(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】ユーザ情報検出システム、ユーザ情報検出装置及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/26 20060101AFI20240514BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20240514BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20240514BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
G01C21/26 C
G08G1/00 D
G09B29/00 F
G09B29/10 A
(21)【出願番号】P 2020040160
(22)【出願日】2020-03-09
【審査請求日】2022-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】石川 健
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 洋子
(72)【発明者】
【氏名】堀 敬滋
(72)【発明者】
【氏名】若林 賢
【審査官】白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-032380(JP,A)
【文献】特開2008-039433(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/26
G08G 1/00
G09B 29/00
G09B 29/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置情報の履歴を取得可能な複数のユーザを対象にしてユーザ毎に、ユーザの位置情報の履歴を取得する履歴取得手段と、
前記履歴取得手段により取得したユーザ毎の位置情報の履歴に基づいて、位置情報の履歴を取得したユーザ毎にユーザにとって馴染みのあるエリアを検出するエリア検出手段と、
位置情報の履歴を取得したユーザ毎に、前記エリア検出手段によってユーザにとって馴染みのあるエリアと検出されたエリア内に存在するPOIを抽出し、ユーザにとって馴染みのあるPOIとしてそのPOIが属するジャンルと紐づけて検出する地点検出手段と、
位置情報の履歴を取得したユーザ毎且つPOIを区分するジャンル毎に、
そのジャンルにおいて前記地点検出手段により
馴染みがあるとして検出されたPOIをPOIの名称から所在地に依存する箇所を除外した文字列により紐づけたデータを生成するデータ生成手段と、を有するユーザ情報検出システム。
【請求項2】
前記履歴取得手段は、ユーザ毎に現在のユーザの位置情報を所定間隔で繰り返し取得することによって前記ユーザの位置情報の履歴を取得し、
前記エリア検出手段は、位置情報の履歴を取得したユーザ毎に、過去に取得されたユーザの位置情報が含まれる頻度が閾値以上となるエリアをユーザにとって馴染みのあるエリアとして検出する請求項1に記載のユーザ情報検出システム。
【請求項3】
前記エリア検出手段は、ユーザにとって馴染みのあるエリアを、地図情報を区分するメッシュ単位で検出する請求項1又は請求項2に記載のユーザ情報検出システム。
【請求項4】
前記データ生成手段で生成されたデータに基づいて、ユーザに対して情報の提供を行う情報提供手段を有する請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のユーザ情報検出システム
。
【請求項5】
前記情報提供手段は、
設定された案内経路に従ってユーザが移動する為の目印に関する情報の提供を行い、
前記目印として前記データ生成手段で生成されたデータにおいて情報の提供対象となるユーザに紐づけられた馴染みのあるPOIを優先して選択する請求項4に記載のユーザ情報検出システム。
【請求項6】
ユーザが現在位置するエリアが前記エリア検出手段によって検出されたユーザにとって馴染みのあるエリアか否かを判定するエリア判定手段を有し、
前記情報提供手段は、ユーザが現在位置するエリアが前記エリア検出手段によって検出されたユーザにとって馴染みのあるエリアでないと判定された場合に、前記目印として情報の提供対象となるユーザに紐づけられた馴染みのあるPOIを優先して選択する請求項5に記載のユーザ情報検出システム。
【請求項7】
前記情報提供手段は、
案内対象となる案内対象地点の周辺に情報の提供対象となるユーザに紐づけられた馴染みのあるPOIが有るか否かを判定し、
前記案内対象地点の周辺に情報の提供対象となるユーザに紐づけられた馴染みのあるPOIが無いと判定された場合に、前記案内対象地点の手前側の前記案内経路周辺において情報の提供対象となるユーザに紐づけられた馴染みのあるPOIを検索し、
検索されたPOIを前記目印として選択する請求項5又は請求項6に記載のユーザ情報検出システム。
【請求項8】
前記目印は、前記案内経路に含まれる案内交差点におけるユーザの移動案内を行うのに用いる目印である請求項5乃至請求項7のいずれかに記載のユーザ情報検出システム。
【請求項9】
位置情報の履歴を取得可能な複数のユーザを対象にしてユーザ毎に、ユーザの位置情報の履歴を取得する履歴取得手段と、
前記履歴取得手段により取得したユーザ毎の位置情報の履歴に基づいて、位置情報の履歴を取得したユーザ毎にユーザにとって馴染みのあるエリアを検出するエリア検出手段と、
位置情報の履歴を取得したユーザ毎に、前記エリア検出手段によってユーザにとって馴染みのあるエリアと検出されたエリア内に存在するPOIを抽出し、ユーザにとって馴染みのあるPOIとしてそのPOIが属するジャンルと紐づけて検出する地点検出手段と、
位置情報の履歴を取得したユーザ毎且つPOIを区分するジャンル毎に、
そのジャンルにおいて前記地点検出手段により
馴染みがあるとして検出されたPOIをPOIの名称から所在地に依存する箇所を除外した文字列により紐づけたデータを生成するデータ生成手段と、を有するユーザ情報検出装置。
【請求項10】
コンピュータを、
位置情報の履歴を取得可能な複数のユーザを対象にしてユーザ毎に、ユーザの位置情報の履歴を取得する履歴取得手段と、
前記履歴取得手段により取得したユーザ毎の位置情報の履歴に基づいて、位置情報の履歴を取得したユーザ毎にユーザにとって馴染みのあるエリアを検出するエリア検出手段と、
位置情報の履歴を取得したユーザ毎に、前記エリア検出手段によってユーザにとって馴染みのあるエリアと検出されたエリア内に存在するPOIを抽出し、ユーザにとって馴染みのあるPOIとしてそのPOIが属するジャンルと紐づけて検出する地点検出手段
と、
位置情報の履歴を取得したユーザ毎且つPOIを区分するジャンル毎に、
そのジャンルにおいて前記地点検出手段により
馴染みがあるとして検出されたPOIをPOIの名称から所在地に依存する箇所を除外した文字列により紐づけたデータを生成するデータ生成手段と、
して機能させる為のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザに対してより適切な情報提供を行う為のユーザ情報を検出するユーザ情報検出システム、ユーザ情報検出装置及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より車両に乗車するユーザの支援の一つとして、ユーザが所望する目的地を入力すると、出発地から目的地までの案内経路を設定し、右左折等の案内の対象となる案内対象地点(例えば案内交差点)に接近した場合には音声やディスプレイ画面を用いた案内を行うことによって、ユーザを所望の目的地まで確実に案内することが行われている。上記機能は車載器であるナビゲーション装置以外に、近年は携帯電話機、スマートフォン、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ等においても有するものがある。更に、車両以外にも歩行者や二輪車を対象として上記案内を行うことも可能である。
【0003】
ここで、例えば案内交差点において右左折の案内を行う際には、案内交差点をユーザに正確に特定させることが重要である。そこで、従来では案内交差点において目印(ランドマーク)となる施設や構造物等を用いて案内を行うことが行われていた。このような目印を用いた案内交差点の案内を行う場合には、ユーザが案内された目印を実景上で正確に特定できることが重要である。そこで、例えば特開2015-36619号公報には、案内交差点の案内に用いる目印を選択する場合に、案内交差点までの経路上に類似するPOI(point of interest)が存在しないPOIを優先して目印として選択する技術について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-36619号公報(第8-10頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記特許文献1は近くに類似するPOIが存在するPOIを目印の候補から除外することによって、ユーザに目印として案内されたPOIを実景上で正確に特定できるようにする技術であるが、類似するPOIが近くに存在しない場合であってもユーザが案内されたPOIを実景上で特定できない場合がある。そのような場合として、ユーザが案内されたPOIを理解できない、即ち案内されたPOIを知らない状況が該当する。
