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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】回転式散水装置
(51)【国際特許分類】
   B05B 3/06 20060101AFI20240514BHJP
   C02F 3/04 20230101ALI20240514BHJP
   B01D 24/02 20060101ALI20240514BHJP
   B01D 24/38 20060101ALI20240514BHJP
   B01D 29/88 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
B05B3/06 Z
C02F3/04
B01D23/10 B
B01D23/20
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020043690
(22)【出願日】2020-03-13
(65)【公開番号】P2021142502
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2022-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】507214083
【氏名又は名称】メタウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】栗波 智樹
【審査官】市村 脩平
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-033666(JP,A)
【文献】実開昭52-043741(JP,U)
【文献】米国特許第05348654(US,A)
【文献】実開昭56-042392(JP,U)
【文献】特開2005-329495(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B1/00-17/08
C02F3/02-3/10
B01D21/00-23/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を散水する散水装置であって、
軸方向が上下方向に沿うように配設され、内部への水流入口を有する第1配管と、
前記第1配管を軸周りに回転可能に支持する回転支持部と、
前記第1配管に装着され、前記水流入口へ流入させる水を受ける水受け部と、
前記第1配管の前記水受け部よりも下方から、前記第1配管の内部に連通するように連結されて横方向に延び、前記第1配管と一体に回転する第2配管と、
前記第2配管の長さ方向に所定間隔で設けられ、そのうちの少なくとも1つが横向きに開口している水噴出部と、
前記水受け部に水を供給する水供給管とを備え、
前記水噴出部から噴出する水の勢いによって、前記第1配管及び前記第2配管が一体に回転するように構成されており、
前記回転支持部は、散水を受ける水槽の天板上に設けられ、前記第1配管は、前記回転支持部に支持されて前記天板を貫通して前記水槽内に伸びており、前記水受け部は、前記第1配管の前記天板より下方部分の外周を囲むように取付けられていることを特徴とする回転式散水装置。
【請求項2】
水を散水する散水装置であって、
軸方向が上下方向に沿うように配設され、内部への水流入口を有する第1配管と、
前記第1配管を軸周りに回転可能に支持する回転支持部と、
前記第1配管に装着され、前記水流入口へ流入させる水を受ける水受け部と、
前記第1配管の前記水受け部よりも下方から、前記第1配管の内部に連通するように連結されて横方向に延び、前記第1配管と一体に回転する第2配管と、
前記第2配管の長さ方向に所定間隔で設けられ、そのうちの少なくとも1つが横向きに開口している水噴出部と、
前記水受け部に水を供給する水供給管とを備え、
前記水噴出部から噴出する水の勢いによって、前記第1配管及び前記第2配管が一体に回転するように構成されており、
前記第1配管の上端部外周を囲って覆うカバー部材が着脱可能に装着されていることを特徴とする回転式散水装置。
【請求項3】
水を散水する散水装置であって、
軸方向が上下方向に沿うように配設され、内部への水流入口を有する第1配管と、
前記第1配管を軸周りに回転可能に支持する回転支持部と、
前記第1配管に装着され、前記水流入口へ流入させる水を受ける水受け部と、
前記第1配管の前記水受け部よりも下方から、前記第1配管の内部に連通するように連結されて横方向に延び、前記第1配管と一体に回転する第2配管と、
前記第2配管の長さ方向に所定間隔で設けられ、そのうちの少なくとも1つが横向きに開口している水噴出部と、
前記水受け部に水を供給する水供給管とを備え、
前記水噴出部から噴出する水の勢いによって、前記第1配管及び前記第2配管が一体に回転するように構成されており、
