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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-14
(45)【発行日】2024-05-22
(54)【発明の名称】堆肥化装置
(51)【国際特許分類】
   C05F 3/06 20060101AFI20240515BHJP
   C05F 9/02 20060101ALI20240515BHJP
   B09B 3/60 20220101ALI20240515BHJP
   C02F 11/02 20060101ALI20240515BHJP
【FI】
C05F3/06 A
C05F9/02 A
B09B3/60
C02F11/02 ZAB
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020168886
(22)【出願日】2020-10-06
(65)【公開番号】P2022061110
(43)【公開日】2022-04-18
【審査請求日】2023-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】506310050
【氏名又は名称】株式会社アクト
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】内海 洋
【審査官】井上 莉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-096046(JP,A)
【文献】特開2002-265290(JP,A)
【文献】特開昭55-114399(JP,A)
【文献】特開昭58-198206(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104694386(CN,A)
【文献】特開昭55-155800(JP,A)
【文献】特開2002-166296(JP,A)
【文献】特開平10-216754(JP,A)
【文献】特開平06-345575(JP,A)
【文献】特開2018-011520(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C05F
B09B
C02F 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物を堆肥化処理するための堆肥化装置であって、
凹溝を有する床体と、
前記床体上の被処理物からの水を排出する排水手段とを備え、
前記排水手段は、排水管と、この排水管に設けられた複数の立上管とを有し、
前記立上管は、
前記凹溝内に向かって開口する排水孔と、
前記排水孔が形成された上面部とを有し、
前記上面部のうち前記排水孔の周囲に位置する部分は、上方膨出状に形成されている
ことを特徴とする堆肥化装置。
【請求項2】
被処理物を堆肥化処理するための堆肥化装置であって、
凹溝を有する床体と、
前記床体上の被処理物からの水を排出する排水手段とを備え、
前記排水手段は、排水管と、この排水管に設けられた複数の立上管とを有し、
前記立上管は、
上方に向かって縮径する円錐台状の管本体部と、
前記管本体部の上端部に設けられた円板状の上面部と、
前記上面部の中央側に形成され、前記凹溝内に向かって開口する小孔状の排水孔とを有し、
前記上面部のうち前記排水孔の周囲に位置する部分は、上方膨出状に形成されている
ことを特徴とする堆肥化装置。
【請求項3】
排水孔の開口径は、5mm~10mmである
ことを特徴とする請求項1又は2記載の堆肥化装置。
【請求項4】
立上管は、排水管の外周面に対応した形状の取付部を有する
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の堆肥化装置。
【請求項5】
立上管は、排水管と係合する固定用の係合部を有する
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一記載の堆肥化装置。
【請求項6】
床体上の被処理物に空気を供給する空気供給手段を備える
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一記載の堆肥化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理物を堆肥化処理するための堆肥化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1に記載された堆肥化装置(有機廃棄物の発酵処理設備)が知られている。
【0003】
