(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】液体輸送システム、並びにライナーバッグ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 88/16 20060101AFI20240514BHJP
B65D 90/20 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
B65D88/16
B65D90/20
(21)【出願番号】P 2022557653
(86)(22)【出願日】2021-03-23
(86)【国際出願番号】 CN2021082330
(87)【国際公開番号】W WO2021190487
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】202010209030.9
(32)【優先日】2020-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516190770
【氏名又は名称】上海箱箱智能科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】HOREN CORTP Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】28th Floor, Building A, NO.1520 Gumei Road, Caohejing High-Tech Park, Xuhui District, Shanghai, 200233, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファン、ジャンウェイ
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-524579(JP,A)
【文献】特表2005-512905(JP,A)
【文献】特開2005-289464(JP,A)
【文献】特表2019-524578(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106113587(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0201774(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107244436(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0076988(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 88/16
B65D 88/22
B65D 90/04
B65D 90/00
B65D 90/20
B65D 77/06
B65D 33/38
B65D 35/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライナーバッグ本体と、充填口と、排出口とを備え、前記ライナーバッグ本体は、前シートと裏シートとが周囲に沿って密封溶接されて構成されており、且つ前記充填口と前記排出口は、それぞれ前記前シートと前記裏シートに位置し、前記ライナーバッグ本体と密封的に接続されているライナーバッグであって、前記ライナーバッグ本体は、長方形を呈し、且つ前記ライナーバッグ本体は、2対の対向する側辺を有し、2対の対向する側辺のうちの対応する隣接側辺は、1つ又は複数の過渡辺を介して接続されており、前記排出口は、前記充填口よりも前記ライナーバッグ本体の縁に近く、
前記ライナーバッグは、展開状態と折畳み状態とを有し、前記折畳み状態では、前記ライナーバッグ本体における前記排出口を含む部分が上方に向くように、前記ライナーバッグ本体の第1対の対向する側部が、上方に向かって折り返され、並びに、第2対の対向する側部の縁が前記排出口に近接するように、前記ライナーバッグ本体の第2対の対向する側部が、前記排出口に向かって上方に折り返され、或いは、
前記ライナーバッグは、展開状態と折畳み状態とを有し、前記折畳み状態では、前記排出口と前記充填口とが同一平面上に位置するように、前記ライナーバッグ本体の第1対の対向する側部が、上方に向かって折り返され、並びに、第2対の対向する側部の縁が前記充填口と前記排出口とに近接するように、前記ライナーバッグ本体の第2対の対向する側部が、前記充填口に向かって上方に折り返されることを特徴とするライナーバッグ。
