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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】撮像装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/772 20230101AFI20240514BHJP
【FI】
H04N25/772
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020567427
(86)(22)【出願日】2019-12-18
(86)【国際出願番号】 JP2019049577
(87)【国際公開番号】W WO2020153054
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2022-11-01
(31)【優先権主張番号】P 2019008272
(32)【優先日】2019-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(72)【発明者】
【氏名】須藤 浩希
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-201879(JP,A)
【文献】特開2018-133794(JP,A)
【文献】特開2011-097404(JP,A)
【文献】特開2011-029725(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 25/772
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換素子を含む画素回路が形成された第1半導体チップ、及び、画素回路に対応してアナログ-デジタル変換回路が形成された第2半導体チップの少なくとも2つの半導体チップが積層された積層型チップ構造を有しており、
アナログ-デジタル変換回路は、アナログ-デジタル変換後のデジタルコードを保持するラッチ回路、及び、アナログ-デジタル変換後のデジタルコードを転送する転送回路を有しており、
アナログ-デジタル変換回路の故障検出を行う故障検出回路を備え、
故障検出回路は、故障検出のためのテストパターンを、転送回路を経由してラッチ回路に書き込んだ後、ラッチ回路から転送回路を経由して読み出し、この読み出したテストパターンを期待値と比較することによって故障検出を行
画素回路から出力される信号レベルをアナログ-デジタル変換したデータをD相データとし、リセットレベルをアナログ-デジタル変換したデジタルデータをP相データとするとき、
アナログ-デジタル変換回路は、
ラッチ回路として、テストパターンの書込み用のラッチ回路、P相読出し用のラッチ回路、及び、D相読出し用のラッチ回路を有し、
転送回路として、テストパターンの書込み用の転送回路、P相読出し用の転送回路、及び、D相読出し用の転送回路を有する、
撮像装置。
【請求項2】
テストパターンは、論理“1”と論理“0”が交互に並ぶ交互パターンである、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
テストパターンは、テストパターン生成のためのクロック信号に同期して、交互パターンの論理が反転するトグルパターンである、
請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
故障検出回路は、
書込み用の転送回路経由でテストパターンを書込み用のラッチ回路に書き込み、
次いで、P相読出し用のラッチ回路からP相読出し用の転送回路経由でテストパターンを読み出し、
次いで再度、書込み用の転送回路経由でテストパターンを書込み用のラッチ回路に書き込み、
次いで、D相読出し用のラッチ回路からD相読出し用の転送回路経由でテストパターンを読み出す、
請求項に記載の撮像装置。
【請求項5】
故障検出回路は、P相読出し用のラッチ回路からP相読出し用の転送回路経由で読み出したテストパターン、及び、D相読出し用のラッチ回路からD相読出し用の転送回路経由で読み出したテストパターンについて、期待値と一致するか否かの期待値比較を行う、
請求項に記載の撮像装置。
【請求項6】
故障検出回路は、期待値比較の処理を垂直ブランキング期間内で行う、
請求項に記載の撮像装置。
【請求項7】
転送回路を所定数を単位としてグループ化したとき、
故障検出回路は、転送回路の故障検出を行う際に、グループ単位で部分的に故障検出を実施する、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項8】
光電変換素子を含む画素回路が形成された第1半導体チップ、及び、画素回路に対応してアナログ-デジタル変換回路が形成された第2半導体チップの少なくとも2つの半導体チップが積層された積層型チップ構造を有しており、
アナログ-デジタル変換回路は、アナログ-デジタル変換後のデジタルコードを保持するラッチ回路、及び、アナログ-デジタル変換後のデジタルコードを転送する転送回路を有しており、
アナログ-デジタル変換回路の故障検出を行う故障検出回路を備え、
故障検出回路は、故障検出のためのテストパターンを、転送回路を経由してラッチ回路に書き込んだ後、ラッチ回路から転送回路を経由して読み出し、この読み出したテストパターンを期待値と比較することによって故障検出を行
画素回路から出力される信号レベルをアナログ-デジタル変換したデータをD相データとし、リセットレベルをアナログ-デジタル変換したデジタルデータをP相データとするとき、
アナログ-デジタル変換回路は、
ラッチ回路として、テストパターンの書込み用のラッチ回路、P相読出し用のラッチ回路、及び、D相読出し用のラッチ回路を有し、
転送回路として、テストパターンの書込み用の転送回路、P相読出し用の転送回路、及び、D相読出し用の転送回路を有する、
撮像装置を有する電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
CMOSイメージセンサ等の撮像装置の検査、特に量産選別検査では、実際に撮像を行い、その撮像信号を用いて良品/不良品の選別検査が行われる。具体的には、撮像信号に基づく画像中に、白点や黒点などの欠陥が存在するか否かをチェックすることによって故障検査が行われる。
【0003】
しかし、実際の撮像に基づく故障検査の場合は、信号処理部の動作確認には対応できない。そこで、信号処理部の動作確認に対応できるようにするために、実際に撮像を行うことなく、故障検査を行うことができる検査方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、画素列毎に画素信号を保持する保持部を備え、当該保持部に所望のデータ信号を入力することで、撮像を行うことなく、所望のデータ信号に基づく動作確認を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-77173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
CMOSイメージセンサ等の撮像装置としては、画素が行列状に2次元配置された画素アレイ部の画素列に対応してアナログ-デジタル変換回路が配置されて成る、所謂、カラムAD型撮像装置が一般的である。これに対して、近年、画素アレイ部の各画素(画素回路)に対応してアナログ-デジタル変換回路が配置されて成る、所謂、画素並列AD型撮像装置が開発されている。
【0006】
