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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-14
(45)【発行日】2024-05-22
(54)【発明の名称】液体圧送装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/24 20060101AFI20240515BHJP
   F04F 1/06 20060101ALI20240515BHJP
【FI】
F16K31/24 A
F04F1/06 G
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021165580
(22)【出願日】2021-10-07
(65)【公開番号】P2023056300
(43)【公開日】2023-04-19
【審査請求日】2023-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000137889
【氏名又は名称】株式会社ミヤワキ
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 健一
(72)【発明者】
【氏名】小西 謙悟
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-056299(JP,A)
【文献】特開2011-163546(JP,A)
【文献】実開昭51-076035(JP,U)
【文献】特開2014-066288(JP,A)
【文献】特表2013-504025(JP,A)
【文献】特開2003-232494(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/18-31/34
F04F 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内に貯留された液体を、容器内に流入された駆動流体により加圧して容器外に排出する液体圧送装置であって、
前記容器の内部に収納されて、前記容器内に貯留された液体の液位を検知するフロートと、
前記フロートで検知された液位に基づいて駆動流体流出口を開閉する排気弁と、
前記排気弁と前記フロートとを連結する作動機構と、
前記作動機構に設けられて前記排気弁の閉弁速度を緩和する粘性ダンパと、を備え、
前記粘性ダンパは、粘性体が充填されたケースと、前記ケース内に移動自在に挿入されたピストンと、前記ピストンに連結されたシャフトとを有し、
前記シャフトが、前記ピストンが前記シャフトの軸方向に移動するように作動機構に支持されている液体圧送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体圧送装置において、前記作動機構はリンク体を有し、
前記リンク体に長孔が形成され、
前記シャフトが、前記長孔に挿通された軸支部材により前記リンク体に支持されている液体圧送装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の液体圧送装置において、前記粘性ダンパの粘性体が、前記容器内に貯留された液体である液体圧送装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の液体圧送装置において、前記作動機構は、リンク体と、前記リンク体と前記フロートのレバーとの間に介在されたばね部材とを有し、
前記粘性ダンパのシャフトが、前記ばね部材と共に、前記リンク体に共締めされている液体圧送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器内に貯留された液体を、容器内に流入された駆動流体により加圧して容器外に排出する液体圧送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
容器内に貯留された液体を、蒸気もしくは圧縮空気を駆動流体として用いて加圧し、容器外に液体を排出する液体圧送装置がある(例えば、特許文献1)。特許文献1のような圧送装置は、ポンピングトラップと呼ばれ、電気が不要の機械式のポンプである。ポンピングトラップは、電気が不要であるので、例えば、電源供給が困難な区域に適用できる利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5897988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような液体圧送装置では、液体の液位が上がって駆動流体が容器内に導入される際、例えば、ばね力により排気弁が弁座に押し付けられることで気密が保たれる。このとき、排気弁が弁座に強く衝突することで、弁座が損傷する恐れがある。弁座が損傷すると、容器内の圧力が上昇せず、正常な液体圧送が行えなくなる。
