(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-14
(45)【発行日】2024-05-22
(54)【発明の名称】生体情報測定装置及び生体情報測定システム
(51)【国際特許分類】
G01N 33/497 20060101AFI20240515BHJP
G01N 33/98 20060101ALN20240515BHJP
【FI】
G01N33/497 A
G01N33/98
(21)【出願番号】P 2020115790
(22)【出願日】2020-07-03
【審査請求日】2022-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000133179
【氏名又は名称】株式会社タニタ
(74)【代理人】
【識別番号】100115808
【氏名又は名称】加藤 真司
(74)【代理人】
【識別番号】100169199
【氏名又は名称】石本 貴幸
(72)【発明者】
【氏名】笠原 靖弘
(72)【発明者】
【氏名】森田 基美夫
(72)【発明者】
【氏名】高橋 昌孝
【審査官】草川 貴史
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-175665(JP,A)
【文献】特開2005-072765(JP,A)
【文献】国際公開第2018/174182(WO,A1)
【文献】特開2018-042620(JP,A)
【文献】特開2010-025716(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0212100(US,A1)
【文献】特開2014-119332(JP,A)
【文献】特開平08-029301(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48-33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部の正面に設けられ、情報を表示する表示部と、
前記本体部の外周面に設けられて測定用センサへ通じ、被測定者の呼気が流入する呼気流入口と、
前記呼気流入口が設けられる外周面に取り付けられ、一端が前記被測定者の呼気の吹込口とされて他端が呼気を
前記本体の外部に向けて排出する排出口とされ、前記被測定者の呼気の吹込口が前記本体部の背面側に位
置する吹込み部材と、
を備える生体情報測定装置。
【請求項2】
前記吹込み部材は、前記本体部の背面側から正面側に延在する中空状の部材であり、
前記吹込口は、前記本体部の背面よりも後方に位置し、
前記排出口は、前記本体部の正面よりも前方に位置する、
請求項1記載の生体情報測定装置。
【請求項3】
本体部の正面に設けられ、情報を表示する表示部と、
前記本体部の外周面に設けられて測定用センサへ通じ、被測定者の呼気が流入する呼気流入口と、
前記呼気流入口が設けられる外周面に取り付けられ、前記被測定者の呼気の吹込口が前記本体部の背面側に位置する吹込み部材と、
を備え、
前記吹込み部材は、一端が前記吹込口とされて他端が呼気を排出する排出口とされ、前記本体部の背面側から正面側に延在する中空状の部材であり、
前記吹込口は、前記本体部の背面よりも後方に位置し、
前記排出口は、前記本体部の正面よりも前方に位置する、
生体情報測定装置。
【請求項4】
前記呼気流入口は、前記本体部の側面に設けられる、請求項1から請求項3の何れか1項記載の生体情報測定装置。
【請求項5】
前記吹込み部材は、前記吹込口が前記本体部の外周面に設けられた取付部よりも上方に位置するように傾斜して前記外周面に取り付けられる、請求項1から請求項4の何れか1項記載の生体情報測定装置。
【請求項6】
前記吹込み部材と前記本体部の外周面に設けられた取付部とは、凹形状と凸形状とによる嵌合で着脱自在とされる、請求項1から請求項5の何れか1項記載の生体情報測定装置。
【請求項7】
前記凹形状及び前記凸形状は、前記吹込口が前記本体部の背面よりも後方に位置し、かつ前記本体部よりも上方となる向きでのみ、前記吹込み部材が取り付けられる形状とされる、請求項6記載の生体情報測定装置。
【請求項8】
前記排出口は、前記本体部の正面とは異なる方向へ呼気を排出する切込みが形成される、請求項2又は請求項3記載の生体情報測定装置。
【請求項9】
前記被測定者による測定開始のタイミングを報知する報知部を備える、請求項1から請求項8の何れか1項記載の生体情報測定装置。
【請求項10】
測定を開始する場合に操作される操作部を備える、請求項1から請求項
9の何れか1項記載の生体情報測定装置。
【請求項11】
前記操作部は、前記本体部の背面に設けられる、請求項10記載の生体情報測定装置。
【請求項12】
測定結果を情報処理装置へ送信する送信手段を備える、請求項1から請求項11の何れか1項記載の生体情報測定装置。
【請求項13】
前記吹込口は、前記吹込み部材を延長する延長部材が着脱自在に取り付けられる、請求項1から請求項12の何れか1項記載の生体情報測定装置。
【請求項14】
前記延長部材は、前記吹込口に対して着脱自在とされる保持部材を介して前記吹込口に取り付けられる、請求項13記載の生体情報測定装置。
【請求項15】
前記保持部材は、前記吹込口の周方向への回転を防止する回転防止部が設けられる、請求項14記載の生体情報測定装置。
【請求項16】
本体部の正面に設けられ、情報を表示する表示部と、
前記本体部の外周面に設けられて測定用センサへ通じ、被測定者の呼気が流入する呼気流入口と、
前記呼気流入口が設けられる外周面に取り付けられ、一端が前記被測定者の呼気の吹込口とされて他端が呼気を
前記本体の外部に向けて排出する排出口とされ、前記被測定者の呼気の吹込口が前記本体部の背面側に位
置する吹込み部材と、
を有する生体情報測定装置と、
