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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-14
(45)【発行日】2024-05-22
(54)【発明の名称】食材投入装置
(51)【国際特許分類】
   A22C 9/00 20060101AFI20240515BHJP
【FI】
A22C9/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021012022
(22)【出願日】2021-01-28
(65)【公開番号】P2022115433
(43)【公開日】2022-08-09
【審査請求日】2023-10-26
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年10月25日に遊津仁志、及び松本拓也が発明した食材投入装置を中部ハム株式会社に納品したことにより公開された。
(73)【特許権者】
【識別番号】391014011
【氏名又は名称】株式会社ヒガシモトキカイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遊津 仁志
(72)【発明者】
【氏名】松本 拓也
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-089685(JP,A)
【文献】特開昭60-006179(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0034612(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A22C 5/00-29/04
A23N 1/00-17/02
A23P 10/00-30/40
A21C 1/00-15/04
A47J 27/00-29/06
A47J 33/00-36/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マッサージ装置が備える回転タンクに食材を投入する食材投入装置であって、
前記食材を収容する搬送タンクが載置される搬送タンク載置部と、
前記搬送タンク載置部を駆動する載置部駆動機構と、
前記搬送タンク内の前記食材を前記回転タンクに投入するための投入シュートと、
前記投入シュートを駆動する投入シュート駆動機構と、
前記回転タンク内の前記食材を前記搬送タンクに排出するための排出シュートと、
前記排出シュートを駆動する排出シュート駆動機構と、を備え、
前記搬送タンク載置部は、前記載置部駆動機構により駆動されることで、当該搬送タンク載置部上で前記搬送タンクが直立する基本姿勢と、当該搬送タンク内の前記食材を前記回転タンクに投入するための投入姿勢とに切り替わり、
前記投入シュートは、前記投入シュート駆動機構により駆動されることで、前記搬送タンク載置部が前記投入姿勢をとっているときに前記搬送タンクから放出された前記食材を前記回転タンクに導く投入食材案内状態と、前記搬送タンク載置部が前記基本姿勢をとっているときに前記回転タンクから前記搬送タンクへの前記食材の排出を許容する排出許容状態とに切り替わり、
前記排出シュートは、前記排出シュート駆動機構により駆動されることで、前記搬送タンク載置部が前記投入姿勢をとっているときに前記搬送タンクから前記回転タンクへの前記食材の投入を許容する投入許容状態と、前記搬送タンク載置部が前記基本姿勢をとっているときに前記回転タンクから放出された前記食材を前記搬送タンクに導く排出食材案内状態とに切り替わる
ことを特徴とする食材投入装置。
【請求項2】
前記投入シュートが前記投入食材案内状態であるとき、当該投入シュートが、前記排出シュートが前記投入許容状態から前記排出食材案内状態に切り替わることを禁止する
ことを特徴とする請求項1に記載の食材投入装置。
【請求項3】
前記排出シュートが前記排出食材案内状態であるとき、当該排出シュートが、前記投入シュートが前記排出許容状態から前記投入食材案内状態に切り替わることを禁止する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の食材投入装置。
【請求項4】
前記投入シュート駆動機構は、前記投入シュートを水平な軸を中心に揺動させる投入シュート操作レバーにより構成されている
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の食材投入装置。
【請求項5】
