(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】外科手術固定システムおよび関連する方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/04 20060101AFI20240514BHJP
A61B 17/80 20060101ALN20240514BHJP
【FI】
A61B17/04
A61B17/80
(21)【出願番号】P 2021552777
(86)(22)【出願日】2020-03-04
(86)【国際出願番号】 US2020020952
(87)【国際公開番号】W WO2020180963
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2023-02-10
(32)【優先日】2019-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514290052
【氏名又は名称】アースレックス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ARTHREX, INC.
【住所又は居所原語表記】1370 Creekside Blvd, Naples, FL 34108, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ザームエル・バッハマイアー
(72)【発明者】
【氏名】ジェイク・ジョリー
(72)【発明者】
【氏名】タラ・スワンロー
(72)【発明者】
【氏名】コリン・ベイカー
(72)【発明者】
【氏名】タイラー・エスポジト
【審査官】二階堂 恭弘
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/169961(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第2455002(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0236555(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0221010(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/04
A61B 17/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科手術固定システムであって、
第1の固定装置と、
前記第1の固定装置に接続された調整可能なループと、
前記調整可能なループのサイズを調整するように構成された
、単一の遊離編組ストランドと、
前記調整可能なループの
単一のスプライスセクションによって確立された第1のロック機構と、
前記第1のロック機構とは独立した第2のロック機構と、
を含み、
前記第2のロック機構が、前記第1の固定装置および前記調整可能なループの特徴の組み合わせによって確立されて
おり、
前記第1の固定装置が第1のボタンであり、前記調整可能なループに接続され、かつ第2のボタンとして構成された第2の固定装置を含む、外科手術固定システム。
【請求項2】
前記第1のボタンが、第1の開口部、第2の開口部、および縫合戻り開口部を含み、前記遊離編組ストランドが、前記調整可能なループの前記スプライスセクションから、前記縫合戻り開口部を通って、次いで、前記第1の開口部と第2の開口部との間に配置された前記第1のボタンのブリッジの上に位置して、前記第2のロック機構を確立する前記調整可能なループの固定ループセクションの下に延在しており、さらに、前記第2のロック機構のロック位置において、前記遊離編組ストランドが、前記固定ループセクションによって前記ブリッジの外面に対して張力がかけられている、請求項
1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の固定装置がボタンであり、前記調整可能なループに接続され、ねじまたは縫合アンカーとして構成された第2の固定装置を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1のロック機構が、
前記単一の遊離編組ストランドの意図しない緩みを防止する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記調整可能なループが、
前記スプライスセクションと、
前記スプライスセクションから延在している、前記遊離編組ストランドと、
前記第1のロック機構と、
前記スプライスセクションから第1の方向に延在している、単一の調整可能なアイスプライスループと、
前記スプライスセクションから第2の方向に延在している、固定ループセクションと、
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記調整可能なループの固定ループセクションと前記第1の固定装置との間に延在している、前記調整可能なループとは別個のフィラメントを含み、前記フィラメントが、前記固定ループセクションを移動させ、それによって、前記調整可能なループの前記サイズを調節するための前記遊離編組ストランドを解放するための張力が可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記調整可能なループが、平坦な丸みのある構成を含む、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本開示は、2019年3月5日に出願された米国仮出願第62/813,903号に対する優先権を主張するものであり、2019年3月5日に出願された米国仮出願第62/813,904号に対する優先権を主張するものであり、その開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示は、結び目のない外科手術修復および再構成を実施するための外科手術固定システムおよび方法に関する。
【0003】
縫合および様々な固定装置(例えば、ボタン、アンカーなど)は、関節安定化、組織修復、組織再構成、骨折修復、およびその他の類似の外科手術方法を実施するための整形外科手術の分野で一般的に使用される。これらのタイプの外科手術方法は、多くの場合、関節の機能性を回復させるために、損傷した組織の固定または骨の再整列を伴う。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、外科手術固定システムおよび方法に関する。外科手術固定システムは、1つ以上の固定装置および調整可能なループを含み得る。外科手術固定システムは、限定されるものではないが、靭帯結合、肩峰鎖骨(AC)関節、尺骨側副靱帯(UCL)、バニオン、前十字靱帯(ACL)、および後十字靱帯(PCL)外科手術方法を含む、様々な結び目のない外科手術方法に使用され得る。
【0005】
本開示の例示的な態様による外科手術固定システムは、特に、第1の固定装置、および第1の固定装置に接続された調整可能なループを含み得る。遊離編組ストランドは、調整可能なループのサイズを調整するように構成されている。第1のロック機構は、調整可能なループのスプライスセクションによって確立され、第1のロック機構とは独立した第2のロック機構は、第1の固定装置と調整可能なループの特徴の組み合わせによって確立される。
【0006】
本開示の別の例示的な態様による外科手術方法は、特に、外科手術固定システムを使用して靭帯結合の減少を実施することを含み得る。外科手術固定システムは、第1の固定装置、および第1の固定装置に接続された調整可能なループを含み得る。遊離編組ストランドは、調整可能なループのサイズを調整するように構成されている。第1のロック機構は、調整可能なループのスプライスセクションによって確立され、第1のロック機構とは独立した第2のロック機構は、第1の固定装置と調整可能なループの特徴の組み合わせによって確立される。
【0007】
本開示の別の例示的な態様による外科手術固定システムは、特に、第1の固定装置、第1の固定装置に接続された第1の調整可能なループ、ならびにシースおよびシースに接続された第2の調整可能なループを含む、軟質縫合構造を含み得る。第1の調整可能なループは、第2の調整可能なループとは別個の調整可能なループである。第1の遊離編組ストランドは、第1の調整可能なループのサイズを調整するように構成されており、第2の遊離編組ストランドは、第2の調整可能なループのサイズを調整するように構成されている。第1のロック機構は、第1の調整可能なループの第1のスプライスセクションによって確立され、第2のロック機構は、第2の調整可能なループの第2のスプライスセクションによって確立される。
【0008】
本開示の別の例示的な態様による外科手術方法は、特に、外科手術固定システムを使用して靭帯結合の減少または肩峰鎖骨の減少を実施することを含み得る。外科手術固定システムは、第1の固定装置、第1の固定装置に接続された第1の調整可能なループ、ならびにシースおよびシースに接続された第2の調整可能なループを含む、軟質縫合構造を含み得る。第1の調整可能なループは、第2の調整可能なループとは別個の調整可能なループである。第1の遊離編組ストランドは、第1の調整可能なループのサイズを調整するように構成されており、第2の遊離編組ストランドは、第2の調整可能なループのサイズを調整するように構成されている。第1のロック機構は、第1の調整可能なループの第1のスプライスセクションによって確立され、第2のロック機構は、第2の調整可能なループの第2のスプライスセクションによって確立される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の一実施形態による結び目のない外科手術方法を実施するための外科手術固定システムを示している。
【
図1B】別の例示的な外科手術固定システムを示す図である。
【
図2】
図1の外科手術固定システムの第1の固定装置の斜視図である。
【
図4】本開示の第2の実施形態による外科手術固定システムを示す図である。
【
図5】
図1の外科手術固定システムの追加の特徴を示す図である。
【
図6】
図1の外科手術固定システムで使用され得る例示的な調整可能なループを示す図である。
【
図7】
図1の外科手術固定システムで使用され得る別の例示的な調整可能なループを示す図である。
【
図8】外科手術固定システムの例示的な送達装置を示す図である。
【
図9】外科手術固定システムの別の例示的な送達装置を示す図である。
【
図10】
図1の外科手術固定システムを用い得る例示的な外科手術方法の概略図である。
【
図11】
図1の外科手術固定システムを用い得る例示的な外科手術方法の概略図である。
【
図13】
図1の外科手術固定システムを用い得る例示的な外科手術方法の概略図である。
【
図14】別の例示的な外科手術方法の概略図である。
【
図15】さらに別の例示的な外科手術方法の概略図である。
【
図16】本開示の別の実施形態による結び目のない外科手術方法を実施するための外科手術固定を示す図である。
【
図18】
図16の外科手術固定システムの第1の固定装置の斜視図である。
【
図20】
図16の外科手術固定システムで使用され得る例示的な調整可能なループを示す図である。
【
図21】
図16の外科手術固定システムで使用され得る別の例示的な調整可能なループを示す図である。
【
図22】