前記生体情報測定装置が有する前記表示部、及び前記吹込口をくわえた前記被測定者の顔が画角に含まれるように配置される撮影装置と、
を備える生体情報測定システム。
【請求項17】
本体部の正面に設けられ、情報を表示する表示部と、
前記本体部の外周面に設けられて測定用センサへ通じ、被測定者の呼気が流入する呼気流入口と、
前記呼気流入口が設けられる外周面に取り付けられ、前記被測定者の呼気の吹込口が前記本体部の背面側に位置する吹込み部材と、
を有する生体情報測定装置と、
前記生体情報測定装置が有する前記表示部、及び前記吹込口をくわえた前記被測定者の顔が画角に含まれるように配置される撮影装置と、
を備え、
前記吹込み部材は、一端が前記吹込口とされて他端が呼気を排出する排出口とされ、前記本体部の背面側から正面側に延在する中空状の部材であり、
前記吹込口は、前記本体部の背面よりも後方に位置し、
前記排出口は、前記本体部の正面よりも前方に位置する、
る生体情報測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報測定装置及び生体情報測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、事業用自動車、航空機、船舶、鉄道等の乗務員に対して点呼時等にアルコール検知装置を使ったアルコールチェックが広く行われている。
【0003】
ここで、アルコール検知を行うべき人物になりすまして、他者がアルコール検知を行うというような不正が行われる可能性がある。このような不正を防止するために、特許文献1や特許文献2に開示されているように、アルコール検知を行っている被測定者の顔を撮影する装置がある。
【0004】
さらに、特許文献3には、アルコール測定装置が測定中画像取得命令として発光デバイスによって発する光の点滅信号を出力するアルコール測定システムが開示されている。これにより、撮影デバイスによって撮影された画像に測定中画像取得命令である光の点滅信号が含まれる場合、撮影デバイスがアルコールの測定中画像を取得する。
【0005】
また、特許文献4には、電話機本体のケースから延びる筒状の呼気導入部を有するアルコール検出装置を備えた携帯電話機が開示されている。この呼気導入部は、一端がケースに対して回転可能な自在継手によって支持され、他端に被験者の息を吹き込む吹込口を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第4063663号公報
【文献】特開2014-119943号公報
【文献】特開2019-164028号公報
【文献】特開2005-72765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、特許文献3に開示されているアルコール測定システムでは、アルコール検知を行っている被測定者の顔に加えて、アルコールの測定に使用されたアルコール測定装置であることを示す発光デバイスが発光していることもアルコールの測定中画像に含まれるため、より不正防止の効果が期待できる。しかしながら、特許文献3に開示されているアルコール測定システムでは、アルコールの測定に使用されたアルコール測定装置であることを示すための専用の構成である発光デバイスが必要となるため、製造コストが増加してしまう。
【0008】
また、特許文献4に開示されている携帯電話機は、回転可能な自在継手によって呼気導入部が支持される。呼気導入部は携帯電話機の背面に接続されているため、携帯電話機に通常設けられる表示部に表示されるアルコール測定結果も被測定者の顔と共に撮影される。しかしながら、呼気導入部は携帯電話機の背面に接続されているため、アルコール検知の際に携帯電話機が被測定者の顔の正面に位置することになる。従って、アルコール検知を行っている被測定者の顔をカメラによって撮影しようとしても、携帯電話機によって被測定者の顔が遮られることとなる。また、呼気導入部が携帯電話機の背面に接続されているため、呼気の流れ方向下流に呼気排出部を設けることが難しく、本体に唾液が流入してしまう懸念がある。
【0009】
このように、不正防止の効果を向上させるために、アルコール測定装置の表示部と被測定者の顔を同時に撮影可能にしつつ、アルコール測定装置本体に唾液が流入してしまうことを防止するためには、改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様の生体情報測定装置は、本体部の正面に設けられ、情報を表示する表示部と、前記本体部の外周面に設けられて測定用センサへ通じ、被測定者の呼気が流入する呼気流入口と、前記呼気流入口が設けられる外周面に取り付けられ、前記被測定者の呼気の吹込口が前記本体部の背面側に位置する吹込み部材と、を備える。
【0011】
本構成によれば、被測定者は吹込み部材の吹込口から呼気を吹き込んで測定を行う場合、本体部の背面側に顔が位置することになる。このため、カメラを本体部の正面を撮影するように配置することにより、表示部に表示される情報と被測定者の顔とを同時に撮影することが可能となるうえ、本体部によって顔が隠れる部分を最小限にするように吹込み部材を配置できる。また、本構成によれば、吹込み部材を本体部の外周面に配置することで、呼気の流れの下流に呼気排出口を設けることができ、唾液が本体部に流入することを抑制できる。
【0012】
上記の生体情報測定装置において、前記呼気流入口は、前記本体部の側面に設けられてもよい。たとえば、本体部の上面側に呼気流入口が取り付けられる場合、吹込み部材から呼気流入口に到達した唾液が重力によって本体部の内部に流入するおそれがある。しかしながら、呼気流入口が本体部の側面に設けられる場合、唾液は重力に反して横方向には移動しづらいので、唾液が本体部の内部に流入することを防ぐことができる。
【0013】
