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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-14
(45)【発行日】2024-05-22
(54)【発明の名称】携帯用のグリップ
(51)【国際特許分類】
   B60N 3/02 20060101AFI20240515BHJP
【FI】
B60N3/02 Z
B60N3/02 B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021030180
(22)【出願日】2021-02-26
(65)【公開番号】P2022000364
(43)【公開日】2022-01-04
【審査請求日】2023-09-19
(31)【優先権主張番号】P 2020104301
(32)【優先日】2020-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】521537324
【氏名又は名称】株式会社TKS千成
(74)【代理人】
【識別番号】100134072
【弁理士】
【氏名又は名称】白浜 秀二
(72)【発明者】
【氏名】服部 吉晶
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-227130(JP,A)
【文献】特開2016-211127(JP,A)
【文献】登録実用新案第3175005(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2010/0043113(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 3/02
A41D 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦方向及び横方向を有し、可撓性のグリップ本体と前記グリップ本体に取り付けられたストラップとを含む携帯用のグリップにおいて、
前記グリップ本体は、平らなプレート状であって、
前記縦方向において互いに対向する第1及び第2端縁と、前記横方向において互いに対向する第1及び第2側縁と、前記横方向へ延びるヒンジ部と、前記ヒンジ部を介して互いに離間・接近可能な第1及び第2可動部と、前記グリップ本体の内周面に囲まれた第1把持部と、前記ヒンジ部の内面に位置する第2把持部とを含み、
前記第2把持部は、前記ヒンジ部の内面において前記横方向へ延びる溝に位置していて、前記溝の前記縦方向の両側には、前記溝に沿って延びる挟持突起が位置し、
前記挟持突起は、段差を有し、前記第1側縁側の部分が前記第2側縁側の部分に比べて高く、より外方へ突出していて、
前記第1及び第2可動部の内面には、前記横方向へ延びていて、前記縦方向において間隔を空けて位置する複数条の突起部が配置されており、
前記グリップ本体は、抗菌性かつ導電性の突出部分を有することを特徴とするグリップ。
【請求項2】
ストラップは、装飾要素を有するカバーを有する請求項1に記載のグリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯用のグリップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、手に装着することで、鉄道その他の乗り物の吊り革、階段の手摺りを直接触れることなく利用したり、エレベータのボタンやドアノブなどに直接触れることなく操作するための携帯用のグリップは公知である。例えば、特許文献1には、大経部と小径部を交互に有する蛇腹状かつ断面C字の筒状体からなるグリップ本体を備えた携帯用のグリップが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-131034号(P2018-131034A)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された携帯用のグリップにおいては、筒状からなるグリップ本体内部に吊り革等の対象物を挿入した状態で間接的に把持することができることから、吊り革等の表面に付着した雑菌やウイルス等が直接手に付着することはなく、衛生的に利用することができる。
【0005】
しかしながら、かかる携帯用のグリップでは、吊り革の外周面よりもグリップ本体の内周面が大きく、その内部で不安定な状態となる。したがって、しっかりと吊り革を間接的に把持することができず、電車内の揺れや混雑時の姿勢の変化によって、吊り革から手が離れてしまうおそれがある。一方で、吊り革のサイズに合わせてグリップ本体を比較的に小さくした場合には、ドアノブやエスカレーターの手摺等の比較的に幅広の対象物を間接的かつ安定して把持することができない。
【0006】
