(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】包装体の製造装置及び製造方法
(51)【国際特許分類】
B65B 31/06 20060101AFI20240514BHJP
B65B 9/02 20060101ALI20240514BHJP
B65B 9/06 20120101ALI20240514BHJP
B65B 31/04 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
B65B31/06
B65B9/02
B65B9/06
B65B31/04 C
(21)【出願番号】P 2019152370
(22)【出願日】2019-08-22
【審査請求日】2022-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 陽一
(72)【発明者】
【氏名】木村 翔平
(72)【発明者】
【氏名】今井 康至
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特公昭54-030354(JP,B2)
【文献】実開昭54-180064(JP,U)
【文献】特開2004-090939(JP,A)
【文献】特許第3917492(JP,B2)
【文献】特開昭54-033188(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 31/06
B65B 9/02
B65B 9/06
B65B 31/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包装物がフィルムで包装された包装体の製造装置であって、
前記フィルムの第1原反と第2原反とを同方向に搬送しながら重ね合わせた状態で、該第1原反及び該第2原反の搬送方向に沿う両側部どうしを接合する第1フィルム接合部と、
前記搬送方向に沿って延びるように配され、前記搬送方向に沿って気体流を供給可能なノズル部と、
前記両側部どうしが接合された第1原反及び第2原反を、該第1原反及び該第2原反の搬送方向に所定の間隔を置いて、該搬送方向に交差する方向にわたり接合する第2フィルム接合部と、
前記第2フィルム接合部によって接合された部位で、前記第1原反及び前記第2原反を前記搬送方向に交差する方向に切断するカッター部とを備え、
前記ノズル部は、前記搬送方向に直交する方向において前記第1フィルム接合部よりも内方の位置であって且つ前記第1原反及び前記第2原反の間に配されており、
前記ノズル部の開口端は、前記第1フィルム接合部よりも搬送方向下流側に位置しており、
少なくとも一方の原反及び前記被包装物を該原反の外面から押圧して、該原反に対する該被包装物の配置位置を維持する第1押圧部が、前記ノズル部の開口端の近傍に配されており、
第1押圧部はロールを備え、該ロールは、該ロールの軸方向が前記搬送方向と直交するように、且つ、前記被包装物の各側縁よりも内方に位置するように配されている、包装体の製造装置。
【請求項2】
被包装物がフィルムで包装された包装体の製造装置であって、
二つ折り又は筒状の前記フィルムの原反を一方向に搬送しながら、該原反の搬送方向に沿う両側部を重ね合わせた状態で該両側部を接合する第1フィルム接合部と、
前記搬送方向に沿って延びるように配され、前記搬送方向に沿って気体流を供給可能なノズル部と、
前記両側部が接合された原反を、前記原反の搬送方向に所定の間隔を置いて、該搬送方向に交差する方向にわたり接合する第2フィルム接合部と、
前記第2フィルム接合部によって接合された部位で、前記原反を前記搬送方向に交差する方向に切断するカッター部とを備え、
前記ノズル部は、前記第1フィルム接合部の近傍の位置であって且つ前記原反の間に配されており、
前記ノズル部の開口端は、前記第1フィルム接合部よりも搬送方向下流側に位置しており、
前記原反及び前記被包装物を該原反の外面から押圧して、該原反に対する該被包装物の配置位置を維持する第1押圧部が、前記ノズル部の開口端の近傍に配されており、
第1押圧部はロールを備え、該ロールは、該ロールの軸方向が前記搬送方向と直交するように、且つ、前記被包装物の各側縁よりも内方に位置するように配されている、包装体の製造装置。
【請求項3】
前記被包装物を押圧せずに、少なくとも一方の原反を外面から押圧する第2押圧部が、第1押圧部の前記搬送
方向下流側であって、且つ、該搬送方向における前記第1フィルム接合部の配置位置から前記第2フィルム接合部の配置位置までの間に配されている、請求項1又は2に記載の包装体の製造装置。
【請求項4】
第2押圧部はロールを備え、該ロールは、該ロールの軸方向が前記搬送方向と直交するように、且つ、前記被包装物の一方の側縁よりも外方の位置から他方の側縁よりも外方の位置にわたって連続して配されている、請求項3に記載の包装体の製造装置。
【請求項5】
前記被包装物の厚さに対する第2押圧部のクリアランスの比が、1以上5以下である、請求項3又は4に記載の包装体の製造装置。
【請求項6】
前記搬送方向に直交する方向において、前記被包装物の側縁部と前記第1フィルム接合部との間隔に対する前記ノズル部の外径の比が0.1以上0.7以下である、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の包装体の製造装置。
【請求項7】
少なくとも一方の原反を外面から押圧する第3押圧部が、前記搬送方向における前記第2フィルム接合部の配置位置から前記カッター部の配置位置までの間に配されている、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の包装体の製造装置。