図16の外科手術固定システムの例示的な軟質縫合構造を示す図である。
【
図23】
図16の外科手術固定システムで使用され得る別の例示的な軟質縫合構造を示す図である。
【
図24】
図16の外科手術固定システムで使用され得る別の例示的な軟質縫合構造を示す図である。
【
図25】
図16の外科手術固定システムで使用され得るさらに別の例示的な軟質縫合構造を示す図である。
【
図26】
図16の外科手術固定システムで使用され得るさらに別の例示的な軟質縫合構造を示す図である。
【
図27】
図16の外科手術固定システムで使用され得るさらに別の例示的な軟質縫合構造を示す図である。
【
図28】
図16の外科手術固定システムで使用され得るさらに別の例示的な軟質縫合構造を示す図である。
【
図29】外科手術固定システムの軟質縫合構造の展開状態を示す図である。
【
図30】
図16の外科手術固定システムを用い得る例示的な外科手術方法の概略図である。
【
図31】
図16の外科手術固定システムを用い得る例示的な外科手術方法の概略図である。
【
図32】
図16の外科手術固定システムを用い得る例示的な外科手術方法の概略図である。
【
図33】
図16の外科手術固定システムを用い得る例示的な外科手術方法の概略図である。
【
図34】
図16の外科手術固定システムを用い得る例示的な外科手術方法の概略図である。
【
図35】
図16の外科手術固定システムを用い得る例示的な外科手術方法の概略図である。
【
図36】別の例示的な外科手術方法の概略図である。
【
図37】さらに別の例示的な外科手術方法の概略図である。
【
図38】本開示のさらに別の実施形態による結び目のない外科手術方法を実施するための外科手術固定システムを示す図である。
【
図39】
図38の外科手術固定システムまたは本明細書に記載される任意の他の外科手術固定システムで使用され得る、例示的な調整可能なループを示す図である。
【
図40】
図39の調整可能なループまたは本明細書に記載される任意の他の調整可能なループを形成するために使用され得る、例示的な可撓性ストランドを示す図である。
【
図41】
図39の調整可能なループまたは本明細書に記載される任意の他の調整可能なループを形成するために使用され得る、別の例示的な可撓性ストランドを示す図である。
【
図42】
図38の外科手術固定システムを用い得る例示的な外科手術方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、外科手術固定システムおよび方法に関する。外科手術固定システムは、1つ以上の固定装置および調整可能なループを含み得、限定されるものではないが、靭帯結合、肩峰鎖骨(AC)関節、尺骨側副靱帯(UCL)、バニオン、前十字靱帯(ACL)、および後十字靱帯(PCL)外科手術方法を含む、様々な結び目のない外科手術方法に使用され得る。
【0011】
本開示の例示的な態様による外科手術固定システムは、特に、第1の固定装置、および第1の固定装置に接続された調整可能なループを含み得る。遊離編組ストランドは、調整可能なループのサイズを調整するように構成されている。第1のロック機構は、調整可能なループのスプライスセクションによって確立され、第1のロック機構とは独立した第2のロック機構は、第1の固定装置と調整可能なループの特徴の組み合わせによって確立される。
【0012】
さらなる実施形態では、外科手術固定システムの第1の固定装置は、第1のボタンであり、第2の固定装置は、外科手術固定システムの調整可能なループに接続されており、第2のボタンとして構成されている。
【0013】
さらなる実施形態では、外科手術固定システムの第1のボタンは、第1の開口部、第2の開口部、および縫合戻り開口部を含み、調整可能なループの遊離編組ストランドは、調整可能なループのスプライスセクションから、縫合戻り開口部を通って、次いで、第1の開口部と第2の開口部との間に配置された第1のボタンのブリッジの上に位置して、第2のロック機構を確立する調整可能なループの固定ループセクションの下に延在している。第2のロック機構のロック位置で、遊離編組ストランドは、固定ループセクションによってブリッジの外面に対して張力がかけられる。
【0014】
さらなる実施形態では、外科手術固定システムの第1の固定装置は、ボタンである。外科手術固定システムの第2の固定装置は、調整可能なループに接続されてもよく、ねじまたは縫合アンカーとして構成されている。
【0015】
さらなる実施形態では、外科手術固定システムの第1のロック機構は、調整可能なループのフィンガートラップ機構である。
【0016】
さらなる実施形態では、外科手術固定システムの調整可能なループは、スプライスセクション、スプライスセクションから延在している遊離編組ストランド、第1のロック機構、スプライスセクションから第1の方向に延在している単一の調整可能なアイスプライスループ、およびスプライスセクションから第2の方向に延在している単一の固定ループセクションを含む。
【0017】
さらなる実施形態では、外科手術固定システムのフィラメントは、調整可能なループから分離されており、調整可能なループの固定ループセクションと固定装置との間に延在している。フィラメントは、固定ループセクションを移動させる張力が可能であり、それによって、調整可能なループのサイズを調整するための遊離編組ストランドを解放する。
【0018】
さらなる実施形態では、外科手術固定システムの調整可能なループは、平坦な丸みのある構成を含む。
【0019】
本開示の別の例示的な態様による外科手術固定システムは、特に、第1の固定装置、第1の固定装置に接続された第1の調整可能なループ、ならびにシースおよびシースに接続された第2の調整可能なループを含む、軟質縫合構造を含み得る。第1の調整可能なループは、第2の調整可能なループとは別個の調整可能なループである。第1の遊離編組ストランドは、第1の調整可能なループのサイズを調整するように構成されており、第2の遊離編組ストランドは、第2の調整可能なループのサイズを調整するように構成されている。第1のロック機構は、第1の調整可能なループの第1のスプライスセクションによって確立され、第2のロック機構は、第2の調整可能なループの第2のスプライスセクションによって確立される。
【0020】
さらなる実施形態では、外科手術固定システムの第1の固定装置は、ボタンである。ボタンは、第1の開口部、第2の開口部、および縫合戻り開口部を含む。第1の遊離編組ストランドは、第1の調整可能なループのスプライスセクションから、縫合戻り開口部を通って、次いで、第1の開口部と第2の開口部との間に配置されたボタンのブリッジ上に位置する第1の調整可能なループの固定ループセクションの下に延在している。ロック位置で、第1の遊離編組ストランドは、固定ループセクションによってブリッジの外面に対して張力がかけられる。第2の遊離編組ストランドは、第2の調整可能なループの第2のスプライスセクションから、第1の調整可能なループの第1のロック機構を通って、縫合戻り開口部を通って、次いで第1の調整可能なループの固定ループセクションの下に延在している。
【0021】
さらなる実施形態では、外科手術固定システムの第2の調整可能なループの第2の遊離編組ストランドは、第1の調整可能なループの第1のスプライスセクションを通ってスプライシングされる。第2のロック機構、および第2の調整可能なループの第2のスプライスセクションは、軟質縫合構造のシースの穴内に少なくとも部分的に位置付けられている。
【0022】
さらなる実施形態では、外科手術固定システムの第1の調整可能なループは、軟質縫合構造のシースを通過する。
【0023】
さらなる実施形態では、外科手術固定システムの軟質縫合構造のシース、第1の調整可能なループ、および第2の調整可能なループは各々、軟質縫合系材料のみから作製される。
【0024】
さらなる実施形態では、外科手術固定システムの第2の遊離編組ストランドに張力をかけると、第2の調整可能なループのサイズが減少し、それによって、軟質縫合構造のシースをアンカーリングクラスタに構成する。
【0025】
さらなる実施形態では、外科手術固定システムの第1の調整可能なループは、平坦な丸みのある構成を含む。
【0026】
図1は、例示的な外科的固定システム10を示している。外科手術固定システム10は、様々な外科手術方法を実施するために使用され得る。外科手術方法は、例えば、破れた組織の修復または骨の再整列を伴う任意の手技を含み得る。外科手術固定システム10は、足首、足、手、肩、または膝に関連する任意の外科手術方法に使用され得る。靭帯結合、AC関節、外反母趾(すなわち、バニオン)、および尺骨側副靱帯(UCL)の修復は、本開示の外科手術固定システム10から利益を得ることができる外科手術方法のタイプの非限定的な例である。
【0027】
一実施形態では、外科手術固定システム10は、「結び目のない」外科手術方法を実施するために使用される。本開示では、「結び目のない」という用語は、外科医が外科手術方法中に利用される様々な可撓性材料または縫合に任意の結び目を結ぶ必要なく、外科手術修復を実施することができることを示している。
【0028】
外科手術固定システム10は、この実施例では、第1の固定装置12、第2の固定装置14、および調整可能なループ16を含み得る。調整可能なループ16は、第1の固定装置12と第2の固定装置14の各々の間に延在し、それらに接続されてもよい。
【0029】
第1の固定装置12は、外科手術固定システム10の調整可能なループ16が骨トンネル内に位置付けられた後、第1の骨に対して皮質的骨固定を提供し得る。一実施形態では、第1の固定装置12は、ボタンである。しかしながら、様々な他の構成を有する固定装置を、代替的に使用することができる。第1の固定装置12は、長方形であっても、丸いものであってもよく、本開示の範囲内で金属材料または高分子材料のいずれかで作製され得る。第1の固定装置12の例示的な設計は、
図2および
図3を参照して、以下にさらに詳細に説明される。
【0030】
一実施形態では、第1の固定装置12は、第1の固定装置12の本体を通して形成される1つ以上の開口部18を含む。開口部18は、調整可能なループ16を受容するように構成および配設されてもよい。開口部18の一部は、第1の固定装置12を操作もしくは操縦するため、または外科手術方法中に固定を増強するために、1つ以上の追加のフィラメントを随意に担持してもよい。例えば、縫合テープ25は、開口部18にねじ込まれ、調整可能なループ16に加えて第1の固定装置12によって担持され得る(例えば、
図1Bを参照)。
【0031】
第2の固定装置14は、外科手術固定システム10の調整可能なループ16が骨トンネル内に位置付けられた後、第2の骨に対して皮質的骨固定または内部の骨固定のいずれかを提供し得る。一実施形態では、第2の固定装置14は、ボタンである。別の実施形態では、第2の固定装置14は、ねじまたは縫合アンカーである(
図4を参照)。しかしながら、他の同様の構成を有する固定装置を、代替的または追加的に利用することができる。第2の固定装置14は、任意の形状を含み得、本開示の範囲内で金属材料または高分子材料のいずれかで作製され得る。一実施形態では、第2の固定装置14は、第1の固定装置12とは異なって構成されている。
【0032】
一実施形態では、第2の固定装置14は、第2の固定装置14の本体を通して形成される1つ以上の開口部19を含む。開口部19は、調整可能なループ16を受容するように構成および配設されてもよい。開口部19の一部は、例えば、外科手術方法中に第2の固定装置14を操作もしくは操縦するために、1つ以上の追加のフィラメントを随意に担持してもよい。
