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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-14
(45)【発行日】2024-05-22
(54)【発明の名称】美容器具及び美容システム
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/06 20060101AFI20240515BHJP
【FI】
A61N5/06 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020069537
(22)【出願日】2020-04-08
(65)【公開番号】P2021164599
(43)【公開日】2021-10-14
【審査請求日】2022-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000143031
【氏名又は名称】コーデンシ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 喜永
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】岩井 節
(72)【発明者】
【氏名】西田 悠介
(72)【発明者】
【氏名】小野 綾音
【審査官】菊地 康彦
(56)【参考文献】
【文献】独国実用新案第000020311963(DE,U1)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0045232(KR,A)
【文献】特開2013-085948(JP,A)
【文献】特開2005-185823(JP,A)
【文献】特表2006-518612(JP,A)
【文献】特開2016-220754(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/06
A61H 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽に溜めた水に浮かべて使用されるものであって、
610nm以上650nm以下のピーク波長を有する肌美容効果がある光を出射するLEDと、
前記LEDを内部に収容し、水に浮かべた状態で前記LEDから出た光を下向きに出射する光出射面が形成されたケーシングと、を備え
前記ケーシングが、平面視して円形状をなす底面部と、当該底面部を取り囲み、当該底面部の外縁から立ち上がるように形成された側周面部とを備える円盤形状をなし、水に浮かべた状態で前記底面部が前記浴槽の底面と対向するものであり、
前記光出射面が、前記底面部と前記側周面部に形成されており、その配光特性が、前記ケーシングの中心軸を0°として、0°以上55°以下の範囲から出射される光量に対する、55°超100°以下の範囲から出射される光量の比率が0.9以上である美容器具。
【請求項2】
前記ケーシング内に収容され、複数の前記LEDが搭載されたLED基板を更に備え、
当該LED基板が、前記ケーシングの中心軸近傍において下向きに膨出する逆錐台形状をなす膨出部を備えており、
当該膨出部が、前記中心軸をとおり、かつ水に浮かべた状態で水面と略平行になるように形成された平坦な底面と、当該底面の外縁から上向きに広がりながら立ち上がる環状の側面とを備え、
前記複数のLEDは、前記膨出部の底面及び側面に、前記中心軸に対して対称となるように搭載されている請求項1に記載の美容器具
【請求項3】
水に浮かべた状態で、前記光出射面の少なくとも一部が水中に浸かるように構成された請求項1又は2に記載の美容器具。
【請求項4】
水に浮かべた状態で、前記光出射面の全部が水中に浸かるように構成された請求項に記載の美容器具。
【請求項5】
前記光出射面は、その表面の一部又は全部が凸凹形状を成すように形成されている請求項1~のいずれか一項に記載の美容器具。
【請求項6】
前記面部の表面が凸凹形状を成すように形成されている請求項に記載の美容器具。
【請求項7】
前記ケーシングは、水に浮かべた状態で下向きになる一方の面に前記光出射面が形成されており、他方の面に電源ボタンが設けられた操作面が形成されている請求項1~のいずれか一項に記載の美容器具。
【請求項8】
前記光出射面から出射される光の光量が、前記ケーシングの中心軸に対して軸対称となるように構成された請求項に記載の美容器具。
【請求項9】
ワイヤレス充電可能なものである請求項1~のいずれか一項に記載の美容器具。
【請求項10】
570nm以上610nm以下のピーク波長を有する光を出射するLEDと、
00nm以上880nm以下のピーク波長を有する光を出射するLEDの少なくとも一種類をさらに備える請求項1~のいずれか一項に記載の美容器具。
【請求項11】
浴槽と、前記浴槽に溜めた水に浮かべて使用される請求項1~10のいずれか一項に記載の美容器具と、を備える美容システム。
【請求項12】
前記浴槽に溜めた水中に、前記美容器具から出射された光を拡散させる光拡散剤が浮遊している請求項11に記載の美容システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美容効果のある光を肌に照射する美容器具及び当該美容器具を具備する美容システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