この従来の堆肥化装置は、例えば2条の溝が形成されたコンクリート床と、このコンクリート床上の被処理物(有機廃棄物)に空気を供給する空気供給手段(給気手段)とを備えている。また、空気供給手段は、コンクリート床の溝内に配設された多孔管と、この多孔管に空気を供給するための送風機とを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-96046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の堆肥化装置では、例えば被処理物が多くの水分を含む場合等においては、被処理物からの水がコンクリート床の溝内に溜まるおそれがある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、被処理物からの水を適切に排出できる堆肥化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る堆肥化装置は、被処理物を堆肥化処理するための堆肥化装置であって、凹溝を有する床体と、前記床体上の被処理物からの水を排出する排水手段とを備え、前記排水手段は、排水管と、この排水管に設けられた複数の立上管とを有し、前記立上管は、前記凹溝内に向かって開口する排水孔を有するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、被処理物からの水を適切に排出できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施の形態に係る堆肥化装置の平面図である。
図2図1におけるA-A断面図である。
図3図1におけるB-B断面図である。
図4】同上堆肥化装置の空気供給手段の多孔管体の下面図である。
図5】同上堆肥化装置の排水手段を示す断面図である。
図6】同上排水手段の立上管を示す図で、(a)は部分斜視図、(b)は部分平面図、(c)は部分断面図である。
図7】本発明の他の実施の形態に係る堆肥化装置の排水手段を示す図で、(a)は断面図、(b)は斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施の形態について図1ないし図6を参照して説明する。なお、図1に示す矢印の方向を前後方向及び左右方向として説明する。
【0011】
図中の1は堆肥化装置で、この堆肥化装置1は、好気性微生物による好気性発酵によって被処理物Wを堆肥化処理するための装置(設備)である。
【0012】
つまり、堆肥化装置1は、有機物を含む有機廃棄物である被処理物Wを堆肥化して堆肥(処理済み物)を得るための有機廃棄物発酵処理装置である。なお、被処理物Wは、例えば水分を多く含む牛糞(畜糞)におがくず等を加えたものである。
【0013】
堆肥化装置1は、左右方向に細長い矩形板状の床体(例えばコンクリート床)2と、この床体2の長手方向両端部にそれぞれ立設された左壁体3及び右壁体4と、床体2の後端部に立設された後壁体5とを備えている。これら床体2、左壁体3、右壁体4及び後壁体5によって、その中で被処理物Wの堆肥化処理が行われる前面開口状のコンクリート製の発酵槽6が構成されている。なお、発酵槽6の上方部は、屋根体(図示せず)によって覆われている。
【0014】
床体2の前端部における左右方向に等間隔をおいた複数の所定箇所には、屋根体の前端部を支持する前柱体7が立設されている。互いに隣り合う両前柱体7間には、前方に向かって開口する開口部(前面開口部)9が形成されている。そして、この開口部9を介して、被処理物Wの発酵槽6への投入及び処理済み後の堆肥の発酵槽6からの外部への取り出しが行われる。
【0015】
なお、図1及び図2に示されるように、発酵槽6の床体2は、前柱体7を基準として、左右方向に隣接して並ぶ複数、すなわち例えば同じ大きさの6つのゾーン(「ゾーン1」~「ゾーン6」)に分かれている。
【0016】
床体2は、上方に向かって開口する前後方向長手状の複数の溝部11と、これら複数の溝部11の後端部が連通され、上方に向かって開口するとともに、床体2の長手方向一端部から長手方向他端部にわたって位置する左右方向長手状の1本の凹溝である共通溝部12とを有している。つまり、床体2は、互いに直交状に連通接続された溝部11及び共通溝部12を有し、この1本の共通溝部12の複数箇所(互いに間隔をおいた複数の接続箇所)から溝部11が前方に向かってそれぞれ延びている。
【0017】
そして、図1及び図3の矢印で示すように、被処理物Wからでた水(水分)は、各溝部11内を流れて共通溝部12内に流入した後、後述する立上管52及び排水管51を経て発酵槽6外の排水桝13に流入し、その後、例えば当該排水桝13に接続された接続管を流れて下水本管に排出される。
【0018】