前記回転支持部は、軸方向に離れて配置された少なくとも一対のベアリングを有し、前記第1配管に設けられたフランジ部が、最上部に配置された前記ベアリング上に支持されていることを特徴とする回転式散水装置。
【請求項4】
前記水受け部は、前記第1配管の外周を囲む有底円筒状のケースからなる、請求項記載の回転式散水装置。
【請求項5】
前記水受け部の容量及び前記水流入口の位置は、前記水供給管からの水の供給量が変動しても、前記水流入口が水で浸漬されると共に、前記水受け部から水が溢れないように設定されている、請求項1~のいずれか1項に記載の回転式散水装置。
【請求項6】
前記水受け部の外周に一端を接続され、他端を前記第2配管の先端部に連結された吊り棒が設けられている、請求項又は記載の回転式散水装置。
【請求項7】
前記水供給管は、前記水槽の壁を気密状態を保って貫通し、前記水槽内にて前記水受け部の開口部上方に先端が配置されるように伸びている、請求項又は記載の回転式散水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、散水ろ床法における被処理水の散布等に好適に用いられる回転式散水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下水等の水処理方法の1つとして、例えば、水槽に収容されたろ材層に、上方から被処理水を散水して、被処理水を浄化する方法が知られている。
【0003】
このような下水処理システムとして、下記特許文献1には、所定のろ材が充填された第1のろ材充填層を有し、上向きの流れで前記第1のろ材充填層内に処理対象の下水を通過させて、前記下水を固形成分とろ過水とに分離し、所定のタイミングで、下向きの流れで前記第1のろ材充填層内に前記ろ過水を通過させて、前記第1のろ材充填層を逆洗浄する固液分離装置と、前記固液分離装置の後段に設置され、微生物を付着したろ材が充填された第2のろ材充填層を有し、前記第2のろ材充填層の上部に前記ろ過水を散布して、前記第2のろ材充填層内に前記ろ過水を流下させ、前記微生物によって前記ろ過水を生物処理して得た処理水を流出する散水ろ床と、を備えたことを特徴とする下水処理システムが記載されている。
【0004】
そして、同文献の図3には、被処理水をろ床に向けて散水するための回転式散水装置が記載されている。この回転式散水装置は、被処理水が供給される配管の端部に回転機構を設け、この回転機構からろ床の円周部に向けて放射状に複数の散水ノズルを設け、この散水ノズルが上記配管と連通しており、上記回転機構を介して上記散水ノズルが円周方向に回転しながら散水するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】WO第1配管2012/161339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の回転式散水装置は、被処理水が供給される配管に回転機構を設け、この回転機構からろ床の円周部に向けて放射状に複数の散水ノズルを設け、被処理水が配管から回転機構を介して散水ノズルに供給されるようになっているので、回転機構が被処理水と接触することとなり、被処理水中に含まれる浮遊物等が回転機構の摺動部に入り込んで不具合を起こす可能性があった。
【0007】
したがって、本発明の目的は、被処理水に含まれる浮遊物等によって回転動作に支障が生じることがない回転式散水装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、
水を散水する散水装置であって、
軸方向が上下方向に沿うように配設され、内部への水流入口を有する第1配管と、
前記第1配管を軸周りに回転可能に支持する回転支持部と、
前記第1配管に装着され、前記水流入口へ流入させる水を受ける水受け部と、
前記第1配管の前記水受け部よりも下方から、前記第1配管の内部に連通するように連結されて横方向に延び、前記第1配管と一体に回転する第2配管と、
前記第2配管の長さ方向に所定間隔で設けられ、そのうちの少なくとも1つが横向きに開口している水噴出部と、
前記水受け部に水を供給する水供給管とを備え、
前記水噴出部から噴出する水の勢いによって、前記第1配管及び前記第2配管が一体に回転するように構成されていることを特徴とする回転式散水装置を提供するものである。
【0009】
本発明の回転式散水装置によれば、水供給管から水が水受け部に供給され、水受け部に貯留された水が、水流入口を通して第1配管の内部に流入し、第2配管の内部を通って水噴出部から噴出し、その勢いで第1配管及び第2配管が一体に回転する。その結果、第2配管の回転経路に沿って、広い範囲に均一に散水することができる。このため、例えば散水ろ床法における被処理水の散布等に好適に用いられる回転式散水装置を提供することができる。また、回転支持部が水に接触しない構造となるので、被処理水に含まれる浮遊物等が回転支持部にかみ込んだりする不都合が生じない。
【0010】
