(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】流体製品を注出することにより利用者が定めた配合物を調製するための注出機及びその方法
(51)【国際特許分類】
B01F 33/84 20220101AFI20240514BHJP
B01F 35/80 20220101ALI20240514BHJP
B01F 35/42 20220101ALI20240514BHJP
B67D 7/02 20100101ALI20240514BHJP
B41F 31/03 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
B01F33/84
B01F35/80
B01F35/42
B67D7/02 Z
B41F31/03
(21)【出願番号】P 2020568310
(86)(22)【出願日】2019-06-10
(86)【国際出願番号】 EP2019065084
(87)【国際公開番号】W WO2019234255
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2022-06-07
(31)【優先権主張番号】102018000006154
(32)【優先日】2018-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】502294736
【氏名又は名称】コロブ ソシエタ ペル アチオニ
(73)【特許権者】
【識別番号】399074983
【氏名又は名称】ピーピージー・インダストリーズ・オハイオ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PPG Industries Ohio,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110002295
【氏名又は名称】弁理士法人M&Partners
(72)【発明者】
【氏名】ベルガミーニ アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】カーサリーニ ジュゼッペ
(72)【発明者】
【氏名】トンプソン ジョアン サラ
(72)【発明者】
【氏名】デプヌー アルバン アール
【審査官】河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105882140(CN,A)
【文献】欧州特許出願公開第00056170(EP,A1)
【文献】中国特許第105151349(CN,B)
【文献】米国特許第05835982(US,A)
【文献】特開平02-068125(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 33/80 - 33/85
B01F 35/21 - 35/43
B01F 35/71 - 35/95
C09C 1/00 - 3/12
C09D 1/00 - 201/10
B44D 3/06
B67D 7/00 - 7/86
B01J 4/00 - 4/02
B01F 31/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体製品を注出するための注出機であって、
前記注出機は、長手方向(X)に沿って安定した状態で、前記流体製品のための複数の取り外し可能な収容ユニット(11)を支えるよう構成される支持手段(12)を備え、
前記収容ユニット(11)のそれぞれは、前記流体製品を収容する容器(42)と、前記容器(42)が取外し可能に接続される本体部(44)を備え、
前記支持手段(12)は、前記収容ユニット(11)の結合部分(14)を受けて保持するようにそれぞれ成形される複数の取り付け具(13)を備え、
前記注出機は更に、移動手段(20)と計量手段(16)と駆動手段(46、55)とを備え、
前記移動手段(20)は、前記移動手段(20)に配置されている受入容器(18)を、前記長手方向(X)と実質的に平行に、実質的に前記収容ユニット(11)の鉛直下方にある送出位置まで移動させるように構成されており、
前記計量手段(16)は、前記収容ユニット(11)から、それぞれの前記収容ユニットの送出位置にある前記受入容器(18)へ送り出す前記流体製品を計量するように構成され、
前記本体部(44)はポンプ組立体(45)と、1つ以上の弁要素(53)と、前記容器(42)から前記受入容器(18)まで前記流体製品を導くことが可能な配管(49)とを有し、
前記駆動手段(46、55)は、前記移動手段(20)に配置され、前記収容ユニット(11)のそれぞれと作用し、前記流体製品を送り出すために、前記収容ユニット(11)の前記本体部(44)に組み込まれた前記ポンプ組立体(45)及び前記弁要素(53)を選択的に作動させる、
ことを特徴とする、注出機。
【請求項2】
前記移動手段は、前記受入容器(18)を運搬するためのスライダ(20)と、前記長手方向(X)と実質的に平行して伸長する直線ガイド手段(21、22)とを備え、
前記スライダは、前記直線ガイド手段(21、22)上を移動可能であることを特徴とする、請求項1記載の注出機。
【請求項3】
前記スライダ(20)は、光学バーコードリーダを含む検出手段(57)を備え、
前記検出手段(57)は、それぞれの前記収容ユニット(11)に一義的に関連づけられた識別コードを検出するように構成されることを特徴とする、請求項2記載の注出機。
【請求項4】
前記計量手段(16)は、重量測定手段を備え、
前記重量測定手段は前記移動手段に配置され、送り出された前記流体製品を受けるための前記受入容器(18)を、前記移動手段に配置されたまま受けることを特徴とする、請求項1又は2に記載の注出機。
【請求項5】
操作者が前記受入容器(18)を手に取ることができる取出し位置(24)を更に備える注出機であって、
前記取出し位置(24)は、前記長手方向(X)において、注出領域(15)の中央位置に配置されることを特徴とする、請求項1
、2又は4記載の注出機。
【請求項6】
前記操作者から前記移動手段(20)を保護する一方で、前記操作者が前記取出し位置(24)に手を届かせるために開くことが可能なドア(27)を備える保護部材(26)を更に備える注出機であって、
前記保護部材(26)は透明であり、及び/又は、少なくとも前記移動手段(20)が移動するときに、前記ドア(27)は電気的命令制御固定装置(27A)によって閉鎖位置に選択的に固定されることを特徴とする、請求項
5記載の注出機。
【請求項7】
前記支持手段(12)によって支えられる複数の前記収容ユニット(11)は、前記注出領域(15)に配置され、前記流体製品は複数の前記収容ユニット(11)から送り出され、
前記注出機は、前記注出領域(15)の外側に前記流体製品のための複数の前記収容ユニット(11)を保管するように構成される保管領域(28)を更に備えることを特徴とする、請求項
5又は6記載の注出機。
【請求項8】
加熱手段(40)及び温度センサ手段(41)を更に備える注出機であって、
前記加熱手段は、前記温度センサ手段(41)が検出する温度に応答して、そこに格納される前記収容ユニット(11)を加熱するために、前記保管領域(28)内で、又は近接して配置されることを特徴とする請求項7に記載の注出機。
【請求項9】
前記注出機は作動手段を備え、前記作動手段は、前記長手方向(X)に沿って前記移動手段(20)を移動させるための、前記移動手段(20)に取り付けられた駆動モータ(23)であることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか一項記載の注出機。
【請求項10】
前記作動手段(23)と、前記計量手段(16)と、前記駆動手段(46、55)とに操作的に接続されるコントローラを更に備えた注出機であって、
利用者が定めた配合表に従って配合物を製造するために、前記計量手段(16)により計測を行い、それぞれの前記収容ユニット(11)から注出された一定量の流体製品をそれぞれ受け取るために、前記受入容器(18)を、1つ以上の前記収容ユニット(11)の下にある注出位置に、前記移動手段(20)により順次移動させるよう前記作動手段に命令することを特徴とする、請求項9記載の注出機。
【請求項11】
前記収容ユニットの前記結合部分(14)は、前記取り付け具(13)に挿入可能かつ完全に取り外せるように、前記取り付け具(13)の形状と嵌合する形状を有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項記載の注出機。
【請求項12】
前記受入容器(18)に付着させるのに適した粘着ラベルを印刷するように構成される印刷装置(32)、及び/又は、
前記注出機が注出する配合物を分析するのに適した分光光度計装置(33)、及び/又は、
コンピュータやディスプレイを含む電子機器、及び/又は、
前記受入容器(18)に送出される前記配合物を振とうすることが可能な振とう装置を更に備えることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項記載の注出機。
【請求項13】
複数の結合された組立式モジュール(34、35、36)を備える注出機であって、
前記組立式モジュール(34、35、36)は、
少なくとも
前記注出領域(15)と、1つ以上の
前記保管領域(28)を備えるメインモジュール(34)と、
