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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】ポンプ装置
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/34 20060101AFI20240514BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20240514BHJP
   B05B 11/00 20230101ALI20240514BHJP
【FI】
B65D47/34 110
B65D83/00 K BSF
B65D83/00 K BRH
B05B11/00 101E
B05B11/00 102E
B05B11/00 101G
B05B11/00 102G
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022507663
(86)(22)【出願日】2019-09-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-28
(86)【国際出願番号】 CN2019108976
(87)【国際公開番号】W WO2021022650
(87)【国際公開日】2021-02-11
【審査請求日】2022-06-27
(31)【優先権主張番号】201910730558.8
(32)【優先日】2019-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513110481
【氏名又は名称】ディン, ヤオ ウー
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】弁理士法人エスエス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ディン, ヤオ ウー
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特表平10-508244(JP,A)
【文献】中国実用新案第207482522(CN,U)
【文献】特開2005-021826(JP,A)
【文献】中国実用新案第202591008(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第103029895(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/34
B65D 83/00
B05B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動部材と固定部材とを有し、前記可動部材が前記固定部材に対して往復運動して、前記固定部材と接続された吸引管を介して容器に収納された製品を分配することができるポンプ装置であって、
一端が前記可動部材に接続又は支持される一方、他端が前記容器に接続又は支持される弾性部材を備え
前記可動部材は、プッシュヘッドと、前記プッシュヘッドに接続されたピストンロッドとを備え、
前記固定部材は、前記容器の口部に接続されたヘリカルキャップと、前記ヘリカルキャップと繋がり、前記容器に収納され、且つ前記吸引管に接続されたエアシリンダとを備え、前記ピストンロッドは前記容器の内部まで延伸し、
前記弾性部材の前記一端は前記プッシュヘッド又は前記ピストンロッドに当接又は固定されていることを特徴とするポンプ装置。
【請求項2】
前記弾性部材の前記他端は、前記容器のショルダー、前記容器の底部の外側面、前記容器の底部の内面及び前記容器の内部に形成された段差部のいずれか1つの位置に当接又は固定されていることを特徴とする請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項3】
前記弾性部材の前記他端は前記容器の口部に固定されており、前記弾性部材は、上リングと、下リングと、前記上リングと前記下リングとの間で延伸する少なくとも1つの弾性ストリップとを備え、且つ、前記下リングから少なくとも1つの固定ストリップが上へ更に延伸し、前記固定ストリップは、上へ向かって、前記口部に固定された固定リングと接続されていることを特徴とする請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項4】
