(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-14
(45)【発行日】2024-05-22
(54)【発明の名称】粉末印刷中の粒子層の深さ及び厚さの制御
(51)【国際特許分類】
B05C 19/04 20060101AFI20240515BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240515BHJP
B05C 5/00 20060101ALI20240515BHJP
B05C 9/12 20060101ALI20240515BHJP
B05C 9/14 20060101ALI20240515BHJP
B05D 1/36 20060101ALI20240515BHJP
B05D 3/00 20060101ALI20240515BHJP
B05D 1/26 20060101ALI20240515BHJP
【FI】
B05C19/04
B41J2/01 129
B05C5/00 101
B05C9/12
B05C9/14
B05D1/36 Z
B05D3/00 D
B05D1/26 Z
(21)【出願番号】P 2019204332
(22)【出願日】2019-11-12
【審査請求日】2022-11-14
(32)【優先日】2018-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504407000
【氏名又は名称】パロ アルト リサーチ センター,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ウォーレン・ビー・ジャクソン
(72)【発明者】
【氏名】ケント・エイ・エヴァンス
(72)【発明者】
【氏名】ショーン・イー・ドリス
【審査官】伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0269983(US,A1)
【文献】特開2005-288286(JP,A)
【文献】特開2011-224957(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0154495(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 5/00- 21/00
B05D 1/00- 7/26
B41J 2/01,
2/165- 2/20,
2/21 ー 2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷システムであって、
基材の表面上に硬化性層を堆積させるように構成された液体エジェクタであって、前記層が、自由表面及び前記層と前記基材との間の境界面を有する、液体エジェクタと、
前記自由表面により近い第
2の領域が、前記境界面により近い第
1の領域よりも硬化しないように前記層を予備硬化するように構成された予備硬化装置であって、
前記層を重合する予備硬化イニシエータを提供するように構成された予備硬化イニシエータ源と、
前記層の重合を阻害するインヒビタを送達するように構成された予備硬化インヒビタ源と、
を備える、予備硬化装置と、
前記層が予備硬化された後に粒子を前記層に送達するように構成された粒子送達装置と、
前記層中の前記粒子の密度、深さ、厚さ、パターン、及び/又は濃度を制御するために、前記層の前記境界面により近い第1の領域が、前記層の前記自由表面により近い第2の領域よりも硬化されるように前記予備硬化装置を制御するよう構成されたコントローラと、
を備える、システム。
【請求項2】
前記予備硬化イニシエータ源が、紫外(UV)放射を発生させるように構成されたUV放射源を備え、
前記コントローラが、前記UV放射の強度を制御するように構成された、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記予備硬化インヒビタ源が、酸素を送達するように構成された酸素源を備え、
前記コントローラが、酸素の濃度を制御するように構成された、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記粒子が前記層の前記自由表面に送達された後に、前記層の前記第
2の領域を実質的に硬化させるように構成された硬化装置を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記粒子が送達された後に前記層の前記自由表面を加熱するように構成された加熱源及び加熱ローラの一方又は両方を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記予備硬化装置が、前記層の横方向軸及び長手方向軸の一方又は両方に沿って延在する前記予備硬化イニシエータの空間的パターンを提供するように構成され、前記予備硬化イニシエータの空間的パターンが、第1の量の前記予備硬化イニシエータを有する1つ以上の第1の
範囲を提供し、異なる第2の量の前記予備硬化イニシエータを有する1つ以上の第2の
範囲を提供する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記予備硬化イニシエータ源が、UV放射源のアレイを含み、前記予備硬化イニシエータが、UV放射を含み、
前記コントローラが、前記UV放射の前記空間的パターンを提供するために、前記UV放射源の各々の強度を独立して調節するように構成された、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記予備硬化装置が、
UV放射を含む前記予備硬化イニシエータを提供するように構成された少なくとも1つのUV放射源と、
前記少なくとも1つのUV放射源に光学的に結合された空間的パターン化装置と、を備え、前記少なくとも1つのUV放射源及び前記空間的パターン化装置が、UV放射の空間的パターンを提供するように構成されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記自由表面の横方向軸及び長手方向軸の一方又は両方に関して前記予備硬化イニシエータの勾配を生成するように構成された予備硬化イニシエータパターン化装置を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記
