(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-14
(45)【発行日】2024-05-22
(54)【発明の名称】事故情報抽出システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/04 20120101AFI20240515BHJP
【FI】
G06Q50/04
(21)【出願番号】P 2020058215
(22)【出願日】2020-03-27
【審査請求日】2023-03-07
(31)【優先権主張番号】P 2019096239
(32)【優先日】2019-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】510020929
【氏名又は名称】株式会社コシダアート
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】越田 英喜
【審査官】大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-186706(JP,A)
【文献】特開2009-064191(JP,A)
【文献】特開平05-307661(JP,A)
【文献】特開2005-284776(JP,A)
【文献】特開2012-058885(JP,A)
【文献】特開2008-052592(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品事故情報を格納した第1データベースにアクセスし、製品ごとの事故原因関連情報をクライアントコンピュータ上で抽出可能な事故情報抽出システムであって、前記事故情報抽出システムは、
前記クライアントコンピュータからの指令によって、前記第1データベースにアクセスするように構成されたサーバコンピュータを有し、
前記サーバコンピュータは、
前記第1データベースと通信を行う通信部と、
前記クライアントコンピュータにおいて、所定の製品情報が入力されたときに、入力された製品情報に基づいて、前記第1データベースに格納された前記製品事故情報についてテキストマイニングを実行することにより、事故原因関連情報を抽出
し、出力画面に表示させる事故原因関連情報抽出部と
を備え
、
前記製品情報は、異なる複数の検索観点によって分けられた複数のリスクシナリオ分類に分類されて、前記サーバコンピュータの記憶部に格納され、
前記複数のリスクシナリオ分類のそれぞれは、検索観点に対応したキーワードを含み、
前記クライアントコンピュータからの指令に応じて、前記複数のリスクシナリオ分類のうちの1つが選択されることにより、前記事故原因関連情報抽出部は、前記検索観点に対応したキーワードを用いたテキストマイニングにより、前記事故原因関連情報を抽出し、前記キーワードに関して相関分析を行い、前記キーワードと相関があり、事故の原因となった、製品以外の他の対象に関するワードを抽出し、前記製品以外の他の対象に関するワードを含むテキストを前記出力画面に表示させる、
事故情報抽出システム。
【請求項2】
前記サーバコンピュータは、過去に事故原因関連情報が抽出に至った際に用いられた検知手順のログを保存するログ保存機能を有し、前記ログ保存機能により保存された検知手順のログ情報は、グループごとまたは個人ごとに記憶されている、請求項1に記載の事故情報抽出システム。
【請求項3】
前記事故原因関連情報抽出部は、FMEA/FTA事故情報を含むFMEA表またはFTAのFT図のデータが格納されたFMEA/FTAデータベースにアクセスし、前記第1データベースから抽出された前記事故原因関連情報と前記FMEA/FTAデータベースの前記FMEA/FTA事故情報とを比較して、前記FMEA/FTAデータベースに前記事故原因関連情報と対応するFMEA/FTA事故情報が存在する場合に、前記事故原因関連情報が前記FMEA表またはFTAのFT図のどの項目に対応するかを示す対応情報を出力するように構成されている、請求項1または2に記載の事故情報抽出システム。
【請求項4】
前記事故原因関連情報抽出部は、前記対応情報とともに、前記FMEA/FTA事故情報で特定された事故原因の対策情報を出力するように構成されている、請求項3に記載の事故情報抽出システム。
【請求項5】
前記サーバコンピュータが、前記事故原因関連情報および前記対応情報を含むレポートを作成するレポート生成部をさらに備えている、請求項
3に記載の事故情報抽出システム。
【請求項6】
前記FMEA/FTAデータベースに前記事故原因関連情報と対応する前記FMEA/FTA事故情報が存在しない場合は、
前記事故原因関連情報抽出部は、安全対策への拡張と充実化を図るため、前記FMEA/FTAデータベースに前記事故原因関連情報を記録するように構成されている、請求項3に記載の事故情報抽出システム。
【請求項7】
前記複数のリスクシナリオ分類は、
製品の症状に関する症状関連分類、
製品の位置または製品に対する位置に関する位置関連分類、
製品を使用する対象者または製品事故に関わる対象者に関する対象者関連分類、
製品を使用する対象者の行為に起因する対象者行為関連分類、
製品の部品または部位に関する製品部分関連分類、
製品の動力に関する製品動力関連分類、
製品の物性に関する物性関連分類、
製品の状態に関する状態関連分類、および、
製品の設置された環境に関する環境関連分類
のうちの1つまたは2つ以上の分類を含む、請求項
1~6のいずれか1項に記載の事故情報抽出システム。
【請求項8】
前記事故原因関連情報抽出部は、頻度分析または相関分析によって、前記事故原因関連情報を抽出する請求項1~
7のいずれか1項に記載の事故情報抽出システム。
【請求項9】
製品事故情報を格納した第1データベースにアクセスし、製品ごとの事故原因関連情報をクライアントコンピュータ上で抽出可能な事故情報抽出システムであって、前記事故情報抽出システムは、
前記クライアントコンピュータからの指令によって、前記第1データベースにアクセスするように構成されたサーバコンピュータを有し、
前記サーバコンピュータは、
前記第1データベースと通信を行う通信部と、
前記クライアントコンピュータにおいて、所定の製品情報が入力されたときに、入力された製品情報に基づいて、前記第1データベースに格納された前記製品事故情報についてテキストマイニングを実行することにより、事故原因関連情報を抽出する事故原因関連情報抽出部と
を備え、
前記事故原因関連情報抽出部は、FMEA/FTA事故情報を含むFMEA表またはFTAのFT図のデータが格納されたFMEA/FTAデータベースにアクセスし、前記第1データベースから抽出された前記事故原因関連情報と前記FMEA/FTAデータベースの前記FMEA/FTA事故情報とを比較して、前記FMEA/FTAデータベースに前記事故原因関連情報と対応するFMEA/FTA事故情報が存在する場合に、前記事故原因関連情報が前記FMEA表またはFTAのFT図のどの項目に対応するかを示す対応情報を出力するように構成されている、
事故情報抽出システム。
【請求項10】
前記事故原因関連情報抽出部は、前記対応情報とともに、前記FMEA/FTA事故情報で特定された事故原因の対策情報を出力するように構成されている、請求項9に記載の事故情報抽出システム。
【請求項11】
前記FMEA/FTAデータベースに前記事故原因関連情報と対応する前記FMEA/FTA事故情報が存在しない場合は、
前記事故原因関連情報抽出部は、安全対策への拡張と充実化を図るため、前記FMEA/FTAデータベースに前記事故原因関連情報を記録するように構成されている、請求項9に記載の事故情報抽出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、事故情報抽出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
