(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】分析物センサシステム及びモニタリングデバイスまたは前記モニタリングデバイスに動作可能に連結されたデバイスもしくはサーバから構成されるシステムの作動方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/1495 20060101AFI20240514BHJP
A61B 5/145 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
A61B5/1495
A61B5/145
(21)【出願番号】P 2018505448
(86)(22)【出願日】2016-09-08
(86)【国際出願番号】 US2016050814
(87)【国際公開番号】W WO2017044654
(87)【国際公開日】2017-03-16
【審査請求日】2019-09-06
【審判番号】
【審判請求日】2022-10-13
(32)【優先日】2015-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504016422
【氏名又は名称】デックスコム・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アルトゥロ・ガルシア
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・シー・シンプソン
(72)【発明者】
【氏名】アプルヴ・ユラス・カマス
(72)【発明者】
【氏名】ナレシュ・シー・バヴァラジュ
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン・ジェイ・ヴァンスライク
【合議体】
【審判長】加々美 一恵
【審判官】渡▲辺▼ 純也
【審判官】石井 哲
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-505534(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0066736(US,A1)
【文献】特表2003-520091(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B5/06-5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析物濃度センサからの信号を使用して、生物系内の前記分析物濃度センサを校正する、
分析物センサシステム及びモニタリングデバイスまたは前記モニタリングデバイスに動作可能に連結されたデバイスもしくはサーバ
から構成されるシステムの作動方法であって、第1の繰り返し性事象において、前記生物系内の分析物濃度値は既知であり、前記方法は、
a.モニタリングデバイスまたは前記モニタリングデバイスに動作可能に連結されたデバイスもしくはサーバが、生物系内に留置されている分析物濃度センサによって測定される分析物濃度値が第1の繰り返し性事象を構成するときを検出することと、
b.前記モニタリングデバイスまたは前記モニタリングデバイスに動作可能に連結されたデバイスもしくはサーバが、前記生物系が前記検出された第1の繰り返し性事象における定常状態の前記分析物濃度値の測定値を、前記既知の分析物濃度値と相互に関連付けることと、
c.前記第1の繰り返し性事象における定常状態の前記分析物濃度値の測定値と前記既知の分析物濃度値との間の前記相互関連付けに基づいて、前記モニタリングデバイスまたは前記モニタリングデバイスに動作可能に連結されたデバイスもしくはサーバによって、前記分析物濃度センサを校正することと、を含み、
前記相互関連付けは、前記分析物濃度値の測定値と前記既知の分析物濃度値との間の関数関係を決定することを含む、方法。
【請求項2】
前記関数関係は、乗法定数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記検出は、前記モニタリングデバイスへの事象の入力に続いて所定時間待機することを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記事象は、食事または運動である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
a.前記相互関連付けに続いて、前記第1の繰り返し性事象とは異なる第2の繰り返し性事象の発生を検出することと、
b.前記生物系が前記検出された第2の繰り返し性事象における定常状態のセンサ読み取り値を前記既知の分析物濃度値と相互に関連付けることによって、前記分析物濃度センサを再校正することと、をさらに含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記センサ読み取り値は、初期校正における第1の未加工の値及び再校正における第2の未加工の値を有し、前記第1及び第2の未加工の値は異なる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記再校正は、センサ読み取り値が実質的に安定しているか、または閾値期間にわたって読み取り値の所定の範囲内にあるときに生じるように構成され、それにより、読み取り値の予期しない急上昇の発生が低減される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
a.前記相互関連付けに続いて、少なくとも部分的に前記相互関連付けに基づき校正された前記分析物濃度の現在測定されている値及び履歴値を示すグラフまたは表を表示することと、
b.前記再校正に続いて、前記再校正に従って、前記分析物濃度の現在測定されている値及び履歴値を示す前記グラフまたは表の前記表示を更新することと、をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記更新は、前記分析物濃度の前記履歴値の前記表示を変化させる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
a.前記第1の未加工の値と前記第2の未加工の値との間の差を決定することと、
b.前記差に基づく数量を所定の基準と比較することと、前記比較に基づき前記センサ校正がドリフトしているかどうかを決定することと、をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記センサ校正がドリフトしている定量的な量を決定することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記決定された定量的な量に基づき、前記センサ校正を調節することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記数量は、前記第1の未加工の値と前記第2の未加工の値との間の勾配である、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記勾配が所定の閾値を超える場合、前記勾配がもはや所定の閾値を超えなくなるまで、今後の校正を禁止する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ユーザに測定値を入力するように促すことをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記センサは、グルコースセンサである、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
a.前記相互関連付けに続いて、前記センサからの信号を受信することと、
b.前記受信信号及び前記既知の分析物濃度値に基づいて、前記受信信号に対応する値を表示することと、をさらに含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
ユーザに測定値を入力するように促すことによって、前記既知の分析物濃度値を決定するステップをさらに含む、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
母集団平均にアクセスすることによって、前記既知の分析物濃度値を決定するステップをさらに含む、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記第1または第2の繰り返し性事象は、分析物濃度値の定常状態及び食後の上昇からなる群から選択される、請求項5または請求項5を引用する請求項6から19のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連続分析物センサからのセンサデータを処理するための、かつセンサの校正のためのシステム及び方法。
【背景技術】
【0002】
真性糖尿病は、膵臓が十分なインスリンを作ることができない(I型もしくはインスリン依存性)、かつ/またはインスリンが有効ではない(2型もしくは非インスリン依存性)疾患である。糖尿病の状態において、被害者は高血糖に悩まされ、それは、小血管の悪化と関連した多くの生理学的な障害、例えば、腎不全、皮膚潰瘍、または眼球の硝子体液への出血を引き起こす可能性がある。低血糖反応(Hypoglycemic reaction)(低血糖(low blood sugar))は、インスリンの不注意の過剰投与によって、または異常な運動もしくは不十分な食物摂取を伴うインスリンもしくはグルコース降下薬の正常な投与後に誘発され得る。
【0003】
従来、糖尿病を患うヒトは、自己監視血糖(SMBG)モニタを持ち運び、それは典型的には、不快な指穿刺法を必要とする。快適さ及び便利さに欠けるため、糖尿病を患うヒトは通常、1日当たり2~4回グルコースレベルを測定するのみである。残念ながら、そのような時間間隔はあまりに離れて分散されるため、糖尿病を患うヒトは、高血糖または低血糖状態を知るのが手遅れになる可能性があり、時に危険な副作用を招く。グルコースレベルは、あるいは、皮膚上センサアセンブリを含むセンサシステムによって連続的に監視され得る。センサシステムは、測定データを受信機に送信する無線送信機を有してもよく、受信機は、測定値に基づき情報を処理及び表示することができる。
【0004】
これまで、グルコース値を連続的に測定するための様々なグルコースセンサが開発されてきた。多くの埋め込み可能なグルコースセンサは、体内の合併症に悩まされ、血糖の短期間かつ正確とは言えない検知のみを提供する。同様に、経皮センサは、長期間にわたって連続的にグルコース値を正確に検知し、折り返し報告することにおいて問題に直面してきた。埋め込み可能なデバイスから血糖データを取得し、分析のために血糖傾向を遡及的に決定するための努力が注がれてきたが、これらの努力は、リアルタイムの血糖情報を決定することにおいて糖尿病患者を補助しない。また、予測データ分析のために経皮デバイスから血糖データを取得するための努力が注がれてきたが、同様の問題が生じている。
【0005】
持続血糖モニタ(CGM)において、センサが埋め込まれた後、それは校正され、その後それは、実質的に連続センサデータをセンサ電子機器に提供する。センサ電子機器は、センサデータを変換して、これにより、推定分析物値がユーザに連続的に提供され得る。本明細書で使用される場合、「実質的に連続的な」、「連続的に」などという用語は、時間を置いた間隔で行われる個々の測定のデータ流を指し、それは、1秒未満から最大で例えば1、2、または5分以上に及んでもよい。センサ電子機器がセンサデータを受信し続けるため、センサは、センサ感度及び/またはベースラインの考えられる変化(ドリフト)を説明するために時に再校正され得る。センサ感度は、所定の量の測定された分析物によって、センサにおいて生成される電流の量を指し得る。
【0006】
センサベースラインは、分析物が検出されないときにセンサによって出力される信号を指す。経時的に、感度及びベースラインは、細胞攻撃またはセンサへの細胞の遊走を含む様々な要因によって変化し、それらは、分析物がセンサに到達する能力に影響を及ぼし得る。
【0007】
この背景技術は、以下の発明の概要及び発明を実施するための形態のための簡潔な文脈を導入するために提供される。この背景技術は、特許請求の範囲に記載される主題の範囲を決定するのを補助するよう意図されることも、特許請求の範囲に記載される主題を上記の不利点または問題のうちのいずれかまたは全てを解決する実装に限定するものと見なされることもない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下の特許請求の範囲によって表される本実施形態の範囲を制限することなく、本原理に従ったシステム及び方法の顕著な特徴が、簡潔に考察される。本考察を考慮した後、特に「発明を実施するための形態」と題する節を読んだ後、本実施形態の特徴が本明細書に記載される利点をどのように提供するかを理解するであろう。
【0009】
第1の態様において、分析物濃度センサからの信号のみを使用して、生物系内の分析物濃度センサを校正する方法が提供され、繰り返し性事象の発生において、生物系内の分析物濃度値は既知であり、方法は、モニタリングデバイス上で、生物系内に留置されている分析物濃度センサによって測定される分析物濃度値が第1の繰り返し性事象を構成するときを検出することと、モニタリングデバイス上またはモニタリングデバイスに動作可能に連結されたデバイスもしくはサーバ上で、生物系が検出された第1の繰り返し性事象におけるときの分析物濃度値の測定値を、既知の分析物濃度値と相互に関連付けることと、を含む。
【0010】
実施形態及び態様の実装は、以下のうちの1つ以上を含み得る。相互関連付けは、センサ読み取り値と既知の分析物濃度値との間の関数関係を決定することを含んでもよい。関数関係は、乗法定数を含んでもよい。検出は、モニタリングデバイス上での食事または運動などの事象の入力に続いて、所定時間待機することを含んでもよい。方法は、相互関連付けに続いて、第2の繰り返し性事象の発生を検出することであって、第2の繰り返し性事象は、第1の繰り返し性事象とは異なる、検出することと、生物系が検出された第2の繰り返し性事象にあるときのセンサ読み取り値を既知の分析物濃度値に相互に関連付けることによって、分析物濃度センサを再校正することと、をさらに含んでもよい。センサ読み取り値は、初期校正における第1の未加工の値及び再校正における第2の未加工の値を有してもよく、第1及び第2の未加工の値は異なる。方法は、相互関連付けに続いて、少なくとも部分的に相互関連付けに基づき校正された分析物濃度の現在測定されている値及び履歴値を示すグラフまたは表を表示することと、再校正に続いて、再校正に従って、分析物濃度の現在測定されている値及び履歴値を示すグラフまたは表の表示を更新することと、をさらに含んでもよい。更新は、分析物濃度の履歴値の表示を変化させてもよい。方法は、第1の未加工の値と第2の未加工の値との間の差を決定することと、その差に基づく数量を所定の基準と比較することと、比較に基づき、センサ校正がドリフトしているかどうかを決定することと、をさらに含んでもよい。方法は、センサ校正がドリフトしている定量的な量を決定することをさらに含んでもよい。方法は、決定された定量的な量に基づき、センサ校正を調節することをさらに含んでもよい。数量は、第1の未加工の値と第2の未加工の値との間の勾配であってもよい。方法は、勾配が所定の閾値を超える場合、勾配がもはや所定の閾値を超えなくなるまで、定常状態に基づき今後の校正を禁止することをさらに含んでもよい。方法は、ユーザに測定値を入力するように促すことをさらに含んでもよい。センサは、グルコースセンサであってもよい。方法は、相互関連付けに続いて、センサからの信号を受信することと、受信信号に対応する値を表示することと、をさらに含んでもよく、表示された値は、受信信号及び既知の分析物濃度値に基づく。方法は、ユーザに測定値を入力するように促すことによって、既知の分析物濃度値を決定するステップをさらに含んでもよい。方法は、母集団平均にアクセスすることによって、既知の分析物濃度値を決定するステップをさらに含んでもよい。再校正は、センサ読み取り値が実質的に安定しているか、または閾値期間にわたって読み取り値の所定の範囲内にあるときに生じるように構成されてもよく、それにより、読み取り値の予期しない急上昇の発生が低減され、そのようなときにおけるそのような再校正は、記載される実施形態または態様のうちのいずれかにおいて引き起こされるか、または生じるように構成されてもよい。
【0011】
第2の態様において、分析物濃度センサからの信号のみを使用して、生物系内の分析物濃度センサのドリフトを補償する方法が提供され、留置分析物濃度センサを使用して、分析物の値を測定することと、第1の期間にわたる分析物の測定値の第1の遅い移動平均を決定することと、少なくとも部分的に第1の遅い移動平均に基づくセンサの校正を基準とすることと、第1の決定に続いて、第2の期間にわたる分析物の測定値の第2の遅い移動平均を決定することと、少なくとも部分的に第1の遅い移動平均と第2の遅い移動平均との間の差に基づき、センサの校正を調節することと、を含む。
【0012】
態様及び実施形態の実装は、以下のうちの1つ以上を含み得る。第1の期間の継続時間は、約12時間超または約24時間超であってもよい。第1の期間の継続時間は、第2の期間の継続時間と同じであってもよい。方法は、少なくとも部分的に第1の遅い移動平均に基づくセンサの校正を基準とすることに続いて、少なくとも部分的に第1の遅い移動平均に基づき校正された分析物濃度の少なくとも履歴値を示すグラフまたは表を表示することと、調節に続いて、調節された校正に従って、分析物濃度の少なくとも履歴値を示すグラフまたは表の表示を更新することと、をさらに含んでもよい。更新は、分析物濃度の履歴値の表示を変化させてもよい。表示されたグラフまたは表は、分析物濃度の現在測定されている値をさらに示してもよい。少なくとも部分的に第1の遅い移動平均に基づくセンサの校正を基準とすることは、校正を、母集団平均から、または前のセッションから受信されるシード値などのシード値に基づかせることをさらに含んでもよい。方法は、調節に続いて、少なくとも部分的に調節に基づき、シード値を変化させることをさらに含んでもよい。方法は、第1の遅い移動平均と第2の遅い移動平均との間の差に基づき記シード値を変化させることをさらに含んでもよい。
【0013】
第3の態様において、分析物濃度センサからの信号のみを使用して、生物系内の分析物濃度センサのドリフトを補償する方法が提供され、留置分析物濃度センサを使用して、分析物の値を測定することと、第1の期間にわたる分析物の測定値の第1の遅い移動平均を決定することと、センサの第1の見かけ感度を少なくとも部分的に第1の遅い移動平均に基づけることと、第1の決定に続いて、第2の期間にわたる分析物の測定値の第2の遅い移動平均を決定することと、少なくとも部分的に第2の遅い移動平均に基づくセンサの第2の見かけ感度を基準とすることと、第1の見かけ感度と第2の見かけ感度との間のセンサの見かけ感度の変化が所定の基準と一致するかを決定することと、見かけ感度の変化が所定の基準と一致する場合、第1の見かけ感度と第2の見かけ感度との間の差に基づき、センサの実際の感度を調節された値に調節することと、見かけ感度の変化が所定の基準と一致しない場合、ユーザにデータを入力するように促し、それにより、見かけ感度の変化が決定され得ること、を含む。
【0014】
態様及び実施形態の実装は、以下のうちの1つ以上を含み得る。決定は、見かけ感度の変化が感度ドリフトまたは遅い移動平均の変化によるものであるかを決定することを含んでもよい。見かけ感度の変化が遅い移動平均の変化によるものである場合、方法は、ユーザに変化に関連するデータを入力するように促すことをさらに含んでもよい。所定の基準は、センサに対する経時的な感度変化に関する既知の挙動を含んでもよい。感度変化に関する既知の挙動は、時間に対する許容可能な感度変化のエンベロープを構成してもよい。調節された値は、少なくとも部分的に第2の遅い移動平均に基づいてもよい。所定の基準は、生理学的に可能性のある分析物変化に関する既知の値をさらに含んでもよい。ユーザへの促しは、ユーザに校正値を入力するように促すことを含んでもよい。ユーザへの促しは、ユーザに食事または運動情報を入力するように促すことを含んでもよい。校正値またはユーザからの食事もしくは運動情報を受信すると、方法は、見かけ感度の変化が、感度ドリフトまたは遅い移動平均の変化によるものかを決定することをさらに含んでもよい。方法は、受信された校正値または食事もしくは運動情報に基づき、センサの実際の感度を調節することをさらに含んでもよい。
【0015】
第4の態様において、分析物濃度センサからの信号のみを使用して、生物系内の分析物濃度センサシステムの校正を点検する方法が提供され、初期校正後に、留置分析物濃度センサを使用して、経時的に分析物の値を測定すること、測定値及び初期校正に基づき、分析物濃度の臨床値を計算すること、初期校正を更新された校正に調節することであって、経時的な分析物の測定値またはそのサブセットのみに基づく、調節すること、測定値及び更新された校正に基づき、分析物濃度の臨床値を計算すること、を含む。
【0016】
態様及び実施形態の実装は、以下のうちの1つ以上を含み得る。初期校正は、母集団平均またはユーザによって入力されたデータに基づいてもよい。調節は、経時的な分析物の測定値の遅い移動平均に基づいてもよい。調節は、分析物の定常状態値に基づいてもよい。初期校正は、留置分析物濃度センサと関連したセッションの前に決定されるデータに基づいてもよい。データは、先験的に、ベンチ上で、またはインビトロで決定されてもよい。
【0017】
第5の態様において、分析物濃度センサからの信号を使用して、生物系内の分析物濃度センサを校正する方法が提供され、定常状態において、生物系内の分析物濃度値は既知であり、方法は、モニタリングデバイス上で、校正パラメータのシード値を受信することと、モニタリングデバイス上で、生物系内に留置されている分析物濃度センサによって測定される分析物濃度値が定常状態にあるときを検出することと、モニタリングデバイス上またはモニタリングデバイスに動作可能に連結されたデバイスもしくはサーバ上で、生物系が検出された定常状態におけるときの分析物濃度値の測定値を、既知の分析物濃度値と相互に関連付けることと、相互関連付けに続いて、センサからの信号を受信することと、受信信号に対応する値を計算及び表示することであって、計算された値は、受信信号、既知の分析物濃度値、及びシード値に基づく、計算及び表示することと、を含む。
【0018】
態様及び実施形態の実装は、以下のうちの1つ以上を含み得る。受信されたシード値は、工場校正情報を含むソースから受信されてもよい。方法は、所定のパラメータ以外の受信信号における挙動を検出することと、ユーザに外部校正情報を入力するように促すことをさらに含んでもよい。表示された値は、外部校正情報にさらに基づいてもよい。外部校正情報は、SMBGまたはフィンガースティック校正から受信されてもよい。方法は、既知の校正値を新しい既知の校正値にリセットすることをさらに含んでもよく、リセットは、少なくとも部分的に外部校正情報に基づく。方法は、シード値を新しいシード値にリセットすることをさらに含んでもよく、リセットは、少なくとも部分的に外部校正情報に基づく。方法は、値の決定された精度に基づき、表示を変更することをさらに含んでもよい。表示の変更は、値よりもむしろ範囲を表示することを含んでもよく、または逆もまた同様である。校正パラメータの受信されたシード値は、ユーザが入力した病状の特徴であってもよい。ユーザが入力した病状の特徴は、I型糖尿病、II型糖尿病、非糖尿病、または前糖尿病の表示を含んでもよい。校正パラメータの受信されたシード値は、1つ以上のユーザが入力した血糖値に基づく値であってもよい。受信信号に対応する値の表示は、分析物濃度の現在測定されている値及び履歴値を示すグラフまたは表を表示することを含んでもよく、校正の変化が生じていることを検出することと、校正の変化に従って、分析物濃度センサの1つ以上の校正パラメータを調節することと、調節に続いて、調節された校正パラメータに従って、分析物濃度の現在測定されている値及び履歴値を示すグラフまたは表の表示を更新することと、をさらに含む。校正の変化が生じていることを検出することは、遅い移動平均の変化を検出すること、または定常状態値の変化を検出することを含んでもよい。
【0019】
第6の態様において、分析物濃度センサを校正する方法が提供され、患者へのセンサ挿入に続いて、センサ信号に基づくか、またはそれから導き出せるパラメータのみが用いられ、少なくとも分析物濃度の初期値及びセンサ感度の初期値または初期値分布を受信することと、分析物濃度センサの挿入に続いて、ある継続時間にわたってセンサからの信号を監視することと、継続時間にわたって、監視されたセンサ信号及びセンサ感度の初期値または値分布に基づき、複数の分析物濃度値を計算することと、継続時間にわたって、監視された信号の値分布を決定することと、センサ感度の初期値または値分布及び複数の分析物濃度値を、監視された信号の値分布に一致するように最適化することと、最適化に基づき、更新された感度を決定することと、を含む。
【0020】
態様及び実施形態の実装は、以下のうちの1つ以上を含み得る。受信は、センサ感度の初期値分布の受信であってもよく、複数の分析物濃度値の計算は、監視されたセンサ信号及びセンサ感度の初期値分布からの代表値に基づいてもよい。代表値は、平均または中点または中央値から選択されてもよい。更新された感度の決定は、代表値を分析物濃度の初期値で除算することと、感度の値を除算の結果に等しくなるように更新することと、をさらに含んでもよい。分析物母集団の初期値は、母集団平均であってもよく、ユーザによって入力されてもよく、または前のセッションから転送されてもよい。最適化は、センサ感度の初期値または値分布及び複数の分析物濃度値の積を最適化することを含んでもよい。積の最適化は、積を、監視された信号の値分布と一致するように最適化する一方で、センサ感度の値分布のパラメータ及び複数の分析物濃度値を対応する母集団平均と最も厳密に一致するように調節することを含んでもよい。受信は、ベースラインの初期値分布を受信することをさらに含んでもよく、最適化は、センサ感度の値分布及び複数の分析物濃度値と共に、ベースラインの値分布を、監視された信号の値分布と一致するように最適化することをさらに含んでもよい。ベースラインの初期値分布は、正規分布に従ってもよい。分析物濃度の少なくとも初期値は、遅い移動平均フィルタへのシード値入力の一部として使用されてもよい。センサ感度の初期値分布は、正規分布によって定義されてもよい。監視された信号の決定された値分布は、対数正規分布に従ってもよい。継続時間は、1日であってもよい。方法は、前の更新された感度及び受信された分析物濃度値に基づき、更新された感度を決定し続けることをさらに含んでもよい。方法は、監視された分析物濃度値の遅い移動平均を検出することをさらに含んでもよい。遅い移動平均の変化の絶対値が所定の単位時間にわたって所定の閾値よりも大きい場合、方法は、ユーザにデータを入力するように促すことを含んでもよい。遅い移動平均の変化の絶対値が所定の単位時間にわたって所定の閾値よりも大きい場合、方法は、変化がシステムエラーによるものか、またはセンサの実際の感度の変化によるものかを決定することを含んでもよい。変化がシステムエラーによるものか、またはセンサの実際の感度の変化によるものかの決定は、感度の後続の挙動が、感度曲線のエンベロープを含む既知の感度プロファイルと一致しているかを決定することを含んでもよい。遅い移動平均の変化の絶対値がセンサの実際の感度の変化によるものであると決定される場合、方法は、少なくとも部分的に遅い移動平均の変化の値に基づき、感度を更新することを含んでもよい。変化がシステムエラーによるものか、またはセンサの実際の感度の変化によるものかの決定は、分析物濃度値の後続の挙動が生理学的実現可能性の既知のエンベロープと一致しているかを決定することを含んでもよい。遅い移動平均の変化の絶対値がシステムエラーによるものであると決定される場合、方法は、ユーザにデータを入力するように促すことを含んでもよい。
【0021】