前記排出シュート駆動機構は、前記排出シュートを水平な軸を中心に揺動させる排出シュート操作レバーにより構成されている
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の食材投入装置。
【請求項6】
前記載置部駆動機構の動作を制御する制御装置をさらに備える
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の食材投入装置。
【請求項7】
前記制御装置は、さらに、前記マッサージ装置の動作を制御する
ことを特徴とする請求項6に記載の食材投入装置。
【請求項8】
前記投入シュートは、当該投入シュートが前記投入食材案内状態であるとき、前記搬送タンクの開口に沿って設けられる基端部と、当該基端部から前記回転タンクの開口に向けて設けられる先端部とを有し、
前記搬送タンクが傾いたときに当該搬送タンク内の液体が前記投入シュートの基端部から漏れ落ちることを抑制するシールをさらに備える
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の食材投入装置。
【請求項9】
前記シールは、前記投入シュートの基端部と前記搬送タンクとの隙間、および、前記投入シュートの基端部と前記搬送タンクを支持する支持体との隙間の少なくとも一方に設けられる
ことを特徴とする請求項8に記載の食材投入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッサージ装置が備える回転タンクに食材を投入する食材投入装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、マッサージ装置が備える回転タンクの前方に設けられ、搬送タンクに収容された食材である原料肉を回転タンクに投入する食材投入装置が開示されている。この食材投入装置は、搬送タンクを支持するフレームと、回転タンクに挿入されるシュートとを備えており、回転タンクへのシュートの挿入後、フレームおよび搬送タンクを持ち上げることで、搬送タンク内の原料肉をシュートに放出して回転タンクに投入するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-89685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来、マッサージ後の原料肉を回転タンクから排出する際には、回転タンクの前方に設けた食材投入装置を、回転タンクから放出される原料肉を受け取るための排出タンクに置き替える必要があり、回転タンクからの食材の排出作業に手間が掛かるという問題や、回転タンク前の領域から食材投入装置を退避させるスペースが必要になるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、回転タンクからの食材の排出作業の省力化および時間短縮、ならびに、当該排出作業に要する領域の省スペース化を図ることができる食材投入装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の食材投入装置は、マッサージ装置が備える回転タンクに食材を投入する食材投入装置であって、前記食材を収容する搬送タンクが載置される搬送タンク載置部と、前記搬送タンク載置部を駆動する載置部駆動機構と、前記搬送タンク内の前記食材を前記回転タンクに投入するための投入シュートと、前記投入シュートを駆動する投入シュート駆動機構と、前記回転タンク内の前記食材を前記搬送タンクに排出するための排出シュートと、前記排出シュートを駆動する排出シュート駆動機構と、を備え、前記搬送タンク載置部は、前記載置部駆動機構により駆動されることで、当該搬送タンク載置部上で前記搬送タンクが直立する基本姿勢と、当該搬送タンク内の前記食材を前記回転タンクに投入するための投入姿勢とに切り替わり、前記投入シュートは、前記投入シュート駆動機構により駆動されることで、前記搬送タンク載置部が前記投入姿勢をとっているときに前記搬送タンクから放出された前記食材を前記回転タンクに導く投入食材案内状態と、前記搬送タンク載置部が前記基本姿勢をとっているときに前記回転タンクから前記搬送タンクへの前記食材の排出を許容する排出許容状態とに切り替わり、前記排出シュートは、前記排出シュート駆動機構により駆動されることで、前記搬送タンク載置部が前記投入姿勢をとっているときに前記搬送タンクから前記回転タンクへの前記食材の投入を許容する投入許容状態と、前記搬送タンク載置部が前記基本姿勢をとっているときに前記回転タンクから放出された前記食材を前記搬送タンクに導く排出食材案内状態とに切り替わることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の食材投入装置は、請求項1に記載の食材投入装置において、前記投入シュートが前記投入食材案内状態であるとき、当該投入シュートが、前記排出シュートが前記投入許容状態から前記排出食材案内状態に切り替わることを禁止することを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の食材投入装置は、請求項1または2に記載の食材投入装置において、前記排出シュートが前記排出食材案内状態であるとき、当該排出シュートが、前記投入シュートが前記排出許容状態から前記投入食材案内状態に切り替わることを禁止することを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の食材投入装置は、請求項1~3のいずれか一項に記載の食材投入装置において、前記投入シュート駆動機構は、前記投入シュートを水平な軸を中心に揺動させる投入シュート操作レバーにより構成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の食材投入装置は、請求項1~4のいずれか一項に記載の食材投入装置において、前記排出シュート駆動機構は、前記排出シュートを水平な軸を中心に揺動させる排出シュート操作レバーにより構成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の食材投入装置は、請求項1~5のいずれか一項に記載の食材投入装置において、前記載置部駆動機構の動作を制御する制御装置をさらに備えることを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の食材投入装置は、請求項6に記載の食材投入装置において、前記制御装置は、さらに、前記マッサージ装置の動作を制御することを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の食材投入装置は、請求項1~7のいずれか一項に記載の食材投入装置において、前記投入シュートは、当該投入シュートが前記投入食材案内状態であるとき、前記搬送タンクの開口に沿って設けられる基端部と、当該基端部から前記回転タンクの開口に向けて設けられる先端部とを有し、前記搬送タンクが傾いたときに当該搬送タンク内の液体が前記投入シュートの基端部から漏れ落ちることを抑制するシールをさらに備えることを特徴とする。
【0014】
請求項9に記載の食材投入装置は、請求項8に記載の食材投入装置において、前記シールは、前記投入シュートの基端部と前記搬送タンクとの隙間、および、前記投入シュートの基端部と前記搬送タンクを支持する支持体との隙間の少なくとも一方に設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、回転タンクからの食材の排出作業の省力化および時間短縮、ならびに、当該排出作業に要する領域の省スペース化を図ることができる食材投入装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る食材投入装置、マッサージ装置、および、搬送タンクを示す概略構成図であって、マッサージ装置への食材の投入態様を示す図である。
図2】同実施形態に係る食材投入装置、マッサージ装置、および、搬送タンクを示す概略構成図であって、マッサージ装置からの食材の排出態様を示す図である。
図3】同実施形態に係る食材投入装置の斜視図である。
図4】同実施形態に係る食材投入装置の側面図である。
図5】同実施形態に係る食材投入装置の平面図である。
図6】同実施形態に係る食材投入装置の背面図である。
図7】(A)は、マッサージ装置への食材の投入態様を示す概要図であり、(B)は、マッサージ装置からの食材の排出態様を示す概要図である。
図8】(A)は、同実施形態に係る投入シュート等の断面図であり、(B)は、その一部拡大図である。
図9】(A)は、変形例に係る投入シュート等の断面図であり、(B)は、その一部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面を参照して、本発明を具体化した一実施形態に係る食材投入装置1を説明する。なお、図中の矢印で示す前後方向X、左右方向Y、および、上下方向Zは、互いに直交する直線方向である。
【0018】
図1は、食材投入装置1が搬送タンク3からマッサージ装置2に食材を投入する状態を示している。また、図2は、食材投入装置1がマッサージ装置2から搬送タンク3に食材を排出する状態を示している。
