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特許7488286ソーラパネル付きの電気またはハイブリッドの輸送手段
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】ソーラパネル付きの電気またはハイブリッドの輸送手段
(51)【国際特許分類】
   B60L 8/00 20060101AFI20240514BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240514BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20240514BHJP
   B60L 9/18 20060101ALI20240514BHJP
   B60L 50/50 20190101ALI20240514BHJP
【FI】
B60L8/00
H02J7/00 P
H02J7/35 K
B60L9/18 J
B60L50/50
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021568067
(86)(22)【出願日】2020-05-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-14
(86)【国際出願番号】 EP2020063201
(87)【国際公開番号】W WO2020229475
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2023-05-10
(31)【優先権主張番号】2023114
(32)【優先日】2019-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】523281892
【氏名又は名称】ライトイヤー・イーペーセーオー・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】トム・コーイマン
【審査官】上野 力
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0043923(US,A1)
【文献】特表2012-515526(JP,A)
【文献】国際公開第2010/083408(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0088081(US,A1)
【文献】国際公開第2013/018826(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/102458(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 8/00
H02J 7/00
H02J 7/35
B60L 9/18
B60L 50/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電圧バス(114)と低電圧バス(128)とを備える電気またはハイブリッドの輸送手段であって、前記高電圧バスは、少なくとも1つの推進モータ(118)にエネルギーを送出するためのものであり、前記低電圧バスは、低電圧において動作する部分(130、132)にエネルギーを送出するためのものであり、前記電気またはハイブリッドの輸送手段には、ソーラパネルが装備され、前記ソーラパネルは、1つまたは複数のストリングを備え、各ストリングは、ソーラ電池の複数のグループ(102)を備え、前記グループは、直列に接続され、各グループは、多数のソーラ電池を備え、各グループは、関連する分散型最大電力点追従装置(104)の一次バスに接続され、前記分散型最大電力点追従装置は、他の分散型最大電力点追従装置とエネルギーを交換するための二次バス(108)を有し、したがって、前記分散型最大電力点追従装置は、前記分散型最大電力点追従装置が関連付けられる前記グループを通る電流を変えることができ、その結果、各グループを通る前記電流は、同じストリングの一部である他のグループを通る電流とは異なることができる、電気またはハイブリッドの輸送手段において、
少なくとも1つの前記分散型最大電力点追従装置の前記二次バス(108)が、前記低電圧バス(128)に接続され、それによって前記二次バス(108)を介した前記高電圧バス(114)から前記低電圧バス(128)への電力の伝達を可能にすることを特徴とする、電気またはハイブリッドの輸送手段。
【請求項2】
前記1つまたは複数のストリングの出力部が、ストリング電圧バス(106)に接続される、請求項1に記載の電気またはハイブリッドの輸送手段。