日常的に用いられる身の回りの製品や、電気製品、光学的製品、工場などで用いられる工作機械、サプリメント、薬品、食品、化学製品など(以下、まとめて単に製品という)を使用する際に、製品自体の故障や不具合に起因する事故や、製品の使用方法に起因する事故など、数多くの事故情報および/または故障情報(以下、まとめて単に製品事故情報という)が報告されている。これらの製品事故情報にはそれぞれ事故原因やそのリスクがあり、たとえば、製品事故を防止することを目的とした新製品の開発などに際して、製品ごとに存在する事故原因、事故内容などを容易に分析・検知することが求められている。
【0003】
現状としては、企業や行政機関が保有している製品事故情報が格納されているデータベースにアクセスすることにより、各製品の製品事故に関する事故原因、事故内容などの事故情報を検索および入手することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述したデータベースを用いて製品事故情報を検索する場合、膨大な量のデータベースの内容をユーザが自分で確認する必要があり、上述した製品事故情報から事故原因やそのリスクにたどり着くまでの分析・要素抽出に時間がかかり、また、分析プロセスに個人差がありリスク評価の精度確保などを含め、効率的な情報の抽出ができない。
【0005】
そこで、本発明はかかる問題点に鑑みて、所定のデータベースを用いて短時間かつ精度良く事故原因関連情報を抽出することが可能な事故情報抽出システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の事故情報抽出システムは、製品事故情報を格納した第1データベースにアクセスし、製品ごとの事故原因関連情報をクライアントコンピュータ上で抽出可能な事故情報抽出システムであって、前記事故情報抽出システムは、前記クライアントコンピュータからの指令によって、前記第1データベースにアクセスするように構成されたサーバコンピュータを有し、前記サーバコンピュータは、前記第1データベースと通信を行う通信部と、前記クライアントコンピュータにおいて、所定の製品情報が入力されたときに、入力された製品情報に基づいて、前記第1データベースに格納された前記製品事故情報についてテキストマイニングを実行することにより、事故原因関連情報を抽出する事故原因関連情報抽出部とを備えていることを特徴とする。
【0007】
また、前記サーバコンピュータは、過去に事故原因関連情報が抽出に至った際に用いられた検知手順のログを保存するログ保存機能を有し、前記ログ保存機能により保存された検知手順のログ情報は、グループごとまたは個人ごとに記憶されていることが好ましい。
【0008】
また、前記事故原因関連情報抽出部は、FMEA/FTA事故情報を含むFMEA表またはFTAのFT図のデータが格納されたFMEA/FTAデータベースにアクセスし、前記第1データベースから抽出された前記事故原因関連情報と前記FMEA/FTAデータベースの前記FMEA/FTA事故情報とを比較して、前記FMEA/FTAデータベースに前記事故原因関連情報と対応するFMEA/FTA事故情報が存在する場合に、前記事故原因関連情報が前記FMEA表またはFTAのFT図のどの項目に対応するかを示す対応情報を出力するように構成されていることが好ましい。
【0009】
また、前記事故原因関連情報抽出部は、前記対応情報とともに、前記FMEA/FTA事故情報で特定された事故原因の対策情報を出力するように構成されていることが好ましい。
【0010】
また、前記サーバコンピュータが、前記事故原因関連情報および前記対応情報を含むレポートを作成するレポート生成部をさらに備えていることが好ましい。
【0011】
また、前記FMEA/FTAデータベースに前記事故原因関連情報と対応する前記FMEA/FTA事故情報が存在しない場合は、前記事故原因関連情報抽出部は、安全対策への拡張と充実化を図るため、前記FMEA/FTAデータベースに前記事故原因関連情報を記録するように構成されていることが好ましい。
【0012】
また、前記製品情報は、異なる複数の検索観点によって分けられた複数のリスクシナリオ分類に分類されて、前記サーバコンピュータの記憶部に格納され、前記複数のリスクシナリオ分類のそれぞれは、検索観点に対応したキーワードを含み、前記クライアントコンピュータからの指令に応じて、前記複数のリスクシナリオ分類のうちの1つが選択されることにより、前記事故原因関連情報抽出部は、前記検索観点に対応したキーワードを用いたテキストマイニングにより、前記事故原因関連情報を抽出することが好ましい。
【0013】
また、前記複数のリスクシナリオ分類は、製品の症状に関する症状関連分類、製品の位置または製品に対する位置に関する位置関連分類、製品を使用する対象者または製品事故に関わる対象者に関する対象者関連分類、製品を使用する対象者の行為に起因する対象者行為関連分類、製品の部品または部位に関する製品部分関連分類、製品の動力に関する製品動力関連分類、製品の物性に関する物性関連分類、製品の状態に関する状態関連分類、および、製品の設置された環境に関する環境関連分類のうちの1つまたは2つ以上の分類を含むことが好ましい。
【0014】
また、前記事故原因関連情報抽出部は、頻度分析または相関分析によって、前記事故原因関連情報を抽出することが好ましい。
【0015】
また、本発明の事故情報抽出システムは、製品事故情報を格納した第1データベースにアクセスし、製品ごとの事故原因関連情報をクライアントコンピュータ上で抽出可能な事故情報抽出システムであって、前記事故情報抽出システムは、前記クライアントコンピュータからの指令によって、前記第1データベースにアクセスするように構成されたサーバコンピュータを有し、前記サーバコンピュータは、前記第1データベースと通信を行う通信部と、前記クライアントコンピュータにおいて、所定の製品情報が入力されたときに、入力された製品情報に基づいて、前記第1データベースに格納された前記製品事故情報についてテキストマイニングを実行することにより、事故原因関連情報を抽出する事故原因関連情報抽出部とを備え、前記製品情報は、異なる複数の検索観点によって分けられた複数のリスクシナリオ分類に分類されて、前記サーバコンピュータの記憶部に格納され、前記複数のリスクシナリオ分類のそれぞれは、検索観点に対応したキーワードを含み、前記クライアントコンピュータからの指令に応じて、前記複数のリスクシナリオ分類のうちの1つが選択されることにより、前記事故原因関連情報抽出部は、前記検索観点に対応したキーワードを用いたテキストマイニングにより、前記事故原因関連情報を抽出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の事故情報抽出システムによれば、所定のデータベースを用いて短時間かつ精度良く事故原因関連情報を抽出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態の事故情報抽出システムの概略図である。
【
図2】第1データベースに格納される情報の一例を示す図である。
【
図3】FMEAデータベース4に格納されたFMEA表の一例を示す図である。
【
図4】サーバコンピュータの構成を示す概略図である。
【
図5】事故原因関連情報を抽出する際に、クライアントコンピュータに表示される事故情報検索画面の一例を示す図である。
【
図6】事故原因関連情報抽出部によって抽出された事故原因関連情報の出力画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態の事故情報抽出システムを説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまで一例であり、本発明の事故情報抽出システムは、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態の事故情報抽出システムの概略図である。
図1に示されるように、本実施形態の事故情報抽出システムSは、サーバコンピュータ1を備えている。サーバコンピュータ1は、インターネット等の電気通信回線Iを介して、製品事故情報を格納した第1データベース2およびクライアントコンピュータ3に接続されている。本実施形態の事故情報抽出システムSは、後述するように、第1データベース2にアクセスし、製品ごとの事故原因関連情報をクライアントコンピュータ3上で抽出することができる。本実施形態の事故情報抽出システムSは、インターネット等を経由したクラウド型であってもよいし、インターネット等を経由しないオンプレミス型であってもよい。