【0006】
そのような状況が生じることを防止する為には、案内を行う装置側が予めユーザに馴染みのあるPOI(即ちユーザが良く知るPOI、ユーザが認識しているPOI)について把握することが重要である。しかしながら、上記特許文献1ではユーザに馴染みのあるPOIを装置側で把握する為の手段を備えておらず、適切な案内を行うことができない問題があった。
【0007】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、ユーザ毎にユーザに馴染みのあるPOIを正確に検出してユーザに紐づけたデータを生成することを可能にしたユーザ情報検出システム、ユーザ情報検出装置及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため本発明に係るユーザ情報検出システムは、位置情報の履歴を取得可能な複数のユーザを対象にしてユーザ毎に、ユーザの位置情報の履歴を取得する履歴取得手段と、前記履歴取得手段により取得したユーザ毎の位置情報の履歴に基づいて、位置情報の履歴を取得したユーザ毎にユーザにとって馴染みのあるエリアを検出するエリア検出手段と、位置情報の履歴を取得したユーザ毎に、前記エリア検出手段によってユーザにとって馴染みのあるエリアと検出されたエリア内に存在するPOIを抽出し、ユーザにとって馴染みのあるPOIとしてそのPOIが属するジャンルと紐づけて検出する地点検出手段と、位置情報の履歴を取得したユーザ毎且つPOIを区分するジャンル毎に、そのジャンルにおいて前記地点検出手段により馴染みがあるとして検出されたPOIをPOIの名称から所在地に依存する箇所を除外した文字列により紐づけたデータを生成するデータ生成手段と、を有する。
尚、「POI」はpoint of interestの略であり、目印(ランドマーク)となり得るも
のであれば施設に限定されず人工的な構造物や自然物についても含む。
また、「ユーザにとって馴染みのあるエリア、POI」とは、ユーザがよく知る(知識のある)エリアやPOI、ユーザが認識しているエリアやPOIが該当する。
【0009】
また、本発明に係るユーザ情報検出装置は、位置情報の履歴を取得可能な複数のユーザを対象にしてユーザ毎に、ユーザの位置情報の履歴を取得する履歴取得手段と、前記履歴取得手段により取得したユーザ毎の位置情報の履歴に基づいて、位置情報の履歴を取得したユーザ毎にユーザにとって馴染みのあるエリアを検出するエリア検出手段と、位置情報の履歴を取得したユーザ毎に、前記エリア検出手段によってユーザにとって馴染みのあるエリアと検出されたエリア内に存在するPOIを抽出し、ユーザにとって馴染みのあるPOIとしてそのPOIが属するジャンルと紐づけて検出する地点検出手段と、位置情報の履歴を取得したユーザ毎且つPOIを区分するジャンル毎に、そのジャンルにおいて前記地点検出手段により馴染みがあるとして検出されたPOIをPOIの名称から所在地に依存する箇所を除外した文字列により紐づけたデータを生成するデータ生成手段と、を有する。
【0010】
また、本発明に係るコンピュータプログラムは、ユーザ毎にユーザに馴染みのあるPOIを検出してユーザに紐づけたデータを生成するコンピュータプログラムである。具体的には、コンピュータを、位置情報の履歴を取得可能な複数のユーザを対象にしてユーザ毎に、ユーザの位置情報の履歴を取得する履歴取得手段と、前記履歴取得手段により取得したユーザ毎の位置情報の履歴に基づいて、位置情報の履歴を取得したユーザ毎にユーザにとって馴染みのあるエリアを検出するエリア検出手段と、位置情報の履歴を取得したユーザ毎に、前記エリア検出手段によってユーザにとって馴染みのあるエリアと検出されたエリア内に存在するPOIを抽出し、ユーザにとって馴染みのあるPOIとしてそのPOIが属するジャンルと紐づけて検出する地点検出手段と、位置情報の履歴を取得したユーザ毎且つPOIを区分するジャンル毎に、そのジャンルにおいて前記地点検出手段により馴染みがあるとして検出されたPOIをPOIの名称から所在地に依存する箇所を除外した文字列により紐づけたデータを生成するデータ生成手段と、して機能させる。
【発明の効果】
【0011】
前記構成を有する本発明に係るユーザ情報検出システム、ユーザ情報検出装置及びコンピュータプログラムによれば、位置情報の履歴を取得可能な複数のユーザを対象にしてユーザ毎に、ユーザの位置情報の履歴を取得することによって、ユーザに馴染みのあるPOIを正確に検出することが可能となる。そして、ユーザ毎且つPOIを区分するジャンル毎に馴染みのあるPOIを紐づけたデータを生成し、ユーザに馴染みのあるPOIを装置側で把握することによって、例えば目印を用いたユーザの移動案内を行う場合には、ユーザが理解できないPOIやユーザが知らないPOIが目印として採用されることを防止でき、ユーザに目印として案内されたPOIを実景上で正確に特定させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態に係る車両状態検出システムを示した概略構成図である。
【
図2】本実施形態に係る車両状態検出システムの構成を示したブロック図である。
【
図3】プローブ情報DBに記憶されるプローブ情報の一例を示した図である。
【
図4】位置履歴DBに記憶される位置履歴情報の一例を示した図である。
【
図5】馴染みPOI情報DBに記憶される馴染みPOI情報の一例を示した図である。
【
図6】本実施形態に係るナビゲーション装置の制御系を模式的に示すブロック図である。
【
図7】本実施形態に係るユーザ情報検出処理プログラムのフローチャートである。
【
図8】本実施形態に係るエリア判定処理プログラムのフローチャートである。
【
図9】本実施形態に係る移動案内処理プログラムのフローチャートである。
【
図10】案内交差点での目印案内の一例を示した図である。
【
図11】ユーザにとって馴染みのあるPOIに目印を変更する例を示した図である。
【
図12】ユーザにとって馴染みのあるPOIを目印に用いた案内交差点での目印案内の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るユーザ情報検出システムについて具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係るユーザ情報検出システム1の概略構成について
図1及び
図2を用いて説明する。
図1は本実施形態に係るユーザ情報検出システム1を示した概略構成図である。
図2は本実施形態に係るユーザ情報検出システム1の構成を示したブロック図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係るユーザ情報検出システム1は、プローブセンタ2が備えるサーバ装置(ユーザ情報検出装置)3と、車両4に搭載された通信(案内)端末であるナビゲーション装置5と、を基本的に有する。また、サーバ装置3とナビゲーション装置5は通信ネットワーク網6を介して互いに電子データを送受信可能に構成されている。尚、ナビゲーション装置5の代わりに、例えば車両4が備える他の車載器や車両4を制御する車両制御ECUを用いても良い。また、後述のようにサーバ装置3において生成された情報を提供する対象として、ナビゲーション装置以外の通信端末(例えば携帯電話機、スマートフォン、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ等)をユーザ情報検出システム1に更に含めても良い。
【0015】
ここで、本実施形態に係るユーザ情報検出システム1は所謂プローブカーシステムを構成する。ここで、プローブカーシステムとは、車両4をセンサとして情報を収集するシステムである。具体的には、車両4が速度データをはじめ、ステアリング操作やシフト位置等の各システムの作動状況をGPSの位置情報とともに予め車両4に搭載された通信装置を介してプローブセンタ2に送信し、センタ側でその収集データを様々な情報として再利用するシステムをいう。
【0016】
そして、プローブセンタ2が備えるサーバ装置3は、全国を走行する各車両4から現在時刻や走行情報等を含むプローブ情報(材料情報)を適宜収集して蓄積するとともに、蓄積されたプローブ情報から各種支援情報(例えばユーザにとって馴染みのあるエリアやPOI、事故情報、渋滞情報、旅行時間等)を生成し、生成された支援情報をナビゲーション装置5に対して配信したり、支援情報を用いた各種処理を行う情報管理サーバである。特に本実施形態では、サーバ装置3は、車両4の位置情報、車両4の方位情報、走行時や停車時の車両4の挙動に関する情報等を各車両4から収集し、収集した情報を集計することによってエリア毎(本実施形態では特に3次メッシュ毎)に車両(即ち車両に乗車するユーザ)の位置情報が含まれる頻度を算出し、ユーザ毎にユーザの馴染みのあるエリアを検出する。更に、ユーザの馴染みのあるエリアに基づいてユーザの馴染みのあるPOI(point of interest)についても検出し、ユーザと該ユーザに馴染みのあるPOIとを紐づけたDBを生成する。更に、馴染みのないエリアに位置するユーザが乗車する車両に対しては、該ユーザの馴染みのあるPOIを特定した情報をDBから抽出して配信することについても行う。
