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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】ヘッドユニット
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/10 20060101AFI20240514BHJP
   E03C 1/042 20060101ALI20240514BHJP
   C02F 1/28 20230101ALI20240514BHJP
【FI】
E03C1/10
E03C1/042 F
C02F1/28 S
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020149074
(22)【出願日】2020-09-04
(65)【公開番号】P2022043671
(43)【公開日】2022-03-16
【審査請求日】2023-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000242378
【氏名又は名称】株式会社KVK
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】藤浪 翔太
【審査官】村川 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-102847(JP,A)
【文献】特開2002-017595(JP,A)
【文献】特開平03-154685(JP,A)
【文献】特開2015-085255(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C1/00-1/10
C02F1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水栓本体に対して引き出し可能に取り付けられるヘッドユニットであって、
前記水栓本体から延びるグリップ部と、前記グリップ部の先端に設けられたヘッド部とを有し、
前記ヘッド部は、浄水カートリッジを収納するための収納スペースを有するとともに、前記ヘッド部から吐出される浄水と原水とを切り替える切替操作部を有しており、
さらに、前記ヘッド部は、前記浄水カートリッジを出し入れするための開口部と、当該開口部を閉鎖する蓋部材とを有し
前記ヘッド部は、先端部に吐水口を有するとともに、前記吐水口から吐出される液体の吐出方向とは反対側の端部である基端部に前記開口部を有しており、
前記切替操作部は、前記ヘッド部の先端部に設けられていることを特徴とするヘッドユニット。
【請求項2】
前記ヘッド部の先端部には、シャワーフェイスが取り付けられており、
前記切替操作部は、前記シャワーフェイスに設けられている請求項1に記載のヘッドユニット。
【請求項3】
水栓本体に対して引き出し可能に取り付けられるヘッドユニットであって、
前記水栓本体から延びるグリップ部と、前記グリップ部の先端に設けられたヘッド部とを有し、
前記ヘッド部は、浄水カートリッジを収納するための収納スペースを有するとともに、前記ヘッド部から吐出される浄水と原水とを切り替える切替操作部を有しており、
さらに、前記ヘッド部は、前記浄水カートリッジを出し入れするための開口部と、当該開口部を閉鎖する蓋部材とを有し
前記収納スペースは、前記浄水カートリッジを出し入れする方向に沿って延びる前記ヘッド部の内周面によって囲まれており、
前記収納スペースに前記浄水カートリッジが収納された状態において、前記内周面と前記浄水カートリッジとの間には、前記原水を流通させるための隙間を有することを特徴とするヘッドユニット。
【請求項4】
水栓本体に対して引き出し可能に取り付けられるヘッドユニットであって、
前記水栓本体から延びるグリップ部と、前記グリップ部の先端に設けられたヘッド部とを有し、
前記ヘッド部は、浄水カートリッジを収納するための収納スペースを有するとともに、前記ヘッド部から吐出される浄水と原水とを切り替える切替操作部を有しており、
さらに、前記ヘッド部は、前記浄水カートリッジを出し入れするための開口部と、当該開口部を閉鎖する蓋部材とを有し
前記蓋部材は、前記開口部に螺合した状態で取り付けられ、
前記開口部に取り付ける際、もしくは前記開口部から取り外す際に、作業者の指が係合する係合凸部を有しており、
前記蓋部材が前記開口部に取り付けられた状態において、前記係合凸部は、前記ヘッド部における前記グリップ部側に位置することを特徴とするヘッドユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水栓本体に対して引き出し可能に取り付けられるヘッドユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、浄水器内蔵水栓について記載している。