メインキャビネットを形成する、前記流体製品の前記収容ユニット(11)のための他の保管領域(37)を備える1つ以上の追加モジュール(35)と、
1つ以上の第2のキャビネットを形成する、前記流体製品の前記収容ユニット(11)のための追加の保管領域(37)を備える1つ以上の更なるモジュール(36)と、を備えることを特徴とする、請求項
7又は8記載の注出機。
【請求項14】
前記メインキャビネット(34)は、幅2.0m以下、高さ最高2.0m、及び/又は深さ60cm以下であり、及び/又は、
前記第2のキャビネット(36)は、幅80cm以下、高さ最高2.0m、及び/又は深さ60cm以下であることを特徴とする請求項13記載の注出機。
【請求項15】
前記注出領域(15)
及び/又は前記注出領域(15)の外側に前記流体製品のための複数の前記収容ユニット(11)を保管するように構成される、
1つ以上の前記保管領域(28、37)に関連づけられるカバレッジ手段(39)を更に備える注出機であって、
前記カバレッジ手段は、そこに配置される前記収容ユニット(11)を保護するために、可逆的に前記注出領域(15)及び/又は前記保管領域(28、37)を閉じるように構成されるシャッタ又はブラインド(39)備えることを特徴とする、請求項13又は14に記載の注出機。
【請求項16】
1つ以上のLEDライトとして構成される視覚的信号手段を更に備える注出機であって、
前記視覚的信号手段は、利用者に注出サイクル又は機械の状態を知らせるために、前記注出領域(15)に関連付けられることを特徴とする、請求項
5乃至8、1
3乃至15のいずれか一項記載の注出機。
【請求項17】
長尺ロッド(61)を備えるロールバーユニット(60)を更に備える注出機であって、
前記長尺ロッド(61)は、前記長手方向(X)と平行して伸長し、前記ロールバーユニット(60)が下降位置から上昇位置まで移動できるように、ヒンジ結合のようにフレーム(38)に接続されたブラケット(62)によって支えられ、
前記長尺ロッド(61)は、前記注出領域(15)への前記収容ユニット(11)の挿入又はその取り外しをそれぞれ防止又は可能にすることを特徴とする、請求項
5乃至8、1
3乃至16のいずれか一項記載の注出機。
【請求項18】
電気的命令制御部材(63)を更に備える注出機であって、
前記電気的命令制御部材(63)は、
少なくとも前記ロールバーユニット(60)が上昇位置にあるときは、注出機には電力が供給されない開構成をとり、
少なくとも前記ロールバーユニット(60)が下降位置にあるときは、注出機に電力が供給される閉構成をとるように、
前記ブラケット(62)と接触するように構成されることを特徴とする、請求項17記載の注出機。
【請求項19】
追加の保管棚(64)を更に備える注出機であって、
前記追加の保管棚(64)は、前記注出領域(15)より上に配置される前記保管領域(28)に設置され、それぞれの流体製品で満たされた、列をなす容器(12)を保管するために、前記長手方向(X)と平行して伸長することを特徴とする、請求項7
、8、13乃至15のいずれか一項記載の注出機。
【請求項20】
利用者が定めた配合の流体製品を調製するための、請求項1乃至19のいずれか一項記載の注出機の使用。
【請求項21】
複数の流体製品から利用者が定めた目標とされる配合物を調製する方法であって、前記方法は、以下のステップを含むことを特徴とする
方法。
(a)複数の流体製品を各収容ユニット(11)に提供するステップであり、
前記収容ユニット(11)は、前記流体製品を収容する容器(42)と、前記容器(42)を取り外し可能に接続する本体部(44)とを備える。
(b)長手方向(X)に沿って、安定した状態で前記流体製品のための複数の前記収容ユニット(11)を支えるように構成される支持手段(12)に、前記流体製品のための前記収容ユニット(11)を取り付けるステップ。
(c)前記収容ユニットから前記流体製品を受け入れるための受入容器(18)を移動手段(20)に設置するステップであって、
前記移動手段(20)は、前記受入容器(18)を、前記長手方向(X)と実質的に平行に、実質的に前記収容ユニット(11)の鉛直下方にある送出位置まで移動させるように構成される。
(d)前記流体製品のための複数の前記収容ユニット(11)の中から1つが選択され、選択された1つの前記収容ユニット(11)がある注出位置まで、前記移動手段(20)により前記受入容器(18)を、移動させるステップ。
(e)選択された前記収容ユニット(11)から、計量手段(16)によって前記流体製品を計量し、計量した前記流体製品を前記受入容器(18)に注出するステップであり、
前記移動手段(20)に配置された駆動手段(46、55)が、選択された前記収容ユニット(11)の前記本体部(44)に組み込まれたポンプ組立体(45)及び弁要素(53)を作動させることによって
前記流体製品を送り出す。
(f)利用者が定めた配合表に従って、目標とする配合物を製造するために、ステップ(d)~(e)を繰り返すステップ。
【請求項22】
前記支持手段(12)に、前記流体製品のための前記収容ユニット(11)を取り付けるステップ(b)は、前記収容ユニット(11)の結合部分(14)の形状と嵌合する形状を有する前記支持手段(12)の対応する取り付け具(13)に、前記結合部分(14)を挿入することを含むことを特徴とする、請求項21記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体製品からの送出量を計測することが可能な、流体製品を注出するための注出機と、特に塗り換え又は修理で適用される分野において、利用者が定めた配合物(例えば塗料配合)を調製するための使用に関する。本発明はまた、注出可能な複数の流体製品から、利用者が定めた配合物を調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多岐に亘る分野において、利用者が定めた配合表に従って、多くの市販の流体材料を使用して複雑な配合物が調製されている。例えば自動車の車体ショップでは、修理を受ける車の色に正確に一致した、それぞれの車に合わせて配合した塗料を調製しなければならない。注視すれば、車の損傷を受けていない部分の元々の塗料と、修理用に用いる塗料の間のわずかな違いでもすぐに見て取れる。
【0003】
したがって、着色用流体製品を注出する様々な機械が開発されている。こういった機械は、所望の配合物を操作者に提供するために、予め定められた送出シーケンスに従って、複数の製品を受入容器まで送るように構成される。
【0004】
当技術分野で公知の注出機の実施例については、国際公開第2016/081818号に記載がある。
【0005】
他にも当技術分野において公知の注出機があり、例えば米国特許出願公開2011/0101028号、米国特許出願公開2011/0108577号、及び米国特許出願公開2014/0346191号に記載されている。
【0006】
当技術分野で公知のこれらの注出機は、着色用流体製品の容器を複数備え、これらは可動式の支持要素に配置される。可動式の支持要素は、中心回転軸を中心に回動可能な円形コンベア又は回転円板として構成される。
【0007】
移動機構が可動式の支持要素を移動させ、所定のシーケンス(所望の着色用配合物の役割)に従って、選択された容器を送出位置に次々と配置させる。計量された着色用流体製品が、選択された容器から、受入容器(送出位置にある容器の下にはスケールが配置されている)にそれぞれ注出され、受入容器の中に所望の着色用配合物が生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】国際公開第2016/081818号
【文献】米国特許出願公開2011/0101028号
【文献】米国特許出願公開2011/0108577号
【文献】米国特許出願公開2014/0346191号
【文献】国際公開第2017/211196号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
当技術分野で公知の前述した注出機の問題点は、機械は据付型で場所を取る設計であるということである。従って、例えば機械は車体ショップに設置されていることが多いが、狭いか、もしくはあまり広くない作業環境に設置されるのは理想としては適さないし、比較的長い時間と労力を要するメンテナンスが必要となる。
さらに、操作者が所望の配合物の入った受入容器を手に取りづらい場合もあるため、理想としては手動操作に適していない。また一般的に操作者は、円形コンベア又は回転円板の特定位置にある流体製品の容器の部分のみであれば容易に手を届かせることが可能である。容器の交換時、円形コンベア又は回転円板には、通常回転機構の移動が必要とされる。
【0010】
当技術分野で公知の自動インクカラーブレンド装置が、国際公開第2017/211196号において開示されている。
【0011】
この装置はキャビネットを備える。そして、プラットフォームに配置されるスケールに、受入容器としてのインクバケツが設けられ、これを吊るしたインク供給装置(各々が異なる色度のインクを含む)の列の下に移動させることができる。各インク供給装置はインクを送出するために、インクが入っている可撓性の袋と、この可撓性の袋を圧搾するために構成される一対のローラーとを備える。
インク供給装置は電源装置ブラケットを用いてキャビネットに取り付けられるので、インク供給装置は設置された位置からメンテナンス位置まで摺動可能である。空の袋は、中身の入った他の袋との交換が可能である。
