(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-14
(45)【発行日】2024-05-22
(54)【発明の名称】食品生地成形装置及び食品生地の成形方法
(51)【国際特許分類】
A21C 3/04 20060101AFI20240515BHJP
A23P 30/20 20160101ALN20240515BHJP
【FI】
A21C3/04
A23P30/20
(21)【出願番号】P 2022132676
(22)【出願日】2022-08-23
【審査請求日】2023-12-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】322007224
【氏名又は名称】株式会社光陽電業社
(74)【代理人】
【識別番号】100142136
【氏名又は名称】深澤 潔
(72)【発明者】
【氏名】鶴永 和行
(72)【発明者】
【氏名】矢口 安雄
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0195159(US,A1)
【文献】特開2002-281907(JP,A)
【文献】特表2017-532275(JP,A)
【文献】特表2019-508029(JP,A)
【文献】特開平06-217675(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111842526(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21C 3/04
A23P 30/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出口が形成された押出型が配され、食品生地が内部に格納される容器部と、
該容器部に対して移動して前記容器部に格納された前記食品生地を前記押出型の方向に押圧する押出部と、
該押出部を駆動する押出駆動部と、
前記押出口から前記食品生地の吐出方向に所定距離離間するとともに前記押出型に対して
回転可能に配されて前記押出口より外部に吐出された前記食品生地を所定長さで切断する
直線状の刃部と、
該刃部を駆動する刃部駆動部と、
前記押出部及び前記刃部の移動を制御する制御部と、
前記押出部の移動速度を検知して前記制御部へ出力する速度検出部と、
を備え、
前記制御部が、前記速度検出部が検知した
前記押出部の速度
に基づき前記食品生地の前記押出口からの押出速度を算出する押出速度算出部と、
算出された前記押出速度に基づき前記刃部の
回転速度を算出する刃部速度算出部と、
を備える食品生地成形装置。
【請求項2】
押出口が形成された押出型が配され、食品生地が内部に格納される容器部と、
前記食品生地を前記押出型の方向に押圧する押出部と、
該押出部を駆動する押出駆動部と、
前記押出口から前記食品生地の吐出方向に所定距離離間するとともに前記押出型に対して移動可能に配されて前記押出口より外部に吐出された前記食品生地を所定長さで切断する刃部と、
該刃部を前記押出口に対して移動する刃部駆動部と、
前記押出部及び前記刃部の移動を制御する制御部と、
前記押出口から前記所定距離離間した位置に前記食品生地の先端が達した状態を検知して前記制御部へ出力する第一検出部と、
前記位置からさらに前記吐出方向に離間した到達位置に前記食品生地の先端が達した状態を検知して前記制御部へ出力する第二検出部と、
を備え、
前記制御部が、前記第一検出部が前記先端を検知した時間と、前記第二検出部が前記先端を検知した時間と、の差から前記食品生地の移動時間を算出する押出時間算出部と、
前記食品生地の移動時間に基づき前記食品生地の前記押出口からの押出速度を算出する押出速度算出部と、
前記押出速度に基づき前記刃部の移動速度を算出する刃部速度算出部と、
を備える食品生地成形装置。
【請求項3】
押出口が形成された押出型が配された容器部に格納された食品生地を前記押出口方向に押圧して前記押出口から吐出させた状態で
直線状の刃部を前記押出型に対して
回転移動して前記食品生地を切断する成形工程を備える食品生地成形方法であって、
前記成形工程が、
前記容器部に対して移動する押圧部を移動して前記食品生地を前記押出型の方向に押圧する押圧準備工程と、
前記
押圧部の移動速度を検知する速度検出工程と、
前記移動速度
に基づき前記食品生地の
前記押出口からの押出速度を算出する押出速度算出工程と、
算出された前記押出速度に基づき前記刃部の
回転速度を算出する刃部速度算出工程と、
を備える食品生地成形方法。
【請求項4】
押出口が形成された押出型が配された容器部に格納された食品生地を前記押出口方向に押圧して前記押出口から吐出させた状態で刃部を前記押出型に対して移動して前記食品生地を切断する成形工程を備える食品生地成形方法であって、
前記成形工程が、
