(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】水流方向切替装置
(51)【国際特許分類】
E02B 7/40 20060101AFI20240514BHJP
E02B 5/00 20060101ALI20240514BHJP
E03F 5/04 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
E02B7/40
E02B5/00 B
E03F5/04 A
(21)【出願番号】P 2023104325
(22)【出願日】2023-06-26
【審査請求日】2023-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】517146035
【氏名又は名称】株式会社ジェック
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【氏名又は名称】吉井 剛
(72)【発明者】
【氏名】山岸 梨絵
(72)【発明者】
【氏名】谷口 真依
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-099090(JP,U)
【文献】特開2000-282444(JP,A)
【文献】実開昭60-094589(JP,U)
【文献】特開2004-156271(JP,A)
【文献】特開2002-309664(JP,A)
【文献】実開昭57-156524(JP,U)
【文献】特開2005-023677(JP,A)
【文献】特開2000-282445(JP,A)
【文献】特開昭63-093984(JP,A)
【文献】実開昭63-104480(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 7/40
E02B 5/00
E03F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流雪溝の分岐点に設けられ該分岐点における流水の流れ方向を制御する水流方向切替装置であって、作動することで前記流水の流れ方向を制御する制御板を備え、この制御板は、垂直板に構成されて鉛直軸に支持され、駆動装置の作動により回動し前記分岐点における所定の流雪溝の流入口を閉塞するように構成され、さらに、前記制御板の下部には、この制御板の下縁に沿って変形部が下方に突設され、この変形部は、前記流雪溝の底面上に存する凸部や異物と接触した場合、変形若しくは退避移動して前記凸部や前記異物を回避通過若しくは乗り越え通過可能な柔軟性を有する
可撓性部材若しくは弾性部材からなるブラシで構成されていることを特徴とする水流方向切替装置。
【請求項2】
請求項
1記載の水流方向切替装置において、前記制御板は、前記変形部が前記流雪溝の底面を摺接しながら移動するように構成されていることを特徴とする水流方向切替装置。
【請求項3】
請求項1
,2いずれか1項に記載の水流方向切替装置において、前記変形部は、前記制御板の板面に沿って上下移動自在に設けられていることを特徴とする水流方向切替装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流雪溝の分岐点に設けられ該分岐点における流水の流れ方向を制御する水流方向切替装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
降雪量が多い地域では、消雪パイプだけでは降り積もった雪を消雪することが困難なため、消雪しきれない雪を除去するための「流雪溝」と称する排雪施設が整備されている。
【0003】
この流雪溝は、河川等を水源とする流水を利用したものであり、降り積もった雪を投入するだけで、流水により雪を下流側の河川等に運搬し排雪する仕組みになっている。
【0004】
このような流雪溝は、多くの分岐点を介して地域内に縦横無尽に設けられ、地域内の人々が誰でも利用できるようになっているが、大きな雪の塊を運搬するにはそれなりの流水量が必要となるため、流雪溝の利用に際しては、流雪溝の各分岐点において、流水の流れを制御する制御板(止水板)を用いて一方の流雪溝への流水の流れを堰止め、他方の流雪溝に全ての流水が流れるように制御し、流水の流れを一本化する(一筋の流れとする)ことで流水量を確保し、また、時間により制御板の位置を変えて通水区間を変更し、地域全体が流雪溝を利用できるように運用されている。
