(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】誘導呼吸を使用して呼吸機能を分析するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/08 20060101AFI20240514BHJP
A61B 5/11 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
A61B5/08
A61B5/11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023027600
(22)【出願日】2023-02-24
【審査請求日】2023-03-01
(32)【優先日】2022-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2023-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503260918
【氏名又は名称】アップル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Apple Inc.
【住所又は居所原語表記】One Apple Park Way,Cupertino, California 95014, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100210239
【氏名又は名称】富永 真太郎
(72)【発明者】
【氏名】アニルバン チャタジー
(72)【発明者】
【氏名】ゴーパール ヴァルサン
(72)【発明者】
【氏名】ティラカ エス スマナウィーラ
【審査官】遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-246033(JP,A)
【文献】特開2017-176828(JP,A)
【文献】特開2002-301047(JP,A)
【文献】特開2007-190277(JP,A)
【文献】特開2000-027802(JP,A)
【文献】特表2021-523799(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0121096(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0160118(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/06-5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの呼吸機能を測定するためのシステムであって、
光学感知ユニットであって、
前記ユーザの胴体を識別し、
前記光学感知ユニットに対する前記胴体の動きを検知し、
前記胴体の前記動きを示す1つ以上の信号を出力するように構成された光学感知ユニットと、
第1の期間中に第1の速度で呼吸することを前記ユーザに求める第1の要求と、第2の期間中に第2の速度で呼吸することを前記ユーザに求める第2の要求とを提供するように構成された電子デバイスと、
処理ユニットであって、
前記胴体の前記動きに基づいて前記第1の期間中に前記光学感知ユニットによって生成された第1の信号を受信し、前記第1の信号を使用して第1の呼吸パラメータを決定し、
前記胴体の前記動きに基づいて前記第2の期間中に前記光学感知ユニットによって生成された第2の信号を受信し、前記第2の信号を使用して第2の呼吸パラメータを決定し、
前記第1の呼吸パラメータ及び前記第2の呼吸パラメータに基づいて
呼吸測定基準を決定するようにプログラムされた処理ユニットと、
を備えるシステム。
【請求項2】
前記光学感知ユニットが、
前記ユーザの前記胴体を識別するように構成されたカメラと、
前記胴体の深度の変化を検知するように構成された深度センサと、を備え、
前記胴体の前記動きを検知することが、前記光学感知ユニットに対する前記胴体の前記深度の変化を検知することを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記光学感知ユニットが更に、
前記ユーザの前記胴体に沿って1つ以上のサンプリング領域を識別し、
前記1つ以上のサンプリング領域の各々において動きを検知するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記処理ユニットが、少なくとも1つのサンプリング領域を選択し、前記選択された少なくとも1つのサンプリング領域に対応する前記1つ以上の信号のうちの信号を使用して前記第1の呼吸パラメータ及び前記第2の呼吸パラメータを決定するように構成される、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の速度が前記第2の速度よりも遅く、
前記第1及び第2の呼吸パラメータがそれぞれ、対応する
呼吸パワーを備え、
前記
呼吸測定基準が、前記第1の速度と前記第2の速度との間の前記対応する
呼吸パワーの減少量に基づく、
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記処理ユニットが更に、
前記第1の要求に応じて、前記ユーザの第1の呼吸速度であって、前記第1の期間中に生成された前記第1の信号に基づく第1の呼吸速度を決定し、
第2の要求に応じて、前記ユーザの第2の呼吸速度であって、前記第2の期間中に生成された前記第2の信号に基づく第2の呼吸速度を決定するように構成され、
前記
呼吸測定基準を決定することが、前記第1及び第2の呼吸速度を使用することを含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記電子デバイスが、ディスプレイ及びスピーカの少なくとも一方を備え、
前記第1及び第2の要求はそれぞれ、前記ディスプレイに表示される視覚出力及び前記スピーカからの音声出力の少なくとも一方を含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記処理ユニットが更に、
前記ユーザの身体モデルを生成し、
前記第1及び第2の呼吸パラメータを決定するために前記身体モデルを使用するようにプログラムされる、
請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
ユーザの呼吸機能を分析するためのシステムであって、
感知ユニットであって、
前記ユーザの胴体の動きを検知し、
前記胴体の前記検知された動きを示す1つ以上の信号を出力する
ように構成された感知ユニットと、
第1の期間中に第1の呼吸速度で呼吸することを前記ユーザに求める要求を提供するように構成された電子デバイスと、
処理ユニットであって、
前記1つ以上の信号を受信し、
前記第1の期間中の前記胴体の前記検知された動きに基づいて、第1の呼吸パラメータであって、前記第1の呼吸速度に関連する第1の呼吸パラメータを決定し、
第2の期間中の前記胴体の前記検知された動きに基づいて、第2の呼吸パラメータであって
、第2の呼吸速度に関連する第2の呼吸パラメータを決定し、
前記第1の呼吸パラメータ及び前記第2の呼吸パラメータを使用して呼吸測定基準を決定するようにプログラムされた処理ユニットと、
を備える、システム。
【請求項10】
前記感知ユニットが光学センサを備え、
前記光学センサが、
前記ユーザの前記胴体を識別し、
前記光学センサに対する前記胴体の距離の変化を検知するように構成され、
前記処理ユニットが、前記胴体の前記距離の変化に基づいて前記第1の呼吸パラメータを決定するように構成される、
請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記感知ユニットが動作センサを備え、
前記感知ユニットは、前記動作センサが前記ユーザの前記胴体に結合されている間に前記胴体によって移動された距離を測定することによって、前記胴体の前記動きを検知し、
前記処理ユニットは、前記動作センサが前記ユーザの前記胴体に結合されている間に測定された前記ユーザの前記胴体によって移動された前記距離に基づいて、前記第1の呼吸パラメータを決定するようにプログラムされる、
請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記感知ユニットが、
第1のデバイスと、
第2のデバイスであって、前記第1のデバイスの動きを追跡し、前記第1のデバイスと前記第2のデバイスとの間の第1の距離を測定するように構成された第2のデバイスと、
を備え、
前記感知ユニットは、前記第1のデバイスが前記ユーザの前記胴体に結合されている間に前記第2のデバイスを用いて前記第1の距離を測定することによって前記胴体の前記動きを検知する、
請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1及び第2のデバイスがそれぞれ、前記第1の距離を決定するように動作可能な1つ以上のアンテナを備える、
請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記第2のデバイスが、前記第1の距離を測定するように構成された光学センサを備える、
請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記電子デバイスが、前記第2の期間中に前記第2の呼吸速度で呼吸することを前記ユーザに求める第2の要求を提供するように構成され、
前記第1の呼吸速度が、前記第2の呼吸速度よりも遅く
前記第1及び第2の呼吸パラメータがそれぞれ、対応する
呼吸パワーを備え、
前記呼吸測定基準が、前記第1の呼吸速度と前記第2の呼吸速度との間の前記対応する
呼吸パワーの減少量に基づく、
請求項9に記載のシステム。
【請求項16】
前記呼吸測定基準が基準を満たすことに応じて、前記処理ユニットは、前記呼吸測定基準を前記ユーザに出力するように構成される、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
ユーザの呼吸機能を測定する方法であって、
電子デバイスから、第1の期間に第1の速度で呼吸することを前記ユーザに求める第1の要求を出力することと、
光学感知ユニットによって、前記第1の期間中に第1セットの呼吸測定値であって、前記ユーザの胴体の動きに対応する測定値
である第1セットの呼吸測定値を取得することと、
前記電子デバイスから、第2の期間に第2の速度で呼吸することを前記ユーザに求める第2の要求を出力することと、
前記光学感知ユニットによって、前記第2の期間中に第2セットの呼吸測定値であって、前記ユーザの前記胴体の動きに対応する測定値
である第2セットの呼吸測定値を取得することと、
処理ユニットによって、前記第1及び第2のセットの呼吸測定値に基づいて前記ユーザの呼吸測定基準を決定することと、
を含む方法。
【請求項18】
前記第1の要求を出力したことに応じて、前記光学感知ユニットによって前記ユーザの第1の呼吸速度を検知することと、
前記第1の呼吸速度が第1の基準を満足したことに応じて、前記第1セットの呼吸測定値を取得することと、
前記第2の要求を出力したことに応じて、前記光学感知ユニットによって前記ユーザの第2の呼吸速度を検知することと、
前記第2の呼吸速度が第2の基準を満足したことに応じて、前記第2セットの呼吸測定値を取得することと、
を更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記処理ユニットによって、前記第1セットの呼吸測定値に基づいて第1のパワー測定基準を決定することと、
前記処理ユニットによって、前記第2セットの呼吸測定値に基づいて第2のパワー測定基準を決定することであって、前記呼吸測定基準を決定することは前記第1及び第2のパワー測定基準に基づいて前記ユーザの閉塞
の重症度を決定することを含む、第2のパワー測定基準を決定することと、
を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記閉塞
の重症度が基準を満足したことに応じて、前記ユーザに前記閉塞
の重症度を表示することを更に含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は非仮特許出願であり、2022年2月23日に出願された米国仮特許出願第No.63/313118号の利益を35 U.S.C.119(e)下で主張するものであり、その内容は本明細書に完全に開示されているかのように参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
記載される実施形態は、一般に、ユーザの呼吸機能を分析するためのシステム及び方法に関する。より詳細には、本実施形態は、誘導呼吸を使用してユーザの呼吸器の健康パラメータを決定するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、又は他の気道関連疾患がある個体は、呼吸がしにくくなる呼吸時の空気流減少(「気道閉塞」としても知られる)を経験することがある。この気道閉塞は重症度に幅があり、経時的に変化することもある。スパイロメトリは、個体の肺機能及び潜在的な気道閉塞を評価するためにしばしば使用される現在の呼吸検査である。スパイロメトリ試験の際、個体は、個体の肺機能を決定するために使用される空気流測定基準を測定デバイスに息を吹き込む。スパイロメトリ測定の精度及び/又は再現性は、個体がどれだけ厳密に試験プロトコルに従うことができるかに依存する。したがって、場合によっては、スパイロメータ測定の精度及び/又は再現性は望ましくない。また、臨床医の見落としなく正確且つ/又は再現性のあるスパイロメータ測定を個体が実行することは困難であり得る。
【発明の概要】
【0004】
実施形態は、ユーザの呼吸機能を測定するためのシステムに関する。システムは、ユーザの胴体を識別し、光学感知ユニットに対する胴体の動きを検知し、ユーザの胴体の動きを示す1つ以上の信号を出力するように構成される、光学感知ユニットを含むことができる。システムは、第1の期間中に第1の速度で呼吸することをユーザに求める第1の要求と、第2の期間中に第2の速度で呼吸することをユーザに求める第2の要求とを提供するように構成された電子デバイスを含むことができる。システムはまた、胴体の動きに基づいて第1の期間中に生成された第1の信号を受信し、第1の信号を使用して第1の呼吸パラメータを決定するようにプログラムされた処理ユニットを含むことができる。処理ユニットは、胴体の動きに基づいて第2の期間中に生成された第2の信号を受信し、第2の信号を使用して第2の呼吸パラメータを決定するようにプログラムされ得る。処理ユニットは、第1の呼吸パラメータ及び第2の呼吸パラメータに基づいて呼吸機能レベルを決定することができる。
【0005】
