(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/262 20210101AFI20240514BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20240514BHJP
H01M 50/264 20210101ALI20240514BHJP
【FI】
H01M50/262 E
H01M50/209
H01M50/264
(21)【出願番号】P 2021187138
(22)【出願日】2021-11-17
【審査請求日】2022-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 剛頌
(72)【発明者】
【氏名】武田 隆秀
(72)【発明者】
【氏名】小林 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】土田 靖
(72)【発明者】
【氏名】越智 誠
(72)【発明者】
【氏名】野坂 実央
(72)【発明者】
【氏名】小池 将樹
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 浩司
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雄三
(72)【発明者】
【氏名】櫻本 誠一
(72)【発明者】
【氏名】池田 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 康資
【審査官】高木 康晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-055017(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111900299(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/262
H01M 50/209
H01M 50/264
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に並んで配置され、角型形状を各々有する複数の電池セルと、
前記複数の電池セルを前記第1の方向に拘束する拘束機構と、
前記拘束機構による前記第1の方向の拘束荷重を調整可能な拘束力調整機構とを備えた電池モジュールであって、
前記拘束力調整機構は、前記拘束荷重を調整するときに操作される操作部を含み、
前記操作部は、前記電池モジュール上に設けら
れ、
前記拘束機構は、前記複数の電池セルの積層体の前記第1の方向の端部に設けられたエンドプレートを含み、
前記拘束力調整機構は、
車両側に締結されるとともに、前記第1の方向に沿って前記エンドプレートに締結された少なくとも1つのボルト部材と、
前記ボルト部材に螺合されたナット部材とを含み、
前記ボルト部材に対して前記ナット部材を締め込むことにより、前記エンドプレートを前記積層体に向けて撓ませることが可能であり、前記ナット部材の締め込み量を調整することにより、前記エンドプレートの撓み量を調整することが可能である、電池モジュール。
【請求項2】
前記拘束力調整機構は、前記エンドプレートと前記積層体との間に設けられたシム部材をさらに含む、
請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記ボルト部材は、前記電池モジュールの基台への固定部材を兼用する、
請求項1または請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記拘束力調整機構は、前記エンドプレートと前記基台側の取付部材との間に設けられたシム部材をさらに含む、
請求項3に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記ボルト部材は、前記第1の方向からみて、前記電池セルにおける電極体に含まれる正極活物質層の塗工範囲の領域内に設けられる、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電池モジュール。
【請求項6】
第1の方向に並んで配置され、角型形状を各々有する複数の電池セルと、
前記複数の電池セルを前記第1の方向に拘束する拘束機構と、
前記拘束機構による前記第1の方向の拘束荷重を調整可能な拘束力調整機構とを備えた電池モジュールであって、
前記拘束力調整機構は、前記拘束荷重を調整するときに操作される操作部を含み、
前記操作部は、前記電池モジュール上に設けられ、
前記拘束機構は、前記複数の電池セルの積層体の前記第1の方向の両端部に設けられた2つのエンドプレートと、前記2つのエンドプレート
に固定されたバインドバーとを含み、