【請求項8】
被包装物がフィルムで包装された包装体の製造方法であって、
前記被包装物を前記フィルムの第1原反及び第2原反の間に配置する工程と、
同方向に搬送され且つ重ね合わせた第1原反及び第2原反における搬送方向に沿う両側部どうしを接合する第1接合工程と、
第1接合工程の前記搬送方向下流側において、前記第1原反及び前記第2原反間に気体を供給する工程と、
前記第1原反及び前記第2原反を前記搬送方向と交差する方向に接合して、前記被包装物及び前記気体が封入された包装体連続体を形成する第2接合工程と、
第2接合工程によって接合された部位において、前記包装体連続体を前記搬送方向と交差する方向に切断して、包装体を形成する切断工程とを備え、
ロールを備えた第1押圧部によって、少なくとも一方の原反及び前記被包装物を該原反の外部から押圧して、該原反に対する該被包装物の配置位置を維持した状態で搬送する第1押圧工程を、第1接合工程の直前若しくは直後に行うか、又は第1接合工程と同時に行い、
第1押圧工程においては、前記ロールによって前記被包装物を、該被包装物の各側縁よりも内方の位置で押圧する、包装体の製造方法。
【請求項9】
被包装物がフィルムで包装された包装体の製造方法であって、
二つ折り又は筒状の前記フィルムの原反間に前記被包装物を配置する工程と、
一方向に搬送された前記原反における搬送方向に沿う両側部を重ね合わせて接合する第1接合工程と、
第1接合工程の前記搬送方向下流側において、前記原反間に気体を供給する工程と、
前記原反を前記搬送方向と交差する方向に接合して、前記被包装物及び前記気体が封入された包装体連続体を形成する第2接合工程と、
第2接合工程によって接合された部位において、前記包装体連続体を前記搬送方向と交差する方向に切断して、包装体を形成する切断工程とを備え、
ロールを備えた第1押圧部によって、前記原反及び前記被包装物を該原反の外部から押圧して、該原反に対する該被包装物の配置位置を維持した状態で搬送する第1押圧工程を、第1接合工程の直前若しくは直後に行うか、又は第1接合工程と同時に行い、
第1押圧工程においては、前記ロールによって前記被包装物を、該被包装物の各側縁よりも内方の位置で押圧する、包装体の製造方法。
【請求項10】
ロールを備えた第2押圧部によって、前記被包装物を押圧しない状態で、少なくとも一方の原反を
該原反の外面から押圧して搬送する第2押圧工程を、第1押圧工程を行った後で且つ第2接合工程よりも前に行う、請求項8又は9に記載の包装体の製造方法。
【請求項11】
第2押圧工程においては、前記被包装物の一方の側縁よりも外方の位置から他方の側縁よりも外方の位置にわたって、前記ロールによって少なくとも一方の原反を押圧する、請求項10に記載の包装体の製造方法。
【請求項12】
前記切断工程において、前記包装体連続体を押圧した状態で切断する、請求項8ないし11のいずれか一項に記載の包装体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装体の製造装置及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
袋内における被包装物の劣化等を防止することを目的として、被包装物を特定のガスとともに包装し、内部気体が当該ガスで置換された包装体の製造装置が種々提案されている。例えば特許文献1には、二つ折りの長尺フイルムの中に薄物材料を供給し、長尺フイルムの少なくとも開放側縁と、薄物材料との前後をシールして薄物材料を包装する装置が開示されている。同文献には、薄物材料を挟んだ二つ折の長尺フイルムの上面を押さえる押えベルトと、長尺フイルムの開放した側縁から内部に挿入され、二つ折長尺フイルム内に封入ガスを供給するガス封入ノズルと、前記長尺フイルムの開放した側縁から内部に挿入されたサクシヨンノズルとを有することも開示されている。
【0003】
特許文献2には、長手方向に流れる帯状フィルムを筒状に変形させるように設置した製筒器と、製筒器の下側にあって前記フィルムの重ね合わされた両側縁を溶着するように設けたセンターシーラと、フィルムの運搬方向に交差する方向にフィルムにシールを行う上下一対のクロスシーラとを有する包装機が開示されている。同文献には、製筒器内に、外側の排気パイプを内側のガス噴出パイプよりも少なくとも被包装物1個分以上短くした二重のパイプを内側のガス噴出パイプの一端がクロスシーラの近傍に位置するように設置されると共に、製筒器の入口側において、前記ガス噴出パイプをガスラインを介してガス供給源に接続されて、袋へのガス供給が可能になることも開示されている。
【0004】
また特許文献3には、コンベヤ軌道に沿って移動中の開封包装体の開口部から、同開口包装体内部に規定時間の間、不活性ガスを連続的に噴射する手段と、前記不活性ガス噴射ラインの途中に備えた不活性ガス噴射流を間欠カットする手段とからなる装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開昭62-28318号公報
【文献】特開平03-124506号公報
【文献】特開2003-221011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1ないし3に記載の製造装置は、包装体内を特定のガスに置換可能であるが、フィルムどうしを接合する際に被包装物を巻き込んでしまい、これによって被包装物に傷が付いたり、包装体が安定して製造できないことがあった。
【0007】
したがって本発明の課題は、従来技術の欠点を解消し得る包装体の製造装置及び製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、被包装物がフィルムで包装された包装体の製造装置であって、
