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特許7488430ドロス搬送用の搬送プレートの設計方法、および、ドロス搬送コンベヤの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】ドロス搬送用の搬送プレートの設計方法、および、ドロス搬送コンベヤの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/16 20060101AFI20240514BHJP
   B23K 26/70 20140101ALI20240514BHJP
【FI】
B23K26/16
B23K26/70
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2024518130
(86)(22)【出願日】2023-12-26
(86)【国際出願番号】 JP2023046606
【審査請求日】2024-03-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000114787
【氏名又は名称】ヤマザキマザック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100196003
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 太郎
(72)【発明者】
【氏名】道中 健吾
(72)【発明者】
【氏名】小林 容志
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 智
(72)【発明者】
【氏名】田原 誠
【審査官】山内 隆平
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-119502(JP,A)
【文献】特開2014-5111(JP,A)
【文献】特開2022-96132(JP,A)
【文献】特開2004-216440(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/16
B23K 26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ加工装置からワークにレーザが照射されることによって生成されるドロスを搬送する搬送プレートの基本モデルをモデルプレートと定義し、前記モデルプレートに第1レーザが照射されることに起因して生じる前記モデルプレートの撓み量を基礎撓み量と定義するとき、前記基礎撓み量を取得する工程と、
前記モデルプレートに前記第1レーザが照射されるのと実質的に同じ条件で前記搬送プレートに前記第1レーザが照射されることに起因して生じる前記搬送プレートの撓み量を第1撓み量と定義するとき、前記第1撓み量が前記基礎撓み量よりも小さくなるように、前記モデルプレートに基づいて前記搬送プレートを設計する工程と
を具備する
ドロス搬送用の搬送プレートの設計方法。
【請求項2】
前記基礎撓み量は、前記モデルプレートの圧縮塑性ひずみに起因する前記モデルプレートの撓み量であり、
前記第1撓み量は、前記搬送プレートの圧縮塑性ひずみに起因する前記搬送プレートの撓み量である
請求項1に記載のドロス搬送用の搬送プレートの設計方法。
【請求項3】
前記基礎撓み量を取得する工程は、
前記モデルプレートに前記第1レーザを実際に照射することと、
前記モデルプレートに前記第1レーザが照射されることに起因して生じる前記モデルプレートの撓み量を実測することと
を含む
請求項1または2に記載のドロス搬送用の搬送プレートの設計方法。
【請求項4】
前記基礎撓み量を取得する工程は、コンピュータを用いたシミュレーションによって前記基礎撓み量を取得することを含む
請求項1または2に記載のドロス搬送用の搬送プレートの設計方法。
【請求項5】
前記基礎撓み量を取得する工程は、
前記モデルプレートの第1部分に前記第1レーザが照射されることに起因して生じる前記モデルプレートの第1撓みを示すデータを取得することと、
少なくとも前記第1撓みを示すデータが反映された前記基礎撓み量を決定することと
を含み、
前記モデルプレートに基づいて前記搬送プレートを設計する工程は、
前記モデルプレートの前記第1部分に位置的に対応する前記搬送プレートの第3部分に前記第1レーザが照射されることに起因して生じる前記搬送プレートの第3撓みを示すデータを取得することと、
少なくとも前記第3撓みを示すデータが反映された前記第1撓み量を決定することと、
前記第1撓み量が前記基礎撓み量よりも小さいとの条件が満たされていることを確認することと
を含む
請求項1または2に記載のドロス搬送用の搬送プレートの設計方法。
【請求項6】
前記モデルプレートに前記第1レーザを照射することは、
前記モデルプレートの第1部分に前記第1レーザを照射することと、
前記モデルプレートの第2部分に前記第1レーザを照射することと
を含む
請求項1または2に記載のドロス搬送用の搬送プレートの設計方法。
【請求項7】
前記基礎撓み量を取得する工程は、
前記モデルプレートの第1部分に前記第1レーザが照射されることに起因して生じる前記モデルプレートの圧縮塑性ひずみに対応するデータを、第1データとして取得することと、
前記モデルプレートの第2部分に前記第1レーザが照射されることに起因して生じる前記モデルプレートの圧縮塑性ひずみに対応するデータを、第2データとして取得することと、
少なくとも前記第1データと前記第2データとが反映された前記基礎撓み量を決定することと
を含む
請求項1または2に記載のドロス搬送用の搬送プレートの設計方法。
【請求項8】
前記第2部分は、前記モデルプレートの前端部であり、
前記第1部分は、前記モデルプレートの中間部分である
請求項に記載のドロス搬送用の搬送プレートの設計方法。
【請求項9】
前記モデルプレートに基づいて前記搬送プレートを設計する工程は、
前記モデルプレートの前記第1部分に位置的に対応する前記搬送プレートの第3部分に前記第1レーザが照射されることに起因して生じる前記搬送プレートの第3撓みを示すデータを、第3データとして取得することと、
前記モデルプレートの前記第2部分に位置的に対応する前記搬送プレートの第4部分に前記第1レーザが照射されることに起因して生じる前記搬送プレートの第4撓みを示すデータを、第4データとして取得することと、
少なくとも前記第3データと前記第4データとが反映された前記第1撓み量を決定することと、
前記第1撓み量が前記基礎撓み量よりも小さいとの条件が満たされていることを確認することと
を含む
請求項に記載のドロス搬送用の搬送プレートの設計方法。
【請求項10】
前記基礎撓み量は、前記モデルプレートの熱膨張に起因する前記モデルプレートの撓み量であり、
前記第1撓み量は、前記搬送プレートの熱膨張に起因する前記搬送プレートの撓み量である
請求項1に記載のドロス搬送用の搬送プレートの設計方法。
【請求項11】
前記基礎撓み量を取得する工程は、
前記モデルプレートの第1部分に前記第1レーザが照射されることに起因して生じる前記モデルプレートの熱膨張に対応するデータを、第1データとして取得することと、
前記モデルプレートの第2部分に前記第1レーザが照射されることに起因して生じる前記モデルプレートの熱膨張に対応するデータを、第2データとして取得することと、
少なくとも前記第1データと前記第2データとが反映された前記基礎撓み量を決定することと
を含む
請求項1に記載のドロス搬送用の搬送プレートの設計方法。
【請求項12】
前記モデルプレートに基づいて前記搬送プレートを設計する工程は、前記モデルプレートに、前記モデルプレートの搬送面の少なくとも一部を覆う保護部材を付加することにより、前記搬送プレートを設計することを含む
請求項1または2に記載のドロス搬送用の搬送プレートの設計方法。
【請求項13】
前記モデルプレートに基づいて前記搬送プレートを設計する工程は、前記モデルプレート自体の形状を変更することにより、前記搬送プレートを設計することを含む
請求項1または2に記載のドロス搬送用の搬送プレートの設計方法。
【請求項14】
前記モデルプレートに基づいて前記搬送プレートを設計する工程は、前記モデルプレートの表面の少なくとも一部を昇温抑制表面によって覆うことにより、前記搬送プレートを設計することを含む
請求項1または2に記載のドロス搬送用の搬送プレートの設計方法。
【請求項15】
レーザ加工装置からワークにレーザが照射されることによって生成されるドロスを搬送する搬送プレートの基本モデルをモデルプレートと定義し、前記モデルプレートに第1レーザが照射されることに起因して生じる前記モデルプレートの撓み量を基礎撓み量と定義するとき、前記基礎撓み量を取得する工程と、
前記モデルプレートに前記第1レーザが照射されるのと実質的に同じ条件で前記搬送プレートに前記第1レーザが照射されることに起因して生じる前記搬送プレートの撓み量を第1撓み量と定義するとき、前記第1撓み量が前記基礎撓み量よりも小さくなるように、前記モデルプレートに基づいて前記搬送プレートを設計する工程と、
設計された前記搬送プレートを製造する工程と、
前記搬送プレートを含む一群の搬送プレートが組み合わせられた搬送体を有するコンベヤ装置を製造する工程と
を具備する
ドロス搬送コンベヤの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドロス搬送用の搬送プレートの設計方法、および、ドロス搬送コンベヤの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
チップコンベヤを備えたレーザ加工機が知られている。
【0003】
関連する技術として、特許文献1には、レーザ加工機のチップコンベヤが開示されている。特許文献1に記載のチップコンベヤは、コンベヤベルトを構成する多数のプレートを有する。各プレートは、ジョイントにより、他のプレートに折曲自在に連結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実願平3-19091号(実開平4-108984号)のマイクロフィルム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、搬送プレートにおける熱変形量または圧縮塑性ひずみ量を低減するドロス搬送用の搬送プレートの設計方法、および、ドロス搬送コンベヤの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
いくつかの実施形態におけるドロス搬送用の搬送プレートの設計方法は、レーザ加工装置からワークにレーザが照射されることによって生成されるドロスを搬送する搬送プレートの基本モデルをモデルプレートと定義し、前記モデルプレートに第1レーザが照射されることに起因して生じる前記モデルプレートの撓み量を基礎撓み量と定義するとき、前記基礎撓み量を取得する工程と、前記モデルプレートに前記第1レーザが照射されるのと実質的に同じ条件で前記搬送プレートに前記第1レーザが照射されることに起因して生じる前記搬送プレートの撓み量を第1撓み量と定義するとき、前記第1撓み量が前記基礎撓み量よりも小さくなるように、前記モデルプレートに基づいて前記搬送プレートを設計する工程と、を具備する。
【0007】
いくつかの実施形態におけるドロス搬送コンベヤの製造方法は、レーザ加工装置からワークにレーザが照射されることによって生成されるドロスを搬送する搬送プレートの基本モデルをモデルプレートと定義し、前記モデルプレートに第1レーザが照射されることに起因して生じる前記モデルプレートの撓み量を基礎撓み量と定義するとき、前記基礎撓み量を取得する工程と、前記モデルプレートに前記第1レーザが照射されるのと実質的に同じ条件で前記搬送プレートに前記第1レーザが照射されることに起因して生じる前記搬送プレートの撓み量を第1撓み量と定義するとき、前記第1撓み量が前記基礎撓み量よりも小さくなるように、前記モデルプレートに基づいて前記搬送プレートを設計する工程と、設計された前記搬送プレートを製造する工程と、前記搬送プレートを含む一群の搬送プレートが組み合わせられた搬送体と、前記搬送体を周回軌道に沿って移動させる駆動装置とを有するコンベヤ装置を製造する工程と、を具備する。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、搬送プレートにおける熱変形量または圧縮塑性ひずみ量を低減するドロス搬送用の搬送プレートの設計方法、および、ドロス搬送コンベヤの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、レーザ照射装置のレーザヘッドから照射されるレーザによってワークが加工される様子を模式的に示す概略断面図である。
図2図2は、比較例におけるレーザ加工装置の一部分を模式的に示す概略断面図である。
図3図3は、モデルプレートの一例を模式的に示す概略断面図である。
図4図4は、モデルプレートに第1レーザが照射されている様子を模式的に示す概略斜視図である。
図5図5は、圧縮塑性ひずみに起因して、モデルプレートが撓んでいる様子を模式的に示す概略斜視図である。
図6図6は、基礎撓み量が実測されている様子を模式的に示す概略正面図である。
図7図7は、モデルプレートの複数箇所に第1レーザが照射される様子を模式的に示す概略斜視図である。