前記拘束力調整機構は、前記第1の方向に直交する第2の方向に沿って前記バインドバーを貫通し、前記電池モジュールにおける他の部品に締結されるボルト部材を含み、
前記ボルト部材の締結力を調整することにより、前記バインドバーを前記第2の方向に沿った撓み量を調整し、前記第1の方向に沿った前記電池モジュールの長さを調整することが可能である
、電池モジュール。
【請求項7】
前記複数の電池セルを収容して少なくとも前記第1の方向に支持し、前記複数の電池セルを含むユニットを形成するケースをさらに備え、
前記拘束機構は、複数の前記ユニットを前記第1の方向に拘束する、請求項1から
請求項6のいずれか1項に記載の電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の電池セルが積層された電池モジュールが従来から知られている。複数の電池セルは拘束部材により積層方向に拘束される。積層方向の拘束力を調整する機構として、特許文献1および特許文献2に記載のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-20891号公報
【文献】特開2021-57149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1,2に記載の調整機構は、いずれも、雰囲気温度、電池モジュールの温度の上昇時に電池セルの拘束力が意図しない範囲にまで上昇することを抑制しようとするものである。電池セルを拘束部材により拘束した後、顧客の要請等に応じて拘束力の調整を行うという観点からは、別の機構が求められる。
【0005】
本技術の目的は、拘束機構による電池セルの拘束荷重を簡単に調整可能な電池モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術に係る電池モジュールは、第1の方向に並んで配置され、角型形状を各々有する複数の電池セルと、複数の電池セルを第1の方向に拘束する拘束機構と、拘束機構による第1の方向の拘束荷重を調整可能な拘束力調整機構とを備える。拘束力調整機構は、拘束荷重を調整するときに操作される操作部を含む。操作部は、電池モジュール上に設けられる。
【発明の効果】
【0007】
本技術によれば、拘束機構により電池セルを拘束した後に、その拘束荷重を簡単に調整することが可能な構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本技術の一実施の形態に係る電池モジュールの構成を示す斜視図である。
【
図2】
図1の電池モジュールを矢印II方向から見た斜視図である。
【
図3】本技術の一実施の形態に係る電池モジュールが備えるユニットおよびエンドプレートの構成を示す斜視図である。
【
図4】本技術の一実施の形態に係る電池モジュールが備えるユニットの構成を示す斜視図である。
【
図5】
図4のユニットを矢印V方向から見た断面図である。
【
図6】本技術の一実施の形態に係る電池モジュールが備える電池セルの構成を示す斜視図である。
【
図7】本技術の一実施の形態に係る電池モジュールが備える電圧検出線の構成を示す部分斜視図である。
【
図8】一例に係る拘束力調整機構の構造を示す図である。
【
図9】
図8に示す調整機構をY方向から見た状態を示す図である。
【
図10】変形例に係る拘束力調整機構の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本技術の実施の形態について説明する。なお、同一または相当する部分に同一の参照符号を付し、その説明を繰返さない場合がある。
【0010】
なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本技術の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、以下の実施の形態において、各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本技術にとって必ずしも必須のものではない。
【0011】
なお、本明細書において、「備える(comprise)」および「含む(include)」、「有する(have)」の記載は、オープンエンド形式である。すなわち、ある構成を含む場合に、当該構成以外の他の構成を含んでもよいし、含まなくてもよい。また、本技術は、本実施の形態において言及する作用効果を必ずしもすべて奏するものに限定されない。
【0012】
本明細書において、「電池」は、リチウムイオン電池に限定されず、ニッケル水素電池など他の電池を含み得る。本明細書において、「電極」は正極および負極を総称し得る。また、「電極板」は正極板および負極板を総称し得る。
【0013】
なお、図面においては、電池セルの積層方向をY方向としての第1の方向、電池セルの2つの電極端子が沿って並ぶ方向をX方向としての第2の方向、電池セルの高さ方向をZ方向としての第3の方向とする。