前記フィルムの第1原反と第2原反とを同方向に搬送しながら重ね合わせた状態で、該原反の搬送方向に沿う両側部どうしを接合する第1フィルム接合部と、
前記搬送方向に沿って延びるように配され、前記搬送方向に沿って気体流を供給可能なノズル部と、
前記両側部どうしが接合された第1原反及び第2原反を、前記原反の搬送方向に所定の間隔を置いて、該搬送方向に交差する方向にわたり接合する第2フィルム接合部と、
前記第2フィルム接合部によって接合された部位で、前記両原反を前記搬送方向に交差する方向に切断するカッター部とを備え、
前記ノズル部は、前記搬送方向に直交する方向において前記第1フィルム接合部よりも内方の位置であって且つ前記両原反の間に配されており、
前記ノズル部の開口端は、前記第1フィルム接合部よりも搬送方向下流側に位置している、包装体の製造装置を提供するものである。
【0009】
また本発明は、被包装物がフィルムで包装された包装体の製造装置であって、
二つ折り又は筒状の前記フィルムの原反を一方向に搬送しながら、該原反の搬送方向に沿う両側部を重ね合わせた状態で該両側部を接合する第1フィルム接合部と、
前記搬送方向に沿って延びるように配され、前記搬送方向に沿って気体流を供給可能なノズル部と、
前記両側部が接合された原反を、前記原反の搬送方向に所定の間隔を置いて、該搬送方向に交差する方向にわたり接合する第2フィルム接合部と、
前記第2フィルム接合部によって接合された部位で、前記原反を前記搬送方向に交差する方向に切断するカッター部とを備え、
前記ノズル部は、前記第1フィルム接合部の近傍の位置であって且つ前記原反の間に配されており、
前記ノズル部の開口端は、前記第1フィルム接合部よりも搬送方向下流側に位置している、包装体の製造装置を提供するものである。
【0010】
更に本発明は、被包装物がフィルムで包装された包装体の製造方法であって、
前記被包装物を前記フィルムの第1原反及び第2原反の間に配置し、気体を前記原反間に供給した状態で、同方向に搬送され且つ重ね合わせた該原反における搬送方向に沿う両側部どうしを接合する第1接合工程と、
前記両原反を前記搬送方向と交差する方向に接合して、被包装物及び気体が封入された包装体連続体を形成する第2接合工程と、
第2接合工程によって接合された部位において、前記包装体連続体を前記搬送方向と交差する方向に切断して、包装体を形成する切断工程とを備える、包装体の製造方法を提供するものである。
【0011】
更に本発明は、被包装物がフィルムで包装された包装体の製造方法であって、
二つ折り又は筒状の前記フィルムの原反間に前記被包装物を配置し、気体を該原反間に供給した状態で、一方向に搬送された前記原反における搬送方向に沿う両側部を重ね合わせて接合する第1接合工程と、
前記原反を前記搬送方向と交差する方向に接合して、被包装物及び気体が封入された包装体連続体を形成する第2接合工程と、
第2接合工程によって接合された部位において、前記包装体連続体を前記搬送方向と交差する方向に切断して、包装体を形成する切断工程とを備える、包装体の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、被包装物に傷がつくことなく、内部が特定のガスで置換された包装体を安定的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の製造装置の一実施形態を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の製造装置の別の実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1には、本発明の包装体の製造装置の一実施形態の構造が示されている。製造装置10は、被包装物5がフィルムで包装された包装体1を製造するものである。同図に示す製造装置10は、第1フィルム接合部20、ノズル部30、第2フィルム接合部40及びカッター部50を備えている。
【0015】
第1フィルム接合部20は、搬送方向MDに搬送されているフィルムの原反の側部どうしを搬送方向MDに沿って接合する装置である。
図1に示すように、搬送方向MDに搬送されているフィルムの第1原反11(以下、これを「第1フィルム原反11」ともいう。)と、該原反11と同一方向に搬送されているフィルムの第2原反12(以下、これを「第2フィルム原反12」ともいう。)とはそれぞれ同一の幅を有しており、両原反11,12における両側縁の位置が一致するように重ね合わせた状態で第1フィルム接合部20に供給されている。
【0016】
同図に示すように、両原反11,12は、これらの原反間に被包装物5が配された状態で、搬送ロール又はコンベアなどの搬送手段(図示せず)によって搬送され、第1フィルム接合部20に供給される。両原反11,12は、その両側縁の位置が一致するように重ね合わせた状態で搬送されながら第1フィルム接合部20を通過することで、両原反11,12の接合部位である各両側部が搬送方向MDに沿って連続的に接合され、第1接合部位15,15が形成される。両原反11,12が第1フィルム接合部20を通過したあとは、被包装物5は、搬送方向MDと直交する方向CD(以下、これを「幅方向CD」ともいう。)において、両原反11,12の両側部に形成された第1接合部位15,15の間に位置した状態で、原反とともに搬送される。第1フィルム接合部20における接合手段は、例えばヒートシール等を用いることができる。フィルムどうしの接合を効率良く行う観点から、同図に示すように、第1フィルム接合部20は、幅方向CDにおいて被包装物5の両側縁よりも外方に一対配されていることが好ましい。
【0017】