予備硬化イニシエータパターン化装置が、可動シャッタである、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
予備硬化インヒビタパターン化装置によって提供された予備硬化インヒビタの空間的パターンを提供するように構成された、前記予備硬化インヒビタパターン化装置を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
印刷システムの使用方法であって、
液体エジェクタにより、基材の表面上に硬化性層を堆積させることであって、前記層が、自由表面及び前記層と前記基材との間の境界面を有する、堆積させることと、
予備硬化装置により、前記層の前記境界面により近い第1の領域が、前記層の前記自由表面により近い第2の領域よりも硬化されるように、また前記第1の領域が前記自由表面から所定の距離に位置するように、前記層を予備硬化させること
であって、予備硬化イニシエータ源により前記層を重合する予備硬化イニシエータを提供することと、予備硬化インヒビタ源により前記層の重合を阻害するインヒビタを送達することとを含む、前記層を予備硬化させることと、
粒子送達装置により、粒子の
延在する深さが前記自由表面からの前記所定の距離によって制限されるように、前記層を予備硬化させた後に、前記層の前記自由表面に前記粒子を送達することと、
コントローラにより、前記層中の前記粒子の密度、深さ、厚さ、パターン、及び/又は濃度を制御するために、前記層の前記境界面により近い前記第1の領域が、前記層の前記自由表面により近い前記第2の領域よりも硬化されるように前記予備硬化装置を制御することと、
を含む、方法。
【請求項13】
前記粒子が前記自由表面に送達された後に、前記層を硬化させることを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記層を予備硬化させることが、予備硬化インヒビタの存在下で、予備硬化ガスを前記自由表面に向けて方向付けることを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の領域が前記自由表面から所定の距離に位置するように、前記UV放射の強度、前記酸素の濃度、及び前記層の温度のうちの1つ以上を制御することを含む、前記層の予備硬化を制御することを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記層を予備硬化させることが、酸素の存在下でUV放射を前記自由表面に向けて方向付けることを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記層を予備硬化させることが、
予備硬化イニシエータの空間的パターンを発生させることであって、前記空間的パターンが、前記層の横方向軸及び長手方向軸のうちの少なくとも1つに沿って前記第2の領域をパターン化するように構成されている、発生させることと、
前記自由表面の横方向軸及び長手方向軸の一方又は両方に関する、前記予備硬化イニシエータの勾配を発生させることと、のうちの少なくとも1つを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記層内
に帯状に配置された前記粒子の厚さを制御することと、
前記粒子を前記層の前記自由表面に送達した後に、前記粒子を再配向することと、
前記粒子を前記層の前記自由表面に送達した後に、前記自由表面の表面粗さを変更することと、のうちの少なくとも1つを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記層を予備硬化させ、前記粒子を前記自由表面に送達することが、前記層内の前記粒子の
延在する深さを制御することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記層の予備硬化後に、前記層の前記自由表面に前記粒子を送達することが、第2の種類の粒子を送達することを含み、
前記層を予備硬化する前に、第1の種類の粒子を前記層の前記自由表面に送達することを更に含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
インクジェット印刷システムは、液体インク中の粒子を使用して、インクに様々な特性を与え得る。液体インクに粒子を添加して、色、表面質感、不透明度、発光、及び/又は他の特性などの液体の特性を変化させることができる。
【0002】
本明細書に記載の実施形態は、基材の表面上に硬化性層を堆積するように構成された液体エジェクタを備える印刷システムを含み、この層は、自由表面及び層と基材との間の境界面を有する。予備硬化装置は、自由表面により近い第1の領域が、境界面により近い第2の領域よりも硬化しないように、層を予備硬化させる。予備硬化装置は、層を重合する予備硬化イニシエータを発生させるように構成された予備硬化イニシエータ源を含む。予備硬化装置はまた、層の重合を阻害するインヒビタを送達するように構成された予備硬化インヒビタ源も含む。粒子送達装置は、層が予備硬化された後に、層に粒子を送達する。
【0003】
いくつかの実施形態は、印刷方法を対象とする。硬化性層は、基材の表面上に堆積される。層は、自由表面と、層と基材との間の境界面とを有する。層は、層の境界面により近い第1の領域が、層の自由表面により近い第2領域よりも硬化されるように、予備硬化される。層が予備硬化された後に、層の自由表面に粒子が送達される。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】いくつかの実施形態による、粒子充填インク層を含む物品を形成するための印刷システム100のブロック図である。
【
図2】
図1に示されるシステムを使用して製作することができる物品である。
【
図3A】
図2の物品を形成する方法を示すフロー図である。
【
図3B】
図2の物品を形成する方法を示すフロー図である。
【
図3C】
図2の物品を形成する方法を示すフロー図である。
【
図3D】
図2の物品を形成する方法を示すフロー図である。
【
図3E】
図2の物品を形成する方法を示すフロー図である。
【
図3F】
図2の物品を形成する方法を示すフロー図である。
【
図3G】
図2の物品を形成する方法を示すフロー図である。
【
図3H】
図2の物品を形成する方法を示すフロー図である。
【
図4】