ここで、各溝部11の内底面である溝底面11aは、下流側(後壁体5側である後側)が低くなるように、水平方向に対して所定の傾斜角度(水勾配)をもって若干傾斜している。また、共通溝部12の内底面である溝底面12aにおける複数箇所(溝部11との複数の接続箇所)には、排水手段20の排水孔53が当該溝底面12aで開口している。このため、各溝部11から流れてきた水は、共通溝部12内で上方に向かって開口した複数個の排水孔53から立上管52内に流下し、その後、排水管51及び排水桝13等を経て、例えば下水本管に排出される。ただし、例えば発酵槽6側からの排水を浄化処理する浄化槽等に排出する構成等でもよい。
【0019】
なお、各溝部11の溝底面(内底面)11aは、下流側である後側が低くなるように、水平方向に対して所定の傾斜角度(後方への水勾配)をもって若干傾斜した構成には限定されず、例えば下流側である前側が低くなるように、水平方向に対して所定の傾斜角度(前方への水勾配)をもって若干傾斜した構成でもよい。この場合には、それに対応して排水手段20は前側に設ける。
【0020】
また、堆肥化装置1は、発酵槽6に投入されて床体2上に堆積された被処理物Wに空気を供給する複数(例えば6つ)の同一構成の空気供給手段21と、発酵槽6に投入されて床体2上に堆積された被処理物Wを撹拌する前後方向及び左右方向に移動可能な撹拌手段22と、発酵槽6に投入されて床体2上に堆積された被処理物Wからの水を当該床体2上から発酵槽6外の外部(例えば下水本管等)へ排出する排水手段20とを備えている。
【0021】
撹拌手段22は、所定方向に回転しながら床体2上の被処理物Wを撹拌する撹拌回転体23を有するスクリュー式のものである。なお、撹拌手段22は、図示したスクリュー式には限定されず、例えばコンベヤ式等でもよく、その構成は任意である。
【0022】
空気供給手段21は、床体2の溝部11内に配置され、被処理物Wに空気を供給する空気供給用の複数の多孔管体26と、これら複数の多孔管体26に空気を供給するための送風機27と、これら多孔管体26と送風機27とを接続する接続管体28とを有している。送風機27は、発酵槽6外の空気(大気中の外気)を取り入れることができるように、発酵槽6の後壁体5の後方側に設けられている。
【0023】
ここで、図4に示すように、多孔管体26は、複数の第1孔31aを有する等径状の第1多孔管(例えばVPパイプ100)31と、この第1多孔管31の下流端部に管継手(例えばVPソケット100×75)34を介して接続され、複数の第2孔32aを有し、第1多孔管31よりも細い等径状の第2多孔管(例えばVPパイプ75)32と、この第2多孔管32の下流端部に管継手(例えばVPソケット75×50)35を介して接続され、複数の第3孔33aを有し、第2多孔管32よりも細い等径状の第3多孔管(例えばVPパイプ50)33とを有している。
【0024】
第3多孔管33の下流端部には、この第3多孔管33の下流端側の開口を閉鎖する閉鎖部材であるキャップ36が取り付けられている。キャップ36の下端部は、床体2の溝部11の溝底面11aに当接している。そして、前後方向長手状の多孔管体26と溝部11の溝底面11aとの間には、所定の大きさの隙間40が存在している(図3参照)。なお、3本の多孔管31,32,33を有する多孔管体26は、水平方向に対して所定角度をもって前低後高の傾斜状に若干傾斜している。
【0025】
そして、上述のように、各多孔管体26では、第2多孔管32は第1多孔管31よりも細く、かつ、第3多孔管33は第2多孔管32よりも細い。なお、これらパイプ径が異なる3本の多孔管(送風パイプ)31,32,33は、いずれも同じ肉厚の円筒状のパイプである。
【0026】
また、第2多孔管32の軸方向に互いに隣り合う両第2孔32a間の距離(図4中のP2)は、第1多孔管31の軸方向に互いに隣り合う両第1孔31a間の距離(図4中のP1)よりも短く、かつ、第3多孔管33の軸方向に互いに隣り合う両第3孔33a間の距離(図4中のP3)は、第2多孔管32の軸方向に互いに隣り合う両第2孔32a間の距離(図中のP2)よりも短い(P1>P2>P3)。なお、ピッチである孔間距離(P1、P2、P3)は、各多孔管31,32,33において、図示した如く一定でもよく、また、下流側に向かって減少変化してもよい。
【0027】
そして、この図4に図示した例では、被処理物Wに向けて空気を噴射する円形状の空気供給孔である各孔31a,32a,33aの開口寸法(開口径)は、すべて同じである。それゆえ、この図4に示す多孔管体26は、床体2上の被処理物Wに対して均一に空気が供給されるように、軸方向の位置に応じて、管太さ、孔間距離及び孔開口寸法のうち少なくともいずれか1つ、すなわち例えば管太さ及び孔間距離の2つが段階的に変化している。