本発明は、従来の携帯用グリップの改良であって、比較的に外形の小さな対象物と比較的に外形の大きな対象物とを安定して把持することのできる携帯用グリップの提供を課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明は、縦方向及び横方向を有し、可撓性のグリップ本体と前記グリップ本体に取り付けられたストラップとを含む携帯用のグリップに関する。
【0008】
本発明に係る携帯用のグリップは、前記グリップ本体は、平らなプレート状であって、前記縦方向において互いに対向する第1及び第2端縁と、前記横方向において互いに対向する第1及び第2側縁と、前記横方向へ延びるヒンジ部と、前記ヒンジ部を介して互いに離間・接近可能な第1及び第2可動部と、前記グリップ本体の内周面に囲まれた第1把持部と、前記ヒンジ部の内面に位置する第2把持部とを含み、前記第2把持部は、前記ヒンジ部の内面において前記横方向へ延びる溝に位置していて、前記溝の前記縦方向の両側には、前記溝に沿って延びる挟持突起が位置し、前記挟持突起は、段差を有し、前記第1側縁側の部分が前記第2側縁側の部分に比べて高く、より外方へ突出していて、前記第1及び第2可動部の内面には、前記横方向へ延びていて、前記縦方向において間隔を空けて位置する複数条の突起部が配置されており、前記グリップ本体は、抗菌性かつ導電性の突出部分を有することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る携帯用のグリップは、以下の実施態様を含む。該実施の態様は、分離して又は互いに組み合わせて採択することができる。
)ストラップは、装飾要素を有するカバーを有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る携帯用グリップによれば、グリップ本体の内周面に囲まれた第1把持部において比較的に大きな対象物を間接的に把持することができるとともに、ヒンジ部の内周面の内面に位置する第2把持部によって比較的に小さな対象物を間接的に把持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図面は、本発明に係る携帯用のグリップの特定の実施の形態を示し、発明の不可欠な構成ばかりでなく、選択的及び好ましい実施の形態を含む。
図1】本発明の第1実施形態に係る携帯用のグリップの斜視図。
図2】携帯用のグリップを第1可動部側から視た側面図。
図3】携帯用のグリップを第2可動部側から視た側面図。
図4】携帯用のグリップを内面側から視た平面図。
図5】グリップ本体の展開平面図。
図6】(a)図4のVI(a)-VI(a)線に沿う断面図。(b)第1把持部において、吊り革を把持した場合における、図6(a)のVI(b)に沿う拡大断面図。(c)第2把持部において、ドアノブを把持した様子を示す図6(b)と同様の図。
図7】携帯用のグリップで吊り革を把持した様子を示す図。
図8】携帯用のグリップでドアノブを把持した様子を示す図。
図9】突出部分でエレベータのボタンを押す様子を示す図。
図10】(a)携帯用のグリップでエスカレーターの手摺りを掴んだ様子を示す図。(b)携帯用のグリップでビニール袋を吊持した様子を示す図。
図11】第1実施形態の実施例の一例における携帯用のグリップの側面図。
図12】第2実施形態に係るグリップ本体の内面側の平面図。
図13】グリップの一部破断斜視図。
図14】グリップを装着した状態における図。
図15】グリップを装着してグリップ本体を変形させた状態における図。
図16】(a)第2実施形態に係るグリップの図4(a)と同様の図。(b)第1把持部において、吊り革を把持した場合における、図16(a)のXVI(b)で示した拡大断面図。(c)第2把持部において、ドアノブを把持した様子を示す図16(b)と同様の図。
図17】グリップで吊り革を把持した様子を示す図。
図18】グリップでドアノブを把持した様子を示す図。
図19】グリップの他の装着態様を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1実施形態>
下記の実施の形態は、本発明の第1実施形態に係る携帯用のグリップ10に関し、発明の不可欠な構成ばかりではなく、選択的及び好ましい構成を含む。
【0013】
図1図4を参照すると、本発明の携帯用のグリップ(以下、グリップ)10の一例として示す、グリップ10は、互いに交差(直交)する横方向Xと上下方向Yと、それらに交差(直交)する厚さ方向Zとを有し、対象物を間接的に把持するためのグリップ本体20と、グリップ本体20に着脱可能に取り付けられたストラップ30とを備える。
【0014】
グリップ本体20は、断面C字の筒状体に成形されてなり、外面(非肌対向面)20A及び内面(肌対向面)20Bと、横方向Xにおいて互いに対向する第1及び第2端縁20a,20bと、厚さ方向Zにおいて対向する第1及び第2側縁20c,20dとを有する。
【0015】