袋の取付けは、この対となったローラー間に袋の上部を手動で挟み込み、インクポンプ及び出口チューブへ接続させ、この対になったローラーの下に配置されている電源装置ブラケットの垂直レールに沿って摺動可能である固定装置に、可撓性バッグの底部出口を取り付けることを必要とする。したがって袋の取付けは、面倒であり、時間も要する。さらに、設置された可撓性のインクバックと、取り付けられたポンプ手段とは、装置の操作で上下する。すなわち移動可能なように取り付けられる。これは可動パーツを含む複雑な取り付けであるので、装置のエラーを生じる頻度を上昇させる。
【0012】
さらにまた、この機械では少数のインク供給装置を提供するのみであるので、迅速に豊富な種類の異なる配合物を製造することはできない。したがって、この装置の解決策には、低い生産性及び低い柔軟性という問題点もある。
【0013】
この解決策は他にも、(内容物の)送出における精度が低いという問題点を有する。このシステムは袋を圧搾するローラーによって形成されるので本質的な限界があり、このため(内容物を)高精密かつ信頼性の高い精度で送り出すことはできない。
【0014】
したがって、流体製品のための注出機、ならびに注出可能な流体製品から利用者が定めた配合物を調製するための方法が必要とされており、これにより、従来技術における前述の問題のうち少なくとも1つを克服する。
【0015】
したがって本発明の目的は、従来技術における前述の欠陥のうち1つ以上、例えば、1つ、部分的に、もしくはすべてを克服する流体製品のための注出機と、利用者が定めた配合物を調製するための関連した方法とが利用できるようにすることである。
したがって理想としては、時間と労力を要するメンテナンスを必要とせずに、高い処理能力を備える一方で、目標とする配合物を正確に供給でき、信頼性が高く、素早く、安全かつ経済的な方法で、複数の流体製品から、所定の比率に従った所望の配合物を得ることができるべきである。
【0016】
注出機は、限られた空間環境で使用できるようなコンパクトかつ柔軟な設計を有し、操作者にとって使い勝手が良いようにするべきである。こういった機械及び方法は更に、多数の異なる配合物(例えば自動車補修で必要となる多種類の着色用配合物)を迅速に得ることができなければならない。
【0017】
出願人は、従来技術の欠点を克服し、そしてこれらの目的とその他の目的および利点を得るために、本発明を考案し、テストし、実施した。
【0018】
本発明は独立クレームにおいて記載され、特徴づけられる。その一方で、従属クレームでは、本発明の別の特徴、又は主たる発明概念の変形例について記載する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的に従い、本発明による流体製品を注出するための注出機が提供される。本発明の注出機は、長手方向(X)に沿って安定した状態で、流体製品のための複数の取り外し可能な収容ユニットを支えるように構成される長尺な支持手段を備える。
注出機は、移動手段と計量手段とを更に備える。移動手段は、移動手段に配置されている受入容器を、長手方向(X)と実質的に平行して、実質的に前記収容ユニットの鉛直下方にある送出位置まで移動させるように構成されており、計量手段は、収容ユニットから、それぞれの収容ユニットの送出位置にある受入容器まで送り出される、流体製品の送出量を計測するように構成される。
【0020】
「取り外し可能(removable)」という用語については、収容ユニットが支持手段から可逆的に取り外すことができるということを意図している。したがって収容ユニットは、手動で非破壊的に、支持手段(よっては、注出機全体)から分離させることができ、再び注出機の同じ又は他の支持手段に設置することができる。このプロセスは、理論的には無限に実行可能である。
従って、異なる取り外し可能な収容ユニットを、注出機の異なる位置間で素早く交換することができる(例えば保管領域の位置と注出領域の位置間、又はその逆)。このことは、本発明の注出機の柔軟性及び使いやすさに貢献する。
【0021】
本発明はまた、利用者が定めた流体製品の配合物を調製するための、上記及び下記で更に詳細に説明するような、本発明によるこの種の機械の使用にも関する。
【0022】
本発明は、複数の流体製品から、利用者が定めた配合物を調製する方法にも関する。この方法は、以下を備える。
(a)複数の流体製品を各収容ユニットに供給する。
(b)長手方向(X)に沿って、安定した状態で流体製品のための複数の収容ユニットを支えるように構成されている長尺な支持手段に、流体製品のための収容ユニットを取り付ける。
(c)移動手段に、収容ユニットからの流体製品を受け入れるための受入容器を設置する。この移動手段は、受入容器を、長手方向(X)と実質的に平行に、実質的に前記収容ユニットの鉛直下方にある送出位置まで移動させるように構成される。
(d)流体製品のための複数の収容ユニットの中から1つが選択され、その選択された1つの収容ユニットがある注出位置まで、移動手段により受入容器を移動させる。
(e)選択された収容ユニットから、計量手段によって流体製品を計量し、これを受入容器に注出する。
(f)予め定められた配合表に従って利用者が定めた配合物を製造するために、ステップ(d)~(e)を繰り返す。
【0023】
本発明による方法は特に、本明細書に記載される注出機を用いて実施することができる。
【0024】
本発明の特徴的な利点は、流体製品の容器と、受入容器を運搬する移動手段とが同一直線上に配置されるので、例えば限られた空間環境での使用を可能にする(例えば壁龕又は壁に対する位置決め)技術から公知である、前述の円形構成と比較すると、それほど大型ではないし、より適応性があるということである。
このように本発明の方法及び機械では、多数の別の配合物を得ることができる十分な数の収容ユニット(例えば最高13)を使用することができ、その一方で寸法はコンパクトなままである。
本発明の構成では、受入容器に対し便利な手動動作を加えることができ、ならびに、操作者は取り付けられる全ての流体製品の容器を容易に手に取ることができ、面倒なメンテナンスが回避される。
本発明による注出機及び方法では、高い精度及びスピードを兼ね備えた、信頼性のある、柔軟な、安全かつ経済的な方法で、利用者が定めた配合表に従って複数の流体製品から所望の配合物を得ることができる。
例えば、自動車塗り換えで通常必要とされる5つの異なる流体製品で調製される目標配合物は、5分未満の時間で、成分当たりの±0.02gの精度で、本発明により提供可能である。
【0025】
本発明により用いられる流体製品は特に、着色用流体製品を含むか、又は着色用流体製品であり得る。従って本発明は、特に着色用配合物を調製するのに役立つ。例えば本発明は、特には塗り換え又は修理のために、例えば車体を塗装するための車体ショップで、利用者が定めた塗料配合を提供するために用いられてもよい。
【0026】
これらの、そしてまた他の任意の態様、特徴及び本開示内容の利点は、以下の説明、図面、及び添付の請求の範囲を参照し、よりよく理解されるであろう。組み込まれ、本明細書の一部をなす図面は、本発明のいくつかの非限定的な実施形態を示しており、明細書の記載と共に、本開示内容の原理を記載することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明による、流体製品を注出するための注出機の実施形態の斜視図である。
【
図2】
図1の注出機の部分的な正面図であるが、明確にするためにいつくかの部品を取り除いてある。
【
図3】
図1の注出機の他の部分の、後部の部分的斜視図である
【
図4】スライダと、
図1の注出機に備えられる着色用流体製品の収容ユニットの側面図である。
【
図5】
図2の切断線V―Vの、注出機に備えられる収容ユニットの部分的及び概略的断面図である。
【
図6】
図1の注出機の支持手段に結合された収容ユニットの斜視図である。
【
図7】本発明による、複数の注出可能な流体製品から利用者が定めた配合物を調製するための注出方法のステップの順序を図示しているフロー図である。
【
図8】
図6にあるのと同様の図である。機械内に備えられる収容ユニットの別のバージョンであり、注出機の支持手段に設けられている取り付け具に設置されている。
【
図10】本発明による、注出機の他の変形例の斜視図であるが、明確にするためにいくつかの部品を取り除いており、機械は部分的に示されている。
【
図11】
図10に示される注出機の変形例の部分的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
理解を容易にするために、可能な場合は図面において同一の共通要素を識別するために、同じ参照番号が使用される。一実施例の要素及び特徴が更に説明されることなく他の実施例に適宜取り込まれることができるものと理解される。
【0029】
本願発明は、前述のように設計され構成される注出機に関する。本発明の機械は通常、注出領域を備える。すなわち、設けた受入容器内に目標とする配合物を調製するために、収容ユニットから流体製品を注出する領域である。注出領域は一般的には長尺な支持手段を備える。そして、流体製品の収容ユニットはこの長尺な支持手段に取り付けられ、ここから流体製品が注出される。注出領域は、そこに配置される受入容器を移動させるための移動手段と、流体を計量するように構成される計量手段を更に備え、後述するいくつかの更なる要素を任意で含んでもよい。
【0030】
注出機は支持手段を備え、この支持手段が流体製品の複数の収容ユニットを支えるように構成される。