図7に示すように、浄水器内蔵水栓60は、壁部80上に固定される水栓本体61と、水栓本体61から斜め上方に延びる把持部62と、把持部62の先端部分に連設されたシャワーヘッド63とを有している。把持部62とシャワーヘッド63とによってヘッドユニット70が構成されている。把持部62には可撓性ホース(図示省略)が接続されており、把持部62を手で握って引っ張ることにより、ヘッドユニット70を水栓本体61から引き出して使用することができる。把持部62は円筒形で、内部に浄水カートリッジ65が収納されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-184146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図8に示すように、特許文献1の浄水器内蔵水栓60は、浄水カートリッジ65を交換する際に、把持部62(グリップ部)からシャワーヘッド63(ヘッド部)を取り外して、把持部62(グリップ部)内に収納されている浄水カートリッジ65を抜き取った後、新しい浄水カートリッジ65を収納する必要がある。そのため、浄水カートリッジ65の交換作業が煩雑になるという課題を有している。また、シャワーヘッド63(ヘッド部)を取り外す際に切替操作部66に手が触れて、切替操作部66を操作してしまう虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためのヘッドユニットは、水栓本体に対して引き出し可能に取り付けられるヘッドユニットであって、前記水栓本体から延びるグリップ部と、前記グリップ部の先端に設けられたヘッド部とを有し、前記ヘッド部は、浄水カートリッジを収納するための収納スペースを有するとともに、前記ヘッド部から吐出される浄水と原水とを切り替える切替操作部を有しており、さらに、前記ヘッド部は、前記浄水カートリッジを出し入れするための開口部と、当該開口部を閉鎖する蓋部材とを有していることを要旨とする。
【0006】
この構成によれば、浄水カートリッジを交換する際は、ヘッド部の蓋部材を取り外して、ヘッド部の開口部を通じて浄水カートリッジを出し入れする。グリップ部からヘッド部を取り外して浄水カートリッジの交換を行う態様に比べて、浄水カートリッジの交換を容易に行うことができる。
【0007】
上記ヘッドユニットについて、前記ヘッド部は、先端部に吐水口を有するとともに、前記吐水口から吐出される液体の吐出方向とは反対側の端部である基端部に前記開口部を有しており、前記切替操作部は、前記ヘッド部の先端部に設けられていることが好ましい。この構成によれば、切替操作部と開口部とが、ヘッド部における相対的に離れた位置に設けられた状態となる。そのため、浄水カートリッジを交換する際に、誤って切替操作部に手が触れて、切替操作部を操作してしまうことを抑制することができる。
【0008】
上記ヘッドユニットについて、前記ヘッド部の先端部には、シャワーフェイスが取り付けられており、前記切替操作部は、前記シャワーフェイスに設けられていることが好ましい。この構成によれば、切替操作部とシャワーフェイスが別部材で構成されている態様に比べて、ヘッド部をコンパクト化することができる。
【0009】
上記ヘッドユニットについて、前記収納スペースは、前記浄水カートリッジを出し入れする方向に沿って延びる前記ヘッド部の内周面によって囲まれており、前記収納スペースに前記浄水カートリッジが収納された状態において、前記内周面と前記浄水カートリッジとの間には、前記原水を流通させるための隙間を有することが好ましい。この構成によれば、収納スペース内に原水を流通させるための流路を効率良く確保することができる。
【0010】
上記ヘッドユニットについて、前記蓋部材は、前記開口部に螺合した状態で取り付けられ、前記開口部に取り付ける際、もしくは前記開口部から取り外す際に、作業者の指が係合する係合凸部を有しており、前記蓋部材が前記開口部に取り付けられた状態において、前記係合凸部は、前記ヘッド部における前記グリップ部側に位置することが好ましい。この構成によれば、蓋部材が取り付けられた状態において、係合凸部を目立たなくすることができるため、ヘッドユニットの意匠性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のヘッドユニットによれば、浄水カートリッジの交換を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】水栓の斜視図。
図2】ヘッドユニットの斜視図。
図3】ヘッドユニットの別角度での斜視図。