緩み位置と予圧位置との間に切り替え可能な緩み機構を更に備え、前記弾性部材の、前記緩み機構が前記緩み位置にある際の高さは前記緩み機構が前記予圧位置にある際の高さよりも高いことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載のポンプ装置。
【請求項5】
前記緩み機構はシンクロカラーを備え、前記プッシュヘッドには第1の駆動部材が設けられ、前記シンクロカラーには第2の駆動部材が設けられており、前記第1の駆動部材と前記第2の駆動部材との相互協働により、前記緩み機構は前記緩み位置と前記予圧位置との間に切り替えられることを特徴とする請求項に記載のポンプ装置。
【請求項6】
前記第1の駆動部材は前記プッシュヘッドに形成された第1凸出物であり、前記第1凸出物には第1傾斜面が形成されており、前記第2の駆動部材は前記シンクロカラーに形成された第2凸出物であり、前記第2凸出物には第2傾斜面が形成されており、前記第1傾斜面と前記第2傾斜面とは互いに協働することを特徴とする請求項に記載のポンプ装置。
【請求項7】
前記シンクロカラーは前記ヘリカルキャップに外挿されており、前記シンクロカラーの内面にはスリットが形成され、前記ヘリカルキャップの外面にはガイドレールが形成され、前記ガイドレールと前記スリットとの協働により、前記シンクロカラーが、前記ヘリカルキャップに対して前記ポンプ装置の縦方向に沿って運動するように案内され、前記シンクロカラーの前記ヘリカルキャップに対する回転運動が阻止されることを特徴とする請求項に記載のポンプ装置。
【請求項8】
前記弾性部材はプラスチック製であることを特徴とする請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項9】
前記プッシュヘッドには、ユーザの指挿し込んで前記プッシュヘッドに圧力を加えることが可能な押圧用フランジが設けられていることを特徴とする請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項10】
前記弾性部材にはガイドブロックが設けられており、前記ヘリカルキャップには凹部が形成されており、前記弾性部材は、前記ガイドブロックが前記凹部内に位置する緩み位置と、前記弾性部材の上端と下端との間の距離が小さくなるように、前記ガイドブロックが前記凹部から離れる予圧位置との間で回動可能であることを特徴とする請求項に記載のポンプ装置。
【請求項11】
前記弾性部材にはシンクロブッシングが更に形成されており、前記プッシュヘッドは、前記シンクロブッシングに外挿されるプッシュヘッドの下輪を備えており、
前記シンクロブッシングの外面と前記プッシュヘッドの下輪の内面のうちの一方にはリブが形成され、他方には溝が形成されており、前記リブと前記溝との相互協働により、前記弾性部材は前記プッシュヘッドとともに回動可能であることを特徴とする請求項に記載のポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は製品分配分野、特にプッシュ式ポンプ、トリガー式ポンプなどの液体、ローション等の流動体や半流動体を容器から分配可能なポンプ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
衛生用品、薬品、食品などの製品を収容する容器において、容器から製品を分配するために、ポンプ装置を設置するのは一般的である。市販の通常のポンプには、一般的に、ポンプのプッシュヘッドなどの可動部材にバイアス力を与えてこれらの可動部材を往復運動させるために、金属バネなどの金属製の弾性機構が設けられている。
【0003】
しかし、使用の際、金属製の弾性機構には欠陥があることが見出された。まず、金属製の弾性部材は長期間にわたって製品に浸漬されるので、さびが発生し、当該さびによる不純物が液体を汚染するおそれがある。そして、通常の製品用ポンプ装置において、製造コストを低減するためには、金属製の弾性部材以外の部材としてプラスチック製のものが用いられる。このように、使用済みの当該ポンプ装置をリサイクルする際に、ポンプ装置を分解し、金属製の弾性部材と他のプラスチック製の部材とを分離して個別にリサイクルする必要がある。その結果、リサイクルの効率化に影響が生じる。
【0004】
