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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-14
(45)【発行日】2024-05-22
(54)【発明の名称】グリル付きコンロ
(51)【国際特許分類】
   F24C 15/02 20060101AFI20240515BHJP
   F24C 3/02 20210101ALI20240515BHJP
   F24C 15/06 20060101ALI20240515BHJP
【FI】
F24C15/02 K
F24C3/02 Q
F24C15/06 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021016214
(22)【出願日】2021-02-04
(65)【公開番号】P2022119242
(43)【公開日】2022-08-17
【審査請求日】2023-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100174344
【弁理士】
【氏名又は名称】安井 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 浩也
(72)【発明者】
【氏名】山本 浩貴
【審査官】豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-197327(JP,A)
【文献】特開2012-112633(JP,A)
【文献】特開2019-143864(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 9/00-15/14
F24C 3/00-3/14
A47J 37/00-37/07
H05B 6/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリルの開口部を開閉する為のグリル扉を備え、前記グリル扉の樹脂製の基部の表面に、金属製の覆い部材を外張りしたグリル付きコンロであって、
前記基部は、
前方に突出する取手と、
前記取手を互いに上下方向に挟むように形成され、面方向が何れも前方を向いた上平面部及び下平面部と
を備え、
前記取手は、板状に形成され、前記上平面部と前記下平面部を上下に隔離するように前記基部の左右方向の一端から他端に亘る位置に設けられ、
前記覆い部材は、
前記上平面部と前記取手を覆う上側覆い部材と、
前記下平面部を前方から覆う下側覆い部材と
を備え、
前記上側覆い部材は、側面視L字状に屈曲して形成され、
前記上平面部を前方から覆う第1覆い部と、
前記取手の上面を上方から覆う第2覆い部と
を備え、
前記第2覆い部は、その外縁部から下方に折り曲げられた第1折曲部を備え、
前記第1折曲部は、前記取手の前記上面と前記取手の下面の間の周縁部を外方から覆い、
前記下側覆い部材は、その上端が前記取手の前記下面にまで近接する態様で、前記下平面部を前方から覆うこと
を特徴とするグリル付きコンロ。
【請求項2】
グリルの開口部を開閉する為のグリル扉を備え、前記グリル扉の樹脂製の基部の表面に、金属製の覆い部材を外張りしたグリル付きコンロであって、
前記基部は、
前方に突出する取手と、
前記取手を互いに上下方向に挟むように形成され、面方向が何れも前方を向いた上平面部及び下平面部と
を備え、
前記取手は、板状に形成され、前記上平面部と前記下平面部を上下に隔離するように前記基部の左右方向の一端から他端に亘る位置に設けられ、
前記覆い部材は、
前記上平面部と前記取手を覆う上側覆い部材と、
前記下平面部を前方から覆う下側覆い部材と
を備え、
前記上側覆い部材は、側面視L字状に屈曲して形成され、
前記上平面部を前方から覆う第1覆い部と、
前記取手の上面を上方から覆う第2覆い部と
を備え、
前記第2覆い部は、その外縁部から下方に折り曲げられた第1折曲部を備え、
前記第1折曲部は、前記取手の前記上面と前記取手の下面の間の周縁部を外方から覆い、
前記下側覆い部材は、上部が前方に屈曲されて、前記下平面部と、前記取手の前記下面の少なくとも一部を覆うこと
を特徴とするグリル付きコンロ。
【請求項3】
前記第1覆い部の上縁部及び左右両縁部には、後方に折り曲げられ、前記上平面部の上面と側面の少なくとも一部を夫々上方及び側方から覆う第2折曲部が設けられ、
