(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-14
(45)【発行日】2024-05-22
(54)【発明の名称】防護服
(51)【国際特許分類】
A62B 17/00 20060101AFI20240515BHJP
A41D 13/00 20060101ALI20240515BHJP
A41D 13/002 20060101ALI20240515BHJP
A41D 13/02 20060101ALI20240515BHJP
A41D 13/005 20060101ALN20240515BHJP
【FI】
A62B17/00
A41D13/00 102
A41D13/002 105
A41D13/02
A41D13/005 103
(21)【出願番号】P 2021133853
(22)【出願日】2021-08-19
【審査請求日】2023-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】521367190
【氏名又は名称】唐橋塗装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591145483
【氏名又は名称】原田産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154014
【氏名又は名称】正木 裕士
(74)【代理人】
【識別番号】100154520
【氏名又は名称】三上 祐子
(72)【発明者】
【氏名】唐橋 慶一
(72)【発明者】
【氏名】山下 尚高
(72)【発明者】
【氏名】中山 宝
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0282543(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0231419(US,A1)
【文献】特開2017-210696(JP,A)
【文献】特開2019-026951(JP,A)
【文献】米国特許第06272877(US,B1)
【文献】特開平09-000651(JP,A)
【文献】国際公開第2020/039405(WO,A1)
【文献】韓国登録特許第10-2283768(KR,B1)
【文献】特開2015-003044(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0060375(US,A1)
【文献】中国実用新案第212212735(CN,U)
【文献】米国特許第04458680(US,A)
【文献】中国特許出願公開第111387618(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62B 17/00
A41D 13/00
A41D 13/002
A41D 13/02
A41D 13/005
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の頭部、胴部、腕部及び脚部の全体を密閉するように被覆する本体部と、
前記本体部の内外を連通可能に貫通する貫通孔と、
前記貫通孔に設けられ、前記本体部の外側から空気を吸入し、前記本体部の内側に前記空気を吐出する接続部と、を有し、
前記本体部の前記頭部を被覆する部分の正面には、視界確保用透明窓が形成されてなり、
前記接続部の前記空気を吐出する側には、前記空気を前記本体部の内側に吐出する吐出管が接続されてなり、
前記吐出管は、延出されて、前記頭部を被覆する部分及び前記胴部を被覆する部分に少なくとも固定配置されると共に、適当間隔置きに、前記空気を前記本体部の内側に吐出可能な吐出孔が設けら
れ、
前記吐出管は、前記頭部を被覆する部分に固定配置されるにあたって、後頭部から頭頂部にかけて固定配置され、さらに、
前記頭頂部にかけて固定配置されている吐出管の端部は、当該吐出管の端部から吐出される空気が前記頭部を被覆する部分の正面に形成されている前記視界確保用透明窓に当たるように、前記視界確保用透明窓付近に固定配置されてなる防護服。
【請求項2】
前記本体部の前記頭部を被覆する部分には、前記視界確保用透明窓よりも上部側に照明用透明窓が形成されてなる請求項
1に記載の防護服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイオキシン、アスベスト等の有害汚染物質に曝露する作業現場で使用される防護服に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の防護服として、例えば、特許文献1に記載のものが知られている。この特許文献1に記載の防護服は、着用者の頭部、胴部、腕部及び脚部の全体を密閉するように被覆する本体部と、本体部の内外を連通可能に貫通する貫通孔と、貫通孔に設けられ、本体部の外側から空気を吸入し、本体部の内側に空気を吐出する接続部とを備えてなるものである。