【0033】
一実施形態では、調整可能なループ16は、可撓性材料で作製され、この例では、調整可能な長さおよび/または周囲を含む。調整可能なループ16は、単一の遊離編組ストランド20を含む。短縮ストランドとも呼ばれ得る単一の遊離編組ストランド20は、引っ張られて調整可能なループ16のサイズを縮小し得る。例えば、調整可能なループ16は、単一の遊離編組ストランド20を引っ張ることによって第1の方向に調整されてもよいが、加えられた内部引張力の結果として反対方向に緩むことは防止される。
【0034】
一実施形態では、単一の遊離編組ストランド20は、調整可能なループ16のスプライスセクション22から延在している。スプライスセクション22は、単一の遊離編組ストランド20の意図しない緩みを防止するための第1のロック機構24(例えば、フィンガートラップ機構)を含み得る。調整可能なループ16は、単一の調整可能なアイスプライスループ26をさらに含んでもよく、これは、スプライシングされたセクション22においてそれ自体を通して調整可能なループ16を形成するために使用される可撓性材料をスプライシングすることによって形成されてもよい。この実施形態では、2つのストランドは、単一の調整可能なアイスプライスループ26を形成するために、スプライスセクション22から延在している。したがって、
図1の調整可能なループ16は、2つのストランドループとみなされる。2つのストランドループ設計は、調整可能なループ16を骨トンネル内に収容するために除去する必要のある骨の量を最小化する。
【0035】
調整可能なループ16は、調整可能なループ16を完全に形成する前に、第1の固定装置12および第2の固定装置14に接続され得る。単一の遊離編組ストランド20は、引っ張られて単一の調整可能なアイスプライスループ26のサイズを収縮させてもよく、したがって、調整可能なループ16の全体的なサイズを変更し得る。
【0036】
次に
図1~
図3を参照すると、調整可能なループ16および第1の固定装置12は、協働して、外科手術固定システム10の第2のロック機構28を確立し得る。第1のロック機構24とは独立した第2のロック機構28は、第1の固定装置12に対する調整可能なループ16のサイズおよび位置をロックするように適合され、それによって、調整可能なループ16と第1の固定装置12との間の境界面における外科手術固定システム10の強度を増加させる。一実施形態では、第2のロック機構28は、調整可能なループ16と第1の固定装置12の特徴の組み合わせの副産物であり、一方で、第1のロック機構24は、調整可能なループ16によってのみ確立される。
【0037】
第1の固定装置12は、上面30、底面32、および上面30と底面32との間に延在している側壁34を含み得る。一緒に、上面30、底面32、および側壁34は、第1の固定装置12の本体を確立する。示した実施形態では、固定装置12の本体は、円形である。しかしながら、代替的な実施形態では、固定装置の本体は、楕円形の形状または様々な他の形状を含み得る。別の実施形態では、上面30および底面32は、実質的に平坦な表面であり、側壁34は曲面である。
【0038】
第1の開口部18A、第2の開口部18B、および第3の開口部18Cは、第1の固定装置12を通して形成されてもよく、上面30および底面32の両方を通して完全に延在してもよい。第1の開口部18Aおよび第2の開口部18Bは、互いと軸方向に整列してもよく、長手方向軸A1に沿って延在してもよく、第3の開口部18Cは、第1の開口部18Aおよび第2の開口部18Bのいずれかの側面にオフセットされてもよく、長手方向軸A2に沿って延在してもよい。一実施形態では、第1の開口部18A、第2の開口部18B、および第3の開口部18Cは、卵形形状である。しかしながら、開口部18A~18Cのサイズおよび形状は、本開示の限定を意図するものではない。
【0039】
第1の開口部18Aおよび第2の開口部18Bは、外科手術固定システム10の調整可能なループ16を受容するように構成および配設され得る。ブリッジ36は、第1の開口部18Aおよび第2の開口部18Bを互いに分離し、外科手術固定システム10の調整可能なループ16を搬送するための表面を提供し得る。ブリッジ36は、第1の固定装置12の上面30と同一平面の外面38(すなわち、外面38は、上面30に対して皿状ではない)、および例えば、第1の固定装置12の底面32に向かう方向へ分岐する一対の傾斜面40を含んでもよい。一実施形態では、ブリッジ36の外面38は、例えば、長手方向軸A1に対して略垂直である長手方向軸A3に沿って延在している(例えば、
図3を参照)。
【0040】
第3の開口部18Cは、調整可能なループ16の単一の遊離編組ストランド20を受容するための縫合戻り開口部として利用され得る。第3の開口部18Cは、第1の開口部18Aおよび第2の開口部18Bに隣接して位置してもよい。一実施形態では、ブリッジ36の外面38を通って延在している長手方向軸A3は、第3の開口部18Cの中心と交差する(例えば、
図3を参照)。
【0041】
第1の固定装置12および調整可能なループ16は、外科手術固定システム10の第2のロック機構28を確立するように構成され得る。一実施形態では、単一の遊離編組ストランド20は、調整可能なループ16のスプライスセクション22から延在しており、この実施例では、(すなわち、第1の固定装置12の上面30に向かって底面32から延在している方向に)第3の開口部18Cを通って上方に通過する。次いで、単一の遊離編組ストランド20は、例えば、ブリッジ36の上部の上に置かれ得る、調整可能なループ16の固定ループセクション42(
図1を参照)の下に通過されて(すなわち、単一の遊離編組ストランド20は、固定ループセクション42とブリッジ36との間に通過される)、第2のロック機構28を確立し得る。
【0042】
第2のロック機構28のロック位置で、単一の遊離編組ストランド20は、調整可能なループ16の固定ループセクション42によってブリッジ36の外面38に対して直接的な張力で保持される。この張力は、例えば、第1の固定装置12の下方にある調整可能なループ16の任意の部分に張力T1を加えることによって生成され得る。したがって、単一の遊離編組ストランド20は、調整可能なループ16の単一の調整可能なアイスプライスループ26のサイズを収縮するために必要な動きのタイプに対して保持され得る。
【0043】
第2のロック機構28のロック解除された位置では、固定ループセクション42を単一の遊離編組ストランド20に対して保持する張力T1が解放され、それによって、単一の遊離編組ストランド20がブリッジ36と固定ループセクション42との間で摺動することが可能になる。固定ループセクション42によって加えられる張力が取り除かれると、張力T2が、単一の遊離編組ストランド20に加えられ、単一の調整可能なアイスプライスループ26のサイズを制約することができる。したがって、外科手術固定システム10によって加えられる張力は、第2のロック機構28をロック解除することによって容易に調整され得る。
【0044】
ここで
図5を参照すると、外科手術固定システム10は、ユーザが単一の遊離編組ストランド20に対して張力T1をより簡単に解放することを可能にする、追加のフィラメント44を随意に含んでもよい。追加のフィラメント44は、調整可能なループ16から完全に分離されており、追加のフィラメント44の一部分が固定ループセクション42と単一の遊離編組ストランド20との間に軸方向に位置付けられるように、固定ループセクション42の下にループされてもよい。張力T3は、固定ループセクション42をブリッジ36から引き離して、それによって、単一の遊離編組ストランド20をブリッジ36と固定ループセクション42との間でより容易に摺動させるために、追加のフィラメント44に加えられ得る。
【0045】
上述のように、
図1の調整可能なループ16は、2つのストランド構成を含む。しかしながら、他の調整可能なループ構成は、本開示の範囲内で追加的に企図される。
【0046】
例えば、
図6の調整可能なループ16は、可撓性材料から作製されてもよく、第1の遊離編組ストランド20Aおよび第2の遊離編組ストランド20Bを含んでもよい。第1および第2の遊離編組ストランド20A、20Bは、調整可能なループ16のサイズを小さくするために引き出されてもよい。一実施形態では、第1の遊離編組ストランド20Aは、調整可能なループ16の第1のスプライスセクション22Aから延在しており、第2の遊離編組ストランド20Bは、調整可能なループ16の第2のスプライスセクション22Bから延在している。第1のスプライスセクション22Aは、第1のロック機構24Aを含んでもよく、第2のスプライスセクション22Bは、第2のロック機構24Bを含んでもよい。第1および第2のロック機構24A、24Bは、第1および第2の遊離編組ストランド20A、20Bの意図的でない緩みを防止する。第3のロック機構28は、上述のような同様の様式で、第1の固定装置12と調整可能なループ16との間の境界面に確立され得る。
【0047】
調整可能なループ16は、2つの調整可能なアイスプライスループ26A、26Bを追加的に含んでもよい。2つの調整可能なアイスプライスループ26A、26Bは、相互接続35で相互リンクされ得る。2つの調整可能なアイスプライスループ26A、26Bは、それ自体を通して(すなわち、スプライスセクション22A、22Bの各々を通して)調整可能なループ16を形成する可撓性材料をスプライシングすることによって形成され得る。この実施形態では、2つのストランドは、スプライスセクション22A、22Bの各々から延在して、調整可能なアイスプライスループ26A、26Bの各々を形成する。したがって、調整可能なループ16は、4つのストランドループとみなされる。
図6の調整可能なループ16のストランドの増加量は、外科手術固定システム10によって提供され得る全体的な固定強度を増加させ得る。
【0048】
さらに別の実施形態では、
図7に示すように、調整可能なループ16は、第1の遊離編組ストランド20Aおよび第2の遊離編組ストランド20Bを含み得る。第1および第2の遊離編組ストランド20A、20Bは、調整可能なループ16のサイズを小さくするために引き出されてもよい。一実施形態では、第1の遊離編組ストランド20Aは、調整可能なループ16の第1のスプライスセクション22Aから延在しており、第2の遊離編組ストランド20Bは、調整可能なループ16の第2のスプライスセクション22Bから延在している。第1および第2のスプライスセクション22A、22Bは、この実施形態では、第1の固定装置12からの調整可能なループ16の対向する端部に位置付けられている。
【0049】
第1のスプライスセクション22Aは、第1のロック機構24Aを含んでもよく、第2のスプライスセクション22Bは、第2のロック機構24Bを含んでもよい。第1および第2のロック機構24A、24Bは、第1および第2の遊離編組ストランド20A、20Bの意図的でない緩みを防止する。第3のロック機構28は、上述のような同様の様式で、第1の固定装置12と調整可能なループ16との間の境界面に確立され得る。
【0050】