前記下側覆い部材の左右両縁部には、後方に折り曲げられ、前記下平面部の側面の少なくとも一部を側方から覆う第3折曲部が夫々設けられたこと
を特徴とする請求項1又は2に記載のグリル付きコンロ。
【請求項4】
前記第1折曲部には、前記取手の前記下面側にまで折り曲げられ、前記第1覆い部を前記取手に加締め固定する為の加締め片が設けられたこと
を特徴とする請求項3に記載のグリル付きコンロ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリル付きコンロに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、筐体内にグリルを備えたグリル付きコンロが知られている(例えば、特許文献1参照)。この種のコンロは、コンロの前面部の左右方向中央寄りの位置に、グリル開口部が設けられる。コンロは受皿や焼き網と連結されたグリル扉を備えている。グリル扉は、焼き網等をグリル庫内に収納したときに、グリル開口部を閉塞する。
【0003】
グリル扉の上半部にはグリル窓が設けられ、下半部にはグリル扉等を手前側に引き出す為の取手が前方に突出して設けられる。また、熱対策として、グリル扉の下半部の前面側を樹脂成型品で構成し、グリル内の熱が直接的に下半部(特に取手)に伝熱するのを防止することも多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-27659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、コンロの筐体の前面全体に金属板を外張りし、コンロ全体としての高級感を高めることが要求される場合がある。しかしながら、上記のようなコンロのグリル扉では、取手が下半部の前面の上端から下方に離れた位置において左右両端に亘って設けられていることから、下半部の前面が取手により上下に区画されている。このような下半部の前面に一枚の金属板を外張りしようとすると、前方に突出する取手の形状に対応させる必要があり、非常に困難である。このため、複数の金属板を外張りする方式を採用せざるを得ないが、こうした場合、金属板同士の継ぎ目が使用者の目に入るため、金属板が分断している見た目通りの印象を与え、一体感が損なわれるという問題点があった。
【0006】
本発明の目的は、前方に突出する取手を備えるグリル扉であっても、継ぎ目を目立たせることなく複数の金属板を外張りできるグリル付きコンロを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1のグリル付きコンロは、グリルの開口部を開閉する為のグリル扉を備え、前記グリル扉の樹脂製の基部の表面に、金属製の覆い部材を外張りしたグリル付きコンロであって、前記基部は、前方に突出する取手と、前記取手を互いに上下方向に挟むように形成され、面方向が何れも前方を向いた上平面部及び下平面部とを備え、前記取手は、板状に形成され、前記上平面部と前記下平面部を上下に隔離するように前記基部の左右方向の一端から他端に亘る位置に設けられ、前記覆い部材は、前記上平面部と前記取手を覆う上側覆い部材と、前記下平面部を前方から覆う下側覆い部材とを備え、前記上側覆い部材は、側面視L字状に屈曲して形成され、前記上平面部を前方から覆う第1覆い部と、前記取手の上面を上方から覆う第2覆い部とを備え、前記第2覆い部は、その外縁部から下方に折り曲げられた第1折曲部を備え、前記第1折曲部は、前記取手の前記上面と前記取手の下面の間の周縁部を外方から覆い、前記下側覆い部材は、その上端が前記取手の前記下面にまで近接する態様で、前記下平面部を前方から覆うことを特徴とする。
【0008】
請求項2のグリル付きコンロは、グリルの開口部を開閉する為のグリル扉を備え、前記グリル扉の樹脂製の基部の表面に、金属製の覆い部材を外張りしたグリル付きコンロであって、前記基部は、前方に突出する取手と、前記取手を互いに上下方向に挟むように形成され、面方向が何れも前方を向いた上平面部及び下平面部とを備え、前記取手は、板状に形成され、前記上平面部と前記下平面部を上下に隔離するように前記基部の左右方向の一端から他端に亘る位置に設けられ、前記覆い部材は、前記上平面部と前記取手を覆う上側覆い部材と、前記下平面部を前方から覆う下側覆い部材とを備え、前記上側覆い部材は、側面視L字状に屈曲して形成され、前記上平面部を前方から覆う第1覆い部と、前記取手の上面を上方から覆う第2覆い部とを備え、前記第2覆い部は、その外縁部から下方に折り曲げられた第1折曲部を備え、前記第1折曲部は、前記取手の前記上面と前記取手の下面の間の周縁部を外方から覆い、前記下側覆い部材は、上部が前方に屈曲されて、前記下平面部と、前記取手の前記下面の少なくとも一部を覆うことを特徴とする。