【請求項3】
前記ストリング電圧バス(106)を前記高電圧バス(114)に接続するDC/DC変換器(112)をさらに備える、請求項2に記載の電気またはハイブリッドの輸送手段。
【請求項4】
前記分散型最大電力点追従装置を制御するように構成された分散型最大電力点追従装置コントローラ(134)をさらに備える、請求項3に記載の電気またはハイブリッドの輸送手段。
【請求項5】
前記分散型最大電力点追従装置コントローラ(134)が、前記DC/DC変換器(112)を制御するように構成される、請求項4に記載の電気またはハイブリッドの輸送手段。
【請求項6】
前記分散型最大電力点追従装置コントローラ(134)が、前記高電圧バス(114)から前記低電圧バス(128)への電力の伝達を制御するように構成される、請求項4に記載の電気またはハイブリッドの輸送手段。
【請求項7】
前記二次バス(108)を前記低電圧バス(128)に接続するさらなるDC/DC変換器(136)をさらに備える、請求項4から6のいずれか一項に記載の電気またはハイブリッドの輸送手段。
【請求項8】
前記分散型最大電力点追従装置コントローラ(134)が、前記さらなるDC/DC変換器(136)を制御するようにさらに構成される、請求項7に記載の電気またはハイブリッドの輸送手段。
【請求項9】
低電圧において動作する前記部分(130、132)が、低電圧電池、空調、内部および外部の照明、必須の外部灯、カーメディアシステム、エアバッグ、ならびにシートヒータの群からの部分を含む、請求項1に記載の電気またはハイブリッドの輸送手段。
【請求項10】
前記高電圧バス(114)が、電池管理システム(120)を介して高電圧電池(122)に接続される、請求項1に記載の電気またはハイブリッドの輸送手段。
【請求項11】
前記高電圧バス(114)が、前記低電圧バス(128)からガルバニック絶縁される、請求項1に記載の電気またはハイブリッドの輸送手段。
【請求項12】
前記分散型最大電力点追従装置(104)を備える回路が、エラー状況において1つまたは複数のグループ(102)および/またはストリングを接続解除する安全回路をさらに備える、請求項1に記載の電気またはハイブリッドの輸送手段。
【請求項13】
前記分散型最大電力点追従装置(104)を備える回路が、エラー状況において1つまたは複数のグループ(102)および/またはストリングを短絡させる安全回路をさらに備える、請求項1に記載の電気またはハイブリッドの輸送手段。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高電圧バスと低電圧バスとを備える電気またはハイブリッドの輸送手段であって、高電圧バスは、少なくとも1つの推進モータにエネルギーを送出するためのものであり、低電圧バスは、低電圧において動作する部分にエネルギーを送出するためのものであり、電気またはハイブリッドの輸送手段には、ソーラパネルが装備され、ソーラパネルは、1つまたは複数のストリングを備え、各ストリングは、ソーラ電池の複数のグループを備え、グループは、直列に接続され、各グループは、多数のソーラ電池を備え、ソーラ電池は、直列に接続され、各グループは、関連する分散型最大電力点追従装置(Distributed Maximum Power Point Tracker)の一次バスに接続され、分散型最大電力点追従装置は、他の分散型最大電力点追従装置とエネルギーを交換するための二次バスを有し、したがって、分散型最大電力点追従装置は、これが関連付けられるグループを通る電流を変えることができ、その結果、各グループを通る電流は、同じストリングの一部である他のグループを通る電流とは異なることができる、電気またはハイブリッドの輸送手段に関する。
【背景技術】
【0002】
謝辞
本出願に至るまでのプロジェクトは、贈与契約第848620号の下、欧州連合のホライズン2020研究およびイノベーションプログラムから資金提供を受けた。
【0003】
