IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ユーピーエル リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許-銅化合物の調製プロセス 図1
  • 特許-銅化合物の調製プロセス 図2
  • 特許-銅化合物の調製プロセス 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】銅化合物の調製プロセス
(51)【国際特許分類】
   C01G 3/05 20060101AFI20240514BHJP
   A01N 59/20 20060101ALI20240514BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20240514BHJP
   C01G 3/10 20060101ALI20240514BHJP
   C01G 3/00 20060101ALI20240514BHJP
   C01B 33/20 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
C01G3/05
A01N59/20 Z
A01N59/20 A
A01P3/00
C01G3/10
C01G3/00
C01B33/20
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021546324
(86)(22)【出願日】2019-03-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-25
(86)【国際出願番号】 IB2019052123
(87)【国際公開番号】W WO2020170011
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2022-03-08
(31)【優先権主張番号】19/01654
(32)【優先日】2019-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】517251731
【氏名又は名称】ユーピーエル リミテッド
【氏名又は名称原語表記】UPL LIMITED
【住所又は居所原語表記】Agrochemical Plant, Durgachak, Midnapore Dist., West Bengal, Haldia 721602, India
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フェリエ フレデリク
(72)【発明者】
【氏名】カバッセ フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ピヨ マルク
【審査官】山本 吾一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0191143(US,A1)
【文献】米国特許第03971652(US,A)
【文献】国際公開第2017/212368(WO,A1)
【文献】特開2001-150404(JP,A)
【文献】米国特許第02536097(US,A)
【文献】特表2007-526139(JP,A)
【文献】真嶋宏ら,資源と素材,1993年,Vol.109,pp.191-194
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01G
A01N
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅殺真菌剤の調製のためのプロセスであって、
(a)金属銅を銅テトラアミン錯体と反応させて、ジアミン銅錯体を得ることと、
(b)前記ジアミン銅錯体を酸化させて、銅殺真菌剤前駆体を得ることと、
(c)銅の非存在下で前記銅殺真菌剤前駆体のpHを調整して、前記銅殺真菌剤を形成することと、を含む、プロセス。
【請求項2】
前記工程(c)が、銅の非存在下で銅殺真菌剤前駆体のpHを低下させることを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記工程(c)が、中和剤の存在下で、前記銅殺真菌剤前駆体のpHを低下させることを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記銅殺真菌剤が三塩基性硫酸銅であり、前記銅殺真菌剤前駆体がテトラアミン銅錯体である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
(a)前記銅殺真菌剤が塩基性塩化銅であり、前記銅殺真菌剤前駆体がテトラアミン銅錯体であり、前記中和剤が塩酸である、又は、
(b)前記銅殺真菌剤が酢酸銅であり、前記銅殺真菌剤前駆体が酸化銅若しくは炭酸銅であり、前記中和剤が酢酸である、又は、
(c)前記銅殺真菌剤が炭酸銅であり、前記中和剤が炭酸若しくは二酸化炭素である、又は、
(d)前記銅殺真菌剤がナフテン酸銅であり、前記中和剤がナフテン酸である、又は、
(e)前記銅殺真菌剤がオレイン酸銅であり、前記中和剤がオレイン酸である、又は、
(f)前記銅殺真菌剤がケイ酸銅であり、前記中和剤がケイ酸である、又は、
(g)前記銅殺真菌剤が三塩基性硫酸銅であり、前記銅殺真菌剤前駆体がテトラアミン銅錯体であり、前記中和剤が硫酸である、請求項3に記載のプロセス。
【請求項6】
前記テトラアミン銅錯体が、銅の存在下でジアミン銅錯体を酸素と反応させることによって調製される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記ジアミン銅錯体が、テトラアミン銅錯体を銅と反応させることによって調製される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
