(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】都市航空ビークルの航法性能
(51)【国際特許分類】
G08G 5/00 20060101AFI20240514BHJP
B64C 13/18 20060101ALI20240514BHJP
B64D 47/00 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
G08G5/00 A
B64C13/18 C
B64D47/00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020038828
(22)【出願日】2020-03-06
【審査請求日】2023-02-08
(32)【優先日】2019-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【氏名又は名称】黒田 晋平
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】グン・イル・キム
(72)【発明者】
【氏名】ガン・フェン
【審査官】佐藤 吉信
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-057212(JP,A)
【文献】特開2018-179642(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0012925(US,A1)
【文献】特開2001-093100(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
B64C 13/18
B64D 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航行機器(316)を有する航空ビークル(100)によって実行される方法であって、
近隣の航空ビークル(102,804,806)から実航法性能(ANP)値(110)を受信するステップ(402)と、
前記航空ビークル(100)の表示と前記近隣の航空ビークル(102,804,806)の表示とをディスプレイに表示するステップ(404)と、
前記近隣の航空ビークル(102,804,806)からのANP値(110)と前記航空ビークル(100)のANP値(106)とに基づいて合成ANP(CANP)値(602,808,810,1002,1004)を決定するステップ(406)と、
前記航空ビークル(100)の位置を前記CANP値と比較するステップ(408)と、
前記航空ビークルの位置が前記CANP値に基づいて前記近隣の航空ビークル(102,804,806)から離れる距離マージン(604,814,1008,1214,1302)内にあることに応じて、前記航空ビークル(100)が前記近隣の航空ビークル(102,804,806)から離れている距離を増加させるアクションを実行するステップ(410)と
を備え
、
前記CANP値は、水平CANP値および垂直CANP値を備え、前記水平CANP値は、
【数1】
によって決定され、前記垂直CANP値は、
【数2】
によって決定され、ANPは前記航空ビークル(100)の水平ANP値であり、ANP
1
は前記航空ビークル(100)の垂直ANP値であり、ANP
h
は前記近隣の航空ビークル(102,804,806)の水平ANP値であり、ANP
h1
は前記近隣の航空ビークル(102,804,806)の垂直ANP値である、方法。
【請求項2】
前記アクションを実行するステップは、前記航空ビークル(100)または前記近隣の航空ビークル(102,804,806)の一方に対して前記航空ビークル(100)または前記近隣の航空ビークル(102,804,806)の他方から離れることを要求するステップを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記近隣の航空ビークル(102,804,806)は複数の近隣の航空ビークルを備え、前記CANP値を決定するステップは、前記複数の近隣の航空ビークルの各々について、前記近隣の航空ビークルからのANP値と前記航空ビークル(100)のANP値とに基づいて前記CANP値を決定するステップを備える、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記距離マージン(604,814,1008)は水平距離マージン(814)と垂直距離マージン(1014)とを備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
提供される合成航法性能要件(CRNP)値(812,1006)に基づいて、前記航空ビークルが既定の空域内にあることに応じて
前記CRNP値を決定するステップ(502)と、
前記CRNP値を決定することに応じて、前記距離マージン(604,814,1008)を前記CRNP値の倍数に設定するステップ(504)と
をさらに備える請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記CRNP値を決定するステップは、水平CRNP値(812)および垂直CRNP値(1006)を決定するステップを備え、前記水平CRNP値(812)および前記垂直CRNP値(1006)の少なくとも1つは動的な必要距離マージンである、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
前記水平CRNP値および前記垂直CRNP値の少なくとも1つは動的な必要距離マージンである、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
航空ビークル(100)の航行装置(310)であって、
無線インタフェース(202)と、
前記無線インタフェース(202)と通信するプロセッサ(204)と、
命令を備えるメモリ(206)と、を備え、前記命令が、前記プロセッサ(204)によって実行されるとき、前記プロセッサ(204)に動作を実行させ、前記動作は、
近隣の航空ビークル(102,804,806)から実航法性能(ANP)値(110)を受信すること(402)と、
前記航空ビークル(100)の表示と前記近隣の航空ビークル(102,804,806)の表示とをディスプレイに表示すること(404)と、
前記近隣の航空ビークル(102,804,806)からのANP値(110)と前記航空ビークル(100)のANP値(106)とに基づいて合成ANP(CANP)値(602,808,810,1002,1004)を決定すること(406)と、
前記航空ビークル(100)の位置を前記CANP値と比較すること(408)と、