この画素並列AD型撮像装置では、カラムAD型撮像装置よりも、アナログ-デジタル変換回路、特にデジタルコードをラッチするラッチ回路の面積が増大し、その分、故障発生の可能性が高くなるため、網羅的に故障検出が可能な回路が必要になる。例えば、画素数が24Mピクセル(水平6000×垂直4000)の撮像装置の場合、カラムAD型撮像装置では、一般的な構成として、画素アレイ部の画素信号を読み出す上下両側に計2行分のラッチ回路が搭載されることになる。これに対して、画素並列AD型撮像装置では、画素数と同じ4000行分のラッチ回路が搭載されることになる。
【0007】
従って、画素並列AD型撮像装置の場合、ラッチ回路の数が、単純比較で、カラムAD型撮像装置の2000倍多く、網羅的に故障検出が可能な回路が必要になる。上記の特許文献1には、カラムAD型撮像装置において、実際に撮像を行うことなく、所望のデータ信号に基づく動作確認を行う技術が記載されているものの、特許文献1に記載の従来技術では、画素並列AD型撮像装置において、画素数に対応した数のラッチ回路、及び、それに付随する回路について、網羅的に故障検出することについては考慮されていない。
【0008】
本開示は、画素並列AD型撮像装置において、画素(画素回路)に対応して設けられたラッチ回路、及び、それに付随する回路について、網羅的に故障検出が可能な撮像装置、及び、当該撮像装置を有する電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するための本開示の撮像装置は、
光電変換素子を含む画素回路が形成された第1半導体チップ、及び、画素回路に対応してアナログ-デジタル変換回路が形成された第2半導体チップの少なくとも2つの半導体チップが積層された積層型チップ構造を有している。
アナログ-デジタル変換回路は、アナログ-デジタル変換後のデジタルコードを保持するラッチ回路、及び、アナログ-デジタル変換後のデジタルコードを転送する転送回路を有している。
そして、アナログ-デジタル変換回路の故障検出を行う故障検出回路を備え、
故障検出回路は、故障検出のためのテストパターンを、転送回路を経由してラッチ回路に書き込んだ後、ラッチ回路から転送回路を経由して読み出し、この読み出したテストパターンを期待値と比較することによって故障検出を行う。
【0010】
また、上記の目的を達成するための本開示の電子機器は、上記の構成の撮像装置を有する構成となっている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本開示の実施形態に係る撮像装置の積層型チップ構造の概略を示す分解斜視図である。
図2図2は、本開示の実施形態に係る撮像装置における画素アレイ部の具体的な構成例を示すブロック図である。
図3図3は、本開示の実施形態に係る撮像装置におけるアナログ-デジタル変換回路の具体的な構成例を示すブロック図である。
図4図4は、本開示の実施形態に係る撮像装置におけるアナログ-デジタル変換回路のデータ記憶部の基本的な構成例を示すブロック図である。
図5図5は、本開示の実施形態に係る撮像装置におけるアナログ-デジタル変換回路の動作例の説明に供するタイミング波形図である。
図6図6は、本開示の実施形態に係る撮像装置における時刻コード発生部の具体的な構成例を示すブロック図である。
図7図7は、本開示の実施形態に係る撮像装置におけるテストパターン生成部の具体的な構成例を示すブロック図である。
図8図8は、テストパターン生成部における通常カウント動作時の信号経路(点線)を示す図である。
図9図9は、テストパターン生成部における故障検出(BIST)動作時の信号経路(破線)を示す図である。
図10図10は、テストパターン生成部における各信号のタイミング関係を示すタイミング波形図である。
図11図11は、テストパターン生成部におけるグレイコード発生器の具体的な構成例を示すブロック図である。
図12図12は、グレイコード発生器における通常カウント動作時の信号経路(点線)を示す図である。
図13図13は、グレイコード発生器における故障検出(BIST)動作時の信号経路(破線)を示す図である。
図14図14は、本開示の実施形態に係る撮像装置における期待値比較部の具体的な構成例を示すブロック図である。
図15図15Aは、テストパターンとして用いる交互パターンについての説明図であり、図15Bは、交互パターンをトグルさせる意味についての説明図である。
図16図16は、故障検出回路による故障検出の対象となる回路の要部の構成例を示すブロック図である。
図17図17は、実施例1に係る故障検出処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図18図18は、実施例1に係る故障検出処理におけるステップS11の具体的な処理の概略についての説明図である。
図19図19は、実施例1に係る故障検出処理におけるステップS12の具体的な処理の概略についての説明図である。
図20図20は、実施例1に係る故障検出処理におけるステップS13の具体的な処理の概略についての説明図である。
図21図21は、実施例1に係る故障検出処理におけるステップS14の具体的な処理の概略についての説明図である。
図22図22は、実施例2に係る故障検出処理について説明するタイミング波形図である。
図23図23は、実施例3に係る故障検出処理の動作の概念図である。
図24図24は、本開示に係る技術の適用例を示す図である。
図25図25は、本開示の電子機器の一例である撮像システムの構成例の概略を示すブロック図である。
図26図26は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
図27図27は、移動体制御システムにおける撮像部の設置位置の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示に係る技術を実施するための形態(以下、「実施形態」と記述する)について図面を用いて詳細に説明する。本開示に係る技術は実施形態に限定されるものではなく、実施形態における種々の数値などは例示である。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。尚、説明は以下の順序で行う。
1.本開示の撮像装置及び電子機器、全般に関する説明
2.実施形態に係る撮像装置
2-1.積層型チップ構造の構成例
2-2.第2半導体チップの回路部の構成例
2-3.アナログ-デジタル変換回路の構成例
2-4.データ記憶部の構成例例
2-5.アナログ-デジタル変換回路の動作例
2-6.時刻コード発生部の構成例
3.実施形態に係る故障検出回路(BIST:Built-In Self Test)
3-1.テストパターン生成部の構成例
3-2.グレイコード発生器の構成例
3-3.期待値比較部の構成例
3-4.交互パターンについて
3-5.故障検出処理
3-5-1.実施例1(故障検出処理の基本形)
3-5-2.実施例2(実施例1の変形例:通常動作中に故障検出を行う例)
3-5-3.実施例3(実施例1の変形例:IRドロップ対策の例)
4.変形例
5.応用例
6.本開示に係る技術の適用例
6-1.本開示の電子機器(撮像システムの例)
6-2.移動体への応用例
7.本開示がとることができる構成
【0013】
<本開示の撮像装置及び電子機器、全般に関する説明>
本開示の撮像装置及び電子機器にあっては、テストパターンについて、論理“1”と論理“0”が交互に並ぶ交互パターンである形態とすることができる。また、テストパターンについて、テストパターン生成のためのクロック信号に同期して、交互パターンの論理が反転するトグルパターンである形態とすることができる。
【0014】
上述した好ましい構成、形態を含む本開示の撮像装置及び電子機器にあっては、画素回路から出力される信号レベルをアナログ-デジタル変換したデータをD相データとし、リセットレベルをアナログ-デジタル変換したデジタルデータをP相データとする。このとき、アナログ-デジタル変換回路について、
