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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】発光デバイスアレイ
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/44 20100101AFI20240514BHJP
【FI】
H01L33/44
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2022571330
(86)(22)【出願日】2021-05-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-21
(86)【国際出願番号】 EP2021063144
(87)【国際公開番号】W WO2021233917
(87)【国際公開日】2021-11-25
【審査請求日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】2007719.4
(32)【優先日】2020-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】520445406
【氏名又は名称】プレッシー・セミコンダクターズ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】PLESSEY SEMICONDUCTORS LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メゾウアリ,サミル
(72)【発明者】
【氏名】ピノス,アンドレア
【審査官】八木 智規
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/37885(US,A1)
【文献】特表2017-538290(JP,A)
【文献】特開2008-108973(JP,A)
【文献】特開2015-103590(JP,A)
【文献】特表2015-500562(JP,A)
【文献】特表2007-519214(JP,A)
【文献】特開2018-6535(JP,A)
【文献】Kyu Kim, et al.,Light-Extraction Enhancement of GaInN Light-Emitting Diodes by Granded-Rafractive-Index Indium Tin Oxide Anti-Reflection Contact,ADVANCED MATERIALS,Vol. 20, Issue 4,WILEY,2008年01月29日,801-804
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光デバイスアレイであって、
発光面及びコンタクト面を有する発光スタックであって、前記発光面及び前記コンタクト面は前記発光スタックの対向する側面を画定し、
前記発光スタックは、前記発光スタックの前記発光面に向かって設けられた第1の半導体層と、前記コンタクト面に向かって設けられた第2の半導体層と、前記第1の半導体層と前記第2の半導体層との間に配置された活性層とを含む複数のIII族窒化物層を備え、前記活性層は第1の波長を有する光を生成するように構成され、
前記発光面及び前記コンタクト面は、互いに平行であり、前記複数のIII族窒化物層と位置合わせされている、発光スタックと、
前記発光スタック上に設けられ、前記第1の半導体層と電気的に接触するように構成された第1の電気コンタクト層と、
前記発光スタックの前記コンタクト面上に設けられた第2の電気コンタクトのアレイであって、各第2の電気コンタクトは前記第1の半導体層と前記第2の電気コンタクトとの間に発光デバイスを画定し、前記第2の電気コンタクトの各々は、前記発光デバイスの2次元アレイを形成するために他の第2の電気コンタクトから離間している、第2の電気コンタクトのアレイと、
前記発光面上に設けられた反射防止層であって、前記発光デバイススタックで生成された光の光抽出効率を高めるように構成されている、反射防止層と、
を備え
前記反射防止層は、少なくとも30%の面積多孔度を有する多孔質半導体層を備える、発光デバイスアレイ。
【請求項2】
前記活性層によって生成された前記第1の波長の光を吸収するように構成されている吸収層をさらに備え、前記吸収層は、前記発光スタックの少なくとも一部の上に設けられる、請求項1に記載の発光デバイスアレイ。
【請求項3】
前記吸収層は、前記発光面と前記コンタクト面との間に延在する前記発光スタックの少なくとも1つの側壁面に設けられる、請求項2に記載の発光デバイスアレイ。
【請求項4】
前記吸収層は前記発光面上に設けられ、前記吸収層は、前記発光面上に複数の開口部を備え、各開口部は、各発光デバイスからの光がそれぞれの開口部を透過するように第2の電気コンタクトと位置合わせされている、請求項2又は3に記載の発光デバイスアレイ。
【請求項5】
前記吸収層は、前記第2の電気コンタクトのアレイの隣接する第2の電気コンタクト間の前記コンタクト面の領域に設けられる、請求項2から4のいずれか1項に記載の発光デバイスアレイ。
【請求項6】
前記反射防止層は複数の多孔質半導体副層を備え、前記複数の多孔質半導体副層のうちの少なくとも2つの面積多孔度は異なる、請求項1から5のいずれか1項に記載の発光デバイスアレイ。
【請求項7】
前記発光デバイスアレイ内の各第2の電気コンタクトのピッチは、5μm以下、すなわち2μm以下である、請求項1から6のいずれか1項に記載の発光デバイスアレイ。
【請求項8】
前記第1電気コンタクト層は、前記発光面上に設けられた透明導電性酸化物を含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の発光デバイスアレイ。
【請求項9】
前記反射防止層は、前記第1の電気コンタクト層と前記発光面との間に配置される、請求項に記載の発光デバイスアレイ。
【請求項10】
前記第1の電気コンタクト層は、前記反射防止層と前記発光面との間に配置される、請求項に記載の発光デバイスアレイ。
【請求項11】
前記反射防止層及び前記第1の電気コンタクト層は、反射防止機能及び電気コンタクト機能の両方を有する傾斜屈折率(GRIN)構造を形成するように構成されている、請求項1から10のいずれか1項に記載の発光デバイスアレイ。
【請求項12】
前記発光スタックは、
前記発光スタック内に設けられ、前記活性層を貫通して前記第1の半導体層と前記コンタクト面との間に延在するビア半導体部分をさらに備え、
前記第1の電気コンタクト層は、前記ビア半導体部分と電気的に接触するコンタクト面に設けられる、請求項1からのいずれか1項に記載の発光デバイスアレイ。
【請求項13】
前記第1の半導体層は、n型ドープIII族窒化物を含み、及び/又は
前記第2の半導体層は、p型ドープIII族窒化物を含み、及び/又は
前記活性層は、III族窒化物を含む多重量子井戸層を備える、請求項1から12のいずれか1項に記載の発光デバイスアレイ。
【請求項14】
前記活性層は、前記発光デバイスアレイの少なくとも2つの隣接する発光デバイス間に連続層として延在する、請求項1から13のいずれか1項に記載の発光デバイスアレイ。
【請求項15】
発光デバイスアレイを形成する方法であって、
基板の基板表面上に発光スタックを形成するステップであって、前記発光スタックは、前記基板表面に向かって配向された発光面と、前記発光スタックの反対側のコンタクト面とを有し、前記発光スタックを形成するステップは、複数のIII族窒化物層を形成するステップを含み、前記複数のIII族窒化物層は、
前記基板表面に向かって設けられた第1の半導体層と、
前記発光スタックのコンタクト面に向かって設けられた第2の半導体層と、
前記第1の半導体層と前記第2の半導体層との間に設けられ、第1の波長の光を発生するように構成されている活性層と、を備え、
前記発光スタックの前記発光面及び前記コンタクト面は、互いに平行に形成され、前記複数のIII族窒化物層と位置合わせされている、ステップと、
前記発光スタックの前記コンタクト面上に第2の電気コンタクトのアレイを形成するステップであって、各第2の電気コンタクトは前記第1の半導体層と前記第2の電気コンタクトとの間に発光デバイスを画定し、前記第2の電気コンタクトの各々は、前記発光デバイスの2次元アレイを形成するために他の第2の電気コンタクトから離間している、ステップと、
前記発光スタックから前記基板を除去するステップと、
前記発光スタック上に第1の電気コンタクト層を形成するステップであって、前記第1の電気コンタクト層は前記第1の半導体層と電気的に接触するように構成されている、ステップと、
前記発光面上に反射防止層を形成するステップであって、前記反射防止層は、前記発光デバイススタックによって生成された光の光抽出効率を高めるように構成されている、ステップと、
を含み、
前記反射防止層を形成するステップは、
前記発光面上にIII族窒化物及び少なくとも1×10 18 cm -3 のドナー密度を含む第3の半導体層を形成するステップと、
前記第3の半導体層を多孔性処理プロセスに供して、前記第3の半導体層の面積多孔度を少なくとも30%に増加させるステップと、
を含む、方法。
【請求項16】
前記発光スタックの少なくとも一部の上に吸収層を形成するステップであって、前記吸収は、前記活性層によって生成された前記第1の波長の光を吸収するように構成されている、ステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記発光デバイスアレイに形成された各第2の電気コンタクトのピッチは、5μm以下、すなわち2μm以下である、請求項15またはに記載の方法。
【請求項18】
