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特許7488335マルチチャンバプロファイルおよび/または配管用コネクタおよび接続アセンブリ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】マルチチャンバプロファイルおよび/または配管用コネクタおよび接続アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   F16L 25/14 20060101AFI20240514BHJP
   F16L 21/02 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
F16L25/14
F16L21/02 F
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022526245
(86)(22)【出願日】2020-11-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(86)【国際出願番号】 EP2020080639
(87)【国際公開番号】W WO2021089459
(87)【国際公開日】2021-05-14
【審査請求日】2022-05-06
(31)【優先権主張番号】102019129828.8
(32)【優先日】2019-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591044393
【氏名又は名称】ノルマ ジャーマニー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】ウンガー, デニス
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリッチ, デトルフ
(72)【発明者】
【氏名】ハーム, ニナ
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0343144(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0196127(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第01327847(EP,A1)
【文献】国際公開第2011/088426(WO,A1)
【文献】米国特許第05062476(US,A)
【文献】実開昭60-002087(JP,U)
【文献】特開2013-113482(JP,A)
【文献】国際公開第2020/187612(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第108539319(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 25/14
F16L 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる形状の2つの流体配管用のコネクタ(1)であって、
第1の接続部(21)および第2の接続部(22)と、両前記接続部(21,22)を流体的に接続する流体チャネル(23)を備えるハウジング(2)と、
該ハウジング(2)に結合することができるロック要素(3)と、
前記ハウジング(2)と前記ロック要素(3)との間に配置可能なシール(4)とを備え、
前記ロック要素(3)および前記ハウジング(2)は、前記シール(4)を受けるための受け部(5)が、前記ハウジング(2)と前記ロック要素(3)との間に形成されるように、前記流体チャネル(23)に対して互いに相対的に配置することができ、
前記第1の接続部(21)が、細長い断面を有する第1の流体配管(11)の接続のために構成され、
前記第2の接続部(22)が、他の断面を有する第2の流体配管の接続のために構成され、
前記第1の流体配管(11)に貫通孔が設けられ、
前記第1の流体配管(11)の固定のために構成される固定部(6)が、前記ロック要素(3)に設けられ、
前記固定部(6)が、前記貫通孔を貫通する固定要素を嵌合させる少なくとも1つの穴であり
前記固定要素が、前記第1の流体配管(11)を前記ハウジング(2)に固定するように構成されているコネクタ(1)。
【請求項2】
前記ハウジング(2)および/または前記ロック要素(3)が、射出成形、ダイキャスト、または積層造形によって、一体として製造されている請求項1に記載のコネクタ(1)。
【請求項3】
前記ハウジング(2)および前記ロック要素(3)が、互いにラッチされ得る請求項1または請求項2に記載のコネクタ(1)。
【請求項4】
他の固定部が、前記ハウジング(2)に設けられ、かつ、前記第1の流体配管(11)の固定のために構成されている請求項1から請求項3のいずれかに記載のコネクタ(1)。
【請求項5】
他の前記固定部が、少なくとも1つのスナップフィット接続部を備え、前記スナップフィット接続部が、前記第1の流体配管(11)を前記コネクタに嵌め合いにより固定するように構成されている請求項4に記載のコネクタ(1)。