図4】ヘッドユニットの分解斜視図。
図5】蓋部材の平面図。
図6】変更例の蓋部材の平面図。
図7】従来技術の水栓の部分断面図。
図8】従来技術の水栓における浄水カートリッジを交換する際の部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ヘッドユニットの実施形態を説明する。
図1に示すように、水栓10は、キッチンキャビネットのカウンタである壁部11に設置されている。水栓10は、壁部11上に固定される水栓本体12と、水栓本体12の上部に取り付けられたレバー13と、水栓本体12の軸方向の中央部から斜め上方に突出するヘッドユニット20とを備える。
【0014】
水栓本体12の内部には弁部材(図示省略)が収容されている。弁部材には、給水管(図示省略)、給湯管(図示省略)、及び、ホース14(図2参照)が接続されている。給水管と給湯管は、壁部11を貫通して壁部11の下方へと延び、図示しない給水源と給湯源とに接続されている。ホース14は、ヘッドユニット20に接続されている。
【0015】
給水管を流通する水と、給湯管を流通する湯は、それぞれ弁部材へと流通し、弁部材を通過する際に、水と湯とが任意の割合で混合されて湯水が形成される。弁部材を通過した湯水は、ホース14を経由してヘッドユニット20内を流通し、ヘッドユニット20に設けられた吐水口42(図3参照)から吐出される。
【0016】
水栓10のレバー13を操作することにより、弁部材を操作して、水栓10からの吐止水、湯水の切り替え、及び、湯水の混合の調節を行うことができる。
以下、ヘッドユニット20について説明する。
【0017】
図1~3に示すように、ヘッドユニット20は、水栓本体12から斜め上方に延びるグリップ部30と、グリップ部30の先端にグリップ部30と一体に設けられたヘッド部40とを有している。グリップ部30にはホース14が接続されており、使用者がグリップ部30を把持して引っ張ることにより、ヘッドユニット20を水栓本体12から引き出して使用することができるように構成されている。
【0018】
グリップ部30について説明する。
図1~3に示すように、グリップ部30は円筒状に構成されている。グリップ部30の軸方向における水栓本体12側の端部である基端部30bに、ホース14が接続されている。グリップ部30の軸方向における基端部30bとは反対側の端部である先端部30aは、ヘッド部40と一体になっている。グリップ部30の内部には湯水の流路が設けられている。グリップ部30内の流路は、後述のように、ヘッド部40内の浄水カートリッジ15を収容する収納スペースS(図4参照)に連通している。
【0019】
ヘッド部40について説明する。
図2、3に示すように、ヘッド部40は円筒状に構成されている。ヘッド部40は、グリップ部30の先端部30aにおいてグリップ部30と一体になって設けられている。ヘッド部40の軸方向は、グリップ部30の軸方向と交差する方向に延びている。具体的には、水栓10を正面から見た際に、グリップ部30の軸方向が手前側斜め上方に延びているのに対し、ヘッド部40の軸方向は、手前側斜め下方となるように延びており、グリップ部30の軸とヘッド部40の軸とが交差するように形成されている。
【0020】
なお、上記グリップ部30やヘッド部40等において、「円筒状」とは、真円による円筒を意味するとともに、真円に近い断面形状を有する筒状を含むものとする。例えば、円形の曲率が部分的に変化したものや、軸方向において円筒が若干湾曲したもの等を含むものとする。
【0021】
図4に示すように、ヘッド部40は、円筒状のヘッド本体41と、ヘッド本体41に取り付けられる蓋部材45と、同じくヘッド本体41に取り付けられるシャワーフェイス44とを有している。
【0022】
ヘッド本体41は、浄水カートリッジ15を収納する収納スペースSを有している。収納スペースSは、ヘッド部40の軸方向、言い換えれば、浄水カートリッジ15を出し入れする方向に沿って延びるヘッド本体41の内周面41eによって囲まれており、円柱状の空間となっている。
【0023】
収納スペースSは、上記グリップ部30内の流路に連通している。また、後述のように、収納スペースSは、ヘッド部40の吐水口42と開口部41cとに連通している。
収納スペースSの内径は、浄水カートリッジ15の外径よりも大きく構成されており、収納スペースSに浄水カートリッジ15を収納した状態で、ヘッド本体41の内周面41eと、浄水カートリッジ15の外周面15aとの間には全周に亘って隙間を有している。この隙間は、原水を流通させる流路として機能する。
【0024】