【0017】
一方、ナビゲーション装置5は、車両4に搭載され、格納する地図データに基づいて自車位置周辺の地図を表示したり、地図画像上において車両の現在位置を表示したり、設定された案内経路に沿った移動案内を行う車載機である。また、ナビゲーション装置5は特に移動案内に関しては目印(ランドマーク)を用いた移動案内を行うことが可能であり、更にサーバ装置3からユーザの馴染みのあるPOIを特定した情報を受信した場合には、受信した情報を用いてユーザにとって馴染みのあるPOIを目印に用いた移動案内についても行う。尚、ナビゲーション装置5の詳細については後述する。
【0018】
また、通信ネットワーク網6は全国各地に配置された多数の基地局と、各基地局を管理及び制御する通信会社とを含み、基地局及び通信会社を有線(光ファイバー、ISDN等)又は無線で互いに接続することにより構成されている。ここで、基地局はナビゲーション装置5との通信をするトランシーバー(送受信機)とアンテナを有する。そして、基地局は通信会社の間で無線通信を行う一方、通信ネットワーク網6の末端となり、基地局の電波が届く範囲(セル)にあるナビゲーション装置5の通信をサーバ装置3との間で中継する役割を持つ。
【0019】
続いて、ユーザ情報検出システム1が有するサーバ装置3の構成について
図2を用いてより詳細に説明する。
【0020】
サーバ装置3は、
図2に示すようにサーバ制御ECU11と、サーバ制御ECU11に接続された情報記録手段としてのプローブ情報DB12と、位置履歴DB13と、馴染みPOI情報DB14と、サーバ側地
図DB15と、センタ通信装置16と、を基本的に有する。
【0021】
サーバ制御ECU11(エレクトロニック・コントロール・ユニット)は、サーバ装置3の全体の制御を行う電子制御ユニットであり、演算装置及び制御装置としてのCPU21、並びにCPU21が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるRAM22、制御用のプログラムのほか、後述のユーザ情報検出処理プログラム(
図7参照)、エリア判定処理プログラム(
図8)及び移動案内処理プログラム(
図9参照)等が記録されたROM23、ROM23から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ24等の内部記憶装置を備えている。尚、サーバ制御ECU11は、後述のナビゲーション装置5のECUとともに処理アルゴリズムとしての各種手段を有する。例えば、履歴取得手段は、ユーザの位置情報の履歴を取得する。エリア検出手段は、履歴取得手段により取得したユーザの位置情報の履歴に基づいて、ユーザにとって馴染みのあるエリアを検出する。地点検出手段は、エリア検出手段によってユーザにとって馴染みのあるエリアと検出されたエリア内に存在するPOIを、ユーザにとって馴染みのあるPOIとして検出する。
【0022】
また、プローブ情報DB12は、全国を走行する各車両4から収集したプローブ情報を累積的に記憶する記憶手段である。尚、本実施形態においては、車両4から収集されるプローブ情報として、特に(a)日時とその日時における(b)車両4が走行する3次メッシュのメッシュコード、(c)GPSにより検出された緯度、(d)GPSにより検出された経度、(e)車両4の車速、(f)車両4のヨーレート、が含まれる。
【0023】
但し、プローブ情報としては上記(a)~(f)に関する情報を必ずしも全て含む必要はなく、また、(a)~(f)以外の情報(例えば走行リンク、ブレーキ操作量、加速度、ステアリング角度、ドライブレコーダ画像等)を含む構成としても良い。
【0024】
図3はプローブ情報DB12に記憶されるプローブ情報の一例を示した図である。
図3に示すように、プローブ情報は、送信元の車両を識別する車両ID(ユーザを識別するユーザIDにも相当)と、上記(a)~(f)に関する情報等が含まれる。例えば、
図3に示すプローブ情報は、ID“A”の車両4(ユーザ)がメッシュコード“123abc”内において50km前後で走行していることが記憶されている。一方、ID“B”の車両4(ユーザ)がメッシュコード“345def”内の緯度43.1237、経度143.1237の地点で停車したことが記憶されている。同様にして、他のプローブ情報についても記憶されている。尚、
図3に示す例では200msec間隔で車両からプローブ情報を収集しているが、プローブ情報の収集の間隔は200msec間隔より短く或いは長くしても良い。
【0025】
また、位置履歴DB13は、上記プローブ情報DB12に格納されるプローブ情報を集計(統計)することによって生成されたプローブ統計情報を累積的に記憶する記憶手段である。特に本実施形態では、プローブ情報を集計(統計)することによってブローブ情報の送信元となる車両毎、即ち車両に乗車するユーザ毎にユーザの位置情報が含まれる頻度をエリア単位で集計した情報を生成する。尚、本実施形態では集計するエリア単位を、地図情報を区分する3次メッシュ(1km四方)単位とする。
【0026】
図4は位置履歴DB13に記憶される情報(以下、位置履歴情報という)の一例を示した図である。
図4に示すように、位置履歴情報は、ユーザ毎且つエリア毎にユーザの位置情報が含まれる頻度が記憶される。尚、ユーザの位置情報が含まれる頻度とは、プローブ情報によって特定されるユーザの位置が含まれる頻度に相当し、例えば
図4に示す例では集計対象となるプローブ情報の内、ID“A”の車両4(ユーザ)についてメッシュコード“123abc”内に位置することを示すプローブ情報の数が323567個であることを示す。同じくメッシュコード“123bcd”内に位置することを示すプローブ情報の数が43253個であることを示す。他のメッシュコードについても同様である。従って、
図4に示す例ではID“A”の車両4(ユーザ)は、メッシュコード“123abc”やメッシュコード“123efg”内に頻繁に位置しており、該当するエリアに馴染みがあることが予想できる。
【0027】
一方で、馴染みPOI情報DB14は、ユーザ毎にユーザにとって馴染みのあるPOIを紐づけた情報(以下、馴染みPOI情報という)を記憶する記憶手段である。ここで、“ユーザにとって馴染みのあるPOI”とは、ユーザがよく知る(知識のある)POI、ユーザが認識しているPOIが該当し、上記位置履歴DB13に格納される位置履歴情報に基づいて特定される。“ユーザにとって馴染みのあるPOI”の検出方法の詳細については後述する。また、“ユーザにとって馴染みのあるPOI”はジャンル(カテゴリ)毎に紐づけられる。更に一のジャンルに対して複数のPOIが紐づけられる場合もある。ジャンルとしては「コンビニエンスストア」、「カフェ」、「レストラン」、「ガソリンスタンド」等があるが、より上位の概念のジャンル或いは下位の概念のジャンルとしても良い。
【0028】
図5は馴染みPOI情報DB14に記憶される馴染みPOI情報の一例を示した図である。
図5に示すように馴染みPOI情報は、ユーザ毎且つジャンル毎にユーザにとって馴染みのあるPOIが紐づけられて記憶される。例えば
図5に示す例ではID“A”の車両4(ユーザ)について「コンビニエンスストア」については『○○ストア』が馴染みのあるPOIであることを示す。即ち、ID“A”の車両4(ユーザ)についてはコンビニエンスストアとして『○○ストア』の外観や看板をよく知っており、例えば『○○ストア』を移動案内の目印に用いた場合にはユーザが容易に実景上で特定できると推測できる。同様に「カフェ」については『○×カフェ』と『××珈琲店』が馴染みのあるPOIであり、「レストラン」については『×○レストラン』が馴染みのあるPOIであることを示している。
【0029】
そして、サーバ装置3は、位置履歴DB13に記憶された位置履歴情報によってユーザ毎に該ユーザにとって馴染みのあるエリアについて把握可能となる。同じく馴染みPOI情報DB14に記憶された馴染みPOI情報によってユーザ毎に該ユーザにとって馴染みのあるPOIについて把握可能となる。そして、車両において移動案内が行われる際に、特に車両の現在位置が乗員であるユーザにとって馴染みのないエリアに位置する場合には、ナビゲーション装置5に対して該当するユーザに関する馴染みPOI情報を配信する。その結果、後述のようにユーザにとって馴染みのあるPOIを用いた移動案内を行うことが可能となる。詳細については後述する。
【0030】
一方、サーバ側地
図DB15は、外部からの入力データや入力操作に基づいて登録された最新のバージョンの地図情報であるサーバ側地図情報が記憶される記憶手段である。ここで、サーバ側地図情報は、道路網を始めとして経路探索、経路案内及び地図表示に必要な各種情報から構成されている。例えば、道路網を示すノード及びリンクを含むネットワークデータ、道路(リンク)に関するリンクデータ、ノード点に関するノードデータ、各交差点に関する交差点データ、施設等の地点に関する地点データ、地図を表示するための地図表示データ、経路を探索するための探索データ、地点を検索するための検索データ等からなる。また地図情報はメッシュ単位(例えば1次メッシュ、2次メッシュ、3次メッシュ)で区分されている。
