(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】エアロゾル生成装置
(51)【国際特許分類】
A24F 40/46 20200101AFI20240514BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20240514BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/20
(21)【出願番号】P 2022541992
(86)(22)【出願日】2021-01-08
(86)【国際出願番号】 CN2021070919
(87)【国際公開番号】W WO2021139786
(87)【国際公開日】2021-07-15
【審査請求日】2022-09-06
(31)【優先権主張番号】202010016109.X
(32)【優先日】2020-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517075997
【氏名又は名称】深▲せん▼市合元科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN FIRST UNION TECHNOLOGY CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】Bldg C, Tangwei High-Tech Park, Fuyong Str, Baoan Dist, Shenzhen, Guangdong, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】胡瑞龍
(72)【発明者】
【氏名】陳偉
(72)【発明者】
【氏名】徐中立
(72)【発明者】
【氏名】李永海
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109846093(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0140018(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第110384264(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/46
A24F 40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引可能な材料を加熱して喫煙用のエアロゾルを生成するための、ハウジングを含むエアロゾル生成装置であって、前記ハウジング内には、
吸引可能な材料を収容するためのチャンバと、
前記チャンバの軸方向に延在して前記チャンバを囲む管状基材、及び前記管状基材の外面に形成された赤外線放射コーティングを含む赤外線放射器と、
前記赤外線放射コーティングと電気的に導通する導電素子と、
前記赤外線放射器の外周に設けられ、前記導電素子を支持するように構成された保持機構と、前記導電素子は、前記赤外線放射器の径方向に沿って前記保持機構と前記赤外線放射器との間に位置し、かつ前記保持機構の支持により前記赤外線放射コーティングに当接するものであり、
前記赤外線放射コーティングが前記チャンバに収容された吸引可能な材料に赤外線を放射して吸引可能な材料を加熱するように、導電素子と電気的に接続されて前記赤外線放射コーティングに電力を供給する電気コアと、を備
え、
前記保持機構は、前記赤外線放射器を囲む周方向に沿って順次設けられた第1の保持素子および第2の保持素子を含み、前記第1の保持素子と第2の保持素子との間に保持空間が形成され、
前記赤外線放射器および導電素子は、前記保持空間内に保持されることを特徴とする、エアロゾル生成装置。
【請求項2】
前記導電素子は、少なくとも一部が前記保持機構の軸方向に沿って保持機構の外側に延び、かつ前記電気コアに導電接続するための電気接続部を形成することを特徴とする、請求項1に記載のエアロゾル生成装置。
【請求項3】
前記導電素子は、
前記赤外線放射器の軸方向に延在して前記赤外線放射コーティングに当接する第1の部分と、
前記第1の部分から赤外線放射器の周方向に延在して形成される第2の部分と、を備え、