【0009】
請求項3のグリル付きコンロの前記第1覆い部の上縁部及び左右両縁部には、後方に折り曲げられ、前記上平面部の上面と側面の少なくとも一部を夫々上方及び側方から覆う第2折曲部が設けられ、前記下側覆い部材の左右両縁部には、後方に折り曲げられ、前記下平面部の側面の少なくとも一部を側方から覆う第3折曲部が夫々設けられてもよい。
【0010】
請求項4のグリル付きコンロの前記第1折曲部には、前記取手の前記下面側にまで折り曲げられ、前記第1覆い部を前記取手に加締め固定する為の加締め片が設けられてもよい。
【発明の効果】
【0011】
請求項1のグリル付きコンロによれば、上側覆い部材により、基部の上平面部と取手の上面を覆い、しかも、取手の上面と下面の間の周縁部を上側覆い部材の第2覆い部に設けた第1折曲部により外方から覆う。これにより、グリル付きコンロは、取手より上側の部分で樹脂部分が視界に晒されるのを防止できる。また、下側覆い部材により、下平面部を前方から覆うので、取手よりも下側の部分で樹脂部分が視界に晒されるのを防止できる。これに加え、取手が基部の左右両端に亘って設けられるので、基部の上平面部側と下平面部側が上下に完全に区画される。このような構成で、下側覆い部材の上端が取手の下面に近接する位置まで延びている。これにより、下側覆い部材の上端を取手で隠すことができるので、下側覆い部材の上端が使用者の視界に入るのを防止できる。これらの構成により、グリル付きコンロは、覆い部材が複数の部材から構成されるにも関わらず、覆い部材の一体性及び連続性を演出できるので、グリル付きコンロ全体としての美観を向上できる。また、グリル扉の側面部には、覆い部材と基部の継ぎ目が表れるが、グリルの開口部を閉塞した状態では、グリルの開口部の左右両側に設けられる前面パネルの厚みで隠れるので、美観に影響を与えることもない。
【0012】
請求項2のグリル付きコンロによれば、上側覆い部材により、基部の上平面部材と取手の上面を覆い、しかも、取手の上面と下面の間の周縁部を上側覆い部材の第2覆い部に設けた第1折曲部により外方から覆う。これにより、グリル付きコンロは、取手より上側の部分で樹脂部分が視界にさらされるのを防止できる。また、下側覆い部材により、下平面部を前方から覆うので、取手よりも下側の部分で樹脂部分が視界にさらされるのを防止できる。これに加え、取手が基部の左右両端に亘って設けられるので、基部の上平面部側と下平面部側が上下に完全に区画される。このような構成で、下側覆い部の上部を前側に折り曲げて取手の下面の一部又は全部を覆う。これにより、下側覆い部材の上部を取手で隠すことができるので、下側覆い部材の上部が使用者の視界に入るのを防止できる。これらの構成により、グリル付きコンロは、覆い部材が複数の部材から構成されるにも関わらず、覆い部材の一体性及び連続性を演出できるので、グリル付きコンロ全体としての美観を向上できる。また、グリル扉の側面部には、覆い部材と基部の継ぎ目が表れるが、グリルの開口部を閉塞した状態では、グリルの開口部の左右両側に設けられる前面パネルの厚みで隠れるので、美観に影響を与えることもない。
【0013】
請求項3のグリル付きコンロによれば、第2折曲部により、上平面部材の上面が上側から覆われると共に、両側面の少なくとも前側部分が側方から覆われる。これに併せて、第3折曲部により、下平面部材の両側面の少なくとも前側部分が側方から覆われる。これにより、基部の前面だけでなく、基部の上面及び側面をも覆うことができるので、基部の樹脂部分が外部に露出するのをより完全に防止でき、より美観を高めることができる。
【0014】
請求項4のグリル付きコンロによれば、上側覆い部材を取手に加締め固定できるので、より確実且つ強固に上側覆い部材を固定できる。また、加締め片は、加締め固定した状態では、取手の下面に表れるので美観を損ねることもない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】コンロ1の斜視図である。
