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特許7488618内面計測装置用ヘッド、及び内面計測装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-14
(45)【発行日】2024-05-22
(54)【発明の名称】内面計測装置用ヘッド、及び内面計測装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/24 20060101AFI20240515BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20240515BHJP
【FI】
G01B11/24 B
G02B23/24 B
G02B23/24 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023169269
(22)【出願日】2023-09-29
【審査請求日】2023-10-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】720000270
【氏名又は名称】鎌倉 吉寿
(72)【発明者】
【氏名】鎌倉 吉寿
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-301657(JP,A)
【文献】特開2014-173912(JP,A)
【文献】実開平4-66507(JP,U)
【文献】実開平7-29405(JP,U)
【文献】特開平6-82704(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
G01N 21/84-21/958
G02B 23/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプの内面形状を測定するための内面計測装置用ヘッドであって、
面状の光ビームを前記パイプ内面に照射するための光照射部と、
前記パイプ内面からの散乱光を受光するためのカメラを有する撮像部と、
前記光照射部と前記撮像部との間に配置され、前記光照射部と前記撮像部とを接続するための保持部と、を備え、
前記撮像部、前記保持部、及び前記光照射部は、第1方向に順に配置されており、
前記保持部は、パイプ状の弾性部材を含み、前記撮像部から前記光照射部に向かって前記第1方向にいくにしたがって径が大きくなる略円錐形状を有し、前記保持部が、自在に屈曲するように構成されていることを特徴とする内面計測装置用ヘッド。
【請求項2】
前記カメラを収納するための撮像部筐体を更に備え、前記撮像部筐体は、前方側に前記散乱光を透過可能な窓部を有し、前記保持部が、前記窓部の略中央部に取り付けられて固定されていることを特徴とする請求項1に記載の内面計測装置用ヘッド。
【請求項3】
前記光照射部は、前記第1方向に光を出射する発光素子と、前記発光素子からの出射光を受けて面状に光を反射させるためのミラー部を有し、前記ミラー部の光反射面が前記第1方向に対して45度以上、かつ60度以下の範囲の角度を有することを特徴とする請求項1に記載の内面計測装置用ヘッド。
【請求項4】
前記カメラはレンズを有し、前記レンズのピント位置が前記ミラー部から投影した平面シート上の平面近傍に合うように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の内面計測装置用ヘッド。
【請求項5】
請求項1~に記載の内面計測装置用ヘッドと、前記内面計測装置用ヘッドから出力された画像信号を受信し、受信した画像信号を記憶する記憶部と、前記記憶部に記録された画像信号からパイプ内壁の輝度分布を抽出し、パイプ内面形状を測定するための演算部と、前記演算部からの測定値を外部に出力するための表示部と、を備えることを特徴とする内面計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内面計測装置用ヘッド、及び当該内面計測装置用ヘッドを備えた内面計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び2には、平面状に光を投影しパイプ内部に照射する投影部とパイプで散乱光を撮像する撮像部と、投影部と撮影部を一個の剛体として保持をする固定部を備えた内面計測装置用ヘッドを持ち合わせており、内面計測装置用ヘッドをパイプ内部に挿入することでパイプ内部の形状計測できる装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-230301号公報
【文献】特開2021-113701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記装置であると、パイプ内部の内面形状計測は直管であれば可能である。しかしながら、曲管のパイプとなると、内面計測装置用装置は投影部と撮像部が一個の剛体となっているため、途端に物理的に困難な状況になる。
【0005】
解決しようとする課題点は、曲がりのあるパイプ内のパイプの形状やパイプの径を計測する手段を有する内面計測用ヘッドもしくは内面計測用装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る内面計測装置用ヘッドは、パイプの内面形状を測定するための内面計測装置用ヘッドであって、面状の光ビームを前記パイプ内面に照射するための光照射部と、前記パイプ内面からの散乱光を受光するためのカメラを有する撮像部と、前記光照射部と前記撮像部との間に配置され、前記光照射部と前記撮像部とを接続するための保持部とを備える。また、前記撮像部、前記保持部、及び前記光照射部は、第1方向に順に配置されており、前記保持部が、自在に屈曲するように構成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る内面計測装置用ヘッドでは、撮像部、保持部、及び光照射部は、第1方向に順に配置されている。また、光照射部と撮像部との間に配置された保持部は、光照射部と撮像部とを接続し、自在に屈曲するように構成されているので、曲げ管のあるパイプ内の形状計測データを取得し、パイプの直径の不明なパイプ寸法を知ることができる。したがって、パイプ維持あるいは補修といったメンテナンスに有用である。