実施形態はまた、ユーザの呼吸機能を分析するためのシステムに関する。システムは、ユーザの胴体の動きを検知し、胴体の検知された動きを示す1つ以上の信号を出力するように構成された感知ユニットを含むことができる。システムは、第1の期間中に第1の速度で呼吸することをユーザに求める要求を提供するように構成された電子デバイスを含むことができる。システムはまた、1つ以上の信号を受信し、第1の期間中に検知された胴体の動きに基づいて第1の呼吸パラメータを決定するようにプログラムされた処理ユニットを含むことができ、第1の呼吸パラメータは第1の呼吸速度に関連付けられる。処理ユニットは、第2の期間中に検知された胴体の動きに基づいて、第2の呼吸パラメータであって、第2の呼吸速度に関連する第2の呼吸パラメータを決定するようにプログラムされ得る。処理ユニットは、第1の呼吸パラメータ及び第2の呼吸パラメータを使用して呼吸測定基準を決定することができる。
【0006】
実施形態は更に、ユーザの呼吸機能を測定するための方法に関する。本方法は、電子デバイスから、第1の期間にわたって第1の速度で呼吸することをユーザに求める第1の要求を出力することと、光学感知ユニットによって、第1の期間中に第1セットの呼吸測定値を取得することと、を含むことができ、第1セットの呼吸測定値は、ユーザの胴体の動きに対応する距離測定値を含む。本方法は、電子デバイスから、第2の期間にわたって第2の速度で呼吸することをユーザに求める第2の要求を出力することと、光学感知ユニットによって、第2の期間中に第2セットの呼吸測定値を取得することと、を含むことができ、第2セットの呼吸測定値は、ユーザの胴体の動きに対応する距離測定値を含む。本方法は、処理ユニットによって、第1及び第2セット呼吸測定値に基づいてユーザの呼吸測定基準を決定することを含むことができる。
【0007】
同様の参照番号が同様の構造的要素を指定する添付図面と併せて、以下の詳細な説明によって開示が容易に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】ユーザの呼吸機能を決定するための例示的なシステムを示す。
【
図2】ユーザの呼吸機能を決定するための例示的プロセスを示す。
【
図3A】ユーザの呼吸パラメータを決定するための例示的な胸部の動きの分析を示す。
【
図3B】ユーザの呼吸パラメータを決定するための例示的な胸部の動きの分析を示す。
【
図4】呼吸監視システムの様々なデバイス間の例示的な信号フローを示す。
【
図5】呼吸感知のための登録セッションを実行するための例示的プロセスを示す。
【
図6】ユーザの呼吸感知セッションを実行するための例示的プロセスを示す。
【
図7A】異なる2つの呼吸速度で測定された胸部の動きのデータの例を示す。
【
図7B】異なる2つの呼吸速度で測定された胸部の動きのデータの例を示す。
【
図8】ユーザの呼吸測定基準を決定するための例示的分析を示す。
【
図9】ユーザの実際の呼吸速度と要求される呼吸速度との間の差に基づいて呼吸パラメータを決定するための例示的プロセスを示す。
【
図10A】要求される呼吸プロファイルを通してユーザを誘導するために使用できる電子デバイスからのユーザ出力の例を示す図である。
【
図10B】要求される呼吸プロファイルを通してユーザを誘導するために使用できる電子デバイスからのユーザ出力の例を示す図である。
【
図10C】要求される呼吸プロファイルを通してユーザを誘導するために使用できる電子デバイスからのユーザ出力の例を示す図である。
【
図10D】要求される呼吸プロファイルを通してユーザを誘導するために使用できる電子デバイスからのユーザ出力の例を示す図である。
【
図10E】要求される呼吸プロファイルを通してユーザを誘導するために使用できる電子デバイスからのユーザ出力の例を示す図である。
【
図10F】要求される呼吸プロファイルを通してユーザを誘導するために使用できる電子デバイスからのユーザ出力の例を示す図である。
【
図11A】要求される呼吸プロファイルを通してユーザを誘導してユーザフィードバックを提供するために使用できる電子デバイスからのユーザ出力の例を示す。
【
図11B】要求される呼吸プロファイルを通してユーザを誘導してユーザフィードバックを提供するために使用できる電子デバイスからのユーザ出力の例を示す。
【
図11C】要求される呼吸プロファイルを通してユーザを誘導してユーザフィードバックを提供するために使用できる電子デバイスからのユーザ出力の例を示す。
【
図11D】要求される呼吸プロファイルを通してユーザを誘導してユーザフィードバックを提供するために使用できる電子デバイスからのユーザ出力の例を示す。
【
図11E】要求される呼吸プロファイルを通してユーザを誘導してユーザフィードバックを提供するために使用できる電子デバイスからのユーザ出力の例を示す。
【
図11F】要求される呼吸プロファイルを通してユーザを誘導してユーザフィードバックを提供するために使用できる電子デバイスからのユーザ出力の例を示す。
【
図12】呼吸監視システムの例示的なブロック図である。
【0009】
種々の特徴及び要素(並びにそれらの集合及び群)の割合及び寸法(相対的であれ絶対的であれ)、並びにそれらの間に提示される境界、分離点及び位置関係は、単に本明細書に述べられる種々の実施形態の理解を容易にするために添付の図に提供されるものであり、したがって必ずしも縮尺通りに提示又は図示されていない場合があり、図示される実施形態についての任意の選好又は要件を、それを参照して述べられる実施形態を除外して示す意図はないことを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで、添付図面に図示される代表的な実施形態が詳細に説明される。以下の説明は、これらの実施形態を1つの好ましい実施形態に限定することを意図するものではないことを理解されたい。反対に、以下の説明は、添付の特許請求の範囲により定義される記載された実施形態の趣旨及び範疇に含むことができるような、代替形態、修正形態及び均等物を包含することを意図している。
【0011】
本明細書に開示される実施形態は、ユーザの呼吸機能を測定するためのシステム及び方法に関するものである。本システム及び本方法は、ユーザが複数の異なる呼吸速度で呼吸しているときにユーザの呼吸パラメータを測定することを含むことができる。ユーザの1つ以上の呼吸測定基準を決定するために、複数の異なる呼吸速度間のユーザの胸部の動きの変化が使用され得る。例えば、このシステム及び方法では、ユーザの呼吸困難又は気道閉塞(本明細書では併せてユーザの「呼吸障害」と呼ぶ)のレベルを識別及び/又は特性把握することができる。
【0012】
いくつかの変形例では、このシステム及び方法は、ユーザが誘導呼吸エクササイズを行っている間にユーザの呼吸パラメータを測定することを含むことができる。ユーザの呼吸測定基準を決定するために、誘導呼吸エクササイズ中に取得された測定値が分析され得る。場合によっては、システムは、誘導呼吸エクササイズを実行するための指示を出力する電子デバイスを含むことができる。システムはまた、誘導呼吸エクササイズ中にユーザの胴体の動きを測定するセンサを含むことができる。例えば、誘導呼吸エクササイズは、第1の呼吸速度で呼吸するようにユーザに指示することと、その第1の呼吸速度におけるユーザの胴体の動きを測定することとを含むことができる。誘導呼吸エクササイズはまた、第1の呼吸速度とは異なる第2の呼吸速度で呼吸するようにユーザに指示することと、その第2の呼吸速度におけるユーザの胴体の動きを測定することとを含むことができる。第1の呼吸速度と第2の呼吸速度との間のユーザの胴体の動きの変化が使用して、ユーザの1つ以上の呼吸測定基準を決定することができる。例えば、2つの呼吸速度間の胴体の動きの変化を使用して、ユーザに呼吸障害があるかどうかを判断することがきる。本明細書で使用される場合、「胴体」という用語は、ユーザの呼吸動作の一環として動くユーザの上半身の各部を含むことが意図される。したがって、胴体という用語は、例えば、ユーザの腹部、胸部、及び/又は背部の一部を含むことができる。
【0013】
スパイロメトリは、呼吸障害を診断するための一般的な手法である。スパイロメトリ測定中、個体は、スパイロメトリ機に、1回の呼吸で、できるだけ強く、且つできるだけ速く息を吹き込む。スパイロメータは、個体が1回の呼吸で吐き出すことができる最大量の空気の尺度である努力性肺活量(FVC)、個体が1秒間に肺から押し出すことができる空気の量である努力性呼気量(FEV)、及び/又は強制的な呼気中に生成される最大流量である最大呼気流量(PEF)を測定することができる。これらの測定されたパラメータのうちの1つ以上を使用して、個体に呼吸障害があるかどうか、及び/又は閉塞の重症度を判断することができる。
【0014】
場合によっては、スパイロメトリ測定は、強制呼出手順に起因して、所望されるよりも精度が低く、及び/又は再現性が低いことがある。例えば、個体は、経時的にスパイロメトリ測定がより良好になることがあり、これによってユーザの閉塞が隠されることがある。場合によっては、個体は、別々の測定間で呼吸の深さ及び/又は呼気の力にばらつきがある可能性があり、これは精度及び/又は再現性に影響を及ぼし得る。追加的又は代替的に、高い労作レベルにおいても、最大吸気とそれに続く最大力の呼気というのは個体にとって通常の呼吸パターンではない。したがって、スパイロメトリ測定(例えば、FVC、FEV、及びPEF)は、典型的な呼吸パターンに基づかない、及び/又はユーザの自然呼吸速度での呼吸機能を示さないことがある。
【0015】
場合によっては、ユーザがスパイロメトリ機に定期的にアクセスできないことがある。例えば、コスト及び/又はサイズに起因して、スパイロメトリ機が医療施設に配置されることがある。加えて、携帯型スパイロメトリ機は、医療施設に設置されるものほど正確ではない場合がある。また、個体は、医療関係者に監督されていないと、必要なプロトコルから逸脱しやすい。したがって、従来のスパイロメータ測定は、所望される通りに再現可能でも、正確でも、携帯可能でも、及び/又は個体の典型的な呼吸パターンを反映するものでもないことがある。
【0016】
本明細書に記載される実施形態は、誘導呼吸エクササイズをユーザに提供し、1つ以上の呼吸測定状態中の呼吸パラメータを測定する呼吸システムを含む。システムは、音声、映像、触覚、又は他の適切な出力又は出力の組み合わせをユーザに提供する電子デバイスを含むことができる。出力は、第1の呼吸数で呼吸するようにユーザに指示することを含むことができ、システムは、第1の呼吸数におけるユーザの胸部の動きを測定することができる。場合によっては、第1の呼吸数は、ユーザの自然呼吸数(すなわち、特定の速度で呼吸するように促されていないときにユーザが呼吸する速度)に基づく。例えば、システムは、ユーザが安静状態にあるときにユーザの自然呼吸パラメータを監視して自然呼吸数を決定してもよく、指示される第1の呼吸数はユーザの自然呼吸数から決定できる。第1の呼吸数は、ユーザの自然呼吸数と同じ、それより大きい、又はそれより小さいように選択することができる。測定は複数の呼吸サイクルにわたって行われ得る。呼吸パラメータを、ユーザの自然呼吸数で及び/又は複数の呼吸サイクルにわたって測定することは、測定精度及び/又は再現性を向上させるのに役立ち得る。出力はまた、第2の呼吸数で呼吸するようにユーザに指示することを含むことができ、システムは、複数の呼吸サイクルにわたって第2の呼吸数におけるユーザの胴体の動きを測定することができる。第2の呼吸数は、自然な第1の呼吸数と異なってもよい。第2の速度は、第1の呼吸数より高くてもよいし、低くてもよい。但し、簡潔にするために、本明細書で提示される例は、第2の呼吸速度が第1の呼吸速度よりも大きいという文脈で提示されるが、これは限定することを意味するものではない。
【0017】
場合によっては、この呼吸システムは、ユーザの1つ以上の環境状態に基づいて誘導呼吸を提供することができる。例えば、誘導呼吸プロトコル及び/又は誘導呼吸セッションをいつ実行するかは、空気質、温度、若しくは他の環境パラメータ、心拍数、呼吸速度、ストレスなどのユーザパラメータ、タイミング及び/又はロケーションパラメータ(例えば、GPSデータに基づく)、又は他の適切なパラメータなどの要因を考慮に入れることができる。
【0018】
システムは、第1の呼吸速度の第1の呼吸パラメータと、第2の呼吸速度の第2の呼吸パラメータとを決定してもよい。例えば、ユーザが呼吸障害であるかどうかを判断し、及び/又は閉塞の重症度など、呼吸測定基準を決定するために、第1及び第2の呼吸パラメータが使用され得る。場合によっては、第1及び第2の呼吸パラメータは、要求される各呼吸速度で吸気及び呼気するユーザの能力を示し得る。例えば、システムは、胸部の深度の変化を測定するセンサを含むことができ、第1及び第2のパラメータは呼吸パワーとすることができ、呼吸パワーは、各サンプリング期間にわたる胸部の動き量に基づくものであってもよい。第2の呼吸速度のほうが大きい場合、第1の呼吸速度と第2の呼吸速度との間の呼吸パワーの減少を呼吸障害の識別に使用することができる。例えば、より高い第2の呼吸速度では、閉塞のあるユーザは吸気又は呼気能力の著しい低下を示すことがあるが、これは、呼吸パワーの低下によって示され得る。呼吸パワーは、決定され得る呼吸パラメータの一例に過ぎない。呼吸パワーに加えて、又は呼吸パワーの代替として、他のパラメータを使用することができ、そのうちのいくつかは、ピークツーピーク振幅、測定された胸部の動き形態、(例えば、呼吸サイクルの吸気及び/又は呼気部分の変化に対応する)測定された波形(複数可)の形態の変化、及び/又は本明細書に記載の同様のものを含むことができる。
【0019】
場合によっては、システムは、誘導呼吸エクササイズのための指示を出力する電子デバイスであって、ユーザの胴体の動きを測定するためのセンサを含む電子デバイスを含むことができる。他の場合には、深度センサは、これらの計算された距離を含む深度マップを生成することがあり、その一部又は全部は、以下に記載する様々な技法で使用され得る。深度情報は、任意の好適な方法で計算することができる。1つの非限定的な実施例では、深度センサは、2つの画像が異なる位置から取られるステレオ撮像を利用することができ、2つの画像内の対応するピクセル間の距離(視差)を使用して、深度情報を計算することができる。別の実施例では、深度センサは、構造化光撮像を利用することができ、それによって、既知のパターン(典型的には赤外線照明を使用する)をシーンに向かって投影している間に、深度センサは、シーンを撮像することができ、次いで、パターンがシーンによってどのように歪んでいるかを見て、深度情報を計算することができる。更に別の実施例では、深度センサは、深度センサから放出された光(典型的には赤外線)がシーンから戻るのにかかる時間に基づいて深度を計算する、飛行時間感知を利用することができる。飛行時間型深度センサは、直接的な飛行時間又は間接的な飛行時間を利用してもよく、一度にカバレッジ領域118全体を照明することができ、又は(例えば、1つ以上のスポット、ストライプ、又は固定することができる、若しくはカバレッジ領域118にわたって走査することができる、のいずれかである他のパターンにより)所与の時間にカバレッジ領域118のサブセットのみを照明することができる。追加的又は代替的に、呼吸測定基準を抽出するためにビデオ(例えば、RGBビデオ)のオプティカルフロー処理を使用することができる。