前記第1の電気コンタクト層を形成するステップは、前記発光面上に透明導電性酸化物を形成するステップを含む、請求項1から1のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記反射防止層は前記発光面上に形成され、続いて前記反射防止層上に前記第1の電気コンタクト層が形成される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の電気コンタクト層は前記発光面上に形成され、続いて前記第1の電気コンタクト層上に前記反射防止層が形成される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の電気コンタクト層を形成するステップは、
前記第1の半導体層と前記コンタクト面との間で前記活性層を貫通して延在するビア半導体部分を前記発光スタック内に形成するステップと、
前記ビア半導体部分上の前記コンタクト面上に第1の電気コンタクト層を形成するステップと、
を含む、請求項1から1のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の半導体層を形成するステップは、n型ドープIII族窒化物を形成するステップを含み、及び/又は
前記第2の半導体層を形成するステップは、p型ドープIII族窒化物を形成するステップを含み、及び/又は
前記活性層を形成するステップは、III族窒化物を含む多重量子井戸層を形成するステップを含む、請求項1から2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記活性層は、前記発光デバイスアレイの少なくとも2つの隣接する発光デバイス間に延在する連続層として形成される、請求項1から2のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の分野
本開示は、発光デバイスを備えるアレイに関する。特に、本開示は、III族窒化物を含む発光デバイスアレイに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
マイクロ発光デバイスアレイは、一般に、100×100μm以下のサイズを有する発光ダイオード(LED)などの発光デバイスのアレイとして定義される。マイクロLEDアレイは、スマートウォッチ、ヘッドウェアディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ、カムコーダ、ビューファインダ、マルチサイト励起源、及びピコプロジェクタなどの様々なデバイスでの使用に適し得る自発光マイクロディスプレイ/プロジェクタである。
【0003】
マイクロLEDアレイの1つの既知の形態は、III族窒化物から形成された複数のLEDを備える。III族窒化物LEDは、活性発光領域にGaN及びそのInNとAlNとの合金を含む無機半導体LEDである。III族窒化物LEDは、従来の大面積LED、例えば光生成層が有機化合物である有機発光ダイオード(OLED)よりも著しく高い電流密度で駆動することができ、より高い光出力密度を放出することができる。結果として、所与の方向における光源の単位面積当たりに放射される光の量として定義されるより高い輝度(明るさ)は、マイクロLEDを高い輝度を必要とする、高い輝度それから利益を得る用途に好適なものとする。例えば、高輝度から恩恵を受ける用途は、高輝度環境のディスプレイ又はプロジェクタを含み得る。さらに、III族窒化物マイクロLEDは、他の従来の大面積LEDと比較して、ワット当たりのルーメン(lm/W)で表される比較的高い発光効率を有することが知られている。III族窒化物マイクロLEDアレイの比較的高い発光効率は、他の光源と比較して電力使用を低減し、マイクロLEDを携帯用デバイスに特に適したものにする。
【0004】
マイクロLEDは、米国特許出願公開第2016365383号明細書に開示されている。マイクロLEDは、光を生成するように構成された活性層を含む放物線メサ構造を含む。メサ構造の表面は、生成された光の大部分が、法線に対する臨界角よりも小さい入射角で対向する出射面に向けられるように、反射体として作用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、従来技術の発光デバイスアレイに関連する問題の少なくとも1つに対処する、又は少なくとも、それに対する商業的に有用な代替物を提供する、改善された発光デバイスアレイを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
概要
本発明者らは、発光デバイスにメサ構造を導入することにより、光が生成される活性層のサイズが小さくなることを見出した。さらに、発光デバイスのアレイの個々のメサ構造をパターニング及び形成するには、アレイが、慎重に位置合わせしなければならないいくつかの処理ステップを経る必要がある。
【0007】
本開示の第1の態様によれば、発光デバイスアレイが提供される。発光デバイスアレイは、発光スタックと、第1の電気コンタクト層と、第2の電気コンタクトのアレイと、反射防止層とを備える。発光スタックは、発光面及びコンタクト面を有する。発光面及びコンタクト面は、発光スタックの対向する側面を画定する。発光スタックは、発光スタックの発光面に向かって設けられた第1の半導体層と、コンタクト面に向かって設けられた第2の半導体層と、第1の半導体層と第2の半導体層との間に配置された活性層とを含む複数のIII族窒化物層を備え、活性層は第1の波長を有する光を生成するように構成される。発光面及びコンタクト面は、互いに平行であり、複数のIII族窒化物層と位置合わせされている。第1の電気コンタクト層は、発光スタック上に設けられ、第1の半導体層と電気的に接触するように構成される。第2の電気コンタクトのアレイは、発光スタックのコンタクト面上に設けられている。各第2の電気コンタクトは、第1の半導体層と第2の電気コンタクトとの間に発光デバイスを画定する。第2の電気コンタクトの各々は、他の第2の電気コンタクトから離間して、発光デバイスの2次元アレイを形成する。反射防止層は、発光面上に設けられる。反射防止層は、発光スタックによって生成された光の光抽出効率を高めるように構成されている。
【0008】
第1の態様の発光デバイスアレイは、活性層を含む発光デバイス層を有する。個々の発光デバイスは、コンタクト面上の第2の電気コンタクトのアレイによって画定される。個々の第2の電気コンタクトと位置合わせされた活性層の領域は、光を放出するために、それぞれの第2の電気コンタクトによってオンにすることができる。第1の電気コンタクト層は、発光デバイスの各々に対して共通の第1の電気コンタクトを効果的に形成する。
【0009】
活性層によって生成された光は、発光スタック内のすべての方向に放出される。発光スタックの発光面とコンタクト面とが平行であるため、臨界角よりも大きい角度で発光面(又はコンタクト面)に入射する光は、発光スタック内で全内部反射される。したがって、臨界角未満の角度で発光面に入射する光のみがデバイスから放出される。これにより、発光デバイスごとに狭い角度範囲の光のみが発光面を透過する。これにより、メサ構造などの、光抽出特徴部を形成するために複数の位置合わせステップを必要としない(ほぼ平面の)発光スタックを使用して、発光デバイスのアレイを提供することができる。
【0010】
発光面の界面は、入射角が臨界角未満の光であっても、光の反射を受ける。発光面から光を抽出するために、反射防止層が設けられる。反射防止層は、発光面の光抽出効率を高める。
【0011】
発光面で生じる光の屈折により、発光面の光抽出効率を高めることは重要である。すなわち、臨界角未満の入射角の光も、発光スタックから空気に透過されるにつれて屈折する。III族窒化物の屈折率は一般に空気の屈折率よりも高いため、屈折は発光デバイスアレイの発光デバイス間のクロストークの出現を低減するように作用する。
【0012】
いくつかの実施形態では、発光デバイスアレイは、活性層によって生成された第1の波長の光を吸収するように構成された吸収層を含み、吸収層は、発光スタックの少なくとも一部の上に設けられる。吸収層は、発光デバイスアレイの光学特性を改善するために、活性層によって生成された迷光を吸収するように構成される。吸収層は、発光スタックの様々な領域上に設けられてもよい。
【0013】
例えば、吸収層は、発光面とコンタクト面との間に延在する発光スタックの少なくとも1つの側壁面上に設けられてもよい。したがって、吸収層は、発光スタックの側壁面に到達すると、発光面とコンタクト面との間で全内部反射した光を吸収するように配置されてもよい。いくつかの実施形態では、吸収層は、発光スタックのすべての側壁面上に設けられてもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、吸収層は、発光面上に設けられてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、吸収層は、発光面の周囲に設けられてもよい。いくつかの実施形態では、吸収層は、発光面を横切って設けられてもよく、吸収層は、発光面上に複数の開口部を備え、各開口部は、各発光デバイスからの光がそれぞれの開口部を透過するように第2の電気コンタクトと位置合わせされている。このように、隣接する発光デバイス間のクロストークを低減するために、発光デバイス間の領域の発光面上に吸収層を設けてもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、吸収層はコンタクト面上に設けられ、吸収層は、第2の電気コンタクトのアレイの隣接する第2の電気コンタクト間のコンタクト面の領域に設けられる。コンタクト面上に吸収層を設けることにより、活性層からコンタクト面に向かって放出される光は、潜在的に発光面に向かって反射し戻されるのではなく、吸収層によって吸収され得る。したがって、吸収層は、隣接する発光デバイス間のクロストークを低減することができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、第1の電気コンタクト層は、発光面上に設けられる。いくつかの実施形態では、反射防止層は、第1のコンタクト電気層と発光面との間に設けられる。