IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コンティネンタル・ライフェン・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツングの特許一覧 ▶ コルドサ テクニク テクスティル ア.シェ.の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】水性浸漬組成物
(51)【国際特許分類】
   C09D 115/00 20060101AFI20240514BHJP
   C08G 18/80 20060101ALI20240514BHJP
   C08G 18/69 20060101ALI20240514BHJP
   C08G 18/62 20060101ALI20240514BHJP
   C08G 18/58 20060101ALI20240514BHJP
   C08G 18/08 20060101ALI20240514BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20240514BHJP
   C09D 7/65 20180101ALI20240514BHJP
   C09D 109/10 20060101ALI20240514BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20240514BHJP
   C09D 107/02 20060101ALI20240514BHJP
   D06M 15/693 20060101ALI20240514BHJP
   D06M 13/395 20060101ALI20240514BHJP
   D06M 13/02 20060101ALI20240514BHJP
   D06M 13/11 20060101ALI20240514BHJP
   D06M 15/263 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
C09D115/00
C08G18/80
C08G18/69
C08G18/62 016
C08G18/58
C08G18/08 038
C09D7/63
C09D7/65
C09D109/10
C09D7/61
C09D107/02
D06M15/693
D06M13/395
D06M13/02
D06M13/11
D06M15/263
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021551889
(86)(22)【出願日】2020-02-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-20
(86)【国際出願番号】 EP2020055329
(87)【国際公開番号】W WO2020178191
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2022-09-14
(31)【優先権主張番号】19160364.6
(32)【優先日】2019-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】510156561
【氏名又は名称】コンチネンタル・ライフェン・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【住所又は居所原語表記】Continental-Plaza 1,30175 Hannover,Germany
(73)【特許権者】
【識別番号】521389826
【氏名又は名称】コルドサ テクニク テクスティル ア.シェ.
【氏名又は名称原語表記】Kordsa Teknik Tekstil A.S.
【住所又は居所原語表記】Alikahya Fatih Mahallesi, Sanayici Caddesi, No 90, Izmit, 41310 Kocaeli, Turkey
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】コルネリア シュマウンツ-ヒアシュ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス クラーマー
(72)【発明者】
【氏名】ディアナ ピント
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル シューナック
(72)【発明者】
【氏名】アリ エルシン アヂャール
(72)【発明者】
【氏名】ムスタファ ヤシン シェン
(72)【発明者】
【氏名】ヌルチン ヂェヴァヒル
(72)【発明者】
【氏名】ユヂェル アイユルドゥズ
【審査官】福山 駿
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/125992(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/182229(WO,A1)
【文献】特開昭50-003184(JP,A)
【文献】特開昭54-069192(JP,A)
【文献】特開昭51-041003(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00-201/10
C08G 18/80
C08G 18/69
C08G 18/62
C08G 18/58
C08G 18/08
D06M 15/693
D06M 13/395
D06M 13/02
D06M 13/11
D06M 15/263
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
4乾燥重量%~50乾燥重量%の少なくとも1つのゴムラテックスと、
0.1乾燥重量%~10乾燥重量%の少なくとも1つのブロックイソシアネートと、
0.3乾燥重量%~30乾燥重量%の少なくとも1つのワックスと、
0乾燥重量%~6乾燥重量%の少なくとも1つのエポキシ基含有化合物と、
0乾燥重量%~15乾燥重量%の、カルボン酸官能基を有する少なくとも1つのポリマーと
を含む、織物補強材のコーティングのための水性浸漬組成物であって、
前記乾燥重量%での量は、前記水性浸漬組成物の総重量をベースとし、
ブロックイソシアネート、エポキシ基含有化合物およびカルボン酸官能基を有するポリマーの総和に対するゴムラテックスの重量比は、少なくとも2であり、
レゾルシノール、レゾルシノール予備縮合物、ホルムアルデヒドおよびホルムアルデヒド放出物質のそれぞれの最大量が0.1重量%である、水性浸漬組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1つのゴムラテックスが、天然ゴムラテックス、スチレン-ブタジエンゴムラテックス、エチレン-プロピレン-ジエンゴムラテックス、ブチルゴムラテックス、スチレン-ブタジエン-ビニルピリジンゴムラテックス、ニトリルブタジエンゴムラテックス、クロロプレンゴムラテックス、イソプレンゴムラテックス、ブタジエンゴムラテックス、官能化ゴムラテックスおよびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1記載の浸漬組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1つのブロックイソシアネートが、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、トルエン2,4-または2,6-ジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、p-キシレンジイソシアネート、2,4’-または4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタン、フェニル1,3-または1,4-ジイソシアネートを含む芳香族ジイソシアネート、およびそれらの組合せからなる群から選択される単位を含む、請求項1または2記載の浸漬組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1つのワックスが、パラフィンワックス、微結晶ワックス、合成ワックスおよびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1から3までのいずれか1項記載の浸漬組成物。
【請求項5】
4.5乾燥重量%~25乾燥重量%の前記少なくとも1つのゴムラテックスと、
0.2乾燥重量%~4.5乾燥重量%の前記少なくとも1つのブロックイソシアネートと、
0.3乾燥重量%~5乾燥重量%の前記少なくとも1つのワックスと、
0.2乾燥重量%~4乾燥重量%の、グリシジル系グリセロール、ソルビトール系エポキシ化合物、フェノール系ノボラックエポキシ化合物、クレゾール系ノボラックエポキシ化合物およびそれらの組合せからなる群から選択される前記少なくとも1つのエポキシ基含有化合物と、
0.1乾燥重量%~2乾燥重量%の、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸のエステル、メタクリル酸のエステル、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、マレイン酸およびそれらの組合せから選択されるモノマーをベースとする、前記カルボン酸官能基を有する少なくとも1つのポリマーと
を含み、
乾燥重量%での量が、前記水性浸漬組成物の総重量をベースとする、請求項1から4までのいずれか1項記載の浸漬組成物。
【請求項6】
エポキシ基含有化合物を含有しない、請求項1から4までのいずれか1項記載の浸漬組成物。
【請求項7】
塩基をさらに含む、請求項1から6までのいずれか1項記載の浸漬組成物。