電気またはハイブリッドの輸送手段(二次電池式電気自動車-BEV-、ハイブリッド車両、電気ボート、またはハイブリッドボートなど)が、よく知られている。通常、そのような輸送手段は、たとえば、リチウムイオン二次電池などの電池パックを有し、電池パックは、高電圧バスに接続され、1つまたは複数の電気推進(けん引)モータは、高電圧バスから給電される。ここでは高電圧は、バス電圧が、通常は60Vdcまたは48Vacとして定義される安全電圧限界を超えることを示すために使用される。そのような輸送手段はまた、低電圧バスも有し、低電圧バスは、車両(車およびトラック)の場合は、たとえば内部照明、カーオーディオシステム、エアバッグ、シート暖房、ブレーキ灯などの必須の外部灯、および電池(通常は鉛酸タイプの蓄電池)、またボートの場合は、たとえば船舶無線、ソナー、内部照明および外部照明などに接続される。この低電圧バスは、通常は12ボルトまたは24ボルトの安全電圧において動作するが、他の電圧が使用されることも知られている。この高電圧電池パックは、送電網に車両の高電圧バスを接続する充電器によって充電されることが多い。内燃エンジンを使用して高電圧電池を充電し、および/または二次けん引エンジンとして作用するハイブリッド車両が知られていることが、留意される。(双方向)DC/DC変換器が、高電圧バスから低電圧バスに、またはその逆の形で充電(給電)するために使用される。そのような変換器は、通常、12V/100A以上の電力を送出できなければならない(12V/250Aが、電池式電気自動車に使用されることが知られている)。
【0004】
近年、たとえば、オランダ国、ヘルモントのAtlas Technologies BVのソーラカー「Lightyear One」などのソーラ車両(車、トラック、およびボート)は、車両に装着されたソーラ電池(光電池)を少なくとも部分的に使用して車両を充電する。
【0005】
照明されているとき、ソーラ電池は、通常、照明、電池のサイズなどに応じて、約0.6ボルトの電圧で数アンペアの電流を送出する。生成される電力は、負荷によって決まる。明らかなことには、電力は、電池が短絡した場合ゼロであり、電池から電流が流れない場合ゼロである。電力は、したがって負荷インピーダンスの関数である。最大電力における電圧は、一定ではなく、とりわけ照明によって決まる。したがって、最適電力に対する負荷インピーダンスは、可変である。電池は、ほとんどの場合、1つの電池の電圧が必要とされるものよりかなり高い電圧を使用するため、しばしばストリングと呼ばれるものとして接続される。
【0006】
いわゆる最大電力点追従装置(MPPT)を使用して、最適なインピーダンスでストリングに負荷をかけてストリングからできるだけ多くのエネルギーを取り込むことが、知られている。
【0007】
多くの電池(通常は70個以上)が直列に接続されるとき、ストリング内の電流は、たとえば、影、鳥糞、または太陽に対する電池のさまざまな配向の結果として局所照明が弱くなることによって電池が最小の電流しか生成しないことに影響を受ける。これは、影響を受けるストリングの効率性だけでなく、ソーラパネル全体としての効率性を大幅に低減する。
【0008】
これを解決するために、ストリングは、直列の電池のグループに分けられ、各グループ(サブストリングとしても知られている)は、関連する分散型最大電力点追従装置(DMPPT、サブMICとしても知られている)に接続される。グループおよび関連する分散型最大電力点追従装置は、直列に接続されてストリングを形成する。分散型最大電力点追従装置は、グループに合わせた最適なインピーダンスでそのグループに負荷をかけることができるだけでなく、1つのグループからのエネルギーをエネルギー交換バスを使用して別のグループに伝達することができる。各グループ内の電流は、したがって、ストリング内の他のグループを通る電流とは無関係に、したがってストリング電流とも無関係に選択することができる。換言すれば、分散型最大電力点追従装置は、(グループからエネルギー交換バスにエネルギーを伝達しながら)過剰な電流を抜き出すように作用することができ、または(エネルギー交換バスからグループにエネルギーを伝達しながら)関連するグループ内に電流を投入するために使用することができる。
【0009】
ストリングの数は2つ以上であることができ、1つのストリングからの分散型最大電力点追従装置が別のストリングの分散型最大電力点追従装置にエネルギーを伝達できることが、留意される。
【0010】
分散型最大電力点追従装置の原理および作用のより詳細な論議に関しては、「Architectures and Control of Submodule Integrated DC-DC Converters for Photovoltaic Applications」、C. Olallaら、IEEE TRANSACTIONS ON POWER ELECTRONICS、28巻、No.6、2013年6月(以下、Olalla [-1-]と称する)、および「A distributed maximum power point tracking system for solar electric vehicles」、A.J. van der Hamら、19th European Conference on Power Electronics and Applications (EPE'17 ECCE Europe)、Warsaw、2017年、1頁~10頁(以下、Van der Ham [-2-]と称する)を参照されたい。Van der Ham [-2-]は、ソーラカーにおける分散型最大電力点追従装置の使用に具体的に的を絞っている。
