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特許7488106基板実装型のコネクタ、及び、コネクタ付き基板
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  • 特許-基板実装型のコネクタ、及び、コネクタ付き基板 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】基板実装型のコネクタ、及び、コネクタ付き基板
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/55 20110101AFI20240514BHJP
【FI】
H01R12/55
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020086883
(22)【出願日】2020-05-18
(65)【公開番号】P2021182487
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2023-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】岸端 裕矢
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/017572(WO,A1)
【文献】特開2018-133253(JP,A)
【文献】特開平04-206172(JP,A)
【文献】特開2018-206531(JP,A)
【文献】特開2013-037928(JP,A)
【文献】特開2008-258009(JP,A)
【文献】特開2011-108402(JP,A)
【文献】特開2000-021474(JP,A)
【文献】特開2011-065945(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/00-12/91
H01R 13/40-13/533
H01R 24/00-24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、前記ハウジングに圧入される端子と、を備え、基板に実装されることになる、基板実装型のコネクタであって、
前記端子は、
前記ハウジングが有する圧入用の孔部に挿入及び圧入される圧入部と、
前記基板が有する導体パターンにハンダを用いて接続されることになる接続部と、
前記圧入部と前記接続部との間を繋ぐ中間部と、を有し、
前記中間部は、
前記圧入部に繋がる当該中間部の端部が前記孔部の開口面よりも前記ハウジングの内側又は前記開口面の面上に位置し、前記端子の軸線に直交する面における断面積において前記接続部よりも小さく、且つ、前記軸線に沿う長さにおいて前記接続部よりも長い、ように構成され、
前記中間部は、前記圧入部から前記ハウジングの外部へ向けて前記基板の表面に沿うことになる前後方向に延びる第1中間部と、前記第1中間部の延出端から前記基板に向けて前記基板に対する高さ方向に延びる第2中間部と、で構成され、
前記中間部よりも前記断面積が大きい前記接続部は、前記第2中間部の延出端から前記基板に向けて前記高さ方向に延びる第1接続部と、前記第1接続部の延出端から前記第1中間部と同じ向きに前記前後方向に延びる第2接続部と、で構成される、
基板実装型のコネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタにおいて、
前記接続部は、前記基板に対して表面実装される、
基板実装型のコネクタ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のコネクタにおいて、
記ハウジングは、
前記基板の表面に沿うことになる方向であり且つ前記前後方向に交差する幅方向において、複数の前記端子を並べるように保持し、
前記中間部の前記第2中間部は、
前記幅方向に突出するように湾曲する湾曲箇所を有する、
基板実装型のコネクタ。
【請求項4】
基板と、ハウジングと、前記ハウジングに圧入される端子と、を備える、コネクタ付き基板であって、
前記端子は、
前記ハウジングが有する圧入用の孔部に挿入及び圧入される圧入部と、
前記基板が有する導体パターンにハンダを用いて接続されることになる接続部と、
前記圧入部と前記接続部との間を繋ぐ中間部と、を有し、