【0020】
なお、本明細書において、「製品」とは、日常的に用いられる身の回りの製品、電気製品、光学的製品、工場などで用いられる工作機械、サプリメント、薬品、食品、化学製品などを含み、分野や規模を問わない各種製品をいう。また、「製品」は、家屋、マンション、プラント、工場などにおいて設けられた、各種装置、機器、システムを含み、「製品」の概念には、複数部材、複数の装置から構成されているものも含まれる。また、本明細書において、「製品事故情報」は、第1データベース2に記憶された過去の事故・故障などの事故内容・事故原因を含むテキスト情報をいう。また、本明細書において、「製品情報」とは、製品に関連する情報であり、製品の名称や、製品の型番、後述する製品の分類などを含む情報をいう。
【0021】
第1データベース2は、製品事故情報を格納したデータベースである。本実施形態では、第1データベース2は、サーバコンピュータ1から独立して設けられているが、サーバコンピュータ1に設けられていてもよいし、クライアントコンピュータ3側に設けられていてもよい。第1データベース2は、製品事故情報が格納されていればよく、既存のデータベースをそのまま用いてもよいし、新たにデータベース化して第1データベース2としてもよい。第1データベース2は、特に限定されないが、たとえば、行政機関が保有する製品事故情報、関連団体が保有する製品事故情報、システムの利用者が保有する製品事故情報であってもよい。なお、「製品事故情報」は、事故・故障の情報以外に、クレーム情報、不具合情報、お客様の声情報、SNS等のインターネット上の事故・故障および事故・故障につながるヒヤリハット情報などの書き込み内容(以下、事故、故障、クレーム、不具合、お客様の声、SNS等のインターネット上の書き込み内容などをまとめて単に「事故」と呼ぶ)が格納された各種データベースとすることができる。
【0022】
第1データベース2は、製品名21と製品事故情報22とを含むデータ(テキストデータ)が格納されている。第1データベース2は、本実施形態では、
図2に示されるように、製品名21と、製品事故情報22とが関連付けて記憶されていてもよいし、製品名21と製品事故情報22とが連続した1または複数の文章など、テキストデータの状態で格納されていてもよい。第1データベース2に記憶される製品事故情報22は、図示するものに限定されないが、本実施形態では、各製品ごとに実際に生じた具体的な事故の内容を示す事故内容221と、事故内容221の事故の原因を示す事故原因222と、必要に応じて再発防止措置223とを含んでいる。なお、製品事故情報22は、基本的には事故内容221と事故原因222とを含んでいればよく、それ以外の項目は任意である。また、製品事故情報22は、図示する以外の他の情報、たとえば、事故番号、事故発生日、事故通知者、事故受付日、品番/型式/機種、製造・輸入・販売業者、被害内容、事故対応、製品の使用期間、品目分類コード、品目など、製品のさらに細かい分類などを含んでいてもよい。
【0023】
クライアントコンピュータ3は、事故情報抽出システムSのユーザの端末である。クライアントコンピュータ3は、
図1では1つのみ示されているが、複数であってもよい。クライアントコンピュータ3は、たとえば、パーソナルコンピューター、スマートフォン、タブレットPCなど、各種の端末とすることができる。クライアントコンピュータ3の構成は特に限定されないが、操作画面や抽出された事故原因関連情報を表示可能な表示部と、操作画面において入力操作が可能な入力部(マウスやキーボード、タッチパネルなど)とを有している。
【0024】
また、本実施形態では、クライアントコンピュータ3は、ユーザが有するFMEA表のデータが格納されたFMEAデータベース4に接続されている。本実施形態では、FMEAデータベース4はクライアントコンピュータ3を介して、電気通信回線Iを経由してサーバコンピュータ1に接続されている。しかし、FMEAデータベース4はサーバコンピュータ1に直接(クライアントコンピュータ3および電気通信回線Iを経由せずに)接続されていてもよい。または、FMEAデータベース4は、クライアントコンピュータ3を経由せずに電気通信回線Iを経由して、サーバコンピュータ1に接続されていてもよい。
【0025】
図3は、FMEAデータベース4に格納されたFMEA表の一例を示す図である。FMEA(Failure Mode and Effects Analysis)は、故障・不具合の防止を目的とした、潜在的な故障の体系的な分析方法であり、それ自体は公知であるため、詳細な説明は省略する。本実施形態では、FMEA表は、製品名41、機能42、故障モード43、事故原因44、事故原因コード45、対策46などの情報を含んでいる。FMEA表に含まれる情報は、図示するものに限定されず、他の情報(たとえば故障影響、重要度など)を含んでいてもよいし、発明の目的を達成できる範囲で、
図3に示される情報の一部のみを含んでいなくてもよい。
【0026】
なお、本実施形態では、FMEA表のデータがFMEAデータベース4に格納されているが、FMEA表に代えて、またはFMEA表と併せてFTA(Fault Tree Analysis)のFT図(樹形図)のデータを用いてもよい。FTAはそれ自体公知であるため、詳細な説明は省略するが、後述するFMEA表における事故原因と事故原因コードの表示に代えて、ツリー状のFT図における事故原因と事故原因コードの表示(ツリー状のFT図における事象と、それに割り当てられたコード)とすることができる。
【0027】
サーバコンピュータ1は、クライアントコンピュータ3からの指令によって、第1データベース2にアクセスして、製品ごとの事故原因関連情報をクライアントコンピュータ3上で抽出できるように構成されている。サーバコンピュータ1は、
図4に示されるように、通信部11と、事故原因関連情報抽出部12とを備えている。また、本実施形態では、サーバコンピュータ1はさらに、レポート生成部13と、記憶部14とを有している。
【0028】
通信部11は、インターネット等の電気通信回線Iを介して第1データベース2およびクライアントコンピュータ3と通信を行う。なお、通信部11は、FMEAデータベース4と直接または間接的に通信するように構成されていてもよい。
【0029】
詳細は後述するが、事故原因関連情報抽出部12は、クライアントコンピュータ3において、所定の製品情報が入力されたときに、入力された製品情報に基づいて、第1データベース2に格納された製品事故情報22についてテキストマイニングを実行することにより、事故原因関連情報を抽出する。事故原因関連情報抽出部12によって抽出される事故原因関連情報は、第1データベース2に格納された製品事故情報のうちの一部であれば特に限定されないが、製品事故情報のうち、事故内容および/または事故原因に関連する情報、リスク情報など(以下、事故原因関連情報という)を含むことが好ましい。事故原因関連情報は、上述したように、事故内容の事故の直接または間接的な原因を示す事故原因を示す情報であり、たとえば、暴露(むきだし状態の危険源を特定した情報)、誤使用、暴露機会(むきだした危険源に触れる確率、回数など、予想される幾多のストーリー)、ハザード(危険源、危険の原因、危険物、障害物、潜在的危険性)、痕跡(ショートや溶融痕から類推される危険原因)、ケガ(怪我詳細<部位、症状、重度>を引き起こす危険原因)、物損(拡大損害<物、症状、重度>を引き起こす危険原因、経年(劣化や変化、症状によって引き起こされる危険原因)、環境(塩害、煙害、砂害など設置環境によって引き起こされる危険原因)などのうちのいずれかまたは全てを含む。なお、事故原因関連情報として、上述したもの以外の情報を含んでいてもよい。このテキストマイニングを行うことによって、ユーザは、膨大な量の第1データベース2を手作業でチェックする必要がなくなり、新製品の開発時など、事故原因関連情報を確認する際の時間や手間を大きく低減させることができる。
