(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】車両用制御ユニット及び車両用制御システム
(51)【国際特許分類】
B60R 16/033 20060101AFI20240514BHJP
H02J 7/34 20060101ALI20240514BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240514BHJP
B60R 16/03 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
B60R16/033 B
H02J7/34 B
H02J7/00 302D
B60R16/03 A
(21)【出願番号】P 2021123576
(22)【出願日】2021-07-28
【審査請求日】2022-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 和也
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-290513(JP,A)
【文献】特開2014-046718(JP,A)
【文献】特開2017-216826(JP,A)
【文献】特開2016-210240(JP,A)
【文献】特開2019-075893(JP,A)
【文献】特開2019-098978(JP,A)
【文献】特開2020-117178(JP,A)
【文献】特開2021-008755(JP,A)
【文献】登録実用新案第3231092(JP,U)
【文献】登録実用新案第3227324(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/033
H02J 7/34
H02J 7/00
B60R 16/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも車両の第1電源ラインと接続可能な制御部
及び取り外しが可能な内部充電池を収容するハウジングと、前記ハウジングに設けられた第1コネクタと、を備えるユニット本体と、
前記制御部の下流側に接続可能な1つ以上の負荷と、前記負荷に接続される第2コネクタと、を備える複数の負荷モジュールであって、前記負荷の種類及び/又は前記負荷の数が互いに異なる複数の負荷モジュールと、
を備え、
前記ユニット本体の前記第1コネクタと、
複数の前記負荷モジュールのうち選択された何れか一つに設けられた
前記第2コネクタとを接続することで、前記制御部と前記負荷とが接続され、
前記制御部は、状況に応じて、前記第1電源ラインから供給される第1の電源電力と、前記内部充電池から供給される第2の電源電力とのいずれかを選択的に前記負荷に供給し、
前記制御部は、
前記第1コネクタに接続されている前記第2コネクタの種類、前記第2コネクタの各端子に前記負荷が接続されているか否か、及び、各前記端子に接続されている前記負荷のインピーダンスを検出することで、複数の前記負荷モジュールのうちいずれが接続されているのか、及び、各前記負荷が接続されている前記端子の位置を特定し、この識別結果を前記負荷の制御に反映する、
車両用制御ユニット。
【請求項2】
前記第1電源ラインと接続可能な第
3コネクタを備え、
前記制御部は、前記第
3コネクタを経由して前記第1の電源電力が供給される、
請求項1に記載の車両用制御ユニット。
【請求項3】
車両外側の所定の電源設備における外部電源ラインと、前記内部充電池の充電回路の入力とを接続可能な外部電源接続部、を備え、
前記制御部は、前記内部充電池の充電回路の入力に、前記第1電源ラインから供給される第1の電源電力と、前記外部電源ラインから供給される第3の電源電力とのいずれかを状況に応じて選択的に供給する、
請求項1又は2に記載の車両用制御ユニット。
【請求項4】
前記制御部は、前記内部充電池の蓄電状況を把握し、前記蓄電状況を表す情報を出力する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の車両用制御ユニット。
【請求項5】
前記制御部は、車両の発電機能が動作中の場合は、前記第1電源ラインから供給される前記第1の電源電力を前記内部充電池の充電回路の入力に与えて、前記内部充電池の充電動作を実施する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の車両用制御ユニット。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の車両用制御ユニットと、
車載バッテリと、
前記第1電源ラインと、を備え、
前記第1電源ラインは、一端が前記車載バッテリに接続され、