支持手段は一般的に長尺構造体を有する。これは、支持手段が選択的な1方向への拡張を有することを意味し、その拡張は他の空間方向に対する寸法より大きい。長尺な支持手段は例えば線形構造を有することができる。典型的であり、非限定的な実施例ではレールやロッド等を含む。長尺な支持手段は、例えば適所にそれらを留める支持フレームといった、機械の他の構造部材に接続されていてもよい。長尺な支持手段は通常、接地点と実質的に平行して向きが定められる選択的な方向で、注出領域に配置されている。
例えば「実質的に平行」、「実質的に鉛直下方」等といった、特定の空間配置に関して本明細書で用いられる用語「実質的に(substantially)」は、例えば平行又は鉛直下方というように、挙げられるそれぞれの要素は、指定されるように配置されるか(例えば平行又は鉛直下方)、もしくは指定された相対的な配置から多少逸れた構成で配置される(5度未満のオフセット角度又は、そこから2度未満又は1度未満)。
支持手段は、長手方向(X)に沿って流体製品のための複数の収容ユニットを支える。収容ユニットは通常、長尺な支持手段の選択的方向に沿って、列をなして隣り合わせで配置される。支持手段は、安定した状態で流体製品の複数の収容ユニットを支える。
本明細書で使用される、「安定して」支えるとは、収容ユニットが適所に保たれ、機械操作の間、大きく移動しないことを意味する。このように取り付けられた収容ユニットは、注出機の動作では通常(例えば横方向及び/又は鉛直方向に)移動しない。従って支持手段は通常は、可動部品は含まない。このことは、本発明の注出機の信頼性を高め、メンテナンスの必要性を下げることに貢献する。
例えば支持手段は、収容ユニットそれぞれが備える結合部分を受けて保持するように成形されている複数の取り付け具を備えることができる。これに限定されないが、例えばロックキー継手、嵌合形状継手、ネジ結合、スナップフィット継手等、当該技術で公知である可逆的な取付けを可能にする異なるタイプの継手が用いられてもよい。
収容ユニットの結合部分は、例えば取り付け具に挿入可能であり、そして完全に取り外すことができるように取り付け具の形状と嵌合する形状を有してもよい。取り付け具は例えば、嵌合形状の収容ユニットの結合部分が挿入される張出部(bay)又はポートをそれぞれ備えてもよい。そして、挿入された収容ユニットを適切に保つために構造的支持体を備える。
【0031】
収容ユニットは通常、流体製品を含む容器と、この容器が取り外し可能に結合される本体部とを備える。結合部分は、例えば流体製品の入った容器が取り付けられる収容ユニットの本体部の一部によって形成されてもよい。以降で詳細に記載されるように、本体部は容器から流体製品を送り出すための手段を収納することができる。
収容ユニットは、特定方向の取り付け具によって、例えば底部が上方となる(例えば流体製品の入った容器の開口部は下方を向く)ように、又は他の望ましい方向で保たれてもよい。収容ユニットの結合部分は、流体製品の製造業者固有のものであってもよい。
収容ユニットは支持手段から取り外すことができる。そしてこのように、目標とする特定の配合物を調製するというニーズに応じて、様々な異なる流体製品の入った収容ユニットを取り付けることができ、そして一旦その内容物を使い切ると、収容ユニットの交換が可能である。
収容ユニットの形状及び寸法は特に限定されていないが、操作者が適切に取扱うことができ、通常の配合目的の流体製品を充分(な量)格納可能であるべきである。よって通常は、備える収容ユニット又は容器は、0.1リットルから最高5.0リットル(好ましくは0.5~2.0リットル)の範囲量の流体製品を含む。
【0032】
上記したように、本発明の機械の注出領域は、移動手段に配置されている受入容器を、長手方向(X)と実質的に平行して、実質的に前記収容ユニットの鉛直下方にある送出位置まで移動させるように構成される移動手段を更に備える。
移動手段は、直線運動に適した手段(例えばコンベヤベルト、ローラアセンブリ、又は線形スライドシステム)を備えてもよい。好適には移動手段は、受入容器を運搬するためのスライダと、長手方向(X)と実質的に平行して伸長する直線ガイド手段(例えばレール)とを備え、スライダは直線ガイド手段上で移動することができる。
本発明による注出機は、長手方向(X)に沿って前記移動手段を移動させるための移動手段に結合される、電気駆動モータといった作動手段を備えてもよい。例えば、作動手段(例えば電気モータ)を、長手方向(X)にスライダを移動させるために、直線ガイド手段と結合させてもよい。
【0033】
上記したように注出機は、収容ユニットから、それぞれの収容ユニットの送出位置にある受入容器まで送り出される、流体製品の送出量を計測するように構成される計量手段を更に備える。計量手段は例えば、それぞれ、流体製品の注出された重量又は体積を測定するための重量計測手段又は体積計測手段を備えることができる。計量手段は好適には重量計測手段(例えばデジタルスケール)を備える。重量計測手段は移動手段に配置され、送出された流体製品を受けるための受入容器を、移動手段に配置されたまま受ける。
【0034】
本発明による注出機は、流体製品を収容ユニットから注出するための送出手段を更に備えることができる。送出手段は、例えば流体製品を制御された方法で容器から送り出すのに適した手段(例えばピストン集成体、真空又は加圧システム、又はポンプ組立体)も備え得る。送出手段は、流体製品の容器から、流体製品を受入容器に注出するための出口まで、流体経路を画定するための1つ以上の弁及び/又は導管を更に備えてもよい。
例えば各収容ユニットは、流体製品が入った容器と、容器から受入容器まで流体製品を導くことが可能な、ポンプ組立体、1つ以上の弁要素、及び配管を備える本体部とを備えてもよい。
【0035】
好適な変形例では、移動手段又はその構成要素(例えば前述のスライダ)は、収容ユニットの本体部に組み込まれるポンプ組立体と1つ以上の弁体とを選択的に駆動することにより、流体製品を送り出すよう命令を出すために、流体製品の入った収容ユニットそれぞれと作用するように構成される駆動手段を備える。
【0036】
本発明による注出機は、前述の作動手段と、計量手段と、送出手段(存在する場合)とに操作的に接続されるコントローラを更に備えることができる。
コントローラは、1つ以上の収容ユニットの下にある注出位置に順次移動手段を介して受入容器を移動させるよう、作動手段に命令するように構成してもよい。そしてコントローラを更に、受入容器がそれぞれの収容ユニットの下の注出位置にあるときに、収容ユニットから流体製品を送出するために送出手段を制御するように構成してもよい。
コントローラは更に、利用者が定めた配合表に従って配合物を製造するために、計量手段からの信号に応答して、それぞれの収容ユニットから注出された、流体製品の量をそれぞれ制御するよう構成されてもよい。
コントローラは1つ以上のプロセッサを備えることができ、このプロセッサは上記機能を実行するようにプログラムされてもよい。コントローラは、コンピュータシステムの一部、もしくはコンピュータシステムに接続されていてもよく、このコンピュータにより、操作者は機械の操作を制御することができ、これにより製造される配合物を定めることができる。
【0037】
本発明による注出機は任意で、前記収容ユニットそれぞれと一義的に関連づけられる識別コードを検出するように構成される検出手段を更に備えてもよい。例えば検出手段は、光学的検出手段(例えば光学バーコードリーダ)を備えることができる。
あるいは検出手段は、RFID又はNFC技術(従来技術において公知)に基づいて、各収容ユニットに一義的に関連づけられている識別コードを認識することができる適当な手段を備えてもよい。検出手段は例えば、移動手段又はその構成要素(例えば上述のスライダ)に連結されるか、又はそこに含まれていてもよい。検出手段は、コントローラ(例えば上記のコントローラ)に、有効に接続され得る。そして機械は、どの流体製品が注出領域のどの収容ユニットに含まれるかを検出し、目標とする配合物の一連の調製でその情報を使用することができる。
【0038】
さらにまた、本発明の注出機は通常、操作者が前記受入容器を手に取ることが可能な取出し位置を備える。取出し位置は、受入容器が取出し位置にあるときに、操作者が受入容器を手に取れるように構成される。その結果、操作者は受入容器(例えば送出シーケンス終了時の流体製品の配合物で満たされた受入容器)を取り外すことができ、新しく空の受入容器を装着させ、及び/又は他の手動動作(例えば1つ以上の成分を受入容器へ手動で追加)を実行する。
取出し位置は例えば、長手方向(X)に対して、ほぼ注出機の正中位置に配置することができ、例えば長手方向の支持手段の全長の40~60%の範囲の位置とすることができる。
【0039】
注出機は例えば、操作者が機械操作の間、可動部品と接触するのを防止するために、操作者から、少なくとも移動手段(好ましくは取出し位置以外の全ての注出領域)(存在する場合)を保護する保護部材を備えてもよい。
保護部材は好適には透明であり、例えば透明なガラス又はプラスチックシートで作成してもよい。この保護部材により、操作者は視覚的に機械操作を追うことができる。保護部材はドアを備えてもよく、このドアは取り外し領域に手を届かせるために開くことが可能である。少なくとも前記移動手段が移動するときは、ドアは閉鎖位置にあり、選択的に固定されていてもよい。このことにより、信頼性が高く、安全な機械操作に貢献する。
【0040】
