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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】撮像装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/70 20230101AFI20240514BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
H04N25/70
H01L27/146 A
H01L27/146 D
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020568055
(86)(22)【出願日】2020-01-08
(86)【国際出願番号】 JP2020000301
(87)【国際公開番号】W WO2020153123
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2022-11-14
(31)【優先権主張番号】P 2019010933
(32)【優先日】2019-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 ルォンフォン
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-220370(JP,A)
【文献】国際公開第2016/170833(WO,A1)
【文献】特開2011-159958(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 25/70
H01L 27/146
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1半導体チップ及び第2半導体チップの少なくとも2つの半導体チップが積層されて成る積層型チップ構造を有し、
前記第1半導体チップには、受光部を含む画素が行列状に2次元配置されており、
前記第2半導体チップには、前記画素を選択走査する走査部、及び、前記画素から出力されるアナログ信号を処理する信号処理部が配置されており、
前記走査部は、行列状の画素配列に対し、画素行に沿って配置され、
前記第1半導体チップに配線され、前記走査部から出力される信号を前記画素に伝送する画素制御線は、前記画素配列の列方向に沿って配線されたパスと、行方向に沿って配線されたパスとから成り、
前記列方向に沿って配線されたパスは、所定の長さを単位として、所定量ずつ前記行方向へシフトさせた配線形状としてレイアウトされている、
撮像装置。
【請求項2】
前記信号処理部は、前記画素から出力される前記アナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ-デジタル変換部を有する、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記アナログ-デジタル変換部は、前記行列状の前記画素配列の画素列に対応して設けられた複数のアナログ-デジタル変換器から成る、
請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記走査部及び前記アナログ-デジタル変換部は、所定の回路を単位とするユニットが並列に配置されて成り、
前記走査部のユニット数は、前記画素配列の行数に比例し、
前記アナログ-デジタル変換部のユニット数は、前記画素配列の列数に比例する、
請求項2に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記走査部のユニットのピッチと、前記アナログ-デジタル変換部のユニットのピッチとが同じである、
請求項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記走査部のユニットのピッチと、前記アナログ-デジタル変換部のユニットのピッチとが異なっており、
前記走査部及び前記アナログ-デジタル変換部のレイアウトピッチ比が、前記画素配列の前記行数/前記列数の比と同じである、
請求項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記第2半導体チップは、前記第1半導体チップに対し、前記列方向の両端部に設けられた2つのチップから成る、
請求項2に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記2つのチップそれぞれに、前記走査部及び前記アナログ-デジタル変換部が配置されている、
請求項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記2つのチップに一方に前記走査部が配置され、他方に前記アナログ-デジタル変換部が配置されている、
請求項に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記第1半導体チップと前記第2半導体チップとを電気的に接続する接続部は、シリコン貫通電極(TSV)、又は、カッパー-カッパー接続(Cu-Cu接続)から成る、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記接続部が前記カッパー-カッパー接続(Cu-Cu接続)から成るとき、
前記走査部は、前記列方向の中央部に配置されている、
請求項10に記載の撮像装置。
【請求項12】
垂直信号線を第1メタル層にレイアウトし、前記画素制御線の前記列方向のパスを第2メタル層にレイアウトし、前記画素制御線の前記行方向のパスを第3メタル層にレイアウトし、
前記画素制御線の前記列方向のパスのシフトを、第2メタル層での前記行方向の配線で実現する、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項13】
垂直信号線を第1メタル層にレイアウトし、前記画素制御線の前記列方向のパスを第2メタル層にレイアウトし、前記画素制御線の前記行方向のパスを第3メタル層にレイアウトし、
前記画素制御線の前記列方向のパスのシフトを、第2メタル層での斜め方向の配線で実現する、
請求項に記載の撮像装置。
【請求項14】
垂直信号線及び前記画素制御線の前記列方向のパスを第1メタル層にレイアウトし、前記画素制御線の前記行方向のパスを第2メタル層にレイアウトし、
前記画素制御線の前記列方向のパスのシフトを、前記第2メタル層での前記行方向又は斜め方向の配線で実現する、
請求項に記載の撮像装置。
【請求項15】
第1半導体チップ及び第2半導体チップの少なくとも2つの半導体チップが積層されて成る積層型チップ構造を有し、
前記第1半導体チップには、受光部を含む画素が行列状に2次元配置されており、
前記第2半導体チップには、前記画素を選択走査する走査部、及び、前記画素から出力されるアナログ信号を処理する信号処理部が配置されており、
前記走査部は、行列状の画素配列に対し、画素行に沿って配置され、
前記第1半導体チップに配線され、前記走査部から出力される信号を前記画素に伝送する画素制御線は、前記画素配列の列方向に沿って配線されたパスと、行方向に沿って配線されたパスとから成り、
前記列方向に沿って配線されたパスは、所定の長さを単位として、所定量ずつ前記行方向へシフトさせた配線形状としてレイアウトされている、
撮像装置を有する電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
CMOSイメージセンサに代表される撮像装置は、受光部(光電変換素子)を含む画素が行列状に2次元配置されて成る画素アレイ部(画素配列)、及び、画素アレイ部の各画素に関する処理を行う回路部を有する構成となっている。そして、チップサイズの小型化等を目的として、撮像装置の半導体チップ構造として、画素が配置された第1半導体チップ(所謂、画素チップ)、及び、回路部が配置された第2半導体チップ(所謂、回路チップ)の少なくとも2つの半導体チップが積層されて成る、所謂、積層型チップ構造が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-159958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、積層型チップ構造を有する撮像装置では、画素アレイ部と同じ半導体チップに回路部を配置した、所謂、平置型チップ構造の場合と同様に、画素アレイ部(画素配列)の各画素を選択走査する走査部を、画素アレイ部の画素列に沿って配置し、走査部以外の回路部を、画素行に沿って配置している。積層型チップ構造において、画素アレイ部の面積が小さい撮像装置では、画素チップと同サイズの回路チップであっても、回路チップ内に無駄な空き領域を生じることなく効率的に回路部を配置することができる。
【0005】
一方、画素アレイ部の面積が大きい大判の撮像装置では、回路チップのサイズを画素チップと同じサイズにした場合、画素列に沿って配置される走査部のサイズが、画素アレイ部の列方向のサイズに対応して大きくなる分だけ、回路チップに無駄な空き領域が発生してしまう可能性が高い。
【0006】
そこで、本開示は、積層型チップ構造において、画素アレイ部の面積が大きい場合であっても、回路部が配置された回路チップ(第2半導体チップ)に無駄な空き領域が生じないようにした撮像装置、及び、当該撮像装置を有する電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本開示の撮像装置は、
第1半導体チップ及び第2半導体チップの少なくとも2つの半導体チップが積層されて成る積層型チップ構造を有し、
第1半導体チップには、受光部を含む画素が行列状に2次元配置されており、
第2半導体チップには、画素を選択走査する走査部、及び、画素から出力されるアナログ信号を処理する信号処理部が配置されており、
走査部は、行列状の画素配列に対し、画素行に沿って配置されている、
構成となっている。
【0008】
また、上記の目的を達成するための本開示の電子機器は、上記の構成の撮像装置を有する構成となっている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本開示の実施形態に係る撮像装置の積層型チップ構造の概略を示す分解斜視図である。
図2図2は、画素の回路構成の一例を示す回路図である。
図3図3は、従来例に係る積層型チップ構造を示す図であり、図3Aに、第1半導体チップの構成の概略を示し、図3Bに、第2半導体チップの構成の概略を示している。
図4図4A及び図4Bは、第2半導体チップをより小さいチップに分割した場合の第1半導体チップ及び第2半導体チップの構成の概略を示す図である。
図5図5は、走査部を含む2つのチップ、並びに、アナログ-デジタル変換部及びロジック回路部を含む2つのチップのダイシングについて説明する図である。
図6図6は、実施例1に係る積層型チップ構造を示す図であり、図6Aに、第1半導体チップの構成の概略を示し、図6Bに、第2半導体チップの構成の概略を示している。
図7図7は、第1半導体チップにおける画素制御線及び垂直信号線の配線、並びに、第1半導体チップと第2半導体チップとの接続の概略について説明する分解斜視図である。
図8図8は、第1半導体チップと第2半導体チップとを電気的に接続する接続部の構成例を示す断面図であり、図8Aに、シリコン貫通電極(TSV)の例を示し、図8Bに、Cu-Cu接続(カッパー-カッパー接続)の例を示している。
図9図9は、Cu-Cu接続の場合の効果を説明する図である。
図10図10は、走査部のユニット及びアナログ-デジタル変換部のユニットのレイアウトについて説明する図であり、図10Aに、走査部のユニットとアナログ-デジタル変換部のユニットのピッチを揃える例を示し、図10Bに、走査部のブロック横の空き領域を有効利用する例を示し、図10Cに、走査部のユニットとアナログ-デジタル変換部のユニットのピッチを異ならせる例を示している。
図11図11は、実施例2に係る積層型チップ構造を示す図であり、図11Aに、第1半導体チップの構成の概略を示し、図11Bに、第2半導体チップの構成の概略を示している。