【請求項6】
記ハウジング(2)、前記ロック要素(3)および前記シール(4)の3つの構成要素と、少なくとも1つの前記固定要素からなる請求項1から請求項5のいずれかに記載のコネクタ(1)。
【請求項7】
前記ハウジング(2)および前記ロック要素(3)の外形寸法が、その断面から見て、互いに非常に近似している請求項1から請求項6のいずれかに記載のコネクタ(1)。
【請求項8】
前記流体チャネル(23)が、前記ハウジング(2)内において平面状である請求項1から請求項7のいずれかに記載のコネクタ(1)。
【請求項9】
前記第1の流体配管(11)が、少なくとも部分的に前記流体チャネル(23)内に導入され、かつ/または、前記ハウジング(2)が、外側に補強リブ(24)を備える請求項1から請求項8のいずれかに記載のコネクタ(1)。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれかに記載のコネクタ(1)を有し、該コネクタ(1)が、平坦なチャネルの形態の第1の流体配管(11)に結合されるコネクタアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段部に記載のコネクタ、および請求項10に記載のコネクタアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術においては、異なる寸法の流体配管を接続するための様々なコネクタが開示されている。電気自動車の分野においては、例えば、エネルギー貯蔵装置の温度調節装置の異なる流体配管を互いに結合することができるコネクタが必要とされている。エネルギー貯蔵装置は、例えば、蓄電池または電池であってもよい。本発明は、温度調節装置の領域において使用することができるコネクタに関するものである。本発明によるコネクタおよび本発明によるコネクタアセンブリは、もちろん、車両構造および電気車両構造以外の領域においても使用することができる。原則として、異なる寸法の流体配管が互いに接続され、限られた構造スペースにおいて冷却要求が増大するすべての領域または用途に使用が可能である。プラント建設、特に化学工業、および食品工業または製薬工業の分野における使用が考えられる。特に、生産設備が冷却されなければならず、限られた空間条件や構造上のスペースしかない場所において、本発明を使用することが考えられる。従来の駆動装置を備えた実用車両、例えば掘削機、林業機械、鉄道車両での使用はさらに考えられる。
【0003】
汎用のコネクタは、円形断面の従来のパイプ配管を平坦なプロファイルに接続するために、または平坦で細長い断面を有し、複数の互いに分離した概ね平行な配管チャネルが対応する平坦なプロファイルを形成するラインに接続するために使用される。
【0004】
ここで、エネルギー貯蔵装置、それに対応する温度調節装置、さらにはそこに設置されるコネクタの動作信頼性について高い要求がある。特に、自動車産業における通常の安全基準を遵守しなければならない。例えば、エネルギー貯蔵装置内の漏れを確実に防がなければない。さらに、コネクタは、水とグリコールの混合液など、従来から使用されている流体の圧力条件に耐えられるように設計されていなければならない。
【0005】
このタイプのコネクタの場合の基本的な問題は、コネクタが2つの全く異なる形状の配管を互いに確実に結合しなければならないという事実に起因する。そのうちの1つは、狭く、ほぼ直線状の断面を有する完全に一般的とはいえない形状である。この狭い断面が、接続部に要求される密閉性を複雑にしている。さらに、狭い断面とそれに対応する直線的な平面によって、平坦なチューブ状の配管を軸方向にコネクタに固定することがより困難になる。これは、例えば、平坦なプロファイルを固定するために、ねじが使用できないからである。
【0006】
蓄電池の充電速度や、対応する電気自動車の動力要求が急速に進展しているため、蓄電池の温度調節装置に対する要求も高まっている。そのため、流体配管とそのコネクタの分野においても、相応の改良が必要になっている。
【0007】
このような背景から、本発明の目的は、著しく異なる形状の流体配管を密閉して固定的に互いに結合することができる、改良されたコネクタを提供することにある。さらに、コネクタをできるだけ簡単に製造し、対応する接続を簡単に、できるだけ工具なしで、および/または自動的に確立することを可能にすることを目的としている。このコネクタは、自動車用エネルギー貯蔵装置の分野において使用することができ、一般に、異なる流体配管を互いに結合しなければならないあらゆる分野において使用することができる。このコネクタは、構造スペースが限られている領域や、冷却要求が高い用途において特に利点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の主要な特徴は、請求項1および請求項10に明記されている。本発明の構成は、請求項2から請求項9の主題を形成している。
【0009】