グリップ本体20は、さらに、厚さ方向Zにおいて互いに対向する第1及び第2可動部21,22と、第1及び第2可動部21,22との間に位置して横方向Xへ延びるヒンジ部23とを有する。第1及び第2可動部21,22は、ヒンジ部23を介して互いに接近・離間する方向へ移動可能なものであって、互いに接近することでグリップ本体20の筒状内部が縮径し、互いに離間することで筒状内部が拡径される。ヒンジ部23は、外面視において横方向Xへ延びる曲状を有する。
【0016】
具体的には、装着者が一方の手をグリップ本体20の外面全体を覆うようにグリップ本体20とストラップ30との間に差し入れて装着したときに、例えば、第1可動部21側に親指、第2可動部22側に中指及び人差し指が位置した状態で手を開いて、厚さ方向Zにおいて対向する第1可動部21の先端21aと第2可動部22の先端22aとが互いに離間するときにグリップ本体20は拡径し、手を閉じるように互いに接近するときに縮径するといえる。先端21a,22aどうしが互いに接触した状態において、最も縮径した状態となり、装着者は、グリップ本体20内に配置された対象物を安定して把持することができる。
【0017】
グリップ本体20の大きさは、適宜自由に設計することができるが、装着したときに手の中に納まる大きさであることが好ましい。すなわち、装着した状態で電車内の吊り革7に掴まったときに、グリップ本体20が露出せずに他の乗客等に視認されないことによって、他人の目を気にすることなく使用することができる。具体的には、一般的な成人の場合、グリップ本体20の周方向Rの寸法は、100~150mmであることが好ましい。
【0018】
グリップ本体20の外面には、装着者の掌のツボを刺激するための指圧部40が配置される。指圧部40は、グリップ本体20の外面から外方へ突出する複数の突起41を有する。指圧部40は、グリップ本体20の外面において、複数の突起41が横方向Xへ互いに間隔を空けるように配置され、かつ、互いに周方向Rへ並んで配置された複数列を有する。
【0019】
装着者は、一方の手でグリップ本体20の外面20A全体を周方向Rに覆うようにグリップ10を把持するように装着することで、掌のツボに指圧部40によって刺激を与えることができる。装着者、グリップ10を介して対象物を間接的に把持するときに指圧部40によってツボに強い刺激を与えることができるが、装着した状態であれば、対象物を把持しなくてもツボに一定の刺激を与えることができる。
【0020】
ストラップ30は、第1及び第2端部31,32と、第1及び第2端部31,32間に位置する中間部33とを有する。第1及び第2端部31,32は、環状であって、グリップ本体20の第1及び第2端縁20a,20b側の側部の内面に位置する取付部34に巻回されており、オプションとして一対のバックル35を介して長さ調整可能及び着脱可能にグリップ本体20に取り付けられている。
【0021】
このように、グリップ本体20のストラップ30が取り付けられていることによって、装着者がグリップ本体20を所持するときに不意に落下することを防止することができる。また、吊り革7等の対象物を把持するときに、ストラップ30が手の甲を被覆し、手がグリップ本体20とストラップ30との間に挟まれたような状態となることから、安定して対象物を把持することができる。
【0022】
さらに、ストラップ30はグリップ本体20に長さ調整可能に取り付けられることで装着者の手2の大きさに合わせてその長さを自由に調整することができるとともに、グリップ本体20に着脱可能に取り付けられていることから、ストラップ30が汚れたり、一部が破断したときには、すぐに新しいものと交換することができる。
【0023】
ストラップ30の中間部33には、それを巻回するようにカバー36が取り付けられており、カバー36の外面には、装飾要素38が配置されている。図示例では、装飾要素38の一例として、「STAY HOME」の文字が配置されている。ストラップ30の装飾要素38は、印刷加工を施して形成することでき、例えば、企業や公共団体の宣伝広告、キャラクター、各種公知の図形、装飾模様、絵柄、文字、記号、高いメッセージ性のあるデザイン、ストラップ30及び/またはグリップ本体20とは、異なる着色部分等を適宜採用することができる。また、暗所において目立つように、蛍光塗料等が塗布されていてもよい。
【0024】
図3を参照すると、グリップ10を装着して吊り革7を把持した場合には、ストラップ10が手の甲を横断するように被覆して装飾要素38が他の乗車客等の目を惹きつけることができる。装飾要素38として、例えば、企業のPR用のロゴや宣伝キャッチフレーズを用いることによって、電車やバスの車内において、中吊り広告のように高い宣伝効果を発揮することができる。また、装飾要素38は、ストラップ30に直接印刷していてもよいが、ストラップ30とは別体のバックル35に印刷することによって、ストラップ30を交換しなくてもスリーブ35のみを効果することができる。さらに、装着者の気分によって、または、服装とコーディネートするように装飾要素38を自由に変更することができる。