【0003】
しかしながら、上記のような防護服は、マスクやゴーグルを着用しなければならないことから、より密閉性の高い防護服が望まれていた。
【0004】
そこで、このような要望に応えるべく、特許文献2に記載のような防護服が提案されている。この特許文献2に記載の防護服は、下端が着脱用に開放されて下端開口部が形成され、頭部被覆部と、胴体部被覆部と、腕部被覆部とを少なくとも含み、かつファスナーを備えない上半身形状であり、頭部被覆部の少なくとも正面には、視界確保用透明部が形成されており、防護スーツ内に外気を導入するための外気導入孔部と、防護スーツ内の空気を排出するための貫通孔と、下端開口部に形成され、着用者の腰部に弾接する収縮部と、を具備したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-210696号公報
【文献】特開2019-26951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような防護服は、着用時、着用者の頭部に装着した防具(ヘルメット)の外周に沿って環状部を被着させる必要があることから、着用時の簡便性を向上させるにあたっては、まだまだ改善の余地があるといった問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上述の問題に鑑み、着用時の簡便性を向上させることができる防護服を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記本発明の目的は、以下の手段によって達成される。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0009】
請求項1の発明に係る防護服は、着用者の頭部、胴部、腕部及び脚部の全体を密閉するように被覆する本体部(2)と、
前記本体部(2)の内外を連通可能に貫通する貫通孔(3)と、
前記貫通孔(3)に設けられ、前記本体部(2)の外側(E)から空気を吸入し、前記本体部(2)の内側(I)に前記空気を吐出する接続部(ワンタッチジョイント4)と、を有し、
前記本体部(2)の前記頭部を被覆する部分(頭部被覆部20)の正面には、視界確保用透明窓(20a)が形成されてなり、
前記接続部(ワンタッチジョイント4)の前記空気を吐出する側には、前記空気を前記本体部(2)の内側(I)に吐出する吐出管(6)が接続されてなり、
前記吐出管(6)は、延出されて、前記頭部を被覆する部分(頭部被覆部20)及び前記胴部を被覆する部分(胴部被覆部21)に少なくとも固定配置されると共に、適当間隔置きに、前記空気を前記本体部(2)の内側(I)に吐出可能な吐出孔(6e)が設けられ、
前記吐出管(6)は、前記頭部を被覆する部分(頭部被覆部20)に固定配置されるにあたって、後頭部から頭頂部にかけて固定配置され、さらに、
前記頭頂部にかけて固定配置されている吐出管(6)の端部(他端部6c2)は、当該吐出管(6)の端部(他端部6c2)から吐出される空気が前記頭部を被覆する部分(頭部被覆部20)の正面に形成されている前記視界確保用透明窓(20a)に当たるように、前記視界確保用透明窓(20a)付近に固定配置されてなることを特徴としている。
【0011】
請求項2の発明は、上記請求項1に記載の防護服(1)において、前記本体部(2)の前記頭部を被覆する部分(頭部被覆部20)には、前記視界確保用透明窓(20a)よりも上部側に照明用透明窓(20b)が形成されてなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
次に、本発明の効果について、図面の参照符号を付して説明する。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0013】
請求項1の発明によれば、吐出管(6)は、延出されて、頭部を被覆する部分(頭部被覆部20)及び胴部を被覆する部分(胴部被覆部21)に少なくとも固定配置されると共に、適当間隔置きに、導入された空気を本体部(2)の内側(I)に吐出可能な吐出孔(6e)が設けられているから、作業者は、防護服(1)を着用するだけで、着用者の頭部及び胴部に空気が当たることとなる。それゆえ、従来のように、着用者の頭部に装着した防具(ヘルメット)の外周に沿って環状部を被着させる必要がないことから、着用時の簡便性を向上させることができる。