【0008】
また、本発明に係る内面計測装置用ヘッドにおいて、前記カメラを収納するための撮像部筐体を更に備えることができる。また、前記撮像部筐体は、前方側に前記散乱光を透過可能な窓部を有し、前記保持部が、前記窓部の略中央部に取り付けられて固定されていることを特徴としてもよい。
【0009】
本発明に係る内面計測装置用ヘッドでは、カメラを収納するための撮像部筐体を更に備えており、この撮像部筐体は、前方側に散乱光を透過可能な窓部を有し、保持部が、窓部の略中央部に取り付けられて固定されている。これにより、前記カメラで撮影されるパイプ内面は概ね画像の周辺部であって、パイプ内面のない画像中心に保持部と光照射部を配置することができるため、内面計測装置用ヘッド自身が障害物にならない撮像することができる。
【0010】
また、本発明に係る内面計測装置用ヘッドにおいて、前記保持部は、パイプ状の弾性部材を含み、前記撮像部から前記光照射部に向かって前記第1方向にいくにしたがって径が大きくなる略円錐形状を有することを特徴としてもよい。保持部が略円錐形状を有することによって、光照射部から照射された光のパイプ内面での多重反射を低減することができる。
【0011】
また、本発明に係る内面計測装置用ヘッドにおいて、前記光照射部は、前記第1方向に光を出射する発光素子と、前記発光素子からの出射光を受けて面状に光を反射させるためのミラー部を有し、前記ミラー部の光反射面が前記第1方向に対して45度以上、かつ60度以下の範囲の角度を有することを特徴としてもよい。ミラー部の光反射面が前記第1方向に対して45度より大きくかつ60度以下の範囲の角度を有することで、オーバーハング形状があるパイプ内部での計測であっても、計測可能な領域が増加する。
【0012】
本発明に係る内面計測装置用ヘッドにおいて、前記撮像部のカメラはレンズを有し、前記レンズの物体距離が、前記レンズから前記ミラー部までの距離に略等しいことを特徴としてもよい。これにより、レンズの物体距離から外れた位置に配線等を通したとしても、前記カメラでの撮像への影響を減らした撮像を行える。
【0013】
また、本発明に係る内面計測装置は、上記に記載した内面計測装置用ヘッドと、前記内面計測装置用ヘッドから出力された画像信号を受信し、受信した画像信号を記憶する記憶部と、前記記憶部に記録された画像信号からパイプ内壁の輝度分布を抽出し、パイプ内面形状を測定するための演算部と、前記演算部からの測定値を外部に出力するための表示部を備えることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る内面計測装置用ヘッドでは、撮像部、保持部、及び光照射部は、第1方向に順に配置されている。また、光照射部と撮像部との間に配置された保持部は、光照射部と撮像部とを接続し、自在に屈曲するように構成されているので、曲げ管のあるパイプ内の形状計測データを取得し、パイプの直径の不明なパイプ寸法を知ることができる。したがって、パイプ維持あるいは補修といったメンテナンスに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る内面計測用ヘッドを示す概略図である。
図2図2は、図1の座標と方向を示す簡略図である。
図3図3は、パイプ内部における内面計測用ヘッドの状態を示した図である。
図4図4(a)は、図1の部品の寸法を定義する図である。図4(b)は、図4(a)の拡大図を示す。
図5図5は、反射部材の構成を説明する図である。
図6図6(a)は、パイプ内部における内面計測用ヘッドの光跡の状態を示した図である。また、図6(b)は、反射面付近の拡大図である。
図7図7は、図1の配線を説明するための部分図である。
図8図8は、透明窓の構成を説明するための図である。
図9図9は、第1実施形態に係る内面計測用装置を概略的に示す図である。
図10図10は、図1に示す内面計測用ヘッドでパイプ内部をカメラで撮影した時の画像(写真)の一例を示す図である。
図11図11は、図1に示す内面計測用ヘッドの照射部とカメラ照明より光を投影しリングゲージを撮影した時の画像(写真)の一例を示す図である。
図12図12は、図1に示す内面計測用ヘッドの多重反射防止を説明するための図である。図12において、上部に上面図を示し、下部に正面図を概略的に示した。
図13図13(a)は、透明固定具を用いた内面計測装置における光跡を説明するための図である。また、図13(b)は、図13(a)のXIII-XIII線に沿って切り取った断面図である。
図14図14は、第1実施形態に係る内面計測装置のブロック図を示す図である。
図15図15は、第1実施形態に係る内面計測方法のフローチャート図を示す図である。
図16】第2実施形態に係る内面計測用ヘッドを示す概略図である。
図17図17は、図16に示す内面計測用ヘッドによる多重反射を説明するための図である。図17において、上部に上面図を示し、下部に正面図を概略的に示した。
図18図18(a)は、第3実施形態に係る内面計測用ヘッドを示す概略図である。また、図18(b)は、図18(a)のXVIII-XVIII線に沿って切り取った断面図である。
図19】第4実施形態に係る内面計測用ヘッドを示す概略図である。
図20図20(a)は、オーバーハングのあるパイプ内部に内面計測装置用ヘッド1を挿入した場合の光跡を示した図である。また、図20(b)は、オーバーハングのあるパイプ内部に内面計測装置用ヘッドを挿入した場合の光跡を示した図である。なお、図20(a)において、(a)-1は、反射位置P1の拡大図を示し、(a)-2は、反射部材22近傍の拡大図を示す。また、図20(b)において、(b)-1は、反射位置P1の拡大図を示し、(b)-2は、反射部材21-1近傍の拡大図を示す。
図21図21は、第4実施形態に係る内面計測方法のフローチャート図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。本発明はパイプの内面の形状および寸法を計測する装置であるが、前記パイプは配管、排水等に係る建築部材や、AT油路といった自動車部品であり、スキーブーツの内面等である。以降、各部品の位置関係について説明するが、特にことわりがない場合に前方から後方に各部品が接続する前提で説明する。