前記中間部は、
前記圧入部に繋がる当該中間部の端部が前記孔部の開口面よりも前記ハウジングの内側又は前記開口面の面上に位置し、前記接続部に繋がる当該中間部の端部が前記基板に対する高さ方向において前記ハンダのフィレットの頂点の近傍に位置し、前記端子の軸線に直交する面における断面積において前記接続部よりも小さく、且つ、前記軸線に沿う長さにおいて前記接続部よりも長い、ように構成され、
前記中間部は、前記圧入部から前記ハウジングの外部へ向けて前記基板の表面に沿うことになる前後方向に延びる第1中間部と、前記第1中間部の延出端から前記基板に向けて前記基板に対する前記高さ方向に延びる第2中間部と、で構成され、
前記中間部よりも前記断面積が大きい前記接続部は、前記第2中間部の延出端から前記基板に向けて前記高さ方向に延びる第1接続部と、前記第1接続部の延出端から前記第1中間部と同じ向きに前記前後方向に延びる第2接続部と、で構成される、
コネクタ付き基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板実装型のコネクタ、及び、コネクタ付き基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、樹脂製のハウジングと金属製の端子とを備えた基板実装型のコネクタが知られている。この種のコネクタが温度変化が激しい環境で用いられる場合、各々の部材を構成する材料の熱膨張係数の違い等に起因し、各々の部材間(例えば、ハウジング、基板及び端子の間の接続箇所。特に、電気的接続用のハンダ)に温度の変動に応じた応力が生じ得る。従来のコネクタの一つでは、略L字状の端子の屈曲部の幅を端子の他の部分の幅より細くすることで、端子の全体としての剛性を低減し、温度変動に伴ってハンダに生じる応力を小さくするようになっている(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-019110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来のコネクタでは、端子の屈曲部のみが細くなっており、端子の他の部分の幅には特段の処置はなされていない。そのため、端子の全体としての剛性が十分に低減されない可能性がある。特に、コネクタが基板に対して表面実装される場合、温度変動に起因する応力が原因となり、ハンダに変形等が生じる可能性がある。一方、このような変形を抑制するべく端子の屈曲部を過度に細くすると、端子としての強度を十分に維持することが困難となる可能性がある。
【0005】
本発明の目的の一つは、基板と端子とを接続するハンダに生じる応力を効率よく低減することが可能なコネクタ及びコネクタ付き基板、の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係る基板実装型のコネクタ及びコネクタ付き基板は、下記[1]~[4]を特徴としている。
[1]
ハウジングと、前記ハウジングに圧入される端子と、を備え、基板に実装されることになる、基板実装型のコネクタであって、
前記端子は、
前記ハウジングが有する圧入用の孔部に挿入及び圧入される圧入部と、
前記基板が有する導体パターンにハンダを用いて接続されることになる接続部と、
前記圧入部と前記接続部との間を繋ぐ中間部と、を有し、
前記中間部は、
前記圧入部に繋がる当該中間部の端部が前記孔部の開口面よりも前記ハウジングの内側又は前記開口面の面上に位置し、前記端子の軸線に直交する面における断面積において前記接続部よりも小さく、且つ、前記軸線に沿う長さにおいて前記接続部よりも長い、ように構成され、
前記中間部は、前記圧入部から前記ハウジングの外部へ向けて前記基板の表面に沿うことになる前後方向に延びる第1中間部と、前記第1中間部の延出端から前記基板に向けて前記基板に対する高さ方向に延びる第2中間部と、で構成され、
前記中間部よりも前記断面積が大きい前記接続部は、前記第2中間部の延出端から前記基板に向けて前記高さ方向に延びる第1接続部と、前記第1接続部の延出端から前記第1中間部と同じ向きに前記前後方向に延びる第2接続部と、で構成される、
基板実装型のコネクタであること。
[2]
上記[1]に記載のコネクタにおいて、
前記接続部は、前記基板に対して表面実装される、
基板実装型のコネクタであること。
[3]
上記[1]又は上記[2]に記載のコネクタにおいて、
