(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-14
(45)【発行日】2024-05-22
(54)【発明の名称】通信装置、第2通信装置、及び通信システム
(51)【国際特許分類】
H04W 74/02 20090101AFI20240515BHJP
【FI】
H04W74/02
(21)【出願番号】P 2020566368
(86)(22)【出願日】2019-01-16
(86)【国際出願番号】 JP2019001010
(87)【国際公開番号】W WO2020148817
(87)【国際公開日】2020-07-23
【審査請求日】2021-06-04
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003421
【氏名又は名称】弁理士法人フィールズ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太田 好明
(72)【発明者】
【氏名】河▲崎▼ 義博
(72)【発明者】
【氏名】大出 高義
(72)【発明者】
【氏名】青木 信久
【審査官】久松 和之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/195721(WO,A1)
【文献】特開2010-98707(JP,A)
【文献】Ericsson,General considerations in MT EDT,3GPP TSG RAN WG2 #104 R2- 1816635,2018年11月02日
【文献】Qualcomm Incorporated,MT-initiated EDT,3GPP TSG RAN WG2 #103bis R2-1814037,2018年09月28日
【文献】InterDigital,2-Step RACH Procedure,3GPP TSG-RAN WG2 #103bis R2-1814008,2018年09月27日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランダムアクセス手
順を実施できる通信装置であって、
前
記ランダムアクセス手順において第1の情報を送信する第1の信号と、前
記ランダムアクセス手順の信号ではない第2の信号と、を送信できる送信部と、
前
記ランダムアクセス手順
と異なる第1の方式において、前記第1の情報と、送信相手装置に送信するデータとを前記第2の信号に含め、前記第2の信号に
前記第1の情報が含まれることを示す制御情報を送信する制御を実施できる制御部と、
を有し、
前記第1の信号は、Random Access Preamble assignmentであり、
前記第2の信号は、PDSCH(Physical Downlink Shared Channel)である
を有する通信装置。
【請求項2】
さらに、
前記送信相手装置が送信した前
記ランダムアクセス手順の応答信号である第3の信号を、前記第2の信号を前記送信相手装置が正常に受信したことを示す肯定応答として受信する受信部と、を有し
、
前記第3の信号は、Random Access Preamble
である
請求項1記載の通信装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記送信相手装置が前記第2の信号を正常に受信できなかったことを示す否定応答に対応する情報であって、前記第1の情報とは異なる情報である第2の情報を、前記第2の信号に含め送信し、
前記受信部は、前記第3の信号が前記第2の情報に関連する場合、前記第3の信号を前記否定応答として受信する
を有する請求項2記載の通信装置。
【請求項4】
前記第2の情報は、前記第2の信号の
前記否定応答に対応するRandom Access Preambleを示す情報を含む
請求項3に記載の通信装置。
【請求項5】
ランダムアクセス手
順を実施できる第2通信装置であって、
送信側装置が送信する、前
記ランダムアクセス手順において第1の情報を送信する第1の信号と、前
記ランダムアクセス手順の信号ではない第2の信号と、を受信できる信号受信部と、
前記送信側装置が前
記ランダムアクセス手順
と異なる第1の方式において、前記第1の情報と、送信相手装置に送信するデータとを含む前記第2の信号を送信するときに送信する、前記第2の信号
に前記第1の情報が含まれることを示す制御情報を受信し、前記第2の信号に前記第1の情報が含まれることを認識することができる受信制御部と、
を有し、
前記第1の信号は、Random Access Preamble assignmentであり、
前記第2の信号は、PDSCH(Physical Downlink Shared Channel)である
第2通信装置。
【請求項6】
前記受信制御部は、前記第1の情報が含まれる前記第2の信号を正常に受信したとき、前
記ランダムアクセス手順の応答信号である第3の信号を送信
し、
前記第3の信号は、Random Access Preambleである
請求項5記載の第2通信装置。
【請求項7】
さらに、前記送信側装置は、前記第2通信装置が前記第2の信号を正常に受信できなかったことを示す否定応答に対応する情報であって、前記第1の情報とは異なる情報である第2の情報を、前記第2の信号に含め送信し、