第7の態様において、分析物濃度センサからの信号を使用して、生物系内の分析物濃度センサを校正する方法が提供され、分析物濃度センサに関連する校正パラメータのシード値を受信または決定することと、シード値を使用して、分析物濃度センサの校正を少なくとも部分的に決定することと、分析物濃度センサを使用して、分析物濃度後を測定することと、少なくとも部分的にシード値を使用して校正された測定値を表示することと、を含む。
【0022】
態様及び実施形態の実装は、以下のうちの1つ以上を含み得る。受信または決定は、分析物濃度センサと動作可能に信号通信しているモニタリングデバイス上で実施されてもよい。表示は、モニタリングデバイス上、またはモニタリングデバイスと信号通信しているモバイルデバイス上で実施されてもよい。測定値の表示は、分析物濃度の少なくとも履歴値を示すグラフまたは表を表示することを含んでもよく、校正の変化が生じていることを検出することと、校正の検出された変化に従って、分析物濃度センサの1つ以上の校正パラメータを調節することと、調節に続いて、調節された校正パラメータに従って、分析物濃度の少なくとも履歴値を示すグラフまたは表の表示を更新することと、をさらに含んでもよい。更新は、分析物濃度の履歴値の表示を変化させてもよい。シード値は、少なくとも部分的にコードに基づいてもよい。コードは、ユーザによってモニタリングデバイスに入力されてもよい。モニタリングデバイスは、ユーザの実質的な関与なしでコードを受信するように構成されてもよい。シード値は、少なくとも部分的にインピーダンス測定に基づいてもよい。シード値は、少なくとも部分的にセンサの製造ロットと関連した情報に基づいてもよい。シード値は、少なくとも部分的に母集団平均に基づいてもよい。シード値は、少なくとも部分的にユーザの直前の分析物値に基づいてもよい。
【0023】
第8の態様において、分析物濃度センサからの信号のみを使用して、生物系内の留置分析物濃度センサのドリフトを校正及び補償する方法が提供され、定常状態において、生物系内の分析物濃度値は既知であり、方法は、モニタリングデバイス上で、生物系内に留置されている分析物濃度センサによって測定される分析物濃度値が定常状態にあるときを検出することと、モニタリングデバイス上またはモニタリングデバイスに動作可能に連結されたデバイスもしくはサーバ上で、生物系が検出された定常状態におけるときの分析物濃度値の測定値を、前記既知の分析物濃度値と相互に関連付けることと、第1の期間にわたる分析物の測定値の第1の遅い移動平均を決定することと、少なくとも部分的に第1の遅い移動平均及び既知の分析物濃度値に基づくセンサの校正を基準とすることと、第1の決定に続いて、第2の期間にわたる分析物の測定値の第2の遅い移動平均を決定することと、少なくとも部分的に第1の遅い移動平均と第2の遅い移動平均との間の差に基づき、センサの校正を調節することと、を含む。
【0024】
第9の態様において、多くのセンサの第1の部分を校正する方法が提供され、第2の部分は、使用に供されており、センサの第2の部分のうちのいくつかから校正データを受信することと、受信されたデータに基づき、第1の部分の1つ以上の校正パラメータを更新することと、を含む。
【0025】
態様及び実施形態の実装は、以下のうちの1つ以上を含み得る。更新は、第1の部分がユーザに組み込まれる前に実施されてもよい。更新は、第1の部分がユーザに組み込まれた後に実施されてもよい。更新は、ネットワーク上で、新しいまたは更新された校正パラメータを、モニタリングデバイスまたはセンサと関連したセンサ電子機器モジュールに送信することによって実施されてもよい。センサの第2の部分は、先験的な校正を使用して校正されるように構成されてもよい。センサの第2の部分は、ユーザデータを使用して校正されるように構成されてもよい。センサの第2の部分は、エクスビボのベンチ校正を使用して校正されるように構成されてもよい。センサの第2の部分は、血液測定を使用して校正されるように構成されてもよい。
【0026】
第10の態様において、分析物濃度センサからの信号のみを使用して、生物系内の分析物濃度センサのドリフトを補償する方法が提供され、留置分析物濃度センサを使用して、分析物の時間の関数としての値を測定することと、二重指数平滑化フィルタを使用して、測定値をフィルタリングすることと、をフィルタリングに続いて、時間に対するフィルタリングされた測定値を表示することと、を含む。
【0027】
態様及び実施形態の実装は、以下のうちの1つ以上を含み得る。二重指数平滑化フィルタは、本明細書に記載される方程式によって支配されてもよい。時間の関数としての後続のグルコース信号は、本明細書に記載される方程式によって提供されてもよい。
【0028】
第11の態様において、分析物濃度センサからの信号のみを使用して、生物系内の分析物濃度センサを校正する方法が提供され、繰り返し性事象の発生において、またはその最中、生物系内の分析物濃度値は既知であり、方法は、モニタリングデバイス上で、生物系内に留置されている分析物濃度センサによって測定される分析物濃度値のセットが繰り返し性事象を構成するときを検出することと、モニタリングデバイス上またはモニタリングデバイスに動作可能に連結されたデバイスもしくはサーバ上で、繰り返し性事象におけるときの分析物濃度値のセットを、既知の分析物濃度値と相互に関連付けることと、を含む。
【0029】
実装は、定常状態、食後の上昇、毎日の高低グルコースの幅、減衰率、または変化率からなる群から選択されることを含んでもよい。
【0030】
第12の態様において、分析物濃度センサからの信号のみを使用して、生物系内の分析物濃度センサにおけるドリフトを補償する方法が提供され、留置分析物濃度センサを使用して、分析物の値を測定することと、期間の第1のセットにわたる分析物の測定値の第1の遅い移動平均を決定することであって、第1のセットは、事象に基づく期間を含む、決定することと、少なくとも部分的に第1の遅い移動平均に基づくセンサの校正を基準とすることと、第1の決定に続いて、期間の第2のセットにわたる分析物の測定値の第2の遅い移動平均を決定することであって、第2のセットは、事象に基づく期間を含む、決定することと、少なくとも部分的に第1の遅い移動平均と第2の遅い移動平均との間の差に基づき、センサの校正を調節することと、を含む。
【0031】
実装は、以下のうちの1つ以上を含み得る。第1及び第2の事象に基づく期間は、食後期間、睡眠期間、及び朝食後期間からなる群から選択されてもよい。
【0032】
第13の態様において、生物系内の分析物濃度センサを校正する方法が提供され、ある種類のセンサのセットに対して、時間に対する感度プロファイルを決定することと、その種類の個々のセンサに対して、感度プロファイルを測定することと、送信機の電気特性を測定することと、センサの識別子を読み取ることと、センサの感度に対応するデータを受信することと、送信機上で識別子及び受信されたデータを記憶することと、を含む。
【0033】
実装は、以下のうちの1つ以上を含み得る。ある種類のセンサのセットは、ロット内のセンサのセットに対応してもよい。方法は、キットとして送信機に個々のセンサをパッケージングすることをさらに含んでもよい。方法は、送信機を、監視アプリケーションを実行するモバイルデバイスに連結することをさらに含んでもよい。方法は、監視アプリケーションを使用して、送信機及びセンサを校正することをさらに含んでもよい。校正は、送信機の測定された電気特性に関するものであってもよい。監視アプリケーションは、送信機からの信号によってセンサセッションを開始するように構成されてもよく、信号は、送信機がセンサに連結されていることを検出する。送信機は、送信機がセンサへの連結を検出するときにセンサセッションを開始するように構成されてもよい。方法は、送信機を、監視アプリケーションを実行するモバイルデバイスに連結することをさらに含んでもよい。方法は、測定された分析物値の代表セットを受信することをさらに含んでもよい。方法は、測定された分析物値の受信された代表セットまたはそのサブセットを使用して、順方向フィルタ、逆方向フィルタ、または両方に対するシードパラメータを決定することをさらに含んでもよい。シード値は、信号中央値、ドリフト値、または両方を使用して決定されてもよい。順方向フィルタ及び逆方向フィルタの両方が用いられてもよく、方法は、シード値を、2つの信号フィルタ間の平均二乗誤差を最小限に抑えるように最適化することをさらに含んでもよい。方法は、信号ベースの校正アルゴリズムに従って、センサに対する感度及びベースラインを調節することをさらに含んでもよく、信号ベースの校正アルゴリズムは、未加工のセンサ信号と共に順方向及び逆方向フィルタからの信号の平均を使用する。方法は、1つ以上の基準に基づき、感度及びベースラインを調節することをさらに含んでもよい。基準は、平均グルコース値が予測された糖尿病平均値と一致しているべきであることを含んでもよい。基準は、CGMグルコース変動性が平均グルコースレベルと一致しているべきであることを含んでもよい。方法は、センサ変化の量を検出することと、センサ変化の量が閾値基準を上回ることを決定することと、読み取り値の表示を防止することと、をさらに含んでもよく、それにより、潜在的に不正確な読み取り値は、ユーザに表示されない。
【0034】
第14の態様において、分析物濃度センサからの信号のみを使用して、生物系内の分析物濃度センサのドリフトを補償する方法が提供され、留置分析物濃度センサを使用して、分析物の値を測定することと、第1の期間にわたる分析物の測定値の第1の遅い移動平均を決定することと、少なくとも部分的に第1の遅い移動平均に基づくセンサの校正を基準とすることと、第1の決定に続いて、第2の期間にわたる分析物の測定値の第2の遅い移動平均を決定することと、少なくとも部分的にシード値及び第1の遅い移動平均と第2の遅い移動平均との間の差に基づき、センサの校正を調節することと、を含む。
【0035】
実装は、以下のうちの1つ以上を含み得る。シード値は、信号中央値、ドリフト値、または両方を使用して決定されてもよい。順方向フィルタ及び逆方向フィルタの両方が用いられてもよく、方法は、シード値を、2つの信号フィルタ間の平均二乗誤差を最小限に抑えるように最適化することをさらに含んでもよい。方法は、信号ベースの校正アルゴリズムに従って、センサに対する感度及びベースラインを調節することをさらに含んでもよく、信号ベースの校正アルゴリズムは、未加工のセンサ信号と共に順方向及び逆方向フィルタからの信号の平均を使用する。方法は、1つ以上の基準に基づき、感度及びベースラインを調節することをさらに含んでもよい。基準は、平均グルコース値が予測された糖尿病平均値と一致しているべきであることを含んでもよい。基準は、CGMグルコース変動性が平均グルコースレベルと一致しているべきであることを含んでもよい。
【0036】
さらなる態様及び実施形態において、様々な態様の上記の方法特徴は、方法特徴を実施するように構成される様々な態様にあるようなシステムの観点から説明される。上記で言及された第1~14の態様のうちのいずれかのいかなる実施形態も含むが、これらに限定されない、態様のうちのいずれかの実施形態の特徴のいずれも、上記で言及された第1~14の態様のうちのいずれかのいかなる実施形態も含むが、これらに限定されない、本明細書で識別される全ての他の態様及び実施形態に適用できる。さらに、上記で言及された第1~14の態様のうちのいずれかのいかなる実施形態も含むが、これらに限定されない、様々な態様の実施形態の特徴のいずれも、いかなる方法によっても、本明細書に記載される他の実施形態と部分的または全体的に独立して組み合わせ可能であり、例えば、1つ、2つ、3つまたはそれ以上の実施形態が全体的または部分的に組み合わせ可能であり得る。さらに、上記で言及された第1~14の態様のうちのいずれかのいかなる実施形態も含むが、これらに限定されない、様々な態様の実施形態の特徴のいずれも、他の態様または実施形態に対して任意的なものにされ得る。方法のいかなる態様または実施形態も、別の態様または実施形態のシステムまたは装置によって実施され得、システムまたは装置のいかなる態様または実施形態も、上記で言及された第1~14の態様のうちのいずれかのいかなる実施形態も含むが、これらに限定されない、別の態様または実施形態の方法を実施するように構成され得る。
【0037】
この発明の概要は、簡略化された形態で概念の選択を導入するために提供される。概念は、発明を実施するための形態にさらに記載される。この発明の概要に記載されるもの以外の要素またはステップが考えられ、いかなる要素またはステップも必ずしも必要とされるわけではない。この発明の概要は、特許請求の範囲に記載される主題の主要な特徴または本質的な特徴を識別するよう意図することも、それが特許請求の範囲に記載される主題の範囲を決定することの補助としての使用のために意図されることもない。特許請求の範囲に記載される主題は、本開示のいかなる部分に記述されるいずれかまたは全ての不利点を解決する実装に限定されない。
【0038】
ここで、本実施形態が、有利な特徴を明らかにすることに重点を置いて詳細に考察される。これらの実施形態は、添付の図面に示される新規かつ非自明なセンサ信号処理ならびに校正システム及び方法を示し、添付の図面は、例示目的のみであり、縮尺通りではなく、むしろ開示の原理を強調する。これらの図面は、以下の図を含み、同様の数字は同様の部品を示す。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】宿主に取り付けられ、複数の例示的なデバイスと通信している、連続分析物センサシステムの概略図である。
【
図2】
図1のセンサシステムと関連した電子機器を示すブロック図である。
【
図3】測定されたセンサカウントと分析物濃度との間の直線関係を示すグラフを示す。
【
図5】センサに関する工場情報を送信機電子機器に提供する様々な方法を示す。
【
図6】センサに関する工場情報をセンサ電子機器に提供するための「コードなし」オプションを示す。
【
図7】明示的なユーザ入力なしで、センサに関する工場情報をセンサ電子機器に提供するためのオプションを示す。
【
図8】ユーザ入力を用いて、センサに関する工場情報をセンサ電子機器に提供するためのオプションを示す。
【
図9】フィールドデータを得ている、多くのセンサの1つの部分を使用して、多くのセンサの別の部分を校正するステップを示す。
【
図10】フィールドデータを得ている、多くのセンサの1つの部分を使用して、多くのセンサの別の部分を校正するステップを示す。
【
図11】本原理に従った例示的な方法を示し、具体的には、
図9及び10に従った方法を実施するためのフローチャートである。
【
図12】受信機及び/またはスマートフォンと通信している、宿主内のセンサ及び送信機の概略図である。
【
図13】本原理に従った別の例示的な方法を示すフローチャートである。
【
図14】感度の変化の前の経時的な分析物濃度を示すグラフである。
【
図15】感度の変化の後の経時的な分析物濃度を示すグラフである。
【
図16】本原理に従った分析物濃度測定システムのモジュール図である。
【
図17】本原理に従った別の例示的な方法を示すフローチャートである。
【
図18】定常状態を用いて校正を実施する、本原理に従った別の例示的な方法を示すフローチャートである。
【
図19】ドリフトが生じている前及び後の2つの校正線を示すグラフである。
【
図20】経時的なセンサカウントの遅い移動平均を示す。
【
図21】経時的なセンサカウントの遅い移動平均を示す。
【
図22】遅い移動平均を用いる、本原理に従った別の例示的な方法を示すフローチャートである。
【
図23A】履歴値の更新を示す、本原理に従った別の例示的な方法を示すフローチャートである。
【
図23B】特徴的なドリフトを示す、長時間のセンサセッションにわたった感度データを示すチャートである。
【
図23C】故障モードと共に特徴的なドリフトを示す、長時間のセンサセッションにわたった感度データを示すチャートである。
【
図24】本原理に従った別の例示的な方法を示すフローチャートである。
【
図25】本原理に従った別の例示的な方法を示すフローチャートである。
【
図26】本原理に従った別の例示的な方法を示すフローチャートである。
【
図27】本原理に従った別の例示的な方法を示すフローチャートである。
【
図29】は、ベースラインの分布を示すグラフである。
【
図30】グルコース値、例えば、長期間のグルコース値の分布を示すグラフである。
【
図31】例示的なパラメータが与えられる、最も可能性の高い感度(勾配)値を示すグラフである。
【
図32】例示的なパラメータが与えられる、最も可能性の高いベースライン値を示すグラフである。
【
図33】例示的なパラメータが与えられる、最も可能性の高いグルコース値を示すグラフである。
【
図35】例示的なグルコーストレースを示す。また、グルコーストレースに作用する二重指数フィルタの効果を示す。
【
図36】
図34及び35を決定するのに用いられるセンサに関する推定されたドリフト曲線を示す。
【
図37】上記の原理に従ったドリフト補正が示されるさらなるチャートである。
【
図38A】上記の原理に従ったドリフト補正が示されるさらなるチャートである。
【
図38B】上記の原理に従ったドリフト補正が示されるさらなるチャートである。
【
図39】上記の原理に従ったドリフト補正が示されるさらなるチャートである。
【
図40】信号変動係数とグルコース濃度値標準偏差との間の測定された関係を示す。
【
図41】ある期間にわたった測定されたグルコース濃度信号を示す。
【
図42】例示的な値に印が付けられた、信号変動係数とグルコース濃度値標準偏差との間の直線関係を示す。
【
図43】測定された標準偏差と予測された標準偏差との間の差の分布を示す。
【
図44】平均グルコースとグルコース標準偏差との間の関係を示す。
【
図45】患者母集団間、すなわち、非糖尿病、I型糖尿病、及びII型糖尿病の間として、グルコース標準偏差間の違いを示す。
【
図46】タイムラグによって分離されるデータ点を示し、Δは、2つの隣接する点間の個々の変化率を表す。
【
図47】本原理に従った方法の別の実装を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下の記載及び実施例は、開示された発明のいくつかの例示的な実施形態を詳細に例示する。当業者は、本発明の範囲によって包含される本発明の多くの変化形及び修正形があることを認識するであろう。したがって、ある特定の例示的な実施形態の記載は、本発明の範囲を制限すると見なされるべきではない。
【0041】
定義
好ましい実施形態の理解を容易にするために、多くの用語が以下に定義される。
【0042】
本明細書で使用される場合、「分析物」という用語は、広義語であり、その通常の、かつ慣例的な意味が当業者に示されるものであり(かつ特別な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、さらに、分析され得る体液(例えば、血液、間質液、脳脊髄液、リンパ液、または尿)中の物質または化学成分を指すが、これらに限定されない。分析物は、自然発生物質、人口物質、代謝産物、及び/または反応生成物を含み得る。いくつかの実施形態において、センサヘッド、デバイス、及び方法による測定のための分析物は、グルコースである。しかしながら、他の分析物も同様に企図され、アカルボキシプロトロンビン、アシルカルニチン、アデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ、アデノシンデアミナーゼ、アルブミン、α-フェトプロテイン、アミノ酸プロファイル(アルギニン(クレブス回路)、ヒスチジン/ウロカニン酸、ホモシステイン、フェニルアラニン/チロシン、トリプトファン)、アンドレノステンジオン、アンチピリン、アラビニトールエナンチオマー、アルギナーゼ、ベンゾイルエクゴニン(コカイン)、ビオチニダーゼ、ビオプテリン、c反応性タンパク質、カルニチン、カルノシナーゼ、CD4、セルロプラスミン、ケノデオキシコール酸、クロロキン、コレステロール、コリンエステラーゼ、共役1-βヒドロキシコール酸、コルチゾール、クレアチンキナーゼ、クレアチンキナーゼMMアイソザイム、サイクロスポリンA、d-ペニシラミン、デ-エチルクロロキン、デヒドロエピアンドロステロンサルフェート、DNA(アセチル化多型、アルコール脱水素酵素、α1-抗トリプシン、嚢胞性線維症、デュシェンヌ型/ベッカー型筋ジストロフィー、分析物-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘモグロビンA、ヘモグロビンS、ヘモグロビンC、ヘモグロビンD、ヘモグロビンE、ヘモグロビンF、Dパンジャブ、β-サラセミア、B型肝炎ウイルス、HCMV、HIV-1、HTLV-1、レーベル遺伝性視神経症、MCAD、RNA、PKU、三日熱マラリア原虫、性分化、21-デオキシコルチゾール)、デスブチルハロファントリン、ジヒドロプテリジン還元酵素、ジフテリア/破傷風抗毒素、赤血球アルギナーゼ、赤血球プロトポルフィリン、エステラーゼD、脂肪酸/アシルグリシン、遊離β-ヒト絨毛性ゴナドトロピン、遊離赤血球ポルフィリン、遊離チロキシン(FT4)、遊離トリ-ヨードチロニン(FT3)、フマリルアセトアセターゼ、ガラクトース/gal-1-リン酸塩、ガラクトース-1-リン酸ウリジルトランスフェラーゼ、ゲンタマイシン、分析物-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、グルタチオン、グルタチオンペリオキシダーゼ、グリココール酸、グリコシル化ヘモグロビン、ハロファントリン、ヘモグロビン変異体、ヘキソサミニダーゼA、ヒト赤血球炭酸脱水酵素I、17-α-ヒドロキシプロゲステロン、ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ、免疫反応性トリプシン、乳酸塩、鉛、リポタンパク質((a)、B/A-1、β)、リゾチーム、メフロキン、ネチルマイシン、フェノバルビトン、フェニトイン、フィタン酸/プリスタン酸、プロゲステロン、プロラクチン、プロリダーゼ、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ、キニン、逆位トリ-ヨードチロニン(rT3)、セレン、血清膵臓リパーゼ、シソマイシン、ソマトメジンC、特異的抗体(アデノウイルス、抗核抗体、抗ゼータ抗体、アルボウイルス、オーエスキー病ウイルス、デング熱ウイルス、メジナ虫、単包条虫、赤痢アメーバ、エンテロウイルス、ランブル鞭毛虫(Giardia duodenalisa)、ヘリコバクターピロリ、B型肝炎ウイルス、ヘルペスウイルス、HIV-1、IgE(アトピー性疾患)、インフルエンザウイルス、ドノバンリーシュマニア、レプトスピラ、麻疹/流行性耳下腺炎/風疹、らい菌、肺炎マイコプラズマ、ミオグロビン、回旋糸状虫、パラインフルエンザウイルス、熱帯熱マラリア原虫、ポリオウイルス、緑膿菌、呼吸系発疹ウイルス、リケッチア(ツツガムシ病)、マンソン住血吸虫、トキソプラズマ原虫、梅毒トレポネーマ(Trepenoma pallidium)、クルーズ/ランゲルトリパノソーマ、水疱性口炎ウイルス(vesicular stomatis virus)、バンクロフト糸状虫、黄熱病ウイルス)、特異的抗原(B型肝炎ウイルス、HIV-1)、スクシニルアセトン、スルファドキシン、テオフィリン、チロトロピン(TSH)、チロキシン(T4)、チロキシン結合グロブリン、微量元素、トランスフェリン、UDP-ガラクトース-4-エピメラーゼ、尿素、ウロポルフィリノーゲンIシンターゼ、ビタミンA、白血球、及び亜鉛プロトポルフィリンが挙げられるが、これらに限定されない。血液または間質液中で自然に発生する塩、糖、タンパク質、脂肪、ビタミン、及びホルモンもまた、ある特定の実施形態における分析物を構成し得る。分析物、例えば、代謝産物、ホルモン、抗原、抗体などは、体液中に自然に存在し得る。あるいは、分析物、例えば、画像診断のための造影剤、放射性同位体、化学薬剤、フッ化炭素ベースの人工血液、または薬物もしくは医薬組成物が体内に導入され得、インスリン、エタノール、大麻(マリファナ、テトラヒドロカンナビノール、ハシシ)、吸入剤(亜酸化窒素、亜硝酸アミル、亜硝酸ブチル、クロロ炭化水素、炭化水素)、コカイン(クラックコカイン)、刺激剤(アンフェタミン、メタンフェタミン、Ritalin、Cylert、Preludin、Didrex、PreState、Voranil、Sandrex、Plegine)、抑制剤(バルビツール酸塩、メタカロン、精神安定剤、例えば、Valium、Librium、Miltown、Serax、Equanil、Tranxene)、幻覚剤(フェンシクリジン、リゼルギン酸、メスカリン、ペヨーテ、サイロシビン)、麻薬(ヘロイン、コデイン、モルヒネ、アヘン、メペリジン、Percocet、Percodan、Tussionex、Fentanyl、Darvon、Talwin、Lomotil)、デザイナードラッグ(フェンタニル、メペリジン、アンフェタミン、メタンフェタミン、及びフェンシクリジンの類似体、例えば、Ecstasy)、アナボリックステロイド、ならびにニコチンが挙げられるが、これらに限定されない。薬物及び医薬組成物の代謝産物もまた、分析物として企図され得る。例えば、アスコルビン酸、尿酸、ドーパミン、ノルアドレナリン、3-メトキシチラミン(3MT)、3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸(DOPAC)、ホモバニリン酸(HVA)、5-ヒドロキシトリプタミン(5HT)、及び5-ヒドロキシインドール酢酸(FHIAA)など、体内で生成される神経化学物質及び他の化学物質などの分析物が分析され得る。
【0043】
本明細書で使用される場合、「マイクロプロセッサ」及び「プロセッサ」という用語は、広義語であり、それらの通常の、かつ慣例的な意味が当業者に示されるものであり(かつ特別な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、さらに、コンピュータを駆動する基本命令に応答し、それを処理する論理回路を使用して、算術演算及び論理演算を実施するコンピュータシステム、状態機械などを指すが、これらに限定されない。
【0044】
本明細書で使用される場合、「未加工のデータ流」及び「データ流」という用語は、広義語であり、それらの通常の、かつ慣例的な意味が当業者に示されるものであり(かつ特別な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、さらに、グルコースセンサから測定されたグルコースに直接関連したアナログまたはデジタル信号を指すが、これに限定されない。一例において、未加工のデータ流は、アナログ信号からA/Dコンバータによって変換された「カウント」でのデジタルデータ(例えば、電圧またはアンペア数)であり、グルコース濃度を表す1つ以上のデータ点を含む。これらの用語は、実質的に連続的なグルコースセンサからの複数の時間を置いたデータ点を広く包含し、それは、1秒未満から最大で例えば1、2、または5分以上に及ぶ時間間隔で行われる個々の測定を含む。別の例において、未加工のデータ流は、統合デジタル値を含み、データは、ある期間にわたって平均化されたグルコースセンサ信号を表す1つ以上のデータ点を含む。
【0045】
本明細書で使用される場合、「校正」という用語は、広義語であり、その通常の、かつ慣例的な意味が当業者に示されるものであり(かつ特別な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、さらに、リアルタイムで参照データを使用して、または使用せず、センサデータと対応する参照データとの間の関係を決定するプロセスであって、それが、センサデータを参照データと実質的に同等の有意義な値に変換するために使用され得る、プロセスを指すが、これに限定されない。いくつかの実施形態において、すなわち、連続分析物センサにおいて、校正は、例えば、感度、ベースライン、輸送、代謝などの変化によって、センサデータと参照データとの間の関係の変化が生じるため、経時的に更新または再校正され得る(工場で、リアルタイムで、及び/または遡及的に)。校正はまた、1つ以上の信号特性または特徴の分析を通じて、センサ信号パラメータを自動で予測することによって達成され得る(自動校正)。