【0005】
しかしながら、上述した流水の流れを制御するための制御板の位置変え作業は、重い止水板を上下方向に抜き差ししなければならず、非常に労力を要する厄介な作業であり、また、冬の早朝、平日の日中に長い時間を作業に費やすため、作業者への負担も大きいものとなっていた。
【0006】
従来、このような厄介な作業を軽減することを目的とし、特許文献1,2に示すような制御板(特許文献1では扉体、特許文献2では堰止板)の位置変え、すなわち、通水区間の切り替えを容易にする装置(以下、「従来例」という。)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2002-309664号公報
【文献】実開昭63-104480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来例は、制御板を鉛直軸に軸着し回動操作により位置変えを行うことで、制御板の切り替え作業を簡易にするものである。
【0009】
この従来例のように、制御板が鉛直軸に軸着され回動移動する構成においては、制御板は流雪溝の底面に沿って移動することになるが、流雪溝の底面は必ずしも平坦ではないため、制御板の移動範囲に凸部が存在すると、制御板の下端が凸部に引っかかり、所定位置まで移動することができなかったり、制御板に負荷がかかり破損が生じたりするおそれがあることから、従来は、制御板が凸部に引っかからないように、制御板を流雪溝の底面に対して適宜な間隔をおいて設ける必要がある。
【0010】
しかしながら、
図7(a)に示すように、制御板20と流雪溝の底面21との間に隙間22を設けた場合、
図7(b)に示すように、この隙間22に流雪溝内を移動してきた小石などの異物23が挟まり、この異物23がドアストッパのごとく作用して制御板20の移動が阻害される不具合が生じてしまうことがある。
【0011】
また、異物23の隙間22への挟まりを防止するため隙間を大きくすると、制御板20の止水板としての機能が果たせなくなり、開放する流雪溝への流水量が減少し、この流雪溝における融雪作業に支障を来すおそれがある。
【0012】
本発明はこのような現状に鑑みなされたものであり、流雪溝の底面に存する凸部や異物に影響されることなく制御板がスムーズに動作する水流方向切替装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0014】
流雪溝60の分岐点61に設けられ該分岐点61における流水の流れ方向を制御する水流方向切替装置であって、作動することで前記流水の流れ方向を制御する制御板1を備え、この制御板1は、垂直板に構成されて鉛直軸2に支持され、駆動装置3の作動により回動し前記分岐点61における所定の流雪溝60の流入口を閉塞するように構成され、さらに、前記制御板1の下部には、この制御板1の下縁に沿って変形部4が下方に突設され、この変形部4は、前記流雪溝60の底面60a上に存する凸部や異物30と接触した場合、変形若しくは退避移動して前記凸部や前記異物30を回避通過若しくは乗り越え通過可能な柔軟性を有する可撓性部材若しくは弾性部材からなるブラシで構成されていることを特徴とする水流方向切替装置に係るものである。
【0015】
また、請求項1記載の水流方向切替装置において、前記制御板1は、前記変形部4が前記流雪溝60の底面60aを摺接しながら移動するように構成されていることを特徴とする水流方向切替装置に係るものである。
【0016】
また、請求項1,2いずれか1項に記載の水流方向切替装置において、前記変形部4は、前記制御板1の板面に沿って上下移動自在に設けられていることを特徴とする水流方向切替装置に係るものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明は上述のように構成したから、流雪溝の底面に存する凸部や異物の影響を受けることなく制御板がスムーズに動作する水流方向切替装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図3】本実施例の使用状態(設置状態)を示す説明斜視図である。
