(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/52 20060101AFI20240514BHJP
【FI】
H01R13/52 301K
(21)【出願番号】P 2021202381
(22)【出願日】2021-12-14
【審査請求日】2023-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】増田 悟己
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 義直
【審査官】長清 吉範
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-91650(JP,A)
【文献】特開2016-219381(JP,A)
【文献】特開2013-131474(JP,A)
【文献】特開2020-149766(JP,A)
【文献】特開2018-60730(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102014103436(DE,A1)
【文献】中国実用新案第202633595(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子と、
前記端子を保持しており、かつ機器の筐体に固定されるハウジングと、
前記ハウジングと係合しており、かつ前記筐体の開口部に嵌合する筒状のホルダと、
前記ホルダの外周面に装着され、かつ前記ホルダによって保持されており、前記ホルダと前記開口部との間をシールする環状のパッキンと、
を備え、
前記ホルダは、前記ハウジングと前記ホルダとの間にガタを有するように前記ハウジングと係合
し、
前記パッキンは、前記ホルダと前記開口部との間をシールする環状の本体と、前記本体から突出した第一の突出片と、隆起部と、を有し、
前記第一の突出片は、前記ホルダが前記開口部に対して挿入される挿入方向の前側に向けて突出しており、かつ周方向に沿った平板形状を有し、
前記ホルダは、前記第一の突出片を収容し、かつ周方向において前記第一の突出片を係止する第一係止部を有し、
前記第一の突出片および前記第一係止部が周方向に沿って複数配置されており、
前記隆起部は、前記第一の突出片から半径方向の外側に向けて隆起し、かつ前記本体から前記挿入方向の前側に向けて延在しており、
前記挿入方向から見た場合の前記隆起部の形状は、台形であり、
前記ホルダは、前記隆起部を周方向の両側から係止する第二係止部を有する
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
更に、環状の面シールを備え、
前記ハウジングは、前記筐体の壁面と対向する対向壁を有し、前記対向壁は、前記パッキンよりも外側に位置しており、
前記面シールは、前記対向壁によって保持されており、前記対向壁と前記筐体の壁面との間をシールする
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記パッキンは、前記挿入方向の後側に向けて突出しており、かつ周方向に延在する第二の突出片を有し、
前記ホルダは、前記第二の突出片が挿入される貫通孔を有し、前記貫通孔は、半径方向の外側から前記第二の突出片を係止する
請求項
1または2に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パッキンを有するコネクタがある。特許文献1には、ハウジングと筐体における開口の周縁との間の隙間を封止させる防液部材を備えたコネクタが開示されている。特許文献1の防液部材は、ハウジングのフランジとフロントホルダとの間に挟み込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パッキンがハウジングおよびフロントホルダの二部品と接触している場合、二部品の間のガタによりパッキンを保持する保持機能が不十分となることがある。その結果、パッキンが回転してしまい、止水性能の低下を招くことがある。
【0005】
本発明の目的は、パッキンによる止水性能を向上できるコネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のコネクタは、端子と、前記端子を保持しており、かつ機器の筐体に固定されるハウジングと、前記ハウジングと係合しており、かつ前記筐体の開口部に嵌合する筒状のホルダと、前記ホルダの外周面に装着され、かつ前記ホルダによって保持されており、前記ホルダと前記開口部との間をシールする環状のパッキンと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るコネクタにおいて、パッキンはホルダの外周面に装着され、かつホルダによって保持される。よって、パッキンが二部品によって保持される構成と比較して、パッキンによる止水性能が低下しにくい。本発明に係るコネクタによれば、パッキンによる止水性能を向上できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係るコネクタの斜視図である。
