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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-14
(45)【発行日】2024-05-22
(54)【発明の名称】給湯装置および給湯システム
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/18 20220101AFI20240515BHJP
   F24H 15/215 20220101ALI20240515BHJP
   F24H 15/223 20220101ALI20240515BHJP
   F24H 15/238 20220101ALI20240515BHJP
   F24H 15/335 20220101ALI20240515BHJP
   F24H 15/36 20220101ALI20240515BHJP
   F24H 15/443 20220101ALI20240515BHJP
   F24H 15/486 20220101ALI20240515BHJP
【FI】
F24H1/18 H
F24H15/215
F24H15/223
F24H15/238
F24H15/335
F24H15/36
F24H15/443
F24H15/486
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020110485
(22)【出願日】2020-06-26
(65)【公開番号】P2022022553
(43)【公開日】2022-02-07
【審査請求日】2023-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100203862
【弁理士】
【氏名又は名称】西谷 香代子
(72)【発明者】
【氏名】岡本 真一
【審査官】豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-047422(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00 - 15/493
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯湯槽と循環路により接続された複数台の給湯器と、
前記貯湯槽と前記複数台の給湯器との間で湯水を循環させるポンプと、
前記複数台の給湯器を連携して動作させる連携制御を行う集中制御部と、を備え、
前記複数台の給湯器は、
前記集中制御部からの指令に従って前記給湯器を制御する機器制御部と、
前記給湯器に流入する湯水の流量を検出する流量検出部と、
前記給湯器に流入する湯水の温度を入水温度として検出する温度検出部と、を含み、
前記集中制御部は、
前記貯湯槽内の湯水の温度が第1基準温度以下であることに基づいて信号出力部から出力される所定の信号を取得した場合に、前記貯湯槽内の湯水を前記ポンプにより循環させて前記給湯器により加熱する循環加熱運転を実行し、
記所定の信号が入力されないまま第1基準時間が経過すると、あるいは、前記信号出力部から異常な信号を取得すると、
前記貯湯槽内の湯水を前記ポンプにより循環させて前記温度検出部により前記入水温度を検出し、
前記入水温度が第2基準温度以下である場合は、前記循環加熱運転により湯水を加熱し、
前記入水温度が前記第2基準温度より高い場合は、前記ポンプを停止させ、
前記複数台の給湯器のうち1台の給湯器の前記機器制御部は、前記ポンプを駆動可能であり、
前記1台の給湯器の前記機器制御部は、前記流量検出部の検出流量が所定流量を超えない状態が第2基準時間継続すると、
前記貯湯槽内の湯水を前記ポンプにより循環させて前記温度検出部により前記入水温度を検出し、
前記入水温度が前記第2基準温度以下である場合は、前記循環加熱運転により湯水を加熱し、
前記入水温度が前記第2基準温度より高い場合は、前記ポンプを停止させる、
ことを特徴とする給湯装置。
【請求項2】
請求項1に記載の給湯装置において、
前記集中制御部は、前記入水温度が前記第2基準温度以下であることに基づく前記循環加熱運転が行われたことに基づいて、報知部に異常報知を行わせる、
ことを特徴とする給湯装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の給湯装置において、
前記信号出力部は、前記貯湯槽に配置された温度センサに接続された温度調節器を含み、
前記所定の信号は、湯水の加熱を要求する信号を含む、
ことを特徴とする給湯装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の給湯装置において、
前記信号出力部は、前記貯湯槽に配置された温度センサを含み、
前記所定の信号は、前記第1基準温度以下の温度を示す温度信号を含む、
ことを特徴とする給湯装置。
【請求項5】
貯湯槽と、
請求項1ないし4の何れか一項に記載の給湯装置と、を備える、
ことを特徴とする給湯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯湯槽内との間で循環する湯水を加熱する給湯装置に関する。また、本発明は、これら貯湯槽および給湯装置を備える給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、貯湯槽と給湯器とを循環配管により接続し、給湯器との間で循環させて加熱した湯水を貯湯槽に貯めておき、貯湯槽から水栓へ給湯を行うようにした貯湯式の給湯システムが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