前記工程(c)が金属銅の非存在下で別々に実施される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
前記銅殺真菌剤が、酸化銅、塩基性塩化銅、酢酸銅、炭酸銅、水酸化銅、ナフテン酸銅、オレイン酸銅、ケイ酸銅、又は三塩基性硫酸銅から選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記銅殺真菌剤のD50粒径が3~20マイクロメートルである、請求項1~9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
殺真菌製剤を調製するためのプロセスであって、
(a)金属銅を銅テトラアミン錯体と反応させて、ジアミン銅錯体を得ることと、
(b)前記ジアミン銅錯体を酸化させて、銅殺真菌剤前駆体を得ることと、
(c)銅の非存在下で前記銅殺真菌剤前駆体のpHを調整して、銅殺真菌剤を調製することと、
(d)調製した前記銅殺真菌剤を少なくとも1つの農薬として許容可能な賦形剤と混合して、前記殺真菌製剤を調製することと、を含む、プロセス。
【請求項12】
殺真菌製剤を調製するためのプロセスであって、
(a)金属銅を銅テトラアミン錯体と反応させて、ジアミン銅錯体を得ることと、
(b)前記ジアミン銅錯体を酸化させて、銅殺真菌剤前駆体を得ることと、
(c)銅の非存在下で前記銅殺真菌剤前駆体のpHを調整して、銅殺真菌剤を調製することと、
(d)少なくとも別の農薬物質を工程(c)で調製した前記銅殺真菌剤に添加することと、
(e)調製した前記銅殺真菌剤を少なくとも1つの農薬として許容可能な賦形剤と混合して、前記殺真菌製剤を調製することと、を含む、プロセス。
【請求項13】
前記別の農薬物質が殺真菌剤である、請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
銅殺真菌剤の調製のための連続プロセスであって、前記銅殺真菌剤が三塩基性硫酸銅(TBCS)であり、下記工程:
(i)第1の反応器内でTBCS、硫酸アンモニウム、及びテトラアミン銅錯体の懸濁液を形成し、懸濁液のpHを8~9に維持することと、
(ii)前記第1の反応器の前記懸濁液を、金属銅を含有する第2の容器に注入して、金属銅を銅テトラアミン錯体と反応させて、ジアミン銅錯体を得ることと、
(iii)前記第2の容器に酸素を供給して、前記ジアミン銅錯体を酸化させ、銅殺真菌剤前駆体を得ることと、
(iv)前記第2の容器中の懸濁液を前記第2の容器中の出口から前記第1の反応器に戻し、硫酸の存在下で前記第1の反応器のpHを8~9に維持して、TBCSを形成することと、
(v)TBCS、硫酸アンモニウム及びテトラアミン銅錯体を含む懸濁液を前記第1の反応器から第3の反応器へと連続的に取り出すことと、
(vi)希釈硫酸アンモニウムを前記第1の反応器に連続的に供給することと、
(vii)硫酸を用いて前記工程(v)で取り出した前記懸濁液を中和して、銅の非存在下で前記銅殺真菌剤前駆体のpHを5~7に低下させ、生成物として銅殺真菌剤を形成することと、
(viii)前記生成物を濾過及び洗浄することと、
を含む、プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銅殺真菌化合物の調製プロセスに関する。より具体的には、本発明は、三塩基性硫酸銅(TBCS)の製造のための連続プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
三塩基性硫酸銅(TBCS、式Cu4(OH)SOで表される)は周知の銅殺真菌剤であり、限定するものではないが、果物、野菜、ナッツ、及び農作物の細菌及び真菌による病害を制御するための様々な用途があり、保護殺真菌剤として使用されている。
【0003】
国際公開第91/01942号に開示されている銅化合物の製造プロセスは、金属銅を、酸素又は酸素含有ガス、及び水から本質的になる水溶液であって、溶液中は、かかる溶液がまずアルカリ性であるような量のアンモニアと一緒の最大でその溶解限度の濃度までの溶解性アンモニウム塩である、水溶液と接触させる工程を含み、それによって、かかる接触の結果、かかる金属銅はまず溶解されて銅アミンを形成し、かかるアミン形成はかかるアミンの飽和濃度に達するまで進行し、その後、かかるアミンは連続的に分解され、非水溶性三塩基性塩を形成する。
【0004】
このプロセスは、高速(最小先端速度500メートル/分)の攪拌器を装備した反応器内で実施される。グリッドは銅と撹拌された懸濁液とを分離する。このプロセスでは、プロセスの全ての工程は、同じ反応器/容器内で実施され、高速撹拌機の使用により、反応中の銅の添加が困難になる。このプロセスは、電気エネルギーの大量消費を必要とする。
【0005】
銅化合物の大規模調製のために、簡易で費用効率が高く商業的に実行可能なプロセスを開発する必要性が存在する。この要件に応えるために、本発明は、好ましくは酸化銅、塩基性塩化銅、酢酸銅、炭酸銅、水酸化銅、ナフテン酸銅、オレイン酸銅、ケイ酸銅、及び三塩基性硫酸銅から選択される銅殺真菌化合物の大規模調製のための、工業的に実行可能かつ費用効率の高いプロセスを提供する。このプロセスは、複雑かつ高価な方法の使用を回避する。本発明は、特に、TBCSなどの銅化合物の工業的に実現可能な大規模調製を提供する。本発明はまた、本発明のプロセスに従って調製された銅化合物を含む製剤、かかる銅化合物、任意選択的に少なくとも1つ以上の殺真菌剤を含むキット、及びその使用方法を提供する。
【発明の概要】
【0006】
ある態様では、本発明は、銅化合物又は銅殺真菌剤の製造のための簡易かつ経済的なプロセスを提供する。このプロセスは、商業的規模で容易に拡大可能である。
【0007】
別の態様では、本発明は、銅殺真菌剤を調製するためのプロセスを提供し、このプロセスは、金属銅の非存在下で銅殺真菌剤前駆体のpHを低下させることを含む。
【0008】
別の態様では、本発明は、銅殺真菌剤を調製するためのプロセスを提供し、このプロセスは、