【0019】
図1および図2に示すように、食材投入装置1は、食材である原料肉(図示略)を、搬送タンク3からマッサージ装置2に投入し、マッサージ装置2によりマッサージされた原料肉を、マッサージ装置2から搬送タンク3に排出する。具体的には、図1に示すように、食材投入装置1は、マッサージ装置2への原料肉の投入時は、搬送タンク3を持ち上げることで、搬送タンク3内の原料肉を搬送タンク3外に放出させるとともに、放出された原料肉をマッサージ装置2が備える回転タンク21内に導くことで、搬送タンク3から回転タンク21に原料肉を投入する。また、図2に示すように、食材投入装置1は、マッサージ装置2からの原料肉の排出時は、マッサージ装置2から放出された原料肉を搬送タンク3内に導くことで、原料肉を回転タンク21から搬送タンク3に排出する。
【0020】
マッサージ装置2は、原料肉に注入されたピックル液の分散を早めるために原料肉をマッサージする。マッサージ装置2は、内部に螺旋状の羽根が設けられた回転タンク21と、回転タンク21を回転させる回転タンク駆動機構(図示略)と、回転タンク21が有する開口部21Aを閉じる蓋装置(図示略)とを備えている。回転タンク21の開口部21Aは、斜め上方に向けて開口しており、開口部21Aを通して回転タンク21への原料肉の投入および回転タンク21からの原料肉の排出が行われる。回転タンク駆動機構は、回転タンク21の回転方向を制御できるように構成されている。回転タンク21に投入された原料肉は、回転する螺旋状の羽根により推進力が付与されるため、回転タンク21の回転方向を逆転させることにより、回転タンク21内の原料肉の移動方向が切り替わる。マッサージ装置2は、回転タンク21を回転させることで、回転タンク21内の原料肉をマッサージし、原料肉のマッサージ完了後は、開口部21Aに向けて原料肉が移動するように回転タンク21を回転させることで、回転タンク21内の原料肉が回転タンク21外に放出される。
【0021】
搬送タンク3は、原料肉を収容するキャスター付きタンクであり、マッサージ装置2による原料肉のマッサージ前後において原料肉を搬送する。搬送タンク3は、通常時(すなわち原料肉の搬送時)は上方に向けて開口する開口部3Aを有している。図1に示すように、搬送タンク3は、マッサージ装置2への原料肉の投入時は、開口部3Aが斜め下方を向くように持ち上げられ、搬送タンク3内の原料肉が搬送タンク3外に放出される。図2に示すように、搬送タンク3は、マッサージ装置2からの原料肉の排出時は、通常時と同様に開口部3Aが上方を向くように載置される。なお、マッサージ前後において原料肉を搬送する搬送タンク3は、同一の搬送タンク3ではなく、複数の異なる搬送タンク3であってもよい。すなわち、マッサージ装置2への原料肉の投入時に用いる搬送タンク3と、マッサージ装置2からの原料肉の排出時に用いる搬送タンク3は、同じであっても異なっていてもよい。
【0022】
図3図6は、食材投入装置1の概略構成を示している。
図3図6に示すように、食材投入装置1は、基台部11と、搬送タンク載置部12と、載置部駆動機構13と、投入シュート14と、投入シュート駆動機構15と、排出シュート16と、排出シュート駆動機構17と、制御装置18とを備える。なお、制御装置18は、図3に二点鎖線で図示されており、図4以降での図示は省略されている。
【0023】
基台部11は、支柱部11A,11Bと、排出シュート支持部11C,11Dと、柵部11E,11Fとを備えている。基台部11は、マッサージ装置2近傍の水平面に設置される。支柱部11A,11Bは、左右方向Yにおいて互いに間隔をあけて設けられており、支柱部11Aは、基台部11の左端部から上方に向けて延びており、支柱部11Bは、基台部11の右端部から上方に向けて延びている。排出シュート支持部11C,11Dは、支柱部11A,11Bの間に設けられており、支柱部11A,11Bと同様に左右方向Yにおいて互いに間隔をあけて上方に向けて延びている。排出シュート支持部11C,11Dは、排出シュート16を揺動可能に支持する。柵部11E,11Fは、左右方向Yにおいて互いに間隔をあけて前方に向けて延びており、基台部11の前方から搬送タンク3を搬送タンク載置部12に案内するように構成されている。なお、柵部11E,11Fは、図4以降での図示が省略されている。
【0024】