【0005】
本発明は、排気弁の弁座に対する衝突を緩和することができる液体圧送装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の液体圧送装置は、容器内に貯留された液体を、容器内に流入された駆動流体により加圧して容器外に排出する液体圧送装置であって、前記容器の内部に収納されて、前記容器内に貯留された液体の液位を検知するフロートと、前記フロートで検知された液位に基づいて駆動流体流出口を開閉する排気弁と、前記排気弁と前記フロートとを連結する作動機構と、前記作動機構に設けられて前記排気弁の閉弁速度を緩和する粘性ダンパとを備えている。前記粘性ダンパは、粘性体が充填されたケースと、前記ケース内に移動自在に挿入されたピストンと、前記ピストンに連結されたシャフトとを有している。前記シャフトが、前記ピストンが前記シャフトの軸方向に移動するように作動機構に支持されている。粘性ダンパの粘性体は、例えば、容器内に貯留された液体である。
【0007】
この構成によれば、粘性ダンパにより、排気弁の閉弁速度が遅くなるので、排気弁の弁座に対する衝突を緩和することができる。これにより、排気弁の耐久性を向上させることができるうえに、衝突時の騒音も抑制できる。
【0008】
フロートのレバーは、通常直線状の棒状で形成されるので、レバーの動作は円弧状の軌跡となる。そのため、粘性ダンパのピストンの移動も完全な上下方向のストロークとはならない。上記構成によれば、粘性ダンパのピストンに連結されたシャフトが、前記ピストンが前記シャフトの軸方向に移動するように作動機構に支持されている。したがって、フロートのレバーの動作(軌跡)の上下方向に対するずれが吸収され、ピストンが円滑にケース内を往復移動できる。
【0009】
本発明において、前記作動機構はリンク体を有し、前記リンク体に長孔が形成され、前記シャフトが、前記長孔に挿通された軸支部材により前記リンク体に支持されていてもよい。この構成によれば、簡単な構造で、粘性ダンパを実現可能で、既存の装置にも適用し易い。
【0010】
本発明において、前記作動機構は、リンク体と、前記リンク体と前記フロートのレバーとの間に介在されたばね部材とを有し、前記粘性ダンパのピストンに連結されたシャフトが、前記ばね部材と共に、前記リンク体に共締めされていてもよい。この構成によれば、粘性ダンパのシャフトが、ばね部材と共に、リンク体に共締めされているので、構造が簡単になるうえに、既存の装置に適用しやすい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の液体圧送装置によれば、粘性ダンパにより、排気弁の閉弁速度が遅くなるので、排気弁の弁座に対する衝突を緩和することができる。また、フロートのレバーの動作(軌跡)の上下方向に対するずれが吸収され、ピストンが円滑にケース内を往復移動できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】液体圧送装置の基本構造を示す概略構成図である。
図2】同液体圧送装置の図1とは異なる状態を示す概略構成図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る液体圧送装置の流入工程の状態を示す縦断面図である。
図4図3のIV-IV線に沿った断面図である。
図5図3のV部を拡大して示す断面図である。
図6】同液体圧送装置の昇圧工程の状態を示す縦断面図である。
図7図6のVII-VII線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。最初に、図1および図2を用いて、液体圧送装置の基本構造について説明する。図1および図2は液体圧送装置を示す概略構成図である。同圧送装置1は、容器2内に貯留された液体Wを、容器2内に導入された駆動流体Fにより加圧して容器2外に排出する。図1は液体Wが流入している状態を示し、図2は液体Wが排出されている状態を示す。液体Wは、例えば、水、詳細には、蒸気配管、蒸気機器などからの復水である。また、駆動流体Fは、例えば、蒸気である。
【0014】
容器2に、液体Wが流入する液体流入口4と、液体Wが流出する液体流出口6が設けられている。液体流入口4に液体流入通路8が接続され、液体流出口6に液体流出通路10が接続されている。液体流入口4と液体流入通路8との間に流入側逆止弁12が接続され、液体流出口6と液体流出通路10との間に流出側逆止弁14が接続されている。
【0015】
