(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-14
(45)【発行日】2024-05-22
(54)【発明の名称】靴下
(51)【国際特許分類】
A41B 11/00 20060101AFI20240515BHJP
【FI】
A41B11/00 D
(21)【出願番号】P 2022154749
(22)【出願日】2022-09-28
【審査請求日】2022-10-07
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)「ABAND SOCKS」の紹介ページを、クラウドファンディングプラットフォーム「Makuake」のサイトに公開(https://www.makuake.com/project/aband-socks/)(ウェブサイトの掲載日:令和4年5月29日)
(73)【特許権者】
【識別番号】522383182
【氏名又は名称】株式会社ABAND
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100213687
【氏名又は名称】平松 大輝
(72)【発明者】
【氏名】水ノ江 健志
【審査官】原田 愛子
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-116481(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0173428(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2022/0202105(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に筒状に延び、足を覆うための第一筒部を備えた靴下において、
前記第一筒部は、足裏を覆うための足裏領域を含み、
前記足裏領域は、土踏まずを覆うための土踏まず領域と、前記前後方向に直交する方向であって、前記足裏領域と平行な左右方向において、前記土踏まず領域に対して小指側に並ぶ特定領域とを含み、
前記特定領域の生地の厚みは、前記土踏まず領域の生地の厚みよりも厚
く、
前記靴下は、さらに、
前記前後方向において前記第一筒部の踵側の端から、前記前後方向および前記左右方向に直交する上下方向において膝側に延び、下腿を覆うための第二筒部を備え、
前記第一筒部は、前記左右方向において前記足裏領域の小指側の端から前記足裏領域の親指側の端まで延び、且つ前記上下方向において前記足裏領域と対向する領域であって、足の甲を覆うための甲領域を含み、
前記第二筒部は、前記左右方向において、前記第二筒部の中心よりも小指側の外側領域と親指側の内側領域とを含み、
前記外側領域および前記内側領域のうち前記外側領域にのみ、前記上下方向に延びる縦サポート部が設けられ、
前記縦サポート部の生地の前記上下方向への伸縮性は、前記内側領域の生地の前記上下方向への伸縮性よりも小さく、
前記第一筒部は、前記前後方向において前記第一筒部の踵側の端を含む領域であって、足首を覆うためのリング状の足首領域を含み、
前記足首領域には、前記第一筒部の周方向に沿って延びる足首サポート部が設けられ、
前記足首サポート部の生地の前記周方向への伸縮性は、前記第一筒部のうち前記前後方向において前記足首サポート部に対してつま先側に並ぶベース領域の生地の前記周方向への伸縮性よりも小さく、
前記縦サポート部は、前記足首サポート部と交差し、前記足裏領域まで延びる
ことを特徴とする靴下。
【請求項2】
前記第一筒部には、前記土踏まず領域と前記甲領域とにまたがって前記周方向に沿って延びる横アーチサポート部が設けられ、
前記横アーチサポート部の生地の前記周方向への伸縮性は、前記ベース領域の生地の前記周方向への伸縮性よりも小さい
ことを特徴とする請求項
1に記載の靴下。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴下に関する。
【背景技術】
【0002】
人間の足裏には、親指の付け根、小指の付け根、踵の3点を結ぶアーチ状のくぼみが形成されている。親指の付け根と小指の付け根を結ぶアーチは、横アーチと呼ばれる。また、小指の付け根と踵を結ぶアーチは、外側縦アーチと呼ばれる。また、親指の付け根と踵を結ぶアーチは、内側縦アーチと呼ばれる。内側縦アーチは、いわゆる土踏まずを構成する。