搬送タンク載置部12は、タンク載置面12Aと、タンク支持フレーム12Bと、投入シュート支持部12C,12Dとを備えている。搬送タンク載置部12は、載置部駆動機構13により駆動されることで、搬送タンク載置部12上で搬送タンク3が直立する基本姿勢(図2参照)と、搬送タンク3内の原料肉を回転タンク21に投入するための投入姿勢(図1参照)とに切り替わる。搬送タンク載置部12が基本姿勢をとっているとき、タンク載置面12Aは基台部11が設置される水平面と連なるように構成されており、水平面から搬送タンク3を押し進めることで、搬送タンク載置部12のタンク載置面12Aに搬送タンク3を載置することができる。搬送タンク載置部12が基本姿勢をとっているとき、搬送タンク3は上方に向けて開口し、搬送タンク載置部12が投入姿勢をとっているとき、搬送タンク3は斜め下方に向けて開口する。タンク支持フレーム12Bは、搬送タンク載置部12が投入姿勢をとっているときに搬送タンク3が落下しないように、搬送タンク3を支持する支持体である。投入シュート支持部12C,12Dは、左右方向Yにおいて互いに間隔をあけてタンク支持フレーム12Bの上端部に設けられており、投入シュート14を揺動可能に支持する。
【0025】
載置部駆動機構13は、当該載置部駆動機構13が備えるアクチュエータの動力によって、搬送タンク載置部12を駆動する。載置部駆動機構13は、アクチュエータとして油圧により伸縮する油圧シリンダ(図示略)と、搬送タンク載置部12に接続されたアーム13A,13Bとにより構成されている。載置部駆動機構13を構成するアクチュエータは、支柱部11A,11Bの各々に設けられており、アーム13A,13Bは、左右方向Yに延びた水平な軸A1(図4および図5参照)を中心に揺動可能に支持されている。アクチュエータはアーム13A,13Bを揺動するように構成されており、載置部駆動機構13は、アクチュエータの動力でアーム13A,13Bを揺動させることで、搬送タンク載置部12を水平な軸A1を中心に揺動させる。
【0026】
投入シュート14は、搬送タンク3内の原料肉を重力の作用により回転タンク21に投入するための部材である。投入シュート14は、投入シュート駆動機構15により駆動されることで、搬送タンク載置部12が投入姿勢をとっているときに搬送タンク3から放出された原料肉を回転タンク21に導く投入食材案内状態と、搬送タンク載置部12が基本姿勢をとっているときに回転タンク21から搬送タンク3への原料肉の排出を許容する排出許容状態とに切り替わる。投入食材案内状態は、投入シュート14が回転タンク21への原料肉の案内を可能とする状態である。投入シュート14は、投入食材案内状態であるときに搬送タンク3の開口部3Aに沿って設けられる基端部14Aと、基端部14Aに比べて窄んだ形状を有する先端部14Bとを備えている。投入食材案内状態および排出許容状態については、図7を参照して後述する。
【0027】
投入シュート駆動機構15は、マッサージ装置2への原料肉の投入作業を行う作業者の人力によって、投入シュート14を駆動する。投入シュート駆動機構15は、左右方向Yに延びた水平な軸A2(図4および図5参照)を中心に揺動可能に支持された投入シュート操作レバー15Aにより構成されている。投入シュート14は、投入シュート操作レバー15Aとともに揺動するように構成されており、投入シュート駆動機構15は、作業者が投入シュート操作レバー15Aを揺動させることで、投入シュート14を水平な軸A2を中心に揺動させる。また、投入シュート操作レバー15Aには、投入シュート14の投入食材案内状態および排出許容状態を維持するために揺動制限機構(図示略)が設けられている。投入シュート操作レバー15Aの揺動制限機構が、例えば投入シュート支持部12C,12Dまたはアーム13A,13Bに設けられた揺動制限機構(図示略)と係合することにより、軸A2を中心とした投入シュート操作レバー15Aおよび投入シュート14の揺動が制限される。
【0028】
排出シュート16は、回転タンク21内の原料肉を重力の作用により搬送タンク3に排出するための部材である。排出シュート16は、排出シュート駆動機構17により駆動されることで、搬送タンク載置部12が投入姿勢をとっているときに搬送タンク3から回転タンク21への原料肉の投入を許容する投入許容状態と、搬送タンク載置部12が基本姿勢をとっているときに回転タンク21から放出された原料肉を搬送タンク3に導く排出食材案内状態とに切り替わる。排出食材案内状態は、排出シュート16が搬送タンク3への原料肉の案内を可能とする状態である。排出シュート16は、回転タンク21の開口部21Aに比べて左右方向Yの寸法が大きい(すなわち幅広の)基端部16Aと、排出食材案内状態であるときに搬送タンク3の開口部3Aに沿って設けられる先端部16Bと、基端部16Aおよび先端部16Bの側方(本実施形態では右方)に設けられた側板部16Cとを備えている。側板部16Cは、回転タンク21の開口部21Aから斜め前方に向けて放出される原料肉が、排出シュート16から側方に落下することを抑制する。投入許容状態および排出食材案内状態については、図7を参照して後述する。なお、排出シュート16が投入許容状態であるとき、排出シュート16は開閉動作を行うマッサージ装置2の蓋装置と干渉するため、マッサージ装置2の蓋装置が開閉動作を行う際は、排出シュート16は投入許容状態から排出食材案内状態に一時的に切り替えられる。