上記の生体情報測定装置において、前記吹込み部材は、一端が前記吹込口とされて他端が呼気を排出する排出口とされ、前記本体部の背面側から正面側に延在する中空状の部材であり、前記吹込口は、前記本体部の背面よりも後方に位置し、前記排出口は、前記本体部の正面よりも前方に位置してもよい。本構成によれば、排出口が本体部の正面よりも前方に位置することで、排出口から排出される唾液が本体部に付着することを抑制できる。
【0014】
上記の生体情報測定装置において、前記吹込み部材は、前記吹込口が前記本体部の外周面に設けられた取付部よりも上方に位置するように傾斜して前記外周面に取り付けられてもよい。本構成によれば、本体部の正面側から撮影を行う際に、本体部によって被測定者の顔が隠れる領域を少なくできる。また、本構成によれば、呼気に含まれる唾液が下方に向かうため、唾液が本体部に流入することを抑制できる。
【0015】
上記の生体情報測定装置において、前記吹込み部材と前記本体部の外周面に設けられた取付部とは、凹形状と凸形状とによる嵌合で着脱自在とされる。本構成によれば、吹込み部材と本体部との着脱を容易に行える。
【0016】
上記の生体情報測定装置において、前記凹形状及び前記凸形状は、前記吹込口が前記本体部の背面よりも後方に位置し、かつ前記本体部よりも上方となる向きでのみ、前記吹込み部材が取り付けられる形状とされてもよい。本構成によれば、吹込み部材の取り付け方向の間違いを防止できる。
【0017】
上記の生体情報測定装置において、前記排出口は、前記本体部の正面とは異なる方向へ呼気を排出する切込みが形成されてもよい。本構成によれば、切込みから排出される呼気が表示部へ向かわないため、表示部が呼気によって曇ることを抑制できる。
【0018】
上記の生体情報測定装置において、前記被測定者による測定開始のタイミングを報知する報知部を備えてもよい。本構成によれば、被測定者は表示部を視認することなく、生体情報の測定の開始タイミングを把握でき、測定の失敗を抑制できる。
【0019】
上記の生体情報測定装置において、前記測定を開始する場合に操作される操作部を備えてもよい。本構成によれば、被測定者は自身のタイミングで測定を行うことができる。
【0020】
上記の生体情報測定装置において、前記操作部は、前記本体部の背面に設けられてもよい。本構成によれば、被測定者は吹込み部材をくわえたまま、例えば親指で操作部を操作することができるので、被測定者は生体情報測定装置に対する操作を簡易に行うことができる。
【0021】
上記の生体情報測定装置において、測定結果を情報処理装置へ送信する送信手段を備えてもよい。本構成によれば、測定結果を生体情報測定装置以外の情報処理装置に記憶させることができる。
【0022】
上記の生体情報測定装置において、前記吹込口は、前記吹込み部材を延長する延長部材が着脱自在に取り付けられてもよい。本構成によれば、延長部材により、生体情報測定装置と被測定者との顔の位置を調整できる。
【0023】
上記の生体情報測定装置において、前記延長部材は、前記吹込口に対して着脱自在とされる保持部材を介して前記吹込口に取り付けられてもよい。本構成によれば、保持部材を介して延長部材が着脱自在とされるので、使用した延長部材を廃棄したり、洗浄したりすることができ、生体情報測定装置を清潔に保つことができる。
【0024】
上記の生体情報測定装置において、前記保持部材は、前記吹込口の周方向への回転を防止する回転防止部が設けられてもよい。本構成によれば、呼気の吹き込み中に保持部材が回転し、生体情報測定装置への呼気の流入状態が変化することで、測定精度が低下することを防止できる。
【0025】
本発明の一態様の生体情報測定システムは、本体部の正面に設けられ、情報を表示する表示部と、前記本体部の外周面に設けられて測定用センサへ通じ、被測定者の呼気が流入する呼気流入口と、前記呼気流入口が設けられる外周面に取り付けられ、前記被測定者の呼気の吹込口が前記本体部の背面側に位置する吹込み部材と、を有する生体情報測定装置と、前記生体情報測定装置が有する前記表示部、及び前記吹込口をくわえた前記被測定者の顔が画角に含まれるように配置される撮影装置と、を備える。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、不正防止の効果を向上させるために、アルコール測定装置の表示部と被測定者の顔を同時に撮影可能にしつつ、アルコール測定装置本体に唾液が流入してしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、本実施形態のアルコール検知システムの概略構成図である。
【
図2】
図2は、本実施形態のアルコール検知システムの機能ブロック図である。
【
図3】
図3は、本実施形態のアルコール検知装置の外観図であり、(A)はアルコール検知装置の正面斜視図、(B)はアルコール検知装置の背面斜視図である。
【
図4】
図4は、本実施形態のアルコール検知装置からマウスピースを取り外した外観図であり、(A)はアルコール検知装置の正面斜視図、(B)はアルコール検知装置の背面斜視図である。
【
図5】
図5は、本実施形態の呼気流入口を示す概略図である。
【
図6】
図6は、本実施形態のアルコール検知システムによる撮影状態を示す模式図であり、(A)はアルコール検知装置、被測定者、及びカメラの位置関係を示し、(B)はカメラによる撮影画像を示す。
【
図7】
図7は、本実施形態のマウスピースの外観図であり、(A)はマウスピースの底面図、(B)はマウスピースの側面図である。
【
図8】
図8は、ストローが取り付けられた状態のアルコール検知装置、被測定者、及びカメラの位置関係を示す模式図である。
【
図9】
図9は、本実施形態のストロー保持アタッチメントの外観図であり、(A)はマウスピースにストロー保持アタッチメントが取り付けられた状態であり、(B)はストロー保持アタッチメントの後方斜視図である。
【
図10】