前記第1の部分の少なくとも一部は、前記保持機構の軸方向に沿って保持機構の外側に延在して前記電気接続部を形成することを特徴とする、請求項2に記載のエアロゾル生成装置。
【請求項4】
前記赤外線放射器の軸方向に沿った前記第1の部分の延在長さは、赤外線放射器の軸方向に沿った前記赤外線放射コーティングの延在長さよりも大きいことを特徴とする、請求項3に記載のエアロゾル生成装置。
【請求項5】
前記導電素子は、
前記赤外線放射器を囲む周方向に沿って延在して前記赤外線放射コーティングに当接する第1の部分と、
前記第1の部分から保持機構の軸方向に沿って延在して形成される第2の部分と、を備え、
前記第2の部分の少なくとも一部が保持機構の外側に延在して前記電気接続部を形成することを特徴とする、請求項2に記載のエアロゾル生成装置。
【請求項6】
前記第1の部分は、前記赤外線放射器を囲む環状を有し、
または、前記第1の部分は、前記赤外線放射器の周方向に沿って前記赤外線放射器の表面に巻かれた帯状を有することを特徴とする、請求項5に記載のエアロゾル生成装置。
【請求項7】
前記保持機構は、内面に収容溝が設けられ、前記収容溝によって前記導電素子を少なくとも部分的に収容することにより、前記導電素子を支持することを特徴とする、請求項1~請求項6のいずれか一つに記載のエアロゾル生成装置。
【請求項8】
前記保持機構は、長さ方向に沿って対向する第1の端部および第2の端部を含み、
前記第1の端部には、径方向に沿って内向きに延びる第1の支持部が設けられ、前記第1の支持部は、前記第1の端部で前記赤外線放射器を支持するように構成され、
および/または、前記第2の端部には、径方向に沿って内向きに延びる第2の支持部が設けられ、前記第2の支持部は、前記第2の端部で前記赤外線放射器を支持するように構成されることを特徴とする、請求項1~請求項6のいずれか一つに記載のエアロゾル生成装置。
【請求項9】
前記第1の保持素子には、周方向に延びる第1の接続構造が設けられ、
前記第2の保持素子には、周方向に延びる第2の接続構造が設けられ、
前記第1の保持素子と第2の保持素子は、前記第1の接続構造および前記第2の接続構造の嵌合によって接続されることを特徴とする、
請求項1に記載のエアロゾル生成装置。
【請求項10】
前記第1の保持素子および前記第2の保持素子はいずれも、半円環状の横断面を有することを特徴とする、
請求項1に記載のエアロゾル生成装置。
【請求項11】
前記第1の保持素子および前記第2の保持素子の外面は、平坦に接合されていることを特徴とする、
請求項1に記載のエアロゾル生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2020年01月8日に中国特許局に提出された、「エアロゾル生成装置」と題する中国特許出願第202010016109.X号の優先権を主張し、その内容全体が参照により本出願に組み込まれる。
【0002】
本出願の実施例は、加熱式タバコの技術分野に関し、特に、エアロゾル生成装置に関する。
【背景技術】
【0003】
タバコ製品(タバコ、シガーなど)は、使用時にタバコ葉を燃焼させてタバコベイパーを発生させる。上記のようなタバコ葉を燃焼させる製品の代わりに、燃焼させずに化合物を放出する製品を作る試みがなされている。
【0004】
このような製品の一例として、材料を燃焼させるのではなく、加熱することで化合物を放出する加熱装置が挙げられる。例えば、当該材料は、ニコチンを含むか含まないかを問わない非タバコ葉類製品やタバコ葉類製品であってもよい。別の例として、赤外線放射によってタバコ製品を加熱することで、化合物を放出させてエアロゾルを生成する赤外線加熱装置が挙げられる。例えば、公知技術としての特許第201821350103.0号では、石英管の外面にナノ遠赤外線コーティングと導電コーティングが順次形成された加熱装置構造を提案し、導電コーティングが給電する電源に接続されると、ナノ遠赤外線コーティングは電力により自体発熱すると同時に、電子遷移を起こして遠赤外線を発生させ、石英管内のタバコ製品に放射してタバコ製品を加熱する。
【0005】