前記受信制御部は、前記第1の情報が含まれる前記第2の信号を正常に受信できないとき、前記第3の信号に前記第2の情報
を含め送信する、
請求項6記載の第2通信装置。
【請求項8】
ランダムアクセス手
順を実施できる送信側通信装置と受信側通信装置を有する通信システムであって、
前記送信側通信装置は、
前
記ランダムアクセス手順において第1の情報を送信する第1の信号と、前
記ランダムアクセス手順の信号ではない第2の信号と、を送信できる送信部と、
前
記ランダムアクセス手順
と異なる第1の方式において、前記第1の情報と、送信相手装置に送信するデータとを前記第2の信号に含め、前記第2の信号に
前記第1の情報が含まれることを示す制御情報を送信する制御を実施できる制御部と、を有し、
前記受信側通信装置は、
前記送信側通信装置が送信する、前記第1の信号と前記第2の信号を受信できる信号受信部と、
前記送信側通信装置が送信する前記第2の信号に
前記第1の情報が含まれることを示す制御情報を受信し、前記第2の信号に前記第1の情報が含まれることを認識することができる受信制御部と、を有
し、
前記第1の信号は、Random Access Preamble assignmentであり、
前記第2の信号は、PDSCH(Physical Downlink Shared Channel)である
通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、第2通信装置、及び通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在の通信ネットワークは、モバイル端末(スマートフォンやフューチャーホン)のトラフィックが通信ネットワークのリソースの大半を占めている。また、モバイル端末が使用するトラフィックは、今後も拡大していく傾向にある。
【0003】
一方で、通信ネットワークは、IoT(Internet of things)サービス(例えば、交通システム、スマートメータ、装置等の監視システム)の展開にあわせて、多様な要求条件を持つサービスに対応することが求められている。そのため、第5世代移動体通信(5Gまたは、NR(New Radio))の通信規格では、第4世代移動体通信(4G)の標準技術(例えば、非特許文献1~12)に加えて、さらなる高データ信号レート化、大容量化、低遅延化を実現する技術が求められている。なお、第5世代通信規格については、3GPPの作業部会(例えば、TSG-RAN WG1、TSG-RAN WG2等)で技術検討が進められており、2017年12月に、初版がリリースされている(非特許文献13~39)。
【0004】
上述した多種多様なサービスに対応するため、5Gにおいては、eMBB(Enhanced Mobile BroadBand)、Massive MTC(Machine Type Communications)、およびURLLC(Ultra-Reliable and Low Latency Communication)に分類される多くのユースケースのサポートを想定している。
【0005】
5Gに関する技術については、以下の先行技術文献に記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】3GPP TS 36.133 V15.3.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 36.211 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 36.212 V15.2.1(2018-07)
【文献】3GPP TS 36.213 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 36.300 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 36.321 V15.2.0(2018-07)
【文献】3GPP TS 36.322 V15.1.0(2018-07)
【文献】3GPP TS 36.323 V15.0.0(2018-07)
【文献】3GPP TS 36.331 V15.2.2(2018-06)
【文献】3GPP TS 36.413 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 36.423 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 36.425 V15.0.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 37.340 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.201 V15.0.0(2017-12)