【請求項8】
前記塩基は、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウムおよびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項7記載の浸漬組成物。
【請求項9】
着色剤、イソシアネートの脱ブロック化または三量化反応の触媒、イソシアネートとエポキシ基含有および/もしくはヒドロキシル基含有化合物またはカルボン酸官能基を有するポリマーとの間の反応の触媒、カルボン酸官能基を有するポリマーとエポキシ基含有および/またはヒドロキシル基含有化合物との間の反応の触媒、ならびにそれらの組合せ、ならびに/またはシリカ、ケイ酸塩、カーボンブラック、グラファイト、グラフェン、フラーレン、カーボンナノチューブ、アルカリ土類炭酸塩、アルカリ土類酸化物、酸化亜鉛、二酸化チタン、酸化アルミニウム、アルカリ土類水酸化物、水酸化アルミニウムおよびそれらの組合せからなる群から選択される充填剤をさらに含む、請求項1からまでのいずれか1項記載の浸漬組成物。
【請求項10】
6乾燥重量%~30乾燥重量%の固形分を有する、請求項1からまでのいずれか1項記載の浸漬組成物。
【請求項11】
7乾燥重量%~27乾燥重量%の固形分を有する、請求項10記載の浸漬組成物。
【請求項12】
ブロックイソシアネート、エポキシ基含有化合物およびカルボン酸官能基を有するポリマーの総和に対するゴムラテックスの重量比が、少なくとも3である、請求項1から11までのいずれか1項記載の浸漬組成物。
【請求項13】
織物補強材のコーティングのための、請求項1から12までのいずれか1項記載の水性浸漬組成物の使用。
【請求項14】
前記織物補強材は、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ガラス、炭素、セルロース、ポリカーボネート、ポリケトンおよびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項13記載の水性浸漬組成物の使用。
【請求項15】
織物補強材をコーティングする方法であって、
織物補強材を、請求項1から12までのいずれか1項記載の浸漬組成物で処理する工程と、
前記組成物を熱処理する工程と
を含む、方法。
【請求項16】
織物補強材をコーティングする方法であって、
織物補強材を、請求項1から12までのいずれか1項記載の浸漬組成物で、浸漬によって処理する工程と、
前記組成物を、60~260℃の範囲の温度で熱処理する工程と
を含む、方法。
【請求項17】
請求項15または16記載の方法によって得られる、コーティングされた織物補強材。
【請求項18】
(i)少なくとも1つのエラストマー化合物と、(ii)請求項17記載のコーティングされた織物補強材、または請求項1から12までのいずれか1項記載の熱処理された浸漬組成物でコーティングされた織物補強材とを含む、エラストマー物品。
【請求項19】
タイヤ、ベルト、コンベヤーベルト、伝動ベルト、駆動ベルト、ホース、ストリップベルト、搬送ベルト、またはエアベローズである、請求項18記載のエラストマー物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、4乾燥重量%~50乾燥重量%の少なくとも1つのゴムラテックスと、0.1乾燥重量%~10乾燥重量%の少なくとも1つのブロックイソシアネートと、0.3乾燥重量%~30乾燥重量%の少なくとも1つのワックスと、0乾燥重量%~6乾燥重量%の少なくとも1つのエポキシ基含有化合物と、0乾燥重量%~15乾燥重量%の、カルボン酸官能基を有する少なくとも1つのポリマーとを含む、織物補強材のコーティングのための水性浸漬組成物であって、乾燥重量%での量が水性浸漬組成物の総重量をベースとし、ブロックイソシアネート、エポキシ基含有化合物およびカルボン酸官能基を有するポリマーの総和に対するゴムラテックスの重量比が少なくとも2であり、組成物がレゾルシノール、レゾルシノール予備縮合物、ホルムアルデヒドおよびホルムアルデヒド放出物質を実質的に含まない、水性浸漬組成物に関する。本発明は、かかる組成物の使用、この組成物で織物補強材をコーティングする方法、コーティングされた織物補強材、およびコーティングされた織物補強材を含むそれぞれのエラストマー物品にさらに関する。
【0002】
自動車タイヤの様々な構成部品が補強のために織物強化部材(以下、織物補強材とも称する)を含むことが知られている。これらの織物強化部材は概して、マルチフィラメント織物コード、または同様にマルチフィラメント糸をベースとするテープのようなフラット構造をベースとする。ベルトおよびホース等の他の工業用エラストマー物品も、かかる強化部材を含み得る。タイヤまたは他の工業用エラストマー物品では、強化部材は通例、エラストマー化合物またはゴム混合物と共に設けられる。問題の1つは、強化部材およびエラストマー化合物が通常は異なる強度を有することである。したがって、特に自動車タイヤの運転操作のような持続的な機械的および動的応力の下では、強化部材と周囲のエラストマー化合物との間の適切な結合が必要とされる。
【0003】
適切な結合のためのゴム引きの前の強化部材の活性化(結合の活性化)は、従来技術で知られている。これは通例、その後の強化部材とエラストマー化合物との間の結合を促進する浸漬組成物で強化部材を処理することによって達成される。かかる浸漬組成物は、様々な要件を満たす必要がある。最も重要なことには、浸漬組成物は、強化部材とエラストマー化合物との間の良好な結合を可能にするように強化部材の活性化をもたらす必要がある。浸漬組成物で処理された強化部材は、処理された強化部材を即座にさらに加工する必要がないよう、良好な貯蔵安定性(以下、貯蔵寿命安定性とも称する)を示すことも望ましい。最後に、浸漬組成物は、取り扱いやすく、良好に加工され得ることが望ましい。
【0004】
従来、RFL(レゾルシノール-ホルムアルデヒドラテックス)を含有する浸漬組成物がこの目的で使用されており、強化部材は、エラストマー化合物への結合の前にかかる組成物で処理される。加えて、ブロックイソシアネートおよび/またはエポキシ化合物が、強化部材を予め活性化するか、またはさらに活性化するためにRFL浸漬液と組み合わせて使用されることが知られている。国際公開第2005/026239号には、例えばポリイソシアネートおよびRFLの使用が開示される。
【0005】
しかしながら、レゾルシノールおよびホルムアルデヒドは、環境および健康に対して有害であるとして分類されるため、その代替品を提供する取り組みが行われている。例えば国際公開第2015/188939号、国際公開第2014/175844号および国際公開第2014/091376号に記載のようにRFを含まない浸漬組成物が提案されている。これらの組成物は、アクリルポリマー樹脂、エポキシ樹脂、ブロックポリイソシアネート、ならびにスチレン-ブタジエン(SBR)ラテックスおよび/またはビニル-ピリジン(VP)ラテックスをベースとし、これらの組成物で処理されたコードは、ゴム引き混合物に対して良好な結合を示す。しかしながら、これらの特許出願では、記載の組成物で処理された織物補強材の貯蔵安定性に関しては言及されていない。別のRFを含まない浸漬組成物が中国特許出願公開第106084362号明細書に記載されている。この組成物は、ブロックイソシアネート、エポキシ化合物、ゴムラテックス、ゴム変性剤および水からなる。しかしながら、様々な成分について提案される重量比は、この特許出願から完全には明らかではない。さらに、この特許出願でも、記載の組成物で処理された織物補強材の貯蔵安定性に関しては言及されていない。
【0006】
上記の点を考慮すると、本発明の課題は、強化部材とエラストマー化合物との間のさらに改善された結合をもたらすと同時に、取り扱いやすく、処理された織物補強材を長時間にわたって貯蔵することを可能にする、織物補強材のコーティングのためのRFを含まない浸漬組成物を提供することである。
【0007】
この技術的問題は、特許請求の範囲において特徴付けられる実施形態によって解決される。
【0008】
特に、本発明は、4重量(乾燥重量)%~50重量(乾燥重量)%の少なくとも1つのゴムラテックスと、0.1重量(乾燥重量)%~10重量(乾燥重量)%の少なくとも1つのブロックイソシアネートと、0.3重量(乾燥重量)%~30重量(乾燥重量)%の少なくとも1つのワックスと、0重量(乾燥重量)%~6重量(乾燥重量)%の少なくとも1つのエポキシ基含有化合物と、0重量(乾燥重量)%~15重量(乾燥重量)%の、カルボン酸官能基を有する少なくとも1つのポリマーとを含む、織物補強材のコーティングのための水性浸漬組成物であって、重量%での量が水性浸漬組成物の総重量をベースとし、ブロックイソシアネート、エポキシ基含有化合物およびカルボン酸官能基を有するポリマーの総和に対するゴムラテックスの重量比が少なくとも2であり、組成物がレゾルシノール、レゾルシノール予備縮合物、ホルムアルデヒドおよびホルムアルデヒド放出物質を実質的に含まない、水性浸漬組成物を提供する。
【0009】
本明細書で使用される「重量(乾燥重量)%」という表現が「乾燥重量%」に相当し、それと同じ意味を有することが留意される。この専門用語は、各成分の乾燥重量(例えば成分の水分散液の重量ではない)が意図されることを明確にするために使用される。重量%での量が水性浸漬組成物の総重量をベースとすることが本明細書において述べられる場合、同様に、乾燥重量%での量が水性浸漬組成物の総重量をベースとすることが意図される。本発明は、織物補強材のコーティングに使用することができるRFを含まない水性浸漬組成物を提供する。特許請求される水性浸漬組成物の成分の特定の組合せは、織物補強材が、従来技術の浸漬組成物と比較してさらに改善された織物補強材とエラストマー化合物との間の結合をもたらす活性化を受ける多数の化学反応を可能にする。加えて、驚くべきことに、特許請求される組成物で処理された織物補強材の貯蔵安定性が、従来技術のRFを含まない浸漬組成物と比較して改善されることが見出された。さらに、本発明による水性浸漬組成物は、取り扱いやすく、幅広い織物補強材に使用することができる。