【
図2】
図2は、機器の筐体に固定されたコネクタを示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るコネクタの分解斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るハウジングの斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るホルダの斜視図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係るホルダの斜視図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係るパッキンの斜視図である。
【
図8】
図8は、ホルダに装着されたパッキンの平面図である。
【
図9】
図9は、実施形態のホルダおよびパッキンの断面図である。
【
図10】
図10は、実施形態のホルダおよびパッキンの断面図である。
【
図11】
図11は、ハウジングに対するホルダの取り付け工程を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態に係るコネクタにつき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
[実施形態]
図1から
図11を参照して、実施形態について説明する。本実施形態は、コネクタに関する。
図1は、実施形態に係るコネクタの斜視図、
図2は、機器の筐体に固定されたコネクタを示す図、
図3は、実施形態に係るコネクタの分解斜視図、
図4は、実施形態に係るハウジングの斜視図、
図5および
図6は、実施形態に係るホルダの斜視図、
図7は、実施形態に係るパッキンの斜視図、
図8は、ホルダに装着されたパッキンの平面図、
図9および
図10は、実施形態のホルダおよびパッキンの断面図、
図11は、ハウジングに対するホルダの取り付け工程を示す斜視図である。
図9には、
図8のIX-IX断面が示されている。
図10には、
図8のX-X断面が示されている。
【0011】
図1から
図3に示すように、本実施形態のコネクタ1は、ハウジング2、端子3、ホルダ4、パッキン5、面シール6、およびリアホルダ7を有する。ホルダ4は、ハウジング2における軸方向Xの端部に係合している。
図2に示すように、コネクタ1は、機器100の筐体110に対して締結部材26によって固定される。機器100は、例えば、自動車等の車両に搭載される。コネクタ1のホルダ4は、コネクタ1の軸方向Xに沿って筐体110の開口部120に対して挿入され、開口部120と嵌合する。以下の説明では、ホルダ4が開口部120に挿入される挿入方向の前側を「前側X1」と称し、前側X1とは反対側を「後側X2」と称する。ホルダ4は、ハウジング2に対して前側X1に位置するフロントホルダである。
【0012】
端子3は、ホルダ4から前側X1に向けて突出している。端子3は、筐体110の内部において相手方の端子130と接続される。端子3と接続された電線30は、ハウジング2における後側X2の端部から外部に引き出される。電線30は、図示しない導電性の編組によって覆われている。編組は、ハウジング2に配置された導電部材を介して筐体110に接地される。つまり、本実施形態のコネクタ1は、シールド機能を有するシールドコネクタである。電線30の外周面とハウジング2との間は、
図3に示すシール部材31によってシールされる。リアホルダ7は、ハウジング2における後側X2の端部に係合してシール部材31を支持する。
【0013】
パッキン5は、環状の部材であり、ホルダ4の外周面に装着されている。
図2に示すように、パッキン5は、ホルダ4と開口部120との間をシールする。本実施形態のコネクタ1では、パッキン5がホルダ4に装着され、ホルダ4によって保持されている。これにより、後述するように、パッキン5の止水性能が向上する。
【0014】
以下の説明では、ハウジング2の幅方向を「幅方向Y」と称する。幅方向Yは、軸方向Xと直交している。軸方向Xおよび幅方向Yの何れとも直交する方向を「高さ方向Z」と称する。ハウジング2は、二本の端子3を幅方向Yに並べて保持する。
【0015】
図4に示すように、ハウジング2は、端子保持部21、筒部22、および板状部23を有する。ハウジング2は、機器100の筐体110に対して固定可能なように構成されている。ハウジング2は、例えば、絶縁性の合成樹脂で成型される。端子保持部21は、端子3を保持する部分であり、円筒形状を有する。端子保持部21は、軸方向Xに延在している。ハウジング2は、幅方向Yに並ぶ二つの端子保持部21を有する。端子保持部21の内部には、端子3を係止する係止突起21sが設けられている。