【文献】3GPP TS 38.202 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.211 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.212 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.213 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.214 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.215 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.300 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.321 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.322 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.323 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.331 V15.2.1(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.401 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.410 V15.0.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.413 V15.0.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.420 V15.0.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.423 V15.0.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.470 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.473 V15.2.1(2018-07)
【文献】3GPP TR 38.801 V14.0.0(2017-03)
【文献】3GPP TR 38.802 V14.2.0(2017-09)
【文献】3GPP TR 38.803 V14.2.0(2017-09)
【文献】3GPP TR 38.804 V14.0.0(2017-03)
【文献】3GPP TR 38.900 V15.0.0(2018-06)
【文献】3GPP TR 38.912 V15.0.0(2018-06)
【文献】3GPP TR 38.913 V15.0.0(2018-06)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
無線通信システムにおいて、データ信号通信の遅延時間を低減することが要求されている。例えば、5Gで想定されているURLLCのサービスに対応できるような遅延時間が要求される場合がある。そのため、例えば、端末装置と基地局装置との同期が取れない状況においてデータ信号が発生した場合においても、データ信号送信までの遅延時間の低減が要求される。
【0008】
開示の技術は、データ信号送信までの遅延時間を低減する通信装置、第2通信装置、及び通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ランダムアクセス手順を実施する通信装置であって、前記ランダムアクセス手順の信号である第1の信号と、前記ランダムアクセス手順の信号ではない第2の信号と、を送信できる送信部と、前記第1の信号で送信される第1の情報を前記第2の信号に含め、前記第2の信号に関連する制御情報を送信する制御を実施できる制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0010】
一開示は、データ信号送信までの遅延量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、基地局装置の構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、通信システム10の構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、非競合型ランダムアクセス手順の例を示すシーケンスである。
【
図4】
図4は、競合型ランダムアクセス手順の例を示すシーケンスである。
【
図5】
図5は、基地局装置200の構成例を示す図である。
【
図6】
図6は、端末装置100の構成例を示す図である。
【
図7】
図7は、基地局装置200がデータを送信するデータ送信処理のシーケンスの例を示す図である。
【
図8】
図8は、
図3の第1方式と、
図4の競合型ランダムアクセス手順との、データ送信完了までのシーケンスの比較の例を示す図である。
【
図9】
図9は、PDSCHフォーマット(第1フォーマット)の例を示す図である。
【
図10】
図10は、PDSCHフォーマット(第2フォーマット)の例を示す図である。
【
図11】
図11は、PDSCHフォーマット(第3フォーマット)の例を示す図である。