図1のシステムの予備硬化予備硬化装置及び/又は粒子堆積装置の様々な任意の構成を示すブロック図である。
【
図5】
図1のシステムの予備硬化予備硬化装置及び/又は粒子堆積装置の様々な任意の構成を示すブロック図である。
【
図6A】
図1のシステムの予備硬化予備硬化装置及び/又は粒子堆積装置の様々な任意の構成を示すブロック図である。
【
図6B】
図1のシステムの予備硬化予備硬化装置及び/又は粒子堆積装置の様々な任意の構成を示すブロック図である。
【
図7A】
図1のシステムの予備硬化予備硬化装置及び/又は粒子堆積装置の様々な任意の構成を示すブロック図である。
【
図7B】
図1のシステムの予備硬化予備硬化装置及び/又は粒子堆積装置の様々な任意の構成を示すブロック図である。
【
図7C】
図1のシステムの予備硬化予備硬化装置及び/又は粒子堆積装置の様々な任意の構成を示すブロック図である。
【
図8】
図1のシステムの予備硬化予備硬化装置及び/又は粒子堆積装置の様々な任意の構成を示すブロック図である。
【
図9】
図1のシステムの予備硬化予備硬化装置及び/又は粒子堆積装置の様々な任意の構成を示すブロック図である。
【
図10A】
図1のシステムの予備硬化予備硬化装置及び/又は粒子堆積装置の様々な任意の構成を示すブロック図である。
【
図10B】
図1のシステムの予備硬化予備硬化装置及び/又は粒子堆積装置の様々な任意の構成を示すブロック図である。
【
図11】
図1のシステムの予備硬化予備硬化装置及び/又は粒子堆積装置の様々な任意の構成を示すブロック図である。
【
図12】いくつかの実施形態による粒子後送達処理装置として使用される加熱器を示す図である。
【
図13】いくつかの実施形態による粒子後送達処理装置として使用される加熱器を示す図である。
【
図14】いくつかの実施形態による硬化後処理装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0005】
インクジェット印刷システムは、液体インク中の固体材料を使用して、インクに様々な特性を与えることができる。固体材料、例えば粒子は、液体の少なくとも1つの特性を変化させるように構成され得る。例えば、固体材料は、液体の色、表面の質感、不透明度、発光、及び/又は他の特性を変化させることができる。白色などの飽和色は、高い割合の固体材料を液体に使用することによって、より容易に達成することができる。場合によっては、液体の化学的特性は、例えば粉末処理を使用して制御され得る。
【0006】
多くの実装形態では、印刷中に粒子の位置、濃度及び/又は配向を制御して、印刷された品物の光学的、化学的、機械的、及び/又は電気的特性を制御することが有用である。表面の多くの重要な特性は、粒子の使用によって変更され、制御され得る。粒子は、顔料及び散乱粒子を使用して光を捕捉、散乱、及び/又は吸収することによって、飽和色などの光学特性を制御する。表面の拡散及び鏡面的な外観もまた、粒子によって制御することができる。粒子層の厚さは、散乱と吸収との関係に起因する層の視覚的外観の要因である。吸収層の下に散乱層を埋め込むことにより、層から放出される光の拡散成分が制御される。同様に、鏡面反射成分は、粒子層の表面侵入の深さによって制御される。
【0007】
更に、機械的表面粗さは、上部表面を貫通するか、又は表面の下の層に位置する粒子を有することによって変更され得る。更に、化学的及び/又は電気的特性は、表面付近に位置するか又は層内に埋め込まれた化学的に感応性の粒子によって制御することができる。これらの全ての場合において、表面からの粒子の深さ又は位置、密度、サイズ、配向、及び粒子層の厚さを制御することが重要である。
【0008】
本明細書に記載される実施形態は、基材上に液体インクのパターンを噴射し、続いてインク層の表面に粒子を塗布することによって物品を形成するための方法及びシステムを対象とする。物品の様々な有用な光学的、化学的、及び機械的特性は、インク層のバルク中の粒子の密度、深さ、厚さ、パターン、及び/又は濃度を制御することによって制御することができる。
【0009】
バルク及び/又は層の表面に存在する粒子の位置、濃度、配列、及び他の特性は、予備硬化、粒子堆積、及び/又は硬化パラメータを制御することによって調整することができる。例えば、予備硬化、粒子堆積、及び/又は硬化パラメータは、いくつかある特性の中でも特に、層内の粒子の深さ、層内の粒子の帯の厚さ、層内の粒子の濃度、粒子の濃度の勾配、粒子の表面濃度、粒子の配列を制御するように選択され得る。物品の表面特性は、層の表面における粒子の配列及び/又は濃度を制御することによって調整することができる。いくつかの構成では、1つ以上の追加の層を、粒子充填インク層上に堆積させることができる。
【0010】
図1は、いくつかの実施形態による、粒子充填インク層を含む物品を形成するための印刷システム100のブロック図である。システム100は、基材110の表面上に硬化性層120を堆積させるように構成された液体イジェクタ130を含む。例えば、紙、プラスチック、箔、布地、複合シートフィルム、セラミック、布地類、及びガラスなどの広範な様々な媒体が、基材110として使用され得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、液体イジェクタ130は、1つ以上のインクジェットを含む。各インクジェットは、オリフィスを通過して排出チャンバ空洞へと入る液体を保持するリザーバを含む。圧電トランスデューサ(piezoelectric transducer、PZT)アクチュエータなどのアクチュエータを作動させて、エジェクタノズルを通してインク液滴を排出させるのに十分な圧力波を排出チャンバ空洞内に生じさせることができる。液体イジェクタ130は、コントローラ150からの信号によって活性化され得る。
【0012】
堆積された液体層120は、層120と基材110との間の境界面に、自由表面122及び境界面121を有する。予備硬化装置140は、境界面層121により近い第1の領域131が、自由表面122により近い第2の領域132よりも硬化されるように、層120を硬化させる。予備硬化装置140は、層120の重合を開始するUV放射又はガスなどの予備硬化イニシエータを提供するように構成された予備硬化イニシエータ源141を含む。予備硬化装置はまた、層120の重合を阻害する予備硬化インヒビタを提供する予備硬化インヒビタ源142を含む。コントローラ150は、予備硬化イニシエータ源141及び予備硬化インヒビタ源142の動作の両方を含む予備硬化装置140を制御するように構成することができる。例えば、コントローラは、層120の自由表面122から所定の深さである、より硬化する領域131を得るために、予備硬化装置140を制御し得る。