前記航空ビークル(100)の位置が前記CANP値に基づいて前記近隣の航空ビークル(102,804,806)から離れる距離マージン(604,814,1008,1214,1302)内にあることに応じて、前記航空ビークル(100)が前記近隣の航空ビークル(102,804,806)から離れている距離を増加させるアクションを実行すること(410)と
を備え
、
前記CANP値は、水平CANP値および垂直CANP値を備え、前記水平CANP値は、
【数3】
によって決定され、前記垂直CANP値は、
【数4】
によって決定され、ANPは前記航空ビークル(100)の水平ANP値であり、ANP
1
は前記航空ビークル(100)の垂直ANP値であり、ANP
h
は前記近隣の航空ビークル(102,804,806)の水平ANP値であり、ANP
h1
は前記近隣の航空ビークル(102,804,806)の垂直ANP値である、航行装置(310)。
【請求項9】
前記アクションを実行することは、前記航空ビークル(100)または前記近隣の航空ビークル(102,804,806)の一方に対して前記航空ビークル(100)または前記近隣の航空ビークル(102,804,806)の他方から離れることを要求することを備える、請求項8に記載の航行装置(310)。
【請求項10】
提供される合成航法性能要件(CRNP)値(812,1006)に基づいて、前記航空ビークルが既定の空域内にあることに応じて
前記CRNP値を決定すること(502)と、
前記CRNP値を決定することに応じて、前記距離マージン(604,814,1008)を前記CRNP値に設定すること(504)と
をさらに備える請求項8または9に記載の航行装置(310)。
【請求項11】
前記CRNP値を決定することは、水平CRNP値(812)および垂直CRNP値(702,704,706,1006)を決定することを備え、前記水平CRNP値(812)および前記垂直CRNP値(702,704,706,1006)の少なくとも1つは動的な必要距離マージンである、請求項
10に記載の航行装置(310)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は航空ビークルの航法性能に関し、特に都市環境での航空ビークル航法性能に関する。
【背景技術】
【0002】
今日の航空ビークルの操縦士は航法性能要件(RNP(required navigation performance))にしたがって操縦する。RNPは、航空ビークルが中央機関によって指定される空間中の定点間の特定の経路を飛行することを可能にする性能準拠型航法(performance-based navigation)の一形態である。空港などのより一般的な設定対象においては、RNPでは、民間エアラインなどの航空ビークルが空域環境で安全に離陸して到着するのに辿るべき既定のルートを利用する。RNPを利用するには、各航空ビークルに信頼性、再現性および予測性とともに指定経路を辿る能力がなければならない。指定経路は、カーブ、垂直角度(vertical angle)、高度制約などを含んでもよい。中央機関によって指定される特定の経路は、多数の航空用ビークルに対して中央機関によって既定された経路手順にしたがうように求めることができない都市空域などのより動的な設定対象においては適さない。さらに、都市航空環境などの空域で自家用航空用ビークルと自律型航空ビークルとを含む多数の航空ビークルを動的かつ効率的に中央機関が管理することができないおそれがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一実施形態によれば、近隣の航空ビークルから実航法性能(ANP)値を受信するステップを含む、航空ビークルによって実行される方法が提供される。方法は、航空ビークルの表示と近隣の航空ビークルの表示とをディスプレイに表示するステップも含む。方法は、近隣の航空ビークルからのANP値と航空ビークルのANP値とに基づいて合成ANP(CANP)値を決定するステップも含む。方法は、航空ビークルの位置をCANP値と比較するステップも含む。方法は、航空ビークルの位置がCANP値に基づいて近隣の航空ビークルから離れる距離マージン内にあることに応じて、航空ビークルが近隣のビークルから離れている距離を増加させるアクションを実行するステップも含む。
【0004】
別の実施形態によれば、無線インタフェースと、無線インタフェースと通信するプロセッサと、プロセッサによって実行されるときにプロセッサに動作を実行させる指示を備えるメモリとを含む航空ビークルの航行装置が提供される。動作は、近隣の航空ビークルから実航法性能(ANP)値を受信することを含む。動作は、航空ビークルの表示と近隣の航空ビークルの表示とをディスプレイに表示することをさらに含む。動作は、近隣の航空ビークルからのANP値と航空ビークルのANP値とに基づいて合成ANP(CANP)値を決定することをさらに含む。動作は、航空ビークルの位置をCANP値と比較することをさらに含む。動作は、航空ビークルの位置がCANP値に基づいて近隣の航空ビークルから離れる距離マージン内にあることに応じて、航空ビークルが近隣のビークルから離れている距離を増加させるアクションを実行することをさらに含む。
【0005】
1対の航空ビークル間に必要な距離マージンを示すCANPおよび合成RNP(CRNP)により、反集中型分散航空交通管理(ATM(air traffic management))を用いることができ、交通の激しい都市空域での既定の出発/到着手順を設ける必要がなくなることで、自家用航空ビークルおよび自律型航空ビークルが安全かつ効率的に飛行することが可能になる可能性がある。
【0006】
説明された形態、機能および効果を様々な実施形態において別々に実現することができ、以下の記載および図面に照らして理解することができるさらに別の実施形態のさらなる細部に組み込んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態に係る、互いから離れて距離マージンをとっておくアクションを行うべきであるか否かを判断する際に用いることができる航空ビークルのパラメータを示す図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る航空ビークル航行コントローラの構成要素を示すブロック図である。
【
図3】
図2の航行コントローラが動作する環境の例である。
【
図4】本開示の一実施形態による、航空ビークルによって実行される方法の例のフローチャートである。
【
図5】本開示の一実施形態による、航空ビークルによって実行される方法の例のフローチャートである。
【
図6A】本開示の一実施形態による距離マージンおよびCANP値の例の図である。
【
図6B】本開示の一実施形態による距離マージンおよびCANP値の例の図である。
【
図7A】本開示の一実施形態による、都市環境の異なる領域で変化するCRNPの図である。