ラッチ回路として、テストパターンの書込み用のラッチ回路、P相読出し用のラッチ回路、及び、D相読出し用のラッチ回路を有し、
転送回路として、テストパターンの書込み用の転送回路、P相読出し用の転送回路、及び、D相読出し用の転送回路を有する構成とすることができる。
【0015】
また、上述した好ましい構成、形態を含む本開示の撮像装置及び電子機器にあっては、故障検出回路について、書込み用の転送回路経由でテストパターンを書込み用のラッチ回路に書き込み、次いで、P相読出し用のラッチ回路からP相読出し用の転送回路経由でテストパターンを読み出し、次いで再度、書込み用の転送回路経由でテストパターンを書込み用のラッチ回路に書き込み、次いで、D相読出し用のラッチ回路からD相読出し用の転送回路経由でテストパターンを読み出す構成とすることができる。
【0016】
また、上述した好ましい構成、形態を含む本開示の撮像装置及び電子機器にあっては、故障検出回路について、P相読出し用のラッチ回路からP相読出し用の転送回路経由で読み出したテストパターン、及び、D相読出し用のラッチ回路からD相読出し用の転送回路経由で読み出したテストパターンについて、期待値と一致するか否かの期待値比較を行う構成とすることができる。また、期待値比較の処理を垂直ブランキング期間内で行う構成とすることができる。
【0017】
また、上述した好ましい構成、形態を含む本開示の撮像装置及び電子機器にあっては、転送回路を所定数を単位としてグループ化したとき、故障検出回路について、転送回路の故障検出を行う際に、グループ単位で部分的に故障検出を実施する構成とすることができる。
【0018】
<実施形態に係る撮像装置>
[積層型チップ構造の構成例]
本開示の実施形態に係る撮像装置は、第1半導体チップ及び第2半導体チップの少なくとも2つの半導体チップが積層されて成る積層型チップ構造を有している。本開示の実施形態に係る撮像装置の積層型チップ構造の分解斜視図を図1に示す。
【0019】
図1に示す積層型チップ構造は、第1半導体チップ11及び第2半導体チップ12の2つの半導体チップが積層された2層構造となっている。ここでは、積層型チップ構造として、2つの半導体チップが積層された2層構造を例示しているが、3つ以上の半導体チップが積層された多層構造とすることもできる。
【0020】
2層構造のチップ構造において、1層目の第1半導体チップ11は、光電変換素子(例えば、フォトダイオード)を含む画素回路21が行列状に2次元配置されて成る画素アレイ部22が形成された画素チップである。2層目の第2半導体チップ12は、行列状に2次元配置された画素回路21に対応して配置されたアナログ-デジタル変換(ADC)回路31の集合から成るアナログ-デジタル変換部32を含む回路部が形成された回路チップである。
【0021】
このように、本開示の撮像装置は、積層型チップ構造を有しており、第1半導体チップ11の各画素回路21に対応してアナログ-デジタル変換回路31が配置されて成る画素並列AD型撮像装置である。1層目の第1半導体チップ11の各画素回路21と、2層目の第2半導体チップ12の各アナログ-デジタル変換回路31とは、Cu-Cu接続(カッパー-カッパー接続)等の接続部23(図3参照)を通して電気的に接続される。
【0022】
第1半導体チップ11上の画素回路21は、画素内の光電変換素子(例えば、フォトダイオード)で受光した光量に応じた電荷量の信号電荷を電気信号に変換し、アナログの画素信号Vsigとして、接続部23を通して第2半導体チップ12上のアナログ-デジタル変換回路31に供給する。
【0023】
より具体的には、画素回路21は、アナログの画素信号Vsigとして、リセットレベル及び信号レベルを生成する。ここで、リセットレベルは、露光開始時以降に、画素回路21のフローティングディフュージョンFDがリセットされたときの電圧である。信号レベルは、露光終了時の露光量に応じた電圧である。画素回路21は、リセットレベル及び信号レベルの順にアナログ-デジタル変換回路31に供給する。
【0024】
[第2半導体チップの回路部の構成例]
本開示の実施形態に係る撮像装置における第2半導体チップ12の回路部、即ち、アナログ-デジタル変換部32を含む回路部の具体的な構成例のブロック図を図2に示す。
【0025】
第2半導体チップ12上のアナログ-デジタル変換部32の周辺には、画素駆動部41、参照信号生成部42、時刻コード発生部43、垂直駆動部44、出力部45、タイミング生成部46、テストパターン生成部47、及び、期待値比較部48等の回路部が形成されている。以下に、第2半導体チップ12の回路部の各構成要素の機能について具体的に説明する。
【0026】
画素駆動部41は、第1半導体チップ11上の画素回路21を駆動する。参照信号生成部42は、デジタル-アナログ変換(DAC)回路等から成り、時間経過に応じてレベル(電圧)が単調減少する、所謂、ランプ波の参照信号Vrefを、アナログ-デジタル変換の際の基準電圧信号として生成する。このランプ波の参照信号Vrefは、アナログ-デジタル変換部32の各アナログ-デジタル変換回路31に与えられる。アナログ-デジタル変換回路31は、所謂、シングルスロープ型アナログ-デジタル変換回路である。
【0027】
時刻コード発生部43は、複数個設けられている。そして、アナログ-デジタル変換部32には、時刻コード発生部43に対応する数だけ時刻コード転送部33が設けられている。すなわち、時刻コード発生部43と時刻コード転送部33とは、1対1の対応関係で設けられている。時刻コード転送部33は、時刻コード発生部43で生成された時刻コードを転送する。
【0028】
時刻コード発生部43は、アナログ-デジタル変換回路31において、画素回路21から供給されるアナログの画素信号Vsigをデジタル信号に変換する際に使用される時刻コードを生成し、対応する時刻コード転送部33に供給する。時刻コード発生部43の詳細については後述する。
【0029】
時刻コードは、アナログ-デジタル変換の際に、アナログの画素信号Vsigとランプ波の参照信号Vrefとが等しくなった時刻を表しており、画素信号Vsigがその時刻の基準電圧であったことを示すデータ、即ち、デジタル化された光量値を表す。
【0030】
垂直駆動部44は、アナログ-デジタル変換部32の各アナログ-デジタル変換回路31でデジタル化された画素信号を、タイミング生成部46から供給されるタイミング信号に基づいて、出力部45に出力させる駆動を行う。
【0031】
出力部45は、垂直駆動部44による駆動の下に、アナログ-デジタル変換部32の各アナログ-デジタル変換回路31から供給される画素信号に対して、所定のデジタル信号処理を行い、その後、第2半導体チップ12外へ出力する。所定のデジタル信号処理としては、黒レベル補正処理やCDS(Correlated Double Sampling:相関二重サンプリング)処理などを例示することができる。
【0032】
タイミング生成部46は、各種のタイミング信号を生成するタイミングジェネレータなどによって構成され、生成した各種のタイミング信号を、画素駆動部41、参照信号生成部42、垂直駆動部44、及び、出力部45等に供給する。
【0033】
テストパターン生成部47及び期待値比較部48は、後述する故障検出回路(BIST:Built-In Self Test)による故障検出に用いられる。テストパターン生成部47は、故障検出(故障検査)に用いるテストパターンを生成する。テストパターン生成部47の詳細については後述する。
【0034】
期待値比較部48は、故障検出回路の出力値を期待値と比較することにより、故障検出に基づく良品/不良品の判定結果を出力する。期待値比較部48の詳細については後述する。