上記装置の実施において、ナノ遠赤外線コーティングの外側に導電コーティングを印刷することで、印刷して形成された導電コーティングとナノ遠赤外線コーティングの重なり合った接触部は、接着力や結合性が不十分であるため、導電や接触が悪くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術における導電コーティングを印刷して赤外線コーティングに電力を供給する問題を解決するために、本出願の実施例は、結合が安定したエアロゾル生成装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上より、本出願は、吸引可能な材料を加熱して喫煙用のエアロゾルを生成するための、ハウジングを含むエアロゾル生成装置を提供し、前記ハウジング内には、
吸引可能な材料を収容するためのチャンバと、
前記チャンバの軸方向に延びて前記チャンバを囲む管状基材、及び前記管状基材の外面に形成された赤外線放射コーティングを含む赤外線放射器と、
前記赤外線放射コーティングと電気的に導通する導電素子と、
前記赤外線放射器の外周に設けられ、前記導電素子を支持するように構成された保持機構と、前記導電素子は、前記赤外線放射器の径方向において前記保持機構と前記赤外線放射器との間に位置し、かつ前記保持機構の支持により前記赤外線放射コーティングに当接するものであり、
前記赤外線放射コーティングが前記チャンバに収容された吸引可能な材料に赤外線を放射して吸引可能な材料を加熱するように、導電素子と電気的に接続されて前記赤外線放射コーティングに電力を供給する電気コアと、が設けられる。
【0008】
より好ましい実施形態において、前記導電素子は、少なくとも一部が前記保持機構の軸方向に沿って保持機構の外側に延び、かつ前記電気コアに導電接続するための電気接続部を形成する。
【0009】
より好ましい実施形態において、前記導電素子は、
前記赤外線放射器の軸方向に延在して前記赤外線放射コーティングに当接する第1の部分と、
前記第1の部分が赤外線放射器の周方向に延在して形成される第2の部分と、を備え、
前記第1の部分の少なくとも一部は、前記保持機構の軸方向に沿って保持機構の外側に延在して前記電気接続部を形成する。
【0010】
より好ましい実施形態において、前記赤外線放射器の軸方向に沿った前記第1の部分の延在長さは、赤外線放射器の軸方向に沿った前記赤外線放射コーティングの延在長さよりも大きい。
【0011】
より好ましい実施形態において、前記導電素子は、
前記赤外線放射器を囲む周方向に沿って延在して前記赤外線放射コーティングに当接する第1の部分と、
前記第1の部分から保持機構の軸方向に沿って延在し、かつ少なくとも一部が保持機構の外側に延在して前記電気接続部を形成する第2の部分と、を備える。
【0012】
より好ましい実施形態において、前記保持機構は、内面に収容溝が設けられ、前記収容溝によって前記導電素子を少なくとも部分的に収容することにより、前記導電素子を支持する。
【0013】
より好ましい実施形態において、前記保持機構は、長さ方向に沿って対向する第1の端部および第2の端部を含み、
前記第1の端部には、径方向に沿って内向きに延びる第1の支持部が設けられ、前記第1の支持部は、前記第1の端部で前記赤外線放射器を支持するように構成され、
および/または、前記第2の端部には、径方向に沿って内向きに延びる第2の支持部が設けられ、前記第2の支持部は、前記第2の端部で前記赤外線放射器を支持するように構成される。
【0014】
より好ましい実施形態において、前記保持機構は、前記赤外線放射器を囲む周方向に沿って順次設けられた第1の保持素子および第2の保持素子を含み、前記第1の保持素子と第2の保持素子との間に保持空間が形成され、
前記赤外線放射器および導電素子は、前記保持空間内に保持される。
【0015】
より好ましい実施形態において、前記第1の保持素子には、周方向に延びる第1の接続構造が設けられ、
前記第2の保持素子には、周方向に延びる第2の接続構造が設けられ、
前記第1の保持素子と第2の保持素子は、前記第1の接続構造および前記第2の接続構造の嵌合によって接続される。
【0016】
より好ましい実施形態において、前記第1の保持素子および前記第2の保持素子はいずれも、半円環状の横断面を有する。
【0017】
より好ましい実施形態において、前記第1の保持素子および前記第2の保持素子の外面は、平坦に接合されている。
【0018】