【
図4】本実施例の使用状態(制御板の切替動作)を示す説明平面図である。
【
図6】本実施例の変形部の作用を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0020】
本発明は、制御板1の下縁に沿って柔軟性を有する変形部4が下方に向かって突設されているから、制御板1の可動領域に凸部や異物30が存在し、これらに変形部4が接触しても、変形部4は、変形若しくは退避移動して前記凸部や前記異物30を回避通過若しくは乗り越え通過することができ、これにより、制御板1は、流雪溝60の底面60aに存する凸部や異物30の影響を受けることなくスムーズに動作することができる。
【0021】
また、前記のとおり、流雪溝60の底面60aに凸部や異物30が存在しても、凸部や異物30により制御板1の移動が阻害されないので、制御板1と流雪溝60の底面60aとの間に隙間を設けずに設置することができ、これにより、隙間を設けた場合に比べて、堰止め対象の流雪溝60の流水の流出量を低減することができ、開放対象の流雪溝60へ融雪作業に支障を来さない十分な流量の流水を通水させることができる。
【実施例】
【0022】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0023】
本実施例は、流雪溝60の分岐点61に設けられ、この分岐点61における流水の流れ方向を制御する水流方向切替装置であり、作動することで流水の流れを制御する制御板1を備え、この制御板1により一の流雪溝60を閉塞し、他の流雪溝60に流水が流れるように流水の流れ方向を制御するように構成されているものである。
【0024】
具体的には、本実施例は、
図1に示すように、制御板1と、この制御板1を作動させる駆動装置3とからなるものである。
【0025】
以下、本実施例に係る構成各部について詳述する。
【0026】
制御板1は、垂直板に構成されて鉛直軸2に支持され、駆動装置3の作動により回動し流雪溝60の分岐点61における所定の流雪溝60の流入口を閉塞するように構成されている。
【0027】
具体的には、本実施例の制御板1は、
図1,3に示すように、流雪溝60の壁面に固定される固定板部1aと、この固定板部1aに回動自在に設けられる可動板部1bとで構成されている。
【0028】
固定板部1aは、流雪溝60の流入口(開口部)の高さ寸法に応じて適宜な高さに設定され、ボルト等の適宜な固定手段を用いて流雪溝60の壁面に固定できるように構成されている。
【0029】
また、可動板部1bは、流雪溝60の流入口(開口部)をほぼ閉塞し得る方形状の金属板材で構成され、基端部側(流水の流れ方向下流側)が鉛直軸2としての蝶番2を介して固定板部1aに水平回動自在に設けられている。
【0030】
また、本実施例の可動板部1bは、
図1に示すように、下縁に沿って変形部4が下方に突設され、この変形部4により、可動板部1bの可動領域に該当する流雪溝60の底面60aに凸部や異物30が存在しても、これらの凸部や異物30を回避通過若しくは乗り越え通過し、凸部や異物30の影響を受けることなく(動作が阻害されることなく)スムーズに移動(動作)することができるように構成されている。
【0031】
具体的には、変形部4は、流雪溝60の底面60a上に存する凸部や異物30と接触した場合、変形若しくは退避移動して凸部や異物30を回避通過若しくは乗り越え通過可能な柔軟性を有するもので構成されており、この変形部4が凸部や異物30に接触し、変形若しくは退避移動して前記凸部や前記異物30を回避通過若しくは乗り越え通過することで、可動板部1bが凸部や異物30の影響を受けることなく(動作が阻害されることなく)スムーズに移動することができるように構成されている。
【0032】
詳細には、変形部4は、可撓性部材若しくは弾性部材で構成されることが好ましく、本実施例の変形部4は、図示するように、ブラシ(毛の長さ:3~7cm程度)で構成されている。なお、変形部4はブラシ以外で構成しても良く、たとえばゴム板で構成しても良い。
【0033】