a)金属銅をテトラアミン銅錯体と反応させて、ジアミン銅錯体を形成することと、
b)ジアミン銅錯体を酸化させて、銅殺真菌剤前駆体を形成することと、
c)銅の非存在下で銅殺真菌剤前駆体のpHを調整して、銅殺真菌剤を形成することと、を含む。
【0009】
別の態様では、本発明は、銅の腐食及びpH調整のための反応工程を別々に実施することを含む、銅化合物の製造のための商業的プロセスを提供する。
【0010】
別の態様では、本発明は、銅殺真菌剤を調製するための方法を提供し、この方法は、pH調整剤を使用して銅殺真菌剤前駆体複合体懸濁液のpHを低下させることを含む。
【0011】
別の態様では、本発明は、金属銅をテトラアミン銅錯体と反応させて、第1の容器中にジアミン銅錯体を形成することと、銅ジアミン錯体を酸化させて、銅テトラアミン錯体として銅殺真菌剤前駆体を得ることと、銅テトラアミン錯体の懸濁液から銅殺真菌剤前駆体を連続的に抽出することと、第2の反応器中で好適なpH調整剤を使用してpHを調整することと、を含む、銅殺真菌化合物を調製するための連続プロセスを提供する。
【0012】
別の態様では、本発明は、
(a)銅の非存在下で銅殺真菌剤前駆体のpHを調整することを含むプロセスによって調製された少なくとも1つの銅殺真菌剤と、
(b)少なくとも農薬として許容可能な賦形剤と、を含む、殺真菌製剤を提供する。
【0013】
更に別の態様では、本発明は、殺真菌製剤を調製するためのプロセスを提供し、このプロセスは、
a)銅の非存在下で銅殺真菌剤前駆体のpHを調整することを含むプロセスによって、銅殺真菌剤を調製することと、
b)調製された銅殺真菌剤を、少なくとも1つの農薬として許容可能な賦形剤と混合して、殺真菌製剤を調製することと、を含む。
【0014】
別の態様では、本発明は、殺真菌製剤を調製するためのプロセスを提供し、このプロセスは、
a)銅の非存在下で銅殺真菌剤前駆体のpHを調整することを含むプロセスによって、銅殺真菌剤を調製することと、
b)少なくとも別の農薬物質を銅殺真菌剤に添加することと、
c)少なくとも1つの農薬として許容可能な賦形剤を添加して、殺真菌製剤を調製することと、を含む。
【0015】
別の態様では、本発明は、殺真菌製剤を含むキットを提供し、この製剤は、銅の非存在下で銅殺真菌剤前駆体のpHを調整することを含むプロセスによって調製された少なくとも1つの銅殺真菌剤と、少なくとも農薬として許容可能な賦形剤と、を含む。
【0016】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載のプロセスによって生成される酸化銅、塩基性塩化銅、酢酸銅、炭酸銅、水酸化銅、ナフテン酸銅、オレイン酸銅、ケイ酸銅、及び三塩基性硫酸銅から選択される少なくとも1つの銅殺真菌剤を含む、キットを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態によるプロセスフロー図である。
図2】本発明の一態様によるTBCSを生成するための連続反応系の一般的な設計である。
図3】本発明の一態様によるプロセスのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、添付図面と共に以下の詳細な説明を考慮すると、更に理解及び/又は例示され得る。
【0019】
以下の詳細な説明の目的のために、本発明は、反対に明示的に指定される場合を除いて、様々な代替的な変形例及び工程配列を想定し得ることを理解されたい。更に、任意の操作例以外、又は別途記載のない限り、例えば本明細書中で使用される材料/成分の量を表す全ての数は、全ての場合において、用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。
【0020】
したがって、本発明を詳細に説明する前に、本発明は、当然ながら変化し得る特に例示されたシステム又はプロセスパラメータに限定されないことを理解されたい。特に明記しない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲において与えられる全ての百分率は、全組成物の重量パーセントを指すことに留意されたい。本明細書で使用される用語は、本発明の特定の実施形態を説明する目的のためのものであり、任意の方法で本発明の範囲を限定することを意図するものではないことも理解されたい。本明細書で論じられる任意の用語の例を含む本明細書のあらゆる場所になる例の使用は、例示的なものにすぎず、本発明の又は任意の例示された用語の範囲及び意味を限定するものではない。同様に、本発明は、本明細書で与えられる様々な実施形態に限定されない。別途定義のない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。矛盾する場合、定義を含む本文書が優先される。
【0021】
本明細書で使用するとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、内容がそうでない旨を明確に指示しない限り、複数の指示対象を含むことにも留意されたい。用語「好ましい」及び「好ましくは」は、特定の状況下で特定の利益をもたらし得る本発明の実施形態を指す。しかしながら、同じ又は他の状況下で、他の実施形態が好ましい場合もある。更に、1つ以上の好ましい実施形態の記載は、他の実施形態が有用ではないことを意味するものではなく、他の実施形態を本発明の範囲から除外することを意図するものではない。
【0022】
本明細書で使用するとき、用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」、「関与する(involving)」などは、非制限的である、すなわち、非限定的に含むことを意味すると理解されるべきである。
【0023】
本明細書で使用するとき、用語「反応器」は、化学反応を行うために使用される装置として定義される。