図3に示すように、ヘッド部40は、軸方向の先端部に吐水口42を有している。具体的には、ヘッド本体41における湯水(液体)の吐出方向(矢印T)に沿う先端部41aに円板状のシャワーフェイス44が取り付けられており、このシャワーフェイス44に、吐水口42としてのシャワー吐水用の吐水孔42aと、同じく吐水口42としてのストレート吐水用の吐水孔42bとが設けられている。
【0025】
シャワーフェイス44には、吐水口42から吐出される浄水と原水とを切り替える切替操作部44aが設けられている。シャワーフェイス44の径方向の外側に位置する外周面には、略等間隔で複数の凹部44bが設けられている。使用者は、シャワーフェイス44の外周面における任意の箇所を把持して、シャワーフェイス44を周方向に一定量回転させることにより、切替操作部44aを操作することができる。切替操作部44aの詳細な説明は省略するが、切替操作部44aを操作することにより、収納スペースS内を流通する液体の流路を切り替えて、浄水と原水の切り替えを行うことができる。シャワーフェイス44の外周面に複数の凹部44bが設けられていることにより、使用者の指を滑りにくくすることができる。そのため、複数の凹部44bは、滑り止め部として機能する。
【0026】
また、切替操作部44aは、浄水と原水の切り替えに加えて、別途、シャワー吐水とストレート吐水を切り替えることができるように構成されていてもよい。
図4に示すように、ヘッド部40は、ヘッド部40の軸方向における先端部とは反対側の端部である基端部に開口部41cを有している。具体的には、ヘッド本体41は、湯水(液体)の吐出方向(矢印T)に沿う先端部41aとは反対側の端部である基端部41bに開口部41cを有している。この開口部41cは、浄水カートリッジ15を出し入れするために用いられる。開口部41cの内径は、収納スペースSの内径と略等しく構成されている。開口部41cにはネジ溝41dが形成されている。
【0027】
図4に示すように、ヘッド部40の蓋部材45は、円板状の本体部45aと、本体部45aの一方の面から本体部45aの厚さ方向に突出した周壁45bとを有している。周壁45bの外径は、本体部45aの外径よりも小さく、ヘッド本体41の開口部41cの内径よりも若干小さく構成されている。周壁45bの外周にはネジ溝45cが形成されている。このネジ溝45cが、開口部41cのネジ溝41dに螺合した状態で蓋部材45は開口部41cに取り付けられる。蓋部材45が取り付けられることによって、開口部41cは閉鎖される。
【0028】
ここで、「螺合」とは、開口部41cのネジ溝41dと蓋部材45のネジ溝45cとが嵌め合わされた状態を意味するものとする。
図4に示すように、蓋部材45の本体部45aには、本体部45aの一部が径方向外側に向かって山形に突出した係合凸部45dを有している。
【0029】
図5に示すように、山形に突出した係合凸部45dを有することによって、蓋部材45を平面視した状態において、蓋部材45全体の形状が雫型や涙滴型ともいうティアドロップ型となる。この係合凸部45dに、蓋部材45を取り付ける際に作業者の指が係合することによって、蓋部材45を回転させやすくなる。
【0030】
図2に示すように、ヘッド本体41の開口部41cに蓋部材45が取り付けられると、蓋部材45の係合凸部45dは、ヘッド部40におけるグリップ部30側に位置する。言い換えれば、蓋部材45の係合凸部45dの突出方向が、グリップ部30の軸方向に沿ってグリップ部30の基端部30b側に向かう状態となる。これにより、係合凸部45dを目立たなくしてヘッドユニット20の意匠性を向上させることができる。
【0031】
図4に示すように、さらに、グリップ部30は、蓋部材45の係合凸部45dと接する位置に平坦面30cを有している。この平坦面30cは、蓋部材45の係合凸部45dが配置される配置面として機能している。配置面上に蓋部材45の係合凸部45dが配置されることにより、係合凸部45dがグリップ部30の外観と一体になって、係合凸部45dをより目立たなくすることができる。
【0032】
浄水カートリッジ15の交換方法について説明する。
図4に示すように、まず、ヘッドユニット20が水栓本体12に取り付けられた状態において、ヘッド部40のヘッド本体41から蓋部材45を取り外す。この際、蓋部材45の係合凸部45dに指を係合させると蓋部材45を取り外しやすくなる。
【0033】
次に、ヘッド本体41の開口部41cから、収納スペースSに収納された浄水カートリッジ15を抜き取る。新しい浄水カートリッジ15を収納した後、ヘッド本体41の開口部41cに蓋部材45を取り付けて開口部41cを閉鎖する。この際、蓋部材45の係合凸部45dに指を係合させると蓋部材45を取り付けやすくなる。蓋部材45を取り付けた状態で、係合凸部45dの突出方向が、グリップ部30の軸方向に沿ってグリップ部30の基端部30b側に向かう状態となる。以上の方法によって、浄水カートリッジ15の交換を行うことができる。浄水カートリッジ15としては、特に制限はなく、公知の浄水カートリッジ15を用いることができる。