上記課題を解決してポンプ装置のリサイクル効率を高めるために、金属製の弾性部材にさびが付きやすいことによる汚染の課題を解決し、且つ金属バネと同様又は類似の弾性特性を提供可能な新規構成のポンプ装置を設計する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明は上記既存技術に存在している課題に基づいてなされたものである。本発明は、効率的なリサイクルを可能にする新規構成のポンプ装置を提供することを目的とする。更に、当該ポンプ装置の構成によれば、プラスチックを用いて弾性部材を製造することができると共に、プラスチック製の弾性部材が長期間のプッシュにより降伏変形し弾性力が低下するのを回避することができる。
【0006】
本発明に係るポンプ装置は可動部材と固定部材とを有し、可動部材が固定部材に対して往復運動して、固定部材と接続された吸引管を介して容器に収納された製品を分配することができるポンプ装置であって、一端が可動部材に接続又は支持される一方、他端が容器に接続又は支持される弾性部材を備える。
具体的には、可動部材は、プッシュヘッドと、プッシュヘッドに接続されたピストンロッドとを備え、固定部材は、容器の口部に接続されたヘリカルキャップと、ヘリカルキャップと繋がり、容器に収納され、且つ吸引管に接続されたエアシリンダとを備え、ピストンロッドは容器の内部まで延伸し、弾性部材の一端はプッシュヘッド又はピストンロッドに当接又は固定されている。
【0007】
よって、上記構成のポンプ装置によれば、弾性部材は容器に直接又は間接に支持又は接続され、特に容器に支持されるので、弾性部材の寸法設計の自由度が高くなり、比較的に大きい寸法の弾性部材を採用できる。このように、プラスチックを用いて弾性部材を製造する場合でも、必要な弾性力を確保できる。
【0009】
また、弾性部材の他端は、容器のショルダー、容器の底部の外側面、容器の底部の内面及び容器の内部に形成された段差部のいずれか1つの位置に当接又は固定されている。
1つの実施の形態において、弾性部材の他端は容器の口部に固定されており、弾性部材は、上リングと、下リングと、上リングと下リングとの間で延伸する少なくとも1つの弾性ストリップとを備え、且つ、下リングから少なくとも1つの固定ストリップが上へ更に延伸し、固定ストリップは、上に向かって、口部に固定された固定リングと接続されている。
【0010】
好ましくは、ポンプ装置は緩み位置と予圧位置との間に切り替え可能な緩み機構を更に備え、弾性部材の、緩み機構が緩み位置にある際の高さは緩み機構が予圧位置にある際の高さよりもい。緩み機構を設けることにより、弾性部材は待機の際に緩み状態となっているので、弾性部材の降伏変形が回避又は低減される。
【0011】
好ましくは、緩み機構はシンクロカラーを備え、プッシュヘッドには第1の駆動部材が設けられ、シンクロカラーには第2の駆動部材が設けられており、第1の駆動部材と第2の駆動部材との相互協働により、緩み機構は緩み位置と予圧位置との間に切り替えられる。
【0012】
更に、第1の駆動部材はプッシュヘッドに形成された第1凸出物であり、第1凸出物には第1傾斜面が形成されており、第2の駆動部材はシンクロカラーに形成された第2凸出物であり、第2凸出物には第2傾斜面が形成されており、第1傾斜面と第2傾斜面とは互いに協働する。
【0013】
好ましくは、シンクロカラーはヘリカルキャップに外挿されており、シンクロカラーの内面にはスリットが形成され、ヘリカルキャップの外面にはガイドレールが形成され、ガイドレールとスリットとの協働により、シンクロカラーが、ヘリカルキャップに対してポンプ装置の縦方向に沿って運動するように案内され、シンクロカラーのヘリカルキャップに対する回転運動が阻止される。
【0014】
本発明に係るポンプ装置において、弾性部材はプラスチック製であってもよい。
1つの具体的な好ましい構成において、可動部材は、プッシュヘッドと、プッシュヘッドに接続されたピストンロッドとを備え、プッシュヘッドには、ユーザの指が挿し込んでプッシュヘッドに圧力を加え可能な押圧用フランジが設けられており、
固定部材は、容器の口部に接続されたヘリカルキャップと、ヘリカルキャップと繋がり、容器に収納され、且つ吸引管に接続されたエアシリンダとを備え、ピストンロッドは容器の内部まで延伸し、
また、弾性部材の一端はプッシュヘッド又はピストンロッドに当接又は固定され、且つ他端はヘリカルキャップに当接又は固定されている。
【0015】
更に、弾性部材にはガイドブロックが設けられており、ヘリカルキャップには凹部が形成されており、弾性部材は、ガイドブロックが凹部内に位置する緩み位置と、弾性部材の上端と下端との間の距離が小さくなるように、ガイドブロックが凹部から離れる予圧位置との間で回動可能である。これにより、弾性部材の予圧機能及び緩み機能は図られる。
【0016】