図10は、アルコール検知装置におけるマウスピースの取付部を示す外観図であり、(A)はアルコール検知装置の正面図であり、(B)はアルコール検知装置の背面図である。
【
図11】
図11は、アルコール検知装置におけるマウスピースの取付部を示す外観図であり、(A)はアルコール検知装置の左面図であり、(B)はアルコール検知装置の右面図である。
【
図12】
図12は、アルコール検知装置におけるマウスピースの取付部を示す外観図であり、(A)はアルコール検知装置の上面図であり、(B)はアルコール検知装置の底面図である。
【
図13】
図13は、アルコール検知装置におけるマウスピースの取付部を示す外観図であり、(A)はアルコール検知装置の正面斜視図であり、(B)はアルコール検知装置の背面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施する場合の一例を示すものであって、本発明を以下に説明する具体的構成に限定するものではない。本発明の実施にあたっては、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてよい。
【0029】
本実施形態では、生体情報を被測定者の呼気に含まれるアルコール濃度とし、生体情報測定装置をアルコール検知装置とする。また、本実施形態では被測定者を一例として、航空機の乗務員である操縦士及び客室乗務員とする。航空機は例えば旅客機又は貨物機等であるが、これに限らず、ビジネスジェット等、他の航空機であってもよい。
【0030】
図1は、本実施形態のアルコール検知システム10の概略構成図である。アルコール検知システム10は、アルコール検知装置12、タブレット端末14、及び認証サーバ16を備える。なお、本実施形態では一例として、被測定者は各々がアルコール検知装置12及びタブレット端末14を所有するが、これに限らず、複数の被測定者が一つのアルコール検知装置12を共有してもよいし、複数の被測定者が一つのタブレット端末14を共有してもよい。
【0031】
アルコール検知装置12は、被測定者の呼気からアルコール濃度を測定(以下「アルコール検知」ともいう。)する装置であり、本体部20にマウスピース22、表示部24、及び操作部26を備える。
【0032】
マウスピース22の両端には、吹込口22A及び排出口22Bがそれぞれ形成される。被測定者が吹込口22Aをくわえて息を吹き込むと、マウスピース22内に吹き込まれた呼気中のアルコール濃度が測定され、吹き込まれた呼気は排出口22Bから排出される。
【0033】
表示部24は、本体部20の正面20Aに設けられ、情報を表示する。表示部24に表示される情報とは、一例として、アルコール測定値と機器固有IDである。アルコール測定値は、被測定者の呼気に含まれるアルコール濃度の測定結果である。機器固有IDは、アルコール検知装置12毎に固有に設定されている識別情報である。
【0034】
操作部26は被測定者によって操作され、アルコール検知装置12の電源のオン又はオフを行うための電源ボタン、アルコール検知を開始するための測定開始ボタン、各種設定の変更等を行うための設定ボタン等が含まれる。
【0035】
タブレット端末14は、可搬型の情報処理装置であり、プログラムを実行可能なCPU(Central Processing Unit)等のコンピュータ、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、インターネット又はイントラネットに接続するための通信装置、各種のコネクタ、画像を表示すると共にタブレット端末14に対する操作を受け付けるタッチパネルディスプレイ30、被写体を撮像するカメラ32、及びタブレット端末14に対する操作を受け付ける操作部34を備える。
【0036】
タブレット端末14は、アルコール検知装置12から送信されたアルコール測定値等を受信する。また、カメラ32は、被測定者がアルコール検知装置12によってアルコール検知を行う際に、被測定者の顔及び表示部24が画角Aに含まれるように撮像し、撮像画像をタッチパネルディスプレイ30に表示する。そして、タブレット端末14は、アルコール測定値及びカメラ32による撮像で取得した画像情報(以下「カメラ画像情報」という。)等を認証サーバ16へ送信する。
【0037】
なお、タブレット端末14には、アルコール検知装置12を用いたアルコール検知処理を行うためのアプリケーションソフト(以下「アルコール検知アプリ」という。)がインストールされている。被測定者は、アルコール検知を行う際に、タブレット端末14でアルコール検知アプリを起動させ、アルコール検知アプリが示す手順に従ってアルコール検知を行う。また、アルコール検知アプリは、アルコール検知の手順だけでなく、認証サーバ16から受信した認証結果等をタッチパネルディスプレイ30に表示させる。
【0038】
認証サーバ16は、プログラムを実行可能なCPU(Central Processing Unit)等のコンピュータ、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置、インターネット又はイントラネットに接続するための通信装置、各種のコネクタ等を備える情報処理装置である。本実施形態の認証サーバ16は、被測定者の本人確認等、各種情報処理を行うものであり、詳細を後述するように本人確認に必要とする各情報を予め記憶し、アルコール検知装置12による測定結果(アルコール測定値)等を被測定者に関連付けて逐次記憶する。
【0039】
本実施形態のアルコール検知システム10は、アルコール検知装置12とタブレット端末14とにおける情報の送受信を、例えばUSB(Universal Serial Bus)ケーブル38を用いた有線通信により行うが、これに限らず、例えばBluetooth等の近距離無線通信により情報の送受信を行ってもよい。また、タブレット端末14と認証サーバ16とは、例えばWiFi等による無線通信を介したインターネット又はイントラネットにより情報の送受信を行う。