記ハウジングは、
前記基板の表面に沿うことになる方向であり且つ前記前後方向に交差する幅方向において、複数の前記端子を並べるように保持し、
前記中間部の前記第2中間部は、
前記幅方向に突出するように湾曲する湾曲箇所を有する、
基板実装型のコネクタであること。
[4]
基板と、ハウジングと、前記ハウジングに圧入される端子と、を備える、コネクタ付き基板であって、
前記端子は、
前記ハウジングが有する圧入用の孔部に挿入及び圧入される圧入部と、
前記基板が有する導体パターンにハンダを用いて接続されることになる接続部と、
前記圧入部と前記接続部との間を繋ぐ中間部と、を有し、
前記中間部は、
前記圧入部に繋がる当該中間部の端部が前記孔部の開口面よりも前記ハウジングの内側又は前記開口面の面上に位置し、前記接続部に繋がる当該中間部の端部が前記基板に対する高さ方向において前記ハンダのフィレットの頂点の近傍に位置し、前記端子の軸線に直交する面における断面積において前記接続部よりも小さく、且つ、前記軸線に沿う長さにおいて前記接続部よりも長い、ように構成され、
前記中間部は、前記圧入部から前記ハウジングの外部へ向けて前記基板の表面に沿うことになる前後方向に延びる第1中間部と、前記第1中間部の延出端から前記基板に向けて前記基板に対する前記高さ方向に延びる第2中間部と、で構成され、
前記中間部よりも前記断面積が大きい前記接続部は、前記第2中間部の延出端から前記基板に向けて前記高さ方向に延びる第1接続部と、前記第1接続部の延出端から前記第1中間部と同じ向きに前記前後方向に延びる第2接続部と、で構成される、
コネクタ付き基板であること。
【0007】
上記[1]の構成のコネクタによれば、端子は、ハウジングに圧入される圧入部と、基板に接続される接続部と、圧入部から接続部まで延びる中間部と、を有している。中間部の断面積が接続部の断面積よりも小さく、かつ、ハウジングが有する圧入用の孔部の開口面よりもハウジングの内側又はその開口面の面上から接続部に至るほどの長さを中間部が有することで、上述した従来のコネクタに比べ、中間部の剛性を著しく低減させることができる。その結果、端子全体としての剛性も、従来のコネクタに比べて著しく低減されることになる。これにより、温度変動に起因してハンダに生じる応力を、十分に小さくすることができる。したがって、本構成のコネクタは、基板と端子とを接続するハンダに生じる応力を効率よく低減することが可能である。
【0008】
上記[2]の構成のコネクタによれば、端子の接続部は、基板の表面に実装される。一般に、端子が基板の表面に実装される場合、端子が基板のスルーホールへ挿入されて基板に実装される場合と比べ、基板から端子が分離し易い。しかし、本構成のコネクタでは、温度変動に起因してハンダに生じる応力が低減されるため、基板に対してコネクタが表面実装される場合であっても、コネクタと基板との電気的接続の信頼性を維持することが可能である。
【0009】
上記[3]の構成のコネクタによれば、ハウジングの幅方向に突出するように湾曲する湾曲箇所を、端子の中間部が有する。これにより、ハウジングの高さ方向において端子に生じる応力を、湾曲箇所の変形で低減(緩和)できることに加え、特にハウジングが幅方向に長い形状を有する場合に懸念される幅方向において端子に生じる応力も、湾曲箇所の変形で効率よく低減(緩和)できることになる。
【0010】
上記[4]の構成のコネクタ付き基板によれば、端子は、ハウジングに圧入される圧入部と、基板に接続される接続部と、圧入部から接続部まで延びる中間部と、を有している。中間部の断面積が接続部の断面積よりも小さく、かつ、ハウジングが有する圧入用の孔部の開口面よりもハウジングの内側又はその開口面の面上から接続部に至るほどの長さを中間部が有することで、上述した従来のコネクタに比べ、中間部の剛性を著しく低減させることができる。その結果、端子全体としての剛性も、従来のコネクタに比べて著しく低減されることになる。更に、端子の中間部の変形がハンダのフィレットに影響を及ぼさないよう、中間部の接続部側の端部は、フィレットの頂点の近傍に位置する程度に留められている。これにより、温度変動に起因してハンダに生じる応力を、十分に小さくすることができる。したがって、本構成のコネクタ付き基板は、基板と端子とを接続するハンダに生じる応力を効率よく低減することが可能である。
【発明の効果】
【0011】
