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特許7488606ブレーキ粒子を捕捉するためのシステムにおけるフィルタ識別
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  • 特許-ブレーキ粒子を捕捉するためのシステムにおけるフィルタ識別 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-14
(45)【発行日】2024-05-22
(54)【発明の名称】ブレーキ粒子を捕捉するためのシステムにおけるフィルタ識別
(51)【国際特許分類】
   B60T 17/22 20060101AFI20240515BHJP
   B01D 46/00 20220101ALI20240515BHJP
   F16D 65/00 20060101ALI20240515BHJP
【FI】
B60T17/22 Z
B01D46/00 Z
F16D65/00 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022551711
(86)(22)【出願日】2021-02-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-17
(86)【国際出願番号】 EP2021054607
(87)【国際公開番号】W WO2021170679
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-10-24
(31)【優先権主張番号】2002024
(32)【優先日】2020-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514287580
【氏名又は名称】タラノ・テクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ロイク・アダムザック
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・ロッカ-セラ
【審査官】宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-529840(JP,A)
【文献】国際公開第2019/224034(WO,A1)
【文献】特開2001-286717(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0262633(US,A1)
【文献】国際公開第2016/188809(WO,A1)
【文献】仏国特許出願公開第03081781(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 17/22
B01D 46/00
F16D 65/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
摩擦ブレーキシステム(10)からのブレーキ粒子を捕捉するためのシステム(1)であって、真空源(20)と、前記摩擦ブレーキシステム(10)を前記真空源(20)に接続する空気圧回路(30)と、前記空気圧回路(30)上に配置されて支持体(41)上に取り付けられている現在のフィルタ(40)とを備え、前記ブレーキ粒子を捕捉するためのシステム(1)が制御ユニット(60)および前記フィルタ(40)を識別するための識別デバイス(50)を備え、前記識別デバイス(50)が前記制御ユニット(60)に少なくとも1つの信号を送ることができ、前記信号が前記現在のフィルタ(40)の少なくとも1つの現在の特性(40-A)を含み、前記制御ユニット(60)が、前記少なくとも1つの現在の特性(40-A)を、基準フィルタ(49)の少なくとも1つの基準特性(49-R)と比較して、前記少なくとも1つの現在の特性(40-A)と前記少なくとも1つの基準特性(49-R)が異なるときにユーザに通知することができることを特徴とする、捕捉システム(1)。
【請求項2】
前記現在のフィルタ(40)が複数のN個の特性(40-A)(n)を有し、複数のN個の基準特性(49-R)(n)が存在し、nが1とNの間の整数であり、前記制御ユニット(60)が、前記現在の特性(40-A)(n)の各々と前記基準特性(49-R)(n)の各々を2つずつ比較して、nの少なくとも1つの値について、前記現在の特性(40-A)(n)と前記基準特性(49-R)(n)が異なるときにユーザに通知することができる、請求項1に記載の捕捉システム(1)。
【請求項3】