本発明は、異なる形状の2つの流体配管、またはマルチチャンバプロファイルおよび/または配管用のコネクタに関する。コネクタは、これら2つの流体配管を互いに接続するように構成されている。コネクタは、ハウジングを備え、ハウジングは、第1および第2の接続部を備え、流体的に接続する流体チャネルを備えている。接続部は、流体配管に結合されるように構成されている。コネクタは、さらに、ハウジングに結合することができるロック要素と、ハウジングとロック要素との間に配置可能なシールとを備えている。
【0010】
ロック要素とハウジングは、シールを受けるための受け部がハウジングとロック要素の間に形成されるように、互いに相対的に配置することができる。
【0011】
ハウジングとロック要素の結合により、シールおよび/または2つの流体配管の一方をコネクタに固定し、特にしっかりとクランプすることができる。ハウジングとロック要素は、例えば、嵌合様式で、シールが2つのハウジング部、即ちハウジングとロック要素の間で囲まれ、固定され、および/または、シールのために、応力を受け、その過程において変形するように、互いに係合させることができる。2つのハウジング部の結合状態において、1つの流体配管は、少なくとも半径方向において固定されていてもよい。この場合、径方向とは、流体配管の長手方向または主流動方向に対して直交する方向を意味すると理解されたい。
【0012】
さらに、第1の接続部は、細長い断面を有する第1の流体配管の接続のために構成され、第2の接続部は、他の、特に円形の、断面を有する第2の流体配管の接続のために構成されている。
【0013】
このようにして、形状の異なる2つの流体配管を容易にかつ安価に漏れのないように互いに接続することが、有利に実現される。
【0014】
好ましい実施形態によると、ハウジングおよび/またはロック要素は、特に射出成形またはダイキャストまたは積層造形によって、一体として製造される。ここで、ハウジング部は、それに応じて、金属および/またはプラスチックから製造されてもよい。ハウジング部の製造のための鋳造プロセスの使用は、当該製造を特に安価に、かつ、特に大量生産に適した方法によって実現することを可能にする。付加的生産プロセスは、特に、一般的に使用されるすべての3D印刷プロセスであると理解される。
【0015】
さらなる好ましい実施形態では、ハウジングおよびロック要素が互いにラッチされ得てもよい。このようなラッチングは、2つの構成要素の接続の特に好ましい簡単な形態を構成する。この目的のために、2つの部品が一方が他方の内部に、または一方が他方に対して配置される場合、互いに係合するスナップフィット接続部および対応する切欠きを、ハウジング部およびロック要素に設けることができる。
【0016】
さらに好ましい実施形態では、固定部が、ハウジングおよび/またはロック要素に設けられ、第1の流体配管の固定のために構成されてもよい。固定部は、第1の流体配管を軸方向に固定するように構成されていてもよい。このようにして、流体配管がコネクタに結合された状態からコネクタから切り離された状態に不所望に切り替わらず、その結果、コネクタを流れる流体が後者から不所望に流出さないことを、有利に確保することができる。
【0017】
特に好ましい実施形態では、固定部が、固定要素を導入するための少なくとも1つの切欠き、および/または少なくとも1つのスナップフィット接続部を備え、固定要素およびスナップフィット接続部が、第1の流体配管をコネクタに嵌め合いにより固定するように構成されている。この目的のために、流体配管は、固定要素またはスナップフィット接続部が少なくとも部分的に導入することができる切欠きまたはリードスルーを含んでいてもよい。簡単な実施形態では、スナップフィット接続部は、対応するハウジング部と一体に形成されてもよい。スナップフィット接続部は、第1の流体配管がコネクタに導入されるとき、スナップフィット接続部が流体配管の切欠きまたはリードスルーにラッチされるように形成されてもよい。その結果、流体配管は軸方向で固定される。
【0018】
さらに好ましい実施形態では、コネクタがハウジング、ロック要素およびシールの3つの構成要素からなること、またはコネクタがハウジング、ロック要素およびシールの3つの構成要素と、少なくとも1つの固定要素からなることが考えられる。2つの流体配管は、互いに接続された状態において、記載されたすべての構成要素に直接接触していてもよい。固定要素は、他の3つの構成要素から分離された構成要素、例えば固定ピン、特にばね鋼から製造される板金インサート、または他の止め具であってもよい。
【0019】
さらなる好ましい実施形態では、ハウジングとロック要素の外形寸法が、その断面から見て、互いに非常に近似していることが考えられる。このようにして、ハウジングとロック要素とが互いに結合された状態において、コネクタの均一な外観を確保することができる。したがって、2つのハウジング部は、異なる長手方向の延びを有することができるが、径方向において、2つのハウジング部のどちらも、それぞれの場合に他のハウジング部よりも著しく遠くに延びることはない。
【0020】