このような給湯システムでは、貯湯槽に配置された温度センサにより貯湯槽内の湯水の温度が検出され、湯水の温度に応じた温度信号が制御部へ入力される。制御部は、湯水の温度が予め設定された設定温度より低くなると、循環ポンプを駆動して貯湯槽内の湯水を給湯器へ流し、給湯器を燃焼させて湯水を加熱し、加熱された湯水を貯湯槽に戻す。これにより、貯湯槽内の湯水の温度が上昇して適温となる。
【0004】
なお、給湯システムによっては、温度センサからの温度信号が、制御部へ直接入力されず、温度調節器に入力される構成が採られる場合がある。この場合、湯水の温度が予め設定された設定温度より低くなると、温度調節器から加熱を要求する信号(加熱要求信号)が制御部へ出力され、これに基づいて制御部が循環ポンプを駆動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第3611396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の給湯システムでは、温度センサや温度調節器に故障等の異常が生じた場合、温度信号や加熱要求信号が得られなくなるため、貯湯槽内の湯水を給湯器との間で循環させて加熱することができず、貯湯槽内の湯水が冷めてしまう虞がある。
【0007】
そこで、本発明は、貯湯槽内の湯水の温度に応じた信号が得られない場合においても、貯湯槽内の湯水の温度低下を抑制でき得る給湯装置および給湯システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様に係る給湯装置は、貯湯槽と循環路により接続された複数台の給湯器と、前記貯湯槽と前記複数台の給湯器との間で湯水を循環させるポンプと、前記複数台の給湯器を連携して動作させる連携制御を行う集中制御部と、を備える。前記複数台の給湯器は、前記集中制御部からの指令に従って前記給湯器を制御する機器制御部と、前記給湯器に流入する湯水の流量を検出する流量検出部と、前記給湯器に流入する湯水の温度を入水温度として検出する温度検出部と、を含む。前記集中制御部は、前記貯湯槽内の湯水の温度が第1基準温度以下であることに基づいて信号出力部から出力される所定の信号を取得した場合に、前記貯湯槽内の湯水を前記ポンプにより循環させて前記給湯器により加熱する循環加熱運転を実行し、前記所定の信号が入力されないまま第1基準時間が経過すると、あるいは、前記信号出力部から異常な信号を取得すると、前記貯湯槽内の湯水を前記ポンプにより循環させて前記温度検出部により前記入水温度を検出し、前記入水温度が第2基準温度以下である場合は、前記循環加熱運転により湯水を加熱し、前記入水温度が前記第2基準温度より高い場合は、前記ポンプを停止させる。前記複数台の給湯器のうち1台の給湯器の前記機器制御部は、前記ポンプを駆動可能である。前記1台の給湯器の前記機器制御部は、前記流量検出部の検出流量が所定流量を超えない状態が第2基準時間継続すると、前記貯湯槽内の湯水を前記ポンプにより循環させて前記温度検出部により前記入水温度を検出し、前記入水温度が前記第2基準温度以下である場合は、前記循環加熱運転により湯水を加熱し、前記入水温度が前記第2基準温度より高い場合は、前記ポンプを停止させる。
【0009】
たとえば、循環加熱運転では、給湯器は、ポンプによる湯水の循環により流量検出部の検出流量が所定流量を超えると、湯水の加熱を開始する。
【0010】
ここで、請求項1において、「前記所定の信号が入力されないまま第1基準時間が経過すると、あるいは、前記信号出力部から異常な信号を取得すると、」の文言には、所定の信号が入力されないまま第1基準時間が経過したか否かの判定のみを行った結果、所定の信号が入力されないまま第1基準時間が経過した場合と、信号出力部から異常な信号を取得したか否かの判定のみを行った結果、信号出力部から異常な信号を取得した場合と、所定の信号が入力されないまま第1基準時間が経過したか否かの判定と信号出力部から異常な信号を取得したか否かの判定の双方を行った結果、所定の信号が入力されないまま第1基準時間が経過した、あるいは、信号出力部から異常な信号を取得した場合とが含まれる。即ち、所定の信号が入力されないまま第1基準時間が経過することと信号出力部から異常な信号を取得することのうち、少なくとも一つが条件とされることを意味する。
【0011】
本態様に係る給湯装置によれば、信号出力部に異常が発生し、所定の信号が得られなくなった場合にも、貯湯槽内の湯水の温度が低下したときには、当該湯水を給湯器で加熱でき、貯湯槽内の湯水の保温が図れる。さらに、集中制御部が正常に動作できなくなった場合であっても、貯湯槽内の湯水の温度が低下したときには、当該湯水を給湯器で加熱でき、貯湯槽内の湯水の保温が図れる。
【0012】
本態様に係る給湯装置において、前記集中制御部は、前記入水温度が前記第2基準温度以下であることに基づく前記循環加熱運転が行われたことに基づいて、報知部に異常報知を行わせる。
【0013】
たとえば、集中制御部は、入水温度が第2基準温度以下であることに基づく循環加熱運転が1回でも行われると報知部に異常報知を行わせることができ、また、当該循環加熱運転が所定回数行われたときに報知部に異常報知を行わせることができる。
【0014】
上記の構成によれば、信号出力部に異常が発生した可能性があることを、ユーザに知らせることができる。
【0018】
本態様に係る給湯装置において、前記信号出力部は、前記貯湯槽に配置された温度センサに接続された温度調節器を含む構成とされ得る。この場合、前記所定の信号は、湯水の加熱を要求する信号を含む。
【0019】
上記の構成によれば、温度センサや温度調節器に異常が発生し、加熱を要求する信号が得られなくなった場合にも、貯湯槽内の湯水の温度が低下したときには、当該湯水を給湯器で加熱でき、貯湯槽内の湯水の保温が図れる。
【0020】
本態様に係る給湯装置において、前記信号出力部は、前記貯湯槽に配置された温度センサを含む構成とされ得る。この場合、前記所定の信号は、前記第1基準温度以下の温度を示す温度信号を含む。