美容分野における長年の研究により、LED(発光ダイオード)から出射した特定の波長の光を肌に照射することで、肌に対する美容効果が得られることが知られている。例えば、590nm近傍にピーク波長を有する光を照射することで美白効果を得ることができ、633nm近傍にピーク波長を有する光を照射することでコラーゲンの生成促進効果が得られることが確認されている。また、830nm近傍や850nm近傍にピーク波長を有する光を照射することで、皮膚の修復効果が得られることが確認されている。
【0003】
近年では、このような特定波長の光を照射することによる美容効果を利用した美容機器が開発されている。例えば特許文献1には、人の全身を収容可能なチャンバを備えるカプセル型のもので、チャンバ内に入っている人の皮膚に400nm~780nmの波長の光を照射することで、全身に対する美容効果が得られるようにした皮膚美容システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実登3221829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、全身に対する美容効果が得られる従来の美容システムは、全身を収容するチャンバを備える大掛かりなものであるので、個人で購入して所有することが難しい。そのため、全身に対する美容効果が得たい場合には、カプセル型の美容システムが設置されているエステサロン等の専門店にわざわざ通う必要があり、時間と労力がかかるという問題がある。
【0006】
本発明は上記した問題に鑑みてなされたものであり、全身に対する美容効果を自宅等で手軽に得ることができる美容器具を提供することを主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明に係る美容器具は、浴槽に溜めた水に浮かべて使用されるものであって、550nm以上880nm以下のピーク波長を有する光を出射するLEDと、前記LEDを内部に収容し、水に浮かべた状態で前記LEDから出た光を下向きに出射する光出射面が形成されたケーシングと、を備えることを特徴とする。
なお、“550nm以上880nm以下のピーク波長を有する光を出射するLED”とは、光出射面から出射される光のピーク波長が550nm以上880nmとなるような光を発するLEDであることを意味する。
【0008】
このような構成であれば、本発明の美容器具を浴槽に浮かべて使用すると、肌に対する美容効果がある光が水中で出射され、この出射された光が浴槽の内面や水面で乱反射を繰り返すことで、美容効果のある光を浴槽内の全体に行き渡らせることができる。このため使用者は、エステサロン等の専門店にわざわざ通うことなく、例えば自宅での入浴時に浴槽に張ったお湯に美容器具を浮かべて、この浴槽に浸かるだけで、全身に対する美容効果を手軽に得ることができる。
しかも入浴時に使用することができるので、お湯で全身が温められることによる温熱効果で皮膚組織が活性化され、得られる全身の美容効果をより一層高めることができる。
なお、本発明において“光を下向きに出射する”とは、鉛直方向における下向き成分を含むように光を出射することを意味し、斜め下向きに出射されることを含む。
【0009】
前記美容器具は、水に浮かべた状態で、前記光出射面の少なくとも一部が水中に浸かるように構成されていることが好ましい。
このようにすれば、光出射面の少なくとも一部が水中に浸かっているので、LEDから出た光をより確実に水中で出射でき、全身の美容効果をより高めることができる。
【0010】
美容効果のあるLEDの光が使用者の目に直接照射されると、目の健康を害する恐れがある。そのため、前記美容器具は、水に浮かべた状態で、前記光出射面の全部が水中に浸かるように構成されていることが好ましい。
このようにすれば、光出射面が全て水中に浸かっているので、光出射面から出た光は水面で乱反射され、光出射面から出た光が使用者の目に直接照射されることを抑制できる。
また、LEDから出た光を効率よく水中に出射できるので、全身の美容効果をより一層高めることができる。
【0011】
前記美容器具は、前記光出射面が、その表面の一部又は全部が凸凹形状を成すように形成されていることが好ましい。
このようにすれば、光出射面の表面が凸凹形状を成すので、美容器具を水に浮かべていない状態では、光出射面から出射される光は凸凹形状により拡散され、使用者の目に強い強度の光が直接照射されるのを防ぐことができる。そして美容器具を水に浮かべた状態では、光出射面の表面の凸凹が水で埋められることにより、光出射面から強い強度の光を出射することができる。つまり、このような構成にすることで、美容効果を大きく低減させることなく、使用者の目の健康被害のリスクを低減することができる。
【0012】
前記美容器具は、前記光出射面が、水に浮かべた状態で前記浴槽の底面と対向する底面部と、前記底面部を取り囲み、前記底面部の外縁から立ち上がるように形成された側面部とを含み、当該側面部の表面が凸凹形状を成すように形成されていることが好ましい。