【0031】
また、地点データとしては、出発地、目的地、目印(ランドマーク)等となるPOIに関する情報が記憶される。例えば、ホテル、旅館等の宿泊施設、ガソリンスタンド等の給油施設、ショッピングモール、スーパーマーケット、ショッピングセンタ等の商業施設、テーマパーク、ゲームセンタ等の娯楽施設、レストラン、バー、居酒屋等の飲食施設、公共駐車場等の駐車施設、交通施設、寺院、教会等の宗教施設、美術館、博物館等の公共施設等の施設に関する情報が該当する。また、地点データは、地点毎に、識別子である番号、地点の名称、地点のジャンル(「駐車場」、「郵便局」、「レストラン」等)、地点の位置を示す位置座標等を含む。更に、地点データとしては目印となり得るものであれば施設に限定されず人工的な構造物や自然物についての情報も含むようにしても良い。
【0032】
また、センタ通信装置16は、車両4やVICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)センタ等の外部の交通情報センタと通信ネットワーク網6を介して通信を行う為の通信装置である。本実施形態では、センタ通信装置16を介してプローブ情報やPOIに関する情報を各車両4との間で送受信する。
【0033】
次に、車両4に搭載されたナビゲーション装置5の概略構成について
図6を用いて説明する。
図6は本実施形態に係るナビゲーション装置5を示したブロック図である。
【0034】
図6に示すように本実施形態に係るナビゲーション装置5は、ナビゲーション装置5が搭載された車両の現在位置を検出する現在位置検出部31と、各種のデータが記録されたデータ記録部32と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーションECU33と、ユーザからの操作を受け付ける操作部34と、ユーザに対して車両周辺の地図や交通情報等を表示する液晶ディスプレイ35と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ36と、記憶媒体であるDVDを読み取るDVDドライブ37と、プローブセンタ2やVICSセンタ等の情報センタとの間で通信を行う通信モジュール38と、を有する。また、ナビゲーション装置5はCAN等の車載ネットワークを介して、車両4に搭載された各種センサやカメラとも接続されている。尚、車両4に搭載されたセンサやカメラとしては、車速センサ39を含む。
【0035】
以下に、ナビゲーション装置5が有する各構成要素について順に説明する。
現在位置検出部31は、GPS43、ヨーレートセンサ44等を含み、現在の車両の位置、方位等を検出することが可能となっている。また、車速センサ39やその他の車両に設置された各種センサの検出結果についても取得することによって、より精度の高い現在の車両の位置、方位等の検出も可能である。
【0036】
また、データ記録部32は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記録された地図情報DB45、走行履歴DB46、所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。尚、データ記録部32をハードディスクの代わりにフラッシュメモリやメモリーカードやCDやDVD等の光ディスクにより構成しても良い。また、地図情報DB45、走行履歴DB46は外部のサーバに格納させ、ナビゲーション装置5が通信により取得する構成としても良い。
【0037】
ここで、地図情報DB45は、例えば、道路(リンク)に関するリンクデータ、ノード点に関するノードデータ、経路の探索や変更に係る処理に用いられる探索データ、施設等の地点に関する地点データ、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、地点を検索するための検索データ等が記憶された記憶手段である。
【0038】
また、地点データとしては、上述したサーバ側地図情報と同様に出発地、目的地、目印(ランドマーク)等となるPOIに関する情報が記憶される。また、地点データは、地点毎に、識別子である番号、地点の名称、地点のジャンル(「駐車場」、「郵便局」、「レストラン」等)、地点の位置を示す位置座標等を含む。更に、地点データとしては目印となり得るものであれば施設に限定されず人工的な構造物や自然物についての情報も含むようにしても良い。
【0039】
また、走行履歴DB46は、車両4の車両挙動(走行時は走行情報)を累積して記憶した記憶手段である。尚、本実施形態では走行履歴DB46に記憶される車両挙動として、特に車速センサ39、GPS43、ヨーレートセンサ44等の各種センサの検出結果を含む。走行履歴DB46に記憶された車両挙動はプローブ情報としてサーバ装置3へと随時送信される。
【0040】
一方、ナビゲーションECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)33は、ナビゲーション装置5の全体の制御を行う電子制御ユニットであり、演算装置及び制御装置としてのCPU51、並びにCPU51が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM52、制御用のプログラムのほか、後述のエリア判定処理プログラム(
図8参照)及び移動案内処理プログラム(
図9参照)等が記録されたROM53、ROM53から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ54等の内部記憶装置を備えている。尚、ナビゲーションECU33は、処理アルゴリズムとしての各種手段を有する。例えば、情報提供手段は、地点検出手段の検出結果に基づいて、ユーザに対して情報の提供を行う
【0041】
操作部34は、走行開始地点としての出発地及び走行終了地点としての目的地を入力する際等に操作され、各種のキー、ボタン等の複数の操作スイッチ(図示せず)から構成される。そして、ナビゲーションECU33は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、操作部34は液晶ディスプレイ35の前面に設けたタッチパネルによって構成することもできる。また、マイクと音声認識装置によって構成することもできる。
【0042】
また、液晶ディスプレイ35には、道路を含む地図画像、交通情報、操作案内、操作メニュー、キーの案内、案内経路(走行予定経路)に沿った案内情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。また、案内交差点が車両の進行方向前方の所定距離以内(例えば500m)に接近した場合には、案内交差点付近の拡大図や車両の案内交差点における進行方向についても表示する。尚、液晶ディスプレイ35の代わりに、HUDやHMDを用いても良い。
【0043】
また、スピーカ36は、ナビゲーションECU33からの指示に基づいて案内経路(走行予定経路)に沿った走行を案内する音声ガイダンスや、交通情報の案内を出力する。特に本実施形態では、案内交差点が車両の進行方向前方の所定距離(例えば、700m、300m、50m)に到達したタイミングで、案内経路に沿った走行を案内する音声案内の出力を開始する。また、本実施形態に係るナビゲーション装置5では、案内交差点の移動案内を行う場合において案内交差点の周辺に適切な目印がある場合には目印を用いた音声案内を出力する。
【0044】
また、DVDドライブ37は、DVDやCD等の記録媒体に記録されたデータを読み取り可能なドライブである。そして、読み取ったデータに基づいて音楽や映像の再生、地図情報DB45の更新等が行われる。尚、DVDドライブ37に替えてメモリーカードを読み書きする為のカードスロットを設けても良い。
【0045】
また、通信モジュール38は、交通情報センタ、例えば、VICSセンタやその他の外部センタ等から送信された交通情報等を受信する為の通信装置であり、例えば携帯電話機やDCMが該当する。また、車車間で通信を行う車車間通信装置や路側機との間で通信を行う路車間通信装置も含む。また、プローブ情報や配信情報をサーバ装置3との間で送受信するのにも用いられる。
【0046】
また、車速センサ39は、車両の移動距離や車速を検出する為のセンサであり、車両の駆動輪の回転に応じてパルスを発生させ、パルス信号をナビゲーションECU33に出力する。そして、ナビゲーションECU33は発生するパルスを計数することにより車両の車速や移動距離を算出する。
【0047】
続いて、前記構成を有するユーザ情報検出システム1が有するサーバ装置3において実行するユーザ情報検出処理プログラムについて
図7に基づき説明する。