【0021】
上記の構成によれば、温度センサに異常が発生し、前記第1基準温度以下の温度を示す温度信号が得られなくなった場合にも、貯湯槽内の湯水の温度が低下したときには、当該湯水を給湯器で加熱でき、貯湯槽内の湯水の保温が図れる。
【0024】
本発明の第の態様に係る給湯システムは、貯湯槽と、第1の態様に係る給湯装置と、を備える。
【0025】
本態様に係る給湯システムによれば、第1の態様に係る給湯装置と同様の効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上のとおり、本発明によれば、貯湯槽で検出される湯水の温度に応じた信号が得られない場合においても、貯湯槽内の湯水の温度低下を抑制でき得る給湯装置および給湯システムを提供することができる。
【0027】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、第1実施形態に係る、給湯システムの構成を示す概略図である。
図2図2は、第1実施形態に係る、保温の運転制御を示すフローチャートである。
図3図3は、第1実施形態の変更例1に係る、給湯システムの構成を示す概略図である。
図4図4は、第1実施形態の変更例2に係る、給湯システムの構成を示す概略図である。
図5図5は、第1実施形態の変更例2に係る、予備の保温の運転制御を示すフローチャートである。
図6図6は、第1実施形態の変更例3に係る、給湯システムの構成を示す概略図である。
図7図7は、第1実施形態の変更例3に係る、保温の運転制御を示すフローチャートである。
図8図8は、第2実施形態に係る、給湯システムの構成を示す概略図である。
図9図9は、第2実施形態の変更例に係る、給湯システムの構成を示す概略図である。
図10図10は、その他の変更例に係る、保温の運転制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0030】
第1、第2実施形態において、温度調節器32が、特許請求の範囲に記載の「信号出力部」に対応する。また、一次側循環路200が、特許請求の範囲に記載の「循環路」に対応する。さらに、温度センサ170が、特許請求の範囲に記載の「温度検出部」に対応する。さらに、第1加熱温度が、特許請求の範囲に記載の「第1基準温度」に対応し、第2加熱温度が、特許請求の範囲に記載の「第2基準温度」に対応する。
【0031】
第1実施形態において、集中制御部500が、特許請求の範囲に記載の「運転制御部」に対応する。また、リモートコントローラ600が、特許請求の範囲に記載の「報知部」に対応する。
【0032】
第2実施形態において、機器制御部160が、特許請求の範囲に記載の「運転制御部」に対応する。また、表示部190が、特許請求の範囲に記載の「報知部」に対応する。
【0033】
ただし、上記記載は、あくまで、特許請求の範囲の構成と実施形態の構成とを対応付けることを目的とするものであって、上記対応付けによって特許請求の範囲に記載の発明が実施形態の構成に何ら限定されるものではない。
【0034】
<第1実施形態>
まず、第1実施形態に係る給湯システム1について説明する。
【0035】
図1は、給湯システム1の構成を示す概略図である。
【0036】
第1実施形態に係る給湯システム1は、貯湯槽10と、給湯装置20と、温度調節ユニット30と、二次側循環路40と、を備える。
【0037】
貯湯槽10は、たとえば、縦長のほぼ円柱状を有する。貯湯槽10内は、貯められた湯水により、常に満水の状態にある。貯湯槽10の底部には、給水管50が接続される。給水管50は、水道栓に繋がる。なお、貯湯槽10は、縦長でない、即ち高さよりも直径が大きな円柱状を有していてもよく、その他の形状を有していてもよい。
【0038】
給湯装置20は、複数台の給湯器100と、一次側循環路200と、ポンプ300と、ポンプ駆動部400と、集中制御部500と、リモートコントローラ600と、を備える。
【0039】
本実施形態では、給湯装置20に、4台の給湯器100が含まれる。以下、4台の給湯器100を区別する場合、貯湯槽10に近い側から、1号機100a、2号機100b、3号機100c、4号機100dと称する。なお、給湯装置20に含まれる給湯器100の台数は、4台に限られない。
【0040】
給湯器100は、熱交換器110と、燃焼器120と、燃焼ファン130とを備える。熱交換器110と燃焼器120は缶体101内に配置される。熱交換器110には、入水管140と出水管150が接続される。燃焼器120は、ガスにより燃焼し、熱交換器110を流れる湯水を加熱する。燃焼ファン130は、燃焼器120に空気を送る。
【0041】
また、給湯器100は、機器制御部160と、温度センサ170と、流量センサ180と、表示部190と、を備える。温度センサ170と流量センサ180は、入水管140に配置される。温度センサ170は、入水管140を流れる湯水、即ち給湯器100に流入する湯水の温度(以下、入水温度という)を検出し、入水温度に応じた温度信号を機器制御部160へ出力する。流量センサ180は、入水管140を流れる湯水、即ち給湯器100に流入する湯水の流量を検出し、検出流量に応じた流量信号を機器制御部160へ出力する。表示部190は、LED等を含み、エラー報知など、給湯器100に係る各種の報知を行う。
【0042】
機器制御部160は、マイクロコンピュータ等を含み、燃焼器120、燃焼ファン130、表示部190等を駆動制御する。
【0043】
