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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】マッサージ機
(51)【国際特許分類】
   A61H 7/00 20060101AFI20240514BHJP
【FI】
A61H7/00 322B
A61H7/00 323S
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020094423
(22)【出願日】2020-05-29
(65)【公開番号】P2021186242
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000136491
【氏名又は名称】株式会社フジ医療器
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野 正生
【審査官】小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-220725(JP,A)
【文献】特開2011-000419(JP,A)
【文献】特開2006-175016(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療者の施療部位の左右方向における側部を押圧可能な膨縮部と、
前記膨縮部に設けられるセンサと、
前記膨縮部に流体を供給して膨張させる流体供給部と、
前記センサの感知結果に基づいて、前記施療部位の前記側部の左右方向位置を検知する検知部と、
前記検知部の検知結果に基づいて、前記膨縮部の膨縮を調節する制御部と、
を備え、
前記膨縮部は、一つのエアバッグで構成され、前記膨縮部の左右方向の一方側は位置が固定された部位に取りつけられ、前記膨縮部の左右方向の他方側に前記センサが取り付けられ、
前記センサは、前記施療部位及び前記膨縮部のうちの一方から他方に向かう左右方向における前記膨縮部の曲げ変形量を感知し、
前記検知部は、前記曲げ変形量の経時変化から、前記センサが配置された部分が前記膨縮部の内側から外側に向かう突出方向へ曲がる状態から前記突出方向の反対向きに曲がる状態を検知することにより、前記側部の左右方向位置を検知し、
前記左右方向位置を検知するときに前記膨縮部を膨張させ、その後、前記膨縮部を、前記施療部位が前記膨縮部と最初に接触した状態に戻し、前記検知部の検知結果に基づいて、前記膨縮部の膨縮を調節して前記膨縮部による施療を行わせるマッサージ機。
【請求項2】
前記制御部は、さらに膨縮情報に基づいて、前記膨縮部の膨縮を調節し、
前記膨縮情報には、前記膨縮部の膨縮条件が、前記側部の左右方向位置と関連付けて設定される、請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記膨縮部は、一対であって、前記施療部位の左右両側に設けられ、
前記検知部は、一対の前記膨縮部にそれぞれ設けられた前記センサの感知結果に基づいて、前記施療部位の左右方向幅を検知する、請求項に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記左右方向幅の検知結果を時刻及び日付のうちの少なくとも一方と関連付けて履歴情報に記憶する記憶部をさらに備え、
前記検知部は、該検知部が検知した最新の前記左右方向幅と前記履歴情報とに基づいて、前記施療部位の経時変化の異常を検知する、請求項に記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記被施療者に報知を行う報知部をさらに備え、
前記制御部は、前記施療部位の前記経時変化の異常を前記報知部に報知させる、請求項に記載のマッサージ機。
【請求項6】
前記制御部は、前記施療部位の前記経時変化の異常の検知結果に基づいて、前記膨縮部1の膨縮を調節する、請求項又は請求項に記載のマッサージ機。
【請求項7】
前記被施療者の胴部を支持する背凭れ部をさらに備え、
前記膨縮部は、前記背凭れ部の上部に設けられる、請求項1~請求項のいずれか1項に記載のマッサージ機。
【請求項8】
前記被施療者の下腿部を収容するオットマンをさらに備え、
前記膨縮部は、前記オットマンに設けられる、請求項1~請求項のいずれか1項に記載のマッサージ機。
【請求項9】
前記被施療者の前腕部を収容する腕施療部をさらに備え、
前記膨縮部は、前記腕施療部に設けられる、請求項1~請求項のいずれか1項に記載のマッサージ機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、施療前に、被施療者の体型を検知するマッサージ機が知られている。たとえば、特許文献1では、距離センサ部により被施療者の身体までの直線距離を測定するとともに、角度センサ部により直線距離の測定角度を測定し、これらの測定結果に基づいて被施療者の肩幅を算出している。また、特許文献2では、マッサージユニットを身長方向に沿って上昇させる過程で施療子に掛かる負荷の変化から被施療者の肩の位置を検出するとともに、カメラで検出した被施療者の体型に基づいて被施療者の肩の位置を補正している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-197741号公報
【文献】特開2019-58550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、被施療者の体型によっては、エアバッグの施療強度を強めに設定しても、被施療者の施療部位に当たらなかったり施療強度が弱いと感じされたりすることがある。あるいは、エアバッグの施療強度を弱めに設定しても、施療強度が強いと感じられることもある。