ノズル部30は、包装体内に封入される特定の気体を供給するためのものである。ノズル部30は、気体が流通可能な中空の部材であり、第1フィルム接合部20よりも搬送方向MDの上流側に位置するノズル部30の一端と、ノズル部30の他端である開口端31とを有する。ノズル部30は、その一端に接続された気体供給源(図示せず)から供給された気体流を、ノズル部30の他端である開口端31から外部に向けて連続的に又は断続的に供給できるようになっている。ノズル部30の開口端31は、第1フィルム接合部20よりも搬送方向MDの下流側に且つ第1接合部位15よりもCD方向内側に位置している。
図1に示すノズル部30は、搬送方向MDに沿って延びるように配されているノズル延長部32を両原反11,12の間に一対有しており、これによって、気体流が両原反11,12の搬送方向MDに沿って供給される。各ノズル延長部32は、互いに略平行に配されている。またノズル部30におけるノズル延長部32は、幅方向CDにおいて、第1フィルム接合部20よりも内方に位置し、且つ搬送される被包装物5の両端縁よりも外方に配されている。同図に示すノズル部30は、第1フィルム接合部20よりも搬送方向上流側において、原反11,12の両側部の外方から内方に向けて折れ曲がる部位を有しており、これによって、両原反11,12の間にノズル延長部32が配されるようになっている。
【0018】
ノズル部30の配置位置の搬送方向MD下流側には、第2フィルム接合部40が配されている。第2フィルム接合部40は、第1フィルム接合部20を通過させて両側部どうしが接合された両原反11,12を、搬送方向MDと交差する方向に接合する装置である。同図に示す第2フィルム接合部40は、ヒートロールの態様となっており、第2フィルム接合部40を構成する二本のヒートロール間に被包装物5が位置する状態で、両原反11,12を搬送方向MDと交差する方向にわたって所定の間隔で接合することによって、被包装物5の周縁において両原反11,12が接合された包装体連続体1Aを形成することができる。第2フィルム接合部40における接合手段は、例えばヒートシール等を用いることができる。本実施形態における第2フィルム接合部40は二本のヒートロールとして示されているが、これに限られず、例えば、一本のヒートロールであってもよく、三本以上のヒートロールを用いてもよい。
【0019】
詳細には、第2フィルム接合部40は、第1フィルム接合部20を通過させて両側部どうしが接合された両原反11,12を、搬送方向MDと交差する方向に接合して、幅方向CDの全域に延びる第2接合部位16,16を形成するものである。同図に示す第2フィルム接合部40は、ヒートロールの態様となっており、第2接合部位16を形成する前の状態では、第2フィルム接合部40は、両原反11,12における第1接合部位15以外の部位が離間した状態となるように配置されており、好ましくは第2フィルム接合部40と両原反11,12とはそれぞれ離間している。搬送方向MDに沿って配置された第2フィルム接合部40の間に被包装物5が位置する状態となったときに、第2フィルム接合部40を移動させる制御手段(図示せず)を介して、両原反11,12を当接させるように、第2フィルム接合部40を両原反11,12に押し当てて、両原反11,12を搬送方向MDと交差する方向に接合する。これによって、被包装物5の周縁外方に位置する両原反11,12どうしが、一対の第1接合部位15、15及び一対の第2接合部位16,16によって接合される。これによって、両接合部位15,16の内部に被包装物5及び気体が密封状態で封入された包装体連続体1Aを形成することができる。
【0020】
第2フィルム接合部40の配置位置よりも搬送方向MD下流側には、カッター部50が配されている。カッター部50は、搬送方向MDに交差する方向に沿って延びるカッター刃を有しており、包装体連続体1Aにおける第2接合部位16の位置で両原反11,12を切断し、個々の包装体1に分断することができる。
図1に示すカッター部50は、その軸方向と幅方向CDとが一致したカッターロールの態様となっており、該ロールの周上に配され、且つ該ロールの軸方向にわたって延びる第1カッター刃50aと、該ロールの周方向に沿って延びる第2カッター刃50bとを有している。カッターロールの回転によって、第1カッター刃50aは、包装体連続体1Aを第2接合部位16の位置で搬送方向MDに交差する方向にわたって切断する。これとともに、第2カッター刃50bは、包装体連続体1Aにおける幅方向CDの両端部側に一対配されているので、包装体連続体1Aを第1接合部位15の位置で搬送方向MDに沿って切断する。これによって、製品となる包装体1を形成することができる。
【0021】
上述した製造装置10は、二枚のフィルム原反を用いて包装体1を製造する装置として説明したが、これに代えて、連続した一枚のフィルム原反を用いて包装体1を製造することもできる。詳細には、
図2に示すように、一方向に搬送されている一枚のフィルム原反11Aを、該フィルム原反11Aの搬送方向MDに沿う両側部11a,11bを重ね合わせるように、該原反の幅方向CDの中央線Lを軸として二つ折りするか、又は搬送方向MDに沿う軸方向を有する筒状となるように形成する。被包装物5は、二つ折り又は筒状の原反の内側に配置しておく。この原反について、少なくとも両側部11a,11bを第1フィルム接合部20に通過させ、フィルム原反11Aの少なくとも両側部11a,11bを接合して、搬送方向MDに沿って延びる第1接合部位15を形成する。このとき、ノズル部30は、フィルム原反11Aの折り曲げ開始位置F1よりも搬送方向MDの上流側から挿入し、且つ開口端31が第1フィルム接合部20よりも搬送方向MDの下流に位置している状態で、第1フィルム接合部20の近傍の位置に且つ二つ折り又は筒状の原反の間に配しておく。一枚のフィルム原反11Aを筒状に形成する場合には、ノズル部30は、フィルム原反11Aを筒状に形成する位置よりも搬送方向MDの上流側から挿入しておけばよい。その後、上述した第2フィルム接合部40及びカッター部50を用いて、包装体1を形成することができる。