このように、本発明によれば、基板と端子とを接続するハンダに生じる応力を効率よく低減することが可能な基板実装型のコネクタ及びコネクタ付き基板、を提供できる。
【0012】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の実施形態に係るコネクタ及びコネクタ付き基板の一部を示す斜視図である。
図2図2は、図1のA-A断面図である。
図3図3は、図1に示す端子の斜視図である。
図4図4は、変形例に係るコネクタ及びコネクタ付き基板の図1に対応する図である。
図5図5は、図4に示す端子の斜視図である。
図6図6は、図4のB-B断面図である。
図7図7は、他の変形例に係る端子の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態>
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る基板実装型のコネクタ1及びコネクタ付き基板2について説明する。図1に示すように、コネクタ1は、ハウジング10と、一端がハウジング10に圧入されて他端が基板30とハンダを用いて実装可能な複数の端子20と、を備える基板実装型コネクタである。コネクタ1が基板30に実装されることで、コネクタ付き基板2が得られる。
【0015】
以下、説明の便宜上、図1等に示すように、「前後方向」、「上下方向」、「幅方向」、「前」、「後」、「上」及び「下」を定義する。「前後方向」、「上下方向」及び「幅方向」は、互いに直交している。前後方向は、コネクタ1と相手側コネクタ(図示省略)との嵌合方向と一致している。以下、コネクタ1を構成するハウジング10及び端子20について順に説明する。
【0016】
まず、ハウジング10について説明する。樹脂製のハウジング10は、図1及び図2に示すように、前後方向に長く延び且つ前端が開口する矩形箱状の形状を有している。相手側コネクタの相手側ハウジング(図示省略)がハウジング10の前端開口(図示省略)からハウジング10の内部空間に挿入されることで、コネクタ1と相手側コネクタとが嵌合されるように構成されている。
【0017】
ハウジング10の後端壁には、前後方向に貫通する複数(本例では、5つ)の端子圧入孔11が、幅方向に並ぶように設けられている。各端子圧入孔11には、対応する端子20の後述する圧入部22(図2及び図3参照)が圧入され固定されることになる。端子圧入孔11は、本例では、端子20の圧入部22の断面形状に対応して、断面が矩形状の形状を有している。
【0018】
次いで、端子20について説明する。端子20は、図3に示すように、2つの屈曲箇所を有するクランク状の形状を有し、接触部21と、圧入部22と、中間部23と、接続部24とで構成されている。端子20は、一枚の金属板に対してプレス加工及び曲げ加工を施すことで形成される。端子20は、端子20の延在方向に亘って矩形状の断面形状を有しており、端子20の板厚は、後述する先端部21aを除いて端子20の延在方向に亘って一定となっている。
【0019】
接触部21は、前後方向に延びる直線状の形状を有する。接触部21は、コネクタ1と相手側コネクタとの嵌合時にて相手側ハウジングに収容されている相手側端子(メス端子、図示省略)と接続するオス端子として機能する。接触部21は、板厚よりも幅方向長さが大きい幅広の矩形の断面形状を有しており、接触部21の幅方向長さは先端部21a(前端部)を除いて一定となっている。
【0020】
接触部21の先端部21aは、先細りの形状を有している。これにより、コネクタ1と相手側コネクタとの嵌合時にて、接触部(オス端子)21が相手側端子(メス端子)に挿入され易くなる。
【0021】
圧入部22は、接触部21の後端部から連続して後方に(前後方向に)直線状に延びる部位である。圧入部22は、ハウジング10の端子圧入孔11に圧入される部位として機能する。このため、圧入部22には、幅方向外側に突出する一対の圧入用突起22aが形成されている。一対の圧入用突起22aの先端同士の間の幅方向長さは、ハウジング10の端子圧入孔11の幅方向長さより若干大きい。
【0022】
中間部23は、圧入部22の後端部(即ち、圧入部22側の端部a)から連続して後方に(前後方向に)直線状に延びる第1中間部23aと、第1中間部23aの後端部から連続して接続部24側の端部bまで下方に(上下方向に)直線状に延びる第2中間部23bと、から構成される。第1中間部23aと第2中間部23bとの境界部に位置する屈曲箇所の屈曲角度は、90°を基準値とする設計上の公差の範囲内の値となっている。