【0014】
図1は、本技術の一実施の形態に係る電池モジュールの構成を示す斜視図である。
図2は、
図1の電池モジュールを矢印II方向から見た斜視図である。
図3は、本技術の一実施の形態に係る電池モジュールが備えるユニットおよびエンドプレートの構成を示す斜視図である。
【0015】
電池モジュール1は、たとえば、ハイブリッド車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)、プラグインハイブリッド車(PHEV:Plug-in Hybrid Electric Vehicle)または電気自動車(BEV:Battery Electric Vehicle)などの車両の駆動用電源として用いられる。
【0016】
まず、電池モジュール1の全体構造について説明する。
図1~
図3に示すように、電池モジュール1は、複数のユニット10と、エンドプレート400と、拘束部材500と、下部拘束部材550と、配線部材600と、ダクト700と、接続端子800とを備える。
【0017】
複数のユニット10は、第1の方向(Y方向)に並んで配置されている。本実施の形態に係る複数のユニット10は、Y方向に6つ並んで配置されている。なお、複数のユニット10の数量は、2以上であれば、特に限定されない。
【0018】
複数のユニット10は、2つのエンドプレート400に挟持されている。本実施の形態に係る複数のユニット10は、エンドプレート400に押圧され、2つのエンドプレート400の間で拘束されている。
【0019】
エンドプレート400は、複数のユニット10のY方向の両端に設けられている。エンドプレート400は、電池モジュール1を収納するパックケースなどの基台に固定される。エンドプレート400は、たとえば、アルミニウムまたは鉄により構成されている。
【0020】
拘束部材500は、複数のユニット10およびエンドプレート400のX方向の両端に設けられている。並んで配置された複数のユニット10およびエンドプレート400に対してY方向の圧縮力を作用させた状態で拘束部材500をエンドプレート400に係合させ、その後に圧縮力を解放することにより、2つのエンドプレート400を接続する拘束部材500に引張力が働く。その反作用として、拘束部材500は、2つのエンドプレート400を互いに近づける方向に押圧する。その結果、拘束部材500は、複数のユニット10を第1の方向(Y方向)に拘束する。
【0021】
拘束部材500は、板状部510と、第1フランジ部520と、第2フランジ部530とを含む。拘束部材500は、たとえば、鉄により構成されている。
【0022】
板状部510は、Y方向に延在している部材である。板状部510には、複数の開口部511が設けられている。複数の開口部511は、Y方向において、互いに間隔をあけて設けられている、開口部511は、X方向において、板状部510を貫通する貫通孔から構成されている。
【0023】
第1フランジ部520は、複数のユニット10の側面から複数のユニット10の上面に回り込む。第1フランジ部520を設けることにより、比較的薄く形成された拘束部材500の剛性を確保することができる。
【0024】
第2フランジ部530は、板状部510のY方向の両端に接続されている。第2フランジ部530は、エンドプレート400に固定される。第2フランジ部530には、ボルト孔530Aが形成されている。拘束部材500は、たとえばボルト孔530Aに挿通されたボルト500Aによりエンドプレート400に固定される。これにより、拘束部材500は、2つのエンドプレート400を互いに接続する。
【0025】
図2に示すように、下部拘束部材550は、複数のユニット10およびエンドプレート400の底面に設けられている。下部拘束部材550は、後述する電池セル100を底面側から保護する。下部拘束部材550は、たとえば、鉄により構成されている。
【0026】
図1に示すように、配線部材600は、Z方向において、複数のユニット10と対向する位置に設けられている。配線部材600は、X方向における複数のユニット10の各々の中央部を通って、Y方向に延びている。配線部材600は、複数のユニット10と電気的に接続されている。配線部材600は、たとえば、フレキシブルプリント基板である。
【0027】
ダクト700は、Y方向に延びている。ダクト700は、Z方向に見て、配線部材600と重なる位置で延びている。ダクト700は、Z方向において、複数のユニット10と、配線部材600との間に配置されている。
【0028】
接続端子800は、Y方向に並んで配置される複数のユニット10の両側に配置されている。接続端子800は、Z方向から見て、エンドプレート400と重なる位置に設けられている。接続端子800は、電池モジュール1と、電池モジュール1の外部に配置される図示しないケーブルなどの外部配線とを接続する。