例えば、反射防止層は多孔質半導体層を含んでもよく、共通の第1のコンタクト層は透明導電性酸化物、例えばインジウムスズ酸化物(ITO)を含んでもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、第1の電気コンタクト層は、発光面と反射防止層との間に設けられる。反射防止層はSiOを含むことができ、第1の電気コンタクト層は透明導電性酸化物、例えばインジウムスズ酸化物(ITO)を含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、反射防止層は、少なくとも30%の面積多孔度を有する多孔質半導体層を含む。例えば、多孔質半導体層は、III族窒化物層を含んでもよい。いくつかの実施形態では、多孔質半導体層は、多孔性処理プロセスに供されたIII族窒化物半導体層から形成されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、多孔質半導体層は、n型ドープIII族窒化物を含む第3の半導体層から形成されてもよい。III族窒化物半導体層の面積多孔度を増加させると、(形成されたままの層の屈折率に対して)III族窒化物半導体層の屈折率が変化する可能性があり、その結果、多孔質半導体層は反射防止層としての使用に適し得る。もちろん、面積多孔度は、多孔質半導体層の多孔度を評価するための唯一の可能な方法であることが理解されよう。多孔度、例えば体積多孔度を特徴付ける他の方法はまた、反射防止層としての使用に適した多孔質半導体層を提供し得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、発光デバイスアレイ内の各第2の電気コンタクトのピッチは、5μm以下、すなわち2μm以下である。したがって、隣接する第2の電気コンタクトの中心は、5μm以下、すなわち2μm以下だけ離間している。アレイのピッチが減少するにつれて、各発光デバイスの活性領域のサイズも縮小されることが理解されよう。5μm以下、すなわち2μm以下のピッチを有するデバイスの場合、各発光デバイスによって生成される光の量を増加させるために、可能な限り多くの活性領域を利用することが重要である。
【0020】
いくつかの実施形態では、第1の電気コンタクト層は、発光面上に設けられた透明導電性酸化物を含む。第1の電気コンタクトは、活性層によって生成される光の第1の波長に対して実質的に透明であってもよい。第1の電気コンタクト層は、実質的に連続した層として発光面を横切って設けられてもよい。したがって、発光デバイスアレイは、それ自体の位置合わせステップ又は任意のパターニングを必要としないプロセスを使用して、共通の第1の電気コンタクトを備えることができる。したがって、発光デバイスアレイは、複数の自己位置合わせした実質的に連続した層と、第2の電気コンタクトのアレイとを含むデバイスとして形成されてもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、第1の電気コンタクト層は、半導体層へ電気コンタクトを形成するための他の方法を使用して形成されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、発光スタックは、第1の半導体層とコンタクト面との間の活性層を通って延在する発光スタック内に設けられたビア半導体部分をさらに含む。第1の電気コンタクト層は、ビア半導体部分と電気的に接触するコンタクト面上に設けられている。いくつかの実施形態では、第1の電気コンタクト層は、周囲の第1の電気コンタクトとして設けられてもよい。周囲の第1の電気コンタクトは、第2の電気コンタクトのすべてを取り囲むように構成されてもよい。周囲の第1の電気コンタクトは、対応するビア半導体部分と位置合わせされて発光スタックのコンタクト面上に設けられてもよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、第1の電気コンタクト層は、発光面上に設けられた周囲の第1の電気コンタクトとして設けられてもよい。効果的には、周囲電気コンタクトは、発光面上に開口部を画定することができ、開口部は、第2の電気コンタクト30のアレイと位置合わせされる。したがって、周囲電気コンタクト配置は、透明酸化物から第1の電気コンタクト層を形成する代替手段を提供することができる。周囲電気コンタクトの形成は、さらなる位置合わせ及びパターニングステップを含んでもよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、第1の電気コンタクト層及び反射防止層は、発光スタックの発光面と周囲との間に傾斜屈折率界面を形成するために発光面上に形成されてもよい。したがって、反射防止層及び第1の電気コンタクト層は、反射防止機能及び電気コンタクト機能の両方を有する傾斜屈折率(GRIN)構造を形成するように構成されてもよい。GRIN構造は複数の層を含むことができ、複数の層のうちの少なくとも1つが第1の電気コンタクト層を提供し、一方、少なくとも1つの他の層が反射防止層を提供する。複数の層は、界面での反射を低減するために、発光面と周囲との間に傾斜屈折率を提供するために形成される。いくつかの実施形態では、第1の電気コンタクト層及び反射防止層を含むGRIN構造は、実質的に同じ材料、例えば透明導電性酸化物を含むことができる。
【0024】
発光スタックは、複数のIII族窒化物層を含む。いくつかの実施形態では、発光スタックは、複数のほぼ平坦なIII族窒化物層から形成される。発光スタックは、発光スタックとして組み立てられたときに電流の印加に応答して光を生成するように構成された複数のIII族窒化物層から形成されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、発光スタックは、第1の半導体層、第2の半導体層、及び活性層を含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、第1の半導体層は、n型ドープIII族窒化物を含む。いくつかの実施形態では、第2の半導体層は、p型ドープIII族窒化物を含む。いくつかの実施形態では、活性層は、III族窒化物を含む多重量子井戸層を含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、活性層は、発光デバイスアレイの少なくとも2つの隣接する発光デバイス間に連続層として延在する。したがって、活性層は、活性層をパターニングすることなくアレイの発光デバイスを提供することができる。すなわち、各発光デバイスの活性層は、発光デバイスのアレイを提供するためにメサ構造又は他のパターニングを利用しない。むしろ、発光スタックは、第2の電気コンタクトのアレイの配置に基づいて光を放出する。
【0027】
本開示の第2の態様によれば、発光デバイスアレイを形成する方法が提供される。本方法は、
基板の基板表面上に発光スタックを形成するステップであって、発光スタックは、基板表面と接触する発光面と、発光スタックの反対側のコンタクト面とを有し、発光スタックを形成するステップは、複数のIII族窒化物層を形成するステップを含み、複数のIII族窒化物層は、
基板表面に向かって設けられた第1の半導体層と、
発光スタックのコンタクト面に向かって設けられた第2の半導体層と、
第1の半導体層と第2の半導体層との間に設けられ、第1の波長の光を生成するように構成されている活性層と、を含み、
発光スタックの発光面及びコンタクト面は、互いに平行に形成され、複数のIII族窒化物層と位置合わせされている、ステップと、
発光スタックのコンタクト面上に第2の電気コンタクトのアレイを形成するステップであって、各第2の電気コンタクトは、第1の半導体層と第2の電気コンタクトとの間に発光デバイスを画定し、第2の電気コンタクトの各々は、発光デバイスの2次元アレイを形成するために他の第2の電気コンタクトから離間している、ステップと、
発光スタックの発光面を露出させるために発光スタックから基板を除去するステップと、
発光スタック上に第1の電気コンタクト層を形成するステップであって、第1の電気コンタクト層は、第1の半導体層と電気的に接触するように構成されている、ステップと、
発光面上に反射防止層を形成するステップであって、反射防止層は、発光スタックによって生成された光の光抽出効率を高めるように構成されている、ステップと、を含む。
【0028】
したがって、本開示の第2の態様の方法は、本開示の第1の態様による発光デバイスアレイを提供することができる。したがって、本開示の第2の態様の方法は、本開示の第1の態様について上述したように、任意選択の特徴部及び関連する利点を形成するステップを組み込むことができる。
【0029】
本開示の第2の態様による方法は、基板上に発光スタックを形成するステップを含む。したがって、発光スタックは、基板を除去する前に、基板上にモノリシックに形成することができる。発光スタックのモノリシック形成は、自己位置合わせプロセスである。すなわち、発光スタックは、パターニングステップなしで形成することができ、これにより、デバイスの複雑さが低減され、デバイス間に含まれ得る位置合わせ公差も低減される。デバイスピッチに対する活性領域のサイズを大きくすることができるため、位置合わせ公差を低減することは、小さなピッチのデバイスにとって特に有益であり得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、反射防止層を形成するステップは、発光面上にIII族窒化物及び少なくとも1×1018cm-3のドナー密度を含む第3の半導体層を形成するステップと、第3の半導体層を多孔性処理プロセスに供して、第3の半導体層の面積多孔度を少なくとも30%に増加させるステップとを含む。III族窒化物から反射防止層を形成することによって、反射防止層は、発光スタックを基板上に形成するプロセスの一部として第3の半導体層として堆積されてもよい。すなわち、第3の半導体層は、発光スタックとモノリシックに形成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本開示の一実施形態による発光デバイスアレイの断面図を示す。
