(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】センサパッケージおよびセンサパッケージの取付方法
(51)【国際特許分類】
G01D 11/30 20060101AFI20240514BHJP
G01D 5/353 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
G01D11/30 S
G01D5/353 C
(21)【出願番号】P 2021546926
(86)(22)【出願日】2020-09-16
(86)【国際出願番号】 JP2020035044
(87)【国際公開番号】W WO2021054350
(87)【国際公開日】2021-03-25
【審査請求日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】P 2019168780
(32)【優先日】2019-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000198318
【氏名又は名称】株式会社IHI検査計測
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 亜樹子
(72)【発明者】
【氏名】石黒 繁樹
(72)【発明者】
【氏名】吉良 佳子
(72)【発明者】
【氏名】福本 伸太郎
(72)【発明者】
【氏名】今川 峻
(72)【発明者】
【氏名】西土 隆幸
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-519517(JP,A)
【文献】特開2002-90233(JP,A)
【文献】特開2002-311253(JP,A)
【文献】特開2006-208264(JP,A)
【文献】特表2009-503449(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 11/30
G01D 5/353
G02B 6/00 - 6/54
G01B 11/16
G01K 11/32
G01L 1/24
G01M 11/00 - 11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被対象物に貼付されるセンサパッケージであって、
第1の基材と、
FBGセンサと、
前記第1の基材上に位置する、樹脂部及び第1の粘着剤層と、
前記樹脂部における前記第1の基材とは反対側の面に位置する粘接着層とを備え、
前記FBGセンサは前記樹脂部により保持される、
センサパッケージ。
【請求項2】
前記粘接着層は、常温にて硬化する請求項1に記載のセンサパッケージ。
【請求項3】
前記粘接着層は、硬化剤により硬化する請求項1又は2に記載のセンサパッケージ。
【請求項4】
前記FBGセンサを保持する前記樹脂部における前記粘接着層側の面を除く全周囲の少なくとも一部が、前記第1の粘着剤層で覆われている請求項1~3のいずれか1項に記載のセンサパッケージ。
【請求項5】
前記第1の粘着剤層は、厚み方向に貫通する開口部を有し、
前記樹脂部は、前記開口部内に配置された前記FBGセンサと前記開口部との間隙を埋めるように設けられて前記FBGセンサを保持する請求項1~4のいずれか1項に記載のセンサパッケージ。
【請求項6】
前記第1の粘着剤層及び前記粘接着層における前記被対象物に貼付される側の面が、第1の剥離シートにより保護された請求項1~5のいずれか1項に記載のセンサパッケージ。
【請求項7】
前記第1の基材は、透明又は半透明である請求項1~6のいずれか1項に記載のセンサパッケージ。
【請求項8】
前記第1の基材における前記第1の粘着剤層側の面とは反対側の面に、第2の粘着剤層と、第2の基材とをこの順で備える請求項1~7のいずれか1項に記載のセンサパッケージ。
【請求項9】
前記第2の基材は、耐候性基材である請求項8に記載のセンサパッケージ。
【請求項10】
前記第1の基材と前記第2の粘着剤層との間の一部に第2の剥離シートを備え、前記第2の剥離シートは、前記第2の剥離シートの面広がり方向において前記第2の粘着剤層よりも伸びて露出する延出部を有する請求項8又は9に記載のセンサパッケージ。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項記載のセンサパッケージの取付方法であって、
前記センサパッケージにおける前記粘接着層は、硬化剤により硬化し、
前記粘接着層及び前記被対象物の少なくとも一つに前記硬化剤を塗布する工程と、
前記センサパッケージを前記粘接着層を介して前記被対象物に貼付する工程と、
を含むセンサパッケージの取付方法。
【請求項12】
請求項1~10のいずれか1項記載のセンサパッケージの取付方法であって、
前記センサパッケージにおける前記粘接着層は、硬化剤により硬化し、
前記粘接着層に前記硬化剤を塗布する工程と、
前記被対象物に前記硬化剤を塗布する工程と、
前記センサパッケージを前記被対象物に、前記粘接着層に塗布された前記硬化剤と、前記被対象物に塗布された前記硬化剤とが接するように貼付する工程と、を含むセンサパッケージの取付方法。
【請求項13】
請求項1~3のいずれか1項に記載のセンサパッケージを前記被対象物に取り付けるセンサパッケージの取付方法であって、
前記センサパッケージにおける、前記第1の粘着剤層及び前記粘接着層の前記被対象物に貼付される側の面が第1の剥離シートにより保護され、
前記センサパッケージが、前記第1の粘着剤層の前記被対象物に貼付される側の面とは反対側の面に前記第1の基材と、第2の粘着剤層と、第2の基材とをこの順で備え、
前記第1の基材と前記第2の粘着剤層との間の一部に第2の剥離シートを備え、前記第2の剥離シートは、前記第2の剥離シートの面広がり方向において前記第2の粘着剤層よりも伸びて露出する延出部を有し、
前記第1の剥離シートを剥離し、前記粘接着層に硬化剤を塗布する工程と、
前記センサパッケージの前記第1の剥離シートを剥離した剥離面を前記被対象物に貼付する工程と、
前記第2の剥離シートを剥離し、前記第2の粘着剤層の前記第2の剥離シートを剥離した剥離面を前記第1の基材に貼付する工程とを含むセンサパッケージの取付方法。
【請求項14】
請求項1~10のいずれか1項に記載のセンサパッケージ及び硬化剤を含むセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサパッケージおよびセンサパッケージの取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被対象物に設置して被対象物の振動や歪み等の物理的な変化や各種の情報を測定するセンサが用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、構造物の状態を監視するセンサの出力特性のばらつきを低減することを目的の一つとして、センサ装置がパッケージ部材に内包され、接着シートをパッケージ部材に付着させたセンサモジュールが記載されている。
特許文献2には、ベースシートの一面に微粘着性の着脱面を設けた微粘着シートと、ひずみゲージ素子材料をフォトエッチング加工処理によりパターン形成することにより微粘着シートの着脱面に設けたひずみゲージ素子とを備えるひずみゲージが記載されている。
【0004】
そして、特許文献3には、変形変換デバイスと被着体とを簡便に接着することができ、かつ、変形変換デバイスに被着体の変形を正確に検知させることができる硬化型粘接着シートが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】日本国特開2016-194441号公報
【文献】日本国特開2009-300096号公報
【文献】日本国特許第6449795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
構造物にFBGセンサ等のセンサを貼付する際に、接着剤を使用した場合、接着剤が硬化するまで時間がかかるためセンサの貼付位置がずれる虞があり、粘着剤を使用した場合、センサの感度が大きく低下する場合がある。そのため、高所や足場の不安定な場所での作業や、使用者が手袋をしながら作業する場合等においても、感度を大きく低下させることなく、より簡便に取り付けが可能な、作業性に優れたセンサパッケージが求められている。
更に、取り付けられたセンサ装置には、屋外における使用に耐え得る高い耐久性が必要となるが、従来のセンサパッケージには検討の余地があった。
【0007】
以上のような問題を鑑みて、本発明は、FBGセンサの感度を大きく低下させることなく、簡便に取り付けと位置決めが可能であり、作業性に優れたセンサパッケージを提供することを目的とする。また、屋外での利用に適用可能な、耐久性の高いセンサパッケージを提供することを一つの課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、基材上に、FBGセンサを保持する樹脂部と粘着剤層とを設け、センサパッケージを被対象物に貼付する際、粘着剤層により仮固定することを着想した。そして、FBGセンサ感度が大きく低下することを防ぐには、FBGセンサを保持する樹脂部を被対象物に粘接着層によって強固に接着することが重要であるとの知見を得た。
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は以下の構成を有する。
〔1〕
被対象物に貼付されるセンサパッケージであって、
第1の基材と、
FBGセンサと、
前記第1の基材上に位置する、樹脂部及び第1の粘着剤層と、
前記樹脂部における前記第1の基材とは反対側の面に位置する粘接着層とを備え、
前記FBGセンサは前記樹脂部により保持される、
センサパッケージ。
〔2〕
前記粘接着層は、常温にて硬化する〔1〕に記載のセンサパッケージ。
〔3〕
前記粘接着層は、硬化剤により硬化する〔1〕又は〔2〕に記載のセンサパッケージ。
〔4〕
前記FBGセンサを保持する前記樹脂部における前記粘接着層側の面を除く全周囲の少なくとも一部が、前記第1の粘着剤層で覆われている〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載のセンサパッケージ。
〔5〕