【0014】
さらに、請求項1の発明によれば、吐出管(6)は、頭部を被覆する部分(頭部被覆部20)に固定配置されるにあたって、後頭部から頭頂部にかけて固定配置され、さらに、頭頂部にかけて固定配置されている吐出管(6)の端部(他端部6c2)は、当該吐出管(6)の端部(他端部6c2)から吐出される空気が頭部を被覆する部分(頭部被覆部20)の正面に形成されている視界確保用透明窓(20a)に当たるように、視界確保用透明窓(20a)付近に固定配置されている。これにより、吐出管(6)より吐出された空気が視界確保用透明窓(20a)に当たることとなり、もって、作業中に視界確保用透明窓(20a)が曇ってしまって作業がしづらくなるという事態を低減させることができる。
【0015】
請求項2の発明によれば、本体部(2)の頭部を被覆する部分(頭部被覆部20)には、視界確保用透明窓(20a)よりも上部側に照明用透明窓(20b)が形成されている。これにより、作業者は、LED等の照明器具を取り付けたヘルメットを着用したままで防護服(1)を着用することができることとなり、もって、薄暗い作業環境下であっても防護服(1)を着用するだけで作業できることとなるから、着用時の簡便性をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係る防護服の使用状態を例示する正面側から見た斜視図である。
【
図2】同実施形態に係る防護服の使用状態を例示する背面側から見た斜視図である。
【
図3】同実施形態に係る防護服の内側の状態を例示する正面側から見た斜視図である。
【
図4】(a)は、
図3に示すX1部分の拡大正面図、(b)は、
図3に示すX2部分の拡大斜視図である。
【
図5】同実施形態に係る防護服の頭部被覆部の内側の状態を例示する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明に係る防護服の一実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。なお、以下の説明において、上下左右の方向を示す場合は、図示正面から見た場合の上下左右をいうものとする。
【0018】
本実施形態に係る防護服は、主に、ダイオキシンが吐出される廃棄物焼却施設、アスベストの除去作業現場、アスベストを含有する建物の解体作業現場等で作業する作業者が、ダイオキシン、アスベスト等の有害汚染物質に曝露しないようにするために着用するものである。具体的に説明すると、
図1~
図3に示すように、防護服1は、本体部2と、本体部2の内外を連通可能に貫通する貫通孔3と、貫通孔3に装着され、本体部2の外側Eから空気を吸入し、本体部2の内側Iに空気を吐出するワンタッチジョイント4と、一端部5aがエアコンプレッサCに接続され、他端部5bが本体部2の外側Eのワンタッチジョイント4に接続される吸入管5と、T字管10(
図4(b)参照)を介して、ワンタッチジョイント4に接続される吐出管6と、本体部2の内側Iに吐出した空気を外側Eに排出する排出部7と、を備えている。なお、エアコンプレッサCは、
図1及び
図2に示すように、本体部2の外側Eに設けられ、空気を圧縮して供給するポータブル式の小型の圧縮機である。以下、各構成について、詳しく説明することとする。
【0019】
<本体部の説明>
本体部2は、例えば、JIS T8115のタイプ5に準拠した防塵性(耐浮遊固体粉塵浸透性)を有する高密度ポリエチレン(HDPE)等の化学繊維からなる伸縮性のある不織布(例えば、タイベック(登録商標)等のバリア性、耐水性、通気性、透湿性等を有する不織布)により形成されているものである。具体的には、本体部2は、
図1及び
図2に示すように、着用者の頭部を被覆する頭部被覆部20と、着用者の胴部を被覆する胴部被覆部21と、着用者の腕部を被覆する腕部被覆部22と、着用者の脚部を被覆する脚部被覆部23と、で主に構成されている。
【0020】
かくして、このような頭部被覆部20と、胴部被覆部21と、腕部被覆部22と、脚部被覆部23とは、縫製により一体的に連結される繋ぎ形状である。また、本体部2の各部を連結する縫製部分の外周面2aには、
図1及び
図2に示すように、本体部2の密閉性を維持するために、図示しない縫い目を閉塞するようにシームテープTが熱圧着により貼着されている。
【0021】
一方、
図1及び
図5に示すように、頭部被覆部20の正面側中央部分には、着用者が防護服1を着用した際、その着用者の視界を確保するための視界確保用透明窓20aが形成されている。この視界確保用透明窓20aは、