【0046】
本明細書で使用される場合、「校正されたデータ」及び「校正されたデータ流」という用語は、広義語であり、それらの通常の、かつ慣例的な意味が当業者に示されるものであり(かつ特別な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、さらに、有意義な値をユーザに提供するために、感度の使用によるものを含む関数、例えば、変換関数を使用して、その未加工の状態から別の状態に変換されたデータを指すが、これに限定されない。
【0047】
本明細書で使用される場合、「平滑化されたデータ」及び「フィルタリングされたデータ」という用語は、広義語であり、それらの通常の、かつ慣例的な意味が当業者に示されるものであり(かつ特別な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、さらに、例えば、遅い移動平均を含む、未加工のデータ流の移動平均を実施することによって、データをより平滑及び連続的なものにし、かつ/または異常点を除去もしくは低減するように修正されたデータを指すが、これに限定されない。データフィルタの例としては、FIR(有限インパルス応答)、IIR(無限インパルス応答)、移動平均フィルタなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
本明細書で使用される場合、「平滑化」及び「フィルタリング」という用語は、広義語であり、それらの通常の、かつ慣例的な意味が当業者に示されるものであり(かつ特別な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、さらに、例えば、未加工のデータ流の移動平均を実施することによって、データのセットをより平滑及び連続的なものにするか、または異常点を除去もしくは低減するようなデータのセットの修正を指すが、これに限定されない。
【0049】
本明細書で使用される場合、「アルゴリズム」という用語は、広義語であり、その通常の、かつ慣例的な意味が当業者に示されるものであり(かつ特別な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、さらに、例えば、計算処理を使用することによって、1つの状態から別の状態に情報を変換することに関与する計算プロセス(例えば、プログラム)を指すが、これに限定されない。
【0050】
本明細書で使用される場合、「カウント」という用語は、広義語であり、その通常の、かつ慣例的な意味が当業者に示されるものであり(かつ特別な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、さらに、デジタル信号の測定の単位を指すが、これに限定されない。一例において、カウントで測定された未加工のデータ流は、電圧に直接関連し(例えば、A/Dコンバータによって変換される)、それは、作用電極からの電流に直接関連する。
【0051】
本明細書で使用される場合、「センサ」という用語は、広義語であり、その通常の、かつ慣例的な意味が当業者に示されるものであり(かつ特別な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、さらに、分析物が定量化され得るデバイスのコンポーネントまたは領域を指すが、これに限定されない。
【0052】
本明細書で使用される場合、「グルコースセンサ」及び「生体試料中のグルコースの量を決定するための部材」という用語は、広義語であり、それらの通常の、かつ慣例的な意味が当業者に示されるものであり(かつ特別な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、さらに、グルコースが定量化され得る任意の機構(例えば、酵素的または非酵素的)を指すが、これに限定されない。例えば、いくつかの実施形態は、以下の化学反応によって例示されるような酸素及びグルコースの過酸化水素及びグルコン酸塩への変換を触媒する、グルコース酸化酵素を含有する、膜を利用する。
【0053】
グルコース+O2→グルコン酸塩+H2O2
【0054】
代謝される各グルコース分子に対して、共反応物O2及び生成物H2O2の比例した変化があるため、電極を使用して、共反応物または生成物のいずれかの電流変化を監視して、グルコース濃度を決定することができる。
【0055】
本明細書で使用される場合、「動作可能に接続された」及び「動作可能に連結された」という用語は、広義語であり、それらの通常の、かつ慣例的な意味が当業者に示されるものであり(かつ特別な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、さらに、コンポーネント間の信号の伝送を可能にする様式で、別のコンポーネント(複数可)に連結されている1つ以上のコンポーネントを指すが、これに限定されない。例えば、1つ以上の電極が、試料中のグルコースの量を検出し、その情報を信号、例えば、電気または電磁信号に変換するために使用され得、信号は、次いで、電子回路に送信され得る。この場合、電極は、電子回路に「動作可能に連結」されている。これらの用語は、無線接続を含むのに十分広義である。
【0056】
「決定すること」という用語は、幅広いアクションを包含する。例えば、「決定すること」は、計算すること、演算すること、処理すること、導き出すこと、調査すること、検索すること(例えば、表、データベース、または別のデータ構造中を検索すること)、確定することなどを含み得る。また、「決定すること」は、受信すること(例えば、情報を受信すること)、アクセスすること(例えば、メモリ内のデータにアクセスすること)などを含み得る。また、「決定すること」は、解決すること、選択すること、選び出すこと、計算すること、導き出すこと、確立すること、及び/または同類のものを含み得る。決定することはまた、閾値を満たしている、過ぎている、超えているなどを含む、パラメータが所定の基準と一致していることを確定することを含み得る。
【0057】
本明細書で使用される場合、「実質的に」という用語は、広義語であり、その通常の、かつ慣例的な意味が当業者に示されるものであり(かつ特別な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、さらに、主に指定されたものであるが、必ずしも完全に指定されたものではないことを指すが、これに限定されない。
【0058】
本明細書で使用される場合、「宿主」という用語は、広義語であり、その通常の、かつ慣例的な意味が当業者に示されるものであり(かつ特別な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、さらに、哺乳動物、特にヒトを指すが、これに限定されない。
【0059】
本明細書で使用される場合、「連続分析物(またはグルコース)センサ」という用語は、広義語であり、その通常の、かつ慣例的な意味が当業者に示されるものであり(かつ特別な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、さらに、例えば、1秒未満から最大で例えば、1、2、または5分以上に及ぶ時間間隔で、分析物の濃度を連続的または継続的に測定するデバイスを指すが、これに限定されない。1つの例示的な実施形態において、連続分析物センサは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,001,067号に記載されるようなグルコースセンサである。
【0060】
本明細書で使用される場合、「連続分析物(またはグルコース)検知」という用語は、広義語であり、その通常の、かつ慣例的な意味が当業者に示されるものであり(かつ特別な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、さらに、分析物の監視が、例えば、1秒未満から最大で例えば、1、2、または5分以上に及ぶ時間間隔で、連続的または継続的に実施される期間を指すが、これに限定されない。
【0061】
本明細書で使用される場合、「参照分析物モニタ」、「参照分析物メータ」、及び「参照分析物センサ」という用語は、広義語であり、それらの通常の、かつ慣例的な意味が当業者に示されるものであり(かつ特別な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、さらに、分析物の濃度を測定し、連続分析物センサのための参照として使用され得るデバイスを指すが、これに限定されず、例えば、自己監視血糖メータ(SMBG)は、比較、校正などのために連続グルコースセンサのための参照として使用され得る。
【0062】
本明細書で使用される場合、「検知膜」という用語は、広義語であり、その通常の、かつ慣例的な意味が当業者に示されるものであり(かつ特別な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、さらに、2つ以上の領域からなり得、典型的には、酸素に対して透過性であり、グルコースに対して透過性であってもなくてもよい、数ミクロン以上の厚さの材料から構成される、透過性または半透過性膜を指すが、これに限定されない。一例において、検知膜は、固定化グルコースオキシダーゼ酵素を含み、それは、グルコースの濃度を測定するために電気化学反応が生じることを可能にする。
【0063】
本明細書で使用される場合、「生理学的に可能性のある」という用語は、広義語であり、その通常の、かつ慣例的な意味が当業者に示されるものであり(かつ特別な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、さらに、ヒト及び/または動物におけるグルコースデータの連続的な研究から取得された生理学的パラメータを指すが、これに限定されない。例えば、ヒトにおける約4~5mg/dL/分のグルコースの最大持続変化率及び約0.1~0.2mg/dL/分/分の変化率の最大加速度は、生理学的に可能性のある限度と見なされる。これらの限度外の値は、例えば、非生理学的と見なされ、信号誤差の結果である可能性が高い。別の例として、グルコースの変化率は、毎日のグルコース範囲の最大及び最小において最低であり、その範囲は、患者治療において最大リスクの領域であり、したがって、生理学的に可能性のある変化率は、グルコースデータの連続的な研究に基づき最大及び最小で設定され得る。さらなる例として、ある特定の期間(例えば、約20~30分間)にわたるグルコース信号データ流に沿った任意の点における曲線の形状に対する最善の解は、直線であることが認められており、それは、生理学的限度を設定するために使用され得る。
【0064】
本明細書で使用される場合、「周波数成分」という用語は、広義語であり、その通常の、かつ慣例的な意味が当業者に示されるものであり(かつ特別な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、さらに、信号及びそれらの電力内に含まれる周波数を含む、スペクトル密度を指すが、これに限定されない。
【0065】
本明細書で使用される場合、「直線回帰」という用語は、広義語であり、その通常の、かつ慣例的な意味が当業者に示されるものであり(かつ特別な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、さらに、データのセットがその線からの最小測定偏差または分離を有する線を見つけることを指すが、これに限定されない。このアルゴリズムの副産物は、測定データがどれほど良好に線と適合しているかを決定する、勾配、y切片、及びR-2乗値を含む。ある特定の場合において、回帰における異常値を取り扱うために、ロバスト回帰技術もまた用いられ得る。
【0066】
本明細書で使用される場合、「非直線回帰」という用語は、広義語であり、その通常の、かつ慣例的な意味が当業者に示されるものであり(かつ特別な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、さらに、非直線で応答変数と1つ以上の説明変数との間の関係を説明するために、データのセットを適合させることを指すが、これに限定されない。
【0067】
本明細書で使用される場合、「平均」という用語は、広義語であり、その通常の、かつ慣例的な意味が当業者に示されるものであり(かつ特別な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、さらに、観察値の合計を観察の回数で除算することを指すが、これに限定されない。
【0068】
本明細書で使用される場合、「非再帰的フィルタ」という用語は、広義語であり、その通常の、かつ慣例的な意味が当業者に示されるものであり(かつ特別な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、さらに、入力及び出力として移動平均を使用する方程式を指すが、これに限定されない。
【0069】
本明細書で使用される場合、「再帰的フィルタ」及び「自己回帰アルゴリズム」という用語は、広義語であり、それらの通常の、かつ慣例的な意味が当業者に示されるものであり(かつ特別な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、さらに、前の平均が次のフィルタリングされた出力の一部である方程式を指すが、これに限定されない。より具体的には、各観察の値が部分的にその直前の観察の値に依存する、一連の観察の生成。一例は、遅れた応答値が独立した変数の役割を担う回帰構造である。
【0070】
本明細書で使用される場合、「変動」という用語は、広義語であり、その通常の、かつ慣例的な意味が当業者に示されるものであり(かつ特別な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、さらに、データの点、線、またはセットからの相違または変化の量を指すが、これに限定されない。一実施形態において、推定分析物値は、例えば、既知の生理学的パターンに基づき可能性の範囲を表す、推定分析物値以外の値の範囲を含む変動を有することができる。
【0071】
本明細書で使用される場合、「生理学的パラメータ」及び「生理学的境界」という用語は、広義語であり、それらの通常の、かつ慣例的な意味が当業者に示されるものであり(かつ特別な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、さらに、ヒト及び/または動物における生理学的データの連続的な研究から取得されたパラメータを指すが、これに限定されない。例えば、ヒトにおける約6~8mg/dL/分のグルコースの最大持続変化率及び約0.1~0.2mg/dL/分2の変化率の最大加速度は、生理学的に可能性のある限度と見なされ、これらの限度外の値は、非生理学的と見なされる。別の例として、グルコースの変化率は、毎日のグルコース範囲の最大及び最小において最低であり、その範囲は、患者治療において最大リスクの領域であり、したがって、生理学的に可能性のある変化率は、グルコースデータの連続的な研究に基づき最大及び最小で設定され得る。さらなる例として、ある特定の期間(例えば、約20~30分間)にわたるグルコース信号データ流に沿った任意の点における曲線の形状に対する最善の解は、直線であることが認められており、それは、生理学的限度を設定するために使用され得る。これらの用語は、いかなる分析物に関する生理学的とパラメータも含むのに十分広義である。
【0072】
本明細書で使用される場合、「測定された分析物値」という用語は、広義語であり、その通常の、かつ慣例的な意味が当業者に示されるものであり(かつ特別な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、さらに、分析物データが分析物センサによって測定された期間の分析物値または分析物値のセットを指すが、これに限定されない。この用語は、センサ及び/または受信機におけるデータ処理(例えば、データ平滑化、校正など)の前または後の分析物センサからのデータを含むのに十分広義である。
【0073】
本明細書で使用される場合、「推定分析物値」という用語は、広義語であり、その通常の、かつ慣例的な意味が当業者に示されるものであり(かつ特別な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、さらに、測定された分析物値からアルゴリズム的に外挿された分析物値または分析物値のセットを指すが、これに限定されない。
【0074】
本明細書で使用される場合、「センサデータ」という用語は、広義語であり、その通常の、かつ慣例的な意味が当業者に示されるものであり(かつ特別な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、さらに、連続分析物センサなどのセンサと関連した任意のデータを指すが、これに限定されない。センサデータは、分析物センサからの測定された分析物に直接関連したアナログもしくはデジタル信号(または別のセンサから受信される他の信号)の未加工のデータ流、または単純にデータ流、ならびに校正及び/またはフィルタリングされた未加工のデータを含む。一例において、センサデータは、アナログ信号からA/Dコンバータによって変換された「カウント」でのデジタルデータ(例えば、電圧またはアンペア数)を含み、グルコース濃度を表す1つ以上のデータ点を含む。したがって、「センサデータ点」及び「データ点」という用語は、概して、特定の時間におけるセンサデータのデジタル表示を指す。これらの用語は、実質的に連続的なグルコースセンサからなど、センサからの複数の時間を置いたデータ点を広く包含し、それは、1秒未満から最大で例えば1、2、または5分以上に及ぶ時間間隔で行われる個々の測定を含む。別の例において、センサデータは、ある期間にわたって平均化された1つ以上のデータ点を表す統合デジタル値を含む。センサデータは、校正されたデータ、平滑化されたデータ、フィルタリングされたデータ、変換されたデータ、及び/またはセンサと関連した任意の他のデータを含み得る。
【0075】
本明細書で使用される場合、「一致したデータ対」または「データ対」という用語は、広義語であり、その通常の、かつ慣例的な意味が当業者に示されるものであり(かつ特別な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、さらに、実質的に時間が対応するセンサデータ(例えば、1つ以上のセンサデータ点)と一致した参照データ(例えば、1つ以上の参照分析物データ点)を指すが、これに限定されない。
【0076】
本明細書で使用される場合、「センサ電子機器」という用語は、広義語であり、その通常の、かつ慣例的な意味が当業者に示されるものであり(かつ特別な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、データを処理するように構成されるデバイスのコンポーネント(例えば、ハードウェア及び/またはソフトウェア)を指すが、これに限定されない。
【0077】
本明細書で使用される場合、「校正セット」という用語は、広義語であり、その通常の、かつ慣例的な意味が当業者に示されるものであり(かつ特別な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、校正に有用な情報を含むデータのセットを指すが、これに限定されない。いくつかの実施形態において、校正セットは、参照データとセンサデータとの間の関係を決定するために使用される、1つ以上の一致したデータ対から形成されるが、埋め込み前に、外部で、または内部で得られた他のデータもまた使用され得る。別の例として、データはまた、対象ユーザの前のセンサセッションから用いられてもよい。
【0078】
本明細書で使用される場合、「感度」または「センサ感度」という用語は、広義語であり、それらの通常の、かつ慣例的な意味が当業者に示されるものであり(かつ特別な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、測定された分析物、または測定された分析物(例えば、グルコース)と関連した測定された種(例えば、H2O2)のある特定の濃度によって生成される信号の量を指すが、これに限定されない。例えば、一実施形態において、センサは、1mg/dLのグルコース分析物毎に約1~約300ピコアンペアの電流の感度を有する。
【0079】
本明細書で使用される場合、「感度プロファイル」または「感度曲線」という用語は、広義語であり、それらの通常の、かつ慣例的な意味が当業者に示されるものであり(かつ特別な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものではなく)、経時的な感度の変化の表示を指すが、これに限定されない。
【0080】
他の定義は、以下の記載内に、場合によっては用語の使用の文脈から提供される。
【0081】
本明細書で用いられるように、以下の略語が適用される。Eq及びEqs(当量)、mEq(ミリ当量)、M(モル)、mM(ミリモル)、μM(マイクロモル)、N(規定)、mol(モル)、mmol(ミリモル)、μmol(マイクロモル)、nmol(ナノモル)、g(グラム)、mg(ミリグラム)、μg(マイクログラム)、Kg(キログラム)、L(リットル)、mL(ミリリットル)、dL(デシリットル)、μL(マイクロリットル)、cm(センチメートル)、mm(ミリメートル)、μm(マイクロメートル)、nm(ナノメートル)、h及びhr(時間)、min(分)、ならびにsec.(秒)、℃(摂氏)。
【0082】
システムの概観/概要
従来のインビボ連続分析物検知技術は、典型的には、連続分析物センサの校正のためのセンサセッション中に実施される参照測定に依存してきた。参照測定は、実施的に時間が対応するセンサデータと一致して、一致したデータ対を作る。次いで、回帰が一致したデータ対に対して実施されて(例えば、最小2乗回帰を使用することによって)、センサ信号と推定されたグルコース濃度との間の関係を定義する変換関数を生成する。
【0083】
救命救急の状況において、連続分析物センサの校正は、多くの場合、参照として既知の濃度の分析物を用いた校正液を使用することによって実施される。この校正手順は、IV(静脈内)バッグとは別の(かつそれに加えた)校正バッグが典型的には使用されるため、扱いにくい可能性がある。外来の状況において、連続分析物センサの校正は、従来、末梢血の血糖測定(例えば、フィンガースティックグルコース試験)によって実施され、それを通じて、参照データが取得され、連続分析物センサシステムに入力される。この校正手順は、典型的には、頻繁なフィンガースティック測定を伴い、それは不便で、かつ痛みを伴う可能性がある。
【0084】
これまで、周期的再校正に依存しない製造業者による連続分析物センサのインビトロ校正(例えば、工場校正)のためのシステム及び方法は、大部分が、血糖管理に必要とされる高レベルのセンサ精度に関して不十分であった。この一部は、センサ使用中に生じ得るセンサ特性(例えば、センサ感度)の変化に起因し得る。したがって、連続分析物センサの校正は、典型的には、それらが校正液またはフィンガースティック測定と関連するかどうかにかかわらず、参照データの周期的入力を伴ってきた。これは、毎日の生活におけるユーザにとって、かつ外来の状況における患者または救命救急の状況における病院スタッフにとって、非常に面倒である可能性がある。
【0085】
以下の記載及び実施例は、図面を参照して本実施形態を説明した。図面中、参照番号は、本実施形態の要素を表示する。これらの参照番号は、対応する図面特徴の考察に関連して以下で複製される。
【0086】
参照分析物モニタからの(例えば、血糖メータからの)参照データに依存することなく(または依存の減少を伴って)、高レベルの精度を達成することが可能である連続分析物センサを校正するためのシステム及び方法が、本明細書に記載される。
【0087】
センサシステム
図1は、いくつかの例示的な実装に従った例示的なシステム100を示す。システム100は、センサ電子機器12と連続分析物センサ10とを含む、連続分析物センサシステム8を含む。システム100は、薬剤送達ポンプ2及びグルコースメータ4などの他のデバイス及び/またはセンサを含んでもよい。連続分析物センサ10は、センサ電子機器12に物理的に接続されてもよく、連続分析物センサ10と一体化であっても(例えば、解放不可能に取り付けられても)、または解放可能に取り付け可能であってもよい。センサ電子機器12、薬剤送達ポンプ2、及び/またはグルコースメータ4は、ディスプレイデバイス14、16、18、及び/または20などの1つ以上のデバイスと連結してもよい。
【0088】
いくつかの例示的な実装において、システム100は、宿主(患者とも称される)と関連した、センサシステム8及びディスプレイデバイス14~20などの他のデバイスから、ネットワーク406(例えば、有線、無線、またはこれらの組み合わせを介して)を介して提供される、分析物データ(及び/または他の患者関連データ)を分析し、ある特定の時間枠にわたって測定された分析物に関する統計データなどの高レベルの情報を提供する報告を生成するように構成される、クラウドベースの分析物プロセッサ490を含んでもよい。クラウドベースの分析物処理システムを使用する本格的な考察は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、“Cloud-Based Processing of Analyte Data”と題し、2013年3月7日出願の米国特許第13/788,375号で見られる。
【0089】
いくつかの例示的な実装において、センサ電子機器12は、連続分析物センサ10によって生成されるデータの測定及び処理と関連した電子回路を含んでもよい。この生成された連続分析物センサデータはまた、連続分析物センサデータを処理及び校正するために使用され得るアルゴリズムを含んでもよいが、これらのアルゴリズムは、同様に他の方法でも提供され得る。センサ電子機器12は、連続グルコースセンサなどの連続分析物センサを介して分析物のレベルの測定を提供するために、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはこれらの組み合わせを含んでもよい。センサ電子機器12の例示的な実装は、
図2に関して以下にさらに記載される。
【0090】
センサ電子機器12は、記述通り、ディスプレイデバイス14、16、18、及び/または20などの1つ以上のデバイスと(例えば、無線などで)連結してもよい。ディスプレイデバイス14、16、18、及び/または20は、ディスプレイデバイス14、16、18、及び/または20における表示のために、センサ電子機器12によって送信されるセンサ情報などの情報を提示する(かつ/またはその警報を出す)ように構成されてもよい。
【0091】
ディスプレイデバイスは、少なくとも情報(例えば、薬剤送達情報、別個の自己監視グルコース読み取り値、心拍数モニタ、食物摂取モニタなど)を提示するように構成される、比較的小さいキーフォブ型ディスプレイデバイス14、比較的大きい手持ち式ディスプレイデバイス16、携帯電話18(例えば、スマートフォン、タブレットなど)、コンピュータ20、及び/または任意の他のユーザ装置を含んでもよい。
【0092】
いくつかの例示的な実装において、比較的小さいキーフォブ型ディスプレイデバイス14は、リストウォッチ、ベルト、ネックレス、ペンダント、宝飾品、接着パッチ、ポケットベル、キーフォブ、プラスチックカード(例えば、クレジットカード)、識別(ID)カード、及び/または同類のものを含んでもよい。この小型のディスプレイデバイス14は、比較的小さいディスプレイ(例えば、大型ディスプレイデバイス16よりも小さい)を含んでもよく、数値、矢印、またはカラーコードなどのある特定の種類の表示可能なセンサ情報を表示するように構成されてもよい。
【0093】
いくつかの例示的な実装において、比較的大きい手持ち式ディスプレイデバイス16は、手持ち式受信機デバイス、パームトップコンピュータ、及び/または同類のものを含んでもよい。この大型ディスプレイデバイスは、比較的大きいディスプレイ(例えば、小型ディスプレイデバイス14よりも大きい)を含んでもよく、センサシステム8によって出力される現在及び履歴センサデータを含む連続センサデータのグラフ表示などの情報を表示するように構成されてもよい。