また、弾性部材にはシンクロブッシングが更に形成されており、プッシュヘッドは、シンクロブッシングに外挿されるプッシュヘッドの下輪を備えており、シンクロブッシングの外面とプッシュヘッドの下輪の内面のうちの一方にはリブが形成され、他方には溝が形成されており、リブと溝との相互協働により、弾性部材はプッシュヘッドとともに回動可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図面に本発明の非制限的且つ好適な実施構成を示し、図面に基づいて、本発明の特徴及び利点が更に明白になる。そのうち、
図1図1は本発明に係る第1実施例のポンプ装置の断面図を示しており、当該ポンプ装置が緩み状態にある。
図2図2図1に示すポンプ装置の他の断面図を示しており、当該ポンプ装置が予圧位置にある。
図3図3図1に示すポンプ装置の斜視図を示している。
図4図4は第1実施例のポンプ装置のプッシュヘッドの斜視図を示している。
図5図5は第1実施例のポンプ装置のシンクロカラーの斜視図を示している。
図6図6は第1実施例のポンプ装置のヘリカルキャップの斜視図を示している。
図7図7は第1実施例のポンプ装置の弾性部材の斜視図を示している。
図8図8は本発明に係る第2実施例のポンプ装置の断面図を示している。
図9図9は本発明に係る第3実施例のポンプ装置の断面図を示している。
図10図10は本発明に係る第4実施例のポンプ装置の断面図を示している。
図11図11図10に示すポンプ装置の弾性部材の斜視図を示している。
図12図12は本発明に係る第5実施例のポンプ装置の断面図を示している。
図13図13は本発明に係る第6実施例のポンプ装置の正面図を示している。
図14図14図13に示すポンプ装置の斜視図を示している。
図15図15は容器に取り付けられた図13に示すポンプ装置の断面図を示しており、当該ポンプ装置が緩み位置にある。
図16図16は容器に取り付けられた図13に示すポンプ装置の他の断面図を示しており、当該ポンプ装置が予圧位置にある。
図17図17は第6実施例のポンプ装置の更に他の断面図を示しており、当該ポンプ装置が押圧されて容器内の製品が分配される。
図18図18a~18dはそれぞれ第6実施例のポンプ装置の弾性部材の断面図、下面図、上面視斜視図及び下面視斜視図を示している。
図19図19a~19cはそれぞれ第6実施例のポンプ装置のヘリカルキャップの断面図、斜視図及び上面図を示している。
図20図20a~20dはそれぞれ第6実施例のポンプ装置のプッシュヘッドの正面図、断面図、下面図及び下面視斜視図を示している。
図21図21は本発明に係る第7実施例のポンプ装置の断面図を示している。
図22図22図21に示すポンプ装置の弾性部材の斜視図を示している。
図23図23は本発明に係る第8実施例のポンプ装置の断面図を示している。
図24図24aは図23に示すポンプ装置の弾性部材の側面図を示し、図24bは当該弾性部材の斜視図を示している。
図25図25aは図23の線A-Aに沿った断面図を示し、一種類の弾性部材の構成を示している。図25bは図23の線A-Aに沿った、もう一種類の弾性部材構成を含む断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。これらの図面に示すものは単に本発明の好ましい実施例であり、本発明の範囲を規制するものではないと理解される。当業者は、図面に示す実施例を基にして本発明に対して各種の自明な修正、変更、同等の置き換えを行うことができ、矛盾がない限り、説明する実施の形態における特徴を自由に組み合わせることができ、これらの組み合わせはいずれも本発明の保護範囲内に入る。
本発明の開示に使用する「上」、「下」などの方向又は方位を示す用語はいずれも装置の使用状態での向きに基づくものである。
【0020】
<第1実施例>
図1~2は本発明に係る第1実施例のポンプ装置100を示しており、図1は当該ポンプ装置100が緩み位置にあることを示し、図2は当該ポンプ装置100が予圧位置にあることを示している一方、図3は当該ポンプ装置100の斜視図を示している。
【0021】
図に示すように、容器20にはポンプ装置100が取り付けられている。ポンプ装置100は、ヘリカルキャップ120に相対運動可能に連結されるプッシュヘッド110を備える。ヘリカルキャップ120は容器20の出口に固定して接続されており、当該ヘリカルキャップ120にはポンプ装置100のエアシリンダ130が接続されている。プッシュヘッド110にはピストン(図示省略)が接続されたピストンロッド140が連結されており、当該ピストンロッド140においてピストンが接続された一端はエアシリンダ130に伸び込む。