機器制御部160は、燃焼を許可する設定がなされている状態において、入水管140内を湯水が流れ、流量センサ180の検出流量が所定流量を超えると、燃焼器120と燃焼ファン130を動作させる。これにより、熱交換器110を流れる湯水が加熱され、加熱された湯水が出水管150を流れて給湯器100から排出される。その後、機器制御部160は、入水管140内を湯水が流れなくなり、流量センサ180の検出流量が所定流量以下になると、燃焼器120と燃焼ファン130を停止させる。なお、燃焼を許可する設定がなされていない給湯器100では、入水管140に湯水が流れても燃焼器120が燃焼しない。よって、湯水は加熱されることなく出水管150を流れて給湯器100から排出される。
【0044】
なお、給湯器100は、一次熱交換器と二次熱交換器とを備える潜熱回収型の給湯
器であってもよい。
【0045】
一次側循環路200は、往き管210と戻り管220とを含む。往き管210は、貯湯槽10の下部と各給湯器100の入水管140とに接続される。戻り管220は、貯湯槽10の上部と各給湯器100の出水管150とに接続される。
【0046】
ポンプ300は、一次側循環路200の往き管210に配置され、貯湯槽10と複数台の給湯器100との間で湯水を循環させる。即ち、ポンプ300が動作すると、貯湯槽10の下部から往き管210に湯水が流出し、各給湯器100と戻り管220を流れた湯水が貯湯槽10の上部に戻る。
【0047】
ポンプ駆動部400は、ポンプ300への電力の供給、停止を切り替えるリレー等を含み、集中制御部500からの制御信号(駆動指令、停止指令)に従って、ポンプ300を駆動する。
【0048】
集中制御部500は、複数台の給湯器100のうちの1台の給湯器100、たとえば、1号機100aに設置される。集中制御部500は、マイクロコンピュータ等を含み、ポンプ駆動部400およびリモートコントローラ600を制御する。
【0049】
また、集中制御部500は、複数台の給湯器100の機器制御部160と通信可能に接続される。集中制御部500は、各機器制御部160に各種の指令を送信することにより、複数台の給湯器100を連携して動作させる連携制御を行う。
【0050】
たとえば、集中制御部500は、燃焼を許可する許可指令を1台の給湯器100の機器制御部160に送信する。許可指令を受けた機器制御部160では、燃焼を許可する設定が行われる。集中制御部500は、定期的に燃焼を許可する給湯器100を切り替える。この場合、集中制御部500は、燃焼を許可していた給湯器100に許可を取り消す取消指令を送信し、新たな給湯器100に許可指令を送信する。これにより、各給湯器100は、定期的に交代しつつ、貯湯槽10内に供給される湯水の加熱を行う。
【0051】
なお、各給湯器100には、入水管140に、図示しない流量調整弁が設けられており、燃焼を許可されていない給湯器100に流入する湯水の流量が、燃焼を許可された給湯器100に流入する流量よりも大幅に少なくなるように、流量調整弁による調整が行われる。
【0052】
リモートコントローラ600は、タッチパネル等の操作表示部610と、スピーカ620とを備える。
【0053】
温度調節ユニット30は、温度センサ31と、温度センサ31に接続される温度調節器32とを備える。温度センサ31は、貯湯槽10に配置され、貯湯槽10内の湯水の温度を検出し、検出温度に応じた温度信号を温度調節器32に出力する。本実施形態では、温度センサ31は、貯湯槽10の中央よりも低い位置であって、一次側循環路200の往き管210が接続される位置より高い位置に配置される。温度センサ31は、貯湯槽10の中央部やそれより高い位置に配置されてもよい。
【0054】
温度調節器32は、温度センサ31の検出温度が、第1加熱温度(たとえば、65℃)以下になると、湯水の加熱を要求する信号(以下、加熱要求信号という)を、給湯装置20の集中制御部500へ出力する。また、温度調節器32は、温度センサ31の検出温度が、第1加熱温度(たとえば、65℃)以下になった後に、第1加熱温度よりも高い第1停止温度(たとえば、70℃)以上になると、加熱の停止を要求する信号(以下、停止要求信号という)を、集中制御部500へ出力する。たとえば、加熱要求信号は、数Vの電圧信号であり、停止要求信号は、0Vの電圧信号である。
【0055】
二次側循環路40は、その入口40aが貯湯槽10の上部に接続され、その出口40bが貯湯槽10の下部に接続される。二次側循環路40には、ポンプ41が配置され、常時、動作を行う。ポンプ41の動作により、貯湯槽10と二次側循環路40との間を湯水が循環する。即ち、貯湯槽10の上部から流出した湯水は、二次側循環路40を流れ、貯湯槽10の下部に戻る。
【0056】
二次側循環路40には、シャワー付き浴室水栓、台所水栓、洗面水栓等の複数の水栓2が、接続路42を介して接続される。なお、図1には、便宜上、1つの水栓2のみが図示されている。水栓2が開けられると、二次側循環路40を流れる湯水が水栓2から放出される。これにより、貯湯槽10内の湯水が減少すると、水道栓からの水が給水管50を通じて貯湯槽10に供給される。
【0057】
さて、給湯システム1では、水栓2が開かれて貯湯槽10から湯水が流出すると、給水管50から貯湯槽10に給水されるため、貯湯槽10内の湯水の温度が低下し得る。また、深夜など、貯湯槽10からの給湯が長い期間行われない場合も、貯湯槽10内の湯水の温度が低下し得る。
【0058】
そこで、給湯システム1では、貯湯槽10内の湯水の温度が低下した場合に貯湯槽10内の湯水を給湯装置20との間で循環させて加熱する、保温の運転制御が集中制御部500により実行される。
【0059】
図2は、保温の運転制御を示すフローチャートである。
【0060】
給湯システム1が稼働状態にあるとき、集中制御部500により、図2の保温の運転制御が繰り返し実行される。
【0061】
集中制御部500は、温度調節器32からの加熱要求信号の入力を監視する(S101)。貯湯槽10内の湯水の温度が第1加熱温度以下になると、温度調節器32から集中制御部500へ加熱要求信号が送信される。
【0062】