【0016】
筒部22は、電線30が挿通される部分であり、円筒形状を有する。筒部22は、端子保持部21における後側X2の端部とつながっており、軸方向Xに延在している。端子保持部21の内部空間および筒部22の内部空間は、互いに連通している。ハウジング2は、幅方向Yに並ぶ二つの筒部22を有する。筒部22の後端には、リアホルダ7を係止する係止突起22sが設けられている。
【0017】
板状部23は、端子保持部21と筒部22との接続部に位置している。板状部23は、軸方向Xと直交する平板状に形成されている。つまり、端子保持部21は、板状部23から前側X1に向けて突出しており、筒部22は、板状部23から後側X2に向けて突出している。
【0018】
板状部23は、筐体110と対向する対向壁23wを有する。対向壁23wは、二つの端子保持部21を囲んでいる。軸方向Xから見た場合の対向壁23wの形状は、矩形である。
図1から分かるように、対向壁23wは、軸方向Xから見た場合にパッキン5の外側に位置している。
図4に示すように、対向壁23wは、環状の溝23aを有する。溝23aは、環状の面シール6を保持する。面シール6は、対向壁23wと、筐体110の壁面111(
図2参照)との間をシールする。
図4に示すように、溝23aは、対向壁23wにおける前側X1の面に形成されている。溝23aは、対向壁23wの外縁部に位置しており、二つの端子保持部21を取り囲んでいる。
【0019】
ハウジング2は、二つの係合片24を有する。係合片24は、対向壁23wから前側X1に向けて軸方向Xに沿って突出している。係合片24は、対向壁23wにおける幅方向の中央に位置している。二つの係合片24は、二つの端子保持部21を挟んで高さ方向Zにおいて対向している。係合片24は、係合孔24aを有する。
【0020】
ハウジング2は、筐体110に固定される二つの固定部25を有する。固定部25は、対向壁23wから外側に向けて突出している。固定部25は、対向壁23wの角部から突出している。二つの固定部25は、対向壁23wの対角線上に配置されている。固定部25は、円筒形状のカラー25aを有している。
図2に示す締結部材26は、ボルトであって、カラー25aに挿入される。締結部材26は、相手方のねじ穴と螺合することによりハウジング2を筐体110に対して固定する。
【0021】
ホルダ4は、例えば、絶縁性の合成樹脂によって成型される。
図5および
図6に示すように、ホルダ4は、有底の筒状に形成されている。ホルダ4の形状は、筐体110の開口部120に嵌合可能な形状である。ホルダ4は、筒部41および前壁42を有する。筒部41は、軸方向Xに沿って延在する筒形状を有する。軸方向Xから見た場合の筒部41の形状は、略長円形状である。
【0022】
図6に示すように、ホルダ4は、幅方向Yに並ぶ二つの凹部40を有する。凹部40の形状は、ハウジング2の端子保持部21の形状に対応する円柱形状である。筒部41は、二つの凹部40を包含するように形成されている。より詳しくは、筒部41は、二つの円弧部41aおよび二つの側壁部41bを有する。円弧部41aの断面形状は、半円形状である。二つの円弧部41aは、幅方向Yにおいて互いに対向している。側壁部41bは、平板状に形成されており、二つの円弧部41aを幅方向Yに沿ってつないでいる。二つの側壁部41bは、高さ方向Zにおいて互いに対向している。
【0023】
前壁42は、筒部41における前側X1の端部を閉塞している。前壁42には、端子3が挿入される二つの貫通孔42aが設けられている。
図6に示すように、側壁部41bは、係止突起41cを有する。係止突起41cは、側壁部41bの内側面から高さ方向Zに向けて突出している。二つの側壁部41bは、それぞれ一つの係止突起41cを有する。係止突起41cは、ハウジング2の係合片24と係合する。
【0024】
ホルダ4は、更に、パッキン5を保持する第一保持壁43および第二保持壁44を有する。第一保持壁43は、筒部41における前側X1の端部に位置している。第一保持壁43は、筒部41に対して半径方向の外側に位置しており、かつ環状に形成されている。言い換えると、第一保持壁43は、筒部41から半径方向の外側に向けて隆起している。なお、半径方向は、ホルダ4の中心軸線を中心とし、この中心軸線と直交する半径方向である。第一保持壁43は、軸方向Xの前側X1からパッキン5を保持する。
【0025】
第二保持壁44は、筒部41における後側X2の端部に位置している。第二保持壁44は、フランジ状に形成されており、筒部41から半径方向の外側に向けて突出している。第二保持壁44は、軸方向Xにおいて第一保持壁43と対向している。第二保持壁44は、軸方向Xの後側X2からパッキン5を保持する。筒部41、第一保持壁43、および第二保持壁44によって、パッキン5を収容する溝が形成されている。