【0094】
いくつかの例示的な実装において、連続分析物センサ10は、分析物を検出及び/または測定するためのセンサを含み、連続分析物センサ10は、非侵襲的デバイス、皮下デバイス、経皮デバイス、及び/または血管内デバイスとして、分析物を連続的に検出及び/または測定するように構成されてもよい。いくつかの例示的な実装において、連続分析物センサ10は、複数の断続的血液試料を分析してもよいが、他の分析物も同様に使用され得る。
【0095】
いくつかの例示的な実装において、連続分析物センサ10は、酵素、化学、物理、電気化学、分光光度、偏光、熱量、イオン導入、放射、免疫化学などの1つ以上の測定技術を使用して、血液または間質液中のグルコースを測定するように構成される、グルコースセンサを含んでもよい。連続分析物センサ10がグルコースセンサを含む実装において、グルコースセンサは、グルコースの濃度を測定することが可能な任意のデバイスを含み、侵襲的、低侵襲的、非侵襲的検知技術(例えば、蛍光モニタリング)を含む、グルコースを測定するための様々な技術を使用して、宿主内のグルコースの濃度を示すデータ流などのデータを提供してもよい。データ流は、センサデータ(未加工の及び/またはフィルタリングされた)であってもよく、それらは、ユーザ、患者、または介護者(例えば、宿主の健康に関心がある親、親戚、保護者、教師、医者、看護師、または任意の他の個人)などの宿主にグルコースの値を提供するために使用される校正されたデータ流に変換されてもよい。さらに、連続分析物センサ10は、以下の種類のセンサのうちの少なくとも1つとして埋め込まれてもよい。埋め込み可能なグルコースセンサ、宿主血管中に埋め込まれた、または対外の経皮グルコースセンサ、皮下センサ、差し替え可能な皮下センサ、血管内センサ。
【0096】
本明細書の開示は、グルコースセンサを含む連続分析物センサ10を含むいくつかの実装に言及するが、連続分析物センサ10は、他の種類の分析物センサも同様に含み得る。さらに、いくつかの実装は、埋め込み可能なグルコースセンサとしてのグルコースセンサに言及するが、グルコースの濃度を検出し、グルコース濃度を表す出力信号を提供することが可能な他の種類のデバイスも同様に使用され得る。さらに、本明細書の記載は、測定、処理などされている分析物としてのグルコースに言及するが、例えば、ケトン体(例えば、アセトン、アセト酢酸及びβ‐ヒドロキシ酪酸、乳酸塩など)、グル力ゴン、アセチル-CoA、トリグリセリド、脂肪酸、クエン酸回路中の中間体、コリン、インスリン、コルチゾール、テストステロンなどを含む、他の分析物も同様に使用され得る。
【0097】
図2は、いくつかの例示的な実装に従ったセンサ電子機器12の一実施例を示す。センサ電子機器12は、センサデータなどのセンサ情報を処理し、例えば、プロセッサモジュールを介して変換されたセンサデータ及び表示可能なセンサ情報を生成するように構成される、センサ電子機器を含んでもよい。例えば、プロセッサモジュールは、センサデータを以下のうちの1つ以上に変換してもよい。フィルタリングされたセンサデータ(例えば、1つ以上のフィルタリングされた分析物濃度値)、未加工のセンサデータ、校正されたセンサデータ(例えば、1つ以上の校正された分析物濃度値)、変化率情報、傾向情報、加速度/減速度情報、センサ診断情報、位置情報、警報/警告情報、校正情報、センサデータの平滑化及び/もしくはフィルタリングアルゴリズム、ならびに/または同類のもの。
【0098】
いくつかの実施形態において、プロセッサモジュール214は、データ処理の全部ではないがかなりの部分を達成するように構成される。プロセッサモジュール214は、センサ電子機器12に一体的であってもよく、かつ/またはデバイス14、16、18、及び/もしくは20、ならびに/またはクラウド490のうちの1つ以上など、遠隔設置されてもよい。いくつかの実施形態において、プロセッサモジュール214は、複数のより小さいサブコンポーネントまたはサブモジュールを含んでもよい。例えば、プロセッサモジュール214は、警告モジュール(図示せず)、または予測モジュール(図示せず)、またはデータを効率的に処理するために利用され得る任意の他の好適なモジュールを含んでもよい。プロセッサモジュール214が複数のサブモジュールで構成される場合、サブモジュールは、センサ電子機器12または他の関連デバイス(例えば、14、16、18、20、及び/もしくは490)内を含む、プロセッサモジュール214内に位置してもよい。例えば、いくつかの実施形態において、プロセッサモジュール214は、少なくとも部分的にクラウドベースの分析物プロセッサ490内、またはネットワーク406内の別の場所に位置してもよい。
【0099】
いくつかの例示的な実装において、プロセッサモジュール214は、センサデータを校正するように構成されてもよく、データ記憶装置220は、変換されたセンサデータとして校正されたセンサデータ点を記憶してもよい。さらに、プロセッサモジュール214は、いくつかの例示的な実装において、デバイス14、16、18、及び/または20などのディスプレイデバイスからの校正情報を無線で受信して、センサ12からのセンサデータの校正を可能にするように構成されてもよい。さらに、プロセッサモジュール214は、センサデータ(例えば、校正及び/もしくはフィルタリングされたデータならびに/または他のセンサ情報)に追加のアルゴリズム処理を実施するように構成されてもよく、データ記憶装置220は、アルゴリズムと関連した変換されたセンサデータ及び/またはセンサ診断情報を記憶するように構成されてもよい。
【0100】
いくつかの例示的な実装において、センサ電子機器12は、ユーザインターフェース222に連結された特定用途向け集積回路(ASIC)205を備えてもよい。ASIC205は、ポテンショスタット210、センサ電子機器12から、デバイス14、16、18、及び/もしくは20などの1つ以上のデバイスにデータを送信するためのテレメトリモジュール232、ならびに/または信号処理及びデータ記憶のための他のコンポーネント(例えば、プロセッサモジュール214及びデータ記憶装置220)をさらに含んでもよい。
図2は、ASIC205を示すが、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、センサ電子機器12によって実施される処理の(全部ではないが)一部を提供するように構成される、1つ以上のマイクロプロセッサ、アナログ回路、デジタル回路、またはこれらの組み合わせを含む、他の種類の回路も同様に使用され得る。
【0101】
図2に示される実施例において、ポテンショスタット210は、分析物からのセンサデータを生成するために、グルコースセンサなどの連続分析物センサ10に連結される。ポテンショスタット210はまた、データ回線212を介して連続分析物センサ10に電圧を提供して、宿主内の分析物濃度を示す値(例えば、電流値など)の測定のためにセンサにバイアスをかけてもよい(センサのアナログ部分とも称される)。ポテンショスタット210は、連続分析物センサ10における作用電極の数に応じて1つ以上のチャネルを有してもよい。
【0102】
いくつかの例示的な実装において、ポテンショスタット210が、センサ10からの電流値を電圧値に変換する抵抗器を含んでもよい一方で、いくつかの例示的な実装において、電流-周波数コンバータ(図示せず)もまた、例えば、電荷カウントデバイスを使用して、センサ10からの測定された電流値を連続的に組み込むように構成されてもよい。いくつかの例示的な実装において、アナログ-デジタルコンバータ(図示せず)は、センサ10からのアナログ信号を、いわゆる「カウント」にデジタル化して、プロセッサモジュール214による処理を可能にしてもよい。得られたカウントは、ポテンショスタット210によって測定される電流に直接関連してもよく、それは、宿主内のグルコースレベルなどの分析物レベルに直接関連し得る。
【0103】
テレメトリモジュール232は、プロセッサモジュール214に動作可能に接続されてもよく、センサ電子機器12と、ディスプレイデバイス、プロセッサ、ネットワークアクセスデバイスなどの1つ以上の他のデバイスとの間の無線通信を可能にするハードウェア、ファームウェア、及び/またはソフトウェアを提供してもよい。テレメトリモジュール232において実装され得る様々な無線技術としては、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth(登録商標) Low-Energy、ANT、ANT+、ZigBee、IEEE 802.11、IEEE 802.16、セルラ無線アクセス技術、無線周波数(RF)、赤外線(IR)、ページングネットワーク通信、磁気誘導、衛星データ通信、スペクトル拡散通信、周波数ホッピング通信、近距離無線通信、及び/または同類のものが挙げられる。いくつかの例示的な実装において、テレメトリモジュール232は、Bluetooth(登録商標)チップを含むが、Bluetooth(登録商標)技術はまた、テレメトリモジュール232及びプロセッサモジュール214の組み合わせで実装されてもよい。
【0104】
プロセッサモジュール214は、センサ電子機器12によって実施される処理を制御してもよい。例えば、プロセッサモジュール214は、センサからのデータ(例えば、カウント)を処理するように、データをフィルタリングするように、データを校正するように、フェイルセーフチェックを実施するように、かつ/または同類のものを行うように構成されてもよい。
【0105】
いくつかの例示的な実装において、プロセッサモジュール214は、例えば、無限インパルス応答(IIR)または有限インパルス応答(FIR)フィルタなどのデジタルフィルタを備えてもよい。このデジタルフィルタは、センサ10から受信される未加工のデータ流を平滑化してもよい。概して、デジタルフィルタは、所定時間間隔でサンプリングされるデータをフィルタリングするようにプログラムされる(サンプリングレートとも称される)。いくつかの例示的な実装において、ポテンショスタット210が別々の時間間隔で分析物(例えば、グルコース及びまたは同類のもの)を測定するように構成される場合など、これらの時間間隔は、デジタルフィルタのサンプリングレートを決定する。いくつかの例示的な実装において、ポテンショスタット210は、例えば、電流-周波数コンバータを使用して、分析物を連続的に測定するように構成されてもよい。これらの電流-周波数コンバータ実装において、プロセッサモジュール214は、所定時間間隔(収集時間)で、電流-周波数コンバータの積分器からデジタル値を要求するようにプログラムされてもよい。積分器からプロセッサモジュール214によって取得されたこれらのデジタル値は、電流測定の連続性によって収集時間にわたって平均化されてもよい。したがって、収集時間は、デジタルフィルタのサンプリングレートによって決定されてもよい。FIRフィルタの他の使用は、以下により詳細に記載される。
【0106】
プロセッサモジュール214は、ディスプレイデバイス14、16、18、及び/または20などのデバイスへの送信のためのデータパッケージを生成するように構成される、データジェネレータ(図示せず)をさらに含んでもよい。さらに、プロセッサモジュール214は、テレメトリモジュール232を介したこれらの外部供給源への送信のためのデータパケットを生成してもよい。いくつかの例示的な実装において、データパッケージは、記述通り、各ディスプレイデバイスのためにカスタマイズ可能であってもよく、かつ/またはタイムスタンプ、表示可能なセンサ情報、変換されたセンサデータ、センサ及び/もしくはセンサ電子機器12のための識別子コード、未加工のデータ、フィルタリングされたデータ、校正されたデータ、変化率情報、傾向情報、誤差検出もしくは補正、ならびに/または同類のものなどの任意の利用可能なデータを含んでもよい。
【0107】
プロセッサモジュール214はまた、プログラムメモリ216及び他のメモリ218を含んでもよい。プロセッサモジュール214は、通信ポート238などの通信インターフェース及び電池234などの電力源に連結されてもよい。さらに、電池234は、充電器及び/または調整器236にさらに連結されて、電力をセンサ電子機器12に提供し、かつ/または電池234を充電してもよい。
【0108】
プログラムメモリ216は、連結されたセンサ10のための識別子(例えば、センサ識別子(ID))などのデータを記憶するための、かつ本明細書に記載される動作/機能のうちの1つ以上を実施するようにASIC205を校正するためのコード(プログラムコードとも称される)を記憶するための、擬似静的メモリとして実装されてもよい。例えば、プログラムコードは、データ流またはカウントを処理し、フィルタリングし、以下に記載される校正方法を実施し、フェイルセーフチェックを実施するなどのように、プロセッサモジュール214を構成してもよい。
【0109】
メモリ218はまた、情報を記憶するために使用されてもよい。例えば、メモリ218を含むプロセッサモジュール214は、システムのキャッシュメモリとして使用されてもよく、一時記憶装置がセンサから受信される最近のセンサデータのために提供される。いくつかの例示的な実装において、メモリは、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ダイナミックRAM、スタティックRAM、非スタティックRAM、容易に消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、書き換え可能なROM、フラッシュメモリなどの記憶装置コンポーネントを含んでもよい。
【0110】
データ記憶装置220は、プロセッサモジュール214に連結されてもよく、様々なセンサ情報を記憶するように構成されてもよい。いくつかの例示的な実装において、データ記憶装置220は、1日以上の連続分析物センサデータを記憶する。例えば、データ記憶装置は、センサ10から受信される、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、及び/または30日(またはそれ以上)の連続分析物センサデータを記憶してもよい。記憶されたセンサ情報は、以下の内の1つ以上を含んでもよい。タイムスタンプ、未加工のセンサデータ(1つ以上の未加工の分析物濃度値)、校正されたデータ、フィルタリングされたデータ、変換されたセンサデータ、及び/または任意の他の表示可能なセンサ情報、校正情報(例えば、参照BG値及び/または前の校正情報)、センサ診断情報など。
【0111】
ユーザインターフェース222は、1つ以上のボタン224、液晶ディスプレイ(LCD)226、バイブレータ228、オーディオ変換器(例えば、スピーカ)230、バックライト(図示せず)、及び/または同類のものなどの様々なインターフェースを含んでもよい。ユーザインターフェース222を含むコンポーネントは、ユーザ(例えば、宿主)と相互作用するための制御を提供してもよい。1つ以上のボタン224は、例えば、トグル、メニュー選択、オプション選択、状態選択、画面上の質問に対するはい/いいえ応答、「オフにする」機能(例えば、警報に対して)、「認知済み」機能(例えば、警報に対して)、リセット、及び/または同類のものを可能にしてもよい。LCD226は、ユーザに、例えば、視覚データ出力を提供してもよい。オーディオ変換器230例えば、スピーカ)は、現在の、かつ/または予測された高血糖及び低血糖状態などのある特定の警告のトリガに応答して、可聴信号を提供してもよい。いくつかの例示的な実装において、可聴信号は、音色、音量、デューティサイクル、パターン、継続時間、及び/または同類のものによって区別されてもよい。いくつかの例示的な実装において、可聴信号は、センサ電子機器12上の1つ以上のボタン224を押すことによって、かつ/またはディスプレイデバイス上のボタンもしくは選択(例えば、キーフォブ、携帯電話、及び/もしくは同類のもの)を使用してセンサ電子機器12に信号を送ることによって、消音される(例えば、認知されるか、またはオフにされる)ように構成されてもよい。
【0112】
音声及び振動警報が
図2に関して記載されるが、他の警報機構が同様に使用され得る。例えば、いくつかの例示的な実装において、1つ以上の警報条件に応答して患者を「突く」か、または物理的に患者と接触するように構成されるポーキング機構を含む、触覚警報が提供される。
【0113】
他の電池234は、プロセッサモジュール214(及び場合によってはセンサ電子機器12の他のコンポーネント)に動作可能に接続され、センサ電子機器12のための必要な電力を提供してもよい。いくつかの例示的な実装において、電池は、二酸化マンガンリチウム電池であるが、任意の適切にサイズ決定され、電力供給された電池が使用され得る(例えば、AAA、ニッケルカドミウム、亜鉛炭素、アルカリ、リチウム、ニッケル水素、リチウムイオン、空気亜鉛、亜鉛水銀酸化物、銀亜鉛、または密閉形)。いくつかの例示的な実装において、電池は、再充電可能である。いくつかの例示的な実装において、複数の電池は、システムに電力供給するために使用され得る。さらに他の実装において、受信機は、例えば、誘導結合を介して経皮的に電力供給され得る。
【0114】
電池充電器及び/または調整器236は、内部及び/または外部充電器からエネルギーを受容するように構成されてもよい。いくつかの例示的な実装において、電池調整器(またはバランサ)236は、過剰電荷電流をブリードオフして、センサ電子機器12内の全てのセルまたは電池が、他のセルまたは電池を過剰充電することなく十分に充電されることを可能にすることによって、再充電プロセスを調整する。いくつかの例示的な実装において、電池234(複数可)は、誘導及び/または無線充電パッドを介して充電されるように構成されるが、任意の他の充電及び/または電力機構が同様に使用され得る。
【0115】
外部コネクタ(複数可)とも称される1つ以上の通信ポート238が、他のデバイスとの通信を可能にするために提供されてもよく、例えば、PC通信(com)ポートが、センサ電子機器12とは別である、またはそれと一体的であるシステムとの通信を可能にするために提供され得る。例えば、通信ポートは、シリアル(例えば、ユニバーサルシリアルバスまたは「USB」)通信ポートを含み、別のコンピュータシステム(例えば、PC、パーソナルデジタルアシスタントまたは「PDA」、サーバなど)と通信することを可能にしてもよい。いくつかの例示的な実装において、センサ電子機器12は、患者及び/または医師による遡及的分析のために、履歴データをPCまたは他のコンピュータデバイス(例えば、本明細書で開示される分析物プロセッサ)に送信することが可能である。データ送信の別の例として、工場情報もまた、センサから、またはクラウドデータソースから、アルゴリズムに送信されてもよい。
【0116】
いくつかの連続分析物センサシステムにおいて、センサ電子機器の皮膚上の部分は、皮膚上の電子機器の複雑性及び/またはサイズを最小限に抑えるように単純化されてもよく、例えば、未加工のデータ、校正されたデータ、及び/またはフィルタリングされたデータのみを、センサデータを表示するために必要とされる校正及び他のアルゴリズムを実行するように構成されるディスプレイデバイスに提供する。しかしながら、センサ電子機器12(例えば、プロセッサモジュール214を介して)は、変換されたセンサデータ及び/または表示可能なセンサ情報を生成するために使用される予測アルゴリズムを実行するように実装されてもよく、例えば、参照及び/もしくはセンサデータの臨床的受容性の評価し、組み入れ基準に基づき、最良の校正のための校正データを評価し、校正の質を評価し、予測された分析物値を、時間が対応する推定分析物値と比較し、推定分析物値の変動を分析し、センサ及び/またはセンサデータの安定性を評価し、信号アーチファクト(ノイズ)を検出し、信号アーチファクトを置き換え、センサデータの変化率及び/または傾向を決定し、動的及び知的分析物値推定を実施し、センサ及び/またはセンサデータに対する診断を実施し、動作のモードを設定し、以上に関してデータを評価し、かつ/または同類のものを行う、アルゴリズムを含む。
【0117】
別々のデータ記憶及びプログラムメモリが
図2に示されるが、様々な構成が同様に使用され得る。例えば、1つ以上のメモリが、センサ電子機器12におけるデータ処理及び記憶要件をサポートするための記憶空間を提供するために使用され得る。
【0118】
校正
いくつかの連続グルコースセンサが、校正のためにBG値及び/または工場から得られた情報に依存(かつその精度を推定)する一方で、開示された実施形態は、リアルタイム情報(例えば、いくつかの実装において、センサデータ自体のみを含む)を利用して、校正の態様を決定し、かつそれに基づき校正する。
【0119】
場合によっては、分析物センサの校正は、先験的な校正分布情報を使用してもよい。例えば、いくつかの実施形態において、先験的な校正分布情報またはコードは、前の校正及び/もしくはセンサセッションからの情報として受信され(例えば、内蔵された同じセンサシステム)、メモリ内に記憶され、工場で(例えば、工場出荷時設定の一部として)パッケージングのバーコード上でコード化され、クラウドもしくはリモートサーバのネットワークから送信され、介護者もしくはユーザによってコード化され、研究室試験からの結果に基づき、別のセンサシステムもしくは電子デバイスから受信され、かつ/または同類のものが行われ得る。
【0120】
本明細書で使用される場合、先験的な情報は、特定の校正の前に取得された情報を含む。例えば、特定のセンサセッションの前の校正(例えば、前の校正(複数可)からのフィードバック)から、センサ挿入の前に取得された情報(例えば、インビトロ試験からの工場情報もしくはすでに埋め込まれた分析物濃度センサ、例えば、センサの同じ製造ロットのセンサ及び/もしくは1つ以上の異なるロットからのセンサなどから取得されたデータ)、同じ宿主上の同様のセンサの前のインビボ試験、ならびに/または異なる宿主上の同様のセンサの前のインビボ試験。校正情報は、連続グルコースセンサを校正するのに有用な情報を含み、感度(m)、感度の変化(Δdm/dt)(感度のドリフトとも称され得る)、感度の変化率(ddm/ddt)、ベースライン/切片(b)、ベースラインの変化(Δdb/dt)、ベースラインの変化率(ddb/ddt)、センサと関連したベースライン及び/もしくは感度プロファイル(すなわち、ある期間にわたる変化)、直線性、応答時間、センサの特性間の関係(例えば、感度とベースラインとの間の関係)、もしくは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許公開第2012/0265035-A1号に記載されるような、特定の刺激信号出力(例えば、センサのインピーダンス、キャパシタンス、または他の電気もしくは化学特性を示す出力)と、センサ感度もしくは温度(例えば、前のインビボ及び/もしくはエクスビボ研究から決定された)との間の関係、すでに埋め込まれた分析物濃度センサから取得されたセンサデータ、校正されているセンサと関連した校正コード(複数可)、センサと感度との間の患者特有の関係、ベースライン、ドリフト、インピーダンス、インピーダンス/温度関係(例えば、患者またはその患者と共通の特徴を有する他の患者の前の研究から決定された)、センサ埋め込み部位(腹部、腕など)、ならびに/または特定の関係(異なる部位が異なる血管密度を有し得る)などであるが、これらに限定されない。分布情報は、範囲、分布関数、分布パラメータ(平均、標準偏差、歪度など)、一般関数、統計的分布、プロファイル、または校正情報に関する複数の可能な値を表す同類のものを含む。統合すると、先験的な校正分布情報は、センサ(例えば、センサデータ)の校正に有用な特定の校正プロセスの前に提供される、値の範囲(複数可)または分布(複数可)(例えば、それらの関連した確率、確率密度関数、尤度、または発生頻度を説明する)を含む。
【0121】
例えば、いくつかの実施形態において、先験的な校正分布情報は、例えば、センサの種類に基づく、感度(m)に関する確率分布または感度関連情報、及びベースライン(b)またはベースライン関連情報を含む。上記の通り、感度及び/またはベースラインの前の分布は、工場から得られてもよく(例えば、代表的なセンサのインビトロもしくはインビボ試験から)、または前の校正から得られてもよい。
【0122】
前述の通り、分析物センサは、概して、共反応物または生成物のいずれかにおける電流の変化を監視して、分析物濃度、例えば、グルコース濃度を決定するための電極を含む。一例において、センサデータは、アナログ信号からA/Dコンバータによって変換された「カウント」でのデジタルデータ(例えば、電圧またはアンペア数)を含む。校正は、カウントでの測定されたセンサ信号と臨床単位での分析物濃度との間の関係を決定するプロセスである。例えば、校正は、カウントでの所与のセンサ測定値が、例えば、1デシリットル当たりのミリグラムでの測定された分析物濃度値と関連付けられることを可能にする。
図3のグラフ10を参照すると、この関係は、概して、y=mx+bの形態の直線関係であり、式中、「y」は、カウントでのセンサ信号であり(y軸12)、「x」は、分析物濃度の臨床値であり(軸14)、「m」は、[カウント/(mg/dL)]の単位を有するセンサ感度である。線16が示され、その勾配は、センサ感度と呼ばれる。「b」(線分15を参照されたい)は、ベースラインセンサ信号であり、それは、考慮され得るか、または高度なセンサに対して、概して、ゼロまたはほぼゼロまで低減され得る。いずれにおいても、多くの場合、ベースラインは、予測可能な方法で小さいと推定され得るか、または補償されることが可能であり得る。いくつかの実装において、一定のバックグラウンド信号が見られ、そのような信号は、y=m(x+c)によってモデル化され、式中、cは、センサ部位と血糖との間のグルコースオフセットである。
【0123】
いったん線16が決定されると、システムは、測定されたカウント数(または上記のようなアンペア数、例えば、ピコアンペア)を分析物濃度の臨床値に変換することができる。
【0124】
しかしながら、m及びbの値は、センサ間で異なり、決定を必要とする。加えて、勾配値mは、必ずしも一定ではない。例えば、かつ
図4を参照すると、値mは、セッション内の時間の経過にわたって初期感度値m
0から最終感度値m
Fに変化することが見られる。その変化率は、使用の最初の数日に最大であると見なされ、この変化率は、m
Rと呼ばれる。
【0125】
勾配は、多くの理由でインビボ時間の関数である。特に、校正の初期変化に関して、そのような変化は、多くの場合、インビボ環境に「落ち着き」、その環境との平衡を達成するセンサ膜によるものである。センサは、概して、インビトロまたはベンチ上で校正され、インビトロ環境をインビボ環境と可能な限り近いものにするための努力が注がれるが、差はなお明らかであり、インビボ環境自体は、ユーザ間で変化する。加えて、センサは、滅菌または貯蔵寿命/貯蔵条件の差によって異なり得る。セッションにおいて後に生じる校正の変化は、多くの場合、センサの周囲の組織の変化、例えば、センサ上の生物膜の蓄積によるものである。
【0126】
原因が何であれ、変動性のある特定の効果が測定及び決定されてきた。例えば、最終感度mFの変動性が、全体的なセンサの不正確さの最大の要因であることが既知である。同様に、初期感度m0の変動性及び生理学が、初日のセンサの不正確さの最大の要因であることが既知である。
【0127】
上述の変動性のため、校正の初期ステップは、追加のデータが取得されて、シード値をより精密なシード値に調節するまで、1つ以上の校正パラメータに対するシード値を決定及び使用することを含む。
【0128】
いったん校正が達成されると、センサ及び分析物濃度測定システムは、ユーザにおける分析物濃度の臨床値を正確に決定するために用いられてもよい。次いで、センサ及びシステムは、以下でより詳細に記載されるような、感度の誤差及びドリフトの決定を含む、他のセンサ挙動の区別をもたらし得る。
【0129】