本発明による注出機は、前述の注出領域の他に1つ以上の保管領域を任意で備えることができる。保管領域は、注出領域の外側で、流体製品の入った複数の収容ユニットを格納するように構成される。保管領域は、流体製品の収容ユニットを支えるために、支持手段を備えてもよい。
支持手段と、流体製品の入った収容ユニットとは、注出領域という観点からは上記のようなタイプであり得る。保管領域は、長手方向と平行して線形構成で拡張してもよいので、機械の全体的なサイズを著しく大型化させることはない。
保管領域は例えば、注出領域に配置されている収容ユニットの列の下/上に配置される1列以上の収容ユニットを備えるように構成され得る。この保管領域のおかげで、多数の収容ユニットを容易に利用することができ、操作者は望まれる着色用配合物に従った収容ユニットが注出領域に配置されるように、選択することができる。
【0041】
保管領域には、操作者が配合物プロセスで使用することを望む、例えば送出終了時に手動で受入容器に追加する添加物又は他の物質が含まれるジャー又は瓶を配置することができる予備区画を任意で備えてもよい。これは確実に便利かつ整った配置であり、操作者は、配合物プロセスで使用するかもしれない材料を、実際に使用する位置の近くで素早く容易に見つけることができる。
【0042】
本発明の注出機は、保管領域に設置される追加の保管棚を更に任意で備えてもよい。例えば付加的な保管棚は、注出領域の上方に配置することができ、それぞれの流体製品で満たされる容器の列を格納するために、長手方向に平行して伸長させてもよい。このように予備容器は、例えば最も消費される流体製品を含んでいてもよく、例えば対応する容器の中身が無くなるときに、直ちに収容ユニットの本体部に結合することができるように、機械内部に直接保管してもよい。
【0043】
本発明によれば、注出機は任意で加熱手段及び温度センサ手段を備えてもよい。加熱手段が存在する場合は、注出領域に、もしくは注出領域に隣接して、及び/又は、保管領域の1つ以上に、もしくは保管領域に隣接して設けてもよい。
加熱手段は例えば、そこに格納される収容ユニットを加熱するために、保管領域(すなわち注出領域の外側)で、もしくは保管領域に近接して配置されてもよい。加熱は、前記温度センサ手段により検出される温度に応答して制御されてもよい。
例えば、センサ手段が検出する温度が一定のしきい値を下回るときに、加熱手段を起動するか、又は加熱を強めてもよい。
加熱手段を使用することにより、着色剤が乾燥したり、凝固するのを防止するために(極端に低い温度により生じる場合がある)、注出領域及び/又は保管領域を適切な使用又は保存温度まで加熱することができる。
【0044】
さらにまた注出機は、注出領域、及び又は、存在する場合は前記注出領域の外側ある流体製品の入った複数の収容ユニットを格納するように構成される1つ以上の保管領域に取り付けられるカバレッジ手段を任意で備えてもよい。
例えばカバレッジ手段は、そこに配置される収容ユニットを保護するために、注出領域及び/又は保管領域を可逆的に閉じるように構成されるシャッタ及び/又はブラインドを備えてもよい。カバレッジ手段により、保管領域は無塵に保たれ、温度の低下を遅らせるためにそれぞれの領域内で熱の保持も促進される。カバレッジ手段により、有利には、例えば、ロゴ、ブランド名、及び/又は広告メッセージにより、それをカスタマイズし、ブランディングのために使用可能な領域を提供する。
【0045】
本発明の注出機は任意で、1つ以上の補助装置をさらに含んでもよい。したがって、この補助装置は例えば、受入容器に付着させるのに適した粘着ラベルを印刷するように構成される印刷装置を備えてもよい。この補助装置はまた、注出機によって送出される着色用配合物を分析するのに適した分光光度計装置を備えてもよい。
本発明によって用いられ得る他の任意の補助装置は、これに限定はされないが、コントローラという観点からは、上述したような電子機器(例えばコンピュータ及び/又はディスプレイ)、及び/又は前記受入容器に送出される配合物を振とうさせることが可能な振とう装置を含む。
例えばこの種の補助装置は、注出領域の外側で、例えば保管領域の、専用の区画に設けてもよい。印刷装置及び/又は分光光度計のようなこの種の補助装置を組み込むことにより、操作者に、機械内で適切なワークスペース及び有用なツールが提供され、操作者の仕事をより効率的かつ便利にするために貢献する。
【0046】
本発明による注出機の更なる利点は、機械が組立式モジュールから形成可能であるということであり、機械が設置される労働環境で利用可能なスペースを最適に使用できるようにする。
従って機械は、少なくとも注出領域が配置されるメインモジュールを備えることができ、他のモジュールは、流体製品の収容ユニットのための保管領域を備える。例えば、本発明による注出機は、複数の結合された組立式モジュールを備えてもよい。
このように注出機は、少なくとも注出領域と、任意で1つ以上の保管領域とを備えるメインモジュールと、メインキャビネットを形成する流体製品の収容ユニットのための他の保管領域を備える1つ以上の追加モジュールと、を備えることができる。任意で、1つ以上の第2のキャビネットを形成する流体製品の収容ユニットのための追加の保管領域を備える1つ以上の更なるモジュールがあってもよい。
メインキャビネットは、通常、幅2.0m以下、高さ最高2.0m、及び/又は、深さ60cm以下である。例えば任意の第2のキャビネットは、幅80cm以下、高さ最高2.0m、及び/又は、深さ60cm以下であり得る。
モジュールは、適切な接続手段(例えば締着具、ヒンジ、スナップロック機構等)で結合されていてもよい。
更なる十分な保管領域を提供するために、メインモジュールに加えて(更なる)モジュールを使用することができるので、使用の際に操作者が手軽に利用できる多数の収容ユニットを有することができる。それから操作者は、注出領域に配置されている自分が必要な収容ユニットを選択することができる。本発明による注出機のモジュラー構成では、既存のワークスペースの異なる空間要件に容易に適応することができ、狭く限られた領域での使用さえ考慮されている。
【0047】
本発明の注出機は、利用者に注出サイクル又は機械の状態を知らせる注出領域に取り付けられた視覚的な信号手段をさらに任意で備えてもよい。例えば視覚的な信号手段は1つ以上のLEDのライト、例えば細長いLEDライトを備えることができる。視覚的な信号手段は、注出機の異なる操作のステップのための異なる色を呈するように構成されるか、又は運転中、もしくは故障の発生のような他の状態情報を示すように構成されることができる。
このようにして、利用者が注出機から少し離れた場所にいる場合も、注出機の運転状態を知ることができる。
【0048】
本発明の注出機は長尺ロッドを備えるロールバーユニットをさらに任意に備えることができ、この長尺ロッドは、長手方向と平行して伸長し、前記ロールバーユニットが下降位置から上昇位置まで移動できるようにヒンジ結合のようにフレームに結合されるブラケットによって支えられる。長尺ロッドにより、注出領域への収容ユニットの挿入又はその取り外しをそれぞれ防止又は可能となる。
注出機は好適には、電気的命令制御部材を備えてもよい。この電気的命令制御部材はロールバーユニットに操作的に取り付けられ、そして、少なくともロールバーユニットが上昇位置にあるときは、注出機には電力が供給されない開構成と、少なくともロールバーユニットが下降位置にあるときは、注出機に電力が供給される閉構成と、を選択的に想定するためにブラケットと接触するように構成される。任意のロールバーユニットはこのように、利用者による注出機の安全な動作に貢献することができる。
【0049】
図面を参照し、これより本発明による流体製品のための典型的な注出機について説明する。そして、この注出機は参照番号10によってその全体が示されている。添付の図において表される注出機及びその構成要素は、本発明を説明することを目的としており、限定することを目的としていないと理解されるべきである。例えば、それらが一実施例の一部である限り、示されるか又は記載されている特徴はそのまま、他の実施例に又はそれに関連して採用され他の実施例となる。本発明がすべてのこの種の変更および変形例を含むものと理解される。
【0050】
注出機10は、流体製品が入った複数の収容ユニットから、計量することにより所定量の流体製品を送り出すことができる。着色用流体製品のための単一の収容ユニットの全体が、参照番号11により示される。(
図6、
図8、及び
図9でより良く示される)
【0051】
注出機10は、収容ユニット11を支えるための支持手段として機能する支持部材12を備える。
【0052】
本発明によれば、支持部材12は複数の取り付け具13を備えることができ、そのうち1つは
図6、
図8、及び
図9において確認できる。
【0053】
取り付け具13はそれぞれ、収容ユニット11の結合部分14を受けて保持するように構成することができる。好適な実施例では、結合部分14は、取り付け具13に挿入可能かつ完全に取り外せるように、取り付け具13の形状と嵌合する形状を有する。
【0054】
収容ユニットがいくつ必要であっても、どのような種類であっても支えるために、支持部材12は、必要な寸法に形成及び構成可能である。支持部材は例えば一例として、隣接して配置される最高13までの収容ユニット11を支えるように構成することができるので(
図1及び
図2)、係合される結合部分14と同数の取り付け具13を備える。
【0055】
注出領域15は注出機10内で画定されており、
図2で点線により示されている。
【0056】