【0010】
本発明によると、ゴムラテックスは、任意の好適なゴムラテックスであり得る。例えば、少なくとも1つのゴムラテックスは、天然ゴムラテックス(NR)、スチレン-ブタジエンゴムラテックス(SBR)、エチレン-プロピレン-ジエンゴムラテックス(EPDM)、ブチルゴムラテックス(IIR)、スチレン-ブタジエン-ビニルピリジンゴムラテックス(VP)、ニトリルブタジエンゴムラテックス(NBR)、クロロプレンゴムラテックス(CR)、イソプレンゴムラテックス(IR)、ブタジエンゴムラテックス(BR)、エチレン-酢酸ビニルゴムラテックス(EVM)、水素化ニトリル-ブタジエンゴムラテックス(HNBR)、ポリアクリレートゴムラテックス(ACM)、クロロポリエチレンゴムラテックス(CM)、クロロスルホン化ポリエチレンゴムラテックス(CSM)、エチレン-プロピレンゴムラテックス(EPM)、フッ素ゴムラテックス(FKM)、エピクロルヒドリンゴムラテックス(CO)、エピクロルヒドリンコポリマーゴムラテックス(ECO)、プロピレンオキシドコポリマーゴムラテックス(GPO)、ブロモブチルゴムラテックス(BIIR)、クロロブチルゴムラテックス(CIIR)、シリコーンゴムラテックス、官能化ゴムラテックスまたはそれらの組合せから選択することができる。好ましい実施形態によると、少なくとも1つのゴムラテックスは、天然ゴムラテックス(NR)、スチレン-ブタジエンゴムラテックス(SBR)、エチレン-プロピレン-ジエンゴムラテックス(EPDM)、ブチルゴムラテックス(IIR)、スチレン-ブタジエン-ビニルピリジンゴムラテックス(VP)、ニトリルブタジエンゴムラテックス(NBR)、クロロプレンゴムラテックス(CR)、イソプレンゴムラテックス(IR)、ブタジエンゴムラテックス(BR)、官能化ゴムラテックスおよびそれらの組合せからなる群から選択される。官能化は、カルボキシル化を除く任意の好適な官能化であり得る。本発明の特に好ましい実施形態によると、ゴムラテックスは、スチレン-ブタジエン-ビニルピリジンゴムラテックス(VP)、スチレン-ブタジエンゴムラテックス(SBR)およびそれらの組合せから選択される。
【0011】
スチレン-ブタジエン-ビニルピリジンゴムラテックス(VP)は、任意の好適なスチレン-ブタジエン-ビニルピリジンゴムラテックスであり得る。スチレン-ブタジエン-ビニルピリジンゴムラテックスの好ましい例は、10~20%のビニルピリジン、10~20%のスチレンおよび60~80%のブタジエンモノマーを含むラテックスである。好ましくは、ブタジエン成分は、1,3-ブタジエンおよび2-メチル-1,3-ブタジエンからなる群から選択される。スチレン成分は、好ましくはスチレン、α-メチルスチレン、2-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メチルスチレン、2,4-ジイソプロピルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、4-t-ブチルスチレンおよびヒドロキシメチルスチレンからなる群から選択される。ビニルピリジンモノマーは、好ましくは2-ビニルピリジン、3-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、2-メチル-5-ビニルピリジンおよび5-エチル-2-ビニルピリジンからなる群から選択される。
【0012】
本発明の特に好ましい実施形態によると、特許請求される水性浸漬組成物のゴムラテックスは、様々なラテックスの混合物である。例えば、ゴムラテックスは、スチレン-ブタジエン-ビニルピリジンゴムラテックスおよびスチレン-ブタジエンラテックスを含み得る。特にスチレン-ブタジエンラテックスを更なるラテックスとして用いることで、特性を失うことなく組成物の最適化が可能である。
【0013】
特許請求される水性浸漬組成物は、水性浸漬組成物の総重量をベースとして4重量(乾燥重量)%~50重量(乾燥重量)%、好ましくは4.5重量(乾燥重量)%~25重量(乾燥重量)%、特に好ましくは5重量(乾燥重量)%~20重量(乾燥重量)%の少なくとも1つのゴムラテックスを含む。水性浸漬組成物の総重量には水性組成物の水の重量も含まれる。
【0014】
特許請求される水性浸漬組成物は、少なくとも1つのブロックイソシアネートをさらに含む。少なくとも1つのブロックイソシアネートは、任意の好適なブロックイソシアネートであり得る。本発明によると、ブロックイソシアネートは、イソシアネート基をブロック剤によって、または高級同族体への二量化もしくは会合(「自己ブロッキング」)によってブロックしたイソシアネート化合物である。好ましくは、少なくとも1つのブロックイソシアネートは、熱的に解離するブロックイソシアネート基を含有するポリイソシアネートである。本発明の好ましい実施形態によると、イソシアネート基は、フェノール、チオフェノール、クロロフェノール、クレゾール、レゾルシノール、p-sec-ブチルフェノール、p-tert-ブチルフェノール、p-sec-アミルフェノール、p-オクチルフェノール、p-ノニルフェノール、tert-ブチルアルコール、ジフェニルアミン、ジメチルアニリン、フタルイミド、δ-バレロラクタム、ε-カプロラクタム、マロン酸ジアルキル、アセチルアセトン、アセト酢酸アルキル、アセトキシム、メチルエチルケトキシム、3,5-ジメチルピラゾール、シクロヘキサノンオキシム、3-ヒドロキシピリジン、酸性亜硫酸ナトリウムおよびそれらの組合せからなる群から選択されるブロック剤でブロックされる。
【0015】
本発明の好ましい実施形態によると、少なくとも1つのブロックイソシアネートは、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、トルエン2,4-または2,6-ジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、p-キシレンジイソシアネート、2,4’-または4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタン、フェニル1,3-または1,4-ジイソシアネートを含む芳香族ジイソシアネート、およびそれらの組合せからなる群から選択される単位を含む。
【0016】
特許請求される水性浸漬組成物は、水性浸漬組成物の総重量をベースとして0.1重量(乾燥重量)%~10重量(乾燥重量)%、好ましくは0.2重量(乾燥重量)%~4.5重量(乾燥重量)%、特に好ましくは0.5重量(乾燥重量)%~3.5重量(乾燥重量)%の少なくとも1つのブロックイソシアネートを含む。水性浸漬組成物の総重量には水性組成物の水の重量も含まれる。
【0017】
特許請求される水性浸漬組成物は、少なくとも1つのワックスをさらに含む。少なくとも1つのワックスは、当業者に既知の任意の好適なワックスであり得る。本発明の好ましい実施形態によると、ワックスはパラフィンワックス、微結晶ワックス、合成ワックス、ミツバチ等の天然源に由来するワックス、およびそれらの組合せからなる群から選択される。より具体的には、ワックスは、炭素鎖長がC15~C100の主画分(すなわち中央80%の画分)を有する分岐および/または非分岐炭化水素を含み得る。
【0018】
特許請求される水性浸漬組成物は、水性浸漬組成物の総重量をベースとして0.3重量(乾燥重量)%~30重量(乾燥重量)%、好ましくは0.5重量(乾燥重量)%~15重量(乾燥重量)%、特に好ましくは1~5重量(乾燥重量)%の少なくとも1つのワックスを含む。水性浸漬組成物の総重量には水性組成物の水の重量も含まれる。
【0019】
本発明による水性浸漬組成物は、少なくとも1つのエポキシ基含有化合物をさらに含み得る。少なくとも1つのエポキシ基含有化合物は、任意の好適なエポキシ基含有化合物、例えばグリシジルエーテルエポキシ樹脂、ポリグリセロールグリシジルエーテルエポキシ樹脂等のグリシジル系グリセロール、ソルビトールエポキシ樹脂等のソルビトール系エポキシ化合物、ビスフェノールAエポキシ樹脂等のフェノール系ノボラックエポキシ化合物、m-クレゾールエポキシ樹脂等のクレゾール系ノボラックエポキシ化合物、およびそれらの組合せであり得る。好ましい実施形態によると、少なくとも1つのエポキシ基含有化合物は、グリシジル系グリセロール、ソルビトール系エポキシ化合物、フェノール系ノボラックエポキシ化合物、クレゾール系ノボラックエポキシ化合物およびそれらの組合せからなる群から選択される。特に好適な例は、グリセロール系ポリグリシジルエーテル、例えば、特に独国特許第69722388号明細書に記載されているDenacol(商標) EX-313である。
【0020】
特許請求される水性浸漬組成物は、少なくとも1つのエポキシ基含有化合物を0重量(乾燥重量)%~6重量(乾燥重量)%の量で含み得る。第1の好ましい実施形態によると、組成物はエポキシ基含有化合物を含有しない。このことは、浸漬組成物の製造方法をより簡単にし、コストの観点からも有利である。異なる好ましい実施形態によると、特許請求される組成物は、少なくとも1つのエポキシ基含有化合物を含有する。この場合、エポキシ基含有化合物は、水性浸漬組成物の総重量をベースとして0重量(乾燥重量)%超かつ最大で6重量(乾燥重量)%の量、好ましくは0.2重量(乾燥重量)%~4重量(乾燥重量)%の量、より好ましくは0.5重量(乾燥重量)%~2.5重量(乾燥重量)%の量で組成物に含有される。水性浸漬組成物の総重量には水性組成物の水の重量も含まれる。かかる量のエポキシ基含有化合物の添加は、エラストマー化合物への織物補強材の接着をさらに改善する。