【請求項2】
前記前シート及び前記裏シートは、長方形の可撓性シート体であることを特徴とする請求項1に記載のライナーバッグ。
【請求項3】
2対の対向する側辺の各側辺の頂点と隣接側辺との間の垂直距離が、当該側辺の辺長の1/20~1/10に等しいことを特徴とする請求項1に記載のライナーバッグ。
【請求項4】
前記ライナーバッグ本体の全ての角部の隣接する辺のなす角度が鈍角であることを特徴とする請求項1に記載のライナーバッグ。
【請求項5】
前記ライナーバッグ本体における各角部を形成する辺が直線辺又は弧線辺であることを特徴とする請求項1に記載のライナーバッグ。
【請求項6】
前記充填口は前記前シートの中部に位置し、前記排出口は前記裏シートに位置し、且つ前記排出口の縁と最も近いライナーバッグ本体の縁との間の距離は、ライナーバッグの長さの4分の1未満であることを特徴とする請求項1に記載のライナーバッグ。
【請求項7】
前記ライナーバッグの容積が200リットル~1250リットルの間であることを特徴とする請求項1に記載のライナーバッグ。
【請求項8】
前記ライナーバッグの容積が250リットル、1000リットル、或いは1200リットルであることを特徴とする請求項1に記載のライナーバッグ。
【請求項9】
長方形状を呈する前シート及び裏シートを含むライナーバッグ本体と、充填口と、排出口とを備え、前記充填口と前記排出口は、それぞれ前記前シートと前記裏シートに位置するライナーバッグの製造方法であって、
前記前シート及び前記裏シートを周囲に沿って密封溶接し、前記排出口と前記充填口とを前記ライナーバッグ本体に密封接続させ、前記排出口は、前記充填口よりも前記ライナーバッグ本体の縁に近いようにし、前記ライナーバッグ本体が、2対の対向する側辺を有し、2対の対向する側辺のうちの対応する隣接側辺が1つ又は複数の過渡辺を介して接続されているステップと、
前記ライナーバッグ本体における前記排出口を含む部分が上方に向かうように、前記ライナーバッグ本体の第1対の対向する側部は上方に折り返され、第2対の対向する側部の縁が前記排出口に近接するように、前記ライナーバッグ本体の第2対の対向する側部は、前記排出口に向かって上方に折り返されるステップとを有する、ことを特徴とするライナーバッグの製造方法。
【請求項10】
中型バルク容器と、ライナーバッグと、押出し器とを備え、前記中型バルク容器は、ベースと、ベースに取り付けられた側壁とを含み、前記ベースには排出通路が設けられており、前記ライナーバッグは中型バルク容器内に配置され、且つライナーバッグ本体と充填口と排出口とを含み、前記押出し
器は、一対のロール軸を有し、
前記ライナーバッグ本体は、前シートと裏シートを周囲に沿って密封溶接することによって構成され、且つ前記充填口と前記排出口は、それぞれ前記前シートと前記裏シートに位置し、前記ライナーバッグ本体と密封接続されており、前記排出口は、前記充填口よりも前記ライナーバッグ本体の縁に近く、前記ライナーバッグ本体は長方形状を呈し、前記ライナーバッグ本体の四つの角部が切除され、
前記ライナーバッグの排出口は、前記排出通路に取り付けられ、
前記押出し器は、前記ライナーバッグ内の液体を排出する際に、前記ライナーバッグの上方に配置され、前記一対のロール軸が前記ライナーバッグの天端を挟持する液体輸送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願は相互に参照される。
本特許出願は、2020年03月23日に出願され、出願番号は2020102090309であり、発明名称は「液体輸送システム、並びにライナーバッグ及びその製造方法」である中国特許出願の優先権を主張しており、上記出願の全文は引用により本文に含まれている。
本発明は、容器に関し、具体的に、液体を収容するためのライナーバッグに関する。
【背景技術】
【0002】
液体の貯蔵、輸送及び充填排出などのために、現在市場には多くの液体貯蔵輸送装置があり、その中には中型バルク容器とライナーバッグを組み合わせて溶液を貯蔵輸送することが含まれている。市場で中型バルク容器に使用されるライナーバッグは一般的に六つの面の立体型ライナーバッグと2つ面の枕型ライナーバッグの2種類である。立体型ライナーバッグは、生産には大きな困難があり、立体の各面を溶接する必要があるため、生産性が低く、コストが高い。枕型ライナーバッグは、使いやすく加工コストが低いため、現在市場での使用率が高まっている。