【0022】
本発明のポンプ装置100は、一端が容器20に支持される固定端であり、他端がプッシュヘッド110などにより構成された可動部材に支持される可動端である弾性部材150を更に備える。
【0023】
図1及び図2に示す構成のポンプ装置100について、プッシュヘッド110を押圧することで、ピストンロッド140はこれに接続されるプストンとともにエアシリンダ130内で下へ運動して、容器内の製品が圧送される。プッシュヘッド10に加わった押圧力が撤去されると、弾性部材150の弾性力により、プッシュヘッド110はピストンロッド140及びピストンとともに上へその初期位置に復帰し、次回の製品分配まで待機する。本発明では、弾性部材150は、リサイクル際にポンプ装置100の他の部分と分離する必要を無くすように、プラスチック製であってもよい。当該弾性部材150の具体的な構成は、後で詳細に説明する。
【0024】
好ましくは、ポンプ装置100は、弾性部材150が緩み状態となる緩み位置と、弾性部材150にわずかな負荷がかかる状態となる予圧位置との間で運動する緩み機構を更に備える。図1~3に示す例示的な構成において、当該緩み機構はプッシュヘッド110と接触するように設けられたシンクロカラー160を備える。
【0025】
以下、ポンプ装置100の各構成部材の好ましい構成をそれぞれ説明する。
図4はポンプ装置100のプッシュヘッド110の斜視図を示している。そのうち、当該プッシュヘッド110は、ポンプ装置100を操作する際にユーザの指が挿し込んで力を加えることで、プッシュヘッド110を下へ押圧する押圧用フランジ111を有する。押圧用フランジ111の下側には、第1傾斜面113が形成された第1凸出物112が設けられている。
【0026】
これに対して、図5は押圧用フランジ111の下方に設けられたシンクロカラー160を示している。当該シンクロカラー160において押圧用フランジ111に面する上面には、第2傾斜面162が形成された第2凸出物161が設けられている。第2傾斜面162は第1凸出物112の第1傾斜面113と協働可能である。プッシュヘッド110のシンクロカラー160に対する回転に伴い、第1傾斜面113は第2傾斜面162と互いに協働して、シンクロカラー160と押圧用フランジ111との間の距離が変更される。
【0027】
図6はヘリカルキャップ120の斜視図を示している。そのうち、少なくともヘリカルキャップ120上部の外面には少なくとも1つのガイドレール121が形成されている一方、シンクロカラー160の内面には少なくとも1つのスリット163が形成されており、当該スリット163は、シンクロカラー160がヘリカルキャップ120の対応部分で摺動できるが当該ヘリカルキャップ120周りに回転しないように、ガイドレール121と協働する。
【0028】
図7は弾性部材150の斜視図を示している。弾性部材150は上リング151と下リング152を備えており、当該上リング151と下リング152との間には少なくとも1つの弾性ストリップ153が接続されている。上記説明したように、図7に示す構成の弾性部材150は、通常の金属製の弾性部材に存在する課題が回避されるように、プラスチック製でも構わない。
【0029】
図1~3に戻り、第1実施例のポンプ装置100の弾性部材150は、その上リング151がシンクロカラー160と当接し、その下端が容器20のショルダー21に支持されている。
【0030】
プッシュヘッド110が図1に示す緩み位置から回転すると、プッシュヘッド110がヘリカルキャップ120に対して回転する一方、シンクロカラー160はガイドレール121とスリット163との協働によりヘリカルキャップ120に対して回転方向に固定されたままである。このように、第1傾斜面113と第2傾斜面162との間に相対的な作用が発生するため、シンクロカラー160はプッシュヘッド110から離れるように下へ押圧されて、図2に示す予圧位置に移行する。当該予圧位置において、シンクロカラー160がプッシュヘッド110から距離H2だけ離されるように下へ押圧されるので、弾性部材150の高さは図1に示すHからHよりも小さい図2に示すH1に変わり、弾性部材150にわずかな負荷がかかる。
【0031】
使用後、反対方向に沿ってプッシュヘッド110を回転させて図1に示す状態に戻すことで、弾性部材150を緩み状態に戻すことが可能である。
【0032】
<第2実施例>