加熱要求信号が入力された場合(S101:YES)、集中制御部500は、ポンプ駆動部400に駆動指令を送信することにより、ポンプ300を駆動する(S102)。貯湯槽10と給湯装置20との間を湯水が循環し、燃焼を許可された給湯器100で燃焼器120が燃焼する。これにより、循環する湯水が加熱される。このようにして、循環加熱運転が開始される。
【0063】
加熱された湯水が貯湯槽10に供給されることにより、貯湯槽10内の湯水の温度が徐々に上昇する。なお、多くの水栓2が開かれるなどして貯湯槽10から多くの湯水が流出した場合、給水管50からの給水量が多くなるため、燃焼を許可された給湯器100のみにより加熱を行っても、貯湯槽10内の湯水の温度が低下し続けることが起こり得る。このような場合、集中制御部500により、他の給湯器100にも燃焼が許可され、他の給湯器100による加熱が開始される。この際、他の給湯器100では、流量が増加するよう流量調整弁が調整される。
【0064】
集中制御部500は、温度調節器32からの停止要求信号の入力を監視する(S103)。貯湯槽10内の湯水の温度が上昇し、第1停止温度以上になると、温度調節器32から集中制御部500へ停止要求信号が送信される。
【0065】
停止要求信号が入力された場合(S103:YES)、集中制御部500は、ポンプ駆動部400に停止指令を送信することにより、ポンプ300を停止させる(S104)。
【0066】
S101で加熱要求信号の入力を監視している間、さらに、集中制御部500は、加熱要求信号の入力がないまま第1基準時間(たとえば、1時間)が経過したか否かを判定する(S105)。
【0067】
通常の場合は、第1基準時間が経過するまでに貯湯槽10内の湯水の温度が第1加熱温度以下となり、温度調節器32から加熱要求信号が送信されることが多い。よって、加熱要求信号の入力が第1基準時間ない場合は、温度調節ユニット30の温度センサ31や温度調節器32に故障等の異常が発生したことが疑われる。
【0068】
そこで、集中制御部500は、加熱要求信号の入力がないまま第1基準時間が経過すると(S105:YES)、ポンプ300を駆動する(S106)。その後、集中制御部500は、待機時間(たとえば、5分)が経過すると、燃焼が許可された給湯器100の温度センサ170により検出された入水温度を、当該給湯器100の機器制御部160を介して取得する(S108)。なお、待機時間は、何れの給湯器100に燃焼が許可されていても、ポンプ300の駆動後、その給湯器100へ貯湯槽10からの湯水が到達するのに要する時間を考慮して設定される。
【0069】
次に、集中制御部500は、入水温度が第2加熱温度以下であるか否かを判定する(S109)。第2加熱温度は、第1加熱温度より所定温度(たとえば、10℃)だけ低い温度(たとえば、55℃)とされ得る。これは、貯湯槽10に接続される往き管210の位置が、貯湯槽10に配置された温度センサ31より低く、貯湯槽10から往き管210に流出する湯水の温度が温度センサ31の検出温度より少し低くなること、往き管210を流れる間に湯水の温度が少し低下すること、などを考慮したものである。なお、入水温度(温度センサ170の検出温度)と温度センサ31の検出温度とが、それ程相違しない場合は、第2加熱温度が第1加熱温度と同じにされてもよい。
【0070】
温度調節ユニット30(温度センサ31、温度調節器32)が正常である場合は、入水温度が第2加熱温度より高くなることが多い。集中制御部500は、入水温度が第2加熱温度より高い場合(S109:NO)、ポンプ300を停止させる。
【0071】
一方、温度調節ユニット30が異常である場合は、入水温度が第2加熱温度以下になることが多い。集中制御部500は、入水温度が第2加熱温度以下である場合(S109:YES)、ポンプ300の動作を継続させる。ポンプ300の動作により、貯湯槽10と給湯装置20との間で湯水が循環すると、燃焼を許可された給湯器100が燃焼動作するため、循環加熱運転が開始されることになり、循環する湯水が加熱される。これにより、貯湯槽10内の湯水の温度が上昇する。
【0072】
集中制御部500には、入水温度が第2加熱温度以下であることに基づく循環加熱運転の回数をカウントするためにカウンタ(図示せず)が備えられる。集中制御部500は、カウンタのカウント値を1つ増加させる(S110)。
【0073】
その後、集中制御部500は、定期的に入水温度を取得し(S111)、取得した入水温度が第2停止温度以上であるか否かを判定する(S112)。第2停止温度は、たとえば、第1停止温度と同じ温度に設定される。あるいは、第2停止温度は、第1停止温度よりも少し高い温度や低い温度に設定されてもよい。
【0074】
貯湯槽10内の湯水の温度が高くなるに伴って入水温度が高くなり、第2停止温度を超えると(S112:YES)、集中制御部500は、ポンプ300を停止させる(S113)。
【0075】
次に、集中制御部500は、カウンタのカウント値が基準値(たとえば、10)に達したか否かを判定する(S114)。カウント値、即ち、入水温度が第2加熱温度以下であることに基づく循環加熱運転の回数が基準値(基準回数)に達した場合(S114:YES)、集中制御部500は、温度調節ユニット30に異常が発生した可能性があることを報知する異常報知を、リモートコントローラ600に行わせる(S115)。たとえば、リモートコントローラ600の操作表示部610にメッセージが表示される。あるいは、リモートコントローラ600のスピーカ620から警報音やメッセージ音声が出力される。
【0076】
<第1実施形態の効果>
本実施形態によれば、以下の効果が奏され得る。
【0077】