図2図1に示す発光デバイスアレイの注釈付き断面図を示す。
図3】GaN上の50nmのチタンの吸収率のグラフを示す。
図4】GaN上の50nmのニッケルの吸収率のグラフを示す。
図5a】反射防止層のない発光スタックの図を示す。
図5b】異なる入射角について発光スタックと空気との間の発光界面における反射率のグラフを示す。
図6a】発光スタック及び反射防止層の図を示す。
図6b】異なる入射角における6aの発光スタック及び反射防止層の反射率のグラフを示す。
図7】発光面上に形成された2つの層を有する発光スタックの図を示す。
図8】反射防止層及び透明導電性酸化物共通コンタクト層を有する発光スタックの図を示す。
図9図8に示す構造の反射率のグラフを示す。
図10】SiO反射防止層及び透明導電性酸化物共通コンタクト層を有する発光スタックの図を示す。
図11図10に示す構造の反射率のグラフを示す。
図12】複数の副層を備える反射防止層及び透明導電性酸化物共通コンタクト層を有する発光スタックの図を示す。
図13図12に示す構造の反射率のグラフを示す。
図14】傾斜屈折率界面を提供するように配置された反射防止層及び透明導電性酸化物共通コンタクト層を有する発光スタックの図を示す。
図15】本開示の第2の実施形態による発光デバイスアレイの断面図を示す。
図16】本開示の第3の実施形態による発光デバイスアレイの断面図を示す。
図17a】本開示の第4の実施形態による発光デバイスアレイを形成するためのプロセスフローの断面図を示す。
図17b】本開示の第4の実施形態による発光デバイスアレイを形成するためのプロセスフローの断面図を示す。
図17c】本開示の第4の実施形態による発光デバイスアレイを形成するためのプロセスフローの断面図を示す。
図17d】本開示の第4の実施形態による発光デバイスアレイを形成するためのプロセスフローの断面図を示す。
図17e】本開示の第4の実施形態による発光デバイスアレイを形成するためのプロセスフローの断面図を示す。
図18】発光デバイスアレイのコンタクト面の平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
詳細な説明
本開示の第1の実施形態によれば、発光デバイスアレイ1が提供される。発光デバイスアレイ1は、発光スタック10と、共通の第1のコンタクト層40と、第2の電気コンタクト30のアレイと、反射防止層20と、吸収層50とを備える。第1の実施形態による発光デバイスアレイ1の断面を図1に示す。
【0033】
図1に示すように、発光スタック10は、コンタクト面11及び発光面12を有する。発光面12及びコンタクト面11は、発光スタック10の(対向する)主面である。発光スタック10はまた、コンタクト面11から発光面12まで延在する側壁面16を含む。図1に示す断面は、発光デバイスアレイの中央領域の発光デバイスアレイ1の一部と、側壁面16の1つに向かう発光デバイスアレイの一部とを示す。発光スタック10の発光面12及びコンタクト面11は、互いに平行である。したがって、発光面12及びコンタクト面11は、互いに平行な平面内に延在する実質的に連続した面である。発光面12及びコンタクト面11の平行な性質は、発光面12又はコンタクト面11のいずれかへの光の入射角が臨界角より大きい場合、発光スタック10内で生成された光が発光面12とコンタクト面11との間で全内部反射されることを可能にする。
【0034】
発光スタック10は、複数のIII族窒化物層を含む。複数のIII族窒化物層は、発光スタック10内に発光領域を提供するように構成される。図1に示すように、発光スタック10は、第1の半導体層13、活性層14、及び第2の半導体層15を含む。活性層14は、第1の半導体層13と第2の半導体層15との間に配置されている。図1の実施形態に示すように、第1の半導体層13、活性層14及び第2の半導体層15は、いずれも、互いに重なって形成された実質的に連続した層である。したがって、発光スタックの層は、概して同一平面上にある。
【0035】
図1の実施形態では、第1の半導体層13はIII族窒化物を含む。いくつかの実施形態では、第1の半導体層13はGaNを含む。いくつかの実施形態では、第1の半導体層13は、n型ドーパントでドープされたIII族窒化物を含む。例えば、第1の半導体層13はn型ドープGaNを含んでもよい。任意の適切なn型ドーパントを使用して、第1の半導体層にn型、例えばSi又はGeをドープすることができる。
【0036】
活性層14は、第1の波長の光を生成するように構成される。したがって、活性層14は、発光スタック10の光生成領域を提供するように構成される。いくつかの実施形態では、活性層は複数の量子井戸層を備えることができる。したがって、活性層14は、少なくとも400nmの波長である第1の波長の光を生成するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、第1の波長の光は、650nm以下、すなわち500nmの波長を有してもよい。したがって、第1の実施形態の活性層14は、実質的に可視光を発生するように構成されてもよい。
【0037】
活性層14は、光子を生成するための1つ以上の量子井戸を備えてもよい。量子井戸は、異なるバンドギャップを有するIII族窒化物の複数の層から形成されてもよい。いくつかの実施形態では、Inを含むIII族窒化物合金を使用して量子井戸を形成することができる。III族窒化物を含むLED用の複数の量子井戸活性層は、当業者に公知である。いくつかの実施形態では、GaN及びInGaNの交互層を備える活性層14を設けることができる。
【0038】
第2の半導体層15は、p型ドープされていてもよい。したがって、第2の半導体層15は、p型ドーパント、例えばMgを含んでもよい。例えば、図1の実施形態では、第2の半導体層は、Mgでp型にドープされたGaNを含む。
【0039】
第1の半導体層13、活性層14、及び第2の半導体層15は、III族窒化物を形成するための任意の適切なプロセスによって形成されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、発光スタック10の層は、金属有機化学気相成長(MOCVD)プロセス、分子線エピタキシ(MBE)プロセス、又は任意の他の適切な方法を使用して形成することができる。いくつかの実施形態、例えば図1の実施形態では、発光スタック1の層は、モノリシック構造として単一の堆積プロセスで形成されてもよい。発光スタック10の層は、基板(図示せず)上に形成されてもよい。発光デバイススタック10は基板上に形成されてもよく、最初に第1の半導体層13が形成され、その後に活性層14が形成され、続いて第2の半導体層15が形成される。他の電子機器層も発光デバイススタック(図示せず)に含まれてもよい。例えば、電子ブロック層又は第3の半導体層(後述)もまた、発光スタック10を形成するプロセスの一部として形成されてもよい。
【0040】
図1に示すように、反射防止層20は、発光スタック10の発光面12上に形成されている。反射防止層20は、発光デバイスアレイと発光面12の周囲の空気との間の界面での第1の波長の光の反射を低減するように構成される。反射防止層20は、当業者に知られている任意の適切な反射防止層を使用して設けられてもよい。例えば、図1の実施形態では、反射防止層20は、第2の半導体層15の屈折率以下かつ空気の屈折率より大きい屈折率を有する材料を含む。また、反射防止の発光面12の法線方向の厚さは、第1の波長の厚さの1/4程度である。
【0041】
図1の実施形態では、反射防止層20は多孔質半導体層を含む。多孔質半導体層については、以下でより詳細に説明する。反射防止層20は、臨界角(θ)未満の入射角で発光面12に入射する光の光抽出効率を高めるために、発光面12に設けられる。
【0042】
図1に示すように、発光デバイスアレイ1は、第2の電気コンタクト30のアレイを備える。第2の電気コンタクト30のアレイは、発光スタック10のコンタクト面11上に設けられている。各第2の電気コンタクト30は、第1の半導体層13とそれぞれの第2の電気コンタクト30との間に発光デバイスを画定する。図1に示すように、第2の電気コンタクト30は、第2の電気コンタクト30のアレイを形成するために互いに離間している。その結果、各第2の電気コンタクト30が発光デバイスを画定すると、第2の電気コンタクト30のアレイは、発光デバイスアレイにおける発光デバイスの配置を画定する。各第2の電気コンタクト30は、それぞれの発光デバイスを他の発光デバイスとは独立して制御することを可能にする。第2の電気コンタクトへの電圧の印加は、第3の電気コンタクトと第1の半導体層13との間に局所的な電界を提供し、活性層14に光を生成させる。
【0043】
活性層14における光の生成は、第2の電気コンタクト30と重なる活性層の領域に局在する。したがって、活性層14は、複数の光生成領域を備える。各光生成領域は、それぞれの第2の電気コンタクトと位置合わせされる。各光生成領域は、一般に、それぞれの第2の電気コンタクト30と同様の発光面12に平行な平面内に断面積を有する。
【0044】
活性層14の各光生成領域は、全方位に放出される光を生成する。各光生成領域によって生成された光の一部は、活性層14に垂直な方向に発光面12に向かって透過する。
【0045】
図2に示すように、臨界角未満(θ<θ)の法線に対する角度で発光面12に入射する光は、発光面12を少なくとも部分的に透過する。例えば、活性層14によって活性層14に垂直な方向に生成された光は、一般に、発光面12を透過する。臨界角θ以上の角度で発光面12に入射する光は、発光スタック10内で全内部反射される。したがって、少なくとも臨界角の法線に対する角度で発光面12に入射する光は、発光面12を透過しない。したがって、発光デバイスアレイ1では、全内部反射及び臨界角が使用されて、発光デバイスから放出される光を放出角のサブセットに制限する。
【0046】