図7の調整可能なループ16は、2つの調整可能なアイスプライスループ26A、26Bを追加的に含んでもよい。2つの調整可能なアイスプライスループ26A、26Bは、相互接続35で相互リンクされ得る。2つの調整可能なアイスプライスループ26A、26Bは、それ自体を通して(すなわち、スプライスセクション22A、22Bの各々を通して)調整可能なループ16を形成する可撓性材料をスプライシングすることによって形成され得る。この実施形態では、3つのストランドは、スプライスセクション22A、22Bの各々から延在して、調整可能なアイスプライスループ26A、26Bの各々を形成する。したがって、調整可能なループ16は、6つのストランドループとみなされる。
図7の調整可能なループ16のストランドの増加量は、外科手術固定システム10によって提供され得る全体的な固定強度をさらに増加させ得る。
【0051】
外科手術固定システム10は、調整可能なループ16を1つ以上の準備された骨トンネルを通してシャットリングするための1つ以上の送達装置を追加的に含み得る。
図8は、外科手術固定システム10とともに利用され得る第1の送達装置99Aを示している。第1の送達装置99Aは、針46を含み得る。針46は、通過フィラメント48によって外科手術固定システム10の第2の固定装置14に接続されてもよい。針46は、準備された骨トンネルまたは複数の骨トンネルを通過して、第2の固定装置14を骨トンネルを通って前進させることができる。
【0052】
外科手術固定システム10と使用するための第2の送達装置99Bを
図9に示している。第2の送達装置99Bは、ハンドル50と、ハンドル50から延在しているシャフト52と、を含み得る。外科手術固定システム10の第1の固定装置12は、ハンドル50の遠位端56の近くに位置するスロット54内に取り外し可能に保持されてもよい。外科手術固定システム10の第2の固定装置14は、シャフト52の遠位端58に取り外し可能に保持されてもよい。ハンドル50は、第2の固定装置14をシャフト52から解放するために押すことのできる解放機構60(例えば、ボタン)を含み得る。遊離編組ストランド20、および随意の追加のフィラメント44は、縫合管理のために解放機構60の周りに巻かれてもよい。使用時に、第2の送達装置99Bのシャフト52を使用して、例えば、靭帯結合修復方法を実施するときなど、準備された骨トンネルを通して第2の固定装置14を押し出すことができる。
【0053】
図10~
図13は、
図1~
図9を引き続き参照しながら、例示的な外科手術方法内で用いられる外科手術固定システム10を概略的に示している。示した実施形態では、外科手術方法は、ヒトの足首に関与する靭帯結合修復方法である。当然のことながら、本開示の外科手術固定システム10は、他の外科手術方法に用いられ得る。
【0054】
図10~
図13は、結び目のない外科手術方法を実施するための例示的な実施形態を順次示している。以下に列挙されるよりも少ないまたは追加のステップが、本開示の範囲内で実施され得る。加えて、
図10~
図13に示されるステップの列挙された順序は、本開示を限定することを意図しない。
【0055】
まず、
図10を参照すると、骨トンネル62は、脛骨64(例えば、第1の骨)および腓骨66(例えば、第2の骨)の両方を通して形成されてもよい。骨トンネル62は、任意の適切なドリルビット68を使用して、脛骨64および腓骨66の各々を通してドリル加工されてもよい。一実施形態では、骨トンネル62は、単一のドリルビットを使用して、単一の外科手術ステップで、脛骨64および腓骨66の各々を通して形成される。骨トンネル62は、内側から横方向または横方向から内側のいずれかでドリル加工されてもよい。
【0056】
次に、
図11および12に示すように、外科手術固定システム10の第2の固定装置14は、骨トンネル62を通過してもよい。一実施形態では、針46は、第2の固定装置14を骨トンネル62を通して前進させるために、外科手術固定システム10の一部として利用され得る。針46が腓骨66および脛骨64の両方を通過すると、通過フィラメント48はさらに、第2の固定装置14を骨トンネル62を通して実質的に水平に往復運動させるために、脛骨64から横方向外側に位置して張力がかけられ得る(
図12を参照)。代替的な実施形態では、第2の固定装置14は、
図9の第2の送達装置99Bを使用して、骨トンネル62を通して水平に押し出されてもよい。
【0057】
第2の固定装置14が骨トンネル62から出ると、第2の固定装置14を反転または旋回させるために、わずかな逆牽引力が調整可能なループ16に加えられ、それによって、第2の固定装置14を脛骨64の内側皮質70に着座させる(
図13を参照)。第2の固定装置14を内側皮質70に着座させた後、第1の固定装置12は、調整可能なループ16の遊離編組ストランド20に牽引力Fを加えることによって、腓骨66の横方向の皮質72に対して締め付けられてもよい。牽引力Fは、調整可能なループ16のサイズを調整し、それによって、結び目を結ぶ必要なく足首関節の靭帯結合を減少させる。完了した靭帯結合修復を
図13に示している。
【0058】
図14を参照すると、骨プレート74は、例示的な靭帯結合修復方法を実施するための外科手術固定システム10の別の構成要素として利用され得る。一実施形態では、骨プレート74は、骨折固定に関連して、例えば、腓骨66が骨折したときなど、靭帯結合減少を実施するために利用される。
【0059】
骨プレート74は、腓骨66の外側皮質72に対する受容のために輪郭付けられてもよい。骨プレート74は、外科手術固定システムの第1の固定装置12を受容するための少なくとも1つの穴76と、ねじ込み締め具80を受容するための少なくとも1つの穴78と、を含み得る。一実施形態では、ねじ込み締め具80は、骨プレート74を腓骨66に固定するように構成された非ロックねじである。
【0060】
別の実施形態では、骨プレート74は、少なくとも2つの穴76および少なくとも2つの穴78を含む。こうした実施形態では、穴76は、穴78の間に軸方向に位置する。骨プレート74を通して形成される穴76、78の総数は、本開示を限定することを意図するものではない。
【0061】
図15は、別の例示的な外科手術方法を概略的に示している。この実施形態では、外科手術方法は、三面皮質靭帯結合修復方法である。第2の固定装置14としてねじまたは縫合アンカーを含む
図4の外科手術固定システム10は、
図15の外科手術方法を実施するために用いられてもよい。
【0062】
外科手術固定システム10の第2の固定装置14は、骨トンネル62を少なくとも部分的に通過してもよい。一実施形態では、骨トンネル62は、脛骨64の単一の(すなわち、外側)皮質のみを通るが、腓骨66の2つの皮質(すなわち、外側および内側の両方)を通って形成される。したがって、骨トンネル62は、脛骨64を部分的にのみ通過するが、腓骨66を完全に通過する。
【0063】
一実施形態では、第2の固定装置14は、
図9の第2の送達装置99Bを使用して、骨トンネル62を通して水平に押し込まれてもよく、またはねじ込まれてもよい。第2の固定装置14は、骨トンネル62の床部82の近くで脛骨64内の位置に着座するまで挿入される。
【0064】
第2の固定装置14が骨トンネル62内に完全に挿入されると、第1の固定装置12は、調整可能なループ16の遊離編組ストランド20に牽引力Fを加えることによって、腓骨66の外側皮質72に対して(または骨プレート74の穴76内で)締め付けられてもよい。牽引力Fは、調整可能なループ16のサイズを調整し、それによって、結び目を結ぶ必要なく足首関節の靭帯結合を減少させる。
【0065】
図16および
図17は、別の例示的な外科的固定システム110を示している。外科手術固定システム110は、様々な外科手術方法を実施するために使用され得る。外科手術固定システム110を使用して実施され得る外科手術方法は、例えば、破れた組織の修復または骨の再整列を伴う任意の手技を含み得る。外科手術固定システム110は、足首、足、手、肩、または膝に関連する任意の外科手術方法に使用され得る。靭帯結合、AC関節、外反母趾(すなわち、バニオン)、および尺骨側副靱帯(UCL)の修復は、本開示の外科手術固定システム110から利益を得ることができる外科手術方法のタイプの非限定的な例である。
【0066】
一実施形態では、外科手術固定システム110は、「結び目のない」外科手術方法を実施するために使用される。「結び目のない」という用語は、外科医が外科手術固定システム110内で利用される様々な可撓性材料または縫合に任意の結び目を結ぶ必要なく、外科手術方法を実施することができ、かつ完了することができることを示している。
【0067】
外科手術固定システム110は、この実施例では、第1の固定装置112、外科手術固定システム110の第2の固定装置として機能する軟質縫合構造114、および調整可能なループ116を含み得る。調整可能なループ116は、第1の固定装置112および軟質縫合構造114の各々の間に延在し、それらに接続されてもよい。
【0068】
第1の固定装置112は、第1の骨に対する皮質的骨固定を提供してもよく、軟質縫合構造114は、外科手術固定システム110の調整可能なループ116を骨トンネル内に位置付けた後、第2の骨に対する内部骨固定を提供し得る。一実施形態では、第1の固定装置112は、ボタンである。しかしながら、本開示の範囲内で、様々な他の構成を有する固定装置を、代替的に使用することができる。第1の固定装置112は、長方形であっても、丸いものであってもよく、本開示の範囲内で金属材料または高分子材料のいずれかで作製され得る。第1の固定装置112の例示的な設計は、
図18および
図19を参照して、以下にさらに詳細に説明される。
【0069】
一実施形態では、第1の固定装置112は、第1の固定装置112の本体を通して形成される1つ以上の開口部118を含む。開口部118は、調整可能なループ116を受容するように構成および配設されてもよい。開口部118の一部は、例えば、外科手術方法中に第1の固定装置112を操作もしくは操縦するために、1つ以上の追加のフィラメントを随意に担持してもよい。
【0070】
一実施形態では、調整可能なループ116は、可撓性材料で作製され、この例では、調整可能な長さおよび/または周囲を含む。調整可能なループ116は、第1の遊離編組ストランド120Aおよび第2の遊離編組ストランド120Bを含み得る。短縮ストランドとも呼ばれ得る第1および第2の遊離編組ストランド120A、120Bは、引っ張られて調整可能なループ116のサイズを縮小し得る。例えば、調整可能なループ116は、遊離編組ストランド120A、120Bを引っ張ることによって第1の方向に調整されてもよいが、加えられた内部引張力の結果として反対方向に緩むことは防止される。
【0071】
一実施形態では、第1の遊離編組ストランド120Aは、調整可能なループ116の第1のスプライスセクション122Aから延在しており、第2の遊離編組ストランド120Bは、調整可能なループ116の第2のスプライスセクション122Bから延在している。第1のスプライスセクション122Aは、第1のロック機構124A(例えば、第1のフィンガートラップ機構)を含んでもよく、第2のスプライスセクション122Bは、第2のロック機構124B(例えば、第2のフィンガートラップ機構)を含んでもよい。第1および第2のロック機構124A、124Bは、第1および第2の遊離編組ストランド120A、120Bの意図的でない緩みを実質的に防止する。調整可能なループ116は、単一の調整可能なアイスプライスループ126をさらに含んでもよく、これは、スプライスセクション122A、122Bの各々においてそれ自体を通して調整可能なループ116を形成するために使用される可撓性材料をスプライシングすることによって形成されてもよい。この実施形態では、単一のストランドは、単一の調整可能なアイスプライスループ126を形成するために、スプライスセクション122A、122Bの各々から延在している。したがって、