最も一般的な現在の校正方法は、外部血糖メータの使用によるものである。そのような校正方法は、一般的に「フィンガースティック校正」と呼ばれ、多くの糖尿病患者にとって周知かつ一般的な生活の一部である。この技術は、有意な工場情報を必要としないという利点を有し、さらに、異常値の低いリスクを提供する。不利点は、有意なユーザの関与が必要とされること、ならびに適切な校正のために必要とされるある特定の他の工場校正情報の知識を必要とすることである。いったんメータ自体が校正されると、そのようなメータからの測定値が信頼されるため、メータからの値は、留置分析物濃度メータを校正するために使用され得る。センサ感度が
図4に見られるように経時的に変化するが、変化する感度は、ユーザが多くの外部校正を実施する意思がある場合、重要ではない。
【0130】
しかしながら、ユーザは、概して、多くのそのような校正を実施することを希望せず、多くの場合、例えば、II型糖尿病患者、前糖尿病患者、または非糖尿病患者の場合でさえ、そのような校正によって提供される追加の精度は、厳密に要求されない。例えば、ユーザにとって、正確な分析物濃度値よりもむしろそれらがどの範囲内にあるかを知ることが十分であり得る。別の実装において、データは、関連した信頼区間が提供されて、表示されたデータにどれほどの信頼を寄せるかをユーザに知らせてもよい。
【0131】
したがって、校正の回数を低減するための努力が注がれてきた。それにもかかわらず、多くの現在のCGMシステムは、血糖値が少なくとも初期校正のために使用されることをなお必要とし、それは、多くの場合、投与時にも必要とされる。本原理に従った本システム及び方法は、部分的に、そのような必要とされる校正を低減または排除する方法に関する。
【0132】
あるレベルの校正を提供する1つの単純かつ便利な方法は、関連センサに関する校正情報の使用によるものである。校正情報が概算である場合でさえ、そのような情報はなお、ある特定の患者群による使用に対して十分であり得る。例えば、かつ
図5のフローチャート18を参照すると、工場校正が製造ロット内の1つ以上のセンサに関して既知である場合、この情報は、患者においてまだ使用されていない製造ロットの他のセンサに提供されてもよい(ステップ20)。このステップは、コードが、多くの場合、センサがCGMシステムの一部として患者への挿入中に一緒に連結される際、センサの製造ロット(及びしたがって、詳細)を識別するために使用されるため、多くの場合、送信機に「コード」を提供することと呼ばれる。次いで、送信機は、コードから製造ロットを識別し、ルックアップテーブルまたは他の技術に従って適切な校正パラメータを適用してもよい。しかしながら、コードが、送信機だけではなく、カウントが臨床単位に変換され得る任意のデバイス、例えば、専用受信機、分析物濃度を受信及び表示するために用いられ得る既製のデバイス、例えば、スマートフォン、タブレットコンピュータなどにも提供され得ることが理解されるべきである。加えて、コードは、典型的な意味でのコードではなくてもよく、単純に、任意の識別子を、校正目的でそれを必要としている任意のデバイスに提供してもよい。
【0133】
再び
図5を参照すると、センサに関する工場情報を送信機または他の電子機器に提供するステップを達成する方法が記載される(ステップ20)。これらの方法のうちのいくつかは、コードを使用することなく校正情報を提供するためのオプションを構成する(ステップ22)。他の方法は、ユーザデータ入力のステップを使用してコードを提供する方法を含む(ステップ28)。場合によっては、コードは、ユーザ入力なしで入力されてもよい(ステップ24)。コードを提供するさらに他の方法が使用されてもよく(ステップ26)、そのような追加の方法もまた、以下に記載される。これらの方法の詳細がここで記載される。
【0134】
図6のフローチャート30を参照すると、コードの非存在下で工場校正情報を提供する実施例(ステップ22)が記載される。第1の方法は、代表値、例えば、製造ロットの平均値もしくは中央値、または他の測定値、例えば、範囲を使用することである(ステップ34)。つまり、製造ロットの平均値が既知である場合、または同じ技術を使用して製造された異なる製造ロットの平均値が既知である場合でさえ、センサ校正パラメータが同様になり、したがって、新しいセンサの校正の一部として使用され得ることが推定され得る。あるいは、予測可能な関係もまた、センサ校正パラメータを補間する、例えば、センサロットを一括するために用いられ得る。
【0135】
別の例として、インピーダンス測定が、校正パラメータの決定において用いられてもよい(ステップ40)。
【0136】
校正はまた、前の校正に関する情報を使用して行われ得る(ステップ38)。例えば、ユーザが、校正されて、例えば、120mg/dLでユーザのグルコース濃度を測定していたセンサを切り替えたばかりの場合、新しく挿入されたセンサの適切な測定が、ユーザのグルコースが再び120mg/dLであるようなものであるはずと推定され得る。場合によっては、予測されたグルコース値が決定されている場合、予測値は、新しく挿入されたセンサのために使用されてもよい。古いセンサの最後の読み取りと新しいセンサ読み取りとの間で短時間経過した場合でさえ、生理学的に可能性のあるグルコースの変化の認識は、新しい測定値が何であり得るか、したがって新しいセンサの校正パラメータが何であり得るかにおける限度をもたらす。
【0137】
さらに別の変化形において、様々な自己校正アルゴリズムは、CGMシステムを自己校正するために用いられてもよい(ステップ36)。この意味で、CGMシステムは、「自己認識」するようになると呼ばれ得る。例えば、CGMシステムは、以下でより詳細に記載されるように、前のセッションの定常状態値または前のセッションの遅い移動平均の使用を含む、例えば、前のセッションから既知である平均グルコース値でシード化されてもよい。CGMシステムはまた、利用可能な場合、A1C値でシード化されてもよい。様々な推定もまた、必要に応じて行われ得る。シード化された平均値は、分布によって表され得、そのための技術も以下でより詳細に記載される。
【0138】
図7は、コードがユーザ入力のステップなしでセンサから送信機に提供され得る(ステップ24)、システムを記載する。この場合もやはり、コードを送信機に提供することに関する表現がここで使用されるが、コードが、専用受信機、スマートフォン、タブレットコンピュータ、フォロワーデバイス、または他のコンピュータ環境を含む、送信機と信号通信している様々なデバイスにも同様に提供され得ることが理解されるであろうことに留意されたい。
【0139】
図7のダイアグラム42の実装において、コードなどが送信機に提供されるが、有意なユーザの関与はない。例えば、コード化の程度は、センサの製造ロットを異なる市場に送ることによって達成されてもよい(ステップ46)。一実装において、同様のコードを有するセンサは、異なる地理的位置に送られてもよい(ステップ48)。例えば、特定の地理的領域に送られるセンサは、同様のまたは同じ製造ロットからであってもよく、それが挿入され、ネットワークと初期に交信するとき、そのロットに関して既知の校正パラメータは、送信機に提供されてもよく、したがって地理的位置に基づき、即座の校正の程度を提供する。地理位置情報が位置を識別するために用いられてもよく、その位置は、次いで、センサを識別または分類するために使用されてもよい。
【0140】
同じ方法で、同様のロットのセンサが、生成物によってグループ化されてもよく、したがって、異なるコードが、次いで、異なる生成物と関連付けられる(ステップ54)。例えば、第1の生成物は、それと関連した第1のコードを有してもよく、その生成物に対するセンサの全てが、同じまたは同様の方法で製造され得、特定の生成物と関連したセンサ間の製造変動性をほとんどもたらさない。この場合、いったん生成物が識別されると、関連したセンサ校正パラメータは、少なくとも平均として一意的に決定され得る。
【0141】
別の実装において、地理的位置または生成物を特に考慮せず、特定のコードを有するセンサのある特定の群は、対応するユーザの送信機と特に関連したコードを有して出荷されてもよい(ステップ56)。この場合、いったん校正パラメータが送信された群の1つのメンバーに関して既知になり、かつそのようなパラメータが、群が送信されるずっと前に既知であり得ると、群の残りに関する校正パラメータもまた既知である。
【0142】
RFID技術もまた、センサの製造ロットを識別するために使用され得る(ステップ58)。例えば、小型RFIDチップは、センサの基部に位置してもよく、センサ及び送信機が連結されたときに送信機によって読み取られてもよい(ステップ60)。別の実装において、RFIDは、受信機、あるいはスマートフォンまたは他のデバイスによって読み取られてもよい(ステップ62)。あるいは、RFIDデバイスは、アプリケータ上に位置してもよく、送信機は、アプリケータが患者にセンサを取り付けるために使用されるとき、識別情報(及びしたがって、校正情報)を再び読み取ってもよい。
【0143】
さらに別の実装において、近距離無線通信(NFC)は、識別情報を通信するために、パッケージング上またはシステムの任意の他のコンポーネント上で用いられてもよい(ステップ66)。
【0144】
他の種類の通信スキームが、センサから送信機に情報を通信するために用いられてもよい。例えば、送信機上の機械センサは、送信機のコード情報、例えば、バンプ、垂直ピン、機械システム検知方向の、基部または送信機によって読み取り可能な他の機械要素への通信を可能にしてもよい(ステップ72)。磁気センサが同じ目的で用いられてもよく(ステップ78)、同じ方法で、送信機上の光学式読み取り装置が、例えば、バーコードまたはQRコード(登録商標)ならびに他の識別マークまたはカラーを読み取るために用いられてもよい(ステップ74)。抵抗センサ、または接続の状態を検出する他のセンサもまた用いられてもよい(ステップ76)。例えば、異なるコードのセンサは、対応する異なる長さが備わっていてもよい。センサは、センサが整列される複数の接触パッドが備わっていてもよい。異なるコードのセンサは、異なる抵抗性が備わっていてもよく、その測定がコードを決定してもよい。
【0145】
図8は、ユーザデータ入力を用いたコード通信の方法(ステップ28)を示すダイアグラム80を示す。おそらく最も簡潔に、コードは、購入時にユーザに提供されてもよく、それは単純に、受信機、スマートフォン、またはデータ入力を可能にするUIを有する他のデバイスに手動で入力される(ステップ84)。例えば、ユーザは、テキスト、数、色などを入力してもよい。センサはまた、カード、例えば、SIMカードと出荷されてもよく、SIMカードは、受信機に挿入されて(ステップ90)、校正情報が通信されることを可能にし得るが、ユーザが手動コードを入力する必要はない。送信機は、スイッチシステムが備わっていてもよく(ステップ88)、ユーザは、受信されたセンサ上の命令に従って送信機上のスイッチの位置を調節してもよい。例えば、送信機スイッチは、4位置スイッチまたはDIPスイッチであってもよく、適切な調節によって、ユーザは、センサと関連したコードを送信機に提供してもよい。受信機またはスマートフォンはまた、一体型カメラまたはバーコードリーダを介して、センサと関連したラベルをスキャンすることが可能であって、情報がその方法で通信されることを可能にし得る。スキャンは、バーラベル、QRコード(登録商標)などを有してもよい。
【0146】
1つの変化形は、
図9~11にして以下に記載される。この実装は、フィールドからのヒトデータを用いて、工場校正を改善するか、または可能にする。より詳細に、工場校正パラメータ(例えば、経時的な感度及びベースライン)は、多くの場合、ヒトデータを使用して最良に識別される。ベンチデータは、ヒトデータと相関するが、相互関係は、なお完璧ではなく、多くの場合、相互関係においてオフセットがある。製造中に生産されたセンサの各ロットによって生成されたヒトデータにアクセスを有することは、概して、工場校正情報を生成するための最良のデータセットである。工場校正パラメータは、ロット間で変化し得るため、各ロットを特徴付けることは、改善が行われる際に有利であり得る。
【0147】
図9~11は、多くのセンサの一部を使用して人において収集されたデータを使用して、ロットの残りに対して工場校正数を生成または調節する方法を示す。この方法にはいくつかの配列がある。
【0148】
位置配列において、校正されたセンサは、患者による使用のために市場に送られる。そのようなセンサが、例えば、血糖校正技術、またはCGM信号自体のみを使用する校正技術を含む、他の校正技術を介して、接続されたシステムにおいて校正されると、校正情報は、クラウドまたは他のインターネットベースのネットワークを通じて製造業者に戻されてもよい。情報は、市場に送られなかったセンサの製造ロットの残りに対して工場校正設定を生成するために使用されてもよく、次いで、それが出荷されてもよい。
【0149】
別の実装において、製品と一緒に出荷される初期工場校正設定がある。この場合もやはり、クラウドまたはネットワーク情報が監視されてもよく、実際のパラメータが初期工場校正設定とどれほど厳密に一致するかに関する決定が行われてもよい。次いで、この決定された近接性に基づき、出荷されていないセンサの工場校正設定に調節が行われてもよい。この実装及び前の実装において、センサ製品のリリースは、後続の出荷が精度を改善しているように時間差が付けられてもよい。この実装は、調節がネットワークを通じて、またはクラウドを通じて実施され得るため、センサの全てが出荷されている場合でさえ、さらに実施されてもよい。
【0150】
より詳細に、かつ
図9を参照すると、工場148は、センサの製造ロットまたはバッチ150を有して示され、製造ロットまたはバッチは、概して、同じ(または非常に似た)製造プロセスで作られる。ロットまたはバッチ150は、第1の部分154及び第2の部分156に分割されてもよい。第1の部分154は、一時的に工場148にとどまってもよい一方で、第2の部分156は、ユーザの群158に送られてもよい。
【0151】
次に、
図10を参照すると、第2の部分156からのデータは、第1の部分154の工場校正を通知し、それを校正された第1の部分154’に変換するために、工場148で使用されてもよい。第1の部分154がすでに出荷されている場合、ユーザの群158内で、第1の部分は、挿入前または後に校正されてもよく、第1の部分154’’と示される。出荷に続く第1の部分の校正は、工場校正情報に関するネットワークまたはクラウドリソースへのアクセスによって、特に、それがフィールド内のセンサからのデータで更新されている場合、上述の通り行われてもよい。
【0152】
図11は、上記の方法を示すフローチャート160である。まず初めに、センサの製造ロットまたはバッチが、工場において既知の、かつ再現可能な条件下で製造される(ステップ162)。ロットまたはバッチは、少なくとも2つの部分に分割される(ステップ164)。便宜上、2つの部分がここに記載されるが、製造ロットは、時間差が付けられたリリースのために任意の数の部分に分割されてもよい。
【0153】
この実施例では、第2の部分は、ユーザに送られる(ステップ166)。第2の部分は、次いで、校正され(ステップ168)、校正は、例えば、先験的な情報、ベンチ校正値、ユーザデータ、フィンガースティック校正などを使用して、既知の方法で行われてもよい。校正はまた、本明細書に開示される技術を使用して行われてもよい。
【0154】
第2の部分からの校正情報は、次いで、工場に送られてもよい(ステップ170)。センサの第1の部分の校正は、次いで、第2の部分からのデータに基づき生成または調節されてもよい(ステップ172)。つまり、工場校正が第1の部分に対して生成されている場合、それは、必要に応じて調節されてもよい。工場校正が生成されていない場合、第2の部分からの受信されたデータが、第1の部分の校正、例えば、フィールドからの決定された感度の平均などを通知するために使用されてもよい。調節または生成は、工場で行われてもよく(ステップ174)、またはそれは、出荷に続いて、患者への挿入前または後に行われてもよく(ステップ176)、送信機、受信機、または他のモニタリングデバイス、例えば、スマートフォンは、工場148によって操作されるサーバまたは他のネットワークリソースとネットワーク通信している。
【0155】
いったんセンサがユーザに挿入され、初期校正が完了すると、それ以降のいかなる校正も、「進行中」または「継続中」校正と呼ばれる。概略的に、これは、
図12のダイアグラム102に示される。ユーザ、患者、または宿主112は、送信機115に接続される留置センサ114を有する。多くの場合、送信機は、異なるセンサに対して複数回使用される。他の場合、送信機は、使い捨てにされてもよい。
【0156】
送信機115は、センサ114によって測定された信号の、受信機、または専用デバイス104、またはスマートフォン108などのデバイスへの通信を可能にする。受信機104は、ディスプレイ106を有して示され、スマートフォン108は、ディスプレイ110を有して示される。ディスプレイ106または110は、分析物濃度、例えば、グルコース濃度のユーザ臨床値を示すために用いられてもよい。その際、それらは、測定された電流またはカウントが、感度を表す勾配を有する直線関係によって、分析物濃度の臨床値に関連するという上述の関係に依存する。
【0157】
本原理に従ったシステム及び方法は、センサ信号自体の特徴に大部分またはもっぱら基づいた、この直線関係の発展または決定を記載し、いくつかの実装において、前のシステムが依存したように、外部データに依存しない。加えて、「自己」または「自動」校正を用いたそのような「自己認識」システムは、後続の分析物濃度をより正確に測定するためだけではなく、前の測定の結果を遡及的に修正するためにも用いられ得る。このようにして、そのようなシステムは、ディスプレイ、例えば、ディスプレイ106またはディスプレイ110などの上に表示されるとき、それは、測定されたデータをより正確に伝達する。言い換えれば、遡及的な処理は、前の校正を補正または修正するために、かつそれから測定されたデータを更新するためにさえ、用いられてもよい。このようにして、ディスプレイが履歴データならびに現在データを示す場合、少なくとも履歴データは更新されて、すなわち、その表示は変化して、前の校正より既知であるか、またはより信頼して既知である校正パラメータを反映する。
【0158】
この方法は、
図13のフローチャート116によって示され、第1のステップは、シード値の受信または決定であり(ステップ118)、例えば、上記の初期校正手順を使用して受信または決定されてもよい。次いで、シード値は、校正を決定するために用いられてもよい(ステップ120)。例えば、受信された校正パラメータが勾配または感度mの特定の値である場合、それは、測定されたカウントを分析物濃度の臨床値に相互に関連付けるために使用されてもよく、それらの測定された分析物濃度、例えば、グルコース測定値をユーザにすぐに通知し始めるために使用されてもよい。つまり、分析物は、センサを用いて測定されてもよく(ステップ122)、測定値は、ステップ118において受信されたシード値に少なくとも部分的に基づき、ユーザに表示されてもよい(ステップ124)。
【0159】
場合によっては、校正の変化が生じ(ステップ126)、それは、以下に記載される方法を含む様々な方法で検出されてもよい。校正、具体的には、感度及びベースラインを含む校正パラメータは、次いで、調節されてもよい(ステップ128)。校正パラメータの更新後、表示が更新されてもよい(ステップ130)。
【0160】
上述の通り、表示の更新は、分析物濃度の現在測定されている値を調節することだけではなく、調節された校正に基づき履歴値を再計算し、かつその表示を変化させることも指し得る。例えば、感度は、初期値によって「シード化」されている可能性があるが、データの受信に続いて、初期シード値よりも実際には10%低いと決定され得る。この場合、調節されるのは進行中の表示されている分析物値だけではなく、一実装において、履歴値も、更新された感度を反映するように調節され得る。この実施例は、シード値が測定値を用いて更新される状況を示す。場合によっては、すでに決定された値(シードまたは測定値によって決定された)は、後に決定される値を用いて更新されてもよい。この状況は、例えば、センサ校正パラメータが「ドリフト」するときに生じ得る。例えば、センサの校正がドリフトしたと決定される場合、受信機、スマートフォン、または他のモニタリングデバイスが分析物濃度の正確な値を表示し続けるように、校正パラメータに変更が行われてもよい。一実装において、ドリフトが生じたときが決定され得る場合、ある特定の履歴値、すなわち、ドリフトに続いて測定された値が、ディスプレイ中で更新されてもよい一方で、他の履歴値、例えば、ドリフト前に測定された値は、更新される必要がない。
【0161】
一実装において、決定されたシード値及び初期シード値が近い、例えば、10%以内である場合、初期シード値(または他の校正パラメータ)は、単純にそれに応じて調節されてもよい。しかしながら、値がさらに離れている場合、ユーザは、例えば、任意選択のフィンガースティックによる介入のために促され得る。
【0162】
図14及び15は、感度の変化の前(14)及び後(15)の経時的な分析物濃度を示すグラフである。具体的には、
図14は、経時的な分析物濃度のプロット138が示される、グラフ132を示す。軸134は、分析物濃度の値を表し、軸136は、時間を表す。感度の変化に続いて、グラフは、変換された履歴分析物値146を有するグラフ140になる。感度の変化は、実装に応じて、更新された感度または更新されたシード値と見なされ得る。平均センサ信号、センサ信号の標準偏差、もしくはCV(変動係数)、もしくは四分位範囲、または他の高次もしくは順位統計が挙げられるが、これらに限定されない、センサ信号特性を使用して校正を調節する複数の他の方法が用いられ得る。
【0163】
より詳細に、かつ前の努力とは対照的に、好ましい実施形態は、グルコースデータの実質的にリアルタイムのグラフ表示(例えば、前の分数または時間数にわたるグルコース濃度を表す、傾向グラフ)を、処理されたデータを用いて周期的に、または実質的に連続的に後処理(例えば、更新)するためのシステム及び方法を記載し、データは、校正の更新に応答して、例えば、センサドリフト、システムエラーなどの結果として処理されている。
【0164】
図16に示される分析物濃度測定システム135、具体的にブロック137を参照すると、センサデータモジュールとも称されるセンサデータ受信モジュール、またはプロセッサモジュールは、1つ以上の時間を置いたセンサデータ点を含む、センサデータ(例えば、データ流)を受信する。いくつかの実施形態において、データ流は、追加の処理のためにセンサに記憶され、いくつかの代替実施形態において、センサは、センサと有線または無線通信していてもよい、スマートフォンなどの受信機または他のモニタリングデバイスに、データ流を周期的に送信する。いくつかの実施形態において、未加工の及び/またはフィルタリングされたデータは、センサに記憶され、かつ/または受信機に送信及び記憶される。
【0165】
ブロック139において、プロセッサモジュールは、様々な方法でセンサデータを処理するように構成される。プロセッサモジュールはまた、校正モジュール143と組み合わせて、上記及び以下により詳細に記載されるように、校正の変化が生じたかどうかを決定するために用いられてもよい。より詳細に、ブロック143において、校正モジュールは、データ流中のデータを使用して、校正の変化、より具体的には感度の変化を検出する。
【0166】
ブロック141において、出力モジュールは、ユーザインターフェース(図示せず)を介してユーザに出力を提供する。出力は、推定されたグルコース値を表し、それは、センサデータを有意義な臨床グルコース値に変換することによって決定される。ユーザ出力は、例えば、数値の推定されたグルコース値、グルコース濃度の方向の傾向、及び/またはある期間にわたった推定されたグルコースデータのグラフ表示の形態であってもよい。推定されたグルコース値の他の表示、例えば、音声及び触覚も考えられる。いくつかの実施形態において、出力モジュールは、「リアルタイム」のグルコース値(例えば、ごく最近の測定されたグルコース値を表す数値)、ならびに処理及び/または後処理されたセンサデータのグラフ表示の両方を表示する。
【0167】
一実施形態において、推定されたグルコース値は、数値によって表される。他の例示的な実施形態において、ユーザインターフェースは、所定期間(例えば、それぞれ1、3、及び9時間)にわたる推定されたグルコースデータ傾向をグラフで表す。代替実施形態において、他の期間が表され得る。代替実施形態において、写真、アニメーション、チャート、グラフ、値の範囲、及び数値データが選択的に表示され得る。
【0168】
プロセッサモジュールは、後処理のステップを実施するようにさらに構成されてもよく、例えば、受信されたデータ、例えば、より最近受信されたデータに従って、期間に対応するデータの表示されたグラフ表示を周期的に、または実質的に連続的に後処理(例えば、更新)するように構成されてもよい。例えば、グルコース傾向情報(例えば、前の1、3、または9時間の傾向グラフに関する)は、新しく決定された校正値を考慮する実際のグルコース値をよりよく表すように更新され得る。いくつかの実施形態において、後処理モジュールは、数秒、数分、数時間、数日毎に、もしくはその間のどこかで、かつ/またはユーザによって要求されたとき(例えば、3時間傾向グラフの表示の要求などのボタン起動に応答して)、データのセグメント(例えば、1、3、または9時間の傾向グラフデータ)を後処理する。
【0169】
概して、後処理は、「最近の」センサデータ(例えば、ここ数分または数時間以内の時点を含むデータ)に対して、プロセッサモジュール(例えば、手持ち式受信機ユニット内の)によって、センサデータのその初期表示後、かつ当該技術分野において「遡及的分析」と一般的に呼ばれるもの(例えば、医師の分析のためのセンサデータの表示などのために、データセット全体に対して、断続的、周期的、または連続的とは対照的に、一度に遡及的に達成される分析)の前に実施される、処理を含む。後処理は、センサデータを再校正すること(例えば、参照値とよりよく一致するために)、データギャップを埋めること(例えば、ノイズまたは他の問題によって排除されたデータ)、センサデータを平滑化(フィルタリング)すること、センサデータのタイムラグを補償することなどのために実施されるプログラミングを含むことができる。好ましくは、後処理されたデータは、「リアルタイム」で(例えば、ここ数分または数時間以内の最近のデータを含む)、個人用手持ち式ユニット上に(例えば、受信機またはスマートフォンの1、3、及び9時間の傾向グラフ上などに)表示され、新しいまたは追加の情報が入手可能であるとき(例えば、新しい参照データ、新しいセンサデータなど)、自動的に(例えば、周期的に、断続的に、もしくは連続的に)、または選択的に(例えば、要求に応答して)更新(後処理)され得る。いくつかの代替実施形態において、後処理は、校正エピソードの変化の継続時間に応じてトリガされ得、例えば、約30分を過ぎて延長する校正事象の変化と関連したデータは、校正エピソードの変化の最初の30分間のデータとは別に処理及び/または表示され得る。
【0170】
1つの例示的な実施形態において、プロセッサモジュールは、データ流をフィルタリングして、前の期間にわたるデータを再計算し、その期間にわたる再計算されたデータのグラフ表示を周期的に、または実質的に連続的に表示する(例えば、傾向グラフ)。別の例示的な実施形態において、プロセッサモジュールは、前の期間にわたるデータから、タイムラグに関してデータを調節し(例えば、リアルタイムフィルタリングによって誘発されたタイムラグを除去し)、その期間にわたるタイムラグが調節されたデータのグラフ表示を表示する(例えば、傾向グラフ)。別の例示的な実施形態において、プロセッサモジュールは、前の期間にわたるデータに対して、移動ウィンドウにわたって(例えば、1つ以上のセンサデータ点の前及び後の時点を含む)、1つ以上のセンサデータ点をアルゴリズム的に平滑化し、その期間にわたる更新、平均化、または平均化されたデータのグラフ表示を表示する(例えば、傾向グラフ)。