【0017】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るパイプの検査装置を含むパイプの内面計測装置用1(今後ヘッド1と略す)の概略的に示す正面よりみた構成図であって、図9は第1実施形態に係るパイプの検査装置を含むパイプの検査装置の構成を概略的に示す正面よりみた構成図である。計測装置1100の構成は、 (1)光を計測対象に面状の光線を照射する光照射部2と、(2) 計測対象で散乱した光跡を観測する撮像部3と、(3) 光照射部2と撮像部3の間にあって、それぞれに接続し、自在に屈曲する保持部4からなる、ヘッド1と、(4)ヘッド1を走査する走査部5に接続しており、更に (5)ヘッド1から出力された画像信号を受信し、画像信号を記憶する記憶部61と前記記憶部に記録された画像信号からパイプ内壁の輝度分布を抽出しパイプ内面形状を測定するための演算部62と演算結果を出力する表示部63からなる成果物算出部6を備える内面計測装置1100である。
【0018】
光学部品で構成されているヘッド1は、外力を受けると保持部4が屈曲することにより、狭く曲げがあるパイプ内にあってもヘッド1はパイプ内部に送り込むことが可能となる(図3参照)。また、ヘッド1の配置において、撮像部3の撮影面の前面に光照射部2と保持部4を配置するといった、一見すると設計ミスと思われる機械構成であるが、パイプの内面計測に影響のない領域に光照射部2と保持部4を配置によって、計測に使用する視野を有効に利用する、特徴を有しているパイプの内面形状を測定するための内面計測装置用ヘッドである。以降、各部品等の詳細説明するに従って、次第に理解できる。
【0019】
光照射部2は面状光線を投影する部材であるが、第1実施形態においては、平面状の光線を投影する部材である。光照射部2の部品は反射部材21、保護材28、光源22,照射部筐体23より構成する。
【0020】
光源22の配置について説明をする。光源22は、指向性の高い光を出射する発光素子であって、細くコリメートされた点光源を発光部E1より出射するもので、指向性の高いレーザあるいはLEDといった発光素子をもった部品である。
【0021】
ここで、第1方向Ax1と座標の定義をする。図2図1を簡略した図であり、直交座標系Sが示されており、発光部E1より出射する光線BMの方向をヘッド1の第1方向とする。また、zは第1方向Ax1の方向、図2においてX軸は正面方向、Y軸は上方方向を向く。
【0022】
反射部材21の構造を説明する。反射部材21は図4の21aあるいは21bの2つの構造である。21aについて説明する。反射部材21aは所定の高さと直径をもつ円筒の土台に、反射面が第1方向Ax1に対して45度の角度を有した円錐形状の部品(1)、及び前記円筒の直径と同じ内径で長さは前記円筒より数ミリ長い透明菅(2)、の2つの部品で構成したものであって、前記透明感(2)の内部に前記円錐形状の部品(1)を挿入し端面を合わせ、接着等で固定したものである。
次に21bについて説明する。ガラスや透明樹脂といった光透過する素材の円柱材に反射面が第1方向Ax1の負の方向に対して45度の角度の円錐形状をくりぬいた部品であって、円錐の斜面で全反射する光学部品である。
【0023】
次にミラー保護材28の構造について説明する。ミラー保護材28の形状は、反射部材21の外径と同じ長さの半球などの滑らか外径で、反射部材21の面と接着しヘッド1の先頭部の形状を滑らかな形状になる形状であればよい。素材は樹脂や金属などであればよく、特に指定はない。
【0024】
反射部材21と照射部筐体23aとの接続について説明する。
照射部筐体23aの片端は内径が反射部材21の外径程度の円筒であり、反射部材21を照射部筐体23aに差し込む構造になっており、反射部材21内の円錐頂点を後方に向け、照射部筐体23aに挿入し、ネジ等の固定部品で固定する。反射部材21と保護材28との固定方法について説明する。どちらの部品も端面ほぼ同じ径の円の面になっており、接着し固定する。
【0025】
反射部材21は指向性の高い光源と組み合わせることによって平面状のビーム(以降平面シートPBMと呼ぶ)を生成する部品である。平面シートPBM生成の仕組みを、図6の拡大図(a)を参照し説明する。光源22の出射部E1より出射した光線は反射部材21の円錐頂点近傍の斜面を反射するため、円錐頂点起点に放射状に広がるといった、円錐の頂点を通りxy平面上を通る平面シートPBMを生成する。既に商用化されている部品のため更なる詳細説明は省略する。
【0026】
照射部筐体23は照射部筐体23a照射部筐体23bと2つの部品で構成される。照射部筐体23aは円筒形状を基本とし、照射部筐体23bは前記照射部筐体23aの外径と同じ外径の円柱形状が基本であって、照射部筐体23aの後方の端面に照射部筐体23bをネジ等で固定する。照射部筐体23aは、前方に反射部材21に接続しており、照射部筐体23a内径は反射部材21の外径と一致しており、前方から反射部材21を照射部筐体23aに挿入し、接着等で固定するのだが、反射部材21の円錐ミラー頂点は照射部筐体23aの外部にある必要がある。照射部筐体23aの内部は空洞があって、光源22が挿入されているが、円錐の頂点に向けて、光源22の発光部E1よりコリメートされた光線が出射するように照射部筐体23aの外部からイモネジ等で光源22の位置を調整し固定する。固定後、光照射部より、平面シートPBMが生成されない場合は、再調整もしくは部品の交換をする。
照射部筐体23bの中央に弾性部材41を挿入可能なメスネジがあり、弾性部材41をねじ込みことによって、弾性部材41を後方に接続する。
【0027】
撮像部3はカメラを主部品の、計測対象物上の光跡を撮像する部材であり、配線等を収納する部品でもある。撮像部3の構成部品は、カメラ31とカメラ側面に取り付けたカメラ照明37と前記カメラ31とを収納するカメラ筐体33aとカメラ筐体33b(カメラ筐体33aとカメラ筐体33bをまとめてカメラ筐体33とする。)と、前記カメラ筐体33aの内面に設置して配線を整理する導線34より構成する。
【0028】