本発明の回転式散水装置において、前記回転支持部は、散水を受ける水槽の天板上に設けられ、前記第1配管は、前記回転支持部に支持されて前記天板を貫通して前記水槽内に伸びており、前記水受け部は、前記第1配管の前記天板より下方部分の外周を囲むように取付けられていることが好ましい。
【0011】
上記態様によれば、回転支持部が天板上にあるので、メンテナンスがしやすくなる。また、第1配管の回転を天板上で確認できるので、運転状況の確認が容易となる。更に、例えば散水ろ床法における被処理水の散布等に適用した場合、水受け部を天板の下方に配置することにより、被処理水に起因する悪臭等が周囲に飛散することを抑制できる。
【0012】
また、本発明の回転式散水装置において、前記水受け部は、前記第1配管の外周を囲む有底円筒状のケースからなることが好ましい。
【0013】
上記態様によれば、有底円筒状のケースからなるので、第1配管と一体に回転しても、貯留された水が揺れ動きにくくなり、安定して保持することができる。また、第1配管の外周に均一な幅の開口を形成することができ、水供給管からの水の供給がしやすくなる。
【0014】
更に、本発明の回転式散水装置において、前記水受け部の容量及び前記水流入口の位置は、前記水供給管からの水の供給量が変動しても、前記水流入口が水で浸漬されると共に、前記水受け部から水が溢れないように設定されていることが好ましい。
【0015】
上記態様によれば、水供給管からの水の供給量が変動しても、常に水流入口を通して第1配管内に水を供給することが可能となる。
【0016】
更に、本発明の回転式散水装置においては、前記第1配管の上端部外周を囲って覆うカバー部材が着脱可能に装着されていることが好ましい。
【0017】
上記態様によれば、カバー部材によって第1配管の上端外周が囲われて覆われるので、第1配管内を流れる水の臭い等が外部に流出しにくくすることができる。また、カバー部材を取り外すことにより、第1配管の回転状況を目視によって確認することができる。
【0018】
更に、本発明の回転式散水装置においては、前記水受け部の外周に一端を接続され、他端を前記第2配管の先端部に連結された吊り棒が設けられていることが好ましい。
【0019】
上記態様によれば、吊り棒によって、第2配管が撓まないように支持することができる。
【0020】
更に、本発明の回転式散水装置において、前前記回転支持部は、軸方向に離れて配置された少なくとも一対のベアリングを有し、前記第1配管に設けられたフランジ部が、最上部に配置された前記ベアリング上に支持されていることが好ましい。
【0021】
上記態様によれば、ベアリングによって第1配管に設けられたフランジ部を支持することにより第1配管の軸方向移動を規制すると共に、第1配管を回転可能に支持することができる。
【0022】
更にまた、本発明の回転式散水装置において、前記水供給管は、前記水槽の壁を気密状態を保って貫通し、前記水槽内にて前記水受け部の開口部上方に先端が配置されるように伸びていることが好ましい。
【0023】
上記態様によれば、天板の下方空間をできるだけ密閉状態にすることができるので、例えば散水ろ床法における被処理水の散布等に適用した場合、被処理水に起因する悪臭等が周囲に飛散することを抑制できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、第1配管が回転支持部によって回転可能に支持され、水噴出部から噴出する水の勢いによって、第1配管及び第2配管が一体に回転するように構成されているので、回転支持部が被処理水に接触しない構造となり、被処理水に含まれる浮遊物等が回転支持部にかみ込んだりする不都合が生じないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の回転式散水装置が適用された散水ろ床型水処理装置の一実施形態を示す断面図である。
図2】同実施形態の回転式散水装置を示す拡大断面図である。
図3】同回転式散水装置の回転支持部を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して、本発明に係る回転式散水装置の一実施形態について説明する。
【0027】
図1には、本発明の回転式散水装置が適用された散水ろ床型水処理装置の一実施形態が示されている。
【0028】
この散水ろ床型水処理装置100は、下水等の排水処理工程における一工程に配置され、下水等の排水からなる被処理水を微生物が担持されたろ過層を通して微生物による有機物の分解処理を行い、排水を浄化するために用いられる。
【0029】
このため、散水ろ床型水処理装置100は、被処理水を処理するための水槽101を備える。水槽101は、側壁102と、底壁103と、天壁104とを有している。側壁102内の底壁103に近接した高さ位置には、メッシュ状隔壁105が設けられており、このメッシュ状隔壁105上に微生物が担持されたろ材を集積させたろ材充填層106が支持されている。メッシュ状隔壁105の下方は、処理水貯留部107をなしており、ろ材充填層106を通過して流下した処理水108が貯留されるようになっている。この処理水108は、配管116を通して自然流下にて排水処理工程における次の工程に運ばれる。