【
図12】
図12は、PDSCHフォーマット(第4フォーマット)の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本明細書における課題及び実施例は一例であり、本願の権利範囲を限定するものではない。特に、記載の表現が異なっていたとしても、技術的に同等であれば、異なる表現であっても本願の技術を適用可能であり、権利範囲を限定するものではない。
【0013】
[第1の実施の形態]
最初に第1の実施の形態について説明する。
【0014】
図1は、基地局装置20の構成例を示す図である。基地局装置20は、例えば、通信装置
、送信側通信装置、及び送信側装置である。基地局装置20は、送信相手装置(図示しない)に、第1の信号、第2の信号、及ぶ制御情報(制御信号)を送信する。
【0015】
基地局装置20は、送信部21と制御部22を有する。送信部21及び制御部22は、例えば、基地局装置20が有するコンピュータやプロセッサが、プログラムをロードし、実行することで構築される。
【0016】
基地局装置20は、送信相手装置にデータを送信するとき、ランダムアクセス手順を実行する。ランダムアクセス手順は、基地局装置20と送信相手装置との間で実行される無線通信における、無線接続を確立する手順であり、送信するデータ信号の発生時や、ハンドオーバ時の同期を確立する場合に実行される。
【0017】
基地局装置20は、データを送信する装置である。基地局装置20は、第1の信号及び第2の信号を送信する。また、基地局装置20は、送信する第2の信号に関連する制御情報を送信する。
【0018】
第1の信号は、基地局装置20がランダムアクセス手順で使用する信号であって、第1の情報を含む。第1の情報は、ランダムアクセス手順において無線接続を確立するために使用する情報であって、例えば、相手通信装置を識別するための情報などを含む。
【0019】
第2の信号は、ランダムアクセス手順には使用しない信号であって、例えば、データを送信するための信号である。
【0020】
第2の信号に関連する制御情報は、例えば、第2の信号に含まれる情報の種別を示す情報である。基地局装置20は、例えば、第2の信号に第1の情報が含まれていることを第2の信号に関連する制御情報に含め、第2の信号に関連する制御情報を送信する。
【0021】
送信部21は、第1の信号及び第2の信号を送信することができる。送信部21は、例えば、制御部22が生成する第1の信号及び第2の信号を受け取り、送信相手装置に第1の信号及び第2の信号を送信する。
【0022】
制御部22は、第2の信号を生成するとき、第1の情報を含ませることができる。そして、制御部22は、第2の信号に関連する制御情報(例えば、第1の情報が含まれることを示す)を、送信相手装置に送信することができる。
【0023】
第1の実施の形態において、基地局装置20は、ランダムアクセス手順において使用する第1の情報を、第2の信号に含め、送信相手装置に送信する。これにより、基地局装置20は、ランダムアクセス手順の一部又は全部を省略することができ(または、ランダムアクセス手順と並行してデータ送信ができ、または、非同期状態でのデータ通信を開始することができ)、データをより早く送信することができる。
【0024】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態は,第1の実施の形態を具象化した実施例として捉えてもよい。例えば,第1の実施例の基地局装置は本実施例の基地局装置200と等価として捉えてもよい。
【0025】
<通信システムの構成例>
図2は、通信システム10の構成例を示す図である。通信システム10は、端末装置100及び基地局装置200を有する。通信システム10は、例えば、5Gに準拠した無線通信の通信システムである。この場合、基地局装置200は、例えば、5GにおけるgNodeBである。また、端末装置100は、基地局装置200と、あるいは基地局装置200を介して他の通信装置と通信を行う装置であって、例えば、スマートフォンやタブレット端末などの移動体通信端末である。
【0026】
通信システム10において、基地局装置200と端末装置100は、例えば、基地局装置200から端末装置100にデータを送信するとき、ランダムアクセス手順により無線接続を確立する場合がある。
【0027】
通信システム10では、ランダムアクセス手順のためのチャネルが用意されている。3GPPにおいては、これをランダムアクセスチャネル(RACH:Random Access Channel)と呼び、RACHによる通信開始手順をランダムアクセス手順(Random Access Procedure)と呼ぶ。RACHには、端末装置100が送信した無線信号を基地局装置が識別するための情報として、プリアンブルと呼ばれる情報が含まる。この情報により、基地局装置200は端末装置100を識別する。
【0028】
ランダムアクセス手順は、例えば、競合型ランダムアクセス手順(Contention Based Random Access Procedure)と、非競合型ランダムアクセス手順(Non-contention Based Random Access Procedure)がある。