図12図12は、実施例3に係る積層型チップ構造を示す図であり、図12Aに、第1半導体チップの構成の概略を示し、図12Bに、第2半導体チップの構成の概略を示している。
図13図13は、実施例4に係る積層型チップ構造を示す図であり、図13Aに、第1半導体チップの構成の概略を示し、図13Bに、第2半導体チップの構成の概略を示している。
図14図14は、実施例5に係る積層型チップ構造を示す図であり、図14Aに、第1半導体チップの構成の概略を示し、図14Bに、第2半導体チップの構成の概略を示している。
図15図15は、実施例6に係る積層型チップ構造を示す図であり、図15Aに、第1半導体チップの構成の概略を示し、図15Bに、第2半導体チップの構成の概略を示している。
図16図16は、画素制御線と垂直信号線との間に発生する配線寄生容量について説明する図であり、図16Aに、同じメタル層にレイアウトした場合の配線寄生容量を示し、図16Bに、異なるメタル層にレイアウトした場合の配線寄生容量を示している。
図17図17は、配線寄生容量のカップリングによる不具合について説明する図であり、図17Aに、画素制御線及び垂直信号線のレイアウトの例を示し、図17Bに、ある画素行がアクセスされた場合のタイミングチャートを示している。
図18図18は、実施例7に係る積層型チップ構造における画素制御線の列方向のパスの配線形状例1を示す図である。
図19図19は、実施例7に係る積層型チップ構造における画素制御線の列方向のパスの配線形状例2を示す図である。
図20図20は、実施例7に係る積層型チップ構造における画素制御線の列方向のパスの配線形状例3を示す図である。
図21図21は、画素制御線の列方向のパスと行方向のパスとの接続関係を示す図(その1)であり、図21Aに、バリエーション1を示し、図21Bに、バリエーション2を示し、図21Cに、バリエーション3を示している。
図22図22は、画素制御線の列方向のパスと行方向のパスとの接続関係を示す図(その2)であり、図22Aに、バリエーション4を示し、図22Bに、バリエーション5を示している。
図23図23は、本開示に係る技術の適用例を示す図である。
図24図24は、本開示の電子機器の一例である撮像システムの構成例の概略を示すブロック図である。
図25図25は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
図26図26は、移動体制御システムにおける撮像部及び車外情報検出部の設置位置の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の技術を実施するための形態(以下、「実施形態」と記述する)について図面を用いて詳細に説明する。本開示の技術は実施形態に限定されるものではない。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。尚、説明は以下の順序で行う。
1.本開示の撮像装置及び電子機器、全般に関する説明
2.実施形態に係る撮像装置
2-1.積層型チップ構造の構成例
2-2.画素の回路構成例
2-3.従来の積層型チップ構造におけるチップ構成例
3.本開示の実施形態
3-1.実施例1(回路チップを画素チップに対し、列方向の片側に配置する例)
3-2.実施例2(回路チップを画素チップに対し、列方向の両端部に配置する例)
3-3.実施例3(回路チップについて、走査部を独立のチップにする例)
3-4.実施例4(走査部を列方向の端部に配置する例)
3-5.実施例5(実施例4の変形例:走査部を列方向の中央部に配置する例)
3-6.実施例6(回路チップの行方向の端部に周辺回路等を配置する例)
3-7.実施例7(配線寄生容量のカップリングを分散する例)
3-8.実施例8(画素制御線の列方向のパスと行方向のパスとの接続関係のバリエーションを示す例)
4.変形例
5.応用例
6.本開示に係る技術の適用例
6-1.本開示の電子機器(撮像装置の例)
6-2.移動体への応用例
7.本開示がとることができる構成
【0011】
<本開示の撮像装置及び電子機器、全般に関する説明>
本開示の撮像装置及び電子機器にあっては、信号処理部について、画素から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ-デジタル変換部を有する構成とすることができる。アナログ-デジタル変換部については、行列状の画素配列の画素列に対応して設けられた複数のアナログ-デジタル変換器から成る構成とすることができる。
【0012】
上述した好ましい構成を含む本開示の撮像装置及び電子機器にあっては、第1半導体チップに配線され、走査部から出力される信号を画素に伝送する画素制御線について、画素配列の列方向に沿って配線されたパスと、行方向に沿って配線されたパスとから成る構成とすることができる。
【0013】
また、上述した好ましい構成を含む本開示の撮像装置及び電子機器にあっては、走査部及びアナログ-デジタル変換部について、所定の回路を単位とするユニットが並列に配置されて成る構成とすることができる。このとき、走査部のユニット数については、画素配列の行数に比例し、アナログ-デジタル変換部のユニット数については、画素配列の列数に比例することが好ましい。
【0014】
また、上述した好ましい構成を含む本開示の撮像装置及び電子機器にあっては、走査部のユニットのピッチと、アナログ-デジタル変換部のユニットのピッチとが同じである構成とすることができる。あるいは又、走査部のユニットのピッチと、アナログ-デジタル変換部のユニットのピッチとが異なる構成とすることができる。このとき、走査部及びアナログ-デジタル変換部のレイアウトピッチ比が、画素配列の行数/列数の比と同じであることが好ましい。
【0015】
また、上述した好ましい構成を含む本開示の撮像装置及び電子機器にあっては、第2半導体チップについて、第1半導体チップに対し、列方向の両端部に設けられた2つのチップから成る構成とすることができる。そして、2つのチップそれぞれに、走査部及びアナログ-デジタル変換部が配置されている、あるいは又、2つのチップに一方に走査部が配置され、他方にアナログ-デジタル変換部が配置されている構成とすることができる。
【0016】
また、上述した好ましい構成を含む本開示の撮像装置及び電子機器にあっては、第1半導体チップと第2半導体チップとを電気的に接続する接続部について、シリコン貫通電極(Through Sillicon Via:TSV)、又は、カッパー-カッパー接続(Cu-Cu接続)から成る構成とすることができる。そして、接続部がカッパー-カッパー接続(Cu-Cu接続)から成るとき、走査部について、列方向の中央部に配置されている構成とすることができる。
【0017】
また、上述した好ましい構成を含む本開示の撮像装置及び電子機器にあっては、第1半導体チップに配線され、走査部から出力される信号を画素に伝送する画素制御線が、画素配列の列方向に沿って配線されたパスと、行方向に沿って配線されたパスとから成るとき、列方向に沿って配線されたパスについて、所定の長さを単位として、所定量ずつ行方向へシフトさせた配線形状としてレイアウトされている構成とすることができる。
【0018】
また、上述した好ましい構成を含む本開示の撮像装置及び電子機器にあっては、垂直信号線を第1メタル層にレイアウトし、画素制御線の列方向のパスを第2メタル層にレイアウトし、画素制御線の行方向のパスを第3メタル層にレイアウトし、画素制御線の列方向のパスのシフトを、第2メタル層での行方向の配線で実現する構成とすることができる。
【0019】
あるいは又、上述した好ましい構成を含む本開示の撮像装置及び電子機器にあっては、垂直信号線を第1メタル層にレイアウトし、画素制御線の列方向のパスを第2メタル層にレイアウトし、画素制御線の行方向のパスを第3メタル層にレイアウトし、画素制御線の列方向のパスのシフトを、第2メタル層での斜め方向の配線で実現する構成とすることができる。
【0020】
あるいは又、上述した好ましい構成を含む本開示の撮像装置及び電子機器にあっては、垂直信号線及び画素制御線の列方向のパスを第1メタル層にレイアウトし、画素制御線の行方向のパスを第2メタル層にレイアウトし、画素制御線の列方向のパスのシフトを、第2メタル層での行方向又は斜め方向の配線で実現する構成とすることができる。
【0021】
<実施形態に係る撮像装置>
[積層型チップ構造の構成例]
本開示の実施形態に係る撮像装置は、第1半導体チップ及び第2半導体チップの少なくとも2つの半導体チップが積層されて成る積層型チップ構造を有している。本開示の実施形態に係る撮像装置の積層型チップ構造の分解斜視図を図1に示す。
【0022】
図1に示す積層型チップ構造は、第1半導体チップ11及び第2半導体チップ12の2つの半導体チップが積層されて成る2層構造となっている。ここでは、積層型チップ構造として、2つの半導体チップが積層されて成る2層構造を例示しているが、3つ以上の半導体チップが積層されて成る多層構造とすることもできる。
【0023】
2層構造のチップ構造において、1層目の第1半導体チップ11は、受光部(例えば、フォトダイオード)を含む画素21が行列状に2次元配置されて成る画素配列を有する画素アレイ部22が形成された画素チップである。2層目の第2半導体チップ12は、行列状に2次元配置された画素21の選択走査や、画素21から出力されるアナログの画素信号に対する信号処理など、画素アレイ部22の各画素21に関する処理を行う回路部31が形成された回路チップである。
【0024】
[画素の回路構成例]
図2は、画素21の回路構成の一例を示す回路図である。画素21は、受光部である光電変換素子として、例えば、フォトダイオード211を有している。画素21の画素回路は、フォトダイオード211に加えて、転送トランジスタ212、リセットトランジスタ213、増幅トランジスタ214、及び、選択トランジスタ215を有する回路構成となっている。
【0025】
転送トランジスタ212、リセットトランジスタ213、増幅トランジスタ214、及び、選択トランジスタ215の4つのトランジスタとしては、例えばNチャネルのMOS型電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor:FET)を用いている。画素21をNチャネルトランジスタのみで構成することで、面積効率や工程削減視点の最適化を図ることができる。但し、ここで例示した4つのトランジスタ212~215の導電型の組み合わせは一例に過ぎず、これらの組み合わせに限られるものではない。
【0026】
尚、第1半導体チップ11の画素アレイ部22において、行列状の画素配列に対し、画素行毎に画素制御線41(411,412,413)が行方向に沿って配線されている。また、画素列毎に垂直信号線42が列方向に沿って配線されている。画素制御線41は、画素21から信号を読み出す際の制御(駆動)を行うための制御信号(駆動信号)を伝送する。
【0027】
上記の構成の画素21の配列に対し、画素制御線41(411,412,413)が、同一画素行の各画素21に対して共通に配線されている。画素制御線41(411,412,413)は、後述する走査部32A,32B(図3B参照)の各画素行に対応した出力端に画素行単位で接続されている。走査部32A,32Bは、画素制御線411に対して転送信号TRGを、画素制御線412に対してリセット信号RSTを、画素制御線413に対して選択信号SELを適宜出力する。
【0028】
フォトダイオード211は、アノード電極が低電位側電源(例えば、グランド)に接続されており、受光した光をその光量に応じた電荷量の光電荷(ここでは、光電子)に光電変換してその光電荷を蓄積する。フォトダイオード211のカソード電極は、転送トランジスタ212を介して増幅トランジスタ214のゲート電極と電気的に接続されている。ここで、増幅トランジスタ214のゲート電極が電気的に繋がったノードは、フローティングディフュージョン(浮遊拡散領域/不純物拡散領域)FDである。フローティングディフュージョンFDは、電荷を電圧に変換する電荷電圧変換部である。
【0029】
転送トランジスタ212のゲート電極には、高レベル(例えば、VDDレベル)がアクティブとなる転送信号TRGが、走査部32A,32Bから画素制御線411を通して与えられる。転送トランジスタ212は、転送信号TRGに応答して導通状態となることで、フォトダイオード211で光電変換され、当該フォトダイオード211に蓄積された光電荷をフローティングディフュージョンFDに転送する。