カメラ31は、CMOSやCCDカメラなどの撮像素子を有して、この撮像素子が受像した光を光変換し電気尊号として出力する、いわゆるエリアカメラと対物レンズを取り付けられたものである。カメラ31上のE2の位置に開口部であって、対物レンズの後方に所定の距離を離しエリアカメラを配置する。カメラ31に取り付けられている集光レンズの物体距離は、集光レンズの中心と反射部材21の反射面の先端までの距離とすることで、集光レンズのピントを平面シートPBM上の平面近傍に合わせる。
【0029】
カメラ31はカメラ筐体33aの内部に設置する部品であり、カメラ筐体33aの外部よりネジ等の固定具を使ってカメラ31の位置を調整かつ固定する。ネジの配置の一例として、カメラ筐体33aのほぼxy平面に平行である任意の2断面において、それぞれの断面にほぼ等間隔に3か所の6個のイモネジを設置し、カメラ31の撮像した像を見ながら、像の中心に後述する固定具42が写るように、前記イモネジの締め具合を調整する。これは、カメラ固定31の一例であって、例えばカメラ筐体33bにカメラ31を固定しても構わない。
【0030】
図6は、パイプ等計測対象Wにヘッド1を挿入し、照射部2の反射部材21、光源22とカメラ31の概略図である。カメラ31は、反射部材21から投影した平面シートPBMをW上で散乱させ、その散乱光を撮影する部品である。ヘッド1をパイプA1に挿入して撮影した一例が図10であって、パイプ内面は閉鎖した空間であるため通常は真っ暗であるが、平面シートPBMがパイプにあたっている部分のみ明るくなるため、円筒形内部を撮影すると、真っ暗な背景の中に円あるいは楕円に近いリング状の光跡となる像を撮像できる。
【0031】
カメラ照明37はカメラの周辺にLED等の小型で無指向性の光源を配置する。図9はカメラ照明37をドーナツ状の基盤の上に複数のLEDを配置し、前方を照らす方向にカメラ31の周りに設置したものである。ただし、LEDは1灯以上あればよい。カメラ照明37電源は基板からケーブル51の+電源とグランドの電線と接続する。カメラ照明37の効果はパイプ内部の観察の際、照明として使用する。パイプ等の径の計測や形状計測だけであれば、取り外しても構わない部品である。LEDは広く市販されているため、詳細説明を省略する。
【0032】
カメラ筐体33a、カメラ筐体33bは撮像部3を一つの剛体としてまとめるための部品である。素材は、金属であっても樹脂であっても構わない。カメラ筐体33aの形状は外形r1、内径r2の円筒形状を基本とし、前方の端面は後述する透明窓43(外径r0 (r2 < r0 < r1),厚さd4の円柱)と勘合するように、直透明窓43の同程度の円筒形状がくりぬかれている(図7参照)。カメラ筐体33bはカメラ筐体33aの外径と等しい円柱であって、後述するケーブル51を通すコネクタが取り付けられている、もしくは穴が開いている。
【0033】
透明窓43との固定は透明窓43の固定方法の説明した通りである。
カメラ31との固定はカメラ31の固定方法の説明した通りである。カメラ筐体33aとカメラ筐体33bの固定は、ネジ等を使って固定する。
【0034】
導線34の配置について図7を参照に説明する。構造はアイボルトなどでの部品もしくは、カメラ筐体33aの内側に溝を付けても構わないし、ここではアイボルトとした場合で説明する。カメラ筐体33aの内部にあって、カメラ筐体33aの前方から例えば10mm程度入った断面に、導線34を後述する電線45の数分を等間隔の位置にボルト等をカメラ筐体33aへ差し込むのが望ましい。更に第1方向の反対方向のカメラ筐体33aの後方から例えば10mm入った断面平行へ移動した位置にも導線34を設置する。導線34の効果は、カメラ31の前方にある後述する電線45を弛ませないためである。
【0035】
保持部4は光照射部2と撮像部3の中間にあって、2つの部材をつなげ合わせるとともに、自在に屈曲可能であって光照射部2と撮像部3の相対位置を変化し、計測に影響少ない位置に各部品を配置する機能を有する部材である。
【0036】
弾性部材41は、空中部を有するパイプ形状であって、弾性部材としてコイルバネを含む部品であって、次の条件がある。
・ 弾性部材41の外形は、寸胴の弾性状のバネの形状が望ましく、ばねの外径やピッチを、特定のねじの規格の外径やピッチに対応する。
・ 弾性部材41は中空部を有する。
・ 弾性部材41の中空部に給電するためのケーブル44配線が通してある。
・ 多重反射を防ぐ黒染め等の表面処理をする。
弾性部材41のサイズについては、「計測範囲を確保する配慮」で後述する。
固定具42は貫通穴付きネジであって、そのネジの径とピッチは弾性部材41の内径とピッチを合わせた部品である。
【0037】
弾性部材41は前方に照射部筐体23bと接続し、後方に透明窓43と接続する。弾性部材41の照射部筐体23bとの接続方法は、弾性部材41の外形は寸胴型のオスネジとして扱い、対応したメスネジを照射部筐体23bの中心にあり、ナット等使用しねじ止めする。弾性部材41は透明窓43との接続方法は透明窓43の中央に、弾性部材41の外形に対応したメスネジがあって、ナット等を使って透明窓43に取り付ける。さらに、後方から弾性部材41の内面をメスネジとして、貫通穴付きネジ等の固定具42を使って固定する。
【0038】
弾性部材41の2つの効果を説明する。
・ 屈曲することでヘッド1を、細くて曲管のパイプであっても、パイプ内部を通過できる。(1)
・ ヘッド1を第1方向Ax1上の狭い範囲にまとめることによる、光学的障害物の回避。(2)
・ 多重反射防止(3)
以下に弾性部材41の効果(1)について説明する。計測装置1の外径の2割程度広いパイプWに、本発明のヘッド1と弾性体に代わり剛体である内面計測装置用ヘッドを後方から力を加えた場合の比較を、図3を使って説明する。剛体であると、光照射部2は点線のようにパイプWを突き破ってしまうなどパイプあるいはヘッド1の破損あるいは、後方から力を加えてもパイプ壁面で止まってしまう。一方、弾性部材41があると、光照射部2とパイプWは接し、弾性部材41に圧力がかかるのだが、圧力を緩和するパイプの奥方向へ弾性部材41が曲がり、光照射部2は破損なくパイプWに挿入する。効果(2)については「計測範囲を確保する配慮」、(3)については「カメラ31の像の品質向上について」で後述する。