【0030】
側壁102外周上部の所定箇所には、被処理水貯留槽115が設けられ、被処理水112が一時貯留されるようになっている。一端が被処理水貯留槽115の内部に連通する被処理水供給配管111が、気密状態を保って側壁102を貫通し、側壁102内に導入されている。被処理水供給配管111は、その途中にバルブ113、流量計114を有している。そして、被処理水供給配管111の他端は、下方に向けてL字状に屈曲して、その先端開口が後述する水受け部210の開口部上方に臨むように配置されている。
【0031】
次に、この散水ろ床型水処理装置100に適用された、本発明の一実施形態である回転式散水装置200について説明する。
【0032】
図2に示すように、この回転式散水装置200は、天壁104を貫通して軸方向が上下方向に沿うように配設された第1配管201を備えている。第1配管201は、その上端部を天壁104上に設置された回転支持部202により回転可能に支持されている。
【0033】
図3に示すように、回転支持部202は、軸受けハウジング203と、軸受けハウジング203の上部内周に配置された上方ベアリング204と、軸受けハウジング203の下部内周に配置された下方ベアリング205とを有している。そして、第1配管201は、上方ベアリング204、下方ベアリング205に挿通され、第1配管201の上端部に形成されたフランジ209が上方ベアリング204上に係合して、回転支持部202に回転可能に支持されている。
【0034】
なお、回転支持部202の上面には、カバー部材206が着脱可能に取付けられている。カバー部材206は、上方ベアリング204等の回転支持部に異物が入ることを防止すると共に、被処理水の臭い等が外部に流出しにくくする役割をなす。また、カバー部材206を取り外すことにより、第1配管201の回転動作を確認できるようになっている。
【0035】
再び図1,2を参照すると、前述したように、第1配管201は、天壁104を貫通して水槽101内に挿入されている。第1配管201の下端部には、横方向、この実施形態では水平方向に伸びる第2配管207が連結されている。この実施形態では、第1配管201の下端部から2本の第2配管207がそれぞれ反対方向に伸びるように連結されているが、3本以上の第2配管207が等角度間隔で放射状に伸びるように連結されていてもよい。この場合、複数の第2配管207の重量バランスがとれるように配置されることが好ましい。また、第1配管201の下端部から2本の第2配管207がそれぞれ反対方向に伸びるように連結される場合には、1本の配管の中間部を第1配管201の下端部に連結させてもよい。なお、この実施形態では、第2配管207は、第1配管201の下端部から水平方向に伸びるように連結されているが、水平に限らず、斜め下方や斜め上方に伸びていてもよく、第1配管201に対して横方向に伸びていればよい。
【0036】
各第2配管207には、長さ方向に所定間隔で水噴出部208が設けられている。水噴出部208は、第2配管207に設けた孔であってもよく、第2配管207の周壁を貫通して装着された筒状のノズル等であってもよい。各第2配管207に形成された水噴出部208の少なくとも1つは、横向きに開口している、言い換えると、第1配管201及び第2配管207に対して回転力を付与できるような方向に水を噴射できるように、すなわち回転方向とは反対側に向けて開口している。この実施形態では、各第2配管207の先端部側に配置された3つの水噴出部208は、水平方向に開口しており、その内側に配置された水噴出部208は斜め下方に向けて開口しており、最も内側(第1配管201に近い側)に配置された水噴出部208は下方に向けて開口している。そして、主として、各第2配管207の先端部側に配置され、水平方向に開口した3つの水噴出部208によって、第1配管201及び第2配管207を一体に回転させる回転力が付与されるようになっている。なお、水平方向に開口した水噴出部208だけでなく、斜め下方や下方に向けて開口した水噴出部208を設けることにより、ろ材充填層106の上面に、より均一に散水を行うことができる。また、水平方向に開口した水噴出部208は、第2配管の先端側に設けることが好ましく、それによって回転力を付与しやすくすることができる。
【0037】
第1配管201の中間部には、第1配管201の外周を囲む有底円筒状のケースからなる水受け部210が装着されている。この実施例では、水受け部210は上方に向けて広がるテーパ状の周壁を有し、第1配管201の外周に均一な幅の環状の開口部が形成されている。前記被処理水供給配管111のL字状に屈曲した先端開口部は、上記水受け部210の環状の開口部に臨むように配置されており、水受け部210が回転しても、被処理水供給配管111から供給される被処理水112が水受け部210に流入し続けることができるようになっている。また、水受け部210が有底円筒状をなすことにより、第1配管201と共に水受け部210が回転しても、水受け部210内に貯留される被処理水112が揺動してこぼれないようになっている。