【0021】
本発明による水性浸漬組成物は、カルボン酸官能基を有する少なくとも1つのポリマーをさらに含み得る。このカルボン酸官能基を有するポリマーは、エラストマー化合物への織物補強材の結合をさらに改善することができる。カルボン酸官能基を有するポリマーは、カルボン酸官能基を有する任意の好適なポリマーであり得るが、好ましくは50~100mol%の、カルボン酸基を含有するモノマーを含有する。好ましい実施形態によると、カルボン酸官能基を有するポリマーは、70~100mol%、特に好ましくは90~100mol%の、カルボン酸基を含有するモノマーを含有する。本発明の特に好ましい実施形態では、カルボン酸官能基を有するポリマーは、更なる官能基を除外することなく、カルボン酸基を含有するモノマーを100mol%の程度までベースとする。カルボン酸官能基を有するポリマーは、任意の好適な分子量を有し得る。好ましくは、カルボン酸官能基を有するポリマーは、1000~500000g/mol、好ましくは3000~100000g/molのGPCによる重量平均分子量Mwを有する。
【0022】
本発明の好ましい実施形態によると、カルボン酸官能基を有するポリマーは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸のエステル、メタクリル酸のエステル、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、マレイン酸およびそれらの組合せから選択されるモノマーをベースとする。特に好ましい実施形態では、カルボン酸官能基を有するポリマーは、アクリル樹脂である。
【0023】
加えて、カルボン酸官能基を有するポリマーとしてカルボキシル化ゴムラテックスを使用することも可能であり、「カルボキシル化」は、該ラテックスがカルボン酸基を官能基として有することを意味する。ゴムラテックスは、付加的なカルボン酸官能基を含む限りにおいて、上述のゴムラテックスのいずれかであり得る。言い換えると、上述のゴムラテックスの1つがカルボン酸官能基を含有するのであれば、これは上で規定されるゴムラテックスの1つではなく、本発明の意味の範囲内でカルボン酸官能基を有するポリマーとみなされる。例えば、エチレン-アクリル酸ゴムラテックス、カルボキシル化ニトリルゴムラテックス、カルボキシル化スチレン-ブタジエン-ビニルピリジンゴムラテックスおよび/またはカルボキシル化スチレン-ブタジエンラテックスを、カルボン酸官能基を有するポリマーとして使用することができる。カルボン酸官能基を有するポリマーがカルボキシル化ゴムラテックスである場合、ラテックスは、好ましくは1~15mol%のカルボン酸基を含有するモノマーを含有する。
【0024】
カルボン酸官能基を有するポリマーは、多価アルコールを架橋剤として含み得るが、好適なカルボン酸官能基を有するポリマーおよび多価アルコール架橋剤は、例えばBASF CorpからAcrodur 950 LおよびAcrodur DS 3530の商品名で入手可能である。
【0025】
特許請求される水性浸漬組成物は、カルボン酸官能基を有する少なくとも1つのポリマーを0重量(乾燥重量)%~15重量(乾燥重量)%の量で含み得る。好ましい実施形態によると、水性浸漬組成物は、カルボン酸官能基を有する少なくとも1つのポリマーを、水性浸漬組成物の総重量をベースとして0.1重量(乾燥重量)%~2重量(乾燥重量)%の量、より好ましくは0.2~0.4重量(乾燥重量)%の量で含む。水性浸漬組成物の総重量には水性組成物の水の重量も含まれる。
【0026】
本発明の好ましい実施形態によると、特許請求される浸漬組成物は、4.5重量(乾燥重量)%~25重量(乾燥重量)%の少なくとも1つのゴムラテックスと、0.2重量(乾燥重量)%~4.5重量(乾燥重量)%の少なくとも1つのブロックイソシアネートと、0.3重量(乾燥重量)%~5重量(乾燥重量)%の少なくとも1つのワックスと、0重量(乾燥重量)%~4重量(乾燥重量)%の少なくとも1つのエポキシ基含有化合物と、0重量(乾燥重量)%~2重量(乾燥重量)%の、カルボン酸官能基を有する少なくとも1つのポリマーとを含み、重量%での量は、水性浸漬組成物の総重量をベースとする。特に好ましい実施形態によると、特許請求される浸漬組成物は、4.5重量(乾燥重量)%~25重量(乾燥重量)%の少なくとも1つのゴムラテックスと、0.2重量(乾燥重量)%~4.5重量(乾燥重量)%の少なくとも1つのブロックイソシアネートと、0.3重量(乾燥重量)%~5重量(乾燥重量)%の少なくとも1つのワックスと、0.2重量(乾燥重量)%~4重量(乾燥重量)%の少なくとも1つのエポキシ基含有化合物と、0.1重量(乾燥重量)%~2重量(乾燥重量)%の、カルボン酸官能基を有する少なくとも1つのポリマーとを含み、重量%での量は、水性浸漬組成物の総重量をベースとする。より具体的には、特許請求される浸漬組成物は、4.5重量(乾燥重量)%~25重量(乾燥重量)%の少なくとも1つのゴムラテックスと、0.2重量(乾燥重量)%~4.5重量(乾燥重量)%の少なくとも1つのブロックイソシアネートと、0.3重量(乾燥重量)%~5重量(乾燥重量)%の少なくとも1つのワックスと、0.2重量(乾燥重量)%~4重量(乾燥重量)%の、グリシジル系グリセロール、ソルビトール系エポキシ化合物、フェノール系ノボラックエポキシ化合物、クレゾール系ノボラックエポキシ化合物およびそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つのエポキシ基含有化合物と、0.1重量(乾燥重量)%~2重量(乾燥重量)%の、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸のエステル、メタクリル酸のエステル、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、マレイン酸およびそれらの組合せから選択されるモノマーをベースとする、カルボン酸官能基を有する少なくとも1つのポリマーとを含む組成物であり得るが、重量%での量は、水性浸漬組成物の総重量をベースとする。
【0027】
さらに特に好ましい実施形態によると、特許請求される浸漬組成物は、5重量(乾燥重量)%~20重量(乾燥重量)%の少なくとも1つのゴムラテックスと、0.5重量(乾燥重量)%~3.5重量(乾燥重量)%の少なくとも1つのブロックイソシアネートと、1重量(乾燥重量)%~5重量(乾燥重量)%の少なくとも1つのワックスと、0重量(乾燥重量)%~4重量(乾燥重量)%の少なくとも1つのエポキシ基含有化合物と、0重量(乾燥重量)%~2重量(乾燥重量)%の、カルボン酸官能基を有する少なくとも1つのポリマーとを含み、重量%での量は、水性浸漬組成物の総重量をベースとする。特に好ましい実施形態によると、特許請求される浸漬組成物は、5重量(乾燥重量)%~20重量(乾燥重量)%の少なくとも1つのゴムラテックスと、0.5重量(乾燥重量)%~3.5重量(乾燥重量)%の少なくとも1つのブロックイソシアネートと、1重量(乾燥重量)%~5重量(乾燥重量)%の少なくとも1つのワックスと、0.2重量(乾燥重量)%~4重量(乾燥重量)%の少なくとも1つのエポキシ基含有化合物と、0.1重量(乾燥重量)%~2重量(乾燥重量)%の、カルボン酸官能基を有する少なくとも1つのポリマーとを含み、重量%での量は、水性浸漬組成物の総重量をベースとする。より具体的には、特許請求される浸漬組成物は、5重量(乾燥重量)%~20重量(乾燥重量)%の少なくとも1つのゴムラテックスと、0.5重量(乾燥重量)%~3.5重量(乾燥重量)%の少なくとも1つのブロックイソシアネートと、1重量(乾燥重量)%~5重量(乾燥重量)%の少なくとも1つのワックスと、0.2重量(乾燥重量)%~4重量(乾燥重量)%の、グリシジル系グリセロール、ソルビトール系エポキシ化合物、フェノール系ノボラックエポキシ化合物、クレゾール系ノボラックエポキシ化合物およびそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つのエポキシ基含有化合物と、0.1重量(乾燥重量)%~2重量(乾燥重量)%の、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸のエステル、メタクリル酸のエステル、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、マレイン酸およびそれらの組合せから選択されるモノマーをベースとする、カルボン酸官能基を有する少なくとも1つのポリマーとを含む組成物であり得るが、重量%での量は、水性浸漬組成物の総重量をベースとする。
【0028】
本発明による浸漬組成物は、塩基をさらに含み得る。より具体的には、塩基は、浸漬組成物のpHを5~11の範囲、好ましくは7~10の範囲にするために添加することができる。少なくとも5のpHが任意の集塊の形成を有利に回避する。好ましくは、塩基は、水酸化アンモニウム(すなわちアンモニアの水溶液)、アルカリ水酸化物(特に水酸化ナトリウム)およびそれらの組合せからなる群から選択される。塩基は、好ましくは熱処理工程中に蒸発する揮発性塩基または蒸発する構成成分である。塩基の添加は、浸漬組成物の安定性にさらに寄与し得る。
【0029】