【0020】
電子デバイスは、ディスプレイ、スピーカ、1つ以上のマイクロフォン、及び触覚出力デバイスを含むことができ、誘導呼吸エクササイズをユーザに提示するために、これらのうちの1つ以上が使用され得る。いくつかの実施形態では、電子デバイスは、ユーザの胴体の動きを測定できる光学感知ユニットを含む。例えば、光学感知ユニットは、ユーザの胴体の深度の変化を測定する深度センサを含むことができる。これらの深度測定は、1つ以上の呼吸サイクルにわたる呼吸パワーなどの呼吸パラメータを決定するために使用され得る。例示的な電子デバイスは、スマートフォン、タブレット、スマートウォッチ、又は任意の他の適切な電子デバイスを含むことができる。場合によっては、第1の電子デバイスが誘導呼吸エクササイズのための指示を出力することができ、第2の電子デバイスがユーザの胸部の動きを測定することができる。
【0021】
追加的又は代替的に、システムは、ユーザの胴体の動きを測定する動作追跡センサを含むことができる。例えば、動作追跡センサは、電子デバイスの一部とすることができる。この電子デバイスは、ユーザの胴体上に配置することもできるし、そうでなければ、ユーザの胴体に結合することもできる(本出願の目的のために、物体は、胴体に対して固定された関係に保持されている間、ユーザの胴体に「結合されている」と見なされる)。電子デバイスは、電子デバイスが胸部分と一致して動くように、測定中にユーザの胴体に対して定位置に保持されてもよい。いくつかの事例では、ユーザは、(例えば、ユーザの手を使用して、又はスマートウォッチを装着しながらユーザの手首をユーザの胸部に当てることによって)電子デバイスを胸部に対して定位置に保持してもよい。他の例では、電子デバイスは、(例えば、ストラップ、締結具、接着剤等を使用して)ユーザの胴体に一時的に添着されてもよい。よって、電子デバイスがユーザの胴体と一緒に動いて、これらの胴体動作を測定してもよい。場合によっては、動作追跡センサは、1つ以上の加速度計、ジャイロメータ、無線測位システム、又は他の好適なセンサを含むことができる。1つ以上の動作追跡センサによって測定される胸部の動きは、呼吸パワー、深度信号形態、又は本明細書に記載するものなど他の好適なパラメータを含むことができる、ユーザの呼吸パラメータを決定するために使用することができる。
【0022】
場合によっては、システムは、ユーザの呼吸パラメータを測定するために複数の電子デバイスを利用することができる。例えば、システムは、本明細書に記載する胸部の動きを測定するための光学感知ユニットを有する第1の電子デバイスを含むことができる。システムはまた、動作追跡センサを含む第2の電子デバイスを含むことができる。例えば、第1の電子デバイスをスマートフォン又はタブレットとすることができ、第2の電子デバイスをスマートウォッチとすることができる。場合によっては、ユーザの胸部の動作を追跡するために無線測位が使用され得る。例えば、電子デバイスの各々が1つ以上のアンテナを含むことができ、電子デバイスの互いに対する距離及び/又は向きを決定するために無線信号送信(例えば、無線周波数、超広帯域信号など)を使用することができる。第1の電子デバイスをユーザからある距離に配置することができ、第2の電子デバイスをユーザの胸部に結合することができ、ユーザの胸部の動きを決定するためにデバイス間の距離の変化が使用され得る。この無線測位データは、光学深度測定、動作追跡、又は他の好適なプロセスに加えて、又はその代替として使用されてもよい。追加的又は代替的に、システムは、第1及び第2の電子デバイス間の距離を識別及び/又は測定するために、撮像及び/又は深度感知機能を使用してもよい。
【0023】
実施形態は、ユーザの1つ以上の基本データセットを決定するための登録期間を実行することを含むことができ、基本データセットは、呼吸障害などの呼吸状態を識別するために使用され得る。登録プロセスは、適切な測定を行うことができるかどうかを判断するために測定状態を分析することを含むことができる。例えば、場合によっては、ユーザが着用する衣服によって、十分な胴体の動きをシステムが検知できないことがある。登録プロセスは、ユーザの胴体の動きなどの呼吸パラメータを感知システムが正確に測定することができるかどうかを判断するためにユーザの衣類を分析することを含むことができる。場合によっては、登録期間は、ユーザの正常な呼吸パターンを測定すること、及び/又は様々な呼吸速度で呼吸するようにユーザに要求して、要求される呼吸速度で呼吸パラメータを測定することを含むことができる。場合によっては、登録期間は、スパイロメトリ測定などの従来の分析方法を使用して呼吸パラメータを測定することを含むことができる。スパイロメトリデータは、本明細書に記載する呼吸感知システムによって取得される測定値と比較及び/又は相関付けることができる。追加的又は代替的に、登録期間は、立位、座位、姿勢、口の形状、呼吸音の監視等、様々な状態でユーザの呼吸パラメータを分析することを含むことができる。
【0024】
登録期間中に取得されたデータは、1つ以上のユーザモデルを生成するために使用できる。ユーザモデルは、ユーザが閉塞を起こしているかどうか、及び/又は呼吸障害の重症度などの呼吸状態を識別するために使用してもよい。場合によっては、ユーザモデルは、パラメータ化モデルとすることができ、登録データ及び/又は呼吸感知セッションからのデータは、胴体及び/又は身体のパラメータ化されたモデルを生成するために使用され得る。パラメータ化モデルは、ユーザの形状、姿勢、身体組成、身長、体重、及び/又は他の人口統計学的データに関連するデータを含むことができる。場合によっては、パラメータ化モデルは、ユーザの正面、側面、及び/又は背面画像等の種々の視点からの画像を含むことができるユーザの1つ以上の画像を使用して生成することができる。
【0025】
呼吸測定は様々な方法で開始され得る。場合によっては、呼吸測定は、例えば、電子デバイス上で実行されるアプリケーションによって、ユーザ起動され得る。他の実施形態では、呼吸測定は、設定されたスケジュールに基づいて開始することができ、スケジュールは、カレンダアプリケーション又は他の適切なプロセスによって追跡され得る。いくつかの実施形態では、呼吸測定は、心拍数、酸素飽和度、心臓パラメータ(心電図(ECG)測定)、体温、呼吸音等を含む、ユーザの1つ以上の生理学的パラメータの監視に基づいて開始され得る。場合によっては、システムは、呼吸測定を開始する前に1つ以上のユーザパラメータを評価してもよく、1つ以上のユーザパラメータは、ユーザの衣類、姿勢等を評価して、好適な呼吸測定(例えば、信号強度、好適な測定領域等)が達成され得るかどうかを判断することを含むことができる。呼吸測定は、少なくとも1回の誘導呼吸セッションと、任意選択的に登録セッションとを含むことができる。登録セッションは、呼吸測定中に取得された測定値を較正するのを助ける1つ以上のパラメータを決定するために使用され得る。登録セッションは、第1のセットの呼吸測定について実行され得る。いくつかの例では、登録セッションは、例えば、測定を再較正するために定期的に行われ得る。
【0026】
呼吸測定は、1つ以上のユーザパラメータを監視すること、ユーザにフィードバックを提供すること、及び/又は測定されたパラメータに基づいて測定状態を調整することを含むことができる。例えば、システムは、第1の呼吸速度で呼吸するようにユーザに指示し、ユーザの実際の呼吸速度を監視してもよい。システムは、ユーザの実際の呼吸速度の示度を出力し、及び/又はユーザに指示を提供することがある。指示は、より速く、より遅く、より深く、及び/又は同様に呼吸する指示を含むことができる。場合によっては、システムは、測定された呼吸パラメータ(例えば、呼吸速度)に基づいて呼吸パラメータを決定し得る。システムは、指示された呼吸速度を測定されたパラメータに基づいて調整することができる。例えば、ユーザが指示された呼吸速度を満足させることができない場合、システムは、指示された呼吸速度を減少させてもよい。いくつかの変形例では、システムは、測定された呼吸速度が所定の閾値速度を下回るときに、指示された速度を調整する。所定の閾値速度とは、指示された呼吸速度であってもよいし、指示された呼吸速度未満の別の呼吸速度であってもよい。したがって、システムは、誘導呼吸セッション中の1つ以上の状態に基づいて能動的に適応することがある。
【0027】
これらの実施形態及び他の実施形態について、
図1~
図12を参照して以下で記載する。しかしながら、当業者であれば、これらの図に関して本明細書に与えられた発明を実施するための形態は説明を目的とするものに過ぎず、限定するものとして解釈されるべきではないことを容易に理解するであろう。
【0028】
図1は、ユーザ101の呼吸機能を決定するための例示的なシステム100を示す。システム100は、ユーザ101の1つ以上のパラメータを測定するように構成された感知ユニット102と、ユーザ101に出力を提供するように構成された出力ユニット104とを含むことができる。いくつかの実施形態では、システム100は、ユーザ101の胴体103に接触してユーザ101のパラメータを測定するように構成される第2のデバイス106を含むことができる。通信可能に結合することができ、本明細書に記載の1つ以上の呼吸パラメータなどのユーザ101のパラメータを決定するために、感知ユニット102、出力ユニット104、及び第2のデバイス106が協調して動作され得る。
【0029】
場合によっては、感知ユニット102及び出力ユニット104は、スマートフォン、タブレット、デジタルメディアプレーヤ(例えば、mp3プレーヤ)、スマートウォッチ、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、又は他の電子デバイスなどの電子デバイス108に組み込まれ得る。電子デバイス108は、ハウジングと、ハウジングに結合され、且つディスプレイの上に配置される透明なカバー(単に「カバー」と呼ばれることがある)とを含んでもよい。カバー及びハウジングは、他の構成要素と共に、電子デバイスの内部電気構成要素を収容し得る、電子デバイスの密封された内容積を形成し得る。場合によっては、カバーは、電子デバイス108の実質的に全ての正面及び/又は前面を画定する。カバーはまた、入力面を画定してもよい。例えば、本明細書に記載するように、電子デバイス108は、カバーになされた入力を検知するタッチ及び/又は力センサを含み得る。カバーは、ガラス、サファイア、ポリマー、誘電体、又は任意の他の好適な材料から形成されてもよいし、それらを含んでもよい。
【0030】
出力ユニット104は、カバーの下に配置され、少なくとも部分的にハウジング内にあるディスプレイを含むことができる。ディスプレイは、グラフィカル出力が表示される出力領域を画定し得る。グラフィカル出力は、グラフィカルユーザインターフェース、ユーザインターフェース要素(例えば、ボタン、スライダ等)、テキスト、リスト、写真、ビデオ等を含んでもよい。ディスプレイは、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオードディスプレイ(OLED)、又は任意の他の好適な構成要素若しくはディスプレイ技術を含んでもよい。場合によっては、ディスプレイは、情報を表示する1つ以上のグラフィカルオブジェクトを備えたグラフィカルユーザインターフェースを出力してもよい。
【0031】
ディスプレイは、タッチ及び/又は力感知式であってもよく、ディスプレイの出力領域に沿って延在し、任意の好適な感知要素及び/又は感知技術を使用し得る、タッチセンサ及び/又は力センサを含んでもよいし、それらと関連付けられてもよい。電子デバイス108は、タッチセンサを使用して、カバーに加えられたタッチ入力を検知してもよく、これはタッチ入力の場所、タッチ入力の動作(例えば、カバーに加えられるジェスチャの速度、方向、又は他のパラメータ)等を検知することを含む。力センサを使用して、電子デバイス108は、カバーに加えられたタッチイベントに関連する力の量又は大きさを検知してもよい。タッチ及び/又は力センサは、タップ、スワイプ、複数本の指による入力、1本又は複数本の指によるタッチジェスチャ、押圧等を含む、デバイスの動作を制御又は修正するための様々なタイプのユーザ入力を検知し得る。
【0032】
追加的又は代替的に、出力ユニット104は、電子デバイス108のハウジングと一体化させることができる1つ以上のスピーカを含むことができる。スピーカは、ユーザ101に音声出力を提供するように構成することができ、音声出力は、本明細書に記載するように、誘導呼吸エクササイズのための指示、他のユーザフィードバック等を含むことができる。スピーカは、電子デバイスの一部とすることができ、及び/又は電子デバイスから分離された他のデバイスと一体化することもできる。例えば、出力ユニット104は、ユーザに装着され、電子デバイスに通信可能に結合される、1つ以上のイヤホン又はヘッドホンを含んでもよい。
【0033】
場合によっては、出力ユニット104はまた、ユーザ101に触覚出力を提供する1つ以上の触覚アクチュエータを含むことができる。触覚アクチュエータは、電子デバイス108の一部とすることができ、及び/又は電子デバイスとは別個のデバイスと一体化させることができる。例えば、電子デバイス108は、光学感知ユニット102を有するスマートフォンを含むことができ、出力ユニット104は、スマートウォッチなどのウェアラブルデバイスと一体化させた1つ以上の触覚アクチュエータを含むことができる。これに関して、出力ユニット104は、様々なデバイスと一体化されて、調整された出力を提供するように通信可能に結合される様々な構成要素を含むことができる。例えば、電子デバイス108上のディスプレイは、誘導呼吸エクササイズのための視覚キューを提供してもよく、スピーカ(電子デバイス又はヘッドホンなどの他のデバイスと一体化される)は、視覚キューに対応付けられた音声キューを提供することができ、及び/又は触覚アクチュエータ(例えば、スマートウォッチ上に配置される)は、他の出力に対応付けられた触覚キューを提供してもよい。
【0034】