【0030】
事故原因関連情報抽出部12は、膨大な事故データが格納された第1データベース2にアクセスして、テキストマイニングによって所望の事故原因関連情報を抽出するように構成されている。なお、抽出される事故原因関連情報の表示順序や件数は、ユーザの設定によって、適宜変更することができる。事故原因関連情報抽出部12におけるテキストマイニングは、たとえば、複数のリスクシナリオ分類とそれぞれの検索観点に対応したキーワードによって実行され、具体的には、第1データベース2に格納されている製品事故情報のテキストデータに関して、自然言語解析の手法を用いて、テキスト形式の文章を単語(名詞、動詞、形容詞等)に分割し、それらの出現頻度や相関関係を分析することで事故原因関連情報(本実施形態では、事故原因とそのリスク情報)を抽出することをいう。
【0031】
クライアントコンピュータ3によって入力される製品情報は、たとえば、検索窓W(
図5参照)に製品名が直接文字入力されてもよいし、図示しないプルダウンメニューなどから製品名を選択するように構成されていてもよい。なお、
図5の検索画面はあくまで一例であり、サーバコンピュータ1は、クライアントコンピュータ3に任意の画面を表示するように制御される。
【0032】
本実施形態では、製品情報は、製品名に加えて、複数のリスクシナリオ分類C1~Cm(
図5参照)を含んでいる。本実施形態では、複数のリスクシナリオ分類C1~Cmのそれぞれの分類に対応する複数のボタン(アイコン)が、クライアントコンピュータ3において表示されるように構成されている。複数のリスクシナリオ分類C1~Cmは、異なる複数の検索観点によって分けられた分類であり、複数のリスクシナリオ分類C1~Cmはサーバコンピュータ1の記憶部14に格納されている。複数のリスクシナリオ分類C1~Cmのそれぞれは、複数の検索観点に対応した分類であり、それぞれのリスクシナリオ分類C1~Cmは、それぞれの検索観点に対応したキーワードを含み、予め記憶部14に格納されている。
【0033】
クライアントコンピュータ3からの指令(たとえば、
図5において画面上のボタンの1つがクリックされる)に応じて、複数のリスクシナリオ分類C1~Cmのうちの1つが選択されることにより、事故原因関連情報抽出部12は、検索観点に対応したキーワードを用いたテキストマイニングを行い、事故原因関連情報を抽出するように構成されている。事故原因関連情報抽出部12は、たとえば、頻度分析または相関分析によって、第1データベース2から事故原因関連情報を抽出する。具体的には、ユーザは、検索窓Wに検索したい製品名を入力するとともに、その製品の中で、検索したい観点に対応するリスクシナリオ分類C1~Cmをクリック(またはタップ)して、事故原因関連情報抽出部12のテキストマイニングが実行される。また、リスクシナリオ分類C1~Cmの1つを用いて事故原因情報を1次スクリーンした後、他のリスクシナリオ分類C1~Cmを用いて、事故原因情報をさらに絞り込んでもよい。
【0034】
リスクシナリオ分類C1~Cmは、検索観点に対応した複数のキーワードを包含する分類である。一例ではあるが、リスクシナリオ分類C1~Cmは、(1)製品の症状に関する症状関連分類C1、(2)製品の位置または製品に対する位置に関する位置関連分類C2、(3)製品を使用する対象者または製品事故に関わる対象者に関する対象者関連分類C3、(4)製品を使用する対象者の行為に起因する対象者行為関連分類C4、(5)製品の部品または部位に関する製品部分関連分類C5、(6)製品の動力に関する製品動力関連分類C6、(7)製品の物性に関する物性関連分類C7、(8)製品の状態に関する状態関連分類C8、(9)製品の設置された環境に関する環境関連分類C9のうちの1つまたは2つ以上の分類を含んでいてもよい。
【0035】
(1)製品の症状に関する症状関連分類C1は、たとえば、製品の症状に関するキーワードに関連する。たとえば、記憶部14には、症状関連分類C1に関連付けられて、製品の症状に対応するキーワードが記憶される。これにより、症状関連分類C1が選択されたときに、製品の症状という観点からの事故原因関連情報の一次絞り込みが可能となる。
【0036】
具体的には、症状関連分類C1によって、事故原因関連情報抽出部12は、製品の<不良>、<熱>、<異臭>などによる症状を検知する。症状関連分類C1が選択されると、事故原因関連情報抽出部12は、「症状」または「症状」の小分類(製品の<不良>、<熱>、<異臭>などに対応する項目)に関連した、複数の事故情報を抽出する。この抽出された事故情報の1つとして、例えば、「ウォーターサーバーから異臭がし、出火した。(事故発生地:岡山県)温度調整用サーモスタットが繰り返しの使用に伴い、接点の開閉によるスパークでサーモスタットの樹脂ケースが炭化し、絶縁劣化する構造であったため、樹脂ケースが炭化したことでサーモスタット端子間が絶縁不良となり、発煙・焼損したものと推定される」(出典元:独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)製品事故情報)という事故があるとする。症状関連分類C1が選択されると、事故原因関連情報抽出部12は、この事故情報の中から、「ウォーターサーバーから異臭」の「異臭」を検知したり、「接点の開閉によるスパーク」の「スパーク」を検知したり、「サーモスタット端子間が絶縁不良」の「絶縁不良」を検知したりして、製品の症状に関する症状関連分類C1に該当する一文を検知する。この検知内容から、例えば、なぜ「樹脂ケースが炭化したことでサーモスタット端子間が絶縁不良となり」、製品の発煙・焼損に至ったのか特定できることにつながる。また、この検知内容に近しい事故情報を複数検知することが可能になり、製品の症状に関する事故原因の分析やリスクシナリオの作成に貢献する。
【0037】
(2)製品の位置または製品に対する位置に関する位置関連分類C2は、たとえば、位置に関するキーワードに関連する。たとえば、記憶部14には、位置関連分類C2に関連付けられて、製品自体の位置(上、下、横など)に対応するキーワード、製品に対する他の対象(壁や棚など)の位置に関するキーワードなどに関するキーワードが記憶される。これにより、位置関連分類C2が選択されたときに、製品の位置という観点からの事故原因関連情報の一次絞り込みが可能となる。
【0038】
(3)製品を使用する対象者または製品事故に関わる対象者に関する対象者関連分類C3は、たとえば、製品を使用する対象者または製品事故に関わる対象者に関するキーワードに関連する。たとえば、記憶部14には、対象者関連分類C3に関連付けられて、子供、老人、ペット、そ族など、対象者(人以外も含む)の情報に関するキーワードが記憶される。これにより、対象者関連分類C3が選択されたときに、製品の対象者という観点からの事故原因関連情報の一次絞り込みが可能となる。
【0039】
(4)製品を使用する対象者の行為に起因する対象者行為関連分類C4は、たとえば、対象者が行った行為、事故が生じたときの対象者の行為に関するキーワードに関連する。たとえば、記憶部14には、対象者行為関連分類C4に関連付けられて、対象者の行為に関するキーワードが記憶される。これにより、対象者行為関連分類C4が選択されたときに、対象者の行為という観点からの一次絞り込みが可能となり、事故の原因となり得る誤使用と不注意などを抽出することができる。
【0040】