図2】グリル扉8の斜視図である。
図3】グリル扉8の分解斜視図である。
図4】基部20の斜視図である。
図5】基部20の前面側を右斜め下方から見上げた斜視図である。
図6】基部20の背面側の斜視図である。
図7】覆い部材80の斜視図である。
図8】覆い部材80の背面側の斜視図である。
図9】覆い部材80が外張りされた基部20の背面側の斜視図である。
図10】覆い部材80が外張りされた基部20の前面側を右斜め下方から見上げた斜視図である。
図11】グリル扉8の正面図である。
図12】グリル扉8の右側面図である。
図13】グリル扉800(変形例)の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を説明する。以下に記載される装置などは、特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明する為に用いられるものである。
【0017】
コンロ1の構造を説明する。図1に示すように、コンロ1は、ビルトインコンロである。コンロ1は筐体2と天板3を備える。筐体2は上部が開口し、開口部分に天板3が設置される。天板3において、右手前には右コンロバーナ4(以下、右コンロ4と呼ぶ)、左手前には左コンロバーナ5(以下、左コンロ5と呼ぶ)、中央奥側には奥コンロバーナ6(以下、奥コンロ6と呼ぶ)が設けられる。
【0018】
天板3の後方部には、筐体2内に設置されたグリル庫(図示略)の排気口7が設けられる。コンロ1の前面の略中央には、グリル扉8が設けられる。グリル扉8は、グリル庫内に設けられるレールユニット(図示略)によって前後方向に移動可能であり、グリル庫の前側の開口部(図示略)を開閉する。グリル扉8の前面の上下方向略中間部には、取手25が設けられる。使用者は、取手25でグリル扉8を手前側に引き出すと、レールユニットによる伸長動作により、グリル扉8と共に焼き網と受皿(図示略)をグリル庫内から同時に取り出すことができる。
【0019】
グリル扉8の右側の領域には、2つの操作つまみ11、12が横方向に並んで設けられる。グリル扉8の左側の領域には、操作つまみ11、12と同じ高さ位置に、同一形状の2つの操作つまみ13、14が横方向に並んで設けられる。操作つまみ11~14の夫々は、右コンロ4、グリル庫内のグリルバーナ(図示略)、奥コンロ6、左コンロ5の点火、消火及び火力調節を行う為に操作される。
【0020】
右側の操作つまみ11,12の下方にはパネル16が設けられ、左側の操作つまみ13,14の下方にはパネル17が設けられる。パネル16を指で押し込むと、周知のプッシュオン・プッシュオフ機構(図示略)によって、パネル16の背面に固定された第1操作部(図示略)が下部を基点に前方に回動して引き出される。パネル17を指で押し込むと、上記同機構によって、パネル17の背面に固定された第2操作部(図示略)が下部を基点に前方に回動して引き出される。これらパネル16,17を筐体2側に再度押し込むことによって、第1,第2操作部が筐体2内に収納され、パネル16,17がコンロ1の前面に対して面一となる。
【0021】
グリル扉8の構造を説明する。図2図3に示すように、グリル扉8は、前後方向に厚みを有する板状で且つ正面視横長の略長方形状に形成される。グリル扉8の下側には樹脂製の基部20が設けられる。その上側にはガラス板40が設けられる。それら基部20とガラス板40を後方から支えるようにして、金属製の裏板部材30が固定される。裏板部材30の上端部には、樹脂製の保護板50が固定される。基部20の前面には、該前面を前方から覆うようにして、金属板で形成された覆い部材80が固定される。
【0022】
基部20の構造を説明する。図4図6に示すように、基部20は、前壁部21、右壁部22、左壁部23(図6参照)、底壁部24、取手25を備える。前壁部21は、正面視横長の略長方形状に形成される。右壁部22は、前壁部21の右端部から後方に突出して設けられ、右側面視上下方向に長い略長方形状に形成される。左壁部23は、前壁部21の左端部から後方に突出して設けられ、左側面視上下方向に長い略長方形状に形成される。取手25は、前壁部21の前面における上端よりもやや下側の位置に設けられる。取手25は、前壁部21の左右方向の一端から他端に亘って前方に突出し、平面視左右方向に長い略長方形状に形成される。