【
図7B】本開示の一実施形態による、都市環境の異なる領域で変化するCRNPの図である。
【
図8】本開示の一実施形態による、近隣の航空ビークルのCANPが空域の水平CRNPの外側にある場合の航空ビークルの水平方向の2次元表示の図である。
【
図9】本開示の一実施形態による、近隣の航空ビークルのCANPが空域の水平CRNPの内側にある場合の航空ビークルの水平方向の2次元表示の図である。
【
図10】本開示の一実施形態による、近隣の航空ビークルのCANPが空域の垂直CRNPの外側にある場合の航空ビークルの垂直方向の2次元表示の図である。
【
図11】本開示の一実施形態による、近隣の航空ビークルのCANPが空域の垂直CRNPの内側にある場合の航空ビークルの垂直方向の2次元表示の図である。
【
図12】本開示の一実施形態による、近隣の航空ビークルのCANPを表示する航空ビークルの3次元表示の図である。
【
図13】本開示の一実施形態による、近隣の航空ビークルのCANPを表示する航空ビークルの3次元表示の別の実施形態の図である。
【
図14】本開示の一実施形態による、航空ビークルによって実行される方法の例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施形態についての以下の詳細な説明では、本開示の特定の実施形態を図示する添付の図面を参照する。異なる構造および動作を備える他の実施形態は本開示の範囲から逸脱しない。同様の参照番号は、異なる図面の同じ要素または構成要素を指す場合がある。開示されている保護対象の様々な実施形態が示されている。これらの実施形態は例を教示するものとして示されており、開示されている保護対象の範囲を限定するものとして解釈されるものではない。たとえば、説明されている保護対象の範囲を逸脱しない限りにおいて、説明されている実施形態の特定の細部に対して修正、省略や拡張を行ってもよい。
【0009】
航法性能要件(RNP)の現行の定義は上記のように特定の経路を辿ることに関するが、RNPは、航空ビークルに対して中央機関によって既定された経路手順にしたがうように求めることができない都市空域などのより動的な設定対象においては適さない。航空ビークルは、自家用航空ビークル、ドローンなどの自律型航空ビークル、エアタクシーおよび無人航空ビークル、民間エアラインなどの民間航空ビークルなどを含んでもよい。
【0010】
航空ビークルが空域の境界に接近する際、空域で飛行するのに航空ビークルの各ペアに要求される性能のレベルとして定義される合成RNP(CRNP)が航空ビークルに提供される。CRNPを航空ビークルにブロードキャストして、航空ビークルがその目的地に到着するために通過する領域についてのCRNPを含むスプレッドシートで航空ビークルに提供したり、航空ビークルのメモリに提供したりなどしてもよい。CRNPは、航空ビークルが航空ビークルの目的地に到着するための移動中に航空ビークルが近隣の航空ビークルから離れておかなければならない最小距離マージンである。水平方向(すなわち水平CRNP)と垂直方向(すなわち垂直CRNP)とについてCRNPを指定してもよい。
【0011】
下記で定義されている、近隣の航空ビークルについて計算された合成実航法性能(CANP)を用いて、航空ビークルは所定の正確度以下で近隣のビークルに対する距離マージンを維持および予測してもよい。CRNPで指定された最小距離マージンを維持したり、CRNPに基づいて距離マージンを維持したりすることによって、航空ビークルはその目的地まで安全に飛行することができる。各航空ビークルが各近隣の航空ビークルとのそれ自体のCANPを計算して、近隣のビークルからの距離マージンを維持することができる目的地までの経路を計算するので、集中型の組織が空域を管制する必要がない。
【0012】
図1を参照して、緯度L、経度λおよび気圧高度hについての航空ビークルの位置104([L
0,λ
0,h
0])および位置108([L
1,λ
1,h
1])ならびに実航法性能(ANP(actual navigation performance))112およびANP 114の値106,110をそれぞれ持つ航空ビークル100および近隣の航空ビークル102が示されている。ANPは、航空ビークルの位置決定の質に関する航空ビークルの航行機器の評価の評価値である。航行機器は、それ自体の位置がどの程度「信頼できる」と考えられるのかについて評価する。航空ビークルの実位置の95%の確かさが半径ANPの円内に存在する。ANPを評価位置確かさと称する場合もある。信頼性の評価値が大きい場合、ANPは小さい。0.6である水平(たとえば緯度/経度)ANP値は、航行機器の実位置が0.6nm(nautical mile(海里))以内にあることを示す。言い換えると、航空ビークルが存在する位置を航行機器が計算したところにマップの点が位置する場合、水平方向にその点を囲む半径0.6nmの円があり、航空ビークルは実際にその円内のどこかにある。各航空ビークル100が位置104およびANP値106をブロードキャストすることで、近隣の航空ビークル102がL
0,λ
0およびh
0位置104の情報ならびにANP値106を受信する。ANP 112から分かるように、水平ANPは垂直方向(たとえば高度)についての垂直ANPとは異なる値を持ってもよい。水平ANP値および垂直ANP値は、
図1のANP
hおよびANP
h1によって示されているように値が異なる場合に提供される。
【0013】
図2、すなわち、一実施形態による航空ビークルの航空ビークル航行コントローラ200の要素を示すブロック図を参照する。図示の通り、航空ビークル航行コントローラ200は、他の航空ビークルとの通信を提供するように構成されている送信器および受信器を含むトランシーバ回路を有する無線インタフェース202を含む。航空ビークル航行コントローラ200は、トランシーバ回路に接続されている処理回路204(プロセッサ204とも称する)と、処理回路204に接続されているメモリ回路206(メモリとも称する)も含む。メモリ回路206は、処理回路204によって実行されるときに以降で開示されている実施形態による動作を処理回路204に実行させるコンピュータ可読プログラムコードを含んでもよい。他の実施形態によれば、別体のメモリ回路が不要であるようにメモリを含むように処理回路204を形成してもよい。航空ビークル航行コントローラ200は、処理回路204に接続されているディスプレイ208およびセンサ210も含む。センサ210は、航空ビークル100の位置104およびANP値106を決定する際に用いられる。他の実施形態では、航空ビークル航行コントローラ200の動作を航空ビークルの他の構成要素によって実行してもよい。たとえば、航空ビークル航行コントローラを、
図3に示されているような航空ビークルの他のコントローラと一体化することができる。
【0014】