容器2の頂部に、容器2内に駆動流体Fを流入させる駆動流体流入口16と、容器2内の駆動流体Fを容器2外に排出する駆動流体流出口18とが設けられている。駆動流体流入口16に駆動流体流入通路17が接続され、駆動流体流出口18に駆動流体流出通路19が接続されている。圧送装置1は、駆動流体流入口16を開閉する駆動弁(吸入弁)20と、駆動流体流出口18を開閉する排気弁22とを有している。
【0016】
容器2の内部に、容器2内に貯留された液体Wの液位WLを検知するフロート24が収納されている。駆動弁20および排気弁22は、作動機構26を介してフロート24のレバー24aに連結されている。作動機構26は、互いに回動自在に連結された複数のリンク部材28と単一のばね部材30とを有している。複数のリンク部材28がリンク体を構成している。作動機構26は、フロート24で検知された液位WLに基づいて駆動弁20および排気弁22を作動させる。
【0017】
図1に示す液位WLが低いとき、液体Wに浮いたフロート24も低い位置にある。このとき、作動機構26の作動により、駆動弁20が閉状態となり、排気弁22は開状態となる。つまり、容器2内への駆動流体Fの流入が阻止され、容器2の内部空間が大気に開放される。液位WLが低い状態では、容器2の内部の圧力が低いので、液体流入通路8の液体Wが、流入側逆止弁12を開いて液体流入口4から容器2内に流入する(流入工程)。一方、容器2の内部の圧力が低いことから、流出側逆止弁14は閉止状態である。
【0018】
液体Wが容器2内に流入すると、液位WLが上昇し、これに伴い、フロート24も上昇する。液位WLが規定値を超えると、図2に示すように、作動機構26の作動により、駆動弁20が開状態となり、排気弁22は閉状態となる。つまり、容器2内へ駆動流体Fが流入し、容器内2の駆動流体Fの外部への排出が阻止される(昇圧工程)。このとき、ばね部材30のばね力により排気弁22が押し付けられることで、気密が保たれる。これにより、容器2の内部の圧力が高くなるので、容器内2の液体Wが、流出側逆止弁14を開いて液体流出口6から液体流出通路10を通って容器2外に排出される(排出工程)。一方、容器2の内部の圧力が高いので、流入側逆止弁12は閉止状態となる。
【0019】
液体Wが容器2外に排出されると、液位WLが下降する(均圧工程)。これに伴い、フロート24も下降し、図1の状態に戻る。以降、図1の状態と図2の状態が繰り返され、液体Wが圧送される。
【0020】
つぎに、図3~7を用いて、本発明の第1実施形態に係る液体圧送装置1を説明する。図3~5は液体圧送装置1の流入工程の状態を示し、図6~7は液体圧送装置1の昇圧工程の状態を示す。
【0021】
図3に示すように、容器2にボルトBによりフレームFRが着脱自在に取り付けられ、このフレームFRに作動機構26が取り付けられている。本実施形態では、フレームFRは、金属製の板材からなる。ただし、フレームFRの材質はこれに限定されない。
【0022】
作動機構26は、容器2の内側に配置され、その一端にフロート24が取り付けられ、他端に図4に示す駆動弁20および排気弁22が取り付けられている。つまり、フロート24、駆動弁20および排気弁22は、作動機構26を介して容器2に支持されている。
【0023】
作動機構26は、複数のリンク部材28を有している。詳細には、作動機構26は、図3のフロート24に回動自在に連結される第1のリンク部材31と、第1のリンク部材31に回動自在に連結される第2のリンク部材32とを有している。これら複数のリンク部材28、すなわち、第1および第2のリンク部材31,32がリンク体を構成している。第1のリンク部材31は長尺状の板材からなり、第2のリンク部材32は長尺状の棒材からなる。第2のリンク部材32は、上下方向に延びている。
【0024】
図5に示すように、第1のリンク部材31の一端部31aがフロート24のレバー24aの先端に回動自在に連結されている。詳細には、第1のリンク部材31とフロート24のレバー24aは、第1の連結ピン34により、第1の連結ピン34回りに回動自在に連結されている。
【0025】
さらに、第1のリンク部材31とフロート24のレバー24aに、ばね部材30が掛け渡されている。詳細には、ばね部材30の両端部30a,30bが、レバー24aの長手方向中間部と第1のリンク部材31の他端部31bにそれぞれ連結されている。ばね部材30の一端部30aは、第2の連結ピン36によりレバー24aの長手方向中間部に連結されている。一方、ばね部材30の他端部30bは、第3の連結ピン38により第1のリンク部材31の他端部31bに連結されている。
【0026】
第2のリンク部材32の一端部(下端部)32aが、第1のリンク部材31の長手方向中間部に連結されている。詳細には、第1のリンク部材31と第2のリンク部材32は、第4の連結ピン40により、第4の連結ピン40回りに回動自在に連結されている。
【0027】