【0039】
透明窓43の素材は透明の樹脂もしくはガラスである。その形状は図8にある通りに円柱もしくは上下2平面あるN角柱(Nは整数)であって、面弾性部材41の取り付け用に貫通穴がほぼ中央あり、両端面は機械加工精度範囲内で平面かつ平行になっている。透明窓43の厚さは、弾性部材41を第1方向Ax1に配置する機能を有するため透明窓43の貫通穴で弾性部材41を挿入するが、弾性部材41を固定可能な厚さが必要である。一例であるが、透明窓43の外径がφ10mmとしたとき、厚さ1.5mmの円柱形状であり、貫通穴の径は2.6mmを使用する。外形サイズについては、「計測範囲を確保する配慮」で後述する。
【0040】
透明窓43は中央にメスネジがあり、弾性部材41差し込み固定する。また、透明窓43は筐体33aと接続する。筐体33aと透明窓43と接続部分の説明をする。筐体33aの前方先端には、外径はr0、厚さd4の円筒形状の切抜きがあって、そこに透明窓43を差し込みとイモネジ等の固定部品で固定する。
【0041】
透明窓43の3つの効果について説明する。
・ 撮像部3の保護(1)
・ 遮蔽物を減らし、カメラ31で広範囲に光線を取り込み可能とする部材(2)
・ 多重反射防止(3)
3つの効果の詳細を説明する。
(1)撮像部3内部の保護である。筐体33aの前方にあって、筐体33aの蓋としての機能を有する。(2)は計測対象W上の任意の位置で散乱した光がカメラ31に到達するまでに、通過する部品は透明菅43のみで、たった1枚の透明窓の上下端面の平面が界面であり、そのほかの界面は存在しない。先行事例と比較するが、特許文献1(特開2015-230301号公報)および特許文献2(特開2021-113701号公報)は、透明窓にあたる構造が円筒形状の筒であって、界面は2つではあることは同じであるのだが、曲面を通過る。図13(a)は特許文献1および特許文献2の装置の散乱光の様子を示しており、beam1あるいはbeam2が光跡である。また図13(b)はbeam1の透明窓に入射b1、侵入光b2,透過光b3の様子を上面から見た図である。透明窓は平面であれば、入射光b1と透過光b3は平行になるのだが、曲率をもっているため、入射光と透過光は平行にならず、散乱光は複雑な光路の光線を撮像するため、後述する成果物算出部6における、成果物算出プロセスにおける算出結果に影響を及ぼす。
(3)は「カメラ31の像の品質向上について」で後述する。
【0042】
ケーブル44は2本以上電線を束ねた、光源22へ電源を送信する部材である。ケーブル44に備わっている電線のうちの2本は、照明21の+端子、グランド端子に接続する。ケーブル44は筐体33a内に配線するのだが、その先はケーブルの被覆を剥がし、電線に分岐した構造であって、電線部分を電線45とする。
【0043】
ケーブル44は照明21の+、グランド端子に接続するが、半田では接続が弱いため圧着等で固定する。照明21ケーブル44は更に、弾性部材41と透明窓43の中心を通り、筐体33a内に入り込み、ケーブルは被覆を剥がし電線に分岐するが、その電線部を電線45とする。いずれの電線45も、透明窓43の平面に沿ってそれぞれ異なる導線34を通過し、弾性部材35に接続する。電線45のうち照明21の+とグランド端子に接続しているものは、後述するケーブ51の+、グランド線に結線する。電線45の配置は配線イメージ図7の通りに、筐体33a内の電線45は、それぞれ離れた位置に配線することが望ましい。電線45の配線は、電池や電源コンセントに直接接続しても構わない。また、電源の周波数や電圧を制御するコントローラに接続しても構わない。
【0044】
走査部5はカメラ31の第1方向Ax1に接続しているカメラケーブル51(ケーブル51と略す)が後方へ伸びており、その先端は後述する成果物算出部6と電源に接続する。一例は作業員が内面計測ヘッド1を手動で挿入装置一例であるが、ロボット等に取り付けても構わない。ケーブル51はカメラ31に接続し、カメラ31とコンピュータ間の通信媒体であって、USBケーブル、カメラリンク、LANケーブル等であって、規格が定まっている一般的なケーブルである。図1において、カメラ電源はバスパワーを想定しているが、電源をコンセントと接続しても構わない。また、カメラ31を制御するコントローラと接続しても構わない。ケーブル51は電線を束ねたものであるが、光ファイバー等の素材もあっても、計測対象の曲げ半径に対応していれば使用しても構わないが、この場合カメラ筐体33内には光ファイアバー先端にレンズ取り付けてあって、受像素子を有するカメラ31はカメラ筐体33外の光ファイバーの端に取り付けることになる。
【0045】
成果物算出部6はヘッド1から出力された画像信号を受信し、受信した画像信号を記憶する記憶部61と、前記記憶部に記録された画像信号からパイプ内壁の輝度分布を抽出し、パイプ内面形状を算出するためのCPUを含む演算部62と、モニタである表示部63より構成される。例えば、成果物算出部6はPCやタブレットや携帯電話等である。
また、成果物算出部6は、ヘッド1より出力した画像信号を受信後、パイプ内面形状データ取得とパイプの径といった幾何情報(円もしくは楕円)を算出する手段を有する部材であるが、本発明の方法にて後述する。
【0046】
(計測範囲を確保する配慮について)
ヘッド1の基本部品の配置を示した図4を使って、部品配置あるいは部品寸法を適切に選択することによって、カメラ31の撮像視野を確保と、ヘッド1自身が計測の影響を及ばさないことを説明する。
図4中の文字の説明を行う。
fはカメラ31のレンズ中心のz軸上の位置
α1は頂点を前記fにあって、固定具42のyz平面を通る1直線とで作られる二等辺三角形においての頂点の半分の角度
α2はカメラ31のレンズのいわゆる画角の半分の角度
d1は前記fと透明窓43の第1方向の負方向にある平面との点と平面間距離
d2は前記fと平面シートPBM上の面の距離であって、いわゆる物体距離。
d3は前記fと照射部筐体23の第1方向の負方向にある端面にある平面との点と平面間距離
D11は固定具42のy軸方向の長さの半分の距離
D12は頂角2×α 2で高さd 1の二等辺三角形の底辺の長さの半分の距離
D21は頂角2×α 1で高さd 2の二等辺三角形の底辺の長さの半分の距離