【0029】
排出シュート駆動機構17は、マッサージ装置2からの原料肉の排出作業を行う作業者の人力によって、排出シュート16を駆動する。排出シュート駆動機構17は、左右方向Yに延びた水平な軸A3(図4および図5参照)を中心に揺動可能に支持された排出シュート操作レバー17Aにより構成されている。排出シュート16は、排出シュート操作レバー17Aとともに揺動するように構成されており、排出シュート駆動機構17は、作業者が排出シュート操作レバー17Aを揺動させることで、排出シュート16を水平な軸A3を中心に揺動させる。また、排出シュート操作レバー17Aには、排出シュート16の投入許容状態および排出食材案内状態を維持するために揺動制限機構(図示略)が設けられている。排出シュート操作レバー17Aの揺動制限機構が、例えば排出シュート支持部11C,11Dに設けられた揺動制限機構(図示略)と係合することにより、軸A3を中心とした排出シュート操作レバー17Aおよび排出シュート16の揺動が制限される。
【0030】
制御装置18は、載置部駆動機構13の動作を制御し、さらに、マッサージ装置2の動作を制御する。制御装置18は、載置部駆動機構13およびマッサージ装置2を操作するための操作部(図示略)を備えている。制御装置18を構成する操作部は、例えば、複数の押しボタンスイッチにより構成されており、作業者が操作部を操作することで、搬送タンク載置部12の基本姿勢および投入姿勢の切り替え、および、回転タンク21の回転方向の切り替えが制御される。また、投入シュート14および排出シュート16の状態に応じて、制御装置18は、載置部駆動機構13およびマッサージ装置2を制御する。具体的には、制御装置18は、投入シュート14が投入食材案内状態でないとき、搬送タンク載置部12を基本姿勢から投入姿勢に切り替えることを禁止するように載置部駆動機構13を制御する。また、制御装置18は、排出シュート16が排出食材案内状態でないとき、開口部21Aに向けて原料肉を移動させる回転タンク21の回転を禁止するようにマッサージ装置2の回転タンク駆動機構を制御する。
【0031】
図7(A)は、マッサージ装置2への原料肉の投入時の投入シュート14および排出シュート16の配置を示している。すなわち、図7(A)は、投入食材案内状態の投入シュート14、および、投入許容状態の排出シュート16を示している。
【0032】
図7(A)に示すように、投入シュート14が投入食材案内状態であるとき、投入シュート14の基端部14Aは、搬送タンク3の開口部3Aの下方に位置するとともに開口部3Aの端縁に沿って設けられ、その先端部14Bは、基端部14Aから回転タンク21の開口に向けて設けられるとともに排出シュート16越しに回転タンク21に挿入される。また、排出シュート16が投入許容状態であるとき、排出シュート16は、投入シュート14と干渉しないように配置され、投入シュート14による原料肉の案内を阻害しないように構成されている。投入シュート14が投入食材案内状態であり、かつ、排出シュート16が投入許容状態であるとき、図7(A)中の二点鎖線の矢印で示すように、搬送タンク3内の原料肉が、投入シュート14に案内されて回転タンク21に投入される。
【0033】
搬送タンク載置部12が基本姿勢をとっているときに投入シュート14の基端部14Aを搬送タンク3の開口部3Aに沿って設けるためには、排出シュート16を投入許容状態にしておくことが前提となる。すなわち、搬送タンク載置部12が基本姿勢をとっており、かつ、排出シュート16が排出食材案内状態(回転タンク21の開口部21Aから搬送タンク3に向けて延びている状態)であるときは、排出シュート16は、排出許容状態から投入食材案内状態に切り替わる投入シュート14と接触する。このため、排出食材案内状態である排出シュート16は、投入シュート14が排出許容状態から投入食材案内状態に切り替わることを禁止する。したがって、排出シュート16が投入許容状態であるときに、投入シュート14を排出許容状態から投入食材案内状態に遷移させることで、回転タンク21への原料肉の投入が可能となる。
【0034】