【0023】
取手25は、上面251、下面252、周縁部253を備える。周縁部253は、上面251と下面252の間に設けられ、取手25の厚みに相当する。周縁部253の右前角部と左前角部は平面視円弧状のテーパである。下面252には、指掛け部254が設けられる。指掛け部254は底面視左右方向に延び、下面252の前側部分から下方に突出する。ユーザは指掛け部254に下方から指を掛け、グリル扉8を前方に引き出すことができる。取手25の右端部には、周縁部253から下面252の右端部にかけて凹んだ凹部255が設けられる。取手25の左端部にも、周縁部253から下面252の左端部にかけて凹んだ凹部256が設けられる。
【0024】
前壁部21は、取手25を上下方向に挟むようにして、下平面部27と上平面部28を備える。下平面部27は取手25よりも下側、上平面部28は取手25よりも上側である。下平面部27と上平面部28は、夫々の面方向が何れも前方を向いている。下平面部27は、正面視左右方向に長い略長方形状に形成される。上平面部28は正面視左右方向に長く、且つ上下方向の長さが下平面部27よりも短い略長方形状に形成される。
【0025】
図6に示すように、前壁部21の背面には、8本の固定筒部211~218が後方に突出して設けられる。固定筒部211,212は、前壁部21の背面の略中央部に左右に並んで設けられる。固定筒部213,214は、固定筒部211,212の左右両側に夫々設けられる。固定筒部215,216は、固定筒部213,214の左右両側に夫々設けられる。固定筒部217,218は、前壁部21の背面の左右両端側で且つ上下方向略中間位置に設けられる。
【0026】
ガラス板40の形状を説明する。図3に示すように、ガラス板40は、正面視左右方向に長い略長方形状に形成される。ガラス板40の背面には、シルクスクリーン(silk screen process printingの略)によるメッシュ部41が設けられ、その中央には横長長方形状の窓部42が設けられる。窓部42はシルクスクリーンを施していない開口部である。なお、窓部42は少なくとも透過できればよく、例えば透過可能な程度にシルクスクリーンを薄く施してもよい。メッシュ部41は例えば黒色であり、ガラス板40を透過して見ることができない。
【0027】
裏板部材30の形状を説明する。図3に示すように、裏板部材30は金属板をプレス成型して形成される。裏板部材30は、板部31、右壁部32、左壁部33、上壁部34、下壁部35を備える。板部31は正面視横長の略長方形状に形成され、上下方向に並ぶ基部20とガラス板40を背面から覆うことができる面積を有する。板部31の上半分の領域である上領域の略中央には、開口部36が設けられる。開口部36は正面視横長の略長方形状に形成され、ガラス板40の窓部42に対応する位置に設けられる。
【0028】
板部31の下半分の領域である下領域には、前後方向に貫通する固定穴311~318が設けられる。固定穴311,312は、板部31の下領域における左右方向の中央下部に左右に並んで設けられ、基部20の背面側の固定筒部211,212に夫々対応する。固定穴313,314は、固定穴311,312の左右両側に設けられ、基部20の背面側の固定筒部213,214に夫々対応する。固定穴315,316は、固定穴313,314の左右両側に設けられ、基部20の背面側の固定筒部215,216に夫々対応する。固定穴317,318は、板部31の下領域における左右両端側で且つ上下方向略中間位置に夫々設けられ、基部20の背面側の固定筒部217,218に夫々対応する。
【0029】
右壁部32は、板部31の右端部から前方に突出する。左壁部33は、板部31の左端部から前方に突出する。上壁部34は、板部31の上端部から前方に突出する。上壁部34の左右両端部の近傍には、上下方向に貫通する固定穴341,342が設けられる。下壁部35は、板部31の下端部から前方に突出する。
【0030】
保護板50の形状を説明する。図3に示すように、保護板50は、平面視左右方向に細長い板状に形成される。保護板50の前端部には、下方に垂下する前垂部55が設けられる。保護板50の右端部近傍には、上下方向に貫通する固定穴51が設けられ、左端部近傍には、上下方向に貫通する固定穴52が設けられる。