D22は頂角2×α 2で高さd 2の二等辺三角形の底辺の長さの半分の距離
D3は頂角2×α 1で高さd 3の二等辺三角形の底辺の長さの半分の距離
A 前記fを通り、第1方向Ax1に対してα 1の角度以下の領域
【0047】
パイプ内面計測の際は、ヘッド1をパイプの中に挿入するが、ヘッド1から先の第1方向Ax1には大概パイプの中は空洞であって、側面にはパイプの壁面が存在する。この状態で、カメラ31で撮影すると、パイプは概ね撮像画像の周辺に撮像され、画像中心にはパイプの像はないということである。
カメラ31の前面に光照射部2と保持部4が存在するためヘッド1自身が写りこむが、パイプの像と重ならない画面中心にヘッド1の像をまとめた構造になっている。その具体的な構造は、特定領域内(領域A)に光照射部2と保持部4納めることである。このため、カメラ31の撮像において、ヘッド1自身の像は画像のほぼ中央には、ぼやけた固定具42が写るのだが、電線45以外の光照射部2,保持部4は写りこまない。
電線45の写りこみ関しては、カメラ31の前面に電線45を通過するが、カメラ31の集光レンズのピントはレンズ中心fからd 2離れた平面シートPBMに合っており、電線45はレンズ中心fからd 1離れていることから、被写界深度が(d 2 - d 1)/2以下となる構成にすることにより、電線45の像のボケが大きくなり、計測への影響は小さくなる。被写界深度は、レンズの仕様から計算するもしくは、実測した値を使ってもよい。
【0048】
図11はリングゲージRGを計測対象物とし、リングゲージ内にヘッド1を挿入し、光照射部2より平面シートPBMと、カメラ照明37を照射し、カメラ31で撮像した画像である。中心の六角形の穴付きネジである固定具42が写りこんでおり、光照射部2,保持部4本体は隠れて見えない。また、電線45が3本あって、画像中心から6時、7時、9時方向にあることは認識できるのだが、平面シートPBMはくっきりと見えており、電線45があるのだが計測への影響は少ない。平面シートPBMはくっきりと見えることと計測に影響ないことは、後述する「内面計測方法」で取り上げる。
【0049】
次に、最大計測範囲D22と最小計測範囲D21について説明する。
最大計測範囲D22は、透明窓45の直径を2・d2・tan(α1)より大きくすることで、2・d2・tan(α1)である。
最小計測範囲D21は、2・d2・tan(α2)であって、領域Aの境界を平面シートPBMの通る平面との断面の円の直径に対応する。また、計測範囲の確保から2・D21<D22は必要である。各部品の寸法は領域Aに収まる光照射2、保持部4であればよく、D21とD21を設定し、領域A内に光照射2および保持部4を組みたてることが出来れば、光照射2と保持部4の各部材の寸法を自由に決めて構わない。
【0050】
(カメラ31の像の品質向上について)
次に、ヘッド1はカメラ31の像の品質向上するための次の2つの効果を有する。
・ 光学的に歪の少ない構造(1)
・ 多重反射対策(2)
次に(1)について説明する。先行する内面計測装置(特許文献1)と比較する。先行する内面計測装置は、光照射部2と撮像部3を透明円筒材GLで固定する内面計測装置で図13の構造である。計測対象Wからの散乱光は曲率のある透明円筒材GLを通過するが、光線の透明円筒材GL透過する光跡をGLの上面より見た拡大図13(b)を参照すると、計測対象Wからの散乱光の透明窓GLへの入射光b1と、透過光が透明窓GLから出る光b3の方向は異なる。本発明の内面計測ヘッド1においては、光照射部2より照射する平面シートPBMは計測対象Wでの散乱光はカメラ31に入射するがヘッド1上を通過する部品は両端面平行の平面を持つ透明窓43のみである。従って、計測対象Wからの散乱光の透明窓43入射光と、透過光が透明窓43から出る光との角度は一致するため、歪み補正はより単純となる。
【0051】
次に(2)多重反射防止の説明を行う。本発明のヘッド1は2種類の多重反射の防止の仕組みを持っている。まずは一つ目の多重反射防止策を説明する。光照射部2の構造は、カメラ31で撮影する像に、多重反射といった撮影する画像の品質を低下する原因を除去もしくは低減する効果を有している構造であることを説明する。先行する内面計測装置(図13参照)は、反射部材21あるいは光源22を固定する際に、透明窓43とは異なる構造であって、図13の通りに、カメラ筐体33と透明円筒GLが接続し、先端に反射部材21あるいは光源22を収納する照射部筐体筐体23に接続する構造である。この装置を使って、カメラ31の像を撮影すると、点P1の散乱光が、透明体の内部で反射することで、複数の経路で光線が達してしまうことによるゴースト画像が得られることがある。ここでのゴースト画像とは、散乱光が、カメラ31に到達する前に、更に反射をしてしまい、本来存在しない位置に何かしらの像がカメラ撮影画像に現れることを指す。図13では、散乱光beam1のみカメラ31到達したいところだが、散乱光beam2もカメラ31に到達することであり、この散乱光beam2がゴースト画像を引き起こす。原因は、カメラ31の光軸に対して、透明円筒GLは反射面が垂直方向であるためで、反射光がカメラ31に向かう。本発明の透明窓43の配置であると、透明窓43の面の法線は第1方向Ax1にほぼ平行であって、入射光z軸負方向の光線が透明窓43の面で反射するとz軸正方向にむくため、カメラ31へ反射光は入らず多重反射を防ぐ。
【0052】
次に、二つ目の多重反射防止策を説明する。鏡面に近い計測対象Wである場合に発生する多重反射対策である。図12は、計測対象Wの内面に計測装置1を挿入し、平面ビームを照射すると、W上の点Pで2方向に分かれて、カメラ31に到達する例を示した(a)上面図、 (b)側面図である。beam1のみカメラ31で観測したいところであるが、計測対象Wが鏡面に近いため、点P2で反射したbeam2もカメラ31へ到達する。点Pの光線が複数の経由、いわゆるゴースト画像が発生し、画像の品質を低下している。その対策として、beam2の通り道に“光を吸収する障害物”を設置すると、beam2はカメラ31に到達前に消滅し、ゴースト画像は消滅する。本発明の具体的な方法としては、弾性部材41を光吸収する障害物として設置することである。
【0053】
(内面計測方法)