【0003】
例えば内側縦アーチの湾曲具合が小さいと、土踏まずがないまたは小さいいわゆる偏平足となる。この場合、身体のバランスが悪くなり、身体への負担が大きくなる可能性がある。よって、身体への負担を小さくするためには、内側縦アーチの大きさを適切な大きさに維持し、土踏まずの形成をサポートすることが重要となる。
【0004】
そこで、従来から、土踏まずの形成をサポートするための靴下が知られている。例えば特許文献1に記載の靴下は土踏まず部を備える。土踏まず部は、土踏まずを足裏から押し上げることで、内側縦アーチの湾曲具合を大きくし、土踏まずの形成をサポートする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記靴下は、土踏まずに直接力を加えることで土踏まずの形成をサポートするように構成されている。しかしながら、上記靴下では、土踏まずの形成をサポートするために土踏まずに直接力を加えないようなアプローチが考えられていなかった。よって、上記靴下では、土踏まずの形成を十分にサポートできない可能性があった。
【0007】
本発明の目的は、土踏まずの形成をサポートできる靴下を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る靴下は、前後方向に筒状に延び、足を覆うための第一筒部を備えた靴下において、前記第一筒部は、足裏を覆うための足裏領域を含み、前記足裏領域は、土踏まずを覆うための土踏まず領域と、前記前後方向に直交する方向であって、前記足裏領域と平行な左右方向において、前記土踏まず領域に対して小指側に並ぶ特定領域とを含み、前記特定領域の生地の厚みは、前記土踏まず領域の生地の厚みよりも厚く、前記靴下は、さらに、前記前後方向において前記第一筒部の踵側の端から、前記前後方向および前記左右方向に直交する上下方向において膝側に延び、下腿を覆うための第二筒部を備え、前記第一筒部は、前記左右方向において前記足裏領域の小指側の端から前記足裏領域の親指側の端まで延び、且つ前記上下方向において前記足裏領域と対向する領域であって、足の甲を覆うための甲領域を含み、前記第二筒部は、前記左右方向において、前記第二筒部の中心よりも小指側の外側領域と親指側の内側領域とを含み、前記外側領域および前記内側領域のうち前記外側領域にのみ、前記上下方向に延びる縦サポート部が設けられ、前記縦サポート部の生地の前記上下方向への伸縮性は、前記内側領域の生地の前記上下方向への伸縮性よりも小さく、前記第一筒部は、前記前後方向において前記第一筒部の踵側の端を含む領域であって、足首を覆うためのリング状の足首領域を含み、前記足首領域には、前記第一筒部の周方向に沿って延びる足首サポート部が設けられ、前記足首サポート部の生地の前記周方向への伸縮性は、前記第一筒部のうち前記前後方向において前記足首サポート部に対してつま先側に並ぶベース領域の生地の前記周方向への伸縮性よりも小さく、前記縦サポート部は、前記足首サポート部と交差し、前記足裏領域まで延びることを特徴とする。
【0009】
上記態様によれば、特定領域が、足裏のうち土踏まずに対して小指側に並ぶ部位を押し上げる力を加える。このため、土踏まずに対して小指側に並ぶ部位は、押し下げるように地面に対して力を加える。これにより、土踏まずには、内側縦アーチの湾曲具合が大きくなるような力が作用する。よって、靴下は、土踏まずの形成をサポートできる。
【0010】
上記態様はさらに以下の効果を奏する。
【0011】
縦サポート部の生地の上下方向の伸縮性が内側領域の生地の上下方向の伸縮性よりも小さい場合、縦サポート部は、外側縦アーチの湾曲具合が大きくなるように足の小指側を引っ張る。また、縦サポート部は、内側領域には設けられていないので、縦サポート部が足の小指側を引っ張る力が分散しにくい。このため、土踏まずに対して小指側に並ぶ部位は、さらに押し下げるように地面に対して力を加える。これにより、土踏まずには、内側縦アーチの湾曲具合が大きくなるような力がさらに作用する。よって、靴下は、土踏まずの形成をさらにサポートできる。
【0012】
上記態様はさらに以下の効果を奏する。
【0013】