【0035】
[アナログ-デジタル変換回路の構成例]
本開示の実施形態に係る撮像装置におけるアナログ-デジタル変換回路31の具体的な構成例のブロック図を図3に示す。ここでは、1つの画素回路21に対応する1つのアナログ-デジタル変換回路31について図示している。
【0036】
第1半導体チップ11上の画素回路21から出力されるアナログの画素信号Vsigは、Cu-Cu接続等の接続部23を通して、第2半導体チップ12上のアナログ-デジタル変換回路31に供給される。アナログ-デジタル変換回路31には、アナログの画素信号Vsigとして、リセットレベル及び信号レベルの順に入力される。アナログ-デジタル変換回路31には更に、参照信号生成部42で生成されたランプ波の参照信号Vrefが供給される。
【0037】
アナログ-デジタル変換回路31は、比較回路34及びデータ記憶部35から成る構成となっており、アナログの画素信号Vsig(リセットレベル/信号レベル)をデジタル信号に変換する。以下では、リセットレベルをアナログ-デジタル変換したデータを「P相データ」と記述し、信号レベルをアナログ-デジタル変換したデータを「D相データ」と記述する。
【0038】
比較回路34は、差動入力回路341、電圧変換回路342、及び、正帰還回路343を有する構成となっている。
【0039】
差動入力回路341は、画素回路21から供給されるアナログの画素信号Vsigと、参照信号生成部42から供給されるランプ波の参照信号Vrefとを比較し、画素信号Vsigが参照信号Vrefよりも高いときに、比較結果を示す信号(電流)を電圧変換回路342に供給する。
【0040】
電圧変換回路342は、差動入力回路341から供給される、画素信号Vsigと参照信号Vrefとの比較結果を示す信号(電流)を電圧に変換し、正帰還回路343に供給する。
【0041】
正帰還回路343は、電圧変換回路342の出力信号に基づいて、画素信号Vsigが参照信号Vrefよりも高いときに論理反転する比較結果信号VCOを、比較回路34の比較結果としてデータ記憶部35に供給する。また、正帰還回路343は、比較結果信号VCOが反転するときの遷移速度を高速化する。
【0042】
データ記憶部35は、比較回路34の比較結果信号VCOが論理反転したときの時刻コードを保持する。そして、データ記憶部35は、リセットレベルに対応する時刻コードをP相データとして出力する。また、データ記憶部35は、信号レベルに対応する時刻コードをD相データとして出力する。
【0043】
[データ記憶部の構成例]
本開示の実施形態に係る撮像装置におけるアナログ-デジタル変換回路31のデータ記憶部35の基本的な構成例のブロック図を図4に示す。
【0044】
データ記憶部35は、ラッチ回路制御部351、及び、D相データのビット数D(Dは整数)と同じ個数Dのラッチ回路352を有する構成となっている。ラッチ回路制御部351は、垂直駆動部44(図2参照)からの制御信号WORDに従って、比較回路34の比較結果信号VCOの値(論理値「0」又は「1」)を、D個のラッチ回路352のいずれかに保持させる。
【0045】
ラッチ回路352は、ローカルビット線LBLLを介して時刻コード転送部33と接続されている。そして、ラッチ回路352は、ラッチ回路制御部351による制御の下、比較回路34の比較結果信号VCOが論理反転したときの時刻コードを保持する。
【0046】
[アナログ-デジタル変換回路の動作例]
ここで、上記の構成のデータ記憶部35を有するアナログ-デジタル変換回路31の動作について、図5を参照して説明する。図5は、本開示の実施形態に係る撮像装置におけるアナログ-デジタル変換回路31の動作例の説明に供するタイミング波形図である。
【0047】
アナログ-デジタル変換回路31の動作は、垂直同期信号Vsyncの周期である1V期間を単位として実行される。そして、1V期間の開始時刻t10の前において、全画素の露光が開始されているものとする。時刻t11で、参照信号生成部42は、時間経過に応じてレベル(電圧)が単調減少するランプ波の参照信号Vrefの生成を開始する。
【0048】
図5のタイミング波形図において、データバスは、時刻コード転送部33(図2参照)内のリピータ(Repeater)回路のデータである。データ記憶部35のラッチ回路制御部351は、ローカルビット線LBLを介して、時刻コード転送部33から送信されてくるデータをラッチ回路352に書き込み続け、比較回路34の比較結果信号VCOが論理反転する時刻t12でデータの書き込みを停止する。
【0049】
時刻t13で制御信号WORDが低レベルから高レベルに遷移し、これに応答して、ラッチ回路制御部351は、ラッチ回路352に書き込まれたデータを読み出す。この読み出されたデータは、時刻コード転送部33内のメモリ(例えば、図16に示すD型フリップフロップ51)に保持される。このデータは、画素回路21のフローティングディフュージョンFDの電圧値、及び、回路のオフセットを含むリセットレベルを変換したデジタル値(P相データ)となる。P相データは、時刻コード転送部33内のメモリから読み出されて出力部45(図2参照)内のメモリ(例えば、図15に示すSRAM52)に保持される。
【0050】
時刻t14で全画素において露光が終了する。その後、時刻t15で、参照信号生成部42はランプ波の参照信号Vrefの生成を開始する。そして、ラッチ回路制御部351は、ローカルビット線LBLを介して、時刻コード転送部33から送信されてくるデータをラッチ回路352に書き込み続け、比較回路34の比較結果信号VCOが論理反転する時刻t16でデータの書き込みを停止する。
【0051】
時刻t17で制御信号WORDが低レベルから高レベルに遷移し、これに応答して、ラッチ回路制御部351は、ラッチ回路352に書き込まれたデータを読み出す。この読み出されたデータは、時刻コード転送部33内のメモリに保持される。このデータは、信号レベルを変換したデジタル値(D相データ)となる。D相データは、時刻コード転送部33内のメモリから読み出されて出力部45内のメモリ(例えば、図15に示すSRAM53)に保持される。
【0052】
出力部45では、各画素毎に、D相データとP相データとの差分をとることで、画素の固定パターンノイズを除去するCDS(Correlated Double Sampling:相関二重サンプリング)処理が行われる。そして、CDS処理後のデータは、実質的な画素データとして外部へ出力される。
【0053】
[時刻コード発生部の構成例]
図6は、本開示の実施形態に係る撮像装置における時刻コード発生部の具体的な構成例を示すブロック図である。
【0054】
本例に係る時刻コード発生部43は、バイナリカウンタ431、バイナリ・グレイ変換部432、レシーバ433、及び、複数のドライバ434を有し、アナログ-デジタル変換回路31でのアナログ-デジタル変換の際に使用される時刻コードを生成する。
【0055】
バイナリカウンタ431は、レシーバ433を通して入力されるマスタークロックMCKに同期して2進数の計数値を計数する。バイナリカウンタ431は、複数段のD型フリップフロップ4311によって構成されている。
【0056】
このバイナリカウンタ431において、1段目のフリップフロップ4311のクロック端子CKに、マスタークロックMCKが入力される。2段目以降のフリップフロップ4311のクロック端子CKには、前段のフリップフロップ4311のxQ出力(Q出力の反転出力)が入力される。そして、それぞれの段のフリップフロップ4311のxQ出力は、自段のフリップフロップ4311のD入力となるとともに、対応する桁のビットとしてバイナリ・グレイ変換部432に供給される。