美容器具を水に浮かべた状態で入浴すると、使用者が動くことにより水面が揺らぎ、光出射面の側面部が水上に露出することがある。このような場合であっても、側面部の表面が凸凹形状を成すようにしておけば、光出射面から出射される光が凸凹形状により拡散され、使用者の目に強い強度の光が直接照射されるのを防ぐことができる。
【0013】
前記美容器具は、前記ケーシングが、水に浮かべた状態で下向きになる一方の面に前記光出射面が形成されており、他方の面に電源ボタンが設けられた操作面が形成されていることが好ましい。
このようにすれば、光出射面が形成される面とは反対側の面に操作面が形成されているので、光出射面を下に向け、出射された光が目に直接照射されないようにしながら、電源のオン・オフを切り替えることができる。
【0014】
前記美容器具は、前記光出射面から出射される光の光量が、前記ケーシングの中心軸に対して軸対称となるように構成されていることが好ましい。
このようにすれば、美容器具の向きによらず、光出射面から出射された光の浴槽内における分布をより均等にすることができ、全身に対する美容効果のムラを低減することができる。
【0015】
前記美容器具はワイヤレス充電可能なものであることが好ましい。
このようにすれば、充電のためのケーブルの差込口をケーシングに設ける必要がないので、防水性をより高めることができる。
【0016】
前記美容器具の態様として、570nm以上610nm以下のピーク波長を有する光を出射する第1のLED、610nm以上650nm以下のピーク波長を有する光を出射する第2のLED、又は800nm以上880nm以下のピーク波長を有する光を出射する第3のLEDの少なくとも一種類を前記LEDとして備えるものが挙げられる。
このようなものであれば、第1のLEDから出射される光により美白効果を得ることができ、第2のLEDから出射される光によりコラーゲン生成促進効果を得ることができ、第3のLEDから出射される光により皮膚修復効果を得ることができる。
【0017】
また本発明の美容システムは、浴槽と、前記浴槽に溜めた水に浮かべて使用される前記美容器具とを備えることを特徴とする。
このような美容システムであれば、本発明の美容器具と同様の作用効果を奏することができる。
【0018】
前記美容システムは、前記浴槽に溜めた水中に、前記美容器具から出射された光を拡散させる光拡散剤が浮遊していることが好ましい。
このようにすれば、光出射面から出射された光が光拡散剤にあたって拡散されることにより、肌美容効果のある光が浴槽内でより均等に分布するようになる。これにより、全身の美容効果をより高めることができる。このような光拡散剤の具体的な態様としては、入浴剤などが挙げられる。
【発明の効果】
【0019】
このようにした本発明によれば、全身に対する美容効果を自宅等で手軽に得ることができる美容器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態における美容システムの構成を概略的に示す図。
図2】同実施形態の美容器具の全体構成を概略的に示す斜視図。
図3】同実施形態の美容器具の全体構成を概略的に示す断面図。
図4】同実施形態の美容器具の全体構成を概略的に示す平面図。
図5】同実施形態の美容器具の全体構成を概略的に示す分解斜視図。
図6】同実施形態の美容器具を水に浮かべた状態を概略的に示す側面図。
図7】他の実施形態の美容器具の全体構成を概略的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明の一実施形態に係る美容システム200について図面を参照して説明する。
【0022】
本実施形態に係る美容システム200は、例えば自宅等の浴槽Bで入浴している使用者の全身に肌美容効果のある光を照射するものである。具体的にこの美容システム200は、図1に示すように、水(お湯)を溜めた浴槽Bと、浴槽B内の水に浮かべて使用される防水仕様の美容器具100とを具備している。この美容システム200では、美容効果のある光が美容器具100から水中に出射され、この光が浴槽B内で反射を繰り返すことで、入浴している使用者の全身に対して光を照射することができる。以下、美容器具100の構成について詳細に説明する。なお以下においては、美容器具100が水に浮かべられた状態にあるものとして、各部の向きや位置関係を説明する。
【0023】
この美容器具100は携帯式のものであり、図2及び図3に示すように、肌に対する美容効果のある光を発する発光ユニット1と、発光ユニット1を内部に収容し、水に浮かべた状態で発光ユニット1から出た光を下向きに出射する光出射面Sが形成されたケーシング2とを備える。
【0024】
発光ユニット1は、水に浮かべた状態で下向きに光を発するものであり、図3に示すように、複数のLED(図示しない)が搭載されたLED基板11と、LEDに電力を供給するバッテリー12と、バッテリー12のオン・オフを切り替える電源ボタン13とを備えている。なおこの発光ユニット1は、バッテリー12がワイヤレス充電可能なように構成されている。
【0025】