本願発明の計測方法に用いる装置は内面計測装置1100であり、図14は本実施形態に係る内面形状計測装置を説明するブロック図であり、図15は本実施形態に係る内面形状計測方法を説明するフローチャート図である。以下に示す内面形状計測方法は、あくまで一例であり、この構成に限定されず、適宣変更が可能である。
【0054】
ヘッド1移動工程ST101の後には、直管判定工程ST102があって、撮像場所が直管上か曲管であるかの判定をする。撮影部3に備えているカメラ照明37でパイプ内部全体を照らし撮影部3によって撮像をするが、画像中心のヘッド1の像にヘッド1自身が写りこんでいる場合、保持部が屈曲しているためヘッド1は曲菅上にあると判定する。曲菅上であると、ヘッド1移動工程ST101へ戻る。
【0055】
直管判定工程ST102の後には、面状ビーム照射工程ST103では、カメラ照明37を消灯した上で、計測対象Wへ向けて光照射部2をより光シートPBMを、照射を実施する。
【0056】
面状ビーム照射工程103の後の、撮影工程ST104では、計測対象W上の散乱光を撮像部3で撮影を実施する。例えば、パイプ内部であれば、図10のようなおよそ円の画像が得られる。
【0057】
撮影工程ST105の次の、画像歪み補正工程ST106では、撮影された画像の歪みを補正するプロセスを、パイプ内面形状を測定するための演算部6で実施される。像面はCCDあるいはCMOSといった受光素子がほぼ等間隔の二次元に配置されているが、その受光素子対応する物体面はレンズ等の歪があり、等間隔になっていない。この工程は物体面も像面同様におよそ等間隔配置をする工程であって、歪み補正テーブル参照に 二次元のデータ列を再配置することにより、物体面の像がt0間隔で二元に配置されている画像を実現する。
【0058】
画像歪み補正工程ST106の次の、成果物算出工程ST107では、パイプ上の光跡の座標算出することと、座標算出したデータ群からパイプの内径を算出する工程であって、パイプ内面形状を測定するための演算部61で実施される。座標算出する方法のもっとも単純な方法を説明する。ST106で得られた画像は歪みを取り除かれた平面状の光線とパイプ面との交線上の光跡画像である。その画像の中心を原点、画像の水平右方向をX軸、鉛直方向をY軸とした座標とすると、座標算出は、画像中心からX軸方向に対してΘ度角度方向の画像の輝度データ列を取り出し、そのデータ列の輝度分布のピークとなる位置r0を取得し、極座標で表すと(Θ、r0×0)なる。Θを例えば0度から360度を1度単位実施し、合計360個の座標値を取得する。このようにして、パイプの1断面の座標値を取得する。
輝度分布を使ってピークとなる位置r0を取得するが、図11の電線45のボケがあっても輝度分布の形状の強度が小さくなるだけであって、ピーク位置r0を求めらし、楕円フィッティングをする。楕円フィッティングは一般的なソフトウェアプログラムのライブラリを使えばよいが、求めた短軸をパイプの径とする。得られたパイプの径あるいは、パイプ内面の座標値は、CADで読み込み可能なフォーマットあるいはアスキーフォーマットで電子ファイルとしてメモリ上に保存する、あるいは表示部で表示する。
【0059】
装置の精度確認として、作業前あるいは作業後もしくはその両方のタイミングで、リングゲージといった基準具での計測値に変化があるか確認することを推奨する。基準具での計測値が基準具の値とずれている場合はずれ量を補正量とし、装置に組み込むことを行っても構わない。基準具の繰り返し計測が、装置仕様に合っていない場合は内面計測ヘッド1を取り換えることを推奨する。
【0060】
(第2実施形態)
第2実施形態の正面よりみた構成図は図16であって、構成は第1実施形態を基本とし、多重反射の防止強化したパイプの内面形状を測定するための内面計測装置用ヘッド120であって、第1実施形態と同様の成果物算出部と表示部を備えたものが内面計測装置1200である。第1実施形態との違いは、内面計測方法は同様であって、弾性部材の形状は、図16の弾性部材41-2にある通りに、第1方向にいくにしたがって径が大きくなる略円錐形状を円錐型の弾性部材とした部品に違いがある。前記弾性部材の形状は、ちょうど図4の光照射部2と撮像部3の間にあって、領域Aに近い形状になっており、固定具42と照射部筐体間のカメラ31からでは隠れて撮像できない範囲、可能な限り全体に配置した形状である。
【0061】
多重反射の通り道に差し込むことで阻害するという仕組みは第1実施形態と同様であって、体積の大きな障害物を配置するほど多重反射防止強化となり、第1実施形態の寸胴形状よりサイズを大きくカメラ31の撮像に影響ない最大の体積をもつ形状が領域Aに近い形状となったものである。図17の一例は、点P1への光線は、第1実施形態の内面計測ヘッド1では多重反射を防げないが、第2実施形態では障害物の容積が増えることによって多重反射の低減する一例である。
【0062】
(第3実施形態)
第3実施形態の正面よりみた構成図は図18(a)であって、構成は第1実施形態を基本とし、第1実施形態の弾性部材41の復元力強化と配線の代用の機能を有した補強部材41-3としたパイプの内面形状を測定するための内面計測装置用ヘッド130であって、第1実施形態と同様の成果物算出部と表示部を備えたものが内面計測装置1300である。また、図18(b)は照射部筐体23bの面を通るXVIII-XVIII線に沿って切り取った断面図である。
次に、第1実施形態との機械構成の違いを説明する。
・ ケーブル44を廃止し、代わりに2本の電線48を使用し、照明21の電源供給端子に結線する。
・ 弾性部材41を廃止し、弾性部材46-1と補強部材46-2を使用する。
弾性部材46-1の構成は、伝導性の素材であって、外径、全長、弾性の構造を同一である2つの弾性材を使用し、その前方端に前記電線48と接続し、その後方端に電線45と接続する。補強部材46-2の構成は、たとえば、弾性部材41-3と同形状の電線等を配線しない弾性材を1本以上使用する。