前記識別デバイス(50)の識別子(42)が、前記現在のフィルタ(40)の前記少なくとも1つの現在の特性(40-A)を含んでいる、請求項1または2に記載の捕捉システム(1)。
【請求項4】
摩擦ブレーキシステム(10)からのブレーキ粒子を捕捉するためのシステム(1)中のフィルタ(40)を識別するための方法であって、このブレーキ粒子を捕捉するためのシステム(1)が、真空源(20)と、前記摩擦ブレーキシステム(10)を前記真空源(20)に接続する空気圧回路(30)と、前記空気圧回路(30)上に置かれて支持体(41)上に取り付けられている現在のフィルタ(40)とを備え、以下のステップすなわち、
(a)前記ブレーキ粒子を捕捉するためのシステム(1)の部分である、制御ユニット(60)および前記現在のフィルタ(40)を識別するための識別デバイス(50)が設けられるステップと、
(b)前記識別デバイス(50)が前記制御ユニット(60)に少なくとも1つの信号を送り、この信号が、前記現在のフィルタ(40)の少なくとも1つの現在の特性(40-A)を含むステップと、
(c)前記制御ユニット(60)が、前記少なくとも1つの現在の特性(40-A)を、基準フィルタ(49)の少なくとも1つの基準特性(49-R)と比較して、前記少なくとも1つの現在の特性(40-A)と前記少なくとも1つの基準特性(49-R)が異なるときにユーザに通知するステップとを含むことを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、摩擦ブレーキシステムからのブレーキ粒子を捕捉するためのシステムに関し、システムは、真空源と、摩擦ブレーキシステムを真空源に接続する空気圧回路と、空気圧回路上に設置されて支持体上に取り付けられている現在のフィルタとを備える。
【0002】
そのような摩擦ブレーキシステムは、路上走行車両または鉄道車両が備えることができる。そのような摩擦ブレーキシステムは、風力タービンまたは産業機械などといった固定回転子デバイスが備えることもできる。
【背景技術】
【0003】
そのようなシステムでは、空気圧回路によって摩擦ブレーキシステムに接続される真空源(たとえば、モータによって駆動される吸引タービン)、および、ブレーキシステムによって放出される粒子を集めるためのフィルタが設けられる。このフィルタは、真空源の上流に置かれ、真空源を通した粒子の通過および大気中への粒子の解放を防止する。しかし、ある種の状況では、現在のフィルタ(すなわち、システム中に現在取り付けられているフィルタ)は、捕捉システムにとって適したフィルタである基準フィルタと同じ特性を有さない(たとえば、現在のフィルタが異なるモデルまたはブランドのものである)。特性のうちの少なくとも1つにおけるこの差異は、現在のフィルタが基準フィルタと同じ効率で機能することができないために有害である。現在のフィルタはこの場合には不適切である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、これらの欠点を改善することを目的とする。
【0005】
本発明は、現在のフィルタが基準フィルタと同一であることを確実にするのを可能にする、ブレーキ粒子を捕捉するためのシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本目的は、捕捉システムが制御ユニットおよびフィルタを識別するための識別デバイスを備えるという事実によって達成される。識別デバイスは制御ユニットに信号を送ることができ、信号が現在のフィルタの少なくとも1つの現在の特性を含み、制御ユニットは、少なくとも1つの現在の特性を、基準フィルタの少なくとも1つの基準特性と比較して、少なくとも1つの現在の特性と前記少なくとも1つの基準特性が異なるときにユーザに通知することができる。
【0007】
これらの配置構成によって、現在のフィルタは確実に識別され、その関連する特性が、捕捉システム中に設置するべきフィルタである基準フィルタのものと比較される。したがって、捕捉システム中に現在設置されるフィルタのこれらの特性のうちの少なくとも1つが基準フィルタのものと同一でないとき、ユーザはそのように通知される。ユーザは、この場合には、車両または固定機械が、不適切なフィルタで動作し続けるのを防ぐように行動することができる。このユーザの行動は、通常では、この不適切なフィルタを、基準フィルタと同一な適切なフィルタで交換することである。
【0008】
たとえば、現在のフィルタの現在の特性が独特であり、基準フィルタの基準特性が独特である。
【0009】