【0003】
出願番号がCN201320108508である中国特許は、密封液体袋を開示しており、その本体部分はPVCコーティング布を用いてホットメルト溶接又は高周波溶接により作製された密封軟体容器であり、当該密閉軟体容器の両端にそれぞれ給液弁と排液弁とが設けられている。この液体ライナーバッグは一般的に、流速が高い流動性液体で使用すると効果が比較的に良い。しかし、粘稠液体の排出では、液体の排出が遅く、効率が悪く、排出完了後にライナーバッグ内に液体が大きく残留し、コストの無駄となる。一般的に排出終了の直前には、スパイラル押出しなどの外部物体でこのライナーバッグを巻き付けて残留液体を押出している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、溶接が容易であり、内部に収容される液体、特に粘稠液体の排出に有利であるライナーバッグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明の一態様によれば、ライナーバッグ本体と、排出口とを備え、前記ライナーバッグ本体は、前シートと裏シートとが周囲に沿って密封溶接されて構成されており、且つ前記排出口は、前記ライナーバッグ本体と密封的に接続されており、前記ライナーバッグ本体は、実質的に長方形を呈し、且つ前記ライナーバッグ本体は、2対の対向する側辺を有し、2対の対向する側辺のうち対応する隣接側辺は、1つ又は複数の過渡辺を介して接続されているライナーバッグを提供する。
【0006】
一実施例では、前記前シート及び前記裏シートは、実質的に長方形の可撓性シート体である。
【0007】
一実施例では、2対の対向する側辺の各側辺の頂点と隣接側辺との間の垂直距離が、当該側辺の総辺長の1/20 1/10に等しい。
【0008】
一実施例では、前記ライナーバッグ本体の全ての角部の隣接する辺のなす角度が鈍角である。
【0009】
一実施例では、前記ライナーバッグ本体における各角部を形成する辺が直線辺又は弧線辺である。
【0010】
一実施例では、前記ライナーバッグは、展開状態と折畳み状態とを有し、前記折畳み状態では、前記ライナーバッグ本体における前記排出口を含む部分が上方に向くように、前記ライナーバッグ本体の第1対の対向する側部が、上方に向かって折り返され、並びに、第2対の対向する側部の縁が前記排出口に近接するように、前記ライナーバッグ本体の第2対の対向する側部が、前記排出口に向かって上方に折り返される。
【0011】
一実施例では、前記ライナーバッグは、さらに充填口を有し、前記充填口と前記排出口は、それぞれ前記前シートと前記裏シートに位置する。
【0012】
一実施例では、前記排出口は、前記充填口よりも前記ライナーバッグ本体の縁に近い。
【0013】
一実施例では、前記充填口は前記前シートの中部に位置し、前記排出口は前記後シートに位置し、且つ前記排出口の縁と最も近いライナーバッグ本体の縁との間の距離は、ライナーバッグの長さの4分の1未満である。
【0014】
一実施例では、前記ライナーバッグは、展開状態と折畳み状態とを有し、前記折畳み状態では、前記排出口と前記充填口とが同一平面に位置するように、前記ライナーバッグ本体の第1対の対向する側部が、上方に向かって折り返され、並びに、第2対の対向する側部の縁が前記充填口と前記排出口とに近接するように、前記ライナーバッグ本体の第2対の対向する側部が、前記充填口に向かって上方に折り返される。
【0015】
一実施例では、前記ライナーバッグの容積が、200リットル~1250リットルの間にあり、好ましくは250リットル、1000リットル、或いは1200リットルである。
【0016】
本発明の別の態様によると、実質的に長方形状を呈する前シート及び裏シートを含むライナーバッグ本体と、排出口とを備えたライナーバッグの製造方法が提供され、前記製造方法は、
前記前シート及び前記裏シートを周囲に沿って密封溶接し、前記排出口を前記ライナーバッグ本体に密封接続させ、前記ライナーバッグ本体が、2対の対向する側辺を有し、2対の対向する側辺のうちの対応する隣接側辺が1つ又は複数の過渡辺を介して接続されているステップと、
前記ライナーバッグ本体における前記排出口を含む部分が上方に向かうように、前記ライナーバッグ本体の第1対の対向する側部は上方に折り返され、第2対の対向する側部の縁が前記排出口に近接するように、前記ライナーバッグ本体の第2対の対向する側部は、前記排出口に向かって上方に折り返されるステップと、を有する。
【0017】