場合によっては、出力ユニット104を第1の電子デバイスに関連付けることができ、感知ユニット102を別の電子デバイスに関連付けることができる。出力ユニット104及び感知ユニット102は呼吸測定を調整することができ、これは、感知ユニット102と出力ユニット104との間で1つ以上の信号を送信することを含むことができる。感知ユニット102及び出力ユニット104が別々の電子デバイスに関連付けられる場合、信号は、適切な無線伝送プロトコルを介して、この別々のデバイス間で送信され得る。信号は、第1の速度で呼吸することをユーザに求める第1の要求を出力ユニット104がいつ出力しているかを示すことができる。追加的又は代替的に、信号は、第1の要求に関連する期間、持続時間、及び/又は終了を含むことができる。したがって、感知ユニット102は、測定データを第1の要求される呼吸速度及び/又は第1の呼吸速度に関連する期間に関連付けるために、これらの信号を使用することができる。追加的又は代替的に、信号は、別の呼吸速度で呼吸することをユーザに求める第2の又は追加の要求を出力ユニットがいつ出力するかを示すことができる。これらの信号は、測定データを第2及び/又は追加の要求される呼吸速度と関連付けるために、感知ユニット102によって使用され得る。
【0035】
感知ユニット102は、ユーザ101の動きを測定する光学感知ユニットを含むことができる。光学感知ユニットは、ユーザ101と感知ユニット102との間の距離を決定することができる1つの深度測定センサ(又は複数のセンサ)を含むことができる。深度測定センサは、飛行時間型センサ、構造化光センサ、ステレオカメラ等を含んでもよい。光学感知ユニット102は、シーンの画像(これは次に、ユーザの1つ以上の領域を識別するために使用され得る)を取り込むように構成されたカメラ又は他の適切な撮像デバイスを含むことができる。例えば、光学感知ユニット102は、ユーザの身体を撮像できるカメラを含むことができ、光学感知ユニット102及び/又は電子デバイス108の他の構成要素(例えば、プロセッサ)は、ユーザの胴体等のユーザの解剖学的特徴を識別するように構成され得る。カメラを介した解剖学的特徴の識別をデバイスが使用して、解剖学的特徴を深度センサによって行われた測定値に関連付けることができるように、深度センサ及びカメラがオーバラップする視野を有することができる。
【0036】
電子デバイス108は、加速度計、ジャイロメータ、全地球測位システム(GPS)センサなどの測位センサ、無線測位システム、高度計、圧力感知システム等の追加のセンサを含むことができる。追加的又は代替的に、電子デバイス108は、温度センサ、心拍数モニタ、及び/又は他の好適なセンサなどの生理学的センサを含むことができる。
【0037】
デバイス106は、スマートフォン又は他の適切なデバイスなどのウェアラブル電子デバイスであり得る。場合によっては、ユーザがデバイス106を自分の胸部に当てて保持することによって、デバイス106がユーザ101の胸に接触できる。他の場合には、デバイス106は、例えば、結合デバイスによってユーザの胸部に結合することができる。したがって、デバイス106は、ユーザが呼吸したり、他のアクションをしたりするときに、ユーザ101の胸部と共に移動し得る。デバイス106は、電子デバイス108に通信可能に結合することができる。システム100は、第2のデバイスの動きを追跡することによって、ユーザ101の胸部の動きを測定することができる。例えば、電子デバイス108及びデバイス106はそれぞれ1つ以上のアンテナを含むことができる。電子デバイス108及びデバイス106は、互いに対するデバイスの距離及び/又は位置を決定するために使用できる、UWB信号などの信号を送信することができる。したがって、電子デバイス108及びデバイス106は、無線ベースの距離及び位置の感知を使用して、ユーザ101の胸部の深度変化などの動きを追跡することができる。追加的又は代替的に、デバイス106は、加速度計、ジャイロメータ、又は他の適切な位置センサなどの1つ以上の搭載されたセンサに基づいて、ユーザ101の胸部の動きを測定することができる。追加的又は代替的に、感知ユニット102からのカメラ、距離センサ、又は他のセンサは、デバイス106を識別し、及び/又はデバイス106がユーザ101の胴体103上に配置されているときに、その動きを追跡するために使用され得る。いくつかの場合において、デバイス106は、デバイス106を識別及び/又は追跡するために感知ユニット102によって使用され得る所定の画像を表示するディスプレイを含んでもよい。
【0038】
図2は、ユーザの呼吸機能を決定するための例示的なプロセス200を示す。このプロセスは、システム100など、本明細書に記載の呼吸感知システムによって実行することができる。
【0039】
202において、プロセス200は、呼吸パラメータを測定するためにユーザに沿って1つ以上のサンプリング領域を識別することを含むことができる。サンプリング領域は、ユーザの胸部及び/又は腹部にわたって配置され得る。場合によっては、感知ユニットは、ユーザの胴体を撮像する1つ以上のカメラを含むことができ、ユーザの胴体の外形、ユーザの肩の場所及び/又は動き等などの解剖学的特徴を識別することができる光学感知ユニットを含み得る。サンプリング領域は、識別された解剖学的特徴に基づいて規定され得る。例えば、システムは、ユーザの胸部及び/又は腹部に沿った様々な場所で複数のサンプリング領域を定義することができる。場合によっては、システムは、識別された解剖学的特徴に基づいてサンプリング領域を選択してもよい。システムは、各々のサンプリング領域で動きを測定してもよい。例えば、カメラは、1つ以上のサンプリング領域を規定するために使用されるユーザの解剖学的特徴を識別するために使用されてもよい。深度センサは、胴体の深度の変化を各々のサンプリング領域で測定することができる。場合によっては、呼吸によって引き起こされる動きを他の動きから分離するために、ユーザのパラメータ化された身体モデルを測定データに当てはめることができる。
【0040】
場合によっては、システムは、ユーザの呼吸パラメータを生成するためにサンプリング領域のうちの1つ以上を選択してもよい。例えば、システムは、各サンプリング領域における信号強度、精度、測定安定性等を比較し、これらの測定基準に基づいて1つ以上のサンプリング領域を選択することができる。例えば、プロセス200は、深度測定の信号強度及び/又は範囲が最大のサンプリング領域を選択することを含んでもよい。選択されたサンプリング領域(複数可)における深度測定は、本明細書に記載する呼吸パワーなどの呼吸パラメータを決定するために使用され得る。
【0041】
追加的又は代替的に、システムは、1つ以上のサンプリング期間の間、規定されたサンプリング領域ごとにデータを監視及び収集してもよい。操作202は、サンプリング領域ごとに測定された胸部の動きのデータを正規化することを含むことができる。したがって、システムは、1つ以上のサンプリング期間中に様々なサンプリング領域からの測定データを使用することが可能であり得る。ユーザが動く場合、光学感知ユニットが移動する場合、又は様々なサンプリング領域の信号品質に影響を及ぼす他の変化が生じる場合、操作202は、呼吸パラメータを決定するため別のサンプリング領域又はサンプリング領域セットを動的に選択することを含むことができる。場合によっては、ユーザと光学感知ユニットとの間の相対移動は、新しいサンプリング領域(複数可)が識別され、サンプリング領域の新しい選択が行われ得る場合に、十分に大きくてもよい。したがって、呼吸パラメータは、異なるサンプリング領域の測定データに基づき得る。
【0042】
204において、プロセス200は、第1のサンプリング期間中に第1の速度で呼吸するようにユーザに指示することを含むことができる。例えば、ディスプレイ、スピーカ及び/又は触覚デバイスなどの出力デバイスは、第1の速度でユーザが呼吸するための指示を出力することができる。電子デバイスは、ディスプレイを使用して、第1の呼吸速度に対応する視覚出力を提供することができる。視覚出力は、指示された呼吸速度を達成するために、システムのユーザが模倣できる、吸気及び呼気タイミングを示す動的出力を含む種々の方法で実施され得る。
【0043】
場合によっては、第1の呼吸速度は、規定された時間当たりの呼吸回数など、一定の呼吸速度とすることができる。他の場合では、第1の呼吸速度は、ユーザの自然呼吸速度等、誘導呼吸セッションの前に取り込まれた1つ以上のユーザパラメータ、及び/又は、ユーザの心拍数、ユーザの現在の呼吸速度等、誘導呼吸セッション中に取り込まれた1つ以上のパラメータに基づいて、動的に選択され得る。例えば、ユーザの心拍数(別のセンサシステムを使用して決定され得る)が閾値を下回る場合に第1の呼吸速度の第1の値を選択することができ、ユーザの心拍数が閾値を上回る場合に第1の呼吸速度の第2の値を選択することができる。場合よっては、第1の呼吸速度は、第1のサンプリング期間中に変化し得る。例えば、第1の呼吸速度は、指示された呼吸速度の一定の増加(例えば、傾斜プロトコル)及び/又は指示された呼吸速度の増加後の減少(例えば、周期的プロトコル)などの定義されたプロトコルに従って変化し得る。これらの場合のいずれにおいても、出力は、所望の呼吸速度及び/又は変化をユーザに示すように動的に変化し得る。場合によっては、指示された呼吸速度は、ユーザの現在の呼吸測定基準に基づき得る。例えば、システムは、例えば指示された呼吸速度に応じてユーザの現在の呼吸速度を測定し、指示される呼吸速度をユーザの現在測定された呼吸速度に基づいて更新することができる。これは、指示された第1の呼吸速度を調整するために使用されてもよく、例えば、ユーザが要求される呼吸速度に合わせることができない場合、より遅い速度に更新され得る。
【0044】
場合によっては、呼吸速度を調整することは、ユーザの吸気及び呼気能力の基本データを提供する第1のサンプリング期間中のデータを取得することによって測定精度を促進するのに役立ち得る。例えば、第1の呼吸速度は、ユーザが完全に吸気して完全に呼気することを可能にするように設定され得る。したがって、場合によっては、第1のサンプリング期間は、安静/低運動状態におけるユーザの呼吸パラメータを確立するユーザの基本データを収集する。
【0045】
システムは、1つ以上の呼吸サイクルを収集するように、各サンプリング期間の持続時間を設定してもよい。場合によっては、サンプリング期間は、ユーザの少なくとも2つ以上の完全な呼吸サイクルの間、第1の要求される呼吸速度における測定データを取り込む、定義された期間であり得る。他の場合では、サンプリング期間は規定の呼吸サイクル数とすることができ、呼吸サイクル数は要求される速度及び/又はユーザの実際の測定呼吸速度に応じて時間的に変化することがある。他の例では、サンプリング期間の持続時間は、ユーザの測定呼吸データに基づいて動的に調整され得る。システムは、サンプリング期間中に収集されたデータを分析することができ、その結果は、サンプリング期間を調整するために使用され得る。例えば、システムは、収集されている測定データに関連する平均、偏差、又は他の測定基準を分析し、これらの測定基準に基づいてサンプリング期間を調整してもよい。例えば、感知ユニットの移動が測定データの品質に悪影響を与える場合、システムはサンプリング期間を延長してもよい。場合によっては、これは、定義された測定基準が満たされるまで第1のサンプリング期間を実行させることを含むことができ、それは、測定呼吸サイクル間のずれが閾値を満たすまでサンプリングすることを含んでもよい。他の場合には、システムは、サンプリング期間中に収集されたデータを分析することができる。
【0046】
206において、プロセス200は、第1のサンプリング期間中に1つ以上のサンプリング領域の動きを測定することを含むことができる。これは、呼吸による胸部の拡張及び収縮に対応する胸部の深度変化を測定することを含むことができる。光学感知ユニットは、スマートフォンなどの電子デバイスの一部とすることができ、電子デバイスは、加速度計、ジャイロスコープ、GPS測位システム、他の無線測位システム、高度計、及び/又は他の位置センサなどの追加のセンサを含むことができる。これらのセンサは、電子デバイスの動きを監視することができ、それによって、第1のサンプリング期間中が光学感知ユニットが移動するかどうか判断する。光学感知ユニットが静止している場合、光学感知ユニットによる距離測定は、ユーザの胸部に沿ったサンプリング領域の深度変化に直接相関し得る。光学感知ユニットが移動している場合、光学感知ユニットの移動を考慮し、ユーザの胸部に沿ったサンプリング領域の深度変化を決定するために、位置センサ(加速度計、ジャイロスコープ等)からの測定データが使用され得る。したがって、電子デバイスは、電子デバイスが静止しているとき、及び/又は電子デバイスがサンプリング期間中に移動するか若しくは向きを変える場合に、深度変化を決定してもよい。
【0047】
追加的又は代替的に、操作206は、ユーザの身体の動きを測定することと、胸部の動きを決定するためにそれらの身体の動きを補償することとを含むことができる。サンプリング期間中、ユーザが体位を変えたり、動いたり、又は何らかの他の全体的な身体動作を行うことに起因して、ユーザの身体(例えば、胴体全体)が光学感知ユニットに対して移動することがある。光学感知ユニットは、呼吸由来の胸部の動きと区別するために、これらの全体的な身体動作を追跡してもよい。例えば、全体的な身体動作などの他の測定データについて呼吸によって引き起こされる変化を区別及び/又は抽出するために、ユーザのパラメータ化された身体モデルが使用され得る。場合によっては、光学感知ユニットは、1つ以上のカメラを使用してユーザの解剖学的特徴を識別することができ、これは、ユーザの胴体の輪郭を識別すること、ユーザの肩、首、頭、腹部等の解剖学的特徴を識別することを含むことができる。場合によっては、光学感知ユニットは、これらの様々な解剖学的領域の距離の変化を測定することができる。したがって、1つ以上のサンプリング領域からの動きの測定値を、これらの解剖学的領域のうちの1つ以上の距離測定値と比較することができ、胸部(及び/又は腹部)の動きをユーザの他の動作から分離することができる。
【0048】
場合によっては、感知ユニットは、ユーザの1つ以上のサンプリング領域に接触及び/又は結合される位置感知ユニットを含むことができる。位置感知ユニットは、デバイスの動きによって胴体の動きを測定することができる。例えば、位置感知ユニットの動きは、動作センサ(例えば、加速度計、ジャイロスコープなど)を使用して、又は本明細書に記載するように、位置感知ユニットと別のデバイスとの間の相対運動を測定することによって、追跡され得る。位置感知ユニットは、光学感知ユニットに加えて使用することも、又は代わりの感知システムとして使用することもできる。例えば、位置感知ユニットは、ユーザによって装着されるスマートウォッチを含むことができ、スマートウォッチの動きを介して胸部の動きを測定するために、ユーザは、自分の胸に自分の手を置くように指示され得る。他の例では、スマートウォッチ、又は低エネルギー近接場追跡デバイスなどの他の位置感知デバイスが、ユーザの胸部領域に結合され得る。例えば、バンド、ストラップ、接着剤ベースのデバイス、又は他の好適なデバイス等の結合デバイスが、位置感知デバイスをユーザのサンプリング領域に結合するために使用されてもよい。したがって、位置感知デバイスの動きがユーザの胸部の動きに対応することがあり、胸部の動きは、第1のサンプリング期間中のユーザの深度変化及び/又は他の動きを決定するために使用され得る。