第2の電気コンタクト30は、第2の半導体層15へのオーミックコンタクトを形成するための任意の適切な材料を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、第2の電気コンタクト30は、例えば金、ニッケル又はチタンなどの1つ以上の金属層を備えてもよい。第2の電気コンタクト30は、コンタクト面11上に2次元アレイとして配置されてもよい。いくつかの実施形態では、第2の電気コンタクト30は、正方形充填アレイとして、又は六角形充填アレイとして配置されてもよい。第1の実施形態では、第2の電気コンタクト30は、発光デバイスのアレイを画定するために互いに規則的に離間している。第2の電気コンタクト30は、個々の発光デバイスを互いに独立して制御できるようにするために、互いに離間している。
【0047】
本開示の実施形態では、ピッチを有する発光デバイスのアレイを提供するために、第2の電気コンタクト30は互いに離間している。本開示における発光デバイスアレイ1のピッチは、隣接する第2の電気コンタクト30の中心間間隔を指す。さらに、ピッチは、第2の電気コンタクト30のアレイにおける隣接する第2の電気コンタクト間の中心間間隔の最小値を指す。すなわち、例えば正方形充填アレイでは、ピッチは、対角方向に沿ってではなく、行及び/又は列の隣接する第2の電気コンタクト間の中心間間隔を指す。いくつかの実施形態では、発光デバイスアレイ内の各第2の電気コンタクトのピッチは、5μm以下、すなわち2μm以下であってもよい。したがって、各第2の電気コンタクトのピッチは、各マイクロ発光デバイスのピッチが5μm又は2μm以下であるマイクロ発光デバイスのアレイを画定することができる。
【0048】
所与の発光デバイスピッチについて、発光デバイスピッチの第1の部分は、第2の電気コンタクト30によって占められてもよい。発光デバイスピッチの第2の部分は、隣接する第2の電気コンタクト30間の間隔専用であってもよい。いくつかの実施形態では、隣接する第2の電気コンタクト間に設けられる間隔は、少なくとも500nmであってもよい。隣接する第2の電気コンタクト30間に設けられる間隔の量は、発光デバイスピッチのサイズが大きくなるにつれて大きく変化しない可能性がある。したがって、デバイスサイズが大きくなるにつれて、第2の電気コンタクトではなく、デバイス間隔に使用される発光デバイスピッチの割合が減少する可能性がある。
【0049】
図1に示すように、発光面12上には、共通の第1のコンタクト層40が設けられている。図1の実施形態では、共通の第1のコンタクト層40は、発光スタック10の発光面12及び反射防止層20を覆って設けられる。したがって、反射防止層20は、発光スタック10と共通の第1のコンタクト層40との間に設けられる。いくつかの実施形態では、反射防止層20及び共通の第1のコンタクト層は、反対の配置で設けられてもよい(すなわち、共通の第1のコンタクト層40は、発光スタック10と反射防止層20との間に設けられる)。
【0050】
図1の実施形態では、共通の第1のコンタクト層40は、透明導電性酸化物を含む。透明導電性酸化物は、第1の波長に対してほぼ透明であり、かつ反射防止層20を介して第1の半導体層13とのオーミックコンタクトを形成するように構成されている。例えば、いくつかの実施形態では、透明導電性酸化物は、第1の波長の光に対して少なくとも90%の透過率を有し得る。
【0051】
図1に示すように、共通の第1のコンタクト層40は、実質的に連続した層として発光面12を横切って設けられている。共通の第1のコンタクト層40は、発光デバイスアレイ1の発光デバイスの各々のための第1のコンタクトを提供する。したがって、第1の実施形態の発光デバイスアレイ1は、自己位置合わせ処理ステップにおいて発光デバイスアレイのデバイスに共通の第1のコンタクト層を効率的に提供する。
【0052】
図2に示すように、活性層からの光は、発光スタックから発光面12を通って周囲環境に進むにつれて屈折する。での光の屈折により、法線への放射角度(図2のθ)は、デバイスから出力されるにつれて増加する。このような屈折は、隣接する発光デバイス間のクロストークの出現をさらに低減する。発光デバイスアレイ1を観察する者(例えば、図2に示すような)は、各発光デバイスからの光を比較的狭い視野角で受ける。臨界角に近づく入射角で生成された光は、観察者がこの光を観察できないように屈折する。したがって、発光デバイス間のクロストークの出現は低減又は排除される。
【0053】
第1の実施形態の発光デバイスアレイ1はまた、吸収層50を備える。吸収層50は、活性層14によって生成された第1の波長の光を吸収するように構成される。吸収層50は、発光スタック10上に、第1の波長の光の放出が望ましくない発光スタックの領域を覆うように設けられてもよい。吸収層50はまた、全内部反射される発光スタック10内の光を吸収するための手段を提供する。
【0054】
図1の実施形態では、吸収層50は、発光スタック10の側壁面16の少なくとも1つに設けられる。吸収層50は、側壁面16上に実質的に連続した層として設けられてもよい。図1に示すように、吸収層51の第1の部分は、発光スタック10の側壁面16のほぼ全体を覆う。
【0055】
吸収層50はまた、発光スタック10の他の表面、例えば発光面12の周囲に設けられてもよい。図1に示すように、吸収層52の第2の部分は、発光面12の縁部領域を画定するために、発光面12の周囲に設けられる。発光面12の周囲に設けられた吸収層52の第2の部分は、発光スタック10の側壁面の存在に起因する望ましくない光学的効果を低減して除去するのに役立ち得る。
【0056】
吸収層50は、第1の波長の光を吸収するように構成された任意の適切な材料を含んでもよい。活性層14が440nm~500nmの第1の波長を有する光を放出するように構成されている図1の実施形態では、吸収層50は、Ni又はTiなどの金属の層を備えることができる。図3aは、GaN基板(その図を図3bに示す)上のTiの50nm層を備える吸収層の吸収率プロットを示す。図3は、GaN基板上の50nmのNi層の吸収率グラフを示す。したがって、金属薄膜(例えば、500nm未満の厚さを有する)を使用して、適切な吸収層を提供することができることが理解されよう。
【0057】
上述したように、反射防止層20は、多孔質半導体層を備えることができる。次に、多孔質半導体層について図5a、図5b、図6a及び図6bを参照して説明する。
【0058】
図5aは、発光面12上に反射防止層が設けられていない発光スタック10の概略図を示す。したがって、発光面12は、n型ドープGaNを含む第1の半導体層13と空気との間の界面である。図5aに示すように、活性層14から発光面12に入射する光は、入射角が臨界角未満である(すなわち、光の一部が反射されてもよい)場合、発光面12を部分的に透過するか、入射角が臨界角より大きい場合、全内部反射する。
【0059】
図5bは、第1の半導体層13と空気との界面における異なる波長の光に対する反射率のプロットを示す。図5bは、a)発光面12に垂直な角度、b)法線に対して20度の角度、及びc)法線に対して24度の角度で発光面に入射する光の反射率を示す。図5bから、発光スタック10と空気との間の界面は、発光面に垂直に入射する光又は垂直入射に近い角度に対して高反射性であり得ることが理解されよう。約450nmの波長を有する光に対する反射率は、入射角が臨界角に近づくにつれて0.2未満から1.0まで増加する。n型ドープGaNの場合、臨界角は約24度である。24度を超える入射角は、光の全内部反射をもたらす。
【0060】
図6aは、発光面12上に反射防止層20が設けられた発光スタック10の概略図を示す。反射防止層20は、GaNの面積多孔度を少なくとも30%に増加させるために多孔度処理プロセスに供されたn型ドープGaNを含む。多孔性処理プロセスについては、以下でより詳細に説明する。図6aの概略図において、GaNの面積多孔度は約70%である。
【0061】
図6bは、多孔質半導体層を含む図6aの構造の発光スタックと空気との間の反射率のグラフを示す。図6bに示すように、発光面12にほぼ垂直な方向に発光面12に入射する光について、400nm~700nmの範囲内のすべての波長に対する反射率は0.1未満である。入射角が20度まで増加すると、反射率は0.1未満のままである。したがって、反射防止層20を使用して、観察者による観察に適した出射角で発光デバイスアレイから放出される入射角での光の反射を大幅に低減することができる。図6bに示すように、入射角が24度に増加すると、界面での反射率は著しく増加して0.8を超える。もちろん、図2に付随する情報から、より広い入射角が、発光面12で発生する屈折に起因して観察可能な光の放出をもたらす可能性は低いことが理解されよう。したがって、20度を超える入射角での反射は、発光デバイスアレイ1による観察可能な光の出力に影響を与えない。
【0062】
図6aに示すように、反射防止層20の厚さは、1/4波長の反射防止層20を提供するように選択される。したがって、反射防止層の厚さはλ/4nになるように選択され、ここでnはλにおける反射防止層20の屈折率である。反射防止層20が多孔質半導体層によって提供される実施形態では、多孔質半導体層の屈折率npは、多孔質半導体層の多孔度に依存し得る。一般に、多孔質半導体層の多孔度が高くなるほど、多孔質半導体層の屈折率は低減され得る。例えば、多孔質半導体層がGaNを含むいくつかの実施形態では、面積多孔度と屈折率との間の以下の関係は、以下の表1に見出すことができる。
【0063】
【表1】
【0064】
したがって、反射防止層20として作用する多孔質半導体層の厚さは、第1の波長の波長、さらに半導体層の多孔度に依存する。いくつかの実施形態では、少なくとも60%の面積多孔度及び/又は80%以下の面積多孔度を有する多孔質半導体層は、屈折率が約x-yになるように選択されてもよい。図6aに示す実施形態では、多孔質半導体層は70%の面積多孔度を有する。
【0065】