【0011】
従来技術の電気またはハイブリッドの輸送手段の欠点は、高電圧バスと低電圧バスとの間に必要とされる、重量がありコストがかかる双方向DC/DC変換器である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】国際特許出願公開WO2010/078303A2
【文献】オランダ国特許出願第2021633号
【非特許文献】
【0013】
【文献】「Architectures and Control of Submodule Integrated DC-DC Converters for Photovoltaic Applications」、C. Olallaら、IEEE TRANSACTIONS ON POWER ELECTRONICS、28巻、No.6、2013年6月
【文献】「A distributed maximum power point tracking system for solar electric vehicles」、A.J. van der Hamら、19th European Conference on Power Electronics and Applications (EPE'17 ECCE Europe)、Warsaw、2017年、1頁~10頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、ソーラ電池および分散型最大電力点追従装置を使用する、より軽量で安価である輸送手段を提供することを意図する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的のために、本発明による輸送手段は、少なくとも1つの分散型最大電力点追従装置の二次バスが低電圧バスに接続され、それによって高電圧バスと低電圧バスとの間の双方向DC/DC変換器の必要性を排除することを特徴とする。
【0016】
前述したように、電池で動作する車両は通常、主に高電圧バスから低電圧バスにエネルギーを伝達するためであるが、時に逆の形で伝達するために、高電圧バスと低電圧バスとの間に双方向DC/DC変換器を有する。本発明は、分散型最大電力点追従装置が双方向変換器として作用できるという洞察に基づく。これは、分散型最大電力点追従装置が多数存在するとき、各分散型最大電力点追従装置が、従来技術の双方向DC/DC変換器が寸法設定される全出力を送出できなければならないという意味ではないことが、留意される。
【0017】
結果的に、これは、明白な解決策のように見え得るが、商業的ソーラカーを設計する際、これは通常、共通の電子装置および機器類をできるだけ変更せずに既存のBEVの設計から導出される。また、分散型最大電力点追従装置を設計する際、低電圧バスの電圧と等しい二次バス電圧を有する分散型最大電力点追従装置を設計することは、自明ではない。
【0018】
本発明による電気またはハイブリッドの輸送手段の一実施形態では、低電圧において動作する部分は、低電圧電池、空調、内部および外部の照明、必須の外部灯、カーメディアシステム、エアバッグ、ならびにシートヒータの群からの部分を含む。
【0019】
すべてのこれらの構成要素は、よく知られており、車およびトラックで使用されることが多い。通常、これらは、12Vにおいて動作し、現代の車に関しては、12Vは標準的な低電圧バス電圧であり、低電圧電池は、通常、鉛酸蓄電池である。しかし、他の電圧が使用されており、または使用されてきた。
【0020】
本発明による電気またはハイブリッドの輸送手段の別の実施形態では、高電圧バスは、高電圧電池に接続される。
【0021】
通常、ソーラ輸送手段では、高電圧バスは、電池管理システムを介して、高電圧電池、たとえば多数の相互接続された(直列および並列で接続された)リチウムイオン二次電池に接続される。ストリングの最大電圧は、高電圧バスの公称電圧より低くなるように選択されることが多く、DC/DC変換器(絶縁型または非絶縁型)を使用してこのレベルにもって行かれる。
【0022】
本発明による電気またはハイブリッドの輸送手段のさらに別の実施形態では、高電圧バスは、低電圧バスからガルバニック絶縁される。
【0023】
