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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】自動倉庫システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/14 20060101AFI20240514BHJP
【FI】
B65G1/14 C
B65G1/14 J
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019075749
(22)【出願日】2019-04-11
(62)【分割の表示】P 2018208825の分割
【原出願日】2018-11-06
(65)【公開番号】P2019131405
(43)【公開日】2019-08-08
【審査請求日】2021-10-20
【審判番号】
【審判請求日】2023-06-07
(31)【優先権主張番号】P 2018016491
(32)【優先日】2018-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】503002732
【氏名又は名称】住友重機械搬送システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【弁理士】
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】日野 克美
【合議体】
【審判長】中屋 裕一郎
【審判官】尾崎 和寛
【審判官】内田 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開平3-211104(JP,A)
【文献】特開2013-86901(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00-1/133
B65G 1/14-1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷を搬送するための台車と、
高さ方向に複数段設けられ、各段において、前記台車を水平方向である第1方向へ移動可能に構成され、前記荷を収容可能な棚部と、
複数段の前記棚部それぞれに設けられ、前記水平方向である前記第1方向に延在する複数の第1梁と、
一の棚部の段において、前記水平方向である前記第1方向と交差する方向に延在し、前記複数の第1梁を支持する複数の第2梁と、
外部搬送手段が、前記棚部へ荷を搬入する又は前記棚部から荷を搬出する作業スペースと、を備え、
前記複数の第2梁のうち、前記作業スペースに対応する第2梁の下面は、他の第2梁の下面よりも高い位置に位置し、
前記作業スペースに対応する第2梁は、前記第1方向における最も前記作業スペース側の第2梁であることを特徴とする自動倉庫システム。
【請求項2】
前記第1梁は、前記台車を第1方向に移動可能に構成されている走行面を有することを特徴とする請求項1に記載の自動倉庫システム。
【請求項3】
前記作業スペースに対応する第2梁の少なくとも一部は、前記走行面よりも上側に位置することを特徴とする請求項2に記載の自動倉庫システム。
【請求項4】
前記作業スペースに対応する第2梁は、前記作業スペース側からの前記台車の転落を抑制する抑制部材として機能することを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の自動倉庫システム。
【請求項5】
前記作業スペースに対応する第2梁と、前記他の第2梁のうちの前記作業スペースに対応する第2梁に隣接する第2梁との前記第1方向における間隔は、前記他の第2梁同士の間隔よりも広いことを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の自動倉庫システム。
【請求項6】
荷はパレットに載せられた状態で搬送され、
前記第1梁の端部から、前記他の第2梁のうちの最も前記作業スペース側の第2梁までの距離は、前記パレットの前記第1方向における長さよりも長いことを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の自動倉庫システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動倉庫システムに関する。
【背景技術】
【0002】