前記第1の粘着剤層は、厚み方向に貫通する開口部を有し、
前記樹脂部は、前記開口部内に配置された前記FBGセンサと前記開口部との間隙を埋めるように設けられて前記FBGセンサを保持する〔1〕~〔4〕のいずれか1項に記載のセンサパッケージ。
〔6〕
前記第1の粘着剤層及び前記粘接着層における前記被対象物に貼付される側の面が、第1の剥離シートにより保護された〔1〕~〔5〕のいずれか1項に記載のセンサパッケージ。
〔7〕
前記第1の基材は、透明又は半透明である〔1〕~〔6〕のいずれか1項に記載のセンサパッケージ。
〔8〕
前記第1の基材における前記第1の粘着剤層側の面とは反対側の面に、第2の粘着剤層と、第2の基材とをこの順で備える〔1〕~〔7〕のいずれか1項に記載のセンサパッケージ。
〔9〕
前記第2の基材は、耐候性基材である〔8〕に記載のセンサパッケージ。
〔10〕
前記第1の基材と前記第2の粘着剤層との間の一部に第2の剥離シートを備え、前記第2の剥離シートは、前記第2の剥離シートの面広がり方向において前記第2の粘着剤層よりも伸びて露出する延出部を有する〔8〕又は〔9〕に記載のセンサパッケージ。
〔11〕
〔1〕~〔10〕のいずれか1項記載のセンサパッケージの取付方法であって、
前記センサパッケージにおける前記粘接着層は、硬化剤により硬化し、
前記粘接着層及び前記被対象物の少なくとも一つに前記硬化剤を塗布する工程と、
前記センサパッケージを前記粘接着層を介して前記被対象物に貼付する工程と、
を含むセンサパッケージの取付方法。
〔12〕
〔1〕~〔10〕のいずれか1項記載のセンサパッケージの取付方法であって、
前記センサパッケージにおける前記粘接着層は、硬化剤により硬化し、
前記粘接着層に前記硬化剤を塗布する工程と、
前記被対象物に前記硬化剤を塗布する工程と、
前記センサパッケージを前記被対象物に、前記粘接着層に塗布された前記硬化剤と、前記被対象物に塗布された前記硬化剤とが接するように貼付する工程と、を含むセンサパッケージの取付方法。
〔13〕
〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載のセンサパッケージを前記被対象物に取り付けるセンサパッケージの取付方法であって、
前記センサパッケージにおける、前記第1の粘着剤層及び前記粘接着層の前記被対象物に貼付される側の面が第1の剥離シートにより保護され、
前記センサパッケージが、前記第1の粘着剤層の前記被対象物に貼付される側の面とは反対側の面に前記第1の基材と、第2の粘着剤層と、第2の基材とをこの順で備え、
前記第1の基材と前記第2の粘着剤層との間の一部に第2の剥離シートを備え、前記第2の剥離シートは、前記第2の剥離シートの面広がり方向において前記第2の粘着剤層よりも伸びて露出する延出部を有し、
前記第1の剥離シートを剥離し、前記粘接着層に硬化剤を塗布する工程と、
前記センサパッケージの前記第1の剥離シートを剥離した剥離面を前記被対象物に貼付する工程と、
前記第2の剥離シートを剥離し、前記第2の粘着剤層の前記第2の剥離シートを剥離した剥離面を前記第1の基材に貼付する工程とを含むセンサパッケージの取付方法。
〔14〕
〔1〕~〔10〕のいずれか1項に記載のセンサパッケージ及び硬化剤を含むセット。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様に係るセンサパッケージは、FBGセンサの感度を大きく低下させることなく、簡便に取り付けと位置決めが可能であり、作業性に優れる。また、耐久性に優れ屋外での利用に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、センサパッケージの一構成例の模式的な図である。
【
図4】
図4は、センサパッケージの一構成例の模式的な図である。
【
図7】
図7は、センサパッケージの一構成例の模式的な断面図である。
【
図8】
図8は、センサパッケージの一構成例の模式的な断面図である。
【
図9】
図9は、センサパッケージの一構成例の模式的な断面図である。
【
図10】
図10は、センサパッケージの一構成例の模式的な断面図である。
【
図11】
図11(a)~(f)は、センサパッケージの一製造例を説明するための模式的な断面図である。
【
図12】
図12(a)~(f)は、センサパッケージの一製造例を説明するための模式的な図である。
【
図13】
図13(a)~(c)は、センサパッケージの一製造例を説明するための模式的な断面図である。
【
図14】
図14(a)~(d)は、センサパッケージの一製造例を説明するための模式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
なお、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明することがあり、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、図面に記載の実施形態は、本発明を明瞭に説明するために模式化されており、実際の製品のサイズや縮尺を必ずしも正確に表したものではない。
【0013】
〔センサパッケージ〕
本発明の実施形態に係るセンサパッケージは、被対象物に貼付されるセンサパッケージであって、第1の基材と、FBGセンサと、前記第1の基材上に位置する、樹脂部及び第1の粘着剤層と、前記樹脂部における前記第1の基材とは反対側の面に位置する粘接着層と、を備え、前記FBGセンサは前記樹脂部により保持される。
【0014】
(第一の実施形態)
図1は、本発明の第一の実施形態に係るセンサパッケージ100の模式的な図である。
図2は、
図1の模式的なI-I断面図である。
図3は、
図1の模式的なII-II断面図である。
図1~3に示すセンサパッケージ100は、第1の基材20と、被対象物に貼付されるFBG(Fiber Bragg Grating)センサ10と、第1の基材20上に位置する、樹脂部12と第1の粘着剤層11と、樹脂部12における第1の基材20とは反対側の面に位置する粘接着層14とを備え、FBGセンサ10は樹脂部12により保持される。
【0015】
センサパッケージ100は、FBGセンサ10を保持する樹脂部12における、粘接着層側の面を除く、全周囲の少なくとも一部が、第1の粘着剤層11で覆われていてもよい。なお、
図1~3に示すセンサパッケージ100においては、粘接着層14を設けた側の面が被対象物に貼付される側の面である。
FBGセンサ10は、光ファイバ15のコアに周期的な回折格子を刻むことにより形成されており、FBGセンサ10の検出信号はセンサパッケージ100の外部へ出力される。また、光ファイバ15は被覆材13により被覆されていてもよい。
被覆材13の材料としては特に限定はないが、例えば、金コート等の金属材料や、ポリイミド、シリコーン、ナイロン、アクリル、塩化ビニル等の樹脂材料が挙げられる。被覆材13は樹脂により光ファイバ15をコートする樹脂コート材であってもよく、シース材等であってもよい。また、被覆材13は単層でも複数層でもよい。
【0016】
第1の粘着剤層11は、第1の基材上に設けられる。第1の粘着剤層11を設けることにより、センサパッケージを被対象物に設置する際に、第1の粘着剤層11により仮固定しつつ粘接着層の硬化により強固に接着することができ作業性に優れる。また、第1の粘着剤層11によりセンサパッケージ100と被対象物との隙間を無くし、耐久性に優れるためFBGセンサ10への外気や水分の侵入を防ぐこともできる。
【0017】
第1の粘着剤層は、FBGセンサを保持する樹脂部における、被対象物に貼付される側の面を除く全周囲の少なくとも一部を覆っていることが好ましい。FBGセンサが被対象物から情報を検出する際に、FBGセンサと被対象物との間に粘着剤層が存在すると、得られた変形を粘着剤層で緩和するため検出の感度が大きく低下するためである。
第1の粘着剤層11は、複数の粘着剤層により形成してもよい。例えば、
図1~3に示すように、第1の粘着剤層11aおよび第1の粘着剤層11bを積層したものであってもよく、
図4~6に示すように、第1の粘着剤層11cおよび第1の粘着剤層11dを付き合わせたものであってもよい。第1の粘着剤層11aと第1の粘着剤層11bの厚さは同じでも異なっていてもよく、異なる場合はどちらの厚さが大きくてもよい。
【0018】
光ファイバ15に被覆材13を設ける場合は、その太さによっては、第1の粘着剤層11aおよび第1の粘着剤層11bは被覆材13に対応する位置に切り欠きを設けることもできる。切り欠きを設けることにより、第1の粘着剤層11と被対象物との間にほぼ隙間が無くセンサパッケージを被対象物に取り付けることができ、FBGセンサ10への外気や水分の侵入を防ぎ耐久性に優れる。
第1の粘着剤層11の厚さに対し、被覆材13の最大径(光ファイバ15を含む被覆材13の外径)が小さい場合は、必ずしも第1の粘着剤層11に切り欠きを設ける必要はなく、被覆材13が第1の粘着剤層11に埋没した状態となり、外気や水分の侵入を防ぐことができ耐久性に優れる。
光ファイバ15に被覆材13を設ける場合は、第1の粘着剤層11の厚みは被覆材13の最大径(外径)と同じか、最大径より大きいことが好ましい。
光ファイバの外径は、好ましくは0.125mmである。
光ファイバ15を被覆する被覆材13の厚みは、特に制限は無く、通常10μm~1mmである。
例えば、外径が0.125mmの光ファイバに樹脂の被覆材により被覆を施し、光ファイバを含む被覆材の外径を好ましくは0.15~1mmとすることができる。
【0019】
第1の粘着剤層11は、厚み方向に貫通する開口部(以下単に開口部と称する場合がある)を有していてもよい。
開口部内にFBGセンサを配置し、樹脂部をFBGセンサと開口部との間隙を埋めた場合、FBGセンサと第1の粘着剤層とが接触せず、被対象物の正確な情報がより得られやすくなる。更に、開口部内にFBGセンサを配置することにより、FBGセンサの位置が目視で確認でき、取付作業時における位置決めがしやすくなる。
開口部の形状に特に限定はなく、円形状、楕円形状、多角形状、正方形状、長方形状のいずれであってもよい。
【0020】
樹脂部12は、第1の基材上に位置し、FBGセンサ10を保持する。