本発明による水性浸漬組成物は、更なる添加剤も含み得る。例えば、組成物は、ワックス、着色剤、イソシアネートの脱ブロック化または三量化反応の触媒、イソシアネートとエポキシ基含有および/もしくはヒドロキシル基含有化合物またはカルボン酸官能基を有するポリマーとの間の反応の触媒、カルボン酸官能基を有するポリマーとエポキシ基含有および/またはヒドロキシル基含有化合物との間の反応の触媒、ならびにそれらの組合せ等の添加剤を含み得る。着色剤は顔料および染料を含む。好適なイソシアネートの脱ブロック化または三量化反応の触媒ならびにイソシアネートとエポキシ基含有および/もしくはヒドロキシル基含有化合物またはカルボン酸官能基を有するポリマーとの間の反応の触媒は、当業者に既知であり、様々な文献、例えば(1)Blank, W. J., He, Z. A., Hessell, E. T. (1999): Catalysis of the Isocyanate-Hydroxyl Reaction by Non-Tin Catalysts. Progress in Organic Coatings, 35 (1-4), 19-29、(2)米国特許出願公開第2010/0151138号明細書、(3)Ward, B.D. et al. (2019): Aluminium-catalysed isocyanate trimerization, enhanced by exploiting a dynamic coordination sphere. Chem. Commun., 55, 7679-7682、(4)Guertler, C., Danielmeier, K. (2004): catalyst system for the reaction of carboxylic acids with aliphatic isocyanates. Tetrahedron Letters, 45, 2515-2521、(5)Libni, G., Nasar, A. S. (2017): Catalysis of Forward and Reverse Reactions of ε-Caprolactam-Blocked Polyisocyanate: Double Arrhenius Plots and Equilibrium Temperatures of a Thermally Reversible Reaction. Chemistry Select, 2, 9586-9594に記載されている。カルボン酸官能基を有するポリマーとエポキシ基含有および/またはヒドロキシル基含有化合物との間の反応の好適な触媒は、当業者に既知であり、様々な文献、例えば(1)Blank, W. J., He, Z.A., Picci, M. (2002): Catalysis of the epoxy-carboxyl reaction. Journal of Coatings Technology, 74, 33-41、(2)Matsumoto, K., Yanagi, R., Oe, Y.: Chapter 2: Recent Advances in the Synthesis of Carboxylic Acid Esters. In: Badea, G.-I., Radu, G. L. (Eds), Carboxylic Acid Key Role in Life Sciences, 2018に記載されている。
【0030】
組成物は充填剤も含み得る。任意の少なくとも1つの充填剤は、充填剤として使用されることが当該技術分野で知られている任意の好適な物質であり得る。好ましくは、本発明の組成物に使用される充填剤は、水分散性である。特に、充填剤の好適な例は、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、硫化物、カーボンブラック、グラファイト、グラフェン、フラーレン、カーボンナノチューブおよびそれらの組合せ等の水分散性の無機充填剤である。
【0031】
好適な酸化物としては、例えばシリカ、ケイ酸塩、酸化カルシウムおよび酸化マグネシウム等のアルカリ土類酸化物、酸化亜鉛、二酸化チタン、酸化アルミニウム、ならびにそれらの組合せが挙げられる。好ましい酸化物は、シリカ、ケイ酸塩、酸化アルミニウム(例えば市販のAerodisp W440、Evonik)、二酸化チタン(例えば市販のAerodisp W740X、Evonik)および酸化亜鉛である。好適なシリカとしては、例えば沈降シリカ、ヒュームドシリカ、分散シリカ、コロイドシリカ、官能化シリカおよびそれらの組合せが挙げられる。シリカは、任意の好適な比表面積を有し得る。好ましくは、使用されるシリカは、30~450m/g、より好ましくは120~410m/gのBET比表面積(ISO 9277:2010に従って決定される)を有する。好適な市販のシリカとしては、例えばAerosil 300(Evonik;300m/gの比表面積を有するヒュームドシリカ)、Aerodisp W7520(Evonik;200m/gの比表面積を有する親水性ヒュームドシリカの水分散液)、LevasilCT16APL(Nouryon;160m/gの比表面積を有するナトリウム安定化コロイドシリカ)、LevasilCT16PNL(Nouryon、160m/gの比表面積を有するアンモニア安定化コロイドシリカ)またはDispercoll S3030/1(Covestro、ナトリウム安定化非晶質シリカの水性アニオン性コロイド溶液、300m/gの比表面積)が挙げられる。好適なケイ酸塩としては、例えばアルカリケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、ポリマーケイ酸塩およびそれらの組合せが挙げられる。アルカリケイ酸塩は、好ましくはケイ酸ナトリウムである。
【0032】
好適な水酸化物としては、例えば酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等のアルカリ土類水酸化物、およびそれらの組合せが挙げられる。好適な炭酸塩としては、例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等のアルカリ土類炭酸塩、およびそれらの組合せが挙げられる。好適な硫酸塩としては、例えば硫酸バリウム等のアルカリ土類硫酸塩が挙げられる。好適な硫化物としては、例えば硫化鉄が挙げられる。好適なカーボンブラックとしては、例えばアセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、ガスブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、熱分解カーボンブラックおよびそれらの組合せが挙げられる。また、本発明に従う充填剤として使用されるグラファイト、グラフェン、フラーレンおよびカーボンナノチューブは、それぞれ任意の好適なグラファイト、グラフェン、フラーレンおよびカーボンナノチューブであり得る。
【0033】
上記の充填剤が合成のもしくは純粋な形態、または代替的には天然の形態で使用され得ることが留意される。例えば、上述の化合物の1つ以上を主成分として含有する天然鉱物を充填剤として使用することもできる。したがって、充填剤が炭酸カルシウムである場合、これをチョーク、ドロマイトまたはカルサイトの形態で使用することもできる。充填剤がケイ酸塩である場合、これをクレイ、タルク粉、マイカ粉またはカオリンの形態で使用することもできる。
【0034】
本発明の特に好ましい実施形態によると、少なくとも1つの充填剤は、シリカ、ケイ酸塩、カーボンブラック、グラファイト、グラフェン、フラーレン、カーボンナノチューブ、アルカリ土類炭酸塩、アルカリ土類酸化物、酸化亜鉛、二酸化チタン、酸化アルミニウム、アルカリ土類水酸化物、水酸化アルミニウムおよびそれらの組合せからなる群から選択される。最も好ましい本発明による充填剤は、シリカ、ケイ酸塩、カーボンブラック、酸化亜鉛およびそれらの組合せである。
【0035】
特許請求される水性浸漬組成物は、好ましくは、水性浸漬組成物の総重量をベースとして0.02重量(乾燥重量)%~20重量(乾燥重量)%、好ましくは0.1重量(乾燥重量)%~10重量(乾燥重量)%、特に好ましくは0.5~5重量(乾燥重量)%の少なくとも1つの充填剤を含み得る。水性浸漬組成物の総重量には水性組成物の水の重量も含まれる。
【0036】
組成物は、粘着付与剤および/または消泡剤および/または湿潤剤もさらに含み得る。これらの添加剤は、概して水性浸漬組成物で処理される織物補強材および加工パラメーターによって決まる好適な量で使用することができる。
【0037】
従来技術の浸漬組成物と比較して、本発明による浸漬組成物は、レゾルシノール、レゾルシノール予備縮合物、ホルムアルデヒドおよびホルムアルデヒド放出物質を実質的に含まない。本発明との関連で、「を実質的に含まない」という用語は、これらの物質が特許請求される組成物の必須の特性に実質的な影響を及ぼさない量でしか存在することができないと理解すべきである。例えば、これらの物質の量は、幾らかの汚染に起因する微量を超えてはならない。通例、水性組成物の総重量をベースとして0.1重量(乾燥重量)%以下のレゾルシノール、レゾルシノール予備縮合物、ホルムアルデヒドおよびホルムアルデヒド放出物質のそれぞれが、特許請求される浸漬組成物に含有されるものとし、すなわち、上記の成分のそれぞれについて個別に0.1重量%が最大量である。好ましくは、特許請求される浸漬組成物中のレゾルシノール、レゾルシノール予備縮合物、ホルムアルデヒドおよびホルムアルデヒド放出物質の含有量は0重量%である。レゾルシノール、レゾルシノール予備縮合物、ホルムアルデヒドおよびホルムアルデヒド放出物質を実質的に含まない特許請求される組成物が、環境および健康に対して有害なこれらの化合物の使用が回避されることから有利である。
【0038】
本発明による浸漬組成物は、ブロックイソシアネート、エポキシ基含有化合物およびカルボン酸官能基を有するポリマーの総和に対するゴムラテックスの重量比が少なくとも2であることをさらに特徴とする。本発明の好ましい実施形態によると、ブロックイソシアネート、エポキシ基含有化合物およびカルボン酸官能基を有するポリマーの総和に対するゴムラテックスの重量比は、3~20の範囲である。この比率が3.5~8の範囲であることが特に好ましい。