安全上の理由で、車台から高電圧バスをガルバニック絶縁することは、車およびトラックでは必須である。分散型最大電力点追従装置は、したがって、(ソーラ電池および高電圧バスに接続された)一次側と(車台にガルバニック接続された)二次側との間のガルバニック絶縁を維持しなければならない。
【0024】
本発明による電気またはハイブリッドの輸送手段のさらに別の実施形態では、分散型最大電力点追従装置を備える回路は、エラー状況において1つまたは複数のグループおよび/またはストリングを接続解除する安全回路をさらに備える。
【0025】
代替策として、分散型最大電力点追従装置を備える回路は、エラー状況において1つまたは複数のグループおよび/またはストリングを短絡させる安全回路をさらに備える。
【0026】
緊急時、たとえば衝突後、乗員を自由にするために緊急応答チームによって車またはトラックの屋根を(少なくとも部分的に)取り外すことが必要となる場合がある。通常、これはピラーを切り開くことを伴うが、この場所には、ソーラカーでは高電圧バスまたはグループ間の接続が位置し得る。感電死リスクを回避するために、グループおよび/もしくはストリングは、互いから接続解除されなければならず、またはグループおよび/もしくはストリングは、短絡されなければならない。これは、分散型最大電力点追従装置の電子装置基板内に組み込まれる電子装置によって良好に行うことができる。そのような安全回路のさらなる説明に関しては、国際特許出願公開WO2010/078303A2およびオランダ国特許出願第2021633号を参照されたい。この機能のための回路を組み込むことは、安全性を高めながら価格をあまり上昇させない。
【0027】
次に、本発明は、図を使用して明瞭に説明され、図中、同一の参照記号は、対応する特徴を示す。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】Van der Ham [2]から導出されたソーラカーの電気モデルの概略図である。
図2】本発明の一実施形態による、ソーラカーの電気モデルの概略図である。
図3】本発明の別の実施形態による、ソーラカーの電気モデルの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、ソーラパネルを使用する電気自動車(ソーラカー)の図を使用して明瞭に説明されるが、図は、ソーラのトラックもしくはボート、またはより一般的にはソーラの輸送手段にも同様に有効である。
【0030】
図1は、Van der Ham [-2-]から導出されたソーラカーの電気スケジュールを概略的に示す。
【0031】
図1は、ソーラ電池のいくつかのグループ102を示し、これらのグループの各々は、関連する分散型最大電力点追従装置104に接続される。グループ102は、直列に接続され、それによってストリングを形成し、ストリングの出力部は、ストリング電圧バス106に接続される。ストリング電圧は、多くの場合、高電圧でもあり、すなわち、60Vdcの安全電圧限界を超える電圧である。
【0032】
それぞれの分散型最大電力点追従装置104の一方側、一次側は、その分散型最大電力点追従装置に関連するグループに接続される。他方側、二次側は、エネルギー交換バス108に接続される。診断、および電流の監視などの他の可能な使用のために、分散型最大電力点追従装置は、通信バス110を示している。
【0033】
ストリング電圧バス106は、DC/DC変換器112および電池管理システム120を介して、高電圧電池122、通常はリチウムイオン二次電池パックに接続される。
【0034】
また、モータコントローラ116が、(電気)けん引モータ118、たとえば永久磁石モータのための電圧を生成する高電圧バスに接続されて示されている。2つ以上のモータが使用されてもよい(通常、各モータはそれ自体のモータコントローラを有する)ことが、留意される。また、モータは、これが電気モータである限り、ブラシ型またはブラシレス型などの、車両(またはボート)を推進するための任意のタイプのモータであってもよいことが、留意される。
【0035】
DC/DC変換器126は、高電圧バス114を低電圧バス128に接続し、低電圧バス128は、さらに、低電圧電池130(通常、鉛酸蓄電池)および多数の低電圧使用物132(空調、オーディオシステム、照明など)に接続される。このDC/DC変換器126の低電圧側の電圧は、たとえば13.6Vに固定されているとき、変換器は、低電圧電池の負荷状態が負荷をかけることを要求している場合、低電圧電池130を充電することができる。
【0036】