上記のエアロゾル生成装置では、電極としての導電素子が保持機構により支持され、導電素子を赤外線放射コーティングに貼付して電力を供給し、これにより、電極コーティングを印刷する工程を削減し、コーティングの印刷による付着不良を除去することができ、また、赤外線放射器には、電極印刷およびワイヤー溶接のための空間を予約する必要がなく、赤外線放射器の表面全体に赤外線コーティングを形成できるため、赤外線放射コーティングの有効面積が増加する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
1つ以上の実施例は、それに対応する図面によって例示されており、これらの例示的な説明は、実施例を限定するものではなく、同じ参照数字番号を有する図面の素子は、類似の素子を示し、図面では、特に説明されていない限り、縮尺の限定を構成しない。
【0020】
【
図1】一実施例によって提供されるエアロゾル生成装置の模式図である。
【
図2】
図1に示すエアロゾル生成装置の断面模式図である。
【
図3】
図2の加熱機構のある角度から見た時の模式図である。
【
図5】
図4の第1の保持素子と第2の保持素子の分解模式図である。
【
図7】別の実施例によって提出される第1の保持素子の模式図である。
【
図8】別の実施例によって提出される第1の導電素子の模式図である。
【
図9】別の実施例によって提出される第1の導電素子の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本出願を容易に理解するために、以下は図面および具体的な実施形態と合わせて、本出願をより詳細に説明する。
【0022】
本出願の一実施例は、タバコなどの吸引可能な材料を燃焼させるのではなく加熱し、吸引可能な材料の少なくとも1つの成分を揮発または放出させて喫煙用のエアロゾルを形成するエアロゾル生成装置を提案する。
【0023】
好ましい実施形態において、エアロゾル生成装置による吸引可能な材料の加熱は、3μm~15μmの遠赤外線など、加熱効果のある遠赤外線を放射することによって実行され、使用時には、赤外線の波長が吸引可能な材料の揮発性成分の吸収波長と一致する場合、赤外線のエネルギーは吸引可能な材料によって容易に吸収され、さらに吸引可能な材料を加熱して少なくとも1つの揮発性成分を揮発させ、喫煙用のエアロゾルを生成する。
【0024】
本出願の一実施例に係るエアロゾル生成装置の構造は
図1および
図2に示すように、装置全体がほぼ平たい円筒形として構成され、エアロゾル生成装置の外部部材は、
内部が中空構造であり、さらに赤外線放射などの必要な機能部品用の組立空間を形成するハウジング10と、
ハウジング10の長さ方向の上端に位置する上部カバー11と、を備え、当該上部カバー11は、エアロゾル生成装置が完全で美しい外観を有するようにハウジング10の上端を覆うことができる一方で、ハウジング10の上端部から取り外すこともでき、それによって、ハウジング10での各機能部品の着脱・交換を容易にする。
【0025】
さらに
図1および
図2から分かるように、上部カバー11は、開口12を有し、吸引可能な材料Aは、当該開口12を介して、ハウジング10の長さ方向に沿って少なくとも部分的にハウジング10に収容されて加熱することができ、または当該開口12を介してハウジング10から取り外すこともできる。
【0026】
ハウジング10には、また、幅方向の一側に沿ったスイッチボタン13が設けられ、使用者は手動で当該スイッチボタン13を作動させて、エアロゾル生成装置の作動を開始または停止させるように制御することができる。
【0027】
さらに
図2に示すように、ハウジング10内には、
電力を供給する電気コア14と、
エアロゾル生成装置の作動を制御するための、回路が集積された制御回路基板15と、
外部電源またはアダプタと接続すると、電気コア14を充電することができる、USB type-Cインターフェース、Pinピンインターフェースなどの、電気コア14を充電するための充電インターフェース16と、が設けられる。
【0028】
さらに、
図2を参照すると、ハウジング10内には、吸引可能な材料Aを加熱するための加熱機構20が設けられ、
図2に示す好ましい実施形態において、ハウジング10内には、径方向に沿って加熱機構20の外側に設けられた断熱部材30がさらに設けられ、それによって、加熱機構20からの熱がハウジング10の表面へ伝達されることを防止する。より好ましい実施形態において、断熱部材30は、内部真空領域を有する真空断熱管などである。
【0029】
さらに、