【0023】
中間部23(23a+23b)は、板厚よりも幅方向長さが大きい幅広の矩形の断面形状を有している。中間部23(23a+23b)の幅方向長さは、接触部21、圧入部22及び接続部24の幅方向長さより小さく、且つ、接続部24側の端部bの近傍を除いて一定となっている。換言すれば、中間部23(23a+23b)の断面積は、接触部21、圧入部22及び接続部24の断面積より小さい。このため、中間部23(23a+23b)は、端子20全体としての剛性を低減させる部位として機能する。中間部23(23b)における接続部24側の端部bの近傍の幅方向長さは、接続部24に近づくにつれて徐々に大きくなっている。
【0024】
接続部24は、中間部23(23b)の接続部24側の端部bから連続して下方に(上下方向に)直線状に延びる第1接続部24aと、第1接続部24aの下端部から連続して後方に(前後方向に)直線状に延びる第2接続部24bと、から構成される。第1接続部24aと第2接続部24bとの境界部に位置する屈曲箇所の屈曲角度は、90°を基準値とする設計上の公差の範囲内の値となっている。
【0025】
接続部24の第2接続部24bは、ハンダ40(図1及び図2参照)を利用して基板30の表面に実装される部位として機能する。接続部24の第1接続部24aは、接続部24とハンダ40との接触面積を十分に大きく確保させる機能を果たす(この点については後述する)。
【0026】
接続部24(24a+24b)は、板厚よりも幅方向長さが大きい幅広の矩形の断面形状を有している。接続部24(24a+24b)の幅方向長さは、上述したように中間部23の幅方向長さより大きく、接触部21の幅方向長さと略等しく、且つ、延在方向の全域に亘って一定となっている。換言すれば、接続部24(24a+24b)の断面積は、中間部23の断面積より大きく、且つ、接触部21の断面積と略等しい。更に、中間部23の長さ(第1中間部23aの長さ+第2中間部23bの長さ)は、接続部24の長さ(第1接続部24aの長さ+第2接続部24bの長さ)より長い。以上、コネクタ1を構成するハウジング10及び端子20について説明した。
【0027】
ハウジング10に複数の端子20を組み付ける際には、各端子20の接触部21を、後側からハウジング10の対応する端子圧入孔11にそれぞれ挿入して、圧入部22の一対の圧入用突起22aを、端子圧入孔11の幅方向両側の内壁面の所定位置に押圧接触(圧入)させる(図2参照)。この状態にて、中間部23の圧入部22側の端部aは、図2に示すように、ハウジング10の端子圧入孔11の開口面の面上に位置している。これにより、複数の端子20がハウジング10に対して圧入され固定されて、図1に示すコネクタ1が得られる。図2には、説明の便宜上、中央部23の端部aの位置が破線で図示されている。しかし、実際には、この破線が断面図上に視認されるわけではない。中央部23の端部bの位置を図示するための破線についても同様である。
【0028】
ハウジング10に複数の端子20が圧入されたコネクタ1は、図1及び図2に示すように、基板30に実装される。コネクタ1を基板30に実装するためには、ハウジング10の底面(下面)の固定部(図示省略)を、基板30の固定部(図示省略)に締結等によって固定し、且つ、複数の端子20の第2接続部24bを、ハンダ40を利用して、基板30の表面の複数のランド部(図示省略)にそれぞれハンダ付けする(実装する)。このハンダ付けは、例えば、リフロー方式により行われる。これにより、コネクタ1が基板30に実装されることで、図1に示すコネクタ付き基板2が得られる。なお、図1では、ハンダ付け前の状態を示すため、複数の端子20のうち左端に位置する端子20の第2接続部24bだけには、ハンダ40が敢えて示されていない。
【0029】
接続部24の第2接続部24bが基板30の表面に実装される際、第1接続部24a及び第2接続部24bの側面全域に沿ってハンダ40が濡れ上がることで、図2に示すように、ハンダ40のフィレット41が形成される。図2に示す例では、第1接続部24aの側面に沿ってハンダ40が濡れ上がることで、ハンダ40のフィレット41の頂点が、中間部23の接続部24側の端部bの近傍にまで達している。即ち、中間部23よりも断面積(よって、表面積)が大きい接続部24における中間部23との境界部近傍までハンダ40のフィレット41が上方に延びている。このため、接続部24(24a+24b)とハンダ40との接触面積を十分に大きく確保できるので、基板30と端子20とがより強固に接続され得る。