【0028】
また、各多孔管31,32,33で2列状をなす孔31a,32a,33aは、多孔管31,32,33の下部に左右対をなすように形成されている。多孔管31,32,33の中心を通る鉛直線と、その中心と孔31a,32a,33aとを通る傾斜線とがなす角度は、例えば45°である。
【0029】
他方、接続管体28は、図4に示すように、床体2の共通溝部12内に位置する接続管(例えば第1多孔管よりも太いパイプであるVPパイプ200)41を有し、この接続管41は、管継手(例えばVPチーズ200×100)42を介して第1多孔管31の上流端部に接続されている。
【0030】
また、接続管体28は、発酵槽6外に位置する縦管(例えばVPパイプ200)45を有し、この縦管45の下流端部は、管継手(例えばVPエルボ200)46、横管(例えばVPパイプ200)47及び管継手(例えばVPチーズ200)48を介して共通溝部12内の接続管41に接続されている。縦管45の上流端部は、接続ホース49を介して送風機27に接続されている。なお、送風機27には、この送風機27を制御する制御手段(図示せず)が電気的に接続されている。
【0031】
排水手段20は、図5及び図6に示すように、少なくとも、共通溝部12と平行状となるように床体2の下方に位置する左右方向長手状で円筒状の1本の排水管(埋設排水配管:例えばVPパイプ200)51と、この排水管51の複数箇所に立設され、床体2を貫通した複数の立上管52とを有している。
【0032】
床下の地中に埋設された排水管51は、その下流端側が発酵槽6外まで延びており、この排水管51の下流端部が排水桝13に接続されている。また、排水管51及び立上管52は、例えば同じ合成樹脂(例えば硬質ポリ塩化ビニル等)からなるものである。そして、図示した例では、両者は互いに別体であるが、一体でもよい。なお、コンクリート製の床体2は、複数の立上管52が固定的に取り付けられた排水管51を地面に敷設した後にコンクリートを打設して設ける。
【0033】
各立上管52は、凹溝である共通溝部12の溝底面12aにおいて当該共通溝部12内に向かって上方へ開口する小孔状の排水孔53を上面部56に有している。
【0034】
つまり、立上管52は、上方に向かって徐々に縮径する円錐台状で下面開口した筒状の管本体部55と、この管本体部55の上端部に一体に設けられ、円形状の排水孔53が中央に形成された円板状の上面部56と、管本体部55の下端部に径方向外方側に向かって突出するように一体に設けられ、排水管51の上部外周面に対応した湾曲板状の取付部57とを有している。そして、取付部57は、排水管51の上部外周面に密着するように接着剤等で固定的に取り付けられている。
【0035】
また、立上管52の円形状の上面部56のうち、円中心の排水孔53の周囲に位置する部分である中心側部分60は、被処理物W及び空気が排水孔53になるべく入り込まないように、上方膨出状に形成されている。
【0036】
具体的には、例えば立上管52の上面部56は、例えば排水孔53に臨んだ径方向内端部61から径方向中間部(例えば径方向中央部)62に向かって下降しかつ当該径方向中間部62から径方向外端部63に向かって上昇するような、上方に向かって凹の形状(凹状)に形成されている。また、径方向端部61の内周面は、テーパー状に形成されている。なお、円形状の排水孔53の開口径aは、例えば5mm~10mmで、好ましくは例えば8mmである。
【0037】
また、排水管51の上部には、排水孔53よりも大きな円形状の複数の開口(挿通孔である上部開口)65が形成されている。そして、その開口65を介して排水管51の内部空間66と各立上管52の内部空間67とが互いに連通している。なお、円形状の開口65の開口径bは、例えば70mm~80mmで、好ましくは例えば76mmである。つまり、立上管52の排水孔53は、排水管51の開口65よりも小さく径小状に形成され、例えば開口65に比べて少なくとも半分以下の開口径で小孔状に形成されている。
【0038】
次に、上記堆肥化装置1の作用等を説明する。
【0039】
堆肥化装置1の発酵槽6に投入されて床体2上に堆積された被処理物Wは、空気供給手段21による空気供給と、撹拌手段22による撹拌とに基づき、堆肥化処理されて低水分の粉状の堆肥となる。この低水分(例えば水分約30%)の粉状の堆肥は、発酵槽6から取り出されて有効利用される。
【0040】
また、床体2上に堆積された被処理物Wからでた水は、排水手段20によって発酵槽6外へ排出される。つまり、被処理物Wからの水は、溝部11内から共通溝部12内に流入すると、排水孔53から立上管52内に流れ込み、その後、開口65から排水管51内に流入し、その排水管51内を流れて排水桝13内に流入して下水本管側に排出される。