【0024】
本明細書で使用するとき、用語「容器」又は「カラム」は、流体が収容され、搬送される任意の壁付き手段である。
【0025】
本発明は、銅化合物又は銅殺真菌剤の調製のための簡便で費用効率の高く、かつ工業的に実現可能なプロセスを提供する。
【0026】
したがって、ある態様では、本発明は、銅殺真菌剤の調製プロセスを提供し、この方法は、銅の非存在下で銅殺真菌剤前駆体のpHを調整することを含む。
【0027】
ある実施形態では、銅殺真菌剤前駆体のpHを調整することは、中和剤の存在下で、かかる銅殺真菌剤前駆体のpHを低下させることを含む。
【0028】
ある実施形態では、銅殺真菌剤は酸化銅であり、銅殺真菌剤前駆体はテトラミン銅錯体である。
【0029】
ある実施形態では、銅の非存在下での銅殺真菌剤前駆体のpHの調整は、中和剤の非存在下で実施される。
【0030】
ある実施形態では、銅殺真菌剤前駆体は、硫酸銅である。
【0031】
ある実施形態では、プロセスは、塩基の存在下で実施される。
【0032】
ある実施形態では、銅殺真菌剤は塩基性塩化銅であり、銅殺真菌剤前駆体はテトラアミン銅錯体であり、中和剤は塩酸である。
【0033】
ある実施形態では、銅殺真菌剤は酢酸銅であり、銅殺真菌剤前駆体は、酸化銅、硫酸銅又は炭酸銅であり、中和剤は酢酸である。
【0034】
ある実施形態では、銅殺真菌剤は炭酸銅であり、中和剤は炭酸又は二酸化炭素である。
【0035】
ある実施形態では、銅殺真菌剤は水酸化銅であり、中和剤は過剰の水である。
【0036】
ある実施形態では、銅殺真菌剤はナフテン酸銅であり、中和剤はナフテン酸である。
【0037】
ある実施形態では、銅殺真菌剤はオレイン酸銅であり、中和剤はオレイン酸である。
【0038】
ある実施形態では、銅殺真菌剤はケイ酸銅であり、中和剤はケイ酸である。
【0039】
ある実施形態では、銅殺真菌剤は三塩基性硫酸銅であり、銅殺真菌剤前駆体はテトラアミン銅錯体であり、中和剤は硫酸である。
【0040】
ある実施形態では、プロセスは、銅以外の材料で作製された反応器内で実施することにより、銅の非存在下で実施される。
【0041】
ある実施形態では、テトラアミン銅錯体は、ジアミン銅錯体を酸素と反応させることによって調製される。
【0042】
ある実施形態では、テトラアミン銅錯体を調製する工程は、銅容器内で実施される。
【0043】
ある実施形態では、銅殺真菌剤及びテトラアミン銅錯体を調製する工程は、別々に実施される。
【0044】
ある実施形態では、ジアミン銅錯体は、テトラアミン銅錯体を銅と反応させることによって調製される。
【0045】
ある実施形態では、ジアミン銅錯体を調製する工程は、銅容器内で実施される。
【0046】
ある実施形態では、銅殺真菌剤を調製するプロセス工程は、テトラアミン銅錯体を調製するプロセス工程とは別に、又はジアミン銅錯体を調製するプロセス工程とは別に実施される。
【0047】
ある実施形態では、テトラアミン銅錯体を調製するプロセス工程及びジアミン銅錯体を調製するプロセス工程は、同じ容器内で実施される。ある実施形態では、容器は銅容器である。
【0048】
ある実施形態では、反応容器は、銅系カラム反応器である。
【0049】
ある実施形態では、プロセスは、カラム反応器の底部に出発材料であるテトラアミン銅錯体を注入することを含む。
【0050】
ある実施形態では、プロセスは、カラム反応器の底部に酸素を導入することを含む。
【0051】
ある実施形態では、任意の1つ又は全てのプロセス工程は、硫酸アンモニウム溶液中で実施される。
【0052】
ある実施形態では、本発明は、銅殺真菌剤を調製するためのプロセスを提供し、このプロセスは、
(a)テトラアミン銅錯体を銅と反応させることによってジアミン銅錯体を調製することと、
(b)ジアミン銅錯体を酸素と反応させて、テトラアミン銅錯体を形成することと、
(c)銅の非存在下で工程(b)のテトラアミン銅錯体のpHを調整して、銅殺真菌剤を形成することと、を含む。
【0053】
ある実施形態では、工程(a)及び(b)は、銅容器内で一緒に実施される。
【0054】
ある実施形態では、工程(c)は、金属銅の非存在下で別々に実施される。
【0055】
ある実施形態では、テトラアミン銅錯体のpHを調整することは、中和剤の存在下でテトラアミン銅錯体溶液のpHを低下させることを含む。
【0056】
ある実施形態では、工程(c)は、銅以外の材料で作製された反応器内で実施することにより、銅の非存在下で実施される。
【0057】
ある実施形態では、銅殺真菌剤は三塩基性硫酸銅であり、中和剤は硫酸である。
【0058】
別の態様では、本発明は、銅の非存在下で銅殺真菌剤前駆体のpHを調整することを含む、酸化銅、塩基性塩化銅、酢酸銅、炭酸銅、水酸化銅、ナフテン酸銅、オレイン酸銅、ケイ酸銅、及び三塩基性硫酸銅から選択される銅殺真菌剤の製造プロセスを提供する。
【0059】
別の態様では、本発明は、銅殺真菌化合物の製造のための商業的プロセスを提供し、このプロセスは、銅殺真菌剤前駆体の調製及びpH調整の工程を別々に行うことを含む。
【0060】
ある実施形態では、本発明は、銅殺真菌剤の製造プロセスを提供し、このプロセスは、銅と銅錯体との反応及び酸化を1つの容器内での行うことを含む。
【0061】
別の実施形態では、銅殺真菌剤は酸化銅であり、銅殺真菌剤前駆体はテトラミン銅錯体であり、プロセスは中和剤の非存在下で実施される。
【0062】
別の実施形態では、銅殺真菌剤は水酸化銅であり、銅殺真菌剤前駆体はテトラミン銅錯体であり、プロセスは中和剤の非存在下で実施される。
【0063】
ある実施形態では、銅殺真菌剤は塩基性塩化銅であり、銅殺真菌剤前駆体はテトラアミン銅錯体であり、中和剤は塩酸である。
【0064】
ある実施形態では、銅殺真菌剤は酢酸銅であり、銅殺真菌剤前駆体は、酸化銅又は炭酸銅であり、中和剤は酢酸である。
【0065】
ある実施形態では、銅殺真菌剤は炭酸銅であり、中和剤は炭酸又は二酸化炭素である。