いくつかの実施形態では、反射防止層20は、多孔質半導体副層のスタックによって提供されてもよい。多孔質半導体副層のスタックは、反射防止層20を通る屈折率が変化するように、異なる多孔度を有してもよい。各多孔質半導体副層は、半導体副層を多孔性処理プロセスに供することによって、対応する第3の半導体副層を形成する。半導体副層の(面積)多孔度は、以下でより詳細に説明するように、それぞれの第3の半導体副層のドーピング密度の制御によって制御することができる。各多孔質半導体副層の多孔度は、各多孔質半導体副層に所望の屈折率を与えるように選択されてもよい。さらに、各多孔質半導体副層の厚さ(発光面12に垂直な方向)及び多孔質半導体副層の数は各々、反射防止層20に所望の光学特性を提供するように選択されてもよい。
【0066】
反射防止層20を多孔質半導体層から形成することにより、発光スタック10を形成するプロセスの一部として前駆体材料を多孔質半導体層に形成することが可能である。このように、発光デバイスアレイ1を形成する方法は、発光面12上に第3の半導体層を形成するステップを含むことができる。第3の半導体層はIII族窒化物を含み、少なくとも1×1018cm-3のドナー密度を有する。したがって、第3の半導体層は、比較的高濃度にドープされたIII族窒化物半導体である。第3の半導体層は、反射防止層20と第1の半導体層13との間に明確な境界を設けるために、後続の多孔性処理プロセスが第1の半導体層13ではなく第3の半導体層に選択的に影響を及ぼすように、第1の半導体層よりも高いドーピング濃度を有するようにドープされてもよい。例えば、第1の実施形態では、第1の半導体層13は、少なくとも1×1017cm-3及び1×1018cm-3以下のn型ドーピング密度を有し、第3の半導体層は、少なくとも1×1018cm-3、好ましくは少なくとも5×1018cm-3のn型ドーピング密度で形成される。
【0067】
図1の実施形態では、反射防止層20は、図1では透明導電性酸化物層によって提供される共通の第1のコンタクト層40の存在を説明するように構成される。図7は、発光面12上に設けられた2つの層を有する発光スタック10の図を示す。例えば、本開示の第1の実施形態によれば、2つの層は、反射防止層20と、透明導電性酸化物を含む共通の第1のコンタクト層40であってもよい。
【0068】
次に、発光面上に2つの層が存在する実施形態(第1の実施形態等)について、反射防止層20の設計を検討する。図7に示すように、第1の半導体層13の第3の屈折率はnであり、発光面12上に設けられた第1の層(例えば、反射防止層20)の第2の屈折率はnであり、第1の層上に設けられた第2の層(例えば、透明導電性酸化物層)の第1の屈折率はnである。第1の層(例えば、反射防止層20)の発光面12の法線方向の厚さはtである。第2の層(例えば、透明導電性酸化物層)の発光面12の法線方向の厚さはtである。
【0069】
図7に示す配置を考えると、以下のパラメータを定義することができ、ここでλは活性層14によって放出される光の波長である。
【0070】
【数1】
【0071】
したがって、発光面への垂直入射における波長λの光に対する発光面12上の2層コーティングの反射率(R)は、以下のように計算することができる。
【0072】
【数2】
【0073】
上記の式を使用して、反射防止層20は、発光面12発光スタック10と周囲(すなわち、空気)との間の界面での第1の波長の光の反射を低減するように構成されてもよい。
【0074】
反射防止層20及び共通の第1のコンタクト層40のいくつかの可能な例を、図8図13を参照して説明する。図8には、反射防止層20と、ITOを含む共通の第1のコンタクト層40とを有する発光スタック10の図が示されている。図8の例では、ITO層の厚さtは210nmであり、455nmにおける屈折率nは2.03である。上記の計算によれば、反射防止層20は、100nmの厚さtを有する70%面積多孔度多孔質半導体層(450nmでn=1.58)によって提供される。このような反射防止層20は、波長λ=455nmの光に対して約0の反射率Rを提供する。図8に示す構造の反射率のグラフを図9に示す。
【0075】
上述したように、反射防止層20及び共通の第1のコンタクト層40は、両方とも発光面12上に設けられてもよい。第1の実施形態では、反射防止層20は、発光スタック12の発光面12と直接接触して設けられ、それにより、反射防止層20は、発光スタック10と共通の第1のコンタクト層40との間に設けられる。いくつかの実施形態では、共通の第1のコンタクト層40及び反射防止層20は、反対の配置で設けられてもよい。例えば、図10に示すように、共通の第1のコンタクト層40は、発光スタック10の発光面12と直接接触して設けられる。反射防止層20は、第1のコンタクト層40上に設けられる。したがって、第1のコンタクト層40は、発光スタック10と反射防止層20との間に設けられる。
【0076】
図10の例では、ITO層の厚さtは250nmであり、455nmにおける屈折率nは2.03である。上記の計算によれば、反射防止層20は、65nmの厚さtを有するSiO層(455nmでn=1.47)によって提供される。このような反射防止層20は、波長λ=455nmの光に対して約0の反射率Rを提供する。図10に示す構造の反射率のグラフを図11に示す。
【0077】
いくつかの実施形態では、反射防止層20は、複数の反射防止副層22、24、26を備えることができる。このような反射防止層20の一例を図12に示す。図12に示すように、反射防止層20は、第1の反射防止副層22と、第2の反射防止副層24と、第3の反射防止副層26とを備える。反射防止副層は、発光面12から順に配置されている。複数の反射防止副層22、24、26は、傾斜屈折率を有する反射防止層20を提供する。したがって、反射防止層20の屈折率は、発光面12の法線方向に減少するように傾斜している。屈折率の減少は、反射防止副層の多孔度を変えることによって達成される。図12の実施形態では、屈折率は2.23(20%の多孔度)から1.58(70%の多孔度)に減少する。屈折率は、複数の反射防止副層22、24、26に起因して段階的に減少する。他の実施形態では、傾斜屈折率は、反射防止層20の多孔度を滑らかに変化させることによって提供されてもよい。屈折率の他の可能な変動、例えば、屈折率の増加、屈折率の交互の値、又は増加と減少の任意の組合せも提供されてもよい。
【0078】
図12の例では、ITO層の厚さtは210nmであり、455nmにおける屈折率nは2.03である。第1の反射防止副層22は、面積多孔度20%(n=2.23)、厚さ50nmの多孔質半導体層である。第2の反射防止副層24は、面積多孔度40%(n=2.00)、厚さ50nmの多孔質半導体層である。第3の反射防止副層26は、面積多孔度70%(n=2.23)、厚さ60nmの多孔質半導体層である。このような反射防止層20は、波長λ=455nmの光に対して約0の反射率Rを提供する。図12に示す構造の反射率のグラフを図13に示す。
【0079】
図8及び図10の例から、反射防止層20と共通の第1のコンタクト層40との相対位置を入れ替えてもよいことが理解されよう。図12の例から、所望の光学特性を提供するために、傾斜屈折率を有する層を発光面12上に設けてもよいことも理解されよう。これらの概念に続いて、図14は、反射防止層20及び共通の第1のコンタクト層40が、反射防止機能及び電気的コンタクト機能の両方を有する傾斜屈折率(GRIN)構造28を形成する例を示す。図14の例では、GRIN構造28は複数の層を備える。複数の層のうちの少なくとも1つは共通の第1のコンタクト層40を提供し、一方、少なくとも1つの他の層は反射防止層20を提供する。GRIN構造28において、複数の層の各々は、同じ透明導電性酸化物、例えばITOを含む。複数の層は、図12の例と同様に、屈折率を傾斜させるために形成される。したがって、複数の層は、発光面に垂直な方向に1に向かって減少する可変屈折率を提供するように形成される。
【0080】
透明導電性酸化物の屈折率は、透明導電性酸化物の多孔度を変化させることにより変化させることができる。ITOなどの透明導電性酸化物の多孔度を変化させるための1つの既知の方法は、電子ビーム蒸着を用いた斜角蒸着である。インフルエンザ蒸着に対する蒸着表面の角度を変えることによって、蒸着されたままの材料によって投影される影の量を制御することができ、それによって、形成されたままの層の多孔度を制御することができる。ITOの斜角蒸着のさらなる説明は、少なくともJong Kyu Kimらの「Light-Extraction Enhancement of GaInN Light Emitting Diodes by Graded-Refractive-Index Indium Tin Oxide Anti-Reflection Contact」Advanced Materials、0000、00、1-5に見出すことができる。
【0081】
図14の例では、GRIN構造28は6つの異なる層を備える。各層は、異なる屈折率を有するITOを含む。6つの層の屈折率は、発光面での約2.2から自由空間との界面での約1.2まで変化し得る。例えば、6つの異なる層の屈折率は、2.2、2.0、1.8、1.5、1.3及び1.2であるように選択されてもよい。もちろん、GRIN構造28の厚さ及び屈折率は、活性領域14によって放出される光の第1の波長に応じて変化してもよい。
【0082】
次に、第1の実施形態による発光デバイスアレイ1の形成方法について説明する。本方法は、基板の基板表面上に発光スタック10を形成するステップを含む。基板は、III族窒化物の形成に適した任意の基板であってもよい。例えば、基板は、Siウェハ又はサファイアウェハを備えることができる。
【0083】
発光スタック10は、発光スタック10の発光面12が基板表面に向かって配向されるように形成される。発光スタック10のコンタクト面11は、発光スタック10の反対側に設けられる。したがって、コンタクト面11は、(発光面12に対して)基板表面から離れて配向される。
【0084】