【0005】
本発明は、上記の状況を鑑みて、被施療者毎に適切な施療を実施することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明の一の態様によるマッサージ機は、被施療者の施療部位の左右方向における側部を押圧可能な膨縮部と、前記膨縮部に設けられるセンサと、前記膨縮部に流体を供給して膨張させる流体供給部と、前記センサの感知結果に基づいて、前記施療部位の前記側部の左右方向位置を検知する検知部と、前記検知部の検知結果に基づいて、前記膨縮部の膨縮を調節する制御部と、を備える構成(第1の構成)とされる。
【0007】
上記第1の構成のマッサージ機は、前記センサは、前記施療部位及び前記膨縮部のうちの一方から他方に向かう左右方向における前記膨縮部の曲げ変形量を感知し、前記検知部は、前記曲げ変形量の経時変化に基づいて、前記側部の左右方向位置を検知する構成(第2の構成)であってもよい。
【0008】
或いは、上記第1の構成のマッサージ機は、前記センサは、前記膨縮部に収容された前記流体の内圧を感知し、前記検知部は、前記内圧の経時変化に基づいて、前記側部の左右方向位置を検知する構成(第3の構成)であってもよい。
【0009】
上記第1~第3のうちのいずれかの構成のマッサージ機は、前記制御部は、さらに膨縮情報に基づいて、前記膨縮部の膨縮を調節し、前記膨縮情報には、前記膨縮部の膨縮条件が、前記側部の左右方向位置と関連付けて設定される構成(第4の構成)であってもよい。
【0010】
上記第4の構成のマッサージ機は、前記膨縮部は、一対であって、前記施療部位の左右両側に設けられ、前記検知部は、一対の前記膨縮部にそれぞれ設けられた前記センサの感知結果に基づいて、前記施療部位の左右方向幅を検知する構成(第5の構成)であってもよい。
【0011】
上記第5の構成のマッサージ機は、前記左右方向幅の検知結果を時刻及び日付のうちの少なくとも一方と関連付けて履歴情報に記憶する記憶部をさらに備え、前記検知部は、該検知部が検知した最新の前記左右方向幅と前記履歴情報とに基づいて、前記施療部位の経時変化の異常を検知する構成(第6の構成)であってもよい。
【0012】
上記第6の構成のマッサージ機は、前記被施療者に報知を行う報知部をさらに備え、前記制御部は、前記施療部位の前記経時変化の異常を前記報知部に報知させる構成(第7の構成)であってもよい。
【0013】
上記第6又は第7の構成のマッサージ機は、前記制御部は、前記施療部位の前記経時変化の異常の検知結果に基づいて、前記膨縮部の膨縮を調節する構成(第8の構成)であってもよい。
【0014】
上記第1~第8のうちのいずれかの構成のマッサージ機は、前記被施療者の胴部を支持する背凭れ部をさらに備え、前記膨縮部は、前記背凭れ部の上部に設けられる構成(第9の構成)であってもよい。
【0015】
上記第1~第9のうちのいずれかの構成のマッサージ機は、前記被施療者の下腿部を収容するオットマンをさらに備え、前記膨縮部は、前記オットマンに設けられる構成(第10の構成)であってもよい。
【0016】
上記第1~第10のうちのいずれかの構成のマッサージ機は、前記被施療者の前腕部を収容する腕施療部をさらに備え、前記膨縮部は、前記腕施療部に設けられる構成(第11の構成)であってもよい。
【発明の効果】
【0017】
本明細書中に開示されているマッサージ機によれば、被施療者毎に適切な施療を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】椅子式マッサージ機の斜視図
図2】膨縮部及びセンサの構成例を示す平面図
図3】マッサージ機の動作を制御する制御系を示すブロック図
図4A】接触前の膨縮部の膨張例を示す平面図
図4B】接触後の膨縮部の膨張例を示す平面図
図5】膨縮部による施療例を説明するためのフローチャート
図6】膨縮部による下腿部の施療例を説明するためのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
図1は、椅子式マッサージ機100の斜視図である。以下では、椅子式マッサージ機100を「マッサージ機100」と称する。
【0021】
以下の説明において、後述する背凭れ部300が倒れていない状態のマッサージ機100に着座した被施療者Uから見て前側(正面側)を「前側」という。背凭れ部300が倒れていない状態のマッサージ機100に着座した被施療者Uから見て後側(背面側)を「後側」という。また、背凭れ部300が倒れていない状態のマッサージ機100に着座した被施療者Uから見て上側(頭側)を「上側」という。背凭れ部300が倒れていない状態のマッサージ機100に着座した被施療者Uから見て下側(脚側)を「下側」という。また、背凭れ部300が倒れていない状態のマッサージ機100に着座した被施療者Uから見て右側を「右側」という。背凭れ部300が倒れていない状態のマッサージ機100に着座した被施療者Uから見て左側を「左側」という。
【0022】
<1.マッサージ機>
マッサージ機100は、座部200と、背凭れ部300と、基台部400と、腕施療部500と、操作部600と、オットマン700と、を備える。背凭れ部300、腕施療部500、及びオットマン700は、座部200及び基台部400を有する本体部に取り付けられる。
【0023】
座部200は、被施療者Uの臀部及び太腿部を支持する。
【0024】