【0029】
図3は、非競合型ランダムアクセス手順の例を示すシーケンスである。基地局装置200は、端末装置100に割り当てた個別プリアンブルを、Random Access Preamble assignment(メッセージ0)で送信する(S11)。端末装置100は、メッセージ0を受信すると、Random access Preamble(メッセージ1)をRACHで基地局装置200に送信する(S12)。基地局装置200は、メッセージ1を受信すると、上り通信のための同期信号や送信許可などと共にメッセージ1の応答信号であるRandom Access Response(メッセージ2)を、端末装置100に送信する(S13)。
【0030】
基地局装置200は、ランダムアクセス手順で確立した無線リソースを使用し、データを端末装置100に送信する(S14)。端末装置100は、データの受信に成功すると、上りは同期状態に遷移しているため、基地局装置200にACK(ACKnowledgement:肯定応答)信号を返信する(S15)。
【0031】
図4は、競合型ランダムアクセス手順の例を示すシーケンスである。端末装置100は、ランダムに選択したプリアンブルを、Random access Preamble(メッセージ1)で基地局装置200に送信する(S21)。基地局装置200は、上り通信のための同期信号や送信許可などと共にメッセージ1の応答であるRandom Access Response(メッセージ2)を端末装置100に送信する(S22)。端末装置100は、メッセージ2を受信すると、有効な端末装置の識別子等を含むScheduled Transmission(メッセージ3)を、基地局装置200に送信する(S23)。基地局装置200は、メッセージ3を受信すると、Contention Resolution(メッセージ4)を、端末装置100に送信する(S24)。
【0032】
また、基地局装置200がトリガとなるランダムアクセス手順(例えば、非競合型ランダムアクセス手順)においては、基地局装置200は、メッセージ0に、上述した個別プリアンブル以外に、共有プリアンブルを含める場合がある。共有プリアンブルを含む場合、例えば、端末装置100は、プリアンブルを選択し、メッセージ2の受信後にメッセージ3を送信する。そして、基地局装置200からメッセージ4を受信し、同期状態に遷移する。
【0033】
<基地局装置の構成例>
図5は、基地局装置200の構成例を示す図である。基地局装置200は、例えば、通信装置
、送信側通信装置、及び送信側装置である。基地局装置200は、CPU(Central Processing Unit)210、ストレージ220、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などのメモリ230、NIC(Network Interface Card)240、及びRF(Radio Frequency)回路250を有する。基地局装置200は、例えば、データを端末装置100に送信する、送信装置である。
【0034】
ストレージ220は、プログラムやデータを記憶する、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、又はSSD(Solid State Drive)などの補助記憶装置である。ストレージ220は、通信制御プログラム221、及びヘッダフォーマット222を記憶する。
【0035】
ヘッダフォーマット222は、以下に説明するPDSCH(Physical Downlink Shared Channel)のフォーマットのパターンを記憶する領域である。基地局装置200は、ヘッダフォーマット222から、適切なPDSCHのフォーマットを選択する。
【0036】
メモリ230は、ストレージ220に記憶されているプログラムをロードする領域である。また、メモリ230は、プログラムがデータを記憶する領域としても使用される。
【0037】
NIC240は、インターネットやイントラネットなどのネットワーク(図示しない)と接続するネットワークインターフェースである。基地局装置200は、NIC240を介して、ネットワークに接続する通信装置と通信する。
【0038】
RF回路250は、端末装置100と無線接続する装置である。RF回路250は、例えば、アンテナ251を有する。
【0039】
CPU210は、ストレージ220に記憶されているプログラムを、メモリ230にロードし、ロードしたプログラムを実行し、各処理を実現するプロセッサ又はコンピュータである。
【0040】
CPU210は、通信制御プログラム221を実行することで、送信部、制御部、及び受信部を構築し、通信制御処理を行う。通信制御処理は、端末装置100との間の無線通信を制御する処理である。
【0041】
CPU210は、通信制御プログラム221が有する第1方式モジュール2211を実行することで、送信部、制御部、及び受信部を構築し、第1方式処理を行う。第1方式処理は、以下に説明する第1方式でデータを送信する処理であり、例えば、端末装置100宛てのデータが発生した時に行われる処理である。基地局装置200は、例えば、データの種別や無線の状態に応じて、データを送信する方式を選択し、第1方式を選択したとき、第1方式処理を行う。