支持部材12と、この支持部材12によって支えられる収容ユニット11とが注出領域15に配置される。
【0057】
本発明によれば、支持部材12は伸長可能であり、具体的には、長手方向Xと平行する方向で直線的に拡張してもよい。伸長した支持部材は通常、機械が設置される地面と長手方向Xが実質的に平行となるように配置される。
【0058】
図示の例では注出機10は、送り出す流体製品を計量するのに適した計量手段の非限定的な実施例として、スケール16を備える。
【0059】
スケール16は、当技術分野で公知タイプのデジタルスケールでもよく、感度は例えば0.02グラム、もしくはより高い感度を有していてもよい。
【0060】
スケール16は移動手段上に配置してもよく、受入容器18を配置することができる支持面17を備えてもよい。そして、その内部では、所望の配合物を得るために、さまざまな流体製品が送出される。
【0061】
本発明によれば、受入容器18は例えば、実質的に円筒状又は先端を切った円錐形状を有する、上部が開いた缶又は他の容器であり得、予想される量の所望の配合物を収容するのに適した容量を有する。
【0062】
図示される典型的な注出機によれば、スケール16をスライダ20(
図3及び
図4)に配置してもよく、スライダ20は直線ガイド21、22(
図3)上で移動可能であり、この直線ガイド21、22により、スライダ20のガイド手段が規定される。
例えばスライダ20を、上方ガイド21a及び下部ガイド21b両方に取り付けてもよい。
【0063】
任意には、スライダ20を電動ガイド22に取り付けてもよい。この電動ガイド22は上下のガイド21a、21bと平行して延び、ガイド21aと21bの間に配置される。駆動モータ23は、電動ガイド22に取り付けられ、直線ガイド21、22に沿ってスライダ20を移動させる。
【0064】
直線ガイド21、22のおかげで、スライダ20は、矢F1、F2によって示される方向に沿って、長手方向Xと平行して摺動することができる。このようにスライダ20が、そしてスライダ20と一緒にスケール16と受入容器18とが、注出領域15に配置されているすべての収容ユニット11の下まで移動することができる。
【0065】
任意で視覚的信号手段を設けることができ、これは例えば細長い1つ以上のLED照明(図示せず)として構成される。そして、このLED照明は、おそらくは注出機から離れた位置にいる利用者に、注出サイクル又は注出機の状態を知らせるために、注出領域15に取り付けられる。一実施例では、細長いLEDは、必ず下部ガイド21b全体の長さである。
【0066】
例として、注出機が注出サイクルを実行するときに、LED照明のストリップが青色、サイクルが終了し機械が新しいサイクルを実行可能な時は緑色、そして、サイクルが、問題又は故障が検出され中断する場合は赤色と想定してもよい。
【0067】
前記したように、注出機10は、任意で取出し位置24を備えてもよく、操作者は取出し位置24で受入容器18を取り出すことができる。
【0068】
例えば、注出領域15の中間位置に取出し位置24を配置することができ、これは、長手方向Xに長尺な支持手段の中間位置(例えば50±10%)となる。
【0069】
機械の操作中に、例えば流体製品の移動が終了したときに、スライダ20を取出し位置24に移動させることができる。その結果、操作者は所望の配合物が入った受入容器18を手に取ることができ、及び/又は自身(手動)で追加成分を加えることができる。
【0070】
注出機10には照合空間25を備えてもよく、注出領域15に配置されている他の収容ユニット11間の距離より大きい間隔を設け、2つの隣接する収容ユニット11間を隔てる。
【0071】
参照空間25は、取出し位置24より上部に配置することができ、操作者が視覚的に照合できるようにする。操作者は、離れた位置に居る場合でも、下部にある取出し位置24を容易に識別することができる。
【0072】
例えば照合空間25は、収容ユニット11をそれぞれが6~7の収容ユニット11を含む2つのグループに分け、これらは、
図2に示すように照合空間25の左右にそれぞれ配置される。
【0073】
図示される例によれば注出機10は保護部材26を更に備えることができ、この保護部材26は、スライダ20を安全に動作させるよう、摺動する注出領域15の正面部分を保護する。
【0074】
保護部材26は、例えば注出領域15に配置されている収容ユニット11の下方で、少なくとも直線ガイド21、22の全長に亘り長手方向Xに伸長してもよい。
【0075】
保護部材26は透明であってもよい。これにより、操作者は、注出機が作動している一方で、直線運動中のスライダ20を確認することができるので有利である。これは、例えば起こり得る故障の視覚的な検出ならびに実証の目的で役立つ。
【0076】
保護部材26は、操作者が取出し位置24に手を届かせるために、選択的に開くことが可能なドア27を任意に備える。
【0077】
例えば、ドア27は、そこに隣接する保護部材26のうちの1つを内部にしまうために摺動するよう構成してもよい。
【0078】
本発明による好適な実行によれば、電気的命令制御27Aドア固定装置がドア27に取り付けられているので、スライダ20が移動している時は、ドア27が開くのが選択的に妨がれる。
【0079】
本発明によれば、注出機10は複数の収容ユニット11を格納するように構成される1つ以上の保管領域28を備えてもよい。そしてその中から、注出領域15の支持部材12に配置する収容ユニット11を選択することができる。
【0080】
例えば保管領域28は、注出領域15より上及び/又は下に配置されてもよい。
【0081】
保管領域28は、収容ユニット11の結合部分14を支えながら保持するために、(例えば注出領域15という観点からは、上述された支持部材12と類似の)支持部材をそれぞれ備えてもよい。
【0082】
保管領域28において、長手方向Xと平行して伸長する、一種の支持棚を画定するように、収容ユニット11を互いに隣接するよう配置させてもよい。換言すれば、収容ユニット11は、保管領域28内に列をなして格納され得る。そしてこの列は平行であり、注出領域15に配置される収容ユニット11の列の上又は下にある。
【0083】
保管領域28は任意で、配合物を完成させる際に使用される、1つ以上のアクセサリ要素30を受ける(保管する)ように構成される予備区画29を備えてもよい。
【0084】
例えばアクセサリ要素はジャー又は瓶30を備えてもよく、このジャー又は瓶30には、例えば受入容器18が満たされたあと、流体製品の送出終了時に、操作者が手動で受入容器18に追加し得る添加剤又は物質が含まれる。
【0085】
加えて、又は選択的に、注出機10は注出領域15及び予備区画29に隣接して区画31を備えてもよい(存在する場合)。区画31には、1つ以上の補助装置を備えてもよい。
【0086】
したがって本発明による注出機10は、例えば操作者が受入容器18に添付可能なラベルを印刷するのに適したプリンタ32を備えてもよい。例えばプリンタ32は、従来技術において公知タイプのラベリング機械として構成してもよい。
【0087】
加えて、もしくは選択的に、注出機10は、着色用配合物のサンプルを分析するのに適した、従来技術において公知タイプの分光光度計33を備えてもよい。本発明に照らして、潜在的に有用な他の補助装置には、これに限定されないが、塗料シェイカ(振とう器)又はミキサーが含まれる。
【0088】
本発明によれば、、プリンタ32及び/又は分光光度計33及び/又は他のいかなる補助装置も存在する場合は区画31に配置することができる。
【0089】
本発明による注出機10は、複数の隣接するモジュラー要素34、35、36により形成されてもよく、これらは相互に結合可能である。
【0090】
第1のモジュラー要素34(又はメインモジュール)は、
図2では確認できるように拡大されており、注出領域15、保管領域28、及び区画31を備えている。
【0091】
例えば第1のモジュラー要素34は、長手方向Xの長さは約2メートル、高さは約1~1.5メートル、深さは約0.5メートルである。
【0092】
それぞれ参照番号35及び36によって示される第2及び第3のモジュラー要素は、収容ユニット11の他の保管領域37を画定するが、必要に応じて操作者が、注出領域15に配置させるために取出すことができる。
【0093】
第2および第3の保管領域37により、本発明の注出機10は、多数の収容ユニット11、例えば最高80の収容ユニット11(注出領域15に配置されているものに加えて)を格納することができ、具体的には収容ユニット11の数は、50~80となり得る。
【0094】
例えば第1のモジュラー要素34は、第2のモジュラー要素35より上に位置させてもよい。一方で第3のモジュラー要素36は、残りのモジュラー要素34、35の左又は右側にあってもよい。第3のモジュラー要素36は例えば、モジュラー要素34、35に対して垂直、もしくは縦軸Xに沿って拡張させるために位置合わせして配置される。
【0095】
第2のモジュラー要素35は通常、上に重ねられる第1のモジュラー要素34とほぼ同じ長さと深さとを有するが、高さは1メートル未満であり得、例えば約800mmである。
【0096】
モジュラー要素については、さまざまな他の構成が可能であると理解される。さらにまた本発明による注出機10は、第1のモジュラー要素34だけを備えてもよい。収容ユニット11の他の保管領域37を、注出機10から離れた場所にある専用店舗に配置してもよい。
【0097】