本発明の別の態様によると、液体輸送システムが提供され、前記液体輸送システムは、中型バルク容器と、ライナーバッグと、押出し器とを備え、前記中型バルク容器は、ベースと、ベースに取り付けられた側壁とを含み、前記ベースには排出通路が設けられており、前記ライナーバッグは中型バルク容器内に配置され、且つライナーバッグ本体と排出口とを含み、前記押出し器は、一対のロール軸を有し、
前記ライナーバッグはライナーバッグ本体と、排出口とを備え、前記ライナーバッグ本体は、前シートと裏シートを周囲に沿って密封溶接することによって構成され、且つ前記排出口は、前記ライナーバッグ本体と密封接続されており、前記ライナーバッグ本体は実質的に長方形状を呈し、前記ライナーバッグ本体の四つの角部が切除され、
前記ライナーバッグの排出口は、前記排出通路に取り付けられ、
前記押出し器は、前記ライナーバッグ内の液体を排出する際に、前記ライナーバッグの上方に配置され、前記一対のロール軸が前記ライナーバッグの天端を挟持する。
【発明の効果】
【0018】
本発明のライナーバッグは、製造が簡単であり、液体の排出中に堰塞湖が形成されず、特に粘稠液体の排出に有利であり、排出完了後の液体の残留が少ない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施例に係るライナーバッグの構造を示す模式図である。
【
図2】
図2は、本発明の第2の実施例に係るライナーバッグの構造を示す模式図である。
【
図3】
図3は、本発明の第3の実施例に係るライナーバッグの構造を示す模式図である。
【
図4】
図4は、
図1に示したライナーバッグの折畳み過程を示す模式図である。
【
図5】
図5は、
図1に示したライナーバッグの折畳み過程を示す模式図である。
【
図6】
図6は、
図1に示したライナーバッグの折畳み過程を示す模式図である。
【
図7】
図7は、
図1に示したライナーバッグの折畳み過程を示す模式図である。
【
図8】
図8は、本発明の一実施例に係るライナーバッグの液体充填の過程を示す図である。
【
図9】
図9は、本発明の一実施例に係るライナーバッグの液体充填の過程を示す図である。
【
図10】
図10は、本発明の一実施例に係るライナーバッグの液体充填の過程を示す図である。
【
図11】
図11は、本発明の別の一実施例に係るライナーバッグの液体充填の過程を示す図である。
【
図12】
図12は、本発明の別の一実施例に係るライナーバッグの液体充填の過程を示す図である。
【
図13】
図13は、本発明の別の一実施例に係るライナーバッグの液体充填の過程を示す図である。
【
図14】
図14は、本発明の一実施例に係る液体輸送システムが液体を排出する過程を示す模式図である。
【
図15】
図15は、本発明の一実施例に係る液体輸送システムが液体を排出する過程を示す模式図である。
【
図16】
図16は、本発明の一実施例に係る液体輸送システムが液体を排出する過程を示す模式図である。
【
図17】
図17は、本発明の一実施例に係る液体輸送システムが液体を排出する過程を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の目的、特徴および利点をよりよく理解するために、図面に結合して本発明の各実施例について詳細に説明する。図面に示される実施例は、本発明の保護範囲を限定することを意図するものではなく、単に本発明の技術方案の本質的な精神を説明することを理解するべきである。
【0021】
以下の説明では、開示されたさ各実施例を説明する目的から、開示された各実施例を完全に理解するために、何らかの具体的な詳細を記載する。但し、当業者は実施例がこれらの具体的な詳細のうちの1つまたは複数なしに実施されてもよいことを認識するべきである。他の場合では、実施例の説明を不必要に曖昧にすることを避けるために、本出願に関連する周知のデバイス、構造、および技術は詳細に示されないか、または記載されない可能性がある。
【0022】
文脈で特に必要とされない限り、明細書および請求の範囲を通して、「備える」という言葉とそのバリエーション、例えば「含む」や「有する」などの用語は、オープンで包括的な意味と理解するべきであり、すなわち、「含むが、これらに限定されない」と解釈されるべきである。
【0023】
明細書全体にわたる「一つ実施例」または「一実施例」への言及は、実施例に説明される特定の特点、構造、または特徴が少なくとも1つの実施例に含まれることを意味する。そのため、明細書全体の各箇所での「一つの実施例では」または「一実施形態では」の表現は、必ずしもすべてが同じ実施例を指しているわけではない。また、特定の特点、構造、または特徴が1つまたは複数の実施例で任意の方法で組み合わせることができる。