【0013】
いくつかの実装形態では、予備硬化イニシエータ源141は、層にUV放射を照射するように構成された紫外(ultraviolet、UV)放射源を含む。いくつかの実装態様では、予備硬化イニシエータ源141は、層を加熱して層又は電子ビーム源を予備硬化させる熱源を含む。
【0014】
予備硬化インヒビタ源142は、O2ガスなどの予備硬化インヒビタを層120に供給するように構成されたガス源を含み得る。任意選択で、システム100は、予備硬化イニシエータ源141によって提供される予備硬化イニシエータ及び予備硬化インヒビタ源142によって提供される予備硬化インヒビタの一方又は両方と相互作用して相対的により硬化する及びより硬化しない領域のパターンを形成するパターン化装置143を含み、パターンは、層120を横方向(y軸に沿って)及び/又は長手方向(x軸に沿って)に延在する。
【0015】
粒子送達装置160は、層120が予備硬化された後に粒子を層120に送達するように構成されている。粒子送達装置160は、Laval型膨張管に形成された本体を含み得る。空気、CO2、エッチング剤などの担体を本体に注入して、管内に噴射剤流を形成する。1つ以上のチャネルは、粒子を噴射剤流に送達し、次いで、高速で表面122に向かって排出される。
【0016】
いくつかの実施形態では、システム100は、粒子送達後処理装置165を任意選択的に含み得る。いくつかの実施形態では、粒子堆積後処理は、層が硬化される前に、自由表面上に追加層を堆積させることを含み得る。別の例として、粒子送達後処理装置165は、粒子が送達された後及び層が最終的に硬化される前に、層の表面特性を変化させるために層の表面を加熱する加熱器又は加熱ローラを含み得る。加熱器又は加熱ローラを操作して、粒子を表面に配列し、及び/又は粒子を層のより深くに押し込み、表面から離して表面を滑らかにすることができる。粒子送達後処理装置165は、層120のバルク及び/又は表面特性を変化させるために、様々な他のプロセスを実行得る。
【0017】
システム100は、粒子が送達され、粒子送達後処理が実行されている後に、層120を硬化させるように構成された硬化装置180を含む。多くの実装態様において、硬化は、硬化インヒビタの非存在下で実施され得る。例えば、硬化装置180は、強いUV放射、熱源、又は電子ビーム源を送達するように構成されたUV放射源を含み得る。任意選択的に、システムは、硬化後処理装置185を含み得る。例えば、硬化後処理装置185は、層上に1つ以上の追加層を堆積させる堆積装置、又は硬化層に表面処理を提供する装置を含むことができる。
【0018】
実施形態は、物品を処理するためのシステム構成要素の動作を制御するために、システム構成要素130、140、143、160、180、185のうちの1つ以上に結合されたコントローラ150を含み得る。いくつかの実施形態は、物品が形成されているときに、基材110をシステム構成要素130、140、143、160、180、185に対して処理するための位置に移動させるようにコントローラ150によって操作され得る移動機構を含む。
【0019】
いくつかの実施形態によれば、予備硬化イニシエータ源141は、硬化ガス源を含んでもよく、予備硬化インヒビタ源は、硬化インヒビタガス源を含む。硬化ガスは、層120内により深く(z軸に沿って)浸透するガスであり得、硬化インヒビタガスは、硬化ガスより深く層120内に浸透する。コントローラ150は、硬化ガス及び硬化阻害ガスの相対濃度を制御して、より硬化しない層120内の領域132と、より硬化する層120内の領域131とを達成するように構成され得る。
【0020】
図2は、
図1に示されるシステム100を使用して製作することができる物品200である。
図2に示される物品200は、本明細書で論じられるアプローチに従って得ることができる異なるバルク及び/又は表面特性を示すいくつかのセクション201~205を有する。物品200は、x軸が、長手方向軸とも称され、y軸が、横方向軸とも称され、z軸が、深さ軸とも称される、x、y、z座標系を参照して示されている。
【0021】
例えば、物品200のセクション201は、厚さtを有する粒子299の帯201aを含み、帯201aより上の領域201b及び帯201aより下の領域201cにおける粒子299の濃度は、帯201aにおける粒子299の濃度より低い。
【0022】
セクション201はまた、x軸に沿った粒子の濃度勾配201dを示し、粒子299の濃度は、
図2中の左から右までの距離で増加する。セクション201及び202では、粒子299は、深さ軸(
図2中z軸)に沿って深さdまで延在する。セクション202では、一部の粒子299の少なくとも一部が層250の表面202aの上方に延在する。
【0023】
セクション203では、層220の表面202aにおける細長い粒子299は、それらの長軸が層220の平面内に置かれるように互いに整列される。セクション204は、長手方向軸に沿って延在する層220のパターン化を示す。サブセクション204aは、長手方向位置x1とx2との間に配置され、サブセクション204bは、長手方向位置x2とx3との間に配置される。サブセクション204a内の粒子は、層220内の深さdaまで延在し、サブセクション204b内の粒子299は深さdbまで延在する。セクション205では、追加層205aが層220の自由表面202aの上に堆積されている。
【0024】
図3Aは、いくつかの実施形態による物品の形成方法を示すフロー図である。液体硬化性層を基材上に堆積させる(301)。硬化性層を、層の自由表面により近い第1の領域が、層と基材との間の境界面により近い第2の領域よりも硬化しないように、予備硬化させる(310)。層を予備硬化させた後に粒子を自由表面に送達し(320)、粒子積層を硬化させる(330)。任意選択で、粒子を、予備硬化ステップ310の前及び後に硬化性層の自由表面に送達する。いくつかの実施形態において、予備硬化ステップ310の前に送達する粒子は、予備硬化ステップ310の後に送達する粒子と同じ種類であり得る。代替的に、予備硬化ステップ310の前に送達する粒子は、予備硬化ステップ310の後に送達する粒子とは異なる種類の粒子であってもよい。予備硬化ステップ310の前に送達する粒子は、様々な方法で層内に分散させてもよく、例えば、均一に分散させてもよいか、又は帯状に配置してもよい。