【0049】
208において、プロセス200は、第2のサンプリング期間中に第2の速度で呼吸するようにユーザに指示することを含むことができる。これは、動作204と同様に実施することができ、本明細書に記載する視覚、音声、及び/又は触覚など様々なタイプの出力を含むことができる。場合によっては、第2の呼吸速度は、第1の呼吸速度より速い呼吸速度であってもよい。他の場合には、第2の呼吸速度は、第1のサンプリング期間中の呼吸速度より遅くてもよいし、第1のサンプリング期間中の呼吸速度と異なるパラメータで構成されてもよい。場合によっては、第2のサンプリング期間は、第1のサンプリング期間と同じ誘導呼吸セッション中に実行され得る。例えば、誘導呼吸セッションは、第1のサンプリング期間と、それに続く第2のサンプリング期間を実行することを含むことができる。したがって、連続する誘導呼吸セッション中に複数のサンプリング期間があってもよい。
【0050】
第2の呼吸速度は、規定の呼吸速度であってもよく、例えば第1の呼吸速度の2倍など、第1の呼吸速度よりも速い規定量の呼吸速度であってもよい。場合によっては、第2の呼吸速度は、第1の呼吸速度に対する所定の関係を使用して選択されてもよい。例えば、第2の呼吸速度は、特定の状態について統計的に予測可能な呼吸パワーの低下をもたらす速度であり得る。例えば、第2の呼吸速度は、(第1の呼吸速度における呼吸パワーと比較して)閉塞のない個体について第1の予想呼吸パワー低下を生じさせ、閉塞のある個体について第2の予想呼吸パワー低下を生じさせるように選択されてもよい。
【0051】
いくつかの場合において、第2の呼吸速度は、各ユーザに固有であり得る。例えば、第2の呼吸速度は、登録プロセス中に決定されたユーザの基本データから決定され得る。第2の呼吸速度は、ユーザの自然な呼吸速度からの規定の増加とすることができる。呼吸速度の規定の増加は、非閉塞ユーザの第1の結果及び閉塞ユーザの異なる結果を生成する経験的データに基づくものであってもよい。
【0052】
210において、プロセス200は、第2のサンプリング期間中に1つ以上のサンプリング領域の動きを測定することを含むことができ、これは、操作206と同様に実施され得る。これは、本明細書に記載するように、呼吸によるユーザの胸部の拡張及び収縮に対応する胸部の深度変化を測定することを含むことができる。
【0053】
212において、プロセス200は、ユーザの呼吸測定基準を決定することを含むことができる。呼吸測定基準は、第1及び第2のサンプリング期間(及び/又は追加のサンプリング期間)から生成された呼吸パラメータに基づき得る。場合によっては、呼吸パラメータは、要求される呼吸速度の各々におけるユーザの呼吸パワーを含むことができる。本明細書に記載されるように、呼吸パワーは、指示される呼吸速度の各々においてユーザがどの程度吸気及び呼気することができるか(すなわち、吸気及び呼気中に胸部が移動する量)に対応し得る。呼吸測定基準は、呼吸パラメータから決定されるカテゴリ分類であってもよい。例えば、呼吸測定基準により、ユーザが呼吸障害を起こしているかどうかに関してユーザを分類することができる。場合によっては、ユーザは、第1のサンプリング期間の間に測定された第1の呼吸パラメータと、第2のサンプリング期間(及び/又は追加のサンプリング期間)の間に測定された第2の呼吸パラメータとの間の変化に基づいて分類され得る。例えば、呼吸パワーが第1のサンプリング期間と第2のサンプリング期間との間で定義された閾値を超えて低下する場合、操作212は、ユーザを呼吸障害にあると分類することができる。
【0054】
追加的又は代替的に、操作212は、閉塞の重症度を決定することを含むことができる。例えば、データは、閉塞のない個体が第1の呼吸パワー減少範囲に入り、軽度に閉塞のあるユーザが第2の呼吸パワー減少範囲に入り、中度に閉塞のあるユーザが第3の呼吸パワー減少範囲入ること等を示し得る。この点に関して、第1の呼吸数と第2の呼吸数との間でのユーザの呼吸パワーの変化(例えば、減少)は、呼吸障害の重症度を分類するために使用され得る。
【0055】
例示のために、本明細書では、2つの異なるサンプリング期間が記載されている。したがって、場合によっては、追加の呼吸速度(増加及び/又は減少)を含む追加のサンプリング期間を使用することができる。例えば、第1及び第2のサンプリング期間よりも高い呼吸速度で第3セットの胸部の動きの測定値を取得する第3のサンプリング期間が実行され得る。これらの追加的な関係における測定値は、閉塞及び/又は閉塞の重症度を決定するために使用され得る。場合によっては、プロセス200は、第1及び第2のサンプリング期間のうちの1つ以上とは異なる呼吸速度/パターン及び/又は反復呼吸速度/パターンを含む追加のサンプリング期間を含むことができる。追加のサンプリング期間を使用して、1つ以上の速度でよりロバストな呼吸データを作成し、データの分析(例えば、統計的有意性)を改善し、且つ/又は様々な状態(例えば、第1及び第2のサンプリング期間とは異なる呼吸速度/パターン)で追加のデータを収集してもよい。
【0056】
図3A及び
図3Bは、ユーザ301の呼吸パラメータを決定するための例示的な胸部の動きの分析を示す。
図3A及び3Bに例示的な胸部の動きの分析が視覚的に示されているが、これらのプロセスのうちの1つ以上は、コンピュータによって実施することができ、
図3A及び3Bに表示されるグラフィック要素を生成及び/又は表示しなくてもよい。
【0057】
図3Aは、感知システムのうちの1つ以上の視野300から決定される1つ以上のサンプリング領域304を決定する例を示す。1つ以上のサンプリング領域304は、サンプリング期間中にユーザ301の胸部の動きを測定するための場所であり得る。光学感知ユニットは、ユーザ301の胴体302を識別することができる。場合によっては、これは、カメラを使用してユーザ301の1つ以上の画像を取り込むことを含むことができ、これは、ユーザ301のリアルタイム/連続ビデオフィードを取り込むことを含むことができる。場合によっては、体位、姿勢、向きなどの変化などのユーザ301の変化を識別するために、カメラによって取り込まれた画像がリアルタイム又は準リアルタイムで分析され得る。分析は、カメラによって取り込まれたこれらの変化を考慮するために継続的に更新され得る。カメラは、カラー画像、白黒画像、及び/又は不可視(例えば、赤外線)画像の撮影が可能で取り込むことが可能であり得る。画像は、ユーザ301及び周囲環境に関する情報を提供するために使用され得る。ユーザ301を周囲環境から区別するために、カメラによって取り込まれた画像が分析され得る。例えば、画像分析は、ユーザ301の輪郭又は境界を決定することを含んでもよい。胴体302は、ユーザ301の識別された境界及び解剖学的特徴に基づき得る。
【0058】
胴体302の識別は、様々な方法で実施され得る。場合によっては、胴体302は、
図3Aに示すように、ユーザ301の肩と、胴体上部等のユーザ301の胴体の一部とを含むことができる。他の場合には、胴体302は、腹部などのユーザ301の胴体下部を含むことができる。胴体302は、ユーザの特定の解剖学的特徴を識別し、次いで、これらの特徴に基づいて胴体302の領域を画定することを含む、画像分析に基づいて識別されてもよい。例えば、分析は、ユーザ301の肩の上部境界及び/又はユーザ301の肘若しくは腰領域等の他の顕著な特徴を識別することと、胴体302を、肩(例えば、上部境界)と肘領域(例えば、下部境界)との間のユーザ301のプロファイルとして定義することとを含むことができる。場合によっては、システムは、ユーザ301の1つ以上の解剖学的特徴を識別するために使用され得る、特定の体位又は姿勢で立ち、及び/又は特定の動きを行うようにユーザに指示することができる。
【0059】
ユーザを識別するために、任意の適切な画像分析技術が使用され得る。場合によっては、ユーザ301に関連付けられる画像データとユーザの周囲に関連付けられる画像データとを区別するために、画像からの情報(例えば、色情報)が使用され得る。追加的又は代替的に、ユーザ301の解剖学的特徴を識別するために、ユーザ301の動きが使用され得る。例えば、画像データ内のユーザ301のプロファイルを定義し、且つ/又はユーザの解剖学的特徴を決定するために、静止した背景要素に対するユーザ301の動きが使用され得る。
【0060】
1つ以上のサンプリング領域304を定義するために、識別された胴体302が使用され得る。例えば、サンプリング領域304は、胴体302に配置される規定のサイズを有する領域のアレイであり得る。サンプリング領域304ごとに測定データを生成するために、1つ以上の深さ測定が各サンプリング領域内で行われて組み合わされ得る。場合によっては、各サンプリング領域304で取得された深度測定値は、領域データを生成するために平均化されたり、別様に組み合わせられたりされ得る。各サンプリング領域の測定データは正規化することができ、これは、領域内の総深度変化に基づき得る。例えば、中心の胴体が周辺の胸部領域よりも大きい絶対運動を有し得るので、正規化により、様々な領域を比較することが可能となり得る。少なくともこの理由のために、様々なサンプリング領域にわたって測定データを正規化することによって、各領域ごとにデータを収集できるようになり得る。様々な領域からのデータは、呼吸パラメータを生成するために使用され得る。この領域ベースの分析は、サンプリング期間中にロバストな分析を提供するのに役立ち得る。例えば、領域分析は、ユーザ301及び/又は光学感知ユニットがサンプリング期間中に移動及び/又は位置変更するのに伴って、サンプリング領域304のうちの様々な領域からのデータを使用し得る。
【0061】
図3Bは、サンプリング期間中にサンプリング領域304aから収集された測定データ350の一例を示す。測定データ350は、経時的な深度変化を含む胸部の動き306を含むことができる。測定データ350は、例示のために、時間310にわたる深度測定値308を含むグラフとして示されている。実装されているが、このデータは、本明細書に記載されるように、コンピュータシステムによって処理されてもよく、バイナリデータなどのコンピュータ可読フォーマットで記憶及び処理されてもよい。
【0062】
測定データ350は、サンプリング領域304aの胸部の動き306を示す。場合によっては、測定データ350は、他のサンプリング領域304のうちの1つ以上についての胸部の動きの測定値を含むことができる。場合によっては、測定データ350を周波数スペクトルで分析することができ、フーリエ解析を使用して基本周波数を識別するなど、周波数ベースの分析から1つ以上の呼吸パラメータを導出することができる。
【0063】
場合によっては、測定データ350は、
図3Aに示されるような定義された領域に対応しないことがある。例えば、システムは、胴体302の様々な場所にそれぞれ対応するデータのアレイを収集してもよい。各サンプリング点は正規化することができ、サンプリング点の組み合わせに基づいて深度マップが生成され得る。例えば、各感知ロケーションは、時間ベースの深度信号に対応し得る。場合によっては、このデータは、呼吸運動がユーザ301の胴体302をどのように伝搬するかを決定するために使用され得る。例えば、運動伝播は、呼吸運動が上胸部(例えば、肺に対応する胸部領域)において開始されるかどうか、及び/又はユーザ301が呼吸中に自身の腹部領域を使用しているかどうか及び/又はどの程度使用しているか、を判断するために使用され得る。場合によっては、ユーザが胸部対腹部をどの程度使用しているかの示度を提供するために、深度マップの様々な部分を比較することができる。他の場合には、ユーザが腹部に対して胸部領域をどの程度使用しているか決定するために、ユーザの胸部領域に対応する1つ以上のサンプリング領域を、ユーザの腹部に対応する1つ以上のサンプリング領域と比較してもよい。胸部の動き対腹部の動きを分析することによって、ユーザ301が閉塞を起こしているかどうかなどの呼吸機能の情報を与えてよい。
【0064】
図4は、本明細書に記載の呼吸監視システムなどの呼吸監視システムの様々なデバイス間の例示的な信号フロー400を示す。信号フロー400は、ユーザの胸部の動きを測定する、電子デバイス402、第1の感知ユニット404、及び第2の感知ユニット406の間であり得る。電子デバイス402は、本明細書に記載の呼吸エクササイズをユーザが行うための指示を出力する出力ユニットを有する、本明細書に機械の電子デバイスの一例であり得る。場合によっては、電子デバイス402は、第1の感知ユニット404又は第2の感知ユニット406を含むことができる。例えば、電子デバイス402はスマートフォンとすることができ、本明細書に記載の光学感知ユニットを含むことができる。場合によっては、第2の感知ユニット406は、本明細書に記載するように、ユーザに接触してユーザの胸部の動きを測定する電子デバイスと一体化させることができる。電子デバイス402は、本明細書で
図1に関して記載されるシステムのデバイス108及び出力ユニット104に対応し得る。第1の感知ユニット404が光学感知ユニット102に対応し、第2の感知ユニット406が、
図1に関して本明細書に記載した電子デバイスの感知ユニットなどの第2の感知ユニットに対応し得る。
【0065】
410において、電子デバイス402は、本明細書に記載するように第1の呼吸速度で呼吸することをユーザに求める要求を出力することができる。要求を出力したことに応じて、電子デバイス402は、第1の感知ユニット404及び第2の感知ユニット406のうちの1つ以上において呼吸測定プロセスを開始することができる。場合によっては、呼吸測定プロセスは、ユーザの胸部の動き光学感知を実行することを含んでもよい。412において、電子デバイスは、第1の感知ユニット404において光学感知プロセスを開始する1つ以上の信号を送信してもよい。例えば、第1の感知ユニットは、ユーザの胴体を識別し、ユーザの胸部の深度変化を検知することができる。他の場合には、呼吸プロセスは、ユーザに接触している第2の感知ユニットを使用して動作測定プロセスを実行することを含むことができる。これらの場合、412において、電子デバイス402は、動作感知プロセスを開始するために、1つ以上の信号を第2の感知ユニット406に送信してもよい。
【0066】
場合によっては、第1の感知ユニット404及び第2の感知ユニット406は、ユーザの呼吸測定を実行するために一緒に動作してもよい。例えば、第1の感知ユニット404は、ユーザの胸部の動きに対応し得る第2の感知ユニット406の動きを追跡してもよい。いくつかの実施形態では、第1及び第2の感知ユニット404、406は、胸部の動きを決定するために無線位置感知を使用することができる。例えば、第1及び第2の感知ユニット404、406の各々は、1つ以上のアンテナを含むことができ、アンテナのうちの様々なものの間で無線信号(例えば、超広帯域信号)を送信することができる。無線信号は、互いに対するデバイスの距離及び/又は位置を決定するために使用され得る。この位置データを使用して、第1の感知ユニット404に対する第2の感知ユニット406の動きによる深度の変化など、ユーザの胸部の動きを決定することができる。