前記制御部は、前記第1の電源電力として、前記車載バッテリの電源電力を供給し、前記第2の電源電力として、前記内部充電池の電源電力を供給する、
車両用制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に接続して利用可能な車両用制御ユニット及び車両用制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、人々が余暇でキャンプをする場合のようにアウトドアで一時的に生活する環境においては、屋内ではないので商用電源が使用できない場合が多い。しかし、生活に便利な照明、暖房、冷房のような様々な機器を利用するためには、通常は電源が必要になる。また、例えば災害が発生した場合にも一時的に屋外での生活が必要になるので、生活で利用可能な電源が必要になる。
【0003】
一方、アウトドアで生活する場合に、自分の車両やその近くに滞在することも多い。また、一般的な車両は車載バッテリなどの電源やエンジンの出力により発電する発電機を搭載している場合が多いので、車両の電源電力をアウトドアの生活で利用可能である。
【0004】
例えば、特許文献1は、災害発生地域に車両が存在している場合に、車両を電源として利用するための技術を開示している。特許文献1の車両は、燃料を用いて発電可能であると共に走行用の動力を出力可能な駆動部と、駆動部と電力をやりとりする蓄電装置と、駆動部による発電電力および/または蓄電装置からの電力を外部機器に供給可能な給電装置と、駆動部および給電装置を制御する制御装置と、を備えている。また、制御装置は、災害発生地域に車両が存在している場合、走行よりも蓄電装置の充電を優先する充電優先モードの設定をユーザに促す推奨処理を実行する。
【0005】
また、特許文献2は、停電時にシャッターの開閉動作を容易に行うための技術を開示している。この開閉体装置は、開口部の周縁部に設けられた開閉手段と、開閉手段を制御する開閉制御手段と、外部電源を直流-交流変換する変換手段と、停電時に電源を切り替える切替手段とを備える。また、開閉制御手段は、開閉手段の開閉停の各動作を電動で制御する。変換手段は、車載バッテリから入力された直流の電力を、商用電源と同じ電圧の交流の電力へ変換して出力する。切替手段は、商用電源の電力を開閉制御手段へ供給し、商用電源の停電時に変換手段の出力を開閉制御手段へ供給する。
【0006】
また、特許文献3は、フォークリフトに装着して用いられるオープンキャビン車両用スポットクーラーの技術を開示している。このスポットクーラーは、外部空気取込口、送風口および排熱口がそれぞれ配設されていると共に、冷却ユニット、送風ファンおよび電源ユニットがそれぞれ収容されている筐体と、筐体をフォークリフトの運転シートの後方部分または側方部分に着脱可能に装着させるための筐体装着部とを具備している。また、電源ユニットは、フォークリフトから供給された電源電圧を冷却ユニットおよび送風ファンの作動電圧に自動変圧する変圧処理装置を有している。
【0007】
また、特許文献4は、車両に搭載されているバッテリ以外にサブバッテリを用意し、車両に備えられたシガーソケットを経由してサブバッテリに充電を行い、このサブバッテリから昇圧回路を用いて13.8Vを発生させ電装品を作動させることを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2020-117178号公報
【文献】特開2021-8755号公報
【文献】実用新案登録第3231092号公報
【文献】実用新案登録第3227324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、アウトドアの生活で照明、暖房、冷房のような機能を必要とする状況は、車両が駐車している時である場合が多い。したがって、車両上に搭載されている機器、あるいは車両の電源に接続した車外機器の稼働により照明、暖房、冷房などを利用する場合には、車載バッテリに蓄積された電源電力が消耗してバッテリ上がりが生じる可能性が懸念される。バッテリ上がりが生じると車両が走行不能な状態に陥るので、ロードサービスなど他人の助けを借りてバッテリを充電しなければならない。
【0010】
一方、車両のバッテリ上がりを防止するために車両のエンジンをかけたまま、アイドリング状態を維持して照明、暖房、冷房などの機器を長時間に亘り利用すると、車両を動かさないにもかかわらずガソリン等の燃料が大量に消費される。これにより、環境に対する負荷の増大が懸念される。