分散型最大電力点追従装置コントローラ134は、通信バス110を介して分散型最大電力点追従装置104を制御して、たとえば、保守点検または(たとえばエアバッグの起動によって示される)エラー状態などの間、グループ102を無効化する。そのような安全回路の作用のさらなる説明に関しては、国際特許出願公開WO2010/078303A2およびオランダ国特許出願第2021633号を参照されたい。
【0037】
DC/DC変換器112は、ストリングバス106に負荷をかける。高電圧バス114が、たとえば高電圧電池に完全に負荷がかけられているために多くの電力を吸収できず、低電圧バス128がアイドル状態であることもあり得る。この事例の場合、電流は全くまたはほとんどストリングから流れない。高電圧電池が充電を必要とする場合、分散型最大電力点追従装置は、負荷がソーラグループに最適にかけられ、できるだけ多くの電力が生成されるようにする。
【0038】
DC/DC変換器126は、高電圧バス114から低電圧バス128に供給する。
【0039】
分散型最大電力点追従装置コントローラ134はまた、たとえばDC/DC変換器112および126を制御できることが、留意される。
【0040】
図2は、本発明の一実施形態によるソーラ車両の電気モデルを概略的に示す。
【0041】
図2は、図1から導出されると考えることができる。しかし、図1とは対照的に、図2に示すエネルギー交換バス108は、低電圧バス128に接続され、図1に示すDC/DC変換器126は、削除されている。
【0042】
本発明によれば、低電圧バスが電力を必要とする場合、この電力をエネルギー交換バス108から導出することができる。そのような電力の流れは図1に示す電気回路を使用して実現できないことが、指摘され得る。したがって、本発明に適用されるエネルギー交換バス108は、二重の目的に役立つ。
【0043】
特に、本発明に適用されるエネルギー交換バス108は、1つのグループから別のグループにエネルギーを伝達するために使用することができる。したがって、そのような動作モードでは、各グループ内の電流は、ストリング内の他のグループを通る電流とは無関係に、したがってストリング電流とも無関係に選択することができる。換言すれば、ストリングの特定のグループに関連する分散型最大電力点追従装置は、(グループからエネルギー交換バスにエネルギーを伝達しながら)過剰な電流を抜き出すように作用することができ、または(エネルギー交換バスからグループにエネルギーを伝達しながら)関連するグループ内に電流を投入するために使用することができる。
【0044】
加えて、本発明に適用されるエネルギー交換バス108は、低電圧バス128に給電するために使用することができる。エネルギー交換バス108と、低電圧電池130が接続される低電圧バス128との間に接続を提供することにより、ソーラ電池によって生成された電力を使用して、DMPPTを介して、特にDMPPTを接続するエネルギー交換バス108を介して、低電圧電池130に給電することができる。そのような動作は、DMPPTの適切な制御によって、たとえば分散型最大電力点追従装置コントローラ134によって実現することができる。特に、分散型最大電力点追従装置コントローラ134は、低電圧電池130、または低電圧バス128に接続された他の部分もしくは構成要素に向かう電力の流れを可能にするようにDMPPTを制御するように構成することができる。
【0045】
加えて、低電圧バス128のエネルギーの必要量が、ソーラ電池によって生成される電力よりも大きい場合、高電圧電池122からDC/DC変換器112および(高電圧)ストリングバス106を介して、分散型最大電力点追従装置104を通してエネルギー交換バス108に電力を流すことができる。エネルギー交換バス108と低電圧バス128との間に接続を提供することにより、図1に示すDC/DC変換器126などの双方向DC/DC変換器、すなわち高電圧バス114を低電圧バス128に直接接続する双方向DC/DC変換器を使用することなく、高電圧電池122から低電圧バス128に向けて電力を伝達することができる。したがって、エネルギー交換バス108と低電圧バス128との間の接続の適用により、高電圧バスを低電圧バスに接続する双方向DC/DC変換器の必要性が、排除される。したがって、本発明によれば、DC/DC変換器112およびDMPPTの適切な制御によって、高電圧バス114から低電圧バス128に電力を伝達することができる。DC/DC変換器112およびDMPPTのそのような制御は、通信バス110を介して分散型最大電力点追従装置コントローラ134によってもたらされ得る。図2に示すように、分散型最大電力点追従装置コントローラ134は、通信バス110を介して、適切な制御信号をDC/DC変換器112およびDMPPTに提供することができる。