【0031】
覆い部材80の構成を説明する。図3に示すように、覆い部材80は、下側覆い部材60と上側覆い部材70で構成される。下側覆い部材60は、基部20の前壁部21の前面のうち下平面部27を覆うようにして外貼りされる。上側覆い部材70は、前壁部21の前面のうち上平面部28と取手25の上面を覆うようにして外貼りされる。
【0032】
下側覆い部材60の構造を説明する。図7図8は、基部20に取り付けられた状態の覆い部材80のみを図示したものである。図7図8に示すように、下側覆い部材60は、本体部61、右折曲部62、左折曲部63、下折曲部64を備える。本体部61は正面視横長の略長方形状に形成され、基部20の下平面部27よりもやや大きい面積を有する。本体部61の高さは、下平面部27の高さと略同一若しくはやや短くするとよい。右折曲部62は、本体部61の右端部から後方に折れ曲がる。左折曲部63は、本体部61の左端部から後方に折れ曲がる。下折曲部64は、本体部61の下端部から後方に折れ曲がる。
【0033】
上側覆い部材70の構造を説明する。図7図8に示すように、上側覆い部材70は、第1覆い部71と第2覆い部72を備え、側面視略L字状に形成される。第1覆い部71は、正面視横長の略長方形状に形成され、基部20の上平面部28よりもやや大きい面積を有する。第1覆い部71の上端部には、後方に折り曲げられた上折曲部711が設けられる。上折曲部711の後端部には、下方に折り曲げられた折曲片715が設けられる。第1覆い部71の右端部には、後方に折れ曲がる右折曲部712が設けられる。第1覆い部71の左端部には、後方に折れ曲がる左折曲部713が設けられる。
【0034】
第2覆い部72は、平面視左右方向に長い略長方形状に形成され、取手25の上面251よりもやや大きい面積を有する。第2覆い部72の右前角部と左前角部は円弧のテーパ状に形成される。第2覆い部72の外周部のうち後端部を除く部分には、下方に折り曲げられた外周覆い部721が設けられる。外周覆い部721の右側部には、下端部から下方に突出する加締め片74が設けられる。外周覆い部721の左側部には、下端部から下方に突出する加締め片75が設けられる。
【0035】
グリル扉8の組み立て方法の一例を説明する。図3に示すように、コンロ1の組立作業者は、基部20の上部に、ガラス板40の下端部を配置する。基部20の前壁部21の上端部を、ガラス板40の前面の下端部の前側に重ねて位置する(図2参照)。裏板部材30を、基部20とガラス板40の背面側から重ねて配置する。裏板部材30に設けられた固定穴311~318は、基部20の背面側に設けられた固定筒部211~218(図6参照)に夫々対向する。裏板部材30の固定穴313~318に6本のネジ95を夫々差し込んで、基部20の対応する固定筒部213~218に締結する。これにより、裏板部材30が基部20の背面側に固定される。ガラス板40は、裏板部材30の右壁部32と左壁部33の間に配置され、裏板部材30によって後方から支持される。
【0036】
保護板50を裏板部材30の上壁部34の上面に配置し、保護板50の固定穴51,52を、裏板部材30の上壁部34の固定穴341,342に配置する。固定穴51,52に対してネジ91,92を上方から差し込み、上壁部34の固定穴341,342に締結する。これにより、保護板50は裏板部材30の上壁部34の上面に固定される。保護板50の前垂部55は、ガラス板40の前面の上端部に前方から係止する(図2図11図12参照)。これにより、ガラス板40は、裏板部材30と基部20に固定される。
【0037】
裏板部材30の固定穴311,312に対応する位置に板バネ85を配置し、2本のネジ95で固定穴311,312、及び基部20の対応する固定筒部211,212(図6参照)に締結して裏板部材30に固定する。板バネ85は、レールユニットの前側部に係合することで、グリル扉8をレールユニットの前側に着脱自在に取り付けできる。
【0038】
覆い部材80の取り付け方法の一例を説明する。図3に示すように、組立作業者は、下側覆い部材60を基部20に取り付ける。下側覆い部材60の本体部61を、基部20の下平面部27に前方から位置を合わせて接着剤で接着する。図9図10に示すように、本体部61は、下平面部27を前方から覆う。右折曲部62は、基部20の前壁部21の右端部を右方から覆い、左折曲部63は、前壁部21の左端部を左方から覆う。本体部61の上端611は、取手25の下面に接触又は近接した位置に配置される(図10参照)。こうして、下側覆い部材60は、基部20の下平面部27を覆うようにして外貼りされる。