以降で説明されているように、航空ビークル航行コントローラ200の動作は処理回路204および/または無線インタフェース202のトランシーバ回路によって実行される。たとえば、処理回路204は、他の航空ビークルおよび/または地上局に無線インタフェースを用いてトランシーバ回路を通じて通信対象を送信し、かつ/または無線インタフェースを用いて他の航空ビークルからトランシーバ回路を通じて通信対象を受信するようにトランシーバ回路を制御してもよい。さらに、モジュールをメモリ回路206に記憶してもよく、当該モジュールは、モジュールの指示が処理回路204によって実行されるときに処理回路204がそれぞれの動作(たとえば、以降で説明されている動作)を実行するように指示を提供してもよい。メモリに記憶されているプログラムコードを実行するように処理回路204をさらに構成することができ、メモリは、リードオンリメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、キャッシュメモリ、フラッシュメモリデバイス、光記憶デバイスなどの、1つまたは複数のタイプのメモリを含んでもよい。メモリに記憶されるプログラムコードは、ここで説明されている技術の1つ以上を実行するためのプログラム指示を含む。
【0015】
航空ビークル航行コントローラ200を航空ビークル100の他のコントローラと一体化することができる。
図3は、1つ以上の飛行管理コンピュータと1つ以上のコントロール・ディスプレイ・ユニットとを備えるタイプの飛行管理装置の航行機能316および/または性能管理機能326に航空ビークル航行コントローラ200が組み込まれた飛行管理装置(flight management system)310の例を示す。1つの飛行管理コンピュータ312および1つのコントロール・ディスプレイ・ユニット(CDU)314のみが
図3に示されている。CDUは飛行管理コンピュータ312と操縦士との間の主要なインタフェースである。
【0016】
飛行管理コンピュータによって実行されるコンピュータコード(以下「FMCソフトウェア」)がそれぞれの航空機情報管理システム(AIMS(airplane information management system))キャビネット内のそれぞれのコアプロセッサに常駐してもよい。FMCソフトウェアは、飛行管理機能、航行機能316、推力管理機能318および基準線性能データベース328(たとえば、空力および推力データを含む空力/エンジンデータベース)を備えてもよい。飛行管理機能は、誘導320、飛行計画322、データリンク管理機能324、性能管理機能326、CDUインタフェースおよび他の機能を備える。航行機能316はセンサ選択(慣性、電波、衛星)、測位手段決定および他の機能を提供する。航行機能316は、航空機の位置、速度、トラック角および他の航空機のパラメータ(まとめて航空機状態と記載する)を計算して、飛行計画、誘導および表示などの機能ならびにAIMS(なお、これは外部の機能である)をサポートする。
【0017】
飛行管理装置310は、航空データ慣性基準装置(air data and inertial reference system)、航行センサ、エンジン燃料センサおよび他の航空機システム(
図3に示されていない)からの情報を内部データベースおよび乗員が入力したデータとともに統合して複数の機能を実行する。飛行管理コンピュータは航行データベース(
図3に示されていない)を含んでもよい。
【0018】
図4を参照して、距離マージンを維持するためにプロセッサ204が実行する動作は、動作402で、近隣の航空ビークル102から実航法性能(ANP)値110を受信するステップを含む。プロセッサ204は無線インタフェース202を介してANP値110を受信してもよい。
【0019】
動作404で、プロセッサ204が航空ビークル100の表示と近隣の航空ビークル102の表示とをディスプレイに表示する。ディスプレイは、ディスプレイ208および/または航空ビークルの別のディスプレイであってもよい。航空ビークル100および近隣の航空ビークル102の表示を表示する例が
図8~
図13に示されている。
【0020】
動作406で、プロセッサ204が近隣の航空ビークル102からのANP値110と航空ビークル100のANP値106とに基づいて合成ANP(CANP)値を決定する。一実施形態では、CANP値は水平CANP値および垂直CANP値を備える。水平CANP値および垂直CANP値は同じ値であっても異なる値であってもよい。
【0021】
水平CANPは
【数1】
を決定することによって得られる。この決定対象の証明は以下の通りである。北方-東方-下方(NED)座標系(一般的な局所位置の基準)での2つの航空ビークルの位置を[x
N,x
E,x
D]および[x
N1,x
E1,x
D1]として導出することができる。北方-東方-下方(NED)系は、航空ビークルの重心に系の原点を固定する非慣性系である。系の軸は、地球の表面によって定められる測地線方向に沿って向けられている。具体的には、N軸は極の方向に、ジオイド面に平行な北方を指し、E軸は緯度曲線に沿った、ジオイド面に平行な東方を指し、D軸は地球の表面の方を向き、その表面の外向きの法線nに平行で反対方向の下方を指す。したがって、航空ビークルの水平箇所はx
N位置およびx
E位置として指定される。2つの航空ビークル間の水平距離は
【数2】
のようにNED座標系で表すことができる。
【0022】
2つの航空ビークル間の垂直距離ΔhはxDとxD1との差として表すことができる。
【0023】
ANPから分かるように、航空ビークルの位置正確度が95%である場合のx
Nは、平均がゼロでありかつ標準偏差が
【数3】
である正規分布で分布する。2.45は、モードが1のレイリー分布にしたがう確率変数の95%の確率限界(probability bound)を表す。
【0024】
【0025】
同じく、
【数5】
であり、x
E1も同様である。
したがって、
【数6】
【0026】
以上から、距離rはレイリー確率密度関数(PDF)にしたがう確率変数であり、それについて、rの95%の確率限界、すなわち水平CANPは
【数7】
であることが分かる。したがって、水平CANPは
【数8】
である。
【0027】
垂直CANPは
【数9】
であり、航空ビークルの垂直距離hが、平均が0である正規分布で分布すると仮定して同様に証明を明らかにすることができる。この仮定により、水平CANPを決定するのに用いた計算を2つの航空ビークルの垂直距離に適用することができる。同じ95%の誤差限界(error bound)を用いれば、2つの航空ビークルの垂直CANPはANP
hおよびANP
h1である。最終的に得られる垂直距離の95%の確率、すなわち垂直CANPは
【数10】
である。
【0028】
さらに、2つの航空ビークル間の3次元距離ρを