図3に示すように、第2のリンク部材32の他端部(上端部)32bに、ピン42が固定されている。ピン42は、第2のリンク部材32と直交する方向、すなわち水平方向に延びている。
【0028】
図4に示すように、ピン42の一端部42aに駆動弁20が固定され、他端部42bに排気弁22が固定されている。駆動弁20は、駆動流体流入口16に設けられた弁座44に球状の弁体45が上方から着座することで閉弁する。さらに、駆動弁20は、下方から駆動ピン46により弁体45が持ち上げられて弁座44から離れることで開弁する。
【0029】
排気弁22は、駆動流体流出口18に設けられた弁座48に円柱状の弁体50が下方から着座することで閉弁する。さらに、排気弁22は、弁体50が下方に移動して弁座48から離れることで開弁する。ピン42には、駆動弁20の駆動ピン46と排気弁22の弁体50が固定されている。
【0030】
図4の流入工程では、液位WL(図3)が低いので、リンク部材28およびピン42が低い位置にある。つまり、ピン42に固定された駆動弁20の駆動ピン46および排気弁22の弁体50も下方に位置している。したがって、駆動弁20の弁体45は弁座44に着座して閉弁し、排気弁22の弁体50が弁座48から離れることで開弁している。
【0031】
一方、図7の昇圧工程では、液位WL(図6)が高いので、リンク部材28およびピン42が高い位置にある。つまり、ピン42に固定された駆動弁20の駆動ピン46および排気弁22の弁体50も上方に位置している。したがって、駆動弁20の弁体45は駆動ピン46により持ち上げられて弁座44から離れて開弁している。排気弁22は、弁座48に弁体50が着座して閉弁している。
【0032】
図3に示すように、液体圧送装置1は、さらに、粘性ダンパ60を有している。粘性ダンパ60は、作動機構26に設けられ、排気弁22の閉弁速度を緩和する。図5に示すように、粘性ダンパ60は、粘性体が充填されたケース62と、ケース62に移動自在に挿入されたピストン64とを有している。つまり、粘性ダンパ60は、粘性体を充填したケース62にピストン64が挿入され、ピストン64とケース62の隙間のせん断速度に比例する減衰力を発揮する。本実施形態では、粘性体として、容器2内に貯留された液体Wが用いられている。
【0033】
ケース62は、上方が開口して下方が閉塞された有底の円筒形状である。ケース62の下端部の周壁に、粘性体出入口62aが形成されている。粘性体出入口62aは、ケース62の周壁を径方向に貫通している。この粘性体出入口62aを介して、容器2内の粘性体(液体W)がケース62内に流入し、あるいはケース62から流出する。粘性体出入口62aは、液体Wの液位WL(図3)の下限値(LL)よりも下方に位置しいている。つまり、流入工程から昇圧工程に移行する際、粘性体出入口62aは、液体Wに没している。
【0034】
ケース62は、ボルトのような締結部材65により容器2に着脱自在に支持されている。締結部材65は、水平方向(図5の紙面に直交する方向)に延びるねじ体である。ケース62の下端部に形成された軸挿通孔62bに締結部材65が挿通され、フレームFRにねじ連結されている。
【0035】
ケース62の上方の開口は、蓋66により閉塞されている。蓋66は、ボルトのような締結部材(図示せず)によりケース62の上端に着脱自在に取り付けられている。蓋66に、流体出入口66aが形成されている。流体出入口66aは、蓋66を軸方向(上下方方向)に貫通している。本実施形態では、流体出入口66aは、周方向に並んで複数設けられている。この流体出入口66aを介して、ケース62内の流体(液体W、駆動流体F、空気)がケース62内に流入し、あるいはケース2から流出する。また、蓋66の中心部に、上下方向に延びるシャフト挿通孔66bが形成されている。
【0036】
ピストン64は、ケース62の内周面に沿って軸方向(上下方向)に移動する。ピストン64は、作動機構26に連結されたシャフト68により駆動される。シャフト68は、蓋66のシャフト挿通孔66bを貫通して上下方向に延びており、その上端68aが作動機構26に連結され、下端68bがピストン64に連結されている。
【0037】
詳細には、シャフト68の上端68aは、第3の連結ピン38により、ばね部材30と共に、第1のリンク部材31の他端部31bに共締めされている。シャフト68の下端68bには雄ねじが形成され、ピストン64の上面に雌ねじ64aが形成されている。シャフト68の下端の雄ねじ68bがピストン64の雌ねじ64aに螺合されることで、シャフト68の下端68bがピストン64に連結されている。
【0038】