【0025】
図3Bは、
図2のセクション201及び202などのセクションを含む物品を形成する方法を示すフロー図であり、
図2では、粒子299が、層内で所定の深さまで延在している。
図3Bの方法によれば、層を予備硬化させることは、予備硬化領域が層及び基材の自由表面から所定の距離に位置するように、予備硬化イニシエータ及び/又は予備硬化インヒビタを制御すること(311)を含む。例えば、予備硬化イニシエータ源を制御することは、予備硬化イニシエータの量を調節すること、例えば、UV放射の強度を調節すること、又は硬化ガスの濃度を調節することなどを伴い得る。予備硬化インヒビタ源を制御することは、例えば、N
2のフラッディングにより周囲の大気中のO
2の濃度を制御することにより、硬化インヒビタの濃度を制御することを伴う。
【0026】
図3Cは、
図2のセクション201などのセクションを含む物品を形成するための方法オペレーティングシステム100を示すフロー図であり、
図2では、粒子299が、層内で帯状に配置されている。粒子を自由表面に送達した(320)後、この方法は、粒子を自由表面からより硬化した第1の領域に向かって沈殿させる所定の時間待機すること(321)を伴うことができる。代替的に又は付加的に、予備硬化装置は、粘度を低減するために層を加熱するように構成された加熱器を含むことができ、
図2に示されるように、粒子が帯状に沈殿することを可能にする。
【0027】
図3Dは、
図2のセクション201のように、粒子の所定の濃度又は層のバルク内の粒子濃度勾配を有する物品を形成するシステム100の動作方法を示すフロー図である。この方法によれば、層の自由表面に粒子を送達することは、粒子の堆積速度を制御すること(322)を含む。堆積速度は、例えば、線状に変化して、
図2のセクション201のように粒子の濃度勾配を達成することができる。
【0028】
図3Eは、
図2のセクション202のように、粒子の所定の濃度又は層の表面における粒子濃度勾配を有する物品を形成する方法を示すフロー図である。この方法によれば、層の自由表面に粒子を堆積させることは、層表面の上方に延在する少なくとも一部を有する粒子の所望の濃度を達成するように粒子の堆積速度を制御すること(323)を含む。粒子の堆積速度は、表面における、かつ/又はバルク中の粒子の濃度勾配又はパターンを達成するように変化させることができる。
【0029】
図3Fは、
図2のセクション203のような、粒子が表面で整列され、かつ/又は層の表面内に押し下げられた物品を形成する方法を示すフロー図である。この方法によれば、層の自由表面に粒子を堆積させることは、層表面の上方に延在する少なくとも一部を有する粒子の所望の濃度を達成するように粒子の堆積速度を制御すること(323)を含む。粒子の堆積後、層の粘度は、例えば、層を加熱することによって低減され得る(324)。粘度を低下させることにより、粒子は層内に更に沈む。粒子が示されるように細長くなると、粘度を低下させることにより、粒子を表面付近でより整列させることができる。付加的に又は代替的に、粒子は、例えば加熱ローラによって加熱熱及び加圧に供されてもよい(325)。熱及び/又は圧力を、層内の粒子の整列及び/又は沈殿を促進して、層の所望の表面特性を達成する。
【0030】
図3Gは、
図2のセクション204のように、粒子が層内で横方向又は長手方向にパターン化された物品を形成する方法を示すフロー図である。この方法によれば、層を予備硬化させることは、硬化イニシエータ及び/又は硬化インヒビタを層に向けて方向付けること(311)を含む。予備硬化イニシエータ及び/又は予備硬化インヒビタの一方又は両方を、パターン化装置と相互作用させて(312)、
図2の204a及び204bに示されるように、より硬化した領域及びより硬化していない領域の横方向及び/又は長手方向パターンを形成する。例えば、硬化イニシエータがUV放射である場合、予備硬化イニシエータパターン化装置は、シャドウマスク、可動シャッタ、及び液晶装置、デジタルマイクロミラー装置(digital micromirror device、DMD)グレーティングライトバルブ(grating light valve、GLV)、音響光学変調器(acousto-optic modulator、AOM)、ポリゴンミラーラスタ出力スキャナ(raster output scanner、ROS)などの他の種類のパターン化装置を備えてもよい。いくつかの実施形態において、予備硬化イニシエータパターン化装置は、硬化イニシエータ源の配列と、硬化イニシエータの空間的パターンを生成するために、硬化イニシエータ源の各々の強度を調節するように構成されたコントローラと、を含み得る。予備硬化後、粒子は層内に堆積され、層内の粒子の深さは、より硬化する領域及び硬化しない領域のパターンに従ってパターン化される。いくつかの実施形態では、システムは、硬化インヒビタの空間的パターンを提供するように構成された、予備硬化インヒビタパターン化装置を含んでもよい。
【0031】
図3Hは、
図2のセクション205に示されるように、1つ以上の追加層が層の表面上に形成される物品の形成方法を示すフロー図である。層を硬化させた後(330)、層の表面上に1つ以上の層を堆積させ得る(331)。例えば、いくつかの実施形態では、1つ以上の追加層は、例えば光散乱層又は鏡面層などの層に特定の光学特性を付与するように選択され得る。例えば、パターン化装置は、シャドウマスク、可動シャッタ、又は液晶装置、デジタルマイクロミラー装置(DMD)グレーティングライトバルブ(GLV)、音響光学変調器(AOM)、及び/又はラスタ出力スキャナ(ROS)などの他の種類のパターン化装置を備えてもよい。
【0032】
図4~
図11は、システム100の予備硬化装置140及び/又は粒子堆積装置160の様々な任意の構成を示すブロック図である。
図4は、基材410上に配置された層420の自由表面側に位置する予備硬化イニシエータ源441を示す。予備硬化イニシエータ源441は、硬化イニシエータ491を自由表面422に向けて送達する。多くの実装形態では、予備硬化イニシエータ源421はUV放射源であるが、代替的に、熱エネルギーを送達する熱源、e-ビーム硬化エネルギーを送達する電子ビーム源、又は硬化ガスを層420に送達するガス源など、他の種類の予備硬化イニシエータ源を使用することができる。