FBGセンサ10は、外気に暴露しないように、樹脂部12によって保護されていることが好ましく、樹脂部12に包埋されていてもよく、FBGセンサ10の一部が樹脂部12から露出していてもよいが、FBGセンサ10の配線を除く全周囲が樹脂部12に包埋された状態であることが好ましい。FBGセンサ10の配線を除く全周囲が樹脂部12に包埋された状態の場合は、FBGセンサ10は、被対象物の情報を樹脂部12を介して検出することとなる。
また、樹脂部12における前記被対象物に貼付される側の面を除く全周囲の少なくとも一部が、前記第1の粘着剤層11で覆われていてもよい。
【0021】
第1の粘着剤層11が厚み方向に貫通する開口部を有する場合、樹脂部12は、開口部内に配置されたFBGセンサ10と開口部との間隙を埋めるように設けられてFBGセンサ10を保持することができる。
FBGセンサ10による検出の感度を高めるため、樹脂部12の第1の基材とは反対側の面、および第1の粘着剤層11の第1の基材とは反対側の面(貼付面)は、面一となるように樹脂部12が形成されていることが好ましい。
【0022】
樹脂部12と第1の粘着剤層11は、第1の基材20上に位置し、センサパッケージ100は、樹脂部12における第1の基材20とは反対側の面に位置する粘接着層14を備える。
図1~3に示すように粘接着層14は、センサパッケージ100を被対象物に貼付した際に、樹脂部12が粘接着層14を介して被対象物に貼付されるように設置することができる。これにより、樹脂部12に保持されるFBGセンサ10が樹脂部12および粘接着層14を介して被対象物に貼付される。すなわち、FBGセンサ10は、第1の粘着剤層11を介さず、樹脂部12および粘接着層14を介して、被対象物の情報を検出することとなり感度が大きく低下することを防ぐことができる。
【0023】
(第二の実施形態)
第二の実施形態において、上記した実施形態と同様の部材については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図4は、本発明の第二の実施形態に係るセンサパッケージ200の模式的な図である。
図5は、
図4の模式的なIII-III断面図である。
図6は、
図4の模式的なIV-IV断面図である。
図4に示すセンサパッケージ200は、
図1に示すセンサパッケージ100の変形例であって、
図1における第1の粘着剤層11の厚みを、被覆材13の最大径(太さ)と同程度とした実施形態を示す。第1の粘着剤層11の厚みは、被覆材13の最大径より大きくてもよい。
【0024】
図4~6に示すように、センサパッケージ200は、第1の粘着剤層11を被覆材13に対応する位置で切断した形状の第1の粘着剤層11cおよび第1の粘着剤層11dを被覆材13に突き合わせることにより、FBGセンサ10を第1の粘着剤層11の開口部内に配置し、樹脂部12により保持することができる。
第1の粘着剤層11cと第1の粘着剤層11dの厚さは同じでも異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
なお、第1の粘着剤層11cおよび第1の粘着剤層11dに加え、
図1における第1の粘着剤層11aを更に組み合わせて第1の粘着剤層11とすることもできる。
【0025】
(第三の実施形態)
第三の実施形態において、上記した実施形態と同様の部材については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図7は、本発明の第三の実施形態に係るセンサパッケージ300の模式的な断面図である。
図7に示すセンサパッケージ300は、
図1に示すセンサパッケージ100の変形例であって、
図1における第1の粘着剤層11を1層とした場合の実施形態である。
センサパッケージ300におけるFBGセンサ10は光ファイバ15に形成され、光ファイバ15は被覆材13を備える。
図7に示すように、センサパッケージ300におけるFBGセンサ10付き光ファイバ15は、被覆材13が第1の基材20に接するように配置されていてもよい。
【0026】
(第四の実施形態)
第四の実施形態において、上記した実施形態と同様の部材については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図8は、本発明の第四の実施形態に係るセンサパッケージ400の模式的な断面図である。
図8に示すセンサパッケージ400は、
図1に示すセンサパッケージ100の変形例であって、
図1における第1の粘着剤層11を1層とした場合の実施形態である。
センサパッケージ400におけるFBGセンサ10は光ファイバ15に形成され、光ファイバ15は被覆材13を備える。
図8に示すように、センサパッケージ400におけるFBGセンサ10付き光ファイバは、被覆材13が粘接着層14に接するように配置されていてもよい。
【0027】
(第五の実施形態)
第五の実施形態において、上記した実施形態と同様の部材については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図9は、本発明の第五の実施形態に係るセンサパッケージの一構成例の模式的な断面図である。
図9に示すように、センサパッケージ500は、第1の基材20における第1の粘着剤層11側の面とは反対側の面に、第2の粘着剤層16と、第2の基材17とをこの順で備えていてもよい。
【0028】
また、センサパッケージ500は、第1の基材20と第2の粘着剤層16との間の一部に第2の剥離シート19を備えていてもよい。第1の基材20と第2の粘着剤層16との間の一部に第2の剥離シート19を備えることにより、任意のタイミングで第1の基材20に第2の基材17を積層することが可能となる。センサパッケージ500を被対象物に貼付した後に、第2の剥離シート19を剥離し、第1の基材20に第2の基材17を積層すると、貼付の際にFBGセンサ10が目視しやすく、位置決めが容易となり作業性に優れる。
【0029】
第2の剥離シート19には、背割り部を設けることもできる。前記背割り部は、第2の剥離シート19の粘着剤層との接触面とは反対側の表面に切れ線を入れてなる。前記切れ線の形状は、直線状であってもよく、曲線状、たとえば波型であってもよく、またはこれらの組み合わせであってもよい。また、切れ線は実線であっても、破線であってもよく、これらの組み合わせであってもよい。第2の剥離シート19に背割り部を設けることにより、第2の剥離シート19を容易に取り除くことが可能となる。
また、センサパッケージ500は、第1の基材20と第2の粘着剤層16との間の一部に第2の剥離シート19を備え、前記第2の剥離シート19は、前記第2の剥離シート19の面広がり方向において前記第2の粘着剤層16よりも伸びて露出する延出部を有していてもよい。第2の剥離シート19が延出部を有すれば、該延出部が把持部となって作業性に優れたセンサパッケージを得ることができる。延出部の形状については、特に限定されず、目的に応じて任意の適切な形状が採用され得る。上記延出部の視形状の具体例としては、四角形(台形も含む)、半楕円形状等が挙げられる。また、上記延出部の端部は波形等であってもよい。上記延出部の剥離方向の長さは、好ましくは1mm~30mmであり、さらに好ましくは5mm~20mmである。上記延出部の剥離方向の長さがこのような範囲であれば、優れた剥離操作性を有し、作業性の良いセンサパッケージを得ることができる。
【0030】
次に、本発明の実施形態にかかるセンサパッケージの製造方法について説明する。
【0031】
〔センサパッケージの製造方法〕
本発明の実施形態にかかるセンサパッケージの製造方法は、第1の基材20上に、第1の粘着剤層11を設ける工程と、樹脂部12により包埋したFBGセンサ10を設ける工程と、樹脂部12における第1の基材20とは反対側の面に位置する粘接着層14を設ける工程とを含む。
【0032】
第1の粘着剤層11を設ける工程においては、粘着剤組成物の塗布・硬化により第1の基材上に第1の粘着剤層11を直接形成してもよく、予め形成された粘着剤層を貼付してもよい。第1の粘着剤層11は、複数の粘着剤層により構成される場合、第1の粘着剤層11を設ける工程は複数回に分けて行ってもよい。
【0033】
例えば、
図1~3に示すセンサパッケージ100の場合、第1の基材上に第1の粘着剤層11aを配置し、次いで、FBGセンサ10を配置し、第1の粘着剤層11bを配置してもよい。
FBGセンサ10は、
図1~3に示すように、第1の粘着剤層11の開口部内となるように配置することができる。
FBGセンサ10付き光ファイバ15は被覆材13により被覆されていてもよい。FBGセンサ10付き光ファイバ15が被覆材13により被覆されている場合、第1の粘着剤層11aおよび第1の粘着剤層11bの少なくとも一方は、光ファイバ15および被覆材13に対応する位置に切り欠きを設けてもよい。
【0034】
第1の粘着剤層11は、例えば、
図4~6に示すように、第1の粘着剤層11cおよび第1の粘着剤層11dを付き合わせたものであってもよい。FBGセンサ10付き光ファイバ15が被覆材13により被覆されている場合、第1の粘着剤層11cおよび第1の粘着剤層11dの少なくとも一方は、光ファイバ15および被覆材13に対応する位置に切り欠きを設けてもよい。
【0035】
図7に示すように、センサパッケージ300は、第1の基材20上にFBGセンサ10を設置した後、第1の粘着剤層11および樹脂部を設けてもよい。また、
図8に示すようにセンサパッケージ400は、第1の基材20上に第1の粘着剤層11を設けた後、FBGセンサ10を設置し、次いで、樹脂部を設けてもよい。
FBGセンサ10付き光ファイバ15が被覆材13により被覆されている場合、第1の粘着剤層11は被覆材13に対応する位置に切り欠きを設けることもできる。
【0036】
第1の粘着剤層11の厚さに対し、被覆材13の最大径が小さい場合は、必ずしも第1の粘着剤層11に切り欠きを設ける必要はなく、被覆材13が第1の粘着剤層11に埋没した状態となり、外気や水分の侵入を防ぐことができ耐久性に優れる。
【0037】
樹脂部12により包埋したFBGセンサ10を設ける工程においては、第1の基材上にFBGセンサ10を設置した後にFBGセンサ10を樹脂部12により包埋してもよく、予め樹脂部12により包埋したFBGセンサ10を第1の基材上に設置してもよい。
第1の粘着剤層11が開口部を有する場合、FBGセンサ10は、