具体的には、対象者行為関連分類C4によって、事故原因関連情報抽出部12は、高齢者、使用者、被害者の<誤使用>や<不注意>などを検知する。対象者行為関連分類C4が選択されると、事故原因関連情報抽出部12は、「対象者」または「対象者」の小分類(高齢者、使用者、被害者の<誤使用>や<不注意>などに対応する項目)に関連した、複数の事故情報を抽出する。この抽出された事故情報の1つとして、例えば、「電源を切ってバスマットを上にかけていた電気ストーブから発煙、発火し、周辺を焼損した。(事故発生地:福島県)脱衣場に置いていた事故品にバスマットをかけていたため、高齢の被害者が横を通る際、誤って電源スイッチ(押しボタン式)に触れたことから、通電してバスマットが過熱され、焼損したものと推定される」(出典元:独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)製品事故情報)という事故があるとする。対象者関連分類C4が選択されると、事故原因関連情報抽出部12は、この事故情報の中から「誤って電源スイッチ(押しボタン式)に触れた」という誤使用に該当する一文を検知する。この検知内容から、使用者の不注意が特定でき、事故原因の推定につながる。また、この検知内容に近しい事故情報を複数検知することが可能になり、製品を使用する対象者の行為に起因に関する事故原因の分析やリスクシナリオの作成に貢献する。
【0041】
(5)製品の部品または部位に関する製品部分関連分類C5は、たとえば、製品の部品、部位の名称に関するキーワードに関連する。たとえば、記憶部14には、製品部分関連分類C5に関連付けられて、製品の部品名(カートリッジ、フィルターなど)、部位の名称(上蓋、電気接点など)、部品、部位に関するキーワードが記憶される。これにより、製品部分関連分類C5が選択されたときに、製品の部品・部位という観点からの一次絞り込みが可能となる。
【0042】
具体的には、製品部分関連分類C5によって、事故原因関連情報抽出部12は、製品の事故に関連する重要な<部品名>や<部位名>などを検知する。製品部分関連分類C5が選択されると、事故原因関連情報抽出部12は、「製品部分」または「製品部分」の小分類(製品の事故に関連する重要な<部品名>や<部位名>などに対応する項目)に関連した、複数の事故情報を抽出する。この抽出された事故情報の1つとして、例えば、ウォーターサーバーに関して、「当該製品を使用中、当該製品から発煙し、当該製品の内部部品を焼損する火災が発生した。(事故発生地:東京都)事故原因は、当該製品の温度調節用サーモスタットの接点不良による発熱とスパークにより、サーモスタット外郭樹脂部が炭化したことから絶縁低下し、短絡したため、焼損に至ったものと考えられる」(出典元:独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)製品事故情報)という事故があるとする。製品部分関連分類C5が選択されると、事故原因関連情報抽出部12は、この事故情報の中から、重要な部品キーワードである<サーモスタット>を含んだ一文を検知する。この検知内容から、なぜ「サーモスタット」が作動せず、事故に至ったのか事故の原因が特定できることにつながる。また、この検知内容に近しい事故情報を複数検知することが可能になり、製品の部品または部位に関する事故原因の分析やリスクシナリオの作成に貢献する。
【0043】
(6)製品の動力に関する製品動力関連分類C6は、たとえば、製品の動力に関するキーワードに関連する。たとえば、記憶部14には、製品動力関連分類C6に関連付けられて、製品の動力(電気式、ガス式など)など、動力に関するキーワードが記憶される。これにより、製品動力関連分類C6が選択されたときに、製品の動力という観点からの一次絞り込みが可能となる。
【0044】
具体的には、製品動力関連分類C6によって、事故原因関連情報抽出部12は、製品の動力に関連する重要なキーワードなどを検知する。製品動力関連分類C6が選択されると、事故原因関連情報抽出部12は、「製品動力」または「製品動力」の小分類(製品の動力に関連する重要なキーワードなどに対応する項目)に関連した、複数の事故情報を抽出する。この抽出された事故情報の1つとして、例えば、歩行型の除雪機に関して、「当該製品を使用中、当該製品を焼損する火災が発生した。(事故発生地:青森県)〇使用者は除雪作業中に当該製品を方向転回する際、左側に傾けていた。〇当該製品を水平に戻すことができなかった。〇給油口から燃料が流れ出した形跡が認められた。〇燃料タンク等に燃料漏れの不具合は認められなかった。〇電装部品には短絡の痕跡は認められなかった。〇構造上左側に45度以上傾いた場合、キャブレターからガソリンが漏れる、また、給油口キャップが確実に装着されていない場合も給油口からガソリンが漏れることが確認された。●当該製品を使用中、左側に方向回転をする際に当該製品を45度以上傾けてしまったために、給油口及びキャブレターから漏れた燃料が排気管の熱により発火し、火災に至ったものと推定される」(出典元:独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)製品事故情報)という事故があるとする。製品動力関連分類C6が選択されると、事故原因関連情報抽出部12は、この事故情報の中から、製品の動力である「ガソリン」を含んだ重要な一文「給油口及びキャブレターからガソリンが漏れた」を検知する。この検知内容から、なぜ給油口及びキャブレターから「ガソリン」が漏れたのか原因が特定できることにつながる。また、この検知内容に近しい事故情報を複数検知することが可能になり、製品の動力に関する事故原因の分析やリスクシナリオの作成に貢献する。
【0045】
(7)製品の物性に関する物性関連分類C7は、たとえば、製品の物性に関するキーワードに関連する。物性関連分類C7は、たとえば、製品の機械的性質、熱的性質、電気的性質、などによって起こる化学反応や変化などの物性に対応したキーワードであり、記憶部14には、物性関連分類C7に関連付けられて、製品の素材・材料、物質の特性(性質)、製品に生じ得る化学反応、機械的反応など、製品の物性に関するキーワードが記憶される。これにより、物性関連分類C8が選択されたときに、製品の物性という観点からの一次絞り込みが可能となる。なお、製品の素材・材料としては、例えば樹脂、金属、難燃剤、ガラス、ガス、ゴム、ポリカーボネート、ポリプロピレンなど、所定の製品に用いられる素材・材料である。また、物質の特性(性質)は、所定の製品に用いられる物質の、刺激性、導電性、難燃性、引火性、揮発性、ノイズ性、耐水性、溶性など、物質の特性である。また、製品に生じ得る化学反応、機械的反応は、所定の製品に生じ得る、リーク放電、加水分解、火花放電、過剰加熱、回転異常、緩み異常、吸い込み異常、刺激反応などの化学反応、機械的反応である。
【0046】
具体的には、物性関連分類C7によって、事故原因関連情報抽出部12は、製品の物性リスクに関する重要なキーワードなどを検知する。物性関連分類C7が選択されると、事故原因関連情報抽出部12は、「物性」または「物性」の小分類(製品の物性リスクに関する重要なキーワードなどに対応する項目)に関連した、複数の事故情報を抽出する。この抽出された事故情報の1つとして、例えば、電気カーペットに関して「当該製品のスイッチを入れたところ、当該製品を焼損する火災が発生した。(事故発生地:大阪府)〇当該製品は、カーペットの中心部の発熱体が変色していた。〇発熱体の断線部近傍は、被覆の可塑剤が抜け、硬化している状態であった。〇コントローラーを含めたその他の部位に異常は認められなかった。〇使用者は、当該製品の上に乳児用布団を常時敷き、常に「強」で使用していた。●当該製品は、布団等保温性の高いものを上に敷いていたため、局部的な過熱が生じ、被覆硬化及び発熱線の酸化劣化により、発熱体が半断線状態になったと考えられ、電源を投入時の突入電流により断線部でスパークが発生し、当該事故に至ったものと考えられ、製品に起因しない事故と推定される」(出典元:独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)製品事故情報)という事故があるとする。物性関連分類C7が選択されると、事故原因関連情報抽出部12は、この事故情報の中から、製品の物性リスクに該当する「布団等保温性の高いもの」、「被覆硬化」、「酸化劣化」を含んだ重要な一文「布団等保温性の高いものを上に敷いていたため、局部的な過熱が生じ、被覆硬化及び発熱線の酸化劣化により、発熱体が半断線状態になった」を検知する。この検知内容から、なぜ火災に至ったのか事故原因が特定できることにつながる。また、この検知内容に近しい事故情報を複数検知することが可能になり、製品の物性に関する事故原因の分析やリスクシナリオの作成に貢献する。