前記容器部に対して移動する押圧部を移動して前記食品生地を前記押出型の方向に押圧する押圧準備工程と、
前記刃部が所定位置を通過してから前記押出口から吐出された前記食品生地が所定長さ分吐出される
までの時間を算出する押出時間算出工程と、
前記所定長さと前記時間とに基づき前記食品生地の前記押出口からの押出速度を算出する押出速度算出工程と、
前記押出速度に基づき前記刃部の移動速度を算出する刃部速度算出工程と、
を備える食品生地成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品生地成形装置及び食品生地の成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
麺類、スナック菓子等の食品を成形する方法の一つとして、バレル内に格納された弾力性を有する食品生地をダイス穴から押し出して成形する方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このような押出を行うため、例えば、
図1に示すような食品生地成形装置100が提案されている。
【0003】
この食品生地成形装置100は、油圧シリンダ101と、回転軸102を中心にして反対方向にそれぞれ所定の距離だけ離間して配された筒状の一対のバレル103A,103Bと、を備える。油圧シリンダ101の先端には円盤状のシリンダヘッド105が配されている。
【0004】
食品生地Mの成形の際には、生地入れ位置P1にてバレル103Aに食品生地Mが格納されると回転軸102が回転してバレル103Aが油圧シリンダ101の直下の押し出し位置P2に配される。油圧シリンダ101が移動してシリンダヘッド105がバレル103A内を移動すると、食品生地Mが押圧されてバレル103Aの底面に配された押出型106から吐出される。こうして、吐出された食品生地Mを押出型106に対して移動するカッター107によって切断して所定の大きさに成形する。
【0005】
この間、バレル103Bは食品生地の生地入れ位置P1に配されるため、別の食品生地をバレル103B内に格納する。こうして、食品生地Mの供給と押出とを同時に行うことによって食品生地Mを効率よく成形することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、食品生地Mを最後まで押し出すためには油圧シリンダ101に対して高い押圧力と長いストロークが要求される。一方、食品生地Mが弾力性を有するため、シリンダ推力を一定にしても油圧シリンダ101のストロークに応じてバレル103Bからの食品生地Mの押出速度が変化してしまう。
【0008】
油圧シリンダ101の負荷特性は食品生地Mの性状や圧縮速度、押出型106から押し出される生地の量等、多くのパラメータから決定される。そのため、押出型106を通過した食品生地Mを一定長さで切断するには、食品生地Mの加工前に、予めシリンダ推力や押出速度に応じてカッター107を移動させるタイミングや移動速度を計測し、取得したデータに基づき本加工を行う必要がある。さらに、異なる性状の食品生地Mを加工する場合には、その都度データ取得を事前に行う必要が生じてしまう。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、シンプルな構成で短時間で安定かつ高精度に食品生地を所定の長さで押出成形可能な食品生地成形装置及び食品生地の成形方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
本発明に係る食品生地成形装置は、押出口が形成された押出型が配され、食品生地が内部に格納される容器部と、該容器部に対して移動して前記容器部に格納された前記食品生地を前記押出型の方向に押圧する押出部と、該押出部を駆動する押出駆動部と、前記押出口から前記食品生地の吐出方向に所定距離離間するとともに前記押出型に対して回転可能に配されて前記押出口より外部に吐出された前記食品生地を所定長さで切断する直線状の刃部と、該刃部を駆動する刃部駆動部と、前記押出部及び前記刃部の移動を制御する制御部と、前記押出部の移動速度を検知して前記制御部へ出力する速度検出部と、を備え、前記制御部が、前記速度検出部が検知した前記押出部の速度に基づき前記食品生地の前記押出口からの押出速度を算出する押出速度算出部と、算出された前記押出速度に基づき前記刃部の回転速度を算出する刃部速度算出部と、を備える。
【0011】