背凭れ部300は、座部200に対して立設され、被施療者Uの頭、胴部(たとえば肩、腰、及び背中)などを支持する。背凭れ部300は、左右方向に沿って延びるリクライニング回転軸(図示省略)を中心にして回転可能に、座部200の後端に取り付けられている。背凭れ部300は、リクライニング回転軸を中心とする回動により、後側に倒すことが可能である。
【0025】
背凭れ部300は、ガイドレール301,302と、施療ユニット303と、を内蔵している。ガイドレール301,302は、被施療者Uの肩及び腰に接する面304に沿って延びる。施療ユニット303は、被施療者Uの背中を施療する。施療ユニット303は、たとえば、施療子(図示省略)と、施療子に揉み動作を行わせる揉み駆動機構(図示省略)と、施療子にたたき動作を行わせるたたき駆動機構(図示省略)と、を有する。施療ユニット303は、ガイドレール301,302により案内され、背凭れ部300の長手方向に昇降可能である。
【0026】
基台部400は、座部200の左右両側に立設して設けられる。座部200の左側に設けられた基台部400には、制御ユニット5が内蔵される。制御ユニット5は、後に説明する。
【0027】
腕施療部500は、座部200の左右両側且つ座部200よりも上側に設けられ、被施療者Uの前腕部及び手を支持する。腕施療部500は、下側に向かって凹む凹部(符号省略)を有している。凹部は、被施療者Uの前腕部及び手を収納して支持する。凹部には、エアバッグ(図示省略)が設けられる。空気の供給/開放によるエアバッグの膨縮によって、被施療者Uの前腕部がマッサージされる。なお、この例示に限定されず、凹部には、エアバッグ以外の施療手段が設けられてもよい。或いは、凹部に施療手段が設けられなくてもよい。
【0028】
操作部600は、被施療者Uが施療パターンの選択や施療の強弱調節などを行うための入力装置である。操作部600は、被施療者Uなどの操作入力を受け付け、該操作入力に基づく信号を制御ユニット5に出力する。マッサージ機100は、コード線601と、スタンド602と、をさらに備える。操作部600は、コード線601を介して制御ユニット5に接続される。制御ユニット5は、操作部600から出力される信号に基づいてマッサージ機100の各部を制御する。スタンド602は、座部200の左側に設けられる腕施療部500に固定されている。操作部600は、スタンド602に対して装脱着可能である。
【0029】
オットマン700は、被施療者Uの下腿部及び足部を収容する。なお、被施療者Uの下肢のうち、踝よりも下の部分を足部と言い、踝以上の部位を脚部と言う。また、脚部のうち、膝関節から踝までを下腿部と言い、膝関節から上の部分を大腿部と言う。オットマン700は、オットマン回転軸(図示省略)を中心にして回転可能である。オットマン回転軸は、座部200の前端部の下側において、左右方向に沿って延びる。
【0030】
次に、マッサージ機100は、膨縮部1A,1B,1Cと、センサ2と、をさらに備える。
【0031】
膨縮部1A,1B,1Cは、被施療者Uの施療部位の左右方向における側部を押圧可能である。膨縮部1A,1B,1Cはそれぞれ、一対であって、施療部位の左右両側に設けられる。
【0032】
たとえば、膨縮部1Aは、背凭れ部300の上部において左右両側に設けられる。但し、この例示に限定されず、膨縮部1Aは、背凭れ部300の左側及び右側のうちの一方のみに設けられてもよい。膨縮部1Aの施療部位は、被施療者Uの肩及び上腕部である。膨縮部1Aの膨縮によって、被施療者Uの肩及び上腕部がマッサージされる。
【0033】
膨縮部1Bは、背凭れ部300の下部において左右両側に設けられる。但し、この例示に限定されず、膨縮部1Bは、背凭れ部300の左側及び右側のうちの一方のみに設けられてもよい。膨縮部1Bの施療部位は、被施療者Uの腰部である。膨縮部1Bの膨縮によって、被施療者Uの腰部がマッサージされる。
【0034】
膨縮部1Cは、オットマン700に設けられる。より具体的には、膨縮部1Cは、オットマン700に収容される被施療者Uの各々の下腿部に対して、左右両側に設けられる。但し、この例示に限定されず、膨縮部1Cは、各々の下腿部に対して、左側及び右側のうちの一方のみに設けられてもよい。また、膨縮部1Cは、被施療者Uの一対の下腿部のうちのどちらか一方に対して設けられてもよい。膨縮部1Cの施療部位は、被施療者Uの下腿部である。膨縮部1Cの膨縮によって、被施療者Uの下腿部(特にふくらはぎ)がマッサージされる。このほか、膨縮部は、被施療者Uの少なくとも一方の大腿部に対して、左側及び右側のうちの少なくとも一方に設けられてもよい。この際、大腿部用の膨縮部は、座部200、基台部400などに設けることができる。
【0035】
なお、膨縮部1A,1B,1Cの主要な構成はそれぞれ同じである。従って、以下では、膨縮部1A,1B,1Cを膨縮部1と総称することがある。また、膨縮部1A,1B,1Cの各々の構成を、膨縮部1の構成として説明する。
【0036】
図2は、膨縮部1及びセンサ2の構成例を示す平面図である。膨縮部1は、エアバッグ11と、カバー12と、を有する。エアバッグ11は、後述する流体供給部660から空気の供給を受けて、膨縮可能である。カバー12は、膨縮部1の外装であり、エアバッグ11を覆う。
【0037】
センサ2は、膨縮部1に設けられる。なお、センサ2は、本実施形態では、膨縮部1A,1B,1Cの全てに設けられる。但し、センサ2の配置は、本実施形態の例示に限定されない。センサ2は、膨縮部1A,1B,1Cのうちの少なくともいずれかに設けられていればよい。センサ2は、被施療者Uに対する膨縮部1の接触を感知するためのセンサである。センサ2は、左右方向位置を感知するために用いられ、さらに本実施形態では、施療部位の左右方向幅を感知するために用いられる。なお、左右方向位置は、左右方向における被施療者Uの施療部位の側部の位置である。また、左右方向幅は、被施療者Uの左腕の側部(左端部)から右腕の側部(右端部)までの幅である。センサ2のより詳細な構成は、後に説明する。