さらに好ましい実施形態では、流体チャネルが、ハウジング内において、少なくとも断面が平坦かつ平面状の切欠きであることが考えられる。平坦な切欠きは、第3の空間方向よりも2つの互いに直交する空間方向において著しく遠くに延びるものを意味すると理解される。2つの著しく異なる流体配管間の接続チャネルとして機能するこのような平坦な流体チャネルは、可能な限り安定した2つの流体配管間の妨げのない流体の流れを可能にし、それに対応して低い貫流抵抗または低い圧力損失で維持することができるようにする。
【0021】
さらなる好ましい実施形態では、第1の流体配管が、少なくとも部分的に流体チャネル内に導入され、かつ/またはハウジングが外側に補強リブを備えることが考えられる。流体チャネルが平面的または面的に設計されていることにより、同様に面状または偏平管状の第1の流体配管を流体チャネルに少なくとも部分的に導入することが可能となり、このようにして第1の流体配管のコネクタへの最適な取り付けが確保される。
【0022】
本発明は、さらに、コネクタを有し、コネクタが、平坦なチャネルの形態である流体配管に結合される、コネクタアセンブリに関する。有利には、コネクタアセンブリは予め組み立てることもでき、このようにして、エネルギー貯蔵装置の取り付けの間のさらなる取り付けステップにおいて、より容易に使用することができる。
【0023】
本発明の他の特徴、詳細、および利点は、特許請求の範囲の文言、および図面を参照した以下の実施形態の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1A】コネクタアセンブリを示す透視図である。
図1B】コネクタアセンブリの透視縦断面図である。
図2A】ロック要素の透視図である。
図2B】ロック要素のさらなる透視図である。
図3A】コネクタアセンブリのさらなる透視縦断面図である。
図3B】コネクタアセンブリの横方向の縦断面図である。
図4】第1の流体配管の断面図である。
図5A】半完成状態における固定要素の平面図である。
図5B】完成状態における固定要素の透視図である。
図6】固定要素を有するコネクタアセンブリの分解図である。
図7】固定要素の機能原理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1Aは、2つの流体配管用のコネクタ1を有するコネクタアセンブリを示し、第1の接続部21において、右側に第1の流体配管11を示し、第2の流体配管は図示されていないが、左側の第2の接続部22において、コネクタ1に結合することができる。第2の流体配管の接続は、例えばSAE接続を介するなど、任意の標準的な接続を介して実現することができる。第1の接続部21は、コネクタ1のハウジング2の内部に設けられた領域であってもよい。
【0026】
第1の流体配管11は、非常に平坦なチューブまたは平坦なプロファイルの形態であってもよく、第2の流体配管は、従来の円形断面を有する流体配管であってもよい。2つの流体配管11は、結果として、著しく異なる幾何学的形状を有する可能性がある。
【0027】
第1の流体配管11は、最大120mmまでの幅を有してもよく、高さは、例えば、わずか3mmであってもよい。第1の流体配管は、例えばアルミニウムまたはアルミニウム合金、他の金属合金または適切なプラスチックから製造することができる。
【0028】
第1および第2の接続部21,22を有するハウジング2内に設けられ、両接続部21,22を流体的に接続するのは、以下の図1Bに示す流体チャネル23である。ハウジング2には、ロック要素3が結合されている。ロック要素3は、クランプ片と呼ばれることもある。ハウジング2は、補強リブ24を有し、この補強リブは、特に、第2の接続部22に隣接し、第1の接続部21からさらに離れた領域に配置されてもよい。
【0029】
ハウジング2とロック要素3の両方は、特に射出成形またはダイキャストによって、一体として製造されてもよい。図1Aに示されるように、ハウジング2とロック要素3は、互いにラッチされてもよい。この目的のために示されているのは、1つが他の上に配置された5つの細長い切欠き31であり、その中にスナップフィット接続部32(次の図に示す)がラッチされている。
【0030】
ロック要素3には、固定部6として機能する2つの穴が見ることができる。固定要素(より詳細には図示せず)をこれらの穴または他の切欠きに導入することができ、この固定要素は、第1の流体配管11の対応する切欠きまたは穴を通しても延在する。このようにして、流体配管11は、コネクタ1に対して固定することができる。
【0031】
代替的または追加的に、固定部6として少なくとも1つのスナップフィット接続部32を設けることも可能であり、この接続部は、同様に、第1の流体配管11のコネクタ1への嵌め合い用に構成されている。スナップフィット接続部32は、ハウジング2の内側および/またはロック要素3の内側に配置され、そこに配置され得る第1の流体配管11の方向に配向することができる。第1の流体配管11がハウジング2内またはロック要素3内に導入されると、スナップフィット接続部32は、第1の流体配管11の対応する切欠きまたは穴内に掛け止められ、このように、流体配管11をコネクタ1に固定することができる。