図16の調整可能なループ116は、2つのストランドループとみなされる。2つのストランドループ設計は、調整可能なループ116を骨トンネル内に収容するために除去する必要のある骨の量を最小化する。
【0072】
調整可能なループ116は、調整可能なループ116を完全に形成する前に、第1の固定装置112および軟質縫合構造114に接続され得る。遊離編組ストランド120A、120Bは、引っ張られて単一の調整可能なアイスプライスループ126のサイズを収縮させてもよく、したがって、調整可能なループ116の全体的なサイズを変更させる。
【0073】
次に
図16~
図19を参照すると、調整可能なループ116および第1の固定装置112は、協働して、外科手術固定システム110の第3のロック機構128を確立し得る。第1および第2のロック機構124A、124Bとは独立した第3のロック機構128は、第1の固定装置112に対する調整可能なループ116のサイズおよび位置をロックするように適合され、それによって、調整可能なループ116と第1の固定装置112との間の境界面における外科手術固定システム110の強度を増加させる。一実施形態では、第3のロック機構128は、調整可能なループ116と第1の固定装置112の特徴の組み合わせの副産物であり、一方で、第1および第2のロック機構124A、124Bは、調整可能なループ116によってのみ確立される。
【0074】
第1の固定装置112は、上面130、底面132、および上面130と底面132との間に延在している側壁134を含み得る。一緒に、上面130、底面132、および側壁134は、第1の固定装置112の本体を確立する。示した実施形態では、固定装置112の本体は、円形である。しかしながら、代替的な実施形態では、固定装置の本体は、楕円形の形状または様々な他の形状を含み得る。別の実施形態では、上面130および底面132は、実質的に平坦な表面であり、側壁134は曲面である。
【0075】
第1の開口部118A、第2の開口部118B、および第3の開口部118Cは、第1の固定装置112を通して形成されてもよく、上面130および底面132の両方を通して完全に延在してもよい。第1の開口部118Aおよび第2の開口部118Bは、互いと軸方向に整列してもよく、長手方向軸A1に沿って延在してもよく、第3の開口部118Cは、第1の開口部118Aおよび第2の開口部118Bのいずれかの側面にオフセットされてもよく、長手方向軸A2に沿って延在してもよい。一実施形態では、第1の開口部118A、第2の開口部118B、および第3の開口部118Cは、卵形形状である。しかしながら、開口部118A~118Cのサイズおよび形状は、本開示の限定を意図するものではない。
【0076】
第1の開口部118Aおよび第2の開口部118Bは、外科手術固定システム110の調整可能なループ116を受容するように構成および配設され得る。ブリッジ136は、第1の開口部118Aおよび第2の開口部118Bを互いに分離し、外科手術固定システム110の調整可能なループ116を搬送するための表面を提供し得る。ブリッジ136は、第1の固定装置112の上面130と同一平面の外面138(すなわち、外面138は、上面130に対して皿状ではない)、および例えば、第1の固定装置112の底面132に向かう方向へ分岐する一対の傾斜面140を含んでもよい。一実施形態では、ブリッジ136の外面138は、例えば、長手方向軸A1に対して略垂直である長手方向軸A3に沿って延在している(例えば、
図18を参照)。
【0077】
第3の開口部118Cは、調整可能なループ116の第1および第2の遊離編組ストランド120A、120Bを受容するための縫合戻り開口部として利用され得る。第3の開口部118Cは、第1の開口部118Aおよび第2の開口部118Bに隣接して位置してもよい。一実施形態では、ブリッジ136の外面138を通って延在している長手方向軸A3は、第3の開口部118Cの中心と交差する(例えば、
図18を参照)。
【0078】
第1の固定装置112および調整可能なループ116は、外科手術固定システム110の第3のロック機構128を確立するように構成され得る。一実施形態では、遊離編組ストランド120A、120Bは、調整可能なループ116のスプライスセクション122A、122Bから延在しており、この実施例では、(すなわち、第1の固定装置112の上面130に向かって底面132から延在している方向に)第3の開口部118Cを通って上方に通過する。次いで、遊離編組ストランド120A、120bは、例えば、ブリッジ136の上部の上に置かれ得る、調整可能なループ116の固定ループセクション142(
図17を参照)の下に通過されて(すなわち、遊離編組ストランド120は、固定ループセクション142とブリッジ136との間に通過される)、第3のロック機構128を確立し得る。
【0079】
第3のロック機構128のロック位置で、遊離編組ストランド120A、120Bは、調整可能なループ116の固定ループセクション142によってブリッジ136の外面138に対して直接的な張力で保持される。この張力は、例えば、第1の固定装置112の下方にある調整可能なループ116の任意の部分に張力T1を加えることによって生成され得る。したがって、遊離編組ストランド120A、120Bは、調整可能なループ116の単一の調整可能なアイスプライスループ126のサイズを収縮するために必要な動きのタイプに対して保持され得る。
【0080】
第3のロック機構128のロック解除された位置では、固定ループセクション142を遊離編組ストランド120A、120Bに対して保持する張力T1が解放され、それによって、遊離編組ストランド120A、120Bがブリッジ136と固定ループセクション142との間で摺動することが可能になる。固定ループセクション142によって加えられる張力が取り除かれると、張力T2が、遊離編組ストランド120A、120Bに加えられ、単一の調整可能なアイスプライスループ126のサイズを制約することができる。したがって、外科手術固定システム110によって加えられる張力は、第3のロック機構128をロック解除することによって容易に調整され得る。
【0081】
上述のように、
図116の調整可能なループ116は、2つのストランド構成を含む。しかしながら、他の調整可能なループ構成は、本開示の範囲内で追加的に企図される。
【0082】
例えば、
図20の調整可能なループ116は、可撓性材料から作製されてもよく、第1の遊離編組ストランド120Aおよび第2の遊離編組ストランド120Bを含んでもよい。第1および第2の遊離編組ストランド120A、120Bは、調整可能なループ116のサイズを小さくするために引き出されてもよい。一実施形態では、第1の遊離編組ストランド120Aは、調整可能ループ116の第1のスプライスセクション122Aから延在しており、第2の遊離編組ストランド120Bは、調整可能ループ116の第2のスプライスセクション122Bから延在している。第1のスプライスセクション122Aは、第1のロック機構124Aを含んでもよく、第2のスプライスセクション122Bは、第2のロック機構124Bを含んでもよい。第1および第2のロック機構124A、124Bは、第1および第2の遊離編組ストランド120A、120Bの意図的でない緩みを防止する。第3のロック機構128は、上述のような同様の様式で、第1の固定装置112と調整可能なループ116との間の境界面に確立され得る。
【0083】
調整可能なループ116は、2つの調整可能なアイスプライスループ126A、126Bを追加的に含んでもよい。2つの調整可能なアイスプライスループ126A、126Bは、相互接続135で相互リンクされ得る。2つの調整可能なアイスプライスループ126A、126Bは、それ自体を通して(すなわち、スプライスセクション122A、122Bの各々を通して)調整可能なループ116を形成する可撓性材料をスプライシングすることによって形成され得る。この実施形態では、2つのストランドは、スプライスセクション122A、122Bの各々から延在して、調整可能なアイスプライスループ126A、126Bの各々を形成する。したがって、調整可能なループ116は、4つのストランドループとみなされる。
図20の調整可能なループ116のストランドの増加量は、外科手術固定システム110によって提供され得る全体的な固定強度を増加させ得る。
【0084】
さらに別の実施形態では、
図21に示すように、調整可能なループ116は、第1の遊離編組ストランド120Aおよび第2の遊離編組ストランド120Bを含み得る。第1および第2の遊離編組ストランド120A、120Bは、調整可能なループ116のサイズを小さくするために引き出されてもよい。一実施形態では、第1の遊離編組ストランド120Aは、調整可能なループ116の第1のスプライスセクション122Aから延在しており、第2の遊離編組ストランド120Bは、調整可能なループ116の第2のスプライスセクション122Bから延在している。第1および第2のスプライスセクション122A、122Bは、この実施形態では、第1の固定装置112からの調整可能なループ116の対向する端部に位置付けられている。
【0085】
第1のスプライスセクション122Aは、第1のロック機構124Aを含んでもよく、第2のスプライスセクション122Bは、第2のロック機構124Bを含んでもよい。第1および第2のロック機構124A、124Bは、第1および第2の遊離編組ストランド120A、120Bの意図的でない緩みを防止する。第3のロック機構128は、上述のような同様の様式で、第1の固定装置112と調整可能なループ116との間の境界面に確立され得る。
【0086】
図21の調整可能なループ116は、2つの調整可能なアイスプライスループ126A、126Bを追加的に含んでもよい。2つの調整可能なアイスプライスループ126A、126Bは、相互接続135で相互リンクされ得る。2つの調整可能なアイスプライスループ126A、126Bは、それ自体を通して(すなわち、スプライスセクション122A、122Bの各々を通して)調整可能なループ116を形成する可撓性材料をスプライシングすることによって形成され得る。この実施形態では、3つのストランドは、スプライスセクション122A、122Bの各々から延在して、調整可能なアイスプライスループ126A、126Bの各々を形成する。したがって、調整可能なループ116は、6つのストランドループとみなされる。
図21の調整可能なループ116のストランドの増加量は、外科手術固定システム110によって提供され得る全体的な固定強度をさらに増加させ得る。
【0087】
ここで
図16、
図17および
図22を参照すると、外科手術固定システム110の軟質縫合構造114は、シース146と、シース146を通してねじ込みされて、調整可能なループ150を形成し得る、1つ以上の可撓性ストランド148と、を含み得る。この実施形態では、軟質縫合構造114の調整可能なループ150は、外科手術固定システム110の調整可能なループ116から完全に別個のループである。言い換えれば、調整可能なループ116および調整可能なループ150は、この実施形態では、別個の異なるフィラメントから作製される。しかしながら、調整可能なループ116および調整可能なループ150が、同じフィラメントから作製される他の実施形態がまた企図される(例えば、