【0067】
他の実施形態では、第1の感知ユニット404は、視覚ターゲットとして第2の感知ユニット406を使用することができ、ユーザの胸部の動きを測定するために第2の感知ユニット406を光学的に追跡することができる。第2の感知ユニットは、本明細書に記載の電子デバイスであり得る。他の場合には、第2の感知ユニット406は、電子構成要素を含まないが、代わりに第1の感知ユニット404のための光学ターゲットとして機能するデバイスであり得る。例えば、第2の感知ユニットは、ユーザの胸部に結合し、第1の感知ユニット404のための光学ターゲットを提供するデバイスであり得る。
【0068】
電子デバイスが412において生理学的感知を開始するための1つ以上の信号を感知したことに応じて、第1の感知ユニット404は、414においてユーザの生理学的パラメータを測定することができ、及び/又は第2の感知ユニット406は、418においてユーザの生理学的パラメータを測定することができる。第1の感知ユニット404が光学センサを備える場合、414において、第1の感知ユニットは、サンプリング期間にわたってユーザの胸部の深度変化を示す信号を生成してもよい。追加的又は代替的に、第2の感知ユニット406は、本明細書に記載するように1つ以上の動作センサを使用してユーザの胸部の動作を測定し、測定された動作を示す信号を生成してもよい。動作信号は、加速度計の出力、ジャイロスコープの出力、及び/又は他の位置感知データを含むことができる。
【0069】
第1及び第2の感知ユニット404、406が胸部の動きを追跡するように協調して動作する場合、これらの感知ユニットを含むデバイスは、感知活動の調整及び/又は感知データの交換に使用され得る1つ以上の通信チャネルを確立し得る。例えば、無線信号測位が使用されるとき、第1の感知ユニット404は、ワイヤレス信号を第2の感知ユニット406に送信する1つ以上のアンテナを含んでもよい。第2の感知ユニットは、超広帯域(UWB)信号を含む任意の好適な無線周波数信号であり得る無線信号を受信する1つ以上のアンテナを含んでもよい。第1及び第2の感知ユニット404、406内の様々なアンテナセット間の距離は、信号送信時間に基づいて決定することができ、第1及び第2の感知ユニット404、406間の距離及び/又は位置は、これらの信号送信から決定することができる。第1及び第2の感知ユニット404及び406に関連付けられた電子デバイスのうちの1つ以上は、感知ユニット間の測定距離及び/又は位置の変化に基づいて深度変化を決定できる。
【0070】
416において、第1の感知ユニット404及び/又は第2の感知ユニット406は、測定データを電子デバイス402に送信することができる。場合によっては、測定データは、測定されたパラメータを示すデジタル化信号を含んでもよく、電子デバイス402は、これらの信号を処理して、サンプリング期間の1つ以上の呼吸パラメータを導出することができる。信号は、第1の感知ユニット404から受信した信号を第2の感知ユニット406から受信した信号と相関させるために使用することができるタイムスタンプ又は他のデータを含むことができる。従って、各感知ユニットからの測定データは、ユーザの呼吸パラメータ決定するために比較及び/又は結合され得る。
【0071】
418において、電子デバイスは、第1及び第2の感知ユニット404及び406から受信した測定データに基づいて、ユーザの第1の呼吸パラメータを決定することができる。場合によっては、電子デバイス402は、第1の感知ユニット404からのデータを使用して呼吸パラメータを決定し、第2の感知ユニット406からのデータを使用して呼吸パラメータを独立して決定することができる。電子デバイス402は、組み合わされたパラメータを生成するために2つの呼吸パラメータを比較してもよい。他の場合には、感知ユニットのうちの1つは、一次測定を行うように動作されてもよく、他の感知ユニットは、一次測定を補完又は更新するために使用される第2の測定を行うように動作され得る。例えば、第1の感知ユニット404は、ユーザの胸部の深度の変化を測定するように動作することができ、第2の感知ユニット406は、ユーザの全体的な動き、咳等による一時的な胸部の動きなどのノイズ源を測定するように動作することができる。場合によっては、第2の感知ユニット406は、ユーザの1つ以上の呼吸測定基準を決定するために一次測定値と共に分析され得る喘鳴、呼吸音等の2次パラメータを測定することができる。
【0072】
420において、電子デバイスは、追加の呼吸測定を実行するかどうかを決定することができる。例えば、電子デバイスは、第2の速度で呼吸することをユーザに求める要求を出力してもよく、それに応じて、第2の感知手順を第1の感知ユニット404及び第2の感知ユニット406で開始することができるが、これは、第1の要求される呼吸速度における第1のサンプリング期間に関して記載されたものと同様又は同じであり得る。
【0073】
図5は、呼吸感知のための登録セッションを実行するための例示的なプロセス500を示す。このプロセスは、システム100など、本明細書に記載の呼吸感知システムによって実行することができる。登録セッションの間、システムは、ユーザの基本データセットとして使用され得るユーザに関するデータを収集及び分析することができる。初期登録期間の後、システムによって収集されたデータは、ユーザが呼吸障害等の健康エピソードを起こしているかどうかを予測及び/又は判断するために、基本データセットと比較され得る。基本データは、ユーザが健康状態の症状を起こしていないときなどの安定状態に関連するデータと、並びに、呼吸障害などの1つ以上の健康状態の症状を起こしているユーザに関連するデータの両方を含むことができる。
【0074】
502において、プロセス500は、呼吸感知システムのユーザの登録セッションを開始することを含むことができる。場合によっては、登録セッションは、ユーザが電子デバイスの呼吸感知機能を最初に開始するときに有効化され得る。例えば、登録セッションは、ユーザが呼吸感知のためのアプリケーションを開いたことに応じて有効化され得る。場合によっては、登録セッションを開始することは、ユーザに関するデータを収集することを含むことができる。システムは、ユーザの生理学的パラメータを収集してもよい。登録セッションは、定義された時間量の間、又は安定した基本データセットがユーザのために開発されるまで、実行され得る。例えば、安定した基本データセットを決定することは、定義された信頼区間内の特定の生理学的パラメータの値又は範囲を決定することを含み得る。登録セッションが終了した後、現在のセンサデータは、ユーザが呼吸状態を示す症状を呈しているかどうかを判断するために、基本データセットと比較され得る。
【0075】
場合によっては、登録セッションは、スパイロメトリ測定を含む従来の呼吸測定技法を使用して呼吸パラメータを測定することを含む。呼吸パラメータは、本明細書に記載のシステムによって取得される測定された胸部の動きのデータと比較され、本明細書に記載のシステムによる胸部の動きの測定を較正するために使用され、及び/又はそれ以外で呼吸測定分析に使用され得る。場合によっては、システム(例えば、出力ユニット又は他の電子デバイス)は、スパイロメトリ測定のための誘導呼吸又は他の強制呼気法を実行することができる。例えば、電子デバイスは、スパイロメトリ測定どの強制呼気プロトコルでユーザを誘導するためのビデオ、音声、触覚キューを出力することができる。
【0076】
504において、プロセス500は、適切な呼吸測定が達成され得るかどうかを判断することを含むことができる。例えば、サンプリング期間にわたって適切な信号強度、信号品質及び/又は再現性を得る能力は、様々な環境要因に依存し得る。これらは、ユーザに対する感知ユニット(複数可)のポジショニング、感知ユニット(複数可)及び/又はユーザの動き、バックグラウンドノイズ等を含むことができる。感知ユニットが光学センサを含む場合、照明、ユーザが着用している衣服、ユーザ及び/又はカメラの動き、及び/又は同様のものは全て、信号の強度及び/又は品質に影響を及ぼす可能性がある。したがって、504において、プロセス500は、適切な呼吸測定を達成することができるかどうかを判断するために、1つ以上の状態を評価してもよい。
【0077】
場合によっては、システムは、ユーザに対する感知ユニット(複数可)のポジショニングを評価することができる。これは、ユーザの胴体が光学センサの視野内にあるかどうかを判断し、1つ以上のセンサの信号強度、信号ノイズ、センサ及び/又はユーザの動き等を決定することを含んでもよい。光学感知ユニットが使用されている場合、システムは、ユーザの胸部の動きを測定することができるかどうかを判断するためにユーザの衣類を分析してもよい。例えば、ユーザの衣類が、ユーザの胴体と接触しないようにサイズ決定又は位置調整される場合、システムは、ユーザの胸部の動きを衣類を介して検知することができない場合がある。
【0078】
506において、プロセス500は、システムによる呼吸測定を改善するためにユーザに変更を推奨することを含むことができる。例えば、ユーザの衣類が、光学深度測定からユーザの胸部の動きを十分に隠蔽する場合、システムは、ユーザに、衣類を調整若しくは変更するか、又はユーザの胸部に結合される運動センサ等の異なる感知モダリティを使用するように促してもよい。他の場合には、システムは、カメラを有する電子デバイスなどの感知ユニットのポジショニングを変更するようにユーザに指示し、且つ/又は体位及び/又は姿勢を変更するようにユーザに指示することができる。場合によっては、システムは、例えば、電子デバイスをどこに移動させるか、又はカメラの視野内でそれらをどのように再位置調整するかについて、ライブフィードバックをディスプレイ上に又は他の出力(例えば、音声指示)を使用してユーザに提供することができる。
【0079】
508において、プロセスは、ユーザの基本データセットを生成するためにユーザの呼吸パラメータを測定することを含むことができる。これは、1つ以上の異なる状態で呼吸パラメータを測定することを含むことができる。例えば、システムは、ユーザに光学感知ユニットの前で自身で体位を取らせ、ある期間にわたって自然に呼吸するように指示することによって、ユーザの自然呼吸パターンを測定してもよい。システムは、ユーザのための安静時又は自然呼吸プロファイルを作成するために、これらの自然呼吸セッションの複数を実行してもよい。追加的又は代替的に、システムは、1つ以上のより速い又はより遅い呼吸速度で呼吸するようにユーザに指示してもよい。システムは、様々な呼吸速度のそれぞれにおいて、胸部の動き、心拍数、ユーザの実際の呼吸速度、酸素飽和度、体温、呼吸音、及び/又は他の生理学的パラメータを含み得るユーザの生理学的パラメータを測定することができる。場合によっては、システムは、ユーザが要求される呼吸速度の定義された範囲内にあるか、一貫して速いか、一貫して遅いか等、要求される呼吸速度に合わせるユーザの能力を評価してもよい。
【0080】
場合によっては、登録セッション中に、システムは、感知ユニットからの測定値を他の測定モダリティに相関させることができる。例えば、プロセス500は、登録セッション中にスパイロメトリ測定を行うことを含むことができる。スパイロメトリ測定データは、呼吸感知システムによって測定されたデータに相関させることができ、これは、FVC、FEV、及びPEFを呼吸感知システムからの胸部測定データに相関させることを含むことができる。場合によっては、光学深度感知等の第1の感知モダリティによって測定される胸部動作データは、ウェアラブル健康監視デバイス等の第2の感知デバイスによって測定される生理学的データと相関され得る。例えば、第2の感知デバイスは、心拍数、ECGデータ、酸素飽和度等を測定するスマートウォッチを含むことができる。
【0081】
追加的又は代替的に、システムは、ユーザの呼吸動作に対する様々なユーザ体位/姿勢の影響を分析することができる。例えば、システムは、座っている、立っている、横になっている等の様々な体位で、正面から、背面から、及び/又は直立対猫背等の様々な姿勢で、様々な呼吸セッションを実行するようにユーザに指示してもよい。ユーザが様々な体位/姿勢で呼吸運動データを収集することができ、基本データを使用してこれらの差を正規化することができるように、このデータは基本データセットに統合され得る。他の場合には、システムは、精度、再現性を向上させ、及び/又は、他の点で呼吸測定を改善するために、特定の姿勢で呼吸エクササイズを行うようにユーザに指示してもよい。
【0082】
場合によっては、システムは、所与の呼吸セッション中に特定の方法で呼吸するようにユーザに指示してもよい。例えば、ユーザが呼吸セッションにわたって一貫した方法で呼吸することが望ましい場合がある。したがって、システムは、特定の目標呼吸スタイル(すなわち、鼻呼吸対口呼吸)及び/又は目標の口の状態(例えば、口を開けた状態、口を閉じた状態、特定の形で口を開けた状態)を選択してもよく、ユーザが目標の呼吸スタイル及び/又は目標の口の状態を十分に満たしているかどうかに応じてユーザにフィードバックを提供してもよい。例えば、システムは、口を開いた状態で呼吸するようにユーザに指示してもよい。他の場合には、システムは、口を閉じた状態で鼻から呼吸するようにユーザに指示してもよい。システムは、カメラからの情報を使用して、ユーザの口の形状及び/又はユーザが口又は鼻から呼吸している程度を決定してもよい。場合によっては、システムは、ユーザの口又は鼻を介した呼吸を誘導するためにユーザにフィードバックを提供してもよい。例えば、システムは、口をより広く開いたり、口を閉じて鼻で呼吸したり、他の口/鼻の状態で呼吸したりするようにユーザに要求するフィードバックを提供してもよい。
【0083】
510において、プロセス500は、登録セッション中に収集されたデータに基づいて、ユーザモデル(例えば、パラメータ化モデル)を生成することを含むことができる。ユーザモデルは、基本データセットの一部であってもよく、ユーザの3次元モデルデータを含んでもよい。例えば、システムは、センサデータ及び/又はユーザからのデータ入力に基づくことができる、ユーザの胴体の3次元モデルデータを生成してもよい。センサデータ及び/又はユーザ入力は、ユーザの身長、体重、性別等に関連するパラメータを含むことができる。場合によっては、このデータは、肥満指数、体表面積、ユーザの胴体の寸法/比率、肺容量、及び/又は同様のものなどのモデルデータを導出及び/又は生成するために使用され得る。ユーザモデルは、呼吸分析を精緻化するために、例えば、ユーザの体型、肺容量等のユーザ固有の要因がユーザの呼吸運動にどのように影響を及ぼすかを決定するのを助けるために使用され得る。場合によっては、ユーザモデルは、特定のユーザが呼吸障害を起こしているかどうかを判断し、及び/又は閉塞の重症度を決定する精度を高めるのに役立ち得る。