【0030】
図1に示すコネクタ付き基板2では、端子20が基板30の表面に実装されているので、端子20が基板30のスルーホールへ挿入されて基板30に実装される場合と比べて、基板30から端子20(接続部24)が分離し易い。加えて、ハウジング10が前後方向に長いので、ハウジング10、端子20及び基板30間の熱膨張係数の違いから、特に前後方向における端子20のひずみ量が大きくなり易い。このため、基板30と端子20との接続箇所(即ち、ハンダ40)に大きな応力が加わり、基板30と端子20との接続に対する信頼性が低下する虞がある。
【0031】
この点を考慮し、コネクタ付き基板2では、中間部23の断面積が、接触部21、圧入部22及び接続部24の断面積よりも小さくされている。これにより、中間部23の剛性が低減されることで、端子20全体としての剛性が低減されて、基板30と端子20とを接続するハンダ40に生じる応力を低減することができる。更に、中間部23(即ち、剛性が低減される箇所)は、ハウジング10(端子圧入孔11)の内部から延びて、接続部24よりも長く形成されている。これにより、ハンダ40に生じる応力が十分に低減され得るので、基板30と端子20との接続に対する信頼性の低下が十分に抑制され得る。
【0032】
<作用・効果>
以上、本実施形態に係るコネクタ1及びコネクタ付き基板2によれば、端子20は、ハウジング10に圧入される圧入部22と、基板30に実装可能な接続部24と、圧入部22から接続部24まで延びる中間部23と、を有している。中間部23の断面積が、接続部24の断面積よりも小さくされている。これにより、中間部23の剛性が低減されることで、端子20全体としての剛性が低減されて、基板30と端子20とを接続するハンダ40に生じる応力を低減することができる。更に、中間部23(即ち、剛性が低減される箇所)は、ハウジング10の端子圧入孔11の開口面の面上から延びて、接続部24よりも長く形成される。これにより、端子の剛性が低減される箇所が極めて短い略L字状の端子の屈曲部のみである従来のコネクタと比べて、ハンダ40に生じる応力がより一層低減される。即ち、本実施形態に係るコネクタ1及びコネクタ付き基板2では、ハンダ40に生じる応力が効率よく低減されて、基板30と端子20との接続に対する信頼性の低下が十分に抑制され得る。
【0033】
更に、ハウジング10、端子20及び基板30間の熱膨張係数の違いから端子20にひずみ(変形)が生じた場合であっても、圧入用突起22aと中間部23との間に位置する圧入部22が端子圧入孔11の孔内面に面接触するように押し当てられることで、圧入用突起22aが端子圧入孔11の孔内面に過度に食い込むことを抑制できる。これにより、端子圧入孔11内における圧入部22の位置ズレ(即ち、圧入の緩み)を抑制できる。
【0034】
<他の形態>
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0035】
上記実施形態では、圧入部22に繋がる中間部23の端部aは、端子圧入孔11の開口面の面上に位置している。これに対し、中間部23の端部aは、端子圧入孔11の開口面よりもハウジング10の内側に位置してもよい。
【0036】
上記実施形態では、端子20の接続部24が、上下方向に延びる第1接続部24aの下端部から後方に(前後方向に)延びる第2接続部24bを有し、第2接続部24bが基板30の表面に実装されている。これに対し、図4図6に示すように、端子20の接続部24が、上下方向に延びる第1接続部24aの下端部から連続して下方に(上下方向に)延びる先細りの形状を有する先端部24cを有し、接続部24が基板30のスルーホール31(図4及び図6参照)へ挿入されて基板30に実装されてもよい。
【0037】
図4図6に示す例では、接続部24のうち第1接続部24aが、ハンダ40によって基板30のスルーホール31に接続されている。この例においても、図6に示すように、第1接続部24aの側面に沿ってハンダ40が濡れ上がることで、ハンダ40のフィレット41の頂点が、中間部23の接続部24側の端部bの近傍にまで達している。これにより、上記実施形態と同様、接続部24(24a)とハンダ40との接触面積を十分に大きく確保できるので、基板30と端子20とがより強固に接続され得る。