また、本発明に係る食品生地成形装置は、押出口が形成された押出型が配され、食品生地が内部に格納される容器部と、前記食品生地を前記押出型の方向に押圧する押出部と、該押出部を駆動する押出駆動部と、前記押出口から前記食品生地の吐出方向に所定距離離間するとともに前記押出型に対して移動可能に配されて前記押出口より外部に吐出された前記食品生地を所定長さで切断する刃部と、該刃部を前記押出口に対して移動する刃部駆動部と、前記押出部及び前記刃部の移動を制御する制御部と、前記押出口から前記所定距離離間した位置に前記食品生地の先端が達した状態を検知して前記制御部へ出力する第一検出部と、前記位置からさらに前記吐出方向に離間した到達位置に前記食品生地の先端が達した状態を検知して前記制御部へ出力する第二検出部と、を備え、前記制御部が、前記第一検出部が前記先端を検知した時間と、前記第二検出部が前記先端を検知した時間と、の差から前記食品生地の移動時間を算出する押出時間算出部と、前記食品生地の移動時間に基づき前記食品生地の前記押出口からの押出速度を算出する押出速度算出部と、前記押出速度に基づき前記刃部の移動速度を算出する刃部速度算出部と、を備える。
【0012】
また、本発明に係る食品生地成形方法は、押出口が形成された押出型が配された容器部に格納された食品生地を前記押出口方向に押圧して前記押出口から吐出させた状態で直線状の刃部を前記押出型に対して回転移動して前記食品生地を切断する成形工程を備える食品生地成形方法であって、前記成形工程が、前記容器部に対して移動する押圧部を移動して前記食品生地を前記押出型の方向に押圧する押圧準備工程と、前記押圧部の移動速度を検知する速度検出工程と、前記移動速度に基づき前記食品生地の前記押出口からの押出速度を算出する押出速度算出工程と、算出された前記押出速度に基づき前記刃部の回転速度を算出する刃部速度算出工程と、を備える。
【0013】
また、本発明に係る食品生地成形方法は、押出口が形成された押出型が配された容器部に格納された食品生地を前記押出口方向に押圧して前記押出口から吐出させた状態で刃部を前記押出型に対して移動して前記食品生地を切断する成形工程を備える食品生地成形方法であって、前記成形工程が、前記容器部に対して移動する押圧部を移動して前記食品生地を前記押出型の方向に押圧する押圧準備工程と、前記刃部が所定位置を通過してから前記押出口から吐出された前記食品生地が所定長さ分吐出されるまでの時間を算出する押出時間算出工程と、前記所定長さと前記時間とに基づき前記食品生地の前記押出口からの押出速度を算出する押出速度算出工程と、前記押出速度に基づき前記刃部の移動速度を算出する刃部速度算出工程と、を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、シンプルな構成で短時間で安定かつ高精度に食品生地を所定の長さで押出成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】従来の食品生地成形装置を示す構成図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る食品生地成形装置を示す概略構成図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る食品生地成形装置の押出型を示す平面図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る食品生地成形装置の制御部の機能構成図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係る食品生地成形方法を示すフロー図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態に係る食品生地成形装置を示す概略構成図である。
【
図7】本発明の第2の実施形態に係る食品生地成形装置の押出型を示す平面図である。
【
図8】本発明の第2の実施形態に係る食品生地成形装置の制御部の機能構成図である。
【
図9】本発明の第2の実施形態に係る食品生地成形方法を示すフロー図である。
【
図10】本発明の第3の実施形態に係る食品生地成形装置を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
本発明に係る第1の実施形態について、
図1から
図5を参照して説明する。
本実施形態に係る食品生地成形装置10は、弾力性を有する食品生地Mを押出型11から押し出して所定の形状に成形する装置であって、押圧部12、成形部13、構体部15、及び制御部16を備える。
【0017】
押圧部12は、食品生地Mを押出型11の方向に押圧するサーボシリンダ(押出部)17と、サーボシリンダ17を駆動するサーボモータ(押出駆動部)18と、サーボシリンダ17の駆動機構20と、サーボシリンダ17の移動速度を検知して制御部16へ出力する速度センサ(速度検出部)21と、を備える。
【0018】
サーボシリンダ17は中心軸線C1方向に伸びて形成されている。サーボモータ18は中心軸線C1と平行な中心軸線C2方向に伸びて形成されている。サーボシリンダ17の一端側とサーボモータ18の一端側とが駆動機構20を介して接続されている。サーボシリンダ17の先端には円柱状のシリンダヘッド22が配されている。