【0084】
場合によっては、ユーザモデルは経時的に更新され得る。例えば、呼吸感知セッションが実行されるとき、これらのセッションからのデータは、更新のため、及び/又はユーザモデルの変更を追跡するために使用され得る。この点に関して、システムは、ユーザの長期的変化を追跡してもよく、及び/又はユーザの呼吸状態の変化に適応してもよい。場合によっては、この長期データは、より長い期間にわたる呼吸状態の改善、悪化、又は安定を診断するために使用することができるデータを提供し得るものである。
【0085】
図6は、ユーザの呼吸感知セッションを実行するための例示的なプロセス600を示す。このプロセスは、システム100など、本明細書に記載の呼吸感知システムによって実行することができる。
【0086】
602において、プロセス600は、呼吸感知セッションを開始することを含むことができる。呼吸感知セッションは、様々な方法で開始され得る。場合によっては、呼吸感知セッションは、ユーザによって開始され得る。例えば、電子デバイスは、呼吸測定を実行するためのアプリケーションを含むことができ、アプリケーションは、ユーザが感知セッションを開始するための制御を含むことができる。他の場合には、感知セッションは、1つ以上の状態に応じて開始され得る。例えば、感知セッションは、定義されたスケジュールで実行され得る。他の実施形態では、感知セッションは、カレンダアプリケーションによって管理されるイベントなどの特定のイベントに応じて実行され得る。例えば、感知セッションは、スケジュールされたエクササイズセッションの前、エクササイズセッションの後、及び/又はユーザのためにスケジュールされた他のカレンダイベントの後に開始され得る。
【0087】
場合によっては、感知セッションは、ユーザの生理学的パラメータに基づいて開始され得る。例えば、ウェアラブル又は他のデバイスは、ユーザの呼吸数、呼吸音、心拍数、酸素飽和度、ECGデータ、体温、動作パラメータ等を含む、ユーザの1つ以上の生理学的パラメータを追跡してもよい。感知システムは、このデータを受信し、これらの生理学的パラメータのうちの1つ以上が基準を満足していることに応じて、呼吸感知セッションを開始してもよい。例えば、システムは、ユーザの呼吸音を監視し、呼吸音が音の閾値を超えた、及び/又はユーザが異常呼吸を起こしていることを示したことに応じて、呼吸感知セッションを開始してもよい。
【0088】
604において、プロセス600は、適切な呼吸測定が達成され得るかどうかを決定することを含むことができ、これは、プロセス500の動作504と同じ又は同様であり得る。信号強度及び/又は品質の評価は、各感知セッションの前及び/又は感知セッション中に実行され得る。場合によっては、これは、ユーザの衣類、ユーザの姿勢、感知ユニットに対するユーザのポジショニング、及び/又は本明細書に記載の同様のものを評価することを含むことができる。604において、適切な信号が達成され得ないとシステムが決定した場合、システムは、プロセス500の動作506と同様であり得る、測定信号を改善するのを助けるために、606において、ユーザに1つ以上の推奨を行い得る。例えば、システムは、衣服を変え、感知ユニットの視野内で体位変えのために動き、感知ユニット含む電子デバイスを移動するように等、ユーザに指示することができる。
【0089】
608において、プロセス600は、第1セットの状態でユーザの呼吸パラメータを測定することを含むことができる。本明細書に記載するように、第1セットの状態で測定することは、第1のサンプリング期間中に第1の速度で呼吸するようにユーザに指示することを含むことができる。システムは、ユーザの胴体に沿って1つ以上のサンプリング領域を規定することができる。システムは、1つ以上の領域に沿って深度の変化を測定するために、光学感知ユニットなどの感知ユニットを使用することができる。場合によっては、システムは、少なくとも1つのサンプリング領域を選択し、選択されたサンプリング領域(複数可)において測定された深度変化を使用して呼吸パラメータを決定することができる。
【0090】
場合によっては、第1の呼吸パラメータは、サンプリング期間の呼吸パワーを含むことができ、呼吸パワーは、ユーザの総合的な胸部の動きに基づくものであってもよい。呼吸パワーは、ユーザが第1の呼吸速度でどの程度吸気及び呼気したかの示度を提供し得る。呼吸感知システムは、第1のサンプリング期間中に測定された深度変化に基づいて、1つ以上の付加的又は代替的呼吸パラメータを決定してもよく、これは、ユーザの胸部の動きのピークツーピーク振幅、絶対振幅、サンプリング期間にわたる胴体の動きの形態等を決定することを含むことができる。
【0091】
610において、プロセス600は、1つ以上の追加セットの状態で呼吸測定を実行することを含んでもよい。例えば、システムは、第2のサンプリング期間にわたって第2の要求される呼吸速度で第2の測定セッションを実行してもよい。第2の呼吸速度は、第1の呼吸速度よりも高くてもよいし、低くてもよい。システムは、第1のサンプリング期間中に感知された呼吸パラメータに対応する呼吸パラメータを決定してもよい。例えば、第1のサンプリング期間にわたって呼吸パワーの決定が行われた場合、システムは、第2のサンプリング期間にわたって呼吸パワーを決定してもよい。したがって、サンプリング期間の呼吸パワーが比較され得る。
【0092】
612において、プロセス600は、第1のサンプリング期間及び/又は第2のサンプリング期間中に生成された呼吸パラメータに基づいて、ユーザの呼吸測定基準を決定することを含むことができる。呼吸測定基準は、ユーザが呼吸障害などの呼吸状態を起こしているどうかの示度を含んでもよい。
【0093】
場合によっては、システムは、ユーザの呼吸測定基準を決定するために第1の呼吸パラメータを使用してもよい。例えば、呼吸パラメータのうちの1つ以上は、ユーザに関する1つ以上のベースライン測定基準と比較されてもよく、システムは、登録期間中に取得された基本データに第1の呼吸測定基準を比較することに基づいて、呼吸障害などの測定基準を決定することができる。追加的又は代替的に、システムは、サンプリング期間にわたって呼吸パラメータの形態を評価し、信号の形態に基づいて呼吸測定基準を決定してもよい。例えば、システムは、ユーザの胸部の動きがサンプリング期間にわたってどのように変化するかを分析して、要求された速度で呼吸しようとするときにユーザが吐き出すよりも多くの空気をユーザが吸入している動的過膨張などの特定の呼吸現象を示し得るデータを識別することができる。これらの呼吸現象は、ユーザが閉塞を起こしているかどうかを判断するために使用され得る。他の場合には、呼吸測定基準を決定ために、要求される呼吸速度に比較されるユーザの胸部の動きの位相遅れ及び/又は基本データが使用され得る。
【0094】
他の実施形態では、呼吸測定基準を決定するために、第1のサンプリング期間から生成された第1の呼吸パラメータが第2の呼吸期間中に生成された第2の呼吸パラメータと比較され得る。例えば、呼吸パワーの低下は、ユーザが呼吸障害を起こしているかどうかを判断するために使用され得る。
【0095】
図7A及び
図7Bは、異なる2つの呼吸速度で測定された胸部の動きのデータの例を示す。胸部の動きのデータは、それぞれのサンプリング期間にわたって取られた胸部深度測定値を含むことができ、胸部深度測定値は経時的な深度変化を含む。胸部の動きのデータは、説明のために、経時的な深度測定値を含むグラフとして示されている。実装されているが、このデータは、本明細書に記載される、コンピュータシステムによって処理されてもよく、また、バイナリデータなどのコンピュータ可読フォーマットで記憶及び処理されてもよい。
【0096】
図7Aは、第1のサンプリング期間700中に第1の呼吸数で取得された第1セットの胸部深度測定値702を示し、
図7Bは、第2のサンプリング期間710中に第2の呼吸数で取得された第2セットの胸部深度測定値712を示す。第2の呼吸数は第1の呼吸数よりも速い。いくつかの場合において、第1の呼吸パラメータは、第1のサンプリング期間700にわたって第1の呼吸パワーを決定することを含むことができる。第1の呼吸パワーは、第1のサンプリング期間700の胸部の動き量を示すことができ、胸部深度測定曲線の面積から決定することができる。第2の呼吸パラメータは、第2のサンプリング期間710にわたって呼吸パワーを決定することを含むことができる。第2の呼吸パワーは、第2のサンプリング期間710の胸部の動き量として示すことができ、胸部深度測定曲線の面積から決定することができる。本明細書に記載するように、ユーザの呼吸機能レベルを決定するために第1の呼吸パワーと第2の呼吸パワーとの比較が使用され得る。
【0097】
図8は、異なるサンプリング期間中に決定された第1及び第2の呼吸パラメータに基づいてユーザの呼吸測定基準を決定するための例示的なパワーグラフ800を示す。例示的なパワーグラフ800は、異なる呼吸速度に対して生成された呼吸パワーパラメータを含む。例えば、第1の呼吸パワー802は、第1のサンプリング期間中の第1の呼吸速度に対して決定された。第2の呼吸パワー804は第2の呼吸速度に対応し、呼吸障害のない個体を示し得る。第3の呼吸パワー806は第2の呼吸速度に対応し、呼吸障害のある個体を示し得る。
【0098】
場合によっては、呼吸測定基準は、第1の呼吸速度における呼吸パワーを第2の呼吸速度における第2の呼吸パワーと比較することによって決定されてもよい。第1の呼吸速度と第2の呼吸速度との間に、閉塞されていない呼吸に関連する呼吸パワーの変化が存在することがある。この変化は、異なる速度間における呼吸パワーの減少、呼吸パワーの増加、又は呼吸パワーの無変化を含むことができる。したがって、閉塞のないユーザは、規定の閾値を下回る第1の呼吸パワー変化808を有し得る。閉塞のあるユーザは、第1の呼吸速度と第2の呼吸速度との間の呼吸パワーの大幅な減少など、呼吸パワーのより大きな変化を有し得る。したがって、閉塞のあるユーザは、定義された閾値を上回る第2の変化810を有し得る。本明細書に記載するように、閉塞閾値は、年齢、性別、身長、体重などのユーザの人口統計学的データを含む様々な要因に基づき得る。システムは、呼吸速度間の呼吸パワーの変化の決定に基づいて、ユーザが呼吸障害を起こしているかどうかなどの呼吸測定基準を決定してもよい。
【0099】
追加的又は代替的に、システムは、異なる呼吸速度間の呼吸パラメータの減少に基づいて、閉塞の重症度を決定してもよい。例えば、呼吸測定基準として呼吸パワーが使用されるとき、システムは、異なる閉塞重症度にそれぞれ関連付けられる複数の閾値範囲を定義してもよい。閉塞の重症度をユーザに割り当てるために、呼吸パワーの変化が収まる閾値範囲が使用され得る。
【0100】
呼吸パワーの使用は、ユーザの呼吸測定基準を決定するために使用できる例示的なパラメータとして提供される。しかしながら、1つ以上の呼吸測定基準を決定するために他のパラメータを使用することもできる。例えば、他の呼吸パラメータは、ユーザの胸部深度の振幅の変化、動的過膨張等の事象を示す胸部の動きを含む呼吸深さの形態、要求される呼吸速度からの呼吸遅延、サンプリング期間にわたる呼吸パワーの減少等に基づき得る。
【0101】
図9は、ユーザの実際の呼吸速度と要求される呼吸速度との間の差に基づいて呼吸パラメータを決定するための例示的なプロセス900を示す。プロセス900は、システム100などの本明細書に記載の呼吸感知システムによって実行することができる。場合によっては、ユーザの実際の呼吸速度は、要求される呼吸速度から逸脱することがある。このため、いくつかの実施形態では、システムは、ユーザの実際の呼吸速度を測定し、測定された呼吸速度に基づいてユーザの1つ以上の呼吸パラメータを決定してもよい。場合によっては、ユーザの実際の呼吸速度に基づいて決定された呼吸パラメータが、要求される呼吸速度に基づいて決定された呼吸パラメータと異なることがある。
【0102】
902において、プロセス900は、第1の呼吸速度について呼吸測定を開始することを含む。例えば、電子デバイスは、本明細書に記載されるように、第1のサンプリング期間中に第1の呼吸速度で呼吸するようにユーザに指示することができる。
【0103】
904において、プロセス900は、要求される呼吸速度におけるユーザの実際の呼吸速度を決定することを含むことができる。場合によっては、ユーザの呼吸速度は胸部深度測定から決定され得る。追加的又は代替的に、ユーザの呼吸速度を測定するために、ウェアラブル動作センサ、呼吸音を記録するマイクロフォンなどの他のセンサが使用され得る。場合によっては、ユーザの測定された呼吸速度が、要求される呼吸速度から逸脱することがある。場合によっては、システム(例えば、電子デバイス)は、ユーザが自分の呼吸速度を要求速度に合うように調整するための1つ以上の指示を出力してもよい。他の場合、システムは、実際の呼吸速度を記録し、サンプリング期間中に取得された胸部深度測定値及び/又は他の呼吸データと共に、このデータを保存してもよい。
【0104】
906において、プロセス900は、ユーザの測定された呼吸速度に基づいて呼吸パラメータを決定することを含むことができる。例えば、ユーザの呼吸速度が、要求される呼吸速度よりも遅い場合、システムは、ユーザのより遅い呼吸速度を考慮に入れるためにユーザの呼吸パワーを調整してもよいと決定し得る。場合によっては、要求される呼吸速度とユーザの測定された呼吸速度との間の差を使用して、呼吸遅延などの呼吸パラメータを生成してもよい。呼吸遅延は、ユーザが要求される速度で呼吸するのに苦労しているかどうかを示し得る。
【0105】
908において、プロセス900は、ユーザの測定された呼吸速度から生成される呼吸パラメータに基づいてユーザの呼吸測定基準を決定することを含むことができる。例えば、サンプリング期間にわたる呼吸遅延及び/又は呼吸遅延の変化は呼吸障害を示し得る。したがって、呼吸遅延は、ユーザが呼吸障害を起こしているかどうかを判断するために測定及び使用され得る。
【0106】
図10A~
図10Fは、要求される呼吸プロファイルを通してユーザを誘導するために使用され得る電子デバイス1000からの例示的な出力を示す。電子デバイス1000は、視覚出力1004をユーザに提供することができるディスプレイ1002を含むことができる。呼吸測定セッションの開始に応じて、システムは、誘導呼吸エクササイズを実行するようにユーザに要求してもよい。場合によっては、誘導呼吸エクササイズは、本明細書に記載するように、各々が異なるサンプリング期間に対応し得る1つ以上の定呼吸速度で呼吸するようにユーザに要求することを含むことができる。他の場合には、誘導呼吸エクササイズは、自然呼吸速度で呼吸するようにユーザに指示すること、サンプリング期間にわたる呼吸速度の増加及び/又は減少等の動的呼吸エクササイズを行うこと、ある期間にわたって呼吸を止めるようにユーザに指示すること、及び/又は他の呼吸プロファイルを含むことができる。