【0032】
図1Aはさらに、ハウジング2およびロック要素3の外形寸法が、その断面から見て、互いに非常に近似していることを示している。したがって、図1Aにおける両方のハウジング部2,3は、垂直方向および図面の平面の方向に、実質的に等しく延びている。これに対して、図1Aにおける軸方向またはほぼ水平方向において、ハウジング2は、ロック要素3よりもかなり遠くに、具体的には2倍以上または3倍以上、延びている。
【0033】
図1Bは、図1Aに示すコネクタアセンブリの縦断面図である。図1Aで見ることができる構成要素に加えてここに示されているのは、ハウジング2とロック要素3との間に配置されているシール4である。シール4は、流体配管からコネクタ1の外側に流体が流れないように、第1の流体配管11の周りに完全に係合するOリングの形態であってもよい。
【0034】
ハウジング2およびロック要素3は、シール4を受けるための受け部5が形成されるように形成され、互いに対して配置される。ここで、シール4は、受け部5を形成するチャンバ内に保持され、ハウジング2および/またはロック要素3によって径方向外側に、第1の流体配管11によって径方向内側に画定され、また一方ではハウジング2によって、他方ではロック要素3によって2軸方向に画定される。
【0035】
コネクタ1内には、2つの流体配管を互いに流体的に接続する流体チャネル23が示されている。流体チャネル23は、面状である。実質的に三角形の基本形状を有していてもよい。流体チャネル23は、流体配管と連通する領域において、実質的にそれらの幅の範囲を有するように、第1の接続部21から第2の接続部22へと広がっている。これにより、流体チャネル23の、したがって、コネクタ1の、可能な限り低い損失での貫通が可能になる。
【0036】
さらに、第1の流体配管11は、複数の例えば平行な配管チャネル13からなり、配管チャネル13と流体配管11の上下の縁との間に、それぞれの場合に、そのような配管チャネル13のない1つの縁部領域12が設けられることがわかる。底部および上部で前記縁部領域12に示されているのは、それぞれの場合に1つのリードスルー14であり、その中に、流体配管11をコネクタ1に固定するための固定要素またはスナップフィット接続部32が導入されてもよい。
【0037】
図1Bは、コネクタ1がハウジング2、ロック要素3、シール4の3つの構成要素からなることを示している。固定要素として、スナップフィット接続部32ではなく、例えば固定ピンを使用する場合、コネクタ1は4つの異なる構成要素で構成される可能性があるが、その場合は、もちろん1つ以上の固定ピンを使用することもできる。
【0038】
図2Aおよび図2Bは、ロック要素3の異なる図を示す。この実施形態では、ロック要素3はスナップフィット接続部32を備え、一方、ハウジング2は、スナップフィット接続部32がラッチすることができる対応する切欠き31、すなわちリードスルーを有する必要がある。例示的な実施形態は、合計10個のスナップフィット接続部32を示し、各々の場合において、5個のスナップフィット接続部32が互いに対向して配置されている。さらに、ロック要素3が固定部6としてリードスルーまたは穴を構成していることがわかる。しかしながら、代替的にまたは追加的に、ハウジング2において対応するスナップフィット接続部32および/または固定部6が設けられる実施形態も考えられる。スナップフィット接続部がハウジング2に追加的または代替的に設けられる場合、ラッチングを可能にするために、ロック要素3には当然、対応する切欠き31が存在しなければならない。
【0039】
図2Bは、ロック要素3の内部に配置され、第1の流体配管11と接触し、第1の流体配管11をロック要素3内に固定するように構成されたリブ33を示す。ここで、各々の場合において、1つのリブ33と1つのスナップフィット接続部32が交互に配置されてもよい。リブ33は、ロック要素3の長手方向の側面および幅方向の側面に沿って配置されてもよい。特に、2つのリブ33’が、ロック要素3の対称面内に配置されてもよい。2つのリブ33’は、流体配管11を横方向に接触させても、または固定してもよい。
【0040】
図3Aおよび3Bは、コネクタアセンブリの2つの断面図を示しており、第1の流体配管11の位置およびハウジング2のロック要素3への結合に関する詳細を見ることができる。これに関しては、第1の流体配管11は、流体チャネル23に部分的に導入されており、このようにして、流体配管11のコネクタ1へのより良い結合が達成されている。
【0041】
さらに、ロック要素3の2つのスナップフィット接続部32は、ラッチインされた状態で示されている。ここで、スナップフィット接続部32は、ハウジング2の対応する切欠き31の中に延び、それによって、ロック要素3をハウジング2に固定する。ロック要素3のハウジング2へのさらなる固定は、ロック要素3の縁部34によって実現され、その縁部は、ハウジング2の周辺縁部領域にかかり、停止部を形成する。縁部34とスナップフィット接続部32は共に、ロック要素3を両軸方向でハウジング2に固定する。