図1に示すように、幅広の矩形状に形成されており、透明なプラスチック等で形成され、縫製により頭部被覆部20に一体的に連結されている。
【0022】
また一方、
図1及び
図5に示すように、頭部被覆部20の正面側には、視界確保用透明窓20aよりも上部側に照明用透明窓20bが形成されている。この照明用透明窓20bは、視界確保用透明窓20aよりも幅狭の矩形状に形成された透明なプラスチック等で形成され、縫製により頭部被覆部20に一体的に連結されている。しかして、このような照明用透明窓20bは、着用者が防護服1を着用した際、その着用者がLED等の照明器具を取り付けたヘルメットを着用していた場合、その照明器具の明かり(光り)を外部に照射できる役割を担うものである。これにより、着用者は、LED等の照明器具を取り付けたヘルメットを着用したままで防護服1を着用することができることとなり、もって、薄暗い作業環境下であっても防護服1を着用するだけで作業できることとなるから、着用時の簡便性をより向上させることができる。
【0023】
他方、
図1に示すように、胴部被覆部21の前身頃21aの中央部分には、着用者が防護服1を着脱できるように、開閉部24が設けられている。この開閉部24は、図示しないファスナーを上下方向に移動することにより前身頃21aの中央部を左右方向に開閉できるようになっている。これにより、着用者は防護服1を着脱できることとなる。なお、符号25は、手袋、符号26は、足袋である。
【0024】
<貫通孔の説明>
貫通孔3は、
図2に示すように、胴部被覆部21の後身頃21bの右下部分に配置され、本体部2の内外を連通可能に貫通する円形状の孔である。そして、この貫通孔3には、ワンタッチジョイント4が挿通固定できるようになっている。
【0025】
<ワンタッチジョイントの説明>
ワンタッチジョイント4は、従来周知の構造であり、
図2に示すように、本体部2の外側Eにおいて吸入管5の他端部5bをワンタッチ操作により着脱自在に接続し、さらに、
図3及び
図4(b)に示すように、本体部2の内側Iにおいて吐出管6を、T字管10を介してワンタッチ操作により着脱自在に接続するストレート形状のワンタッチ継手である。
【0026】
<吸入管の説明>
吸入管5は、
図1及び
図2に示すように、エアコンプレッサCと本体部2の外側Eのワンタッチジョイント4とを接続する中空状のエアチューブ(エアホース)であって、例えば、ポリウレタン(PU)等の硬質樹脂からなるものである。より具体的に説明すると、この吸入管5は、管状に形成され、一端部5aがエアコンプレッサCの供給口Caに接続され、他端部5bが、本体部2の外側Eのワンタッチジョイント4に接続されるものである。これにより、エアコンプレッサC及び吸入管5により空気を移送させることができ、もって、空気をワンタッチジョイント4に容易に吸入させることができる。
【0027】
<吐出管の説明>
吐出管6は、
図3及び
図4(b)に示すように、T字管10を介して、ワンタッチジョイント4に接続される管状の中空状のエアチューブであって、例えば、軟質ポリ塩化ビニル(軟質PVC)等の軟質樹脂からなる可撓性を有するものである。より具体的に説明すると、この吐出管6は、
図3に示すように、T字管10を介して、ワンタッチジョイント4に接続され、頭部被覆部20及び胴部被覆部21に延出されて固定配置されるものである。より詳しく説明すると、吐出管6は、
図3及び
図4に示すように、第1吐出管6aと、第2吐出管6bと、第3吐出管6cと、で構成されている。
【0028】
第1吐出管6aは、
図4(b)に示すように、一端部6a1が、ポリエチレン樹脂等で形成されているT字管10に接続されている。そして、第1吐出管6aは、
図3に示すように、胴部被覆部21の左側に位置する腕部被覆部22側に沿って、頭部被覆部20側に延出され、
図4(a)に示すように、他端部6a2がポリエチレン樹脂等で形成されているT字管11に接続されている。なお、T字管10は、ワンタッチジョイント4に接続されている。
【0029】
そして、第2吐出管6bは、
図4(b)に示すように、一端部6b1がT字管10に接続され、
図3に示すように、胴部被覆部21の左側に位置する腕部被覆部22側に沿って、脚部被覆部23側に延出され、さらに、胴部被覆部21の右側位置にする腕部被覆部22側に延出され、そしてさらに、胴部被覆部21の右側に位置する腕部被覆部22側に沿って、頭部被覆部20側に延出され、
図4(a)に示すように、他端部6b2がT字管11に接続されている。
【0030】
そしてさらに、第3吐出管6cは、
図4(a)に示すように、一端部6c1がT字管11に接続され、
図3及び
図5に示すように、頭部被覆部20側に延出され、