図1~3に示すように、第1の粘着剤層11の開口部内となるように配置することができる。そして、樹脂部12を形成する樹脂組成物を開口部内に充填することにより、開口部内に配置されたFBGセンサと開口部との間隙を埋めるように樹脂部12を設けることができる。これにより、FBGセンサが樹脂部12により包埋され、保持される。予め樹脂部12により包埋したFBGセンサ10を第1の基材20上に載置し、樹脂部12における被対象物に貼付される側の面を除く全周囲の少なくとも一部を、第1の粘着剤層11で覆ってもよい。
【0038】
また、第1の基材20上に、第1の粘着剤層11を設ける工程と、樹脂部12により包埋したFBGセンサ10を設ける工程は、同時に行うこともできる。
例えば、第1の粘着剤層11bを任意の剥離フィルム30上に配置し、第1の粘着剤層11bの開口部内にFBGセンサ10が位置するように載置し、更に、第1の粘着剤層11bに対向するように第1の粘着剤層11aを配置し、第1の粘着剤層11a及び第1の粘着剤層11bの開口部に樹脂を充填し、硬化させ、樹脂部12を形成しFBGセンサ10を包埋する。
次いで、第1の粘着剤層11aの第1の粘着剤層11b側とは反対側に第1の基材20を積層し、剥離フィルム30を剥離することにより、第1の基材20上に、第1の粘着剤層11及び、樹脂部12により包埋したFBGセンサ10を同時に設けることができる。
【0039】
そして、粘接着層14を設ける工程により、樹脂部12における第1の基材20とは反対側の面に、粘接着層14を設けることができる。粘接着層14は、粘接着組成物の塗布・硬化により粘接着層14を直接形成してもよく、予め形成された粘接着層14を樹脂部12に貼付してもよい。
粘接着層14を設ける工程は、FBGセンサ10を樹脂部12により包埋した後に行うことができ、樹脂部12を第1の基材20に配置した後に行ってもよく、樹脂部12を第1の基材20に配置する前に行ってもよい。
【0040】
図9に示すように、第1の粘着剤層および前記粘接着層における、被対象物に貼付される側の面は、第1の剥離シートにより保護してもよく、第1の剥離シートを貼付してもよい。
センサパッケージ500は、第1の基材20における第1の粘着剤層11側の面とは反対側の面に、第2の粘着剤層16と、第2の基材17とをこの順で備えていてもよい。
また、センサパッケージ300は、第1の基材20と第2の粘着剤層16との間の一部に第2の剥離シート19を備えていてもよい。
第1の基材20における第1の粘着剤層11側の面とは反対側の面の一部に第2の剥離シート19を積層し、第1の基材20および第2の剥離シート上に、第2の粘着剤層16と、第2の基材17とを設けることができる。第2の粘着剤層16および第2の基材17は、第2の粘着剤層16または第2の基材17を形成する材料の塗布・硬化により形成してもよく、予め形成されたものを貼付してもよい。
また、第2の基材は、耐候性基材であってもよい。
【0041】
〔センサパッケージの取付方法〕
続いて、本実施形態のセンサパッケージの取付方法について説明する。
本実施形態のセンサパッケージの取付方法は、センサパッケージを被対象物に貼付する工程を含む。粘接着層の硬化前においては、粘接着層および第1の粘着剤層により、被対象物と樹脂部により保持されたFBGセンサとが粘着され、粘接着層の硬化により被対象物と樹脂部により保持されたFBGセンサとが強固に接着され、FBGセンサの感度が大きく低下することを防ぐことができる。
【0042】
センサパッケージにおける粘接着層が、硬化剤により硬化するものである場合、粘接着層と硬化剤とを接触させる工程が必要である。粘接着層は、硬化剤と接触することにより反応する。粘接着層と硬化剤とを接触させる工程は、粘接着層及び被対象物の少なくとも一つに硬化剤を塗布する工程と、センサパッケージを粘接着層を介して前記被対象物に貼付する工程とを含んでいてもよい。
例えば、粘接着層と硬化剤とを接触させる工程は、粘接着層に硬化剤を塗布する工程と、センサパッケージを前記被対象物に貼付する工程とを含むものであってもよく、被対象物に硬化剤を塗布する工程および粘接着層と塗布された硬化剤とが接するようにセンサパッケージを前記被対象物に貼付する工程とを含んでいてもよい。
また、粘接着層と硬化剤とを接触させる工程は、粘接着層に硬化剤を塗布する工程と、被対象物に前記硬化剤を塗布する工程と、センサパッケージを前記被対象物に、粘接着層に塗布された硬化剤と、被対象物に塗布された硬化剤とが接するように貼付する工程とを含んでいてもよい。
【0043】
また、必要により、粘接着層と硬化剤とを加熱してもよく、加熱温度は、例えば、好ましくは50℃以上、より好ましくは70℃以上であり、また、例えば、好ましくは130℃以下、より好ましくは110℃以下である。
反応温度としては、好ましくは、常温である。常温は、粘接着層と硬化剤とを反応させるための上記した加熱(例えば、50℃以上の加熱)をしない温度であり、例えば、50℃未満、好ましくは、40℃以下であり、また、例えば、10℃以上、好ましくは、20℃以上である。
反応温度が常温であれば、粘接着層と硬化剤とを反応させるための加熱を必要とせず、センサパッケージを被対象物に、より一層簡便に接着することができ作業性に優れる。
【0044】
反応時間は、例えば、1時間以上、好ましくは、12時間以上であり、また、例えば、96時間以下、好ましくは、48時間以下である。
これにより、粘接着層が硬化し硬化層を形成する。好ましくは、粘接着層が常温で硬化する。
硬化層により、被対象物と樹脂部により保持されたFBGセンサとが強固に接着されFBGセンサの感度が大きく低下することを防ぐことができる。
【0045】
硬化層の剪断接着力は、例えば、0.1MPa以上、好ましくは、0.4MPa以上、より好ましくは、0.6MPa以上、さらに好ましくは、0.7MPa以上、とりわけ好ましくは、1.0MPa以上、最も好ましくは、2.3MPa以上、さらには、2.5MPa以上、さらには、3.5MPa以上である。
硬化層の剪断接着力が、上記の下限以上であれば、粘接着層は、接着性に優れ被対象物と樹脂部により保持されたFBGセンサとを確実に接着することができる。
【0046】
硬化層の剪断接着力は、以下の方法により測定される。すなわち、粘接着層を2枚の剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムに挟み、一方のポリエチレンテレフタレートフィルムを粘接着層から剥離し、剥離された粘接着層を第1スレート板に配置し、その後、他方のポリエチレンテレフタレートフィルムを粘接着層から引き剥がす。別途、硬化剤を第2スレート板に配置する。次いで、粘接着層と硬化剤とを、それらが第1スレート板および第2スレート板に挟まれるように、接触させ、24時間放置して硬化層を形成し、その後、第1スレート板および第2スレート板を剪断方向に、速度5mm/分で引っ張り、2枚のスレート板が剥がれた際の強度を剪断接着力として求められる。
【0047】
他の実施形態のセンサパッケージの取付方法は、第1の粘着剤層および前記粘接着層の前記被対象物に貼付される側の面が第1の剥離シートにより保護され、センサパッケージが、第1の粘着剤層の被対象物に貼付される側の面とは反対側の面に第1の基材と、第2の粘着剤層と、第2の基材とをこの順で備え、第1の基材と前記第2の粘着剤層との間の一部に第2の剥離シートを備え、第2の剥離シートは、第2の剥離シートの面広がり方向において第2の粘着剤層よりも伸びて露出する延出部を有し、前記第1の剥離シートを剥離し、前記粘接着層に硬化剤を接触させる工程と、前記センサパッケージの前記第1の剥離シートを剥離した剥離面を前記被対象物に貼付する工程と、前記第2の剥離シートを剥離し、前記第2の粘着剤層の前記第2の剥離シートを剥離した剥離面を前記第1の基材に貼付する工程とを含む。
【0048】
粘接着層と硬化剤とを接触させる工程は上記と同様である。
【0049】
図9に示すように、センサパッケージが第1の基材と前記第2の粘着剤層との間の一部に第2の剥離シートを備えることにより、第1の剥離シートを剥離した剥離面を被対象物に貼付する際に、樹脂部により保持されたFBGセンサを目視できる。このためFBGセンサを被対象物に貼付する際の位置決めが容易となり作業性に優れる。
【0050】
次に、前記第2の剥離シートを剥離し、前記第2の粘着剤層の前記第2の剥離シートを剥離した剥離面を前記第1の基材に貼付する工程により、
図10に示すように、第1の基材における樹脂部とは反対側の面に第2の粘着剤層、および第2の基材がこの順で積層される。これにより、第1の粘着剤層、FBGセンサ、樹脂部、および第1の基材が、第2の粘着剤層および第2の基材により保護されるため、センサパッケージの耐候性が向上する。
【0051】
〔センサパッケージおよび硬化剤を含むセット〕
本発明の実施形態にかかるセンサパッケージは、硬化剤と共にセットとすることができる。すなわち、本発明の実施形態にかかるセットは本発明の実施形態にかかるセンサパッケージおよび硬化剤を含む。
本発明の実施形態にかかるセットにおけるセンサパッケージおよび硬化剤は、上述のセンサパッケージおよび硬化剤と同義であり好ましいものを同様である。
本発明の実施形態にかかるセットによれば、センサパッケージと被対象物とを簡便かつ強固に接着することができ、作業性に優れ、FBGセンサの感度が大きく低下することを防ぐことができる。
【0052】
次に、本発明の実施形態にかかるセンサパッケージを構成する材料等について説明する。
【0053】
〔第1の基材〕
第1の基材としては、各種の基材を好ましく用いることができる。第1の基材としては、例えば、樹脂フィルム、紙、布、ゴムフィルム、発泡体フィルム、金属箔、これらの複合体や積層体等を用いることができる。なかでも、貼り付け性や外観性の観点から、樹脂フィルムを含むフィルム基材が好ましい。樹脂フィルムを含むことは、寸法安定性、厚さ精度、加工性、引張強度等の観点からも有利である。樹脂フィルムの例としては、PE、PP、エチレン・プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂フィルム;PET、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂フィルム;塩化ビニル系樹脂フィルム;酢酸ビニル系樹脂フィルム;ポリイミド系樹脂フィルム;ポリアミド系樹脂フィルム;フッ素系樹脂フィルム;セロハン;等が挙げられる。好適例としては、PE、PP、PETから形成された樹脂フィルムが挙げられる。