【0019】
成形部13は、中心軸線C3を有して円筒状に形成されて食品生地Mが内部に格納される筒状のバレル(容器部)23と、バレル23から外部に吐出された食品生地を切断する切断部25と、を備える。シリンダヘッド22の外径はバレル23の内径と略同一に形成されてバレル23の内壁と摺動可能とされている。バレル23の底面側には、円盤状の押出型11が配されている。押出型11には、大きさ及び形状が同一の複数の押出口11Aが形成されている。押出口11Aは、中心軸線C3上に配された押出型11の中心Cから一定距離だけ離間するとともに互いに等間隔に離間して配されている。この押出口11Aの大きさや形状は、成形目的に応じて予め決定される。
【0020】
切断部25は、押出口11Aより外部に吐出された食品生地Mに当接して切断する刃部26と、刃部26を押出型11に対して移動可能に支持する刃部支持機構27と、刃部26を駆動する刃部モータ(刃部駆動部)28と、刃部モータ28の動力を刃部26に伝達するギア(刃部駆動機構)30と、を備える。
【0021】
刃部26は直線状に形成されて押出型11の中心Cを通過して配される。刃部支持機構27は、押出型11の中心Cを挟んで押出型11の周方向に回転移動する一対のスタッド31A,31Bを備える。一対のスタッド31A,31Bは、所定の減速比を有するギア30と噛合されている。刃部26は、押出口11Aから所定距離LT離間して配された状態で両端がそれぞれ一対のスタッド31A,31Bと接続されている。すなわち、一対のスタッド31A,31Bがバレル23の中心軸線C3周りに回転することにより、刃部26が押出型11の中心C周りに回転して仮想平面Pを形成する。
【0022】
構体部15は、押圧部12を支持する装置全体のベース部32と、ベース部32に対してバレル23を食品生地Mを格納する生地入れ位置P1とシリンダヘッド22と対向する押し出し位置P2との間でそれぞれ移動可能に支持するバレル保持部33と、バレル保持部33を移動するためのバレル駆動部35と、を備える。
【0023】
制御部16は、例えば、図示しないCPU(Central Processing Unit)及びその周辺回路を備えて構成され、CPUで制御プログラムが実行されることにより、押圧制御部36、刃部制御部37、構体部制御部38、押出速度算出部40、及び刃部速度算出部41として機能する。押圧制御部36は、押圧用サーボモータ18の駆動を制御する。刃部制御部37は、刃部モータ28の駆動を制御する。構体部制御部38は、バレル駆動部35の駆動を制御する。
【0024】
制御部16には各種プログラムや各種測定値及び算出結果が記憶される記憶部42が配される。押出速度算出部40は、速度センサ21が検知した速度から食品生地Mの押出口11Aからの押出速度CSを算出する。刃部速度算出部41は、押出速度CSに基づき刃部26の回転速度Sを算出する。そして、押圧制御部36と刃部制御部37とが連携して、押圧用サーボモータ18及び刃部モータ28の回転速度を変化させる。
【0025】
次に、本実施形態に係る食品生地成形装置10を用いて食品生地Mを所定長さLにて切断して成形する際の作用について、食品生地成形方法とともに説明する。
食品生地Mの成形に際して、本方法では、食品生地Mの生成工程(S01)と、食品生地Mの成形工程(S02)と、を備える。
【0026】
生成工程(S01)では、不図示の食品生地生成装置を用いて食品生地Mを生成するとともに、所定量の食品生地Mを生地入れ位置P1近傍に移動する。一方、食品生地成形装置10では、構体部制御部38からの指令によりバレル駆動部35が駆動され、バレル保持部33が移動してバレル23が生地入れ位置P1に配される。そして生成された食品生地Mが不図示の手段によってバレル23内に投入される。
【0027】
次に成形工程(S02)に移行する。成形工程(S02)は、バレル移動工程(S021)と、押圧切断工程(S022)と、を備える。
【0028】
バレル移動工程(S021)では、構体部制御部38からの指令によりバレル駆動部35が駆動され、バレル保持部33が移動してバレル23が生地入れ位置P1から押し出し位置P2に移動される。
【0029】
押圧切断工程(S022)は、押圧準備工程(S0221)と、速度検出工程(S0222)と、押出速度算出工程(S0223)と、刃部速度算出工程(S0224)と、切断工程(S0225)と、を備える。
【0030】
サーボシリンダ17に対する負荷は食品生地Mの性状、圧縮量、押出型11の抵抗等によって決定される。そのため、サーボシリンダ17のストローク開始直後の負荷は極めて低く、ストロークが進むに従い生地圧縮度が増して負荷は上昇する(一次圧縮過程)。サーボシリンダ17がさらに移動すると食品生地Mがバレル23から押し出される(二次圧縮過程)。