少ないスペースで多数の荷を効率的に入庫・出庫可能な倉庫システムとして、立体的に構成された自動倉庫に台車を用いて荷の搬送を行う自動倉庫システムが知られている。例えば、特許文献1には、物品を複数収容可能な収容棚が配置され、収容棚にアクセス可能な走行レールを敷設し、この走行レールを自走可能な搬送台車を利用して物品を搬入・搬出する倉庫が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-157683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動倉庫システムには、フォークリフトなどの外部搬送装置によって、外部からの荷を保管棚の保管部に搬入したり、保管部から荷を搬出したりするものがある。この場合、搬入出のための各出入口を高さ方向に広くすると、保管棚における荷の高さ方向の間隔が広くなり、荷の収容効率が下がる。反対に、保管棚における荷の高さ方向の間隔を狭くして荷の収容効率を上げると、それに伴って出入口が高さ方向に狭くなり、搬入、搬出時に荷をフォークリフトにより持ち上げた際に荷の上部が棚と衝突するのを避けるために、フォークリフトの操作が難しくなる等の問題が発生する虞がある。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、出入口の高さ方向の間隔をなるべく短くせず、かつ、高さ方向に高い収容効率で荷を保管できる自動倉庫システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の自動倉庫システムは、荷を搬送するための台車と、高さ方向に複数段設けられた棚部と、複数段の棚部それぞれに設けられ、台車を第1方向へ移動させるためのレールと、一の棚部の段において、第1方向に沿って複数並べて設けられ、レールを支持する支持部材と、を備える。第1方向における最も端部側の支持部材は、他の支持部材よりも高さ方向における位置が高くなるように設けられている。
【0007】
本発明の別の態様もまた、自動倉庫システムである。この自動倉庫システムは、荷を搬送するための台車と、高さ方向に複数段設けられた棚部と、複数段の棚部それぞれに設けられる、台車を第1方向へ移動させるためのレールと、複数段の棚部それぞれに設けられる、レールを支持する複数の支持部材と、を備える。一の棚部の載置面から、当該棚部の上側に隣接する棚部を支持する複数の支持部材のうちの最も端部側の支持部材までの高さ方向の距離は、載置面から、隣接する棚部を支持する複数の支持部材のうちの他の支持部材までの高さ方向の距離よりも長い。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、出入口の高さ方向の間隔をなるべく短くせず、かつ、高さ方向に高い収容効率で荷を保管できる自動倉庫システムを提供できる
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態に係る自動倉庫システムを概略的に示す側面図である。
図2】実施の形態に係る自動倉庫システムの保管棚の配置を示す平面図である。
図3】実施の形態に係る自動倉庫システムを概略的に示す側面図である。
図4】実施の形態に係る自動倉庫システムの保管棚の配置を示す正面図である。
図5】第1台車を概略的に示す平面図である。
図6】第1台車とその周辺を示す正面図である。
図7】第2台車を概略的に示す平面図である。
図8】第2台車の側面図である。
図9】比較例に係る自動倉庫システムの第1保管棚を示す側面図である。
図10】本実施の形態の第1保管棚を示す側面図である。
図11】第1保管棚の変形例を示す側面図である。
図12】第1保管棚の他の変形例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、工程には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0012】
図1は、実施の形態に係る自動倉庫システム100を概略的に示す平面図である。図2は、自動倉庫システム100の保管棚20の配置を示す平面図である。図3は、自動倉庫システム100を概略的に示す側面図である。図4は、自動倉庫システム100の保管棚20の配置を示す側面図である。これらの図では、説明に重要でない柱や梁などの記載を省略しており、以下の図についても同様である。
【0013】
説明の便宜上、図示のように、水平なある方向をX軸方向、X軸方向に直交する水平な方向をY軸方向、両者に直交する方向すなわち鉛直方向をZ軸方向とするXYZ直交座標系を定める。なお、以降の説明ではXYZ直交座標系を用いて説明するが、必ずしもX軸方向、Y軸方向、Z軸方向は互いに直交していなくとも、略90度で交差していればよい。X軸、Y軸、Z軸のそれぞれの正の方向は、各図における矢印の方向に規定され、負の方向は、矢印と逆向きの方向に規定される。また、X軸の正方向側を「右側」、X軸の負方向側を「左側」ということもある。また、Y軸の正方向側を「前側」、Y軸の負方向側を「後側」、Z軸の正方向側を「上側」、Z軸の負方向側を「下側」ということもある。このような方向の表記は自動倉庫システム100の構成を制限するものではなく、自動倉庫システム100は、用途に応じて任意の構成で使用されうる。
【0014】
自動倉庫システム100は、多数の荷12を保管可能な保管棚20を含むシステムである。なお、本実施の形態では、荷12をパレット12pに載せた状態で扱うが、これに限られず、パレットを用いずに荷12を単独で扱うようにしてもよい。なお、荷12をパレット12pに載せた状態で搬送することを、単に荷12を搬送するという。
【0015】