【0039】
ブロックイソシアネート、エポキシ基含有化合物およびカルボン酸官能基を有するポリマーは、樹脂形成成分である。驚くべきことに、少なくとも2の、これらの樹脂形成成分に対するゴムラテックスの重量比が加工の観点から有利であり、すなわち、組成物が取り扱いやすく、良好に加工され得ることが今回見出された。特に、上述の樹脂形成成分の量の減少(上記の比率を少なくとも2の値まで増加させることによる)は、製造時の汚損の低減およびロールに対する粘着性の低下をもたらす。これら全ての利点が製造方法を改善する。また、少なくとも2の比率を用いることでゴム相との相互作用が改善される。最後に、少なくとも2の比率を用いることで、2未満の比率が適用される従来技術の組成物と比較して低下した剛性およびより良好な柔軟性がもたらされる。
【0040】
本発明の浸漬組成物は、任意の好適な固形分を有し得る。好ましくは、組成物は、6~30重量(乾燥重量)%、好ましくは7~27重量(乾燥重量)%の固形分を有する。
【0041】
本発明の浸漬組成物は、任意の好適な方法によって調製することができる。概して、浸漬組成物の様々な成分(固体形態または水溶液の形態である)を単純に組み合わせることで組成物が得られる。様々な成分を同時に組み合わせるか、もしくは続いて順々に添加することができ、または様々な成分をグループでもしくは当業者に既知の任意の好適な方法で添加することができる。好ましい実施形態によると、少なくとも1つのワックスを最初の成分として水に添加し、他の成分をその後(同時にまたは順々にまたはグループに分けて)添加する。異なる好ましい実施形態によると、少なくとも1つのワックスを除く全ての成分を初めに(同時にまたは順々にまたはグループに分けて)添加し、次いで少なくとも1つのワックスを最後の成分として添加する。特許請求される浸漬組成物を調製するいずれの方法についても、概して様々な成分を撹拌下で混合することが有利である。さらに、集塊の形成を回避するために、少なくとも1つのゴムラテックスを5~11の範囲のpHで添加することも好ましい。特許請求される浸漬組成物の調製は、概しておよそ常温、すなわち20℃~25℃の範囲で行われる。しかしながら、調製(すなわち様々な成分の混合)をより低温、好ましくは5℃ないし20℃未満の範囲、またはより高温、好ましくは25℃超ないし45℃の範囲で行うことも可能である。
【0042】
本発明の特に好ましい実施形態によると、特許請求される浸漬組成物を調製する方法は、(i)水を準備する工程と、(ii)任意に塩基を添加する工程と、(iii)任意にカルボン酸官能基を有する少なくとも1つのポリマーを添加する工程と、(iv)任意に少なくとも1つのエポキシ基含有化合物を添加する工程と、(v)少なくとも1つのブロックイソシアネートを添加する工程と、(vi)少なくとも1つのゴムラテックスを組成物に添加する工程と、(vii)任意に着色剤および/または充填剤を添加する工程とを含み、少なくとも1つのワックスを、工程(ii)の前または工程(vii)の後に添加する。
【0043】
本発明は、織物補強材のコーティングのための本発明による水性浸漬組成物の使用にさらに関する。この織物補強材は、任意の好適な織物補強部材であり得る。本発明の好ましい実施形態によると、織物補強材は、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ガラス、炭素、セルロース、ポリカーボネート、ポリケトンおよびそれらの組合せからなる群から選択される材料をベースとする。好適なポリエステルとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンフラノエート(PEF)が挙げられる。ポリアミドの例としては、ナイロン-4,6(PA 4.6)、ナイロン-4,10(PA 4.10)、ナイロン-6(PA 6)、ナイロン-6,6(PA 6.6;ポリヘキサメチレンアジパミド)、ナイロン-6,12(PA 6.12)、ナイロン-10,10(PA 10.10)およびナイロン-12,12(PA 12.12)が挙げられる。好適なポリアミドとしては、アラミド、特にm-アラミド、p-アラミド、およびm-アラミドとp-アラミドとの混合物等の芳香族ポリアミドがさらに挙げられる。好適なセルロースとしては、例えば再生セルロース(特にビスコースまたはレーヨン)およびセルロースエステルが挙げられる。織物補強材に最も好ましい材料は、ポリエステル、レーヨン、アラミド、ナイロンおよびそれらの組合せである。
【0044】
接着剤によって活性化された織物補強材を使用することも可能である。好適な接着剤で活性化された(aa)補強材は、当業者に既知である。例えば、織物補強材は、接着剤で活性化されたアラミドであり得る。
【0045】
織物補強材は、任意の好適な形態であり得る。例えば、織物補強材は、シングルもしくはマルチフィラメント織物コードの形態、またはシングルもしくはマルチフィラメント糸をベースとするテープのようなフラットフィラメント構造の形態であり得る。本発明の好ましい実施形態によると、織物補強材は、少なくとも1本の撚糸を有するコードを含む。コードおよび糸の好適な細かさ(単位dtexでの繊度)および撚糸方法は、従来技術において知られている。例えば、各糸の繊度は200~5000dtexであり、糸およびコードの撚り数は100~800t/mであり得る。織物補強材は、それぞれが1本の糸から作られるコードでできていてもよく、すなわち1本の撚糸が各コードを構成する。代替的には、コードが少なくとも2本、より好ましくは厳密に2本の糸から作られることも可能である。本発明の別の好ましい実施形態によると、織物補強材は、テープ等のフラットフィラメント構造の形態である。フィラメントの形状は多様であってもよく、糸自体の最終形状も多様であり得る。フィラメントのdtexは、任意の好適な範囲であり得るが、好ましくは1~30dtexである。
【0046】
本発明は、織物補強材を本発明による浸漬組成物で処理する工程と、組成物を熱処理する工程とを含む、織物補強材をコーティングする方法にさらに関する。この方法に使用される織物補強材は、任意の好適な織物補強材であり得る。好ましくは、織物補強材は上に既に記載したものである。浸漬組成物での処理は、当業者に既知の任意の好適な方法で行うことができる。例えば、処理は、ブラシ等の好適なデバイスまたは同様のデバイスを用いた織物補強材への浸漬組成物の浸漬、噴霧または塗布によって行うことができる。好ましくは、処理は浸漬、例えば浸漬組成物を含む浴を準備し、織物補強材をこの浴に浸漬させることによって行われる。織物補強材を本発明による浸漬組成物で処理する工程を2回以上行うことも可能である。本発明の特に好ましい実施形態によると、織物補強材を本発明による浸漬組成物に2回浸漬させる。
【0047】
組成物を熱処理する工程は、先の工程において組成物で処理された織物補強材を熱処理することを意味する。熱処理は任意の好適な温度で行うことができる。好ましい実施形態によると、熱処理は60~260℃の範囲、より好ましくは160~250℃の範囲の温度で行われる。熱処理は、任意の好適な手段によって行うことができる。熱間引抜によって熱処理を行うことが特に好ましい。これは、織物補強材を好ましくは連続的に通過させる、特に1または2ゾーンオーブン等の既知のデバイスを用いて行うことができる。本発明の方法の好ましい実施形態によると、同じまたは異なる温度での2回以上の熱処理を連続して行う。
【0048】
概して、1回のコーティング工程を行うだけで十分である。しかしながら、使用される織物補強材および所望の特性に応じて、特許請求される浸漬組成物での上記の処理の前に付加的な活性化工程を任意に行うことができる。特に予め活性化していない織物材料の場合、織物補強材を本発明による浸漬組成物での処理の前に1つ以上のエポキシ化合物および/または1つ以上のポリイソシアネート化合物を含む浴内で処理することが好ましい。これにより付加的な浸漬工程がもたらされるが、同時にゴム混合物/ゴム引き混合物への付着のための織物補強材の結合の活性化がさらに最適化される。本発明の特に好ましい実施形態によると、織物補強材を、1つ以上のエポキシ化合物および/または1つ以上のポリイソシアネート化合物を含む浴内での事前浸漬工程によって予め活性化し、続いて本発明による組成物での単回浸漬を行う。
【0049】
本発明は、上記の方法によって得られるコーティングされた織物補強材にさらに関する。
【0050】
本発明の更なる利点は、コーティングされた織物補強材、特にコードを着色剤、特に顔料(水分散性である)および/または染料(水溶性である)の添加によって様々な色で提供し得ることである。これは例えば、製品のより良好なマーケティングまたはコーティングされた織物補強材の更なる加工に利用することができる。例えば、コーティングされた織物補強材の着色は、更なる加工における区別の改善に用いることができ、さらには浸漬液が十分に分散している場合に浸漬液の品質、例えば表面上に損傷がないことを検査する可能性を有する。
【0051】
本発明は、(i)少なくとも1つのエラストマー化合物と、(ii)上記の方法によって得られるコーティングされた織物補強材、または特許請求される熱処理された浸漬組成物でコーティングされた織物補強材とを含むエラストマー物品にさらに関する。エラストマー物品は、任意の好適なエラストマー物品であり得る。好ましくは、エラストマー物品は、タイヤ、またはベルト、コンベヤーベルト、伝動ベルト、駆動ベルト、ホース、ストリップベルト、搬送ベルトもしくはエアベローズ等のゴム物品である。
【0052】