【0030】
リセットトランジスタ213は、高電位側電源電圧VDDのノードとフローティングディフュージョンFDとの間に接続されている。リセットトランジスタ213のゲート電極には、高レベルがアクティブとなるリセット信号RSTが、走査部32A,32Bから画素制御線412を通して与えられる。リセットトランジスタ213は、リセット信号RSTに応答して導通状態となり、フローティングディフュージョンFDの電荷を電源電圧VDDのノードに捨てることによってフローティングディフュージョンFDをリセットする。
【0031】
増幅トランジスタ214は、ゲート電極がフローティングディフュージョンFDに、ドレイン電極が高電位側電源電圧VDDのノードにそれぞれ接続されている。増幅トランジスタ214は、フォトダイオード211での光電変換によって得られる信号を読み出すソースフォロワの入力部となる。すなわち、増幅トランジスタ214は、ソース電極が選択トランジスタ215を介して垂直信号線42に接続される。そして、増幅トランジスタ214と、垂直信号線42の一端に接続される電流源Iとは、フローティングディフュージョンFDの電圧を垂直信号線42の電位に変換するソースフォロワを構成している。
【0032】
選択トランジスタ215は、ドレイン電極が増幅トランジスタ214のソース電極に接続され、ソース電極が垂直信号線42に接続されている。選択トランジスタ215のゲート電極には、高レベルがアクティブとなる選択信号SELが、走査部32A,32Bから画素制御線413を通して与えられる。選択トランジスタ215は、選択信号SELに応答して導通状態となることで、画素21を選択状態として増幅トランジスタ214から出力される信号を垂直信号線42に伝達する。
【0033】
尚、選択トランジスタ215については、高電位側電源電圧VDDのノードと増幅トランジスタ214のドレイン電極との間に接続する回路構成を採ることもできる。また、本例では、画素21の画素回路として、転送トランジスタ212、リセットトランジスタ213、増幅トランジスタ214、及び、選択トランジスタ215から成る、即ち、4つのトランジスタ(Tr)から成る4Tr構成を例に挙げたが、これに限られるものではない。例えば、選択トランジスタ215を省略し、増幅トランジスタ214に選択トランジスタ215の機能を持たせる3Tr構成とすることもできるし、必要に応じて、トランジスタの数を増やした5Tr以上の構成とすることもできる。
【0034】
[従来の積層型チップ構造におけるチップ構成例]
ここで、従来の積層型チップ構造におけるチップ構成例について説明する。従来の積層型チップ構造における画素チップとしての第1半導体チップ11の構成の概略を図3Aに示し、回路チップとしての第2半導体チップ12の構成の概略を図3Bに示す。
【0035】
第1半導体チップ11及び第2半導体チップ12の積層型チップ構造において、第1半導体チップ11と第2半導体チップ12とは、バンプ、TCV(Through Chip Via)、カッパー-カッパー接続(Cu-Cu接続)などの接続部を介して電気的に接続される。以下では、接続部がCu-Cu接続から成る場合を例に挙げると、第1半導体チップ11-第2半導体チップ12間で画素制御線41(411,412,413)を接続するための接続部について、第1半導体チップ11側の接続部を接続部35_1と記述し、第2半導体チップ12側の接続部を接続部35_2と記述する。また、第1半導体チップ11-第2半導体チップ12間で垂直信号線42を接続するための接続部について、第1半導体チップ11側の接続部を接続部36_1と記述し、第2半導体チップ12側の接続部を接続部36_2と記述する。更に、接続部35_1,35_2及び接続部36_1,36_2が基板の両側(上下/左右)に存在する場合には、接続部35_1/35_2について、接続部35A_1,35B_1/35A_2,35B_2と記述し、接続部36_1/36_2について、接続部36A_1,36B_1/36A_2,36B_2と記述する。
【0036】
画素アレイ部22の各画素21に関する処理を行う回路部31は、走査部32A,32B、及び、画素21から出力されるアナログ信号を処理する信号処理部、具体的には、アナログ-デジタル変換部33A,33B及びロジック回路部34を有する構成となっている。走査部32A,32Bは、画素制御線41(411,412,413)を通して、画素アレイ部22の各画素21の選択走査を行う。
【0037】
アナログ-デジタル変換部33A,33Bは、画素アレイ部22の画素列に対応して設けられた(例えば、画素列毎に設けられた)複数のアナログ-デジタル変換器の集合から成る、所謂、列並列(カラム)型アナログ-デジタル変換部である。アナログ-デジタル変換部33A,33Bは、画素アレイ部22の画素列毎に垂直信号線42を通して出力されるアナログの画素信号をデジタル信号に変換する。
【0038】
列並列アナログ-デジタル変換部33A,33Bにおけるアナログ-デジタル変換器としては、例えば、参照信号比較型のアナログ-デジタル変換器の一例であるシングルスロープ型アナログ-デジタル変換器を用いることができる。但し、アナログ-デジタル変換器としては、シングルスロープ型アナログ-デジタル変換器に限られるものではなく、逐次比較型アナログ-デジタル変換器やデルタ-シグマ変調型(ΔΣ変調型)アナログ-デジタル変換器などを用いることができる。
【0039】
ロジック回路部34は、アナログ-デジタル変換部33A,33Bでデジタル化された画素信号の読み出しや、所定の信号処理を行い、2次元の画像データを生成する処理などを行う。例えば、ロジック回路部34では、所定の信号処理として、縦線欠陥、点欠陥の補正、又は、信号のクランプを行ったり、パラレル-シリアル変換、圧縮、符号化、加算、平均、及び、間欠動作などデジタル信号処理が行われる。そして、ロジック回路部34は、生成した画像データを、本撮像装置の出力信号として後段の装置に出力する。
【0040】
図3A及び図3Bには、従来の積層型チップ構造におけるチップ構成例として、画素アレイ部22の面積が小さい撮像装置の場合を図示している。画素アレイ部22の面積が小さい撮像装置では、回路チップである第2半導体チップ12のサイズが、図示のように、画素チップである第1半導体チップ11と同サイズであっても、第2半導体チップ12内に無駄な空き領域を生じることなく効率的に(即ち、面積効率良く)、回路部31、具体的には、走査部32A,32B、アナログ-デジタル変換部33A,33B、及び、ロジック回路部34を配置することができる。
【0041】
一方、画素アレイ部22の面積が大きい大判の撮像装置では、第2半導体チップ12のサイズを第1半導体チップ11のサイズと同じにした場合、画素列に沿って配置される走査部32A,32Bのサイズが、画素アレイ部22の列方向のサイズに対応して大きくなる。そのため、走査部32A,32Bのサイズが大きくなる分だけ、第2半導体チップ12に無駄な空き領域が発生し、面積効率が悪化する可能性が高い。
【0042】
第2半導体チップ12のサイズを第1半導体チップ11と同じサイズにする場合、第2半導体チップ12をより小さいチップに分割した方が面積効率良い。例えば、図4に示すように、第2半導体チップ12を、走査部32A,32Bを含む、第1半導体チップ11の画素列に沿う辺側に配置する2つのチップ12A,12B、並びに、アナログ-デジタル変換部33A,33B及びロジック回路部34(34A,34B)を含む、第1半導体チップ11の画素行に沿う辺側に配置する2つのチップ12C,12Dの計4つのチップに分割する。そして、図5に示すように、ダイシングされた第2半導体チップ12(12A~12D)を、ウェハの状態の第1半導体チップ11に貼り付けていく。
【0043】
このように、ウェハと良品チップとを貼り合わせるCOW(Chip On Wafer)構造の積層型チップには、2つのメリットがある。その一つ目は、第1半導体チップ11と第2半導体チップ12とが同サイズ(同面積)であるという制約がなくなり、第2半導体チップ12については、必要な回路を搭載させる分だけの面積にすればよいために、面積効率が良い。二つ目は、貼り合わせ前に、第1半導体チップ11及び第2半導体チップ12について単体で不良選別し、良品と良品とを選択的に組み合わせることができるため、完成したチップの不良率を低減でき、歩留りを上げることができる。
【0044】
因みに、従来の積層型チップは、ウェハとウェハとを貼り合わせるWOW(Wafer On Wafer)構造であるため、貼り合わせるチップ同士のどちらかが不良になると、貼り合わせたチップが不良品になってしまう。
【0045】
しかし、COW(Chip On Wafer)構造の積層チップには、次のような問題がある。もし、図4Bに示すように、第2半導体チップ12を4つのチップ12A~12Dに分割した場合、チップ作製の効率性を考慮すると、4つのチップ12A~12Dを同じマスクで同時に作製することが好ましい。そうでないと、走査部32A,32Bを含むチップ12A,12Bと、アナログ-デジタル変換部33A,33B及びロジック回路部34(34A,34B)を含むチップ12C,12Dとを別々に作製することになり、マスク代、流動工程が倍増してしまう。
【0046】
また、4つのチップ12A~12Dのダイシングに当たっては、図5に示すように、4つのチップ12A~12Dの長さが揃う必要がある。そのため、アナログ-デジタル変換部33A,33B及びロジック回路部34(34A,34B)を含む、幅の広いチップ12C,12Dに、走査部32A,32Bのチップ12A,12Bの高さを合わせる必要がある。本来、チップ12A,12Bの高さは、画素アレイ部22の列方向の高さで十分である。
【0047】
その結果、走査部32A,32Bのチップ12A,12Bに、無駄な空き領域(図5中、ハッチングを付した領域)が発生する。しかも、第2半導体チップ12として、その無駄な空き領域を含む、走査部32A,32Bのチップ12A,12Bを受けられるチップを用意しないといけないため、図4Aに示すように、第1半導体チップ11の列方向のサイズが増大することになる。
【0048】
また、第2半導体チップ12上に、走査部32(32A,32B)が画素配列の画素列に沿って配置されていることで、次のような問題がある。撮像装置では、データを外部へ出力するLVDS/MIPI等の外部出力回路や、PLLや基準電流/電圧の生成回路等のアナログ周辺回路も、第2半導体チップ12上に、走査部32の外側に画素列に沿って配置される場合が多い。
【0049】
そのため、ロジック回路部34と外部出力回路との間、及び、アナログ-デジタル変換部33A,33Bとアナログ周辺回路との間で信号の伝送を行う信号線は、走査部32の領域や、画素制御線41の接続部35_2,(35A_2,35B_2)の領域を通過する必要がある。そのため、信号のタイミング保証や、シールド等の特性保証が難しくなり、場合によっては、メタル層の追加も必要になってくる。
【0050】
<本開示の実施形態>
本開示の実施形態では、画素チップとしての第1半導体チップ11、及び、回路チップとしての第2半導体チップ12の少なくとも2つの半導体チップが積層されて成る積層型チップ構造において、走査部32A,32Bが、画素アレイ部22の行列状の画素配列に対し、画素行(行方向)に沿って配置された構成となっている。
【0051】
一般的に、画素行の画素数が画素列の画素数よりも多く、第1半導体チップ11の矩形形状については、画素行に沿う辺の方が画素列に沿う辺に比べて長辺となる。従って、走査部32A,32Bは、アナログ-デジタル変換部33A,33Bを含む信号処理部と同じ長辺側に、画素行に沿って配置されることになる。アナログ-デジタル変換部33A,33Bは、画素アレイ部22の画素配列に対応して、画素行に沿って配置された複数のアナログ-デジタル変換器の集合から成る。
【0052】