図2に示す実施形態に関し、特に説明しない点については、先に述べた
図1に示す実施形態に関する説明が適宜適用される。
【0022】
以上の構成を有する本発明の製造装置によれば、幅方向CDにおいて、ノズル部30が第1フィルム接合部20よりも内方に位置しており、且つノズル部30の開口端31が第1フィルム接合部20よりも搬送方向下流側に位置しているので、ノズル部30が両原反11,12の接合位置を規定するガイドの役割を果たし、両原反11,12どうしを所望の位置で搬送方向に沿って接合することができる。また、フィルムどうしの接合にあたり、ノズル部30によって被包装物5の動きが規制されるので、被包装物5が第1フィルム接合部20に意図せず巻き込まれたり、噛み込まれたりすることを防ぐことができる。その結果、被包装物5に傷がつくことなく、特定の気体が封入された包装体1を安定的に且つ連続的に製造することができる。これに加えて、ノズル部30が搬送方向MDに沿って、且つ第1フィルム接合部20の搬送方向下流まで延びるように配されているので、ノズル部30を搬送方向MDに交差する方向に挿入した場合と比較して、両原反11,12内の空気を、特定の気体に効率良く置換できるという利点も奏される。
【0023】
このような効果を顕著なものとする観点から、
図3に示すように、幅方向CDに沿う断面視において、被包装物5の側縁部と第1フィルム接合部20との幅方向CDに沿う間隔W1に対するノズル部30の外径W2の比(W2/W1)が、0.1以上であることが好ましく、0.15以上であることがより好ましく、0.2以上であることが更に好ましく、また、0.7以下であることが好ましく、0.6以下であることがより好ましく、0.5以下であることが更に好ましい。
図3に示す実施形態では、被包装物5が複数枚積層された態様で配置されているが、この形態に限られず、例えば被包装物5が一枚のみ配置された態様であってもよい。
【0024】
同様の観点から、被包装物5の側縁部と第1フィルム接合部20との幅方向CDに沿う間隔W1(
図3参照)は、好ましくは3mm以上、より好ましくは5mm以上、更に好ましくは7mm以上であり、好ましくは50mm以下、より好ましくは40mm以下、更に好ましくは30mm以下である。同様に、ノズル部30の外径W2(
図3参照)は、好ましくは1mm以上、より好ましくは2mm以上、更に好ましくは3mm以上であり、好ましくは15mm以下、より好ましくは10mm以下、更に好ましくは6mm以下である。外径W2は、ノズル部30の延在方向と直交する断面において観察される外径とする。間隔W1及び外径W2が一定でない場合には、測定される距離のうち最短距離をそれぞれW1及びW2とする。
【0025】
本発明の製造装置によって製造される包装体1は、その内部に気体が封入された状態となっているところ、第2接合部位16が形成されるまでは、気体流がノズル部30を介して両原反11,12間に供給され続けている。ノズル部30の開口端31は、第1フィルム接合部20よりも搬送方向MDの下流側に位置しているので、両原反11,12の搬送によって開口端31及びその近傍を通過する被包装物5は、気体流の供給によって生じる外力や、搬送時に生じる原反のずれ等に起因して、フィルム原反に対する配置位置が意図せずずれてしまうことがある。その結果、被包装物5が所望の位置に配置された包装体1を首尾よく製造できないことがある。
【0026】
この点に関して、気体流による外力や、原反のずれに起因した被包装物5の配置位置のずれを防止しつつ、両原反11,12並びに被包装物5の搬送を下流の工程へ安定的に行う観点から、少なくとも一方のフィルム原反と被包装物とをフィルム原反の外面から押圧する第1押圧部60が、ノズル部30における開口端31の近傍を含む位置に配されていることが好ましい。開口端31の近傍とは、開口端31の位置を基準として、搬送方向MDの上流側150mmから搬送方向MDの下流側150mmまでの範囲をいう。
【0027】
図1に示す実施形態では、第1押圧部60はニップロールの態様であり、該ロールの軸方向と幅方向CDとを一致させて、幅方向CDの中央域に配されている。同図に示す第1押圧部60は、開口端31の位置を基準として、搬送方向MDの上流側と下流側とに複数本配されている。上述のように、各フィルム原反11,12がコンベアなどの搬送面を有する搬送手段(図示せず)によって搬送されている場合には、両原反11,12並びに被包装物5は、第1押圧部60と前記搬送手段との間を通過するように構成されている。また
図4に示すように、第1押圧部60の配置位置を幅方向CDに沿って見たときに、第1押圧部60は、第1フィルム原反11の外面側から、第1フィルム原反11及び被包装物5をともに第2フィルム原反12側に押圧して、両原反11,12に対する被包装物5の配置位置を維持して搬送できるようになっている。第1押圧部60によって押圧されていない第1フィルム原反11の部位は、ノズル部30から供給された気体流によって、被包装物5から離間するように膨らんでいる。
【0028】
上述のとおり、包装体1の製造過程において、第2接合部位16が形成されるまでの間は、気体流が両原反11,12間にノズル部30を介して供給され続けている。これによって、第1接合部位15,15が形成された両原反11,12は、供給された気体流によって過度に膨らむ状態となる場合がある。