たとえば、現在のフィルタが複数のN個の特性を有し、複数のN個の基準特性が存在し、制御ユニットが、現在の特性の各々と基準特性の各々を2つずつ比較して、1とNの間のnの少なくとも1つの整数値について、現在の特性と基準特性が異なるときにユーザに通知することができる。
【0010】
有利なことに、識別デバイスの一部が、現在のフィルタの少なくとも1つの現在の特性を含み、この部分が現在のフィルタによって担持される。
【0011】
現在のフィルタの識別の信頼性が、このようにして強化される。
【0012】
本発明は、摩擦ブレーキシステムからのブレーキ粒子を捕捉するためのシステム中のフィルタを識別するための方法にやはり関し、この捕捉システムは、真空源と、摩擦ブレーキシステムを真空源に接続する空気圧回路と、空気圧回路上に配置されて支持体上に取り付けられている現在のフィルタとを備える。
【0013】
本発明によれば、本方法は、以下のステップを含む。
(a)捕捉システムの部分である、制御ユニットおよび現在のフィルタを識別するための識別デバイスが設けられる。
(b)識別デバイスが制御ユニットに少なくとも1つの信号を送り、この信号は、現在のフィルタの少なくとも1つの現在の特性を含む。
(c)制御ユニットは、少なくとも1つの現在の特性を、基準フィルタの少なくとも1つの基準特性と比較して、少なくとも1つの現在の特性と少なくとも1つの基準特性が異なるときにユーザに通知する。
【0014】
本発明は、非限定の例として提示されるいくつかの実施形態の以下の詳細な記載を読めば、より良好に理解され、その利点がより明らかとなろう。記載は、添付図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明にしたがった捕捉システムの概略図である。
図2】フィルタを担持する筐体、および、図1の捕捉システム中でこのフィルタを検出するための検出デバイスの実施形態の斜視図である。
図3】フィルタを担持する筐体、および、図1の捕捉システム中でこのフィルタを検出するための検出デバイスの別の実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明にしたがった粒子を捕捉するためのシステム1を概略的に示しており、これらの粒子は、摩擦ブレーキシステム10によって放出される。
【0017】
この摩擦ブレーキシステム10は、車両をブレーキするためのブレーキパッド11を備える。このパッド11は、バッキングプレート12およびバッキングプレート12に固定される摩擦材料から作られるライニング13を備える。図1では、パッド11が下から見られており、プレート12は最前面にある。
【0018】
パッド11(第1のパッド)は、車両のホイールによって駆動されるディスク9に面する。第2の同一のパッド(見ることができない)が、ディスク9の他の側で、第1のパッド11に対向して配置され、その結果、これら2つのパッドがディスク9を挟む。ディスク9のブレーキ動作は、これら2つのパッドがディスク9に近づくときの、ディスク9に対する2つのライニング(13)の摩擦によって達成される。
【0019】
捕捉システム1は、空気圧回路30および真空源20を備える。パッド11および第2のパッドは、この空気圧回路30を介して真空源20に接続される。たとえば、真空源20は、電動モータ21およびこの電動モータ21が駆動する吸引タービン22を備える。
【0020】
動作において、真空源20は、ライニング(13)による粒子の放出の際に、空気圧回路30を通して粒子の吸引が可能である。空気および粒子の循環の方向は、図1中の矢印Fによって示される。捕捉システム1は、回路30上に配置されるフィルタ40をさらに備え、これは、回路30内を循環する空気がフィルタを通過することを意味する。このフィルタ40は支持体41上に取り付けられている。たとえば、支持体41は、図に示されるように、その中にフィルタ40を収容する筐体である。フィルタ40はこのようにして筐体41を上流部と下流部に分離する。回路30の上流部から来る空気が筐体41の上流端で筐体41に入り、フィルタ40を通過し、筐体41の下流端で筐体41を出て、回路30の下流部に入る。「現在のフィルタ」という用語は、真空源20の動作期間に支持体41上に実際に取り付けられているフィルタ40のことを言う。
【0021】
捕捉システム1は、制御ユニット60およびフィルタ40を検出するための検出デバイス50をさらに備える。制御ユニット60は、(これらの信号を発生して送信するための要素を備える)検出デバイス50から信号を受け取り、真空源20を制御すること、およびそこから情報を受け取ることがやはり可能である。制御ユニット60、検出デバイス50、および真空源20の間のこれらの相互作用は、図1中に実線で概略的に表される。これらの相互作用は、電線によって実装することができる。この制御ユニット60およびこの検出デバイス50の動作は下で記載される。