【0041】
そして、このような堆肥化装置1によれば、床体2上の被処理物Wからの水を排出する排水手段20を備えるため、被処理物Wからでる水を床体2上から外部へ適切に排出でき、よって被処理物Wを効率良く堆肥化処理できる。
【0042】
また、排水手段20は、排水管51とこの排水管51に設けられた複数の立上管52とを有し、この各立上管52は、小孔状の排水孔53が形成された上面部56を有し、この上面部56のうち排水孔53の周囲に位置する部分が上方膨出状に形成されているため、被処理物Wが排水孔53に入り込むのを抑制できるとともに、空気供給手段21で供給された空気が排水孔53から逃げ出るのを抑制できる。
【0043】
さらに、立上管52は、上方に向かって縮径する円錐台状の管本体部55と、この管本体部55の上端部に設けられ排水孔53が形成された上面部56とを有するため、被処理物Wが水に混ざって立上管52内に流入しても被処理物Wによる目詰まりを適切に防止できる。
【0044】
また、立上管52は、排水管51の外周面に対応した形状の取付部57を有するため、立上管52を排水管51に対して容易かつ適切に取り付けることができる。
【0045】
また一方、空気供給手段21の各多孔管体26は、床体2上の被処理物Wに対して均一に空気が供給されるように、軸方向(長手方向)の位置に応じて、管太さ、孔間距離及び孔開口寸法のうち少なくともいずれか1つ、すなわち例えば管太さ及び孔間距離の2つが変化しているため、発酵槽6の床体2上に堆積された被処理物Wに対して全体的に均一かつ十分に空気を供給でき、よって、被処理物Wを効率良く堆肥化処理できる。
【0046】
つまり、多孔管体26の上流端側(送風機側である基端側)と下流端側(送風機側とは反対側である先端側)とで、空気の供給量のばらつきがなく、全体にわたって一定となり、その結果、被処理物Wの全体にわたって適正な発酵条件が維持され、被処理物W中の好気性微生物が活発に増殖及び活動を繰り返すこととなり、よって、被処理物Wを効率良く堆肥化できる。
【0047】
また、多孔管体26の空気供給用の孔31a,32a,33aは、多孔管31,32,33の下部に形成されているため、被処理物Wが孔31a,32a,33aに詰まってしまうのを防止でき、各孔31a,32a,33aから被処理物W内に空気を適切に供給できる。
【0048】
さらに、水平方向に対して傾斜状の多孔管体26と溝部11の水平な溝底面11aとの間に隙間40が存在することから、孔31a,32a,33aから噴出された空気が、隙間40を経て溝部11内を上方へ流動するため、一定量の空気を被処理物W内に適切に供給できる。
【0049】
なお、排水手段20は、図5に示すものには限定されず、例えば図7に示すものでもよい。
【0050】
この図7に示す排水手段20における複数の各立上管52は、排水管51と係合する環状で鍔形状の固定用(外れ防止用)の係合部である係合爪部71を有している。係合爪部71は、排水管51のうち開口65の周囲に位置する部分の内面との係合により、排水管51に対して立上管52を固定するためのものであって、当該立上管52が排水管51から外れるのを防止する。
【0051】
係合爪部71は、管本体部55の下端部に径方向外方に突出状に設けられている。そして、係合爪部71と取付部57とによって、排水管51のうち開口65の周囲に位置する部分(周囲部分51a)が挟持されている。これにより、立上管52は、所定の取付位置から動かないように排水管51に対して確実に固定されている。
【0052】
なお、排水管51の外周面に対応した湾曲板状の取付部57は、排水管51の上部外周面から下部外周面まで覆う断面C字状のもので、この取付部57の両下端部57aは、排水管51の軸芯よりも下方に位置する。
【0053】
また、いずれの実施の形態においても、排水手段の立上管は、上方に向かって縮径する円錐台状に形成されたものには限定されず、例えば円筒状や角筒状に形成されたものでもよく、円錐状や角錐状に形成されたもの等でもよい。
【0054】
また、堆肥化処理される被処理物(堆肥原料)Wは、牛糞には限定されず、例えば豚糞、鶏糞等でもよく、或いは、家庭からでる生ごみ等でもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 堆肥化装置
2 床体
12 凹溝である共通溝部
20 排水手段
21 空気供給手段
51 排水管
52 立上管
53 排水孔
55 管本体部
56 上面部
57 取付部
71 係合部である係合爪部
W 被処理物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7