【数11】
として導出してもよい。
【0029】
rの誤差がレイリー分布であり、hが、平均が0の正規分布で分布する場合にrおよびhの誤差分布が独立していると仮定するのは妥当である。同時PDFは、
【数12】
である。この式は、
【数13】
のように単純化してもよく、ここで、
【数14】
かつ
【数15】
である。
【0030】
ρの累積分布は、
【数16】
のように計算することができる。
【0031】
f
rh(r,h)を上記の式に代入して置換することにより、
【数17】
【0032】
ρの95%の確率限界、すなわちCANPρは、Fγ(ρ)=95%を用いてρについて解くことによって計算することができる。
【0033】
動作408で、プロセッサ204が航空ビークル100の位置を動作406で決定されたCANP値と比較する。動作410で、航空ビークル100の位置がCANP値に基づいて近隣の航空ビークル102から離れる距離マージン内にあることに応じて、航空ビークル100が近隣のビークル102から離れている距離を増加させるアクションを実行する。距離マージンは、航空ビークル100が既定の空域で各近隣の航空ビークル102から離れておかなければならない距離である。
【0034】
図6Aを参照して、近隣の航空ビークル102のCANP値602と航空ビークル100の距離マージン604との例が示されている。航空ビークル100は、距離マージン604がCANP値内にある
図6Bに示されているように、距離マージン604がCANP値602内にある状態にしておいてはならない。言い換えると、航空ビークル100の位置はCANP値602に基づいて近隣の航空ビークル102から離れる距離マージン内にある。
【0035】
一実施形態の当該距離マージン604は合成航法性能要件(CRNP)に基づく。
図5を参照して、動作502で、プロセッサ204が、航空ビークル100が既定の空域内にあることに応じてCRNP値を決定する。一実施形態のCRNP値は水平CRNP値および垂直CRNP値からなる。既定の空域では、航空ビークルが既定の空域に入る前に各CRNP値が決定されるように1つ以上のCRNP値をブロードキャストしてもよい。動作504で、CRNP値を受信することに応じて、距離マージンをCRNP値の倍数に設定する。たとえば、距離マージンを1×CRNP値、1.5×CRNP値、2×CRNP値、2.5×CRNP値などに設定してもよい。一実施形態における水平CRNPおよび垂直CRNPは、所定の空域の航空交通密度および/または航空ビークルの目的地までの距離、および/または航空ビークルの高度の関数である。たとえば、航空ビークルの高度が数万フィートである場合、垂直CRNPおよび水平CRNPは、航空ビークルが航空ビークルの目的地で着陸アプローチを行っている場合よりも大きくてもよい。
【0036】
図7Aおよび
図7Bを参照して、垂直方向のCRNP値(すなわち垂直CRNP)が都市空域700などの既定の空域でどのように変化することができるのかについての図が示されている。航空ビークルが都市空域700に進入する際に航空ビークルにCRNPをブロードキャストして、航空ビークルがその目的地に到着するために通過する領域についてのCRNPを含むスプレッドシートで航空ビークルに提供したり、航空ビークルのメモリに提供したりなどしてもよい。
図7Aでは、航空ビークルが所定の空域の外側の領域から所定の空域の中央に向かって移動すると、都市空域700の垂直CRNP値はCRNP値706からCRNP値704に減少しCRNP値702まで減少する。
図7Bでは、航空ビークルが所定の空域の外側の領域から所定の空域の中央に向かって移動すると、垂直CRNP値はCRNP値706からCRNP値704に増加しCRNP値702まで増加する。他の実施形態では、CRNP値は、所定の空域にわたって同じ値である。一実施形態におけるCRNP値は、航空交通密度の変化、航空ビークルの高度の変化および/または航空ビークルのその目的地からの距離に基づいて変化する。水平方向のCRNP(すなわち水平CRNP)が同様に変化してもよい。したがって、水平CRNPと垂直CRNPとの一方または両方が動的に変化してもよい。言い換えると、水平CRNP値および垂直CRNP値の一方(または両方)が動的な必要距離マージンである。
【0037】
図8は、航空ビークル100において表示される水平方向の2次元表示800の一実施形態を示し、航空ビークル100がアイコン802によって示されている。近隣の航空ビークル102の各々が「+」アイコンによって表されている。近隣の航空ビークル102同士を識別するために、近隣の航空ビークル102の1つを近隣の航空ビークル804と称し、近隣の航空ビークル102の別のものを近隣の航空ビークル806と称する。距離マージン604は水平距離マージンであっても垂直距離マージンであってもよい。水平距離マージンを距離マージン814に指定するものとする。近隣の航空ビークル804,806の各々についてそれぞれ決定された(たとえば、動作406で決定)水平CANP 808,810が、近隣の航空ビークルの表示の中心を起点とする点線によって示されており、水平CANP 808,810の値が点線の下にある。空域の水平CRNP 812が距離マージン814の下に表示されている。距離マージン814は図示されている実施形態では水平CRNP 812に設定されている。他の実施形態では、距離マージン814を上述の水平CRNP値812よりも高い値に設定してもよい。さらに別の実施形態では、距離マージン814は、航空ビークル100が移動している方向に関連して変化してもよい。たとえば、航空ビークル100の前で大量の乱気流を生じさせる航空ビークルが存在する既存の飛行経路を航空ビークル100が辿っている場合、航空ビークル100が移動している方向の距離マージン814を他の水平方向の距離マージンよりも高い値に設定してもよい。このように、状況に基づいて距離マージンを動的に変更してもよい。
図8は、近隣の航空ビークル804,806が両方とも空域の距離マージン814の外側にある様子を示す。したがって、航空ビークル100が近隣の航空ビークル804,806から離れている距離を増加させるアクションを実行する必要はない。
【0038】
図9は、近隣の航空ビークル804のCANP 808が完全に距離マージン814内にあり、近隣の航空ビークル806のCANP 810の部分が距離マージン内にある場合の、航空ビークル100において表示される水平方向の2次元表示900を示す。近隣の航空ビークル804,806の水平CANP 808,810が距離マージン814の外側にあるような方向に航空ビークル100および近隣の航空ビークル804,806の1つ以上を移動させるアクションが行われる。異なる実施形態では、航空ビークル100は垂直CANP 1002,1004(
図10および