温度調節器32から加熱要求信号が入力されないまま第1基準時間が経過すると、ポンプ300の動作により貯湯槽10内の湯水が循環されて温度センサ170により入水温度が検出され、入水温度が第2基準温度以下である場合は、湯水の循環が継続して循環加熱運転により湯水が加熱される。これにより、温度調節ユニット30の温度センサ31や温度調節器32に異常が発生し、加熱要求信号が得られなくなった場合にも、貯湯槽10内の湯水の温度が低下したときには、当該湯水を給湯装置20で加熱でき、貯湯槽10内の湯水の保温が図れる。
【0078】
また、入水温度が第2基準温度以下であることに基づく循環加熱運転が行われたことに基づいて異常報知が行われるので、温度センサ31や温度調節器32に異常が発生した可能性があることを、ユーザに知らせることができる。
【0079】
<第1実施形態の変更例1>
図3は、変更例1に係る、給湯システム1の構成を示す概略図である。
【0080】
上記第1実施形態では、給湯装置20に集中制御部500が備えられた。これに対し、本変更例1では、図3に示すように、給湯装置20に集中制御部500が備えられず、変わって、何れか1台の給湯器100、本変更例1では1号機100aの機器制御部160が、上記第1実施形態の集中制御部500の機能を受け持つ。
【0081】
1号機100aの機器制御部160には、温度調節器32から加熱要求信号および停止要求信号が入力される。また、1号機100aの機器制御部160は、ポンプ駆動部400およびリモートコントローラ600を制御する。さらに、1号機100aの機器制御部160は、2号機100b、3号機100c、4号機100dの機器制御部160と通信可能に接続される。
【0082】
そして、本変更例1では、1号機100aの機器制御部160により、図2に示す保温の運転制御が実行される。
【0083】
なお、本変更例1において、機器制御部160が、特許請求の範囲に記載の「運転制御部」に対応する。
【0084】
<第1実施形態の変更例2>
図4は、変更例2に係る、給湯システム1の構成を示す概略図である。
【0085】
上記第1実施形態では、集中制御部500により、ポンプ駆動部400が制御され、ポンプ300の駆動と停止が行われた。これに対し、本変更例2では、図4に示すように、集中制御部500だけでなく、集中制御部500が設置されていない何れか1台の給湯器100(本変更例1では2号機100b)の機器制御部160も、ポンプ駆動部400を制御でき、ポンプ300を駆動および停止できるように構成されている。
【0086】
そして、本変更例2では、集中制御部500が故障等により正常に動作できなくなったときのために、2号機100bの機器制御部160により、予備の保温の運転制御が実行される。
【0087】
図5は、変更例2に係る、予備の保温の運転制御を示すフローチャートである。
【0088】
給湯システム1が稼働状態にあるとき、2号機100bの機器制御部160により、図5の予備の保温の運転制御が繰り返し実行される。
【0089】
機器制御部160は、第2基準時間、給湯器100へ湯水が流れていないか否か、即ち、流量センサ180の検出流量が所定流量を超えていないか否かを監視する(S201)。第2基準時間は、第1基準時間よりも少し長い時間(たとえば、1時間10分)に設定される。
【0090】
集中制御部500が正常に動作し、図2の運転制御が実行された場合は、第1基準時間の経過によりポンプ300が動作するため、第2基準時間が経過する前に給湯器100へ湯水が流れる。
【0091】
一方、故障等により集中制御部500が正常に動作せず、図2の運転制御が実行されなくなると、給湯器100へ湯水が流れないまま第2基準時間が経過する。この場合、機器制御部160は、S201において、第2基準時間、給湯器100へ湯水が流れていないと判定し(S201:YES)、集中制御部500に代わってポンプ300を駆動する(S202)。そして、機器制御部160は、図2のS107ないしS115と同様な運転制御である、図5のS203ないしS212の運転制御を行う。これにより、ポンプ300の動作により貯湯槽10内の湯水が循環されて温度センサ170により入水温度が検出され、入水温度が第2基準温度以下である場合は、湯水の循環が継続して循環加熱運転により湯水が加熱される。また、入水温度が第2基準温度以下であることに基づく循環加熱運転が行われたことに基づいて異常報知が行われる。
【0092】
但し、図5のS212では、機器制御部160が、集中制御部500に異常が発生した可能性があることを報知する異常報知を、2号機100bの表示部190に行わせる。たとえば、表示部190において、異常を示すLEDが点灯する。
【0093】
本変更例2の構成によれば、集中制御部500が正常に動作できなくなった場合であっても、貯湯槽10内の湯水の温度が低下したときには、当該湯水を給湯装置20で加熱でき、貯湯槽10内の湯水の保温が図れる。
【0094】
なお、本変更例2において、流量センサ180が、特許請求の範囲に記載の「流量検出部」に対応する。
【0095】
<第1実施形態の変更例3>
図6は、変更例3に係る、給湯システム1の構成を示す概略図である。図7は、変更例3に係る、保温の運転制御を示すフローチャートである。
【0096】
上記第1実施形態では、温度センサ31の検出温度に基づいて温度調節器32が加熱要求信号または停止要求信号を集中制御部500へ出力する構成とされた。これに対し、本変更例3では、図6に示すように、貯湯槽10に配置された温度センサ31から検出温度に応じた温度信号が集中制御部500へ出力される。
【0097】
そして、本変更例3では、上記第1実施形態で実行された図2の保温の運転制御に代えて、図7の保温の運転制御が実行される。
【0098】
集中制御部500は、定期的に、貯湯槽10内の湯水の温度(以下、湯水温度という)に応じた温度信号を温度センサ31から取得し(S301)、湯水温度が第1加熱温度(たとえば、65℃)以下であるか否かを判定する(S302)。そして、集中制御部500は、湯水温度が第1加熱温度以下である場合(S302:YES)、ポンプ300を駆動する(S303)。貯湯槽10と給湯装置20との間を湯水が循環し、湯水が加熱される。