図8図8は、設計された搬送プレートの一例を模式的に示す概略斜視図である。
図9図9は、搬送プレートに第1レーザが照射されている様子を模式的に示す概略斜視図である。
図10図10は、圧縮塑性ひずみに起因して、搬送プレートが撓んでいる様子を模式的に示す概略斜視図である。
図11図11は、搬送プレートの複数箇所に第1レーザが照射される様子を模式的に示す概略斜視図である。
図12図12は、第1の実施形態におけるドロス搬送用の搬送プレートの設計方法の一例を示すフローチャートである。
図13図13は、モデルプレートの一例を模式的に示す概略斜視図である。
図14図14は、モデルプレートの第1部分とモデルプレートの第2部分とに第1レーザが照射される様子を模式的に示す概略斜視図である。
図15図15は、第1モデルプレートの第1部分と第2モデルプレートの第2部分とに第1レーザが照射される様子を模式的に示す概略斜視図である。
図16図16は、モデルプレートの第1部分に第1レーザが照射されることに起因して、モデルプレートが撓んだ様子を模式的に示す概略正面図である。
図17図17は、モデルプレートの第2部分に第1レーザが照射されることに起因して、モデルプレートが撓んだ様子を模式的に示す概略正面図である。
図18図18は、少なくとも、モデルプレートの第1撓みを示すデータおよびモデルプレートの第2撓みを示すデータに基づいて、基礎撓み量が決定される様子を模式的に示す図である。
図19図19は、設計された搬送プレートの一例を模式的に示す概略斜視図である。
図20図20は、搬送プレートの第3部分に第1レーザが照射されることに起因して、搬送プレートが撓んだ様子を模式的に示す概略正面図である。
図21図21は、搬送プレートの第4部分に第1レーザが照射されることに起因して、搬送プレートが撓んだ様子を模式的に示す概略正面図である。
図22図22は、少なくとも、モデルプレートの第1撓みを示すデータおよびモデルプレートの第2撓みを示すデータに基づいて、基礎撓み量が決定される様子を模式的に示す図である。
図23図23は、モデルプレートの一例を模式的に示す概略斜視図である。
図24図24は、モデルプレートの他の一例を模式的に示す概略斜視図である。
図25図25は、少なくとも、搬送プレートの第3撓みを示すデータに基づいて、第1撓み量が決定される様子を模式的に示す図である。
図26図26は、少なくとも、搬送プレートの第3撓みを示すデータおよび搬送プレートの第4撓みを示すデータに基づいて、第1撓み量が決定される様子を模式的に示す図である。
図27図27は、設計された搬送プレートの一例を模式的に示す概略斜視図である。
図28図28は、設計された搬送プレートの一例を模式的に示す概略斜視図である。
図29図29は、設計された搬送プレートの一例を模式的に示す概略斜視図である。
図30図30は、設計された搬送プレートの一例を模式的に示す概略斜視図である。
図31図31は、設計された搬送プレートの一例を模式的に示す概略斜視図である。
図32図32は、設計された搬送プレートの一例を模式的に示す概略斜視図である。
図33図33は、設計された搬送プレートの一例を模式的に示す概略斜視図である。
図34図34は、設計された搬送プレートの一例を模式的に示す概略斜視図である。
図35図35は、設計された搬送プレートの一例を模式的に示す概略斜視図である。
図36図36は、設計された搬送プレートの一例を模式的に示す概略斜視図である。
図37図37は、製造されたドロス搬送コンベヤの一例を模式的に示す概略斜視図である。
図38図38は、搬送体の一部分を模式的に示す概略断面図である。
図39図39は、搬送プレート、および、第2搬送プレートを含む一群の搬送プレートが周回軌道に沿って移動可能な様子を模式的に示す概略斜視図である。
図40図40は、ヒンジ結合された複数の搬送プレートが周回軌道に沿って移動可能な様子を模式的に示す概略斜視図である。
図41図41は、搬送体の一部分を模式的に示す分解斜視図である。
図42図42は、コンベヤ装置がレーザ加工装置に組み込まれた様子を模式的に示す概略断面図である。
図43図43は、第2の実施形態におけるドロス搬送コンベヤの製造方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、実施形態におけるドロス搬送用の搬送プレートの設計方法、および、ドロス搬送コンベヤの製造方法について説明する。なお、以下の実施形態の説明において、同一の機能を有する部位、部材については同一の符号を付し、同一の符号が付された部位、部材についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0011】
(用語の定義)
図8に例示されるように、搬送プレート3は、搬送面3uを有する。本明細書において、搬送プレートの搬送面とは、ドロス搬送時にドロスを支持する面を意味する。より具体的には、搬送プレート3の搬送面3uは、当該搬送プレート3によるドロス搬送時に、概ね上方を向く面である。
【0012】
図3に例示されるように、モデルプレート9は、搬送面9uを有する。本明細書において、モデルプレートの搬送面とは、モデルプレートによってドロスが搬送されると仮定した場合に、当該ドロスを支持することが想定される面を意味する。
【0013】
図8に例示されるように、搬送プレート3は、裏面3nを有する。本明細書において、搬送プレートの裏面とは、搬送プレート3の搬送面3uとは反対側の面を意味する。より具体的には、搬送プレート3の裏面3nは、当該搬送プレート3によるドロス搬送時に、概ね下方を向く面である。
【0014】
図3に例示されるように、モデルプレート9は、裏面9nを有する。本明細書において、モデルプレートの裏面とは、モデルプレート9の搬送面9uとは反対側の面を意味する。より具体的には、モデルプレート9の裏面9nとは、モデルプレート9によってドロスが搬送されると仮定した場合に、当該モデルプレート9によるドロス搬送時に、概ね下方を向く面である。
【0015】
(方向の定義)
図8に例示されるように、本明細書において、搬送プレート3の延在方向を、第1方向DR1と定義する。また、図3に例示されるように、モデルプレート9の延在方向を、第1方向DR1と定義する。
【0016】
本明細書において、ドロス搬送時における搬送プレート3の移動方向を、第2方向DR2と定義する。また、モデルプレート9によってドロスが搬送されると仮定した場合に、ドロス搬送時におけるモデルプレート9の移動方向を、第2方向DR2と定義する。
【0017】
図8に例示されるように、本明細書において、搬送プレート3の裏面3nから搬送プレート3の搬送面3uに向かう方向を第3方向DR3と定義する。また、図3に例示されるように、モデルプレート9の裏面9nからモデルプレート9の搬送面9uに向かう方向を第3方向DR3と定義する。本明細書において、搬送プレート3の搬送面3uから搬送プレート3の裏面3nに向かう方向を第4方向DR4と定義する。また、モデルプレート9の搬送面9uからモデルプレート9の裏面9nに向かう方向を第4方向DR4と定義する。第4方向DR4は、第3方向DR3とは反対の方向である。
【0018】
(第1の実施形態)
図1乃至図36を参照して、第1の実施形態におけるドロス搬送用の搬送プレートの設計方法について説明する。図1は、レーザ照射装置60のレーザヘッド61から照射されるレーザLBによってワークWが加工される様子を模式的に示す概略断面図である。図2は、比較例におけるレーザ加工装置の一部分を模式的に示す概略断面図である。図3は、モデルプレート9の一例を模式的に示す概略断面図である。図4は、モデルプレート9に第1レーザLB1が照射されている様子を模式的に示す概略斜視図である。図5は、圧縮塑性ひずみに起因して、モデルプレート9が撓んでいる様子を模式的に示す概略斜視図である。図6は、基礎撓み量Bが実測されている様子を模式的に示す概略正面図である。図7は、モデルプレート9の複数箇所に第1レーザLB1が照射される様子を模式的に示す概略斜視図である。図8は、設計された搬送プレート3の一例を模式的に示す概略斜視図である。図9は、搬送プレート3に第1レーザLB1が照射されている様子を模式的に示す概略斜視図である。図10は、圧縮塑性ひずみに起因して、搬送プレート3が撓んでいる様子を模式的に示す概略斜視図である。図11は、搬送プレート3の複数箇所に第1レーザLB1が照射される様子を模式的に示す概略斜視図である。図12は、第1の実施形態におけるドロス搬送用の搬送プレートの設計方法の一例を示すフローチャートである。図13は、モデルプレート9の一例を模式的に示す概略斜視図である。図14は、モデルプレート9の第1部分P1とモデルプレート9の第2部分P2とに第1レーザLB1が照射される様子を模式的に示す概略斜視図である。図15は、第1モデルプレート9-1の第1部分P1と第2モデルプレート9-2の第2部分P2とに第1レーザLB1が照射される様子を模式的に示す概略斜視図である。図16は、モデルプレート9の第1部分P1に第1レーザLB1が照射されることに起因して、モデルプレート9が撓んだ様子を模式的に示す概略正面図である。図17は、モデルプレート9の第2部分P2に第1レーザLB1が照射されることに起因して、モデルプレート9が撓んだ様子を模式的に示す概略正面図である。図18は、少なくとも、モデルプレート9の第1撓みA1を示すデータDT1およびモデルプレート9の第2撓みA2を示すデータDT2に基づいて、基礎撓み量Bが決定される様子を模式的に示す図である。図19は、設計された搬送プレート3の一例を模式的に示す概略斜視図である。図20は、搬送プレート3の第3部分P3に第1レーザLB1が照射されることに起因して、搬送プレート3が撓んだ様子を模式的に示す概略正面図である。図21は、搬送プレート3の第4部分P4に第1レーザLB1が照射されることに起因して、搬送プレート3が撓んだ様子を模式的に示す概略正面図である。図22は、少なくとも、モデルプレート9の第1撓みA1を示すデータDT1およびモデルプレート9の第2撓みA2を示すデータDT2に基づいて、基礎撓み量Bが決定される様子を模式的に示す図である。図23は、モデルプレート9の一例を模式的に示す概略斜視図である。図24は、モデルプレート9の他の一例を模式的に示す概略斜視図である。図25は、少なくとも、搬送プレート3の第3撓みE3を示すデータDT3に基づいて、第1撓み量Cが決定される様子を模式的に示す図である。図26は、少なくとも、搬送プレート3の第3撓みE3を示すデータDT3および搬送プレート3の第4撓みE4を示すデータDT4に基づいて、第1撓み量Cが決定される様子を模式的に示す図である。図27乃至図36の各々は、設計された搬送プレート3の一例を模式的に示す概略斜視図である。
【0019】
(ドロス搬送コンベヤ12の一例)
図1に例示されるように、ドロス搬送コンベヤ12は、1群の搬送プレート13を備える。1群の搬送プレート13は、ワークW(例えば板状ワーク)にレーザLBが照射されることによって生成されるドロスDを搬送する。1群の搬送プレート13は、ドロスDに加えて、ワークWにレーザLBが照射されることによって生成される切り落とし片CFを搬送してもよい。
【0020】
なお、本明細書において、ドロスとは、レーザが照射されることにより溶解された材料(より具体的には、金属材料)の固化によって形成される不規則形状の塊(換言すれば、無作為形状の塊)を意味するものとする。
【0021】
1群の搬送プレート13は、第1方向DR1に延在する第1搬送プレート13-1と、第1方向DR1に延在する第2搬送プレート13-2と、を含む。1群の搬送プレート13の各々は、第1方向DR1を長手方向とする細長いプレートである。図1に記載の例では、第2搬送プレート13-2は、第1搬送プレート13-1に隣接配置されている。
【0022】
図1に記載の例において、ワークWを通過するレーザLBは、ドロス搬送コンベヤ12に達する。図2に例示されるように、搬送プレート13にレーザLBが達すると、当該搬送プレート13が熱変形する。図2に記載の例では、複数の搬送プレート13の各々にレーザLBが達することに起因して、複数の搬送プレート13が不規則に第3方向DR3に撓んでいる(より具体的には、熱変形によって撓んでいる。)。搬送プレート13は、過度な撓みが抑制されるように設計されており、熱変形に対しても十分な耐性がある。特に、図2に示されるような形状の搬送プレート13は、曲げ剛性が高く、撓みにくい。しかし、レーザLBの出力がより高くされ、あるいは、レーザLBのエネルギ密度がより大きくされると、図2に示されるような形状の搬送プレート13であっても、熱変形が過大となる可能性がある。また、搬送プレート13の熱変形が過大になると、1群の搬送プレート13の円滑な移動が妨げられる可能性がある。
【0023】
第1の実施形態におけるドロス搬送用の搬送プレートの設計方法では、上述の熱変形の量、あるいは、熱変形に起因する圧縮塑性ひずみ量が低減されるように、搬送プレート3(例えば、図8を参照。)が設計される。設計された搬送プレート3を複数枚製造し、製造された複数枚の搬送プレートと他の部材とを組み合わせてコンベヤ装置20における搬送体CA(図37を参照。)が製造される。
【0024】