図8は本発明に係る第2実施例のポンプ装置200を示している。ここで、当該第2実施例について、第1実施例と同様の構成を詳細に述べず、第1実施例と異なる特徴に着目して説明する。
【0033】
図8に示すように、第2実施例のポンプ装置200は、弾性部材250を備え、弾性部材250も複数の弾性ストリップ253を有する。弾性部材250の一端はプッシュヘッド210などの可動部材に当接する。
【0034】
弾性部材250の他端は容器20の底部の外側、具体的には、容器20の底部の外側面22に支持されている。例えば、当該容器20の底部の外側面22には雄ねじが形成されており、弾性部材250の下端には雌ねじ付きの部材が設けられることで、弾性部材250の下端はネジ接続によって容器20の底部の外側に固定される。或いは、弾性部材250の下端(即ち、固定端)は他の手段によって弾性部材250の底部の外側に固定されてもよい。
【0035】
<第3実施例>
図9は本発明に係る第3実施例のポンプ装置300を示している。ここで、当該第3実施例について、第1及び第2実施例と同様の構成を詳細に述べず、第1及び第2実施例と異なる特徴に着目して説明する。
【0036】
図9に示すように、ポンプ装置300はプッシュヘッド310を備え、プッシュヘッド310には当該プッシュヘッド310とともに運動するピストンロッド340が接続されている。弾性部材350の可動端(図における上端)はピストンロッド340に当接又は固定されており、弾性部材350の固定端(図における下端)は容器20の底部の内面に固定されている。
【0037】
当該実施例において、弾性部材350の可動端は、第1実施例のようにプッシュヘッド310のような他の可動部材に当接又は固定されてもよい。
【0038】
<第4実施例>
図10は本発明に係る第4実施例のポンプ装置500を示している。ここで、当該第4実施例について、第1ないし第3実施例と同様の構成を詳細に述べず、第1ないし第3実施例と異なる特徴に着目して説明する。
【0039】
図10に示すように、ポンプ装置500はプッシュヘッド510を備え、当該プッシュヘッド510にはピストン蓋540が接続されており、弾性部材550の可動端は当該ピストン蓋540に当接又は固定される。ところで、当該第5実施例において、弾性部材550の固定端は容器20の口部24に接続されている。
【0040】
具体的には、図11に示すように、上リング551と下リング552との間の弾性ストリップ553に加えて、弾性部材550の下端には上へ延伸する少なくとも1つの固定ストリップ555が更に接続されている。当該固定ストリップ555の他端は固定ストリップ554に接続されており、固定ストリップ554は容器20の口部24に固定されている。
【0041】
これにより、図10に示す断面図から見ると、弾性部材550の下端はサスペンション状態となり、口部24に固定された固定リング554と当該固定リング554から下へ延伸する固定ストリップ555とにより保持されている。
【0042】
<第5実施例>
図12は本発明に係る第5実施例のポンプ装置600を示している。ここで、当該第5実施例について、第1ないし第5実施例と同様の構成を詳細に述べず、第1ないし第5実施例と異なる特徴に着目して説明する。
【0043】
図12に示すように、前記第4実施例と同様に、ポンプ装置600もプッシュヘッド610を備え、プッシュヘッド610にはピストンロッド640が接続されており、弾性部材650の可動端はピストンロッド640に当接又は固定されている。
容器20の内部には、弾性部材650の固定端が当接する段差部25が形成されている。
【0044】
<第6実施例>
図13~20dは本発明に係る第6実施例のポンプ装置800を示している。ここで、当該第6実施例について、第1ないし第5実施例と同様の構成を詳細に述べず、第1ないし第5実施例と異なる特徴に着目して説明する。
【0045】
図13と14はそれぞれ第6実施例のポンプ装置800の正面図と斜視図を示しており、図15と16は容器20に取り付けられ緩み位置と予圧位置のそれぞれにあるポンプ装置800の断面図を示している。
【0046】
図に示すように、第1実施例のポンプ装置100と同様に、第6実施例のポンプ装置800はトリガー式のものであり、プッシュヘッド810とヘリカルキャップ820とを備え、プッシュヘッド810には、ユーザが片手で力を加えることで当該プッシュヘッド810を押圧することができるフランジが形成されている。プッシュヘッド810にはピストンロッド840が接続されており(図15及び16参照)、ヘリカルキャップ820にはエアシリンダ830が接続されており、また、当該ヘリカルキャップ820は、例えば容器20の口部に結合されるように、容器20に接続されている。ポンプ装置800は弾性部材850を更に備える。