【0034】
本実施形態の作用について説明する。
従来技術のように、グリップ部62からヘッド部63を取り外して浄水カートリッジ65を交換する態様では、ヘッド部63を取り外す際に、ヘッド部63に設けられたシャワーフェイスや切替操作部等に誤って手が触れて、切替操作部を操作してしまう虞がある。これに対し、本実施形態のヘッドユニット20によれば、蓋部材45を取り外すという簡易な操作によって浄水カートリッジ15を交換することが可能になるため、誤って切替操作部44aを操作してしまうことを抑制することができる。
【0035】
本実施形態の効果について説明する。
(1)浄水カートリッジ15を交換する際は、蓋部材45を取り外して、ヘッド本体41の開口部41cを通じて浄水カートリッジ15を出し入れする。したがって、グリップ部30からヘッド部40を取り外して浄水カートリッジ15の交換を行う態様に比べて、浄水カートリッジ15の交換を容易に行うことができる。また、浄水カートリッジ15の交換の際に作業者が誤って切替操作部44aを操作してしまうことを抑制することができる。
【0036】
(2)ヘッド部40のヘッド本体41は、先端部41aに吐水口42を有するとともに、吐水口42から吐出される液体の吐出方向とは反対側の端部である基端部41bに開口部41cを有しており、切替操作部44aは、ヘッド本体41の先端部41aに設けられている。切替操作部44aと開口部41cとが、ヘッド部40における相対的に離れた位置に設けられた状態となるため、浄水カートリッジ15を交換する際に、誤って切替操作部44aに手が触れて、切替操作部44aを操作してしまうことをより効果的に抑制することができる。
【0037】
(3)切替操作部44aは、シャワーフェイス44に設けられている。切替操作部44aとシャワーフェイス44が別部材で構成されている態様に比べて、ヘッド部40をコンパクト化することができる。また、切替操作部44aとシャワーフェイス44を一度に取り付けることが可能になるため、ヘッドユニット20を構成する各部材を組み付ける際の作業性が良くなる。
【0038】
(4)収納スペースSは、浄水カートリッジ15を出し入れする方向に沿って延びるヘッド部40のヘッド本体41の内周面41eによって囲まれており、収納スペースSに浄水カートリッジ15が収納された状態において、内周面41eと浄水カートリッジ15との間には、原水を流通させるための隙間を有する。したがって、収納スペースS内に原水を流通させるための流路を効率良く確保することができる。また、浄水カートリッジ15の外周面の全面から内部に原水を取り込むことができるため、浄水を効率良く作製することができる。
【0039】
(5)蓋部材45は、ヘッド本体41の開口部41cに螺合した状態で取り付けられ、開口部41cに取り付ける際、もしくは開口部41cから取り外す際に、作業者の指が係合する係合凸部45dを有している。したがって、蓋部材45の取り付けや取り外しを容易に行うことができる。
【0040】
(6)蓋部材45がヘッド本体41の開口部41cに取り付けられた状態において、係合凸部45dは、ヘッド部40におけるグリップ部30側に位置する。したがって、蓋部材45が取り付けられた状態において、係合凸部45dを目立たなくすることができるため、ヘッドユニット20の意匠性を向上させることができる。
【0041】
(7)ヘッドユニット20のヘッド部40に浄水カートリッジ15が収納されているため、グリップ部30に浄水カートリッジ15が収納されている態様に比べて、グリップ部30の外径を相対的に小さくすることができる。グリップ部30を手で握りやすくなるため、ヘッドユニット20の取り扱い性が向上する。
【0042】
(8)浄水カートリッジ15を有していない既存の水栓に、本実施形態のヘッドユニット20を後付けで取り付けることができる。水栓本体12を交換することなく浄水カートリッジ15を取り付けることができるため、より簡易な作業で、且つ、より安価で浄水カートリッジ15を取り付けることができる。
【0043】
また、グリップ部に浄水カートリッジ15が収納されている態様に比べて、グリップ部の軸方向長さを相対的に短くすることができる。言い換えれば、グリップ部の長さを、浄水機能を有していない水栓のヘッドユニットにおけるグリップ部と同程度にすることができる。そのため、浄水機能を有していない既存の水栓のヘッドユニットの基端部と本実施形態のヘッドユニット20の基端部30bとの間に互換性を持たせ、既存のヘッドユニットに代えて、本実施形態のヘッドユニット20をホース14に接続して水栓本体に保持させた際に、水栓の前後方向の全長を変えることなく、既存の水栓に後付けで取り付けることができる。水栓の前後方向の全長を変えないことによって、水栓の使い勝手が変わらないとともに、水栓の意匠性の低下を抑制することができる。