【0057】
バイナリ・グレイ変換部432は、バイナリカウンタ431から供給されるバイナリの計数値をグレイコードに変換し、時刻コードとして出力する。ドライバ434は、時刻コード内のビット毎に設けられており、時刻コードのうち、対応するビットFFin[0],FFin[1],・・・をそれぞれ出力する。
【0058】
<実施形態に係る故障検出回路>
続いて、本開示の実施形態に係る故障検出回路(BIST)について説明する。本実施形態に係る故障検出回路は、配線の断線やショートの他、アナログ-デジタル変換回路31のラッチ回路352やそれに付随する回路(例えば、時刻コード転送部33内のリピータ回路)等の故障検出に用いられる。故障検出回路は、故障検出に用いるテストパターンを生成するテストパターン生成部47、及び、故障検出回路の出力値(以下、「BIST出力値」と記述する場合がある)を期待値と比較する期待値比較部48を備えている。
【0059】
以下に、テストパターン生成部47及び期待値比較部48の具体的な構成について説明する。
【0060】
[テストパターン生成部]
本開示の実施形態に係る撮像装置におけるテストパターン生成部47の具体的な構成例を図7に示す。
【0061】
テストパターン生成部47は、バイナリカウンタ471、グレイコード発生器472、加算器473、及び、セレクタ474を有する構成となっており、故障検出に用いるテストパターンを生成する。
【0062】
バイナリカウンタ471は、テストパターンのビット数分の段数のD型フリップフロップ4711によって構成されている。このバイナリカウンタ471において、1段目のフリップフロップ4711のクロック端子CKに、クロック信号CLOCKが入力される。バイナリカウンタ471の動作については、基本的に、時刻コード発生部43のバイナリカウンタ431の動作と同じである。
【0063】
バイナリカウンタ471において、それぞれの段のフリップフロップ4711のQ出力は、対応する桁のビットとしてグレイコード発生器472に供給されるとともに、加算器473を介して、セレクタ474にその第1入力(0)として与えられる。また、フリップフロップ4711のxQ出力(Q出力の反転出力)は、セレクタ474にその第3入力(2)として与えられる。
【0064】
グレイコード発生器472は、通常カウント動作時は、故障検出許可信号BIST_ENABLEに応答して、バイナリカウンタ471で計数されたバイナリの計数値をグレイコードに変換し、テストパターン生成部47の出力データCOUNTER_OUT[11:0]として出力する。グレイコード発生器472の詳細については後述する。
【0065】
加算器473は、フリップフロップ4711のQ出力をカウントアップ(+1)し、セレクタ474にその第1入力(0)として供給する。
【0066】
セレクタ474は、テストパターン初期値INIT_VAL[11:0]を第2入力(1)としており、故障検出許可信号BIST_ENABLEに基づいて、故障検出(BIST)動作時には第2入力(1)又は第3入力(2)を、通常カウント動作時には第1入力(0)をそれぞれ選択し、フリップフロップ4711のD入力とする。
【0067】
上記の構成のバイナリカウンタ471において、セレクタ474が第1入力(0)を選択したときは通常カウント動作が行われる。具体的には、通常カウント動作時は、フリップフロップ4711のQ出力が当該フリップフロップ4711のD入力となるとともに、グレイコード発生器472でグレイコードに変換されたデータが、テストパターン生成部47の出力データCOUNTER_OUT[11:0]として出力される。
【0068】
セレクタ474が第2入力(1)を選択したときは、任意コードのテストパターン初期値INIT_VAL[11:0]がバイナリカウンタ471にセットされる。そして、バイナリカウンタ471の出力データが、そのままグレイコード発生器472を通過し、テストパターン生成部47の出力データCOUNTER_OUT[11:0]として出力される。
【0069】
そして、セレクタ474が第3入力(2)を選択したときは、故障検出(BIST)動作が行われる。具体的には、故障検出動作時は、フリップフロップ4711のxQ出力が当該フリップフロップ4711のD入力となることで、バイナリカウンタ471では、クロック信号CLOCKに同期して、フリップフロップ4711のQ出力の論理“1”と論理“0”が反転するトグル動作が行われる。そして、バイナリカウンタ471のバイナリの計数値がそのままグレイコード発生器472を通過し、トグルパターンとして出力される。
【0070】
通常カウント動作時の信号経路を図8に点線で図示し、故障検出(BIST)動作時の信号経路を図9に破線で図示する。また、テストパターン生成部47における各信号のタイミング波形図を図10に示す。図10のタイミング波形図には、テストパターン初期値INIT_VAL[11:0]、故障検出許可信号BIST_ENABLE、クロック信号CLOCK、及び、テストパターン生成部47の出力データCOUNTER_OUT[11:0]のタイミング関係を示している。
【0071】
上記の構成のテストパターン生成部47では、通常カウント動作時にバイナリカウンタ471として使用するフリップフロップ4711を応用することで、テストパターンとして、クロック信号CLOCKに同期して、フリップフロップ4711のQ出力がトグルするトグルパターンの生成可能な回路構成となっている。トグルパターンをテストパターンとして用いることで、後述するように、故障検出(不良選別)の網羅性の向上を図ることができる。
【0072】
[グレイコード発生器の構成例]
テストパターン生成部47におけるグレイコード発生器472の具体的な構成例を図11に示す。
【0073】
グレイコード発生器472は、複数の排他的論理和回路(EOR)4721、及び、排他的論理和回路4721よりも1つ多いセレクタ4722を有する構成となっている。複数の排他的論理和回路4721は、バイナリカウンタ471から出力されるバイナリコード(バイナリの計数値)をグレイコードに変換する。
【0074】
セレクタ4722は、複数の排他的論理和回路4721から出力されるグレイコードを第1入力(0)とし、バイナリカウンタ471から出力されるバイナリコードを第2入力(1)及び第3入力(2)としている。そして、セレクタ4722は、故障検出許可信号BIST_ENABLEに基づいて、通常カウント動作時には、複数の排他的論理和回路4721から出力されるグレイコードを選択し、故障検出(BIST)動作時には、バイナリカウンタ471から出力されるバイナリコードを選択する。
【0075】
上記の構成のグレイコード発生器472において、通常カウント動作時の信号経路を図12に点線で図示し、故障検出動作時の信号経路を図13に破線で図示する。
【0076】
[期待値比較部]
本開示の実施形態に係る撮像装置における期待値比較部48の具体的な構成例を図14に示す。
【0077】
期待値比較部48は、故障検出回路の出力値、即ち、BIST出力値の各ビットに対応して設けられた排他的論理和回路(EOR)481、及び、これら排他的論理和回路481の各出力を入力とする否定論理和回路482を有する構成となっている。排他的論理和回路481は、各ビット毎に、期待値とBIST出力値とを入力とする。
【0078】
上記の構成の期待値比較部48は、故障検出回路のBIST出力値[11:0]を、期待値[11:0]と比較し、その比較結果を、故障検出に基づく良品/不良品の判定結果として出力する。具体的には、期待値比較部48は、故障検出回路のBIST出力値[11:0]が、期待値[11:0]と全て一致の場合、高レベルの比較結果を出力し、1ビットでも不一致がある場合、低レベルの比較結果を出力する。