図11を参照)をチェックし、距離マージン1008として示されている垂直方向の距離マージン内に対応する垂直CANP 1002,1004があるときにだけアクションを行う。
【0039】
図10を参照して、航空ビークル100の垂直方向の2次元表示1000の一実施形態が示されている。近隣の航空ビークル804および806がこの場合も「+」アイコンによって表される。近隣の航空ビークル804,806の各々について(たとえば動作406で)決定された垂直CANP 1002,1004の各々が、近隣の航空ビークルの中心を起点とする点線によって示されている。空域の垂直CRNP 1006が航空ビークル100のアイコン802の下に表示されている。図示されている実施形態では、CRNP距離および垂直CANPが米国フィート単位で表示されている。メートルなどの他の単位を用いてもよい。距離マージン1008
1,1008
2は図示されている実施形態では垂直CRNP 1006に設定されている。他の実施形態では、距離マージンを垂直CRNP 1006とは異なる値(たとえば、より大きい値)に設定してもよい。さらに別の実施形態では、距離マージン1008
1を距離マージン1008
2の値とは異なる値に設定する。
図10は、近隣の航空ビークル804,806が両方とも空域の航空ビークル100の距離マージン1008
1,1008
2の外側にある様子を示す。したがって、航空ビークル100が近隣の航空ビークル804,806から離れている距離を増加させるアクションを実行する必要はない。
【0040】
図11は、近隣の航空ビークル806の垂直CANP 1004の部分が距離マージン1008
2内にある場合の航空ビークル100の垂直方向の2次元表示1100を示す。近隣の航空ビークル806の垂直CANP 1004が距離マージン1008
2の外側にあるような方向に、近隣の航空ビークル804の垂直CANP 1002も距離マージン1008
1の外側にしておきつつ、航空ビークル100および近隣の航空ビークル806の1つ以上を移動させるアクションが行われる。異なる実施形態では、航空ビークル100は水平CANP 810(
図8および
図9を参照)もチェックし、水平CANP 810が水平方向の距離マージン814内にあるときにアクションを行う。
【0041】
図12は、航空ビークル100が3次元表示1200の中央かその付近に表示されている飛行機のアイコンによって表されている3次元表示1200を示す。近隣の航空ビークル804および806も飛行機のアイコンで表示されている。近隣の航空ビークル804,806の水平CANP 808,810の値1202,1204および垂直CANP 1002,1004の値1206,1208が近隣の航空ビークル804,806の各々の識別記号の下に列挙されている。水平CRNP 812および垂直CRNP 1006も3次元表示1200に示されている。近隣の航空ビークル804,806のCANP 808,810,1002,1004の3次元CANP表示1210,1212が近隣の航空ビークル804,806毎に示されている。航空ビークル100は距離マージンを3次元CANP表示1210,1212から離しておかなければならない。
【0042】
航空ビークル100は、3次元CANP表示1210,1212のいずれかへの侵入動作から距離マージンを離しておくことをしなければならない。3次元箱体1214を距離マージン814および1008と同様の距離マージンとみなすことができる。3次元箱体1214は垂直CRNP 1006および水平CRNP 812からなる。近隣の航空ビークル804,806が両方とも距離マージン(すなわち3次元箱体1214)内にある。したがって、航空ビークル804,806が3次元箱体1214の外側にあるように、3次元箱体1214の外側(すなわち、距離マージンの外側)に近隣の航空ビークル804,806を移動させかつ/または航空ビークル100を移動させるアクションを行う必要がある。
【0043】
図13は、
図12の3次元箱体1214を用いない、3次元表示1300の別の実施形態を示す。本実施形態における距離マージン604は3次元距離マージン1302である。航空ビークル100の3次元距離マージン1302の水平距離マージン814および垂直距離マージン1008が示されている。水平距離マージン814を水平CRNP 812に設定しても、水平CRNP 812の値の倍数に設定してもよい。同様に、垂直距離マージン1008を垂直CRNP 1006に設定しても、垂直CRNP 1006の値の倍数に設定してもよい。近隣の航空ビークル804および806も飛行機のアイコンで表示されている。近隣の航空ビークル804,806の水平CANP 808,810の値1202,1204および垂直CANP 1002,1004の値1206,1208がそれぞれの近隣の航空ビークル804,806の識別記号の下に列挙されている。
【0044】
航空ビークル100の3次元距離マージン1302は、近隣の航空ビークル804の水平CANP 808および垂直CANP 1002を有する3次元CANP表示1210の外側にある。したがって、航空ビークル100が近隣の航空ビークル804から離れている距離を増加させるアクションを実行する必要はない。しかし、近隣の航空ビークル806の水平CANP 810および垂直CANP 1004を有する3次元CANP表示1212の部分が3次元距離マージン1302内にある。言い換えると、航空ビークル100の位置は、近隣の航空ビークル806のCANP値810,1004に基づいて近隣の航空ビークル806から離れる距離マージン内にある。したがって、近隣の航空ビークル806からの航空ビークル100の距離を増加させるアクションを行う必要がある。このアクションは、近隣の航空ビークル806の水平CANP 810および垂直CANP 1004の3次元CANP表示1212が3次元距離マージン1302の外側にあるような方向に航空ビークル100および近隣の航空ビークル806の1つ以上を移動させるアクションであってもよい。
【0045】
どのタイプの表示を表示させるのかを航空ビークル100の操縦体(たとえば、操縦士、副操縦士、自律型航空ビークルまたは無人航空ビークルのリモートコントローラなど)が指定してもよい。
図14を参照して、動作1402で、水平方向の2次元表示800,900が選択されることに応じて、水平方向の2次元表示800,900の中央にある航空ビークル100の表示とともに近隣の航空ビークル804,806の表示の水平方向の2次元表示800,900を動的に表示する。動作1404で、垂直方向の2次元表示1000,1100が選択されることに応じて、垂直方向の2次元表示1000,1100の中央にある航空ビークル100の表示とともに近隣の航空ビークル804,806の表示の垂直方向の2次元表示1000,1100を動的に表示する。動作1406で、3次元表示1200,1300が選択されることに応じて、3次元表示1200,1300の中央にある航空ビークル100の表示とともに近隣の航空ビークル804,806の表示の3次元表示1200,1300を動的に表示する。