【0011】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両が駐車している状態でバッテリ上がりの発生を防止すると共に、エンジンのアイドリングを停止したまま電源電力を必要とする様々な機器の利用が可能な車両用制御ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述した目的を達成するために、本発明に係る車両用制御ユニット及び車両用制御システムは、下記を特徴としている。
【0013】
少なくとも車両の第1電源ラインと接続可能な制御部及び取り外しが可能な内部充電池を収容するハウジングと、前記ハウジングに設けられた第1コネクタと、を備えるユニット本体と、
前記制御部の下流側に接続可能な1つ以上の負荷と、前記負荷に接続される第2コネクタと、を備える複数の負荷モジュールであって、前記負荷の種類及び/又は前記負荷の数が互いに異なる複数の負荷モジュールと、
を備え、
前記ユニット本体の前記第1コネクタと、複数の前記負荷モジュールのうち選択された何れか一つに設けられた前記第2コネクタとを接続することで、前記制御部と前記負荷とが接続され、
前記制御部は、状況に応じて、前記第1電源ラインから供給される第1の電源電力と、前記内部充電池から供給される第2の電源電力とのいずれかを選択的に前記負荷に供給し、
前記制御部は、前記第1コネクタに接続されている前記第2コネクタの種類、前記第2コネクタの各端子に前記負荷が接続されているか否か、及び、各前記端子に接続されている前記負荷のインピーダンスを検出することで、複数の前記負荷モジュールのうちいずれが接続されているのか、及び、各前記負荷が接続されている前記端子の位置を特定し、この識別結果を前記負荷の制御に反映する、
車両用制御ユニット。
【0014】
上記の車両用制御ユニットと、
車載バッテリと、
前記第1電源ラインと、を備え、
前記第1電源ラインは、一端が前記車載バッテリに接続され、
前記制御部は、前記第1の電源電力として、前記車載バッテリの電源電力を供給し、前記第2の電源電力として、前記内部充電池の電源電力を供給する、
車両用制御システム。
【発明の効果】
【0015】
本発明の車両用制御ユニット及び車両用制御システムによれば、車両が駐車している状態でバッテリ上がりが発生するのを防止できる。また、駐車中や、エンジンのアイドリングを停止した停車状態であっても、電源電力を必要とする様々な機器(負荷)に電力を供給できるので、余暇や災害発生時など人々がアウトドア環境で生活する場合の利便性の向上が期待できる。
【0016】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る車両用制御ユニットの構成例-1を示す電気回路図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る車両用制御ユニットの構成例-2を示す電気回路図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る車両用制御ユニットの構成例-3を示す電気回路図である。
【
図4】
図4は、制御部の主要な動作を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、表示制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施形態に係る車両用制御ユニットの構成例-1を示す電気回路図である。
図2は、本発明の実施形態に係る車両用制御ユニットの構成例-2を示す電気回路図である。
図3は、本発明の実施形態に係る車両用制御ユニットの構成例-3を示す電気回路図である。各車両用制御ユニットの構成について以下に説明する。
【0020】
<構成例-1>
図1に示した車両用制御ユニット100Aは、コネクタCN11、ユニット本体10、及び負荷モジュール15Aを備えている。車両用制御ユニット100AのコネクタCN11は、車両側に設けられているコネクタCN12と接続される。この車両用制御ユニット100Aは、車両に搭載されている車載バッテリ23、コネクタCN12及び車内スイッチ部26とともに、車両用制御システム1Aを構成している。
【0021】
コネクタCN11、CN12は、電源線21、通信線22、及びグランドGNDを接続するために利用される。電源線21は、車両側のアクセサリ系統の電源電力(ACC)を供給する。
【0022】
この電源電力ACCは、車載バッテリ23から供給される。また、車載バッテリ23の入力側には車両の発電機であるオルタネータ24が接続されている。したがって、この車両のエンジンが動いているときや車両が走行しているときには、オルタネータ24の出力する電力により車載バッテリ23を充電することができる。
【0023】
なお、電気自動車やプラグインハイブリッド車などのように高圧電源を内蔵する車両の場合には、オルタネータ24の代わりに高圧電源の出力が所定のDC/DCコンバータを介して車載バッテリ23と接続される。