【0066】
ある実施形態では、銅殺真菌剤はナフテン酸銅であり、中和剤はナフテン酸である。
【0067】
ある実施形態では、銅殺真菌剤はオレイン酸銅であり、中和剤はオレイン酸である。
【0068】
ある実施形態では、銅殺真菌剤はケイ酸銅であり、中和剤はケイ酸である。
【0069】
ある実施形態では、本発明は、好適なpH調整剤で銅殺真菌剤前駆体のpHを低下させることを含む、銅殺真菌剤の製造プロセスを提供する。
【0070】
別の態様では、銅錯体のpHを調整することは、銅殺真菌剤前駆体を含有する懸濁液のpHを好適なpH調整剤を使用して低下させ、所望の銅化合物を得ることを含む。
【0071】
ある実施形態では、銅殺真菌剤前駆体のpH調整は、銅以外の材料で作製された反応器内で実施することにより、銅の非存在下で実施される。
【0072】
ある態様では、本発明は、銅殺真菌剤を調製するためのプロセスであって、
a)金属銅を銅テトラアミン錯体と反応させて、銅ジアミン錯体を得ることと、
b)銅ジアミン錯体を酸化させて、銅殺真菌剤前駆体を得ることと、
c)銅の非存在下で銅殺真菌剤前駆体のpHを調整して、銅殺真菌剤を形成することと、を含む、プロセスを提供する。
【0073】
ある実施形態では、pHを調整する工程は、別々に実施される。
【0074】
ある実施形態では、銅殺真菌剤は、三塩基性硫酸銅(TBCS)である。
【0075】
ある実施形態では、銅殺真菌剤前駆体は、テトラアミン銅錯体である。
【0076】
ある態様では、本発明は、三塩基性硫酸銅を調製するためのプロセスを提供する。
【0077】
ある実施形態では、三塩基性硫酸銅を調製するためのプロセスは、
a)テトラアミン銅錯体を金属銅で処理して、ジアミン銅錯体を得ることと、
b)ジアミン銅錯体を酸化させて、テトラアミン銅錯体を形成することと、
c)テトラアミン銅錯体のpHを調整して、三塩基性硫酸銅を得ることと、を含む。
【0078】
ある実施形態では、プロセスの工程a)及びb)は、銅の存在下で容器内で実施される。
【0079】
ある実施形態では、工程b)で得られたテトラアミン銅錯体は、銅殺真菌剤前駆体である。
【0080】
ある実施形態では、pHを調整する工程c)は、銅の非存在下で実施される。工程(c)は、銅以外の材料で作製された反応器内で実施することにより、銅の非存在下で実施される。
【0081】
ある実施形態では、テトラアミン銅錯体のpHを調整することは、中和剤の存在下でテトラアミン銅錯体溶液のpHを低下させることを含む。
【0082】
ある実施形態では、銅殺真菌剤前駆体のpHを7以下であるが5以上に低下させて、三塩基性硫酸銅を得る。
【0083】
ある実施形態では、三塩基性硫酸銅殺真菌剤の調製は、pHを低下させることがきっかけとなるが、三塩基性硫酸銅殺真菌剤は、pH8~9で銅殺真菌剤前駆体を再循環させながら生成される。この実施形態では、銅殺真菌剤前駆体のpHのpH5~7への低下は、第1の反応器から取り出された懸濁液に適用されるきっかけである。このきっかけは、8.0~9.0に維持されたpHでの三塩基性硫酸銅の生成をもたらす。
【0084】
他の銅殺真菌剤が所望されるある実施形態では、銅殺真菌剤の低下したpHは、5.0~10.0、好ましくは7.0~10.0のpHに維持され得る。
【0085】
したがって、ある実施形態では、銅殺真菌剤前駆体のpHは8~9に維持される。
【0086】
ある実施形態では、プロセスは、ジアミン銅錯体及び銅殺真菌剤前駆体を調製するプロセス工程とは別に、三塩基性硫酸銅の調製を含む。
【0087】
ある実施形態では、ジアミン銅錯体及び銅殺真菌剤前駆体を調製するための反応は、任意の形態、例えばフレーク、ワイヤ、ショットなどの銅金属を含有する容器内で実施され、又は容器は銅容器である。
【0088】
ある実施形態では、テトラアミン銅錯体及びジアミン銅錯体の調製は、約10~100℃、好ましくは約25~75、より好ましくは約40~60℃の範囲の温度で同じ容器中で担持される。
【0089】
容器は銅金属を含有し、又は反応容器は銅充填カラム反応器である。
【0090】
ある実施形態では、プロセスは、50℃の温度で実施される。
【0091】
ある実施形態では、三塩基性硫酸銅を調製するプロセスは、銅錯体、すなわち、ジアミン銅錯体及びテトラアミン銅錯体を形成し、テトラアミン銅錯体をTBCSに変換することを含む。
【0092】
別の実施形態では、本発明は、好適なpH調整剤を使用して銅殺真菌剤前駆体のpHを低下させることを含む、銅殺真菌剤前駆体のTBCSへの変換プロセスを提供する。
【0093】
ある実施形態では、銅殺真菌剤は三塩基性硫酸銅であり、銅殺真菌剤前駆体はテトラアミン銅錯体であり、pH調整剤は酸である。
【0094】
ある実施形態では、銅殺真菌剤は三塩基性硫酸銅(TBCS)であり、銅殺真菌剤前駆体はテトラアミン銅錯体であり、pH調整剤は硫酸である。
【0095】
ある実施形態では、銅殺真菌剤を調製するプロセス工程は、テトラアミン銅錯体を調製するプロセス工程とは別に、又はジアミン銅錯体を調製するプロセス工程とは別に実施される。
【0096】
本発明によれば、酸化銅、塩基性塩化銅、酢酸銅、炭酸銅、水酸化銅、ナフテン酸銅、オレイン酸銅、ケイ酸銅、及び三塩基性硫酸銅から選択される銅殺真菌剤は、本明細書に記載されるプロセスによって製造される。
【0097】
別の態様では、本発明は、(1)テトラアミン銅錯体を銅の腐食に供してジアミン銅錯体を形成する工程と、(2)ジアミン銅錯体の酸化工程と、(3)銅の非存在下で酸を使用して得られる銅錯体のpHを調整してTBCSを得る工程と、を含む、三塩基性硫酸銅(TBCS)を調製するための商業的プロセスを提供する。
【0098】
ある実施形態では、三塩基性硫酸銅を調製するプロセスの第1の工程は、テトラアミン銅錯体を銅を含有する容器中での銅の腐食に供してジアミン銅錯体を形成することと、同じ容器中でジアミン銅錯体を酸化してテトラアミン銅錯体を得ることとを含む。ある実施形態では、標的殺真菌剤が三塩基性硫酸銅である場合、このテトラアミン銅錯体は銅殺真菌剤前駆体である。