図4は、O
2などの硬化インヒビタガス492を自由表面422に向けて送達するように位置決めされた予備硬化インヒビタ源442を示す。自由表面422における硬化インヒビタ492の存在は、自由表面422付近の領域432における硬化を阻害する。層420のより深い領域431では、硬化イニシエータ491が硬化領域431への硬化インヒビタ492の効果を克服するように、硬化インヒビタ492の効果が減少する。硬化イニシエータ491の量及び/又は硬化インヒビタ492の量は、コントローラ(
図4には示されていないが
図1を参照して先に述べた)によって制御されて、層420の第1の(より硬化する)領域431及び第2の(より硬化しない)領域432の相対厚さを制御することができる。
【0033】
図5は、基材510に近接して位置決めされた予備硬化イニシエータ源541を示す。基材510は、硬化イニシエータ591が最小限又は十分に少ない減衰量で基材510を通過できるように構成され、基材510と層520との間の境界面521でいくらかの予備硬化が生じることを可能にする。予備硬化インヒビタ源542は、硬化インヒビタガス592を自由表面522に送達するように位置決めされる。自由表面522における硬化インヒビタ592の存在は、自由表面付近の領域532における硬化を阻害する。層520のより深い領域531では、硬化インヒビタ592の効果が減少する。硬化イニシエータ591は、硬化インヒビタ592の硬化領域531への影響を克服する。硬化イニシエータ591の量、例えば、UV放射の強度及び/又は硬化インヒビタ592の量、例えば、硬化インヒビタガスの濃度は、コントローラ(
図5には示されていないが
図1を参照して先に述べた)によって制御されて、層520のより硬化する領域531及びより硬化しない領域532の相対厚さを制御することができる。
【0034】
特定の一実施形態では、UV放射硬化エネルギーは、UV透過性基材を通って光学的に厚い硬化性層内に透過される。UV放射の強度は、自由表面522に接近するz軸に沿った距離でオフになり、一方、インヒビタの濃度は、自由表面522に近づくにつれて増加する。UV透過性基材の使用により、UV放射及びインヒビタの両方が、UV及びインヒビタ濃度の両方が減少するように、自由表面に送達される構成と比較して異なるレベルの制御を可能にする。
【0035】
図6Aは、
図4又は
図5に関連して説明したように、層620が予備硬化された後に、基材610上に配置された層620の自由表面622に粒子699を堆積させるプロセスにおける粒子堆積装置660を示している。第2の(より硬化しない)領域632は、粒子が、より硬化しない領域に埋まることを可能にするように十分に未硬化である。第1の(より硬化する)領域631は、粒子が層620の自由表面622から深さ、d、未満に沈むのを防ぐために十分に硬化される。より硬化しない領域631中の粒子699の濃度は、粒子堆積装置660からの粒子699の流量を制御することによって制御することができる。
図6Bに示されるように、いくつかの実施態様では、粒子堆積装置660は、粒子699のいくらかの部分が自由表面622の上方延在するまで粒子699を堆積させるように構成され得る。
【0036】
図7A~
図10Bに示されるように、いくつかの実施形態では、より硬化する731及びより硬化しない732領域を横方向及び/又は長手方向にパターン化することができ、粒子の深さを層720にわたって横方向及び/又は長手方向に変化させることができる。いくつかの実装形態は、硬化イニシエータ及び硬化インヒビタの一方又は両方をマスクする1つ以上のマスクの使用を伴う。
【0037】
図7Aは、予備硬化イニシエータ791を遮断するためのマスク743の使用を示すブロック図である。
図7Aは、硬化インヒビタ792を自由表面722に送達するように位置決めされた予備硬化インヒビタ源742を示す。予備硬化イニシエータ源741は、層720の自由表面722に近接し、自由表面722に向けて方向付けられもする硬化イニシエータ791を提供する。フォトリソグラフィマスク、シャドウマスク、又は任意の他の種類のマスクであり得る、マスク743は、領域734内の自由表面722に向けられた硬化イニシエータ791をブロック又は減衰させ、硬化イニシエータ791を領域733内の自由表面722に実質的に通過させる。
【0038】
領域733において、自由表面722における硬化インヒビタ792の存在は、自由表面722付近の領域732における硬化を阻害する。層720のより深い領域731では、硬化イニシエータ791が領域734の硬化領域731への硬化インヒビタ792の効果を克服するように、硬化インヒビタ792の効果が減少する。硬化イニシエータの量、例えば、UV放射エネルギー791の強度及び/又は硬化インヒビタの量、例えば、硬化インヒビタガス792の流量は、コントローラによって調整されて、領域734内の層720のより硬化する領域731及びより硬化しない領域732の相対厚さを制御することができる。層720の領域734において、硬化イニシエータ791は、領域734が層720の深さを通って未硬化のままであるようにブロックされる。
【0039】
図7Bは、基材710が、硬化イニシエータ791に対して実質的に透明である構成を示す。予備硬化イニシエータ源741は、基材710に近接して位置し、マスク743は、基材710と硬化イニシエータ源741との間に配置される。層720の領域734では、マスク743は、硬化イニシエータ791が層720に到達するのをブロック又は減衰させる。領域733において、マスク743は、硬化イニシエータ791を基材710まで通過させる。基材710は、硬化イニシエータ791を境界面721へ、かつ層720内に透過させる。
【0040】
領域733において、自由表面722における硬化インヒビタ792の存在は、自由表面722付近の領域732における硬化を阻害する。層720のより深い領域731では、硬化イニシエータ791が領域734の硬化領域731への硬化インヒビタ792の効果を克服するように、硬化インヒビタ792の効果が減少する。硬化イニシエータの量、例えば、UV放射エネルギー791の強度及び/又は硬化インヒビタの量、例えば、硬化インヒビタガス792の流量は、コントローラによって調整されて、領域733内の層720のより硬化する領域731及びより硬化しない領域732の相対厚さを制御することができる。層720の領域734において、硬化イニシエータ791は、層720に到達することをブロックされ、その結果、領域734は層720の深さを通って未硬化のままである。