【0031】
まず、押圧準備工程(S0221)では、押圧制御部36からの指令に基づき押圧用サーボモータ18が所定の初期出力で駆動され、駆動機構20を介してサーボシリンダ17を押圧方向に移動開始する。サーボシリンダ17が下降するとシリンダヘッド22がバレル23内にて食品生地Mに当接するとともに押出型11の方向に押圧する。また、刃部制御部37からの指令に基づき、刃部モータ28が所定の初期出力で駆動され、ギア30を介して一対のスタッド31A,31Bがバレル23周りに回転する。
【0032】
速度検出工程(S0222)では、速度センサ21によってサーボシリンダ17の移動速度VSが検知される。
【0033】
押出速度算出工程(S0223)では、移動速度VSから押出速度算出部40が食品生地Mの押出速度CSを算出する。すなわち、押出速度算出部40は、食品生地Mの性状やサーボシリンダ17が生地を押す面積(≒シリンダヘッド22の断面積)、押出口11Aの数や開口部面積を考慮して設定された係数K1を用いた式(CS=K1×VS)を用いて押出速度CSを算出する。
【0034】
刃部速度算出工程(S0224)では、算出された押出速度CSに基づき刃部速度算出部41が刃部26の移動速度である一対のスタッド31A,31Bの回転速度Sを算出する。すなわち、食品生地Mを所定長さLにて均一に切断するとした場合、刃部速度算出部41が回転速度SをS=CS/2Lの数式を用いて算出する。
【0035】
刃部制御部37は、回転速度Sから刃部モータ28の回転速度Nを算出して当該速度にて刃部モータ28を回転させる。ここで刃部モータ28の回転速度Nは、ギア30の減速比をGR、生地押出速度を補正する係数K2としたときの式(N=S×GR×60×K2)を用いて算出される。
【0036】
こうして、刃部モータ28からギア30を介して一対のスタッド31A,31Bが回転速度Sにてバレル23周りに回転する。この際、刃部26の両端がそれぞれ一対のスタッド31A,31Bに接続されているので、刃部26が中心軸線C3周りに回転することにより、押出口11Aより吐出された食品生地Mが吐出方向に対して所定長さLにて切断される。
【0037】
この食品生地成形装置10及び食品生地成形方法によれば、事前にデータ取りを行う必要なく、高い精度で食品生地Mを所定長さLにて成形することができる。
【0038】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について
図6から
図9を用いて説明する。
なお、第1の実施形態と同様の構成要素には同一符号を付すとともに説明を省略する。
第1の実施形態と異なる点は、本実施形態に係る食品生地成形装置50が、サーボシリンダ17の速度に関係なく刃部26の回転速度S1を算出するとした点である。
【0039】
食品生地成形装置50は、第1の実施形態に係る食品生地成形装置10と同様の押圧部12及び構体部15を備える。
成形部51は、バレル23及び切断部25に加えて第一センサ(第一検出部)52と第二センサ(第二検出部)53とを備える。第一センサ52及び第二センサ53は切断部25近傍に配される。
【0040】
第一センサ52は、食品生地Mの先端が刃部26が移動する仮想平面Pに達したときに一対のスタッド31A,31Bの少なくとも一方が位置TLを通過した状態を検知して制御部55へ出力する。第二センサ53は、仮想平面Pから食品生地Mの吐出方向へ成形したい長さと同じ所定長さL離間した到達位置Oに食品生地Mの先端が到達した状態を検知して制御部55へ出力する。これらのデータは、第一センサ52が一対のスタッド31A,31Bの一方を位置TLで検知した時間T1、第二センサ53が食品生地Mの先端を到達位置Oで検知した時間T2、として記憶部42に格納される。
【0041】
制御部55は、押圧制御部36と、刃部制御部37と、構体部制御部38と、押出時間算出部56と、押出速度算出部57と、刃部速度算出部58と、して機能する。
【0042】
押出時間算出部56は、時間T1と時間T2との差から食品生地Mの移動時間Tを算出する。押出速度算出部57は、所定長さL及び算出された移動時間Tに基づき食品生地Mの押出口11Aからの押出速度CS1を算出する。刃部速度算出部58は、刃部26が押出口11Aの一つを通過し、再度同じ押出口11Aを通過するまでの時間と、食品生地Mの先端部分が仮想平面Pから到達位置Oに到達するまでの時間と、が同一となるように一対のスタッド31A,31Bの回転速度S1を算出する。
【0043】
次に、本実施形態に係る食品生地成形装置50の作用について、食品生地成形方法とともに説明する。
食品生地Mの成形に際して、本方法では、第1の実施形態と同様の食品生地Mの生成工程(S01)と、本実施形態特有の食品生地Mの成形工程(S12)と、を備える。
【0044】