【0025】
グリップ本体20は、所要の可撓性を有する材料、例えば、硬質又は軟質のプラスチック材料や弾性材料から形成することが好しい。弾性材料としては、例えば、発泡ウレタン、発泡ゴム、軟質ゴム、スポンジ等を用いることができる。このように、グリップ本体20が可撓性を有することによって、第1及び第2可動部21,22がヒンジ部23を介して接近・離間する方向に移動することができる。
【0026】
また、グリップ本体20は、複数の材料を用いて形成してもよい。例えば、第1及び第2可動部21,22を硬質又は軟質のプラスチック材料から形成し、ヒンジ部23を弾性材料から形成することで、第1及び第2可動部21,22の可撓性(弾性)をヒンジ部23のそれよりも低くして手にフィットさせる一方、ヒンジ部23の可撓性(弾性)を比較的に高くして、第1及び第2可動部21,22をより可動しやすくさせることもできる。
【0027】
ストラップ30は、不織布や織布、プラスチックフィルム、ゴムひも、織り紐などの各種公知の弾性材料から形成することができる。特に、ゴム紐や織り紐等の所定の幅寸法のある弾性材料であれば、装着者の手2をしっかりと被覆することができるとともに、使用中に不用意に破断することはない。
【0028】
グリップ本体20とストラップ30とには、より衛生的に使用するために、抗抗ウイルス・抗菌加工を施していてもよい。特に、手2に直接触れるグリップ本体20の外面20A及びストラップ30の内面にこれらの加工が施されていることが好ましい。
【0029】
また、対象物を安定的に把持するために、グリップ本体20の内周面に摩擦抵抗手段を設けていてもよい。具体的には、ウレタンゴムやシリコンゴム等の摩擦抵抗の比較的に高い材料を貼付したり、シボ加工等の摩擦抵抗を付与する加工を施すことができる。
【0030】
図2を参照すると、グリップ本体20の第1端縁20a側の側部には、横方向Xの外側に突出する突出部分70が位置している。突出部分70は上方に反るように延びており、後記するように、エレベータのボタン9等を間接的に押圧操作するのに利用することができる(図9参照)。
【0031】
図5は、グリップ本体20を外面20Aから視た展開平面図である。指圧部40を構成する複数の突起41は、任意の経路理論に基づいて装着者の掌及び指の位置に合わせて配置されており、高いツボ刺激効果を発揮しうる。指圧部40は、大小様々な複数の突起41から構成されており、突起41の大きさや高さは適宜調整することが可能であって、例えば、最小の突起41は直径及び高さが1.0~5.0mm、最大の突起42は直径及び高さが3.0~6.0mmである。最大の突起42は、手2の親指と人差し指との間に位置する合谷を強く刺激しうるような位置に配置されている。
【0032】
また、グリップ本体20の外面20Aに5本のうちの複数の指が触れた状態で装着することもできる。具体的には、親指と小指とがグリップ本体20の外面20Aに触れない状態でも装着することができ、かかる装着状態であっても、外面Aに触れている指のツボを指圧部40で刺激することができる。また、かかる装着状態を想定して、掌及びすべての指のツボを刺激するように複数の突起41を配置せずに、掌又は/及び一部の指のツボを刺激するように複数の突起41を配置してもよい。さらに、指圧部40は、ツボを刺激する限りにおいて、グリップ本体20の外面からほとんど突出していない部分(高さが1.0mm以下)から形成されていてもよい。かかる場合であっても、微弱ながらツボ刺激効果を与えうるといえる。
【0033】
図4を参照すると、グリップ本体20の内面20Bには、横方向Xへ延びる溝50が形成されている。具体的には、溝50は、第1及び第2可動部21,22間に位置するヒンジ部23の内面に形成されたものであって、ヒンジ部23は、第1及び第2可動部21,22に比して肉薄になっている。このように、ヒンジ部23が第1及び第2可動部21,22に比して厚さが小さく肉薄であることによって、グリップ本体20全体が同一材料から形成されている場合であっても、ヒンジ部23において変形させて第1及び第2可動部21,22の可動を容易にすることができる。
【0034】
図4及び図6(a)を参照すると、溝50の両側において横方向Xへ延び、溝50を挟むように位置する一対の隆起部51,52を有する。隆起部51はグリップ本体20の内面20Bから隆起していて、その厚さ寸法は第1及び第2可動部21,22の他の部分の厚さ寸法よりも大きくなっている。具体的には、溝50の厚さ寸法D1は、第1及び第2可動部21,22の隆起部51,52以外の部分の厚さ寸法D2の0.5~0.7倍の大きさであり、また、隆起部51,52の厚さ寸法D3は、第1及び第2可動部21,22の隆起部51,52以外の部分の厚さ寸法D2の1.1~1.8倍の大きさを有する。