【0171】
いくつかの実施形態において、プロセッサモジュールは、校正事象の変化の開始の決定に応答して、センサデータをフィルタリングし、フィルタリングされたセンサデータのグラフ表示を表示するように構成される。いくつかの実施形態において、プロセッサモジュールは、校正事象の変化の終了の決定に応答して、フィルタリングされていないセンサデータ(例えば、未加工のデータ)のグラフ表示を表示するように構成される。いくつかの実施形態において、プロセッサモジュールは、校正事象の変化が決定されるときを除いて、フィルタリングされていないセンサデータのグラフ表示を表示するように構成される。校正事象の変化中の選択的フィルタリングを含む、本明細書に記載される適応フィルタリングが、表示されたデータの精度を高め、ノイズデータの表示を減少させ、かつ/もしくはデータギャップを低減し、かつ/または従来のセンサと比較して早く遮断することが分かっている。
【0172】
校正ルーチン
上述の通り、ユーザにとって、特にII型のユーザ、または減量最適化ならびに/もしくはスポーツ及びフィットネス最適化のためのシステムを使用するユーザにとって、より便利な校正ルーチンを提供することが望ましい。
【0173】
ユーザベースの校正の必要性を低減する一方法は、より強化された工場校正を用いることであり、工場校正と関連した方法に関するある特定の詳細は、US 2014-0278189-A1として公開された、2013年3月14日出願のUSSN 13/827,119、及び2014年9月22日出願のUSSN 62/053,733に見られ、それらの両方は、本願の出願者によって所有され、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0174】
他の技術もまた、校正要件を容易にするために用いられ得る。例えば、
図17のフローチャート145を参照すると、前のセンサセッションが概して信頼できる結果を示した場合(ステップ147)、同じ校正パラメータは、前のセッションから新しいセンサセッションに単純に用いられてもよい(ステップ149)。具体的には、古いセンサセッションからの校正パラメータは、多くの方法で、例えば、校正パラメータがセンサ電子機器上に記憶される場合、グルコース信号送信機技術を用いることによって、または校正パラメータがモニタリングデバイス、例えば、スマートフォンに記載される場合、校正状態変数を新しいセッションに伝えることによって、新しいセンサセッションに送信されてもよい。この技術は、センサが、例えば、同じ種類の同じバッチ、同じパッケージなどから、ある程度関連している場合、特に有用であり得る。
【0175】
この技術は、必ずしも、単一の前のセッションの使用のみ、例えば、1つのセッションのみに戻ることに限定されない。例えば、繰り返しパターン、例えば、履歴パターンは、いくつかの前のセンサセッションの分析によって学習され得る。例えば、システムは、ユーザが金曜日にピザを食べる習慣があり、最後の7回のセッションにわたってそれを行っていることを学習し得、したがって、アルゴリズムは、異常値としてそのような事象を処理しないように学習し得る。患者の習慣、例えば、患者が数回のみの大量の食事と対比して多くの少量の食事をとることが好きであることも、学習され得る。例えば、患者が、彼らのデバイスの取り付け及び/または使用の特定の方法により、特定の故障モードの傾向がある場合、故障モードもまた学習され得る。
図18と関連して以下で考察されるように、繰り返し性事象を構成するある特定のグルコーストレース特性は、有利に、前のセンサセッションから学習されてもよく、多くの場合、一般的な事象を異常値と区別するために、複数の前のセンサセッションが必要である。加えて、他の事象データ、例えば、食事または運動データが入手可能である場合、そのような繰り返し性事象と入力された食事または運動データとの間の相互関係が学習され得る。
【0176】
次に、
図18を参照すると、校正の別の方法のためのフローチャート178が示される。具体的には、ある特定のグルコーストレース特性が、それらが再発する場合、既知のかつ繰り返し性のグルコース値において再発するという繰り返し性事象を示すことが既知である。例として、定常状態値、ある特定の勾配を含むある特定の傾向値などが、所与の患者に対して再現可能である傾向がある。そのような繰り返し性事象は、繰り返し性のかつ検出可能な特徴的なグルコーストレース性質及び/またはパターンを引き起こす傾向がある。例えば、分析物値が、迅速に変化していない場合、すなわち、定常状態である場合、高度に再現可能であることが、多くの生物系の特徴である。換言すれば、分析物値が第1の時間にわたって定常状態であり、その後に、第2の期間にわたって定常状態である場合、分析物の値、例えば、濃度は、概して、定常状態期間のそれぞれにおいて、同じ値であるか、またはそれに近い。この概念は、分析物センサを校正するために用いられ得る。
【0177】
例えば、ユーザが分析物に関して定常状態である場合、分析物の値は、測定及び記憶され得る。ユーザが再び定常状態であるとき、彼らの分析物値が前に測定された値と同じである可能性が高く、したがって、分析物濃度値を読み取るセンサが校正され得る。
【0178】
異なる分析物が、様々な方法で異なる定常状態を達成し得る。例えば、尿酸濃度は、典型的な1日を通じてほとんど変化しない。ユーザが数時間運動せず、食事をしていない場合、彼らのグルコース値は、定常状態であり得る。ユーザが数時間運動していない場合、彼らの乳酸値は、定常状態であり得る。概して、生物系がある期間にわたって有意に変化していない場合、グルコースを含む多くの分析物値は、定常状態を達成する。記述通り、定常状態値は、特に、前糖尿病患者または非糖尿病患者にとって、かつ主に減量最適化もしくはスポーツ最適化のためのシステムを使用しているヒトにとって、再現可能である。したがって、分析物値において定常状態が検出されるときはいつでも、分析物を測定するセンサは、校正され得る。
【0179】
場合によっては、システムは、定常状態を達成するために断食または運動するようにユーザを促してもよく、それは、次いで、測定され、その後にそのような校正のために用いられ得る。さらに、システムは、定常状態を検出するが、例えば、ユーザに「断食していませんか?」と質問することによって、検証のためにユーザを促してもよい。
【0180】
場合によっては、定常状態値は、ユーザの人口統計に基づき決定され得、したがって、いかなる測定も必要としない。例えば、非糖尿病患者に対して、典型的なグルコース値は、約80~100mg/dLであり得る。多くの場合、ヒトが非常に非糖尿病性である場合、彼らの値が約80であり得る一方で、それらが前糖尿病へと進行している場合、彼らの値は、100に近づき得る。したがって、ユーザに関するある特定の情報のみをシステムに提供することによって、特に、ユーザが精度を正確な値に決定させる必要がなく、むしろ特定の範囲のみへの精度が十分であり、例えば、高血糖、低血糖、または正常血糖である場合を含む、ある特定の用途のために、ある程度の校正が実施されることを可能にし得る。
【0181】
定常状態を除いて、用いられ得る他の繰り返し性事象は、勾配、典型的なまたは同様の食事後の応答、例えば、ユーザが同じ種類の朝食を毎日とる場合、朝食後の応答を含む。他の繰り返し性事象は、例えば、毎日の低測定値から高測定値の範囲、すなわち、毎日の高低範囲、ある特定の種類の偏位、ある特定の種類の一時的パターン、減衰率、及び勾配、変化率などを含む。
【0182】
特定の例として、ユーザが特徴的な朝食をとり、特徴的な朝食が特徴的な食後グルコース傾向をもたらす場合、傾向の変化が生じる場合は、少なくともある程度まで、センサの感度の変化が生じており、センサが再校正される必要があることが推定され得る。
【0183】
追加のデータも、校正を補助するために用いられ得る。例えば、ユーザが糖尿病であり、彼らの血糖を1日に数回何らかの方法で測定している場合、そのような値は、校正値として用いられ得る。これは、特に、彼らの血糖値が有意に変化する場合に当てはまる。この場合、システムが局所的な定常状態を検出する場合、システムは、値を定常状態と相互に関連付けるために、血糖値を測定及び入力するようにユーザを促し得る。
【0184】
履歴データは、場合によっては、定常状態校正値、例えば、血液記録からの前のデータ、前のセッションからのデータ、長期間グルコース平均値を追跡するA1Cなどの測定からの推定などを決定するために用いられ得る。
【0185】
場合によっては、特定の値に焦点を合わせる必要はない。ユーザが値のある範囲内にあるという決定は、II型のユーザにとって十分であり得る。範囲は決定され、ユーザに、目標が達成されているかどうかに関する情報、または彼らが受けているプログラムに関する情報を提供するのに使用されてもよい。
【0186】
定常状態推定の使用は、初期校正のためだけではなく、更新校正のためにも用いられ得る。つまり、システムが後続の定常状態にあると見なされるときはいつでも、後続の定常状態中に測定された値は、ユーザに対して元々決定された値であると推定され得る。加重平均、遅い移動平均(以下を参照されたい)などの使用を含む、他の計算もまた用いられ得る。
【0187】
図18を参照すると、フローチャート178の方法は、デバイスから直接生成された情報、すなわち、分析物濃度信号自体を使用して、グルコース濃度または他の分析物値の校正を可能にする。
【0188】
したがって、フローチャート178を参照すると、これらの原理に従った校正ルーチンの第1のステップは、システムが定常状態(ステップ180)、例えば、第1の既知の定常状態にあることを検出することである。
【0189】
一般的に、定常状態は、ユーザによるいかなるアクションもなく検出され得る(ステップ182)。しかしながら、場合によっては、定常状態は、例えば、食事または運動ルーチンに続いて所定の期間待機することによって(ステップ186)、事象の後に所定の期間待機することによって、定常状態が達成されることを可能にするように促されてもよい(ステップ184)。システムまたはルーチンは、例えば、断食に関するユーザ情報を要求するか、または促してもよく、例えば、ユーザの最後の食事からの継続時間または関連パラメータを入力するようにユーザを促す。グルコースの場合、ルーチンは、低い変化率、または所定の値未満の変化率、例えば、1分当たり0.25mg/dL未満を求めるように構成されてもよい。場合によっては、校正がまだ生じていない場合、変化率は、カウント、またはマイクロアンペア、または他の「未加工の」信号値に基づいてもよい。変化率は、導関数の計算によって決定されてもよい。
【0190】
いったん定常状態が検出されると、感度などの校正パラメータは、定常状態における測定されたカウント数(もしくは電流)及び既知の定常状態グルコース値に基づき決定されてもよく(ステップ188)、それは、既知または推定であってもよい。その後、別の定常状態が検出され得(ステップ192)、ドリフトが生じている場合、第2の定常状態は、異なるカウント数と関連する。ドリフトの程度を決定するために、異なるカウント数が使用されてもよく、システムは、すでに既知の定常状態グルコース値と共に、新しい(第2の)定常状態で測定される新しい(第2の)カウント数を使用して再校正されてもよい(ステップ194)。
【0191】
場合によっては、変化が実質的であり、例えば、所定の閾値を超える場合、ユーザは、追加のデータ、例えば、フィンガースティック、運動または食事に関するデータなどのために促されてもよい(ステップ196)。ドリフトの原因を決定するために、差もまた用いられ得る(ステップ198)。
【0192】
特定の例がここで記載される。持続血糖モニタは、糖尿病患を患っていない患者のために使用されてもよい。糖尿病患を患っていない患者において、彼らのグルコース値は、典型的には、70~90mg/dLの範囲内である。彼らのグルコースレベルは、食事後または激しい運動中のみ、この範囲から外れ、場合によっては、そのような偏差は、センサ信号の変化によって、または心拍数モニタまたは加速度計を使用した補助測定を介して検出されてもよい。これらのグルコース偏位中、センサによって測定される電流は、迅速に変化し、それは、モニタリングデバイスによって容易に検出され得る。変化率は、例えば、最後の20分間のグルコース値にわたるFIRフィルタを使用して計算され得るが、期間の継続時間で除算される、期間の開始時及び終了時の2つのグルコース値間の差として定義される単純な変化率まで及び得る。迅速な変化率の間、本原理に従ったシステム及び方法は、校正のための繰り返し性事象として定常状態発生を使用する場合、校正のそのような迅速に変化するデータを回避することができるが、むしろ、値が校正事象を実施する前に安定するまで待機してもよい(記述通り、ある特定の校正方法は、そのようなものを利用し得る。例えば、上述の通り、場合によっては、校正に使用可能な繰り返し性事象が、一時的なノイズ事象またはパターンを含み得る。すなわち、高い変化領域またはピークのある特定の態様が、非定常状態の繰り返し性事象校正に有用であり得、多くの場合、分析物濃度値の迅速または低速な変化率を含む一時的な事象が、パターンが繰り返し性事象として推定及び使用される信号特性を形成し得る)。一実施例において、絶対変化率閾値は、最後の25分間のグルコースデータにわたって、0.25または0.5mg/dL/分に設定されてもよい。上記の通り、校正されていない単位もまた用いられ得る。したがって、校正は、絶対変化率閾値が超えられる場合、禁止されてもよい。他の実装において、異なる校正値が使用されてもよく、それもまた、変化率の方向に依存するように構成されてもよく、または使用される校正値は、変化率自体の関数であり得る。
【0193】
図19を参照すると、かつ
図18のステップ194に関して記述される通り、定常状態は、校正値を更新するために、かつ初期値を決定するために使用されてもよい。さらに、システムは、校正パラメータが変化するときでさえ、例えば、センサ酵素層が使用と共に経時的に変化するとき、または他のドリフトが生じるときに用いられ得る。例えば、
図19のグラフ202を参照すると、分析物の値は、時間t
0(軸206)において校正された値または校正されていない値と関連してもよく、この定常状態値は、ユーザがその分析物値において定常状態であるときはいつでも、再現可能であると推定され得る。この知識は、初期校正線208をもたらし得、その勾配は、軸204がカウントの単位を有する場合、センサ感度である。同様に定常状態であると推定される後続の時間t
1において、測定されたカウント数が異なる場合でさえ、同じ定常状態値の知識は、後続の校正線210が引かれることを可能にし、したがって、システムは、再校正され得る。必要とされる再校正の程度は、ドリフトの原因及び処理の決定において非常に有用であり得る。
【0194】
本原理に従ったシステム及び方法は、ベースラインまたはバックグラウンド信号が十分に安定し、かつ予測可能(または高度な膜もしくはセンサ技術を通じて排除される)ときに最も有効であり得る。センサが起動するとき、電流が生成される。ベースラインが十分に小さいか、または十分な精度で推定される場合、残りの電流が対象となる分析物に由来してもよい。アルゴリズムは、設定された期間にわたって電流を測定してもよく、電流が、例えば、所定の限度内で安定している場合、アルゴリズムは、グルコース(または他の分析物)が変化しておらず、狭い範囲内にあることを推定し得る。次いで、アルゴリズムは、例えば、約80mg/dLのグルコース値(またはユーザに対して典型的な値であると決定されるものは何でも)を使用し、それを、安定したグルコースを有するその時間の間に生成される電流と相互に関連付けて、自動的にデバイスを校正してもよい。一実装において、グルコース値を100mg/dLに設定した(それが変化率、装着継続時間、時刻、ユーザの特徴、例えば、糖尿病への進行の状態などの要因に応じて変化し得ることが反復される)。システム及び方法は、回帰モデルを用いて、勾配及びベースラインを2つの点で計算してもよい。第1の点は、安定したグルコース(及び糖尿病を患っていないユーザの近似されたグルコースレベル)中に生成された電流であり、第2の点は、ゼログルコースである(バックグラウンド信号に対する推定値を使用して)。線の勾配は、例えば、回帰勾配(カウント/BGに対して推定)及び前の勾配推定値の加重平均を使用して、決定されてもよい。校正に続いて、グルコースデータがユーザに提示されてもよい。この実装のベースラインは、ゼロであると推定されたが、異なる非ゼロベースライン値が使用され得る。校正はまた、周期的に、例えば、実装に応じて数分毎または数時間毎に更新されてもよい。
【0195】
上記の技術は、本願の出願者によって所有され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2012年4月13日出願の、かつUS 2012/0265035-A1として公開された、米国特許出願第USSN 13/446,848号により詳細に記載されるように、デバイスの製造中に生成された工場校正情報と組み合わせて用いられてもよく、またはそれはまた、外部で生成されたグルコース情報と使用されてもよく、所定のドリフト曲線または他のドリフト補償技術を組み込むことによって経時的に変化する感度をさらに説明し得る。
【0196】
本原理に従ったシステム及び方法は、1つのセンサに関する校正情報を使用して、別の、例えば、隣接するセンサ、例えば、同じ膜の下のセンサを校正するためにさらに用いられてもよい。そのような校正は、ドリフトパラメータが、膜によって引き起こされる場合、両方のセンサに対して同じであると推定され得るときに実施されてもよい。例えば、両方のセンサ、例えば、グルコースセンサ及び乳酸センサが同じ膜層の下にある場合、かつ1つ以上の校正パラメータがエクスビボで決定された場合、校正パラメータは、インビボで同様の関係を有すると推定され得、したがって、一方の測定は、もう一方を決定するために使用され得る。例えば、乳酸センサが、エクスビボ、次いでインビボで測定された通り、グルコースセンサからの校正の既知のオフセットを有する場合(または他の関係、またはスケーリング、または相関係数)、そのグルコースセンサに対する校正の決定は、乳酸センサを校正するために用いられてもよい。例えば、グルコースセンサの校正が50%ドリフトすると見なされる場合、乳酸センサの校正は、50%ドリフトしたと推定され得る。その結果として、一方のセンサの1つ以上の校正パラメータの更新は、もう一方のセンサの1つ以上の校正パラメータの更新をもたらし得る。
【0197】
そのような態様のさらなる詳細は、US-2011/0004085-A1として公開された、2010年4月29日出願の米国特許出願第USSN 12/770,618号、及びUS-2011/0024307-A1として公開された、2010年7月1日出願のUSSN 12/829,264、及び[545PR]に見られ、それらの全ては、本願の出願者によって所有され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0198】
加えて、本原理に従ったシステム及び方法は、工場校正情報を使用して開始し、次いで、自動校正技術を経時的に組み込んで、より正確なグルコース情報を得てもよい。信号が所定のパラメータに従わなかったか、または所定のパラメータの範囲外にあった場合、システムは、既知の技術、例えば、SMBGまたはフィンガースティック校正を使用して、校正値を要求し得る。次いで、システム及び方法は、このグルコース情報を元のパラメータに組み込んで、設定点を例えば、100mg/dLから、より適切かつ正確な値に調節してもよい。つまり、ある特定の用途での使用を目的とした上記の技術が、概して、フィンガースティック校正が利用可能な場合、それらの必要性を回避するように構成され得る一方で、本原理に従ったシステム及び方法は、校正目的で、または別の方法で、それを有利に適用してもよい。
【0199】
本原理に従ったシステム及び方法は、信頼レベルまたは範囲を決定するように構成されてもよく、データの解像度または精度が変化するにつれて、信頼レベルまたは範囲が変化し得る。より詳細に、ディスプレイは、値及び傾向グラフを生成し得るか、またはそれは、範囲または他のUI要素を示してもよい。その範囲は、経時的に変化し、精度の信頼が変化するにつれて収縮または拡大し得る。例えば、初期ウォームアップ中、工場校正値が利用されてもよい。しかしながら、その精度は、追加の情報を有するほど正確ではない可能性がある。この時間の間、ディスプレイは、値よりもむしろ範囲を示し得る。
【0200】
本原理に従ったシステム及び方法のさらなる特徴は、それらが、ユーザがシステム内で設定しているときに情報を要求し、その情報に応じてどの技術を使用するかを調節してもよいことである。例えば、システムは、ユーザがI型糖尿病、II型糖尿病を患っているか、または非糖尿病性であるかどうかを入力するようにユーザを促してもよく、答えに応じて異なる技術を選択してもよい。本原理に従ったシステム及び方法は、ユーザが減量最適化、スポーツ、及びフィットネス最適化、または他の同様の最適化ルーチンに興味があるかさらに質問してもよく、それに応じてアルゴリズムを調節してもよい。デバイスはまた、例えば、長期間、例えば、14日間にわたって「ブラインド」モードで使用され、血糖値のみを受信してもよい。これらの血糖値は、患者の安静時の血糖が何であるかを学習するために使用され得、それは、自動校正の定常状態血糖値の推定をよりよく誘導し得る。長期間の後、ユーザは、次いで、自動校正モードでデバイスを使用し得る。
【0201】
追加の情報を収集するための分析物の定常状態値の特性の使用の他に、「遅い移動平均」、すなわち、例えば、1~3日間にわたって測定された平均値もまた用いられてもよく、それは、そのような遅い移動平均がまた、概して、特にセンサセッションの使用にわたって一定であるためである。したがって、その変動は、ドリフトを検出及び定量化するために、定性的及び定量的の両方で使用され得る。例えば、グルコース濃度の遅い移動平均の値は、
図20のグラフ220及び
図21のより概略的なグラフ212によって示され、センサカウントは、軸216上の時間に対して軸214上に示される。見られるように、時間t
1に測定された遅い移動平均G1は、時間t
2の遅い移動平均G2に減少し得る。遅い移動平均は、高度なセンサのグルコースに対する選択性が高く、したがって、遅い移動平均の変化に寄与する唯一のものが感度であるため、ドリフトを定量化するために使用され得る。
【0202】
遅い移動平均の使用の詳細が以下で詳細に記載されるが、ここで、それが連続的な期間を有する必要がないことに留意されたい。例えば、遅い移動平均は、何日にもわたって共通の期間をサンプリングすることによって測定されてもよい。例えば、夜間の期間の遅い移動平均が測定されてもよく、それは、次いで、例えば、11pm~7amの期間のみを考慮してもよい。遅い移動平均は、次いで、この期間中のみであるが、数日にわたって測定されたデータの平均を構成する。そのような別々のまたは非連続的な遅い移動平均が測定され得る他の例示的な期間は、例えば、食後の期間などを含んでもよい。そのような事象は、ユーザがそのような事象の非常に一貫したタイミングを有する、時間ベースであり得るか、あるいは、例えば、事象が1つ以上のセンサによって記録または追跡される、事象ベースであり得る。例えば、運動事象は、加速度計によって記録され得、食事事象は、グルコース急上昇を検出することによって記録され得る。
【0203】
より詳細に、毎日の平均値の使用の代わりに、ユーザにとって特有及び重要である定性的または定量的な種類の期間に特有である平均が測定され、例えば、平均が測定される考察された時間枠を特有なものにする、期間が用いられてもよい。例えば、時間枠は、「食後4時間」と考えられてもよい。期間データは、何日にもわたって測定されるものとして使用され得るが、その特定の期間のみを考察し、したがって、その特定の期間セット中のグルコース応答の平均からの変動のみを測定する。言い換えれば、平均値は、数日間にわたる個々の期間からのグルコース値のうちの全てをまととめ、平均化することによって決定されてもよい。このようにして、ドリフトが検出される場合、それは、そのような同様の期間にわたって平均を測定することによって取得される平均値に関して定義される。例えば、患者の毎日の平均値は、100であり得るが、彼らの夜間の平均値は、85であり得、彼らの「定期的な」歩行の日中の平均値は、120であり得る。ドリフトの測定は、この定義された「局部」平均に関して行われてもよい。例示的な期間は、例えば、夕食後、午前9時から正午、睡眠時などを含んでもよい。
【0204】
校正された値またはさらには校正されていない値の遅い移動平均が測定されてもよいが、遅い移動平均はそれ自体、初期校正を実施するための追加のデータを必要とし得る。この理由で、実装は、他の方法を使用して初期グルコース値を決定すること、及び例えば、1日に値するデータを取得することを含んでもよく、それから、初期の遅い移動平均が決定されてもよく、次いで、その後に測定された遅い移動平均と比較されて、例えば、感度ドリフト補正などを決定してもよい。そのようなシステム及び方法は、遅い移動平均が、ユーザが読み取り値を測定する意思があるのと同じくらい頻繁にのみ行われ得るSMBG校正とは対照的に、前のシステムと比較して非常に頻繁に、例えば、5分毎、チェックされ得るため、特に有益であり得る。
【0205】
図22のフローチャート222は、遅い移動平均の使用の一実装を示す。第1のステップにおいて、分析物値がセンサを使用して測定される(ステップ224)。次いで、第1の遅い移動平均が決定され得る(ステップ226)。次いで、分析物値は、測定され続けてもよく(ステップ228)、それは、分析物濃度の表示された値に対する基準を形成してもよく(ステップ232)、表示された値は、感度の初期(または後続の)値に基づく。第2の及び後続の遅い移動平均が決定されてもよく(ステップ230)、遅い移動平均の期間は、概して、半日を超え、例えば、1~3日である。遅い移動平均は、多くの場合、要求と同じくらい頻繁に、例えば、5分毎、1時間毎などに測定されてもよい。いくつかの実装において、フィルタの時定数は、例えば、ユーザが実際の最高値を有している場合に変化され得、したがって、効果(ユーザの高い分析物濃度)は、フィルタの感度の実際のドリフトまたは変化を表さない。遅い移動平均の使用はまた、順序統計フィルタリングまたは時間ドメインフィルタリングなどの他の形態のフィルタリングによって置き換えられてもよい。
【0206】
遅い移動平均の第1及び第2の値(または第2のもしくは後続の値、または実際に任意の値のセット)が変化する場合、一実装において、ドリフトは、生じたと推定されてもよく、校正は、ドリフト、例えば、遅い移動平均間の差に基づき調節されてもよい(ステップ234)。以下に記載される実装は、遅い移動平均の変動の他の潜在的な原因を考察する。表示は、再校正されたセンサ(測定されたドリフトに少なくとも部分的に基づき再校正された)に基づき、更新されてもよい(ステップ236)。場合によっては、シード値(または表示の基準として使用される他の値)もまた、ドリフトを反映(及び補償)するように修正されてもよい(ステップ238)。
【0207】
図23Aのフローチャート240を参照すると、遅い移動平均の変化から収集されたデータに基づいた再校正(または他の再校正)もまた、後処理で使用されて、再校正に基づき、ここで「すでに表示された」値と定義される履歴値の表示を更新してもよい。第1のステップにおいて、分析物濃度の値がセンサによって測定されてもよい(ステップ242)。測定された値は、校正に基づき、例えば、すでに決定された感度の値に基づき、臨床値として表示されてもよい(ステップ244)。感度は、センサ信号情報に基づき(全くそれだけに基づくことを含む)(ステップ246)、例えば、遅い移動平均または定常状態値の変化に基づき、変化し得る。次いで、表示は、変化に基づき更新されてもよく(ステップ248)、具体的に、履歴のすでに表示された値は、履歴値がより正確に表されるように、再校正に基づき再表示されてもよい。信号特性(または特徴)を使用して感度変化(またはドリフト)を検出する他の形態は、CV(変動係数)、標準偏差、または信号の四分位範囲、及びその関係が対応するグルコースのパラメータを含む。
