降後に余分なオルガノゾルを流し、オルガノゾルと硫酸カリウムの混合物を得た。この混合物を60℃~120℃で保温し、乾燥後、粗い粉末を得た。粉末を600℃から硫酸カリウムの融点以下で焼成し、焼成物を水洗、乾燥し、正方晶相チタン酸バリウムナノ粒子を得た。
【実施例16】
【0043】
テトラブチルチタネートをプロピレングリコールに溶解して溶液Aを得、氷酢酸に酢酸バリウムを添加して溶液Bを得、溶液Aと溶液Bを混合して、チタン及びバリウムを含むオルガノゾルを調製した。ここで、チタンのモル濃度は0.1Mであり、テトラブチルチタネート、酢酸バリウム、氷酢酸のモル比は1:1:3であった。このオルガノゾルと硫酸カリウムを混合し、沈降後に余分なオルガノゾルを流し、オルガノゾルと硫酸カリウムの混合物を得た。この混合物を60℃~120℃で保温し、乾燥後、粗い粉末を得た。粉末を600℃から硫酸カリウムの融点以下で焼成し、焼成物を水洗、乾燥し、正方晶相チタン酸バリウムナノ粒子を得た。
【実施例17】
【0044】
テトラブチルチタネートをエチレングリコールモノメチルエーテルに溶解して溶液Aを得、氷酢酸に水酸化バリウムを添加して溶液Bを得、溶液Aと溶液Bを混合して、チタン及びバリウムを含むオルガノゾルを調製した。ここで、チタンのモル濃度は0.1Mであり、テトラブチルチタネート、水酸化バリウム、氷酢酸のモル比は1:1:3であった。このオルガノゾルと硫酸カリウムを混合し、沈降後に余分なオルガノゾルを流し、オルガノゾルと硫酸カリウムの混合物を得た。この混合物を60℃~120℃で保温し、乾燥後、粗い粉末を得た。粉末を600℃から硫酸カリウムの融点以下で焼成し、焼成物を水洗、乾燥し、正方晶相チタン酸バリウムナノ粒子を得た。
【実施例18】
【0045】
テトラブチルチタネートをエチレングリコールモノメチルエーテルに溶解して溶液Aを得、氷酢酸に硝酸バリウムを添加して溶液Bを得、溶液Aと溶液Bを混合して、チタン及びバリウムを含むオルガノゾルを調製した。ここで、チタンのモル濃度は0.1Mであり、テトラブチルチタネート、硝酸バリウム、氷酢酸のモル比は1:1:3であった。このオルガノゾルと硫酸カリウムを混合し、沈降後に余分なオルガノゾルを流し、オルガノゾルと硫酸カリウムの混合物を得た。この混合物を60℃~120℃で保温し、乾燥後、粗い粉末を得た。粉末を600℃から硫酸カリウムの融点以下で焼成し、焼成物を水洗、乾燥し、正方晶相チタン酸バリウムナノ粒子を得た。
【実施例19】
【0046】
テトラブチルチタネートをエチレングリコールモノメチルエーテルに溶解して溶液Aを得、氷酢酸に炭酸バリウムを添加して溶液Bを得、溶液Aと溶液Bを混合して、チタン及びバリウムを含むオルガノゾルを調製した。ここで、チタンのモル濃度は0.1Mであり、テトラブチルチタネート、炭酸バリウム、氷酢酸のモル比は1:1:3であった。まず炭酸バリウムと氷酢酸を反応させて清澄液を得、テトラブチルチタネート及びエチレングリコールモノメチルエーテルと共にオルガノゾルを調製した。このオルガノゾルと硫酸カリウムを混合し、沈降後に余分なオルガノゾルを流し、オルガノゾルと硫酸カリウムの混合物を得た。この混合物を60℃~120℃で保温し、乾燥後、粗い粉末を得た。粉末を600℃から硫酸カリウムの融点以下で焼成し、焼成物を水洗、乾燥し、正方晶相チタン酸バリウムナノ粒子を得た。