【0026】
図6に示すように、第一保持壁43は、複数の第一係止部45および複数の第二係止部46を有する。第一係止部45は、軸方向Xに沿って前側X1に向けて凹んだ凹部である。例示された第一係止部45は、軸方向Xに沿って第一保持壁43を貫通している。第一係止部45は、第二保持壁44に向けて開口する開口部を有する。軸方向Xから見た場合の第一係止部45の形状は、扁平な矩形である。より詳しくは、第一係止部45は、筒部41の周方向に沿った細長い形状を有している。複数の第一係止部45は、周方向に沿って配置されている。円弧部41aおよび側壁部41bのそれぞれに複数の第一係止部45が配置されている。
【0027】
第二係止部46は、第一保持壁43に形成された切り欠きである。第二係止部46は、第一保持壁43における後側X2の縁部に設けられている。第二係止部46は、第一係止部45を構成する壁部に配置されている。一つの第一係止部45に対して一つの第二係止部46が設けられている。平面視における第二係止部46の形状は、矩形である。
【0028】
第二保持壁44は、貫通孔47および切り欠き48を有する。貫通孔47は、第二保持壁44を軸方向Xに沿って貫通している。貫通孔47の形状は、幅方向Yに沿った細長い矩形である。本実施形態の第二保持壁44は、二つの貫通孔47を有する。一つの貫通孔47は、一つの側壁部41bに対応して配置され、他の一つの貫通孔47は、他の一つの側壁部41bに対応して配置されている。切り欠き48は、第二保持壁44における幅方向Yの端部に配置されている。平面視における切り欠き48の形状は、矩形である。
【0029】
図7に示すように、パッキン5は、環形状を有する。パッキン5の形状は、ホルダ4と筐体110の開口部120との間をシール可能な形状である。パッキン5は、ゴム等の合成樹脂で成型される。例示されたパッキン5は、環状の本体50と、第一の突出片51と、第二の突出片52と、第三の突出片53と、隆起部54と、を有する。本体50は、ホルダ4と開口部120との間をシールする部分であり、筒部41に装着される。
【0030】
本体50の形状は、筒部41の形状に対応する長円形状である。より詳しくは、本体50は、二つの円弧部50aおよび二つの直線部50bを有する。軸方向Xから見た場合の円弧部50aの形状は、半円形状である。二つの円弧部50aは、幅方向Yにおいて互いに対向している。直線部50bは、二つの円弧部50aを幅方向Yに沿ってつないでいる。二つの直線部50bは、高さ方向Zにおいて互いに対向している。本体50の内周面および外周面には、それぞれ環状のリップが形成されている。
【0031】
第一の突出片51は、本体50から軸方向Xの前側X1に向けて突出している。第一の突出片51形状は、周方向に沿った細長い平板形状である。平面視における第一の突出片51の形状は、矩形である。本実施形態のパッキン5は、周方向に沿って配置された複数の第一の突出片51を有する。円弧部50aおよび直線部50bのそれぞれから複数の第一の突出片51が突出している。
【0032】
隆起部54は、第一の突出片51から半径方向の外側に向けて隆起している。例示されたパッキン5は、一つの第一の突出片51に対して一つの隆起部54を有する。隆起部54は、軸方向Xに沿って延在しており、一端が本体50につながっている。つまり、隆起部54は、本体50から前側X1に向けて延在している。隆起部54は、第一の突出片51の前端まで形成されている。軸方向Xから見た場合の隆起部54の形状は、台形である。
【0033】
第二の突出片52は、本体50から軸方向Xの後側X2に向けて突出している。第二の突出片52の形状は、周方向に沿った細長い平板形状である。例示された第二の突出片52は、幅方向Yに延在している。平面視における第二の突出片52の形状は、矩形である。本実施形態のパッキン5は、二つの第二の突出片52を有する。一つの第二の突出片52は、一つの直線部50bから突出している。他の一つの第二の突出片52は、他の一つの直線部50bから突出している。
【0034】
第三の突出片53は、本体50から軸方向Xの後側X2に向けて突出している。第三の突出片53の形状は、高さ方向Zに沿った細長い平板形状である。平面視における第三の突出片53の形状は、矩形である。第三の突出片53は、円弧部50aから突出している。
【0035】
図8に示すように、パッキン5は、ホルダ4の外周面に装着される。パッキン5は、本体50によってホルダ4の筒部41を覆うようにしてホルダ4に取り付けられる。パッキン5の第一の突出片51は、ホルダ4の第一係止部45に挿入される。より詳しくは、第一の突出片51は、第一係止部45に対して軸方向Xに沿って挿入される。このときに、隆起部54は、軸方向Xに沿って第二係止部46に挿入される。パッキン5の第二の突出片52(
図7参照)は、ホルダ4の貫通孔47(