【0099】
ある実施形態では、三塩基性硫酸銅を調製するプロセスの第2の工程は、銅の非存在下でテトラアミン銅錯体のpHを調整することを含む。
【0100】
ある実施形態では、任意の1つ又は全てのプロセス工程は、好ましくは硫酸アンモニウムの存在下で、かつ好ましくは約40~60℃の範囲の温度にて、閉鎖反応系内で実施される。反応器内の圧力は、約0.1~0.4バールに維持される。
【0101】
ある実施形態では、本発明のプロセスが実施される反応器システムは、少なくとも3つの反応容器を含むことができる。第1の反応器に、テトラアミン銅錯体TBCS及び硫酸アンモニウムを含有する懸濁液を供給する。懸濁液中の総銅含有量は、0.1~20%の範囲内である。第1の反応器では、好適なpH調整剤は好ましくは硫酸を用いてpHは7~10に維持され、TBCSを形成する。第2の容器に、銅腐食用の金属銅を供給する。第2の容器は、第1の反応器の懸濁液を供給するための入口と、酸素用の入口と、第1の反応器に懸濁液を戻すための出口とを備える。ジアミン銅錯体は、第2の容器中の酸素と反応して、テトラアミン銅錯体を形成する。第3の反応器からテトラアミン銅錯体を部分的に抽出し、好適なpH調整剤、好ましくは硫酸を使用してpHを調整することにより、TBCSの形成がもたらされる。
【0102】
典型的には、銅の腐食反応は以下のように表される。
Cu+Cu(NH=2Cu(NH
【0103】
ジアミン銅錯体の酸化は、以下のように表される。
2Cu(NH+1/2O+HO+4NH=2Cu(NH+2OH-
【0104】
上記の反応は、約45~55℃の範囲、好ましくは50℃の温度で実施され、pHは8~9に維持される。
【0105】
これらの反応は、硫酸アンモニウム溶液の存在下で実施される。
【0106】
典型的には、硫酸アンモニウムの濃度は、4~5%の範囲である。
【0107】
更なる実施形態では、プロセスのpH調整工程は、約45~55℃の範囲の温度、好ましくは約50℃の温度で実施され、pHは、5~9、好ましくは8~9に維持される。中和工程の懸濁液は、pHが調整されると銅の腐食用の反応器に戻される。本発明の一実施形態によれば、TBCSの調製プロセスは、図1のフロー図によって表されるものである。
【0108】
別の態様では、本発明は、所望の銅化合物、好ましくはTBCSを生成するための連続プロセスを提供し、テトラアミン銅錯体の銅の腐食及び酸化反応は、1つの容器内で担持され、銅錯体のpHの調整は、好ましくは銅の非存在下で別の反応器内で実施され、反応生成物を反応器から連続的に分離し、残りの懸濁液を再循環させて、銅の腐食反応を継続して所望の銅化合物を得る。
【0109】
ある実施形態では、プロセスにおける反応サイクルは、金属銅及び酸素が存在するまで継続する。
【0110】
1つの好ましい実施形態では、本発明は、TBCSの調製のための連続プロセスを提供し、このプロセスは、
(a)第1の反応器内でTBCS、硫酸アンモニウム、及びテトラアミン銅錯体の懸濁液を形成し、懸濁液のpHを8~9に維持することと、
(b)第1の反応器の懸濁液を、銅の腐食のため金属銅を含有する第2の容器に注入して、ジアミン銅錯体を形成することと、
(c)ジアミン銅錯体の酸化のため第2の容器内に酸素を供給して、テトラアミン銅錯体を形成することと、
(d)懸濁液を第2の容器の出口から第1の反応器に戻し、硫酸の存在下でpHを8~9に維持して、TBCSを形成することと、
(e)TBCS、硫酸アンモニウム及びテトラアミン銅錯体の懸濁液を、第1の反応器から第3の反応器に連続的に取り出すことと、
(f)希釈硫酸アンモニウムを第1の反応器に連続的に供給することと、
(g)硫酸を用いて工程5の取り出した懸濁液を中和してTBCSを得ることと、
(h)生成物を濾過及び洗浄することと、を含む。
【0111】
好ましくは、工程7において、銅テトラアミン錯体のTBCSへの変換は、pHを約5~9の範囲に低下させることによって行われる。
【0112】
工程8で得られた母液は、硫酸アンモニウムを含有する第1の反応器に供給され、プロセスを、TBCSを連続的に生成するために流す。
【0113】
連続プロセス中、懸濁液中の銅含有量は増加する。銅含有量を一定に保つために、硫酸アンモニウム溶液を添加することによって、持続的な希釈が行われる。加えて、同じ体積の懸濁液を取り出して、体積を一定に維持する。懸濁液中の固体TBCSの典型的な濃度は、銅で表すと約10%である。本発明の一実施形態によれば、TBCSの連続調製プロセスは、図2のフロー図によって表されるものである。
【0114】
ある実施形態では、本プロセスによって製造される銅殺真菌剤は、約3~20マイクロメートルのD50粒径を有する。
【0115】
ある実施形態では、TBCSは、約3~20マイクロメートルのD50粒径を有する。
【0116】
ある実施形態では、本プロセスによって製造される銅殺真菌剤は、約5~15マイクロメートルのD50粒径を有する。
【0117】
ある実施形態では、本プロセスによって製造される銅殺真菌剤は、約8~15マイクロメートルのD50粒径を有する。
【0118】
ある実施形態では、本プロセスによって製造される銅殺真菌剤は、約6マイクロメートル未満のD50粒径を有する。
【0119】
ある実施形態では、本プロセスによって製造される銅殺真菌剤は、約6マイクロメートル未満のD80粒径を有する。
【0120】
ある実施形態では、本プロセスによって製造される銅殺真菌剤は、約10マイクロメートル未満のD80粒径を有する。
【0121】
ある実施形態では、本プロセスによって製造される銅殺真菌剤は、約10マイクロメートル未満のD85粒径を有する。
【0122】
ある実施形態では、本プロセスによって製造される銅殺真菌剤は、約10マイクロメートル未満のD90粒径を有する。
【0123】