本明細書において、レーザ加工装置からワークにレーザが照射されることによって生成されるドロスを搬送する搬送プレートの基本モデルをモデルプレートと定義する。図3には、搬送プレートの基本モデルであるモデルプレート9の一例が示されている。モデルプレート9は、過去に製造されたドロス搬送コンベヤにおいて採用された搬送プレートをモデリングしたものであってもよい。代替的に、モデルプレート9は、新たに基本設計されたものであってもよい。
【0025】
図4に例示されるように、モデルプレート9に第1レーザLB1が照射される場合を想定する。なお、ワークWに照射されるレーザLB(図1を参照。)と、ワークWに照射されることなくモデルプレート9あるいは搬送プレート3に照射されるレーザとを区別するために、後者を「第1レーザLB1」と呼ぶ。また、本明細書において、シミュレーションにおいてモデルプレート9あるいは搬送プレート3に仮想的に照射されるレーザのことも「第1レーザLB1」と呼ぶ。
【0026】
図4に例示されるように、モデルプレート9に第1レーザLB1が照射されると、モデルプレート9は昇温され、モデルプレート9は熱変形する。また、モデルプレート9の局所的な熱変形が大きい場合、モデルプレート9には、局所的に、降伏応力を超える圧縮応力が作用する。その後、モデルプレート9の温度が常温(例えば、摂氏20度程度)に低下すると、降伏応力を超える圧縮応力が作用した部分に圧縮塑性ひずみが発生する。当該圧縮塑性ひずみに起因して、モデルプレート9は、第3方向DR3または第4方向DR4に撓む(図5を参照。)。なお、図5において、モデルプレート9の撓み量は、実際の撓み量と比較して、強調して記載され、図10において、搬送プレート3の撓み量は、実際の撓み量と比較して、強調して記載されている。他の図面においても、モデルプレート9あるいは搬送プレート3の撓み量は、実際の撓み量と比較して、強調して記載されている。
【0027】
本明細書において、モデルプレート9に第1レーザLB1(例えば、レーザ加工装置6から射出される第1レーザ、あるいは、レーザ加工装置6を模擬した装置から射出される第1レーザ)が照射されることに起因して生じるモデルプレート9の撓み量(例えば、熱変形時の撓み量、あるいは、圧縮塑性ひずみに起因する撓み量)を、基礎撓み量Bと定義する。
【0028】
第1の実施形態におけるドロス搬送用の搬送プレートの設計方法では、第1ステップST1において、シミュレーションまたは実験によって、上述の基礎撓み量Bが取得される。第1ステップST1は、撓み量取得工程である。
【0029】
撓み量取得工程(第1ステップST1)は、(1)モデルプレート9に第1レーザLB1を実際に照射することと(図4を参照。)、(2)モデルプレート9に第1レーザLB1が照射されることに起因して生じるモデルプレート9の撓み量を実測することと(図6を参照。)、を含んでいてもよい。この場合、実測されたモデルプレート9の撓み量に基づいて、基礎撓み量Bが取得される。実測されたモデルプレート9の撓み量が基礎撓み量Bとされてもよい。なお、基礎撓み量Bは、複数回の実測の平均値であってもよい。例えば、モデルプレート9に第1レーザLB1を実際に照射することと、モデルプレート9に第1レーザLB1が照射されることに起因して生じるモデルプレート9の撓み量を実測することとが、複数のモデルプレート9に対して実施されてもよい。この場合、モデルプレート9の撓み量の複数の実測値の平均が、基礎撓み量Bとされてもよい。
【0030】
また、モデルプレート9に第1レーザLB1を照射することは、(1)モデルプレート9の第1部分P1に第1レーザLB1を実際に照射することと(図7を参照。)、(2)第1部分P1とは異なるモデルプレート9の第2部分P2に第1レーザLB1を実際に照射することと(図7を参照。)、を含んでいてもよい。この場合、撓み量取得工程(第1ステップST1)は、第1部分P1および第2部分P2を含む複数の部分に第1レーザLB1が照射されることに起因して生じるモデルプレート9の撓み量を実測することを含んでいてもよい。また、第1部分P1および第2部分P2を含む複数の部分に第1レーザLB1が照射されることに起因して生じるモデルプレート9の撓み量の実測値が、基礎撓み量Bとされてもよい。
【0031】
図7に記載の例では、第2部分P2は、第1部分P1よりも第1方向DR1側の部分である。また、第2部分P2の中心と第1部分P1の中心とを結ぶ直線は第1方向DR1に略平行である。また、図7に記載の例では、第2部分P2は、第1部分P1から離間した部分である。
【0032】
図7に記載の例では、モデルプレート9に第1レーザLB1を照射することは、第1方向DR1に沿う方向において、モデルプレート9の2箇所に第1レーザLB1を実際に照射することを含む。モデルプレート9に第1レーザLB1を照射することは、第1方向DR1に沿う方向において、モデルプレート9の3箇所以上に第1レーザLB1を実際に照射することを含んでいてもよい。
【0033】
モデルプレート9の撓み量を実測することは、図6に例示されるように、測定器具(例えば、定規)を用いて手動で行われてもよい。代替的に、モデルプレート9の撓み量を実測することは、機械的または光学的に撓み量を測定する撓み測定装置を用いて行われてもよい。モデルプレート9の撓み量を実測する手段としては、任意の公知の計測手段を採用可能である。プレートの撓み量を実測すること自体は、ありふれた技術であるため、本明細書において、撓み量の実測についての詳細な説明は省略する。
【0034】
代替的に、撓み量取得工程(第1ステップST1)は、コンピュータを用いたシミュレーションによって、基礎撓み量Bを取得することを含んでいてもよい。例えば、撓み量取得工程(第1ステップST1)は、モデルプレート9に第1レーザLB1が仮想的に照射されることに起因して生じるモデルプレート9の撓み量を、シミュレーションによって導出することを含む。第1レーザLB1がモデルプレート9に照射されることを初期条件として、モデルプレート9の熱分布、モデルプレート9の応力分布、モデルプレート9のひずみ分布、および、モデルプレート9の基礎撓み量Bが、コンピュータによって導出されてもよい。モデルプレート9の熱分布、モデルプレート9の応力分布、モデルプレート9のひずみ分布、および、モデルプレート9の基礎撓み量Bを取得することは、有限要素法解析ソフトをコンピュータに実行させることにより行われてもよい。
【0035】
シミュレーションにおいて、モデルプレート9の複数箇所に仮想的に第1レーザLB1が照射されてもよい。図7に記載の例と同様に、シミュレーションにおいてモデルプレート9に第1レーザLB1を照射することは、(1)モデルプレート9の第1部分P1に第1レーザLB1を仮想的に照射することと、(2)第1部分P1とは異なるモデルプレート9の第2部分P2に第1レーザLB1を仮想的に照射することと、を含んでいてもよい。また、第1部分P1および第2部分P2を含む複数の部分に第1レーザLB1が仮想的に照射されることに起因して生じるモデルプレート9の撓み量のシミュレーション値が、基礎撓み量Bとされてもよい。
【0036】
第2ステップST2において、モデルプレート9に基づいて搬送プレート3が設計される。第2ステップST2は、設計工程である。図8には、設計工程の実行により設計された搬送プレート3(換言すれば、モデルプレート9に基づいて設計された搬送プレート3)の一例が示されている。
【0037】
図9に例示されるように、搬送プレート3に第1レーザLB1が照射されると、搬送プレート3は昇温され、搬送プレート3は熱変形する。その後、搬送プレート3の温度が常温(例えば、摂氏20度程度)に低下すると、搬送プレート3は元の形状に戻るか、あるいは、圧縮塑性ひずみが発生する。圧縮塑性ひずみが発生する場合には、搬送プレート3は、第3方向DR3または第4方向DR4に撓む(図10を参照。)。
【0038】
本明細書において、モデルプレート9に第1レーザLB1が照射されるのと実質的に同じ条件で搬送プレート3に第1レーザLB1が照射されることに起因して生じる搬送プレート3の撓み量(例えば、熱変形時の撓み量、あるいは、圧縮塑性ひずみに起因する撓み量)を、第1撓み量Cと定義する。なお、実質的に同じ条件とは、搬送プレート3に照射される第1レーザLB1の出力が、モデルプレート9に照射される第1レーザLB1の出力と実質的に同じであり、搬送プレート3に照射される第1レーザLB1のエネルギ密度が、モデルプレート9に照射される第1レーザLB1のエネルギ密度と実質的に同じであり、搬送プレート3における第1レーザLB1の照射位置が、モデルプレート9における第1レーザLB1の照射位置に実質的に対応する位置であり、搬送プレート3に照射される第1レーザLB1の照射時間が、モデルプレート9に照射される第1レーザLB1の照射時間と実質的に同じであることを意味する。
【0039】
また、モデルプレート9の複数位置に第1レーザLB1が照射される場合には(換言すれば、モデルプレート9の複数箇所に第1レーザLB1が照射される場合には)、「搬送プレート3における第1レーザLB1の照射位置が、モデルプレート9における第1レーザLB1の照射位置に実質的に対応する位置である」とは、搬送プレート3における第1レーザLB1の複数の照射位置が、それぞれ、モデルプレート9における第1レーザLB1の複数の照射位置に実質的に対応する位置であることを意味する。例えば、図11に記載の例では、搬送プレート3における第1レーザLB1の第1照射位置(より具体的には、搬送プレート3の第3部分P3)が、モデルプレート9における第1レーザLB1の第1照射位置(より具体的には、図7におけるモデルプレート9の第1部分P1)に実質的に対応する。また、図11に記載の例では、搬送プレート3における第1レーザLB1の第2照射位置(より具体的には、搬送プレート3の第4部分P4)が、モデルプレート9における第1レーザLB1の第2照射位置(より具体的には、図7におけるモデルプレート9の第2部分P2)に実質的に対応する。
【0040】
設計工程(第2ステップST2)では、第1撓み量Cが基礎撓み量Bよりも小さくなるように、モデルプレート9に基づいて搬送プレート3が設計される。
【0041】
図8に記載の例では、設計工程(より具体的には、モデルプレート9に基づいて搬送プレート3を設計する工程)は、モデルプレート9に、モデルプレート9の搬送面9uの少なくとも一部を覆う保護部材38を付加することにより、搬送プレート3を設計することを含む。図8に記載の例では、設計工程によって設計された搬送プレート3は、モデルプレート9の形状に対応する形状を有するベース30と、ベース30に取り付けられる保護部材38とを有する。
【0042】
従来、ドロス搬送コンベヤにおける搬送プレートの設計は、構造強度のみを考慮して行われており、当該設計において、レーザ照射に起因する熱変形は考慮されていない。これに対し、第1の実施形態では、搬送プレート3における熱変形量または圧縮塑性ひずみ量が低減されるように、ドロス搬送用の搬送プレート3が設計される。より具体的には、モデルプレート9の搬送面9uの少なくとも一部が保護部材38によって覆われることにより、ベース30を含む搬送プレート3の第1撓み量Cが、上述の基礎撓み量Bよりも小さくなる。例えば、図9に記載の例では、第1レーザLB1が搬送プレート3に照射されるとき、保護部材38は、モデルプレート9の形状に対応する形状を有するベース30への入熱を抑制する。こうして、ベース30を含む搬送プレート3の第1撓み量Cが、上述の基礎撓み量Bよりも小さくなる。
【0043】
(任意付加的な構成)
続いて、図1乃至図36を参照して、第1の実施形態におけるドロス搬送用の搬送プレートの設計方法において採用可能な任意付加的な構成について説明する。
【0044】
(モデルプレート9の第1部分P1への第1レーザLB1の照射)
図4および図5に記載の例では、撓み量取得工程(第1ステップST1)は、モデルプレート9の第1部分P1(例えば、モデルプレート9の平状搬送面MF1)に第1レーザLB1が照射されることに起因して生じるモデルプレート9の第1撓みA1を示すデータDT1を取得することを含む。
【0045】
この場合、撓み量取得工程(第1ステップST1)は、少なくとも第1撓みA1を示すデータDT1が反映された基礎撓み量Bを決定することを含む。また、上述の第1撓み量C(図10を参照。)は、少なくとも、モデルプレート9の第1部分P1に位置的に対応する搬送プレート3の第3部分P3(図9を参照。)に第1レーザLB1が照射されることに起因して生じる搬送プレート3の第3撓みE3(図10を参照。)が反映された撓み量となる。
【0046】
なお、モデルプレート9の第1部分P1に実際に第1レーザLB1が照射される場合、モデルプレート9の第1部分P1への第1レーザLB1の照射は、モデルプレート9がドロス搬送コンベヤ12に取り付けられた状態で実行されてもよい。代替的に、モデルプレート9の第1部分P1への第1レーザLB1の照射は、モデルプレート9がドロス搬送コンベヤ12に取り付けられていない状態で実行されてもよい。
【0047】
(熱変形、および、圧縮塑性ひずみ)
モデルプレート9に第1レーザLB1が照射された直後は、モデルプレート9の撓みにおいて、熱変形(より具体的には、熱膨張)に起因する撓みが支配的となる。他方、第1レーザLB1が照射されたモデルプレート9が常温に戻ると、モデルプレート9の撓みにおいて、圧縮塑性ひずみに起因する撓みが支配的となる。圧縮塑性ひずみに起因するモデルプレート9の撓みの方向は、熱変形に起因するモデルプレート9の撓みの方向と異なる。