図6参照)に挿入される。また、第三の突出片53(
図7参照)は、切り欠き48(
図6参照)に挿入される。
【0036】
図9に示すように、パッキン5の第一の突出片51は、ホルダ4の第一係止部45によって係止される。第一係止部45は、第一の突出片51を収容し、周方向において第一の突出片51を係止する。第一係止部45は、周方向の両側から第一の突出片51を係止するように構成されている。本実施形態のホルダ4は、複数の第一の突出片51を周方向の両側から係止することにより、パッキン5の回り止めを効果的に行なうことができる。
【0037】
また、第一係止部45は、第一の突出片51の厚さ方向において第一の突出片51と対向している。従って、第一係止部45は、半径方向の外側から第一の突出片51を係止することができる。本実施形態のホルダ4は、複数の第一の突出片51を半径方向の外側から係止することにより、パッキン5の浮き上がりを効果的に抑制することができる。
【0038】
パッキン5の隆起部54は、第二係止部46によって周方向の両側から係止される。本実施形態のホルダ4は、複数の隆起部54を周方向の両側から係止することにより、パッキン5の回り止めを効果的に行なうことができる。隆起部54は、本体50とつながっている。よって、隆起部54が係止されることで、本体50の回り止めが効果的になされる。
【0039】
また、複数ある第二係止部46の一部は、テーパ形状を有している。例示されたホルダ4では、幅方向Yに沿う辺に配置された第二係止部46がテーパ形状を有している。テーパ形状を有する第二係止部46の幅Wd1は、半径方向の外側へ向かうに従って狭くなる。テーパ形状の第二係止部46は、半径方向の外側へ向けての隆起部54の移動を規制することができる。よって、本実施形態のホルダ4は、長辺部におけるパッキン5の浮き上がりを効果的に抑制することができる。
【0040】
図10に示すように、隆起部54は、軸方向Xの前側X1から第二係止部46によって支持される。第二係止部46は、後側X2を向く係止面46aを有する。隆起部54の先端面54aは、係止面46aに当接し、係止面46aによって係止される。パッキン5の第二の突出片52は、ホルダ4の貫通孔47に挿入され、貫通孔47によって係止される。
図10に示すように、貫通孔47は、半径方向の外側から第二の突出片52を係止する。また、貫通孔47は、周方向の両側から第二の突出片52を係止する。
【0041】
図10に示すように、第二保持壁44は、本体50の側面50cを支持する。つまり、ホルダ4は、係止面46aおよび第二保持壁44によって軸方向Xの両側からパッキン5を挟み込む。よって、本実施形態のホルダ4は、パッキン5の回転を効果的に抑制することができる。
【0042】
図11に示すように、パッキン5が装着されたホルダ4は、ハウジング2と係合される。端子3は、端子保持部21から前側X1に向けて突出している。端子3は、ホルダ4の貫通孔42aに挿入され、貫通孔42aから前側X1に向けて突出する。ホルダ4は、ハウジング2の係合片24と係合し、ハウジング2によって保持される。
【0043】
本実施形態のコネクタ1は、組み付け時におけるパッキン5と端子3との接触を抑制することができる。比較例として、環状のパッキンがハウジングに対して装着されるコネクタについて検討する。比較例のコネクタでは、ハウジングに対して前側X1からパッキンが取り付けられる際に、パッキンが端子と接触してしまう可能性がある。その結果、端子のエッジがパッキンを傷つけたり、パッキンの油分が端子に付着してしまったりすることがある。これに対して、本実施形態のコネクタ1では、ホルダ4がパッキン5を保護してパッキン5と端子3との接触を規制することができる。
【0044】
本実施形態のコネクタ1は、パッキン5の回転を抑制することができる。
図2に示すように、コネクタ1が筐体110に取り付けられるときに、ホルダ4およびパッキン5は開口部120に対して挿入される。パッキン5が開口部120と摺動するときに、パッキン5に対して周方向の力が作用することがある。本実施形態のコネクタ1は、以下に説明するように、パッキン5の回転を抑制することができる。
【0045】
まず、比較例として、ハウジングのフード部分にパッキンが装着され、かつフロントホルダによってパッキンを保持するコネクタについて検討する。このようなコネクタでは、例えば、フロントホルダにパッキンに対する回転止めの構造が設けられる。ここで、ハウジングとホルダとの間には、ガタが存在している。このガタによって、フロントホルダによる回転防止機能が不十分となり、パッキンが回転してしまうことがある。
【0046】
これに対して、本実施形態のコネクタ1では、パッキン5がホルダ4に装着され、かつホルダ4によって保持されている。これにより、ホルダ4が安定してパッキン5の回転止めを行なうことができる。よって、本実施形態のコネクタ1は、パッキン5による止水性能を向上させることができる。