【0029】
この点に関して、気体流の供給による両原反11,12の過度な膨らみを防いで下流側に搬送しやすくするとともに、被包装物5の配置位置のずれを防いで、第2フィルム接合部40による両原反11,12どうしの接合を効率良く行う観点から、少なくとも一方のフィルム原反をその外面から押圧する第2押圧部70が、搬送方向MDにおける第1フィルム接合部20の配置位置から第2フィルム接合部40の配置位置までの間に配されていることが好ましい。この第2押圧部70は、被包装物5が存在する位置において、フィルム原反を押圧するが、被包装物5を押圧しないように配されていることも好ましい。
【0030】
図1に示す実施形態では、第2押圧部70はニップロールの態様であり、該ロールの軸方向と幅方向CDとを一致させた状態で、幅方向CDの全域にわたって配されている。同図に示す第2押圧部70は、第1フィルム接合部20の搬送方向MDの下流側且つ第2フィルム接合部40の搬送方向MDの上流側に複数本配されている。また
図5に示すように、第2押圧部70の配置位置を幅方向CDに沿って見たときに、第2押圧部70は、第1フィルム原反11の外面側から、第1フィルム原反11のみを第2フィルム原反12側に押圧して、両原反11,12を搬送できるようになっている。つまり、本実施形態における第2押圧部70による押圧は、第1フィルム原反11と被包装物5とが互いに離間した状態となるように制御されて行われる。本発明の効果が奏される限りにおいて、両フィルム原反11,12と被包装物5とが互いに接触するように、第2押圧部70によって押圧されていてもよい。本実施形態における第2押圧部70は、ニップロールの態様として説明したが、本発明の効果が奏される限りにおいて、ニップロールに代えて、又はこれに加えて、第2押圧部70としてコンベアやプレートを適用してもよい。同様に、第2押圧部70に対向配置され、各フィルム原反11,12を搬送する搬送手段(図示せず)は、ロール、コンベア、プレート等で構成することができる。
【0031】
特に、両原反11,12間での気体の置換状態を維持しつつ、第2フィルム接合部40による両原反11,12どうしの接合を首尾よく行う観点から、被包装物5の厚さH1に対する第2押圧部70のクリアランスH2の比(H2/H1)は、0.7以上であることが好ましく、1以上であることがより好ましく、1.5以上であることが更に好ましく、また、5以下であることが好ましく、3.5以下であることがより好ましく、2以下であることが更に好ましい。クリアランスH2とは、1つの第2押圧部70に着目したときに、第2押圧部70に接触している原反の面と、第2押圧部70から最も遠い側の原反の外面との最短距離を指す。
図5に示す実施態様では、第2押圧部70が一つ配されており、その第2押圧部70の周面と第1フィルム原反11の外面とが接触しているので、第2押圧部70の周面と第2フィルム原反12の外面との最短距離を実質的にクリアランスH2とすることができる。
【0032】
同様の観点から、被包装物5の無荷重状態での厚さH1(
図5参照)は、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1mm以上、更に好ましくは1.5mm以上であり、好ましくは20mm以下、より好ましくは15mm以下、更に好ましくは10mm以下である。
図5に示すように、被包装物5が複数枚積層されている場合には、それらの無荷重状態での厚みを合計した合計厚みを厚みH1とする。
【0033】
同様に、第2押圧部70のクリアランスH2(
図5参照)は、好ましくは1mm以上、より好ましくは2mm以上、更に好ましくは3mm以上であり、好ましくは30mm以下、より好ましくは20mm以下、更に好ましくは10mm以下である。
図5に示すクリアランスH2は、上述のとおり、第2押圧部70の周面と、第2フィルム原反12の外面との距離として示しているが、例えば、コンベア等の搬送面(図示せず)上に第2フィルム原反12が載置されて搬送される場合には、搬送面と第2フィルム原反12の外面とは互いに接しているので、搬送面と第2押圧部70の周面との最短距離を実質的にクリアランスH2とすることができる。また、第2押圧部70をシート厚み方向に配された一対のニップロールとする場合には、一対のニップロールの間に第1及び第2フィルム原反11,12が導入され、両原反11,12と各ニップロールとはそれぞれ接する状態で搬送されるので、ニップロールどうしの周面間の最短距離をクリアランスH2とすることができる。
【0034】
カッター部50において包装体連続体1Aを分断する際に、カッター刃の包装体連続体1Aへの押し当てに起因した両原反11,12の意図しない位置ずれを防止して、所望の位置での分断を首尾よく行う観点から、少なくとも一方の原反をその外面から押圧する第3押圧部80が、搬送方向MDにおける第2フィルム接合部40の配置位置からカッター部50の配置位置までの間に配されていることが好ましく、カッター部50の配置位置側に配されていることがより好ましい。このような構成を有することで、第3押圧部80によって包装体連続体1Aを押圧しながらカッター部50による分断を行うことができ、その結果、目的とする寸法を有する包装体1を連続的に製造することができる。
【0035】
図1に示す実施形態では、第3押圧部80はニップロールの態様であり、該ロールの軸方向と幅方向CDとを一致させた状態で、幅方向CDにおける両原反11,12の両端部を押圧できるように配されている。同図に示す第3押圧部80は、第2フィルム接合部40の配置位置よりも下流側の遠方に位置し、且つカッター部50の配置位置よりも上流側且つカッター部50の近傍に配されている。第3押圧部80における押圧態様は、第1フィルム原反11のみを第2フィルム原反12側に押圧していてもよく、第1フィルム原反11及び被包装物5をともに押圧していてもよい。