【0024】
また、電源電力ACCは、車両のイグニッションがオフの時でも供給される。但し、電源電力ACCを過剰に使用すると車載バッテリ23がバッテリ上がりになり、エンジン始動ができなくなる虞があるので、電源電力ACCの利用は抑制する必要がある。
【0025】
図1に示した車両用制御ユニット100Aは、車両のオプション装備として、ユーザが必要に応じて選択し、例えば後付けで容易に車両に接続できるように構成されている。この車両用制御ユニット100Aは、車両のユーザがこの車両を利用しつつアウトドアで生活する際に便利な照明機能を利用可能にするものである。
【0026】
すなわち、負荷モジュール15Aは、多数の室内照明LED(発光ダイオード)15aを備えている。これらの室内照明LED15aは、車両の室内に搭載されているイルミネーション系の光源であり、例えばドームランプ、パーソナルランプ、室内装飾照明、除菌ランプ(深紫外線LED)などを含むことができる。
【0027】
ユニット本体10は、箱形のハウジング10aの中に収容された制御部11、無線通信部12、及び内蔵充電池13を備えている。なお、内蔵充電池13が比較的小型の場合には、コネクタCN11のハウジングの中にユニット本体10を収容してこれらを一体化することも可能である。
【0028】
制御部11は、例えばマイクロコンピュータを主体とする電子回路により構成され、有線通信機能を備えている。また、制御部11は内蔵した無線通信部12を利用することで無線通信も可能である。制御部11のマイクロコンピュータは、予め組み込まれているプログラムを実行することにより、例えば負荷モジュール15Aにおける各室内照明LED15aの点灯/消灯を含む様々な制御を実行できる。
【0029】
無線通信部12は、例えばWi-Fi(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)のような標準の通信規格に対応した無線通信を可能にする通信モジュールであり、比較的近距離の無線通信が可能である。本実施形態では、スマートキー30等との間の通信を可能にするために無線通信部12を利用している。
【0030】
内蔵充電池13は、取り外しや交換が可能な状態でハウジング10a内に収容されている。この内蔵充電池13は、例えばリチウムイオン電池により構成されている。内蔵充電池13は、制御部11、及び負荷モジュール15Aに対して電源電力を供給可能となるように接続されている。また、内蔵充電池13の充電回路には、充電ケーブル19が接続されている。
【0031】
充電ケーブル19は、所定の外部電源設備31が設置されている場所の近傍に車両を停車している状態で、車両と外部電源設備31とを接続するために使用される。そして、外部電源設備31から供給される電源電力を、充電ケーブル19を介してユニット本体10内の内蔵充電池13に供給し充電することができる。
【0032】
図1に示した負荷モジュール15Aは、充電状態LED15bを含んでいる。この充電状態LED15bは、マルチカラーLEDにより構成されており、内蔵充電池13が蓄電している電力の残量を色の違いにより表示するために利用される。
【0033】
図1に示した車両の車内には、運転者等の利用者が操作可能な位置に様々なスイッチ(SW)が設置されている。これらのスイッチが車内スイッチ部26に含まれている。
また、この車両に搭載されているECU(電子制御ユニット)25は、車内スイッチ部26の各スイッチの状態を読み取ることができる。このECU25の電源入力には、車載バッテリ23の出力から電力が供給される。
【0034】
ECU25は、例えばCAN (Controller Area Network)のような車両用の通信規格に対応した通信機能を有し、通信線22を介して車両用制御ユニット100A、及び他の車載ECU等との間で通信を行うことができる。ECU25の通信線22は、コネクタCN12、CN11を介して制御部11と有線で接続される。
【0035】
スマートキー30は、一般的な車両用のスマートキーと同様に、ドアロックの施錠/解錠などを無線通信で行うための機能を有している。また、
図1に示したスマートキー30は、車両用制御ユニット100Aにおける車載照明のオンオフを切り替える機能を割り当てたスイッチも含んでいる。
【0036】
また、スマートキー30は、Wi-Fi、Bluetoothなどの規格に対応した無線通信を可能にする通信モジュールを内蔵し、車両用制御ユニット100A内の無線通信部12との間で無線通信が可能である。なお、スマートキー30の代わりに車両用制御ユニット100Aの操作機能のみに特化した専用のリモコンスイッチ、或いはスマートホンを利用してもよい。一般的なスマートホンは、Wi-Fi、Bluetoothなどの無線通信機能を標準的に搭載しているので、車両用制御ユニット100Aを操作するための専用のアプリを組み込むことにより、ユニット本体10と無線通信して車両用制御ユニット100Aを操作することが可能になる。