【0208】
いったん変化が検出されると、それは、分析または「区別」されて、変化の原因及び/または大きさを決定してもよい。ドリフトによる感度の変化が見つかることは一般的であるが、それはまた、ポンプの問題、例えば、ポンプの遮断、または他の問題、例えば、膜の破損などを含む、他の原因を有し得る。また、これらの変化をグルコース値の実際の変化によるものと区別することがさらに望ましい。少なくともこの後者の決定における第1のステップとして、グルコース値の測定された変化は、生理学的に実現可能であるそのような変化に対する閾値と比較され得る。変化が、生理学的に実現可能ではない場合、変化は、少なくとも部分的に、ドリフトまたはシステム異常によるものと見なされ得る。
【0209】
信号ドリフト挙動を区別するための別の方法は、信号ドリフト曲線を既知の信号ドリフト曲線と、具体的に、そのような曲線の複数のエンベロープと比較することによる。
図4は、1つのそのような曲線を示すが、所与の種類のセンサに対して、そのような曲線のエンベロープが存在し、すなわち、どのように感度が変化するのかに関するパターンが存在する。感度が変化している方法がこれらの曲線のうちの1つに従う場合、変化が、実際のグルコース値またはシステム異常ではなく感度ドリフトによるものであることが推論され得る。感度プロファイル曲線に関するさらなる詳細は、例えば、“Systems And Methods For Processing Analyte Sensor Data”と題する、2013年9月19日出願の、本願の出願者によって所有され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願第13/796,185号に記載される。
【0210】
感度が既知の感度曲線の別の感度に移行することによって変化する場合、その曲線に対する既知の校正パラメータは、後続のデータ分析及び表示で用いられてもよい。感度が既知の感度曲線の限度の範囲外で変化する場合、変化は、上述の通り、システムの問題または異常、例えば、誤差またはアーチファクトによるものであることが推論され得る。しかしながら、ある特定の実装において、ある特定のセンサは、帯域内であることが既知である感度曲線を有し得る。既知の故障モードは、感度を帯域内の別の曲線に、または別の帯域にシフトさせ得、すなわち、感度は、既知の故障モードで曲線の既知の別の帯域にシフトし得る。
【0211】
この点で、概して、所与の種類のセンサは、最大である特定の許容度までの必要とされる目標を達成するために機能的であることに留意されたい。例えば、ロットのセンサの80%が要求通りに機能し得る(
図23Bを参照されたい)。残りの20%は、一方で、予測された感度曲線に従わない可能性がある(
図23Cを参照されたい)。これらの残りのセンサの大部分、例えば、75%は、既知の故障モードに従い得、それは、それらが既知の代替感度曲線、曲線の群、または曲線の帯域に従うことをもたらす。これらのセンサのうちのどれが代替感度曲線に従っているかを識別し、それに応じてセンサの校正を調節することによって、センサの「故障」は、大部分が改善され得る。例えば、故障モードが、75%全てが、同じ方法で減少する傾向がある信号値を有するようなものである場合、故障モードの決定後に、「故障」は、センサ読み取り値「アップ」を調節することによって改善され得る。そのような態様は、センサセッションがますます長くなるにつれて、例えば、7日間のセッションから14日間のセッションになるにつれて、特に重要であり得る。
図23Cに示される故障モードにおいて、感度の減少は、約8日目に開始する。そのような故障モードを検出及び改善する能力は、セッションセンサ故障モードの開始がますます良好に特徴付けられるようになる場合でさえ、特により長いセッションを有するセッションセンサ故障モードの終了が、定量化するのが困難なままであるため、特に重要である。
【0212】
いくつかの実装において、遅い移動平均と組み合わせたグルコース信号変動性の考慮は、グルコース信号変動をセンサ感度の揺らぎと区別するために用いられてもよい。例えば、遅い移動平均が減少するが、変動性が同じままであるか、または規定の範囲もしくは帯域内にとどまる場合、遅い移動平均の減少の原因は、感度変化である可能性が高い。あるいは、遅い移動平均が減少するが、変動性もまた減少する場合、減少の原因は、グルコース濃度の本当の、かつ実際の変化である可能性が高い。
【0213】
生理学的に実現可能ではない変化、変動、誤差、アーチファクト、及び他の信号挙動は、システムによる様々な改善措置の原因であり得、これらのうちのいくつかは、上記で言及されている。例えば、再校正が実施されてもよく、結果は、履歴データに向かって遡って伝搬されてもよい。ユーザは、フィンガースティック校正を提供するように促されてもよい。改善措置アルゴリズムの一部は、再校正を介して補正するべきかどうか、またはフィンガースティックもしくは他の校正点のために促すべきかどうかを決定することであってもよい。例えば、生理学的に可能性のある限度の範囲外にある信号が受信される場合、ユーザは、追加の校正点、例えば、フィンガースティックのために促され得る。あるいは、ユーザは、他の種類の追加の情報を提供するように、例えば、最近の運動もしくは食事または他の最近のユーザ挙動の変化に対応するデータを入力するように促されてもよい。具体的な例として、ユーザのグルコース濃度の遅い移動平均が、セッションの最初の3日間100mg/dLであったが、4日目に急に200になった場合、本原理に従ったシステム及び方法は、フィンガースティック校正のために促してもよい。4日目の遅い移動平均が105mg/dLであった場合、システムは、それに応じて感度を増減または調節して、例えば、その値を再び100mg/dLまで下げてもよい。
【0214】
フィンガースティック校正が実施される場合、フィンガースティック校正データの使用は、デバイスの使用に応じて異なり得る。例えば、デバイスが補助的に、すなわち、非治療的に使用されている場合(多くのII型ユーザの場合である)、フィンガースティックがドリフトを示す場合、ドリフトが実質的ではない場合はセンサを使用することがなお可能であり得る。多くの場合、本明細書に記載される技術は、ドリフトの効果を改善し、なお正確な読み取り値の表示を可能にするために使用され得る。デバイスが非補助的に、例えば、インスリンを使用するI型患者のために使用される場合、フィンガースティックがドリフトを示す場合、改善または調節、例えば、再校正は、より積極的に行われてもよく、それを行うことができない場合、または正確なセンサ読み取り値を再校正後に戻すことができない場合、センサの使用を中止するための指示がユーザに表示されてもよい。
【0215】
パターン分析は、変化または変動が既知の種類のものであるか、例えば、既知の感度変化に特有であるかを決定するために実施されてもよい。パターン分析は、変化または変動がある特定の挙動に対する基準を満たすか、例えば、既知のある特定の閾値を超えるかを決定してもよい。上述の通り、1日の挙動は、遅い移動平均の決定で用いられてもよい。分析後に、その日のデータが信用できないとシステムによって決定される場合、別の日のデータが使用されてもよい。データは、高精度の数値としてよりもむしろ、範囲もしくは帯域で、または信頼区間もしくは他の指標で表示されてもよい。遅い移動平均が用いられる場合、遅い移動フィルタの時定数は、より短期間の変動を含むか、または除外するように調節されてもよい。
【0216】
これらの態様は、
図24のフローチャート250で要約される。
【0217】
最初に
図24を参照すると、分析物濃度の値がセンサによって測定されてもよい(ステップ252)。そのような値は、概して、電流として、例えば、アンペア(ピコアンペア)として、かつ同等にカウントとして測定される。遅い移動平均は、長期間にわたって、例えば、数時間、半日、24時間、または2~3日にわたってカウントを測定することによって定義されてもよい。センサがユニット毎に変化するため、遅い移動平均は、概して、いったん初期期間、例えば、24時間が経過したときのみ有意義になる。したがって、次のステップは、第1の期間にわたって第1の遅い移動平均を決定することである(ステップ254)。
【0218】
一実装において、第1の見かけ感度の初期使用のための値は、上記の方法のようにシード値を介して仮定され得る。第1の見かけ感度は、次いで、第1の遅い移動平均に基づき決定されてもよい(ステップ256)。具体的には、第1の遅い移動平均が仮定される場合、第1の見かけ感度は、仮定された第1の遅い移動平均と測定された第1の遅い移動平均との間の関係に基づいてもよい。
【0219】
その後に、第2の遅い移動平均は、第2の期間にわたって決定されてもよい(ステップ258)。この場合もやはり、任意に、第2の見かけ感度は、それに基づいてもよい(ステップ260)。
【0220】
遅い移動平均または見かけ感度が、第1の期間と第2の期間との間で変化すると見なされる場合、改善措置が要求されてもよい。したがって、次のステップは、変化が所定の基準と一致するかを決定することである(ステップ262)。所定の基準は、多くの要素、例えば、経時的な既知の感度変化、感度プロファイル曲線のエンベロープ、生理学的に可能性のある変化、ポンプ異常などの誤差と関連した変化などを含んでもよい(ステップ270)。例えば、そのようなステップは、変化が、感度ドリフト、異常、または平均グルコース濃度値の実際の変化と関連した基準と一致するかどうかに関する決定を要求してもよい(ステップ264)。ドリフトと一致する場合、例えば、感度が既知の感度プロファイル曲線と比較することによってドリフトしたと決定される場合、補正が自動的に行われてもよい。いずれの場合も、感度は、2つの遅い移動平均間の差に少なくとも部分的に基づき調節されてもよく(ステップ268)、それは、その差が、センサが受けた変化またはドリフトの程度の定量的指標を提供するためである。
【0221】
変化がドリフトと一致しない場合、変化は、所定の基準が存在する他の原因と一致するかが決定されてもよい。変化が既知の挙動と一致しない場合、例えば、どの所定の基準とも一致しない場合、ユーザは、変化を説明するための情報、例えば、食事または運動情報、フィンガースティック校正値、他の外部ソースからのデータなどを入力するように促されてもよい(ステップ266)。場合によっては、ユーザが入力したデータは、例えば、新しいまたは更新された感度を決定するために、再校正ルーチンにおいて、遅い移動平均または感度の定量的な差と共に用いられてもよい。
【0222】
図25は、遅い移動平均または定常状態値を用いる例示的な方法の別のフローチャート286を示す。第1のステップにおいて、初期校正後、分析物濃度値は、センサで監視され続ける(ステップ288)。初期校正は、母集団平均、前のセッションからのデータ、ベンチデータ、インビトロデータ、または他の先験的なデータを含む、多くの要因に基づき得る(ステップ290)。
【0223】
測定値及び初期値に基づき、分析物濃度の臨床値が計算及び/または表示される。更新された校正は、次いで、測定値のみ、例えば、センサからの信号のみに基づき計算されてもよい(ステップ294)。調節は、遅い移動平均の変化、定常状態値の変化、または他の基準に基づいてもよい。
【0224】
更新された校正に続いて、臨床値は、更新された校正に基づき計算及び/または再計算されてもよく(ステップ298)、次いで、表示が更新されてもよく(ステップ300)、すでに表示された(履歴)値を、更新された校正に基づき更新された値に更新することを含む。
【0225】
本原理のさらに別の実装は、
図26のフローチャート302によって示される。第1のステップは、モニタリングデバイス上で、校正パラメータ例えば、感度のシード値を受信することである(ステップ304)。シード値は、病状のユーザ自己特徴付け、母集団平均、前のセッションからのデータ、ベンチデータ、インビトロデータ、または他の先験的なデータを含む、多くの要因に基づき得る(ステップ306)。
【0226】
次いで、モニタリングデバイスは、センサデータを受信し続け、分析物濃度値が定常状態であるときを検出してもよい(ステップ308)。例えば、これは、所定の期間にわたる受信信号のセットが値の所定の範囲または帯域内にあるときに行われてもよい。次いで、例えば、電流またはカウントでの測定された信号値の、既知のまたは推定された定常状態値との相互関連付けが行われてもよい(ステップ310)。
【0227】
相互関連付けステップに続いて、モニタリングデバイスは、センサからの信号を受信し続ける(ステップ312)。分析物濃度の臨床値は、受信信号、既知のまたは推定された定常状態値(宿主がもはや定常状態ではない場合でさえ)、及びシード値に基づき、計算及び表示される(ステップ314)。
【0228】
挙動は、
図24と関連して上記に記載されるように、所定のパラメータの範囲外で検出されてもよく、ユーザは、外部データ、例えば、フィンガースティック校正値を入力するように促されてもよい(ステップ316)。再校正は、受信信号、外部データ、及び任意にシード値に基づき、演算及び/または再計算、続いてその後に表示されてもよい(ステップ318)。いくつかの実装において、既知の定常状態値及び/またはシード値は、実施された計算及び再計算された履歴値に基づき、再設定及び再表示されてもよい(ステップ320)。
【0229】
図27~33は、確率論的アプローチを使用して、校正パラメータ、例えば、感度及びベースラインを決定するための詳細な方法を示す。確率論的アプローチのある特定の態様は、“Advanced Calibration For Analyte Sensors”と題する、2013年3月14日出願の、本願の出願者によって所有され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願第13/827,119号に記載される。ここで「信号ベースの校正アルゴリズム」と呼ばれるものを含む、参照により組み込まれるこの出願において、先験的な校正分布情報は、リアルタイム入力で修正され、校正されたデータ点が決定される帰納的な校正分布情報に変換される。このようにして、校正誤差は、例えば、回帰が、参照データに関する不適切な推定により逸脱した感度及び/またはベースライン値をもたらす場合に回避され得る。上記で参照により組み込まれる出願に記載される方法の他に、感度及びベースラインなどの校正パラメータを決定する他の方法もまた用いられ得る。これらの方法は、センサセッションの期間中に使用可能な工場校正を可能にする技術を含む。
【0230】
図27~33において、分布は、感度及びベースラインなどの校正パラメータのために再び用いられるが、それは、その後に既知となるデータ、例えば、センサセッションの使用の最初の24時間にわたって取得されたセンサカウント分布に基づき最適化される。最初に
図27のフローチャート322を参照すると、第1のステップは、センサからの分析物濃度の初期値、ならびに感度及び任意にベースラインの初期値または分布を受信することである(ステップ324)。場合によっては、ベースラインの効果は、本質的にゼロに低減されて、計算を単純化してもよい。感度の初期値は、上述のソースからであってもよく、例えば、ユーザによって入力され、母集団平均から引き出され、前のセッションから転送され得るか、またはシード値の他のソースであってもよい(ステップ326)。初期値はまた、遅い移動平均フィルタのための基準の一部として、または計算で使用されてもよい。感度またはベースラインの初期値が、そのような値の分布である場合、それは、少なくとも最初に、人口統計の考慮から発展されてもよい。
【0231】
次いで、分析物信号がセンサから監視される(ステップ328)。複数の臨床値が、次いで、監視された信号及び感度の初期値または分布、あるいは平均グルコースの初期値に基づき、計算及び表示される(ステップ330)。単純にするために、ベースラインは、ゼロまたはごくわずかであると推定される。感度の初期値または分布は、それが、いったん追加のデータが収集されたその後よりもこの初期期間中にあまり正確ではない場合でさえ、ユーザに表示された分析物濃度値が提供され得るように仮定される。
【0232】
次いで、監視された信号の値分布が決定されてもよい(ステップ332)。監視された信号の値分布の代表値、例えば、平均値、中央値、中間値などが計算されてもよい(ステップ334)。初期感度として、代表値は、初期仮定感度に基づき、分析物濃度の初期値によって除算されてもよい(ステップ338)。
【0233】
次いで、感度及び/または複数の濃度値の初期値または値分布が、監視された信号の値分布と一致するように最適化されてもよい(ステップ336)。より詳細に、センサカウントは、感度及び分析物濃度の積であって、したがって、濃度は、感度によって除算されたセンサカウントに等しい。中央値のセンサカウントは、例えば、1日のデータが取得された後に決定されてもよく、感度パラメータ空間及びベースラインパラメータ空間からの分布またはサンプルを所与として、センサカウントの分布に対する最良適合を最適化または提供する、検索が実施されてもよい。例えば、1日にわたるユーザの長期間のグルコース値が100~200の範囲であった場合、ある特定の制限が、感度及びベースラインがなり得るものに関して推測され得る。したがって、分布内の感度及び長期間のグルコース値は、それらの積がセンサカウントの測定された代表値を最も良く最適化するように選択されてもよい。加えて、感度及び長期間のグルコース値は、それらの値が「最も可能性が高い」ように選択されてもよく(ステップ340)、「最も可能性が高い」とは、それらの値がそれらの対応する分布の中心に最も近いことを意味する。遅い移動平均が監視されてもよく(ステップ342)、その変化が上述の通り検出及び分析される(ステップ344)。
【0234】
言い換えれば、1日目に続いて、仮定された初期平均グルコース値、または感度、及びセンサカウントの分布に関するデータが存在する。分布から、中央値のセンサカウントが取得され得る。
【0235】
センサカウントSC=fSC(SC)であり、それは、正規分布を有する。
【0236】
感度方程式は、以下の形態を有する。
【0237】
y=mx+b
【0238】
b=0と推定され、方程式が平均値にさらに指定される場合、
【0239】
中央値のセンサカウント=m*平均グルコース値
【0240】
また、センサカウント及び感度の両方を正規分布として考慮する。
【0241】
fSC(SC)=m*GV
【0242】
さらに、mは、ドリフトによる遅い移動時間関数であることが既知であり、したがって、
【0243】
fSC(SC)=m(t)*GV
【0244】
したがって、センサカウント及びグルコース値が、実際に遅い移動時間関数である乗法「定数」によって接続されることが明らかである。
【0245】
センサカウントの分布はまた、感度の潜在的な分布、すなわち、潜在的な初期感度m、及び具体的には以下の態様を明らかにし得る。
【0246】
平均GV=(中央値SC/m中央値)
【0247】
したがって、
【0248】
m中央値=中央値SC/平均GV
【0249】
例えば、中央値SCが131,000であり、平均GVが131である場合、mは、1000カウント/(mg/dL)である。mの分布は、この値が適正であるか、またはあり得そうにないかを決定するためにチェックされてもよい。また、同様の決定が、「b」がごくわずかではない場合に、それに対して行われてもよい。
【0250】
監視された信号(センサカウント)の値の代表値は、長期間のグルコースの推定値に変換されてもよい。
【0251】
長期間のグルコース=(長期間のセンサカウント)/(サンプリングされた感度)-サンプリングされたベースライン(mg/dL)
【0252】
図28のグラフ346は、サンプル感度の例示的な分布を示し、
図29からのグラフ348は、サンプルベースラインの例示的な分布を示し、
図30のグラフ350は、サンプリングされた長期間のグルコース値の例示的な分布を示す。一例として、センサカウントの代表値が113,536である場合、上述の3つの分布の制約を所与として、最適な勾配は、890カウント/(mg/dL)であり、長期間のグルコースの最適な推定値は、153.5685であり、最適なベースラインは、-26mg/dLである。これらの点は、グラフ346、348、及び350の同じセット上に示され、
図31、32、及び33上で、点354、358、及び362のそれぞれで再現される。
【0253】
変化形において、分布は、異なる分布が異なる人口統計学人口または群に対して提供され得るように、より「粒状」にされ得る。他の変化形もまた理解されるであろう。
【0254】
上述の通り、遅い移動平均フィルタは、高度なセンサのグルコースに対する選択性が高く、したがって、遅い移動平均の変化に寄与する主な要因が感度であるため、ドリフト定量化の一部として用いられ得る。初期に遅い移動平均フィルタをシード化するために、平均グルコース濃度の初期シード値は、平均感度によって乗算されて、初期のカウント数を得てもよい。その後に、
St=αフィルタtα*St-1+(1-α)S TXtセンサt
【0255】
ある期間、例えば、1日の後、十分なデータが受信され得るため、それは、実際の平均値に訂正され得、それは、ドリフトの決定のために用いられ得る。上記のステップは、次いで反復されてもよく、上記の方法で勾配、ベースライン、及びグルコースの後続の最良の組み合わせを決定することは、例えば、1日目のデータから決定された未加工のカウントの推定値と一致するために、最良の未加工のカウントをもたらす。
【0256】
分布は、いくつかの実装において、より多くが取得されるにつれて測定されたデータに従って修正され得る。このようにして、より良好な校正が取得され得る。開始時に、仮定された分布のみを用いた。その後に、実際の測定されたデータが利用可能であり、用いられ得る。フィルタは、中央値または他の代表的なセンサカウントで再シード化されてもよく、分布は、概して、実際の測定されたデータに収束する。フィンガースティックデータが利用可能であり、それは、さらに速い収束のために用いられ得る。
【0257】
シード化または再シード化は、多くの方法で実施され、フィルタシードパラメータに基づくドリフト曲線のより迅速な収束を可能にするように調節されてもよい。例えば、フィルタに対する初期シード値は、予測された平均グルコースレベル及びセンサ感度から推定される予測された信号レベルに基づいてもよい。グルコースに対する初期シード値はまた、ユーザの年齢及び彼らの糖尿病の持続期間などの対象の人口統計に基づき得る。初期シード値はまた、断食グルコースレベル、糖化ヘモグロビン(A1C)試験、現在の糖尿病治療(例えば、経口薬、基礎インスリン使用、もしくは強化インスリン療法)、またはダウンロードされた自己監視された血糖値などの医療記録情報または研究室試験などのデータに基づき得る。
【0258】
別の実装において、初期シード値は最初に、順方向に動作するフィルタを開始するために使用され得る。センサ読み取り値の代表セットが収集された後、例えば、センサ読み取りの24時間後、次いで、第2のフィルタが逆方向に動作し得る。センサ読み取り値の代表セットが利用可能である場合、順方向または逆方向フィルタは、中央値のセンサ読み取り値などの典型的な信号値でシード化され得るか、またはフィルタは、0.9*中央値で順方向フィルタを、かつ1.1*中央値で逆方向フィルタを開始するなど、予測されたドリフトに対して調節される典型的な信号値でシードされ得る。これらの技術は、順方向フィルタ及び逆方向フィルタなどの2つ以上のフィルタが使用されるとき、次いで、それらのシード値が2つのフィルタ出力間の差を最小限に抑えるようにさらに最適化され得るという利点を有する。例えば、1つの例示的な方法は、2つのフィルタ出力間の平均二乗誤差を最小限に抑えることである。
【0259】
上記の本原理に従ったシステム及び方法において、日々シード値を再定義することは、信号ドメインの平均絶対誤差を最小限に抑えることに役立つ。一実装において、毎日、例えば、1日目からの信号軌道のおおよその推定値を使用して、ノイズのあるフィルタ出力の平滑傾向は、2日目のドリフトに対する軌道を作成することができる。ドリフト率推定値は、2つ以上の異なる方法から比較され得、その2つの間の差または誤差は、特に確実性間隔に関して感度の分布を決定する、上記で参照により組み込まれる特許出願(第13/827,119号)に開示されるような、信号ベースの校正アルゴリズムなどのアルゴリズムに送られ得る。また、このようにして、ノイズ、レベル、ドリフト、モデル、電力、エネルギーなどに対応する特徴を含む信号特徴が抽出され得る。このようにして、ドリフト補正が適切な起動上にあるかどうかが決定され得る。例えば、ドリフト勾配が、工場校正モデルが示唆するものと大幅に、例えば、所定の閾値のパーセントを超えて異なる場合、ユーザは、フィードバックのために促され得るか、またはフィンガースティック校正を提供するように促され得る。
【0260】
いくつかの実装において、平滑化フィルタは、リアルタイムで信号ドリフトを補償するために用いられてもよい。1つの場合において、二重指数平滑化フィルタが使用される。そのようなフィルタは、季節性のない乗法減衰傾向を推定し得るが、性能を改善するために付加的または乗法季節性を推定してもよい。二重指数関数フィルタは、時間の関数として、センサ信号の根本的な変化、すなわち、ドリフトを回復するように作用する。二重指数平滑化フィルタを支配する3つの主な根本的な方程式がある。
【0261】
【0262】
方程式中のパラメータに関する表は、以下の表Iで見ることができる。
【0263】
【0264】
上記の方程式において、かつこの設定において、α及びβは、小さいと見なされ得る。αは、フィルタをグルコース偏位によって影響させないことが望ましいために小さい。βは、回復されている根本的な傾向が本質的に遅く移動しているために小さい。以下のパラメータを使用して、例示的な結果の1つのセットを生成した(表II(5分間のサンプリングレートを推定する))。
【0265】
【0266】
上記の方程式において、勾配は、アルゴリズムで計算された初期感度、または別の方法から、もしくは上述の感度値を決定するための方法から決定された値であってもよい。上記の方程式中の平均グルコースは、前のセッションからの、または例えば、ユーザによって報告されたA1C値に基づいた、履歴グルコース値の平均であってもよい。一実装において、2時間の校正及び試験対象のコホートからの自己報告されたA1C数を使用して、アルゴリズムによって推定される初期感度を使用して、データを生成した。
【0267】
以下の方程式を使用して、ドリフト補正曲線を推定した。
【0268】
【0269】
次いで、以下の方程式を使用して、センサ信号をドリフト補正した。
【0270】
【0271】
次いで、以下の方程式を使用して、グルコース値を計算した。
【0272】
【0273】
上記の方程式において、勾配は、初期校正においてアルゴリズムによって推定されたものであり、ベースラインは、1mg/dLによって乗算された勾配である。
【0274】
二重指数関数フィルタの有効性を示すために、
図34及び35は、例示的なグルコーストレースを示す。
図34は、参照値及び校正値と共にCGMトレース364を示す。
図35は、二重指数関数フィルタからの出力367と共に未加工のセンサ信号366を示す。この場合、ユーザによって入力された2つの起動値を使用して、センサを一度校正した。
【0275】
上記のセンサに対する推定されたドリフト曲線は、
図36の曲線368によって見られる。分かるように、ドリフト曲線は、上向き及び下向きの両方の方向で容易に見られ、二重指数関数フィルタによって検出及び定量化されるドリフトの知識は、ドリフトの補正を可能にする。この実装の一利点は、ドリフトを補正するためにいかなる既知の曲線形状にも依存する必要がないことである。
【0276】
図37~39は、上記の原理に従ったドリフト補正が示されるさらなるチャートである。
【0277】