【0038】
膨縮部1は、流体供給部660から流体の供給を受け、流体の収容量に応じて膨縮可能である。なお、流体は、空気などの気体、若しくは、液体である。施療開始前において、膨縮部1は流体の収容量が少ない収縮状態にあり、膨縮部1の被施療者U側の端部は左右方向における所定の基準位置にある。施療が開始されると、膨縮部1は流体の供給により膨張し、膨縮部1の被施療者U側の端部は左右方向における被施療者U側に向かって移動する。膨縮部1の被施療者U側の端部が施療部位の側部に接触した後は、膨縮部1の膨張により、膨縮部1の被施療者U側の端部は施療部位の側部を押圧する。そして、膨縮部1の膨縮により、施療部位が施療される。
【0039】
<2.マッサージ機の制御系>
次に、マッサージ機100の制御系の構成例を説明する。図3は、マッサージ機100の動作を制御する制御系の構成を示すブロック図である。
【0040】
マッサージ機100は、記憶部3と、報知部4と、制御ユニット5と、駆動回路61~64と、アクチュエータ群65と、ポンプ群66と、電磁弁群67と、をさらに備える。
【0041】
記憶部3は、電力供給が停止しても記憶した情報を保持する非一過性の記憶媒体である。記憶部3は、たとえば、制御ユニット5がマッサージ機100の動作を制御するために必要なプログラム及びデータを記憶している。
【0042】
また、記憶部3は、位置情報を記憶している。位置情報には、膨縮部1の被施療者U側の端部の左右方向位置が、膨縮部1が収容している流体の各々の収容量と関連付けられている。つまり、位置情報には、流体の収容量毎の左右方向位置が格納されている。なお、前述のごとく、左右方向位置は、センサ2で感知される。また、流体供給部660から供給されて膨縮部1に収容される流体の単位時間あたりの収容量(つまり流体の供給速度ΔS)が一定であれば、上述の左右方向位置は、膨縮部1への流体の供給時間と関連付けられてもよい。
【0043】
さらに、記憶部3は、異なる被施療者U毎に膨縮情報、履歴情報を記憶している。膨縮情報には、膨縮部1の膨縮条件が、施療部位の側部の左右方向位置と関連付けて設定されており、本実施形態では施療部位の左右方向幅と関連付けて設定されている。後述のように左右方向幅は、互いの左右方向位置との距離から計算することで測定できる。膨縮条件は、たとえば、膨縮部1への流体の供給速度ΔS、膨縮部1に収容すべき流体の収容量S、膨縮部1の膨縮タイミング、膨張時間、及び収縮時間などである。なお、上述の収容量Sは、所定の左右方向幅を有する施療部位に膨縮部1を接触させるために必要な流体量であり、位置情報に基づいて流体供給部660から膨縮部1に供給される流体の膨張開始時点からの供給量である。
【0044】
履歴情報は、後述する検知部51での検知結果の経時変化を示す。たとえば、施療部位の側部の左右方向位置、施療部位の左右方向幅などが、時刻及び日付のうちの少なくとも一方と関連付けられている。
【0045】
報知部4は、被施療者Uに報知を行う。本実施形態では、報知部4は、操作部600に内蔵されている。報知部4は、表示部41と、スピーカー42と、を有する。
【0046】
制御ユニット5は、マッサージ機100の動作を制御する。たとえば、制御ユニット5は、駆動回路61を介してアクチュエータ群65を制御する。制御ユニット5は、駆動回路62を介して、ポンプ群66を制御する。制御ユニット5は、駆動回路63を介して、電磁弁群67を制御する。制御ユニット5は、駆動回路64を介して、施療ユニット303を制御する。制御ユニット5の構成は、後述する。
【0047】
アクチュエータ群65は、複数のアクチュエータを含む。たとえば、アクチュエータ群65は、背凭れ部300を回動させる背凭れ部用アクチュエータ、オットマン700を回動させるオットマン用アクチュエータなどを含む。
【0048】
ポンプ群66は、流体供給部660を含む。なお、流体供給部660は、膨縮部1に流体を供給して膨張させる。
【0049】
電磁弁群67は、複数の電磁弁を含む。複数の電磁弁のうちの一部は、流体供給部660と膨縮部1との間に設けられ、両者間の連通/遮断を切り替える。また、複数の電磁弁のうちの他の一部は、膨縮部1とマッサージ機100の外部との間に設けられ、両者間の連通/遮断を切り替える。たとえば、一部の電磁弁により流体供給部660と膨縮部1とが連通すると、流体供給部660から電磁弁を介して膨縮部1に流体が供給されることにより膨縮部1が膨張する。一方、他の一部の電磁弁の動作によりたとえばマッサージ機100の外部と膨縮部1とが連通すると、膨縮部1内の流体が電磁弁を介して外部に開放される。これにより、膨縮部1内の流体が開放され、膨縮部1が収縮する。また、各々の電磁弁の動作により、膨縮部1が流体供給部660とも外部とも連通しなくなると、膨縮部1内の流体量が保持される。
【0050】
<2.制御ユニットの構成>
次に、制御ユニット5の構成を説明する。制御ユニット5は、検知部51と、制御部52と、を有する。本実施形態では、制御ユニット5は、たとえばCPU,MPUなどの演算装置である。検知部51及び制御部52は、制御ユニット5の機能的な構成要素である。但し、本実施形態の例示に限定されず、検知部51及び制御部52のうちの少なくとも一方は、物理的な構成要素であってもよく、たとえば電気回路、電子素子、電子デバイス、装置などであってもよい。