【0037】
図1に示すように、負荷モジュール15Aに接続されたワイヤハーネス16は、コネクタCN22を有している。また、ユニット本体10に設けられたコネクタCN21は、コネクタCN22と嵌合可能な形状を有しているので、コネクタCN21、CN22を介してユニット本体10と負荷モジュール15Aを接続することができる。
【0038】
したがって、負荷モジュール15Aが車載機能として事前に車両に搭載してある場合には、ユニット本体10を車両に追加してコネクタCN21、CN22を接続するだけで、車両用制御ユニット100Aの機能を実現できる。
【0039】
また、負荷モジュール15Aが事前に車両に搭載されていない場合でも、ユニット本体10及び負荷モジュール15Aを新たに追加することで、車両用制御ユニット100Aを利用できる。
【0040】
なお、ユニット本体10と負荷モジュール15Aとは、コネクタCN21、CN22を介さず、直接接続されていてもよい。あるいは、電源線21、通信線22、及びグランドGNDが、コネクタCN11、CN12を介さずに直接ユニット本体10に接続されていてもよい。
【0041】
<構成例-2>
図2に示した車両用制御ユニット100Bは、コネクタCN11、ユニット本体10、及び負荷モジュール15Bを備えている。車両用制御ユニット100BのコネクタCN11は、車両側に設けられているコネクタCN12と接続される。この車両用制御ユニット100Bは、車両に搭載されている車載バッテリ23、コネクタCN12及び車内スイッチ部26とともに、車両用制御システム1Bを構成している。
【0042】
コネクタCN11、CN12は、電源線21、通信線22、及びグランドGNDを接続するために利用される。電源線21は、車両側のアクセサリ系統の電源電力ACCを供給する。
【0043】
したがって、
図2に示した車両用制御ユニット100Bの構成については、負荷モジュール15Bの種類と負荷の数が違う以外は
図1の車両用制御ユニット100Aとほぼ共通である。つまり、2種類の車両用制御ユニット100A、100Bは必要に応じてユーザが選択したり交換することが容易である。
【0044】
また、
図2に示した負荷モジュール15Bは、複数の車内ヒータ系負荷15cを備えている。負荷モジュール15Bに搭載可能な車内ヒータ系負荷15cの代表例としては、シートヒータ、アームレストヒータ、足元ヒータなどがある。
【0045】
また、負荷モジュール15Bの中には、充電状態LED15bも含まれている。
負荷モジュール15Bに接続されたワイヤハーネス16はコネクタCN22を有している。また、ユニット本体10に設けられたコネクタCN21は、コネクタCN22と嵌合可能な形状を有しているので、コネクタCN21、CN22を介してユニット本体10と負荷モジュール15Bを接続することができる。
【0046】
したがって、負荷モジュール15Bが車載機能として事前に車両に搭載してある場合には、ユニット本体10を車両に追加してコネクタCN21、CN22を接続するだけで、車両用制御ユニット100Bの機能を実現できる。
【0047】
また、負荷モジュール15Bが事前に車両に搭載されていない場合でも、ユニット本体10及び負荷モジュール15Bを新たに追加することで、車両用制御ユニット100Bを利用できる。
【0048】
なお、ユニット本体10と負荷モジュール15Bとは、コネクタCN21、CN22を介さず、直接接続されていてもよい。あるいは、電源線21、通信線22、及びグランドGNDが、コネクタCN11、CN12を介さずに直接ユニット本体10に接続されていてもよい。
【0049】
<構成例-3>
図3に示した車両用制御ユニット100Cは、コネクタCN11、ユニット本体10、及び負荷モジュール15Cを備えている。車両用制御ユニット100CのコネクタCN11は、車両側に設けられているコネクタCN12と接続される。この車両用制御ユニット100Cは、車両に搭載されている車載バッテリ23、コネクタCN12及び車内スイッチ部26とともに、車両用制御システム1Cを構成している。
【0050】
コネクタCN11、CN12は、電源線21、通信線22、及びグランドGNDを接続するために利用される。電源線21は、車両側のアクセサリ系統の電源電力ACCを供給する。
【0051】
したがって、
図3に示した車両用制御ユニット100Cの構成については、負荷モジュール15C以外は車両用制御ユニット100A、100Bとほぼ共通である。つまり、3種類の車両用制御ユニット100A、100B、100Cは必要に応じてユーザが選択したり交換することが容易である。