【0036】
以上は、包装体1の製造に好適に用いられる製造装置10に関する説明であったところ、包装体1の好適な製造方法を、
図1に示す製造装置10を用いた場合を例にとり説明する。
【0037】
まず、被包装物5を第1フィルム原反11と、第2フィルム原反12との間に配置する。被包装物5の配置方法としては、例えば、搬送方向MDに搬送されている第2フィルム原反12上に被包装物5を配置し、その後、第1フィルム原反11を搬送方向MDに搬送しながら積層する方法が挙げられる。
図1に示す実施形態では、被包装物5は、その長手方向を幅方向CDと一致させて配されている。
【0038】
次に、特定の気体流をノズル部30から両原反11,12間に供給した状態で、同一の方向に搬送され且つ重ね合わせた両原反11,12を搬送方向MDに沿う両側部どうしで接合して、第1接合部位15を形成する第1接合工程を行う。製造装置10を用いた場合の第1接合工程は、重ね合わせた両原反11,12の両側部を第1フィルム接合部20に通過させることによって行われる。第1フィルム接合部20に両原反11,12を重ね合わせた状態で通過させることによって、両原反11,12の両側部に、搬送方向MDに沿って延びる一対の第1接合部位15が連続的に形成される。これとともに、搬送方向MDに沿って延びるノズル部30から気体流が供給されて、両原反11,12内の空気が、供給された特定の気体に置換される。
【0039】
ノズル部30から供給される気体の種類は、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素等の不活性ガスが好ましく用いられる。これらのガスは、包装体1及びその内容物である被包装物5の組成や物性、仕様に応じて適宜選択して用いることができる。
【0040】
供給される気体流による特定の気体への置換効率の向上と、被包装物5の位置ずれを防いで、包装体1の安定的な生産とを両立させる観点から、各ノズル部30から供給される気体流の流量は、それぞれ独立して、好ましくは2L/min以上、更に好ましくは4L/min以上であり、また、好ましくは30L/min以下、更に好ましくは20L/min以下である。同様の観点から、各ノズル部30から供給される気体流の流速は、それぞれ独立して、好ましくは5m/s以上、更に好ましくは10m/s以上であり、また、好ましくは40m/s以下、更に好ましくは30m/s以下である。気体流の流量及び流速は、各ノズル部30における開口端31での値とする。気体流の流量及び流速は、例えば、気体供給源から供給される気体流の流量及び圧力を変更したり、あるいは、ノズル部30の外径が上述の条件を満たすことを条件として、ノズル部30の内径を変更したりすることによって適宜調整することができる。
【0041】
第1接合工程の実施においては、第1接合工程の直前若しくは直後、又は同時に、少なくとも一方の原反及び被包装物5を原反の外部から押圧して、原反11,12に対する被包装物5の配置位置を維持した状態で搬送する工程(第1押圧工程)を行うことが好ましい。直前とは第1接合工程よりも搬送方向上流のことを示し、直後とは第1接合工程よりも搬送方向下流のことを示す。製造装置10を用いた場合の第1押圧工程は、例えば、ロール状の第1押圧部60をロールの軸方向と幅方向CDとを一致させた状態で配し、この第1押圧部60を用いて、第1フィルム原反11の外面から、第1フィルム原反11及び被包装物5をともに押圧した状態で、下流の工程に搬送する。これによって、気体流の供給に起因した被包装物5の意図しない位置ずれを防ぎながら、原反11,12及び被包装物5を搬送することができ、下流の工程を安定的に行うことができる。第1押圧工程における「原反及び被包装物5を原反の外部から押圧する」とは、少なくとも一方のフィルム原反と被包装物5とが、これらの塑性変形や破断を生じない外力で押圧されている状態をいう。
【0042】
続いて、両原反11,12を、搬送方向MDと交差する方向に、好ましくは搬送方向MDと直交する方向に接合して、被包装物5及び気体が封入された包装体連続体1Aを形成する第2接合工程を行う。本接合工程においても、ノズル部30からの気体流の供給は行われている。
【0043】
製造装置10を用いた場合の第2接合工程は、第2フィルム接合部40を、その搬送方向MDに沿う間隔が被包装物5の搬送方向MDに沿う長さよりも広くなるように複数配置した状態で、搬送方向MDに沿って隣り合う第2フィルム接合部40の間に被包装物5が搬送されたときに、第2フィルム接合部40による接合を行って、搬送方向MDと直交する方向に延びる第2接合部位16,16を幅方向CDにわたって形成する。このような第2接合部位16,16が形成されると、被包装物5の周縁外方に位置する両原反11,12どうしが、一対の第1接合部位15、15及び一対の第2接合部位16,16によって接合されるので、被包装物5は置換された気体とともに密封状態で封入される。両原反11,12は、第2フィルム接合部40による接合が行われたあとも切断されていないので、被包装物5及び置換された気体が両原反11,12内に所定の間隔で封入された包装体連続体1Aとなって、下流の工程へ搬送される。
【0044】