【0024】
本明細書および添付の請求の範囲で使用されるように、単数形「一」および「前記」は、文脈がそうでないことを明確に記載しない限り、複数の指示対象も含む。「または」という用語は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、「および/或いは」を含む意味で一般的に使用されることである。
【0025】
以下の記載では、本発明の構成及び動作形態を明確に示すために、多くの方向性の語を用いて説明するが、「前」、「後」、「左」、「右」、「外」、「内」、「外を向く」、「内を向く」、「上」、「下」などの語は、限定的な語ではなく、便宜上の語として理解されるべきである。
【0026】
図1は本発明の第1の実施例に係るライナーバッグ100の構造を示す模式図である。
図1に示すように、ライナーバッグ100は、ライナーバッグ本体101と、充填口102と、排出口103とを備えている。ライナーバッグ本体101は、前シート1011と裏シート1012とが周囲に沿って密封溶接されることによって構成されている。ライナーバッグ本体101の周囲の縁には、ライナーバッグの主溶接線100aが形成される。好ましくは、前シート1011及び裏シート1012は、実質的に長方形状の可撓性シート体である。前シート及び裏シートは、一般にプラスチックからなる。充填口102及び排出口103は、ライナーバッグ本体に密封接続されている。具体的には、充填口102および排出口103は、それぞれ前シート1011および裏シート1012に溶接されている。排出口103は、充填口102よりもライナーバッグ本体の縁に近い。好ましくは、充填口102が前シートの中間部に位置し、排出口が後シートに位置し、且つ排出口の縁と最も近いライナーバッグ本体の縁との距離が、ライナーバッグの長さの4分の1未満である。
【0027】
ライナーバッグ本体101は、全体として長方形を呈し、その形状は、基本的に長方形の四つの角部を取り除いたことで形成される。製造に際しては、前シートと裏シートの四つの角部を切除した後、周囲に沿って密封溶接してもよいし、長方形状の前シートと裏シートを周囲に沿って密封溶接した後、四つの角部を切除し、切除した部分を溶接してもよい。充填口及び排出口は、前シートと裏シートとの溶接の前又は後に、それぞれ前シート及び裏シートに密封接続されていてもよい。
【0028】
具体的には、ライナーバッグ本体101は、2対の対向する側辺1013、1014、1015、1016を有する。2対の対向する側辺のうちの対応する隣接側辺の間は、1つの過渡辺1017、1018、1019、1020を介して接続されている。当該過渡辺は、直線辺でもよく、弧線辺でもよい。
図1に直線辺を示す。各側辺と過渡辺との間に形成される角度A、B、C、D、Eは鈍角である。ライナーバッグ本体101は、4つの角部1021、1022、1023、1024を有する。過度辺が直線辺である場合、ライナーバッグ本体101の全ての角部の隣接する辺の間のなす角度は鈍角である。2対の対向する側辺の各側辺の頂点と隣接する側辺との間の垂直距離は、この側辺の総辺長の1/20 1/10に等しく、好ましくは、総辺長の1/15 1/10である。
【0029】
図2は本発明の第2の実施例に係るライナーバッグ200の構造を示す模式図である。
図2に示された実施例のライナーバッグ200は、ライナーバッグ200の少なくとも1つの角部が複数の過渡辺201を有する点で、
図1に示されたライナーバッグ100と異なる。
図2には、1つの角部が2つの過渡辺を有することを示している。2つ、3つ、または4つの角部は、いずれも2つ以上の過渡辺を有してもよいことが理解されるべきである。過渡辺は、直線または弧線にしてもよい。残りは同じなので、ここでは詳述しない。
【0030】
図3は本発明の第3の実施例に係るライナーバッグ300の構造を示す模式図である。
図3に示された実施例のライナーバッグ300は、ライナーバッグ300に充填口を単独で設けず、充填口と排出口とを1つに集積している点、すなわち排出口301を充填口として兼用している点で、
図1、
図2に示されたライナーバッグと異なる。ライナーバッグの構造および製造方式は、
図1に示すライナーバッグ100または
図2に示すライナーバッグ200と同じであってもよく、ここでは詳しく説明しない。