【0046】
他の実施形態では、航空ビークルのCANPが距離マージンから離れる閾値距離以内にある場合、航空ビークルのCANPが距離マージンにある場合などに限って、選択された表示が示される。別の実施形態では、航空ビークルのCANPが距離マージンから離れる閾値距離以内にある場合に所定の指標も提供される。この指標は、チャイムやその他可聴音、フラッシュ光などであってもよい。この指標は水平距離マージンおよび垂直距離マージンについても同じ指標であってもよいし、異なる指標であってもよい。他の実施形態では、1つ以上の閾値距離が存在する。たとえば、2つの閾値が用いられる場合、航空ビークル100が第1の閾値距離以内で移動するときに第1の指標が提供される。航空ビークル100が第2の閾値距離以内で移動するときに第2の指標が提供される。第2の指標は、第1の指標と同じタイプの指標であったり異なるタイプの指標であったりすることが可能である。
【0047】
図面のフローチャートおよびブロック図は、本開示の様々な実施形態によるシステム、方法およびコンピュータプログラムプロダクトの可能な実現例の構造、機能および動作を示す。これについて、フローチャートやブロック図の各ブロックは、指定された1つ以上の論理機能を実施するための1つ以上の実行可能指示を備えるモジュール、セグメント、または指示の部分を表してもよい。いくつかの代替実現例では、図に示されている順序から逸脱した順序でブロックに示されている機能を実行してもよい。たとえば、具体的には、連続して示されている2つのブロックをほぼ同時に実行してもよいし、場合によっては関与する機能に応じてブロックを逆の順序で実行してもよい。ブロック図および/またはフローチャート図の各ブロックと、ブロック図および/またはフローチャート図のブロックの組み合わせとを、指定された機能または動作を実行したり専用ハードウェアとコンピュータ指示との組み合わせを実現したりする専用ハードウェアをベースとしたシステムによって実施することができる点にも注意が向けられる。
【0048】
本出願で用いられている用語は、特定の実施形態を説明する目的のものにすぎず、本開示の実施形態の限定を意図していない。文脈上別段明記されていない限り、本出願で用いられている単数形「a」、「an」および「the」は複数形も含むことを意図している。用語「include」、「includes」、「comprises」および/または「comprising」は、本明細書で用いられる場合、記載されている形態、整数、ステップ、動作、要素および/または構成要素の存在を示すが、1つ以上の他の形態、整数、ステップ、動作、要素、構成要素および/またはそれらの群の存在または追加を排除しないことがさらに分かる。
【0049】
以下の請求項のすべてのミーンズ・プラス・ファンクションまたはステップ・プラス・ファンクションの対応する構造、材料、動作および均等物は、特段請求されている場合には他の請求要素と組み合わせて機能を発揮する任意の構造、材料または動作を含むことを意図している。本実施形態の記載は、例示および説明の目的で記載されているが、網羅的であったり、開示されている形態の実施形態に限定されたりすることを意図していない。実施形態の範囲および精神を逸脱しない限りにおいて多くの修正および変形が当業者には明らかである。
【0050】
さらに、本開示は以下の項による実施形態を備える。
【0051】
第1項.航行機器を有する航空ビークルによって実行される方法であって、
近隣の航空ビークルから実航法性能(ANP)値を受信するステップと、
航空ビークルの表示と近隣の航空ビークルの表示とをディスプレイに表示するステップと、
近隣の航空ビークルからのANP値と航空ビークルのANP値とに基づいて合成ANP(CANP)値を決定するステップと、
航空ビークルの位置をCANP値と比較するステップと、
航空ビークルの位置がCANP値に基づいて近隣の航空ビークルから離れる距離マージン内にあることに応じて、航空ビークルが近隣の航空ビークルから離れている距離を増加させるアクションを実行するステップと
を備える方法。
【0052】
第2項.アクションを実行するステップは、航空ビークルまたは近隣の航空ビークルの一方に対して航空ビークルまたは近隣の航空ビークルの他方から離れることを要求するステップを備える、第1項に記載の方法。
【0053】
第3項.近隣の航空ビークルは複数の近隣の航空ビークルを備え、CANP値を決定するステップは、複数の近隣の航空ビークルの各々について、近隣の航空ビークルからのANP値と航空ビークルのANP値とに基づいてCANP値を決定するステップを備える、第1項に記載の方法。
【0054】
第4項.CANP値を決定するステップは、
【数18】
および
【数19】
を計算するステップを備え、CANP
lは水平方向のCANP値であり、ANP
lは水平方向の航空ビークルのANP値であり、ANP
l1は水平方向の近隣の航空ビークルのANP値であり、CANP
hは垂直方向のCANP値であり、ANP
hは垂直方向の航空ビークルのANP値であり、ANP
h1は垂直方向の近隣の航空ビークルのANP値である、第1項に記載の方法。
【0055】
第5項.近隣の航空ビークルから距離マージンを維持する航空ビークルの目的地への経路を計算するステップ
をさらに備える第1項に記載の方法。
【0056】
第6項.距離マージンは水平距離マージンと垂直距離マージンとを備える、第1項に記載の方法。
【0057】
第7項.航空ビークルが既定の空域内にあることに応じて合成航法性能要件(CRNP)値を決定するステップと、
CRNP値を決定することに応じて、距離マージンをCRNP値の倍数に設定するステップと
をさらに備える第1項に記載の方法。
【0058】
第8項.CRNP値を決定するステップは、水平CRNP値および垂直CRNP値を決定するステップを備える、第7項に記載の方法。
【0059】
第9項.水平CRNP値および垂直CRNP値の少なくとも1つは動的な必要距離マージンである、第8項に記載の方法。
【0060】
第10項.近隣の航空ビークルの表示によって近隣の航空ビークルのCANP値の指標を表示するステップ
をさらに備える第1項に記載の方法。
【0061】
第11項.航空ビークルの表示と近隣の航空ビークルの表示とをディスプレイに表示するステップは、
水平方向の2次元表示が選択されることに応じて水平方向の2次元表示の中央に表示される航空ビークルの表示とともに近隣の航空ビークルの表示の水平方向の2次元表示を動的に表示し、近隣の航空ビークルの表示によってCANP値の指標を表示するステップと、