【0047】
また、本実施形態のコネクタ1では、ホルダ4とハウジング2との間のガタによってパッキン5が調芯される。例えば、筐体110に対するハウジング2の取り付け位置がずれた場合であっても、ホルダ4とハウジング2との間のガタによってそのずれが吸収される。よって、開口部120に対してパッキン5が挿入されるときに、パッキン5の一部分に力が集中しにくい。従って、パッキン5の回転が発生しにくい。また、開口部120に対してホルダ4が嵌合した後に、開口部120に対するパッキン5の密着度合いが一様となりやすい。よって、本実施形態のコネクタ1は、パッキン5による止水性能を向上させることができる。
【0048】
以上説明したように、本実施形態のコネクタ1は、端子3と、ハウジング2と、筒状のホルダ4と、パッキン5と、を有する。ハウジング2は、端子3を保持しており、かつ機器100の筐体110に固定される。ホルダ4は、ハウジング2と係合しており、かつ筐体110の開口部120に嵌合する。パッキン5は、ホルダ4の外周面に装着され、かつホルダ4によって保持される。パッキン5は、ホルダ4と開口部120との間をシールする。本実施形態のコネクタ1では、パッキン5がホルダ4に装着され、かつホルダ4によって保持される。よって、本実施形態のコネクタ1は、パッキン5の回転を抑制し、パッキン5による止水性能を向上させることができる。
【0049】
本実施形態のコネクタ1は、更に、環状の面シール6を有する。ハウジング2は、筐体110の壁面111と対向する対向壁23wを有する。対向壁23wは、パッキン5よりも外側に位置している。面シール6は、対向壁23wによって保持されており、対向壁23wと筐体110の壁面111との間をシールする。面シール6は、水等の異物の侵入を規制することができる。
【0050】
本実施形態のパッキン5は、ホルダ4と開口部120との間をシールする環状の本体50と、本体50から突出した第一の突出片51と、を有する。第一の突出片51は、ホルダ4が開口部120に対して挿入される挿入方向の前側X1に向けて突出している。ホルダ4は、第一係止部45を有する。第一係止部45は、第一の突出片51を収容し、かつ周方向において第一の突出片51を係止する。第一の突出片51および第一係止部45は、周方向に沿って複数配置されている。本実施形態のコネクタ1は、このような構成により、パッキン5の回転を規制して止水性能を向上させることができる。
【0051】
本実施形態のパッキン5は、第一の突出片51から半径方向の外側に向けて隆起した隆起部54を有する。隆起部54は、本体50から挿入方向の前側X1に向けて延在している。ホルダ4は、隆起部54を周方向の両側から係止する第二係止部46を有する。本実施形態のコネクタ1は、このような構成により、パッキン5の回転を規制して止水性能を向上させることができる。
【0052】
本実施形態のパッキン5は、第二の突出片52を有する。第二の突出片52は、挿入方向の後側X2に向けて突出しており、かつ周方向に延在している。ホルダ4は、第二の突出片52が挿入される貫通孔47を有する。貫通孔47は、半径方向の外側から第二の突出片52を係止する。本実施形態のコネクタ1は、このような構成により、パッキン5の回転を規制して止水性能を向上させることができる。貫通孔47は、例えば、パッキン5が開口部120に挿入される際のパッキン5の浮き上がりを規制することができる。
【0053】
なお、ハウジング2の形状およびパッキン5の形状は、例示された形状には限定されない。端子3は、ハウジング2から突出していなくてもよい。例えば、端子3の全体がハウジング2に収容されていてもよい。ハウジング2が保持する端子3の本数は、二本には限定されない。コネクタ1は、シールドコネクタでなくてもよい。
【0054】
上記の実施形態に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 コネクタ
2:ハウジング、 3:端子、 4:ホルダ、 5:パッキン、 6:面シール
7:リアホルダ
21:端子保持部、 21s:係止突起、 22:筒部、 22s:係止突起
23:板状部、 23a:溝、 23w:対向壁、 24:係合片、 24a:係合孔
25:固定部、 25a:カラー、 26:締結部材
30:電線、 31:シール部材
41:筒部、 41a:円弧部、 41b:側壁部、 41c:係止突起
42:前壁、 42a:貫通孔
43:第一保持壁、 44:第二保持壁
45:第一係止部、 46:第二係止部、 47:貫通孔、 48:切り欠き
50:本体、 50a:円弧部、 50b:直線部、 50c:側面
51:第一の突出片、 52:第二の突出片、 53:第三の突出片
54:隆起部
100:機器、 110:筐体、 111:壁面、 120:開口部
130:相手方の端子
X:軸方向、 X1:前側、 X2:後側、 Y:幅方向、 Z:高さ方向