【0042】
<端末装置の構成例>
図6は、端末装置100の構成例を示す図である。端末装置100は、例えば、第2通信装置、受信側通信装置、及び送信相手装置である。端末装置100は、CPU110、ストレージ120、DRAMなどのメモリ130、及びRF回路150を有する。端末装置100は、例えば、データを基地局装置200から受信する、受信装置である。
【0043】
ストレージ120は、プログラムやデータを記憶する、フラッシュメモリ、HDD、又はSSDなどの補助記憶装置である。ストレージ120は、通信プログラム121及びヘッダフォーマット122を記憶する。ヘッダフォーマット122は、例えば、基地局装置200が記憶するヘッダフォーマット222と同様の情報を記憶する。
【0044】
メモリ130は、ストレージ120に記憶されているプログラムをロードする領域である。また、メモリ130は、プログラムがデータを記憶する領域としても使用される。
【0045】
RF回路150は、基地局装置200と無線接続する装置である。RF回路150は、例えば、アンテナ151を有する。
【0046】
CPU110は、ストレージ120に記憶されているプログラムを、メモリ130にロードし、ロードしたプログラムを実行し、各処理を実現するプロセッサ又はコンピュータである。
【0047】
CPU110は、通信プログラム121を実行することで、信号受信部及び受信制御部を構築し、通信処理を行う。通信処理は、基地局装置200との間の無線通信を行う処理である。
【0048】
CPU110は、通信プログラム121が有する第1方式受信モジュール1211を実行することで、信号受信部及び受信制御部を構築し、第1方式受信処理を行う。第1方式受信処理は、以下に説明する第1方式でデータを受信する処理である。端末装置100は、例えば、PDCCH(Physical Downlink Control Channel)で第1方式を使用してデータが送信されることを認識した場合、第1方式受信処理を行うことで、第1方式でデータを受信することができる。
【0049】
<データ送信処理>
図7は、基地局装置200がデータを送信するデータ送信処理のシーケンスの例を示す図である。第2の実施の形態において、基地局装置200は、上述したランダムアクセス手順を用いてデータを送信する以外に、以下のデータ送信処理でデータを送信することができる。第2の実施の形態においては、PDSCH orderを規定し、PDSCH orderを用いた方式を、第1方式と呼ぶ。以下、第1方式について説明する。
【0050】
基地局装置200において、端末装置100に送信するデータが発生する(S31)。基地局装置200は、PDSCH orderである旨を含むメッセージを、PDCCH(Physical Downlink Control Channel)で送信する(S32)。なお、PDCCHのフォーマットは、例えば、PDSCH用のDCI format(例えば、DCI format1_0またはDCI format1_1) を用いることができる。端末装置100は、PDSCH orderである旨を受信し、PDSCHでメッセージ0及び端末装置100へのデータが送信されることを認識する。
【0051】
そして、基地局装置200は、PDSCHでメッセージ0及び端末装置100へのデータを、端末装置100に送信する(S33)。
【0052】
端末装置100は、PDSCHでメッセージ0及び自装置宛てのデータを受信すると、Random Access Preamble(メッセージ1)を、自装置宛てのデータを適正に受信したことを示すACK(ACKnowledgement)として、基地局装置200に送信する。
【0053】
図8は、図
7の第1方式と、図
3の
非競合型ランダムアクセス手順との、データ送信完了までのシーケンスの比較の例を示す図である。
図8は、左が第1方式、右が
非競合型アクセス手順でのデータ送信の例を示す図である。
【0054】
第1方式では、基地局装置200においてデータが発生してから、早い場合は次のRandom Access Preamble(メッセージ1)の受信タイミングで、データの送信が完了する。一方、競合型ランダムアクセス手順においては、少なくともRandom Access Preamble(メッセージ1)の受信タイミングの後、データの送信及びACKの受信が発生するため、第1方式と比較して、時間T1だけデータの送信完了が遅延する。また、免許不要帯域(非ライセンス帯域またはアンライセンスバンドと記載もできる)を用いた競合型ランダムアクセス手順において、各メッセージの送信時にキャリアセンスが発生する場合、送信完了までの遅延は、さらに大きな時間となる。免許不要帯域を用いて信号(メッセージまたはデータ)を送信する際、基地局装置や端末装置等の通信装置は、キャリアセンスを行い、当該免許不要帯域に信号(またはデータ)がない(所定の受信電力以下)ことを確認して送信する必要がある。そのため、メッセージのやり取りの回数が多いと、キャリアセンスの回数も多くなるため、その分(キャリアセンスの回数分)送信完了までの遅延が大きくなる。
【0055】
<メッセージフォーマット>
<1.第1フォーマット>