【0048】
第1の実施形態において、上述の基礎撓み量Bとして、モデルプレート9の熱変形(より具体的には、熱膨張)に起因するモデルプレート9の撓み量が採用される場合、上述の第1撓み量Cとして、搬送プレート3の熱変形(より具体的には、熱膨張)に起因する搬送プレート3の撓み量が採用される。換言すれば、基礎撓み量Bが、モデルプレート9の熱変形(より具体的には、熱膨張)に起因するモデルプレート9の撓み量である場合には、上述の第1撓み量Cは、搬送プレート3の熱変形(より具体的には、熱膨張)に起因する搬送プレート3の撓み量である。
【0049】
基礎撓み量Bが、モデルプレート9の熱変形(より具体的には、熱膨張)に起因するモデルプレート9の撓み量である場合、撓み量取得工程(第1ステップST1)において、モデルプレート9に第1レーザLB1が照射された直後のモデルプレート9の撓み量が、シミュレーションまたは実験によって、基礎撓み量Bとして取得される。
【0050】
他方、第1の実施形態において、上述の基礎撓み量Bとして、モデルプレート9の圧縮塑性ひずみに起因するモデルプレート9の撓み量が採用される場合、上述の第1撓み量Cとして、搬送プレート3の圧縮塑性ひずみに起因する搬送プレート3の撓み量が採用される。換言すれば、基礎撓み量Bが、モデルプレート9の圧縮塑性ひずみに起因するモデルプレート9の撓み量である場合には、第1撓み量Cは、搬送プレート3の圧縮塑性ひずみに起因する搬送プレート3の撓み量である。
【0051】
基礎撓み量Bが、モデルプレート9の圧縮塑性ひずみに起因するモデルプレート9の撓み量である場合、撓み量取得工程(第1ステップST1)において、第1レーザLB1が照射されたモデルプレート9の冷却後の撓み量(例えば、第1レーザLB1が照射されたモデルプレート9が常温に戻った後のモデルプレート9の撓み量)が、シミュレーションまたは実験によって、基礎撓み量Bとして取得される。
【0052】
(モデルプレート9の第2部分P2への第1レーザLB1の照射)
図13に記載の例において、モデルプレート9の第1部分P1に第1レーザLB1が照射される場合におけるモデルプレート9の撓み方向は、モデルプレート9の第2部分P2(すなわち、第1部分P1とは異なる部分)に第1レーザLB1が照射される場合におけるモデルプレート9の撓み方向と異なる。
【0053】
例えば、モデルプレート9の第1部分P1に第1レーザLB1が照射されると、モデルプレート9は、熱膨張に起因して第4方向DR4に撓む。また、モデルプレート9の第1部分P1に第1レーザLB1が照射されると、モデルプレート9は、圧縮塑性ひずみに起因して第3方向DR3に撓む(換言すれば、冷却後のモデルプレート9は、第3方向DR3に撓む。)。
【0054】
他方、モデルプレート9の第2部分P2に第1レーザLB1が照射されると、モデルプレート9は、熱膨張に起因して第3方向DR3に撓む。また、モデルプレート9の第2部分P2に第1レーザLB1が照射されると、モデルプレート9は、圧縮塑性ひずみに起因して第4方向DR4に撓む(換言すれば、冷却後のモデルプレート9は、第4方向DR4に撓む。)。
【0055】
そこで、第1の実施形態において、モデルプレート9に第1レーザLB1を照射することは、モデルプレート9の第1部分P1に第1レーザLB1を照射することと、モデルプレート9の第2部分P2に第1レーザLB1を照射することと、を含んでいてもよい。図13に記載の例では、第2部分P2は、第1部分P1よりも第2方向DR2側の部分である。また、平面視において(換言すれば、第4方向DR4に沿う方向に見て)、第2部分P2の中心と第1部分P1の中心とを結ぶ直線は第2方向DR2に略平行である。また、図13に記載の例では、第2部分P2は、第1部分P1から離間した部分である。
【0056】
なお、基礎撓み量Bが実測される場合には、モデルプレート9に第1レーザLB1を照射することは、モデルプレート9の第1部分P1に第1レーザLB1を実際に照射することと、モデルプレート9の第2部分P2に第1レーザLB1を実際に照射することと、を含む。他方、基礎撓み量Bがシミュレーションによって導出される場合には、モデルプレート9に第1レーザLB1を照射することは、モデルプレート9の第1部分P1に第1レーザLB1を仮想的に照射することと、モデルプレート9の第2部分P2に第1レーザLB1を仮想的に照射することと、を含む。
【0057】
図14に記載の例では、撓み量取得工程(第1ステップST1)は、(1)モデルプレート9の第1部分P1およびモデルプレート9の第2部分P2のうちの一方に第1レーザLB1を照射することと、(2)第1レーザLB1を照射するレーザヘッドHDを、モデルプレート9に対して相対移動させることと、(3)モデルプレート9の第1部分P1およびモデルプレート9の第2部分P2のうちの他方に第1レーザLB1を照射することとを含む。レーザヘッドHDをモデルプレート9に対して相対移動させることは、レーザヘッドHDを能動的に移動させることにより行われてもよいし、モデルプレート9を能動的に移動させることにより行われてもよい。モデルプレート9の能動的な移動は、モデルプレート9が取り付けられたドロス搬送コンベヤ12を駆動させることにより行われてもよい。
【0058】
撓み量取得工程(第1ステップST1)は、モデルプレート9の第1部分P1およびモデルプレート9の第2部分P2に、順次、第1レーザLB1を照射することと、第1レーザLB1の照射によってモデルプレート9に生じる圧縮塑性ひずみに起因するモデルプレート9の撓み量を、基礎撓み量Bとして取得することと、を含んでいてもよい。
【0059】
図14に記載の例では、第1レーザLB1の照射が1つのモデルプレート9に対して行われている。代替的に、図15に例示されるように、モデルプレート9に第1レーザLB1を照射することは、第1モデルプレート9-1の第1部分P1に第1レーザLB1を照射することと、第1モデルプレート9-1と実質的に同一とみなせる第2モデルプレート9-2の第2部分P2に第1レーザLB1を照射することと、を含んでいてもよい。
【0060】
なお、本明細書において、実質的に同一とみなせる複数のモデルプレートが基礎撓み量Bの取得のために使用される場合、当該複数のモデルプレート(9-1、9-2)を、包括的に、「モデルプレート」と呼ぶ。よって、本明細書において、第1モデルプレート9-1の第1部分P1に第1レーザLB1を照射することは、モデルプレート9の第1部分P1に第1レーザLB1を照射することの一態様とみなされ、第2モデルプレート9-2の第2部分P2に第1レーザLB1を照射することは、「前記」モデルプレート9の第2部分P2に第1レーザLB1を照射することの一態様とみなされる。
【0061】
撓み量取得工程(第1ステップST1)は、(1)モデルプレート9の第1部分P1(例えば、モデルプレート9の平状搬送面MF1)に第1レーザLB1が照射されることに起因して生じるモデルプレート9の第1撓みA1(図16を参照。)を示すデータDT1を取得することと、(2)モデルプレート9の第2部分P2(例えば、モデルプレート9の凸状搬送面MU1)に第1レーザLB1が照射されることに起因して生じるモデルプレート9の第2撓みA2(図17を参照。)を示すデータDT2を取得することと、(3)少なくとも第1撓みA1を示すデータDT1および第2撓みを示すデータDT2が反映された基礎撓み量Bを決定することと(図18を参照。)、を含んでいてもよい。
【0062】
この場合、基礎撓み量Bと比較されるべき上述の第1撓み量Cは、モデルプレート9の第1部分P1に位置的に対応する搬送プレート3の第3部分P3(図19を参照。)に第1レーザLB1が照射されることに起因して生じる搬送プレート3の第3撓みE3(図20を参照。)と、モデルプレート9の第2部分P2に位置的に対応する搬送プレート3の第4部分P4(図19を参照。)に第1レーザLB1が照射されることに起因して生じる搬送プレート3の第4撓みE4(図21を参照。)と、が少なくとも反映された撓み量となる。なお、図19に記載の例では、第4部分P4は、第3部分P3よりも第2方向DR2側の部分である。また、平面視において(換言すれば、第4方向DR4に沿う方向に見て)、第4部分P4の中心と第3部分P3の中心とを結ぶ直線は第2方向DR2に略平行である。また、図19に記載の例では、第4部分P4は、第3部分P3から離間した部分である。
【0063】
撓み量取得工程(第1ステップST1)は、(1)モデルプレート9の第1部分P1に第1レーザLB1が照射されることに起因して生じるモデルプレート9の圧縮塑性ひずみに対応するデータを、第1データDA1(図16を参照。)として取得することと、(2)モデルプレート9の第2部分P2に第1レーザLB1が照射されることに起因して生じるモデルプレート9の圧縮塑性ひずみに対応するデータを、第2データDA2(図17を参照。)として取得することと、(3)少なくとも第1データDA1と第2データDA2とが反映された基礎撓み量Bを決定することと(図22を参照。)、を含んでいてもよい。
【0064】
この場合、基礎撓み量Bと比較されるべき上述の第1撓み量Cは、モデルプレート9の第1部分P1に位置的に対応する搬送プレート3の第3部分P3(図19を参照。)に第1レーザLB1が照射されることに起因して生じる搬送プレート3の圧縮塑性ひずみに対応するデータと、モデルプレート9の第2部分P2に位置的に対応する搬送プレート3の第4部分P4(図19を参照。)に第1レーザLB1が照射されることに起因して生じる搬送プレート3の圧縮塑性ひずみに対応するデータと、が少なくとも反映された撓み量となる。
【0065】
図22に記載の例において、少なくとも第1データDA1と第2データDA2とが反映された基礎撓み量Bを決定することは、第1データDA1と第2データDA2とを加算することを含んでいてもよい。少なくとも第1データDA1と第2データDA2とが反映された基礎撓み量Bを決定することは、コンピュータ81を用いて行われてもよいし、人手によって行われてもよい。
【0066】
なお、本明細書において、第3方向DR3への撓み量を「正の撓み量」と定義し、第4方向DR4への撓み量を「負の撓み量」と定義する。換言すれば、第3方向DR3への撓み量は、正の値によって表され、第4方向DR4への撓み量は、負の値によって表される。よって、第1データDA1と第2データDA2とが加算されることにより得られる値は、第1データDA1によって示される値(あるいは、第2データDA2によって示される値)よりも小さくなり得る。一例として、図16において、第1データDA1は、プラス0.49mmを示す。一例として、図17において、第2データDA2は、マイナス0.33mmを示す。また、基礎撓み量Bは、プラス0.49mmとマイナス0.33mmとを加算することにより得られる値、すなわち、0.16mmである。
【0067】
図16に記載の例では、第1データDA1は、撓みデータ(より具体的には、モデルプレート9の第1部分P1に第1レーザLB1が照射されることに起因して生じるモデルプレート9の圧縮塑性ひずみに対応する撓みデータ)である。代替的に、第1データDA1は、圧縮塑性ひずみの分布データ(より具体的には、モデルプレート9の第1部分P1に第1レーザLB1が照射されることに起因して生じるモデルプレート9の圧縮塑性ひずみの分布データ)であってもよい。第1データDA1としての圧縮塑性ひずみの分布データは、コンピュータを用いたシミュレーションによって導出することができる。
【0068】
図17に記載の例では、第2データDA2は、撓みデータ(より具体的には、モデルプレート9の第2部分P2に第1レーザLB1が照射されることに起因して生じるモデルプレート9の圧縮塑性ひずみに対応する撓みデータ)である。代替的に、第2データDA2は、圧縮塑性ひずみの分布データ(より具体的には、モデルプレート9の第2部分P2に第1レーザLB1が照射されることに起因して生じるモデルプレート9の圧縮塑性ひずみの分布データ)であってもよい。第2データDA2としての圧縮塑性ひずみの分布データは、コンピュータを用いたシミュレーションによって導出することができる。
【0069】
付加的に、撓み量取得工程(第1ステップST1)は、モデルプレート9の更に他の部分(換言すれば、第1部分P1および第2部分P2とは異なる部分)に第1レーザLB1が照射されることに起因して生じるモデルプレート9の圧縮塑性ひずみに対応するデータを、第3データとして取得することを含んでいてもよい。この場合、基礎撓み量Bには、少なくとも、第1データDA1、第2データDA2、および、第3データが反映される。
【0070】
図13に記載の例では、モデルプレート9の第1部分P1は、モデルプレート9の他の部分と比較して撓み易い部分である。よって、撓み量取得工程(第1ステップST1)において、モデルプレート9の第1部分P1(例えば、モデルプレート9の中間部分9m)に第1レーザLB1が照射されることに起因して生じるモデルプレート9の圧縮塑性ひずみに対応するデータのみに基づいて、基礎撓み量Bが決定されてもよい。
【0071】