また、変形部4は、流雪溝60の底面60aに対して隙間を設けず、先端部(ブラシ先端部)が流雪溝60の底面60aに接し、制御板1の移動の際、流雪溝60の底面60aに摺接しながら移動するように構成されている。
【0034】
また、変形部4は、可動板部1bの板面に沿って上下移動自在に設けられ、可動板部1bは、この変形部4の上下移動により、高さ方向の寸法を流雪溝60の深さに応じて自在に調整できるように構成されている。
【0035】
具体的には、
図2に示すように、可動板部1bの下部に上下方向にスライド自在な取付部4aが設けられ、この取付部4aに変形部4が取り付けられて、取付部4aの上下移動により変形部4が上下移動するように構成されている。
【0036】
また、本実施例の可動板部1bは、
図1に示すように、板面に開口部5が設けられている。
【0037】
具体的には、開口部5は、可動板部1b大きさ(面積)の1/5~1/10の大きさに設定され、可動板部1bの上部側に設けられている。
【0038】
本実施例は、制御板1(可動板部1b)に開口部5を設けることで、流雪溝60を流れる流水量が増加し、可動板部1bにかかる負荷(抵抗)が大きくなった場合、この開口部5がオーバーフロー口になり、流水が抜けることで可動板部1bが移動する際の流水から受ける抵抗が低減され、スムーズに切り替え動作ができるように構成されている。
【0039】
なお、開口部5に関しては、開口下縁の位置を変更可能に構成しても良い。
【0040】
具体的には、開口部5の下部にシャッター部材を設け、上方へスライド自在に設け、このシャッター部材を上方に移動させる(引き上げる)ことで開口部5の下縁位置が上方に移動し、オーバーフローのタイミングを調整することができる。なお、開口下縁位置の変更は前記シャッター部材以外に、たとえば、下縁側にメクラ板を取り付ける構成としても良い。
【0041】
またさらに、本実施例の可動板部1bは、
図1に示すように、板面両側に雪切り板6が設けられている。
【0042】
具体的には、雪切り板6は、可動板部1bの板面に対して、ほぼ水平状態にして外方に向かって突設されており、本実施例は、流雪溝60を移動する雪の塊が可動板部1bに沿って移動する際にこの雪切り板6により雪の塊に切り込みを入れ、雪の塊を分割され易くして、流雪溝60内において雪の塊による詰まりの発生を可及的に低減するように構成されている。
【0043】
また、本実施例の可動板部1bは、
図1に示すように、後述する駆動装置3のロッド3aが連結される連結部7が設けられている。
【0044】
具体的には、連結部7は、ロッド3aの先端部が枢着される軸部7aを備え、可動板部1bの上部に設けられている。
【0045】
より具体的には、軸部7aは、ロッド3aの先端部の高さ寸法よりも長尺な長さに設定され、流雪溝60のサイズに合わせてロッド3aの連結位置を上下方向に調整できるように構成されている。
【0046】
また、本実施例の可動板部1bは、
図1に示すように、先端部(固定板部1aと連結しない側の端部)にカバー8が設けられている。
【0047】
具体的には、カバー8は、可動板部1bの先端縁に沿って延設され、
図3に示すように、可動板部1bに対して所定角度で内側(固定板部1aが固定される流雪溝60の壁面と対向する壁面側)に向けて突設されている。
【0048】
本実施例においては、このカバー8により、
図3に示すように、可動板部1bが、固定板部1aが固定される流雪溝60の壁面と対向する壁面側に移動した際に、変形部4の壁面への当接による破損を防止するように構成されている。
【0049】
また、駆動装置3は、
図1に示すような、進退自在に設けられるロッド3aを有するストロークモータ(以下、本実施例において「駆動装置3」を「ストロークモータ3」という。)で構成されている。
【0050】
具体的には、ストロークモータ3は、
図3に示すように、流雪溝60の壁面間に架設される支持部材9に設けられており、より具体的には、ストロークモータ3は、支持部材9上に軸着され、水平回動自在に設けられている。
【0051】
詳細には、本実施例は、ストロークモータ3を支持部材9に水平回動自在に設け、さらに、ストロークモータ3のロッド3aを、制御板1(可動板部1b)の連結部7(軸部7a)に回動自在に軸着し、