【0051】
検知部51は、センサ2の感知結果に基づいて、施療部位の側部の左右方向位置を検知する。たとえば、検知部51は、膨縮部1が施療部位に接した時点における膨縮部1の変位量を施療部位の側部の左右方向位置として検知する。該変位量は、膨縮部1の被施療者U側の端部が施療開始前の基準位置から変位した左右方向における距離である。
【0052】
制御部52は、検知部51の検知結果に基づいて、膨縮部1の膨縮を調節する。こうすれば、実際に検知した施療部位の側部の左右方向位置に応じて、膨縮部1による施療強度を調節できる。たとえば、施療部位の側部の左右方向位置と施療開始前における膨縮部1の基準位置との間隔が狭い程、制御部52は、同じ施療強度設定に対する膨縮部1での流体の収容量をより少なくして、同じ施療強度設定に対する実際の施療強度をより弱くする。従って、大柄な被施療者Uが操作部600の操作入力により膨縮部1による施療強度を弱めに設定しても、膨縮部1による施療強度が強過ぎると感じられることを抑制できる。また、上述の間隔が広い程、制御部52は、同じ施療強度設定に対する膨縮部1での流体の収容量をより多くして、同じ施療強度設定に対する実際の施療強度をより強くする。従って、小柄な被施療者Uが操作部600の操作入力により膨縮部1による施療強度を強めに設定しても、膨縮部1による施療強度が弱過ぎると感じられることを抑制できる。よって、マッサージ機100は、被施療者U毎に適切な施療を実施することができる。
【0053】
また、制御部52は、さらに膨縮情報に基づいて、膨縮部1の膨縮を調節する。たとえば、膨縮情報にはさらに、膨縮部1による各々の施療強度に対する標準の膨縮条件が、標準間隔と関連付けられて設定されている。なお、該標準間隔は、施療部位の側部の左右方向位置と施療開始前における膨縮部1の基準位置との間の間隔の標準値である。上述の間隔が標準間隔よりも狭い場合、制御部52は、上記の間隔と標準間隔との差に応じて、流体供給部660の駆動時間をより短くし、膨縮部1に供給される流体の実際の収容量を標準の収容量よりも少なくする。また、上述の間隔が標準間隔よりも広い場合、制御部52は、上記の間隔と標準間隔との差に応じて、流体供給部660の駆動時間をより長くし、膨縮部1に供給される流体の実際の収容量を標準の収容量よりも多くする。こうすれば、検知部51の検知結果に応じて、施療部位を押圧する膨縮部1の圧力を調節できる。施療時の膨縮部1の圧力をより高くすることで、同じ施療強度設定に対する実際の施療強度をより強くすることができる。施療時の膨縮部1の圧力をより低くすることで、同じ施療強度設定に対する実際の施療強度をより弱くすることができる。
【0054】
また、検知部51は、左右一対の膨縮部1にそれぞれ設けられたセンサ2の感知結果に基づいて、施療部位の左右方向幅を検知する。こうすれば、実際に検知した施療部位の左右方向幅に応じて、膨縮部1による施療部位の施療強度を調節できる。たとえば、施療部位の左右方向幅が広い程、制御部52は、同じ施療強度設定に対する実際の施療強度をより弱くする。また、施療部位の左右方向幅が狭い程、制御部52は、同じ施療強度設定に対する実際の施療強度をより強くする。従って、被施療者Uの体型に応じた適切な施療を実施することができる。
【0055】
さらに、検知部51は、施療部位の左右方向幅を検知することにより、施療部位のむくみなどの経時変化の異常を検知できる。この際、検知部51は、該検知部51が検知した最新の左右方向幅と履歴情報とに基づいて、施療部位の経時変化の異常を検知する。施療部位がむくむと、施療部位の左右方向幅は広くなる。検知部51は、該検知部51の最新の検知結果と履歴情報に基づいて左右方向幅の経時変化を監視する。検知部51は、経時変化の監視結果に基づいて、施療部位の経時変化の異常を検知する。たとえば、検知部51は、左右方向幅が普段よりも大幅に広くなっている場合に、施療部位がむくんでいることを検知する。こうすれば、マッサージ機100を利用して、被施療者Uの健康管理を行うことができる。
【0056】
検知部51が施療部位の経時変化の異常を検知すると、制御部52は、施療部位の経時変化の異常を報知部4に報知させる。こうすれば、被施療者Uに、報知によって施療部位にむくみなどの経時変化の異常が起きていることを認識させることができる。さらに、経時変化の異常を解消するための施療を被施療者Uに提案することもできる。
【0057】
また、制御部52は、施療部位の経時変化の異常の検知結果に基づいて、膨縮部1の膨縮を調節する。こうすれば、施療部位にむくみなどの経時変化の異常が起きている場合に、膨縮部1による施療強度を調節したり、経時変化の異常の解消に適した施療を実施したりすることができる。
【0058】
なお、マッサージ機100を利用する被施療者Uが複数の場合には、マッサージ機100は、それぞれの被施療者Uを認証することができる。そのため、制御ユニット5は、各々の被施療者Uを認証する認証機能を有する。或いは、マッサージ機100が、各々の被施療者Uを認証する認証装置を有してもよい。
【0059】
<3.センサ>
次に、センサ2の構成を説明する。本実施形態では、センサ2は、可撓性を有するフィルム状のセンサであり、施療部位及び膨縮部1のうちの一方から他方に向かう左右方向における膨縮部1の曲げ変形量を感知する。本実施形態では、センサ2は、エアバッグ11の外表面のうちの施療部位に対向する領域11aに貼り付けられる(図2参照)。なお、この例示に限定されず、センサ2は、エアバッグ11の内表面に貼り付けられてもよいし、カバー12の内面又は外面に貼り付けられてもよい。