図22に記載の例では、第1データDA1は、モデルプレート9の第1部分P1に第1レーザLB1が照射されることに起因して生じるモデルプレート9の圧縮塑性ひずみに対応するデータであり、第2データDA2は、モデルプレート9の第2部分P2に第1レーザLB1が照射されることに起因して生じるモデルプレート9の圧縮塑性ひずみに対応するデータである。代替的に、第1データDA1は、モデルプレート9の第1部分P1に第1レーザLB1が照射されることに起因して生じるモデルプレート9の熱膨張に対応するデータ(例えば、熱膨張に起因する撓みデータ)であってもよい。また、第2データDA2は、モデルプレート9の第2部分P2に第1レーザLB1が照射されることに起因して生じるモデルプレート9の熱膨張に対応するデータ(例えば、熱膨張に起因する撓みデータ)であってもよい。
【0072】
(モデルプレート9)
図13に記載の例では、第2部分P2は、モデルプレート9の前端部9f(より具体的には、前端部9fの長手方向中央部分)である。第2部分P2は、モデルプレート9の凸状搬送面MU1であってもよい。図13に記載の例では、第1部分P1は、モデルプレート9の中間部分9m(より具体的には、中間部分9mの長手方向中央部分)である。第1部分P1は、モデルプレート9の平状搬送面MF1であってもよい。
【0073】
モデルプレート9の形状の第1例(図23を参照。)と、モデルプレート9の形状の第2例(図24を参照。)について説明する。
【0074】
図23または図24に記載の例では、モデルプレート9は、前端部9fと、後端部9eと、前端部9fと後端部9eとを接続する中間部分9mと、を有する。なお、モデルプレート9の前端部9fは、移動方向前方側の端部(換言すれば、第2方向DR2側の端部)であり、モデルプレート9の後端部9eは、移動方向後方側の端部(換言すれば、第2方向DR2とは反対側の端部)である。
【0075】
図23または図24に例示されるように、モデルプレート9は、搬送面9uと、裏面9nとを有する。搬送面9uは、モデルプレート9によってドロスが搬送されると仮定した場合に、当該ドロスを支持することが想定される面である。裏面9nは、モデルプレート9において、搬送面9uとは反対側の面である。
【0076】
図23または図24に例示されるように、モデルプレート9は、左端部9aと、右端部9bとを有する。図23または図24に記載の例において、モデルプレート9の左端部9aは、モデルプレート9の搬送面9uを後端部9eから前端部9fに向かう方向に見て、左側の端部であり、モデルプレート9の右端部9bは、モデルプレート9の搬送面9uを後端部9eから前端部9fに向かう方向に見て、右側の端部である。
【0077】
図23に記載の例では、モデルプレート9の前端部9fは、第1方向DR1に延在し第3方向DR3に凸である凸状湾曲部91fを有する。また、モデルプレート9の前端部9fは、第1方向DR1に延在する凸状搬送面MU1を有する。凸状搬送面MU1は、凸状湾曲部91fの第3方向DR3側の面である。図23に記載の例において、凸状搬送面MU1は、第3方向DR3に凸な面(より具体的には、第3方向DR3に凸な湾曲面)であり、モデルプレート9の搬送面9uの一部を構成する。
【0078】
図23に記載の例では、モデルプレート9の後端部9eは、第1方向DR1に延在し第3方向DR3に突出する立設部93eを有する。
【0079】
図23に記載の例において、モデルプレート9の中間部分9mは、前端部9fと後端部9eとを接続する。図23に記載の例では、中間部分9mの前端は、第1方向DR1に延在する第1屈曲部94を介して前端部9f(より具体的には、凸状湾曲部91f)に接続されている。また、中間部分9mの後端は、第1方向DR1に延在する第2屈曲部95を介して後端部9e(より具体的には、立設部93e)に接続されている。
【0080】
図23に記載の例では、中間部分9mは、平板部96mを有する。また、中間部分9mは、第1方向DR1に延在する平状搬送面MF1を有する。平状搬送面MF1は、平板部96mの第3方向DR3側の面である。平状搬送面MF1は、モデルプレート9の搬送面9uの一部を構成する。
【0081】
なお、モデルプレート9の前端部9fの形状、モデルプレート9の後端部9eの形状、および、モデルプレート9の中間部分9mの形状の各々は、図23に記載の例に限定されない。例えば、モデルプレート9の後端部9eの形状は、第1方向DR1に沿う方向に見て、略円弧形状あるいは略円形状であってもよい。また、モデルプレート9の中間部分9mの少なくとも一部は、第1方向DR1に沿う方向に見て、略円弧形状、略V字形状あるいは略U字形状を有していてもよい。
【0082】
図24に記載の例では、モデルプレート9の前端部9fは、ロッドを受容する複数の前方受容部92f(より具体的には、ロッドが挿入される複数の貫通孔部)を有する。また、モデルプレート9の前端部9fは、第1方向DR1に延在する凸状搬送面MU1を有する。凸状搬送面MU1は、モデルプレート9の前端部9fの第3方向DR3側の面である。図24に記載の例において、凸状搬送面MU1は、第3方向DR3に凸な面(より具体的には、第3方向DR3に凸な湾曲面)であり、モデルプレート9の搬送面9uの一部を構成する。
【0083】
図24に記載の例では、モデルプレート9の後端部9eは、他のロッドを受容する複数の後方受容部94e(より具体的には、他のロッドが挿入される複数の貫通孔部)を有する。また、モデルプレート9の後端部9eは、第1方向DR1に延在する第2の凸状搬送面MU2を有する。第2の凸状搬送面MU2は、モデルプレート9の後端部9eの第3方向DR3側の面である。図24に記載の例において、第2の凸状搬送面MU2は、第3方向DR3に凸な湾曲面であり、モデルプレート9の搬送面9uの一部を構成する。
【0084】
図24に記載の例において、モデルプレート9の中間部分9mは、前端部9fと後端部9eとを接続する。図24に記載の例では、中間部分9mは、平板部96mを有する。また、中間部分9mは、第1方向DR1に延在する平状搬送面MF1を有する。平状搬送面MF1は、平板部96mの第3方向DR3側の面である。平状搬送面MF1は、モデルプレート9の搬送面9uの一部を構成する。
【0085】
なお、モデルプレート9の形状は、図23および図24に記載の例に限定されない。
【0086】
モデルプレート9の長さ(より具体的には、モデルプレート9の第1方向DR1に沿う方向における長さ)は、例えば、1m以上3m以下である。
【0087】
モデルプレート9の幅(より具体的には、モデルプレート9の第2方向DR2に沿う方向における幅)は、例えば、40mm以上200mm以下である。
【0088】
モデルプレート9の板厚(例えば、モデルプレート9の中間部分9mの板厚)は、例えば、10mm以下、5mm以下、あるいは、3mm以下である。
【0089】
図23に記載の例では、モデルプレート9の前端部9fの板厚は、略一定であり、モデルプレート9の後端部9eの板厚は、略一定である。また、モデルプレート9の中間部分9mの板厚は、略一定である。図23に記載の例では、モデルプレート9の板厚は、全体として、略一定である。
【0090】
モデルプレート9は、金属製である。モデルプレート9は、例えば、鉄鋼製、より具体的には、熱間圧延軟鋼板製、冷間圧延鋼板製または冷間圧延ステンレス鋼板製である。
【0091】
(設計工程)
設計工程(第2ステップST2)は、搬送プレート3の撓み特性を確認することを含んでいてもよい。
【0092】
図16図18に記載の例では、上述の撓み量取得工程(第1ステップST1)は、(1)モデルプレート9の第1部分P1(より具体的には、モデルプレート9の中間部分9m、あるいは、モデルプレート9の平状搬送面MF1)に第1レーザLB1が照射されることに起因して生じるモデルプレート9の第1撓みA1を示すデータDT1(例えば、モデルプレート9の圧縮塑性ひずみに対応する撓みデータ)を取得することと、(2)少なくとも第1撓みA1を示すデータDT1が反映された基礎撓み量Bを決定することと、を含む。
【0093】
図19図20図25に例示されるように、設計工程(第2ステップST2)は、(1)モデルプレート9の第1部分P1に位置的に対応する搬送プレート3の第3部分P3(図19を参照。)に第1レーザLB1が照射されることに起因して生じる搬送プレート3の第3撓みE3を示すデータDT3(例えば、搬送プレート3の圧縮塑性ひずみに対応する撓みデータ)を取得することと(図20を参照。)、(2)少なくとも第3撓みE3を示すデータDT3が反映された第1撓み量Cを決定することと(図25を参照。)、(3)第1撓み量Cが基礎撓み量Bよりも小さいとの条件が満たされていることを確認することと、を含んでいてもよい。
【0094】
なお、第3撓みE3を示すデータDT3を取得することは、搬送プレート3に第1レーザLB1が実際に照射されることに起因して生じる搬送プレート3の第3撓みE3を実測することによって行われてもよい。代替的に、第3撓みE3を示すデータDT3を取得することは、コンピュータを用いたシミュレーションによって行われてもよい。少なくとも第3撓みE3を示すデータDT3(例えば、搬送プレート3の圧縮塑性ひずみに対応する撓みデータ)が反映された第1撓み量Cを決定することは、コンピュータ81を用いて行われてもよいし、人手によって行われてもよい。また、第1撓み量Cが基礎撓み量Bよりも小さいとの条件が満たされていることを確認することは、コンピュータ81を用いて行われてもよいし、人手によって行われてもよい。
【0095】
図16図17、および、図22に記載の例では、上述の撓み量取得工程(第1ステップST1)は、(1)モデルプレート9の第1部分P1(より具体的には、モデルプレート9の中間部分9m、あるいは、モデルプレート9の平状搬送面MF1)に第1レーザLB1が照射されることに起因して生じるモデルプレート9の第1撓みA1を示すデータDT1(より具体的には、モデルプレート9の第1部分P1に第1レーザLB1が照射されることに起因して生じるモデルプレート9の圧縮塑性ひずみに対応するデータ)を、第1データDA1として取得することと(図16を参照。)、(2)モデルプレート9の第2部分P2(より具体的には、モデルプレート9の前端部9f、あるいは、モデルプレート9の凸状搬送面MU1)に第1レーザLB1が照射されることに起因して生じるモデルプレート9の第2撓みA2を示すデータDT2(より具体的には、モデルプレート9の第2部分P2に第1レーザLB1が照射されることに起因して生じるモデルプレート9の圧縮塑性ひずみに対応するデータ)を、第2データDA2として取得することと(図17を参照。)、(3)少なくとも第1データDA1と第2データDA2とが反映された基礎撓み量Bを決定することと(図22を参照。)、を含む。
【0096】
図19図20図21、および、図26に例示されるように、設計工程(第2ステップST2)は、(1)モデルプレート9の第1部分P1に位置的に対応する搬送プレート3の第3部分P3(図19を参照。)に第1レーザLB1が照射されることに起因して生じる搬送プレート3の第3撓みE3を示すデータDT3(より具体的には、モデルプレート9の第1部分P1に位置的に対応する搬送プレート3の第3部分P3に第1レーザLB1が照射されることに起因して生じる搬送プレート3の圧縮塑性ひずみに対応するデータ)を、第3データDA3として取得することと(図20を参照。)、(2)モデルプレート9の第2部分P2に位置的に対応する搬送プレート3の第4部分P4(図19を参照。)に第1レーザLB1が照射されることに起因して生じる搬送プレート3の第4撓みE4を示すデータDT4(より具体的には、モデルプレート9の第2部分P2に位置的に対応する搬送プレート3の第4部分P4に第1レーザLB1が照射されることに起因して生じる搬送プレート3の圧縮塑性ひずみに対応するデータ)を、第4データDA4として取得することと(図21を参照。)、(3)少なくとも第3データDA3と第4データDA4とが反映された第1撓み量Cを決定することと(図26を参照。)、(4)第1撓み量Cが基礎撓み量Bよりも小さいとの条件が満たされていることを確認することと、を含んでいてもよい。
【0097】
なお、第3データDA3および第4データDA4の取得することは、搬送プレート3に第1レーザLB1を実際に照射することを含む実験に基づいて行われてもよいし、コンピュータを用いたシミュレーションによって行われてもよい。少なくとも第3データDA3と第4データDA4が反映された第1撓み量Cを決定することは、コンピュータ81を用いて行われてもよいし、人手によって行われてもよい。また、第1撓み量Cが基礎撓み量Bよりも小さいとの条件が満たされていることを確認することは、コンピュータ81を用いて行われてもよいし、人手によって行われてもよい。
【0098】
なお、設計工程(第2ステップST2)において、第1撓み量Cが基礎撓み量Bよりも小さいとの条件が明らかに満たされるように搬送プレート3が設計される場合等には、搬送プレート3の撓み特性を確認することは、省略されてもよい。
【0099】