【0022】
制御ユニット60および識別デバイス50によって、現在のフィルタ40が基準フィルタ49と同一であるか、または異なるかを決定することが可能になる。基準フィルタ49は、たとえば、車両または固定機械に最初に設置されたフィルタである。それは、この場合には、初期フィルタと呼ばれる。この基準フィルタ49は、図1中に点線で概略的に表される。このフィルタは、したがって、あるタイプおよび/またはあるブランドのフィルタであって、ある数の特性49-Rを有する。現在のフィルタは、ある数の特性40-Aを所有する。「特性」とは、たとえば、このフィルタ上で行われる測定の特性値を意味すると理解される。この値は、フィルタの幾何学的寸法、フィルタ材料の密度、フィルタのろ過効率、フィルタを通した圧力低下の測定値、ろ過媒体の表面積の程度、フィルタ媒体の重ね合わせ層の数であってよい。この特性は、フィルタの形状であってもよい。たとえば、これらの特性は、捕捉システム1の適正な動作のため、フィルタに期待されるものである。これらの特性40-Aおよび49-Rは、制御ユニット60の中に統合(受信および/または記憶)されるよう、図1に概略的に示される。
【0023】
捕捉システム1の動作期間に、識別デバイス50が制御ユニット60に少なくとも1つの信号を送る。「少なくとも1つの信号」とは、連続信号または規則的な間隔での信号または孤立した信号のいずれかの送信を意味すると理解される。この信号は、現在のフィルタ40の少なくとも1つの現在の特性40-Aを含む。制御ユニット60は、基準フィルタ49の少なくとも1つの基準特性49-Rをメモリ中に記憶する。ただ1つの特性40-Aが存在する場合、基準特性49-Rが特性40-Aに関連し、その結果、現在のフィルタ40と基準フィルタ49が同一である場合、特性40-Aは、基準特性49-Rにほぼ等しい。「ほぼ等しい」とは、特性が、基準特性の周りの制限された区間内にあることを意味すると理解される。たとえば、この区間は、基準特性の値の+/-1%、または+/-2%、または+/-5%、または+/-10%である。複数のN個の特性40-A(40-A(1)、40-A(2)、...40-A(N)、Nは整数)が存在する場合、複数のN個の特性49-R(49-R(1)、49-R(2)、...49-R(N))が存在し、基準特性49-R(n)の各々は、nが1とNの間の整数であるが、特性40-A(n)に関連し、その結果、現在のフィルタ40と基準フィルタ49が同一である場合、特性40-A(n)は、基準特性49-R(n)にほぼ等しい。制御ユニット60は、現在の1つまたは複数の特性40-Aを含む信号を受け取ると、これまたはこれらの特性を1つまたは複数の特性49-Rと比較する。このようにして、単一の特性40-Aが存在する場合、制御ユニット60は、特性40-Aと49-Rを比較する。複数のN個の特性40-A(n)が存在する場合、制御ユニット60は、1とNの間の整数nの各々について、特性40-A(n)と49-R(n)を2つずつ比較する。これまたはこれらの比較の最後に、現在の特性40-Aと基準特性49-Rのうちの少なくとも1つが異なる場合(ほぼ等しくないことを意味する)、制御ユニット60は、現在のフィルタ40が好適なフィルタでないことをユーザに通知する(というのは、基準フィルタ49と同一でないためである)。
【0024】
この情報は、たとえば「不適切なフィルタ」などのテキストもしくはロゴもしくは表示灯を車両のダッシュボード上に表示すること、および/または、たとえば座席中に配置され制御ユニット60により制御される振動システムを介した振動によってユーザを刺激することによるなどといった任意の手段によって提供することができる。加えて、この情報は、制御ユニット60により制御されるリミッタ70を使用した、車両の速度の制限を伴う場合がある(図1)。ブレーキ動作期間の粒子の発生は、これにより低減され、真空源20の中へこれらの危険な粒子が解放されることも低減される。
【0025】
フィルタ40を識別するための識別デバイス50の実施形態が、図2を参照して下で記載される。
【0026】
識別デバイス50は、非接触型検出器52およびフィルタ40によって担持される識別子(タグ)42を備える。非接触型検出器52は、この検出器52の周りのある体積V0内の識別子42を検出することが可能である。この検出は、たとえば、RFID技術で実行される。RFID技術は、識別子が検出器によって離れて電力供給される技術をグループ化する。非接触型検出器52は、フィルタ40の近くに固定される。すなわち、識別子42が非接触型検出器52の周りの体積V0内に配置されることを意味する。識別子42は、現在のフィルタ40に固有であり、メモリ中に現在のフィルタ40の1つまたは複数の特性40-Aを含む。