【0039】
次いで、組立作業者は、上側覆い部材70を基部20と取手25に取り付ける。先ず、上側覆い部材70の第1覆い部71の折曲片715を、基部20の上平面部28の上端部とガラス板40の前面との間の隙間に対して上方から差し入れつつ、第1覆い部71と第2覆い部72を、基部20の上平面部28と取手25の上面251に夫々合わせる。第1覆い部71は上平面部28を前方から覆う。第1覆い部71の上折曲部711は、基部20の前壁部21の上端部を上方から覆う。右折曲部712は、基部20の前壁部21の右端部を右方から覆う。左折曲部713は、基部20の前壁部21の左端部を左方から覆う。折曲片715は、前壁部21の上端部の背面に係止する(図9参照)。
【0040】
第2覆い部72は取手25の上面を上方から覆う。第2覆い部72の外周覆い部721は、取手25の前端部、右端部、左端部を外方から覆う。この状態で、外周覆い部721の右側部の下端部から下方に突出する加締め片74を左方に折り曲げて、前壁部21の右端部の下面に設けられた凹部255に加締める(図10参照)。外周覆い部721の左側部の下端部から下方に突出する加締め片75を右方に折り曲げて、前壁部21の左端部の下面に設けられた凹部256に加締める(図10参照)。こうして、上側覆い部材70は、基部20の上平面部28と取手25の上面を覆うようにして外貼りされる。
【0041】
覆い部材80によるグリル扉8の視覚効果を説明する。図10に示すように、覆い部材80の上記外貼り構造によれば、上側覆い部材70は、基部20の上平面部28と取手25の上面251を覆う。しかも、取手25の上面251と下面252の間の周縁部を上側覆い部材70の第2覆い部72に設けた外周覆い部721により外方から覆う。これにより、コンロ1は、取手25より上側の部分で基部20の樹脂部分が視界に晒されるのを防止できる。
【0042】
また、下側覆い部材60は、基部20の下平面部27を前方から覆うので、取手25よりも下側の部分で、基部20の樹脂部分が視界に晒されるのを防止できる。さらに、下側覆い部材60の上端は、取手25の下面252に近接する位置に配置される。キッチン(図示略)に設置されたコンロ1に対して、使用者の目線は高い位置にあるので、使用者はコンロ1を高い位置から見下ろすことになる。これにより、下側覆い部材60の上端611は取手25で隠れるので、下側覆い部材60の上端611が使用者の視界に入るのを防止できる。これらの構成により、コンロ1は、覆い部材80が下側覆い部材60と上側覆い部材70の2つの部材から構成されるにも関わらず、グリル扉8の前面において、覆い部材80の一体性及び連続性を演出できるので、あたかも一枚の金属板が外貼りされているような視覚効果を生み出すことができる。よって、グリル扉8は、コンロ1全体としての美観を向上できる。
【0043】
なお、グリル扉8の右側面(図12参照)及び左側面には、下側覆い部材60と基部20の継ぎ目、上側覆い部材70と基部20の継ぎ目が夫々表れるが、グリル扉8でグリル庫の開口部を閉塞した状態では、グリル庫の開口部の左右両側に設けられるパネル16,17(図1参照)の厚みで隠れるので、コンロ1の美観に影響を与えることもない。
【0044】
以上説明したように、コンロ1は、グリルの開口部を開閉する為のグリル扉8を備え、グリル扉8の樹脂製の基部20の表面に、金属製の覆い部材80を外張りしたグリル付きコンロである。基部20は、前方に突出する取手25と、取手25を互いに上下方向に挟むように形成され、面方向が何れも前方を向いた上平面部28及び下平面部27を備える。取手25は板状に形成され、上平面部28と下平面部27を上下に隔離するように基部20の左右方向の一端から他端に亘る位置に設けられる。覆い部材80は、上側覆い部材70と下側覆い部材60を備える。上側覆い部材70は、上平面部28と取手25を覆う。下側覆い部材60は、下平面部27を前方から覆う。上側覆い部材70は、側面視L字状に屈曲して形成され、第1覆い部71と第2覆い部72を備える。第1覆い部71は、上平面部28を前方から覆う。第2覆い部72は、取手25の上面を上方から覆う。第2覆い部72は、その外縁部から下方に折り曲げられた外周覆い部721を備える。外周覆い部721は、取手25の上面251と下面252の間の周縁部を外方から覆う。下側覆い部材60は、その上端611が取手25の下面252にまで近接する態様で、下平面部27を前方から覆う。