シャフト68が、ピストン64がシャフト68の軸方向に移動するように作動機構26の第1のリンク部材31(リンク体28)に支持されている。換言すれば、シャフト68は、ピストン64がケース62内を往復移動できるように、作動機構26の第1のリンク部材31に支持されている。詳細には、第1のリンク部材31に長孔70が形成されており、この長孔70に挿通された第3の連結ピン38によりシャフト68が第1のリンク部材31に支持されている。シャフト68は、第3の連結ピン38が長孔70に沿って移動することで、第1のリンク部材31に対して相対移動可能である。つまり、第3の連結ピン38が、長孔70に挿通されてシャフト68を第1のリンク部材31に移動自在に支持する軸支部材を構成する。
【0039】
本実施形態の長孔70は、長手方向が第1のリンク部材31の長手方向に合致した長円形である。ただし、長孔70の形状はこれに限定されない。長孔70は、例えば、楕円形であってもよく、長方形であってもよく、中心線が円弧または楕円弧形状の湾曲した孔であってもよい。また、長孔70は、長手方向が第1のリンク部材31の長手方向に直交する方向に延びてもよい。
【0040】
つぎに、本実施形態の液体圧送装置1の粘性ダンパ60の動作を説明する。図3に示す流入工程では、液位WLが低く、フロート24も低い位置にある。また、フロート24に連動する粘性ダンパ60のピストン64もケース62内の低い位置にある。このとき、図4に示すように、駆動弁20は閉状態で、排気弁22は開状態である。
【0041】
図3に示す液体Wが容器2内に流入すると、液位WLが上昇し、これに伴い、フロート24も上昇する。液位WLが規定値を超えると、図7に示すように、作動機構26の作動により、駆動弁20が開状態となり、排気弁22は閉状態となる(昇圧工程)。このとき、図6に示す粘性ダンパ60のピストン64もケース62内を上方に移動する。その際、粘性体出入口62aからケース62内に液体W(粘性体)が流入するとともに、ケース62内の流体W,Fが流体出入口66a(図5)から流出する。この粘性体の粘性(摩擦力)により作動機構26の移動速度が遅くなる。その結果、図7に示す排気弁22が閉弁する際、弁体50が弁座48に衝突する力が緩和される。
【0042】
図6に二点鎖線で示すように、液体Wが容器2外に排出されると、液位WLが下降し(排出工程)、フロート24も下降する。液位WLが規定値を超えると、図4に示すように、作動機構26の作動により、駆動弁20が閉状態となり、排気弁22は開状態となる(均圧工程)。このとき、図3に示す粘性ダンパ60のピストン64もケース62内を下方に移動する。その際、ケース62内の液体W(粘性体)が粘性体出入口62aから流出するとともに、流体W,Fが流体出入口66aからケース62内に流入する。この粘性体の粘性(摩擦力)により作動機構26の移動速度が遅くなる。以降、図3、4の状態と図6,7の状態が繰り返され、液体Wが圧送される。
【0043】
上記構成によれば、粘性ダンパ60により、排気弁22の閉弁速度が遅くなるので、排気弁22の弁体50の弁座48に対する衝突を緩和することができる。これにより、排気弁22の耐久性を向上させることができるうえに、衝突時の騒音も抑制できる。また、粘性体として、容器2内に貯留された液体Wを利用しているので、構造が簡単になる。
【0044】
図5に示すように、第1のリンク部材31の挿通孔(長孔70)の動作は、円弧状の軌跡Kを描く。そのため、粘性ダンパ60のピストン64の移動も完全な上下方向のストロークとはならない。上記構成では、第1のリンク部材31(リンク体28)の挿通孔が長孔70で形成されているので、これに挿通された第3の連結ピン38(軸支部材)は、長孔70に沿って移動する。これにより、シャフト68が、ピストン64がシャフト68の軸方向に移動する、つまり、ケース62内を往復移動するように第1のリンク部材31に支持されている。これにより、簡単な構造で、粘性ダンパ60を実現可能で、既存の装置にも適用し易い。
【0045】
粘性ダンパ60のシャフト68が、ばね部材30と共に、リンク部材28に共締めされている。これにより、構造が簡単になるうえに、本実施形態の粘性ダンパ60を既存の装置に適用しやすい。
【0046】
本発明は、以上の実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。したがって、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0047】
1 液体圧送装置
2 容器
18 駆動流体流出口
22 排気弁
24 フロート
24a フロートのレバー
26 作動機構
28 リンク体
30 ばね部材
38 第3の連結ピン38(軸支部材)
60 粘性ダンパ
62 ケース
64 ピストン
68 シャフト
70 長孔
F 駆動流体
W 液体(粘性体)
WL 液位
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7