上記態様によれば、縦サポート部が、足首サポート部と交差し、足裏領域まで延びる。よって、縦サポート部が足の小指側を引っ張る力が、足にさらに伝わりやすい。このため、土踏まずに対して小指側に並ぶ部位は、さらに押し下げるように地面に対して力を加える。これにより、土踏まずには、内側縦アーチの湾曲具合がさらに大きくなるような力がさらに作用する。よって、靴下は、土踏まずの形成をさらにサポートできる。
【0014】
本発明に係る靴下において、前記第一筒部には、前記土踏まず領域と前記甲領域とにまたがって前記周方向に沿って延びる横アーチサポート部が設けられ、前記横アーチサポート部の生地の前記周方向への伸縮性は、前記ベース領域の生地の前記周方向への伸縮性よりも小さくてもよい。
【0015】
この場合、横アーチサポート部は、左右方向において足の中心に向かって足を締め付ける。よって、横アーチサポート部は、横アーチの湾曲具合を大きくできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】靴下1を左側(左足の小指側)から見た図である。
【
図2】靴下1を右側(左足の親指側)から見た図である。
【
図3】靴下1を前側(左足のつま先側)から見た図である。
【
図4】靴下1を下側(左足の足裏側)から見た図である。
【
図5】
図4に示すV-V線矢視方向の断面図である。
【
図6】
図4に示すVI-VI線矢視方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。参照する図面は、本発明が採用し得る技術的特徴を説明するために用いられるものである。図面に記載された装置の構成は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。以下では、
図1の左側、右側、上側、下側、手前側、および奥側を、それぞれ、靴下1の前側、後側、上側、下側、左側、および右側とする。
【0018】
<靴下1の構造>
図1~
図4を参照して、左足用の靴下1について、靴下1が左足に装着された状態を基準として説明する。なお、右足用の靴下(図示略)については、左足用の靴下1と左右対称の構成を有しているので、説明を省略する。靴下1の右側は、左足の親指側(左足の内側)であり、靴下1の左側は、左足の小指側(左足の外側)である。
【0019】
図1~
図3に示すように、靴下1は、布等の生地によって形成され、第一筒部2と第二筒部3とを備える。第一筒部2は、筒状を有し、前後方向に延びる。第一筒部2は左足を覆う。第二筒部3は、筒状を有し、第一筒部2の後端(前後方向において左足の踵側の端)から上側(上下方向において左足の膝側)に延びる。第二筒部3は左の下腿を覆う。第二筒部3の上端は、開口し、左足の挿入口を構成する。
【0020】
左右方向において、第二筒部3の中心を通り、前後方向および上下方向に延びる仮想平面を「中心面C」と定義する。第二筒部3のうち中心面Cよりも左側(左右方向において左足の小指側の端)の領域を「外側領域31」、第二筒部3のうち中心面Cよりも右側(左右方向において左足の親指側の端)の領域を「内側領域32」という。また、第一筒部2の外周面に沿った方向を「第一周方向Y1」という。第二筒部3の外周面に沿った方向を「第二周方向Y2」という。
【0021】
図1~
図4を参照して、第一筒部2の各領域について説明する。第一筒部2は、足裏領域21、甲領域22、つま先領域23、および足首領域24を含む。
図4に示すように、足裏領域21は、左足の足裏の形状に沿って前後左右方向に延び、左足の足裏を覆う。足裏領域21は、踵領域93と土踏まず領域91と特定領域92とを含む。
【0022】
踵領域93は足裏領域21の後端に位置し、左足の踵を覆う。土踏まず領域91は、踵領域93の前側且つ後述のつま先領域23の後側に位置し、左足の土踏まずを覆う。土踏まず領域91は、中心面Cと足裏領域21の右端との間で左右方向に延びる。特定領域92は、踵領域93の前側且つ後述のつま先領域23の後側に位置し、左足のうち土踏まずの左隣の部位を覆う。
【0023】
特定領域92は、土踏まず領域91に対して左側(左右方向において左足の小指側)に並び、中心面Cと足裏領域21の左端との間で左右方向に延びる。前後方向において、特定領域92の長さは、第一筒部2の長さの1/20以上1/2以下であることが好ましく、本実施形態では、第一筒部2の長さの1/4程度である。
【0024】
図1~