【0035】
また、グリップ本体20は、比較的に太い対象物を把持するための第1把持部61と、比較的に細い対象物を把持するための第2把持部62とを有する。すなわち、グリップ本体20は、その内周面全体に囲まれた空間からなる第1把持部61と、ヒンジ部23に位置する溝50によって形成された第2把持部62とを有する。
【0036】
図7を参照すると、装着者が電車に乗車したときに、グリップ10を装着して電車等の吊り革7を間接的に把持することによって、吊り革7の表面に付着した雑菌やウイルス等が手2に直接付着することはなく、衛生的に利用することができる。特に、近年のCOVID-19(新型コロナウイルス)等の流行性が強いウイルスの接触感染を予防するのに極めて効果的である。
【0037】
また、グリップ本体20の外面20Aに配置された指圧部40の複数の突起41が掌のツボに合わせて配置されていることから、ツボが押されて刺激を受けて、マッサージ効果及びツボ刺激効果を発揮することができる。例えば、比較的に長時間、通勤電車の吊り革7を利用するときには、長い時間ツボが刺激されることによって、日中の仕事による疲労や起立した状態で乗車していることによる局所的な筋肉疲労、鬱血、血行不良及びこれに起因する肩こり、倦怠感等の症状を緩和、改善することができる。このように、グリップ10は、衛生的に対象物を把持するための衛生器具としての側面と、ツボを刺激してより健康を増進することのできる健康器具としての側面との2つの機能的側面を備えるものであるといえる。
【0038】
装着者がグリップ10を一方の手に装着した状態で、電車等の吊り革7を把持するときには、吊り革7をヒンジ部23の溝50に位置する第2把持部62に配置される。溝50の両側には隆起部51,52が位置することから、吊り革7を溝50内において安定して配置することができる。また、図6(b)を参照すると、装着者が手2に比較的に強い力を入れることで第1及び第2可動部21,22の先端21a,22aどうしが互いに当接してグリップ本体20が最大限に縮径され、一対の隆起部51,52が互いに接近して、吊り革7全体を覆うようにして挟持することができる。このように、吊り革7が隆起部51,52によって挟持されることによって、吊り革7をグリップ10内においてより安定的に把持することができる。
【0039】
図8及び図6(c)を参照すると、ドアのドアノブ8を把持する場合も、吊り革7を把持する場合と同様に、手を直接にドアノブ8に触れることはないので、ドアノブ8の表面に付着した雑菌やウイルス等が直接手に付着することはなく、衛生的に操作することができる。また、グリップ10の内周面全体に囲まれた第1把持部61によってドアノブ8全体を被覆することによって、しっかりとホールドした状態でドアの開閉操作を行うことができる。また、開閉操作に要する時間が比較的に短時間であっても、グリップ本体20の外面20Aに位置する指圧部40によって掌のツボが刺激されるので、血行改善やストレスの低減等の健康増進効果を得ることができる。
【0040】
再び、図6(a)を参照すると、第1可動部21の先端21aと第2可動部22の先端22aとは、凸曲状を有している。このように、先端21a,22aが凸曲状を有していることによって、ドアノブ8等の対象物に摺接しながら互いに離間する方向へ移動するときに、それが角状である場合に比して、スムーズに摺接することができるとともに、対象物の表面を傷付けることはない。
【0041】
図9を参照すると、装着者は、グリップ10の突出部分70によってエレベータのボタン(対象物)9を押すことができる。すなわち、装着者は、グリップ10を装着した状態において、グリップ10の第1端縁20a側がボタンと対向するように腕を伸ばすことによって、突出部分70によって比較的に小さな対象物であるボタン9を押圧することができる。このように、エレベータのボタンを直接的に手で触れることなく操作できるので、衛生的であるといえる。また、かかる場合であっても、押圧操作をするときに、瞬間的にグリップ10を強く握ることで、指圧部40によるツボ刺激効果が発揮される。
【0042】
なお、突出部分70の先端70aは、図示したように、先鋭状ではなく、曲状であることが好ましい。このように、先端70aが曲状であることによって、対象物を強く押圧した場合であっても、その表面を滑ったり、傷づけることはない。
【0043】
図10(a)を参照すると、装着者は、グリップ10の第1把持部61によってエスカレーターの手摺り80を直接触れることなく掴むことができる。図10(b)を参照すると、装着者は、荷物を入れたビニール袋90をグリップ10によって間接的に吊持することもできる。かかる場合には、荷物の自重によって幅狭となったビニール袋90の手提げ部分が手に食い込むことがない。また、ビニール袋90の手持ち部分を溝50の位置する第2把持部62に位置させることで安定して吊持することができる。