【0040】
このような構成のアルコール検知システム10は、アルコール検知装置12を用いたアルコール検知を被測定者本人が行っていることを判定する本人確認を行う。すなわち、本実施形態のアルコール検知システム10は、被測定者本人以外の他者が被測定者になりすましてアルコール検知を不正に行うことを防止するものである。より具体的には、認証サーバ16が、カメラ32の撮影画像によって被測定者の顔認証を行い、アルコール検知装置12の表示部24に表示されている機器固有IDを読み取ることにより、被測定者が使用するべきアルコール検知装置12であるか否かの認証を行う。
【0041】
図2は、本実施形態のアルコール検知システム10で実行されるアルコール検知処理に関する機能ブロック図である。本実施形態において、
図2に示される各機能は一例としてアルコール検知装置12、タブレット端末14、及び認証サーバ16が備えるコンピュータによって実行される。なお、これに限らず、各機能は、アルコール検知装置12、タブレット端末14、及び認証サーバ16が備えるASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の個別のハードウェアによって実現されてもよい。
【0042】
アルコール検知装置12は、操作制御部40、アルコールセンサ41、画像表示制御部42、記憶部43、データ送受信部44、及び報知部45を備える。
【0043】
操作制御部40は、被測定者による操作部26に対する操作を受け付け、当該操作に応じた制御、例えばアルコール検知装置12のオン、オフ、及びアルコール検知の開始を指示する。
【0044】
アルコールセンサ41は、操作部26に含まれる測定開始ボタンが操作された後に、マウスピース22から吹き込まれた息に含まれるアルコール濃度を測定し、アルコール測定値として出力する。
【0045】
画像表示制御部42は、アルコール測定値及び機器固有ID等を表示させる等、表示部24の表示状態を制御する。
【0046】
記憶部43は、アルコール検知装置12の機器固有ID、アルコール検知装置12の設定状態等を記憶する。
【0047】
データ送受信部44は、タブレット端末14及びその他の情報処理装置との間で情報の送受信を有線又は無線で行い、アルコール測定値を他の情報処理装置へ送信する。なお、請求項8に対応していますアルコール検知装置12の底面20D(
図3,4参照)には、タブレット端末14等とUSB接続を行うためのコネクタが内蔵されている。
【0048】
報知部45は、被測定者による測定開始のタイミングを報知する。本実施形態の報知部45は、一例としてスピーカであり、被測定者はスピーカからの音に従い、マウスピース22へ呼気を吹きかける。なお、報知部45は、スピーカに限定されるものではなく、例えば、振動を発生させる振動発生部であってもよい。
【0049】
タブレット端末14は、操作制御部50、カメラ制御部51、画像表示制御部52、記憶部53、及びデータ送受信部54を備える。
【0050】
操作制御部50は、被測定者によるタッチパネルディスプレイ30及び操作部34に対する操作を受け付け、当該操作に応じた制御、例えばアルコール検知アプリの実行等を行う。
【0051】
カメラ制御部51は、被測定者による操作に応じてカメラ32を制御する。
【0052】
画像表示制御部52は、タッチパネルディスプレイ30に対する画像表示を制御する。本実施形態の画像表示制御部52は、カメラ32による撮影画像及び認証サーバ16による認証結果をタッチパネルディスプレイ30に表示させる。
【0053】
記憶部53は、アルコール検知アプリ及びカメラ画像情報等を記憶する。
【0054】
データ送受信部54は、アルコール検知装置12、認証サーバ16、及びその他の情報処理装置との間で情報の送受信を有線又は無線で行う。なお、本実施形態のデータ送受信部54は、アルコール検知装置12から送信されたアルコール測定値及びカメラ画像情報を認証サーバ16へ送信したり、認証サーバ16からの認証結果等を受信する。
【0055】
認証サーバ16は、データ送受信部60、記憶部61、ID判定部62、及び顔認証部63を備える。
【0056】
データ送受信部60は、タブレット端末14から送信されたカメラ画像情報等を受信し、認証結果等をタブレット端末14へ送信する。
【0057】
記憶部61は、被測定者リストとIDリストを記憶する。被測定者リストは、被測定者の氏名及び所属先等の各種登録情報被測定者の顔を示す画像情報(以下「登録顔画像情報」という。)が被登録者毎に登録されたものである。IDリストは、アルコール検知システム10で用いられるアルコール検知装置12の機器固有IDを被測定者に関連付けて登録したものである。すなわち、被測定者が使用すべきアルコール検知装置12は、機器固有IDで管理される。また、記憶部61は、タブレット端末14から送信されたアルコール測定値、カメラ画像情報等を被測定者毎に記憶する。
【0058】
ID判定部62は、カメラ画像情報から機器固有IDを抽出する。そしてID判定部62は、抽出した機器固有IDに基づいて、適切なアルコール検知装置12を用いて被測定者がアルコール検知を行っていることを判定する。本実施形態のID判定部62は、カメラ画像情報から抽出した機器固有IDとIDリストに被測定者毎に登録されている機器固有IDとが一致する場合に、予め定められたアルコール検知装置12を用いて被測定者がアルコール検知を行っていると判定する。
【0059】
本実施形態の顔認証部63は、カメラ画像情報により示される被測定者の顔を示す顔画像情報に基づいて、被測定者の顔認証を行う。本実施形態の顔認証部63は、カメラ画像情報により示される被測定者の顔を示す顔画像情報と被測定者リストに予め登録されている登録顔画像情報とで、被測定者の顔認証を行う。なお、顔認証部63は、カメラ画像情報から被測定者の顔を抽出し、顔画像情報を取得する機能も有する。