図3に示すように、甲領域22は、足裏領域21の左端(左右方向において左足の小指側の端)から足裏領域21の右端(左右方向において左足の親指側の端)まで延び、且つ上下方向において足裏領域21と対向する。甲領域22は、左足の甲を覆う。
【0025】
つま先領域23は、足裏領域21および甲領域22のそれぞれの前端から前方に延び、袋状を有する。つま先領域23は、左足のつま先を覆い、本実施形態では、左足の5本指全体を覆う。つま先領域23の前端は、左側から右側に向かうにつれて前側から後側に向かって傾斜するように延びる。中心面Cは、つま先領域23のうち左右方向の中心、つまり、左足の中指を覆う部位を通る。足首領域24は、リング状を有し、第一筒部2の後端(前後方向において左足の踵側の端)を含む。足首領域24は、踵領域93の上側に位置し、左足の足首を覆う。
【0026】
図1~
図4を参照して、各サポート部について説明する。サポート部は、その周囲の生地よりも伸縮性が小さい生地によって形成される部位である。
図1~
図3に示すように、靴下1は、足首サポート部4、横アーチサポート部5、および縦サポート部7を備える。
【0027】
足首サポート部4は、第一筒部2に設けられ、帯状体41、42を含む。帯状体41は、足首領域24において第一周方向Y1に沿って踵領域93の上側と甲領域22の上端とを通って1周するように延びる。帯状体42は、帯状体41のうち左足における右側(内側)の踝を覆う位置から下方に延び、
図4に示す足裏領域21において中心面Cまで延びる。
【0028】
横アーチサポート部5は、第一筒部2において、足首サポート部4から前方に離れた位置に設けられる。横アーチサポート部5は帯状を有し、土踏まず領域91と甲領域22とにまたがって第一周方向Y1に沿って延びる。詳細には、横アーチサポート部5は、甲領域22の左端から第一周方向Y1に沿って甲領域22上を延び、甲領域22の右端を介して
図4に示す足裏領域21において中心面Cまで延びる。
【0029】
以下では、前後方向において、第一筒部2のうち足首サポート部4と横アーチサポート部5との間の領域を「ベース領域81」という。ベース領域81は、足首サポート部4の前側(前後方向において左足のつま先側)に並ぶ。また、第一筒部2のうち横アーチサポート部5の前側の領域を「ベース領域82」という。ベース領域82は、横アーチサポート部5の前側(前後方向において左足のつま先側)に並ぶ。ベース領域81、82は、それぞれ、甲領域22の左端から第一周方向Y1に沿って甲領域22上を延び、甲領域22の右端を介して
図4に示す足裏領域21において中心面Cまで延びる。
【0030】
縦サポート部7は、外側領域31および内側領域32のうち、外側領域31にのみ設けられる。すなわち、縦サポート部7は、内側領域32には設けられていない。縦サポート部7は、帯状を有し、上下方向に延びる。詳細には、縦サポート部7は、外側領域31の上端から下方に延び、足首サポート部4と交差し、
図4に示す足裏領域21において、中心面Cの位置まで延びる。
【0031】
縦サポート部7は、第二周方向Y2において、外側領域31の中心に位置する。第二周方向Y2において、縦サポート部7の長さは、外側領域31の長さの2/3以下であることが好ましく、本実施形態では外側領域31の長さの1/3程度である。
【0032】
縦サポート部7の上部にはマーク100が設けられる。マーク100は、左右方向における靴下1の装着方向を示す。例えば、ユーザはマーク100が左側に配置されるように靴下1を左足に装着する。なお、靴下1には、左足用を示すマーク(図示略)が別途設けられる。同様に、右足用の靴下には、右足用を示すマークが設けられる。
【0033】
以下では、外側領域31のうち縦サポート部7が設けられていない部位を「ベース領域70」という。すなわち、ベース領域70は、第二周方向Y2において、外側領域31のうち縦サポート部7の両側に設けられる。
【0034】
なお、ベース領域70、81、82、および内側領域32は、他の領域(パイル部61、62、63、縦サポート部7、足首サポート部4、横アーチサポート部5)よりも通気性が高い、いわゆるメッシュ生地によって形成される。
【0035】
図1~
図4を参照して、各パイル部について説明する。パイル部はパイル生地によって形成される部位であり、生地の補強等を目的とする。靴下1はパイル部61、62、63を備える。パイル部61は、つま先領域23全体に設けられる。パイル部62は、踵領域93全体に設けられる。パイル部63は、甲領域22の左端において、足首サポート部4、横アーチサポート部5、縦サポート部7によって囲まれる領域に設けられる。