【0044】
既述のとおり、本願発明に係るグリップ10は、グリップ本体20の内周面に囲まれた第1把持部61と、ヒンジ部23の内面に位置する第2把持部62とを含むことから、第1把持部61においてドアノブ8やエスカレータの手摺り80等の比較的に大きな(幅広、径寸法が大きな)対象物を間接的かつ安定的に把持できることに加えて、第2把持部62において吊り革7やビニール袋90の手提げ部分のような比較的に小さな(幅狭、径寸法の小さな)対処物を間接的かつ安定的に把持することができる。
【0045】
また、突出部分70によってタッチパネル等の接触操作するものやエレベータのボタン9のような押圧操作が必要な対象物をも操作することができる。このように、グリップ10を携帯することによって、日常生活のあらゆる場面において、対象物を直接触れることなく把持・操作することができるので、衛生的に優れる。加えて、それらのあらゆる場面において、指圧部40によって常時ツボが刺激された状態となることから、マッサージ効果及びツボ刺激効果によって健康増進を図ることができる。
【0046】
<実施例>
図11は、本発明に係るグリップ10の実施例の一例における、図2と同様のグリップ10の側面図である。本実施例に係るグリップ10の基本的構成は、図1図9に示すグリップ10と同じであるから、相違する点についてのみ以下に悦明する。
【0047】
本実施例に係るグリップ10においては、ヒンジ部23が外面視において、さらに急なカーブ状に大きく湾曲した形状を有する。すなわち、図2に示した態様に比して、曲率が大きな曲状を有することから、指が掛かり易く、よりしっかりと把持することができる。
【0048】
また、突出部分70がさらに大きく反って横方向Xの外側に突出した形状を有する。突出部分70かかる形状を有することによって、手を挿し入れ難い狭い空間に位置する対象物であっても、容易に押圧操作を行うことができる。
【0049】
グリップ10を構成する部材には、特に明記されていない限りにおいて、本明細書に記載されている材料のほかに、この種の分野において通常用いられている公知の材料を制限なく用いることができる。また、本明細書等においては、装着者が右利きの場合、右手で荷物等を持った状態で左手にグリップ10を装着して吊り革等を把持することを想定して左手用としているが、右手用又は左右兼用に指圧部40のツボ41の位置などを変更してもよい。また、それに合わせて突出部分70の位置を変更してもよいし、突出部分70が横方向Xの両側から延出した態様であってもよい。
【0050】
<第2実施形態>
図12図18は、本発明の第2実施形態に係るグリップ100の一例の各態様を示すものである。なお、第2実施形態に係るグリップ100に関して、特に異なる構成を有する記載がされている場合を除き、第1実施形態に係るグリップ10と同様の構成及び技術的効果を奏する。
【0051】
本発明の第2実施形態に係るグリップ100の一例として示す、グリップ100は、互いに交差(直交)縦方向(長手方向)Aと横方向(短手方向)Bと、それらに交差(直交)する厚さ方向Zとを有し、対象物を間接的に把持するためのグリップ本体200と、グリップ本体200に着脱可能に取り付けられたストラップ300とを備える。
【0052】
グリップ本体200は、シリコン等の軟質材料から形成されて可撓性を有する平らなプレート状からなり、外面(非肌対向面)200A及び内面(肌対向面)200Bと、縦方向Yにおいて互いに対向する第1及び第2端縁201,202と、横方向Xにおいて互いに対向する第1及び第2側縁203,204とを有する。
【0053】
グリップ本体200は、さらに、厚さ方向Zにおいて互いに対向する第1及び第2可動部210,220と、第1及び第2可動部210,220との間に位置して横方向Bへ延びるヒンジ部230とを有する。第1及び第2可動部210,220は、第1及び第2端縁201,202側の部分が、第1及び第2端縁201,202に向かうにつれて次第に幅狭となる形状を有している。
【0054】
図14,15に示すように、装着者が一方の手をグリップ本体200の外面全体を覆うようにグリップ本体200とストラップ300との間に差し入れて装着して、グリップ本体200を丸くなるように握持した状態において、第1及び第2可動部210,220は、平らな形状から曲状に変形する。
【0055】
すなわち、第1及び第2可動部210,220は、ヒンジ部230を介して互いに接近・離間する方向へ移動可能なものであって、互いに接近することでグリップ本体20がプレート状から第1実施形態に係るグリップ本体20のような断面C字の筒状に変形する。一方、装着者が手を広げると、第1及び第2可動部210,220はそれらを曲状に変形させようとする力から解放されて、グリップ本体200は平らなプレート状の原状に復帰する。
【0056】