図7は本実施形態に係るユーザ情報検出処理プログラムのフローチャートである。ここで、ユーザ情報検出処理プログラムは、前回プログラムを実行した時から所定時間(例えば24時間)経過後に実行され、各車両4から送信されたプローブ情報に基づいて、ユーザにとって馴染みのあるエリア及びPOIを検出するプログラムである。尚、以下の
図7にフローチャートで示されるプログラムは、サーバ装置3が備えているRAM22やROM23等に記憶されており、CPU21により実行される。
【0048】
尚、以下のステップ(以下、Sと略記する)1~S7の処理については、全国においてプローブ情報の送信元となる車両(車両に乗員するユーザ)単位でループして実行し、全ての車両に対する処理が終了するまで繰り返し行う。
【0049】
先ず、S1においてCPU21は、現時点でプローブ情報DB12に格納されているプローブ情報(
図3)の内、処理対象の車両のプローブ情報を抽出する(前回プログラムを実行した時から新たにプローブ情報DB12に格納されたプローブ情報のみを対象にしても良いし、直近の一定期間(例えば2か月)に格納されたプローブ情報のみを対象にしても良い)。尚、プローブ情報は
図3に示すように(a)日時とその日時における(b)車両4が走行する3次メッシュのメッシュコード、(c)GPSにより検出された緯度、(d)GPSにより検出された経度、(e)車両4の車速、(f)車両4のヨーレート、が含まれる。プローブ情報は、全国を走行する各車両4から定期的に収集される。例えば
図3に示す例では200msec間隔で繰り返し車両からプローブ情報を収集している。但し、プローブ情報の収集は必ずしも200msec間隔で行う必要はない。例えば、ナビゲーション装置5において送信対象となるプローブ情報をフラッシュメモリ54等に蓄積しておき、所定期間内のプローブ情報をまとめてサーバ装置3に送信しても良い。
【0050】
次に、S2においてCPU21は、前記S1で抽出されたプローブ情報について、プローブ情報によって特定されるユーザの位置が含まれるエリア毎に区分して集計(統計)する。尚、本実施形態では集計するエリア単位を、地図情報を区分する3次メッシュ(1km四方)単位とする。その後、集計した情報を位置履歴DB13に格納する。その結果、ユーザの位置情報が含まれる頻度をエリア単位で集計した位置履歴情報が位置履歴DB13において生成される。
図4に示すように、位置履歴DB13には、ユーザ毎且つエリア毎にユーザの位置情報が含まれる頻度(プローブ情報の数)が記憶される。
【0051】
続いて、S3においてCPU21は、前記S2におけるプローブ情報の集計(統計)の結果に基づいて、ユーザにとって馴染みのあるエリア(以下、馴染みエリアという)を検出する。尚、馴染みエリアとは、ユーザがよく知る(知識のある)エリア、ユーザが認識しているエリアが該当し、複数のエリアが該当する場合には複数のエリアを馴染みエリアとして検出しても良い。具体的に前記S3においてCPU21は、位置履歴DB13を参照し、ユーザの位置情報が含まれる頻度(プローブ情報の数)が閾値以上の3次メッシュを馴染みエリアとして検出する。尚、閾値は集計期間に応じて適宜変更可能であるが、例えば閾値を10万とすれば
図4に示す例ではメッシュコード“123abc”とメッシュコード“123efg”の2つの3次メッシュが馴染みエリアとして検出されることとなる。
【0052】
そして、以降のS4~S7の処理については、前記S3で検出された馴染みエリア単位でループして実行し、全ての馴染みエリアに対する処理が終了するまで繰り返し行う。
【0053】
先ず、S4においてCPU21は、処理対象の車両(車両に乗員するユーザ)に対して処理対象の馴染みエリアが、過去に実施されたユーザ情報検出処理プログラムにおいて既に処理済み(後述のS5~S7でユーザにとって馴染みのあるPOIが馴染みPOI情報DB14に登録済み)であるか否かを判定する。
【0054】
そして、処理対象の車両(車両に乗員するユーザ)に対して処理対象の馴染みエリアが、過去に実施されたユーザ情報検出処理プログラムにおいて既に処理済みであると判定された場合(S4:YES)には、既に過去の処理においてユーザにとって馴染みのあるPOIは馴染みPOI情報DB14に登録されているので、ユーザにとって馴染みのあるPOIの検出を行うことなく処理を終了する。一方、処理対象の車両(車両に乗員するユーザ)に対して処理対象の馴染みエリアが、過去に実施されたユーザ情報検出処理プログラムにおいて処理されていないと判定された場合(S4:NO)には、S5へと移行する。
【0055】
S5においてCPU21は、サーバ装置3が有する地図情報を用いて処理対象の馴染みエリア内に含まれるPOIを抽出する。尚、全てのPOIを抽出しても良いが、本実施形態では移動案内において目印(ランドマーク)に用いられる特定のジャンルに該当するPOIのみを抽出するようにしても良い。尚、移動案内において目印に用いられるジャンルは、例えば「コンビニエンスストア」、「カフェ」、「レストラン」、「ガソリンスタンド」等とする。
【0056】
そして、以降のS6、S7の処理については、前記S5で抽出されたPOI単位でループして実行し、全てのPOIに対する処理が終了するまで繰り返し行う。
【0057】
先ず、S6においてCPU21は、処理対象のPOIの名称について支店名などの所在地の住所に依存する箇所を排除するために、先頭から一定数の文字列或いはスペースなどの区切りまでの文字列を抜き出す。例えば処理対象のPOIの名称が『○○ストア ××町店』である場合には、『○○ストア』が抜き出される。そして、抜き出した後の名称を、処理対象のPOIの属するジャンルに紐づける。
【0058】
その後、S7においてCPU21は、ジャンルと処理対象のPOIの名称を紐づけた状態で馴染みPOI情報として馴染みPOI情報DB14に格納する。
【0059】
そして、CPU21は上記S1~S7の処理を車両(車両に乗員するユーザ)毎、且つS4~S7の処理を馴染みのあるエリア毎、且つS6及びS7の処理を前記S5で抽出されたPOI毎に行うことによって、
図5に示すように馴染みPOI情報DB14には、ユーザ毎且つジャンル毎にユーザにとって馴染みのあるPOIの名称が紐づけられて記憶されることとなる。尚、一のジャンルに紐付けられるPOIの名称の数は一とは限らず複数のPOIの名称が紐付けられる場合もある。例えば、ユーザにとって馴染みのあるエリア内に複数種類のコンビニエンスストアの店舗が存在する場合には、各店舗の名称がコンビニエンスストアに紐付けられて格納される。また、サーバ装置3は、馴染みPOI情報DB14に記憶された馴染みPOI情報によってユーザ毎に該ユーザにとって馴染みのあるPOIについて把握可能となる。そして、後述のように車両において移動案内が行われる際に、特に車両の現在位置が乗員であるユーザにとって馴染みのないエリアに位置する場合には、ナビゲーション装置5に対して該当するユーザに関する馴染みPOI情報を配信する。その結果、後述のようにユーザにとって馴染みのあるPOIを用いた移動案内を行うことが可能となる。
【0060】
次に、本実施形態に係るユーザ情報検出システム1を構成するサーバ装置3及びナビゲーション装置5において実行するエリア判定処理プログラムについて
図8に基づき説明する。
図8は本実施形態に係るエリア判定処理プログラムのフローチャートである。ここで、エリア判定処理プログラムは車両4のACC電源(accessory power supply)がONされた後に一定距離(例えば1km)走行毎或いは所定時間(例えば10分)経過毎に実行され、前述したユーザ情報検出処理プログラム(
図7)の検出結果を用いて車両の現在位置が乗員であるユーザにとって馴染みのないエリアに位置するか否かを判定するプログラムである。尚、以下の
図8にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーション装置5が備えているRAM52やROM53又はサーバ装置3が備えているRAM22やROM23等に記憶されており、CPU21又はCPU51により実行される。また、以下のエリア判定処理プログラムは、ナビゲーション装置5の代わりにナビゲーション装置5以外の通信端末(例えば携帯電話機、スマートフォン、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ等)により実行しても良い。
【0061】
先ず、ナビゲーション装置5において実行されるエリア判定処理プログラムについて説明する。
S11においてCPU51は、車両が現在位置する3次メッシュを特定する情報(以下、メッシュ情報という)をサーバ装置3へと送信する。尚、車両が現在位置する3次メッシュは、例えば現在位置検出部31や車速センサ39等の各種センサの検出結果を用いて特定した車両の現在位置を地図情報にマッチングさせるマップマッチング処理を行うことによって特定する。
【0062】
前記S11で送信されるメッシュ情報には、情報の送信元のナビゲーション装置5を特定する端末IDと、車両が現在位置する3次メッシュを識別するメッシュコードとを含む。その後、後述のようにナビゲーション装置5からメッシュ情報を受信したサーバ装置3は、車両の現在位置が乗員であるユーザにとって馴染みのないエリアに位置するか否かを判定する処理が行われる(S21~S24)。
【0063】