【0041】
図7Cは、基材710自体がマスクを形成する構成を示す。
図7Cに示されるように、基材710は、硬化イニシエータ791に対して実質的に透明である第1の長手方向位置にある第1のセクション711と、硬化イニシエータ791をブロックする第2の長手方向位置にある第2のセクション712と、を含む。予備硬化イニシエータ源741は、基材710に近接して位置している。層720の領域734では、基材セクション712は、硬化イニシエータ791が層720に到達するのをブロック又は減衰させる。領域733では、基材セクション711は、硬化イニシエータ791を境界面721へ、かつ層720内に透過させる。
【0042】
領域733において、自由表面722における硬化インヒビタ792の存在は、自由表面722付近の領域732における硬化を阻害する。層720のより深い領域731では、硬化イニシエータ791が領域733の硬化領域731への硬化インヒビタ792の効果を克服するように、硬化インヒビタ792の効果が減少する。硬化イニシエータの量、例えば、UV放射791の強度及び/又は硬化インヒビタの量、例えば、硬化インヒビタガス792の流量は、コントローラによって調整されて、領域733内の層720のより硬化する領域731及びより硬化しない領域732の相対厚さを制御することができる。層720の領域734において、硬化イニシエータ791は、層720に到達することをブロックされ、その結果、領域734は層720の深さを通って未硬化のままである。
【0043】
図8は、基材810上に配置された層820の自由表面822に硬化インヒビタ892を送達するように位置決めされた予備硬化インヒビタ源842を示す。予備硬化イニシエータ源841は、層820の自由表面822に近接し、自由表面822に向けて方向付けられもする硬化イニシエータ891を提供する。マスク843は、硬化インヒビタ892が領域833の自由表面822に到達するのをブロック又は減衰させ、硬化インヒビタ892を制限なしに領域834の自由表面822に通過させる。いくつかの実施形態において、マスク843は、硬化イニシエータ891がマスク843を通過することを可能にするように構成される。いくつかの実施形態において、マスク843は、硬化イニシエータ891を少なくとも部分的にブロックするが、硬化イニシエータ891は、領域834から広がり出て、領域833内の層831の硬化を可能にする。例えば、硬化イニシエータ891は、いくつかの実装形態において、層831の均一な硬化を提供するのに十分に広がり出ることができる。
【0044】
領域833において、自由表面822に到達する制限された量の硬化インヒビタ892は、領域833内でより多くの硬化が生じることを可能にする。制限されていない硬化インヒビタ892の存在は、領域834における硬化が少ない。領域833内のより硬化する領域831は、領域834内のより硬化する領域831の厚さと比較して、深さ軸に沿って厚くなる。自由表面から測定されたより硬化する領域831の深さは、領域834内の自由表面822から測定される、より硬化する領域831の深さと比較して、面積833において822小さい。
【0045】
図9は、
図7A~
図8に関連して説明したように、層920が予備硬化された後に、基材910上に配置された層920の自由表面922に粒子999を堆積させるプロセスにおける粒子堆積装置960を示している。より硬化しない領域932は、粒子が層920のより少ない材料に埋め込まれることを可能にするように十分に未硬化である。より硬化する領域931のパターンは、粒子999が、領域933内の層920の自由表面922からの深さ、d1の下に沈むことを防ぎ、領域934内の自由表面922からの深さ、d2の下に沈むことを防止すし、ここで、d1<d2である。
図9に示されるように、いくつかの実施形態では、深さd2は、層920と基材901との間の境界面921に実質的に延在し得る。
【0046】
図10A~
図11は、層1020、1120のより硬化する及びより硬化しない領域1031、1131、1032、1132のより複雑な横方向及び/又は長手方向のパターン化を可能にするシステム実装形態を示している。
図10Aは、より硬化する領域1031のパターン化は、例えば、矢印1098によって示される方向に沿って、層1020に対して横方向及び/又は長手方向に移動することができるシャッタ1043を使用して成し遂げられる。予備硬化インヒビタ源1042は、基材1010上に配置された層1020の自由表面1022に予備硬化インヒビタ1092送達するように配設される。予備硬化イニシエータ源1041は、層1020の自由表面側に位置し、予備硬化イニシエータ1091を自由表面1022に向けて方向付ける。
【0047】
可動シャッタ1043は、予備硬化イニシエータをブロック又は減衰させ、方向1098に沿って移動する。シャッタ1043を移動させて、図示される勾配パターンを含む、より硬化する及びより硬化しない領域1031、1032内に様々なパターンを提供することができる。図示される直線勾配パターンは、シャッタ1043が方向1098に沿って一定速度で移動されるときに達成され得る。一定速度では、シャッタ1043の滞留時間は、シャッタの滞留時間が短い他の領域に対して、これらの領域においてより長い時間期間にわたって、予硬化イニシエータ1091が自由表面1022に到達するのを防止する自由表面1022のある領域に対してより長い。自由表面1022からのより硬化する領域1031の距離dは、シャッタ1043が予備硬化イニシエータ1091をブロックする時間の関数である。
【0048】