図2において、加熱機構は、いずれも中空環状の上支持部材40および下支持部材50をさらに備え、加熱機構20および断熱部材30の両端をそれぞれ支持することで、加熱機構20および断熱部材30をハウジング10内に安定的に保持する。
【0030】
さらに、
図3および
図4に示すように、加熱機構20の全体的な構造と分解状態で含まれる部品は主に、電気作動式の赤外線放射器230を含み、電力が供給されると吸引可能な材料Aに赤外線を放射し、具体的には、赤外線放射器230は、管状基材231、チャンバ232、および赤外線放射コーティング233を含む。
【0031】
当該管状基材231は、内部空間が吸引可能な材料Aを収容して加熱するためのチャンバ232を形成し、また、剛性の担体および吸引可能な材料Aを収容するものとして、実施中に石英ガラス、セラミックやマイカなど高温耐性および赤外線透過性のある材料、好ましくは、赤外線透過率95%以上の高温耐性材料などの透明材料で作成することができる。
【0032】
管状基材231の外面に形成された赤外線放射コーティング233は、通電状態でそれ自体が発熱し、吸引可能な材料Aを加熱するための赤外線、例えば上述した3μm~15μmの遠赤外線を放射することができる。赤外線の波長が吸引可能な材料Aの揮発性成分の吸収波長と一致する場合、赤外線のエネルギーが吸引可能な材料Aによって容易に吸収される。通常の実施では、赤外線放射コーティング233は、ジルコニウムなどのセラミック系材料や、Fe-Mn-Cu系、タングステン系、または遷移金属およびそれらの酸化物材料からなるコーティングであり得る。
【0033】
好ましい実施形態において、赤外線放射コーティング233は、好ましくは、Mg、Al、Ti、Zr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Cr、Znなどの少なくとも1つの金属元素の酸化物からなり、これらの金属酸化物は、適当な温度に加熱されると加熱効果を有する遠赤外線を放射することが可能になり、コーティングの厚さは、好ましくは、30μm~50μmにすることができ、管状基材231の表面にコーティングを形成する方法として、上記金属元素の酸化物を大気圧プラズマ溶射によって管状基材231の外面に吹き付けて硬化させることであってよい。
【0034】
さらに、
図3および
図4を参照すると、加熱機構20は、径方向に沿って赤外線放射器230の外側に設けられた保持機構を含むことで、赤外線放射器230をハウジング10に安定的に保持するとともに、導電性デバイスを、当該保持機構を介して赤外線放射器230の表面に安定的に保持しまたは接触させることができ、また、当該導電性デバイスは、電気コア14に接続可能であり、これにより、赤外線放射器230の赤外線放射コーティング233に電力を供給することができる。
【0035】
具体的には、保持機構は、赤外線放射器230を囲むように周方向に配置された第1の保持素子210および第2の保持素子220を含み、
図4に示す好ましい実施例によれば、第1の保持素子210および第2の保持素子220は、半円管状を有し、組み立てられると、赤外線放射器230を完全に囲む円管状の固定構造を形成することができる。
【0036】
また、第1の保持素子210と第2の保持素子220の組立を容易にするために、第1の保持素子210には、長さ方向の両端に位置する第1の係合突起212、および中央に位置する第2の係合突起213が設けられ、それに対応して、第2の保持素子220には、第1の係合突起212に適合した第1のスロット222、および第2の係合突起213に適合した第2のスロット223が設けられ、組立中に、第1の係合突起212は第1のスロット222に嵌め込まれ、第2の係合突起213は第2のスロット223に嵌め込まれて、第1の保持素子210と第2の保持素子220を固定的に接続する。
【0037】
さらに、第1の保持素子210は、長さ方向の両端において径方向に沿って内向きに延びる第1の支持部211および第2の支持部214が設けられ、同様に、第2の保持素子220は、両端においても径方向に沿って内向きに延びる第3の支持部221および第4の支持部(視野角により、図示されていない)が設けられ、上記各支持部は、第1の保持素子210および第2の保持素子220内に収容された赤外線放射器230の両端を支持する役割を果たし、それによって、赤外線放射器230の軸方向への移動を制限し、赤外線放射器230を保持して固定する。