続いて、S12においてCPU51は、メッシュ情報の送信に応じてサーバ装置3から配信された情報を受信する。前記S12で受信する情報は、特に車両の現在位置が乗員であるユーザにとって馴染みのないエリアに位置する場合に送信される情報であり、ユーザにとって馴染みのあるPOIに関する情報である。尚、前記S12で受信した情報はフラッシュメモリ54等に格納され、後述の移動案内処理プログラム(
図9参照)において移動案内を行う際に用いられる。
【0064】
次に、S12においてCPU51は、車両の現在位置が乗員であるユーザにとって馴染みのないエリアに位置することを示す“馴染み無しフラグ”をONする。尚、“馴染み無しフラグ”は、その後に車両の現在位置が乗員であるユーザにとって馴染みのあるエリアに位置すると判定されるまで継続してONされ、車両の現在位置が乗員であるユーザにとって馴染みのあるエリアに位置すると判定された場合にOFFされる。
【0065】
次に、サーバ装置3において実行されるエリア判定処理プログラムについて説明する。
先ず、S21においてCPU21は、全国を走行する各車両4から送信されたメッシュ情報を受信する。尚、メッシュ情報には、情報の送信元のナビゲーション装置5を特定する端末IDと、車両が現在位置する3次メッシュを識別するメッシュコードとを含む。
【0066】
次にS22においてCPU21は、位置履歴DB13に格納された位置履歴情報に基づいて、メッシュ情報の送信元の車両の現在位置が乗員であるユーザにとって馴染みのあるエリアに位置するか否かを判定する。前述するように位置履歴情報は、ユーザ毎且つエリア毎にユーザの位置情報が含まれる頻度(プローブ情報の数)が記憶されており(
図4参照)、CPU21は位置履歴情報に基づいてユーザ毎にユーザにとって馴染みのあるエリアや馴染みのないエリアについて特定可能となっている。例えばユーザの位置情報が含まれる頻度(プローブ情報の数)が10万以上の3次メッシュをユーザにとって馴染みのあるエリアとすれば、
図4に示す例ではメッシュコード“123abc”とメッシュコード“123efg”の2つの3次メッシュがユーザにとって馴染みのあるエリアに該当し、メッシュコード“123bcd”とメッシュコード“123def”とメッシュコード“123efg”の3つの3次メッシュがユーザにとって馴染みのないエリアに該当する。
【0067】
そして、メッシュ情報の送信元の車両の現在位置が乗員であるユーザにとって馴染みのあるエリアに位置すると判定された場合(S22:YES)には、ユーザは現在走行するエリアのPOIについて馴染みがあり、どのPOIを目印に用いてもユーザは目印として案内されたPOIを実景上で正確に特定できると推定し、処理を終了する。尚、特にメッシュ情報の送信元のナビゲーション装置5において“馴染み無しフラグ”がONになっている場合には、“馴染み無しフラグ”をOFFする指示について送信する。
【0068】
一方、メッシュ情報の送信元の車両の現在位置が乗員であるユーザにとって馴染みのないエリアに位置すると判定された場合(S22:NO)には、ユーザは現在走行するエリアのPOIについて馴染みが無く、案内交差点周辺のPOIを目印にして移動案内を行った場合にユーザは目印として案内されたPOIを実景上で正確に特定できない可能性があると推定する。そこで、CPU21は、メッシュ情報の送信元の車両の乗員であるユーザにとって馴染みのあるPOIに関する情報を馴染みPOI情報DB14から抽出する。前述のユーザ情報検出処理プログラム(
図7)によって馴染みPOI情報DB14には、ユーザ毎且つジャンル毎にユーザにとって馴染みのあるPOIの名称が予め紐づけられて格納されている。
【0069】
その後、S24においてCPU21は、前記S23で抽出されたメッシュ情報の送信元の車両の乗員であるユーザにとって馴染みのあるPOIに関する情報を、該当するナビゲーション装置5へと配信する。その後、ナビゲーション装置5では、配信された馴染みのあるPOIに関する情報を後述の移動案内処理プログラム(
図9参照)において移動案内を行う際に用いる。
【0070】
続いて、本実施形態に係るユーザ情報検出システム1を構成するナビゲーション装置5において実行する移動案内処理プログラムについて
図9に基づき説明する。
図9は本実施形態に係る移動案内処理プログラムのフローチャートである。ここで、移動案内処理プログラムは車両のACC電源(accessory power supply)がONされた後に実行され、案内経路に沿った車両の移動案内を行うプログラムである。尚、以下の
図9にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーション装置5が備えているRAM52やROM53等に記憶されており、CPU51により実行される。また、以下の移動案内処理プログラムは、ナビゲーション装置5の代わりにナビゲーション装置5以外のナビ機能を備えた通信端末(例えば携帯電話機、スマートフォン、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ等)により実行しても良い。
【0071】
先ず、S31においてCPU51は、車両(ユーザ)の現在位置を現在位置検出部31の検出結果や地図情報に基づいて特定する。尚、車両の現在位置を特定する際には、車両の現在位置を地図情報にマッチングさせるマップマッチング処理についても行う。
【0072】
その後、S32においてCPU51は、案内対象となる案内交差点での移動案内を出力するタイミングか否かを判定する。具体的には、車両の現在位置が案内交差点の700m手前、300m手前に位置するタイミングを、移動案内の出力タイミングとする。
【0073】
そして、案内交差点での移動案内を出力するタイミングであると判定された場合(S32:YES)には、S33へと移行する。それに対して、案内交差点での移動案内を出力するタイミングではないと判定された場合(S32:NO)には、当該移動案内処理プログラムを終了する。
【0074】
S33においてCPU51は、フラッシュメモリ54に格納された“馴染み無しフラグ”を読み出し、“馴染み無しフラグ”がONか否か、即ち車両の現在位置が乗員であるユーザにとって馴染みのないエリアに位置するか否かを判定する。尚、“馴染み無しフラグ”は前述のエリア判定処理プログラム(
図8)において車両の現在位置が乗員であるユーザにとって馴染みのないエリアに位置すると判定された場合にONされる(S12)。
【0075】
そして、“馴染み無しフラグ”がONである、即ち車両の現在位置が乗員であるユーザにとって馴染みのないエリアに位置すると判定された場合(S33:YES)には、S35へと移行する。それに対して、“馴染み無しフラグ”がOFFである、即ち車両の現在位置が乗員であるユーザにとって馴染みのあるエリアに位置すると判定された場合(S33:NO)には、S34へと移行する。
【0076】
S34においてCPU51は、ユーザは現在走行するエリアのPOIについて馴染みがあり、どのPOIを目印に用いてもユーザは目印として案内されたPOIを実景上で正確に特定できると推定する。従って、通常の態様により車両の進行方向前方に位置する案内交差点に対する移動案内を行う。具体的には、案内交差点の周辺に適切な目印がある場合には、目印を用いた音声案内を出力する。また、音声案内の出力に併せて液晶ディスプレイ35において交差点拡大図の表示等を行うようにしても良い。また、音声ではなく液晶ディスプレイ35に表示する文章によって案内交差点の案内を行うようにしても良い。
【0077】
ここで、“適切な目印”は例えば案内交差点の周辺所定距離以内にあって、且つ案内交差点における車両の進行方向から視認可能な位置に特定ジャンルのPOIがある場合に、該POIを案内交差点の案内を行うのに適切な目印とする。尚、移動案内において目印に用いられるジャンルは、例えば「コンビニエンスストア」、「カフェ」、「レストラン」、「ガソリンスタンド」等とする。尚、“適切な目印”に該当するPOIが複数ある場合には、例えば案内交差点における車両の進行方向とPOIの位置関係を考慮して、最も優先度の高いPOIを目印として選択する。そして、CPU51は選択された目印を用いて案内交差点を案内する際に出力される音声データを生成する。具体的には、目印を識別するフレーズを含む案内フレーズの音声データを生成する。例えば、コンビニエンスストアである『○○ストア』が案内目印として設定されている場合には「○○ストアのある交差点を左(右)方向です」の音声データを生成し、出力する。
【0078】
その結果、例えば
図10に示すように車両4が案内交差点61から700m手前又は300m手前に位置するタイミングにおいて、案内交差点61の周辺にあるコンビニエンスストアである『○○ストア』62が目印として選択されている場合には「○○ストアのある交差点を左(右)方向です」の音声が出力される。それによって、ユーザは目印である馴染みのあるPOIの位置を基準にして案内交差点61の位置を正確に特定することが可能となる。尚、前記S34において案内交差点の周辺に適切な目印が無い場合については、例えば案内交差点までの距離や交差点(或いは信号機)の数を用いた移動案内が行われる。