【0047】
第6実施例のポンプ装置800の弾性部材850の構成は、図18a~18dに明確に示されている。そのうち、弾性部材850は、上リング851と、下リング852と、上リング851と下リング852との間の少なくとも1つ、好ましくは複数の弾性ストリップ853とを備える。弾性部材850はシンクロブッシング854を更に備えており、当該シンクロブッシング854は、例えば弾性部材850の下リング852と一体形成されるように弾性部材850に一体形成されてよいし、別体として形成してから弾性部材850に取り付けられてもよい。
【0048】
図15及び16に戻り、これらの図から見えるように、取り付けが完了した状態で、プッシュヘッド810の下端は弾性部材850のピストンロッド860に外挿されており、弾性部材850の上リング851はプッシュヘッド810に当接する一方、その下リング852はヘリカルキャップ820に接して当該ヘリカルキャップ820を介して容器20に支持されている。
【0049】
図19a~19cはそれぞれ弾性部材850の断面図、斜視図及び上面図を示している。これらの図から見えるように、ヘリカルキャップ820には、ガイド用傾斜面882を含む凹部821が形成されている。これに対して、弾性部材850の下リング852の下方には、ガイド用傾斜面822に対応する傾斜面857を含むガイドブロック855が設けられている。
【0050】
ガイドブロック855と凹部821との協働により、以下に詳細に説明するように、弾性部材850に対する予圧が図られる。
更に、図18cに明確に示すように、シンクロブッシング854の外面には少なくとも1つのリブ856が形成されているのに対して、図20a~20dに示すように、プッシュヘッド810の下輪811の内面には溝812が形成されている。リブ856と溝812との相互協働により、弾性部材850はプッシュヘッド810とともに回動することが可能となる。
【0051】
ここで、溝とリブとの設置箇所を逆にすることが可能であり、これも本発明の範囲内である。即ち、プッシュヘッドの下輪811の内面にリブを形成するのに対して、シンクロブッシング854の外面に溝を形成してもよい。
【0052】
以下、図15~17に基づいて、第6実施例のポンプ装置800の作動原理について説明する。
出荷の際に、ポンプ装置800は図15に示す緩み位置にある。この際に、弾性部材850のガイドブロック855はヘリカルキャップ820の凹部821内にあり、弾性部材850の上リング851と下リング852との距離が比較的に大きいので、弾性部材850は緩み状態となっている。
【0053】
ユーザは、ポンプ装置800を操作して容器20内の製品を圧送する前に、まずプッシュヘッド810を例えば90度回動させることで、弾性部材850はプッシュヘッド810とともに回動する。このように、ヘリカルキャップ820の凹部821のガイド用傾斜面822と弾性部材850のガイドブロック855の傾斜面857との相互協働により、ガイドブロック855は凹部821から這い上がり、弾性部材850の上リング851と下リング852との間の距離が短くなり、弾性部材850は図16に示す予圧位置に到達する。
【0054】
予圧位置において、ユーザはプッシュヘッド810を下へ押圧して容器20内の製品を圧送することができる。
使用後、選択的に、プッシュヘッド810を元の位置に戻すように回動させて、弾性部材850を緩み位置に戻してもよい。
【0055】
<第7実施例>
図21及び22は本発明に係る第7実施例のポンプ装置900を示している。ここで、当該第7実施例について、第1ないし第6実施例と同様の構成を詳細に述べず、第1ないし第6実施例と異なる特徴に着目して説明する。
【0056】
図21に示すように、第7実施例のポンプ装置900は第1及び第6実施例のポンプ装置と同様にトリガー式のものであり、プッシュヘッド910とヘリカルキャップ920とを備える。第7実施例のポンプ装置900は、その弾性部材950がプッシュヘッド910の内部に設けられているという点で異なる。
【0057】
具体的には、図21に示すように、プッシュヘッド910は下スリーブ911を有しており、ヘリカルキャップ920には上スリーブ921が形成されている。下スリーブ911と上スリーブ921との相互な結合により内部空間が形成され、弾性部材950は当該内部空間内に設けられている。
【0058】