【0054】
樹脂フィルムのなかでは、ポリエステルフィルムがより好ましく、そのなかでもPETフィルムがさらに好ましい。フィルム基材は、単層構造であってもよく、2層または3層以上の多層構造を有してもよい。
【0055】
第1の基材は、透明又は半透明であることが好ましい。
被対象物の情報を正確に得るには、センサパッケージを被対象物に取付ける際に、FBGセンサの取付位置が重要となる。第1の基材が透明又は半透明であることにより、センサパッケージにおけるFBGセンサの位置が把握できるため、被対象物に取付ける際の位置決めが容易となり作業性に優れる。
具体的には、第1の基材は80%以上(例えば90%以上、典型的には95%以上)の全光線透過率を示すことが好ましい。また、第1の基材のヘイズ値は10%以下(例えば5%以下)であることが好ましい。
【0056】
第1の基材の厚みは、センサパッケージにおける支持体として第1の基材が機能するための強度を確保するという観点からは、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上である。また、センサパッケージにおいて適度な可撓性を実現するという観点からは、第1の基材の厚さは、好ましくは300μm以下、より好ましくは200μm以下である。
【0057】
〔第1の粘着剤層〕
第1の粘着剤層は、粘着剤により構成することができる。粘着剤は感圧粘着剤であることが好ましい。
第1の粘着剤層を構成する粘着剤(粘着剤組成物)としては、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ウレタン系粘着剤、フッ素系粘着剤、スチレン-ジエンブロック共重合体系粘着剤、エポキシ系粘着剤などを1種又は2種以上組み合わせて使用できる。また、粘着剤として光硬化型粘着剤(紫外線硬化型粘着剤など)を用いることもできる。
【0058】
第1の粘着剤層の厚みは、好ましくは50μm以上、より好ましくは100μm以上、更に好ましくは300μm以上である。また、好ましくは2mm以下、より好ましくは1.5mm以下、更に好ましくは1mm以下である。
【0059】
粘着剤組成物の調製に際して、熱や活性エネルギー線による硬化反応を利用する場合には、粘着剤組成物には、熱重合開始剤や光重合開始剤などの重合開始剤が含まれることが好ましい。重合開始剤としては、重合時間を短くすることができる利点などから、光重合開始剤を好適に用いることができる。重合開始剤は単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0060】
第1の粘着剤層は、更に、気泡構造を有していてもよい。「気泡構造」としては、ガス成分を有する構造であればよく、ガス成分のみからなり外殻を有しない構造である「気泡」であってもよいし、ガラスのミクロバブルのようなガス成分が外殻中に封入された構造である「中空微小球状体」であってもよい。
【0061】
第1の粘着剤層(又は粘着剤組成物)には、粘着シートの用途に応じて、適宜な添加剤が含まれていてもよい。このような添加剤としては、例えば、架橋剤(例えば、ポリイソシアネート系架橋剤、シリコーン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アルキルエーテル化メラミン系架橋剤など)、粘着付与剤(例えば、ロジン誘導体樹脂、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、油溶性フェノール樹脂などからなる常温で固体、半固体あるいは液状のもの)、可塑剤、充填剤、老化防止剤、酸化防止剤、着色剤(顔料や染料など)などが挙げられる。
【0062】
第1の粘着剤層を形成する粘着剤組成物は、上記ベースポリマーを形成するモノマー成分(例えば、アルキル(メタ)アクリレートなど)、必要に応じて、中空微小球状体、重合開始剤、各種添加剤等を公知の手法を用いて混合することにより調製することができる。また、粘度調整などの必要に応じて、モノマー成分を一部重合させてもよい。
調製方法の具体例としては、例えば、下記の手順が挙げられる。(i)ベースポリマーを形成するためのモノマー成分(例えば、アルキル(メタ)アクリレートやその他の共重合モノマー)および重合開始剤(例えば、光重合開始剤)を混合してモノマー混合物を調整し、(ii)該モノマー混合物に対して重合開始剤の種類に応じた重合反応(例えば、紫外線重合)を行って、一部のモノマー成分のみが重合した組成物(シロップ)を調製する。次いで、(iii)得られたシロップに、必要に応じて、中空微小球状体、フッ素系界面活性剤やその他の添加剤を配合する。さらに、気泡を含有させる場合には、(iv)(iii)で得られた配合物に、気泡を導入して混合させることにより、粘着剤組成物を得ることができる。なお、粘着剤組成物の調製方法はこれに限定されるものではなく、例えば、前記シロップの調製に際して、フッ素系界面活性剤や中空微小球状体を、モノマー混合中に予め配合するなどの調製方法でもよい。
【0063】
第1の粘着剤層は公知乃至慣用の方法により形成することができる。例えば、第1の基材上に上記粘着剤組成物を塗布して第1の粘着剤層を形成させ、該第1の粘着剤層を、必要に応じて、硬化(例えば、熱による硬化や、活性エネルギー線による硬化)や乾燥させる方法などが挙げられる。中でも、前述のように、活性エネルギー線の照射による硬化が好ましい。
また、支持基材上に上記粘着剤組成物を塗布、硬化・乾燥して粘着シートを製造した後、第1の基材上に貼り合わせ、支持基材を剥離し、第1の粘着剤層としてもよい。
なお、上記粘着シートは市販品を用いることも可能であり、例えば、日東電工(株)製「ハイパージョイント H7004、H7008、H7012、H8008、H9008」(基材レス両面粘着シート)などを用いることができる。
【0064】
〔樹脂部〕
樹脂部は、透明又は半透明であることが好ましい。樹脂部が透明又は半透明であることにより、樹脂部に保持されたFBGセンサの位置がより正確に把握できるため、被対象物に取付ける際の位置決めが容易となる。
【0065】
樹脂部は、25℃における初期引張弾性率が好ましくは1.0×108Pa以上、より好ましくは、5.0×108Pa以上、さらに好ましくは1.0×109Pa以上である。
【0066】
樹脂部の厚みは、好ましくは200μm以上、より好ましくは400μm以上、更に好ましくは800μm以上である。また、好ましくは3mm以下、より好ましくは2mm以下、更に好ましくは1.5mm以下である。
【0067】
樹脂部は、樹脂組成物により形成することができる。樹脂組成物は、硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を含有していてもよく、常温で硬化する樹脂を含有することが好ましい。硬化性樹脂と硬化剤とを適宜組み合わせることにより、常温で硬化する樹脂とすることができる。硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、および熱硬化性ポリイミド樹脂が挙げられ、エポキシ樹脂が好ましい。エポキシ樹脂は、FBGセンサの劣化原因となりうるイオン性不純物等の含有量が少ない傾向にあることから、樹脂部中の硬化性樹脂として好ましい。樹脂組成物は、一種類の硬化性樹脂を含有してもよいし、二種類以上の硬化性樹脂を含有してもよい。
また、エポキシ樹脂に常温硬化性を発現させるための硬化剤としては、アミン系硬化剤、イミダゾール系硬化剤、チオール系硬化剤等が好ましい。
【0068】
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、およびテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂などの二官能エポキシ樹脂や多官能エポキシ樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂としては、ヒダントイン型エポキシ樹脂、トリスグリシジルイソシアヌレート型エポキシ樹脂、およびグリシジルアミン型エポキシ樹脂も挙げられる。また、樹脂部は、一種類のエポキシ樹脂を含有してもよいし、二種類以上のエポキシ樹脂を含有してもよい。
【0069】
エポキシ樹脂は市販品を用いることも可能であり、例えば、三菱ケミカル株式会社製「jER828、ビスフェノールA型エポキシ樹脂」(25℃の粘度が12-15Ps・s)などを用いることができる。
【0070】
硬化剤は市販品を用いることも可能であり、例えば、三菱ケミカル株式会社製「ST-12、変成脂肪族ポリアミン」(25℃の粘度が1650-3300mPa・s)などを用いることができる。
【0071】
樹脂部における硬化性樹脂の含有割合は、樹脂部を適切に硬化させるという観点からは、好ましくは5~60質量%、より好ましくは10~50質量%である。
【0072】
〔粘接着層〕
本実施形態にかかる粘接着層は、樹脂部における前記第1の基材とは反対側の面に位置する。それにより、樹脂部により保護されたFBGセンサが粘接着層によって被対象物に貼付される。
本実施形態にかかる粘接着層は、粘接着層の硬化前においては、被対象物と樹脂部により保持されたFBGセンサとを粘着し、粘接着層の硬化により被対象物と樹脂部により保持されたFBGセンサとを強固に接着し、FBGセンサの感度が大きく低下することを防ぐことができる。
【0073】
被対象物からの情報を高度に検知し、FBGセンサの感度が大きく低下することを防ぐには、粘接着層に硬化により形成した硬化層の弾性率は、1.0×108Pa以上であることが好ましく、3.0×108Pa以上であることがより好ましく、5×108Pa以上であることがさらに好ましい。
【0074】
粘接着層は、硬化剤と接触して反応することにより、硬化する層(シート)であり、面方向(厚み方向に直交する方向)に沿って延び、平坦な表面と裏面とを有する略平板形状を有する。粘接着層を硬化させる硬化剤については後述する。
【0075】
粘接着層は、粘接着成分により層状に形成される。