【0052】
また、
図3に示した負荷モジュール15Cは、複数の車内モータ系負荷15dを備えている。負荷モジュール15Cに搭載可能な車内モータ系負荷15dの代表例としては、小型扇風機(スイング機能付き)などがある。
【0053】
また、負荷モジュール15Cの中には、充電状態LED15bも含まれている。
負荷モジュール15Cに接続されたワイヤハーネス16はコネクタCN22を有している。また、ユニット本体10に設けられたコネクタCN21は、コネクタCN22と嵌合可能な形状を有しているので、コネクタCN21、CN22を介してユニット本体10と負荷モジュール15Cを接続することができる。
【0054】
したがって、負荷モジュール15Cが車載機能として事前に車両に搭載してある場合には、ユニット本体10を車両に追加してコネクタCN21、CN22を接続するだけで、車両用制御ユニット100Cの機能を実現できる。
【0055】
また、負荷モジュール15Cが事前に車両に搭載されていない場合でも、ユニット本体10及び負荷モジュール15Cを新たに追加することで、車両用制御ユニット100Cを利用できる。
【0056】
なお、ユニット本体10と負荷モジュール15Cとは、コネクタCN21、CN22を介さず、直接接続されていてもよい。あるいは、電源線21、通信線22、及びグランドGNDが、コネクタCN11、CN12を介さずに直接ユニット本体10に接続されていてもよい。
【0057】
図4は、車両用制御ユニット100A、100B、100Cにおける制御部11の主要な動作を示すフローチャートである。
図4の動作について以下に説明する。
【0058】
制御部11は、コネクタCN21の下流側に接続されている負荷モジュールの接続状態をS10で識別する。例えば、コネクタCN21に接続されているコネクタCN22の種類、コネクタCN22の各端子に負荷が接続されているか否か、各端子に接続されている負荷のインピーダンスなどを検出する。これにより、負荷モジュール15A、15B、15Cのいずれが接続されているのかを把握したり、各負荷が接続されている端子の位置などを特定できる。この識別結果を制御部11の制御に反映することで、負荷モジュール15A、15B、及び15Cのそれぞれの特性に適した制御が可能になる。
【0059】
制御部11は、車載バッテリ23を含む車両側の電源に余裕があるか否かを把握するために、車両が発電中か否かをS11で識別する。例えば、電源線21の電圧を事前に定めた閾値と比較することでオルタネータ24が発電中か否かを識別できる。あるいは、通信線22を利用した通信により、車両が発電中か否かを示す情報をECU25から取得することもできる。
【0060】
車両が発電中の場合はS11からS12に進む。そして、制御部11は、それ自身の電源や、負荷モジュールの各負荷に対する電源供給元として、車両側の電源線21の電力ACCをS12で選択する。また、制御部11は、内蔵充電池13を充電するための電源供給元として、車両側の電源線21の電力ACCをS13で選択する。
【0061】
一方、車両が発電中でなければS11からS14に進む。そして、制御部11は、それ自身の電源や、負荷モジュールの各負荷に対する電源供給元として、内蔵充電池13が出力する電力をS14で選択する。
【0062】
また、内蔵充電池13の充電入力が充電ケーブル19を介して外部電源設備31と接続されている場合には、S15からS16に進み、制御部11は内蔵充電池13を充電するための電源供給元として外部電源設備31の電力を選択する。
【0063】
制御部11は、内蔵充電池13の充電状態や蓄電状態をS17で管理する。例えば、内蔵充電池13における充電電流、放電電流、出力電圧などの値やその変化を監視することにより、内蔵充電池13の実際の状態を把握する。また、制御部11は、次のS18で内蔵充電池13の充電状態や蓄電状態を充電状態LED15bの表示に反映する。本実施形態では、充電状態LED15bの発光色の違いにより充電状態や蓄電状態の違いを表現する。
【0064】
制御部11は、S19で通信線22を介してECU25との間で通信を行い、車内スイッチ部26の各スイッチの状態を読み取る。また、制御部11は次のS20で無線通信部12を利用してスマートキー30との間で比較的近距離の無線通信を実施する。
【0065】
制御部11は、運転者等の利用者が自車両に乗車中か否かをS21で識別する。例えば、各座席における着座の有無を検知したり、スマートキー30が運転席の近傍に存在するか否かを検知することで、利用者が自車両に乗車中か否かを識別できる。
【0066】
利用者が自車両に乗車中の場合には、制御部11は、車内スイッチ部26に含まれる車内スイッチの操作状況に応じて、負荷モジュールの各負荷のオンオフを切り替える(S22)。すなわち、制御部11は、各負荷をオンにする場合は電源電力を供給し、オフにする場合は電源電力供給を遮断する。