ストラップ300は、第1及び第2端部310,320を有し、第1端部310と第2端部320とは、メカニカルファスナ等の公知の連結手段で連結されている。具体的には、第1及び第2端部310,320のいずれか一方に配置されたメカニカルファスナのフック(雄部)部をストラップ300の外面に直接係合させることができ、装着者の手の大きさに合わせてサイズ調整が可能である。
【0057】
第1端部310側には突出部分700を有するタッチカバー710が取り付けられている。また、第2端部320側には、装飾要素380を有する装飾カバー(カバー)360が配置されている。装飾カバー360は、その両端に位置する挿通孔にストラップ300が挿通された状態で取り付けられている。また、図示していないが、ストラップ300は、長さ調整可能なバックルを有していてもよい。
【0058】
図12図15を参照すると、グリップ本体200の内面200Bには、横方向Xへ延びていて、縦方向Yにおいて互いに間隔を空けて位置する複数条の突起部540,550が配置されている。突起部540,550は、第1可動部210の内面において縦方向Yに互いに間隔を空けて配置された突起部540a,540b,540c、540dと、第2可動部220の内面において縦方向に互いに間隔を空けて配置された突起部550a,550b,550c,550dとを有する。
【0059】
突起部540,550の長さ寸法(横方向Xの寸法)は、それぞれ、第1及び第2可動部210,220の横方向Bの寸法よりも小さく、突起部540,550の両端は第1及び第2側縁201,202から離間している。突起部540,550において、それぞれ、第1及び第2端縁201,202に沿って延びる突起部540d,550dは、他の突起部540a-540c,550a-550cよりも幅広になっている。
【0060】
グリップ本体200の外面200Aには、突起部540d,550dとグリップ本体200の厚さ方向において対向するように突起部540e,550eが配置されている。装着状態において、突起部540e、550eは装着者の手に接触して滑り止めとして機能しうる。
【0061】
ヒンジ部230の縦方向Aの両側には、横方向へ延びる挟持突起(隆起部,壁部)510,520が位置している。挟持突起510,520の間には溝500が位置していて、ストラップ300は溝500と対向するようにグリップ本体200に巻き付けられている。挟持突起510、520は、段差を有し、第1側縁203側の部分が第2側縁204側の部分に比べて高くなっていて、より外方へ突出している。
【0062】
グリップ本体200は、第1実施形態に係るグリップ10と同様に、比較的に太い対象物を把持するために第1把持部610と、比較的に細い対象物を把持するための第2把持部62とを有する。すなわち、グリップ本体20は、その内周面全体に囲まれた空間からなる第1把持部610と、ヒンジ部230に位置する溝500によって形成された第2把持部620とを有する。
【0063】
グリップ100の各構成部材は、公知の材料から形成することができるが、抗菌性を有する材料から形成されていることが好ましい。具体的には、グリップ本体200は、抗菌性かつ可撓性を有する材料であって、例えば、抗菌効果を有するシリコン材料から形成することができる。タッチラバー710及びその先端に位置する突出部分700は、導電性及び抗菌性の軟質部材、例えば、グラファイト、カーボンブラック、カーボンナノチューブ等の炭素系材料から形成することができる。
【0064】
また、装飾プレート360は、導電性及び抗菌性のプラスチック材料、例えば、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂等の硬質プラスチック材料から形成することができる。このように、グリップ100を構成する部材のうち、ストラップ300を除くすべての部材が抗菌性を有することから、衛生的にグリップ100による対象物の把持やタッチ操作が実現できる。
【0065】
各構成部材に使用される抗菌作用を有する抗菌剤として、例えば銀イオンを担持した銀ゼオライト等の化合物やカテキンやヒノキチオール等の天然抗菌剤等を公的に用いることができる。抗菌剤は材料に塗布してもよいが、抗菌剤を材料に混練することで、グリップ100全体を洗浄しても抗菌効果が低下することはなく、永続的な抗菌性を発揮することができる。
【0066】
図12に示すとおり、タッチラバー710とストラップ300とは、ビス720を介して取り付けられている。かかる連結態様を有することによって、ストラップ300とタッチラバー710とは容易に取り外すことができ、装着者の嗜好や気分に合わせて、様々なデザインのストラップ300を選択して自由に使用することができる。
【0067】
図15及び図16(a)を参照すると、グリップ本体200の第1及び第2可動部210,220の内面200Bには、複数条の突起部540,550が配置されていることから、第1把持部610において対象物を把持したときに、対象物に突起部540,550が接触して滑り止めとしての機能を果たしうる。