【0060】
次に、アルコール検知装置12の構成の詳細について、
図3,4を参照して説明する。
【0061】
図3は、本実施形態のアルコール検知装置12の外観図であり、
図4は、本実施形態のアルコール検知装置12からマウスピース22を取り外した外観図である。
図3(A)及び
図4(A)はアルコール検知装置12の正面斜視図、
図3(A)及び
図4(B)はアルコール検知装置12の背面斜視図である。
【0062】
ここで、アルコール検知装置12の表示部24に表示された機器固有ID及び被測定者の顔をカメラ32で撮像する場合、表示部24と被測定者の顔とがカメラ32に対して正面に位置する必要がある。しかしながら、従来のアルコール検知装置12では、被測定者の顔をカメラ32の正面とすると、表示部24がカメラ32の正面とならなかったり、表示部24をカメラ32の正面とすると、被測定者の顔をカメラ32の正面とならなかったりした。
【0063】
そこで、本実施形態のアルコール検知装置12は、本体部20の外周面に設けられてアルコールセンサ41へ通じ、被測定者の呼気が流入する呼気流入口27が備えられる。そして本実施形態のマウスピース22は、呼気流入口27が設けられる外周面に取り付けられ、被測定者の呼気の吹込口22Aが本体部20の背面20C側に位置する。
【0064】
本実施形態の呼気流入口27は、本体部20の側面20Bに設けられる。
図5は、本実施形態の呼気流入口27を示す概略図であり、本体部20の縦断面を示している。
図5に示されるように、側面20Bに設けられる呼気流入口27から流入した被測定者の呼気は、本体部20に内蔵されたアルコールセンサ41へポンプ(不図示)によって送気される。
【0065】
ここで、たとえば、本体部20の上面20E側に呼気流入口27が取り付けられる場合、呼気流入口27に到達した唾液が重力によって本体部20の内部に流入するおそれがある。しかしながら、本実施形態のように呼気流入口27が本体部20の側面20Bに設けられる場合、唾液は重力に反して横方向には移動しづらいので、唾液が本体部20の内部に流入することを防ぐことができる。
【0066】
図6は、本実施形態のアルコール検知システム10による撮影状態を示す模式図である。
図6(A)はアルコール検知装置12、被測定者、及びカメラ32の位置関係を示し、
図6(B)はカメラ32による撮影画像を示す。
【0067】
図6(A)に示されるように、本実施形態のアルコール検知装置12の構成によれば、被測定者はマウスピース22の吹込口22Aから呼気を吹き込んで測定を行う場合、本体部20の背面20C側に顔が位置することになる。従って、本実施形態のアルコール検知システム10は、カメラ32を本体部20の正面20Aを撮影するように配置することにより、被測定者の顔と表示部24とが同一の画角A内に含まれ、表示部24に表示される情報(機器固有ID及びアルコール測定値)と被測定者の顔とを同時に撮影することが可能となり、不正防止の効果を向上させることができる。さらに、本実施形態のアルコール検知装置12の構成によれば、本体部20によって顔が隠れる部分を最小限にするようにマウスピース22を配置できる。
【0068】
また、本実施形態のアルコール検知装置12は、マウスピース22を側面20Bに配置することで、呼気の流れの下流に排出口22Bを設けることができる。これにより、呼気に含まれる唾液は下方に向かうため、唾液が本体部20に流入することを抑制できる。この結果、アルコール検知装置12の衛生状態が良好に保たれ、かつ唾液によってアルコール検知装置12が汚損することも抑制できる。さらに、この構成により、アルコール検知装置12に唾液が付着し難いため、複数の被測定者が一つのアルコール検知装置12を共有する場合であってもより高い衛生状態が保たれ、唾液を介した風邪等の感染症の予防にも寄与する。
【0069】
さらに、本実施形態のマウスピース22は、一端が吹込口22Aとされて他端が呼気を排出する排出口22Bとされ、本体部20の背面20C側から正面20A側に延在する中空状の部材である。そして、マウスピース22の吹込口22Aは、本体部20の背面20Cよりも後方に位置し、排出口22Bは、本体部20の正面20Aよりも前方に位置する。換言すると、マウスピース22の吹込口22Aは、本体部20の背面20Cよりも突出した位置に設けられ、排出口22Bは、本体部20の正面20Aよりも突出した位置に設けられることとなる。このように、排出口22Bが本体部20の正面20Aよりも前方に位置することで、排出口22Bから排出される唾液が本体部20に付着することを抑制できる。
【0070】
なお、本実施形態のマウスピース22は、一例として、横断面が円形の円筒状であるが、これに限らず、横断面が四角形等の多角形等とされてもよい。
【0071】
本実施形態のマウスピース22は、直線形状とされている。ここで、仮にマウスピース22に屈曲部を設けると、カメラ32と被測定者の顔と表示部24との位置合わせは行い易くなる。しかしながら、屈曲部において結露が発生し易くなるので、結露にアルコール成分も溜まり、正確なアルコール検知が行えなくなる可能性がある。このため、本実施形態では、マウスピース22を直線形状とすることにより、マウスピース22内での結露を生じ難くし、より正確なアルコール検知を可能とする。
【0072】
直線形状とされているマウスピース22は、吹込口22Aが本体部20の外周面(側面20B)に設けられた取付部28よりも上方に位置するように傾斜して外周面(側面20B)に取り付けられる。すなわち、
図6(A)に示されるように、マウスピース22は、傾斜角θの角度を有して本体部20に取り付けられる。なお、傾斜角θは、本体部20の長軸方向に対して20°~90°の範囲内とすることが好ましい。
【0073】
このような構成により、本体部20の正面20A側から撮影を行う際に、