【0045】
これにより、コンロ1は、覆い部材80が上側覆い部材70と下側覆い部材60の2つの部材から構成されるにも関わらず、覆い部材80の一体性及び連続性を演出できるので、コンロ1全体としての美観を向上できる。また、グリル扉8の側面部には、覆い部材80と基部20の継ぎ目が表れるが、グリルの開口部を閉塞した状態では、グリルの開口部の左右両側に設けられるパネル16,17の厚みで隠れるので、美観に影響を与えることもない。
【0046】
上記説明において、上側覆い部材70の第2覆い部72の外周覆い部721は本発明の「第1折曲部」の一例である。加締め片74,75は、本発明の「加締め片」の一例である。上折曲部711,右折曲部712、左折曲部713は、本発明の「第2折曲部」の一例である。下側覆い部材60の右折曲部62と左折曲部63は、本発明の「第3折曲部」の一例である。
【0047】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。コンロ1はガスコンロであるが、電磁調理式のグリル付きコンロであってもよい。
【0048】
下側覆い部材60は、その上端611が取手25の下面252にまで近接する態様で、下平面部27を前方から覆っているが、例えば、下平面部27のみならず、取手25の下面252の少なくとも一部を覆うようにしてもよい。
【0049】
例えば、図13に示すグリル扉800は、上記実施形態のグリル扉8の変形例である。グリル扉800は覆い部材180を備える、覆い部材180は、上側覆い部材70と下側覆い部材160を備える、下側覆い部材160は、上記実施形態の下側覆い部材60を変形したものである。下側覆い部材160は、本体部161、右折曲部162、左折曲部(図示略)、下折曲部164、下面覆い部165を備える。本体部161、右折曲部162、左折曲部(図示略)、下折曲部164は、上記実施形態の本体部61、右折曲部62、左折曲部63、下折曲部64と同一である。下面覆い部165は、本体部161の上端から前方に折れ曲がる。下面覆い部165は、取手25の下面252のうち後端から指掛け部254までの部分を覆う。下面覆い部165の上面は、取手25の下面252に接着剤で接着されるとよい。このような構成により、上記実施形態に比べてより確実に下側覆い部材160の上部を取手25で隠すことができるので、下側覆い部材60の上部が使用者の視界に入るのをより確実に防止できる。
【0050】
上記実施形態では、先に組み立てられたグリル扉8の基部20の前面に、覆い部材80(上側覆い部材70、下側覆い部材60)を取り付ける方法を説明したが、例えば、グリル扉8の組み立て工程の中で、基部20の前面に覆い部材80を先に取り付けてから、裏板部材30とガラス板40を基部20に固定するようにしてもよい。
【0051】
コンロ1の天板3には、3つのコンロ(右コンロ4、左コンロ5、奥コンロ6)が設けられるが、コンロバーナの数は3つに限らず、これより少なくても多くてもよい。
【0052】
下側覆い部材60の右折曲部62と左折曲部63は、基部20の右壁部22と左壁部23の夫々の前側部分のみを覆っているが、右折曲部62と左折曲部63を後方に延ばし、右折曲部62と左折曲部63の前部を覆うようにしてもよい。
【0053】
グリル扉8は、ガラス板40を備えるが、ガラス板40を省略してもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 コンロ
8 グリル扉
20 基部
25 取手
27 下平面部
28 上平面部
60 下側覆い部材
62 右覆い部
63 左覆い部
70 上側覆い部材
71 第1覆い部
72 第2覆い部
74 加締め片
75 加締め片
80 覆い部材
251 上面
252 下面
253 周縁部
711 上折曲部
712 右折曲部
713 左折曲部
721 外周覆い部
800 グリル扉
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13