【0099】
その後、集中制御部500は、定期的に、湯水温度を温度センサ31から取得するとともに、燃焼が許可された給湯器100の温度センサ170により検出された入水温度を、当該給湯器100の機器制御部160を介して取得する(S304)。そして、集中制御部500は、湯水温度と入水温度の何れかが、第1停止温度(たとえば、70℃)以上になると(S305:YES)、ポンプ300を停止させる(S306)。
【0100】
集中制御部500は、S302で湯水温度が第1加熱温度以下でないと判定したとき、その時に取得した温度信号が異常な値(たとえば、数百℃となる値)を示すか否か、および、第1加熱温度以下の温度(それに対応する温度信号)が入力されないまま第1基準時間が経過したか否かを判定する(S307、S308)。
【0101】
温度信号が異常な値を示す場合や第1加熱温度以下の温度が入力されないまま第1基準時間が経過した場合は、温度センサ31に故障等の異常が発生したことが疑われる。よって、この場合(S307:YES、S308:YES)、集中制御部500は、ポンプ300を駆動する(S309)。そして、集中制御部500は、図2のS107ないしS115と同様な運転制御である、図7のS310ないしS318の運転制御を行う。これにより、ポンプ300の動作により貯湯槽10内の湯水が循環されて温度センサ170により入水温度が検出され、入水温度が第2基準温度以下である場合は、湯水の循環が継続して循環加熱運転により湯水が加熱される。また、入水温度が第2基準温度以下であることに基づく循環加熱運転が行われたことに基づいて異常報知が行われる。
【0102】
上記の例では、温度信号が異常な値を示すか否かの判定(S307)、および、第1加熱温度以下の温度が入力されないまま第1基準時間が経過したか否かの判定(S308)の双方の判定が行われたが、何れか一方の判定のみが行われるようにされてもよい。
【0103】
なお、本変更例3の構成に、上記変更例1または上記変更例2の構成を適用することもできる。また、本変更例3において、温度センサ31が、特許請求の範囲に記載の「信号出力部」に対応する。
【0104】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る給湯システム3について説明する。
【0105】
図8は、給湯システム3の構成を示す概略図である。図8において、上記第1実施形態と同じ構成については、同じ符号が付されている。
【0106】
第2実施形態に係る給湯システム3は、貯湯槽10と、給湯装置20Aと、温度調節ユニット30と、二次側循環路40と、を備える。即ち、給湯システム3は、給湯装置20A以外の構成は、上記第1実施形態の給湯システム1と同じである。
【0107】
給湯装置20Aは、1台の給湯器100と、一次側循環路200と、ポンプ300と、ポンプ駆動部400と、を備える。
【0108】
給湯器100は、貯湯槽10に隣接するように配置される。給湯器100の機器制御部160には、温度調節器32から加熱要求信号および停止要求信号が入力される。また、機器制御部160は、ポンプ駆動部400を制御する。
【0109】
本実施形態の給湯システム3では、機器制御部160により、図2の保温の運転制御が実行される。但し、S107の待機時間は、上記第1実施形態よりも短い時間(たとえば、1分)に設定される。また、S115では、機器制御部160が、温度調節ユニット30に異常が発生した可能性があることを報知する異常報知を表示部190に行わせる。たとえば、表示部190において、異常を示すLEDが点灯する。
【0110】
なお、給湯装置20Aに、リモートコントローラが備えられてもよい。この場合、リモートコントローラにより異常報知が行われる。
【0111】
本実施形態においても、上記第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0112】
<第2実施形態の変更例>
図9は、変更例に係る、給湯システム3の構成を示す概略図である。
【0113】
上記第2実施形態では、温度センサ31の検出温度に基づいて温度調節器32が加熱要求信号または停止要求信号を機器制御部160へ出力する構成とされた。これに対し、本変更例では、図9に示すように、貯湯槽10に配置された温度センサ31から検出温度に応じた温度信号が機器制御部160へ出力される。
【0114】
そして、本変更例では、上記第1実施形態で実行された図2の保温の運転制御に代えて、上記変更例3で実行された図7の保温の運転制御が実行される。但し、S310の待機時間は、上記変更例3よりも短い時間(たとえば、1分)に設定される。また、S318では、機器制御部160が、温度センサ31に異常が発生した可能性があることを報知する異常報知を表示部190に行わせる。たとえば、表示部190において、異常を示すLEDが点灯する。
【0115】
なお、本変更例3において、温度センサ31が、特許請求の範囲に記載の「信号出力部」に対応する。
【0116】
以上、本発明の第1実施形態、第2実施形態およびそれらの変更例について説明したが、本発明は、上記実施形態や変更例によって何ら制限されるものではなく、また、以下のように、さらに種々の変更が可能である。
【0117】
<その他の変更例>
上記第1、第2実施形態およびそれらの変更例では、図2図7に示す保温の運転制御および図5に示す予備の保温の運転制御において、S112、S209およびS315で、入水温度が第2停止温度以上になったときにポンプ300が停止された。しかしながら、これに代えて、予め設定された動作時間が経過したときにポンプ300が停止されてもよい。あるいは、所定の操作がなされない限り、ポンプ300が停止されないような構成とされてもよい。但し、ポンプ300が停止されない場合は、給湯器100で設定される給湯温度が通常の設定温度(たとえば、95℃)よりも低い温度、たとえば、第1加熱温度と同じ温度にされるとよい。