【0029】
エンドプレート400の端面には、拘束力調整機構900が設けられている。拘束力調整機構900は、エンドプレート400に取り付けられたボルト部材910と、ボルト部材910に螺合されたナット部材920と、シム部材930とを含む。
【0030】
次に、ユニット10の構造について説明する。
図4は、本技術の一実施の形態に係る電池モジュールが備えるユニットの構成を示す斜視図である。
図5は、
図4のユニットを矢印V方向から見た斜視図である。
【0031】
図4および
図5に示すように、複数のユニット10の各々は、複数の電池セル100と、支持部材としてのケース200と、バスバー300とを含む。
【0032】
ユニット10は、2個以上の電池セル100を含んでいる。本技術の一実施の形態に係るユニット10は、偶数の個数として4つの電池セル100を含んでいる。なお、複数のユニット10の各々に備わる電池セル100の数は、2以上であれば、特に限定されない。また、複数のユニット10の各々に備わる電池セル100の数は、奇数個であってもよい。
【0033】
複数の電池セル100は、第1の方向(Y方向)に並んで配置されている。本技術の一実施の形態に係る複数の電池セル100は、Y方向に4つ並んで配置されている。複数のユニット10の配列方向と、複数のユニット10の各々における複数の電池セル100の配列方向とは、同一方向である。
【0034】
ケース200は、直方体形状の外観を有する。ケース200は、複数の電池セル100を収容している。ケース200は、たとえば、ポリプロピレンなどの樹脂により形成されている。
図1~
図3に示すように、ケース200は、拘束部材500により第1の方向(Y方向)に圧縮されている。
【0035】
エンドプレート400には、拘束力調整機構900のボルト部材910を取り付けるためのボルト孔400Aが形成されている。
【0036】
図4および
図5に示すように、ケース200は、前壁部210と、後壁部220と、第1側壁部230と、第2側壁部240と、上面部250とを有する。
【0037】
前壁部210は、一方の拘束部材500に隣接する面である。
図4に示すように、前壁部210には、複数の第1通気口211が設けられている。第1通気口211は、X方向において、前壁部210を貫通する貫通孔である。
【0038】
図5に示すように、後壁部220は、X方向において複数の電池セル100を間に挟んで前壁部210に対向する面である。後壁部220には、複数の第2通気口221が設けられている。第2通気口221は、X方向において、後壁部220を貫通する貫通孔である。
【0039】
第1側壁部230および第2側壁部240は、第1の方向(Y方向)に並んで配置され、互いに対向している。
【0040】
図4に示すように、第1側壁部230は、凸部231を有している。凸部231は、第2側壁部240とは反対側に突出している。
図5に示すように、第2側壁部240は、凹部241を有している。凹部241は、第1側壁部230に向かって凹み、凸部231と係合可能な形状を有している。複数のユニット10において、隣り合うユニット10の凸部231と凹部241とが各々係合する。
【0041】
上面部250は、第1壁部251と、第2壁部252と、第3壁部253と、第4壁部254と、係合面255と、孔部256とを含む。第1壁部251は、X方向の中央部においてY軸方向に延びるように2本平行に形成される。第2壁部252、第3壁部253、および第4壁部254は、第1壁部251に対してX方向の両側に設けられ、バスバー300の設置箇所を区画する。第2壁部252には、後述の電圧検出線610を通すための切り欠き252Aが形成される。係合面255には、拘束部材500の第2フランジ部530が係合する。孔部256は、後述のガス排出弁130と連通する。
【0042】
バスバー300は、導電体からなる。複数のバスバー300は、複数の電池セル100を互いに電気的に接続する。
【0043】
図6は、本技術の一実施の形態に係る電池モジュールが備える電池セルの構成を示す斜視図である。
【0044】
図6に示すように、電池セル100は、たとえば、リチウムイオン電池である。電池セル100は、角型形状を有する。
【0045】
本実施の形態に係る電池セル100は、電極端子110と、筐体120と、ガス排出弁130とを有する。
【0046】
電極端子110は、筐体120上に形成されている。電極端子110は、第1の方向(Y方向)に直交する第2の方向(X方向)に沿って並ぶ2つの電極端子110として、正極端子111および負極端子112を有する。
【0047】
正極端子111および負極端子112は、X方向において、互いに離れて設けられている。正極端子111および負極端子112は、X方向において、配線部材600およびダクト700の両側にそれぞれ設けられている。