【0044】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・本実施形態において、ヘッドユニット20のグリップ部30は、水栓本体12から斜め上方に突出していたが、この態様に限定されない。ヘッドユニット20のグリップ部30は、水栓本体12から任意の方向に突出していてもよい。任意の方向としては、例えば、水平方向や、斜め下方であってもよい。
【0045】
・本実施形態において、ヘッドユニット20のグリップ部30とヘッド部40とは一体に構成されていたが、この態様に限定されない。グリップ部30とヘッド部40は別部材で構成されて、互いに接続されていてもよい。
【0046】
・本実施形態において、ヘッドユニット20のグリップ部30とヘッド部40は、円筒状に構成されていたが、この態様に限定されない。グリップ部30とヘッド部40の少なくとも一方が、角筒状等に構成されていてもよい。
【0047】
・ヘッドユニット20のグリップ部30の長さは特に制限されない。例えば、グリップ部30の長さが相対的に短く構成されており、使用者がヘッドユニット20を引き出す際に、グリップ部30よりもヘッド部40の方が把持しやすく構成されていてもよい。すなわち、グリップ部30は、ヘッドユニット20において水栓本体12から延びる部分を意味するものとし、使用者がヘッドユニット20を水栓本体12から引き出す際に、必ずしも把持することなく引き出される部分であってもよい。
【0048】
・本実施形態において、ヘッド部40の蓋部材45は、蓋部材45のネジ溝45cが開口部41cのネジ溝41dに螺合した状態で開口部41cに取り付けられていたが、この態様に限定されない。ヘッド部40の蓋部材45は、ネジ溝45cを用いることなく開口部41cに取り付けられていてもよい。例えば、蓋部材45と開口部41cのどちらか一方にL字溝を設けるとともに、どちらか他方に凸部を設け、L字溝に凸部を係合させる、所謂、バヨネット方式の結合により取付けられていてもよい。
【0049】
また、蓋部材45の少なくとも一部が、開口部41cに無理嵌め状態で取り付けられていてもよいし、スナップフィットを用いて取り付けられていてもよい。また、例えば、ヒンジ等を用いて、蓋部材45が回動可能に取り付けられていてもよい。蓋部材45がネジ溝45cを用いることなく開口部に41cに取り付けられる態様においても、蓋部材45を操作するための係合凸部45dを有していることが好ましい。
【0050】
・本実施形態において、シャワーフェイス44の外周面には、滑り止め部として複数の凹部44bが形成されていたが、この態様に限定されない。複数の凹部44bに代えて、複数の凸部が設けられていてもよい。また、滑り止め部は省略されていてもよい。
【0051】
・本実施形態において、切替操作部44aは、シャワーフェイス44に設けられていたが、この態様に限定されない。切替操作部44aは、シャワーフェイス44とは別部材で設けられていてもよい。
【0052】
・切替操作部44aは、ヘッド本体41の先端部41aに設けられている態様に限定されない。ヘッド本体41の基端部41b側に設けられていてもよいし、中央部に設けられていてもよい。
【0053】
・本実施形態において、係合凸部45dは、山形に突出した形状を有していたが、係合凸部45dの形状は山形に限定されない。作業者の指が係合しやすい形状を適宜採用することができる。
【0054】
図6に示すように、例えば、係合凸部45eの形状は、蓋部材45の本体部45aの一部が、径方向外側に突出した矩形状であってもよい。
・蓋部材45の係合凸部45dは省略されていてもよい。係合凸部45dに代えて、作業者の指が係合する係合凹部が設けられていてもよい。例えば、蓋部材45の本体部45aに、本体部45aの厚さ方向に窪んだ凹部を設け、この凹部に作業者の指が係合するように構成されていてもよい。
【0055】
・本実施形態では、ヘッドユニット20のヘッド部40のみに浄水カートリッジ15が収納されていたが、この態様に限定されない。ヘッドユニット20のヘッド部40に加えて、ヘッドユニット20のグリップ部30にも別の浄水カートリッジが収納されていてもよい。
【符号の説明】
【0056】
12…水栓本体、15…浄水カートリッジ、20…ヘッドユニット、30…グリップ部、40…ヘッド部、43…開口部、44a…切替操作部、45…蓋部材、S…収納スペース。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8