従来、走査部32A,32Bは、画素列に沿って短辺側に配置されている。この場合、先述したように、走査部32A,32Bのチップ12A,12Bに、無駄な空き領域が発生し、COW構造での、回路チップとしての第2半導体チップ12の面積の最適化の妨げとなる。これに対し、走査部32A,32Bを、アナログ-デジタル変換部33A,33Bを含む信号処理部と同じ長辺側に、画素行(行方向)に沿って配置する。これにより、画素アレイ部22の面積が大きい大判の撮像装置であっても、COW構造での第2半導体チップ12に無駄な空き領域が生じず、第2半導体チップ12の面積の最適化がしやすくなる。また、回路チップとしての第2半導体チップ12を分割する際のチップの個数も少なくて済み、チップ個数の最適化がしやすくなる。
【0053】
以下、積層型チップ構造において、行列状の画素配列に対し、走査部32A,32Bを画素行に沿って配置する本実施形態の具体的な実施例について説明する。
【0054】
[実施例1]
実施例1は、回路チップとしての第2半導体チップ12を、画素チップとしての第1半導体チップ11に対し、列方向(垂直方向)の片側(一方の端部)に配置する例である。図6は、実施例1に係る積層型チップ構造を示す図であり、図6Aに、第1半導体チップ11の構成の概略を示し、図6Bに、第2半導体チップ12の構成の概略を示している。
【0055】
実施例1に係る積層型チップ構造では、画素制御線41の接続部35_1,35_2、及び、垂直信号線42の接続部36_1,36_2が並んで、第1半導体チップ11及び第2半導体チップ12の列方向の画素アレイ部22の一方側(図の上側)に、行方向に沿って設けられている。そして、走査部32は、第1半導体チップ11の片側(図の上側)の、接続部35_1及び接続部36_1の下側の部位に、アナログ-デジタル変換部33及びロジック回路部34と共に、画素アレイ部22の行方向(画素行)に沿って配置されている。
【0056】
具体的には、第2半導体チップ12上にチップ外辺から、接続部35_2、接続部36_2、走査部32、アナログ-デジタル変換部33、及び、ロジック回路部34の順に配置されている。但し、接続部35_2、接続部36_2、走査部32、アナログ-デジタル変換部33、及び、ロジック回路部34の配置順については、図6Bの順番に限られない。
【0057】
上述したように、実施例1に係る積層型チップ構造は、画素行に沿って配置された走査部32を有する第2半導体チップ12が、第1半導体チップ11の片側に配置された1個構成となっている。この実施例1に係る積層型チップ構造は、低速・低コストの撮像装置の積層型チップ構造に適している。
【0058】
第1半導体チップ11における画素制御線41の配線、及び、垂直信号線42の配線、並びに、第1半導体チップ11と第2半導体チップ12との接続の概略について図7の分解斜視図に示す。図7に示すように、垂直信号線42は、第1半導体チップ11上において、行列状の画素配列に対して画素列毎に列方向に沿って直線状に配線される。そして、垂直信号線42は、接続部36_1及び接続部36_2を介して第2半導体チップ12と電気的に接続され、第2半導体チップ12上において、走査部32を通過してアナログ-デジタル変換部33の各アナログ-デジタル変換器に接続される。
【0059】
第2半導体チップ12上の走査部32の出力端は、接続部35_2及び接続部35_1を介して第1半導体チップ11と電気的に接続される。第1半導体チップ11上において、画素制御線41については、先ず列方向に沿って配線され、該当する画素行の位置で行方向の画素制御線41に乗り換える配線構造となる。すなわち、画素制御線41は、列方向に沿って配線されたパスと、行方向に沿って配線されたパスとから成る。
【0060】
第1半導体チップ11と第2半導体チップ12とを電気的に接続する接続部として、ここでは、図8Aに示すシリコン貫通電極(TSV;Through Silicon Via)、及び、図8Bに示すカッパー-カッパー接続(Cu-Cu接続)の2種類を例示する。
【0061】
前者の場合は、画素チップである第1半導体チップ11を貫通して接続部35_1,36_1を作製する必要があるため、画素配列の領域(即ち、画素アレイ部22)内には配置することができない。従って、接続部35_1,36_1の配設位置は、必然的に、第1半導体チップ11及び第2半導体チップ12の周縁部となる。
【0062】
後者の場合は、図9に示すように、垂直信号線42の接続部36_1,36_2の配設位置を、アナログ-デジタル変換部33の入力端にすることができる。これにより、第2半導体チップ12上において走査部32の上を通過する垂直信号線42の配線(図7参照)が不要になり、それに伴って垂直信号線42の負荷を低減できる。また、走査部32の領域の配線数が減ることにより、必要なメタル数が少なくて済む。
【0063】
走査部32やアナログ-デジタル変換部33については、所定の回路を単位とするユニットを作製し、そのユニットを並列に並べて(配置して)大きいブロックを作製することになる。ここで、走査部32のユニット数は、画素配列の行数に比例し、同様に、アナログ-デジタル変換部33のユニット数は、画素配列の列数に比例する。一般的に、行方向(横方向)の画素数(画素配列の列数)が、列方向(縦方向)の画素数(画素配列の行数)と異なることが多い。例えば、カメラに搭載する撮像装置は、画素列が画素行よりも多い、画素配列が横長の形状の場合が多い。
【0064】
走査部32及びアナログ-デジタル変換部33をチップ長辺に沿って、即ち、画素配列の画素行に沿って配置する構成では、走査部32のユニットのレイアウトサイズを決めるに当たって、2つの選択肢を例示することができる。この2つの選択肢について、図10を用いて説明する。
【0065】
選択肢の一つは、図10Aに示すように、走査部32のユニットのピッチと、アナログ-デジタル変換部33のユニットのピッチとを揃える(同じにする)ことである。通常の撮像装置では、画素行の画素数が画素列の画素数より多いため、走査部32のブロックの幅サイズが、アナログ-デジタル変換部33のブロックの幅サイズより小さくなる。その場合、走査部32のブロックの横に空き領域が発生する(図10A参照)。
【0066】
そこで、図10Bに示すように、走査部32のブロックの横に空き領域に他の回路、例えば、インタフェースやPLL等のアナログ周辺回路37を配置することで、空き領域を有効利用することができる。走査部32のユニット、及び、アナログ-デジタル変換部33のユニットのピッチを揃えることで、列方向(縦方向)の画素制御線41、及び、垂直信号線42のレイアウトが各列で同様のパータンになるため、配線負荷(それに伴う回路特性)が揃えやすいというメリットがある。
【0067】
選択肢のもう一つは、図10Cに示すように、走査部32のユニットのピッチと、アナログ-デジタル変換部33のユニットのピッチとを異ならせ、走査部32及びアナログ-デジタル変換部33のレイアウトピッチ比を画素配列の行数/列数の比と同じにすることである。これにより、走査部32のブロックとアナログ-デジタル変換部33のブロックとをほぼ同じ横幅にすることができるために、アナログ-デジタル変換部33よりもユニット数の少ない走査部32のユニット幅を広くできる。その結果、列方向(縦方向)の画素制御線41を、走査部32を通過してアナログ-デジタル変換部33の入力端に接続する際に、画素制御線41を通しやすくなるというメリットがある。
【0068】
その反面、走査部32のユニットのピッチと、アナログ-デジタル変換部33のユニットのピッチとが揃わないため、列方向(縦方向)の画素制御線41、及び、垂直信号線42のレイアウトパターンが画素列によって異なるため、配線負荷が不均一になり、回路特性に悪影響を及ぼす可能性がある。配線本数、回路特性へのインパクト等、撮像装置の要求を考慮し、上記の2つの選択肢のいずれかを選択することになる。
【0069】
[実施例2]
実施例2は、第2半導体チップ12を第1半導体チップ11に対し、列方向(上下方向/垂直方向)の両端部に配置する例である。図11は、実施例2に係る積層型チップ構造を示す図であり、図11Aに、第1半導体チップの構成の概略を示し、図11Bに、第2半導体チップの構成の概略を示している。
【0070】
実施例2に係る積層型チップ構造では、第2半導体チップ12がチップ121及びチップ122の2つのチップから成り、チップ121及びチップ122は、第1半導体チップ11に対し、列方向(垂直方向)の上下両端部に配置されている。そして、第1半導体チップ11の上下両側には、画素制御線41の接続部35A_1,35B_1及び垂直信号線42の接続部36A_1,36B_1がそれぞれ並んで行方向に沿って設けられている。また、チップ121には、画素制御線41の接続部35A_2及び垂直信号線42の接続部36A_2がそれぞれ並んで行方向に沿って設けられ、チップ122には、画素制御線41の接続部35B_2及び垂直信号線42の接続部36B_2がそれぞれ並んで行方向に沿って設けられている。
【0071】
第2半導体チップ12のチップ121には、走査部32Aが、アナログ-デジタル変換部33A及びロジック回路部34Aと共に、画素アレイ部22の行方向(画素行)に沿って配置されている。第2半導体チップ12のチップ122には、走査部32Bが、アナログ-デジタル変換部33B及びロジック回路部34Bと共に、画素アレイ部22の行方向に沿って配置されている。チップ121の走査部32A、アナログ-デジタル変換部33A、及び、ロジック回路部34Aと、チップ122の走査部32B、アナログ-デジタル変換部33B、及び、ロジック回路部34Bとは上下ミラー対称の関係となっている。
【0072】
上述したように、実施例2に係る積層型チップ構造は、画素行に沿って配置された走査部32A,32Bを有する第2半導体チップ12が、第1半導体チップ11の上下両端部(両側)に配置されたチップ121及びチップ122から成る2個構成となっている。この実施例2に係る積層型チップ構造の場合、画素21の信号を第1半導体チップ11の上下両側に読み出すことができるため、高速の撮像装置の積層型チップ構造に適している。
【0073】
実施例2においても、第1半導体チップ11における画素制御線41の配線、及び、垂直信号線42の配線、並びに、第1半導体チップ11と第2半導体チップ12との接続については、基本的に、図7に示した実施例1の場合と同様の構成とすることができる。また、第1半導体チップ11と第2半導体チップ12とを電気的に接続する接続部としても、図8Aに示すTSVや図8Bに示すCu-Cu接続を適用することができる。
【0074】
[実施例3]
実施例3は、第2半導体チップ12を2個構成とし、走査部32を独立のチップにする例である。図12は、実施例3に係る積層型チップ構造を示す図であり、図12Aに、第1半導体チップの構成の概略を示し、図12Bに、第2半導体チップの構成の概略を示している。
【0075】
実施例3に係る積層型チップ構造では、第2半導体チップ12がチップ121及びチップ122の2個構成となっており、チップ121及びチップ122は、第1半導体チップ11に対し、列方向(垂直方向)の上下両側に配置されている。そして、画素制御線41の接続部35A_1及び接続部35A_2は、第1半導体チップ11の一方側(図の上側)及びチップ121に、行方向に沿って設けられている。垂直信号線42の接続部36A_1及び接続部36A_2は、第1半導体チップ11の他方側(図の下側)及びチップ122に、行方向に沿って設けられている。
【0076】
第2半導体チップ12のチップ121には、アナログ-デジタル変換部33A及びロジック回路部34Aが、画素アレイ部22の行方向に沿って配置されている。第2半導体チップ12のチップ122には、走査部32Bが、画素アレイ部22の行方向に沿って配置されている。
【0077】
上述したように、実施例3に係る積層型チップ構造は、回路チップである第2半導体チップ12が、アナログ-デジタル変換部33/ロジック回路部34のチップ121、及び、走査部32のチップ122から成る2個構成となっている。この実施例3に係る積層型チップ構造によれば、アナログ-デジタル変換部33/ロジック回路部34のチップ121のプロセスと、走査部32のチップ122のプロセスとを個別に最適化できる。例えば、チップ121について、低ノイズ・低電圧のプロセスでアナログ-デジタル変換部33/ロジック回路部34を実装し、走査部32のチップ122を、画素の特性(例えば、飽和電荷量Qs、転送)の確保に最適化したプロセスで実装することができる。