図6(B)に示されるように、被測定者の顔が本体部20よりも上方に位置するため、本体部20によって被測定者の顔が隠れる領域を少なくできる。なお、被測定者の顔の一部、例えば口元は本体部20に隠れてもよいが、少なくとも被測定者の目や鼻は顔認証のためにカメラ32に撮影される必要がある。また、マウスピース22が傾斜して側面20Bに取り付られることにより、呼気に含まれる唾液が下方に向かうため、唾液が本体部20に流入することを抑制できる。
【0074】
また、本実施形態のマウスピース22と本体部20の外周面(側面20B)に設けられた取付部28とは、凹形状と凸形状とによる嵌合で着脱自在とされる。
【0075】
図7は、本実施形態のマウスピース22の外観図であり、
図7(A)はマウスピース22の底面図、
図7(B)はマウスピース22の側面図である。
図7(A)に示されるマウスピース22の底面22Cが本体部20の側面20Bと当接して、マウスピース22が本体部20に取り付けられる。
【0076】
図7(A)に示されるようにマウスピース22の底面22Cには、本体部20の取付部28と嵌合する開口部70が設けられている。すなわち、
図4に示されるように、本実施形態の取付部28は、凸形状とされており、凹形状とされたマウスピース22の開口部70と嵌合可能とされている。このような構成によれば、マウスピース22と本体部20との着脱を容易に行える。なお、マウスピース22に凸形状が設けられ、本体部20の取付部28が凹形状とされてもよい。
【0077】
また、凹形状及び凸形状は、吹込口22Aが本体部20の背面20Cよりも後方に位置し、かつ本体部20よりも上方となる向きでのみ、マウスピース22が取り付けられる形状とされる。この形状は、一例として、マウスピース22の延在方向(長軸方向X)に対して非対称形状である。
【0078】
これにより、マウスピース22の取り付け方向の間違いを防止できる。本実施形態では、
図7(A)に示されるように本実施形態の開口部70は、長軸方向Xに対して平行な2辺を有し、長軸方向Xに直交する短軸方向Yに3辺を有する5角形とされている。開口部70における短軸方向Yにおける辺は、一方が一つの辺とされ、他方が短い2辺で形成される。そして、本実施形態の取付部28は、このような凹形状とされた開口部70が嵌め合わされる凸形状とされる。このような開口部70及び取付部28の形状は、一例であり、凹形状及び凸形状が長軸方向Xに対して非対称形状とされれば、これに限られない。
【0079】
さらに、マウスピース22の排出口22Bには、マウスピース22の延在方向(長軸方向X)に切込み72が形成される。このような構成によれば、マウスピース22に吹き込まれた呼気は、排出口22Bから分散して排出される。これにより、マウスピース22に呼気が吹き込まれた際に、排出口22Bが何らかの要因によって塞がれたとしても、切込み72から呼気が排出されるので、アルコール検知を行うことができる。
【0080】
なお、本実施形態の切込み72は、
図7(B)に示されるように、マウスピース22の排出口22Bにおける側面22Dに形成される。すなわち、切込み72は、本体部20の正面20Aとは異なる方向へ呼気を排出するように形成される。なお、正面20Aとは異なる方向とは、例えば、正面20Aに対して直交する方向である。これにより、切込み72から排出される呼気は、表示部24が設けられている正面20Aとは異なる方向へ拡散し、切込み72から排出される呼気が表示部24へ向かわないので、呼気によって表示部24が曇ることを抑制できる。また、切込み72に限らず、マウスピース22の排出口22Bの近傍に呼気を拡散するための穴が設けられてもよい。
【0081】
また、アルコール検知装置12は、
図3に示されるように、操作部26として、アルコール検知を開始する場合に操作される測定開始ボタン26Aが設けられる。本実施形態の測定開始ボタン26Aは、本体部20の背面20Cに設けられる。
【0082】
この測定開始ボタン26Aがアルコール検知装置12に設けられることにより、被測定者は自身のタイミングでアルコール検知を行うことができる。また、測定開始ボタン26Aが背面20Cに設けられることにより、被測定者はマウスピース22をくわえたまま、例えば親指で測定開始ボタン26Aを操作することができる。従って、被測定者はアルコール検知装置12に対する操作を簡易に行うことができる。
【0083】
さらに、測定開始ボタン26Aは、表示部24よりも下方に設けられる。これにより、測定開始ボタン26Aを親指で操作する際に、本体部20を把持する他の4本の指によって表示部24が覆い隠されることを防止できる。従って、アルコール検知が行われている最中に、表示部24に表示される機器固有IDが指によって隠されることを防止できる。
【0084】
そして、本実施形態のアルコール検知装置12は、測定開始ボタン26Aが操作されると、被測定者による測定開始のタイミングが報知部45によって報知される。これにより、被測定者は、表示部24を視認することなくアルコール検知の開始タイミング、換言すると呼気を吹き込むタイミングを把握でき、アルコール検知の失敗を抑制できる。
【0085】
また、本実施形態のマウスピース22の吹込口22Aは、マウスピース22を延長する延長部材が着脱自在に取り付けられる。
図8は、延長部材であるストロー75が取り付けられた状態のアルコール検知装置12、被測定者、及びカメラ32の位置関係を示す模式図である。なお、ストロー75は、一般に市販されているものでもよく、例えば、外径が3mm~6mmの中空状部材である。
【0086】
図8に示されるように、取り付けられるストロー75の長さを調整することにより、アルコール検知装置12と被測定者との顔の位置を調整できる。これにより、カメラ32の画角A内において、被測定者の顔と表示部24とを適切な位置とすることができる。
【0087】