図4に示すように、ストロークモータ3のロッド3aの直線運動(伸縮動作)により可動板部1b、ストロークモータ3の夫々に負荷がかからず、可動板部1bをスムーズに回動動作させることができるように構成されている。
【0052】
また、ストロークモータ3を支持する支持部材9は、幅方向の長さが調整可能に構成され、溝幅の異なる多様な流雪溝60に取り付けることができるように構成されている。
【0053】
具体的には、本実施例の支持部材9は、
図1,3に示すように、流雪溝60の左右両側にそれぞれ設けられる(固設される)一対の固定支持部材9aと、この固定支持部材9a間に架設される架設支持部材9bとからなり、固定支持部材9aは、クランク形状に形成され、また、架設支持部材9bは、適宜な幅寸法に設定された平板状に形成され、一対の固定支持部材9aの水平板部上に架設支持部材9bを載置して固定支持部材9a間に架設し、架設支持部材9bに設けられた長孔のネジ孔を介して固定支持部材9aと架設支持部材9bとをネジ、ボルト等の固定部材で固定される構成であり、前記構成により、本実施例の支持部材9は、固定支持部材9aの水平板部の幅寸法分と同程度の範囲の幅調整が可能となっている。
【0054】
なお、固定支持部材9aは、本実施例のようなクランク形状に限定されるものではなく、たとえば、単なるL字状に構成し、鉛直板部を直接、流雪溝60の壁面部に係止(固定)する構成としても良い。
【0055】
また、固定支持部材9aは、固定板部1aと一体に形成される構成としても良い。
【0056】
また、本実施例は、可動板部1bが所定位置まで正常に回動動作したか否かを判断する制御板動作判断機能を備えている。
【0057】
具体的には、制御板動作判断機能は、ストロークモータ3のロッド3aの位置に基づき前記した可動板部1bが所定位置まで正常に回動動作したか否かを判断するように構成されている。
【0058】
より具体的には、本実施例の制御板動作判断機能は、ストロークモータ3のロッド3aをガイドするシリンダ部3bに設けられた2つのロッド検知手段10a,10bによりロッド3aの動作位置を確知することで前記のような判断をするように構成されている。
【0059】
すなわち、本実施例の制御板動作判断機能は、一方の流雪溝60Aへ流水を導入するように可動板部1bを動作させる場合、両ロッド検知手段10a,10bがロッド3aを検知していれば可動板部1bが正常に動作したと判断し、また、他方の流雪溝60Bへ流水を導入するように可動板部1bを動作させる場合、両ロッド検知手段10a,10bがロッド3aを検知していなければ可動板部1bが正常に動作したと判断するように構成されている。
【0060】
また、本実施例は、制御板動作判断機能が可動板部1bの動作に異常があると判断した場合、すなわち、可動板部1bが所定位置まで動作しなかったと判断した場合、ストロークモータ3のロッド3aを繰り返し進退動作させ、可動板部1bを数回、回動動作(開閉動作)させた後、再度、動作の正常、異常を判断するように構成されている(可動板部1bの雪はさみによる動作異常の場合、前記動作により解消されることがあるため。)。
【0061】
なお、制御板動作判断機能に関しては、上記以外に、例えば可動板部1bの先端にリミットスイッチを設け、可動板部1bが正常動作により所定位置に移動し、可動板部1bに設けられたリミットスイッチが流雪溝60の壁面に接し操作されスイッチON状態となることで、可動板部1bが正常に動作したと判断するように構成しても良い。また、リミットスイッチを流雪溝60の壁面側に設け、可動板部1bが正常に動作した場合、このリミットスイッチに当接しスイッチON状態となるように構成し、このリミットスイッチのON/OFF状態を確知することで可動板部1bが正常に動作したか否かを判断するように構成しても良い。
【0062】
また、本実施例は、制御ユニット(図示省略)により動作の制御が行われるように構成されている。
【0063】
制御ユニットは、制御回路及び手動操作部を備え、本実施例と接続され、本実施例に動作指令の信号を送信し、本実施例は、この制御ユニットからの制御指令に基づき可動板部1bが動作するように構成されている。
【0064】