図24の実施形態を参照)。
【0088】
シース146は、対向する端部154A、154Bの間に延在している管状本体152を含み得る。対向する端部154A、154Bは、開放端部であってもよい。管状本体152は、対向する端部154A、154Bの間に延在している穴156を確立する。穴156は、調整可能なループ116および調整可能なループ150の両方の部分を収容するように構成され得る。
【0089】
一実施形態では、シース146は、糸、繊維、フィラメント、縫合、もしくは他の類似の材料、またはこれらの材料の組合せからなる編組、織布、または編組構造などの可撓性材料から作製された管状スリーブである。別の実施形態では、シース146は、ポリエステル縫合材料から構築される。しかしながら、他の可撓性材料はまた、シース146を構築するのに好適であり得る。
【0090】
別の実施形態では、調整可能なループ150を形成するために使用される可撓性ストランド148は、縫合などのフィラメントである。好適な縫合の非限定的な例としては、Arthrex,Inc.から各々入手可能である、FiberWire(登録商標)、TigerWire(登録商標)、またはFiberChain(登録商標)縫合が含まれるが、コアドまたはコアレスの縫合を含む、任意のタイプの縫合が利用され得る。別の実施形態では、可撓性ストランド148は、Arthrex,Inc.からまた入手可能である、FiberTape(登録商標)、またはSutureTape(登録商標)などの平坦な縫合である。可撓性ストランド148は、任意の軟質の可撓性の材料のストランドを含み得る。
【0091】
可撓性ストランド148は、可撓性ストランド148を調整可能なループ150内に構成するために、1つ以上のパスで穴156を通じてねじ込まれてもよい。一実施形態では、可撓性ストランド148は、シース146の対向する端部154A、154Bを通って管状本体152から出てもよい。別の実施形態では、可撓性ストランド148は、対向する端部154A、154Bから間隔を置いた場所で、シース146の壁部分を通してスプライシングされてもよい。
【0092】
調整可能なループ150は、可撓性ストランド148内に固定縫合部分155(例えば、結び目)を形成することによって、シース146に対して定位置に保持され得る。一実施形態では、固定縫合部分155は、可撓性ストランド148の端部に形成される。固定縫合部分155は、一実施例では結び目の形態を取り得るが、外科医は外科手術方法中に結び目を形成する必要がないため、外科手術固定システム110は、依然として、「結び目のない」固定を提供するとみなされる。固定縫合部分155は、代わりに製造工程中に形成されてもよい。
【0093】
可撓性ストランド148は、1つ以上のスプライスセクション158でそれ自体を通してスプライシングされて、調整可能なループ150を形成してもよい。各スプライスセクション158は、外科手術固定システム110の第4のロック機構を確立し得る、ロック機構160(例えば、別のフィンガートラップ機構)を含み得る。一実施形態では、スプライスセクション158は、シース146の穴156内部に少なくとも部分的に位置付けられてもよい。遊離編組ストランド162は、スプライスセクション158から延在してもよく、張力がかけられて、調整可能なループ150のサイズを収縮してもよい。
【0094】
遊離編組ストランド162の張力は、軟質縫合構造114が骨トンネル内に挿入された後に、内部骨固定を達成するためにシース146を展開させるのをさらに助け得る。例えば、遊離編組ストランド162の張力は、シース146がバンチアップし、したがって、軟質縫合構造114を骨トンネル内部に固定するために形状を崩壊、拡張、および/または変更させ得る。
【0095】
別の実施形態では、調整可能なループ150の遊離編組ストランド162は、例えば、調整可能なループ116のスプライスセクション122A、122Bのうちの1つを通して遊離編組ストランド162をスプライシングすることによって、任意に、調整可能なループ116のロック機構124A、124Bのうちの1つを通して移動されてもよい(
図17を参照)。この追加のスプライシングは、軟質縫合構造114の固定強度および全体的な機械的安定化能力を改善することができる。ロック機構124Aまたは124Bを通して移動された後、遊離編組ストランド162は、この実施例では、第1の固定装置112の第3の開口部118Cを上方に、次いで、調整可能なループ116の固定ループセクション142の下に通過させてもよい。したがって、軟質縫合構造114の調整可能なループ150の遊離編組ストランド162は、調整可能なループ150のサイズを拘束するために必要な動きのタイプに対して、張力で遊離編組ストランド162を解放可能に保持するために、第3のロック機構128に連結されてもよい。
【0096】
図16、
図17および
図22に示す軟質縫合構造114は、外科手術固定システム110内で使用するための1つの例示的な構造である。しかしながら、他の軟質縫合構造の構成が、本開示の範囲内で追加的に企図される。
【0097】
例えば、
図23の軟質縫合構造114は、シース146と、第1の調整可能なループ部分150Aおよび第2の調整可能なループ部分150Bの両方を含む調整可能なループ150を形成するためにシース146にねじ込まれた可撓性ストランド148と、を含み得る。2つの調整可能なループ部分が
図23に示されているが、可撓性ストランド148は、調整可能なループ150内の任意の量の調整可能なループ部分を形成するために、穴156を通過することができる。可撓性ストランド148は、第1および第2の調整可能なループ部分150A、150Bを形成するために、シース146の穴156を複数回通過させてもよい。
【0098】
一実施形態では、第2の調整可能なループ部分150Bは、第1の調整可能なループ部分150Aよりも短い初期ループ長さを含む。調整可能なループ部分150A、150Bは、可撓性ストランド148内に固定縫合部分155(例えば、結び目)を形成することによって、シース146に対して定位置に保持され得る。
【0099】
可撓性ストランド148は、1つ以上のスプライスセクション158でそれ自体を通してスプライシングされて、第1および第2の調整可能なループ部分150A、150Bを形成してもよい。スプライスセクション158は各々、外科手術固定システム110の追加的なロック機構(例えば、第4、第5など)を確立するために組み込まれ得る、ロック機構160(例えば、フィンガートラップ機構)を含み得る。単一の遊離編組ストランド162は、スプライスセクション158から延在してもよく、張力がかけられて、第1および第2の調整可能なループ部分150A、150Bのサイズを収縮してもよい。
【0100】
遊離編組ストランド162の張力は、軟質縫合構造114が骨トンネルに挿入された後に、内部骨固定を達成するためにシース146を追加的に展開し得る。例えば、遊離編組ストランド162の張力は、調整可能なループ部分150A、150Bの各々のサイズを調整し、それによって、シース146がバンチアップし、したがって、軟質縫合構造114を骨トンネル内部に固定するために形状を崩壊、拡張、および/または変更させ得る。調整可能なループ150内に2つ以上の調整可能なループ部分を提供することは、内部骨固定の改善を達成するために、シース146をより簡単に展開させるのを助け得る。
【0101】
図24は、外科手術固定システム110の一部として用いられ得る、別の例示的な軟質縫合構造114を示している。上述の構造と同様に、
図24の軟質縫合構造114は、シース146および調整可能なループ150を含み得る。しかしながら、この実施形態では、調整可能なループ150は、調整可能なループ116を形成する同一の可撓性材料の一部であり、それらによって確立される。例えば、調整可能なループ116を完全に形成する前に、調整可能なループ116の可撓性材料を、調整可能なループ150を形成する様式でシース146の穴156を通過させてもよい。
【0102】
調整可能なループ150は、シース146の対向する端部154A、154B間の距離をブリッジする、ブリッジストランド164を含み得る。調整可能なループ150は、固定縫合部分155をブリッジストランド164内に形成することによって、シース146に対して定位置に保持され得る。
【0103】
調整可能なループ150を形成するために使用される可撓性ストランドの部分は、スプライスセクション158でそれ自体を通してスプライシングされて、調整可能なループ150を形成してもよい。スプライスセクション158は、外科手術固定システム110の別のロック機構を確立するために組み込まれ得る、ロック機構160(例えば、フィンガートラップ機構)を含み得る。一実施形態では、スプライスセクション158は、シース146の穴156内部に少なくとも部分的に位置付けられてもよい。単一の遊離編組ストランド162は、スプライスセクション158から延在してもよく、張力がかけられて、調整可能なループ150のサイズを収縮し、調整可能なループ116のサイズを収縮してもよい。
【0104】
遊離編組ストランド162の張力は、軟質縫合構造114が骨トンネル内に挿入された後に、内部骨固定を達成するためにシース146を展開させるのを助け得る。例えば、遊離編組ストランド162の張力は、調整可能なループ150のサイズを調整し、それによって、シース146がバンチアップし、したがって、軟質縫合構造114を骨トンネル内部に固定するために形状を崩壊、拡張、および/または変更させ得る。
【0105】
別の実施形態では、
図24の調整可能なループ150の遊離編組ストランド162は、例えば、調整可能なループ116のスプライスセクション122A、122Bのうちの1つを通して遊離編組ストランド162をスプライシングすることによって、任意に、調整可能なループ116のロック機構124A、124Bのうちの1つを通して移動されてもよい(
図17を参照)。この追加のスプライシングは、軟質縫合構造114の固定強度および全体的な機械的安定化能力を改善することができる。ロック機構124Aまたは124Bを通して移動された後、遊離編組ストランド162は、この実施例では、第1の固定装置112の第3の開口部118Cを上方に、次いで、調整可能なループ116の固定ループセクション142の下に通過させてもよい。したがって、遊離編組ストランド162は、調整可能なループ150および調整可能なループ116のサイズを拘束するために必要な動きのタイプに対して、張力で遊離編組ストランド162を解放可能に保持するために、第3のロック機構128に連結されてもよい。
【0106】
別の例示的な軟質縫合構造114を
図25に示している。この実施形態では、軟質縫合構造114は、シース146と、
図22の調整可能なループ150および
図23の調整可能なループ150の両方と、を含み得る。したがって、軟質縫合構造114は、2つ以上の別個の調整可能なループ150を含んでもよく、各調整可能なループ150は、それ自体の固定縫合部分155および遊離編組ストランド162を含む。
【0107】
一実施形態では、調整可能なループ150の固定縫合部分155は、シース146の同じ端部上に位置する(
図25の端部154Bを参照)。別の実施形態では、固定縫合部分155は、シース146の対向する端部上に位置する(
図26を参照)。
【0108】