ある実施形態では、銅殺真菌剤はTBCSである。
【0124】
ある態様では、本発明は、
(a)銅の非存在下で銅殺真菌剤前駆体のpHを調整することを含むプロセスによって調製された少なくとも1つの銅殺真菌剤と、
(b)少なくとも農薬として許容可能な賦形剤と、を含む、殺真菌製剤を提供する。
【0125】
ある実施形態では、殺真菌製剤は、少なくとも別の農薬物質を含む。
【0126】
ある実施形態では、殺真菌製剤は、少なくとも第2の殺真菌剤を含む。
【0127】
ある実施形態では、本発明は、本発明のプロセスによって調製されるTBCSを含む製剤を提供する。
【0128】
ある実施形態では、本発明は、水に分散可能であり、かつ保管中に安定な、SC(懸濁液濃縮物)、CS(カプセル懸濁液)、SE(サスポエマルション)又はWG(水分散性顆粒)、ZC(CS及びSCの混合剤形)型の殺真菌製剤を提供し、この製剤は、本明細書に記載のプロセスによって調製された銅殺真菌剤を含む。
【0129】
ある実施形態では、製剤は、ZC(CS及びSCの混合剤形)殺真菌製剤である。
【0130】
ある実施形態では、製剤はWG(水分散性顆粒)である。
【0131】
典型的には、殺真菌製剤の調製プロセスは、流動化、粉砕、分散剤/湿潤剤、不活性成分との配合工程を含む。
【0132】
ある実施形態では、製剤は、濃縮懸濁液又は水和性顆粒(噴霧乾燥)の形態であってもよい。
【0133】
ある実施形態では、本発明は、殺真菌製剤を調製するためのプロセスを提供し、このプロセスは、
(a)銅の非存在下で銅殺真菌剤前駆体のpHを調整することを含むプロセスによって、銅殺真菌剤を調製することと、
(b)調製した銅殺真菌剤を、少なくとも1つの農薬として許容可能な賦形剤と混合して、殺真菌製剤を調製することと、を含む。
【0134】
別の実施形態では、本発明は、殺真菌製剤を調製するためのプロセスを提供し、このプロセスは、
(a)銅の非存在下で銅殺真菌剤前駆体のpHを調整することを含むプロセスによって、銅殺真菌剤を調製することと、
(b)少なくとも別の農薬物質を工程(a)で調製した銅殺真菌剤に添加することと、
(c)調製した銅殺真菌剤を、少なくとも1つの農薬として許容可能な賦形剤と混合して、殺真菌製剤を調製することと、を含む。
【0135】
ある実施形態では、第2の農薬物質は殺真菌剤である。
【0136】
ある実施形態では、殺真菌製剤は、以下から選択される第2の殺真菌剤を含む。
(a)以下から選択される少なくとも1つの多部位殺真菌剤
(i)元素硫黄、
(ii)アモバム、アソメート、アジチラム、カルバモルフ、クフラニブ、クプロバム、ジサルファム、フェバム、メタム、ナブ、テコラム、チラム、ウバシン、ジラム、ダゾメット、エテム、ミルネブ、マンコッパー、マンコゼブ、マンネブ、メチラム、ポリカルバメート、プロピネブ、及びジネブから選択される、ジチオカルバメート殺真菌剤、
(iii)フォルペット、カプタン、及びカプタフオールから選択される、フタルイミド殺真菌剤、
(iv)クロロタロニル、
(v)ジクロロフルアニド及びトリルフルアニドから選択される、スルファミド殺真菌剤、
(vi)ドジン、グアザチン、及びイミノクタアジンから選択される、グアニジン殺真菌剤、
(vii)アニラジン、
(viii)ジチアノン、並びに、
(ix)これらの組み合わせ
又は
(b)以下から選択される少なくとも1つの浸透性殺真菌剤
(i)フェンアミドン、フェモキサゾンから選択されるキノン外部阻害剤、並びに、アゾキシストロビン、マンデストロビン、クモキシストロビン、エノキサストロビン、フルフェノキシストロビン、ピラオキシストロビン、ジモキシストロビン、エネストロビン、フルオキサストロビン、クレソキシムメチル、メトミノストロビン、オリサストロビン、ピコキシストロビン、ピラメトストロビン、トリクロピリカルブ、フェナミンストロビン、ピラクロストロビン、及びトリフロキシストロビンからなる群から選択されるストロビルリン殺真菌剤、
(ii)シアゾファミド及びアミスルブロムから選択されるキノン内部阻害剤、
(iii)トリフルミゾール、トリホリン、ピリジニトリル、ピリフェノックス、フェナリモル、ヌアリモル、トリアリモルから選択される脱メチル化阻害剤、並びに、クリンバゾール、クロトリマゾール、イマザリル、オキスポコナゾール、プロクロラズ、プロクロラズマンガン、トリフルミゾール、アザコナゾール、ビテルタノール、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジクロブトラゾール、ジフェノコナゾール、ジニコナゾール、ジニコナゾール-M、エポキシコナゾール、エタコナゾール、フェンブコナゾール、フルオトリマゾール、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルトリアホル、フルコナゾール、フルコナゾール-シス、ヘキサコナゾール、イミベンコナゾール、イプコナゾール、メトコナゾール、ミクロブタニル、ペンココナゾール、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、キンコナゾール、シメコナゾール、テブコナゾール、テトラコナゾール、トリアジメホン、トリアジメノール、トリチコナゾール、ウニコナゾール、ペルフラゾエート及びウニコナゾール-Pからなる群から選択されるコナゾール殺真菌剤、
(iv)ベノダニル、フルトラニル、メプロニル、フルオピラム、フェンフラム、カルボキシン、オキシカルボキシン、チフルザミド、ビキサフェン、フルキサピロキサド、フラメトピル、イソピラザム、ペンフルフェン、ペンチオピラド、セダキサン、及びボスカリドからなる群から選択されるコハク酸デヒドロゲナーゼ阻害剤、並びに、
(v)これらの組み合わせ。
【0137】
ある実施形態では、製剤は、少なくとも第3の殺真菌剤を含む。
【0138】