特定の変形例では、第2のモジュラー要素35に、収容ユニット11が上下の2列で配置されているが、第3のモジュラー要素36には、収容ユニット11がより短い長さの上下の複数列で配置されている。
【0098】
第2のモジュラー要素35及び第3のモジュラー要素36は、収容ユニット11を支えつつ保持することが可能であり、適切な支持部材、例えば上記の支持部材12と類似のものを備えてもよい。
【0099】
モジュラー要素34、35、36はそれぞれ、正面が開いた、実質的に平行六面体形のフレーム38を備えることができる。その結果、操作者は、モジュラー要素に含まれる収容ユニット11を容易に取り外すことができる。
【0100】
ローリングカバレッジ(rolling coverage)39を任意で各フレームに結合させてもよく、例えばブラインドとして構成してもよい。これはフレーム38のガイド内部で摺動し、各フレーム38の正面を閉じる。
【0101】
図1では、第3のモジュラー要素36と結合されたローリングカバレッジ39のみが部分的に降ろされた部分として示されている。一方で、第1及び第2のモジュラー要素34、35と結合されたそれぞれのローリングカバレッジ39は、図面をより明確にするために完全に上げられているので見えない。
【0102】
注出機10は任意で、例えば周知タイプの電気抵抗として構成される加熱要素40と、1つ以上の当技術分野で公知タイプの温度センサ41とを更に備えてもよい。
図2では両方が概略的に示されている
【0103】
例えば加熱要素40は、その位置に保管される収容ユニット11を加熱するために、保管領域28、37に近接して配置してもよい。使用中は、温度センサ41が検出する温度が所定の閾値より低い場合、例えば5℃であれば加熱要素40を起動するというようにしてもよい。
【0104】
我々はこれより、特に
図4乃至
図6と、
図8及び
図9を用いて、流体製品の収容ユニット11について詳細に説明する。
【0105】
収容ユニット11は通常、例えば着色用流体製品といった流体製品のための容器42を備える。
【0106】
本発明では、異なる形状、材料、及び寸法の容器42を用いることができる。容器42は通常固体材料で作られており、流体製品を含むための空腔が形成された所定の形状を有する。適切な容器42は例えば、瓶、缶、バケツ、容器、箱、袋、又は流体材料のための容器として当技術分野で公知の他のパッケージ形状を備える。容器42は、例えば金属又はプラスチック材料といった、異なる材料で作成されてもよい。容器42は例えば、取り付け具又は補助支持部材19に取り付けるために、ある程度可逆変形できるように、任意で幾分弾力があるような形状を有することができる。取り付け具又は補助支持部材19は、本発明の注出機の容器42を固定するために用いられ得る。容器42は一例として、100ミリリットルから最高5リットルまでの量(例えば0.5リットル、1リットル、又は2リットル)を有することができる。
【0107】
収容ユニット11は、取り外し可能に容器42を接続する本体部44を備え得る。用語「取り外し可能に接続(removably connected)」とは、容器を収容ユニットの本体部に可逆的に接続可能であることを意味し、したがって、容器の一時的なキャリア(運搬するためのもの)として役立つ。よって、容器は具体的には手動で本体部に接続可能であり、非破壊的な方法で再び取り外すことができる。
【0108】
例えば、容器42は、口42a(雄ねじ付き)を有することができ、これにより、本体部44に作られるネジ溝付きマウント44aに容器42をねじ込むことができる。スナップフィット接続のような他のタイプの接続を利用することも可能である。
【0109】
容器はキャップ、蓋、シール、もしくは、保管物の上部を閉じておくための類似物を有してもよい。例えば容器を、本発明の注出機用の収容ユニット11の本体部44に取り付けるときは、その前に、キャップ、蓋、封止、又は類似物を容器から取り去ることができる。
【0110】
容器42は通常逆さまに、口42aを下向きに伏せた状態で配置される。
【0111】
収容ユニット11は、前面壁43を備えることができる。前面壁43は、容器42の前部の上方に配置され、容器内の流体製品の識別ラベルを受ける(が貼り付けられる)ように構成される。
【0112】
図8及び
図9は、本発明で用いることができる収容ユニット11の典型的な変形例を示す。この変形例によれば、支持部材12に備えられ、それぞれの収容ユニット11の結合部分14を受けて保持することを目的とする各取り付け具13は、取り付け具13へ/から収容ユニット11の挿入及び取り外しの間、側面ガイドとして作用する一対の支持要素15A、15Bを備えることができ、同時に、下方及び両側面から結合部分14を支える。この目的のために、支持要素15A、15Bは、結合部分14の両側と、少なくとも部分的に底部を囲むように形成される。
【0113】
図8及び
図9で示されるように、取り付け具13は支持要素15A、15Bに固定され、そこから上方に突出する補助支持部材19を更に備えることができる。補助支持部材19は、マウント44aで本体部44を係合するように構成され、少なくとも外側から部分的に本体部44を囲む。
いくつかの実施例において補助支持部材19は、それぞれの取り付け具13へ/から収容本体部11の挿入又は取り外しの間、選択的にマウント44aに留めるか又はマウント44aから外すために、ある程度の弾力性を有する2本のアーム19A、19Bを備えることができる。
【0114】
収容ユニット11はハンドル58を更に備えることができ、操作者はハンドル58があるので容易に収容ユニット11を把持することができる。
図8及び
図9に示される変形例で、ハンドル58の形状が
図6の図示した実施例の一つとは異なっており、利用者が収容ユニット11を容易に把持できるように特に人間工学的でありえる点に留意する必要がある。
【0115】
収容ユニット11は、一定量の流体製品を送り出すための送出手段を更に備えることができる。この送出手段は例えば、当技術分野で公知タイプのポンプ組立体45であり得る。周知タイプであるので、本明細書では詳細には記載しない。ポンプ組立体45は、例えば、ポンプ要素の交互の動きを備えたベローズポンプであってもよい。
【0116】
例えばポンプ組立体45は、ポンプ組立体のモータ(参照番号46で示され、特に
図3乃至
図5で確認可能)により作動が可能であり、このモータはポンプ組立体45を駆動するための手段である。ポンプ組立体45は、収容ユニット11の本体部44に含まれてもよい。好適な一実施例において、ポンプ組立体45は収容ユニット11の結合部分14に配置される。そして、ポンプ組立体45のその部分は、本体部44から後方に突き出ているように画定される。
【0117】
本明細書に記載の図示される例によれば、本体部44には配管49が構成される。配管49は、収容ユニット11の出口50で容器42と接続し、これに対応し、流体製品は下方の受入容器18に送出される。配管49は、ポンプ組立体45が配置される流体製品のための経路を形成する。
【0118】
概略的に
図5で示される制御弁53を、出口50に隣接して配置される配管49に沿って設けてもよい。
【0119】
制御弁53は、本体部44の流体製品の流量を制御可能な当技術分野で公知の弁であり得る。概略的に
図5に示されるように、制御弁53は制御弁53を操作する駆動手段55によって有効に制御され得る。
【0120】
本発明によれば、ポンプ組立体のモータ46をスライダ20に配置することができ、スライダ20と一緒に移動させることができる。
【0121】
制御弁53の駆動手段55を、スライダ20に配置してもよい。
【0122】
上記により、有利にも各収容ユニット11はモータ手段を含まなくていい点に留意する必要がある。事実、流体製品が特定の収容ユニット11から送出されるときに、モータ手段を運搬しているスライダ20がその収容ユニット11に対応するよう配置される。このようにして同一のモータ46が、流体製品を送出する収容ユニット11に備えられたポンプ組立体45に、その時々で有効に結合される。事実、
図5でより詳しく示されるように、流体製品を送出するこのポンプ組立体45を構成するために、モータ46はポンプ組立体45のうち1つずつと機械的に接続される。
【0123】
さらにまた、光学式文字読み取り装置57を任意でスライダ20に配置してもよく、各収容ユニット11と一義的に対応する識別コードを検出するように構成される光学的検出手段となる。
【0124】
例えば光学式文字読み取り装置57は、当技術分野で公知のバーコードリーダでもよい。
【0125】
機械10は例えば、操作者が機械10の機能を制御することができるインタフェース手段であるタッチスクリーンタイプのディスプレイ59を更に備えることができる。
【0126】
ディスプレイ59は例えば、第1又は第2のモジュラー要素34、35のフレーム38にヒンジ結合される機械的アーム60によって支持され得る。
【0127】
機械10は、コントローラを更に備えてもよい。(当技術分野で公知であり、図示なし)
【0128】
コントローラは、作動手段(例えば駆動モータ23)、及び/又は計量手段(例えばデジタルスケール16)、及び/又は送出手段又はその構成要素(例えばポンプ組立体45のモータ46及び制御弁53と(制御弁53に)関連づけられる駆動手段55のような)に操作的に接続されてもよい。