各LEDは、肌に対する美容効果のある光を出射するものであり、具体的には美容効果がある550nm以上880nm以下のピーク波長を有する光を出射するものである。具体的には発光ユニット1は、美白効果がある570nm以上610nm以下、より具体的には590±10nmの範囲にピーク波長を有する光を出射する第1のLEDと、コラーゲン生成促進効果がある610nm以上650nm以下、より具体的には633±10nmの範囲にピーク波長を有する光を出射する第2のLEDと、皮膚修復効果がある800nm以上880nm以下、より具体的には810nm以上870nm以下、さらに具体的には820nm以上860nm以下の範囲にピーク波長を有する光を出射する第3のLEDから選択される少なくとも1種を備えている。発光ユニット1はLEDとして、第1のLED、第2のLED及び第3のLEDのいずれか一種のみを備えてもよく、複数種類を備えていてもよい。また、美容効果がある上記波長範囲内であれば、他の波長範囲にピーク波長を有する光を発するLEDを備えていてもよい。
【0026】
LED基板11は、図4(b)に示すように、平面視して円形状をなすものであり、搭載したLEDから出射される光が下向きになるように構成されている。LED基板11における、下方を向く一方の面(浴槽Bの底面と対向する面)には複数のLEDが搭載され、上方を向く他方の面にはバッテリー12及び電源ボタン13が搭載されている。
【0027】
具体的にこのLED基板11は、図2図4に示すように、中心軸C近傍において鉛直方向の下向きに膨出するように形成された中央部111と、中央部111を取り囲む環状の外周部112とを備えている。中央部111は逆錐台形状(ここでは、逆多角錐台形状)を成すものであり、水に浮かべた状態で水面と略平行になるように形成された平坦な底面111aと、この底面111aの外縁から上向きに広がりながら立ち上がる環状の側面111bとを備える。上記したLEDは、中央部111の底面111a及び側面111bに、LED基板11の中心軸Cに対して軸対称となるように搭載されている。外周部112における下方を向く裏面112aは、中央部111の底面111aと略平行になるように平坦に形成されている。この中央部111の底面111a及び側面111b、並びに外周部112の裏面112aには、LEDから出た光を反射する反射材が塗布されていてもよい。なおLED基板11は、COBタイプ、SMDタイプのいずれであってもよい。
【0028】
ケーシング2は、図2及び図3に示すように、概略視して円盤形状をなす中空構造のものであり、内部に発光ユニット1を収容して水に浮かぶように構成されている。ケーシング2は、水に浮かべた際に下向きになる一方の面に前記した光出射面Sが形成されており、上向きになる他方の面には電源ボタン13等を操作する操作面Sが形成されている。具体的にこのケーシング2は、操作面Sが形成される上部カバー21と、光出射面Sが形成される下部カバー22とを備えている。図5に示すように、上部カバー21と下部カバー22はいずれも概略皿状をなすものであり、上部カバー21と下部カバー22の互いの口縁部211、221を向かい合わせて嵌め合うことによって、水密構造のケーシング2が構成されている。
【0029】
上部カバー21は、その内側に発光ユニット1が取り付けられるものであり、透光性が低い樹脂材料から構成されている。図3に示すように、上部カバー21の外表面は、水に浮かべた際に水面と略平行になる頂面部212と、頂面部212を取り囲み、頂面部212の外縁から下垂するように形成された側周面部213から構成されている。この頂面部212によって、前記した操作面Sが形成されている。図2(a)及び図4(a)に示すように、頂面部212からは、発光ユニット1の電源ボタン13が露出しており、電源のオン・オフの切り替え操作をすることができる。上部カバー21の口縁部211には、下部カバー22と嵌合するためのネジ山加工が施されている。
【0030】
下部カバー22は、発光ユニット1から出射した光を透過させるものであり、その全体が透光性を有する樹脂材料から構成されたものである。図3に示すように、下部カバー22の外表面は、ケーシング2を水に浮かべた際に浴槽Bの底面と対向する底面部222と、底面部222を取り囲み、底面部222の外縁から立ち上がるように形成された側周面部223とから構成されている。この底面部222と側周面部223とによって、前記した光出射面Sが形成されている。図4(b)に示すように、光出射面Sは下から平面視して正円形状を成すように形成されている。この光出射面Sは、その表面の一部又は全部がシボ加工やブラスト加工等の表面処理が施されることにより、凸凹形状を成すように形成されている。ここでは、光出射面Sのうち、側周面部223の表面が凸凹形状を成すように形成されている。下部カバー22の口縁部221には、上部カバー21と嵌合するためのネジ山加工が施されている。
【0031】
このような構成を有する美容器具100は、図6に示すように、水に浮かべた状態で光出射面Sの少なくとも一部(本実施形態では全部)が水中に浸かるように構成されている。より具体的には、水に浮かべた状態で、水面が光出射面Sの上縁Sよりも5mm以上、好ましくは8mm以上上方に位置するように構成されている。
【0032】