第1方式におけるPDSCHのメッセージフォーマットの例について説明する。
【0056】
図9は、PDSCHフォーマット(第1フォーマット)の例を示す図である。第1フォーマットは、オクテット1の第1ビットから第5ビットが、Rフィールドで構成される。
【0057】
第1フォーマットは、オクテット1の第6ビットからオクテット2の第3ビットまでの6ビットが、Random Access Preambleで構成される。Random Access Preambleは、Random Access Preambleの番号(識別番号)を示し、例えば、オール0は共有であることを示し、オール0以外の場合は個別であること示す。
【0058】
第1フォーマットは、オクテット2の第4ビットの1ビットが、UL(UpLink)/SUL(SupplementalUpLink)指標で構成される。UL/SUL指標は、Random Access Preambleが0でないとき、セルにSUL(例えば、上り専用のキャリア)が設定されている場合、SULを使用するか否かを示す。
【0059】
第1フォーマットは、オクテット2の第5ビットからオクテット3の第2ビットまでの6ビットが、SS/PBCH指標で構成される。SS/PBCH指標は、PRACH送信のためのRACH設定するリソースを決定するために使用される。
【0060】
第1フォーマットは、オクテット3の第3ビットから第6ビットまでの4ビットが、PRACH Maskで構成される。PRACH Maskは、SS/PBCH指標をマスクするか否かを示す。
【0061】
第1フォーマットは、オクテット3の第7ビットからオクテット4の第8ビットまでがリザーブビットで構成される。
【0062】
さらに、第1フォーマットのオクテット5以降は、データ部で構成される。
【0063】
第1フォーマットでPDSCHを受信した端末装置100は、当該PDSCHでデータを正常に受信したことを示すACKとして、第1フォーマットで受信したRandom Access Preambleを使用し、基地局装置200にRandom Access Preamble(第3の信号)を送信する。基地局装置200は、第1フォーマットで送信したRandom Access Preambleに対応するRandom Access Preambleを受信することで、ACKを受信したと判定する。
【0064】
一方、端末装置100は、当該PDSCHでデータを正常に受信できなかった場合(例えば、エラーが存在する場合やPDSCHを受信できない場合)、Random Access Preambleを送信しない。基地局装置200は、所定時間内に第1フォーマットで送信したRandom Access Preambleに対応するRandom Access Preambleを受信しないことで、端末装置100が当該PDSCHでデータを正常に受信できなかったことを示すNACK(Negative ACKnowledgement:否定応答)を受信したと判定する。
【0065】
なお、第1フォーマットは、バイトアラインになるという前提で、DCI Format1_0を、PDSCHのフォーマットに移植したフォーマットである。
【0066】
<2.第2フォーマット>
図10は、PDSCHフォーマット(第2フォーマット)の例を示す図である。第2フォーマットは、第1フォーマットのRフィールドやリザーブビットの一部又は全部を省略したフォーマットである。
【0067】
第2フォーマットは、オクテット1の第1ビットから第6ビットまでの6ビットが、Random Access Preambleで構成される。
【0068】
第2フォーマットは、オクテット1の第7ビットの1ビットが、UL/SUL指標で構成される。
【0069】
第2フォーマットは、オクテット1の第8ビットからオクテット2の第5ビットまでの6ビットが、SS/PBCH指標で構成される。
【0070】
第2フォーマットは、オクテット2の第6ビットからオクテット3の第1ビットまでの4ビットが、PRACH Maskで構成される。
【0071】
第2フォーマットは、オクテット3の第2ビットから第8ビットまでが、リザーブビットで構成される。
【0072】
さらに、第2フォーマットのオクテット4以降は、データ部で構成される。
【0073】
図10に示すように、Rフィールドやリザーブビットの一部又は全部を
省略することで、オクテット4からデータを送信することができ、無線リソースを効率的に使用することができる。
【0074】
なお、端末装置100からのACK及びNACKの動作については、第1フォーマットと同様である。
【0075】
<3.第3フォーマット>
図11は、PDSCHフォーマット(第3フォーマット)の例を示す図である。第3フォーマットは、第1フォーマットにおけるオクテット3の第7ビットからオクテット4の第4ビットまでの6ビットを、Random Access Preambleに代替したフォーマットである。
【0076】
第3フォーマットのオクテット3の第7ビットからオクテット4の第4ビットまでの6ビットのRandom Access Preamble(第2の情報)は、NACK用のRandom Access Preambleの番号(識別番号)として定義される。