成形工程(S12)は、バレル移動工程(S021)と、押圧切断工程(S122)と、を備える。押圧切断工程(S122)は、押圧準備工程(S0221)と、押出時間算出工程(S1222)と、押出速度算出工程(S1223)と、刃部速度算出工程(S1224)と、切断工程(S0225)と、を備える。
【0045】
押出時間算出工程(S1222)では、一対のスタッド31A,31Bの少なくとも一方が位置TLを通過した状態が第一センサ52によって検知され、このときの時間T1が記録される。さらに、食品生地Mが押出口11Aから押し出されることによって、食品生地Mの先端が到達位置Oに到達した状態が第二センサ53によって検知され、このときの時間T2が記録される。そして、時間T1と時間T2との時間差から押出時間算出部56が食品生地Mの移動時間Tを算出する。
【0046】
押出速度算出工程(S1223)では、押出速度算出部57が所定長さL及び移動時間Tに基づき食品生地Mの押出口11Aからの押出速度CS1をCS1=L/Tより算出する。そして、刃部速度算出工程(S1224)では、一対のスタッド31A,31Bの回転速度S1を、S1=CS1/2Lの数式を用いて算出する。
【0047】
こうして、一対のスタッド31A,31Bが回転速度Sにてバレル23周りに回転し、押出口11Aより吐出された食品生地Mが吐出方向に対して所定長さLと同じ長さにて刃部26によって切断される。
【0048】
この食品生地成形装置50及び食品生地成形方法によれば、一対のスタッド31A,31Bの回転そのものを検知することによって、高い精度で検知することができる。したがって、食品生地Mの移動時間Tをより精度よく算出することができ、より高い精度で食品生地Mを成形することができる。
【0049】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について
図10を用いて説明する。
なお、第1の実施形態と同様の構成要素には同一符号を付すとともに説明を省略する。
第2の実施形態と異なる点は、本実施形態に係る食品生地成形装置60では、第一センサ52が、食品生地Mの先端が刃部26が移動する仮想平面Pに達した状態を検知するとした点である。
【0050】
そして、食品生地Mの先端が仮想平面Pに達した状態を第一センサ52が検知した時間T’1と時間T2との時間差から、制御部61の押出時間算出部62が食品生地Mの移動時間T’を算出する。
【0051】
次に、本実施形態に係る食品生地成形装置60の作用について、食品生地成形方法とともに説明する。
食品生地Mの成形に際して、本方法では、第1及び第2の実施形態と同様の食品生地Mの生成工程(S01)とともに、食品生地Mの成形工程(S22)を実施する。
【0052】
成形工程(S22)は、バレル移動工程(S021)と、押圧切断工程(S222)と、を備え、押圧切断工程(S222)は、押圧準備工程(S0221)と、押出時間算出工程(S2222)と、押出速度算出工程(S1223)と、刃部速度算出工程(S1224)と、切断工程(S0225)と、を備える。
【0053】
押圧時間算出工程(S2222)では、押出時間算出部62が食品生地Mの移動時間T’を算出する。そして、第2の実施形態と同様に押出速度算出工程(S1223)及び刃部速度算出工程(S1224)を実施して一対のスタッド31A,31Bの回転速度S1’を算出する。
【0054】
この食品生地成形装置60及び食品生地成形方法によれば、食品生地Mが押出口11Aから到達位置Oまで移動するまでの実際の速度に基づき、一対のスタッド31A,31Bの回転速度S1’が算出される。そのため、事前にデータ取りを行う必要なく、高い精度で食品生地Mを成形することができる。
【0055】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、第一センサ52及び第二センサ53は位置センサに限らず、食品生地Mの通過時間を検知できるものであれば他のタイプのセンサでも構わない。
【0056】
また、食品生地Mを所定長さLにて成形するとしているが、成形したい長さはLに限らない。例えば、刃部速度算出工程にて一度算出された回転速度S,S1,S1’を半減することによって、所定長さLの2倍の長さで食品生地Mを成形することができる。
【符号の説明】
【0057】
10、50,60 食品生地成形装置
11 押出型
11A 押出口
16、55,61 制御部
17 サーボシリンダ(押出部)
18 サーボモータ(押出駆動部)
21 速度センサ(速度検出部)
23 バレル(容器部)
26 刃部
28 刃部モータ(刃部駆動部)
40,56 押出速度算出部
41,57 刃部速度算出部
52 第一センサ(第一検出部)
53 第二センサ(第二検出部)
56,62 押出時間算出部
L 所定長さ
M 食品生地
P 仮想平面(位置)
TL 位置
O 到達位置