【0048】
筐体120は、直方体形状を有し、電池セル100の外観をなしている。筐体120には、図示しない電極体および電解液が収容されている。
【0049】
筐体120は、上面121と、下面122と、第1側面123と、第2側面124と、第3側面125とを有する。
【0050】
上面121は、Z方向に直交する平面である。上面121には、電極端子110が配置されている。下面122は、第1の方向(Y方向)に直交する第3の方向(Z方向)に沿って上面121に対向している。
【0051】
第1側面123および第2側面124の各側面は、Y方向に直交する平面からなる。第1側面123および第2側面124の各側面は、筐体120が有する複数の側面のうちで最も大きい面積を有する。第1側面123および第2側面124の各側面は、Y方向に見て、矩形形状を有する。第1側面123および第2側面124の各側面は、Y方向に見て、X方向が長手方向となり、Z方向が短手方向となる矩形形状を有する。
【0052】
複数の電池セル100は、Y方向に隣り合う電池セル100,100の間において、第1側面123同士、第2側面124同士が向かい合わせとなるように積層されている。これにより、複数の電池セル100が積層されるY方向において、正極端子111と負極端子112とが、交互に並んでいる。
【0053】
なお、ユニット10に備わる電池セル100の数が、奇数個である場合、Y方向に隣り合うユニット10間において、ユニット10の姿勢がZ軸を中心に180°反転されるとよい。
【0054】
ガス排出弁130は、上面121に設けられている。ガス排出弁130は、筐体120の内部で発生したガスにより筐体120の内圧が所定値以上となった場合に、そのガスを筐体120の外部に排出する。ガス排出弁130からのガスは、
図1中のダクト700を流れて、電池モジュール1の外部に排出される。
【0055】
図7は、本技術の一実施の形態に係る電池モジュールが備える電圧検出線の構成を示す部分斜視図である。
【0056】
図7に示すように、配線部材600は、電圧を検出する電圧検出線610を含む。複数の電圧検出線610は、バスバー300に向かって延出して接続されている。電圧検出線610は、複数のユニット10の各々に1つずつ配置されている。これにより、電圧検出線610は、ユニット10の電圧を検出することが可能である。
【0057】
図8は、一例に係る拘束力調整機構900の構造を示す図である。
図8に示すエンドプレート400および拘束部材500(バインドバー)は、複数のユニット10を第1の方向(Y方向)に拘束する拘束機構を構成する。エンドプレート400には、ユニット10の積層方向(Y方向)と同方向にボルト部材910が設けられる。ボルト部材910は複数設けられてもよい。ボルト部材910は、車両側締結点を兼ねてもよく、この場合、ボルト部材910は車両側固定ブラケットに連結される。
【0058】
ボルト部材910にナット部材920が螺合される。ナット部材920を図中右側に締め込むことにより、エンドプレート400が矢印DR1方向(図中右側)に突出するように撓む(図中二点鎖線)。この結果、ユニット10の拘束力が増大する。ナット部材920は、拘束荷重を調整するときに操作される操作部を構成する。
【0059】
エンドプレート400の撓み量は、シム部材930により調整可能である。シム部材930は、端部のユニット10とエンドプレート400との間に設けられる。ボルト部材910が車両側締結点(固定部材)を兼用する場合、シム部材930は、エンドプレート400と車両側(基台側)固定ブラケット(取付部材)との間に設けられる。
【0060】
このように、拘束力調整機構900においては、ボルト部材910に対してナット部材920を締め込むことにより、エンドプレート400をユニット10の積層体に向けて撓ませることが可能であり、ナット部材920の締め込み量を調整することにより、エンドプレート400の撓み量を調整することが可能である。これにより、エンドプレート400による拘束力を調整することができる。
【0061】
図9は、
図8に示す調整機構をY方向から見た状態を示す図である。
図9に示すように、Y方向に沿って電池セル100をエンドプレート400に投影したとき、ボルト部材910が取り付けられるボルト孔400Aは
、電池セル100の電極体140がある領域(より好ましくは電極体140に含まれる正極活物質層の塗工範囲の領域)内に設けられる。これにより、少なくとも拘束が必要な領域にボルト部材910を設けることができる。
【0062】
図10は、変形例に係る拘束力調整機構1000の構造を示す図である。拘束部材500の板状部510は、ユニット10の積層方向(Y方向)と直交するX方向(またはZ方向)に沿って中間プレート20(他のモジュール部品)と締結される。具体的には、ボルト部材1010が板状部510を貫通し、ボルト部材1010の先端が中間プレート20に固定される。