【0079】
[交互パターンについて]
配線の断線やショート等の故障検出に用いるテストパターンとしては、論理“1”と論理“0”が交互に並ぶ交互パターンが好ましい。何故ならば、図15Aに示すように、交互パターンでない場合は、ダスト等で配線ショートがあってもそれを検出することができないが、交互パターンの場合は、配線ショートの検出が可能となる。
【0080】
また、図15Bに示すように、交互パターンをトグルさせるトグルパターンであることが好ましい。トグルパターンについては、図10のタイミング波形図に示すように、バイナリカウンタ471でのクロック信号CLOCKに同期したトグル動作によって実現することができる。このように、交互パターンをトグルさせたトグルパターンをテストパターンとして用いて故障検出を行うことにより、特に隣接配線間のショートの故障検出を網羅的に実施することができる。
【0081】
[故障検出処理]
続いて、上記の構成の故障検出回路による故障検出処理の具体的な実施例について説明する。故障検出の対象となる回路の要部の構成例を図16に示す。
【0082】
(実施例1)
実施例1は、故障検出処理の基本形である。実施例1の構成例では、時刻コードセット(Write)、P相リード(Read)、D相リード(Read)、それぞれ専用の独立したラッチ回路352W,352P,352D、及び、転送回路331W,331P,331Dを有する構成となっている。ここで、ラッチ回路352W,352P,352Dは、アナログ-デジタル変換回路31のデータ記憶部35のラッチ回路331に相当し、転送回路331W,331P,331Dは、時刻コード転送部33のリピータ回路であり、いずれも、テストパターンのビット数分設けられている。
【0083】
尚、実施例1では、時刻コードセット、P相リード、D相リード、それぞれ専用の独立した回路構成としているが、それぞれ共通の回路構成であってもよい。但し、独立した回路構成とした方が、例えば、P相データを書き込んだ後、P相データを読み出しながらD相データを書き込むという並列処理を行うことができるために、高速処理の観点からすると、並列処理を行うことができない共通の回路構成の場合よりも有利である。
【0084】
図17は、実施例1に係る故障検出処理の手順の一例を示すフローチャートである。以下に説明する故障検出(BIST)処理では、時刻コードセット(Write)の転送回路331Wを書込み転送レーンと呼び、P相リードの転送回路331PをP相読出し転送レーンと呼び、D相リードの転送回路331DをD相読出し転送レーンと呼ぶ。
【0085】
故障検出処理では、先ず、グレイコード発生器472から出力される任意コードに基づくテストパターンを、書込み転送レーン経由で書込み用のラッチ回路352Wにセットする(ステップS11)。この処理により、書込み転送レーン及び書込み用のラッチ回路352Wの故障検出を行うことができる。実施例1に係る故障検出処理におけるステップS11の具体的な処理の概略についての説明図を図18に示す。
【0086】
次に、P相読出し転送レーン経由でP相読出し用のラッチ回路352Pからテストパターンを読み出し、出力部45(図2参照)内のSRAM52に保持する(ステップS12)。この処理により、P相読出し転送レーン及びP相読出し用のラッチ回路352Pの故障検出を行うことができる。実施例1に係る故障検出処理におけるステップS12の具体的な処理の概略についての説明図を図19に示す。
【0087】
次に、ステップS11の処理と同様に、任意コードに基づくテストパターンを、書込み転送レーン経由で書込み用のラッチ回路352Wにセットする(ステップS13)。実施例1に係る故障検出処理におけるステップS13の具体的な処理の概略についての説明図を図20に示す。
【0088】
次に、D相読出し転送レーン経由でD相読出し用のラッチ回路352Dからテストパターンを読み出し、出力部45(図2参照)内のSRAM53に保持する(ステップS14)。この処理により、D相読出し転送レーン及びD相読出し用のラッチ回路352Pの故障検出を行うことができる。実施例1に係る故障検出処理におけるステップS14の具体的な処理の概略についての説明図を図21に示す。
【0089】
次に、P相読出し転送レーン経由で読み出して、SRAM52に保持したデータ(テストパターン)、及び、D相リード転送レーン経由で読み出して、SRAM53に保持したデータ(テストパターン)について、期待値と一致するか否かの期待値比較を行う(ステップS15)。そして、期待値比較の比較結果が一致であれば、高レベルの比較結果を出力し(ステップS16)、期待値比較の比較結果が不一致であれば、低レベルの比較結果を出力し(ステップS17)、しかる後、故障検出のための一連の処理を終了する。
【0090】
上述した実施例1に係る故障検出処理により、画素に対応して設けられたラッチ回路、及び、それに付随する回路について、網羅的に故障検出を行うことができる。具体的には、実施例1では、書込み用のラッチ回路352W、P相読出し用のラッチ回路352P、及び、D相読出し用のラッチ回路352D、並びに、書込み転送レーン(転送回路331W)、P相読出し転送レーン(転送回路331P)、及び、D相読出し転送レーン(転送回路331D)の故障検出が網羅されている。そして、本故障検出処理によれば、実際の撮像に基づく故障検出ではないため、生産時の良品/不良品の選別時間の短縮化を図ることができる。
【0091】
また、本開示の撮像装置は、積層型チップ構造を有しており、画素チップ(第1半導体チップ11)と回路チップ(第2半導体チップ12)とを貼り合わせないと動作が完成しないが、故障検出(BIST)を回路チップのみで完結できるために、貼り合わせ前に不良チップの選別が可能になる。具体的には、画素ウェハと貼り合わせる前に回路ウェハのみで故障検出を行うことができることから、例えば、回路ウェハの中の正常な回路チップのみを貼り合わせの工程に回すことで、歩留りを向上できるため、撮像装置のコスト低減を図ることができる。また、本故障検出回路を搭載した撮像装置によれば、白点や黒点などの欠陥のない高品質の撮像画像を得ることができる。
【0092】
(実施例2)
実施例2は、実施例1の変形例であり、通常動作中に故障検出を行う例である。実施例2に係る故障検出処理について説明するタイミング波形図を図22に示す。
【0093】
図22のタイミング波形図に示すように、実施例1に係る故障検出処理におけるステップS15の比較処理、即ち、P相/D相のBIST期待値比較(P_BIST/D_BIST)の処理を、通常動作中に垂直ブランキング期間で行うようにする。このように、通常動作中に故障検出を行うことにより、初期不良だけでなく、後発不良のセルフ故障検出に応用することができる。具体的には、後発不良が発生した際に、撮像装置自身でその不良を検出し、故障フラグを上げるようにすることができる。
【0094】
(実施例3)
実施例3は、実施例1の変形例であり、故障検出(BIST)時の過剰なIRドロップによる動作不良を回避するための例である。実施例3に係る故障検出処理の動作の概念図を図23に示す。
【0095】
故障検出(BIST)を、撮像装置全体のリピータ回路(図16の転送回路331W,331P,331D)について実施する訳であるが、実施例1に係る故障検出処理では、先述したように、交互パターンをトグルさせるため、常に全ビット反転する動きになり、全部同時に実施すると、消費電力が増えることで過剰なIRドロップが発生し、動作不良が起きる懸念がある。
【0096】