【0068】
また、突起部540,550は肉厚であって、それが形成されていない部分に比べて剛性が高くなっており、突起部540,550が形成された高剛性部分とそれらが形成されていない低剛性部分とが第1及び第2可動部210,220において縦方向Yへ交互に位置している。突起部540,550がかかる配置態様を有することによって、それらは装着時に第1及び第2可動部210,220が曲状をなす変形誘導部分として作用し得る。
【0069】
図16(b)及び図17を参照すると、装着者がグリップ10を一方の手に装着した状態で、電車等の吊り革7を把持するときには、吊り革7をヒンジ部230の溝500に位置する第2把持部620に配置される。溝500の両側には挟持突起510,520が位置することから、吊り革7を溝500内において安定して配置することができる。
【0070】
また、図16(b)の仮想線で示された部分を参照すると、装着者が手2に比較的に強い力を入れることで、第1及び第2可動部210,220の先端210a,220aどうしがさらに互いに当接するとともに、一対の挟持突起510,520が互いに接近して、吊り革7全体を覆うようにして挟持することができる。このように、吊り革7が挟持突起510,520によって挟持されることによって、吊り革7をグリップ100内においてより安定的に把持することができる。
【0071】
既述のとおり、挟持突起510、520は、段差を有し、第1側縁203側の部分が第2側縁204側の部分に比べて高くなっていて、より外方へ突出している。溝500に対象物を配置した際に、ストラップ300のみが位置する第2側縁204側よりも肉厚のタッチラバー710が位置する第1側縁203側の方が対象物との接触面積が小さくなるおそれがあるが、挟持突起510、520に段差を設けてタッチラバー710が位置する第1側縁203側を高くすることで、対象物との接触面積を確保して、挟持突起510,520全体で対象物を安定して挟持することができる。
【0072】
図18及び図16(c)を参照すると、ドアのドアノブ8を把持する場合も、吊り革7を把持する場合と同様に、手を直接にドアノブ8に触れることはないので、ドアノブ8の表面に付着した雑菌やウイルス等が直接手に付着することはなく、衛生的に操作することができる。また、グリップ100の内周面全体に囲まれた第1把持部610によってドアノブ8全体を被覆することによって、しっかりとホールドした状態でドアの開閉操作を行うことができる。また、図16(c)の仮想線で示された部分を参照すると、装着者が手2に比較的に強い力をいれることで、挟持突起510,520はドアノブ8の外形に沿うように倒伏した状態になり、起立状態に比べて接触面積が大きくなることから、より安定的に把持することができるといえる。
【0073】
図示していないが、図9に示した第1実施形態に係るグリップ10と同様に、タッチカバー710の先端に位置する突出部分700によって、エレベータのボタン9等をタッチ操作することができる。突出部分700は、導電性カーボン材料から形成されることによって、タブレット機器に使用される導電性タッチペン等と同様に使用することができ、タブレット機器、スマートフォン、銀行のATM機,発券機、自動販売機等の各種スイッチボタン、液晶画面のタッチ操作を衛生的に行うことができる。
【0074】
装飾プレート360の装飾要素380は、装飾プレート360の直接印刷するほかに、抗菌性シールを貼付することで配置してもよい。第1実施形態と異なり、第2実施形態に係るグリップ本体200は平らなプレート状であるから、携帯性に優れ、例えば、衣服のポケットに簡単に収納することができる。
【0075】
図19は、第2実施形態に係るグリップ100の他の装着態様を示すものであって、かかる装着態様では、装飾プレート360を装着者の手首の内側に当接されて、手の甲側にプレート本体200の外面200Aが当接される。このように装着することによって、装着者の手はフリーな状態となるので、グリップ100を装着した状態であっても荷物を持ったり、両手を使用した作業を容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0076】
10,100 携帯用のグリップ
20,200 グリップ本体
20A,200A グリップ本体の外面
21,210 第1可動部
22,220 第2可動部
23,230 ヒンジ部
36,360 カバー
38,380 装飾要素
50,500 溝
61,610 第1把持部
62,620 第2把持部
70,700 突出部分
A,X 横方向
Z 厚さ方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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