自動倉庫システム100は、第1保管棚20aと、第2保管棚20bと、第1台車14と、第2台車16と、第1レール40と、第2レール42と、第3レール44と、載置台30と、制御部18と、を含む。第1保管棚20aと第2保管棚20bを特に区別しない場合には「保管棚20」とよぶ。また、第1台車14と第2台車16を区別しない場合には「台車」とよぶ。また、第1台車14、第2台車16、第1レール40、第2レール42および第3レール44を総括して「内部搬送機構」ともよぶ。
【0016】
第1保管棚20aと第2保管棚20bは、第3レール44を挟むように配置される。各保管棚20は、多数の荷12を保管可能ないわば高密度保管型の保管スペースである。各保管棚20の構成は、複数の荷12を収容・保管可能であれば、特に限定されない。この例では、各保管棚20は、上下方向に層状に重ねられた複数段(例えば3段)の保管ステージ22を含む。各保管ステージ22は、Y軸方向に並べられた複数(例えば6つ)の保管行24を含み、各保管行24はX軸方向に接続された複数(例えば3つ)の保管部26を含む。保管部26は、荷12を保管する単位である。
【0017】
第1保管棚20aの各保管行24の第2保管棚20bとは反対側(左側)の端部には、倉庫外部から搬入されるまたは倉庫外部に搬出される荷12を通過させるための外部出入口部24aが設けられる。また、各保管棚20の各保管行24の他方の保管棚20側の端部には、他方の保管棚20から搬送されるまたは他方の保管棚20に搬送される荷12を通過させるための内部出入口部24bが設けられる。
【0018】
自動倉庫システム100には、フォークリフトなどの外部搬送装置が作業するための作業スペース60が設けられる。作業スペース60は、第1保管棚20aに対して第2保管棚20bとは反対側に設けられる空間であって、各保管行24の外部出入口部24aに面する空間である。作業スペース60は、外部搬送装置が第1保管棚20aに荷12を搬入したり第1保管棚20aから荷12を搬出したりできる程度の立体的な大きさを有する。つまり、作業スペース60は、荷12の搬入・搬出が可能な程度のX軸方向寸法、Y軸方向寸法およびZ軸方向寸法を有する。なお、作業スペース60のX軸方向寸法、Y軸方向寸法、Z軸方向寸法はそれぞれ、第1保管棚20aのそれらより大きく設定されてもよい。作業スペース60を有することで、荷12の搬入・搬出が容易になり、作業効率が向上する。
【0019】
第1レール40は、各保管行24に対応して設けられる。第1レール40は、保管行24において、X軸方向に延在する。第2レール42は、第2台車16上においてX軸方向に延在する。第3レール44は、第1保管棚20aと第2保管棚20bとの間においてY軸方向に延在する。第1レール40、第2レール42および第3レール44を総称するときは単にレールということがある。レールは、その延在方向に台車を走行させるように構成された車輪の走行面を有する部材または部分である。
【0020】
図5は、第1台車14を概略的に示す平面図である。図6は、第1台車14とその周辺を示す正面図である。図6は、第1台車14が第1レール40を走行する様子を示している。
【0021】
自動倉庫システム100は、Z軸方向に延在する複数の縦柱36と、Y軸方向に延在する複数の横梁38と、をさらに含む。複数の縦柱36と複数の横梁38は、保管棚20の骨組みを形成する。第1レール40は、主に横梁38に支持されている。載置台30は、第1レール40の上方に位置し、接続部材50を介して第1レール40と接続されている。
【0022】
第1台車14は、荷12を搬送するために、保管行24の中で第1レール40の上面である走行面40aをX軸方向に走行する。第1台車14は、保管部26に対して荷12を出し入れする。第1台車14は、第2台車16に乗降するために、第2台車16上に設けられた第2レール42の走行面42f(後述)をX軸方向に走行する。
【0023】
第1台車14は、車体14bと、昇降台14cと、リフト機構14dと、複数(例えば4個)の車輪14fと、を主に含む。車体14bは、上下方向に偏平な略直方体形状の輪郭を有する。車体14bの内部には、複数の車輪14fを駆動するモータ(不図示)と、このモータを制御する制御回路(不図示)と、を搭載している。第1台車14は、バッテリーを内蔵し、そのバッテリーの電力によってモータを駆動するように構成されてもよい。
【0024】
昇降台14cは、荷12を持上げて保持する部分である。リフト機構14dは、昇降台14cを昇降させる機構である。図6において、符号Pで示す昇降台14cは上昇した状態にあり、符号Qで示す昇降台14cは下降した状態にある。符号Pで示すように、リフト機構14dは昇降台14cを上昇させて荷12を載置台30の上面である載置面30aから持上げることができる。リフト機構14dは、昇降台14cを降下させて荷12を載置台30の載置面30aに降ろすことができる。複数の車輪14fは第1レール40上および第2レール42上を走行する。
【0025】
図7は、第2台車16を概略的に示す平面図である。図8は、第2台車16の側面図である。第2台車16は、第3レール44をY軸方向に走行する。第2台車16は、空荷の状態または荷12を積載した状態の第1台車14を搬送する。第2台車16は、車体16bと、積載部16cと、第2レール42と、複数の車輪16fと、を主に含む。車体16bは、上下方向に偏平な略直方体形状の輪郭を有する。車体16bの内部には、各車輪16fを駆動するモータ(不図示)と、このモータを制御する制御回路(不図示)と、を搭載している。車輪16fは、第3レール44上を走行する。