図13図16、および、図17に記載の例では、モデルプレート9の中間部分9mに第1レーザLB1が照射されることに起因して生じるモデルプレート9の撓みの方向(図16:第3方向DR3)が、モデルプレート9の前端部9fに第1レーザLB1が照射されることに起因して生じるモデルプレート9の撓みの方向(図17:第4方向DR4)と逆である。この場合、設計工程(第2ステップST2)は、搬送プレート3の第1前端部3fに第1レーザLB1が照射されることに起因して生じる搬送プレート3の撓みの大きさの絶対値と、搬送プレート3の第1中間部分3mに第1レーザLB1が照射されることに起因して生じる搬送プレート3の撓みの大きさの絶対値との差が、モデルプレート9の前端部9fに第1レーザLB1が照射されることに起因して生じるモデルプレート9の撓みの大きさの絶対値と、モデルプレート9の中間部分9mに第1レーザLB1が照射されることに起因して生じるモデルプレート9の撓みの大きさの絶対値との差よりも小さくなるように、モデルプレート9に基づいて搬送プレート3を設計することを含んでいてもよい。
【0100】
(設計の第1例)
図27または図28に記載の例では、設計工程(第2ステップST2)は、モデルプレート9(図23または図24を参照。)に、モデルプレート9の搬送面9uの少なくとも一部を覆う保護部材38を付加することにより、搬送プレート3を設計することを含む。図27または図28に記載の例では、設計工程によって設計された搬送プレート3は、モデルプレート9の形状に対応する形状を有するベース30と、保護部材38とを有する。保護部材38は、ベース30に接触配置される。より具体的には、保護部材38は、ベース30に取り付けられる。
【0101】
モデルプレート9の形状に対応する形状を有するベース30の第3方向DR3側の表面の少なくとも一部が保護部材38によって覆われることにより、ベース30への入熱(すなわち、レーザ照射に起因する入熱)が抑制される。こうして、第1レーザLB1(あるいは、レーザLB)の照射に起因してベース30が熱変形することが抑制される。また、ベース30に圧縮塑性ひずみが生じることが抑制される。
【0102】
図27または図28に記載の例では、保護部材38は、第1板部381と、第2板部382と、屈曲部383とを有する。屈曲部383は、第1板部381と第2板部382との間に配置され、第1方向DR1に延在する。
【0103】
保護部材38が、2つの板部と、2つの板部の間に配置される屈曲部383とを有する場合、保護部材38の断面二次モーメントが大きくなる。よって、保護部材38が撓みにくい。また、保護部材38の板厚を相対的に薄くすることができる。
【0104】
図27または図28に例示されるように、第1板部381は、ベース30に接触配置されてもよい。また、第2板部382は、ベース30から離れる方向に立ち上がるように配置されていてもよい。図27または図28に記載の例では、第1方向DR1に垂直な断面において、保護部材38は、略L字形状を有する。
【0105】
図29に例示されるように、保護部材38において屈曲部が省略されてもよい。より具体的には、保護部材38は、平板形状を有していてもよい。
【0106】
保護部材38の第3方向DR3側の表面は、レーザ反射層(例えば、銅層、銀層またはアルミニウム層)の表面38rによって構成されていてもよい。波長が1060nm以上1080nm以下のレーザに対する、レーザ反射層の表面38rのレーザ反射率は、例えば、70%以上、80%以上、あるいは、90%以上である。
【0107】
保護部材38(例えば、第1板部381)は、保護部材38にレーザLBが照射されることに応じて、ベース30から離れる方向に撓むように構成されていてもよい。また、保護部材38がベース30から離れる方向に撓むことにより、ベース30と保護部材38との間に空気層が形成されるように構成されていてもよい。
【0108】
なお、保護部材38の形状は、略L字形状、平板形状に限定されない。例えば、保護部材38は、第1方向DR1に垂直な断面において、略C字形状、略U字形状、あるいは、略V字形状を有していてもよい。
【0109】
図30に例示されるように、保護部材38は、第1保護部材38aと、断熱材38bとを含んでいてもよい。図30に記載の例では、第1保護部材38aとベース30との間に断熱材38bが配置されている。代替的に、第1保護部材38aとベース30との間に空気層が存在していてもよい。
【0110】
図27乃至図30に記載の例では、保護部材38は、第1方向DR1に延在する。第1方向DR1に沿う方向における保護部材38の長さは、0.5m以上であってもよいし、0.8m以上であってもよいし、1m以上であってもよい。また、第1方向DR1に沿う方向における保護部材38の長さは、2m以下であってもよい。
【0111】
図27乃至図30に記載の例では、ベース30は、モデルプレート9の前端部9fの形状に対応する形状を有する第1前端部3fと、モデルプレート9の中間部分9mの形状に対応する形状を有する第1中間部分3mと、モデルプレート9の後端部9eの形状に対応する形状を有する第1後端部3eとを有する。また、第1前端部3fは、モデルプレート9の凸状搬送面MU1の形状に対応する形状を有する凸状搬送面RU1を有する。更に、第1中間部分3mは、モデルプレート9の平状搬送面MF1の形状に対応する形状を有する平状搬送面RF1を有する。
【0112】
図13図16、および、図17に記載の例では、モデルプレート9の中間部分9mに第1レーザLB1が照射されることに起因して生じるモデルプレート9の撓みの大きさAM1(図16を参照。)が、モデルプレート9の前端部9fに第1レーザLB1が照射されることに起因して生じるモデルプレート9の撓みの大きさAM2(図17を参照。)よりも大きい。
【0113】
この場合、設計工程(換言すれば、モデルプレート9に基づいて搬送プレート3を設計する工程)は、主としてモデルプレート9の中間部分9mを覆う保護部材38(より具体的には、主としてモデルプレートの平状搬送面MF1を覆う保護部材38)を、モデルプレート9に付加することにより、搬送プレート3を設計することを含むことが好ましい。
【0114】
換言すれば、図27乃至図30に例示されるように、設計工程(換言すれば、モデルプレート9に基づいて搬送プレート3を設計する工程)は、ベース30の第1中間部分3mの撓みが低減されるように、主として第1中間部分3mを覆う保護部材38(より具体的には、主としてベース30の平状搬送面RF1を覆う保護部材38)を、ベース30に配置することを含むことが好ましい。
【0115】
(設計の第2例)
図31または図32に記載の例では、設計工程(第2ステップST2)は、モデルプレート9自体の形状を変更することにより、搬送プレート3を設計することを含む。図31または図32に記載の例では、設計工程によって設計された搬送プレート3は、モデルプレート9の前端部9fの形状に対応する形状を有する第1前端部3fと、モデルプレート9の後端部9eの形状に対応する形状を有する第1後端部3eと、第1前端部3fと第1後端部3eとを接続する第1中間部分3mとを有する。
【0116】
図13図16、および、図17に記載の例では、モデルプレート9の中間部分9mに第1レーザLB1が照射されることに起因して生じるモデルプレート9の撓みの大きさAM1(図16を参照。)が、モデルプレート9の前端部9fに第1レーザLB1が照射されることに起因して生じるモデルプレート9の撓みの大きさAM2(図17を参照。)よりも大きい。
【0117】
この場合、設計工程(換言すれば、モデルプレート9に基づいて搬送プレート3を設計する工程)は、主としてモデルプレート9の中間部分9mの形状を変更することにより、搬送プレート3を設計することを含むことが好ましい。例えば、設計工程は、モデルプレート9の中間部分9mの形状を、平板形状から、第3方向DR3または第4方向DR4に突出する凸板形状に変更することにより、搬送プレート3を設計することを含んでいてもよい。
【0118】
また、設計工程は、モデルプレート9の中間部分9mに、第4方向DR4に凹み第1方向DR1に延在する第1凹部Q1を形成することにより、搬送プレート3を設計することを含んでいてもよい。図31に記載の例では、第1凹部Q1は、第1方向DR1に垂直な断面において、略円弧形状を有する。図32に記載の例では、第1凹部Q1は、第1方向DR1に垂直な断面において、略U字形状を有する。代替的に、第1凹部Q1は、第1方向DR1に垂直な断面において、略V字形状を有していてもよい。
【0119】
換言すれば、設計工程(換言すれば、モデルプレート9に基づいて搬送プレート3を設計する工程)は、搬送プレート3の第1中間部分3mの撓みが低減されるように、搬送プレート3の第1中間部分3mに、第4方向DR4に凹み第1方向DR1に延在する第1凹部Q1を形成することを含んでいてもよい。当該第1凹部Q1は、第1方向DR1に垂直な断面において、例えば、略円弧形状、略V字形状、または、略U字形状を有する。
【0120】
図31に例示されるように、設計工程(換言すれば、モデルプレート9に基づいて搬送プレート3を設計する工程)は、搬送プレート3の第1中間部分3mに、第1方向DR1に延在する第1凹部Q1と、第1方向DR1に延在する第1平板部36mと、第1凹部Q1と第1平板部36mとを接続する屈曲部BB1とを設けることを含んでいてもよい。
【0121】
(設計の第3例)
図33または図34に記載の例では、設計工程(第2ステップST2)は、モデルプレート9の表面の少なくとも一部を昇温抑制表面4によって覆うことにより、搬送プレート3を設計することを含む。図33または図34に記載の例では、設計工程によって設計された搬送プレート3は、モデルプレート9の形状に対応する形状を有するベース30と、昇温抑制表面4と、を有する。昇温抑制表面4は、ベース30の少なくとも一部を覆い、レーザエネルギに起因してベース30が昇温されることを抑制する。
【0122】
図33または図34に記載の例では、昇温抑制表面4は、レーザ反射層4rの表面を含む。より具体的には、ベース30の第3方向DR3の表面の少なくとも一部がレーザ反射層4rによって覆われている。
【0123】
モデルプレート9の形状に対応する形状を有するベース30の第3方向DR3側の表面の少なくとも一部がレーザ反射層4rによって覆われることにより、ベース30への入熱(すなわち、レーザ照射に起因する入熱)が抑制される。こうして、レーザ照射に起因してベース30が熱変形することが抑制される。また、ベース30に圧縮塑性ひずみが生じることが抑制される。
【0124】
波長が1060nm以上1080nm以下のレーザに対する、レーザ反射層4rのレーザ反射率は、例えば、70%以上、80%以上、あるいは、90%以上である。レーザ反射層4rは、例えば、銅層、銀層またはアルミニウム層である。
【0125】
レーザ反射層4rは、例えば、銅メッキ層、銀メッキ層またはアルミニウムメッキ層等のメッキ層を含む。代替的に、レーザ反射層4rは、ベース30に取り付けられるレーザ反射板(例えば、銅あるいは銅合金の板、または、アルミニウムあるいはアルミニウム合金の板)を含んでいてもよい。
【0126】
図35に記載の例では、昇温抑制表面4は、ベース30の第4方向DR4側の面の少なくとも一部を覆う熱伝導層4cの表面を含む。熱伝導層4cの熱伝導率は、ベース30の熱伝導率よりも高い。
【0127】
熱伝導層4cは、搬送プレート3のうちのレーザが照射された領域から、搬送プレート3のうちの他の領域に、速やかに熱を拡散する。また、熱伝導層4cの表面は、搬送プレート3の熱を搬送プレート3の周囲の空気に速やかに放熱する。こうして、レーザ照射に起因してベース30が熱変形することが抑制される。また、ベース30に圧縮塑性ひずみが生じることが抑制される。
【0128】
熱伝導層4cの熱伝導率は、例えば、150W/m・K以上、200W/m・K以上、あるいは、300W/m・K以上である。熱伝導層4cは、例えば、銅層、銀層またはアルミニウム層である。
【0129】
図36に記載の例では、昇温抑制表面4は、ベース30の第4方向DR4側の表面の少なくとも一部に接触配置される放熱部材40の表面を含む。図36に記載の例では、放熱部材40は、ベース30に取り付けられている。
【0130】
図36に記載の例では、放熱部材40は、ヒートシンク41を含む。ヒートシンク41は、複数の放熱片42(例えば、複数の放熱ピン42p、あるいは、複数の放熱フィン)を有していてもよい。ヒートシンク41は、例えば、アルミニウム製、銅製、または、セラミックス製である。
【0131】
放熱部材40は、搬送プレート3のうちのレーザが照射された領域から熱を受け取り、受け取った熱を放熱部材40の周囲の空気に放熱する。こうして、レーザ照射に起因してベース30が熱変形することが抑制される。また、ベース30に圧縮塑性ひずみが生じることが抑制される。
【0132】
図33乃至図36に記載の例では、ベース30は、モデルプレート9の前端部9fの形状に対応する形状を有する第1前端部3fと、モデルプレート9の中間部分9mの形状に対応する形状を有する第1中間部分3mと、モデルプレート9の後端部9eの形状に対応する形状を有する第1後端部3eとを有する。また、第1前端部3fは、モデルプレート9の凸状搬送面MU1の形状に対応する形状を有する凸状搬送面RU1を有する。更に、第1中間部分3mは、モデルプレート9の平状搬送面MF1の形状に対応する形状を有する平状搬送面RF1を有する。
【0133】
図13図16、および、図17に記載の例では、モデルプレート9の中間部分9mに第1レーザLB1が照射されることに起因して生じるモデルプレート9の撓みの大きさAM1(図16を参照。)が、モデルプレート9の前端部9fに第1レーザLB1が照射されることに起因して生じるモデルプレート9の撓みの大きさAM2(図17を参照。)よりも大きい。
【0134】