【0063】
ボルト部材1010を中間プレート20に向かって締め込むと、拘束部材500の板状部510が矢印DR2方向(図中上側)に向かって突出するように撓む。この結果、電池モジュール1の第1の方向(Y方向)の長さが縮むように変形し、ユニット10の拘束力が増大する。
【0064】
ボルト部材1010を緩め、拘束部材500の板状部510と中間プレート20との間にシム部材1020を挿入すると、板状部510が矢印DR3方向(図中下側)に向かって突出するように撓む。この場合も、電池モジュール1は積層方向(Y方向)の長さが縮むように変形し、ユニット10の拘束力が増大する。
【0065】
ボルト部材1010の締め込み量と、シム部材1020の厚みとにより、拘束部材500の板状部510の撓み量を調整可能である。すなわち、ボルト部材1010の締結力を調整することにより、拘束部材500のX方向またはZ方向に沿った撓み量を調整し、Y方向に沿った電池モジュール1の長さを調整することが可能である。ここで、ボルト部材1010は、拘束荷重を調整するときに操作される操作部を構成する。
【0066】
本技術の一実施の形態に係る電池モジュール1においては、拘束荷重を調整するときに操作される操作部が電池モジュール1上に設けられているため、拘束部材により電池セルを拘束した後に、その拘束荷重を簡単に調整することができる。したがって、電池モジュール1を形成した後、製品の出荷時等において、顧客の要望等に応じて、拘束荷重を簡単に調整することができる。
【0067】
さらに、電池モジュール1においては、複数の電池セル100を第1の方向(Y方向)に並べてケース200に収容するユニット10を構成し、かつ、複数のユニット10を第1の方向(Y方向)に並べて配置して電池モジュール1を構成することによって、複数の電池セル100の各々を一単位として電池モジュール1を製造する場合と比較して、製造工程を簡素化することができる。簡素化の例として、たとえば、小さく構成されたユニット10を溶接機に通してユニット10内のバスバー300の溶接を行った後、異なるユニット10を跨ぐバスバー300を個別に接合することで、溶接工程を効率化できること等が挙げられる。
【0068】
さらに、電池モジュール1においては、複数の電池セル100をケース200に収容するユニット10を構成することによって、電池モジュール1をユニット10の単位で容易に解体または交換することができる。
【0069】
さらに、電池モジュール1においては、複数の電池セル100をケース200に収容するユニット10を構成することによって、電池モジュール1を廃棄する際に、電池モジュール1を分割して、ユニット10を一単位として低電圧化して取り扱うことができるため、電池モジュール1の廃棄を容易にすることができる。
【0070】
さらに、電池モジュール1においては、電池セル100をユニット10の構成を介して拘束部材500によって拘束することができる。
【0071】
さらに、電池モジュール1においては、複数のユニット10同士をバスバー300によって接続することによって、ユニット10単位で電池モジュール1を製造することができる。
【0072】
さらに、電池モジュール1においては、1つのユニット10に電圧検出線610を1つ配置するため、電圧検出線610を電池セル100の各々に配置する場合と比較して、電池モジュール1を低コスト化することができる。
【0073】
以上、本技術の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本技術の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0074】
1 電池モジュール、10 ユニット、20 中間プレート、100 電池セル、110 電極端子、111 正極端子、112 負極端子、120 筐体、121 上面、122 下面、123 第1側面、124 第2側面、125 第3側面、130 ガス排出弁、140 電極体、200 ケース、210 前壁部、211 第1通気口、220 後壁部、221 第2通気口、230 第1側壁部、231 凸部、240 第2側壁部、241 凹部、250 上面部、251 第1壁部、252 第2壁部、253 第3壁部、254 第4壁部、255 係合面、256 孔部、300 バスバー、400 エンドプレート、400A,530A ボルト孔、500 拘束部材、500A ボルト、510 板状部、511 開口部、520 第1フランジ部、530 第2フランジ部、550 下部拘束部材、600 配線部材、610 電圧検出線、700 ダクト、800 接続端子、900,1000 拘束力調整機構、910,1010 ボルト部材、920 ナット部材、930,1020 シム部材。