図5に示すように、他端部6c2が視界確保用透明窓20a近傍に固定配置されている。
【0031】
かくして、このように構成される第1吐出管6aと、第2吐出管6bと、第3吐出管6cとは、
図3に示す本体部2の内周面2bに縫製により取り付けられている複数の布ループ6dによって、固定配置されている。すなわち、この複数の布ループ6dは、輪状に形成され、
図3~
図5に示すように、本体部2の内周面2bに縫製により適当間隔置きに固定配置されている。しかして、このように固定配置された布ループ6d内に第1吐出管6aと、第2吐出管6bと、第3吐出管6cとを通すことによって、吐出管6は、頭部被覆部20及び胴部被覆部21に延出されて固定配置されることとなる。
【0032】
一方、このように構成される第1吐出管6aと、第2吐出管6bと、第3吐出管6cとには、
図4及び
図5に示すように、適当間隔置きに、内外を貫通した吐出孔6eが設けられている。しかして、このような吐出孔6eが設けられていることにより、
図5に示すように、第3吐出管6cを通った空気が、本体部2の内側Iに吐出される(
図5に示す矢印参照)こととなる。すなわち、ワンタッチジョイント4に吸入された空気は、第1吐出管6a、第2吐出管6b、第3吐出管6c内に導入される。そして、第1吐出管6a、第2吐出管6b、第3吐出管6cには、それぞれ、適当間隔置きに、内外を貫通した吐出孔6eが設けられているから、導入された空気が、吐出孔6eより本体部2の内側Iに吐出されることとなる。これにより、防護服1を着用した着用者の頭部及び胴部に空気が当たるため、暑い夏季作業であっても快適に作業を行うことができる。
【0033】
また、第3吐出管6cの他端部6c2が視界確保用透明窓20a近傍に固定配置されているから、第3吐出管6c内に導入された空気が他端部6c2より吐出されることとなり、もって、その空気が視界確保用透明窓20aに当たることとなる。これにより、作業中に視界確保用透明窓20aが曇ってしまって作業がしづらくなるという事態を低減させることができる。
【0034】
<排出部の説明>
排出部7は、上記のような吐出管6によって、本体部2の内側Iに吐出された空気を、外側Eに排出することができるもので、
図3に示すように、T字管11の下部側に設けられている。
【0035】
しかして、以上説明した本実施形態によれば、吐出管6は、延出されて、頭部被覆部20及び胴部被覆部21に固定配置されると共に、適当間隔置きに、導入された空気を本体部2の内側Iに吐出可能な吐出孔6eが設けられているから、作業者は、防護服1を着用するだけで、着用者の頭部及び胴部に空気が当たることとなる。それゆえ、従来のように、着用者の頭部に装着した防具(ヘルメット)の外周に沿って環状部を被着させる必要がないことから、着用時の簡便性を向上させることができる。
【0036】
なお、本実施形態において示した形状等はあくまで一例であり、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば、本実施形態においては、頭部被覆部20及び胴部被覆部21に吐出管6を固定配置する例を示したが、それに限らず、腕部被覆部22、脚部被覆部23側にも固定配置するようにしても良い。
【0037】
また、本実施形態においては、第3吐出管6cの他端部6c2が視界確保用透明窓20a近傍に固定配置されている例を示したが、それに限らず、第3吐出管6cの他端部6c2を、照明用透明窓20b近傍に固定配置するようにしても良い。この際、照明用透明窓20bに空気を吐出することができ、さらに、照明用透明窓20bの下部に位置する視界確保用透明窓20aにも空気を吐出することができることとなる。これにより、作業中に照明用透明窓20b及び視界確保用透明窓20aが曇ってしまって作業がしづらくなるという事態を低減させることができる。すなわち、第3吐出管6cの他端部6c2を、視界確保用透明窓20a付近に配置すれば、作業中に視界確保用透明窓20aが曇ってしまって作業がしづらくなるという事態を低減させることができる。
【0038】
また、本実施形態においては、空気を圧縮する圧縮機として、エアコンプレッサCを例示したが、これに限らず、例えば、ブロワ等の他の圧縮機や、ファン等の送風機を使用してもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 防護服
2 本体部
3 貫通孔
4 ワンタッチジョイント(接続部)
6 吐出管
6e 吐出孔
20 頭部被覆部(頭部を被覆する部分)
20a 視界確保用透明窓
20b 照明用透明窓
21 胴部被覆部(胴部を被覆する部分)
E 外側
I 内側