【0060】
膨縮部1が膨張すると、センサ2は、エアバッグ11の領域11aとともに曲がる。なお、センサ2自身の曲げ変形量は、領域11aの曲げ変形量と同じである。この際、センサ2には、センサ2自身の曲げ変形量に応じた電圧が発生する。センサ2は、該電圧を電圧信号として制御ユニット5に出力する。つまり、この電圧信号は、膨縮部1の曲げ変形量の感知結果を示す。検知部51は、曲げ変形量の経時変化に基づいて、施療部位の側部の左右方向位置を検知する。こうすれば、膨縮部1の膨縮に応じた変形を感知することにより、施療部位の側部の左右方向位置を検知できる。このようなセンサ2としては、フィルム状の有機圧電センサ、多層ポリマーセンサなどを用いることができる。
【0061】
図4Aは、接触前の膨縮部1の膨張例を示す平面図である。たとえば、膨縮部1が膨張すると、領域11aは、図4Aに示すように、膨縮部1の内側から外側に向かう突出方向に突出して曲がりながら、被施療者Uの施療部位に近づく。膨縮部1の膨張に応じて、領域11aの突出方向向きの曲げ変形量は大きくなり、センサ2で発生する電圧は突出方向の曲げ変形量の増加に応じて上昇する。電圧信号の上昇は、膨縮部1が施療部位に接触するまで続く。
【0062】
図4Bは、接触後の膨縮部1の膨張例を示す平面図である。膨縮部1が被施療者Uの施療部位に接した後、エアバッグ11は、図4Bに示すように、施療部位の表面を覆うように膨張する。そのため、膨縮部1Aの膨張に応じて、領域11aの突出方向向きの曲げ変形量は小さくなる。その後、領域11aは、突出方向とは反対向きに曲がり始め、膨縮部1Aの膨張に応じて、膨縮部1の外側から内側に向かう凹み方向に凹んで曲がる。つまり、領域11aの凹み方向の曲げ変形量が大きくなる。従って、センサ2の電圧信号は、突出方向の曲げ変形量の減少と、突出方向とは反対向きの凹み方向の曲げ変形量の増加とに応じて下降する。
【0063】
施療部位と膨縮部1との接触は、上述のような電圧信号の経時変化から検知できる。たとえば、電圧信号が上昇から下降に変化する変曲点から、左右方向における施療部位の側部の位置が検知できる。
【0064】
なお、センサ2は、本実施形態の例示に限定されない。たとえば、センサ2は、圧力センサであってもよく、膨縮部1に収容される流体の内圧を感知してもよい。この場合、検知部51は、内圧の経時変化に基づいて、被施療者Uの施療部位の側部から膨縮部1に作用する圧力を検知する。この検知結果に基づいて、検知部51は、施療部位の側部の左右方向位置を検知できる。たとえば、圧力センサは、エアバッグ11の内圧を感知して、その感知結果を示す感知信号を制御ユニット5に出力する。施療部位と膨縮部1との接触は、内圧の変化から検知できる。たとえば、膨縮部1が施療部位に接触すると、エアバッグ11の内圧は大きく上昇する。この上昇が発生した時点から、左右方向における施療部位の側部の位置が検知できる。圧力センサは、たとえば、エアバッグ11の内部に設けられてもよいし、膨縮部1と繋がる流体の流路に設けられてもよい。
【0065】
或いは、センサ2は、被施療者Uの施療部位の側部の近接を感知する近接センサであってもよい。たとえば、センサ2には、施療部位との間に生じる静電容量の変化を感知する静電容量式の近接センサを採用できる。
【0066】
<4.膨縮部による施療例>
次に、図5を参照して、膨縮部1による施療例を説明する。図5は、膨縮部1による施療例を説明するためのフローチャートである。なお、図5に示す処理の開始時において、フィルム状のセンサ2の左右方向における曲げの初期状態は、予め定められた状態であり、たとえばセンサ2が左右方向において曲がっていない状態である。ただし、この例示に限定されず、初期状態は、予め定められた曲げ変形量で突出方向又は凹み方向に曲がっていてもよい。
【0067】
まず、被施療者Uの体型検知が開始される。膨縮部1が膨張すると(ステップS101)、センサ2は、突出方向に曲がり、曲げ変形量に応じた電圧信号を出力する(ステップ102)。そして、膨縮部1の膨張開始時から所定時間が経過したか否かが判定される(ステップS103)。膨縮部1の膨張開始時から所定時間が経過していなければ(ステップS103でNO)、図5の処理はステップS101に戻る。
【0068】
膨縮部1の膨張開始時から所定時間が経過すると(ステップS103でYES)、検知部51は、膨張開始時からの経過時間に対する電圧信号の電圧値の経時変化に変曲点があるか否かを検知する(ステップS104)。変曲点がなければ(ステップS104でNO)、たとえば、被施療者Uがいないなどの理由により、膨縮部1が施療部位と接触しない。この場合、制御部52は膨縮部1を収縮させる。これにより、センサ2の曲げ状態は初期状態に戻されて、被施療者Uの体型検知が終了し、図5の処理が終了する。
【0069】
一方、変曲点があれば(ステップS104でYES)、検知部51は、施療部位に対する膨縮部1の左右方向における接触位置を検知する(ステップS105)。つまり、検知部51は、センサ2の感知結果に基づいて、被施療者Uの施療部位の側部の左右方向位置を検知する。たとえば、膨張開始時点から電圧信号の変曲点に対応する変曲時点までの間に膨縮部1に収容された流体の収容量Sを算出する。流体の供給速度ΔSが一定である場合、検知部51は、膨縮部1の膨張開始時点から該変曲点に対応する変曲時点までの膨張時間Tを用いて、膨張開始時点から変曲時点までの間に膨縮部1に供給された流体の収容量(ΔS×T)を算出し、上述の収容量Sとする。また、位置情報には、膨縮部1の被施療者U側の端部が基準位置から左右方向に移動した変位量が、対応する流体の収容量Sと関連付けされて記憶されている。なお、変位量は、膨張時間Tに対して関連付けされていてもよい。検知部51は、上述の収容量S(又は膨張時間T)に対応する上記の変位量を、施療部位に対する膨縮部1の左右方向における接触位置として検知する。