【0026】
積載部16cは、第1台車14を載せるために、車体16bの上面から下向に窪んで形成されている。積載部16cの大きさは、第1台車14が積載部16cの周囲と干渉することなくX軸方向に走行できるように、第1台車14の大きさに十分な量のマージンを加えた大きさとされる。積載部16cには、第2レール42が設けられている。第1台車14は第2レール42上を走行する。第2レール42はX軸方向に延びる一対の走行面42fを有する。積載部16cの一対の走行面42fの間には、走行面42fから下向に後退した中間部16gが存在する。必要に応じて、中間部16gは、走行面42fから上向に突出してもよいし、走行面42fと同じ高さであってもよい。
【0027】
図1に戻り、制御部18は、ユーザからの操作結果に基づき、第1台車14および第2台車16の動作を制御する。制御部18は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などを含んで構成することができる。
【0028】
以上のように構成された自動倉庫システム100の動作を説明する。倉庫外部からの荷12は、例えばフォークリフトなどの外部搬送装置によって外部出入口部24aから外部出入口部24aに面した保管部26に搬入される。自動倉庫システム100は、搬入された荷12を、第1台車14および第2台車16を含む内部搬送機構によって所定の保管部26に搬送して保管する。自動倉庫システム100は、所定の保管部26で保管していた荷12を、内部搬送機構によって外部出入口部24aに面した保管部26に搬送する。搬送された荷12は、外部搬送装置によって倉庫外部に搬出される。
【0029】
続いて、外部出入口部24a周辺の構成をさらに詳細に説明する。
【0030】
まず、比較例について説明する。図9は、本実施の形態と比較すべき比較例に係る自動倉庫システムの第1保管棚20aを示す側面図である。各段の第1レール40はそれぞれ、複数の、この例では第1横梁38a~第4横梁38dの4本の横梁(支持部材)により支持されている。第1横梁38a、第2横梁38b、第3横梁38c、第4横梁38dは、この順に外部出入口部24aからX軸方向に並び、それぞれY軸方向に延在する。第1横梁38a、第2横梁38b、第3横梁38c、第4横梁38dは、第1レール40の下方に位置し、第1レール40を下方から支持する。
【0031】
本比較例では、第N(Nは1以上の整数)段の載置台30の載置面30aから第(N+1)段の第1レール40を支持する第1横梁38aの下面38aaまでの距離d1は、第N段の載置台30の載置面30aから第(N+1)段の第1レール40を支持する第2横梁38b、第3横梁38c、第4横梁38dの各下面38ba、38ca、38daまでの距離d2と同じになる。
【0032】
次に、本実施の形態について説明する。図10は、本実施の形態の第1保管棚20aを示す側面図である。本実施の形態では、第2横梁38b、第3横梁38c、第4横梁38dは、比較例と同様に、第1レール40の下方に位置し、第1レール40を下方から支持する。
【0033】
第1横梁38aは、比較例とは異なり、第1レール40よりも左側に位置し、かつ、その下面38aaが第2横梁38b、第3横梁38c、第4横梁38dの各下面38ba、38ca、38daよりも上側に位置するように配置される。そして第1横梁38aは、支持ブラケット48を介して第1レール40を支持する。また、第1横梁38aは、その上面38abが第1レール40の上面である走行面40aよりも上側、かつ、載置台30の上面である載置面30aよりも下側に位置する。
【0034】
支持ブラケット48は、第1レール40の下方に位置して第1レール40を支持する第1部分48aと、第1横梁38aの上面に当接する第2部分48bと、第1部分48aと第2部分48bとを接続する第3部分48cと、有する。第1部分48aの下面48aaは、第2横梁38b、第3横梁38c、第4横梁38dの各下面38ba、38ca、38daよりも上側に位置し、好ましくは図示のように第1横梁38aの下面38aaよりも上側に位置する。
【0035】
本実施の形態では、第N段の載置台30の載置面30aから第(N+1)段の第1レール40を支持する第1横梁38aの下面38aaまでの距離d1は、第N段の載置台30の載置面30aから第(N+1)段の第1レール40を支持する第2横梁38b、第3横梁38c、第4横梁38dの各下面38ba、38ca、38daまでの距離d2よりも長くなる。なお、ブラケットの第1部分の下面が第1横梁の下面よりも下側に位置する場合は、ブラケットの第1部分の下面までの距離が距離d1となる。
【0036】