美容器具100の光出射面Sから出射する光の配向特性は、平面視において、発光ユニット1の発光中心から鉛直下方向を0°として、0°以上55°以下の範囲から出射される光量(ルーメン)に対する、55°超100°以下の範囲から出射される光量(ルーメン)の比率が、0.9以上になるように構成されている。この比率は、1.0超であることが好ましく、大きいほど好ましい。このようにすることで、浴槽Bの側面に向けて出射される光の量が増え、全身に対する肌美容効果をより高めることができる。ここで、発光ユニット1の発光中心とは、図3に示すように、光出射面Sの上縁Sを含む水平面Hと、LED基板11の中心軸Cとの交点である。本実施形態では、美容器具100の配向特性は、光出射面Sにおける底面部222から出射される光量(ルーメン)に対する、側周面部223から出射される光量(ルーメン)との比率が0.9以上になるように構成されている。また光出射面Sから出射される光の光量は、ケーシング2の中心軸Cに対して軸対称となるように構成されている。
【0033】
このように構成された本実施形態の美容器具100によれば、浴槽Bに浮かべて使用すると、肌に対する美容効果がある光が水中で出射され、この出射された光が浴槽Bの内面や水面で乱反射を繰り返すことで、美容効果のある光を浴槽B内の全体に行き渡らせることができる。このため使用者は、エステサロン等の専門店にわざわざ通うことなく、例えば自宅での入浴時に浴槽Bに張ったお湯に美容器具100を浮かべて、この浴槽Bに浸かるだけで、全身に対する美容効果を手軽に得ることができる。しかも入浴時に使用することができるので、お湯で全身が温められることによる温熱効果で皮膚組織が活性化され、得られる全身の美容効果をより一層高めることができる。
【0034】
また、水に浮かべた状態で、光出射面Sの全部が水中に浸かるように構成されているので、光出射面Sから出た光は水面で乱反射され、光出射面Sから出た光が使用者の目に直接照射されるのを防ぐことができ、さらにはLEDから出た光を効率よく水中に出射できるので、全身の美容効果をより一層高めることができる。
【0035】
また、下部カバー22の側面部の表面が凹凸形状を成すように形成されているので、使用者が入浴中に動くことにより水面が揺らぎ、光出射面Sの側面部が水上に露出しても、光出射面Sから出射される光が凸凹形状により拡散され、使用者の目に強い強度の光が直接照射されるのを防ぐことができる。
【0036】
さらに、ケーシング2が円盤状を成し、水に浮かべた状態で下向きになる一方の面側に光出射面Sが形成されており、他方の面側に電源ボタン13が設けられた操作面Sが形成されているので、使用者は、光出射面Sを下に向け、出射された光が目に直接照射されないようにしながら、電源のオン・オフを切り替えることができる。
【0037】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0038】
前記実施形態の美容器具100は、光出射面Sが下部カバー22の底面部222と、側周面部223とにより形成されていたがこれに限らない。他の実施形態の美容器具100では、下部カバー22の底面部222と側周面部223と、上部カバー21の側周面部213とにより、光出射面Sが形成されていてもよい。
【0039】
前記実施形態の美容器具100は、光出射面Sの表面が凸凹形状を成すように構成されていたがこれに限らない。他の実施形態では、光出射面Sの表面は凸凹のない平坦な形状であってもよい。
【0040】
前記実施形態では、光出射面Sの底面部222は、水面と略平行になるように形成された平坦な面であったがこれに限定されない。他の実施形態では、光出射面Sの底面部222は、図7に示すように、下方向に膨出するような形状であってもよい。
【0041】
前記実施形態では、LED基板11の中央部111は逆多角錐台形状を成していたが、これに限らず逆円錐台形状を成すものであってもよい。
【0042】
前記実施形態では、LED基板11は、中央部111が中心軸C近傍において鉛直方向の下向きに膨出するように形成されていたが、これに限らない。他の実施形態のLED基板11は、中央部111が鉛直方向の下向きに膨出していなくてもよい。すなわち、LED基板11における下方を向く面(浴槽Bの底面と対向する面)は、その全体が平坦面であってもよい。この場合、LED基板11における下方を向く面には、例えばレンズ、プリズム、導光板等の光学部材が設けられていてもよい。
【0043】
前記実施形態では、ケーシング2の上部カバー21の頂面部212からは発光ユニット1の電源ボタン13が露出していたが、これに限らない。他の実施形態では、電源ボタン13はケーシング2の上部カバー21の表面から露出していなくてもよい。
【0044】
前記実施形態のケーシング2は概略視して円盤形状をなすものであったが、これに限らず他の形状であってもよい。
【0045】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0046】
200・・・美容システム
100・・・美容器具
1 ・・・発光ユニット
2 ・・・ケーシング
・・・光出射面
B ・・・浴槽
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7