本発明によるエラストマー物品は、任意の好適な方法によって得ることができる。例えば、このエラストマー物品は、(i)コーティングされた織物補強材を上記のように準備する工程と、(ii)コーティングされた織物補強材をゴム引き混合物と組み合わせて、未加工のエラストマー物品を得る工程と、(iii)未加工のエラストマー物品を加硫して、コーティングされた織物補強材とエラストマー化合物とを含むエラストマー物品を得る工程とを含む方法によって得ることができる。
【0053】
この方法の工程(ii)によると、コーティングされた織物補強材をゴム引き混合物と組み合わせる。この組合せは、例えばコーティングされた織物補強材をゴム引き混合物でコーティングするか、またはコーティングされた織物補強材をゴム引き混合物と共にカレンダー加工することによって行うことができる。コーティングされた織物補強材をゴム引き混合物にプレスすることも可能である。ゴム引き混合物は、任意の好適なゴム引き混合物であり得る。
【0054】
好ましくは、ゴム引き混合物は、少なくとも1つのジエン系ゴムを含む。ジエン系ゴムは、当業者に既知の任意の好適なジエン系ゴムであり得る。好ましくは、ゴム引き混合物は、天然ポリイソプレン(NR)、合成ポリイソプレン(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)およびそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つのジエン系ゴムを含む。例えば、ポリイソプレン(IR、NR)は、cis-1,4-ポリイソプレンまたは3,4-ポリイソプレンであり得る。しかしながら、cis-1,4含有量が90重量%を超えるcis-1,4-ポリイソプレンの使用が好ましい。第一に、かかるポリイソプレンは、チーグラー-ナッタ触媒を含む溶液中でのまたは微粉リチウムアルキルを用いた立体特異的重合によって得ることが可能である。第二に、天然ゴム(NR)は、かかるcis-1,4-ポリイソプレンの1つであり、天然ゴム中のcis-1,4含有量は99重量%を超える。ポリブタジエン(BR)は、cis-1,4-ポリブタジエンまたはビニルポリブタジエン(約10%~90重量%のビニル含有量)であり得る。例えば希土類タイプの触媒の存在下での溶液重合によって調製することができる、cis-1,4含有量が90重量%を超えるcis-1,4-ポリブタジエンの使用が好ましい。スチレン-ブタジエンコポリマー(SBR)は、例えば有機溶媒中のリチウムアルキルを用いて調製することができる、ポリマーをベースとして約10%~45重量%のスチレン含有量および10%~70重量%のビニル含有量(全ポリマーをベースとした1,2-結合ブタジエンの含有量)を有する溶液重合スチレン-ブタジエンコポリマー(S-SBR)であり得る。S-SBRをカップリングおよび末端基修飾してもよい。代替的には、エマルション重合スチレン-ブタジエンコポリマー(E-SBR)およびE-SBRとS-SBRとの混合物を使用することが可能である。E-SBRのスチレン含有量は、約15%~50重量%であり、水性エマルション中でのスチレンと1,3-ブタジエンとの共重合によって得られた、従来技術で既知の製品を使用することが可能である。
【0055】
混合物で使用されるジエン系ゴム、特にスチレン-ブタジエンコポリマーは、部分的または完全に官能化された形態で使用することもできる。官能化は、使用される充填剤、特にOH基を有する充填剤と相互作用し得る基を用いて行うことができる。官能化は、例えばヒドロキシル基および/またはエポキシ基および/またはシロキサン基および/またはアミノ基および/またはフタロシアニン基および/またはカルボキシル基および/またはシラン硫化物基を用いたものであり得る。
【0056】
ゴム引き混合物は、好ましくは25~100phr、より好ましくは50~100phr、さらにより好ましくは、さらには70~100phrのジエン系ゴムを含有する。特に好ましい実施形態によると、ゴム引き混合物は、100phrの少なくとも1つの天然ポリイソプレン(NR)および/または合成ポリイソプレン(IR)を含有し、すなわちNRとIRとの混合物も考え得る。別の特に好ましい実施形態によると、ゴム引き混合物は、25~85phrの少なくとも1つの天然および/または合成ポリイソプレン、15~50phrの少なくとも1つのブタジエンゴムおよび/または15~50phrの少なくとも1つのスチレン-ブタジエンゴムを含有する。特にこれらのゴム、特に自動車タイヤの強化部材プライでは、加工性、耐用年数および引き裂き特性の点で、ゴム引き混合物の非常に良好な物理的特性が見られ、適切なレベルの結合が達成される。
【0057】
ゴム引き混合物は、好ましくはカーボンブラック、シリカおよびそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの充填剤をさらに含む。この充填剤は、好ましくはゴム引き混合物に20~90phrの量、より好ましくは40~80phrの量で含有される。これに関連して使用されるphr(ゴム100重量部当たりの重量部)という表現は、ゴム産業における混合処方のための量の標準単位である。ここで、個々の物質の重量部の用量は常に、混合物中に存在する全てのゴムの総質量100重量部をベースとする。混合物中に存在する全てのゴムの質量は、合計100となる。ゴム引き混合物は、0.1~10phrのアルミノケイ酸塩、チョーク、デンプン、酸化マグネシウム、二酸化チタン、ゴムゲル、カーボンナノチューブ(CNT)、グラファイトおよびグラフェン、ならびにそれらの組合せ等の付加的な充填剤をさらに含み得る。しかしながら、好ましくは、ゴム引き混合物は、これらの付加的な充填剤を含まず、すなわち、好ましくは0~0.001phrのこれらの更なる充填剤を含有する。
【0058】
ゴム引き混合物は、好ましくは少なくとも1つの添加剤をさらに含む。好適な添加剤としては、老化安定剤、活性化剤、ワックス、樹脂、特に可塑剤樹脂ではない粘着付与樹脂、素練り助剤、加工助剤、可塑剤およびそれらの組合せが挙げられる。
【0059】
エラストマー物品を製造する方法は、加硫工程(iii)をさらに含む。加硫は、硫黄および/または硫黄供与体の存在下で行うことができ、一部の硫黄供与体は、同時に加硫促進剤として作用し得る。硫黄または硫黄供与体は、当業者によって一般に用いられる量(0.4~8phr、好ましくは0.4~4phrの量の硫黄)でゴム引き混合物に添加することができる。加硫は、硫黄供与体物質と組み合わせた非常に少量の硫黄の存在下で行うこともできる。加硫は、任意の好適な温度、好ましくは100~250℃の範囲の温度、好ましくは130~180℃の範囲の温度で行うことができ、任意に10~200barの範囲の圧力を加えることができる。
【0060】
本発明を、以下で実施例を参照してさらに説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
【0061】
実施例:
実施例1~5:
ポリエステル製のコード(ポリエチレンテレフタレート(PET)、2プライ、1440dtex、375×375の撚り数、接着剤で活性化されていない)を、95.26重量%の水、0.90重量%のDenacol EX313(エポキシ化合物)および3.84重量%のGrilbond IL-6(ポリイソシアネート化合物)を含有する予浸漬組成物にコードを浸漬することによって前処理し、210~250℃の温度で熱処理した。予浸漬組成物での処理後に、コードを実施例1(参考例)および実施例2~5(本発明による)のそれぞれによる水性浸漬組成物に浸漬させた。実施例1~5の浸漬組成物は、様々な成分を撹拌下、常温にて以下の表1に示される量、以下の添加順序で添加することによって調製した(或る化学物質が表1による処方の一部ではない場合、後続の成分を添加し、以下同様に続ける):
水→アンモニア→カルボン酸樹脂→エポキシ化合物→イソシアネート→SBRラテックス→VPラテックス→カーボンブラック→ワックス
次いで、浸漬させたコードを2つの付加的な炉に通した。第1の炉の温度を170~220℃に維持し、第2の炉の温度を200℃~250℃に維持した。添加した成分の乾燥重量ではなく総量(重量部単位)が表1に提示されることが留意される。
【0062】
【表1】
【0063】
浸漬およびその後の熱間引抜の後に、強化部材をそれぞれ表2によるゴム引き混合物で被覆した。ゴムと結合した2プライの布を含む試験片を、これらのゴムと結合した2プライの布を分離するのに必要とされる剥離力を測定するために作製した。コード密度は、90epdm(デシメートル当たりの末端数)であった。次いで、この複合材料を圧力(7.5bar)下で170℃にて10分間硬化させて、最終補強材料/強化部材を得た。
【0064】
【表2】
【0065】
記載の全ての強化部材について、上述のゴム引き混合物との結合試験をISO 36:2011に準拠して行った。加硫サンプルを120℃に30分間加熱し、オーブンから取り出した後30秒以内に結合試験を行った。結果を表3に提示するが、得られた力の値は、100%に正規化した参考例1の力の初期値に対する%で示す。
【0066】
結合力の評価をDIN ISO 6133:2004-05、手順Bに準拠して行った。加えて、試験サンプルの別個の領域を、以下の被覆率の評定を用いて1~5の段階で視覚的に評価した。
1 0% 完全にゴムを有しない
2 25% 大部分がゴムを有しない
3 50% 半分ゴムで被覆された
4 75% 大部分がゴムで被覆された
5 100% 完全にゴムで被覆された
被覆率が低い方の面を評価に用いた。被覆率の評定の決定において、半分の評定(すなわち3.5)も許容された。各実施例について、報告された結合力および報告された被覆率は、いずれの場合にも3回の測定の平均値である。結果を同様に表3に提示する。
【0067】