【0042】
図3Aおよび3Bから明らかになるように、ハウジング2およびロック要素3の両方は、第1の流体配管11が延びる平面に対して対称的な形態であってもよい。さらに、受け部5は、軸方向においてロック要素3とほぼ等しく延在していることがわかる。特に、受け部5の軸方向の広がりは、ロック要素3の軸方向の広がりの少なくとも50%に相当すると考えられる。
【0043】
最後に、図4は、第1の流体配管11の断面図である。ここで、流体配管11内で、対応する複数の配管チャネル13を互いに分離する、長手方向に延びる複数の分離壁の画定がなされていることが分かる。配管チャネル13は、ここでは流体配管11の全幅にわたって延びておらず、むしろ配管チャネル13の左側と右側には、配管チャネル13が設けられていない縁部領域12が存在する。前記縁部領域12は、全体として、流体配管11の幅の半分まで延びることができる。流体配管11の幅は、図4におけるその水平方向の範囲を意味すると理解され、軸方向は、図面の平面に直交する方向を意味すると理解される。
【0044】
図5Aは、半完成状態の固定要素60と、この上に、比較のために、ロック要素3を示したものである。固定要素60は、ブランクまたは金属シートから製造された金属製クランプ片であってもよい。固定要素60は、例えば、レーザーカッターによって金属シートから切り出すことができる。固定要素は、2つの平行および/または直線状の長手方向部62と、2つの長手方向部62を接続する2つの曲線部63とからなる周縁部61を含んでいてもよい。当該部は、周縁部60の完成状態において、第1の流体配管11を導くことができる連続的な周縁部61を形成する。周縁部60の完成状態は、図5Bに示されている。長手方向部62の長さは、第1の流体配管11の幅にほぼ対応している。
【0045】
曲げ部64は、周縁部61の長手方向部62に沿って設けられている。周縁部61の外周縁に配置される曲げ部64は、合計6つ設けられていてもよく、そのうち、各々の場合、2つが互いに対向して配置されている。曲げ部64は、同様に、周縁部61の内周縁に設けられてもよい。内曲げ部64は、それぞれの場合において、互いにオフセットして配置されてもよい。また、内曲げ部64は、外曲げ部64よりも短く形成されていてもよい。図5Aに示す固定要素60の半完成状態において、周縁部および曲げ部64の両方が平面上に配置されてもよい。固定要素60の曲げ部64は、コネクタ1の組立状態において、曲げ部64の少なくとも一部がロック要素3のリブの間に存在するように、長手方向部62に沿って配置されてもよい。
【0046】
図5Bは、すべての曲げ部64が約80度から90度の方向に曲げられた完成状態の固定要素60を示す。この状態において、固定要素60は、コネクタ1の他の構成要素に結合することができ、それにより第1の流体配管11は、周縁部61によって画定されたリードスルーを通過させることができる。
【0047】
図6は、ハウジング2とロック要素3との間に配置される固定要素60を備えるコネクタアセンブリの分解図である。コネクタアセンブリを取り付けるため、第1の流体配管11は、固定要素60に押し込まれ、コネクタのさらなる構造内に位置決めされる。コネクタアセンブリの完全に組み立てられた状態において、固定要素60の曲げ部64の少なくとも一部は、ハウジング2内に配置されてもよい。完全に組み立てられた状態において、固定要素60の周縁部61は、ハウジング2とロック要素3の軸受面の間に位置し、それによって固定される。
【0048】
図7は、固定要素60の機能原理を示す図である。分かりやすくするために、ハウジング2およびロック要素3は示されていない。固定要素60の形状または曲げ部64の一方的な成形は、バーブに類似する形状を生じさせる。これらのバーブは、アルミニウムプロファイルまたは第1の流体配管11の、嵌合方向と反対方向への不要な引き抜きを防止する(上矢印)。一方、コネクタ1への単純な差し込みによって、流体配管11の取り付けも可能である(下矢印)。
【0049】
本発明は、上述した実施形態の一つに限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0050】
構造的な詳細、物理的な配置および方法のステップを含む、特許請求の範囲、明細書および図面から生じる全ての特徴および利点は、個別におよび多種多様な組み合わせでも、本発明に不可欠なものである。
【符号の説明】
【0051】
1 コネクタ
2 ハウジング
3 ロック要素
4 シール
5 受け部
6 固定部
11 第1の流体配管
12 縁部領域
13 配管チャネル
14 リードスルー
21 第1の接続部
22 第2の接続部
23 流体チャネル
24 補強リブ
31 切欠き
32 スナップフィット接続部
33,33‘ リブ
34 縁部
60 固定要素
61 周縁部
62 長手方向部
63 曲線部
64 曲げ部
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6
図7