発光スタック10を形成するステップは、基板表面上に複数のIII族窒化物層を形成するステップを含む。発光スタック10の層は、第1の半導体層13、活性層14、及び第2の半導体層15を含む。第1の半導体層13と第2の半導体層15との間に活性層14が設けられるように、第1の半導体層13、活性層14及び第2の半導体層15が順に形成されている。上述のように、第1の半導体層13、第2の半導体層15及び活性層14は、上述のようにMOCVDプロセス又はMBEプロセスを用いて形成されてもよい。第1の実施形態及び上記の図1に関連して説明したように、発光スタック10の発光面及びコンタクト面11は、互いに平行で、複数のIII族窒化物層と位置合わせされるように形成される。
【0085】
発光スタック10の形成に続いて、第2の電気コンタクト30のアレイが、発光スタック10のコンタクト面11上に形成される。各第2の電気コンタクト30は、第1の半導体層13と第2の電気コンタクト30との間に発光デバイスを画定する。第2の電気コンタクト30の各々は、他の第2の電気コンタクト30から離間して、発光デバイスの2次元アレイを形成する。第2の電気コンタクト30は、より詳細に上述したように形成されてもよい。
【0086】
第2の電気コンタクト30の形成に続いて、基板は発光スタックから除去されてもよい。基板の除去に続いて、共通の第1のコンタクト層40が発光スタック10上に形成されてもよい。例えば、第1の実施形態では、共通の第1のコンタクト層40は、発光スタック10の発光面12上に透明導電性酸化物として形成されてもよい。共通の第1のコンタクト層40は、発光スタック10の第1の半導体層13と電気的に接触するように構成される。
【0087】
発光面12には、反射防止層20も形成されている。反射防止層20は、いくつかの実施形態では、基板の除去後に発光面12上に形成されてもよい。反射防止層20は、共通の第1のコンタクト層40の形成前に発光面12上に形成されてもよい。他の実施形態では、例えば、図10に示すように、反射防止層20は、共通の第1のコンタクト層40上に形成されてもよい。いくつかの実施形態では、反射防止層20は、多孔質半導体層を備えることができる。他の実施形態では、反射防止層は、SiO、又はITO、又は適切な屈折率を有する任意の他の材料を含んでもよい。
【0088】
いくつかの実施形態では、反射防止層は、多孔質半導体層を備える。このような反射防止層20は、発光スタック10の形成前に基板の基板表面上に第3の半導体層を形成することによって形成されてもよい。第3の半導体層は、n型ドーパントでドープされたIII族窒化物、例えばGaNを含んでもよい。いくつかの実施形態では、第3の半導体層は、第1の半導体層13と同じIII族窒化物から形成され、第3の半導体層のドーピング密度は、第1の半導体層13に対して変化する。次に、上述したように、第3の半導体層の露出面上に発光スタック10を形成する。発光デバイスアレイ1を形成する方法の一部として基板を除去した後、多孔質半導体層として反射防止層20を形成するために、第3の半導体層を多孔性処理プロセスに供してもよい。したがって、反射防止層20の形成は、発光スタック10を形成するIII族窒化物層を形成するためのプロセスに統合されてもよいことが理解されよう。したがって、反射防止層20の形成は、発光デバイスアレイ1のIII族窒化物層を形成するための位置合わせのないプロセスの一部として統合されてもよい。
【0089】
上述したように、反射防止層20は、多孔質半導体層によって提供されてもよい。多孔質半導体層は、第3の半導体層を多孔性処理プロセスに供することにより形成されてもよい。多孔性処理プロセスは、発光スタック10の形成後に実行されてもよい。多孔性処理プロセスは、第3の半導体層の多孔度(面積多孔度)を高めるように構成されている。III族窒化物層の多孔度を高めるための方法は、当業者に公知である。例えば、“In-plane bandgap control in porous GaN through electroless wet chemical etching”、Xiuling Li、Young Woon-Kimら、Applied Physics Letters、Vol.8、no.6、2002年2月11日には、n型ドープIII族窒化物層の多孔度を増加させるためのいくつかのプロセスが記載されている。
【0090】
例えば、多孔性処理プロセスは、第3の半導体層(及び発光スタック10の層)を電気化学的処理プロセスに供することを含んでもよい。電気化学的処理プロセスは、第3の半導体層をシュウ酸浴に浸漬することを含んでもよい。シュウ酸浴と第3の半導体層との間に電気的接続が行われる。第3の半導体層内に細孔を電気化学的に形成するために、シュウ酸浴の電気コンタクトと第3の半導体層との間に電流が流れる。いくつかの実施形態では、シュウ酸浴は、0.03M~0.3Mの濃度を有するシュウ酸溶液を含む。他の実施形態では、シュウ酸浴は、KOH又はHClなどの他の電解質の代わりに使用されてもよい。電気化学プロセスに印加される電気バイアスのレベルは、使用される電気化学溶液、並びに浴及び第3の半導体層/発光スタック10の相対寸法に依存する。多孔性処理のさらなる例は、ACS Applied Nano Materials、2020、3、399~402及び米国特許2017/0237234号明細書に記載されている。
【0091】
多孔性処理プロセスは、第3の半導体層内に存在する細孔の形成又はサイズの増大をもたらす。第3の半導体層の多孔度は、面積多孔度によって特徴付けることができる。面積多孔度は、材料を通る断面(すなわち、第3の半導体層を介して)に存在する細孔の面積分率である。いくつかの実施形態では、多孔質半導体層は、少なくとも30%の面積多孔度を有する。いくつかの実施形態では、多孔質半導体層は、少なくとも40%の面積多孔度を有する。いくつかの実施形態では、多孔質半導体層14’は、80%以下の面積多孔度を有する。多孔質半導体層にこのような面積多孔度を持たせることで、第3の半導体は、反射防止層20の形成に適した屈折率を有する。
【0092】
いくつかの実施形態では、方法はまた、発光スタック10の少なくとも一部上に吸収層50を形成するステップをさらに含んでもよい。吸収層50は、発光スタックの側壁面上に形成されてもよい。
【0093】
したがって、上述の方法を使用して、本開示の第1の実施形態による発光デバイスアレイ1を提供することができることが理解されよう。
【0094】
次に、本開示の第2実施形態による発光デバイスアレイ2について説明する。
本開示の第2の実施形態による発光デバイスアレイ2は、発光スタック10と、反射防止層20と、第2の電気コンタクト30のアレイと、共通の第1のコンタクト層40とを備える。これらの特徴は、第1の実施形態に関して上述した特徴と同様である。本開示の第2の実施形態による発光デバイスアレイ2の断面の一例を図15に示す。
【0095】
図15に示すように、発光デバイスアレイ2は、吸収層50を備える。吸収層50は、第1の実施形態について説明したのと同様の方法で、発光スタック10の側壁面16の実質的に全体を覆う第1の部分51を備える。吸収層52の第2の部分も、第1の実施形態と同様の方法で、発光面12の周囲に設けられてもよい。
【0096】
本開示の第2の実施形態では、吸収層53の第3の部分は、コンタクト面11上に設けられている。吸収層53の第3の部分は、第2の電気コンタクト30のアレイの隣接する第2の電気コンタクト間のコンタクト面11の領域に設けられている。図15に示すように、吸収層53の第3の部分は、第2の電気コンタクト30間の短絡を防止するために、第2の電気コンタクト30から離間していてもよい。吸収層53の第3の部分は、活性層で生成された光のための追加の吸収領域を提供する。吸収層53の第3の部分は、臨界角未満の角度で発光面12から反射された光、又はコンタクト面11に直接入射する活性層14で生成された光を吸収するために設けられてもよい。このような迷光を吸収することにより、迷光が発光面12に向かって反射される可能性が低減され、隣接する発光デバイス1間のクロストークの発生がさらに低減される。
【0097】
吸収層50の第3の部分53は、吸収層50の第1の部分及び第2の部分と同様の方法で形成されてもよい。吸収層53の第3の部分は、リソグラフィなどの任意の適切なパテンティング技術を使用して形成されてもよい。吸収層の第3の部分は、第2の電気コンタクト30の形成前又は第2の電気コンタクト30の形成後のいずれかに形成されてもよい。いくつかの実施形態では、吸収層53の第3の部分は、第2の電気コンタクト30が設けられる複数の開口部を備えるグリッドを効果的に画定する。そのようなグリッドの形成は、いくつかの実施形態では追加のパテンティングステップを必要とし得るため、吸収層53の第3の部分は設けられなくてもよい。
【0098】
次に、発光デバイスアレイ3の第3の実施形態について説明する。発光デバイスアレイ3の第3の実施形態の断面図を図16に示す。図16に示すように、発光デバイスアレイ3は、発光スタック10と、反射防止層20と、第2の電気コンタクト30のアレイと、共通の第1のコンタクト層40と、吸収層50と備える。第2の実施形態と同様に、吸収層50は、第1の部分51と、第2の部分52と、第3の部分53とを有する。
【0099】
発光デバイスアレイ3の第3の実施形態では、吸収層50はまた、第4の部分54を備える。吸収層54の第4の部分は、吸収層54の第4の部分の厚さを貫通する複数の開口部を備えるほぼ連続した層として発光面12上に設けられる。吸収層54の第4の部分を通る各開口部は、発光面にほぼ垂直な方向に進行する各発光デバイスからの光がそれぞれの開口部を通って進行することができるように、第2の電気コンタクトと位置合わせされる。図16に示すように、発光面12上の吸収層54の第4の部分は、コンタクト面11上に設けられた吸収層の第3の部分53とほぼ位置合わせされている。したがって、吸収層54の第4の部分によって提供される開口部は、第2の電気コンタクト30のための吸収層53の第3の部分のグリッドによって提供される開口部と同様であってもよい。いくつかの実施形態では、吸収層53の第3の部分によって形成されたグリッドは、吸収層54の第4の部分によって形成されたグリッドと同じであってもよい。すなわち、いくつかの実施形態では、同じマスクパターンを使用して、吸収層50の第3及び第4の部分53、54を形成することができる。もちろん、他の実施形態では、吸収層53の第3の部分及び吸収層54の第4の部分は、異なるパターンを用いて形成されてもよい。