【0077】
第3フォーマットでPDSCHを受信した端末装置100は、当該PDSCHでデータを受信したことを示すACKとして、第3フォーマットのオクテット1の第6ビットからオクテット2の第3ビットまでを構成するRandom Access Preambleを使用し、基地局装置200にRandom Access Preambleを送信する。基地局装置200は、第3フォーマットのオクテット1の第6ビットからオクテット2の第3ビットまでを構成するRandom Access Preambleに対応するRandom Access Preambleを受信することで、ACKを受信したと判定する。
【0078】
一方、端末装置100は、当該PDSCHでデータを適切に受信できなかった場合、第3フォーマットのオクテット3の第7ビットからオクテット4の第4ビットまでを構成するRandom Access Preamble(NACK用に定義されたRandom Access Preamble)を使用し、基地局装置200にRandom Access Preambleを送信する。基地局装置200は、NACK用に定義されたRandom Access Preambleを受信することで、NACKを受信したと判定する。
【0079】
<4.第4フォーマット>
図12は、PDSCHフォーマット(第4フォーマット)の例を示す図である。第4フォーマットは、第3フォーマットのRフィールドやリザーブビットの一部又は全部を省略したフォーマットである。
【0080】
第4フォーマットは、オクテット1の第1ビットからオクテット3の第1ビットまでは、第2フォーマットと同様の構成である。
【0081】
第4フォーマットは、オクテット3の第2ビットから第7ビットまでの6ビットが、Random Access Preamble(NACK用)で構成される。
【0082】
第4フォーマットは、オクテット3の第8ビットが、リザーブビットで構成される。
【0083】
さらに、第2フォーマットのオクテット4以降は、データ部で構成される。
【0084】
図12に示すように、Rフィールドやリザーブビットの一部又は全部を
省略することで、オクテット4からデータを送信することができ、無線リソースを効率的に使用することができる。
【0085】
なお、端末装置100からのACK及びNACKの動作については、第3フォーマットと同様である。
【0086】
<データ送信方式の選択>
基地局装置200は、端末装置100にデータを送信するとき、上述した第1方式を含む複数の方式から、データ送信方式を選択する。
【0087】
基地局装置200は、例えば、端末装置100に送信するデータの種別に応じて、データ送信方式を選択する。基地局装置200は、URLLCのデータなど、端末装置100に送信するデータの許容遅延時間が所定値より小さい場合、第1方式を選択する。
【0088】
また、基地局装置200は、例えば、無線の状態に応じて、データ送信方式を選択する。基地局装置200は、PDSCHを送信する無線リソースの状態が所定値以上に良好である場合(例えば、フレームエラーレートが所定値以下、送信又は受信電力が所定値以上など)、第1方式を選択する。
【0089】
これにより、基地局装置200は、適切に第1方式を選択することができ、データの送信遅延を抑制することができる。
【0090】
<端末装置におけるACK/NACK送信>
端末装置100は、第1方式以外では、例えば、PUCCH (Physical Uplink Control Channel)など、比較的高品質なチャネルを使用してACK又はNACKを送信する。しかし、端末装置100は、第1方式では、RACHで送信するRandom Access Preambleを使用し、ACK又はNACKを送信する。そのため、基地局装置200において、ACK又はNACKの受信品質が低下する場合がある。
【0091】
端末装置100は、第1方式でのACK又はNACKが基地局装置200に到達する確率を向上させるため、Random Access Preambleの送信を複数回繰り返してもよい。繰り返し送信の実行の有無や、繰り返し回数については、基地局装置200及び端末装置100のどちらが決定してもよい。また、繰り返し送信の実行の有無や、繰り返し回数については、無線の状態や過去又は現在の送信成功率に応じて決定されてもよい。
【0092】
[その他の実施の形態]
各実施の形態は、それぞれ組み合わせてもよい。
【0093】
端末装置100及び基地局装置200は、例えば、第1フォーマットから第4フォーマットのうち、いずれか1つのフォーマットのみに対応してもよいし、2以上の組み合わせに対応してもよい。
【符号の説明】
【0094】
10 :通信システム
20 :基地局装置
21 :送信部
22 :制御部
100 :端末装置
110 :CPU
120 :ストレージ
121 :通信プログラム
1211 :第1方式受信モジュール
130 :メモリ
150 :RF回路
151 :アンテナ
200 :基地局装置
210 :CPU
220 :ストレージ
221 :通信制御プログラム
2211 :第1方式モジュール
222 :ヘッダフォーマット
230 :メモリ
250 :RF回路
251 :アンテナ