【0078】
実施例3においても、第1半導体チップ11における画素制御線41の配線、及び、垂直信号線42の配線、並びに、第1半導体チップ11と第2半導体チップ12との接続については、基本的に、図7に示した実施例1の場合と同様の構成とすることができる。また、第1半導体チップ11と第2半導体チップ12のチップ121,122とを電気的に接続する接続部としても、図8Aに示すTSVや図8Bに示すCu-Cu接続を適用することができる。
【0079】
[実施例4]
実施例4は、走査部32を第2半導体チップ12の列方向の端部に配置する例である。図13は、実施例4に係る積層型チップ構造を示す図であり、図13Aに、第1半導体チップの構成の概略を示し、図13Bに、第2半導体チップの構成の概略を示している。
【0080】
実施例4に係る積層型チップ構造では、走査部32を、第2半導体チップ12の列方向(垂直方向/上下方向)の一方の端部(例えば、図の下側端部)に、画素行に沿って配置した構成となっている。アナログ-デジタル変換部33等の他の回路については、走査部32の内側に配置する。
【0081】
実施例4に係る積層型チップ構造の場合、走査部32の出力端から最も遠い画素Pへの画素制御線41のパスは、画素配列の列方向に沿って配線されたパス(1)、及び、行方向に沿って配線されたパス(2)から成る。
【0082】
実施例4においても、第1半導体チップ11における画素制御線41の配線、及び、垂直信号線42の配線、並びに、第1半導体チップ11と第2半導体チップ12との接続については、基本的に、図7に示した実施例1の場合と同様の構成とすることができる。また、第1半導体チップ11と第2半導体チップ12とを電気的に接続する接続部としても、図8Aに示すTSVや図8Bに示すCu-Cu接続を適用することができる。
【0083】
[実施例5]
実施例5は、実施例4の変形例であり、走査部32を第2半導体チップ12の列方向の中央部に配置する例である。図14は、実施例5に係る積層型チップ構造を示す図であり、図14Aに、第1半導体チップの構成の概略を示し、図14Bに、第2半導体チップの構成の概略を示している。
【0084】
実施例5に係る積層型チップ構造では、走査部32を、第2半導体チップ12の列方向(垂直方向/上下方向)の中央部に、画素行に沿って配置した構成となっている。アナログ-デジタル変換部33等の他の回路については、走査部32の列方向の一方側(例えば、図の下側)に配置する。
【0085】
実施例5においても、第1半導体チップ11における画素制御線41の配線、及び、垂直信号線42の配線、並びに、第1半導体チップ11と第2半導体チップ12との接続については、基本的に、図7に示した実施例1の場合と同様の構成とすることができる。但し、実施例5に係る積層型チップ構造では、画素制御線41の接続部35A_1,35A_2が、画素配列の領域に中央部に配置されることになるため、画素制御線41の接続部35A_1,35A_2として、図8Bに示すCu-Cu接続を適用することになる。
【0086】
実施例5に係る積層型チップ構造の場合、走査部32の出力端から最も遠い画素Pへの画素制御線41のパスは、画素配列の列方向に沿って配線されたパス(3)、及び、行方向に沿って配線されたパス(2)から成る。パス(3)は、実施例4の場合のパス(1)に比べて短くなるため、画素制御線41が伝送する信号の伝搬遅延を、実施例4の場合よりも短くすることができる。
【0087】
[実施例6]
実施例6は、第2半導体チップ12の行方向の端部に周辺回路等を配置する例である。図15は、実施例6に係る積層型チップ構造を示す図であり、図15Aに、第1半導体チップの構成の概略を示し、図15Bに、第2半導体チップの構成の概略を示している。
【0088】
実施例6に係る積層型チップ構造では、走査部32A,32B及びアナログ-デジタル変換部33A,33Bを、第2半導体チップ12の列方向の両端部に上下ミラー対称に配置するとともに、ロジック回路部34を中央部に配置し、行方向の一端部に周辺回路37A,37B及び外部出力回路38を配置した構成となっている。アナログ周辺回路37A,37Bは、PLLや基準電流/電圧の生成回路等の周辺回路である。外部出力回路38は、データを外部へ出力するLVDS/MIPI等の出力回路である。
【0089】
実施例6に係る積層型チップ構造によれば、アナログ周辺回路37A,37B及び外部出力回路38を行方向の一端部に配置したとき、走査部32A,32Bが画素行に沿って配置されていることで、通信が必要なブロック同士の配設位置が近くなる。具体的には、ロジック回路部34と外部出力回路38との間、及び、アナログ-デジタル変換部33A,33Bとアナログ周辺回路37A,37Bとの間に、配線の邪魔となる回路ブロックが存在しないため、回路ブロックのレイアウトやタイミング設計がしやくすなる。
【0090】
実施例6においても、第1半導体チップ11における画素制御線41の配線、及び、垂直信号線42の配線、並びに、第1半導体チップ11と第2半導体チップ12との接続については、基本的に、図7に示した実施例1の場合と同様の構成とすることができる。また、第1半導体チップ11と第2半導体チップ12とを電気的に接続する接続部としても、図8Aに示すTSVや図8Bに示すCu-Cu接続を適用することができる。
【0091】
[実施例7]
実施例7は、画素制御線41と垂直信号線42との間の配線寄生容量のカップリングを分散する例である。
【0092】
図7に示すように、画素制御線41を垂直信号線42と同じように列方向に沿ってレイアウトした場合、図16A及び図16Bに示すように、画素制御線41と垂直信号線42との間に配線寄生容量Ccが発生する。図16Aは、画素制御線41と垂直信号線42とを同じメタル層にレイアウトした場合の配線寄生容量Ccを示し、図16Bは、画素制御線41と垂直信号線42とを異なるメタル層にレイアウトした場合の配線寄生容量Ccを示している。
【0093】
図17A及び図17Bに示すように、ある画素行がアクセスされたとき、当該画素行を制御する画素制御線41の電位が遷移する。その際、該当する画素制御線41と列方向に隣接して並走する垂直信号線42の電位が、配線寄生容量Ccのカップリングによって揺らされてしまう。これにより、アナログ-デジタル変換されたときに、垂直信号線42の電位の揺れが収まらない場合、アナログ-デジタル変換結果に誤差が生じる。そして、誤差の発生する画素の列方向の位置が画素行によって少しずつシフトしていく。結果的に、当該誤差は、出力画像に斜めのFPN(Fixed Pattern Noise)として現れる。
【0094】
上記の問題に対処するために、実施例7に係る積層型チップ構造では、画素制御線41について、列方向のパス(図13Aのパス(1)に相当)を、直線状の縦配線形状ではなく、所定の長さを単位として、所定量ずつ行方向(横方向)へシフトさせた配線形状としてレイアウトする。
【0095】
実施例7に係る積層型チップ構造における画素制御線41の列方向のパス(配線)の配線形状の例について、図18図19、及び、図20を用いて説明する。図18に、画素制御線41の列方向のパスの配線形状例1を示し、図19に、画素制御線41の列方向のパスの配線形状例2を示し、図20に、画素制御線41の列方向のパスの配線形状例3を示している。
【0096】
(配線形状例1)
図18に示すように、配線形状例1では、垂直信号線42と画素制御線41の列方向のパス(配線)とを別々のメタル層にレイアウトする。垂直信号線42をレイアウトするメタル層を第1メタル層Mxとし、画素制御線41の列方向のパスをレイアウトするメタル層を第2メタル層Myとする。更に、画素制御線41の行方向のパス(配線)を、第1,第2メタル層Mx,Myとは別の第3メタル層Mzにレイアウトする。画素制御線41の列方向のパスのシフトについては、第2メタル層Myでの行方向の配線で実現する。
【0097】
(配線形状例2)
図19に示すように、配線形状例2では、配線形状例1と同様に、垂直信号線42と画素制御線41の列方向のパスとを別々の第1メタル層Mx及び第2メタル層Myにレイアウトし、画素制御線41の行方向のパスを第1,第2メタル層Mx,Myとは別の第3メタル層Mzにレイアウトする。画素制御線41の列方向のパスのシフトについては、第2メタル層Myでの斜め方向の配線で実現する。配線形状例2の場合、配線形状例1の場合よりも画素制御線41の列方向のパス(縦配線)の間隔を狭く抑えることができるため、配線密度が密のときに有利になる。
【0098】
(配線形状例3)
図20に示すように、配線形状例3では、画素制御線41の列方向のパス(縦配線)があまり混まない状況の場合、垂直信号線42と画素制御線41の列方向のパスとを同じメタル層、例えば第1メタル層Mxにレイアウトする。そして、画素制御線41の行方向のパスを別の第2メタル層Myにレイアウトする。画素制御線41の列方向のパスのシフトについては、第2メタル層Myでの行方向(又は、斜め方向)の配線で実現する。配線形状例3の場合、配線形状例1,2の場合に比べて、配線層(メタル層)が1層少なくて済む。
【0099】
上述したように、実施例7に係る積層型チップ構造では、画素制御線41について、列方向のパスの配線を、所定の長さを単位として、所定量ずつ行方向へシフトさせてレイアウトした配線形状としている。これにより、ある画素制御線41に着目したとき、その画素制御線41とカップリングする垂直信号線42としては、どれか1本の垂直信号線42に集中することなく、複数の垂直信号線42に分散(カップリング分散)するため、カップリングの量、及び、その影響が緩和される。
【0100】
尚、実施例7では、垂直信号線42を直線状に配線し、画素制御線41の列方向のパスを行方向へ所定量ずつシフトするレイアウトパターンを例示したが、同様のコンセプトの下、画素制御線41の列方向のパスを直線状に配線し、垂直信号線42を行方向へ所定量ずつシフトするレイアウトパターンとすることもできる。このレイアウトパターンでも、同様のカップリング分散の効果が得られる。
【0101】
[実施例8]
実施例8は、画素制御線41の列方向のパスと行方向のパスとの接続関係のバリエーションを示す例である。バリエーション1を図21Aに示し、バリエーション2を図21Bに示し、バリエーション3を図21Cに示し、バリエーション4を図22Aに示し、バリエーション5を図22Bに示す。
【0102】
(バリエーション1)
図21Aに示すバリエーション1は、走査部32を列方向(上下方向)の片側(本例では、下側)に配置する場合の画素制御線41の列方向のパスと行方向のパスとの接続関係である。第1半導体チップ11には、走査部32の出力端に対応して、画素制御線41の接続部35_1が配置されている。図21Aにおいて、黒丸(●)は、列方向のパスと行方向のパスとのコンタクト部である。この点については、後述するバリエーション2乃至バリエーション5においても同様である。
【0103】
(バリエーション2)
図21Bに示すバリエーション2は、走査部32を列方向(上下方向)の両側に配置する場合の画素制御線41の列方向のパスと行方向のパスとの接続関係である。画素制御線41の列方向のパスを、画素制御線41の接続部35A_1,35B_1を通して、上下両側の走査部32の出力端と電気的に接続する。走査部32を列方向(上下方向)の両側に配置した場合、画素制御線41の駆動能力が2倍になるため、画素制御線41の電位の遷移が高速になる。
【0104】
(バリエーション3)
図21Cに示すバリエーション3は、走査部32を列方向の両側に配置し、画素制御線41の列方向のパスを交互に、上下両側の走査部32の出力端と電気的に接続する場合の画素制御線41の列方向のパスと行方向のパスとの接続関係である。バリエーション3の場合、上下両側の走査部32のユニット数が、バリエーション1及びバリエーション2の場合に比べて半分で済むことになる。
【0105】
(バリエーション4)