別の実施形態では、
図27に示すように、軟質縫合構造114は、調整可能なループ116および調整可能なループ150に加えて、シース146を通過する1つ以上のフィラメント166を追加的に含み得る。フィラメント166は、例えば、調整可能なループ116および調整可能なループ150から分離した縫合または縫合テープであってもよい。フィラメント166は、外科手術固定システム110を使用するときに、追加の固定/展開オプションを提供し得る。追加的なフィラメント166は、外科手術固定システムの任意の単一ストランドに対する全体的な応力をさらに低減し、それによって、全体的な動的機械的安定性を改善し、より高い最終的破壊強度を達成し得る。
【0109】
図28は、複数の軟質縫合構造114が、それらのそれぞれの調整可能なループ150を介して互いに連結され得る、さらに別の構成を示している。一実施形態では、軟質縫合構造114のうちの2つ以上は、異なるアンカーリング固定点の間に複数の調整可能なループブリッジを提供するために、互いに連結されてもよい。
【0110】
図29は、骨トンネル168内部の展開状態にある、
図16および
図17の外科手術固定システム110の軟質縫合構造114を示している。軟質縫合構造114を骨トンネル168内に位置付けた後、遊離編組ストランド162に張力をかけて、軟質縫合構造114を展開してもよい。遊離編組ストランド162に張力をかけると、軟質縫合構造114のシース146がバンチアップし、それによって、骨トンネル168内部にアンカーリングクラスタ170が形成される。アンカーリングクラスタ170は、骨トンネル168が形成される骨内部の軟質縫合構造114の固定を促進する。
【0111】
図30~
図35は、
図16~
図29を引き続き参照しながら、例示的な外科手術方法内で用いられる外科手術固定システム110を概略的に示している。示した実施形態では、外科手術方法は、ヒトの足首に関与する三面皮質靭帯結合修復方法である。当然のことながら、本開示の外科手術固定システム110は、他の外科手術方法に用いられ得る。
【0112】
図30~
図35は、結び目のない外科手術方法を実施するための例示的な実施形態を順次示している。以下に列挙されるよりも少ないまたは追加のステップが、本開示の範囲内で実施され得る。加えて、
図30~
図35に示されるステップの列挙された順序は、本開示を限定することを意図しない。
【0113】
まず
図30を参照すると、骨トンネル180は、腓骨182(例えば、第1の骨)を通して、および部分的に脛骨184(例えば、第2の骨)を通して形成され得る。実施形態では、骨トンネル180は、脛骨184の単一の(すなわち、外側)皮質のみを通るが、腓骨182の2つの皮質(すなわち、外側および内側の両方)を通って形成される。したがって、骨トンネル180は、脛骨184を部分的にのみ通過するが、腓骨182を完全に通過する。骨トンネル180は、任意の適切なドリルビット186を使用してドリル加工されてもよい。一実施形態では、骨トンネル180は、単一のドリルビットを使用して、単一の外科手術ステップで、腓骨182および脛骨184のそれぞれ内に形成される。
【0114】
次に、
図31に示すように、外科手術固定システム110の軟質縫合構造114は、骨トンネル180内に前進され得る。軟質縫合構造114は、腓骨182内に形成された骨トンネル180の部分を通して水平に押し出され、その後、送達装置188を使用して、脛骨184内に形成された骨トンネル180の部分内に押し込まれてもよい。軟質縫合構造114は、脛骨184の内側に位置する骨トンネル180の部分の床部190の近くに着座するまで押し出され得る。
【0115】
軟質縫合構造114の調整可能なループ150の遊離編組ストランド162は、軟質縫合構造114を展開して、骨トンネル180内部に内部骨固定を達成するために、遊離編組ストランド162に牽引力F1を加えることによって次に張力がかけられ得る(
図32を参照)。上述したように、遊離編組ストランド162の張力は、調整可能なループ150のサイズを調整し、それによって、シース146がバンチアップし、したがって、軟質縫合構造114を骨トンネル180内部に固定するために形状を崩壊、拡張、および/または変更させる。
【0116】
軟質縫合構造114が脛骨184内部の骨トンネル180の部分内に完全に展開されると、第1の固定装置112は、調整可能なループ116の遊離編組ストランド120A、120Bに牽引力F2を加えることによって、腓骨182の外側皮質192に対して締め付けられ得る(
図33を参照)。牽引力Fは、調整可能なループ116のサイズを調整し、それによって、結び目を結ぶ必要なく足首関節の靭帯結合を減少させる。
【0117】
独立した張力調整は、随意に、外科医の好みに従って修復を最適化するために、遊離編組ストランド120A、120Bおよび遊離編組ストランド162に適用されてもよい(
図34を参照)。次に、遊離編組ストランド120A、120B、および162は、第1の固定装置112の近くの場所で外科手術固定システム110から切断されてもよい。完了した靭帯結合修復を
図35に示している。
【0118】
図36を参照すると、骨プレート194は、例示的な靭帯結合修復方法を実施するための外科手術固定システム110の別の構成要素として利用され得る。一実施形態では、骨プレート194は、骨折固定に関連して、例えば、腓骨182が骨折したときなど、靭帯結合減少を実施するために利用される。
【0119】
骨プレート194は、細骨182の外側皮質192に対する受容のために輪郭付けられてもよい。骨プレート194は、外科手術固定システム110の第1の固定装置112を受容するための少なくとも1つの穴196と、ねじ込み締め具100を受容するための少なくとも1つの穴198と、を含み得る。一実施形態では、ねじ込み締め具100は、骨プレート194を腓骨182に固定するように構成された非ロックねじである。
【0120】
別の実施形態では、骨プレート194は、少なくとも2つの穴196および少なくとも2つの穴198を含む。こうした実施形態では、穴196は、穴198の間に軸方向に位置する。骨プレート194を通して形成される穴196、198の総数は、本開示を限定することを意図するものではない。
【0121】
図37は、別の例示的な外科手術方法を概略的に示している。この実施形態では、外科手術方法は、肩峰鎖骨(AC)関節修復方法である。
【0122】
骨トンネル102は、鎖骨104を通して、少なくとも部分的に肩甲骨のコラコイドプロセス106内に準備されてもよい。外科手術固定システム110の軟質縫合構造114は、骨トンネル102内に前進され得る。軟質縫合構造114は、鎖骨104内に形成された骨トンネル102の部分を通って、その後、コラコイドプロセス106内に形成された骨トンネル102の部分内に長手方向に押し込まれてもよい。軟質縫合構造114は、骨トンネル102の床部108の近くに着座するまで押され得る。
【0123】
軟質縫合構造114の調整可能なループ150の遊離編組ストランド162は、軟質縫合構造114を展開して、骨トンネル102内部に内部骨固定を達成するために、遊離編組ストランド162に牽引力を加えることによって次に張力がかけられ得る。軟質縫合構造114がコラコイドプロセス106内部の骨トンネル102の部分内に完全に展開されると、第1の固定装置112は、調整可能なループ116の遊離編組ストランド120A、120Bに牽引力を加えることによって、鎖骨104の上面109に対して締め付けられ得る。牽引力は、調整可能なループ116のサイズを調整し、それによって、鎖骨104とコラコイドプロセス106との間の間隔を減少させる。
【0124】
図38および
図39は、さらに別の例示的な外科的固定システム210を示している。外科手術固定システム210は、様々な外科手術方法を実施するために使用され得る。外科手術方法は、例えば、破れた組織の修復または骨の再整列を伴う任意の手技を含み得る。外科手術固定システム210は、足首、足、手、肩、または膝に関連する任意の外科手術方法に使用され得る。ACLおよびPCLの修復および再構成は、外科手術固定システム210から特に利益を得ることができる外科手術方法のタイプの非限定的な例である。一実施形態では、外科手術固定システム210は、外科医が外科手術方法中に利用される様々な可撓性材料または縫合において結び目を結ぶことを必要とせずに実施することができる、「結び目のない」外科手術方法を実施するために使用される。しかしながら、外科医は、必要に応じて結び目を結んでもよい。
【0125】
外科手術固定システム210は、一実施形態では、第1の固定装置212、および第1の固定装置212に接続された調整可能なループ216を含み得る。
図38および
図39の第1の固定装置212とともに図示されたが、調整可能なループ216、または本開示に記載される他の例示的な調整可能なループのうちのいずれかは、単独で使用して、本開示の範囲内で結び目のない外科手術方法を行うことができる。
【0126】
第1の固定装置212は、外科手術固定システム210の調整可能なループ216が、例えば、大腿骨または脛骨骨トンネルなどの骨トンネル内に位置付けられた後、第1の骨に対して皮質的骨固定を提供し得る。一実施形態では、第1の固定装置212は、ボタンである。しかしながら、様々な他の構成を有する固定装置を、代替的に使用することができる。第1の固定装置212は、長方形であっても、丸いものであってもよく、金属材料または高分子材料のいずれかで作製され得る。
【0127】
一実施形態では、第1の固定装置212は、第1の固定装置212の本体を通して形成される1つ以上の開口部218を含む。開口部218は、調整可能なループ216を受容するように構成および配設されてもよい。開口部218の一部は、第1の固定装置212を操作もしくは操縦するため、または外科手術方法中に固定を増強するために、1つ以上の追加のフィラメントを随意に担持してもよい。例えば、通過フィラメント248は、開口部218のうちの1つにねじ込まれ、調整可能なループ216に加えて第1の固定装置212によって担持され得る。さらに、この実施形態には示されていないが、追加の固定装置は、随意に調整可能なループ216に接続され得る。
【0128】
一実施形態では、調整可能なループ216は、可撓性材料で作製され、調整可能な長さおよび/または周囲を含み得る。調整可能なループ216は、第1の遊離編組ストランド220Aおよび第2の遊離編組ストランド220Bを含み得る。第1および第2の遊離編組ストランド220A、220Bは、調整可能なループ216のサイズを小さくするために引き出されてもよい。一実施形態では、第1の遊離編組ストランド220Aは、調整可能なループ216の第1のスプライスセクション222Aから延在しており、第2の遊離編組ストランド220Bは、調整可能なループ216の第2のスプライスセクション222Bから延在している。第1のスプライスセクション222Aは、第1のロック機構224Aを含んでもよく、第2のスプライスセクション222Bは、第2のロック機構224Bを含んでもよい。第1および第2のロック機構224A、224Bは、第1および第2の遊離編組ストランド220A、220Bの意図的でない緩みを防止する。
【0129】
調整可能なループ216は、2つの調整可能なアイスプライスループ226A、226B(