垂直方向の2次元表示が選択されることに応じて垂直方向の2次元表示の中央に表示される航空ビークルの表示とともに近隣の航空ビークルの表示の垂直方向の2次元表示を動的に表示し、近隣の航空ビークルの表示によってCANP値の指標を表示するステップと、
3次元表示が選択されることに応じて3次元表示の中央に表示される航空ビークルの表示とともに近隣の航空ビークルの表示の3次元表示を動的に表示し、近隣の航空ビークルの表示によってCANP値の指標を表示するステップと
を備える、第1項に記載の方法。
【0062】
第12項.合成航法性能要件(CRNP)値の指標をディスプレイに表示するステップをさらに備える第11項に記載の方法。
【0063】
第13項.航空ビークルの航行装置であって、
無線インタフェースと、
無線インタフェースと通信するプロセッサと、
命令を備えるメモリと、を備え、命令が、プロセッサによって実行されるとき、プロセッサに動作を実行させ、動作が、
近隣の航空ビークルから実航法性能(ANP)値を受信することと、
航空ビークルの表示と近隣の航空ビークルの表示とをディスプレイに表示することと、
近隣の航空ビークルからのANP値と航空ビークルのANP値とに基づいて合成ANP(CANP)値を決定することと、
航空ビークルの位置をCANP値と比較することと、
航空ビークルの位置がCANP値に基づいて近隣の航空ビークルから離れる距離マージン内にあることに応じて、航空ビークルが近隣の航空ビークルから離れている距離を増加させるアクションを実行することと
を備える、航行装置。
【0064】
第14項.アクションを実行することは、航空ビークルまたは近隣の航空ビークルの一方に対して航空ビークルまたは近隣の航空ビークルの他方から離れることを要求することを備える、第13項に記載の航行装置。
【0065】
第15項.CANP値を決定することは、
【数20】
および
【数21】
を計算することを備え、CANP
lは水平方向のCANP値であり、ANP
lは水平方向の航空ビークルのANP値であり、ANP
l1は水平方向の近隣の航空ビークルのANP値であり、CANP
hは垂直方向のCANP値であり、ANP
hは垂直方向の航空ビークルのANP値であり、ANP
h1は垂直方向の近隣の航空ビークルのANP値である、第13項に記載の航行装置。
【0066】
第16項.航空ビークルが既定の空域内にあることに応じて合成航法性能要件(CRNP)値を決定することと、
CRNP値を決定することに応じて、距離マージンをCRNP値に設定することと
をさらに備える第13項に記載の航行装置。
【0067】
第17項.CRNP値を決定することは、水平CRNP値および垂直CRNP値を決定することを備える、第16項に記載の航行装置。
【0068】
第18項.水平CRNP値および垂直CRNP値の少なくとも1つは動的な必要距離マージンである、第17項に記載の航行装置。
【0069】
第19項.航空ビークルの表示と近隣の航空ビークルの表示とをディスプレイに表示することは、
水平方向の2次元表示が選択されることに応じて水平方向の2次元表示の中央に表示される航空ビークルの表示とともに近隣の航空ビークルの表示の水平方向の2次元表示を動的に表示し、近隣の航空ビークルの表示によってCANP値の指標を表示し、水平合成航法性能要件(CRNP)値の指標をディスプレイに表示することと、
垂直方向の2次元表示が選択されることに応じて垂直方向の2次元表示の中央に表示される航空ビークルの表示とともに近隣の航空ビークルの表示の垂直方向の2次元表示を動的に表示し、近隣の航空ビークルの表示によってCANP値の指標を表示し、垂直CRNP値の指標をディスプレイに表示することと、
3次元表示が選択されることに応じて3次元表示の中央に表示される航空ビークルの表示とともに近隣の航空ビークルの表示の3次元表示を動的に表示し、近隣の航空ビークルの表示によってCANP値の指標を表示し、水平CRNP値および垂直CRNP値の指標をディスプレイに表示することと
を備える、第13項に記載の航行装置。
【0070】
第20項.航空ビークルの航行装置の処理回路によって実行されるプログラムコードを含む非一時的コンピュータ可読媒体であって、プログラムコードを実行することにより、
近隣の航空ビークルから実航法性能(ANP)値を受信することと、
航空ビークルの表示と近隣の航空ビークルの表示とをディスプレイに表示することと、
近隣の航空ビークルからのANP値と航空ビークルのANP値とに基づいて合成ANP(CANP)値を決定することと、
航空ビークルの位置をCANP値と比較することと、
航空ビークルの位置がCANP値に基づいて近隣の航空ビークルから離れる距離マージン内にあることに応じて、航空ビークルが近隣の航空ビークルから離れている距離を増加させるアクションを実行することと
を備える動作を処理回路が実行する、非一時的コンピュータ可読媒体。
【0071】
本説明では特定の実施形態を示して説明してきたが、示されている特定の実施形態の代わりに同じ目的を達成することを企図した任意の構成を用いてもよく、他の環境では実施形態に他の用途があることを当業者は理解する。本出願は、任意の改変や変形をカバーすることを意図している。以下の請求項は、本開示の実施形態の範囲をここで説明されている特定の実施形態に限定することを一切意図していない。
【符号の説明】
【0072】
100 航空ビークル
102 近隣の航空ビークル
104 航空ビークルの位置
106 ANP値
108 近隣の航空ビークルの位置
110 ANP値
112 ANP
114 ANP
200 航空ビークル航行コントローラ
202 無線インタフェース
204 プロセッサ、処理回路
206 メモリ回路
208 ディスプレイ
210 センサ
310 飛行管理装置
312 飛行管理コンピュータ
316 航行機能
318 推力管理機能
320 誘導
322 飛行計画
324 データリンク管理機能
326 性能管理機能
328 基準線性能データベース
602 CANP値
604 距離マージン
700 都市空域
702 CRNP値
704 CRNP値
706 CRNP値
800 水平方向の2次元表示
802 アイコン
804 近隣の航空ビークル
806 近隣の航空ビークル
808 水平CANP
810 水平CANP
812 水平CRNP値
814 水平距離マージン
900 水平方向の2次元表示
1000 垂直方向の2次元表示
1002 垂直CANP値
1004 垂直CANP値
1006 垂直CRNP値
1008 垂直距離マージン
1100 垂直方向の2次元表示
1200 3次元表示
1202 水平CANPの値
1204 水平CANPの値
1206 垂直CANPの値
1208 垂直CANPの値
1210 3次元CANP表示
1212 3次元CANP表示
1214 3次元箱体
1300 3次元表示
1302 3次元距離マージン
10081 距離マージン
10082 距離マージン