この場合、設計工程(換言すれば、モデルプレート9に基づいて搬送プレート3を設計する工程)は、主としてモデルプレート9の中間部分9mを覆う昇温抑制表面4(より具体的には、主としてモデルプレート9の平板部96mを覆う昇温抑制表面4)を、モデルプレート9に付加することにより、搬送プレート3を設計することを含むことが好ましい。
【0135】
換言すれば、図33乃至図36に例示されるように、設計工程(換言すれば、モデルプレート9に基づいて搬送プレート3を設計する工程)は、ベース30の第1中間部分3mの撓みが低減されるように、主として第1中間部分3mを覆う昇温抑制表面4を、ベース30に配置することを含むことが好ましい。
【0136】
上述の設計の第1例、上述の設計の第2例、および、上述の設計の第3例のうちの少なくとも2つが組み合わせられてもよい。
【0137】
例えば、図27に記載の例において、保護部材38の第3方向DR3側の表面の少なくとも一部にレーザ反射層4rが配置されてもよい。例えば、図31に記載の例において、搬送プレート3の第4方向DR4側の表面の少なくとも一部が熱伝導層4c(例えば、銅層、銀層またはアルミニウム層)によって構成されてもよい。
【0138】
(設計された搬送プレート3)
図27乃至図36に記載の例では、設計された搬送プレート3は、第1前端部3fと、第1後端部3eと、第1前端部3fと第1後端部3eとを接続する第1中間部分3mと、を有する。なお、搬送プレート3の第1前端部3fは、移動方向前方側の端部(換言すれば、第2方向DR2側の端部)であり、搬送プレート3の第1後端部3eは、移動方向後方側の端部(換言すれば、第2方向DR2とは反対側の端部)である。
【0139】
図27に例示されるように、搬送プレート3は、搬送面3uと、裏面3nとを有する。搬送面3uは、ドロス搬送時にドロスを支持する面である。裏面3nは、搬送プレート3において、搬送面3uとは反対側の面である。
【0140】
図27に例示されるように、搬送プレート3は、左端部3aと、右端部3bとを有する。搬送プレート3の左端部3aは、搬送プレート3の搬送面3uを第1後端部3eから第1前端部3fに向かう方向に見て、左側の端部であり、搬送プレート3の右端部3bは、搬送プレート3の搬送面3uを第1後端部3eから第1前端部3fに向かう方向に見て、右側の端部である。
【0141】
図27に記載の例では、搬送プレート3の第1前端部3fは、第1方向DR1に延在し第3方向に凸である凸状湾曲部31fを有する。また、搬送プレート3の第1前端部3fは、第1方向DR1に延在する凸状搬送面RU1を有する。凸状搬送面RU1は、凸状湾曲部31fの第3方向DR3側の面である。図27に記載の例において、凸状搬送面RU1は、第3方向DR3に凸な面(より具体的には、第3方向DR3に凸な湾曲面)であり、搬送プレート3の搬送面3uの一部を構成する。
【0142】
図27に記載の例では、モデルプレート9の第1後端部3eは、第1方向DR1に延在し第3方向DR3に突出する第1立設部33eを有する。
【0143】
図27に記載の例において、搬送プレート3の第1中間部分3mの前端は、第1方向DR1に延在する第1屈曲部34を介して第1前端部3f(より具体的には、凸状湾曲部31f)に接続されている。また、第1中間部分3mの後端は、第1方向DR1に延在する第2屈曲部35を介して第1後端部3e(より具体的には、第1立設部33e)に接続されている。
【0144】
図27に記載の例では、第1中間部分3mは、第1平板部36mを有する。また、第1中間部分3mは、第1方向DR1に延在する平状搬送面RF1を有する。平状搬送面RF1は、第1平板部36mの第3方向DR3側の面である。平状搬送面RF1は、搬送プレート3の搬送面3uの一部を構成する。
【0145】
図28に記載の例では、搬送プレート3の第1前端部3fは、ロッドを受容する複数の前方受容部32f(より具体的には、ロッドが挿入される複数の貫通孔部)を有する。また、搬送プレート3の第1前端部3fは、第1方向DR1に延在する凸状搬送面RU1を有する。凸状搬送面RU1は、搬送プレート3の第1前端部3fの第3方向DR3側の面である。図28に記載の例において、凸状搬送面RU1は、第3方向DR3に凸な面(より具体的には、第3方向DR3に凸な湾曲面)であり、搬送プレート3の搬送面3uの一部を構成する。
【0146】
図28に記載の例では、搬送プレート3の第1後端部3eは、他のロッドを受容する複数の後方受容部34e(より具体的には、他のロッドが挿入される複数の貫通孔部)を有する。また、搬送プレート3の第1後端部3eは、第1方向DR1に延在する第2の凸状搬送面RU2を有する。第2の凸状搬送面RU2は、搬送プレート3の第1後端部3eの第3方向DR3側の面である。図28に記載の例において、第2の凸状搬送面RU2は、第3方向DR3に凸な湾曲面であり、搬送プレート3の搬送面3uの一部を構成する。
【0147】
図28に記載の例において、搬送プレート3の第1中間部分3mは、第1平板部36mを有する。また、第1中間部分3mは、第1方向DR1に延在する平状搬送面RF1を有する。平状搬送面RF1は、第1平板部36mの第3方向DR3側の面である。平状搬送面RF1は、搬送プレート3の搬送面3uの一部を構成する。
【0148】
図31および図32に記載の例では、第1中間部分3mは、第1凹部Q1を有する。第1凹部Q1が存在することにより、平状搬送面RF1の面積が低減される。図31および図32に記載の例では、第1凹部Q1は、第4方向DR4に凹む。また、第1凹部Q1は、第1方向DR1に延在する。
【0149】
図27乃至図30に記載の例では、搬送プレート3は、ベース30と、ベース30に取り付けられる保護部材38とを有する。ベース30は、上述の第1前端部3fと、上述の第1中間部分3mと、上述の第1後端部3eと、を有する。ベース30は、例えば、鉄鋼製(より具体的には、熱間圧延軟鋼板製、冷間圧延鋼板製または冷間圧延ステンレス鋼板製)である。保護部材38については説明済みであるため、保護部材38についての繰り返しとなる説明は省略する。なお、保護部材38は、例えば、鉄鋼製(より具体的には、熱間圧延軟鋼板製、冷間圧延鋼板製または冷間圧延ステンレス鋼板製)である。
【0150】
図33および図34に記載の例では、搬送プレート3は、ベース30と、ベース30の第3方向DR3側の表面の少なくとも一部を覆うようにベース30に配置されたレーザ反射層4rと、を有する。ベース30およびレーザ反射層4rについては説明済みであるため、これらの構成についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0151】
図35に記載の例では、搬送プレート3は、ベース30と、ベース30の第4方向DR4側の表面の少なくとも一部を覆うようにベース30に配置された熱伝導層4cと、を有する。ベース30および熱伝導層4cについては説明済みであるため、これらの構成についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0152】
図36に記載の例では、搬送プレート3は、ベース30と、ベース30の第4方向DR4側の表面の少なくとも一部に接触配置される放熱部材40と、を有する。ベース30および放熱部材40については説明済みであるため、これらの構成についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0153】
搬送プレート3の長さ(より具体的には、搬送プレート3の第1方向DR1に沿う方向における長さ)は、例えば、1m以上3m以下である。
【0154】
搬送プレート3の幅(より具体的には、搬送プレート3の第2方向DR2に沿う方向における幅)は、例えば、40mm以上200mm以下である。
【0155】
搬送プレート3の板厚(例えば、搬送プレート3の第1中間部分3mの板厚)は、例えば、10mm以下、5mm以下、あるいは、3mm以下である。
【0156】
図27に記載の例では、ベース30の第1前端部3fの板厚は、略一定であり、ベース30の第1後端部3eの板厚は、略一定である。また、ベース30の第1中間部分3mの板厚は、略一定である。図27に記載の例では、ベース30の板厚は、全体として、略一定である。
【0157】
(第2の実施形態)
図1乃至図43を参照して、ドロス搬送コンベヤの製造方法について説明する。図37は、製造されたドロス搬送コンベヤ2の一例を模式的に示す概略斜視図である。図38は、搬送体CAの一部分を模式的に示す概略断面図である。図39は、搬送プレート3、および、第2搬送プレート3-2を含む一群の搬送プレートが周回軌道OBに沿って移動可能な様子を模式的に示す概略斜視図である。図40は、ヒンジ結合された複数の搬送プレート(3、3-2、3-3)が周回軌道OBに沿って移動可能な様子を模式的に示す概略斜視図である。図41は、搬送体CAの一部分を模式的に示す分解斜視図である。図42は、コンベヤ装置20がレーザ加工装置6に組み込まれた様子を模式的に示す概略断面図である。図43は、第2の実施形態におけるドロス搬送コンベヤの製造方法の一例を示すフローチャートである。
【0158】
第2の実施形態では、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。他方、第2の実施形態では、第1の実施形態で説明済みの事項についての繰り返しとなる説明は省略する。したがって、第2の実施形態において、明示的に説明をしなかったとしても、第1の実施形態において説明済みの事項を第2の実施形態に適用できることは言うまでもない。逆に、第2の実施形態で説明される全ての事項は、第1の実施形態に適用可能である。
【0159】
第2の実施形態におけるドロス搬送コンベヤの製造方法は、第1の実施形態において説明された「撓み量取得工程(第1ステップST1)」と、「設計工程(第2ステップST2)」とを備える。撓み量取得工程(第1ステップST1)および設計工程(第2ステップST2)については説明済みであるため、これらの工程についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0160】
第3ステップST3において、設計工程(第2ステップST2)の実行により設計された搬送プレート3が製造される。第3ステップST3は、搬送プレート製造工程である。設計された搬送プレート3については、第1の実施形態において説明済みであるため、設計された搬送プレート3についての繰り返しとなる説明は省略する。搬送プレート製造工程(第3ステップST3)は、例えば、設計された搬送プレート3の形状が得られるよう、鋼板を切断すること、および/または、鋼板を曲げ加工することを含んでいてもよい。
【0161】
図27乃至図30に例示されるように、設計された搬送プレート3が、ベース30と保護部材38とを有する場合には、搬送プレート製造工程(第3ステップST3)は、保護部材38をベース30に取り付けることを含む。保護部材38は、例えば、溶接、あるいは、ボルト等の固定部材を介して、ベース30に取り付けられる。搬送プレート製造工程(第3ステップST3)は、保護部材38の第3方向DR3側の表面の少なくとも一部に、レーザ反射層を配置することを含んでいてもよい。
【0162】
図33および図34に例示されるように、設計された搬送プレート3が、ベース30とレーザ反射層4rとを有する場合には、搬送プレート製造工程(第3ステップST3)は、ベース30の第3方向DR3側の表面の少なくとも一部にレーザ反射層4rを配置することを含む。搬送プレート製造工程(第3ステップST3)は、ベース30の第3方向DR3側の表面の少なくとも一部にレーザ反射層4rをメッキすることを含んでいてもよい。
【0163】
図35に例示されるように、設計された搬送プレート3が、ベース30と熱伝導層4cとを有する場合には、搬送プレート製造工程(第3ステップST3)は、ベース30の第4方向DR4側の表面の少なくとも一部に熱伝導層4cを配置することを含む。搬送プレート製造工程(第3ステップST3)は、ベース30の第4方向DR4側の表面の少なくとも一部に熱伝導層4cをメッキすることを含んでいてもよい。
【0164】
図36に例示されるように、設計された搬送プレート3が、ベース30と放熱部材40とを有する場合には、搬送プレート製造工程(第3ステップST3)は、放熱部材40をベース30に取り付けることを含む。放熱部材40は、例えば、溶接、あるいは、ボルト等の固定部材を介して、ベース30に取り付けられる。
【0165】
第4ステップST4において、コンベヤ装置20が製造される。第4ステップST4は、コンベヤ装置の製造工程である。コンベヤ装置の製造工程(第4ステップST4)では、上述の搬送プレート3を含む一群の搬送プレートが組み合わせられた搬送体CAを有するコンベヤ装置20(換言すれば、ドロス搬送コンベヤ2)が製造される。図37に記載の例では、コンベヤ装置20は、搬送体CAと、搬送体CAを周回軌道に沿って移動させる駆動装置29と、を有する。
【0166】