【0027】
フィルタ40を担持する支持体41がパイプ30上に取り付けられたときに、非接触型検出器52が識別子42から距離D1に配置されるように、非接触型検出器52は支持体41の上流または下流のパイプ30に固定される。この場合、非接触型検出器52は、制御ユニット60に信号を送信し、この信号が現在のフィルタ40の1つまたは複数の特性40-Aを含む。制御ユニット60は、この信号を受信すると、1つまたは複数の特性40-Aを、1つまたは複数の特性49-Rと比較する。
【0028】
図3に図示される別の実施形態では、非接触型検出器52が支持体41上に固定され(たとえば、支持体41が筐体であるとき、非接触型検出器52が筐体中に置かれ)、フィルタ40が支持体41上に取り付けられるときに非接触型検出器52が識別子42から(D1より短い)距離D2に配置されるように、識別子42がフィルタ40によって担持される。
【0029】
識別デバイス50は、現在のフィルタ40の特性40-Aを含む部分(たとえば、識別子42)を備える。この部分がフィルタ40によって担持されるとき、パイプ30上に取り付けられる支持体41が基準フィルタ49を担持する支持体と同一であるが、この支持体41上に不適切な(したがって、基準のフィルタ49と異なる)フィルタ40が(誤ってまたは意図的に)取り付けられている場合でさえ、フィルタ40が基準フィルタ49と異なるのかを捕捉システム1が決定することが可能である。上の場合には、この部分が識別子42となる。
【0030】
この支持体41に受け入れられることが意図されるフィルタ(すなわち、この支持体に好適なフィルタ)の特性を含む識別デバイス50の部分を担持するのが支持体41であり、支持体41に実際に取り付けられているフィルタ40がこの支持体41に好適なフィルタである場合、制御ユニット60に送信される信号は、支持体41に取り付けられているフィルタ40についての正しい情報を含む。しかし、支持体41に実際に取り付けられているフィルタ40が(誤ってまたは意図的に)この支持体41に好適なフィルタでないとき、問題が発生する。本当にこの場合には、支持体41に実際に取り付けられているフィルタは、この支持体41に好適なフィルタ40の特性を有さない。識別デバイス50は、この場合、この支持体41に好適なフィルタ40の特性を含む信号を制御ユニット60に送信する一方で、この支持体41に実際に取り付けられているフィルタは、これらの特性を有さない。このことが問題をもたらす。というのは、支持体41は好適であってよいが、支持体41上に実際に取り付けられているフィルタ40が不適切であり、ユーザは、このフィルタ40が不適切であることが通知されない。この問題は、現在のフィルタ40の特性40-Aを含む識別デバイス50の部分がこのフィルタ40によって直接担持されるとき回避される。このことによって、さらなる安全性が構築される。
【0031】
本発明は、摩擦ブレーキシステム10からのブレーキ粒子を捕捉するためのシステム1中のフィルタ40を識別するための方法にやはり関する。上で記載したように、この捕捉システム1は、真空源20と、摩擦ブレーキシステム10を真空源20に接続する空気圧回路30と、空気圧回路30上に配置されて支持体41上に取り付けられている現在のフィルタ40とを備える。方法は以下のステップを含む。
(a)捕捉システム1の部分である、制御ユニット60および現在のフィルタ40を識別するための識別デバイス50が設けられる。
(b)識別デバイス50が制御ユニット60に少なくとも1つの信号を送る。この信号は、現在のフィルタ40の少なくとも1つの現在の特性40-Aを含む。
(c)制御ユニット60は、少なくとも1つの現在の特性40-Aを、基準フィルタ49の少なくとも1つの基準特性49-Rと比較して、少なくとも1つの現在の特性40-Aと少なくとも1つの基準特性49-Rが異なるときにユーザに通知する。
【符号の説明】
【0032】
1 捕捉システム、プレート
9 ディスク
10 摩擦ブレーキシステム、パッド
11 ブレーキパッド
12 バッキングプレート
13 ライニング
20 真空源
21 電動モータ
22 吸引タービン
30 空気圧回路、パイプ
40 現在のフィルタ
40-A 現在の特性
41 支持体、筐体
42 部分、識別子、タグ
49 基準フィルタ
49-R 基準特性
50 識別デバイス、検出デバイス
52 非接触型検出器
60 制御ユニット
70 リミッタ
図1
図2
図3