図22Aに示すバリエーション4は、走査部32を列方向の両側に配置し、画素制御線41の列方向のパスをチップ中央部で分断した場合の画素制御線41の列方向のパスと行方向のパスとの接続関係である。チップ中央部で分断したチップ上側のパスは、チップ上側の走査部32の出力端と電気的に接続し、チップ下側のパスは、チップ下側の走査部32の出力端と電気的に接続する。バリエーション4の場合、画素制御線41の列方向のパスの長さが半分になるため、画素制御線41の電位の遷移が高速になる。また、上下両側の走査部32のユニット数が、バリエーション1及びバリエーション2の場合に比べて半分で済むことになる。
【0106】
(バリエーション5)
図22Bに示すバリエーション5は、走査部32を列方向のチップ中央部に配置した場合(図14の例に相当)の画素制御線41の列方向のパスと行方向のパスとの接続関係である。バリエーション5の場合、画素制御線41の接続部35A_1,35B_1から、画素制御線41の列方向のパスの端までの距離が、バリエーション1の場合に比べて半分になるため、画素制御線41の電位の遷移が高速になる。
【0107】
<変形例>
以上、本開示に係る技術について、好ましい実施形態に基づき説明したが、本開示に係る技術は当該実施形態に限定されるものではない。上記の実施形態において説明した撮像装置の構成、構造は例示であり、適宜、変更することができる。
【0108】
例えば、上記の実施形態では、画素2が行列状に配置されて成るCMOSイメージセンサに適用した場合を例に挙げて説明したが、本開示に係る技術は、CMOSイメージセンサへの適用に限られるものではない。すなわち、本開示に係る技術は、画素2が行列状に2次元配置されて成るX-Yアドレス方式の撮像装置全般に対して適用可能である。
【0109】
<応用例>
以上説明した本開示の撮像装置は、例えば図23に示すように、可視光、赤外光、紫外光、X線等の光をセンシングする様々な装置に使用することができる。様々な装置の具体例について以下に列挙する。
【0110】
・デジタルカメラや、カメラ機能付きの携帯機器等の、鑑賞の用に供される画像を撮影する装置
・自動停止等の安全運転や、運転者の状態の認識等のために、自動車の前方や後方、周囲、車内等を撮影する車載用センサ、走行車両や道路を監視する監視カメラ、車両間等の測距を行う測距センサ等の、交通の用に供される装置
・ユーザのジェスチャを撮影して、そのジェスチャに従った機器操作を行うために、TVや、冷蔵庫、エアーコンディショナ等の家電に供される装置
・内視鏡や、赤外光の受光による血管撮影を行う装置等の、医療やヘルスケアの用に供される装置
・防犯用途の監視カメラや、人物認証用途のカメラ等の、セキュリティの用に供される装置
・肌を撮影する肌測定器や、頭皮を撮影するマイクロスコープ等の、美容の用に供され装置
・スポーツ用途等向けのアクションカメラやウェアラブルカメラ等の、スポーツの用に供される装置
・畑や作物の状態を監視するためのカメラ等の、農業の用に供される装置
【0111】
<本開示に係る技術の適用例>
本開示に係る技術は、様々な製品に適用することができる。以下に、より具体的な適用例について説明する。
【0112】
[本開示の電子機器]
ここでは、デジタルスチルカメラやビデオカメラ等の撮像システムや、携帯電話機などの撮像機能を有する携帯端末装置や、画像読取部に撮像装置を用いる複写機などの電子機器に適用する場合について説明する。
【0113】
(撮像システム)
図24は、本開示の電子機器の一例である撮像システムの構成例を示すブロック図である。図24に示すように、本例に係る撮像システム100は、レンズ群等を含む撮像光学系101、撮像部102、DSP(Digital Signal Processor)回路103、フレームメモリ104、表示装置105、記録装置106、操作系107、及び、電源系108等を有している。そして、DSP回路103、フレームメモリ104、表示装置105、記録装置106、操作系107、及び、電源系108がバスライン109を介して相互に接続された構成となっている。
【0114】
撮像光学系101は、被写体からの入射光(像光)を取り込んで撮像部102の撮像面上に結像する。撮像部102は、光学系101によって撮像面上に結像された入射光の光量を画素単位で電気信号に変換して画素信号として出力する。DSP回路103は、一般的なカメラ信号処理、例えば、ホワイトバランス処理、デモザイク処理、ガンマ補正処理などを行う。
【0115】
フレームメモリ104は、DSP回路103での信号処理の過程で適宜データの格納に用いられる。表示装置105は、液晶表示装置や有機EL(electro luminescence)表示装置等のパネル型表示装置から成り、撮像部102で撮像された動画または静止画を表示する。記録装置106は、撮像部102で撮像された動画または静止画を、可搬型の半導体メモリや、光ディスク、HDD(Hard Disk Drive)等の記録媒体に記録する。
【0116】
操作系107は、ユーザによる操作の下に、本撮像装置100が持つ様々な機能について操作指令を発する。電源系108は、DSP回路103、フレームメモリ104、表示装置105、記録装置106、及び、操作系107の動作電源となる各種の電源を、これら供給対象に対して適宜供給する。
【0117】
上記の構成の撮像システム100において、撮像部102として、本開示に係る技術が適用される撮像装置(本開示の撮像装置)を用いることができる。本開示に係る技術が適用される撮像装置によれば、COW構造での回路チップ(第2半導体チップ)の面積の最適化がしやすくなるため、当該撮像装置を撮像部102として用いることで、撮像システムの小型化に寄与できる。
【0118】
[移動体への応用例]
本開示に係る技術は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット、建設機械、農業機械(トラクター)などのいずれかの種類の移動体に搭載される撮像装置として実現されてもよい。
【0119】
図25は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システム7000の概略的な構成例を示すブロック図である。車両制御システム7000は、通信ネットワーク7010を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図25に示した例では、車両制御システム7000は、駆動系制御ユニット7100、ボディ系制御ユニット7200、バッテリ制御ユニット7300、車外情報検出ユニット7400、車内情報検出ユニット7500、及び統合制御ユニット7600を備える。これらの複数の制御ユニットを接続する通信ネットワーク7010は、例えば、CAN(Controller Area Network)、LIN(Local Interconnect Network)、LAN(Local Area Network)又はFlexRay(登録商標)等の任意の規格に準拠した車載通信ネットワークであってよい。
【0120】
各制御ユニットは、各種プログラムにしたがって演算処理を行うマイクロコンピュータと、マイクロコンピュータにより実行されるプログラム又は各種演算に用いられるパラメータ等を記憶する記憶部と、各種制御対象の装置を駆動する駆動回路とを備える。各制御ユニットは、通信ネットワーク7010を介して他の制御ユニットとの間で通信を行うためのネットワークI/Fを備えるとともに、車内外の装置又はセンサ等との間で、有線通信又は無線通信により通信を行うための通信I/Fを備える。図25では、統合制御ユニット7600の機能構成として、マイクロコンピュータ7610、汎用通信I/F7620、専用通信I/F7630、測位部7640、ビーコン受信部7650、車内機器I/F7660、音声画像出力部7670、車載ネットワークI/F7680及び記憶部7690が図示されている。他の制御ユニットも同様に、マイクロコンピュータ、通信I/F及び記憶部等を備える。
【0121】
駆動系制御ユニット7100は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット7100は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。駆動系制御ユニット7100は、ABS(Antilock Brake System)又はESC(Electronic Stability Control)等の制御装置としての機能を有してもよい。
【0122】
駆動系制御ユニット7100には、車両状態検出部7110が接続される。車両状態検出部7110には、例えば、車体の軸回転運動の角速度を検出するジャイロセンサ、車両の加速度を検出する加速度センサ、あるいは、アクセルペダルの操作量、ブレーキペダルの操作量、ステアリングホイールの操舵角、エンジン回転数又は車輪の回転速度等を検出するためのセンサのうちの少なくとも一つが含まれる。駆動系制御ユニット7100は、車両状態検出部7110から入力される信号を用いて演算処理を行い、内燃機関、駆動用モータ、電動パワーステアリング装置又はブレーキ装置等を制御する。
【0123】
ボディ系制御ユニット7200は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット7200は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット7200には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット7200は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0124】
バッテリ制御ユニット7300は、各種プログラムにしたがって駆動用モータの電力供給源である二次電池7310を制御する。例えば、バッテリ制御ユニット7300には、二次電池7310を備えたバッテリ装置から、バッテリ温度、バッテリ出力電圧又はバッテリの残存容量等の情報が入力される。バッテリ制御ユニット7300は、これらの信号を用いて演算処理を行い、二次電池7310の温度調節制御又はバッテリ装置に備えられた冷却装置等の制御を行う。
【0125】
車外情報検出ユニット7400は、車両制御システム7000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット7400には、撮像部7410及び車外情報検出部7420のうちの少なくとも一方が接続される。撮像部7410には、ToF(Time Of Flight)カメラ、ステレオカメラ、単眼カメラ、赤外線カメラ及びその他のカメラのうちの少なくとも一つが含まれる。車外情報検出部7420には、例えば、現在の天候又は気象を検出するための環境センサ、あるいは、車両制御システム7000を搭載した車両の周囲の他の車両、障害物又は歩行者等を検出するための周囲情報検出センサのうちの少なくとも一つが含まれる。
【0126】
環境センサは、例えば、雨天を検出する雨滴センサ、霧を検出する霧センサ、日照度合いを検出する日照センサ、及び降雪を検出する雪センサのうちの少なくとも一つであってよい。周囲情報検出センサは、超音波センサ、レーダ装置及びLIDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)装置のうちの少なくとも一つであってよい。これらの撮像部7410及び車外情報検出部7420は、それぞれ独立したセンサないし装置として備えられてもよいし、複数のセンサないし装置が統合された装置として備えられてもよい。
【0127】
ここで、図26は、撮像部7410及び車外情報検出部7420の設置位置の例を示す。撮像部7910,7912,7914,7916,7918は、例えば、車両7900のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部のうちの少なくとも一つの位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部7910及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部7918は、主として車両7900の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部7912,7914は、主として車両7900の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部7916は、主として車両7900の後方の画像を取得する。車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部7918は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0128】