【0100】
吸収層54の第4の部分は、光を放出することができる複数の開口部を画定するために、発光面12上に設けられる。吸収層54の第4の部分に覆われた領域では、発光面12から光が放出されない。したがって、吸収層54の第4の部分は、隣接する発光デバイス間のクロストークをさらに低減及び/又は排除するために設けられてもよい。
【0101】
上述したように、本開示の第2及び第3の実施形態は、第1の実施形態で説明したものと同様の吸収層20及び共通の第1のコンタクト層40を有する。本開示の他の実施形態では、他の吸収層20及び他の第1の電気コンタクト層を設けることができることが理解されよう。例えば、当業者は、第2の及び第3の実施形態が、図7図14に関連して上述した吸収層20及び共通の第1のコンタクト層40のいずれかと組み合わされてもよいことを理解するであろう。
【0102】
次に、発光デバイスアレイ4の第4の実施形態について図17a、図17b、図9c、図17d及び図17eを参照して説明する。本開示の第1、第2及び第3の実施形態では、共通の第1のコンタクト層40は、発光スタック10の発光面12上に設けられた透明導電性酸化物を用いて設けられている。本開示の第4の実施形態によれば、共通の第1のコンタクト層40は、発光スタック10のコンタクト面側から位置する電気コンタクトを用いて設けられてもよい。そのようなプロセスは、発光デバイスアレイ4が制御電子機器により容易に接続され得るように、発光デバイスアレイ4のための第1及び第2の電気コンタクトの両方を同じ表面(すなわち、コンタクト面11)に配置することを可能にする。例えば、第4の実施形態の発光デバイスアレイ4は、適切な接合技術を使用してバックプレーン電子機器アレイに接合されてもよい。
【0103】
図17a~図17eは、発光スタック10のコンタクト面11上に共通の第1の電気コンタクトを形成するためのプロセスを示す。簡単にするために、発光デバイスアレイ4の他の層は図示されていないが、本開示の第1、第2、及び第3の実施形態に関連して上述した方法のいずれかによって形成することができることが理解されよう。
【0104】
図17aに示すように、発光スタック10が設けられる。発光スタック10は、上述の実施形態と同様の方法で基板上に形成することができる。発光スタック10は、第1の半導体層13、活性層14、及び第2の半導体層15を含む。コンタクト面11と第1の半導体層13との間に電気的接続を形成するために、第1の半導体層13とコンタクト面11との間で活性層14を貫通して延在するビア半導体部分61が発光スタック10内に設けられる。次いで、第1の半導体層13への電気的接続を行うために、ビア半導体部分61と位置合わせされたコンタクト面11上に第1の電気コンタクト部分41が設けられる。このようなビア半導体部分61の例を図17eに示す。
【0105】
図17b及び図17cに示すように、ビア半導体部分は、発光スタック10の一部をコンタクト面から第1の半導体層13まで選択的に除去することによって形成されてもよい。選択的除去プロセスは、発光スタック10の形成後、好ましくは基板(図示せず)の除去前に実行することができる。選択的除去プロセスは、マスキング層62を使用したコンタクト面11のパターニングを含むことができる。マスキング層は、選択的に除去される発光スタック10の領域を画定する1つ又は複数の開口部を画定することができる。マスキング層62は、選択的除去プロセスのためのマスクとして使用するのに適した任意の材料を含むことができる。例えば、図17a~図17eに示す実施形態では、マスキング層62はSiOを含む。マスキング層は、任意の適切な方法、例えば化学蒸着によって形成されてもよい。マスキング層は、任意の適切な技術、例えばリソグラフィを使用してパターニングすることができる。
【0106】
マスキング層62の形成に続いて、発光スタック10は、ビア半導体部分61が形成されることになる空隙を形成するために、選択的除去プロセス、例えばエッチングに供され得る。このような空隙の例を図17bに示す。
【0107】
次いで、例えば図17cに示すように、ビア半導体部分61を空隙内に形成することができる。図17cの実施形態では、ビア半導体部分61は、図17cではn型ドープGaNである第1の半導体層13と同じ材料を含む。したがって、ビア半導体部分61は、コンタクト面11上にn型ドープ半導体領域を提供するために第1の半導体層13上に再成長される。
【0108】
ビア半導体部分61の形成に続いて、マスキング層62が除去され、第2の電気コンタクト30がコンタクト面11上に形成される。図17dに示すように、第2の電気コンタクト30は、ビア半導体部分61上ではなく、第2の半導体層15によって設けられたコンタクト面11の領域上に形成されている。
【0109】
第1の半導体層13へのコンタクトを提供するために、ビア半導体部分61上に第1の電気コンタクト41が形成される。第1の電気コンタクトの一例を図17eに示す。このように、第4の実施形態によれば、第1及び第2の電気コンタクト41、30は、発光スタック10の同じ表面(コンタクト面11)に設けられてもよい。第1の電気コンタクト41は、ビア半導体部分61(n型)へのオーミックコンタクトを形成するための任意の適切な材料を含んでもよい。
【0110】
第1の電気コンタクト61の形成に続いて、コンタクト面11をイオン注入プロセスに供してもよい。イオン注入プロセスは、第1の電気コンタクト41と第2の電気コンタクト30との間の第2の半導体層15の露出領域に影響を及ぼし得る。イオン注入プロセスは、これらの領域における発光スタック10の結晶構造を破壊して、ビア半導体部分61と発光デバイスとの間の電気的分離を改善することができる。したがって、例えば図17eに示すような発光スタック10は、ビア半導体部分61と発光デバイスとの間にイオン注入領域63を含むことができる。したがって、イオン注入領域63は、発光デバイススタック10内のビア半導体部分61を効果的に取り囲むことができる。
【0111】
したがって、第4の実施形態は、コンタクト面11に設けられた第1及び第2の電気コンタクト41、30を有する発光デバイスアレイ4を提供する。当業者であれば、図17a~17eに示す実施形態が、第1の及び第2の電気コンタクト41、30の唯一の可能な配置である。当業者は、コンタクトのレイアウトがデバイスのサイズ、デバイスの配置などに応じて調整され得ることを理解するであろう。
【0112】
一例として、図18は、本開示の実施形態による共通の第1の電気コンタクト及び第2の電気コンタクト30のアレイの可能な一構成のさらなる例を提供する。図18に示すように、共通の第1の電気コンタクトは、周囲の第1の電気コンタクト42として設けられる。周囲の第1の電気コンタクト42は、すべての第2の電気コンタクト30を取り囲む。周囲の第1の電気コンタクトは、対応するビア半導体部分61と位置合わせされて発光スタック10のコンタクト面11上に設けることができる。いくつかの実施形態では、周囲第1の電気コンタクト42は、透明電気コンタクトの代替として、発光面12上に設けられ得る。周囲第1の電気コンタクト42は、アレイ内の発光デバイスの数が各寸法で1000以下である実施形態で特に使用されてもよい。したがって、1000×1000個以下の発光デバイスを有する発光デバイスアレイの場合、発光デバイスアレイの表面積は、周囲コンタクトがアレイ内のすべての発光デバイスに十分な電流を供給できるようなものである。特に、ピッチが5μm以下であるアレイの場合、1000個以下の発光デバイスを有するそのようなアレイは、約5mm以下の発光面を有することが理解されよう。いくつかの実施形態では、発光アレイが1μmの画素ピッチを有する約400×600個の発光デバイスを有する場合、約0.4mm×0.6mmの発光デバイスアレイを提供することができる。
【0113】
図18の図では、周囲第1の電気コンタクト42は、連続ループとして周囲の周りに延在するように示されている。もちろん、他の実施形態では、周囲第1の電気コンタクト42は連続ループでなくてもよい。例えば、c字形の周囲第1の電気コンタクト42が好適であり得る。効果的には、周囲電気コンタクト42は、発光面12上に開口部を画定し、開口部は、第2の電気コンタクト30のアレイと位置合わせされる。
【0114】
図18では、第2の電気コンタクト30は円形コンタクトとして示されている。もちろん、第2の電気コンタクトの他の形状も適切であり得る。
【0115】
したがって、本開示の実施形態によれば、発光デバイスアレイ及び発光デバイスアレイを形成する方法が提供される。本開示の発光デバイスアレイは、最小限のパターニングステップを使用して形成することができ、それによって発光デバイスアレイの形成中の位置合わせステップを低減又は排除することができる。位置合わせステップを低減又は排除することは、発光デバイスを形成するために利用可能な面積を増加させるので、小さなピッチのデバイス(例えば、5μm以下のピッチを有するデバイス)にとって特に有利である。
【0116】
各デバイスの発光面積はまた、各発光デバイスを画定するためにコンタクト面上の第2の電気コンタクトのアレイを使用することによって増加する。このように、本開示の実施形態は、発光デバイス全体のピッチに対して各発光デバイスの活性領域のサイズを大きくしようとするものである。
【0117】
本開示の実施形態を本明細書で詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく変形が可能であることを理解するであろう。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6a
図6b
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17a
図17b
図17c
図17d
図17e
図18