【0079】
一方、S35においてCPU51は、車両の進行方向前方にある案内交差点の移動案内の目印として用いる予定のPOIを特定する。ここで、本実施形態のナビゲーション装置5では、案内交差点の周辺に適切な目印がある場合には目印を用いた移動案内を行う。従って、案内交差点の移動案内として用いる予定のPOIとは、案内交差点の周辺にある適切な目印が相当する。“適切な目印”は前述したように案内交差点の周辺所定距離以内にあって、且つ案内交差点における車両の進行方向から視認可能な位置に特定ジャンルのPOIがある場合に、該POIを案内交差点の案内を行うのに適切な目印とする。尚、“適切な目印”に該当するPOIが複数ある場合には、例えば案内交差点における車両の進行方向とPOIの位置関係を考慮して、最も優先度の高いPOIを目印として選択する。但し、案内交差点の周辺に適切な目印が無い場合については目印を用いた移動案内が行われないので、S35以降の処理は省略し、S41へと移行する。
【0080】
次に、S36においてCPU51は、前述のエリア判定処理プログラム(
図8)においてサーバ装置3から受信した馴染みPOI情報を読み出し、前記S35で特定されたPOIが馴染みPOI情報に含まれているか否か判定される。ここで、馴染みPOI情報は、ユーザにとって馴染みのあるPOIが特定された情報である(
図5参照)。従って、前記S36では移動案内の目印として用いられる予定のPOIがユーザにとって馴染みのあるPOIであるか否かが判定されることとなる。
【0081】
そして、前記S35で特定されたPOIが馴染みPOI情報に含まれている、即ち車両の現在位置が乗員であるユーザにとって馴染みのないエリアに位置するが、移動案内の目印として用いられる予定のPOIはユーザにとって馴染みのあるPOIである場合(S36:YES)には、S34へと移行する。S34においてCPU51は、ユーザは現在走行するエリアについて馴染みはないが、目印に用いられるPOIについては馴染みがあるので、ユーザは目印として案内されたPOIを実景上で正確に特定できると推定する。従って、予定の目印を変更せずに用いて車両の進行方向前方に位置する案内交差点に対する移動案内を行う。具体的には、案内交差点の周辺にある目印を用いた音声案内を出力する(
図10参照)。また、音声案内の出力に併せて液晶ディスプレイ35において交差点拡大図の表示等を行うようにしても良い。また、音声ではなく液晶ディスプレイ35に表示する文章によって案内交差点の案内を行うようにしても良い。
【0082】
一方、前記S35で特定されたPOIが馴染みPOI情報に含まれていない、即ち車両の現在位置が乗員であるユーザにとって馴染みのないエリアに位置し、且つ移動案内の目印として用いられる予定のPOIはユーザにとって馴染みのないPOIである場合(S36:NO)には、S37へと移行する。
【0083】
S37においてCPU51は、車両の現在位置から案内交差点までの案内経路周辺(案内交差点周辺も含む)を対象として、ユーザにとって馴染みのあるPOIを検索する。尚、ユーザにとって馴染みのあるPOIは、前述のエリア判定処理プログラム(
図8)においてサーバ装置3から受信した馴染みPOI情報(
図5)に格納されている。また、馴染みPOI情報として、予め目印に用いられるジャンルに該当するPOIのみを登録対象とすれば、後述のS39においてより適切な目印の選択が可能となる。
【0084】
その後、S38においてCPU51は、前記S37の検索処理の結果、車両の現在位置から案内交差点までの案内経路周辺にユーザにとって馴染みのあるPOIが検索できたか否か判定する。
【0085】
そして、前記S37の検索処理の結果、車両の現在位置から案内交差点までの案内経路周辺にユーザにとって馴染みのあるPOIが検索できたと判定された場合(S38:YES)には、S39へと移行する。それに対して、前記S37の検索処理の結果、車両の現在位置から案内交差点までの案内経路周辺にユーザにとって馴染みのあるPOIが検索できなかったと判定された場合(S38:NO)には、S41へと移行する。
【0086】
S39においてCPU51は、前記S37で検索されたPOIの内、案内交差点に最も近いPOIを新たな目印として選択する。例えば
図11に示すように車両4の進行方向前方に案内交差点71が有る場合であって、案内交差点71の周辺にあって目印となる予定であった『×○ショップ』72がユーザにとって馴染みのないPOIであった場合には、車両4から案内交差点71までの案内経路沿いにあるユーザにとって馴染みのあるPOIが検索される。その結果、『××珈琲店』73と『×○レストラン』74の2つのPOIが検索された場合には、案内交差点71に対してより近い『××珈琲店』73が新たな目印として選択されることとなる。即ち、
図11に示す例ではユーザにとって馴染みのないPOI(
図11では『×○ショップ』72)よりも馴染みのあるPOI(
図11では『××珈琲店』73)が優先して目印として選択されることとなる。
【0087】
尚、前記S39では複数のPOIが検索された場合に案内交差点に近い方を優先して新たな目印に選択しているが、案内交差点までの距離以外の条件で選択しても良い。例えば、ユーザにとって見やすい位置(例えば左側通行の国では進行方向に対して左側)にあるPOIや著名なPOIを優先して新たな目印に選択しても良い。
【0088】
その後、S40においてCPU51は、前記S39で選択された目印を用いて車両の進行方向前方に位置する案内交差点に対する移動案内を行う。具体的には、前記S39で選択された目印を用いた音声案内を出力する。また、音声案内の出力に併せて液晶ディスプレイ35において交差点拡大図の表示等を行うようにしても良い。また、音声ではなく液晶ディスプレイ35に表示する文章によって案内交差点の案内を行うようにしても良い。
【0089】
ここで、特に前記S39で選択された新たな目印が案内交差点の周辺に無い場合については、目印から案内交差点までの間にある交差点(或いは信号機)の数を地図情報から特定し、特定された交差点(或いは信号機)の数を用いた移動案内を行うのが望ましい。具体的には、目印に加えて目印から案内交差点までの交差点(或いは信号機)の数を識別するフレーズを含む案内フレーズの音声データを生成する。例えば、『××珈琲店』が新たな目印として設定され、且つ『××珈琲店』と案内交差点までの間に交差点が一つある場合には「××珈琲店から2つ目の交差点を左(右)方向です」の音声データを生成し、出力する。
【0090】
その結果、例えば
図12に示すように車両4が案内交差点71から700m手前又は300m手前に位置するタイミングにおいて、案内交差点71の手前にあるカフェである『××珈琲店』73が新たな目印として選択されている場合には「××珈琲店から2つ目の交差点を左(右)方向です」の音声が出力される。それによって、ユーザは目印である馴染みのあるPOIの位置を基準にして案内交差点71の位置を正確に特定することが可能となる。仮に新たな目印が案内交差点71から離れていた場合であったとしても交差点や信号機の数を用いることによって案内交差点71の位置を正確に特定することが可能となる。
【0091】
一方、S41においてCPU51は、目印を用いずに例えば案内交差点までの距離や信号機(交差点)の数を用いた移動案内を行う。
【0092】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係るユーザ情報検出システム1、サーバ装置3及びサーバ装置3で実行されるコンピュータプログラムでは、ユーザの位置情報の履歴を取得し(S1)、取得したユーザの位置情報の履歴に基づいて、ユーザにとって馴染みのあるエリアを検出し(S2、S3)、更にユーザにとって馴染みのあるエリアと検出されたエリア内に存在するPOIを、ユーザにとって馴染みのあるPOIとして検出する(S5~S7)ので、ユーザの位置情報の履歴を取得することによって、ユーザに馴染みのあるPOIを正確に検出することが可能となる。そして、ユーザに馴染みのあるPOIを装置側で把握することによって、例えば目印を用いたユーザの移動案内を行う場合には、ユーザが理解できないPOIやユーザが知らないPOIが目印として採用されることを防止でき、ユーザに目印として案内されたPOIを実景上で正確に特定させることが可能となる。
【0093】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態ではプローブ情報を用いるプローブカーシステムを用いて全国を走行する複数の車両から収集した車両挙動に基づいてユーザにとって馴染みのあるエリアやPOIを検出しているが、プローブカーシステムは必須ではない。一の車両から取得した車両挙動に基づいて該車両に乗員するユーザにとって馴染みのあるエリアやPOIを検出することも可能である。例えば自車の過去の車両挙動に基づいてナビゲーション装置5が自車のユーザにとって馴染みのあるエリアやPOIを検出することも可能となる。
【0094】
また、本実施形態では過去に取得されたユーザの位置情報が含まれる頻度(即ち滞在時間)が閾値以上となるエリアをユーザにとって馴染みのあるエリアとして検出しているが、位置情報が含まれる頻度ではなく走行距離や走行リンク数が閾値以上となるエリアをユーザにとって馴染みのあるエリアとして検出しても良い。