【0107】
場合によっては、電子デバイス1000は、呼吸エクササイズを通じてユーザを誘導する視覚出力1004を提供することができる。例えば、
図10A~
図10Fは、ユーザがどのように呼吸しているべきかの視覚的フィードバックを提供する一連の表示インスタンス1002a~1002fを示す。例えば、第1の視覚出力1004は、指示された呼吸速度をユーザに示すように動的に調整され得る。説明される例では、第1の視覚出力1004は、所望の呼吸速度で膨張及び/又は収縮する膨張する図であり得る。例えば、第1の表示インスタンス1002a(
図10Aに図示)は、呼吸周期の開始時に表示されることがあり、後続の表示インスタンス1002c(
図10Cに図示)は、呼吸周期の最大吸気時間に表示されることがあり、別の表示インスタンス1002f(
図10Fに図示)は、呼吸周期の最大呼気時間に表示されることがある。したがって、ユーザは、視覚出力と一致して呼吸して、要求される呼吸速度を達成することが可能であり得る。追加的又は代替的に、表示インスタンス1002は、ユーザの所望の呼吸速度を示す第2の視覚出力1006(明確にするためにそのうちの1つがラベル付けされている)などの追加的な視覚出力を有し得る。
【0108】
第1の視覚出力1004は、所望の呼吸速度で変化(例えば、膨張及び収縮)することができる。第1の要求される呼吸速度について、第1の視覚出力1004は、その第1の速度の呼吸サイクルのタイミングに基づいて膨張及び収縮することができる。第2の要求される呼吸速度について、第1の視覚出力は、第2の速度の呼吸サイクルのタイミングに基づいて膨張及び収縮するように変化することができる。呼吸速度を動的に変化させる場合、第1の視覚出力1004及び/又は第2の視覚出力1006は、呼吸速度の変化に従って更新することができる。
【0109】
図11A~
図11Fは、要求される呼吸プロファイルを通してユーザを誘導し、ユーザフィードバックを提供するために使用され得る電子デバイス1000からのユーザ出力の例を示す。例えば、表示インスタンス1002は、ユーザの実際の呼吸速度を示す第3の視覚出力1008を含むことができる。この例では、ユーザは、要求される速度よりも遅く呼吸している。第3の視覚出力1008は、要求される速度で膨張及び収縮する第1の視覚出力1004に遅れることによって、これを示し得る。追加的又は代替的に、システムは、呼吸速度をどのように変更するか(例えば、呼吸速度を増加させるか)に関する指示をユーザに提供する第4の視覚出力1010(明確にするためにそのうちの1つがラベル付けされている)を提供してもよい。したがって、システムは、ユーザが要求される呼吸速度を達成/適合するのを助けるために、ユーザにリアルタイムフィードバックを提供してもよい。
【0110】
図12は、
図1~
図11を参照して説明したデバイスのいずれかの形態をとることができる呼吸監視システム1200の例示的なブロック図である。呼吸監視システム1200は、プロセッサ1202、入力/出力(I/O)機構1204(例えば、有線又は無線通信インターフェース)、ディスプレイ1206、メモリ1208、センサ1210(例えば、本明細書に記載のものなどの生理学的センサ)、及び電源1212(例えば、充電式バッテリ)を含むことができる。プロセッサ1202は、呼吸監視システム1200の動作のうちの一部又は全てを制御することができる。プロセッサ1202は、呼吸監視システム1200の構成要素の一部又は全てと、直接的又は間接的のいずれかで通信することができる。例えば、システムバス又は他の通信機構1214が、プロセッサ1202、I/O機構1204、メモリ1208、センサ1210、及び電源1212の間の通信を提供することができる。
【0111】
プロセッサ1202は、データ又は指示を処理、受信、又は送信することができる任意の電子デバイスとして実装され得る。例えば、プロセッサ1202は、マイクロプロセッサ、中央演算処理装置(CPU)、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、又はそのようなデバイスの組み合わせとすることができる。本明細書に記載する場合、用語「プロセッサ」とは、単一のプロセッサ若しくは処理ユニット、複数のプロセッサ、複数の処理ユニット、又は他の適切なコンピューティング要素(単数又は複数)を包含することを意図するものである。処理ユニットは、本明細書に記載するシステムの様々な態様を実行するようにプログラムされ得る。
【0112】
呼吸監視システム1200の構成要素が複数のプロセッサによって制御され得ることに留意されたい。例えば、呼吸監視システム1200の選択構成要素(例えば、センサ1210)が第1のプロセッサによって制御されることがあり、呼吸監視システム1200の他の構成要素(例えば、I/O1204)が第2のプロセッサによって制御されることがあり、第1のプロセッサと第2のプロセッサは、互いに通信していてもよいし、通信していなくてもよい。
【0113】
I/Oデバイス1204は、ユーザ又は別の電子デバイスからのデータを送信及び/又は受信し得る。I/Oデバイスは、無線及び/又は有線ネットワーク接続などの通信ネットワークを介して電子信号を送信することができる。無線及び有線ネットワーク接続の例としては、セルラー接続、Wi-Fi(登録商標)接続、Bluetooth(登録商標)接続、IR接続、及びイーサネット接続が挙げられるが、これらに限定されない。場合によってはI/Oデバイス1204は、本明細書に記載されるように、スマートフォン、電子デバイス、又は他の携帯型電子デバイスなどの外部電子デバイスと通信することができる。
【0114】
呼吸監視システムは、任意選択的に、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、又は同様のものなどのディスプレイ1206を含んでもよい。ディスプレイ1206がLCDである場合には、ディスプレイ1206はまた、可変ディスプレイ輝度レベルを提供するように制御可能なバックライト構成要素を含むことができる。ディスプレイ1206が、OLED又はLEDタイプのディスプレイである場合、ディスプレイ1206の輝度は、ディスプレイ要素に供給される電気的信号を変えることによって制御され得る。ディスプレイ1206は、本明細書に図示又は記載するディスプレイのいずれかに対応し得る。
【0115】
メモリ1208は、呼吸監視システム1200によって使用され得る電子データを記憶することができる。例えば、メモリ1208は、例えば、音声ファイル及びビデオファイル、文書及びアプリケーション、デバイス設定及びユーザの好み、タイミング信号、制御信号、並びにデータ構造又はデータベースなどの、電子データ又はコンテンツを記憶し得る。メモリ1208は、任意のタイプのメモリとして構成され得る。単に例として、メモリ1208は、ランダムアクセスメモリ、読み出し専用メモリ、フラッシュメモリ、取り外し可能メモリ、他のタイプの記憶素子、又はそのようなデバイスの組み合わせとして実装され得る。
【0116】
呼吸監視システム1200はまた、呼吸監視システム1200上のほぼあらゆる場所に配置される1つ以上のセンサ1210を含んでもよい。センサ(単数又は複数)1210は、圧力、光、タッチ、熱、動き、相対運動、生体データ(例えば、生物学的パラメータ)等であるがこれらに限定されない、1種類以上のパラメータを感知するように構成され得る。例えば、センサ(単数又は複数)1210は、熱センサ、位置センサ、光センサ又は光学センサ、加速度計、圧力変換器、ジャイロスコープ、磁気計、ヘルスモニタリングセンサなどを含んでもよい。加えて、1つ以上のセンサ1210は、静電容量、超音波、抵抗、光、超音波、圧電、及び熱検知技術を含むがこれらに限定されない、任意の好適な感知技術を利用し得る。
【0117】
電源1212は、呼吸監視システム1200にエネルギーを供給することのできる任意のデバイスによって実現され得る。例えば、電源1212は、1つ以上のバッテリ又は充電式バッテリであってもよい。追加的又は代替的に、電源1212は、呼吸監視システム1200を壁コンセントなどの別の電源に接続する電源コネクタ又は電源コードとすることができる。
【0118】
上述したように、本技術の一態様は、喘息事象などのユーザの生理学的状態を監視及び管理することである。本開示は、いくつかの場合には、この収集されたデータが、特定の人を一意に特定する個人情報データ、又は特定の人に連絡する若しくはその所在を突き止めるために使用できる個人情報データを含むことができることについて考察する。そのような個人情報データは、人口統計学的データ、場所ベースのデータ、電話番号、電子メールアドレス、ツイッターID(又は他のソーシャルメディアのエイリアス若しくはハンドル名)、自宅住所、ユーザの健康若しくはフィットネスのレベルに関するデータ若しくは記録(例えば、バイタルサイン測定値、投薬情報、運動情報)、誕生日、又は任意の他の識別情報若しくは個人情報を含むことができる。
【0119】
本開示は、本技術におけるそのような個人情報データの使用がユーザの利益になる使用であり得る点を認識するものである。例えば、ユーザに合わせた触覚出力又は視聴覚出力を提供するために個人情報データが使用され得る。更に、ユーザに利益をもたらす個人情報データに関する他の使用も本開示によって意図されている。例えば、健康データ及びフィットネスデータは、ユーザの全般的なウェルネスについての識見を提供するために使用することができ、又は、ウェルネスの目標を追求する技術を使用している個人への積極的なフィードバックとして使用することもできる。
【0120】
本開示は、そのような個人情報データの収集、分析、開示、伝送、記憶、又は他の使用に関与するエンティティが、確固たるプライバシーポリシー及び/又はプライバシー慣行を遵守するものとなることを想到する。特に、そのような事業体は、個人情報データのプライバシー及びセキュリティを維持するための業界又は政府の要件を満たす、又はそれを上回ると一般に認識されているプライバシーポリシー及び慣行を実施し、且つそれを一貫して使用すべきである。そのようなポリシーは、ユーザによって容易にアクセス可能でなければならず、データのコレクション及び/又は使い方が変化するにつれて更新されなければならない。ユーザからの個人情報は、そのエンティティの合法的且つ正当な使用のために収集されるべきであり、それらの合法的使用を除いては、共有又は販売されるべきではない。更には、そのような収集/共有は、ユーザに告知して同意を得た後に実施されるべきである。その上、そのようなエンティティは、そのような個人情報データへのアクセスを保護及び安全化し、個人情報データへのアクセス権を有する他者が、それらのプライバシーポリシー及び手順を忠実に守ることを保証するための、あらゆる必要な措置を講じることを考慮するべきである。更に、そのようなエンティティは、広く受け入れられているプライバシーポリシー及び慣行に対する自身の遵守を証明するために、サードパーティによる評価を自らが受けることができる。また、ポリシー及び慣行は、収集及び/又はアクセスされる具体的な個人情報データのタイプに適合されるべきであり、また、管轄権固有の考慮事項を含めた、適用可能な法令及び規格を遵守するように改定されるべきである。例えば、アメリカ合衆国では、特定の健康データの収集又はそれへのアクセスは、医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律(HIPAA)等の、連邦法及び/又は州法によって管理されてもよく、その一方で、他国における健康データは、他の規制及びポリシーの対象となり得るものであり、それに従って対処されるべきである。それゆえ、各国において、異なる個人データのタイプに関して異なるプライバシー慣行が保たれるべきである。
【0121】
前述のことがらにも関わらず、本開示はまた、個人情報データの使用又は個人情報データへのアクセスを、ユーザが選択的に阻止する実施形態も想到する。すなわち、本開示は、そのような個人情報データへのアクセスを防止又は阻止するために、ハードウェア要素及び/又はソフトウェア要素が提供され得ることを意図している。例えば、空間パラメータを決定する場合、本技術は、ユーザが、サービスの登録中又はその後のいつでも、個人情報データの収集への参加の「オプトイン」又は「オプトアウト」を選択することを可能にするように構成することができる。「オプトイン」及び「オプトアウト」のオプションを提供することに加えて、本開示は、個人情報のアクセス又は使用に関する通知を提供することを意図している。例えば、ユーザの個人情報データにアクセスすることとなるアプリのダウンロード時にユーザに知らされ、その後、個人情報データがアプリによってアクセスされる直前に再びユーザに注意してもよい。
【0122】
更には、本開示の意図は、個人情報データを、非意図的若しくは無許可アクセス又は使用の危険性を最小限に抑える方法で、管理及び処理するべきであるという点である。データの収集を制限し、データがもはや必要とされなくなると削除することにより、リスクを最小化することができる。加えて、且つ、特定の健康関連アプリケーションにおいて適用可能な場合、ユーザのプライバシーを保護するために、データの匿名化を使用することができる。匿名化は、必要に応じて、特定の識別子(例えば、生年月日等)を削除すること、記憶されたデータの量又は特異性を制御すること(例えば、位置データを、住所レベルではなく都市レベルで収集する)、データがどのように記憶されるかを制御すること(例えば、ユーザ間でデータを集約する)、及び/又は他の方法によって、容易にすることができる。
【0123】
それゆえ、本開示は、1つ以上の様々な開示された実施形態を実施するための、個人情報データの使用を広範に網羅するものであるが、本開示はまた、そのような個人情報データにアクセスすることを必要とせずに、それらの様々な実施形態を実施することも可能であることを想到する。すなわち、本技術の様々な実施形態は、そのような個人情報データの全て又は一部分が欠如することにより、動作不可能にされるものではない。例えば、触覚出力は、非個人情報データ若しくはユーザに関連付けられたデバイスのイベント又は状態などの必要最小限の量の個人情報、利用可能な他の非個人情報、又は公的に利用可能な情報に基づいて提供することができる。
【0124】
前述の記載では、説明のために、記載された実施形態の完全な理解をもたらすために特定の専門用語を用いた。しかしながら、記載された実施形態を実践するために具体的な詳細が必要とされないことは、当業者には明らかであろう。したがって、本明細書に記載された具体的な実施形態の前述の説明は、図示及び説明の目的で提示されている。それらは、網羅的であること、又は開示されたまさにその形態に実施形態を限定することを目的としたものではない。上記の教示を考慮して多くの修正及び変形が可能であることが、当業者には明らかであろう。