ある実施形態では、浸透性殺真菌剤は、(i)トリフロキシストロビン、ピコキシストロビン、アゾキシストロビン又はピラクロストロビンから選択されるストロビルリン殺真菌剤と、(ii)プロチオコナゾール、テブコナゾール、シプロコナゾール、エポキシコナゾール、メトコナゾール、及びテブコナゾールから選択されるコナゾール殺真菌剤との組み合わせである。
【0139】
ある実施形態では、ある場所の真菌を制御する方法が提供され、この方法は、本発明に従って調製された殺真菌製剤をかかる場所に投与することを含む。
【0140】
別の実施形態では、本明細書のプロセスに従って生成される酸化銅、塩基性塩化銅、酢酸銅、炭酸銅、水酸化銅、ナフテン酸銅、オレイン酸銅、ケイ酸銅、及び三塩基性硫酸銅から選択される少なくとも1つの銅殺真菌剤を含む、キットが提供される。
【0141】
本発明の利点:
1.このプロセスは、経済的かつ商業的に実行可能であり、電力消費量の低減に有用である。
2.このプロセスは、改善された信頼性及び安定性を有し、金属銅表面上への銅塩の堆積を回避する。
3.撹拌機のブレードと金属銅との間の直接接触のリスクを回避する。金属銅を、容易にカラム内に添加することができる。
4.このプロセスは、様々な銅化合物、例えば、CuO、Cu2(OH)3Cl又はCu(OH)2)の製造に使用することができる。
【0142】
以下の実施例は、特許請求される発明をより良く説明するために提供され、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。当業者は、本発明の能力を行使することなく、かつ本発明の範囲から逸脱することなく、同等の材料及び方法を開発することができる。このような変更例が本発明の範囲内に含まれることは、本発明の意図するものである。
【実施例
【0143】
実施例1
銅殺真菌剤前駆体としてのトリアミン銅錯体の形成
【0144】
工程1:
[A]テトラアミン銅錯体TBCS及び硫酸アンモニウムを含有する初期懸濁液の調製
水(70kg)を反応器に入れた。温度を50℃に上げ、硫酸銅(7.0kg)を添加した。pHを、アンモニア水溶液(32%、3.0kg)で8.2まで上昇させた。濾液において決定した最終的な銅可溶性含量は0.5%であり、硫酸アンモニウム濃度は4.5%である。懸濁液中の総銅含量は、2.3%であった。全ての%は、m/mで表される。
【0145】
[B]テトラアミン銅錯体TBCS及び硫酸アンモニウムを含有する初期懸濁液の調製
別法として、硫酸銅を使用せずに初期懸濁液を調製した。この調製は、実施例2で得られた中性懸濁液が入手可能なときに実施した。4.7%の硫酸アンモニウム溶液(80kg)を反応器に入れた。中性懸濁液(4.44kg)を反応器に加え、温度を50℃に上昇させた。pHは、アンモニア水溶液(32%、0.59kg)で8.2まで上昇する。濾液において決定した最終的な銅可溶性含量は0.3%であり、硫酸アンモニウム濃度は5.6%であった。得られた懸濁液中の総銅含量は、0.6%であった。
【0146】
工程2:
工程1のパート[A]及び/又は[B]で得られた懸濁液を反応器に入れ、銅線(27.14kg)を充填した83ミリメートルのカラムを通して、懸濁液の再循環を開始した。再循環を行う際に、カラムの底部でO2導入を開始した。反応器中の懸濁液のpHを8~8.2に維持した。pH調整は、濾液中の可溶性銅テトラミン銅濃度を、0.3~0.6%(銅で表す)に維持するように適合させた。温度を約50℃で約2時間維持した。反応器中の総銅含有量の増加を次の表に示した。
【0147】
【表1】
【0148】
工程3:
懸濁液中の総銅含有量が約10%に達した時点で、懸濁液を硫酸アンモニウム溶液(5%)で希釈し、反応器からの懸濁液の取り出しを開始した。対照のpHは、工程2のように維持した。反応を50℃で2時間実施した。以下の表は、連続プロセス中に反応器内に存在する銅の%を示す。
【0149】
【表2】
【0150】
以下の表は、取り出された懸濁液中の銅の%を示す。
【0151】
【表3】
【0152】
実施例2
銅殺真菌剤である三塩基性硫酸銅の形成
撹拌機及びpH測定装置を備えた反応器に、実施例1の工程3の連続プロセスから取り出した79kgの懸濁液を投入した。0.59リットルの硫酸(98%)を50℃の反応器に添加し、テトラアミン銅錯体を含有する懸濁液のpHを5~7に維持してTBCSを形成した。
【0153】
中和前及び中和後の懸濁液の完全な変換を、下の表に示す。
【0154】
【表4】
【0155】
中和後、懸濁液を濾過して、41.3kgのペーストを得た。33kgの水を加えてペーストを洗浄し、混合物を撹拌し、濾過して、銅含有量53.6%のTBCSを得、これを55℃の温度の乾燥オーブン中で乾燥させた。2回目の濾過後に得られた濾液を硫酸アンモニウム溶液中に添加し、実施例1の工程3の反応器の懸濁液と混合して、銅殺真菌剤前駆体を生成し、プロセスを続けることができる。
【0156】
実施例3
製剤(WG 40%銅)
【0157】
工程1:洗浄したペーストからの流動化ペーストの調製
撹拌機を装備したタンクに、実施例2で得られた35.8kgの洗浄したペースト、1.25kgのポリナフタレンスルホン酸ナトリウム及び1.88kgの水を投入した。混合物を撹拌し、撹拌後、WG型製剤の製造に使用できる流動化ペーストを得た。流動化ペーストの分析は、以下の通りである。
乾燥物:56.2%
銅含有量:28.5%
粒径(D50%):8μm
【0158】
工程2:水分散性TBCS顆粒の製造
撹拌機を装備したタンクに、25.24kgの工程1で得られた流動化ペースト、1.84kgの水、1.44kgのリグノスルホン酸ナトリウム、0.40kgのキシレンスルホン酸ナトリウム、0.09kgのシリコーンエマルションベースの消泡剤、1.71kgの石膏を投入した。混合物を撹拌し、撹拌後、懸濁液を湿式粉砕し、乾燥塔に送ることによって、40%の銅を含有する顆粒を得た。WG製剤の分析は以下の通りである。
銅含有量:40.3%
懸濁性:>75%
粒径(D50%):2.3μm
図1
図2
図3