【0047】
(8)製品の状態に関する状態関連分類C8は、たとえば、製品の状態に関するキーワードに関連する。たとえば、記憶部14には、状態関連分類C8に関連付けられて、製品の使用中の状態(走行中、炊飯中、作動中、作業中など)、経年変化した後の状態、破損した状態など、製品の状態に関するキーワードが記憶される。これにより、状態関連分類C8が選択されたときに、製品の状態という観点からの一次絞り込みが可能となる。
【0048】
具体的には、状態関連分類C8によって、事故原因関連情報抽出部12は、製品の状態に関する重要なキーワードなどを検知する。状態関連分類C8が選択されると、事故原因関連情報抽出部12は、「状態」または「状態」の小分類(製品の状態に関する重要なキーワードなどに対応する項目)に関連した、複数の事故情報を抽出する。この抽出された事故情報の1つとして、例えば、ガスふろがまに関して、「当該製品を使用中、当該製品及び周辺を焼損する火災が発生した。(事故発生地:福岡県)〇当該製品は、缶体の過熱によって熱交換器に多量の酸化スケールが発生しており、空だきが生じた痕跡が認められた。〇制御基板、バーナーユニット等に焼損等の異常はなく、空だき防止装置等の安全装置の作動温度及び結線は正常であり、異常は認められなかった。〇缶体の空だき防止装置装着部のすすの付着状態及び当該装置の樹脂製ケースの溶融変形状態から、空だき防止装置が装着部から外れていた痕跡が認められた。〇空だき防止装置は、装着状態で容易に缶体から脱落する構造ではなく、不完全な装着状態になることもなかった。●当該製品の空だき防止装置が装着部から外されていたため、空だきが継続して出火したものと考えられ、空だき防止装置が外されていた経緯は不明であるが、製品に起因しない事故と推定される」(出典元:独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)製品事故情報)という事故があるとする。状態関連分類C8が選択されると、事故原因関連情報抽出部12は、この事故情報の中から、製品の状態に該当する「当該製品を使用中」、「空だき防止装置装着部のすすの付着状態」、「樹脂製ケースの溶融変形状態」、「装着部から外されていた」を含んだ重要な一文「缶体の空だき防止装置装着部のすすの付着状態及び当該装置の樹脂製ケースの溶融変形状態から、空だき防止装置が装着部から外れていた痕跡が認められた。」、「当該製品の空だき防止装置が装着部から外されていたため、空だきが継続して出火したものと考えられ、空だき防止装置が外されていた経緯は不明であるが、製品に起因しない事故と推定される」を検知する。この検知内容から、なぜ火災に至ったのか事故原因が特定できることにつながる。また、この検知内容に近しい事故情報を複数検知することが可能になり、製品の状態に関する事故原因の分析やリスクシナリオの作成に貢献する。
【0049】
(9)製品の設置された環境に関する環境関連分類C9は、たとえば、製品の設置された環境に関するキーワードに関連する。たとえば、記憶部14には、環境関連分類C9に関連付けられて、病院、通路、屋外、倉庫、キッチン、風呂、事務所など、製品が設置された場所、施設、地域など、製品の環境に関するキーワードが記憶される。これにより、環境関連分類C9が選択されたときに、製品の環境という観点からの一次絞り込みが可能となる。
【0050】
具体的には、環境関連分類C9によって、事故原因関連情報抽出部12は、製品の環境に関する重要なキーワードなどを検知する。環境関連分類C9が選択されると、事故原因関連情報抽出部12は、「環境」または「環境」の小分類(製品の環境に関する重要なキーワードなどに対応する項目)に関連した、複数の事故情報を抽出する。この抽出された事故情報の1つとして、例えば、空気圧縮機に関して「当該製品を使用後、電源を入れたままにしたところ、当該製品及び周辺を焼損する火災が発生した。(事故発生地:青森県)事故原因は、当該製品のモーターが低温環境下で起動不良を起こして過負荷状態となり、過大な電流が流れた際に、製品の仕様(定格値)に適合していないサーキットブレーカー(電流遮断装置)が使用されていたため、安全装置が作動せず、モーターが過熱し出火したものと考えられる」(出典元:独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)製品事故情報)という事故があるとする。環境関連分類C9が選択されると、事故原因関連情報抽出部12は、この事故情報の中から、製品の環境リスクに該当する「低温環境下で起動不良」を含んだ重要な一文「当該製品のモーターが低温環境下で起動不良を起こして過負荷状態となり、過大な電流が流れた」を検知する。この検知内容から、なぜ火災に至ったのか事故原因が特定できることにつながる。また、この検知内容に近しい事故情報を複数検知することが可能になり、製品の設置された環境に関する事故原因の分析やリスクシナリオの作成に貢献する。
【0051】
なお、リスクシナリオ分類は、上記(1)~(9)以外の分類を含んでいてもよいし、(1)~(9)の分類のうちの一部のみを有していてもよい。また、(1)~(9)などの分類(大分類)のそれぞれはさらに詳細な小分類に分類されていてもよい。このように、各分類がさらに小分類に分かれていることにより、大分類と小分類との組み合わせ、ある大分類の小分類と異なる大分類の小分類との組み合わせなどによって、検知手順の組み合わせの数が何通りにも広がり、事故原因関連情報へのアプローチ手法に幅ができ、事故原因関連情報の抽出が容易になる。なお、小分類の数は特に限定されないが、例えば、各大分類に対して5~100個またはそれ以上の小分類を有していてもよい。
【0052】
例えば、上述した物性関連分類C7をクリックした場合、物性関連分類C7に関連付けられた、さらに詳細な分類である、製品の素材・材料、物質の特性(性質)、製品に生じ得る化学反応、機械的反応などの物性関連分類C7の小分類が表示されるように構成されていてもよい。また、上述した位置関連分類C2をクリックした場合、位置関連分類C2に関連付けられた、製品の位置(上、下、横など)、製品に対する他の対象(壁や棚など)の位置など、位置関連分類C2の小分類が表示されるように構成されていてもよい。また、上述した対象者関連分類C3をクリックした場合、対象者関連分類C3に関連付けられた、子供、老人、ペット、そ族など、対象者(人以外も含む)の情報など、対象者関連分類C3の小分類が表示されるように構成されていてもよい。また、上述した製品部分関連分類C5をクリックした場合、製品部分関連分類C5に関連付けられた、製品の部品名(カートリッジ、フィルターなど)、部位の名称(上蓋、電気接点など)、部品、部位など、製品部分関連分類C5の小分類が表示されるように構成されていてもよい。また、上述した製品動力関連分類C6をクリックした場合、製品動力関連分類C6に関連付けられた、電気式、ガス式など、製品動力関連分類C6の小分類が表示されるように構成されていてもよい。また、上述した状態関連分類C8をクリックした場合、状態関連分類C8に関連付けられた、製品の使用中の状態(走行中、炊飯中、作動中、作業中など)、経年変化した後の状態、破損した状態など、状態関連分類C8の小分類が表示されるように構成されていてもよい。また、上述した環境関連分類C9をクリックした場合、環境関連分類C9に関連付けられた、病院、通路、屋外、倉庫、キッチン、風呂、事務所など、製品が設置された場所、施設、地域など環境関連分類C9の小分類が表示されるように構成されていてもよい。
【0053】
事故原因関連情報抽出部12の事故原因関連情報の抽出方法は特に限定されないが、本実施形態では、事故原因関連情報抽出部12は、リスクシナリオ分類C1~Cmに基づいて、頻度または相関分析によってテキストマイニングを行い、事故原因関連情報を抽出する。本実施形態では、事故原因関連情報抽出部12によって、事故原因関連情報として事故の原因とそのリスク情報が抽出される。一例として、