尚、図26には、それぞれの撮像部7910,7912,7914,7916の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲aは、フロントノーズに設けられた撮像部7910の撮像範囲を示し、撮像範囲b,cは、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部7912,7914の撮像範囲を示し、撮像範囲dは、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部7916の撮像範囲を示す。例えば、撮像部7910,7912,7914,7916で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両7900を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0129】
車両7900のフロント、リア、サイド、コーナ及び車室内のフロントガラスの上部に設けられる車外情報検出部7920,7922,7924,7926,7928,7930は、例えば超音波センサ又はレーダ装置であってよい。車両7900のフロントノーズ、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部に設けられる車外情報検出部7920,7926,7930は、例えばLIDAR装置であってよい。これらの車外情報検出部7920~7930は、主として先行車両、歩行者又は障害物等の検出に用いられる。
【0130】
図25に戻って説明を続ける。車外情報検出ユニット7400は、撮像部7410に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像データを受信する。また、車外情報検出ユニット7400は、接続されている車外情報検出部7420から検出情報を受信する。車外情報検出部7420が超音波センサ、レーダ装置又はLIDAR装置である場合には、車外情報検出ユニット7400は、超音波又は電磁波等を発信させるとともに、受信された反射波の情報を受信する。車外情報検出ユニット7400は、受信した情報に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。車外情報検出ユニット7400は、受信した情報に基づいて、降雨、霧又は路面状況等を認識する環境認識処理を行ってもよい。車外情報検出ユニット7400は、受信した情報に基づいて、車外の物体までの距離を算出してもよい。
【0131】
また、車外情報検出ユニット7400は、受信した画像データに基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等を認識する画像認識処理又は距離検出処理を行ってもよい。車外情報検出ユニット7400は、受信した画像データに対して歪補正又は位置合わせ等の処理を行うとともに、異なる撮像部7410により撮像された画像データを合成して、俯瞰画像又はパノラマ画像を生成してもよい。車外情報検出ユニット7400は、異なる撮像部7410により撮像された画像データを用いて、視点変換処理を行ってもよい。
【0132】
車内情報検出ユニット7500は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット7500には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部7510が接続される。運転者状態検出部7510は、運転者を撮像するカメラ、運転者の生体情報を検出する生体センサ又は車室内の音声を集音するマイク等を含んでもよい。生体センサは、例えば、座面又はステアリングホイール等に設けられ、座席に座った搭乗者又はステアリングホイールを握る運転者の生体情報を検出する。車内情報検出ユニット7500は、運転者状態検出部7510から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。車内情報検出ユニット7500は、集音された音声信号に対してノイズキャンセリング処理等の処理を行ってもよい。
【0133】
統合制御ユニット7600は、各種プログラムにしたがって車両制御システム7000内の動作全般を制御する。統合制御ユニット7600には、入力部7800が接続されている。入力部7800は、例えば、タッチパネル、ボタン、マイクロフォン、スイッチ又はレバー等、搭乗者によって入力操作され得る装置によって実現される。統合制御ユニット7600には、マイクロフォンにより入力される音声を音声認識することにより得たデータが入力されてもよい。入力部7800は、例えば、赤外線又はその他の電波を利用したリモートコントロール装置であってもよいし、車両制御システム7000の操作に対応した携帯電話又はPDA(Personal Digital Assistant)等の外部接続機器であってもよい。入力部7800は、例えばカメラであってもよく、その場合搭乗者はジェスチャにより情報を入力することができる。あるいは、搭乗者が装着したウェアラブル装置の動きを検出することで得られたデータが入力されてもよい。さらに、入力部7800は、例えば、上記の入力部7800を用いて搭乗者等により入力された情報に基づいて入力信号を生成し、統合制御ユニット7600に出力する入力制御回路などを含んでもよい。搭乗者等は、この入力部7800を操作することにより、車両制御システム7000に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりする。
【0134】
記憶部7690は、マイクロコンピュータにより実行される各種プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、及び各種パラメータ、演算結果又はセンサ値等を記憶するRAM(Random Access Memory)を含んでいてもよい。また、記憶部7690は、HDD(Hard Disc Drive)等の磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス又は光磁気記憶デバイス等によって実現してもよい。
【0135】
汎用通信I/F7620は、外部環境7750に存在する様々な機器との間の通信を仲介する汎用的な通信I/Fである。汎用通信I/F7620は、GSM(登録商標)(Global System of Mobile communications)、WiMAX、LTE(Long Term Evolution)若しくはLTE-A(LTE-Advanced)などのセルラー通信プロトコル、又は無線LAN(Wi-Fi(登録商標)ともいう)、Bluetooth(登録商標)などのその他の無線通信プロトコルを実装してよい。汎用通信I/F7620は、例えば、基地局又はアクセスポイントを介して、外部ネットワーク(例えば、インターネット、クラウドネットワーク又は事業者固有のネットワーク)上に存在する機器(例えば、アプリケーションサーバ又は制御サーバ)へ接続してもよい。また、汎用通信I/F7620は、例えばP2P(Peer To Peer)技術を用いて、車両の近傍に存在する端末(例えば、運転者、歩行者若しくは店舗の端末、又はMTC(Machine Type Communication)端末)と接続してもよい。
【0136】
専用通信I/F7630は、車両における使用を目的として策定された通信プロトコルをサポートする通信I/Fである。専用通信I/F7630は、例えば、下位レイヤのIEEE802.11pと上位レイヤのIEEE1609との組合せであるWAVE(Wireless Access in Vehicle Environment)、DSRC(Dedicated Short Range Communications)、又はセルラー通信プロトコルといった標準プロトコルを実装してよい。専用通信I/F7630は、典型的には、車車間(Vehicle to Vehicle)通信、路車間(Vehicle to Infrastructure)通信、車両と家との間(Vehicle to Home)の通信及び歩車間(Vehicle to Pedestrian)通信のうちの1つ以上を含む概念であるV2X通信を遂行する。
【0137】
測位部7640は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)衛星からのGNSS信号(例えば、GPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号)を受信して測位を実行し、車両の緯度、経度及び高度を含む位置情報を生成する。尚、測位部7640は、無線アクセスポイントとの信号の交換により現在位置を特定してもよく、又は測位機能を有する携帯電話、PHS若しくはスマートフォンといった端末から位置情報を取得してもよい。
【0138】
ビーコン受信部7650は、例えば、道路上に設置された無線局等から発信される電波あるいは電磁波を受信し、現在位置、渋滞、通行止め又は所要時間等の情報を取得する。尚、ビーコン受信部7650の機能は、上述した専用通信I/F7630に含まれてもよい。
【0139】
車内機器I/F7660は、マイクロコンピュータ7610と車内に存在する様々な車内機器7760との間の接続を仲介する通信インタフェースである。車内機器I/F7660は、無線LAN、Bluetooth(登録商標)、NFC(Near Field Communication)又はWUSB(Wireless USB)といった無線通信プロトコルを用いて無線接続を確立してもよい。また、車内機器I/F7660は、図示しない接続端子(及び、必要であればケーブル)を介して、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)、又はMHL(Mobile High-definition Link)等の有線接続を確立してもよい。車内機器7760は、例えば、搭乗者が有するモバイル機器若しくはウェアラブル機器、又は車両に搬入され若しくは取り付けられる情報機器のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。また、車内機器7760は、任意の目的地までの経路探索を行うナビゲーション装置を含んでいてもよい。車内機器I/F7660は、これらの車内機器7760との間で、制御信号又はデータ信号を交換する。
【0140】
車載ネットワークI/F7680は、マイクロコンピュータ7610と通信ネットワーク7010との間の通信を仲介するインタフェースである。車載ネットワークI/F7680は、通信ネットワーク7010によりサポートされる所定のプロトコルに則して、信号等を送受信する。
【0141】
統合制御ユニット7600のマイクロコンピュータ7610は、汎用通信I/F7620、専用通信I/F7630、測位部7640、ビーコン受信部7650、車内機器I/F7660及び車載ネットワークI/F7680のうちの少なくとも一つを介して取得される情報に基づき、各種プログラムにしたがって、車両制御システム7000を制御する。例えば、マイクロコンピュータ7610は、取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット7100に対して制御指令を出力してもよい。例えば、マイクロコンピュータ7610は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行ってもよい。また、マイクロコンピュータ7610は、取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行ってもよい。
【0142】