第2接合工程による接合をより安定的に行う観点から、被包装物5を押圧しない状態で、少なくとも一方の原反をその外面から押圧して搬送する工程(第2押圧工程)を、第1接合工程を行った後で且つ第2接合工程よりも前に行うことが好ましく、第1押圧部60による第1押圧工程を行った後で且つ第2接合工程よりも前に行うことがより好ましい。第2接合工程における「被包装物5を押圧しない」とは、押圧されている少なくとも一方のフィルム原反と被包装物5とが離間した状態となっているか、又は、押圧されている少なくとも一方のフィルム原反が被包装物5と接触しているが、被包装物5には、原反の押圧によって被包装物5が損傷する大きさの外力が負荷されていないことをいう。いずれの場合であっても、第2押圧工程における被包装物5は、外力による塑性変形や破断を生じない状態で搬送されているので、被包装物5は、接合時における寸法や形状を維持したままとなっている。
【0045】
製造装置10を用いた場合の第2押圧工程は、幅方向CDの全域にわたって配されているロール状の第2押圧部70を、ロールの軸方向と幅方向CDとを一致させた状態で複数配して、被包装物5が存在する位置において、第1フィルム原反11の外面側から、第1フィルム原反11のみを第1フィルム原反11と被包装物5とが互いに離間した状態となるように押圧しながら、両原反11,12を第2フィルム接合部40に搬送する。このように搬送することで、気体流の供給による両原反11,12の過度な膨らみを防いで下流側に搬送しやすくするとともに、被包装物5の損傷と被包装物5の配置位置のずれとを効果的に防ぐことができる。特に、第1押圧工程及び第2押圧工程をこの順で行うことで、気体流の供給によって生じ得る開口端31近傍での被包装物5の配置位置のずれを第1押圧工程によって防ぎながら搬送するとともに、両原反11,12の過度な膨らみによって生じ得る被包装物5の配置位置のずれを第2押圧工程によって防ぐことができるので、包装体1を高い生産効率で一層安定的に製造できる点で有利となる。本発明の効果が奏される限りにおいて、第2押圧部70による押圧は、被包装物5の損傷が生じない外力を付与して、各フィルム原反11,12と被包装物5が接触するように行われていてもよい。
【0046】
最後に、包装体連続体1Aを、第2接合工程によって両原反11,12が接合された第2接合部位16で、前記搬送方向と交差する方向にわたって切断して、包装体1を形成する切断工程を行う。製造装置10を用いた場合の切断工程では、軸方向と幅方向CDとが一致したカッターロールをカッター部50として用いて、第1カッター刃50aと第2接合部位16とを一致させるようにロールを回転して、第2接合部位16の位置で幅方向CDに沿って包装体連続体1Aを切断する。これとともに、第2カッター刃50bによって、第1接合部位15の位置で搬送方向MDに沿って、包装体連続体1Aにおける両原反11,12の幅方向CDの両側縁を切断し、トリミング加工する。これによって、包装体連続体1Aが個々に分断された包装体1を連続的に製造することができる。
【0047】
カッター刃の包装体連続体1Aへの押し当てや製造装置の振動に起因した両原反11,12の意図しない位置ずれを防止して、所望の位置での分断を首尾よく行う観点から、切断工程においては、包装体連続体1Aを押圧した状態で切断する工程(第3押圧工程)を行うことが好ましい。製造装置10を用いた場合の切断工程における押圧は、幅方向CDにおける両原反11,12の両端部を押圧可能なロール状の第3押圧部80を用いて押圧した状態でカッター部50へ搬送し、切断する。
【0048】
上述した製造方法は、二枚のフィルム原反を用いて包装体1を製造する実施形態として説明したが、これに代えて、連続した一枚のフィルム原反を用いて包装体1を製造することもできる。詳細には、一枚のフィルム原反上に被包装物5を配した状態で、該原反の幅方向CDの中央線を軸として二つ折りするか、又は搬送方向に沿う軸方向を有する筒状となるように形成する。このとき、原反の幅方向CDにおける両側部を重ね合わせた状態で搬送することが好ましい。そして、ノズル部30から該原反の内側に気体を供給した状態で、該原反の搬送方向に沿う両側部を重ね合わせて接合する第1接合工程を行う。本実施形態における第1接合工程は、例えば第1フィルム接合部20を用いて行うことができる。その後、上述した実施形態と同様に、第2接合工程及び切断工程、並びに必要に応じて第1ないし第3押圧工程を行う。
【0049】
以上の工程を経て、被包装物5がフィルムで包装された包装体1を製造することができる。この包装体1は、その内部に、被包装物5及び置換された特定の気体が密封状態で封入されているものである。密封状態とは、固体、液体及び気体の全てが包装体1の内部に流入せず、且つ包装体1の外部に流出しない態様を指す。
【0050】
本発明に用いられるフィルム及びその原反は、置換された特定の気体及び外気を透過しない任意の材料を用いることができる。このような材料としては、例えばアルミ箔、熱可塑性樹脂フィルム、あるいは熱可塑性樹脂フィルムにアルミニウムなどの金属薄膜をラミネートしたもの等を用いることができる。
【0051】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば、第1押圧部60及び第2押圧部70は、それぞれ複数配された態様となっているが、本発明の効果が奏される限りにおいて、それぞれ単独で配置してもよい。また、第3押圧部80は単独で配された態様となっているが、本発明の効果が奏される限りにおいて、複数配置してもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 包装体
1A 包装体連続体
5 被包装物
10 製造装置
11 フィルムの第1原反(第1フィルム原反)
12 フィルムの第2原反(第2フィルム原反)
15 第1接合部位
16 第2接合部位
20 第1フィルム接合部
30 ノズル部
40 第2フィルム接合部
50 カッター部
60 第1押圧部
70 第2押圧部
80 第3押圧部
MD 搬送方向
CD 幅方向