なお、排出シュート16が投入許容状態であるとき、排出シュート16は開閉動作を行うマッサージ装置2の蓋装置と干渉するため、排出シュート16を排出食材案内状態に一時的に遷移させて、マッサージ装置2の蓋装置の開閉動作を行う必要がある。このため、制御装置18は、排出シュート16が排出食材案内状態でないとき、開口部21Aの開閉を禁止するようにマッサージ装置2の蓋装置を制御する。
【0035】
図7(B)は、マッサージ装置2からの原料肉の排出時の投入シュート14および排出シュート16の配置を示している。すなわち、図7(B)は、排出許容状態の投入シュート14、および、排出食材案内状態の排出シュート16を示している。
【0036】
図7(B)に示すように、投入シュート14が排出許容状態であるとき、投入シュート14は、排出シュート16と干渉しないように配置され、排出シュート16による原料肉の案内を阻害しないように構成されている。排出シュート16が排出食材案内状態であるとき、排出シュート16の基端部16Aは、回転タンク21の開口部21Aの下方に設けられ、その先端部16Bは、基端部16Aから搬送タンク3の開口に向けて設けられるとともに搬送タンク3の上方に位置する。投入シュート14が排出許容状態であり、かつ、排出シュート16が排出食材案内状態であるとき、図7(B)中の二点鎖線の矢印で示すように、回転タンク21内の原料肉が、排出シュート16に案内されて搬送タンク3に排出される。
【0037】
搬送タンク載置部12が基本姿勢をとっているときに排出シュート16の先端部16Bを搬送タンク3の開口部3Aに向けて延ばすためには、投入シュート14を排出許容状態にしておくことが前提となる。すなわち、搬送タンク載置部12が基本姿勢をとっており、かつ、投入シュート14が投入食材案内状態(搬送タンク3の開口部3Aに沿って設けられている状態)であるときは、投入シュート14は、投入許容状態から排出食材案内状態に切り替わる排出シュート16と接触する。このため、投入食材案内状態である投入シュート14は、排出シュート16が投入許容状態から排出食材案内状態に切り替わることを禁止する。したがって、投入シュート14が排出許容状態であるときに、排出シュート16を投入許容状態から排出食材案内状態に遷移させることで、回転タンク21からの原料肉の排出が可能となる。
【0038】
また、本実施形態の食材投入装置1は、搬送タンク3が傾いたときに搬送タンク3内の液体(図示略)が投入シュート14の基端部14Aから漏れ落ちることを抑制するという課題を解決するために、シール19A,19B(図8(B)参照)をさらに備えている。
【0039】
図8(A)および(B)は、搬送タンク3、搬送タンク載置部12、および、投入シュート14等の断面であって、食材投入装置1の左右方向Yに対して垂直な断面を示している。図8(A)は、搬送タンク載置部12を基本姿勢から投入姿勢に切り替える際の様子を示しており、図8(B)は、図8(A)中の破線の円で示す部分の拡大図である。
【0040】
図8(B)に示すように、シール19Aは、投入シュート14の基端部14Aの端面に取り付けられており、シール19Bは、タンク支持フレーム12Bの内面に取り付けられている。シール19A,19Bは、例えば密閉性および耐久性に優れた合成ゴムにより構成されている。シール19Aは、投入シュート14の基端部14Aとタンク支持フレーム12Bとの隙間に設けられ、シール19Bは、搬送タンク3とタンク支持フレーム12Bとの隙間に設けられる。
【0041】
搬送タンク3に多量の液体であるピックル液が入っているときに、図8(A)に示すように搬送タンク3が傾くと、搬送タンク3から投入シュート14にピックル液がこぼれ出る。投入シュート14で受け止められたピックル液は、シール19A,19Bにより、投入シュート14とタンク支持フレーム12Bとの隙間、および、搬送タンク3とタンク支持フレーム12Bとの隙間から漏れ落ちることが抑制される。
【0042】
本実施形態では次の効果が得られる。
(1)食材投入装置1は、搬送タンク3内の原料肉を回転タンク21に投入するための投入シュート14と、回転タンク21内の原料肉を搬送タンク3に排出するための排出シュート16とを備えている。このような構成によれば、マッサージ装置2への原料肉の投入時とマッサージ装置2からの原料肉の排出時に、投入シュート14および排出シュート16を使い分けることで、原料肉を回転タンク21に適切に投入できるとともに、原料肉を搬送タンク3に適切に排出できる。したがって、食材投入装置1により、原料肉の投入および排出が可能となるため、回転タンク21前から食材投入装置1を退避させて食材投入装置1を排出タンクに置き替える必要がなくなり、回転タンク21からの食材の排出作業の省力化および時間短縮、ならびに、当該排出作業に要する領域の省スペース化を図ることができる。