図10Bでは、より硬化する領域1031のパターン化は、パターン化マスク1044を使用して達成される。マスク1044は、他の領域と比較していくつかの領域でより多くの予備硬化イニシエータをブロック又は減衰させ、より硬化する領域1031の可変深さをもたらす。マスク1044は、図示される勾配パターンを含む、より硬化する及びより硬化しない領域1031、1032内に様々なパターンを設計することができる。予備硬化イニシエータ1091が光放射である実施形態では、マスクは、1つ又は2つの寸法において予備硬化イニシエータ1091の強度を空間的にパターン化することができる装置1044とすることができる。この実装形態に好適な装置としては、例えば、液晶装置、デジタルマイクロミラー装置(DMD)、グレーティングライトバルブ(GLV)、音響光学変調器(AOM)、及び/又はラスタ出力スキャナ(ROS)が挙げられる。
【0049】
図11は、
図10A及び
図10Bに関連して説明したように、層1120が予備硬化され、パターン化された後に、層1120の自由表面1122に粒子1199を堆積させるプロセスにおける粒子堆積装置1160を示している。より硬化しない領域1132は、粒子が層1120のより硬化性の低い材料に埋め込まれることを可能にするように十分に未硬化である。より硬化する及びより硬化しない領域1131、1132のパターンは、粒子1199が、層1120の自由表面1122から深さdより下に沈むのを防ぎ、ここでdは、この実施形態では、xと線形に変化する。より硬化しない領域1132中の粒子1199の濃度は、粒子の堆積速度を制御することによって制御することができる。例えば、いくつかの実施形態では、粒子1199の濃度は、dが位置と共に直線的に変化しても、実質的に一定であり得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、例えば、粒子を表面に配列することによって、及び/又は粒子を硬化性材料内に押し下げることによって、及び/又は他の変更によって、層の表面を変更することが望ましい場合がある。
図1に示されるように、システム100は、粒子が堆積された後、かつ層が完全に硬化される前に層を処理するための粒子送達後処理装置165を含み得る。いくつかの実施形態では、
図12に示され、粒子送達後処理は、粒子1299がより硬化しない領域1232内に更に沈殿するように、より硬化しない領域1232の粘度を減少させることを含み得る。沈殿中、細長い粒子1299は、それらの長軸が層1220の平面内に概ね置かれるように、再配向又は整列し得る。粒子の再配向は、それらを層中に沈ませて表面粗さを低減させる。いくつかの実施形態では、粘度を低下させることは、
図12に示されるように、層1220の自由表面1222に向かって熱を方向付ける加熱器1265を使用して実施され得る。
図12に示されるように、加熱器1265を用いた表面処理は、自由表面1222の一部の領域1222aが熱処理され、他の領域1222bが処理されないようにパターン化することができる。
【0051】
粒子送達後処理は、熱及び圧力の両方を自由表面に適用することを含むことができる。
図13は、粒子1399が堆積された後に、自由表面1322に熱及び圧力の両方を適用する加熱ローラ1365を示す。ローラ1365からの熱及び圧力は、粒子1399をより硬化しない領域1332内に押し下げることができ、細長い粒子1399の配列をもたらし得る。層内の粒子を押し下げること及び整列させることにより、表面粗さを低減することができる。いくつかの実装形態では、加熱ローラ1365は、実質的に自由表面1322全体にわたって適用され得る。代替的に、加熱ローラ1365は、自由表面1322の一部の領域のみが熱及び加圧処理されるように、自由表面1322の選択された領域のみに適用され得る。
【0052】
硬化後処理は、粒子送達に続く硬化ステップ後に、自由表面に適用され得る。硬化後処理は、例えば、硬化した自由表面の表面処理及び/又は追加の層の堆積を含み得る。
図14は、粒子1499が堆積され、層1420が硬化された後に、層1420の自由表面1422上に追加層1486を堆積させる堆積装置1485による硬化後処理を示す。
【0053】
本明細書で論じられるアプローチは、インクジェット/粉末ジェット印刷プロセスは、UVインクのインクジェットパターン、続いて粉末塗布、及び最終的に硬化プロセスによる、横方向解像度及び粒子充填の別個の制御を可能にするインクジェット/粉末ジェット印刷プロセスを伴う。開示されるアプローチは、層内の微粒子の深さ、厚さ、及び濃度を制御する能力を提供する。様々な実施形態によれば、制御されたO2濃度及びUV光強度の存在下でのUV硬化性インクの予備硬化は、UV硬化性インク内の微粒子の正確な制御を可能にする。この制御は、印刷パターンの化学的、光学的、及び機械的特性が、制御されることを可能にする。本明細書で論じられるシステム及び方法は、フィルムの高品質の機械的特性を保証するのに役立つ。開示されるアプローチは、大きな粒子密度を含む他の方法、及び高解像度の広範な粒子との相溶性を含む他の方法に勝る粉末インクジェットの有用性を維持する。
【0054】
別途記載のない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される特徴サイズ、量、及び物理的特性を表す全ての数は、全ての場合において、用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。したがって、反対に指示されない限り、前述の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本明細書に開示される教示を利用して当業者が得ようとする所望の特性に応じて変化し得る近似値である。端点による数値範囲の使用は、その範囲内の全ての数(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)、及びその範囲内の任意の範囲を含む。
【0055】
上述のコントローラの様々な実施形態は、相互作用して特定の結果を提供する回路及び/又はソフトウェアモジュールを使用して実装され得る。当業者は、当該技術分野において一般的に知られている知識を使用して、モジュール式レベル又は全体でのいずれかで、そのような記載された機能を容易に実施することができる。例えば、本明細書に示されるフローチャートは、プロセッサによる実行のためのコンピュータ可読命令/コードを作成するために使用され得る。このような命令は、コンピュータ可読媒体上に記憶され、当該技術分野において既知のように実行するためにプロセッサに転送され得る。上記の構造及び手順は、上述したようなインクジェットエジェクタの診断を容易にするために使用することができる実施形態の代表的な例に過ぎない。