【0038】
更に、上記実施形態では、中間部23における第中間部23の全体が上下方向に直線状に延びている。これに対し、図7に示すように、第中間部23の上下方向の1箇所にて、幅方向一側に湾曲する湾曲箇所23cが形成されていてもよい。湾曲箇所23cは、第中間部23の上下方向の複数箇所にそれぞれ形成されていてもよい。
【0039】
これによれば、ハウジング10、端子20及び基板30間の熱膨張係数の違いから、特に幅方向における端子20のひずみ量が大きい場合において、端子20の湾曲箇所23cの湾曲度合が増加または減少する方向に湾曲箇所23cが撓むことで、端子20全体としての剛性が低減されて、ハンダ40に生じる応力が効率よく低減され得る。
【0040】
更に、上記実施形態では、端子20の中間部23及び接続部24の板厚が等しい一方で、中間部23の幅方向長さを接続部24の幅方向長さより小さくすることで、中間部23の断面積が接続部24の断面積より小さくされている。これに対し、端子20の中間部23及び接続部24の幅方向長さを等しくする一方で、中間部23の板厚を接続部24の板厚より小さくすることで、中間部23の断面積が接続部24の断面積より小さくされてもよい。
【0041】
ここで、上述した本発明に係る基板実装型のコネクタ1及びコネクタ付き基板2の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[4]に簡潔に纏めて列記する。
[1]
ハウジング(10)と、前記ハウジング(10)に圧入される端子(20)と、を備え、基板に実装されることになる、基板実装型のコネクタ(1)であって、
前記端子(20)は、
前記ハウジング(10)が有する圧入用の孔部に挿入及び圧入される圧入部(22)と、
前記基板が有する導体パターンにハンダを用いて接続されることになる接続部(24)と、
前記圧入部(22)と前記接続部(24)との間を繋ぐ中間部(23)と、を有し、
前記中間部(23)は、
前記圧入部(22)に繋がる当該中間部(23)の端部(a)が前記孔部の開口面よりも前記ハウジング(10)の内側又は前記開口面の面上に位置し、前記端子(20)の軸線に直交する面における断面積において前記接続部(24)よりも小さく、且つ、前記軸線に沿う長さにおいて前記接続部(24)よりも長い、ように構成される、
基板実装型のコネクタ(1)。
[2]
上記[1]に記載のコネクタ(1)において、
前記接続部(24)は、前記基板に対して表面実装される、
基板実装型のコネクタ(1)。
[3]
上記[1]又は上記[2]に記載のコネクタ(1)において、
前記ハウジング(10)は、
前記基板の表面に沿うことになる方向である幅方向において、複数の前記端子(20)を並べるように保持し、
前記中間部(23)は、
前記幅方向に突出するように湾曲する湾曲箇所(23c)を有する、
基板実装型のコネクタ(1)。
[4]
基板と、ハウジング(10)と、前記ハウジング(10)に圧入される端子(20)と、を備える、コネクタ(1)付き基板であって、
前記端子(20)は、
前記ハウジング(10)が有する圧入用の孔部に挿入及び圧入される圧入部(22)と、
前記基板が有する導体パターンにハンダを用いて接続されることになる接続部(24)と、
前記圧入部(22)と前記接続部(24)との間を繋ぐ中間部(23)と、を有し、
前記中間部(23)は、
前記圧入部(22)に繋がる当該中間部(23)の端部(a)が前記孔部の開口面よりも前記ハウジング(10)の内側又は前記開口面の面上に位置し、前記接続部(24)に繋がる当該中間部(23)の端部が前記基板に対する高さ方向において前記ハンダのフィレット(41)の頂点の近傍に位置し、前記端子(20)の軸線に直交する面における断面積において前記接続部(24)よりも小さく、且つ、前記軸線に沿う長さにおいて前記接続部(24)よりも長い、ように構成される、
コネクタ付き基板(2)。
【符号の説明】
【0042】
1 コネクタ
2 コネクタ付き基板
10 ハウジング
20 端子
22 圧入部
23 中間部
23c 湾曲箇所
24 接続部
30 基板
40 ハンダ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7