【0043】
(2)投入食材案内状態である投入シュート14は、排出シュート16が投入許容状態から排出食材案内状態に切り替わることを禁止するため、マッサージ装置2への原料肉の投入時に、排出シュート16が投入許容状態から排出食材案内状態に切り替わることを防止できる。
【0044】
(3)排出食材案内状態である排出シュート16は、投入シュート14が排出許容状態から投入食材案内状態に切り替わることを禁止するため、マッサージ装置2からの原料肉の排出時に、投入シュート14が排出許容状態から投入食材案内状態に切り替わることを防止できる。
【0045】
(4)投入シュート駆動機構15は、投入シュート14を水平な軸A2を中心に揺動させる投入シュート操作レバー15Aにより構成されているため、作業者は投入シュート操作レバー15Aを操作することで、投入シュート14の投入食材案内状態と排出許容状態とを切り替えることができる。
【0046】
(5)排出シュート駆動機構17は、排出シュート16を水平な軸A3を中心に揺動させる排出シュート操作レバー17Aにより構成されているため、作業者は排出シュート操作レバー17Aを操作することで、排出シュート16の投入許容状態と排出食材案内状態とを切り替えることができる。
【0047】
(6)食材投入装置1は、載置部駆動機構13の動作を制御する制御装置18を備えるため、搬送タンク載置部12の基本姿勢および投入姿勢の切り替えを自動で制御することが可能である。
【0048】
(7)制御装置18は、さらに、マッサージ装置2の動作を制御するため、載置部駆動機構13の動作を制御する装置とマッサージ装置2の動作を制御する装置とが異なる装置により構成される場合に比べて、省スペース化を図ることができる。
【0049】
(8)シール19A,19Bは、搬送タンク3が傾いたときに搬送タンク3内の液体(ピックル液)が投入シュート14の基端部14Aから漏れ落ちることを抑制するため、原料肉とともに多量のピックル液も回転タンク21に投入できる。
【0050】
本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、上記構成を変更することもできる。例えば、以下のように変更して実施することもでき、以下の変更を組み合わせて実施することもできる。
【0051】
・液体が投入シュート14の基端部14Aから漏れ落ちることを抑制するシールの形状、配置、および、個数等を変更することもできる。例えば、図9(A)および(B)に示すように、投入シュート14の基端部14Aの内面にシール19Cが取り付けられていてもよい。シール19Cは、投入シュート14の基端部14Aと搬送タンク3との隙間に設けられる。この構成によれば、投入シュート14で受け止められたピックル液(液体)は、シール19Cにより、投入シュート14と搬送タンク3との隙間から漏れ落ちることが抑制される。すなわち、シールは、投入シュート14の基端部14Aと搬送タンク3との隙間、および、投入シュート14の基端部14Aと搬送タンク3を支持する支持体(タンク支持フレーム12B)との隙間の少なくとも一方に設けられればよい。
【0052】
・載置部駆動機構13が備えるアクチュエータは、油圧シリンダ以外のアクチュエータ(例えば油圧モータ、電動シリンダ、または、電動モータ)により構成することもできる。また、載置部駆動機構13は、作業者の人力によりアーム13A,13Bが揺動されるように構成することもできる。
【0053】
・投入シュート駆動機構15は、例えば、油圧シリンダ、油圧モータ、電動シリンダ、または、電動モータ等のアクチュエータの動力によって、投入シュート14を駆動するように構成することもできる。同様に、排出シュート駆動機構17は、アクチュエータの動力によって、排出シュート16を駆動するように構成することもできる。
【符号の説明】
【0054】
1 食材投入装置
2 マッサージ装置
3 搬送タンク
3A 開口部
11 基台部
12 搬送タンク載置部
12A タンク支持フレーム(支持体)
13 載置部駆動機構
14 投入シュート
14A 基端部
14B 先端部
15 投入シュート駆動機構
15A 投入シュート操作レバー
16 排出シュート
17 排出シュート駆動機構
17A 排出シュート操作レバー
18制御装置
19A,19B,19C シール
21 回転タンク
21A 開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9