また、本実施例は、制御ユニットにおいて手動操作に切り替え、手動操作部の操作により可動板部1bの動作を手動操作することができるように構成されている。
【0065】
なお、本実施例は、上記構成に限定されるものではなく、例えば、
図5に示すように、制御板1において、固定板部1aを棒状体で構成し、流雪溝60の天板と底部間に貫通配設するように構成しても良い。また、支持部材9において、流雪溝60の天板に吊下部材9c(例えば全ネジボルト)を垂設し、この吊下部材9cに取付部材9dを設け、図示するように、この取付部材9dにストロークモータ3を取り付ける構成としても良い。
【0066】
以上のように構成される本実施例の作用効果について以下に説明する。
【0067】
本実施例は、駆動装置3をストロークモータ3で構成しているから、動作性、耐久性に優れ、安定的に切り替え操作を行うことができる。
【0068】
また、本実施例は、可動板部1bの下縁に沿って変形部4が下方に向かって突設されているから、可動板部1bの可動領域に可動板部1bの下縁と流雪溝60の底面60aとの間の寸法よりも小径の凸部や異物30が存在し、これらに変形部4が接触しても、
図6に示すように、変形部4は、変形若しくは退避移動して凸部や異物30を回避通過若しくは乗り越え通過することができ、これにより、可動板部1bは、流雪溝60の底面60aに存する凸部や異物30の影響を受けることなくスムーズに動作することができる。
【0069】
さらに、前記のとおり、流雪溝60の底面60aに凸部や異物30が存在しても、凸部や異物30により可動板部1bの移動が阻害されないので、可動板部1bと流雪溝60の底面60aとの間に隙間を設ける必要がなくなり、これにより、隙間を設けた場合に比べて、堰止め対象の流雪溝60の流水の流出量を低減することができ、開放対象の流雪溝60へ融雪作業に支障を来さない十分な流量の流水を通水させることができるものとなる。
【0070】
しかも、本実施例は、前記変形部4が上下移動自在に設けられているから、高さ方向の寸法を流雪溝60の深さに応じて自在に調整でき、これにより、深さの異なる多様な流雪溝60に設置可能なものとなる。
【0071】
また、本実施例は、可動板部1bに開口部5が設けられているから、流雪溝60を流れる流水量が増加し、可動板部1bにかかる負荷(抵抗)が大きくなった場合、この開口部5がオーバーフロー口になり、流水が抜けることで可動板部1bが移動する際の流水から受ける抵抗が低減され、可動板部1bの切り替え動作がスムーズに行われるものとなる。
【0072】
また、本実施例は、可動板部1bに雪切り板6が設けられているから、雪切り板6により分岐点61を通過する際に雪の塊に切り込みを入れ、塊を崩れやすくしているので、雪の塊による詰まりの発生を可及的に防止することができるものとなる。
【0073】
また、本実施例は、可動板部1bが所定位置まで正常に回動動作したか否かを判断する制御板動作判断機能を備えるから、制御板動作判断機能が動作異常を検知した場合、自動的に可動板部1bが繰り返し回動動作(開閉動作)するので、動作異常原因が雪はさみであった場合、この回動動作により自動的に異常が解消されるものとなる。
【0074】
なお、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0075】
1 制御板
2 鉛直軸
3 駆動装置
4 変形部
30 異物
60 流雪溝
60a (流雪溝の)底面
61 分岐点
【要約】
【課題】流雪溝の底面に存する凸部や異物に影響されることなく制御板がスムーズに動作する水流方向切替装置を提供することを目的とする。
【解決手段】作動することで前記流水の流れ方向を制御する制御板1を備え、この制御板1は、垂直板に構成されて鉛直軸2に支持され、駆動装置3の作動により回動し前記分岐点61における所定の流雪溝60の流入口を閉塞するように構成され、さらに、前記制御板1の下部には、この制御板1の下縁に沿って変形部4が下方に突設され、この変形部4は、前記流雪溝60の底面60a上に存する凸部や異物30と接触した場合、変形若しくは退避移動して前記凸部や前記異物30を回避通過若しくは乗り越え通過可能な柔軟性を有するものである水流方向切替装置。
【選択図】
図1