使用中は、利用者が定めた配合表に従って配合物を製造するために、計量手段16により計量を行い、それぞれの収容ユニット11から、例えば送出手段によって送出された一定量の流体製品をそれぞれ受け取るために、受入容器18を、1つ以上の収容ユニット11の下にある注出位置に移動手段20により順次移動させるよう作動手段に命令するようにコントローラを構成してもよい。
【0129】
特に
図10及び
図11を用いて、本発明による注出機10の変形例について記載する。以下の説明では、上記された機械の実施例と異なっている部分のみが開示される。
【0130】
この変形例によれば、注出機はロールバーユニット60を備えており、このロールバーユニット60は、下降位置と上昇位置の間で選択的に移動が可能である。そして図中の破線では上昇位置が示されている。
【0131】
いくつかの実施形態において、ロールバーユニット60は長尺ロッド61を備えており、このロッド61は、長手方向Xと平行に、具体的には、メインキャビネット34の全長に亘り実質的に伸長する。
【0132】
長尺ロッド61はブラケット62によって支えられており、例えばメインキャビネット34の両側に配置されている。ロールバーユニット60が下降位置から上昇位置まで、又はその逆に移動することができるように、各ブラケット62はヒンジ結合のようにフレーム38に接続される。
【0133】
この変形例において、ロールバーユニット60に操作的に関連づけられる電気的命令制御部材63が設けられ得る(
図11)。この電気的命令制御部材63は、周知タイプのマイクロスイッチを備えてもよい。1つの特定の例においてブラケット62のうちの少なくとも1つは、ロールバーユニット60の位置に応じて選択的に機械に電力を供給するように、電気的命令制御部材63と接触している。
【0134】
例えば、ロールバーユニット60が上昇位置にあるとき、電気的命令制御部材63は、注出機に電力を供給しないように開構成としてもよい。一方でロールバーユニット60が下降位置にあるときは、電気的命令制御部材63を閉構成とすることができるので機械に電力が供給される。
【0135】
有利なことに、ロールバーユニット60は注出機の安全性を強化する。なぜなら機械が動作している間は、利用者は、注出領域15に一時的に配置されている収容ユニット11を取り外すことができないからである。
実際、
図11でよく確認できるように、ロールバーユニット60は下降位置にあるとき、そして電気的命令制御部材63が閉構成にあるので注出機が電力供給を受けるときは、長尺ロッド61により、収容ユニット11は、注出領域15に位置する支持部材12から取り外すことができない。ロールバーユニット60が上昇位置にあるとき、そして電気的命令制御部材63が開構成にあるので機械が電力供給受けないときのみ、長尺ロッド61は、矢F3で示される方向へ、注出領域15の支持部材12から/へ収容ユニット11を取り外し及び配置可能である。
実際、
図11に示すように、ロールバーユニット60が下降位置にあるとき、長尺ロッド61はハンドル58に隣接した収容ユニット11の前にある。一方で、上昇位置(
図11中破線で示す)にロールバーユニット60があるときは、長尺ロッド61は、容器12の底に隣接した収容ユニット11の上部に位置する。
図11では、支持部材12(保管領域28又は注出領域15のどちらか)からの配置又は取り外しの間、収容ユニット11の軌跡を示すために、上部保管領域28の前にある1つの収容ユニット11が描写されている。
【0136】
ロールバーユニット60があるので、機械が動作しているときには確実に、注出領域15へ/から収容ユニット11を追加又は取り外すことができないようにすることが可能である。これにより、機械に大きな損傷が与えられるのを防ぐことができるので重要である。
実際、注出領域15に設置される移動手段20(ポンプ組立体45のモータ46及び弁53の駆動手段55を運搬する)と収容ユニット11間の連携により、利用者がそれぞれの取り付け具13から、ちょうど(現在)モータ46に係合されている収容ユニット11を取り外そうとすると、機械に構造上の損傷が発生する場合があることは明白である。
【0137】
ドア27が正しく閉じられていると確認するために、電気的命令制御部材27A、63両方がそれぞれの閉構成にあり、そしてロールバーユニット60が下降位置にある場合にのみ、注出機に選択的に電力を供給するために再確認が行われてもよい。
【0138】
また、
図11に示されるように追加の保管棚64を任意で設けてもよい。追加の保管棚64は、注出領域15より上方に配置される収納領域28に配置してもよい。特には機械の後方に向かって、この注出領域の支持部材12の後ろに配置することができる。
例えば長手方向Xと平行してメインキャビネット34の全長さに亘って伸長する、追加の保管棚64は、列をなす容器12のを格納するように構成される。この列をなす容器12は、一旦容器が終了する(空になる)と、同じ流体製品を含んでいる他の対応する容器と置き換えられることを目的としている。このことにより、効率的に空間を使用するように、利用されていない領域で、保管目的のための充填した容器を機械内で保持することができる。
【0139】
本発明の分野及び範囲を逸脱しない範囲で、これまで記載されてきた機械に、変更また部分的な追加を行うことが可能であることは明白である。
【0140】
本発明による注出機は、特別に配合した製品(例えば着色用配合物)を効率的に調製するために用いることができる。従って本発明は、複数の流体製品を組み合わせ、利用者が定めた目標とする配合物を提供する方法にも関する。
【0141】
図7にて図示するように、この方法は、上述した注出機の好適な作動モードに従った以下のステップを含む。
(a)複数の流体製品を提供する(それぞれ収容ユニット11内に配置される)。
(b)長手方向Xに沿って安定した状態で、流体製品のための複数の収容ユニット11を支えるように構成される長尺な支持手段12に、流体製品のための収容ユニット11を取り付ける。
(c)収容ユニット11からの流体製品を受入れるための受入容器18を、移動手段20に設置する。この移動手段20は、受入容器18を、長手方向Xと実質的に平行に、実質的に収容ユニット11の鉛直下方にある送出位置まで移動させるように構成される。
(d)流体製品のための複数の収容ユニット11の中から1つが選択され、その選択された1つの収容ユニット11がある送出位置まで、移動手段20により受入容器18を移動させる。
(e)選択された収容ユニット11から、計量手段16によって流体製品を計量し、これを受入容器18に注出する。
(f)利用者が定めた配合表に従って目標とする配合物を製造するために、ステップ(d)及び(e)を繰り返す。
【0142】
支持手段12、収容ユニット11、移動手段20、計量手段、その他といった、本発明の方法で使用される異なる構成要素は、注出機に対してそれぞれ先に記載されているものであってもよい。このように、先に記載されたいかなるタイプ及び寸法の収容ユニット11にも、例えばステップ(a)で提供される流体製品を提供することができる。
例えば(収容ユニット11に)含まれる流体製品の乾燥又は凝結といった劣化を防止するために、設けられる収容ユニットに制御加熱を任意で適用してもよい。
ステップ(b)で支持手段12に取り付けられる流体製品のための収容ユニット11は、製造するべき所望の配合に従って利用者により選択が可能である。そして例えば本発明による注出機の保管領域28、37といった適切な保管要素から取り出され、注出領域15の支持手段12に取り付けられる。
上記され、例えば
図8及び
図9に示されるような嵌合形状を有する、支持手段12に含まれる対応する取り付け具13に、収容ユニット11の結合部分14を挿入することによって、例えば、選択された収容ユニット11を支持手段12に取り付けることができる。
【0143】
本発明の方法は任意に、例えば上記される検出手段によって、取り付けられた収容ユニットの流体製品の種類を識別するステップを含んでもよい。異なる送出位置まで移動可能な移動手段20に、デジタルスケールのような計量手段16を設けてもよい。従ってステップ(c)で、具体的には、受入容器18を計量手段16(例えば移動手段に配置されているデジタルスケール)に設置してもよい。
例えば、ステップ(f)~(d)は、注出機に関して上述したように駆動手段及びコントローラを使用して、通常はオートメーション化した方法で実行される。
本願明細書において、取り付けられた収容ユニットの前述の任意の識別によって得られる情報を利用することにより、移動手段20により受入容器18を順次異なる送出位置へ配置し、それぞれの流体製品から定められた量を注出することができる。
ステップ(e)における流体製品の注出では、送出手段(例えばそれぞれの流体製品を注出するために前述された送出手段)を駆動させることを含んでもよい。送出手段は、それぞれの流体製品から、目標とする量だけ注出するために、計量手段からの信号に応答して制御され得る。
本発明による方法は更に、別のステップ(g)を任意に備えてもよい。ステップ(g)は、注出シーケンス終了後、移動手段20によって受入容器18を取出し位置24まで移動させることを含む。これは特に、注出機の構造に関して上述したように構成することができ、操作者が(添加剤等を)追加し、配合処理を補うことも可能である。
【0144】
本発明について、いくつかの具体例を参照して記載してきたが、当業者であれば確実に、複数の流体製品から利用者が定めた目標とする配合物を調製するための機械又は方法において、多くの他の同等の形状を達成可能である。請求項にて記載されるようにな特徴を有し、それ故、全てがこれにより定められる保護範囲内となる。