【0070】
また、本実施形態では、接触位置の検知は、左右一対の膨縮部1に対してそれぞれ実施される。検知部51はさらに、一対の膨縮部1にそれぞれ設けられたセンサ2の感知結果に基づいて、施療部位の左右方向幅を検知する(ステップS106)。たとえば、位置情報には、左右両側の膨縮部1の収容量Sに対応する施療部位の左右方向幅が記憶されている。なお、左右方向幅は、左右両側の膨縮部1の各々の膨張時間Tに対して記憶されていてもよい。検知部51は、位置情報を参照して、収容量S(又は膨張時間T)に対応する施療部位の左右方向幅を検知する。これにより、検知部51は、左右一対の膨縮部1Aに対して被施療者Uの肩幅を検知できる。また、検知部51は、左右一対の膨縮部1Bに対して被施療者Uの腰部の左右方向幅を検知でき、左右一対の膨縮部1Cに対して被施療者Uの少なくとも一方の下腿部の左右方向幅を検知できる。これにより、被施療者Uの体型検知が終了する。
【0071】
次に、制御部52は、膨縮部1による施療を開始する(ステップS107)。たとえば、制御部52は、膨縮部1が収容する流体の収容量Sを調節することにより、膨縮部1による施療部位側の端部を施療部位の側部と同じ左右方向位置に戻す。つまり、膨縮部1は、施療部位が膨縮部1と最初に接触した状態に戻される。その後、制御部52は、膨縮部1による施療部位の施療を開始する。なお、施療は、たとえば、報知部4での報知動作から所定時間後に開始されてもよいし、操作部600における被施療者Uの操作入力に応じて開始されてもよい。
【0072】
制御部52は、検知部51の検知結果に基づいて膨縮部1の膨縮を調節する(ステップS108)。つまり、制御部52は、膨縮部1による施療強度を調節する。たとえば、上述の接触位置と施療開始前におけるセンサ2の基準位置との間が狭い程、或いは、上述の左右方向幅が大きい程、制御部52は、同じ施療強度設定に対する実際の施療強度をより弱くする。また、上述の接触位置と施療開始前におけるセンサ2の基準位置との間が広い程、或いは、上述の左右方向幅が小さい程、制御部52は、同じ施療強度設定に対する実際の施療強度をより強くする。
【0073】
膨縮部1による施療が終わると、図5の処理は終了する。
【0074】
上述した図5の処理は、本実施形態では、膨縮部1A,1B,1Cのそれぞれで実施できる。つまり、膨縮部1Aでは、被施療者Uの肩及び上腕部の側部の左右方向位置、及び、肩幅を適切に検知できる。膨縮部1Bでは、被施療者Uの腰部の側部の左右方向位置、及び、腰幅を適切に検知できる。膨縮部1Cでは、被施療者Uの下腿部の側部の左右方向位置、及び、下腿部の左右方向幅を適切に検知できる。施療部位の側部の左右方向位置、及び施療部位の左右方向幅を適切に検知できるので、該検知結果に基づいて被施療者Uに適した施療を実施できる。なお、図5の処理は、腕施療部500のエアバッグ(膨縮部)でも実施可能である。これにより、被施療者Uの前腕部に対して本発明を実施して、被施療者Uの前腕部の側部の左右方向位置、及び、左右方向幅を適切に検知できる。
【0075】
たとえば、体調が悪かったり疲れていたりすると、被施療者Uの身体にむくみが生じることがある。そのため、コンディションが良い場合と比べて、施療部位の左右方向幅は広くなり易い。マッサージ機100は、施療部位のむくみを検知して、むくみの解消に適した施療を実施できる。
【0076】
特に、下腿部のうちのふくらはぎの左右方向幅は、被施療者Uのコンディションに応じてその都度変化しやすい。マッサージ機100は、ふくらはぎを含む下腿部が普段よりもむくんでいることを検知すると、下腿部のむくみの発生、及び、該むくみを解消する動作のオススメを被施療者Uに報知して、自動又は手動でむくみを解消する動作することができる。
【0077】
<5.膨縮部による施療の変形例>
図6を参照して、膨縮部1による施療の変形例を説明する。図6は、膨縮部1Cによる下腿部の施療例を説明するためのフローチャートである。なお、図6に示す処理の開始時において、フィルム状のセンサ2の左右方向における曲げの初期状態は、予め定められた状態であり、たとえばセンサ2が左右方向において曲がっていない状態である。ただし、この例示に限定されず、初期状態は、予め定められた曲げ変形量で突出方向又は凹み方向に曲がっていてもよい。
【0078】
まず、被施療者Uの体型検知が開始される。検知部51は、膨縮部1が下腿部と接触する際の膨縮部1の変位量を下腿部の側部の左右方向位置として検知し、さらに、下腿部の左右方向幅を検知する(ステップS301)。なお、これらの処理は、上述の図5のステップS101~S106の処理と同じである。従って、その説明は省略する。また、これらの処理は、一対の下腿部のそれぞれに対して実施されてもよいし、一方の下腿部のみに対して実施されてもよい。前者の場合、各々の下腿部で別々にむくみの状態を検知できる。従って、各々の下腿部でむくみの状態が異なっていても、たとえば、個別に適した施療を実施できる。後者の場合、より簡素な構成で、下腿部のむくみを検知できる。
【0079】