なお、本実施形態のストロー75は、吹込口22Aに対して着脱自在とされる保持部材(以下「ストロー保持アタッチメント」という。)80を介して吹込口22Aに取り付けられる。ストロー75は、ストロー保持アタッチメント80に挿入し易いように、一端の外径が先端ほど細くなるテーパ形状とされてもよい。
【0088】
図9は、本実施形態のストロー保持アタッチメント80の外観図である。
図9(A)はマウスピース22にストロー保持アタッチメント80が取り付けられた状態であり、
図9(B)はストロー保持アタッチメント80の後方斜視図である。
【0089】
ストロー保持アタッチメント80には、ストロー75の外径に対応する径を有する孔82が形成されており、この孔82にストロー75が挿入され保持される。ストロー保持アタッチメント80を介してストロー75が着脱自在とされるので、使用したストロー75を廃棄したり、洗浄したりすることができ、アルコール検知装置12を清潔に保つことができる。また、被測定者毎に個別のストロー75を使用することで、一つのアルコール検知装置12を複数人で使用する場合の衛生状態が良好に保たれる。また、外径の異なるストロー75でも対応可能にするため、孔82はテーパ形状を有していてもよい。
【0090】
本実施形態のストロー保持アタッチメント80は、吹込口22Aの周方向への回転を防止する回転防止部84が設けられる。なお、マウスピース22の内周には、回転防止部84と当接することで、ストロー保持アタッチメント80の回転を防止する部材が設けられている。
【0091】
ここで、本実施形態のマウスピース22は、
図7(B)に示されるように吹込口22Aの径が排出口22Bの径よりも大きく、マウスピース22の胴体部分は吹込口22Aから排出口22Bへ向かう方向に径が小さくなっている。そして、吹込口22Aの中心軸線C1は、排出口22Bの中心軸線C2に対してずれており、一致しない。なお、以下の説明では中心軸線C2をマウスピース22の中心軸線C2とする。
【0092】
そして、ストロー75は、ストロー保持アタッチメント80によって、ストロー75の中心軸線がマウスピース22の中心軸線C2に一致するように取り付けられる。このため、ストロー保持アタッチメント80が回転すると、ストロー75の中心軸線とマウスピース22の中心軸線C2とがずれ、その結果、本体部20の呼気流入口27へ流入する呼気の量が変化する可能性がある。
【0093】
そこで、本実施形態のストロー保持アタッチメント80は、回転防止部84によって回転が防止されることにより、呼気の吹き込み中にストロー保持アタッチメント80が回転し、アルコール検知装置12への呼気の流入状態が変化することで、アルコールの測定精度が低下することを防止できる。
【0094】
なお、
図9(B)に示される回転防止部84は、板状の部材であるが、これは一例であり、ストロー保持アタッチメント80の回転を防止できる形状であれば限定されない。
【0095】
図10から
図13は、アルコール検知装置12におけるマウスピース22の取付部28を示す外観図であり、実線で表される部分が取付部28である。
【0096】
図10(A)はアルコール検知装置12の正面図であり、
図10(B)はアルコール検知装置12の背面図である。
図11(A)はアルコール検知装置12の左面図であり、
図11(B)はアルコール検知装置12の右面図である。
図12(A)はアルコール検知装置12の上面図であり、
図12(B)はアルコール検知装置12の底面図である。
図13(A)はアルコール検知装置12の正面斜視図であり、
図13(B)はアルコール検知装置12の背面斜視図である。
【0097】
以上、本発明を、上記実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0098】
例えば、上記実施形態では被測定者の生体情報として呼気に含まれるアルコール濃度を検知する形態について説明したが、本実施形態はこれに限られず、例えば、被測定者の呼気から検知可能な生体情報であれば、他の生体情報であってもよい。また、生体情報は被測定者の呼気から検知されるものに限らず、例えば、血液、唾液、又は組織の一部等、被測定者(被験者)の検体から検知可能な生体情報であってもよい。
【0099】
また、上記実施形態では、被測定者を航空機の乗務員とする形態について説明したが、本実施形態はこれに限られない。被測定者は、バス、タクシー、トラック、及びバイク等の事業用自動車、船舶、又は鉄道の乗務員であってもよい。また、被測定者は、航空機又は車両の乗務員に限らず、病院、工場、店舗、オフィス等で勤務する就業者又は経営者であってもよい。
【0100】
また、上記実施形態では、測定開始ボタン26Aを本体部20の背面20Cに設ける形態について説明したが、本実施形態はこれに限られない。測定開始ボタン26Aは、被測定者がアルコール検知の開始するための操作を開始し易い位置に設けられていれば、本体部20の正面20A又は側面20Bに設けられてもよい。
【0101】
また、上記実施形態では、ストロー75がストロー保持アタッチメント85を介してマウスピース22に取り付けられる形態について説明したが、本実施形態はこれに限られない。マウスピース22は、ストロー保持アタッチメント85を介さずに、ストロー75が吹込口22Aに取り付けられる構造とされてもよい。
【符号の説明】
【0102】
10 アルコール検知システム(不正検知システム)
12 アルコール検知装置(生体情報測定装置)
20 本体部
22 マウスピース(吹込み部材)
22A 吹込口
22B 排出口
24 表示部
26A 測定開始ボタン(操作部)
27 呼気流入口
32 カメラ(撮影装置)
41 アルコールセンサ(測定用センサ)
44 データ送受信部(送信部)
45 報知部
75 ストロー(延長部材)
80 ストロー保持アタッチメント(保持部材)
85 回転防止部