第2横梁38bは、X軸方向における外部出入口部24aからの距離d3が、より具体的には第1レール40の外部出入口部24a側の端面40bから第2横梁38bの外部出入口部24a側の側面38bbまでのX軸方向における距離d3が、想定される荷12のX軸方向における長さLよりも長くなるように配置される。図示の例のように、第1横梁38aと第2横梁38bとの間隔w1を、他の横梁間の間隔w2、具体的には第2横梁38bと第3横梁38cとの間隔w2や第3横梁38cと第4横梁38dとの間隔w2よりも広くすることで、これが実現されてもよい。なお、想定される荷12のX軸方向の長さLは、パレット12pのX軸方向の長さであってもよい。
【0037】
以下、これを踏まえて本実施の形態の効果を説明する。外部搬送装置70がフォークリフトの場合、フォークリフトのフォークの高さを精度よく操作するのは困難であるため、荷12を第1横梁38aに接触させないために、荷12に対する外部出入口部24aの高さ方向の余裕はある程度大きくしたい。具体的には、距離d1を長くしたい。これに対し、本実施の形態によれば、距離d2は比較例と同じにしつつも距離d1を比較例よりも長くできる。言い換えると、各段の載置台30の高さ方向の間隔は比較例と同じにしつつも、距離d1を比較例よりも長くできる。さらに言い換えると、高さ方向における荷12の収容効率を低下させることなく、荷12に対する外部出入口部24aの高さ方向の余裕を大きくできる。この場合、フォークリフトによって荷12を搬入または搬出する際に、第1横梁38aに荷12が接触するのを抑止できる。
また逆に、本実施の形態によれば、荷12に対する外部出入口部24aの高さ方向の余裕を比較例と同程度にすれば、つまり距離d1を比較例における距離d1と同程度にすれば、各段の載置台30の高さ方向の間隔を比較例よりも狭くでき、建物の天井の高さ等に基づく保管棚20の段数の上限を比較例の場合よりも増やすことが可能となる。保管棚20の段数が増えれば、(保管行24の数)×(各保管行24に含まれる保管部26の数)もの数の保管部26が一気に増え、保管棚20の収容効率が大幅に向上する。
一方、比較例では、荷12に対する外部出入口部24aの高さ方向の余裕を大きくするには、各横梁38の高さ位置を上げる必要があり、そうすると、各段の載置台30の高さ方向の間隔が広くなり、収容効率が低下する。
【0038】
また、本実施の形態では、外部出入口部24aの広さを比較例と同程度にすると、載置台30の高さ方向の間隔は比較例よりも小さくなる。つまり、荷12に対する外部出入口部24aの高さ方向の余裕は比較例と同程度にしつつも、高さ方向における荷12の収容効率を上げることができる。この場合、距離d2は比較例よりも短くなるが、第1台車14はリフト機構14dにより精度よく荷12を昇降することが可能であるため、高さ方向の余裕が比較的少なくても問題とはならない。
【0039】
また、本実施の形態では、第1横梁38aが第1レール40の走行面よりも上側に位置するため、第1横梁38aにより、第1台車14が外部出入口部24aから落ちないように規制される。つまり、第1横梁38aは、第1台車14が外部出入口部24aから落ちるのを抑制する抑制部材として機能する。なお、第1横梁38aは載置台30の載置面30aよりは下側に位置するため、荷12の搬入・搬出は阻害されない。
一方、比較例では、第1台車14が外部出入口部24aから落ちるおそれがある。比較例において第1台車14が外部出入口部24aから落ちるのを抑制するには、別途、抑制部材を用意する必要がある。
【0040】
また、本実施の形態では、第2横梁38bは、X軸方向における外部出入口部24aからの距離d3が想定される荷12のX軸方向における長さLよりも長くなるように配置されるため、外部搬送装置70で荷12を搬入または搬出する際に、荷12が第2横梁38bに接触するのを抑止できる。また、本実施の形態では、第1横梁38aと第2横梁38bとの間隔w1を、他の横梁間の間隔w2よりも広くしてもよい。この場合、保管棚として要求される強度を満たすべく当該他の横梁間の間隔w2を比較的狭くしつつも、第1横梁38aと第2横梁38bとの間隔w1を比較的広くできるため、X軸方向における長さLが比較的長い荷12であっても、第2横梁38bに接触するのを抑止できる。
【0041】
以上、実施の形態に係る自動倉庫システムの構成と動作について説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下変形例を示す。
【0042】
実施の形態の説明では、第1台車14と第2台車16の両方を備える例を示したが、本発明はこれに限定されない。第1台車14のみを備え、第2台車16を備えない構成であってもよい。この場合、各行の第1レール40は図1のように第2台車16よりも左側と右側で分割されていなくともよく、一続きの部材によって構成されていてもよい。
【0043】
実施の形態の説明では、第2台車16が昇降機構を備えない例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第2台車は昇降機構を有するスタッカークレーンであってもよい。この場合、荷12をY軸方向に搬送すると共に上下方向に昇降できる。
【0044】
実施の形態の説明では、第2台車16はY軸方向にのみ移動して、上下方向には移動しない例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第2台車16を上下方向へ昇降させる昇降装置を設けて、第2台車16を各段間で移動可能にしてもよい。