【0038】
さらに、
図4から
図6に示すように、第1の保持素子210の内壁には、第1の導電素子240が設けられ、具体的には、第1の導電素子240の本体は、第1の保持素子210の長さ方向に沿って延びる帯状またはシート状であり、取付後、第1の導電素子240の少なくとも一部が第1の保持素子210の下端外側に延在し、同様に、第2の保持素子220の内壁にも第2の導電素子250が設けられる。取付後、第1の導電素子240および第2の導電素子250は、赤外線放射器230の外面の赤外線放射コーティング233に貼付されて電気を伝導し、これにより、電気コア14の正極端子および負極端子は、
図6および
図4の矢印rに示すように、第1の導電素子240および第2の導電素子250に接続されて赤外線放射コーティング233に電力を供給し、赤外線放射コーティング233に周方向に沿った電流を供給させる。
【0039】
好ましい実施形態において、赤外線放射器230の軸方向に沿った第1の導電素子240および第2の導電素子250の延在長さは、赤外線放射コーティング233の延在長さよりも大きく、それによって、赤外線放射コーティング233の周方向の電流を連続かつ完全にする。好ましい実施形態において、第1の導電素子240を第1の保持素子210の内壁に安定的に保持できるように、第1の保持素子210の内壁には、第1の導電素子240を固定するための凹部215が設けられる。具体的には、第1の導電素子240は、第1の導電素子240を凹部215内に収容または保持して軸方向の移動を防止するための、両側に沿って本体から延びる延在部241もさらに備える。
【0040】
さらに、より好ましい実施形態において、シリコーン、ポリイミド、スポンジなどの弾性力を提供できる可撓性材料を、接着や充填や吹付によって凹部215内に形成することができ、第1の導電素子240は、可撓性により、凹部215に収容されると、赤外線放射コーティング233の表面に安定的に接触または貼付することができる。
【0041】
第2の導電素子250は、上述した第1の導電素子240と同様に、形状構成、固定・取り付け方法が同じであり、当業者が第1の導電素子240を参照して理解し実施することができる。
【0042】
赤外線放射コーティング233に電力を供給するための電極としての第1の導電素子240および第2の導電素子250は、好ましくは、金、銀、銅などの導電性が良好で抵抗率の低い材料で作ることができる。
【0043】
別の変形例では、
図7および
図8に示すように、第1の保持素子210aの内壁には、上端及び下端付近に凹部215aが設けられ、凹部215aの本体は周方向に沿って延び、それに対応して、
図8に示す第1の導電素子240aは周方向に沿って凹部215aに置かれる。上記第1の導電素子240aは、取り付けられると、周方向に沿って赤外線放射器230の外面に貼付して電気を伝導する。なお、
図8に示す第1の導電素子240aは、直線状であり、実施中に、金属材料自体は屈曲性及び延性があるため、凹部215aに容易に取り付け、かつ周方向に沿って赤外線放射器230の外面に貼付することができ、または、利便性のある別の実施形態では、さらに、第1の導電素子240aを、
図9に示す第1の導電素子240bなどの環状に作ることができる。
【0044】
同様に、第2の導電素子250と第1の導電素子240aは対応して設けられ、他端において周方向に沿って赤外線放射器230の外面に貼付され、それぞれ正極および負極として赤外線放射器230に電力を供給し、かつ
図4の矢印rに示す径方向と異なる軸方向に沿った電流を形成する。
【0045】
さらに、第1の導電素子240aは、本体部から延びる延在部241aを備えることで、第1の導電素子240aが凹部215aで周方向に移動することを防止する一方で、取付後、その長さが第1の保持素子210aまで延在して、電気コア14の正極端子および負極端子への接続を容易にすることができる。
【0046】
本出願の明細書およびその図面は、本出願の好ましい実施例を提供したが、本明細書で記載された実施例に限定されるものではなく、さらに、当業者にとって、上記の説明に基づいて改良または変形を行うことができ、これらの改良や変形は全て、本出願に添付された請求項の保護範囲に含まれるものとする。