さらに、本発明による浸漬組成物で処理された織物補強材の貯蔵安定性/貯蔵寿命安定性も評価した。処理された織物補強材の貯蔵安定性の実際の条件下での試験として、促進老化試験を、処理された織物補強材を空気循環オーブン内にて60℃で72時間老化させることによって適用した。促進老化試験のために、サンプルを適切な支持体に巻き付けてオーブンに入れ、伸張、加撚、解撚またはループの形成を回避した。巻き付けは、乾燥時にサンプルへの張力を引き起こすことなく潜在的な収縮が起こり得るように十分に緩くした。次いで、老化させた処理済み織物補強材を、本発明による浸漬組成物で処理した新たな織物補強材と同様に試験した。結果を同様に表3に提示する。この場合にも、得られた力の値は、参考例1の力の初期値(100%に設定する)に対する%で示す。
【0068】
【表3】
【0069】
表3から明らかなように、本発明による浸漬組成物で処理された織物補強材は、改善された初期結合ならびに老化後の結合および被覆率を示す(参考例1と実施例2とを比較する)。塩基(アンモニア)およびカルボン酸官能化ポリマー(カルボン酸樹脂)と組み合わせた少量のワックスの使用も改善された初期および老化後の結合、ならびに改善された老化後の被覆率をもたらす(参考例1と実施例3とを比較する)。ワックスの量の増加は更なる改善をもたらし(実施例4を参照されたい)、充填剤(カーボンブラック)との組合せも更なる改善をもたらす(実施例5を参照されたい)。
【0070】
実施例6~10:
ナイロン製のコード(2プライ、1400dtex、300×300の撚り数)を実施例6(参考例)および実施例7~10(本発明による)による水性浸漬組成物のそれぞれに浸漬させ(表4を参照されたい)、3つの炉に通した。実施例6~10の浸漬組成物は、様々な成分を撹拌下、常温にて以下の表4に示される量、以下の添加順序で添加することによって調製した(或る化学物質が表4による処方の一部ではない場合、後続の成分を添加し、以下同様に続ける):
水→アンモニア→カルボン酸樹脂→エポキシ化合物→イソシアネート→SBRラテックス→VPラテックス→ワックス
第1の炉の温度を170~220℃に維持し、第2および第3の炉の温度を独立して200℃~250℃に維持した。添加した成分の乾燥重量ではなく総量(重量部単位)が表4に提示されることが留意される。
【0071】
【表4】
【0072】
浸漬およびその後の熱間引抜の後に、強化部材をそれぞれ表2によるゴム引き混合物で被覆した。ゴムと結合した2プライの布を含む試験片を、これらのゴムと結合した2プライの布を分離するのに必要とされる剥離力を測定するために作製した。コード密度は、90epdm(デシメートル当たりの末端数)であった。次いで、この複合材料を圧力(7.5bar)下で170℃にて10分間硬化させて、最終補強材料/強化部材を得た。
【0073】
得られた強化部材を実施例1~5について上に記載したように試験した。結果を表5に提示するが、得られた力の値は、100%に正規化した参考例6の力の初期値に対する%で示す。
【0074】
【表5】
【0075】
表5から明らかなように、本発明による浸漬組成物で処理された織物補強材は、改善された初期および老化後の結合および被覆率を示す(参考例6と実施例7~10とを比較する)。より具体的には、実施例7によりワックス単独の添加の改善が実証される。この効果は、ワックスをエポキシ化合物の代わりに塩基(アンモニア)およびカルボン酸官能化ポリマー(カルボン酸樹脂)と組み合わせて使用した場合にも達成される(実施例8を参照されたい)。初期および老化後の結合および被覆率は、ワックス、エポキシ化合物、塩基(アンモニア)およびカルボン酸官能化ポリマー(カルボン酸樹脂)を組み合わせて使用した場合にさらに改善される(実施例9および10を参照されたい)。
【0076】
以下の項目を本明細書でさらに開示する:
項目1. 4重量(乾燥重量)%~50重量(乾燥重量)%の少なくとも1つのゴムラテックスと、
0.1重量(乾燥重量)%~10重量(乾燥重量)%の少なくとも1つのブロックイソシアネートと、
0.3重量(乾燥重量)%~30重量(乾燥重量)%の少なくとも1つのワックスと、
0重量(乾燥重量)%~6重量(乾燥重量)%の少なくとも1つのエポキシ基含有化合物と、
0重量(乾燥重量)%~15重量(乾燥重量)%の、カルボン酸官能基を有する少なくとも1つのポリマーと、
を含む、織物補強材のコーティングのための水性浸漬組成物であって、
重量%での量は、水性浸漬組成物の総重量をベースとし、
ブロックイソシアネート、エポキシ基含有化合物およびカルボン酸官能基を有するポリマーの総和に対するゴムラテックスの重量比は、少なくとも2であり、
組成物は、レゾルシノール、レゾルシノール予備縮合物、ホルムアルデヒドおよびホルムアルデヒド放出物質を実質的に含まない、水性浸漬組成物。
【0077】
項目2. 少なくとも1つのゴムラテックスが、天然ゴムラテックス、スチレン-ブタジエンゴムラテックス、エチレン-プロピレン-ジエンゴムラテックス、ブチルゴムラテックス、スチレン-ブタジエン-ビニルピリジンゴムラテックス、ニトリルブタジエンゴムラテックス、クロロプレンゴムラテックス、イソプレンゴムラテックス、ブタジエンゴムラテックス、官能化ゴムラテックスおよびそれらの組合せからなる群から選択される、項目1による浸漬組成物。
【0078】
項目3. 少なくとも1つのブロックイソシアネートが、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、トルエン2,4-または2,6-ジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、p-キシレンジイソシアネート、2,4’-または4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタン、フェニル1,3-または1,4-ジイソシアネートを含む芳香族ジイソシアネート、およびそれらの組合せからなる群から選択される単位を含む、項目1または2による浸漬組成物。
【0079】
項目4. 少なくとも1つのワックスが、パラフィンワックス、微結晶ワックス、合成ワックスおよびそれらの組合せからなる群から選択される、項目1~3のいずれか1つによる浸漬組成物。
【0080】
項目5. 4.5重量(乾燥重量)%~25重量(乾燥重量)%の少なくとも1つのゴムラテックスと、
0.2重量(乾燥重量)%~4.5重量(乾燥重量)%の少なくとも1つのブロックイソシアネートと、
0.3重量(乾燥重量)%~5重量(乾燥重量)%の少なくとも1つのワックスと、
0.2重量(乾燥重量)%~4重量(乾燥重量)%の、グリシジル系グリセロール、ソルビトール系エポキシ化合物、フェノール系ノボラックエポキシ化合物、クレゾール系ノボラックエポキシ化合物およびそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つのエポキシ基含有化合物と、
0.1重量(乾燥重量)%~2重量(乾燥重量)%の、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸のエステル、メタクリル酸のエステル、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、マレイン酸およびそれらの組合せから選択されるモノマーをベースとする、カルボン酸官能基を有する少なくとも1つのポリマーと
を含み、重量%での量が、水性浸漬組成物の総重量をベースとする、項目1~4のいずれか1つによる浸漬組成物。
【0081】
項目6. エポキシ基含有化合物を含有しない、項目1~4のいずれか1つによる浸漬組成物。
【0082】
項目7. 好ましくは、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウムおよびそれらの組合せからなる群から選択される塩基をさらに含む、項目1~6のいずれか1つによる浸漬組成物。
【0083】
項目8. シリカ、ケイ酸塩、カーボンブラック、グラファイト、グラフェン、フラーレン、カーボンナノチューブ、アルカリ土類炭酸塩、アルカリ土類酸化物、酸化亜鉛、二酸化チタン、酸化アルミニウム、アルカリ土類水酸化物、水酸化アルミニウムおよびそれらの組合せからなる群から選択される着色剤および/または充填剤をさらに含む、項目1~7のいずれか1つによる浸漬組成物。
【0084】
項目9. 6重量(乾燥重量)%~30重量(乾燥重量)%、好ましくは7重量%~27重量%の固形分を有する、項目1~8のいずれか1つによる浸漬組成物。
【0085】
項目10. ブロックイソシアネート、エポキシ基含有化合物およびカルボン酸官能基を有するポリマーの総和に対するゴムラテックスの重量比が、少なくとも3である、項目1~9のいずれか1つによる浸漬組成物。
【0086】
項目11. 好ましくは、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ガラス、炭素、セルロース、ポリカーボネート、ポリケトンおよびそれらの組合せからなる群から選択される織物補強材のコーティングのための、項目1~10のいずれか1つによる浸漬組成物の使用。
【0087】
項目12. 織物補強材をコーティングする方法であって、
織物補強材を項目1~11のいずれか1つによる浸漬組成物で、好ましくは浸漬によって処理する工程と、
組成物を、好ましくは60~260℃の範囲の温度で熱処理する工程と
を含む、方法。
【0088】
項目13. 項目12による方法によって得られる、コーティングされた織物補強材。
【0089】
項目14. (i)少なくとも1つのエラストマー化合物と、(ii)項目13によるコーティングされた織物補強材、または項目1~10のいずれか1つによる熱処理された浸漬組成物でコーティングされた織物補強材とを含む、エラストマー物品。
【0090】
項目15. タイヤ、またはベルト、コンベヤーベルト、伝動ベルト、駆動ベルト、ホース、ストリップベルト、搬送ベルトおよびエアベローズ等のゴム物品である、項目14によるエラストマー物品。