二重指数関数フィルタの使用の他に、他のフィルタもまた使用され得る。例えば、モデルノイズとしても既知のプロセスノイズ及び測定ノイズ推定値を含む、カルマンフィルタが用いられてもよい。フィルタが根本的な傾向を明らかにするのに役立つ限り、ガウシアンフィルタ、ならびに伝統的なバターワースローパスフィルタ、移動中央値フィルタ、移動平均フィルタなどもまた使用されてもよい。複数のフィルタを組み合わせて、根本的な信号の平均または組み合わされた傾向を取得する、フィルタバンクまたは一連のフィルタが使用されてもよい。複数のフィルタが使用される場合、異なる種類のフィルタが単一のバンク内で用いられてもよく、フィルタ設定は、フィルタ間で異なり得る。複数のフィルタの使用によって、信号補正が後続の期間の終了時に、例えば、2日目に値するデータの終了時、3日目に値するデータの終了時などに改善され得る。理論に束縛されるものではないが、これらのフィルタの使用において、平均グルコース測定値の日々の変動性が、勾配の変化または根本的な信号変化と比較して有意ではないことが推定される。
【0278】
他の変化形において、信号は、データギャップ及び異常値を除去するために、ドリフト推定フィルタリング前に前処理されてもよい。加えて、校正は、CGM読み取り値の予期しない急上昇の発生を低減するような方法で、自動的に更新されてもよい。そのような方法は、信号が安定しているときに変更を行うこと、例えば、真夜中に校正設定を変更すること、またはある期間、例えば、1時間以上にわたって校正の変化を現在の設定にゆっくりと混ぜ合わせることを含む。
【0279】
フィルタリングと用いられ得る他の有用な技術は、様々な分解技術を含む。例えば、経時的に、信号を一連の固有モード関数に分割するために、経験的モデル分解が用いられ得る。フーリエ変換及びウェーブレット変換を含む、他の時間及び周波数ベースの分解が用いられてもよい。
【0280】
別の変化形において、他の信号ベースのパラメータが決定され、校正で使用され得る。例えば、
図40を参照すると、センサ信号の変動係数(CV)が、信号のグルコース変動、例えば、グルコース標準偏差と強い相関を有することが分かる。したがって、校正パラメータの決定において、この相関は、信号CV-グルコース標準偏差の誤差モデルを満たす校正パラメータを選択するために用いられてもよい。
【0281】
より詳細に、記載されたような先験的な情報が、工場校正で用いられ得、それは、特定の校正の前に取得された情報を含む。例えば、そのような情報は、センサ挿入の前に取得された情報などの前の校正からの情報を含む。校正情報は、上記のような感度(m)、感度の変化(dm/dt)、ならびに他の信号及び時間微分の態様などであるが、これらに限定されない、連続グルコースセンサを校正するのに有用な情報を含む。また、重要なことに、先験的な情報は、範囲、分布関数、ならびに平均及び標準偏差を含む分布パラメータなどの分布情報を含む。
【0282】
具体的に、グルコース値の分布の標準偏差に関して、それは、例えば、可能性の高いグルコース値の限度、ならびに感度及びベースラインの考えられる組み合わせの決定で有利に用いられ得る。標準偏差はまた、先験的な校正分布情報からの確実性のレベルの決定で用いられてもよい(それが前の校正からの帰納的な校正分布情報のフィードバックである場合など(分布の緊密さまたは緩さのレベルが標準偏差によって定量化される場合))。同じ方法で、確実性のレベルは、例えば、この場合もやはり、標準偏差によって定量化され得る分布の緊密さまたは緩さのレベルに基づき、帰納的な校正分布情報から決定されてもよい。
【0283】
具体的な例として、
図41は、10日間にわたるグルコース信号を示す。これから、信号標準偏差及び信号平均値が演算されてもよい。次いで、信号変動係数が以下によって決定されてもよい。
【0284】
信号CV=信号標準偏差/信号平均値
【0285】
図41の場合、信号CVは、0.4230と計算された。
【0286】
関係が信号CVとグルコース標準偏差との間で決定されている場合(例えば、
図42の線を参照されたい)、上記で決定された計算された信号CVは、予測されたグルコース標準偏差を決定するために使用されてもよく、それは次いで、上述の計算ならびに他の計算で使用されてもよい。例えば、誤差モデルは、この相関を使用して確立されてもよく、誤差モデルは、参照により上記で組み込まれた米国特許出願第13/827,119号内の校正で使用される。
【0287】
図43は、測定された標準偏差と予測された標準偏差との間の差の例示的な分布を示す。
【0288】
他の関係もまた用いられ得る。例えば、
図44を参照すると、平均グルコース値とグルコース標準偏差との間の関係が見られる。具体的には、より高い標準偏差を有するユーザがより高い平均グルコースを有する傾向があることが分かる。この関係は、校正値を決定、設定、推測、または別様に選択することにおいて用いられてもよい。別の例として、かつ
図45を参照すると、別の有用な指標は、患者のタイプである。具体的には、
図45は、非糖尿病患者とI型糖尿病患者とII型糖尿病患者との間のグルコース標準偏差の明確な違いを示す。それに応じて、患者のタイプに基づき、患者母集団に対して選択されたモデルは、母集団のタイプに基づき変更され得、例えば、標準偏差がCV誤差モデルに関して強化され得ること、平均値がシフトされ得ることなどである。
【0289】
上述の通り、システムは、前の期間にわたるデータから、タイムラグに関してデータを調節してもよく(例えば、リアルタイムフィルタリングによって誘発されたタイムラグを除去するために)、その期間にわたるタイムラグが調節されたデータのグラフ表示を表示してもよい(例えば、傾向グラフ)。システムはまた、タイムラグを補償してもよい。例えば、
図46は、タイムラグによって分離されるデータ点を示し、Δは、2つの隣接する点間の個々の変化率を表す。以下または同様の方程式の使用によって、そのようなタイムラグは補償され得る。
【0290】
グルコース(t)=[ドリフト補正センサ(t)+5*ROC(t)]/m-b(mg/dL)
【0291】
例えば、現在の点が軽いノイズ内にある場合、全てのフィルタリングされたセンサカウントが用いられてもよい。
【実施例1】
【0292】
例示的な校正ルーチンがここで記載され、そのステップは、
図47のフローチャート400で見られる。第1のステップにおいて、感度プロファイル対時間は、1日以上にわたるグルコース溶液中のセンサの応答を測定するベンチ試験を用いて特徴付けられる(ステップ402)。これが一般的に破壊試験であるため、それは、製造ロットまたは製造ラインからのセンサの代表セットに対して実行され得る。この試験は、周期的に、またはプロセスが変化するときに、例えば、原材料もしくは装置の変化があるときに反復されてもよい。各センサの感度は、次いで、非破壊ベンチ試験で測定されてもよい(ステップ404)。ステップ402及び404の結果は、各センサのインビボ初期感度及び最終感度を推定するために使用される(ステップ406)。
【0293】
ここで、破壊試験がセンサの群に対して長期間のドリフトを測定し、例えば、センサが最初の2日間にわたって10%ドリフトすることを決定することに留意されたい。非破壊ベンチ試験は、例えば、対象のセンサが20の開始感度を有し得る、対数での各センサに対する開始点を提供する。2つの試験を組み合わせると、例えば、対象のセンサが20で開始し、10%、例えば、22までドリフトすることが予測されることが決定され得る。
【0294】
したがって、このステップは、臨床試験のように、よく特徴付けられたインビボデータに対して訓練または最適化した関数を用いて、ベンチ値をインビボ値にマッピングまたは変換する。別の例として、対象のセンサは、24で開始し、インビボで26までドリフトし得る。
【0295】
送信機の電気特性(利得及びオフセットなど)は、製造中に校正され(ステップ408)、これらの校正係数は、送信機上に記憶されるため(ステップ412)、未加工のセンサ信号は、アルゴリズムを実行する前に電子機器における部品間の差に対して補正され得る。
【0296】
センサは、次いで、単回使用の送信機でパッケージングされる(ステップ414)。センサの識別子、例えば、識別番号は、光学バーコードで読み取られ、その推定されたインビボ感度は、製造データベースから検索され、例えば、無線(NFCまたはBluetooth(登録商標))通信を使用して送信機に書き込まれる(ステップ416)。
【0297】
送信機が、それが機能しているセンサに接続されていることを最初に検出するとき、セッションタイマーが開始され、アルゴリズムが開始する(ステップ418)。アルゴリズムは、CGMモデルを使用して、センサ信号をグルコースに変換し始め(ステップ420)、モデルパラメータは、ステップ416で記録されたセンサ感度に関する前の情報に設定される。
【0298】
信号データの代表セット、例えば、24時間が利用可能であるとき、順方向及び逆方向フィルタに対するシードパラメータは、信号中央値及び推定されたドリフト量を使用して設定されてもよい(ステップ422)。これらのシード値は、次いで、2つの信号フィルタ間の平均二乗誤差を最小限に抑えるようにさらに最適化される(ステップ424)。
【0299】
信号ベースの校正アルゴリズムは、順方向及び逆方向フィルタ信号ならびに未加工のセンサ信号の平均値を使用し、その際、いくつかの基準を満たすようにモデルパラメータ、例えば、感度及びベースラインを調節する(ステップ426)。その際、時間ベースの入力データが、アルゴリズムを更新するために用いられる。例示的な信号ベースの校正アルゴリズムは、上記で参照により組み込まれる特許出願(第13/827,119号)、具体的には、[0188]、すなわち、ドリフト推定及び補正のためのベイズ学習アプローチを示す実施例4に開示されるものである。
【0300】
図47の実装において、モデルは、平均グルコース値が予測された糖尿病平均値と一致するという基準を満たすように調節され、CGMグルコース変動性が平均グルコースレベルと一致するという別の基準を満たすようにさらに調節されてもよい。これらの測定基準を計算するために、アルゴリズムは、平均グルコースとグルコース変動性との間の推定された関係を有する。
例えば、非糖尿病患者は、85mg/dLの平均グルコースレベル及び15mg/dLの標準偏差を有し得る。糖尿病患者は、170mg/dLの平均グルコース及び65mg/dLの標準偏差を有し得る。
【0301】
最適化されたモデルパラメータは、後続のセンサ読み取り値を、次いで表示されるグルコース値に変換するために、CGMモデルによって使用される(ステップ428)。
【0302】
ステップ424~428は、信号データの新しいセットが利用可能であるときに反復される。
【0303】
同様の方法は、許容できない量のセンサ変化(典型的には、7日目以降からの感度の損失)を検出するために、かつ潜在的に不正確な読み取り値を表示することを停止するために使用されてもよい。
【0304】
1つの好ましい実施形態において、分析物センサは、米国特許第6,001,067号及び米国特許公開第US-2005/0027463-A1号を参照して記載されるような、埋め込み可能なグルコースセンサである。別の好ましい実施形態において、分析物センサは、米国特許公開第US-2006/0020187-A1号を参照して記載されるような、経皮グルコースセンサである。さらに他の実施形態において、センサは、米国特許公開第US-2007/0027385-A1号、2006年10月4日出願の同時係属の米国特許出願第11/543,396号、2007年3月26日出願の同時係属の米国特許出願第11/691,426号、及び2007年2月14日出願の同時係属の米国特許出願第11/675,063号に記載されるように、宿主血管内または対外に埋め込まれるように構成される。1つの代替実施形態において、連続グルコースセンサは、例えば、Say et al.の米国特許第6,565,509号に記載されるような経皮センサを含む。別の代替実施形態において、連続グルコースセンサは、例えば、Bonnecaze et al.の米国特許第6,579,690号及びSay et al.の米国特許第6,484,046号を参照して記載されるような皮下センサを含む。別の代替実施形態において、連続グルコースセンサは、例えば、Colvin et al.の米国特許第6,512,939号を参照して記載されるような差し替え可能な皮下センサを含む。別の代替実施形態において、連続グルコースセンサは、例えば、Schulman et al.の米国特許第6,477,395号を参照して記載されるような血管内センサを含む。別の代替実施形態において、連続グルコースセンサは、Mastrototaro et al.の米国特許第6,424,847号を参照して記載されるような血管内センサを含む。
【0305】
図面に示される要素間の接続は、例示的な通信経路を示す。直接または中間体を介してのいずれかの追加の通信経路が、要素間の情報の交換をさらに促進するために含まれてもよい。通信経路は、要素が情報を交換することを可能にする双方向通信経路であってもよい。
【0306】
上記の方法の様々な操作は、様々なハードウェア及び/もしくはソフトウェアコンポーネント(複数可)、回路、ならびに/またはモジュール(複数可)など、操作を実施することが可能である任意の好適な手段によって実施されてもよい。概して、図面に示される任意の操作は、操作を実施することが可能な対応する機能手段によって実施されてもよい。
【0307】
本開示と関連して記載される様々な例示的な論理ブロック、モジュール、及び回路(
図2及び4のブロックなど)は、本明細書に記載される機能を実施するように設計される、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ信号(FPGA)もしくは他のプログラマブル論理デバイス(PLD)、別個のゲートもしくはトランジスタ論理、別個のハードウェアコンポーネント、またはこれらの任意の組み合わせを用いて実装または実施されてもよい。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであってもよいが、代替方法において、プロセッサは、市販のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、または状態機械であってもよい。プロセッサはまた、コンピュータデバイスの組み合わせ、例えば、DSP及びマイクロプロセッサ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと併せた1つ以上のマイクロプロセッサ、または任意の他のそのような構成の組み合わせとして実装されてもよい。
【0308】
1つ以上の態様において、記載される機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの任意の組み合わせで実装されてもよい。ソフトウェアで実装される場合、機能は、コンピュータ可読媒体上で1つ以上の命令またはコードとして記憶または送信されてもよい。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体、及び1つの場所から別の場所へのコンピュータプログラムの転送を促進する任意の媒体を含む、通信媒体の両方を含む。記憶媒体は、コンピュータによってアクセスされ得る任意の利用可能な媒体であってもよい。限定ではなく一例として、そのようなコンピュータ可読媒体は、様々な種類のRAM、ROM、CD-ROM、もしくは他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置、もしくは他の磁気記憶デバイス、または命令もしくはデータ構造の形態で所望のプログラムコードを担持もしくは記憶するために使用され得、かつコンピュータによってアクセスされ得る、任意の他の媒体を含むことができる。また、任意の接続が、コンピュータ可読媒体と適切に呼ばれる。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者線(DSL)、または赤外線、無線、及びマイクロ波などの無線技術を使用して、ウェブサイト、サーバ、または他のリモートソースから送信される場合、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、DSL、または赤外線、無線、及びマイクロ波などの無線技術は、媒体の定義内に含まれる。ディスク(disk)及びディスク(disc)は、本明細書で使用される場合、コンパクトディスク(CD)、レーザディスク、光学ディスク、デジタル多目的ディスク(DVD)、フロッピーディスク、及びBlu-ray(登録商標)ディスクを含み、ディスク(disk)が通常、磁気的にデータを再生する一方で、ディスク(disc)は、レーザで光学的にデータを再生する。したがって、いくつかの態様において、コンピュータ可読媒体は、非一時的なコンピュータ可読媒体(例えば、有形的表現媒体)を含んでもよい。加えて、いくつかの態様において、コンピュータ可読媒体は、一時的なコンピュータ可読媒体(例えば、信号)を含んでもよい。上記の組み合わせもまた、コンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるべきである。
【0309】
本明細書に開示される方法は、記載された方法を達成するための1つ以上のステップまたはアクションを含む。方法ステップ及び/またはアクションは、特許請求の範囲から逸脱することなく互いと交換され得る。換言すれば、ステップまたはアクションの特定の順序が指定されない限り、特定のステップ及び/またはアクションの順序及び使用は、特許請求の範囲から逸脱することなく修正され得る。
【0310】
ある特定の態様は、本明細書に提示される操作を実施するためのコンピュータプログラム製品を含んでもよい。例えば、そのようなコンピュータプログラム製品は、その上に記憶(及び/またはコード化)された命令を有するコンピュータ可読媒体を含んでもよく、命令は、本明細書に記載される操作を実施するために1つ以上のプロセッサによって実行可能である。ある特定の態様のために、コンピュータプログラム製品は、パッケージング材料を含んでもよい。
【0311】
ソフトウェアまたは命令はまた、送信媒体上で送信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者線(DSL)、または赤外線、無線、及びマイクロ波などの無線技術を使用して、ウェブサイト、サーバ、または他のリモートソースから送信される場合、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、DSL、または赤外線、無線、及びマイクロ波などの無線技術は、送信媒体の定義内に含まれる。
【0312】
さらに、本明細書に記載される方法及び技術を実施するためのモジュール及び/または他の適切な手段が、適用できる場合、ユーザ端末及び/または基地局によってダウンロード及び/または別様に取得され得ることが理解されるべきである。例えば、そのようなデバイスは、本明細書に記載される方法を実施するための手段の転送を促進するために、サーバに連結され得る。あるいは、本明細書に記載される様々な方法が、記憶手段(例えば、RAM、ROM、コンパクトディスク(CD)またはフロッピーディスクなどの物理記憶媒体など)を介して提供され得るため、ユーザ端末及び/または基地局は、記憶手段をデバイスに連結または提供すると様々な方法を取得することができる。さらに、本明細書に記載される方法及び技術をデバイスに提供するための任意の他の好適な技術が利用され得る。
【0313】
特許請求の範囲が、上記に例示される正確な構成及びコンポーネントに制限されないことが理解されるものとする。特許請求の範囲から逸脱することなく、上記の方法及び装置の配列、操作、及び詳細に様々な修正、変化、及び変更が行われ得る。
【0314】
特に定義しない限り、全ての用語(専門用語及び科学用語を含む)は、その通常の、かつ慣例的な意味が当業者に示されるものであり、本明細書でそのように明示的に定義されない限り、特別な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものではない。本開示のある特定の特徴または態様を記載するときの特定の用語の使用が、その用語が関連する本開示の特徴または態様の任意の特定の特性を含むように制限されると、その用語が本明細書で再定義されていることを暗示すると解釈されるべきではないことに留意されるべきである。特に添付の特許請求の範囲において、本出願で使用される用語及び句ならびにその変化形は、特に明示されない限り、限定的とは対照的に非限定的と解釈されるべきである。上記の例として、「含むこと」という用語は、「制限なく含むこと」、「挙げられるが、これらに限定されないこと」などを意味すると解釈されるべきであり、「備えること」という用語は、本明細書で使用される場合、「含むこと」、「含有すること」、または「特徴とすること」と同義的であり、包括的または非限定的であり、追加の列挙されていない要素または方法ステップを除外せず、「有すること」という用語は、「少なくとも有すること」と解釈されるべきであり、「含む」という用語は、「挙げられるが、これらに限定されない」と解釈されるべきであり、「実施例」という用語は、考察における事項の包括的または限定的なリストではなく、その例示的な例を提供するために使用され、「既知の」、「通常の」、「標準的な」、及び同様の意味の用語などの形容詞は、記載される事項を所与の期間に、または所与の時点において利用可能な事項に制限すると解釈されるべきではなく、むしろ、現在または今後いかなるときでも利用可能であり得るか、または既知であり得る既知の、通常の、または標準的な技術を包含すると解釈されるべきであり、「好ましくは」、「好ましい」、「所望の」、または「望ましい」、及び同様の意味の用語などの用語の使用は、ある特定の特徴が本発明の構造または機能にとって重大、本質的、または重要でさえあることを暗示すると理解されるべきではなく、むしろ、本発明の特定の実施形態で利用されても、またはされなくてもよい代替または追加の特徴を強調することを単に意図するべきである。同様に、「及び」という接続詞で連結された事項の群は、それらの事項の1つ1つがその群内に存在することを必要とすると解釈されるべきではなく、むしろ、特に明記しない限り、「及び/または」と解釈されるべきである。同様に、「または」という接続詞で連結された事項の群は、その群間の相互排他性を必要とすると解釈されるべきではなく、むしろ、特に明記しない限り、「及び/または」と解釈されるべきである。
【0315】
値の範囲が提供される場合、上限及び下限ならびにその範囲の上限及び下限の間の各介在値が実施形態内に包含されることが理解される。
【0316】
本明細書の実質的に任意の複数形及び/または単数形の用語に関して、当業者は、文脈及び/または用途に適切であるように、複数形から単数形に、及び/または単数形から複数形に変換することができる。様々な単数形/複数形の置換は、明確にするために本明細書において明示的に記載され得る。不定冠詞「a」または「an」は、複数形を除外しない。単一のプロセッサまたは他のユニットが、特許請求の範囲に記述されるいくつかの事項の機能を達成し得る。ある特定の基準が相互に異なる独立した請求項に記述されるという単なる事実は、これらの基準の組み合わせが利益を得るために使用され得ないことを示さない。特許請求の範囲の引用符号は、範囲を制限すると解釈されるべきではない。
【0317】
導入された請求項の記述において特定の数が意図される場合、そのような意図が、その請求項中に明確に記述され、かつそのような記述がない場合は、そのような意図が存在しないことが、当業者によってさらに理解されるであろう。例えば、理解を補助するために、以下の添付の特許請求の範囲は、請求項の記述を導入するために、導入句「少なくとも1つの」及び「1つ以上の」の使用を含み得る。しかしながら、そのような句の使用は、同一の請求項が、導入句「1つ以上の」または「少なくとも1つの」及び「a」または「an」などの不定冠詞を含むときでさえ、不定冠詞「a」または「an」による請求項の記述の導入が、そのような導入された請求項の記述を包含する特定の請求項を、そのような記述を1つのみ含む実施形態に制限することを暗示すると解釈されるべきではなく(例えば、「a」及び/または「an」は、典型的には、「少なくとも1つの」または「1つ以上の」を意味すると解釈されるべきであり)、それは、請求項の記述を導入するために使用される定冠詞の使用にも当てはまる。加えて、導入された請求項の記述の特定の数が明示的に記述される場合でさえ、当業者は、そのような記述が、典型的には、少なくともその記述された数を意味すると解釈されるべきであることを認識するであろう(例えば、他の修飾語句なしの「2つの記述」の単なる記述は、典型的には、少なくとも2つの記述、または2つ以上の記述を意味する)。さらに、「A、B、及びCなどのうちの少なくとも1つ」に類似の慣習的表現が使用される場合、概して、そのような構造は、当業者がその慣習的表現を理解するであろうという意味で、例えば、単一の部材を含む列挙された事項の任意の組み合わせを含むものとして意図される(例えば、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、A単独、B単独、C単独、A及びB、A及びC、B及びC、ならびに/またはA、B、及びCなどを有するシステムを含むがこれらに限定されない)。「A、B、またはCなどのうちの少なくとも1つ」に類似の慣習的表現が使用される場合、概して、そのような構造は、当業者がその慣習的表現を理解するであろうという意味で意図される(例えば、「A、B、またはCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、A単独、B単独、C単独、A及びB、A及びC、B及びC、ならびに/またはA、B、及びCなどを有するシステムを含むがこれらに限定されない)。2つ以上の代替用語を示す実質的にいかなる離接語及び/または句も、説明、特許請求の範囲、または図面におけるかどうかにかかわらず、用語のうちの1つ、用語のうちのいずれか、または両方の用語を含む可能性を企図すると理解されるべきであることが、当業者によってさらに理解されるであろう。例えば、「AまたはB」という句は、「A」または「B」または「A及びB」の可能性を含むと理解される。
【0318】
本明細書で使用される成分、反応条件などの量を表す全ての数が、いかなる場合も、「約」という用語によって修正されると理解されるものとする。したがって、反対の指示がない限り、本明細書に記載される数値パラメータは、取得されることが求められる所望の特性に応じて変化し得る近似値である。最低限でも、かつ本願に対する優先権を主張する任意の出願における任意の請求項の範囲の同等物の原則の適用を制限する試みとしてではなく、各数値パラメータは、有意な桁の数及び通常の四捨五入法を考慮して解釈されるべきである。
【0319】
本明細書に列挙される全ての参考文献は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれる出版物及び特許または特許出願が、本明細書に含まれる開示と矛盾する程度まで、本明細書は、任意のそのような矛盾する材料に取って代わり、かつ/または優先するよう意図する。
【0320】
見出しは、参照のために、かつ様々な節の位置を見つける手助けをするために、本明細書に含まれる。これらの見出しは、それに関して記載される概念の範囲を制限するよう意図されない。そのような概念は、本明細書全体を通じた適用可能性を有し得る。
【0321】
さらに、上記が明確さ及び理解の目的で例示及び実施例としてある程度詳細に記載されてきたが、ある特定の変更及び修正が実施され得ることが、当業者には明らかである。したがって、説明及び実施例は、本発明の範囲を本明細書に記載される特定の実施形態及び実施例に制限すると解釈されるべきではなく、むしろ、本発明の真の範囲及び精神に入る全ての修正物及び代替物も包含すると解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0322】
2 薬剤送達ポンプ
4 グルコースメータ
8 連続分析物センサシステム
10 連続分析物センサ
12 センサ電子機器
14、16、18、20 ディスプレイデバイス
100 システム
406 ネットワーク
490 クラウドベースの分析物プロセッサ