図5において、製品「ストーブ」を検索窓Wに入力し、ユーザが位置関連分類C2を選択した場合、事故原因関連情報抽出部12は、位置関連分類C2に対応するキーワードを用いて、一次絞り込みを行う。この場合、製品「ストーブ」の位置のうち、「上」X件、「下」Y件など、キーワードとともにヒット件数が別画面で表示される。ユーザがさらに「上」を選択すると、「ストーブ」「上」に関する頻度分析または相関分析が行われる。ユーザが相関分析を望む場合には、事故原因関連情報抽出部12が、ストーブの事故のうち、キーワードである「上」との相関があるテキスト文章を、第1データベース2から抽出する。より詳細に説明すると、事故原因関連情報抽出部12は、第1データベース2に格納された製品事故情報について、「ストーブ」「上」と相関のある、「洗濯物」、「カレンダー」、「お餅」などを含むワードをテキストマイニングによって抽出する。このように、リスクシナリオ分類C1~Cmを用いて、事故原因関連情報抽出部12によってテキストマイニングによって事故原因関連情報(本実施形態では、事故原因や、そのリスク情報)を抽出した場合、ユーザは、膨大なデータベースのデータを確認することなく、短時間かつ精度良く事故原因関連情報を抽出することが可能となる。たとえば、上記の例で、「お餅」はユーザ自身が安易に事故原因として想像でき、「洗濯物」は、頻度分析において、ストーブとの関連で高頻度に登場するので、安易に事故原因として把握できる。一方、「カレンダー」は頻度が低いため、事故原因として気付きにくい。しかし、相関分析によって、「カレンダー」は、「ストーブ」の事故との相関が高いと判断され、ユーザはカレンダーが事故原因となることを容易に理解することができる。
【0054】
また、本実施形態では、サーバコンピュータ1は、過去に事故原因関連情報の抽出に至った際に用いられた検知手順(事故原因を検知する際に、ユーザが選択したキーワードやリスクシナリオ分類などの内容・順序などを示すフロー)のログを保存して利用できるようにする、ログ保存機能を有していてもよい。このように、事故原因関連情報の抽出に至った際に用いられた検知手順のログを保存することにより、事故原因や危険源を特定するのに必要な検知手順を、新人や若手など、熟練者以外の者であっても容易に把握することができ、リスクアセスメント業務の精度・品質が向上する。保存される検知手順のログ情報は、例えば、サーバコンピュータ1の記憶部14や他の記憶手段に保存することができ、保存されたログ情報を読み出すことにより、画面に検知手順を表示することができる。検知手順のログ情報は、例えば企業や部署などのグループごとに記憶されてもよいし、リスクアセスメント業務に携わるオペレータなど、個人ごとに記憶されていてもよい。これにより、グループごとの検知手順の傾向や個人の検知手順の傾向などを把握することができる。記憶される検知手順のログ情報は、事故原因や危険源の検知に至った手順、例えば製品情報、リスクシナリオ分類(大分類、小分類)などを含んでいる。また、記憶される検知手順のログ情報は、検知手順と関連付けて記憶された、当該検知手順によって検知された(特定された)事故原因や危険源を含んでいてもよい。
【0055】
上述したように、検知手段のログ情報を保存することによって、事故情報抽出システムSは、画面のカスタマイズ機能を有し、よく用いられる検知手順に沿って、自動または手動で画面のカスタマイズができるように構成してもよい。また、事故情報抽出システムSが、ログ情報を解析するログ解析機能を有していてもよい。具体的には、事故情報抽出システムSが、ログ情報を解析する解析部を有し、解析部によって頻度の高い検知手順(クリックされた数など、項目が選択された数に応じて)を抽出して、画面上に頻度の高い検知手段を選択できるように表示するように構成されていてもよい。また、事故情報抽出システムSは、検知手順の短縮機能を有していてもよい。具体的には、事故情報抽出システムSは、解析部によって解析されたリスクシナリオ分類C1~C9の組み合わせの人気順に複数の検知手順を表示するように構成され、表示された検知手順を選択することによって、容易に複数の検知手順を組み合わせた検知を行うことができ、大幅に検知時間を短縮することができる。
【0056】
また、解析部は、最初に入力された情報を参照して、最初に入力された情報の後に選択された項目(キーワード、リスクシナリオ分類など)のうち、頻度の高い検知手順を表示するように構成されていてもよい。これにより、検知までの時間が短縮する。特にグループごとの記憶された検知手順のログ情報を解析部が解析して、よく使用される検知手順が表示される場合、さらに利便性が向上し、検知までの時間を大幅に短縮することができる。上記のように、サーバコンピュータ1が検知手段のログ情報を保存して呼び出すことが可能なログ保存機能を有している場合、経験豊富なユーザの検知手順が事故情報抽出システムSに記憶されて、ユーザが記憶されたログ情報を呼び出すまたは解析部によって表示されることによって、ログ情報から得られた検知手順が、新人や若手など経験が浅い者に対して事故原因を抽出する際のガイドとして機能する。したがって、本実施形態の事故情報抽出システムSによれば、属人的要素が強かったリスクアセスメント業務の標準化が可能となり、経験豊富な業務者が退職しても、また、若手中心の後継者によるリスクアセスメント業務でも、精度・品質の向上につながるメリットがある。
【0057】
また、本実施形態では、事故原因関連情報抽出部12は、テキストマイニングによって事故原因関連情報を抽出するとともに、事故原因情報を含むFMEA表のデータが格納されたFMEAデータベース4にアクセスするように構成されている。ここで、事故原因情報とは、FMEAデータベース4のFMEA表内の事故原因44(
図3参照)に関する情報であり、具体的には、FMEA表の事故原因44の欄に記載されたテキストデータである。なお、事故原因関連情報抽出部12によって抽出された事故原因関連情報は、
図6に示されており、ここでは事故原因関連情報51として、製品「ストーブ」に関して「過熱したICに可燃物が付着していた」という事故の原因となる情報が抽出されている。
【0058】
事故原因関連情報抽出部12は、第1データベース2から抽出された事故原因関連情報(事故原因情報)51(
図6参照)とFMEAデータベース4のFMEA事故情報(本実施形態では事故原因44)とを比較する。ここで、FMEA事故情報(FTA事故情報)は、FMEA(FTA)データベース4に格納された事故情報のうちの一部であれば特に限定されないが、事故情報のうち、事故内容および/または事故原因に関連する情報(以下、FMEA事故原因情報という)を含むことが好ましい。本実施形態では、FMEA事故原因情報が事故情報として抽出される。FMEA事故原因情報は、たとえば、暴露(むきだし状態の危険源を特定した情報)、誤使用、暴露機会(むきだした危険源に触れる確率、回数など、予想される幾多のストーリー)、ハザード(危険の原因、危険物、障害物、潜在的危険性)、痕跡(ショートや溶融痕から類推される危険原因)、ケガ(怪我詳細<部位、症状、重度>を引き起こす危険原因)、物損(拡大損害<物、症状、重度>を引き起こす危険原因、経年(劣化や変化、症状によって引き起こされる危険原因)、環境(塩害、煙害、砂害など設置環境によって引き起こされる危険原因)などのうちのいずれかまたは全てを含む。事故原因関連情報抽出部12は、FMEAデータベース4に事故原因関連情報51と対応するFMEA事故情報44が存在する場合に、
図6に示されるように、事故原因関連情報51がFMEA表のどの項目に対応するかを示す対応情報52を出力するように構成されている。対応情報は、本実施形態では、数字や記号などによって特定された対応コードとして示されているが、事故原因関連情報抽出部12によって抽出された事故原因関連情報51がFMEA表においてどの部分に対応するかがわかれば、対応コードである必要はない。
【0059】