粘接着成分は、層を形成することができる2液型接着剤の主剤であれば特に制限されず、例えば、シリコーン化合物、例えば、ポリプロピレングリコールなどのポリオール化合物、例えば、ウレタン樹脂、例えば、エポキシ樹脂などが挙げられる。粘接着成分は、好ましくは、エポキシ樹脂を主成分として含有する。これにより、FBGセンサおよび樹脂部と被対象物とを簡便かつ強固に接着することができる。
【0076】
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂などのビスフェノール系エポキシ樹脂、例えば、ナフタレン型エポキシ樹脂、例えば、ビフェニル型エポキシ樹脂、例えば、ジシクロ型エポキシ樹脂、例えば、脂環族系エポキシ樹脂、例えば、トリグリシジルイソシアヌレートエポキシ樹脂、例えば、ヒダントインエポキシ樹脂、例えば、グリシジルエーテル系エポキシ樹脂、例えば、グリシジルアミノ系エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0077】
エポキシ樹脂としては、好ましくは、ビスフェノール系エポキシ樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂は、単独で用いることができ、2種以上を併用することもできる。
【0078】
エポキシ樹脂は、常温で、液状、半固形状および固形状のいずれの形態であってもよいが、好ましくは、半固形状のエポキシ樹脂の単独使用、および、液状のエポキシ樹脂と固形状のエポキシ樹脂との併用が挙げられる。これにより、粘接着成分からタックのある層状の粘接着層を確実に形成できる。
【0079】
常温で液状のエポキシ樹脂は、具体的には、25℃で液状である。液状のエポキシ樹脂の粘度は、25℃において、例えば、30Pa・s以上、好ましくは、80Pa・s以上であり、例えば、500Pa・s以下、好ましくは、300Pa・s以下である。
【0080】
常温で固形状のエポキシ樹脂は、具体的には、25℃で固形状である。固形状のエポキシ樹脂の軟化点は、例えば、70℃以上、好ましくは、75℃以上である。
【0081】
液状のエポキシ樹脂の固形状のエポキシ樹脂に対する配合割合(液状のエポキシ樹脂/固形状のエポキシ樹脂(質量比))は、例えば、1.0以上、好ましくは、1.5以上であり、また、例えば、4.0以下、好ましくは、3.0以下である。
【0082】
液状のエポキシ樹脂の固形状のエポキシ樹脂に対する配合割合が、上記の下限以上であれば、粘接着成分の粘度を低減させて、塗布のムラの発生を防止して、均一な粘接着層を得ることができる。液状のエポキシ樹脂の固形状のエポキシ樹脂に対する配合割合が、上記の上限以下であれば、タックのある層状の粘接着層を得ることができる。
【0083】
エポキシ樹脂の配合割合は、粘接着成分において、エポキシ樹脂が主成分となる割合に設定されており、具体的には、粘接着成分に対して、例えば、70質量%以上、好ましくは、75質量%以上、より好ましくは、80質量%以上、さらに好ましくは、90質量%以上であり、また、例えば、100質量%以下である。
好ましくは、粘接着成分は、エポキシ樹脂のみからなり、すなわち、粘接着成分に対して、エポキシ樹脂の配合割合が100質量%である。
【0084】
粘接着成分には、必要により、アクリル系ポリマーを配合することもできる。これにより、粘接着成分の凝集力を向上させることができる。
【0085】
アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリレートを含有するモノマー成分を反応させることにより得られる。(メタ)アクリレートは、アルキルメタアクリレートおよび/またはアルキルアクリレートであって、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、s‐ブチル(メタ)アクリレート、t‐ブチル(メタ)アクリレート、n‐ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2‐エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレートなどの炭素数1~20のアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0086】
(メタ)アクリレートとして、好ましくは、炭素数2~14のアルキル(メタ)アクリレート、より好ましくは、炭素数4~9のアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
(メタ)アクリレートは、単独で用いることができ、2種以上を併用することもできる。
(メタ)アクリレートの配合割合は、モノマー成分に対して、例えば、70質量%以上、好ましくは、80質量%以上であり、また、例えば、99質量%以下、好ましくは、98質量%以下である。
モノマー成分は、さらに、(メタ)アクリレートと共重合可能な共重合性モノマーを含有することもできる。
【0087】
共重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、無水マレイン酸などのカルボキシル基含有モノマーまたはその酸無水物、例えば、2‐ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3‐ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート、例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N‐ジメチル(メタ)アクリルアミド、N‐メチロール(メタ)アクリルアミド、N‐メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N‐ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマー、例えば、酢酸ビニルなどのビニルエステル類、例えば、スチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物、例えば、(メタ)アクリロニトリル、例えば、N‐(メタ)アクリロイルモルホリン、例えば、N‐ビニル‐2‐ピロリドンなどが挙げられる。
【0088】
共重合性モノマーとして、好ましくは、カルボキシル基含有モノマー、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート、より好ましくは、(メタ)アクリル酸、2‐ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0089】
これらの共重合性モノマーは、単独で用いることができ、2種以上を併用することもできる。好ましくは、カルボキシル基含有モノマーおよびヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートの併用、より好ましくは、(メタ)アクリル酸および2‐ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの併用が挙げられる。
【0090】
共重合性モノマーの配合割合は、(メタ)アクリレート100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、0.3質量部以上であり、また、例えば、15質量部以下、好ましくは、10質量部以下である。
【0091】
モノマー成分を反応させるには、例えば、(メタ)アクリレートと、必要により、共重合性モノマーとを配合してモノマー成分を調製し、これを、例えば、溶液重合、塊状重合、乳化重合、各種ラジカル重合などの公知の重合方法により調製する。
【0092】
重合方法としては、好ましくは、溶液重合が挙げられる。
溶液重合では、例えば、溶媒に、モノマー成分と、重合開始剤とを配合して、モノマー溶液を調製し、その後、モノマー溶液を加熱する。
【0093】
溶媒としては、例えば、有機溶媒などが挙げられる。有機溶媒としては、例えば、トルエン、ベンゼン、キシレンなどの芳香族系溶媒、例えば、酢酸エチルなどのエーテル系溶媒、例えば、アセトン、メチルエチルケトンなどケトン系溶媒、例えば、酢酸エチルなどのエステル系溶媒、例えば、N,N‐ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶媒が挙げられる。溶媒は、単独で用いることができ、2種以上を併用することもでき、好ましくは、芳香族系溶媒とエーテル系溶媒との併用が挙げられる。溶媒の配合割合は、モノマー成分100質量部に対して、例えば、10質量部以上、好ましくは、50質量部以上であり、また、例えば、1000質量部以下、好ましくは、500質量部以下である。
【0094】
重合開始剤としては、例えば、パーオキサイド系重合開始剤、アゾ系重合開始剤などが挙げられる。
パーオキサイド系重合開始剤としては、例えば、パーオキシカーボネート、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステルなどの有機過酸化物が挙げられる。
【0095】
アゾ系重合開始剤としては、例えば、2,2’‐アゾビスイソブチロニトリル、2,2’‐アゾビス(2‐メチルブチロニトリル)、2,2’‐アゾビス(2,4‐ジメチルバレロニトリル)、2,2’‐アゾビスイソ酪酸ジメチルなどのアゾ化合物が挙げられる。
【0096】
重合開始剤として、好ましくは、アゾ系重合開始剤が挙げられる。
重合開始剤の配合割合は、モノマー成分100質量部に対して、例えば、0.01質量部以上、好ましくは、0.05質量部以上であり、また、例えば、5質量部以下、好ましくは、3質量部以下である。
【0097】
加熱温度は、例えば、50℃以上、80℃以下であり、加熱時間は、例えば、1時間以上、24時間以下である。
これによって、モノマー成分を重合して、アクリル系ポリマーを含むアクリル系ポリマー溶液を得る。
【0098】
アクリル系ポリマー溶液は、アクリル系ポリマーの配合割合が、粘接着成分100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは、2質量部以上、また、例えば、50質量部以下、好ましくは、30質量部以下となるように、エポキシ樹脂に配合される。また、アクリル系ポリマーの配合割合は、エポキシ樹脂100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは、2質量部以上であり、また、例えば、43質量部以下、好ましくは、35質量部以下である。