記憶部3は、下腿部の左右方向幅を検知した時点の時刻及び日付と関連付けて、該左右方向幅を履歴情報に記憶する(ステップS302)。なお、マッサージ機100を利用する被施療者Uが複数の場合には、記憶部3は、被施療者U毎に、左右方向幅を時刻及び日付と関連付けて履歴情報に記憶する。また、履歴情報において、左右方向幅は、検知した時点の時刻及び日付のうちの一方と関連付けられてもよい。左右方向幅を少なくとも時刻と関連付けることにより、むくみの経時変化を一日の時間帯別にモニタできる。また、左右方向幅を少なくとも日付と関連付けることにより、少なくとも日毎のむくみの経時変化をモニタできる。
【0080】
検知部51は、検知した下腿部の最新の左右方向幅と履歴情報とに基づいて、施療部位の経時変化の異常を検知する(ステップS303)。履歴情報には、前述のごとく、被施療者Uの下腿部の左右方向幅の検知結果が、時刻及び日付と関連付けられている。検知部51は、検知した下腿部の最新の左右方向幅と履歴情報とに基づいて、下腿部にむくみが発生しているか否かを検知する。たとえば、検知部51は、最新の左右方向幅と基準の左右方向幅との差が閾値以上になると、むくみの発生を検知する。なお、基準の左右方向幅は、履歴情報に記憶された過去の左右方向幅に基づいて算出された値である。或いは、基準の左右方向幅は、手動で操作部600に入力された値であってもよい。なお、これらの例示は、本実施形態でのむくみの発生を検知する手法を限定するものではない。
【0081】
むくみの発生が検知されなかった場合(ステップS303でNO)、被施療者Uの体型検知を終了し、膨縮部1Cが下腿部の施療を開始する(ステップS304)。膨縮部1Cの施療が終わると、図6の処理は終了する。
【0082】
一方、むくみの発生が検知された場合(ステップS303でYES)、制御部52は、施療部位の経時変化の異常を報知部4に報知させる(ステップS305)。たとえば、制御部52は、むくみの発生、被施療者Uのコンディション不良などを報知部4の表示部41に表示する。また、特定の施療動作(又は施療コース)を被施療者Uにオススメする旨が表示部41に表示されてもよいし、所定の音、音声がスピーカー42から出力されてもよい。なお、これらの例示は、本実施形態での報知動作を限定するものではない。そして、被施療者Uの体型検知が終了する。
【0083】
次に、制御部52は、膨縮部1Cによる下腿部の施療を開始する(ステップS306)。なお、施療は、たとえば、上述の報知動作から所定時間後に開始されてもよいし、操作部600における被施療者Uの操作入力に応じて開始されてもよい。
【0084】
制御部52は、検知部51の検知結果と膨縮情報とに基づいて、膨縮部1Cの施療強度を調節する(ステップS307)。たとえば、制御部52は、むくみの程度に応じて、同じ施療強度設定に対する膨縮部1での流体の収容量をより多くし、同じ施療強度設定に対する実際の施療強度をより強くする。なお、むくみの程度は、たとえば、ステップS303で説明した最新の左右方向幅と基準の左右方向幅との差である。膨縮部1Cの施療が終わると、図6の処理は終了する。
【0085】
なお、図6の処理では、むくみの発生が検知された場合に、報知動作と施療強度の調節との両方が実施される。但し、この例示に限定されず、報知動作と施療強度の調節とのうちのどちらかが実施されてもよい。
【0086】
また、以上の説明では、膨縮部1Cに対する処理を例に挙げて説明した。但し、この例示に限定されず、上述の動作は、膨縮部1A,1Bに対して実施されてもよい。
【0087】
以上、本発明の実施形態について説明した。なお、上述の実施形態は例示であり、その各構成要素及び各処理の組み合わせに色々な変形が可能であり、本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0088】
たとえば、上述の実施形態では、背凭れ部300、オットマン700の膨縮部1に本発明の構成を採用した。但し、この例示に限定されず、腕施療部500のエアバック(膨縮部)に本発明の構成を採用することも可能である。たとえば、腕施療部500のエアバック(膨縮部)にセンサ2を設けることで、被施療者Uの前腕部の左右方向位置及び左右方向幅を検知可能である。また、図6と同様の処理を実施することで、前腕部の経時変化の異常(むくみなど)を検知できる。
【0089】
また、上述の実施形態では、椅子式のマッサージ機100に本発明を適用した。但し、本発明の適用範囲は、この例示に限定されない。本発明は、椅子式のマッサージ機のみならず、たとえば、被施療者Uの下腿部を施療する脚用マッサージ機、被施療者Uの前腕部を施療する腕用マッサージ機にも有用である。なお、これらのマッサージ機を利用する被施療者Uが複数の場合には、記憶部3は、被施療者U毎に、体形検知で行った肩幅、ふくらはぎ、腕などのデータである検知結果を時刻及び日付のうちの少なくとも一方と関連付けて履歴情報に記憶する。これにより、検知部51は、該検知部51が検知した最新の左右方向幅と履歴情報とに基づいて、被施療者U毎の施療部位の経時変化の異常を検知することが可能となる。
【符号の説明】
【0090】
100 (椅子式)マッサージ機
200 座部
300 背凭れ部
301,302 ガイドレール
303 施療ユニット
304 面
400 基台部
500 腕施療部
600 操作部
601 コード線
602 スタンド
700 オットマン
1A,1B,1C 膨縮部
11 エアバッグ
12 カバー
2 センサ
3 記憶部
4 報知部
41 表示部
42 スピーカー
5 制御ユニット
51 検知部
52 制御部
61~64 駆動回路
65 アクチュエータ群
66 ポンプ群
660 流体供給部
67 電磁弁群
U 被施療者
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6