第1実施例と類似に、弾性部材950は図22の斜視図に示すように上リング951と、下リング952と、両者の間の弾性ストリップ953とを備える。図21に戻り、それに示すように、弾性部材950の上リング951はピストン930のフランジに支持されている。或いは、図示しない実施構成として、当該上リング951はプッシュヘッド910の下スリーブ911内のいずれか適切な位置、例えば下スリーブ911内の天板に支持されてよい。
【0059】
弾性部材950の下リング952は、図21に示す構成において、ヘリカルキャップ920に支持されている。例えば、当該下リング952はヘリカルキャップ920の上スリーブ921の底板に支持され、ヘリカルキャップ920を介して容器に間接に支持されている。或いは、下リング952は容器に直接に支持されてもよく、例えば、容器の口部の内面に形成された凸状リングなどに直接に支持されてもよい。
【0060】
<第8実施例>
図23~25bは本発明に係る第8実施例のポンプ装置1000を示している。ここで、当該第8実施例について、第1ないし第7実施例と同様の構成を詳細に述べず、第1ないし第7実施例と異なる特徴に着目して説明する。
【0061】
図23に示すように、第8実施例のポンプ装置1000もトリガー式のものであり、また、第7実施例と類似に、ポンプ装置1000の弾性部材1050もプッシュヘッド1010の内部に収納され、その上リング1051はプッシュヘッド1010に支持され、或いは第9実施例のようにピストンロッド1030に形成されたフランジに支持されており、下リング1052はヘリカルキャップ1020に支持されている。
【0062】
異なるのは、第8実施例の弾性部材1050に備えられる2つ又はそれ以上の弾性ストリップ1053が図24a及び24bに示すように異なる平面にある点である。或いは、換言すれば、弾性部材1050の各弾性ストリップ1053はそれぞれ異なる平面内で変形する。
【0063】
図25a及び25bはそれぞれ図23の線A-Aに沿った弾性部材1050の断面図を示しており、それぞれ2つの構成の弾性部材1050を示している。そのうち、図25aに示す弾性部材1050の弾性ストリップ1053は断面がストレート形状となすのに対して、図25bに示す弾性部材1050の弾性ストリップ1053は断面がアーク状となす。
【0064】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明した。当業者であれば、これらに基づいて、自明な変形や修正を行うことができる。例えば、
図に示す構成において、弾性部材は上リングと下リングとを備える。しかし、上リングと下リングとのいずれか1つを省略してもよい。この場合、弾性ストリップの対応する端部は可動部材又は容器に直接に接続される。
【0065】
第1実施例において、弾性部材150とシンクロカラー160は互いに分離して形成した2つの部材であるが、弾性部材150はシンクロカラーと一体形成されてもよい。
上記開示した実施例の説明において、弾性部材の上リングと下リングとは(或いは上端と下端とは)対応する部材に支持又は接続されており、これは、弾性部材の上リング又は下リングは対応する部材に一体形成される場合を含む。
【0066】
上記開示した実施の形態において、プッシュヘッド、ピストンロッドなどはポンプ装置の可動部材として説明された一方、エアシリンダ、ヘリカルキャップなどはポンプ装置の固定部材として説明された。異なる種類のポンプ装置では、他の可動部材及び固定部材を更に備える可能性もあり、また、同一部材は1つの種類のポンプ装置において活動部材となるが、他の1つの種類のポンプ装置において固定部材となる可能性があるのは当業者に知られることであろう。例えば、エアシリンダであるが、固定部材となる可能性があり、可能部材となる可能性もある。これに対して、エアシリンダが固定部材となる場合、ピストンとピストンロッドは可動部材となる一方、エアシリンダが可動部材となる場合、ピストンとピストンロッドは固定部材となる。
【0067】
以上開示した実施の形態において、吸引管30は単一部材として示されている。当該吸引管30は射出成形によって作製されてよいが、押出、ブローなどによって成形されてもよい。また、吸引管は、組み立てられた複数の部分を備えてもよい。
図1
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図4
図5
図6
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