図39に最もよく示されている)を追加的に含んでもよい。2つの調整可能なアイスプライスループ226A、226Bは、相互接続235で相互リンクされ得る。2つの調整可能なアイスプライスループ226A、226Bは、それ自体を通して(すなわち、スプライスセクション222A、222Bの各々を通して)調整可能なループ216を形成する可撓性材料をスプライシングすることによって形成され得る。この実施形態では、2つのストランドは、スプライスセクション222A、222Bの各々から延在して、調整可能なアイスプライスループ226A、226Bの各々を形成する。したがって、調整可能なループ216は、4つのストランドループとみなされる。しかしながら、調整可能なループ216は、限定されるものではないが、
図1の調整可能なループと類似した2つのストランド構成、
図7の調整可能なループと類似した6つのストランド構成、または任意の他の構成を含む、様々な他の構成で構成され得る。
【0130】
調整可能なループ216は、調整可能なループ216を完全に形成する前に、第1の固定装置212に接続され得る。第1および第2の遊離編組ストランド220A、220Bは、引っ張られて調整可能なアイスプライスループ226A、226Bのサイズを収縮させてもよく、したがって、調整可能なループ216の全体的なサイズを変更し得る。
【0131】
調整可能なループ216は、調整可能なループ216の可撓性材料が、平坦なセクション283と丸みのある(すなわち、管状)セクション285との間で遷移する、1つ以上の遷移領域281をさらに含み得る。したがって、調整可能なループ216は、平坦な丸みのある構成を有する、平坦な丸みのある調整可能なループ構造と呼んでもよい。
【0132】
一実施形態では、第1および第2の遊離編組ストランド220A、220Bおよび調整可能なアイスプライスループ226A、226Bは、調整可能なループ216の平坦なセクション283を確立し、第1および第2のスプライスセクション222A、222Bは、調整可能なループ216の丸みのあるセクション285を確立する。調整可能なループ216の平坦な丸みのある構成は、多数の利益および利点を提供し得る。例えば、調整可能なアイスプライスループ226A、226Bの比較的広い平坦なセクション283は、移植片を受容するための表面積の増加を提供し、相互接続235上にループされると、移植片上で「より軟質もの」となる。さらに、第1および第2の遊離編組ストランド220A、220Bの比較的広い平坦なセクション285は、把持のための表面積の増加を提供し、外科医または他の外科手術スタッフによって把持されたときに、従来的な縫合よりも概して研削性が低い。さらに、第1および第2の遊離編組ストランド220A、220Bの平坦なセクション285は、第1および第2のスプライスセクション222A、222Bの丸みのあるセクション285の管状断面内により容易に収容され、それによって、スプライシングプロセスおよび調整可能なループ216の全体的な使用が簡素化される。
【0133】
図40は、調整可能なループ216、または本明細書に記載される他の調整可能なループのうちのいずれかを形成するために使用され得る、例示的な可撓性ストランド287を示している。可撓性ストランド287は、平坦なセクション289および1つ以上の丸みのあるセクション291の両方を含む、縫合または任意の他の軟質の可撓性の材料のフィラメントであってもよい。平坦なセクション289および丸みのあるセクション291の両方は、一実施形態では、編組されてもよい。平坦なセクション289は、平坦な縫合テープの形状および構成に類似してもよく、丸みのあるセクション291は、コアドまたはコアレスの管状縫合の形状および構成に類似してもよい。所望のスプライシング動作が可撓性ストランド287上で実施されると、平坦なセクション289は、調整可能なループ216の平坦なセクション283を確立し、丸みのあるセクション291は、調整可能なループ216の丸みのあるセクション285を確立する。平坦なセクション289は、スプライシング動作中に、丸みのあるセクション291内に形成される、または丸みのあるセクション291の個々の編組の間に形成される、予め形成された開口を通って経路付けられてもよい。
【0134】
一実施形態では、丸みのあるセクション291は、2つの平坦なセクション289の間に配置された可撓性ストランド287の中央セクションである(
図40を参照)。別の実施形態では、可撓性ストランド287は、平坦なセクション289と丸みのあるセクション291とをその全長にわたって交互に配置する(
図41を参照)。可撓性ストランド287内に設けられる平坦なセクション289および丸みのあるセクション291の総数は、調整可能なループ216の設計に応じて変化し得る。したがって、可撓性ストランド287に対する他の構成が、本開示の範囲内でさらに企図される。さらに、
図40および
図41の可撓性ストランド287は縮尺通りに描かれておらず、したがって、平坦なセクション289と丸みのあるセクション291との間の相対的な割合は、本開示を限定することを意図するものではない。
【0135】
図42は、
図38~41を引き続き参照しながら、例示的な外科手術方法内で用いられる外科手術固定システム210を概略的に示している。示した実施形態では、外科手術方法は、ヒトの膝を含むACL再構成方法である。しかしながら、本開示は、ACL再構成手技に限定されず、外科手術固定システム210は、本開示の範囲内の様々な修復および/または再構成方法に使用され得ることを理解されたい。
【0136】
外科手術固定システム210は、関節245(例えば、膝関節)内に移植されて、破れた組織(例えば、破れたACL)を修復してもよい。外科手術固定システム210を関節245内に位置付ける前に、第1の骨トンネル293(例えば、ソケットまたは通路)は、第1の骨295(例えば、大腿骨)内に形成され、第2の骨トンネル297(例えば、ソケットまたは通路)は、第2の骨299(例えば、脛骨)内に形成される。第1の骨トンネル293および第2の骨トンネル297は、既知のドリル技術を使用して形成されて、外科手術固定システム210を収容するために第1および第2の骨295、299内に空隙を確立してもよい。
【0137】
例示的な実施形態では、外科手術固定システム210は、固定装置212を第1の骨トンネル293および第2の骨トンネル297に通すことによって移植される。固定装置212は、通過フィラメント248を使用して第1および第2の骨トンネル293、297を通過してもよく、通過フィラメント248上で張力が解放されると、第1の骨295の皮質上に自己反転するように構成されている。
【0138】
固定デバイス212を通過させ、反転させた後、調整可能なループ216は、第1の骨トンネル293内に位置決めされる。遊離編組ストランド220A、220Bは、調整可能なループ216のサイズを調整し、第1の骨トンネル293内の移植片300の位置決めを支援するために引き出されてもよい。調整可能なループ216は、第1の骨トンネル293および第2の骨トンネル297の部分内に移植片300を懸架してもよい。移植片300は、軟部組織移植片、骨-腱-骨(BTB)移植片、または任意の他の適切な移植片であり得る。
【0139】
第2の骨299に対する移植片300の固定は、様々な方法で達成され得る。例えば、移植片300は、干渉ねじ、縫合アンカー、またはボタンなどの追加の固定装置を使用して、第2の骨トンネル297内に固定され得る。
【0140】
本開示の外科手術固定システムは、結び目のない、調整可能な縫合ループベースの関節鏡下軟組織修復装置、ならびに関節の安定化、組織修復、組織再構成、および他の同様の外科的方法を実施するための関連する方法を提供する。いくつかの実施形態では、例示的な外科手術固定システムは、固定強度を増加させるための2つ以上のロック機構の組み合わせを提供する。構造の安定性の向上は、複数のループストランドを必要とする分離されたボタンまたは縫合ロックされた構造と比較して、類似の強度を達成するために、装填されたストランドの数(例えば、2つのストランドループ設計)の減少を可能にする。2つのストランドループ実施形態の縮小された縫合ループ材料はまた、骨トンネル直径を減少し、それによって、修復/再構成誘発組織(例えば、骨)の骨折/破壊のリスクを低減することができる。
【0141】
他の実施形態では、例示的な外科手術固定システムは、移植後の調整可能なループの保持能力を提供することによって、修復/再構成の最適化を提供し得る。保持機能は、一次固定後の外科医にとってより柔軟な術中の取り扱いオプションを提供し、これは、結び目を作ることによって達成される最終固定と比較して有益である。調整可能な縫合ループ構造内の単一のループ張力および均等な負荷分布は、縫合ループの過負荷のリスクを減少させる。
【0142】
他の実施形態では、例示的な外科手術固定システムは、独立した軟質縫合構造の配置および組織修復/再構成を達成するための別個のロック機構を有する少なくとも2つの調整可能な長さのループを含み得る。提案された外科手術固定システム設計の別個のロック機構は、調整可能なループ構造における張力の維持を可能にし、それによって、軟質縫合構造の引き抜き強度を改善する。さらに、軟質縫合構造の内部骨の固定および全体的な機械的安定化の改善は、軟質縫合構造の調整可能なループの遊離編組ストランドを、独立した修復/再構成調整可能なループのロック機構を介して移動させることによって達成され得る。
【0143】
他の実施形態では、例示的な外科手術固定システムは、平坦な丸みのある調整可能なループ構造を採用してもよい。調整可能なループの平坦な丸みのある構成は、強度の増加、移植片受容表面積の増加、およびループ短縮ストランドの担持改善のための表面積の増加を提供する。
【0144】
異なる非限定的な実施形態が、特定の構成要素またはステップを有するものとして例示されているが、本開示の実施形態は、それらの特定の組み合わせに限定されない。非限定的な実施形態のいずれかからの構成要素または特徴のいくつかを、他の非限定的な実施形態のいずれかからの特徴または構成要素と組み合わせて使用することが可能である。
【0145】
同様の参照番号は、いくつかの図面全体にわたって、対応するまたは同様の要素を識別すると理解されたい。これらの例示的な実施形態では、特定の構成要素構成が開示され、例示されるが、他の構成もまた、本開示の教示から利益を得ることができるとさらに理解されたい。
【0146】
前述の説明は、例示的であり、いかなる限定的な意味でも解釈されないものとする。当業者は、特定の修正が、本開示の範囲内であり得ると理解するだろう。これらの理由により、以下の特許請求の範囲が、本開示の真の範囲および内容を決定するために研究されるべきである。
【符号の説明】
【0147】
10 外科手術固定システム
12 第1の固定装置
14 第2の固定装置
16 ループ
18 開口部
19 開口部
20 遊離編組ストランド
22 スプライスセクション
24 第1のロック機構
25 縫合テープ
26 アイスプライスループ
28 第2のロック機構、第3のロック機構
30 上面
32 底面
34 側壁
35 相互接続
36 ブリッジ
38 外面
40 傾斜面
42 固定ループセクション
44 フィラメント
46 針
48 通過フィラメント
50 ハンドル
52 シャフト
54 スロット
56 遠位端
58 遠位端
60 解放機構
62 骨トンネル
64 脛骨
66 腓骨
68 ドリルビット
70 内側皮質
72 皮質
74 骨プレート
76 穴
78 穴
80 ねじ込み締め具
82 床部
99A 第1の送達装置
99B 第2の送達装置