【0045】
実施の形態の説明では、第1台車14が各段の各行に設けられる例を示したが、本発明はこれに限定されない。第1台車14が各段の各行に設けられることは必須ではなく、複数段に1つ、または複数行に1つのみ設けられていてもよい。
【0046】
実施の形態の説明では、保管棚20が、保管行24を複数列含む例を示したが、本発明はこれに限定されない。保管棚20は1列の保管行24から構成されてもよい。
【0047】
実施の形態の説明では、保管行24を構成する保管部26の数が一様である例を示したが、本発明はこれに限定されない。保管行24を構成する保管部26の数は、保管棚20を収容する建物の壁の凹凸に応じて、数が多い行と少ない行とが設けられてもよい。
【0048】
実施の形態の説明では、上下方向に積層される保管行24の段数が一様である例を示したが、本発明はこれに限定されない。保管行24の段数は、保管棚20を収容する建物の天井の高さに応じて、段数が多い領域と少ない領域とが設けられてもよい。
【0049】
実施の形態の説明では、第1横梁38aと、第2横梁38b、第3横梁38cおよび第4横梁38d(以下、簡単のため第2横梁38bのみ記載する)とが同じ部材で構成されている例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1横梁38aが第2横梁38bに比べて薄く(高さ方向に小さく)形成されていてもよい。この場合、図10のように第1横梁38aを第1レール40よりも-X軸方向外側(左側)に設けずとも、すなわち第2横梁38bと同じように第1レール40の下部と接触するように設けたとしても、第1横梁38aから載置面30aまでの距離を第2横梁38bから載置面30aまでの距離よりも短くすることができ、実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0050】
実施の形態の説明では、第1保管棚20aについては、最も外部出入口部24a側の第1横梁38aと載置面30aとの間の距離d1が、その他の第2横梁38b、第3横梁38c、第4横梁38dのそれぞれと載置面30aとの間の距離d2よりも短くなるように設けられていた。一方、第2保管棚20bについては、実施の形態の説明では横梁38と載置面30aとの間の距離について特に言及しなかったが、すべての横梁38において載置面30aとの間の距離が同じとなっていてもよい。つまり、第2保管棚20bの各横梁38は、いずれも第1保管棚20aの第2横梁38b、第3横梁38c、第4横梁38dと同じ高さに設けられてもよい。図1に示すように、第2保管棚20bには外部搬送装置が導入されないため、出入口の高さ方向の余裕を大きくする必要がないためである。
【0051】
実施の形態の説明では、第1横梁38aが支持ブラケット48を介して第1レール40を支持する例を示したが、本発明はこれに限定されない。
【0052】
図11は、第1保管棚20aの変形例を示す側面図である。図11は、図10に対応する。図11の例では、第1横梁38aは第1レール40の外部出入口部24a側の端面40bに直接または不図示の中間部材を介して間接に固定される。第1横梁38aは、その下面38aaが第2横梁38b、第3横梁38c、第4横梁38dの各下面38ba、38ca、38daよりも上側に位置するように配置される。図示の例では、第1横梁38aは、その下面38aaが第1レール40の下面40cよりも上側に位置するように配置されている。また、第1横梁38aは、その上面38abが第1レール40の上面である走行面40aよりも上側、かつ、載置台30の上面である載置面30aよりも下側に位置する。
【0053】
図12は、第1保管棚20aの他の変形例を示す側面図である。図12は、図10に対応する。図12の例では、第1横梁38aは接続部材50に挿通され、そこで固定される。第1横梁38aの下面38aaは第2横梁38b、第3横梁38c、第4横梁38dの各下面38ba、38ca、38daよりも上側に位置し、第1横梁38aの上面38abは第1レール40の上面である走行面40aよりも上側、かつ、載置台30の上面である載置面30aよりも下側に位置する。
【0054】
図11、12の変形例によれば、実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0055】
上述した実施の形態と変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。
【符号の説明】
【0056】
14 第1台車、 24a 外部出入口部、 26 保管部、 30a 載置面、 40 第1レール、 38 横梁、 38a 第1横梁、 38b 第2横梁。
図1
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図5
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図7
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図10
図11
図12