【0046】
図2に示す実施形態では、エネルギー交換バス108は、低電圧バス128に直接接続される。したがって、これは、分散型最大電力点追従装置が、エネルギー交換バス108に接続されたその二次バス電圧が低電圧バス128の公称電圧にほぼ等しいように設計されることを含意する。一般に、DMPPTは、その二次電圧、すなわちエネルギー交換バス108にかけられる二次バス電圧がストリング電圧と同じ範囲内にあるように設計されることに留意されたい。特に、二次バス電圧は、たとえば、高効率の降圧変換器または昇圧変換器の形態を適用できるように幾分低く、または幾分高く選択することができる。本発明では、二次バス電圧は、低電圧バス128の電圧と実質的に合致するように選択される必要がある。低電圧バス128の電圧は、たとえば12Vまたは48V、すなわち通常の電池電圧であることができる。
【0047】
エネルギー交換バス108を低電圧バス128に直接接続する代替策として、エネルギー交換バス108を低電圧バス128に接続するためにDC/DC変換器を適用することを考えることができる。
【0048】
そのような実施形態が、図3に概略的に示される。
【0049】
図3は、本発明によるソーラ車両の電気モデルを概略的に示す。図3は、図2から導出されると考えることができる。しかし、図2とは対照的に、図3に示すエネルギー交換バス108は、DC/DC変換器136を介して低電圧バス128に接続される。
【0050】
図3に示すDC/DC変換器136の適用により、両方のDMPPT、特にエネルギー交換バス108および低電圧バス128にかけられる電圧に対する設計自由度が高められる。DC/DC変換器136の実装により、エネルギー交換バス108の公称電圧および低電圧バス128の公称電圧は、互いに無関係に選択または設計することができる。選択または設計される公称電圧間の相違は、このとき、DC/DC変換器136によって予想することができる。図3にさらに示すように、DC/DC変換器136はまた、分散型最大電力点追従装置コントローラ134によって、通信バス110を介してDC/DC変換器136に適切な制御信号を提供することによって制御されてもよい。さらに、DC/DC変換器136の設計が、図1に示すDC/DC変換器126の設計とは実質的に異なり得ることが、指摘され得る。当業者に明らかになるように、DC/DC変換器126は、比較的高い電圧、すなわち高電圧バス114の公称電圧と、比較的低い電圧、すなわち低電圧バス128の公称電圧との間の変換をもたらす必要がある。他方では、DC/DC変換器136は、エネルギー交換バス108の公称電圧と低電圧バス128の公称電圧との間の変換をもたらす必要がある。これは、通常、高電圧バス114と低電圧バス128との間の電圧差よりかなり小さい電圧差となる。したがって、DC/DC変換器136は、DC/DC変換器126と比べてより小さくより軽量に設計することができる。そのようにより小さくより軽量な設計は、特に車両または輸送手段に適用された場合に有利であると考えることができる。明確なことに、当業者に明らかになるように、図2に概略的に示す設計は、それによってエネルギー交換バス108と低電圧バス128との間のDC/DC変換器は必要とされず、DC/DC変換器126および136の不在により、効率性が向上することに加えて、重量および必要とされるボリュームに関してさらなる利点をもたらすことができる。
【0051】
低電圧電池と高電圧電池の両方に完全に負荷がかけられており、ソーラ電池が照射される(そのためこれらは電力を生成することができる)場合、DC/DC変換器112および分散型最大電力点追従装置は、電力の伝達を停止し、ソーラ電池にそれらの開電圧点において効果的に負荷をかけることができる。これは、分散型最大電力点追従装置コントローラ134によって制御することができる。
分散型最大電力点追従装置コントローラ134はまた、ソーラ電池によって生成された電力を低電圧バスと高電圧バスとの間で分けるために使用することができる。
【符号の説明】
【0052】
102 ソーラ電池のグループ
104 分散型最大電力点追従装置
106 ストリング電圧バス
108 エネルギー交換バス
110 通信バス
112 DC/DC変換器
114 高電圧バス
116 モータコントローラ
118 けん引モータ
120 電池管理システム
122 高電圧電池
126 DC/DC変換器
128 低電圧バス
130 低電圧電池
132 低電圧使用物
134 分散型最大電力点追従装置コントローラ
136 DC/DC変換器
図1
図2
図3