【0095】
また、本実施形態では馴染みPOI情報DB14においてジャンル毎にユーザにとって馴染みのあるPOIを紐付けて格納しているが、必ずしもジャンル毎にPOIを紐付けて格納する必要はない。
【0096】
また、本実施形態では、車両が実施したユーザにとって馴染みのあるエリアやPOIの検出結果を用いた制御(ユーザへのサービス提供)として、案内交差点の目印案内を行っているが、他の制御を行っても良い。例えば、目印を用いて案内交差点以外の案内対象地点に対する案内を行っても良いし、施設案内を行っても良い。施設案内の例としては例えばユーザが指定した条件により周辺の施設検索が行われた場合に、ユーザに馴染みのあるPOIを優先して出力する制御が可能である。
【0097】
また、本実施形態では
図7に示すユーザ情報検出処理プログラムの実行主体は、サーバ装置3であったが、ナビゲーション装置5が実行する構成としても良い。その場合に、他車両の車両挙動を用いずに自車の車両挙動のみを用いてユーザにとって馴染みのあるエリアやPOIを検出するのであれば、ユーザ情報検出システム1においてサーバ装置3は必須の要素ではなく、ユーザ情報検出システム1をナビゲーション装置5のみで構成することも可能である。
【0098】
一方で、本実施形態では
図9に示す移動案内処理プログラムの実行主体は、ナビゲーション装置5であったが、サーバ装置3が一部又は全部を実行する構成としても良い。その場合に、サーバ装置3は例えば車両から定期的に取得する現在位置情報に基づいて案内交差点に接近した車両があると判定した場合に、S33以降の処理を実行する。そして、最終的に生成した案内フレーズを該当する車両に配信するようにする。
【0099】
また、案内交差点に対する案内を行う手段としてはナビゲーション装置5の代わりに、走行案内機能を有する他の装置を用いても良い。例えば、ナビゲーション装置5以外の車載器、携帯電話機、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等が可能である。
【0100】
また、本発明に係るユーザ情報検出システムを具体化した実施例について上記に説明したが、ユーザ情報検出システムは以下の構成を有することも可能であり、その場合には以下の効果を奏する。
【0101】
例えば、第1の構成は以下のとおりである。
位置情報の履歴を取得可能な複数のユーザを対象にしてユーザ毎に、ユーザの位置情報の履歴を取得する履歴取得手段(21)と、前記履歴取得手段により取得したユーザ毎の位置情報の履歴に基づいて、位置情報の履歴を取得したユーザ毎にユーザにとって馴染みのあるエリアを検出するエリア検出手段(21)と、位置情報の履歴を取得したユーザ毎に、前記エリア検出手段によってユーザにとって馴染みのあるエリアと検出されたエリア内に存在するPOIを抽出し、ユーザにとって馴染みのあるPOIとしてそのPOIが属するジャンルと紐づけて検出する地点検出手段(21)と、位置情報の履歴を取得したユーザ毎且つPOIを区分するジャンル毎に、そのジャンルにおいて前記地点検出手段により馴染みがあるとして検出されたPOIをPOIの名称から所在地に依存する箇所を除外した文字列により紐づけたデータを生成するデータ生成手段と、を有する。
上記構成を有するユーザ情報検出システムによれば、位置情報の履歴を取得可能な複数のユーザを対象にしてユーザ毎に、ユーザの位置情報の履歴を取得することによって、ユーザに馴染みのあるPOIを正確に検出することが可能となる。そして、ユーザ毎且つPOIを区分するジャンル毎に馴染みのあるPOIを紐づけたデータを生成し、ユーザに馴染みのあるPOIを装置側で把握することによって、例えば目印を用いたユーザの移動案内を行う場合には、ユーザが理解できないPOIやユーザが知らないPOIが目印として採用されることを防止でき、ユーザに目印として案内されたPOIを実景上で正確に特定させることが可能となる。
【0102】
また、第2の構成は以下のとおりである。
前記履歴取得手段(21)は、ユーザ毎に現在のユーザの位置情報を所定間隔で繰り返し取得することによって前記ユーザの位置情報の履歴を取得し、前記エリア検出手段(21)は、位置情報の履歴を取得したユーザ毎に、過去に取得されたユーザの位置情報が含まれる頻度が閾値以上となるエリアをユーザにとって馴染みのあるエリアとして検出する。
上記構成を有するユーザ情報検出システムによれば、特に自宅周辺やユーザが良く訪れる施設周辺などのユーザの日常生活において滞在時間の長いエリアについて、ユーザにとって馴染みのあるエリアとして検出することが可能となる。
【0103】
また、第3の構成は以下のとおりである。
前記エリア検出手段(21)は、ユーザにとって馴染みのあるエリアを、地図情報を区分するメッシュ単位で検出する。
上記構成を有するユーザ情報検出システムによれば、特に地図情報を区画するメッシ単位でユーザにとって馴染みのあるエリアを検出するので、ユーザにとって馴染みのあるエリアのデータ管理を装置側で容易化することが可能となる。
【0104】
また、上記構成を有するユーザ情報検出システムによれば、特にジャンル毎にユーザにとって馴染みのあるPOIを検出するので、POIを用いた案内や支援を行う場合においてジャンルを考慮したPOIの選択が可能となる。
【0105】
また、第4の構成は以下のとおりである。
前記データ生成手段で生成されたデータに基づいて、ユーザに対して情報の提供を行う情報提供手段(21、51)を有する。
上記構成を有するユーザ情報検出システムによれば、ユーザ毎にそのユーザにとって馴染みのあるPOIを用いた情報の提供を行うことが可能となる。
【0106】
また、第5の構成は以下のとおりである。
前記情報提供手段(21、51)は、設定された案内経路に従ってユーザが移動する為の目印に関する情報の提供を行い、前記目印として前記データ生成手段で生成されたデータにおいて情報の提供対象となるユーザに紐づけられた馴染みのあるPOIを優先して選択する。
上記構成を有するユーザ情報検出システムによれば、目印を用いたユーザの移動案内を行う場合において、ユーザが理解できないPOIやユーザが知らないPOIが目印として採用されることを防止でき、ユーザに目印として案内されたPOIを実景上で正確に特定させることが可能となる。
【0107】
また、第6の構成は以下のとおりである。
ユーザが現在位置するエリアが前記エリア検出手段(21)によって検出されたユーザにとって馴染みのあるエリアか否かを判定するエリア判定手段(21)を有し、前記情報提供手段(21、51)は、ユーザが現在位置するエリアが前記エリア検出手段によって検出されたユーザにとって馴染みのあるエリアでないと判定された場合に、前記目印として情報の提供対象となるユーザに紐づけられた馴染みのあるPOIを優先して選択する。
上記構成を有するユーザ情報検出システムによれば、特にユーザが現在位置するエリアがユーザにとって馴染みのあるエリアでない場合には、POIに対する馴染みも薄い可能性が高いが、そのような場合においてユーザが理解できないPOIやユーザが知らないPOIが目印として採用されることを防止でき、ユーザに目印として案内されたPOIを実景上で正確に特定させることが可能となる。
【0108】
また、第7の構成は以下のとおりである。
前記情報提供手段(21、51)は、案内対象となる案内対象地点の周辺に情報の提供対象となるユーザに紐づけられた馴染みのあるPOIが有るか否かを判定し、前記案内対象地点の周辺に情報の提供対象となるユーザに紐づけられた馴染みのあるPOIが無いと判定された場合に、前記案内対象地点の手前側の前記案内経路周辺において情報の提供対象となるユーザに紐づけられた馴染みのあるPOIを検索し、検索されたPOIを前記目印として選択する。
上記構成を有するユーザ情報検出システムによれば、目印を用いたユーザの移動案内を行う場合において、ユーザに馴染みのあるPOIが案内対象地点の周辺に存在しない場合においても、ユーザが理解できないPOIやユーザが知らないPOIが目印として採用されることを防止でき、ユーザに目印として案内されたPOIを実景上で正確に特定させることが可能となる。
【0109】
また、第8の構成は以下のとおりである。
前記目印は、前記案内経路に含まれる案内交差点におけるユーザの移動案内を行うのに用いる目印である。
上記構成を有するユーザ情報検出システムによれば、目印を用いた案内交差点でのユーザの移動案内を行う場合において、ユーザが理解できないPOIやユーザが知らないPOIが目印として採用されることを防止でき、ユーザに目印として案内されたPOIを実景上で正確に特定させ、更に目印となるPOIを基準にして案内交差点についても正確に特定させることが可能となる。
【符号の説明】
【0110】
1 ユーザ情報検出システム
2 プローブセンタ
3 サーバ装置
4 車両
5 ナビゲーション装置
11 サーバ制御ECU
12 プローブ情報DB
13 位置履歴DB
14 馴染みPOI情報DB
21 CPU
33 ナビゲーションECU
35 液晶ディスプレイ
51 CPU
61、71 案内交差点
62、73、74 POI