【0118】
また、上記第1、第2実施形態およびそれらの変更例では、図2図7に示す保温の運転制御および図5に示す予備の保温の運転制御において、S106、S202およびS309でポンプ300が駆動されると、給湯器100に湯水が流れて給湯器100が燃焼動作する。即ち、待機時間が経過して入水温度が取得される前に、循環加熱運転が開始される。しかしながら、S106、S202およびS309でポンプ300が駆動し、給湯器100に湯水が流れても、給湯器100が燃焼動作しないようにし、入水温度が第2加熱温度以下であると判定されてポンプ300の動作が継続されたときに、給湯器100が燃焼動作して循環加熱運転が開始されるような構成とされてもよい。
【0119】
さらに、上記第1、第2実施形態およびそれらの変更例では、図2図7に示す保温の運転制御および図5に示す予備の保温の運転制御において、S114、S211およびS317で、入水温度が第2加熱温度以下であることに基づく循環加熱運転の回数が基準値(基準回数)に達した場合に、異常報知が行われた。しかしながら、入水温度が第2加熱温度以下であることに基づく循環加熱運転が1回でも行われると、異常報知が行われるようにされてもよい。
【0120】
さらに、上記第1、第2実施形態において、第2加熱温度および第2停止温度は固定値とされてもよいが、第1加熱温度および第1停止温度が、温度調節ユニット30によって異なる場合は、第1加熱温度および第1停止温度に合わせて、第2加熱温度および第2停止温度が、リモートコントローラ600を用いて設定できるようにされてもよい。
【0121】
さらに、上記第1、第2実施形態において、図2のS102でポンプ300が駆動されたときに、待機時間が経過後の入水温度を検出し、この入水温度を第2加熱温度に設定するようにしてもよい。同様に、図2のS104でポンプ300が停止されたときに入水温度を検出し、この入水温度を第2停止温度に設定するようにしてもよい。
【0122】
さらに、上記第1、第2実施形態では、給湯器に流入する湯水の温度を入水温度として検出する温度検出部として、温度センサ170が用いられた。しかしながら、温度センサ170に代えて、あるいは温度センサ170とともに、給湯器が備えるその他の温度センサ、たとえば、出水管150等に配される、図示しない缶体出湯温度センサや出湯温度センサ等が用いられてもよい。
【0123】
さらに、上記第1実施形態の変更例3の構成とされた場合、図7に示す保温の運転制御に代えて、図10に示す保温の運転制御が実行されてもよい。この運転制御において、S401ないしS407の処理は、図7のS301ないしS307の処理と同様であり、図7のS308の判定の処理は行われない。なお、本変更例において、第2停止温度が、特許請求の範囲に記載の「第3基準温度」に対応する。
【0124】
S407において、集中制御部500は、温度信号が異常な値を示すと判定すると(S407:YES)、リモートコントローラ600に異常報知を行わせるとともに(S408)、ポンプ300を駆動する(S409)。ポンプ300が動作すると、それに伴い、燃焼を許可された給湯器100が燃焼動作を行う。
【0125】
集中制御部500は、待機時間が経過すると(S410:YES)、入水温度を取得して(S411)、その入水温度が第2停止温度(たとえば、70℃)以上であるか否かを判定する(S412)。
【0126】
集中制御部500は、入水温度が第2停止温度以上であれば(S412:YES)、燃焼を許可された給湯器100に停止指令を送信し、燃焼動作を停止させる(S413)。また、集中制御部500は、入水温度が第2停止温度以上でなければ(S412:NO)、入水温度が第2停止温度以上となるのを待って、燃焼動作を停止させる(S413)。これにより、循環する湯水の加熱が停止される。
【0127】
その後、集中制御部500は、定期的に入水温度を取得し(S414)、入水温度が第2加熱温度(たとえば、67℃)以下になると(S415:YES)、燃焼を許可された給湯器100に開始指令を送信し、燃焼動作を開始させる(S416)。これにより、循環する湯水の加熱が開始される。
【0128】
その後は、ユーザ等により、異常を解除するための操作がなされるまで、S411ないしS416の処理が繰り返される。
【0129】
このように、図10に示す保温の運転制御が行われた場合も、上記変更例3と同様、正常な温度信号が得られなくなったときの貯湯槽10内の湯水の保温が図れる。
【0130】
なお、上記第2実施形態の変更例の構成とされた場合に、図10の保温の運転制御が、機器制御部160により実行されてもよい。
【0131】
さらに、上記第1、第2実施形態において、給湯装置20、20Aが通信部を備え、異常報知のための情報が通信部を介して外部の端末装置(たとえば、パーソナルコンピュータ、スマートホン)に送信されることにより、端末装置において異常報知が行われるようにしてもよい。
【0132】
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0133】
1、3 給湯システム
10 貯湯槽
20、20A 給湯装置
30 温度調節ユニット
31 温度センサ(信号出力部)
32 温度調節器(信号出力部)
100 給湯器
160 機器制御部(運転制御部)
170 温度センサ(温度検出部)
180 流量センサ(流量検出部)
200 一次側循環路(循環路)
300 ポンプ
500 集中制御部(運転制御部)
600 リモートコントローラ(報知部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10