上述したように、事故原因関連情報抽出部12が対応情報52を出力する場合、ユーザは、事故原因関連情報抽出部12で抽出された事故原因関連情報51が、FMEA表のどの部分に相当するかを容易に把握することができる。したがって、ユーザは、対象となる製品について、抽出された事故原因関連情報(本実施形態では、事故原因情報)によって、どのような対策が必要かを容易に理解することができる。ユーザは、現場で使用されている製品の故障によるトラブル対応などの、アフターメンテナンス業務における修理、障害切り分け作業等をする際、製品のPL対策や瑕疵担保責任上の対策などの品質保証業務の立案・改訂の際などにおいて、抽出された事故原因関連情報(事故原因情報)によって、製品にどのような対策が必要かを容易に理解することができる。
【0060】
以下、本実施形態に沿って、より詳細に説明する。なお、
図6は、製品「ストーブ」について、症状関連分類C1が選択された場合に、事故原因関連情報抽出部12によって、事故原因関連情報51が抽出された例を示している。
【0061】
まず、クライアントコンピュータ3において、ユーザが事故原因関連情報を特定したい製品に関して、製品情報が入力される(ステップ1)。具体的には、
図5に示される検索窓Wに製品名が入力され、さらに、リスクシナリオ分類C1~Cmのうちの1つが選択される。この例では、製品「ストーブ」が検索窓Wに入力された後、リスクシナリオ分類C1~Cmのうち、症状関連分類C1が選択されている。
【0062】
つぎに、ステップ1において製品情報が入力されると、入力された製品情報に基づいて、事故原因関連情報抽出部12が第1データベース2にアクセスし、テキストマイニングを行い、事故原因関連情報51を抽出する(ステップ2)。本実施形態では、事故原因関連情報(事故原因情報)51として、「過熱したICに可燃物が付着していた」という情報が抽出されている。なお、
図6においては省略されているが、事故原因関連情報は他にも表示される。
図6に示す例では、事故原因関連情報51は、表示の優先順位として相関が高いものとして表示している。
図6において、「頻度」、「相関」と記載している欄の、ハッチングで示した部分は、事故原因関連情報に記載された用語(単語または文章)の頻度と、症状関連分類C1のキーワードと事故原因関連情報との間の相関の度合いを示すものであり、ハッチングで示した部分が長いほど、頻度/相関が高い。
【0063】
事故原因関連情報51が抽出されると、事故原因関連情報抽出部12は、事故原因関連情報51と、FMEAデータベース4にアクセスし、事故原因関連情報51とFMEAデータベース4のFMEA事故情報(FMEA事故原因情報)44とを比較する(ステップ3)。本実施形態では、事故原因関連情報51とFMEAデータベース4のFMEA事故情報44とを比較した結果、事故原因関連情報51のテキストと類似した事故原因関連情報(事故原因情報)がFMEAデータベース4に存在するため、FMEA表の事故原因コードA-3(
図3の事故原因コード45)に対応した対応情報52(コードA-3)を出力する(ステップ4)。なお、事故原因関連情報51とFMEAデータベース4のFMEA事故情報44とを比較した結果、類似した事故原因関連情報(事故原因情報)がない場合は、対応情報52の欄は非表示とされる。または、FMEAデータベース4に事故原因関連情報51と対応するFMEA事故情報44が存在しない場合、事故原因関連情報抽出部12は、安全対策への拡張と充実化を図るため、FMEAデータベース4に存在しないその事故原因関連情報をFMEAデータベース4に記録するように構成されていてもよい。この場合、事故原因関連情報がFMEAデータベース4に追加、補充されることによって、FMEAデータベース4がより充実化し、企業の安全対策の促進が可能となる。
【0064】
これにより、ユーザは、ステップ4で出力された対応情報52に基づいて、FMEA表の該当箇所に容易にアクセスすることができる。たとえば、ユーザが
図6の出力画面において、対応情報52に記載された事故原因コードをクリックすると、FMEA表の該当箇所に移動するように構成されていてもよい。また、対応情報52は、対応した事故原因コードだけでなく、
図6に示されるレポート(出力画面)に事故に対する対策をテキストとして含んでいてもよい。
【0065】
また、
図6に示される出力画面は、サーバコンピュータ1のレポート生成部13によって生成される。レポート生成部13は、CSV形式やPDF形式など所望の形式にデータを変換することができ、
図6に示されるレポート(出力画面の内容)を、クライアントコンピュータ3において出力することができる。
【0066】
以上のように、ユーザは、事故原因関連情報51によって、容易に事故内容、事故原因を知ることができるとともに、対応情報52によって、FMEA表を用いて、事故内容の関連事項や、事故内容に対応する対策を容易に確認することができる。したがって、ユーザは、対象となる製品について、抽出された事故原因関連情報(本実施形態では、事故原因情報)によって、どのような対策が必要かを容易に理解することができる。ユーザは、現場で使用されている製品の故障によるトラブル対応などの、アフターメンテナンス業務における修理、障害切り分け作業等をする際、製品のPL対策や瑕疵担保責任上の対策などの品質保証業務の立案・改訂の際などにおいて、抽出された事故原因関連情報(事故原因情報)によって、製品にどのような対策が必要かを容易に理解することができる。
【0067】
なお、上記例では、FMEAを例にあげて説明したが、FTAの場合も、基本的には同様である。すなわち、事故原因関連情報抽出部12がテキストマイニングで事故原因関連情報51を抽出した後、FTA(FT図)の各事象(事故原因情報)との比較を行う。そして、事故原因関連情報51とFT図における対応する事象(事故原因情報)が存在する場合、対応情報(コード)を表示する。これにより、ユーザは、事故原因関連情報51によって、容易に事故内容、事故原因を知ることができるとともに、対応情報52によって、FTAのFT図を用いて、事故内容の関連事項や、事故内容に対応する対策を容易に確認することができる。したがって、ユーザは、対象となる製品について、抽出された事故原因関連情報(本実施形態では、事故原因情報)によって、どのような対策が必要かを容易に理解することができる。ユーザは、たとえば、現場で使用されている製品の故障によるトラブル対応などの、アフターメンテナンス業務における修理、障害切り分け作業等をする際、製品のPL対策や瑕疵担保責任上の対策などの品質保証業務の立案・改訂の際などにおいて、抽出された事故原因関連情報(事故原因情報)によって、製品にどのような対策が必要かを容易に理解することができる。
【0068】
なお、上記実施形態では、事故内容、事故原因を知るために、FMEAを活用していたが、本発明は上記実施形態に限定されない。本実施形態では、FMEAに関する対応情報を抽出するように構成されていたが、本発明の事故抽出システムSは、FMEAを用いずに、短時間かつ精度良く事故原因関連情報を抽出してもよい。具体的には、上述したように、
図5に関連して説明した、異なる複数の検索観点によって分けられた複数のリスクシナリオ分類C1~Cmのうちの1つ(または2つ以上であってもよい)を選択することによって、事故原因関連情報抽出部12が検索観点に対応したキーワードを用いたテキストマイニングを行い、事故原因関連情報(事故原因やリスク情報)を抽出することにより、短時間かつ精度良く事故原因関連情報(事故原因とそのリスク情報)を抽出することができる。
【符号の説明】
【0069】
1 サーバコンピュータ
11 通信部
12 事故原因関連情報抽出部
13 レポート生成部
14 記憶部
2 第1データベース
21 製品名
22 製品事故情報
221 事故内容
222 事故原因
223 再発防止措置
3 クライアントコンピュータ
4 FMEAデータベース
41 製品名
42 機能
43 故障モード
44 FMEA事故情報
45 事故原因コード
46 対策
51 事故原因関連情報
52 対応情報
C1~Cm リスクシナリオ分類
C1 症状関連分類
C2 位置関連分類
C3 対象者関連分類
C4 対象者行為関連分類
C5 製品部分関連分類
C6 製品動力関連分類
C7 物性関連分類
C8 状態関連分類
C9 環境関連分類
I 電気通信回線
S 事故情報抽出システム
W 検索窓