【0036】
図5に示すように、特定領域92の生地の厚みT1は、ベース領域82の生地の厚みT2よりも厚い。厚みT1と厚みT2との間の差は、0.1mm以上10mm以下であることが好ましく、本実施形態では、1mm程度である。
【0037】
図6に示すように、特定領域92の生地の厚みT1は、横アーチサポート部5の生地の厚みT3よりも厚い。厚みT1と厚みT3との間の差は、0.1mm以上10mm以下であることが好ましく、本実施形態では、0.9mm程度である。
【0038】
また、横アーチサポート部5の生地の厚みT3は、ベース領域82の生地の厚みT2よりも厚い。つまり、本実施形態では、横アーチサポート部5の生地の厚みT3は、土踏まず領域91の生地の厚みの中で最も厚い。
【0039】
なお、本実施形態において、生地の厚みとは、例えば生地に毛羽立ちがある場合には、毛羽立ちを除去した状態で測定された厚みをいう。また、生地の厚みは、靴下1が左足に装着されていない状態で測定される。
【0040】
各部位の伸縮性の関係について説明する。縦サポート部7の生地の上下方向(第二周方向Y2に直交する方向)への伸縮性は、内側領域32の生地の上下方向(第二周方向Y2に直交する方向)への伸縮性よりも小さい。さらに、縦サポート部7の生地の第二周方向Y2への伸縮性は、内側領域32の生地の第二周方向Y2への伸縮性よりも小さい。
【0041】
また、縦サポート部7の生地の上下方向(第二周方向Y2に直交する方向)への伸縮性は、ベース領域70の生地の上下方向(第二周方向Y2に直交する方向)への伸縮性よりも小さい。さらに、縦サポート部7の生地の第二周方向Y2への伸縮性は、ベース領域70の生地の第二周方向Y2への伸縮性よりも小さい。
【0042】
また、縦サポート部7の生地の上下方向(第二周方向Y2に直交する方向)への伸縮性は、足首サポート部4の生地の第一周方向Y1への伸縮性よりも小さい。さらに、縦サポート部7の生地の上下方向(第二周方向Y2に直交する方向)への伸縮性は、足首サポート部4の生地の前後方向(第一周方向Y1に直交する方向)への伸縮性よりも小さい。
【0043】
また、縦サポート部7の生地の上下方向(第二周方向Y2に直交する方向)への伸縮性は、横アーチサポート部5の生地の第一周方向Y1への伸縮性よりも小さい。さらに、縦サポート部7の生地の上下方向(第二周方向Y2に直交する方向)への伸縮性は、横アーチサポート部5の生地の前後方向(第一周方向Y1に直交する方向)への伸縮性よりも小さい。
【0044】
また、縦サポート部7の生地の第二周方向Y2への伸縮性は、特定領域92の生地の第一周方向Y1への伸縮性よりも小さい。さらに、縦サポート部7の生地の周方向に直交する方向(上下方向)への伸縮性は、特定領域92の生地の前後方向(第一周方向Y1に直交する方向)への伸縮性よりも小さい。
【0045】
また、足首サポート部4の生地の第一周方向Y1への伸縮性は、ベース領域81の生地の第一周方向Y1への伸縮性よりも小さい。さらに、足首サポート部4の生地の前後方向(第一周方向Y1に直交する方向)への伸縮性は、ベース領域81の生地の前後方向(第一周方向Y1に直交する方向)への伸縮性よりも小さい。
【0046】
また、横アーチサポート部5の生地の第一周方向Y1への伸縮性は、ベース領域81、82の生地の第一周方向Y1への伸縮性よりも小さい。さらに、横アーチサポート部5の生地の前後方向(第一周方向Y1に直交する方向)への伸縮性は、ベース領域81、82の生地の前後方向(第一周方向Y1に直交する方向)への伸縮性よりも小さい。
【0047】
また、足首サポート部4の生地の第一周方向Y1への伸縮性と、横アーチサポート部5の生地の第一周方向Y1への伸縮性とは、互いに同じである。足首サポート部4の生地の前後方向(第一周方向Y1に直交する方向)への伸縮性と、横アーチサポート部5の生地の前後方向(第一周方向Y1に直交する方向)への伸縮性とは、互いに同じである。
【0048】
また、特定領域92の生地の第一周方向Y1への伸縮性は、横アーチサポート部5の生地の第一周方向Y1への伸縮性よりも小さい。さらに、特定領域92の生地の前後方向(第一周方向Y1に直交する方向)への伸縮性は、横アーチサポート部5の生地の前後方向(第一周方向Y1に直交する方向)への伸縮性よりも小さい。