一方、利用者が自車両の車外に存在する場合には、制御部11は、スマートキー30におけるスイッチ操作状況に応じて、各負荷のオンオフを切り替える(S23)。
【0067】
図5は、表示制御を示すフローチャートである。すなわち、
図4中のステップS18の詳細を
図5に示す。
図5に示した動作について以下に説明する。
【0068】
制御部11は、内蔵充電池13が蓄電している電力の残量Rb(%)を予め定めた閾値10、90とそれぞれ比較する。「90<Rb」の場合はS32に進み、「10<Rb≦90」の場合はS33に進み、「10≧Rb」の場合はS34に進む。
【0069】
なお、電力の残量Rbについては、例えば内蔵充電池13が満充電の状態(100%)を基準にして、その基準状態から消費した電力量や電圧の変化などに基づき計算で推定できる。
【0070】
「90<Rb」の場合は、制御部11は充電表示LED17が緑色で点灯するように表示制御する。また、「10<Rb≦90」の場合は、充電状態LED15bが黄色で点灯するように表示制御する。また、「10≧Rb」の場合は、充電状態LED15bが赤色で点灯するように表示制御する。
【0071】
以上のように、本実施形態に係る車両用制御ユニット100A、100B、100Cのいずれかを利用する場合には、ユーザがアウトドア環境で生活する場合に必要とされる照明、暖房、冷房のような機能を車両上、又は車両の近傍で便利に利用することが可能であり、しかも車両のバッテリ上がりを効果的に防止できる。
【0072】
すなわち、車両が駐車状態であったり、アイドリングストップ状態であれば、制御部11は内蔵充電池13の電力を利用して各負荷モジュール15A、15B、15C等に電源を供給するので、車載バッテリ23が蓄積している電力の消耗を避けることができる。また、車両が走行状態の場合のようにオルタネータ24が発電している状態では、車両側の電源電力を利用して内蔵充電池13の充電を行うことができるので、各負荷モジュール15A、15B、15Cの機能を使用する前に、内蔵充電池13に十分な電力を蓄積することが可能になる。また、内蔵充電池13は取り外しや交換が可能であるので、内蔵充電池13の蓄電した電力が消耗した場合でも、交換により継続的に内蔵充電池13の電力を使用することが可能になる。
【0073】
また、電源線21、通信線22、及びグランドを接続可能な標準化されたコネクタCN11を用いて、車両側のコネクタCN12にユニット本体10を接続できるので、車両のユーザは各車両用制御ユニット100A、100B、100Cの機能を必要に応じて選択的に利用することが可能になる。
【0074】
また、標準化されたコネクタCN21、CN22を用いて各負荷モジュール15A、15B、15Cを接続する場合には、機能が同一のユニット本体10を車両用制御ユニット100A、100B、100Cのいずれにも接続できるので、部品の共通化により利便性の向上やコストの低減が可能になる。
【0075】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0076】
ここで、上述した本発明の実施形態に係る車両用制御ユニット車両用制御システムの特徴をそれぞれ以下[1]~[7]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 少なくとも車両の第1電源ライン(電源線21、ACC)と接続可能な制御部(11)と、
前記制御部の下流側に接続可能な1つ以上の負荷(室内照明LED15a、又は車内ヒータ系負荷15c、又は車内モータ系負荷15d)と、
取り外しが可能な内部充電池(内蔵充電池13)と、
前記制御部および前記内部充電池を収容可能なハウジング(10a)と、
を備え、
前記制御部は、状況に応じて、前記第1電源ラインから供給される第1の電源電力と、前記内部充電池から供給される第2の電源電力とのいずれかを選択的に前記負荷に供給する(S11、S12、S14)、
車両用制御ユニット(100A、100B、100C)。
【0077】
上記[1]の構成の車両用制御ユニットによれば、負荷に供給する電源として、車両側の第1の電源電力と、内部充電池から供給される第2の電源電力とを状況に応じて使い分けることができる。したがって、車両側でバッテリ上がりの可能性がある場合でも、第2の電源電力を利用して負荷を動作させることができる。また、内部充電池の蓄積している電力が消耗した場合でも、負荷を利用しない時に内部充電池を充電すれば、蓄積電力量を回復することができる。また、内部充電池は取り外しにより交換できるので、長時間に亘ってほぼ連続的に負荷に電源電力を供給することも可能である。