【0038】
水受け部210の内側に配置される第1配管201の周壁、好ましくは水受け部210の底部に近い周壁には、水流入口211が形成されている。被処理水供給配管111から供給される被処理水112は、水受け部210内に流入し、水流入口211から第1配管201内に流入する。そして、水受け部210の容量及び水流入口211の位置は、被処理水供給配管111からの被処理水112の供給量が所定範囲で変動しても、水流入口211が浸漬すると共に、水受け部210から溢れないように設定されている。なお、被処理水112の供給量は、第2ポンプ114を制御することにより、所定の範囲に維持することができる。これによって、被処理水供給配管111からの被処理水112の供給量が所定の範囲で変動しても、常に水流入口211を通して第1配管201内に被処理水112を供給することが可能となる。
【0039】
水受け部210の周壁外周と、各第2配管207の先端部との間には、吊り棒212が張り設けられている。すなわち、吊り棒212の一端は水受け部210の周壁に連結され、吊り棒212の他端は対応する第2配管207の先端部近傍に連結されて、第1配管201に対して第2配管207を吊り下げ支持した構造をなしている。この吊り棒212によって、第2配管207が第1配管201に対して撓まないように支持することができる。
【0040】
次に、この散水ろ床型水処理装置100及び回転式散水装置200の作用について説明する。
【0041】
下水などの排水は、最初沈殿池、反応槽、最終沈殿池などを経て処理されるが、その過程で散水ろ床型水処理装置100による微生物分解を行うことがある。このような排水からなる被処理水112は、被処理水貯留槽115に流入して一時貯留され、被処理水供給配管111を通して水受け部210に流入する。
【0042】
水受け部210に流入した被処理水112は、水流入口211を通して第1配管201内に流入し、第1配管201を流下して各第2配管207内に流入する。そして、被処理水112は、各第2配管207に設けられた水噴出部208から噴出して、ろ材充填層106の上面に散水される。このとき、各第2配管207に形成された水噴出部208の少なくとも1つは、横向きに開口しているので、水噴出部208からの被処理水112の噴出力によって第1配管201及び第2配管207に回転力が作用し、回転支持部202によって支持された第1配管201が第2配管207と共に回転する。その結果、回転する第2配管207の水噴出部208から噴出する被処理水112は、ろ材充填層106の上面に広く均一に散水され、ろ材充填層106の内部を広い領域に分散して通過することになる。それによって、ろ材充填層106に担持された微生物による有機物の分解が促進され、被処理水112を効率的に浄化することができる。
【0043】
こうして、ろ材充填層106を通過し、微生物分解を受けて浄化した処理水108は、配管116を通して随時自然流下にて次の工程に送られることになる。
【0044】
この回転式散水装置200によれば、第1配管201の回転支持部202が被処理水112の通路とは離れた位置に設けられ、回転支持部202が被処理水112に接触することがないので、被処理水112中に含まれる浮遊物等が上方ベアリング204,下方ベアリング205などの摺動部に入り込むことがなく、回転支持部202の動作に支障を生じさせる虞れがない。
【0045】
また、回転支持部202が天壁104上に設置されているので、回転支持部202のメンテナンスを水槽101内に入らずに行うことができ、メンテナンス作業が容易になる。また、カバー部材206を取り外すことによって、第1配管201の回転を確認することができるので、動作確認作業も容易になる。
【0046】
更に、水受け部210を水槽101内に配置することにより、被処理水112を水槽101内で供給することができるので、被処理水112に由来する悪臭等が周囲に飛散することを抑制できる。
【符号の説明】
【0047】
100 散水ろ床型水処理装置
101 水槽
102 側壁
103 底壁
104 天壁
105 メッシュ状隔壁
106 ろ材充填層
107 処理水貯留部
108 処理水
111 被処理水供給配管
112 被処理水
113 バルブ
114 流量計
115 被処理水貯留槽
116 配管
200 回転式散水装置
201 第1配管
202 回転支持部
203 軸受けハウジング
204 上方ベアリング
205 下方ベアリング
206 カバー部材
207 第2配管
208 水噴出部
209 フランジ
210 水受け部
211 水流入口
212 吊り棒
図1
図2
図3