【0049】
<本実施形態の作用効果>
以上説明したように、特定領域92が、左右方向において、土踏まず領域91に対して左足の小指側に並ぶ。特定領域92の生地の厚みT1は、土踏まず領域91の生地の厚みT2、T3よりも厚い。これによれば、ユーザが靴下1を左足に装着した状態で地面を踏むと、特定領域92が、左足の足裏のうち土踏まずに対して小指側に並ぶ部位を押し上げる力を、左足の足裏に加える。このため、左足の土踏まずに対して小指側に並ぶ部位は、押し下げるように地面に対して力を加える。これにより、土踏まずには、左足の内側縦アーチの湾曲具合が大きくなるような力が作用する。この左足の反応は、マグネット反応に基づく。マグネット反応とは、例えば足の一方側が圧迫された場合に、足が元の足の位置のバランスに戻すために、圧迫された方向に向かって動く動物の反応をいう。特定領域92が、左足の足裏のうち土踏まずに対して小指側に並ぶ部位を圧迫すると、マグネット反応により、左足が元のバランスに戻すために、圧迫された方向に向かって動く。すなわち、左足の土踏まずに対して小指側に並ぶ部位が、押し下げるように地面に対して力を加える。これにより、土踏まずには、左足の内側縦アーチの湾曲具合が大きくなるような力、すなわち前脛骨筋などの左足内反筋を促進させるような力が作用する。よって、靴下1は、左足の土踏まずの形成をサポートできる。
【0050】
外側領域31および内側領域32のうち、内側領域32のみ縦サポート部7が設けられる。これによれば、縦サポート部7は、左足の外側縦アーチの湾曲具合が大きくなるように左足の小指側を引っ張る。また、縦サポート部7は、内側領域32には設けられていないので、縦サポート部7が左足の小指側を引っ張る力が分散しにくい。このため、土踏まずに対して小指側に並ぶ部位は、さらに押し下げるように地面に対して力を加える。これにより、土踏まずには、内側縦アーチの湾曲具合が大きくなるような力がさらに作用する。よって、靴下1は、土踏まずの形成をさらにサポートできる。
【0051】
縦サポート部7が、足首サポート部4と交差し、足裏領域21まで延びる。これによれば、縦サポート部7が左足の小指側を引っ張る力が、左足にさらに伝わりやすい。このため、土踏まずに対して小指側に並ぶ部位は、さらに押し下げるように地面に対して力を加える。これにより、土踏まずには、内側縦アーチの湾曲具合がさらに大きくなるような力がさらに作用する。よって、靴下1は、土踏まずの形成をさらにサポートできる。
【0052】
第一筒部2には横アーチサポート部5が設けられる。これによれば、横アーチサポート部5が、左右方向において左足の中心に向かって左足を締め付ける。よって、横アーチサポート部5は、横アーチの湾曲具合を大きくできる。
【0053】
<変形例>
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは勿論である。例えば、上記実施形態において、つま先領域23の形状は適宜変更されてもよい。具体的には、つま先領域23は、左足の5本指をそれぞれ覆うように5つの袋状を有していてもよい。
【0054】
また、つま先領域23は、左足の親指を覆う袋と左足の親指以外(小指、薬指、中指、人差し指)を覆う袋の2つの袋状を有していてもよい。さらに、つま先領域23は、省略されてもよい。つま先領域23が省略される場合、足裏領域21および甲領域22のそれぞれの前端は、リング状を有し、前方に開口する。この開口を介して左足のつま先が露出する。
【0055】
また、パイル部61、62、63の一部または全部は省略されてもよいし、他の部位にパイル部が設けられてもよい。靴下1において、サポート部とサポート部以外の部位とで、互いに異なる種類の生地が採用されてもよい。例えば、サポート部は、ビニール等によって形成されてもよい。
【0056】
第二筒部3の上下方向の長さは、上記実施形態に限定されない。例えば靴下1は、第二筒部3が膝よりも上方まで延びるいわゆるオーバーニーソックス、ストッキング等でもよい。また、靴下1はいわゆるパンティーストッキング、レギンス等でもよい。第二筒部3は省略されてもよい。つまり、靴下1はいわゆるフットカバー等であってもよい。
【0057】