そこで、実施例3に係る故障検出処理では、リピータ回路(図23の例では、REP000~REP1000)を、所定数、例えば16個のリピータ回路を単位としてグループ化し、リピータ回路の故障検出について、全て同時に実施するのではなく、グループ単位で部分的に実施するようにする。これにより、消費電力の増大を抑えることができるため、故障検出(BIST)時の過剰なIRドロップによる動作不良を回避することができる。
【0097】
<変形例>
以上、本開示に係る技術について、好ましい実施形態に基づき説明したが、本開示に係る技術は当該実施形態に限定されるものではない。上記の実施形態において説明した撮像装置の構成、構造は例示であり、適宜、変更することができる。
【0098】
<応用例>
以上説明した本実施形態に係る撮像装置は、例えば図24に示すように、可視光、赤外光、紫外光、X線等の光をセンシングする様々な装置に使用することができる。様々な装置の具体例について以下に列挙する。
【0099】
・デジタルカメラや、カメラ機能付きの携帯機器等の、鑑賞の用に供される画像を撮影する装置
・自動停止等の安全運転や、運転者の状態の認識等のために、自動車の前方や後方、周囲、車内等を撮影する車載用センサ、走行車両や道路を監視する監視カメラ、車両間等の測距を行う測距センサ等の、交通の用に供される装置
・ユーザのジェスチャを撮影して、そのジェスチャに従った機器操作を行うために、TVや、冷蔵庫、エアーコンディショナ等の家電に供される装置
・内視鏡や、赤外光の受光による血管撮影を行う装置等の、医療やヘルスケアの用に供される装置
・防犯用途の監視カメラや、人物認証用途のカメラ等の、セキュリティの用に供される装置
・肌を撮影する肌測定器や、頭皮を撮影するマイクロスコープ等の、美容の用に供され装置
・スポーツ用途等向けのアクションカメラやウェアラブルカメラ等の、スポーツの用に供される装置
・畑や作物の状態を監視するためのカメラ等の、農業の用に供される装置
【0100】
<本開示に係る技術の適用例>
本開示に係る技術は、様々な製品に適用することができる。以下に、より具体的な適用例について説明する。
【0101】
[本開示の電子機器]
ここでは、デジタルスチルカメラやビデオカメラ等の撮像システムや、携帯電話機などの撮像機能を有する携帯端末装置や、画像読取部に撮像素子を用いる複写機などの電子機器に適用する場合について説明する。
【0102】
(撮像システムの例)
図25は、本開示の電子機器の一例である撮像システムの構成例を示すブロック図である。
【0103】
図25に示すように、本例に係る撮像システム100は、レンズ群等を含む撮像光学系101、撮像部102、DSP(Digital Signal Processor)回路103、フレームメモリ104、表示装置105、記録装置106、操作系107、及び、電源系108等を有している。そして、DSP回路103、フレームメモリ104、表示装置105、記録装置106、操作系107、及び、電源系108がバスライン109を介して相互に接続された構成となっている。
【0104】
撮像光学系101は、被写体からの入射光(像光)を取り込んで撮像部102の撮像面上に結像する。撮像部102は、光学系101によって撮像面上に結像された入射光の光量を画素単位で電気信号に変換して画素信号として出力する。DSP回路103は、一般的なカメラ信号処理、例えば、ホワイトバランス処理、デモザイク処理、ガンマ補正処理などを行う。
【0105】
フレームメモリ104は、DSP回路103での信号処理の過程で適宜データの格納に用いられる。表示装置105は、液晶表示装置や有機EL(electro luminescence)表示装置等のパネル型表示装置から成り、撮像部102で撮像された動画または静止画を表示する。記録装置106は、撮像部102で撮像された動画または静止画を、可搬型の半導体メモリや、光ディスク、HDD(Hard Disk Drive)等の記録媒体に記録する。
【0106】
操作系107は、ユーザによる操作の下に、本撮像装置100が持つ様々な機能について操作指令を発する。電源系108は、DSP回路103、フレームメモリ104、表示装置105、記録装置106、及び、操作系107の動作電源となる各種の電源を、これら供給対象に対して適宜供給する。
【0107】
上記の構成の撮像システム100において、撮像部102として、先述した実施形態に係る撮像装置を用いることができる。当該撮像装置によれば、本開示に係る技術が適用される故障検出(BIST)によって歩留りを向上できるため、撮像システム100の低コスト化に寄与できる。また、白点や黒点などの欠陥のない高品質の撮像画像を得ることができる。
【0108】
[移動体への応用例]
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット、建設機械、農業機械(トラクター)などのいずれかの種類の移動体に搭載される撮像装置として実現されてもよい。
【0109】
図26は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0110】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図1021に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
【0111】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0112】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0113】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0114】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0115】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0116】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0117】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0118】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0119】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図26の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0120】
図27は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0121】
図27では、車両12100は、撮像部12031として、撮像部12101,12102,12103,12104,12105を有する。
【0122】
撮像部12101,12102,12103,12104,12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102,12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。撮像部12101及び12105で取得される前方の画像は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0123】
なお、図27には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0124】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0125】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0126】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0127】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0128】