【0031】
本明細書では、ライナーバッグの仕様(すなわち容積)は、200リットル 1250リットルの間にあり、好ましくは250リットル、1000リットル又は1200リットルであり、この三つの仕様のライナーバッグが対応する前シートサイズと裏シートサイズのそれぞれは約0.95m×1.55m、約2.1m×2.25m、及び約2.1m×2.45mである。
【0032】
図4 図7は、
図1に示したライナーバッグ100の折畳み過程を示す模式図である。本出願のライナーバッグは、展開状態と折畳み状態とを有する。折畳み状態では、排出口と充填口とが同一平面上に位置するように、ライナーバッグ本体101の第1対の対向する側部104、105は上方に折り返され、ライナーバッグ本体における排出口103を含む部分は上方に向かう、並びに、第2対の対向する側部の縁が充填口と排出口とに近接するように、ライナーバッグ本体の第2対の対向する側部106、107は、充填口に向かって上方に折り返されている。例として、ライナーバッグ100の折畳み過程では、まず、排出口と充填口とが同一平面に位置するように、ライナーバッグ本体の第1対の対向する側辺を、充填口に向けて折畳む、並びに、第2対の対向する側辺の縁が充填口と排出口とに近接するように、ライナーバッグ本体の第2対の対向する側辺を充填口に向けて折り畳む。これで折畳みが完了する。
図2および
図3に示されたライナーバッグ200、300の折畳み過程は、
図1に示されたライナーバッグ100の折畳み過程と同じであり、ここでは詳しく説明しない。
【0033】
図8 図10は、本発明の一実施例に係るライナーバッグ100の液体充填の過程を示す図である。図示のように、充填過程では、まず、中型バルク容器(IBC)400の底部にライナーバッグ100を平らに置き、充填口102が上方に向かって、排出口103を中型バルク容器の排出通路に取り付ける。次に、充填口102がダクト500を接続した後、ダクト300を介してライナーバッグ100に液体を充填する。
【0034】
図11 図13は、本発明の別の一実施例に係るライナーバッグの液体充填の過程を示す図である。図に示すように、充填過程では、まず、中型バルク容器(IBC)400の底部にライナーバッグ300を平らに置き、排出口301を中型バルク容器の排出通路に取り付ける。次に、充填口102がダクト500を接続した後、ダクト500を介してライナーバッグ100に液体を充填する。
【0035】
図14 図17は、本発明の一実施例に係る液体輸送システム600が液体を排出する過程を示す模式図である。
図14 17に示されるように、液体輸送システム600は、中型バルク容器400と、ライナーバッグと、押出し器700とを含み、中型バルク容器400は、ベース401と、ベースに取り付けられた側壁402とを含む。ベース401には、排出通路4011が設けられている。中型バルク容器内にライナーバッグを配置し、且つ該ライナーバッグの排出口を排出通路に取り付ける。押出し器700は、一対のロール軸701を有する。押出し器は、出願番号201710656555.5の中国発明特許出願に開示された押出し器を採用することができ、その全文は引用の方式で本文に含まれている。押出し器はまた、本分野で知られている又は開発されようとしている押出し器を採用することができる。
【0036】
排出中には、押出し器がライナーバッグの上方に配置され、一対のロール軸がライナーバッグの天端を挟持する。次に、中型バルク容器の排出通路外に取り付けられたバルブを開き、押出し器を起動する。排出過程では、押出し器の一対のロール軸が転がり、ライナーバッグを押圧することにより、液体が下方に押し出され、袋体に残留する液体が低減される。排出中に、押出し器は、ライナーバッグの液体の減少に伴って自動的に下降する。
【0037】
本発明のライナーバッグは、全ての角部を改良したので、各角部が通常の直角ではなくなり、よって、ライナーバッグの堰塞湖の問題が解消され、液溜まりの死角がなく、排出後の残量が少ない。また、構造が簡単であり、折畳み及び充填作業が簡単であり、コストを節減することができ、特に粘性液体の収容及び輸送に適している。
【0038】
以上、本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の上述の内容を読んだ後、当業者は本発明に様々な変更または修正を加えることができることが理解されるべきである。これらの等価な形態は、本出願に添付された特許請求の範囲によって定義される範囲にも属する。