また、ベース領域70、81、82の生地は、メッシュ生地に限定されない。特定領域92の生地の厚みT1は、ベース領域82の生地の厚みT2と同じまたは厚みT2よりも薄くてもよい。特定領域92の生地の厚みT1は、横アーチサポート部5の生地の厚みT3と同じまたは厚みT2よりも薄くてもよい。
【0058】
厚みT1と厚みT2との間の差は、1mmに限定されず、0.1mmよりも小さくてもよいし、10mmよりも大きくてもよい。厚みT1と厚みT3との間の差は、0.9mmに限定されず、0.1mmよりも小さくてもよいし、10mmよりも大きくてもよい。前後方向において、特定領域92の長さは、第一筒部2の長さの1/4に限定されず、第一筒部2の長さの1/20よりも小さくてもよいし、1/2よりも大きくてもよい。特定領域92全体の生地が厚くなくてもよい。つまり、特定領域92の一部の生地が厚くなっていてもよい。
【0059】
また、足首サポート部4、横アーチサポート部5、および縦サポート部7の一部(例えば足首サポート部4および横アーチサポート部5)または全部は、省略されてもよい。また、足首サポート部4、横アーチサポート部5、および縦サポート部7の形状は、上記実施形態に限定されない。例えば、縦サポート部7は、足裏領域21まで延びていなくてもよいし、足裏領域21において中心面Cよりも右側まで延びていてもよい。また、第二周方向Y2において、縦サポート部7の長さは、外側領域31の長さの1/3に限定されず、外側領域31の長さの2/3よりも大きくてもよい。
【0060】
また、各部位の伸縮性の関係について、いずれも、上記実施形態に限定されない。以下、各部位の伸縮性の関係の変形例を例示的に説明する。縦サポート部7の生地の第二周方向Y2への伸縮性は、内側領域32の生地の第二周方向Y2への伸縮性以上であってもよい。縦サポート部7の生地の第二周方向Y2への伸縮性は、ベース領域70の生地の第二周方向Y2への伸縮性以上であってもよい。
【0061】
縦サポート部7の生地の上下方向(第二周方向Y2に直交する方向)への伸縮性は、足首サポート部4の生地の前後方向(第一周方向Y1に直交する方向)への伸縮性以上であってもよい。縦サポート部7の生地の上下方向(第二周方向Y2に直交する方向)への伸縮性は、横アーチサポート部5の生地の前後方向(第一周方向Y1に直交する方向)への伸縮性以上であってもよい。
【0062】
縦サポート部7の生地の周方向に直交する方向(上下方向)への伸縮性は、特定領域92の生地の前後方向(第一周方向Y1に直交する方向)への伸縮性以上であってもよい。足首サポート部4の生地の前後方向(第一周方向Y1に直交する方向)への伸縮性は、ベース領域81の生地の前後方向(第一周方向Y1に直交する方向)への伸縮性以上であってもよい。
【0063】
横アーチサポート部5の生地の前後方向(第一周方向Y1に直交する方向)への伸縮性は、ベース領域81、82の生地の前後方向(第一周方向Y1に直交する方向)への伸縮性以上であってもよい。
【0064】
また、足首サポート部4の生地の第一周方向Y1への伸縮性は、横アーチサポート部5の生地の第一周方向Y1への伸縮性よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。足首サポート部4の生地の前後方向(第一周方向Y1に直交する方向)への伸縮性は、横アーチサポート部5の生地の前後方向(第一周方向Y1に直交する方向)への伸縮性よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。
【0065】
また、特定領域92の生地の第一周方向Y1への伸縮性は、横アーチサポート部5の生地の第一周方向Y1への伸縮性以上であってもよい。特定領域92の生地の前後方向(第一周方向Y1に直交する方向)への伸縮性は、横アーチサポート部5の生地の前後方向(第一周方向Y1に直交する方向)への伸縮性以上であってもよい。
【0066】
なお、上記実施形態では、説明のために便宜的に、第一筒部2が延びる方向を前後方向とし、第二筒部3が延びる方向を上下方向とし、左足の指が並ぶ方向を左右方向とした。このため、例えば靴下1の上下方向は、鉛直方向に限定されるものでない。
【符号の説明】
【0067】
1 靴下
2 第一筒部
3 第二筒部
4 足首サポート部
5 横アーチサポート部
7 縦サポート部
21 足裏領域
22 甲領域
24 足首領域
31 外側領域
32 内側領域
81 ベース領域
91 土踏まず領域
92 特定領域