【0099】
アクリル系ポリマーの配合割合が、上記の下限以上であれば、粘接着成分の凝集力、ひいては、粘着力を向上させて、粘接着層の剥離接着力を向上することができる。
アクリル系ポリマーの配合割合が、上記の上限以下であれば、硬化させることができる。
【0100】
粘接着成分には、硬化剤を微量配合することもできる。これにより、粘接着層の凝集力を向上させることができる。硬化剤の例示は、後述される。
硬化剤の配合割合は、粘接着層の剥離接着力を向上させる一方、粘接着成分をわずかに硬化させる(完全硬化させない)割合に調整される。
【0101】
粘接着成分を得るには、例えば、エポキシ樹脂と、必要により、アクリル系ポリマー(アクリル系ポリマー溶液)および/または硬化剤と配合し、必要により、溶媒で希釈して、ワニスを調製する。
【0102】
溶媒としては、粘接着成分を溶解できるものであればよく、例えば、上記した溶媒が挙げられる。溶媒として、好ましくは、ケトン系溶媒が挙げられる。
【0103】
ワニスにおける粘接着成分の濃度は、例えば、20質量%以上、好ましくは、40質量%以上であり、例えば、80質量%以下、好ましくは、70質量%以下である。
【0104】
また、粘接着成分に、アクリル系ポリマーが配合される場合は、粘接着成分を調製するときに、架橋剤を配合することもできる。
【0105】
架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート系架橋剤などが挙げられ、好ましくは、イソシアネート系架橋剤が挙げられる。
【0106】
イソシアネート系架橋剤としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート、例えば、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート、例えば、それらイソシアネートの変性物(具体的には、トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物など)などが挙げられる。
【0107】
架橋剤としては、好ましくは、イソシアネートの変性物が挙げられる。
架橋剤の配合割合は、アクリル系ポリマー100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは、5質量部以上であり、また、例えば、20質量部以下、好ましくは、15質量部以下である。これにより、粘接着成分を調製する。
【0108】
そして、後述するように、粘接着層は、基材の上に粘接着成分を塗布し、乾燥させることにより、所定の厚みで形成される。
粘接着層の厚みは、例えば、1μm以上、好ましくは、5μm以上、より好ましくは、10μm以上であり、また、例えば、1000μm以下、好ましくは、500μm以下、より好ましくは、100μm以下である。
【0109】
硬化剤は、粘接着層と接触して反応することにより粘接着層を硬化させることができ、硬化剤層(シート)としてもよく、その場合、面方向(厚み方向に直交する方向)に沿って延び、平坦な表面と裏面とを有する略平板形状を有する。
硬化剤層は、硬化成分から、層状に形成され、硬化成分は、硬化剤を含有する。
【0110】
硬化剤としては、2液型接着剤の硬化剤であれば特に制限されず、粘接着成分がエポキシ樹脂を含有する場合は、例えば、イミダゾール化合物、アミン化合物、アミド化合物などのエポキシ樹脂硬化剤が挙げられる。
【0111】
イミダゾール化合物としては、例えば、メチルイミダゾール、2‐エチル‐4‐メチルイミダゾール、1‐イソブチル‐2‐メチルイミダゾール、1‐ベンジル‐2‐メチルイミダゾール、2‐エチル‐4‐メチルイミダゾール、エチルイミダゾール、イソプロピルイミダゾール、2,4‐ジメチルイミダゾール、フェニルイミダゾール、ウンデシルイミダゾール、ヘプタデシルイミダゾール、2‐フェニル‐4‐メチルイミダゾール、2‐フェニル‐4,5‐ジヒドロキシメチルイミダゾール、2‐フェニル‐4‐メチル‐5‐ヒドロキシメチルイミダゾールなどが挙げられ、好ましくは、1‐イソブチル‐2‐メチルイミダゾール、1‐ベンジル‐2‐メチルイミダゾール、2‐エチル‐4‐メチルイミダゾール、より好ましくは、1‐イソブチル‐2‐メチルイミダゾール、1‐ベンジル‐2‐メチルイミダゾール、さらに好ましくは、1‐イソブチル‐2‐メチルイミダゾールが挙げられる。
【0112】
アミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、それらのアミンアダクト、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホンが挙げられる。
【0113】
アミド化合物としては、例えば、ジシアンジアミド、ポリアミドなどが挙げられ、好ましくは、ジシアンジアミドが挙げられる。
硬化剤としては、好ましくは、イミダゾール化合物が挙げられる。
硬化剤は、単独で用いることができ、2種以上を併用することもできる。
【0114】
硬化剤の配合割合は、硬化成分に対して、例えば、10質量%以上、好ましくは、30質量%以上、より好ましくは、50質量%以上、さらに好ましくは、80質量%以上、とりわけ好ましくは、90質量%以上であり、また、例えば、100質量%以下である。硬化剤の配合割合が、上記の下限以上であれば、粘接着層は、接着性に優れる。
【0115】
好ましくは、硬化成分は、硬化剤のみからなり、すなわち、硬化剤の割合が、硬化成分に対して100質量%である。
硬化成分には、必要により、硬化促進剤を配合することができる。
【0116】
硬化促進剤としては、例えば、3‐(3,4‐ジクロロフェニル)‐1,1‐ジメチルウレア(DCMU)、N’‐フェニル‐N,N‐ジメチル尿素、1、1’‐(メチル‐m‐フェニレン)ビス(3,3’‐ジメチル尿素)などの尿素化合物、例えば、トリエチレンジアミン、トリ‐2,4,6‐ジメチルアミノメチルフェノールなどの3級アミン化合物、例えば、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラ‐n‐ブチルホスホニウム‐o,o‐ジエチルホスホロジチオエートなどのリン化合物、例えば、4級アンモニウム塩化合物、例えば、有機金属塩化合物などが挙げられ、好ましくは、尿素化合物、より好ましくは、3‐(3,4‐ジクロロフェニル)‐1,1‐ジメチルウレアが挙げられる。
硬化促進剤は、単独で用いることができ、2種以上を併用することもできる。
【0117】
硬化促進剤の配合割合は、硬化成分に対して、例えば、10質量%以上、好ましくは、15質量%以上、より好ましくは、25質量%以上であり、また、例えば、40質量%以下である。硬化促進剤の配合割合は、硬化剤100質量部に対して、10質量部以上、好ましくは、25質量部以上であり、また、例えば、60質量部以下、好ましくは、50質量部以下である。
【0118】
硬化成分を調製するには、硬化剤と、必要により、硬化促進剤とを配合する。
硬化剤が固形状であれば、必要により、溶媒で硬化剤を溶解して、ワニスを調製する。
溶媒としては、硬化成分を溶解できるものであればよく、例えば、上記した溶媒が挙げられる。
ワニスにおける硬化成分の濃度は、例えば、10質量%以上、好ましくは、20質量%以上であり、例えば、90質量%以下、好ましくは、50質量%以下である。
これにより、硬化成分を調製する。
【0119】
そして、後述するように、硬化剤は、粘接着層または基材の上に硬化成分を塗布し、乾燥させることにより、所定の厚みで形成される。
硬化剤を塗布する際の厚みは、例えば、1μm以上、好ましくは、5μm以上、より好ましくは、10μm以上であり、また、例えば、1000μm以下、好ましくは、800μm以下、より好ましくは、500μm以下である。
【0120】
そして、粘接着層は、粘接着層がFBGセンサを保持する樹脂部と接触し、硬化剤が粘接着層と接触するように、被対象物とFBGセンサおよび樹脂部との間に介在される。
【0121】
粘接着層において、粘接着成分は、硬化前に感圧接着性を有する。
なお、硬化前の感圧接着性とは、粘接着成分が硬化成分と反応することにより、粘接着成分が完全硬化する前に、粘接着成分が感圧接着性を有することであり、具体的は、粘接着成分と硬化成分とを配合する前から、配合した後、粘接着成分が完全硬化するまでである。
すなわち、粘接着成分を含有する粘接着層は、感圧接着性を有する。
【0122】
具体的には、アルミニウム板に対する粘接着層の剥離接着力は、例えば、0.5N/20mm以上、好ましくは、1.0N/20mm以上、より好ましくは、2.0N/20mm以上、さらに好ましくは、3.0N/20mm以上、とりわけ好ましくは、3.5N/20mm以上であり、また、例えば、10N/20mm以下である。
【0123】
粘接着層のアルミニウム板に対する剥離接着力が、上記の下限以上であれば、粘接着層は、感圧接着性に優れ、FBGセンサと被対象物とを粘着して、位置決めすることができる。
なお、粘接着層の剥離接着力は、粘接着層をアルミニウム板に貼着した後、速度300mm/分で、粘接着層をアルミニウム板から90度剥離したときの、粘接着層の剥離接着力として求められる。
【0124】
このように、好ましくは、粘接着層が感圧接着性を有することにより、粘接着層の硬化前においては、粘接着層および第1の粘着剤層により、被対象物とFBGセンサとが粘着される。そのため、被対象物に対するFBGセンサの確実な位置決めが容易となる。
その後、粘接着層と硬化剤とが反応して、硬化する。
【0125】
反応温度は、例えば、常温である。
また、必要により、粘接着層と硬化剤とを加熱してもよく、加熱温度は、例えば、50℃以上、好ましくは、70℃以上であり、また、例えば、160℃以下、好ましくは、110℃以下である。
反応温度としては、好ましくは、常温である。常温は、粘接着層と硬化剤とを反応させるための上記した加熱(例えば、50℃以上の加熱)をしない温度であり、例えば、50℃未満、好ましくは、40℃以下であり、また、例えば、10℃以上、好ましくは、20℃以上である。
【0126】