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、例えば、撮像部12031等に適用され得る。そして、撮像部12031等に本開示に係る技術を適用することにより、故障検出(BIST)によって歩留りを向上できるため、安価な車両制御システムを構築できる。また、白点や黒点などの欠陥のない高品質の撮像画像を得ることができる。
【0129】
<本開示がとることができる構成>
尚、本開示は、以下のような構成をとることもできる。
【0130】
≪A.撮像装置≫
[A-1]光電変換素子を含む画素回路が形成された第1半導体チップ、及び、画素回路に対応してアナログ-デジタル変換回路が形成された第2半導体チップの少なくとも2つの半導体チップが積層された積層型チップ構造を有しており、
アナログ-デジタル変換回路は、アナログ-デジタル変換後のデジタルコードを保持するラッチ回路、及び、アナログ-デジタル変換後のデジタルコードを転送する転送回路を有しており、
アナログ-デジタル変換回路の故障検出を行う故障検出回路を備え、
故障検出回路は、故障検出のためのテストパターンを、転送回路を経由してラッチ回路に書き込んだ後、ラッチ回路から転送回路を経由して読み出し、この読み出したテストパターンを期待値と比較することによって故障検出を行う、
撮像装置。
[A-2]テストパターンは、論理“1”と論理“0”が交互に並ぶ交互パターンである、
上記[A-1]に記載の撮像装置。
[A-3]テストパターンは、テストパターン生成のためのクロック信号に同期して、交互パターンの論理が反転するトグルパターンである、
上記[A-2]に記載の撮像装置。
[A-4]画素回路から出力される信号レベルをアナログ-デジタル変換したデータをD相データとし、リセットレベルをアナログ-デジタル変換したデジタルデータをP相データとするとき、
アナログ-デジタル変換回路は、
ラッチ回路として、テストパターンの書込み用のラッチ回路、P相読出し用のラッチ回路、及び、D相読出し用のラッチ回路を有し、
転送回路として、テストパターンの書込み用の転送回路、P相読出し用の転送回路、及び、D相読出し用の転送回路を有する、
上記[A-1]乃至上記[A-3]のいずれかに記載の撮像装置。
[A-5]故障検出回路は、
書込み用の転送回路経由でテストパターンを書込み用のラッチ回路に書き込み、
次いで、P相読出し用のラッチ回路からP相読出し用の転送回路経由でテストパターンを読み出し、
次いで再度、書込み用の転送回路経由でテストパターンを書込み用のラッチ回路に書き込み、
次いで、D相読出し用のラッチ回路からD相読出し用の転送回路経由でテストパターンを読み出す、
上記[A-4]に記載の撮像装置。
[A-6]故障検出回路は、P相読出し用のラッチ回路からP相読出し用の転送回路経由で読み出したテストパターン、及び、D相読出し用のラッチ回路からD相読出し用の転送回路経由で読み出したテストパターンについて、期待値と一致するか否かの期待値比較を行う、
上記[A-5]に記載の撮像装置。
[A-7]故障検出回路は、期待値比較の処理を垂直ブランキング期間内で行う、
上記[A-6]に記載の撮像装置。
[A-8]転送回路を所定数を単位としてグループ化したとき、
故障検出回路は、転送回路の故障検出を行う際に、グループ単位で部分的に故障検出を実施する、
上記[A-1]乃至上記[A-7]のいずれかに記載の撮像装置。
【0131】
≪B.電子機器≫
[B-1]光電変換素子を含む画素回路が形成された第1半導体チップ、及び、画素回路に対応してアナログ-デジタル変換回路が形成された第2半導体チップの少なくとも2つの半導体チップが積層された積層型チップ構造を有しており、
アナログ-デジタル変換回路は、アナログ-デジタル変換後のデジタルコードを保持するラッチ回路、及び、アナログ-デジタル変換後のデジタルコードを転送する転送回路を有しており、
アナログ-デジタル変換回路の故障検出を行う故障検出回路を備え、
故障検出回路は、故障検出のためのテストパターンを、転送回路を経由してラッチ回路に書き込んだ後、ラッチ回路から転送回路を経由して読み出し、この読み出したテストパターンを期待値と比較することによって故障検出を行う、
撮像装置を有する電子機器。
[B-2]テストパターンは、論理“1”と論理“0”が交互に並ぶ交互パターンである、
上記[B-1]に記載の電子機器。
[B-3]テストパターンは、テストパターン生成のためのクロック信号に同期して、交互パターンの論理が反転するトグルパターンである、
上記[B-2]に記載の電子機器。
[B-4]画素回路から出力される信号レベルをアナログ-デジタル変換したデータをD相データとし、リセットレベルをアナログ-デジタル変換したデジタルデータをP相データとするとき、
アナログ-デジタル変換回路は、
ラッチ回路として、テストパターンの書込み用のラッチ回路、P相読出し用のラッチ回路、及び、D相読出し用のラッチ回路を有し、
転送回路として、テストパターンの書込み用の転送回路、P相読出し用の転送回路、及び、D相読出し用の転送回路を有する、
上記[B-1]乃至上記[B-3]のいずれかに記載の電子機器。
[B-5]故障検出回路は、
書込み用の転送回路経由でテストパターンを書込み用のラッチ回路に書き込み、
次いで、P相読出し用のラッチ回路からP相読出し用の転送回路経由でテストパターンを読み出し、
次いで再度、書込み用の転送回路経由でテストパターンを書込み用のラッチ回路に書き込み、
次いで、D相読出し用のラッチ回路からD相読出し用の転送回路経由でテストパターンを読み出す、
上記[B-4]に記載の電子機器。
[B-6]故障検出回路は、P相読出し用のラッチ回路からP相読出し用の転送回路経由で読み出したテストパターン、及び、D相読出し用のラッチ回路からD相読出し用の転送回路経由で読み出したテストパターンについて、期待値と一致するか否かの期待値比較を行う、
上記[B-5]に記載の電子機器。
[B-7]故障検出回路は、期待値比較の処理を垂直ブランキング期間内で行う、
上記[B-6]に記載の電子機器。
[B-8]転送回路を所定数を単位としてグループ化したとき、
故障検出回路は、転送回路の故障検出を行う際に、グループ単位で部分的に故障検出を実施する、
上記[B-1]乃至上記[B-7]のいずれかに記載の電子機器。
【符号の説明】
【0132】
11・・・第1半導体チップ(画素チップ)、12・・・第2半導体チップ(回路チップ)、21・・・画素回路、22・・・画素アレイ部、31・・・アナログ-デジタル変換回路、32・・・アナログ-デジタル変換部、33・・・時刻コード転送部、34・・・比較回路、35・・・データ記憶部、41・・・画素駆動部、42・・・参照信号生成部、43・・・時刻コード発生部、44・・・垂直駆動部、45・・・出力部、46・・・タイミング生成部、47・・・テストパターン生成部、48・・・期待値比較部、331W・・・時刻コードセットの転送回路(書込み転送レーン)、331P・・・P相リードの転送回路(P相読出し転送レーン)、331D・・・D相リードの転送回路(D相読出しレーン)、351・・・ラッチ回路制御部、352・・・ラッチ回路、352W・・・書込み用のラッチ回路、352P・・・P相読出し用のラッチ回路、352D・・・D相読出し用のラッチ回路
図1
図2
図3
図4
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