図37に記載の例では、一群の搬送プレートは、上述の搬送プレート3と、第2搬送プレート3-2と、第3搬送プレート3-3とを含む。また、搬送体CAは、一群の搬送プレート(3、3-2、3-3)と、一群の搬送プレートが取り付けられる無端部材21(より具体的には、無端チェーン22)と、を含む。第2搬送プレート3-2の形状および構造は、搬送プレート3の形状および構造と実質的に同一であってもよい。代替的に、第2搬送プレート3-2の形状および構造は、搬送プレート3の形状および構造と細部において異なっていてもよい。第3搬送プレート3-3の形状および構造は、搬送プレート3の形状および構造と実質的に同一であってもよい。代替的に、第3搬送プレート3-3の形状および構造は、搬送プレート3の形状および構造と細部において異なっていてもよい。
【0167】
図38に記載の例では、コンベヤ装置の製造工程(第4ステップST4)は、搬送プレート3の第1前端部3fと第2搬送プレート3-2の後端部3e-2とが重なり、搬送プレート3の第1後端部3eと第3搬送プレート3-3の前端部3f-3とが重なるように、搬送プレート3を、無端部材21(より具体的には、無端チェーン22)に取り付けることを含む。図38に記載の例では、搬送プレート3は、ボルトBTを介して、無端部材21(より具体的には、無端チェーン22)に取り付けられている。
【0168】
図38に記載の例では、一群の搬送プレートが組み合わせられた搬送体CAにおいて、搬送プレート3の第1前端部3fが第2搬送プレート3-2の後端部3e-2を覆い、第3搬送プレート3-3の前端部3f-3が搬送プレート3の第1後端部3eを覆っている。
【0169】
図37に記載の例では、コンベヤ装置の製造工程(第4ステップST4)の実行によって製造されたコンベヤ装置20Aは、搬送体CAと、複数のスプロケット28と、駆動装置29とを有する。
【0170】
搬送体CAは、搬送プレート3と、第2搬送プレート3-2と、第3搬送プレート3-3とを含む一群の搬送プレートと、一群の搬送プレートを支持する第1無端チェーン22aおよび第2無端チェーン22bと、を有する。図37に記載の例では、1群の搬送プレートの各々は、第1無端チェーン22aおよび第2無端チェーン22bに取り付けられている。
【0171】
図39に記載の例において、第1無端チェーン22aおよび第2無端チェーン22bは、駆動装置29によって、直接的または間接的に駆動される。より具体的には、第1無端チェーン22aは、第1周回軌道OB1に沿って進行するように、駆動装置29によって、直接的または間接的に駆動され、第2無端チェーン22bは、第1周回軌道OB1に平行な第2周回軌道OB2に沿って進行するように、駆動装置29によって、直接的または間接的に駆動される。第1周回軌道OB1と第2周回軌道OB2との間の間隔G1(換言すれば、第1方向DR1に沿う方向における第1周回軌道OB1と第2周回軌道OB2との間の距離)は、例えば、1m以上3m以下である。
【0172】
図39に記載の例では、複数のスプロケット28は、第1スプロケット28a、第2スプロケット28b、第3スプロケット28c、および、第4スプロケット28dを含む。第1無端チェーン22aは、少なくとも、第1スプロケット28aおよび第2スプロケット28bに係合している(より具体的には、第1無端チェーン22aは、少なくとも、第1スプロケット28aおよび第2スプロケット28bに掛け回されている。)。また、第2無端チェーン22bは、少なくとも、第3スプロケット28cおよび第4スプロケット28dに係合している(より具体的には、第2無端チェーン22bは、少なくとも、第3スプロケット28cおよび第4スプロケット28dに掛け回されている。)。
【0173】
図39に記載の例では、第1無端チェーン22aは、少なくとも第1スプロケット28aを介して、駆動装置29によって駆動され、第2無端チェーン22bは、少なくとも第3スプロケット28cを介して、駆動装置29によって駆動される。
【0174】
1群の搬送プレートは、周回軌道OBに沿って移動する。図39に例示されるように、1群の搬送プレートの周回軌道OBは、第1無端チェーン22aの第1周回軌道OB1と平行であり、第2無端チェーン22bの第2周回軌道OB2と平行である。
【0175】
図40および図41に記載のコンベヤ装置20Bは、1群の搬送プレートの各々が、他の搬送プレートとヒンジ結合されている点において、図37乃至図39に記載のコンベヤ装置20Aとは異なる。
【0176】
図40に記載の例では、一群の搬送プレートは、上述の搬送プレート3と、第2搬送プレート3-2と、第3搬送プレート3-3とを含む。また、搬送体CAは、一群の搬送プレート(3、3-2、3-3)と、一群の搬送プレートが取り付けられる無端部材21(より具体的には、無端チェーン22)と、を含む。第2搬送プレート3-2の形状および構造は、搬送プレート3の形状および構造と実質的に同一であってもよい。代替的に、第2搬送プレート3-2の形状および構造は、搬送プレート3の形状および構造と細部において異なっていてもよい。第3搬送プレート3-3の形状および構造は、搬送プレート3の形状および構造と実質的に同一であってもよい。代替的に、第3搬送プレート3-3の形状および構造は、搬送プレート3の形状および構造と細部において異なっていてもよい。
【0177】
図41に例示されるように、コンベヤ装置の製造工程(第4ステップST4)は、搬送プレート3の第1前端部3fと第2搬送プレート3-2の後端部3e-2とをヒンジ結合し、搬送プレート3の第1後端部3eと第3搬送プレート3-3の前端部3f-3とをヒンジ結合することを含む。
【0178】
図41に記載の例では、搬送プレート3の第1前端部3fおよび第2搬送プレート3-2の後端部3e-2の両方を通過するように第1ロッドRD1が配置されることにより、搬送プレート3の第1前端部3fと第2搬送プレート3-2の後端部3e-2とがヒンジ結合される。また、搬送プレート3の第1後端部3eおよび第3搬送プレート3-3の前端部3f-3の両方を通過するように第2ロッドRD2が配置されることにより、搬送プレート3の第1後端部3eと第3搬送プレート3-3の前端部3f-3とがヒンジ結合される。
【0179】
図40に例示されるように、コンベヤ装置の製造工程(第4ステップST4)は、搬送プレート3、第2搬送プレート3-2、および、第3搬送プレート3-3を、無端部材21(より具体的には、無端チェーン22)に取り付けることを含んでいてもよい。
【0180】
図40に記載の例では、コンベヤ装置の製造工程(第4ステップST4)の実行によって製造されたコンベヤ装置20Bは、搬送体CAと、複数のスプロケット28と、駆動装置29とを有する。
【0181】
搬送体CAは、搬送プレート3と、第2搬送プレート3-2と、第3搬送プレート3-3とを含む一群の搬送プレートと、一群の搬送プレートを支持する第1無端チェーン22aおよび第2無端チェーン22bと、を有する。図40に記載の例では、1群の搬送プレートは、第1無端チェーン22aおよび第2無端チェーン22bに取り付けられている。
【0182】
第1無端チェーン22a、第2無端チェーン22b、複数のスプロケット28、および、駆動装置29については説明済みであるため、これらの構成についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0183】
図42に例示されるように、コンベヤ装置の製造工程(第4ステップST4)は、搬送プレート3、第2搬送プレート3-2、および、第3搬送プレート3-3を含む一群の搬送プレートが、レーザ加工装置6のレーザヘッド61の直下の領域を横切るように、コンベヤ装置20をレーザ加工装置6に組み込むことを含んでいてもよい。この場合、レーザヘッド61から照射されるレーザLBによってワークW(例えば、板状ワーク)が加工され、ワークWを通過するレーザLBの一部は、搬送プレート3に達する。
【0184】
レーザ照射に起因するモデルプレート9の熱変形量は決して大きな量ではない。しかし、熱変形に起因する圧縮塑性ひずみがモデルプレート9に蓄積されると、モデルプレート9の円滑な移動が妨げられる可能性がある。これに対し、第1の実施形態あるいは第2の実施形態では、搬送プレート3は、レーザ照射に起因する熱変形量または圧縮塑性ひずみ量が低減されるように設計されている。よって、ワークWを通過するレーザLBの一部が搬送プレート3に達する場合でも、搬送プレート3の円滑な移動が妨げられない。特に、第2の実施形態におけるコンベヤ装置20が、レーザ出力が高出力化されたレーザ加工装置6に組み込まれる場合、円滑なドロス搬送に対するコンベヤ装置20の貢献が大きい。
【0185】
本明細書において、レーザ加工装置6のワーク支持部材63によって支持されるワークWの最下端をとおり水平面に平行な面のことを、ワーク支持面PL1と定義する(図42を参照。)。
【0186】
第1の実施形態あるいは第2の実施形態では、搬送プレート3は、レーザ照射に起因する熱変形量または圧縮塑性ひずみ量が低減されるように設計されている。よって、ワーク支持面PL1と1群の搬送プレートの周回軌道OBとの間の距離L1をより小さくすることができる。ワーク支持面PL1と1群の搬送プレートの周回軌道OBとの間の距離L1は、例えば、1m以下、0.9m以下、あるいは、0.8m以下である。当該距離L1が小さいことにより、レーザ加工装置6の高さ寸法を低減することができる。
【0187】
本発明は上記各実施形態または各変形例に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施形態または各変形例は適宜変形又は変更され得ることは明らかである。また、各実施形態または各変形例で用いられる種々の技術は、技術的矛盾が生じない限り、他の実施形態または他の変形例にも適用可能である。さらに、各実施形態または各変形例における任意付加的な構成は、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0188】
2…ドロス搬送コンベヤ、3…搬送プレート、3-2…第2搬送プレート、3-3…第3搬送プレート、3a…搬送プレートの左端部、3b…搬送プレートの右端部、3e…第1後端部、3e-2…後端部、3f…第1前端部、3f-3…前端部、3m…第1中間部分、3n…搬送プレートの裏面、3u…搬送プレートの搬送面、4…昇温抑制表面、4c…熱伝導層、4r…レーザ反射層、6…レーザ加工装置、9…モデルプレート、9-1…第1モデルプレート、9-2…第2モデルプレート、9a…モデルプレートの左端部、9b…モデルプレートの右端部、9e…モデルプレートの後端部、9f…モデルプレートの前端部、9m…モデルプレートの中間部分、9n…モデルプレートの裏面、9u…モデルプレートの搬送面、12…ドロス搬送コンベヤ、13…搬送プレート、13-1…第1搬送プレート、13-2…第2搬送プレート、20、20A、20B…コンベヤ装置、21…無端部材、22…無端チェーン、22a…第1無端チェーン、22b…第2無端チェーン、28…スプロケット、28a…第1スプロケット、28b…第2スプロケット、28c…第3スプロケット、28d…第4スプロケット、29…駆動装置、30…ベース、31f…凸状湾曲部、32f…前方受容部、33e…第1立設部、34…第1屈曲部、34e…後方受容部、35…第2屈曲部、36m…第1平板部、38…保護部材、38a…第1保護部材、38b…断熱材、38r…レーザ反射層の表面、40…放熱部材、41…ヒートシンク、42…放熱片、42p…放熱ピン、60…レーザ照射装置、61…レーザヘッド、63…ワーク支持部材、81…コンピュータ、91f…凸状湾曲部、92f…前方受容部、93e…立設部、94…第1屈曲部、94e…後方受容部、95…第2屈曲部、96m…平板部、381…第1板部、382…第2板部、383…屈曲部、A1…第1撓み、A2…第2撓み、B…基礎撓み量、BB1…屈曲部、BT…ボルト、C…第1撓み量、CA…搬送体、CF…切り落とし片、D…ドロス、DA1…第1データ、DA2…第2データ、DA3…第3データ、DA4…第4データ、DR1…第1方向、DR2…第2方向、DR3…第3方向、DR4…第4方向、DT1、DT2、DT3、DT4…データ、E3…第3撓み、E4…第4撓み、G1…間隔、HD…レーザヘッド、LB…レーザ、LB1…第1レーザ、MF1…平状搬送面、MU1…凸状搬送面、MU2…第2の凸状搬送面、OB…周回軌道、OB1…第1周回軌道、OB2…第2周回軌道、PL1…ワーク支持面、Q1…第1凹部、RD1…第1ロッド、RD2…第2ロッド、RF1…平状搬送面、RU1…凸状搬送面、RU2…第2の凸状搬送面、W…ワーク
【要約】
ドロス搬送用の搬送プレートの設計方法は、レーザ加工装置からワークにレーザが照射されることによって生成されるドロスを搬送する搬送プレートの基本モデルをモデルプレートと定義し、モデルプレートに第1レーザが照射されることに起因して生じるモデルプレートの撓み量を基礎撓み量と定義するとき、基礎撓み量を取得する工程と、モデルプレートに第1レーザが照射されるのと実質的に同じ条件で搬送プレートに第1レーザが照射されることに起因して生じる搬送プレートの撓み量を第1撓み量と定義するとき、第1撓み量が基礎撓み量よりも小さくなるように、モデルプレートに基づいて搬送プレートを設計する工程と、を具備する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
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図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43