反応温度が常温であれば、粘接着層と硬化剤とを反応させるための加熱を必要とせず、FBGセンサ10と被対象物とをより一層簡便に接着することができる。また、FBGセンサ10に加熱による損傷を与えることを防止することができる。
【0127】
反応時間は、例えば、15分以上、好ましくは、1時間以上、より好ましくは、12時間以上であり、また、例えば、96時間以下、好ましくは、48時間以下である。これにより、粘接着層が硬化する。好ましくは、粘接着層が常温で硬化する。
【0128】
硬化後の粘接着層の厚みは、例えば、1μm以上、好ましくは、5μm以上、より好ましくは、30μm以上であり、また、例えば、2000μm以下、好ましくは、1000μm以下、より好ましくは、500μm以下、さらに好ましくは、100μm以下である。
【0129】
この硬化後の粘接着層により、FBGセンサおよび樹脂部と被対象物とが接着される。
【0130】
〔第2の基材〕
第2の基材は、フィルムであることが好ましく、保護や加飾の役割を担う樹脂フィルムであることが好ましい。第2の基材としては、例えば、耐湿性フィルムや耐光性フィルム等の耐候性フィルム、意匠フィルム、装飾フィルムや防キズフィルム等の表面保護フィルム等であってもよい。屋外での使用の観点から耐候性フィルムであることが好ましい。
樹脂フィルムを構成する樹脂としては、例えば、ポリイミド、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、フッ化エチレンプロピレン共重合体(FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、またはポリフッ化ビニリデン(PVDF)等が挙げられ、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)が好ましい。
【0131】
〔第2の粘着剤層〕
第2の粘着剤層としては、特に制限なく使用できる。例えば、アクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルエーテル、酢酸ビニル/塩化ビニルコポリマー、変性ポリオレフィン、エポキシ系、フッ素系、天然ゴム、合成ゴム等のゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。適度な濡れ性、凝集性および接着性等の粘着特性を示し、耐候性や耐熱性等にも優れるという点からは、アクリル系粘着剤が好ましく用いられる。
【0132】
〔剥離シート〕
第1の粘着剤層および第2の粘着剤層を使用時まで保護する第1の剥離シートおよび第2の剥離シート(セパレータ)について説明する。
【0133】
第1の剥離シートおよび第2の剥離シートとしては、慣用の剥離紙などを使用でき、特に限定されないが、例えば、剥離処理層を有する基材、フッ素系ポリマーからなる低接着性基材、無極性ポリマーからなる低接着性基材などを用いることができる。
剥離処理層を有する基材としては、例えば、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン等の剥離処理剤により表面処理されたプラスチックフィルムや紙等が挙げられる。
フッ素系ポリマーからなる低接着性基材のフッ素系ポリマーとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン・フッ化ビニリデン共重合体等が挙げられる。
無極性ポリマーからなる低接着性基材の無極性ポリマーとしては、例えば、オレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)等が挙げられる。なお、剥離シートは公知乃至慣用の方法により形成することができる。また、剥離シートの厚さ等も特に制限されない。
【0134】
〔被対象物〕
FBGセンサが貼付される被対象物としては、FBGセンサによる測定の対象とすることのできるものであれば特に制限はなく、例えば、金属製品、木工製品、プラスチック製品、ガラス製品、建造物(内外壁面、床面、および天井面、道路、鉄道、橋梁等)、電子機器、運輸機器(例えば、自動車、二輪車および鉄道等の車両、並びに船舶等)等、様々な構造物が挙げられる。
【実施例】
【0135】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。
【0136】
〔粘接着層の作製〕
液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名「jER828」、三菱ケミカル製)69質量部と、固形状のビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名「jER1256」、三菱ケミカル製)30質量部と、固形状の特殊ノボラック型エポキシ樹脂(商品名「jER157S70」、三菱ケミカル製)1質量部を混合し、エポキシ樹脂濃度が65質量%になるようにメチルエチルケトンを加えて希釈し、ワニスを調製した。これを乾燥後の厚みが50μmになるように、剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名「ダイアホイルMRF#38」、三菱樹脂社製)の剥離処理面に塗工し、80℃で3分、加熱して乾燥させ、粘接着層を得た。その後、粘接着層を、別のポリエチレンテレフタレートフィルムに、粘接着層が2枚のポリエチレンテレフタレートフィルムに挟まれるように、接触させた。
【0137】
〔製造例1〕
粘着剤層(日東電工、ハイパージョイントH7008)を50mm×30mmのサイズにカットし、
図12(a)に示すように、中央部をカットして20mm×10mmの開口部を設け、第1の粘着剤層11a及び第1の粘着剤層11bを準備した。
第1の粘着剤層11bを
図11(a)及び
図12(a)に示すように、剥離フィルム30(三菱樹脂製ダイアホイルMRF#38)上に配置した。
【0138】
図11(b)及び
図12(b)に示すように、第1の粘着剤層11bの開口部内にFBGセンサ10が位置するように外径0.125mmのFBGセンサ10付き光ファイバを載置した。
更に、
図11(c)及び
図12(c)に示すように、第1の粘着剤層11b及び光ファイバ上に第1の粘着剤層11aを積層した。この際、第1の粘着剤層11aを第1の粘着剤層11bに押圧した。これによって、光ファイバと第1の粘着剤層11aと第1の粘着剤層11bとの間隙が埋められ、FBGセンサ10が第1の粘着剤層11a及び第1の粘着剤層11bの開口部内に配置された。
【0139】
次に、
図11(d)及び
図12(d)に示すように、エポキシ樹脂(三菱ケミカル、jER828)と硬化剤(三菱ケミカル、S-12)を質量比100:50で混合した常温硬化する樹脂を開口部に充填し、常温で静置し、硬化させ、樹脂部12を形成した。
第1の基材20としてPET基材(東レ株式会社製、ルミラーS-10#188)を、
図11(e)及び
図12(e)に示すように、第1の粘着剤層11a上に積層し積層体を作成した。
上記で作製した粘接着層を20mm×10mmにカットし粘接着層14を準備した。
図11(f)及び
図12(f)に示すように、積層体から剥離フィルム30を剥離し、粘接着層14を樹脂部12に接着し、センサパッケージを製造した。
【0140】
〔製造例2〕
図13(a)に示すように、外径0.9mmの被覆材13で被覆されたFBGセンサ10付き光ファイバ15を剥離フィルム30(三菱樹脂製ダイアホイルMRF#38)上に載置した。
粘着剤層(日東電工株式会社製、ハイパージョイントH7008)を50mm×15mmのサイズにカットし、
図13(b)に示すように、更に一部を20mm×5mmのサイズで切り取り、コの字型の形状の第1の粘着剤層11c及び第1の粘着剤層11dを準備した。
【0141】
図13(b)に示すように、コの字型の形状の第1の粘着剤層11c及び第1の粘着剤層11dにより被覆材13を挟むように設置した。この際、第1の粘着剤層11a及び第1の粘着剤層11bを剥離フィルム30に押圧した。これによって、被覆材13と第1の粘着剤層11cと第1の粘着剤層11dとの間隙が埋められ、第1の粘着剤層11c及び第1の粘着剤層11dにより形成された開口部内にFBGセンサ10が配置された。
【0142】
次に、
図13(c)に示すように、エポキシ樹脂(三菱ケミカル、jER828)と硬化剤(三菱ケミカル、S-12)を質量比100:50で混合した常温硬化する樹脂を開口部に充填し、常温で静置し、硬化させ樹脂部12を形成した。
【0143】
次に、製造例1と同様に第1の基材20としてPET基材(東レ株式会社製、ルミラーS-10#188)を第1の粘着剤層11a上に積層して積層体を作成し、積層体から剥離フィルム30を剥離し、20mm×10mmにカットした粘接着層14を樹脂部12に接着し、センサパッケージを製造した。
【0144】
〔製造例3〕
外径が0.155mmの被覆材で被覆されたFBGセンサ付き光ファイバ(光ファイバを含む被覆材の外径が0.155mm)に変更した以外は製造例2と同様にしてセンサパッケージを製造した。
【0145】
〔製造例4〕
外径が1mmの被覆材で被覆されたFBGセンサ付き光ファイバ(光ファイバを含む被覆材の外径が1mm)に変更した以外は製造例2と同様にしてセンサパッケージを製造した。
【産業上の利用可能性】
【0146】
本発明のセンサパッケージは、FBGセンサの感度を大きく低下させることなく、簡便に取り付けと位置決めが可能であり、作業性に優れる。また、耐久性に優れ屋外での利用に適用可能である。
【0147】
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
【0148】
本出願は、2019年9月17日出願の日本特許出願(特願2019-168780)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
【符号の説明】
【0149】
100、200、300、400、500 センサパッケージ
10 FBGセンサ
11、11a、11b、11c、11d 第1の粘着剤層
12 樹脂部
13 被覆材
14 粘接着層
15 光ファイバ
16 第2の粘着剤層
17 第2の基材
18 第1の剥離シート
19 第2の剥離シート
20 第1の基材
30 剥離フィルム