マイクロコンピュータ7610は、汎用通信I/F7620、専用通信I/F7630、測位部7640、ビーコン受信部7650、車内機器I/F7660及び車載ネットワークI/F7680のうちの少なくとも一つを介して取得される情報に基づき、車両と周辺の構造物や人物等の物体との間の3次元距離情報を生成し、車両の現在位置の周辺情報を含むローカル地図情報を作成してもよい。また、マイクロコンピュータ7610は、取得される情報に基づき、車両の衝突、歩行者等の近接又は通行止めの道路への進入等の危険を予測し、警告用信号を生成してもよい。警告用信号は、例えば、警告音を発生させたり、警告ランプを点灯させたりするための信号であってよい。
【0143】
音声画像出力部7670は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図25の例では、出力装置として、オーディオスピーカ7710、表示部7720及びインストルメントパネル7730が例示されている。表示部7720は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。表示部7720は、AR(Augmented Reality)表示機能を有していてもよい。出力装置は、これらの装置以外の、ヘッドホン、搭乗者が装着する眼鏡型ディスプレイ等のウェアラブルデバイス、プロジェクタ又はランプ等の他の装置であってもよい。出力装置が表示装置の場合、表示装置は、マイクロコンピュータ7610が行った各種処理により得られた結果又は他の制御ユニットから受信された情報を、テキスト、イメージ、表、グラフ等、様々な形式で視覚的に表示する。また、出力装置が音声出力装置の場合、音声出力装置は、再生された音声データ又は音響データ等からなるオーディオ信号をアナログ信号に変換して聴覚的に出力する。
【0144】
尚、図25に示した例において、通信ネットワーク7010を介して接続された少なくとも二つの制御ユニットが一つの制御ユニットとして一体化されてもよい。あるいは、個々の制御ユニットが、複数の制御ユニットにより構成されてもよい。さらに、車両制御システム7000が、図示されていない別の制御ユニットを備えてもよい。また、上記の説明において、いずれかの制御ユニットが担う機能の一部又は全部を、他の制御ユニットに持たせてもよい。つまり、通信ネットワーク7010を介して情報の送受信がされるようになっていれば、所定の演算処理が、いずれかの制御ユニットで行われるようになってもよい。同様に、いずれかの制御ユニットに接続されているセンサ又は装置が、他の制御ユニットに接続されるとともに、複数の制御ユニットが、通信ネットワーク7010を介して相互に検出情報を送受信してもよい。
【0145】
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、例えば、撮像部7910,7912,7914,7916,7918や車外情報検出部7920,7922,7924,7926,7928,7930に適用され得る。そして、本開示に係る技術が適用される撮像装置を、撮像部や車外情報検出部として用いることで、撮像部や車外情報検出部の小型化に寄与できる。
【0146】
<本開示がとることができる構成>
尚、本開示は、以下のような構成をとることもできる。
【0147】
≪A.撮像装置≫
[A-1]第1半導体チップ及び第2半導体チップの少なくとも2つの半導体チップが積層されて成る積層型チップ構造を有し、
第1半導体チップには、受光部を含む画素が行列状に2次元配置されており、
第2半導体チップには、画素を選択走査する走査部、及び、画素から出力されるアナログ信号を処理する信号処理部が配置されており、
走査部は、行列状の画素配列に対し、画素行に沿って配置されている、
撮像装置。
[A-2]信号処理部は、画素から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ-デジタル変換部を有する、
上記[A-1]に記載の撮像装置。
[A-3]アナログ-デジタル変換部は、行列状の画素配列の画素列に対応して設けられた複数のアナログ-デジタル変換器から成る、
上記[A-2]に記載の撮像装置。
[A-4]第1半導体チップに配線され、走査部から出力される信号を画素に伝送する画素制御線は、画素配列の列方向に沿って配線されたパスと、行方向に沿って配線されたパスとから成る、
上記[A-1]乃至上記[A-3]のいずれかに記載の撮像装置。
[A-5]走査部及びアナログ-デジタル変換部は、所定の回路を単位とするユニットが並列に配置されて成り、
走査部のユニット数は、画素配列の行数に比例し、
アナログ-デジタル変換部のユニット数は、画素配列の列数に比例する、
上記[A-2]に記載の撮像装置。
[A-6]走査部のユニットのピッチと、アナログ-デジタル変換部のユニットのピッチとが同じである、
上記[A-5]に記載の撮像装置。
[A-7]走査部のユニットのピッチと、アナログ-デジタル変換部のユニットのピッチとが異なっており、
走査部及びアナログ-デジタル変換部のレイアウトピッチ比が、画素配列の行数/列数の比と同じである、
上記[A-5]に記載の撮像装置。
[A-8]第2半導体チップは、第1半導体チップに対し、列方向の両端部に設けられた2つのチップから成る、
上記[A-1]乃至上記[A-7]のいずれかに記載の撮像装置。
[A-9]2つのチップそれぞれに、走査部及びアナログ-デジタル変換部が配置されている、
上記[A-8]に記載の撮像装置。
[A-10]2つのチップに一方に走査部が配置され、他方にアナログ-デジタル変換部が配置されている、
上記[A-8]に記載の撮像装置。
[A-11]第1半導体チップと第2半導体チップとを電気的に接続する接続部は、シリコン貫通電極(TSV)、又は、カッパー-カッパー接続(Cu-Cu接続)から成る、
上記[A-1]乃至上記[A-10]のいずれかに記載の撮像装置。
[A-12] 接続部がカッパー-カッパー接続(Cu-Cu接続)から成るとき、
走査部は、列方向の中央部に配置されている、
上記[A-11]に記載の撮像装置。
[A-13]第1半導体チップに配線され、走査部から出力される信号を画素に伝送する画素制御線は、画素配列の列方向に沿って配線されたパスと、行方向に沿って配線されたパスとから成り、
列方向に沿って配線されたパスは、所定の長さを単位として、所定量ずつ行方向へシフトさせた配線形状としてレイアウトされている、
上記[A-11]に記載の撮像装置。
[A-14]垂直信号線を第1メタル層にレイアウトし、画素制御線の列方向のパスを第2メタル層にレイアウトし、画素制御線の行方向のパスを第3メタル層にレイアウトし、
画素制御線の列方向のパスのシフトを、第2メタル層での行方向の配線で実現する、
上記[A-13]に記載の撮像装置。
[A-15]垂直信号線を第1メタル層にレイアウトし、画素制御線の列方向のパスを第2メタル層にレイアウトし、画素制御線の行方向のパスを第3メタル層にレイアウトし、
画素制御線の列方向のパスのシフトを、第2メタル層での斜め方向の配線で実現する、
上記[A-13]に記載の撮像装置。
[A-16]垂直信号線及び画素制御線の列方向のパスを第1メタル層にレイアウトし、画素制御線の行方向のパスを第2メタル層にレイアウトし、
画素制御線の列方向のパスのシフトを、第2メタル層での行方向又は斜め方向の配線で実現する、
上記[A-13]に記載の撮像装置。
【0148】
≪B.電子機器≫
[B-1]第1半導体チップ及び第2半導体チップの少なくとも2つの半導体チップが積層されて成る積層型チップ構造を有し、
第1半導体チップには、受光部を含む画素が行列状に2次元配置されており、
第2半導体チップには、画素を選択走査する走査部、及び、画素から出力されるアナログ信号を処理する信号処理部が配置されており、
走査部は、行列状の画素配列に対し、画素行に沿って配置されている、
撮像装置を有する電子機器。
[B-2]信号処理部は、画素から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ-デジタル変換部を有する、
上記[B-1]に記載の電子機器。
[B-3]アナログ-デジタル変換部は、行列状の画素配列の画素列に対応して設けられた複数のアナログ-デジタル変換器から成る、
上記[B-2]に記載の電子機器。
[B-4]第1半導体チップに配線され、走査部から出力される信号を画素に伝送する画素制御線は、画素配列の列方向に沿って配線されたパスと、行方向に沿って配線されたパスとから成る、
上記[B-1]乃至上記[B-3]のいずれかに記載の電子機器。
[B-5]走査部及びアナログ-デジタル変換部は、所定の回路を単位とするユニットが並列に配置されて成り、
走査部のユニット数は、画素配列の行数に比例し、
アナログ-デジタル変換部のユニット数は、画素配列の列数に比例する、
上記[B-2]に記載の電子機器。
[B-6]走査部のユニットのピッチと、アナログ-デジタル変換部のユニットのピッチとが同じである、
上記[B-5]に記載の電子機器。
[B-7]走査部のユニットのピッチと、アナログ-デジタル変換部のユニットのピッチとが異なっており、
走査部及びアナログ-デジタル変換部のレイアウトピッチ比が、画素配列の行数/列数の比と同じである、
上記[B-5]に記載の電子機器。
[B-8]第2半導体チップは、第1半導体チップに対し、列方向の両端部に設けられた2つのチップから成る、
上記[B-1]乃至上記[B-7]のいずれかに記載の電子機器。
[B-9]2つのチップそれぞれに、走査部及びアナログ-デジタル変換部が配置されている、
上記[B-8]に記載の電子機器。
[B-10]2つのチップに一方に走査部が配置され、他方にアナログ-デジタル変換部が配置されている、
上記[B-8]に記載の電子機器。
[B-11]第1半導体チップと第2半導体チップとを電気的に接続する接続部は、シリコン貫通電極(TSV)、又は、カッパー-カッパー接続(Cu-Cu接続)から成る、
上記[B-1]乃至上記[B-10]のいずれかに記載の電子機器。
[B-12] 接続部がカッパー-カッパー接続(Cu-Cu接続)から成るとき、
走査部は、列方向の中央部に配置されている、
上記[B-11]に記載の電子機器。
[B-13]第1半導体チップに配線され、走査部から出力される信号を画素に伝送する画素制御線は、画素配列の列方向に沿って配線されたパスと、行方向に沿って配線されたパスとから成り、
列方向に沿って配線されたパスは、所定の長さを単位として、所定量ずつ行方向へシフトさせた配線形状としてレイアウトされている、
上記[B-11]に記載の電子機器。
[B-14]垂直信号線を第1メタル層にレイアウトし、画素制御線の列方向のパスを第2メタル層にレイアウトし、画素制御線の行方向のパスを第3メタル層にレイアウトし、
画素制御線の列方向のパスのシフトを、第2メタル層での行方向の配線で実現する、
上記[B-13]に記載の電子機器。
[B-15]垂直信号線を第1メタル層にレイアウトし、画素制御線の列方向のパスを第2メタル層にレイアウトし、画素制御線の行方向のパスを第3メタル層にレイアウトし、
画素制御線の列方向のパスのシフトを、第2メタル層での斜め方向の配線で実現する、
上記[B-13]に記載の電子機器。
[B-16]垂直信号線及び画素制御線の列方向のパスを第1メタル層にレイアウトし、画素制御線の行方向のパスを第2メタル層にレイアウトし、
画素制御線の列方向のパスのシフトを、第2メタル層での行方向又は斜め方向の配線で実現する、
上記[B-13]に記載の電子機器。
【符号の説明】
【0149】
11・・・第1半導体チップ(画素チップ)、12,121,122・・・第2半導体チップ(回路チップ)、21・・・画素、22・・・画素アレイ部、31・・・回路部、32,32A,32B・・・走査部、33,33A,33B・・・アナログ-デジタル変換部、34,34A,34B・・・ロジック回路部、35_1,35_2,35A_1,35A_2,35B_1,35B_2・・・画素制御線の接続部、36_1,36_2,36A_1,36A_2,36B_1,36B_2・・・垂直信号の接続部、41(411,412,413)・・・画素制御線、42・・・垂直信号線
図1
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