【0078】
[2] 前記第1電源ライン(電源線21、ACC)と接続可能な第1コネクタ(CN11)を備え、
前記制御部(11)は、前記第1コネクタを経由して前記第1の電源電力が供給される、
上記[1]に記載の車両用制御ユニット。
【0079】
上記[2]の構成の車両用制御ユニットによれば、第1コネクタの形状などを標準化しておけば、種類の異なる複数の車両用制御ユニットや複数種類の負荷をつなぎ替えることが可能になり、各ユーザの用途に応じて使い分けることが容易になる。
【0080】
[3] 車両外側の所定の電源設備(外部電源設備31)における外部電源ラインと、前記内部充電池の充電回路の入力とを接続可能な外部電源接続部(充電ケーブル19)、を備え、
前記制御部は、前記内部充電池の充電回路の入力に、前記第1電源ラインから供給される第1の電源電力と、前記外部電源ラインから供給される第3の電源電力とのいずれかを状況に応じて選択的に供給する(S13、S15、S16)、
上記[1]又は[2]に記載の車両用制御ユニット。
【0081】
上記[3]の構成の車両用制御ユニットによれば、所定の電源設備が利用可能な環境においては、第3の電源電力を利用して内部充電池を充電できる。したがって、内部充電池の充電により車載バッテリに蓄積されている電力が消耗するのを避けることができる。また、電源設備が利用できない環境であっても、車両側の電源に余裕がある場合には、前記第1の電源電力により内部充電池を充電できる。
【0082】
[4] 前記制御部は、前記内部充電池の蓄電状況を把握し(S17)、前記蓄電状況を表す情報を出力する(S18)、
上記[1]~[3]のいずれかに記載の車両用制御ユニット。
【0083】
上記[4]の構成の車両用制御ユニットによれば、ユーザは内部充電池の蓄電状況を知ることができる。したがって、利用する予定の負荷が消費する電力と内部充電池の蓄電状況の情報とに基づいて、ユーザは内部充電池の充電や交換が必要か否かを容易に判断できる。
【0084】
[5] 前記制御部は、車両の発電機能が動作中の場合は、前記第1電源ラインから供給される前記第1の電源電力を前記内部充電池の充電回路の入力に与えて、前記内部充電池の充電動作を実施する(S11、S13)、
上記[1]~[4]のいずれかに記載の車両用制御ユニット。
【0085】
上記[5]の構成の車両用制御ユニットによれば、車両の走行中や、車両が停車してエンジンがアイドリング状態の時に、車両側から前記第1の電源電力を与えて内部充電池を充電することができる。
【0086】
[6] 前記制御部は、入力操作が可能な所定の無線リモコンユニット(スマートキー30)との通信が可能な無線通信部(12)を有する、
上記[1]~[5]のいずれかに記載の車両用制御ユニット。
【0087】
上記[6]の構成の車両用制御ユニットによれば、ユーザが無線リモコンユニットを操作することで、車両に接近しなくても制御部に指示を与えることができる。
【0088】
[7] 上記[1]~[6]のいずれかに記載の車両用制御ユニット(100A、100B、100C)と、
車載バッテリ(23)と、
前記第1電源ライン(電源線21、ACC)と、を備え、
前記第1電源ラインは、一端が前記車載バッテリに接続され、
前記制御部は、前記第1の電源電力として、前記車載バッテリの電源電力を供給し、前記第2の電源電力として、前記内部充電池の電源電力を供給する、
車両用制御システム(1A、1B、1C)。
【0089】
上記[7]の構成の車両用制御システムによれば、負荷に供給する電源として、車載バッテリから供給される第1の電源電力と、内部充電池から供給される第2の電源電力とを状況に応じて使い分けることができる。したがって、車両側でバッテリ上がりの可能性がある場合でも、第2の電源電力を利用して負荷を動作させることができる。また、内部充電池の蓄積している電力が消耗した場合でも、負荷を利用しない時に内部充電池を充電すれば、蓄積電力量を回復することができる。また、内部充電池は取り外しにより交換できるので、長時間に亘ってほぼ連続的に負荷に電源電力を供給することも可能である。
【符号の説明】
【0090】
1A,1B,1C 車両用制御システム
10 ユニット本体
10a ハウジング
11 制御部
12 無線通信部
13 内蔵充電池
15A,15B,15C 負荷モジュール
15a 室内照明LED
15b 充電状態LED
15c 車内ヒータ系負荷
15d 車内モータ系負荷
16 ワイヤハーネス
19 充電ケーブル
21 電源線
22 通信線
23 車載バッテリ
24 オルタネータ
25 ECU
26 車内スイッチ部
30 スマートキー
31 外部電源設備
100A,100B,100C 車両用制御ユニット
CN11,CN12,CN21,CN22 コネクタ