・ 照射部筐体33b-3及び透明窓43-3に、弾性材46-1および補強材46-2をネジ等で固定するが、その固定位置は照射部筐体33b-3及び透明窓43-3のほぼ中心位置にあって、距離D‘11(=0.5×d1×tan(0.5×α2))以下の円に外接、あるいは円の内部にある必要がある(図18(b)参照)。この条件を満たす照射部筐体33b-3及び透明窓43-3のメスネジ等の径あるいは弾性部材41-3および弾性部材41-4の外径とする必要がある。(d1とα2は第1実施形態での定義参照)
・ 弾性材46-1および補強材46-2の個数が増え部品の外径が細くなったため、弾性部材41と比較して屈曲時に弾性部材および補強部材から加わる透明窓に掛かる応力が弱く分散されるため、透明窓43-3を薄くでき、その一例を述べる。第1実施形態においては、外径10mmのアクリル素材の透明窓41の例で厚さ1.5mmの円柱に1つの貫通穴径2.6mmであったが、外径10mmのアクリル素材の透明窓43であれば、厚さ1. 0mmの円柱に3の貫通穴の外径がφ0.6~0.8mmでよい。なお、内面計測方法は第1実施形態と同様である。
【0063】
第3実施形態の効果は次の通りである。
・ 弾性部材と補強部材と複数の弾性部材で保持することによる弾性部と透明窓の補強
・ 配線を弾性材の空中を通さず、給電用の電線の屈曲はないため、電線の断線等の故障リスク減少
【0064】
(第4実施形態)
内面計測装置1400の構成は照射部2と演算部6以外は同様であって、内面計測用ヘッド140(以後140と略す)と操作部、演算部、表示部を持った内面計測装置である。第4実施形態の正面よりみた構成図は図19であって、構成は第1実施形態の光照射部2の代わりとなる照射部240では円錐形状の光線(円錐ビームCBMと今後する)を照射する部品であって、パイプ内の出っ張りといったオーバーハングのある計測を可能とするものである。第1実施形態との構造の違いは、反射部材21の形状において、第1実施形態ではミラー部の光反射面が前記第1方向に対して45度であったが、45度より大きく、かつ60度以下の範囲の角度を有することを特徴とする反射部材21-1であって、図5の21aの反射面を前記角度に変更した部品が図5の21cであり、図5の21bの反射面を前記角度に変更した部品が図5の21cである。また、21eのように、円錐内面を反射面とした部品でもよい。更に、光源22を内面計測ヘット外部に設置したレーザを光源とし光ファイバー介し、反射面で反射することで円錐ビームCBMを照射してもよく、その場合配線44と電線45はコリメート光を照射可能なレンズを持った光ファイバーに置き換え、光ファイバーは照射部筐体内部から弾性部材41の中を通り、カメラ筐体に入り更にコネクタもしくは穴を通り外部にある光源に接続しても構わない。光ファイバーの照射部筐体内部の固定は照明部筐体外部から固定部材で固定するが、コリメート光を照射可能なレンズの位置を光出射位置E1とし、位置合わせおよび固定は第1実施形態の光源22の固定と同様である。
撮影部、保持部は第1実施形態と変更がないため説明を省略する。
【0065】
次に図20を使ってオーバーハングがあるパイプ内部の計測を可能とする仕組みを説明する。平面シートPBMではカメラ31では撮像されないが、円錐ビームCBMではカメラ31で撮像可能な一例である。図20(a)のように、平面シートPBMよりパイプWに照射される点P1とカメラを結ぶ直線にパイプがあって自身が障害となってカメラ31では撮像できない。一方、図20(b)の、円錐ビームCBMよりパイプWに照射される点P1とカメラ31を結ぶ直線には障害物はなく計測可能である。ミラー反射面が45度より大きくなると、45度と比べて点P1のz座標は負の方向にあって、点P1での散乱角度が狭くなるためオーバーハングといった障害物を避けやすくなる。
【0066】
(内面計測方法)
第4実施形態の内面計測方法のフローチャート図は図21であって、第1実施形態の方法と成果物算出工程ST107を成果物算出工程ST117に差し替えた以外はすべて同様であるため、成果物算出工程ST117についてのみ説明する。ST117は画像歪み補正工程ST106の次に実施される。画像歪み補正工程ST106では、歪みを取り除かれた円錐状の光線とパイプ面との交線上の光跡画像を得られるが、その画像の中心を原点、画像の水平右方向をX軸、鉛直方向をY軸とし説明する。成果物算出は、座標算出とパイプ径算出等である。座標算出について説明する。画像中心からX軸方向に対してΘ度角度方向の画像の輝度データ列を取り出し、そのデータ列の輝度分布のピークとなる位置r0を取得し、円筒座標系で表すと(Θ、r0×t0、r×r0×t0)なって、第1実施形態と異なり円錐は立体のビームを使用することで座標値は3次元座標系で表すデータ列となる。Θを例えば0度から360度を1度単位実施し、合計360個の座標値を取得する。このようにして、パイプ内面の1断面の座標値を取得する。
また、パイプ径算出は、楕円フィッティングの前処理に1断面データ列の平面フィッティングを追加し、実施する。平面フィッティングのアルゴリズムは、広く使われているため省略する。平面フィッティングした平面とパイプ内面の1断面の座標値各座標値の距離は、パイプ内面形状が円筒状であると一定範囲内に収まる。従って、平面からの各点距離の分散が装置仕様の精度以内であればパイプの内面は円筒形状であると判断し、径を算出する楕円フィッティングへ進む。楕円フィッティングからパイプ径を算出する方法は第1実施形態と同様である。得られたパイプの径あるいは、パイプ内面の座標値は、CADで読み込み可能なフォーマットやアスキーフォーマットの電子ファイルとしてメモリ上に保存する、もしくは表示部で表示する。
【符号の説明】
【0067】
1、120,130,140 内面計測装置用ヘッド
2 光照射部
21 反射部材
21-1 反射部材
22 光源
23、23a、23b、23b-3 照射部筐体
28 保護材
3 撮像部
31 カメラ
33、33a、33b カメラ筐体
34 導線
37 カメラ照明
4 保持部
41、41-2、46-1 弾性部材
42固定具
43、43-3 透明窓
44 ケーブル
45 電線
46-2 補強部材
5 操作部
6 成果物算出部
61 記憶部
62 演算部
63 表示部
1100、1200,1300,1400 内面計測装置
【要約】
【課題】曲がりのあるパイプ内のパイプの形状やパイプの径を計測する手段を有する内面計測用ヘッドもしくは内面計測用装置を提供することである。
【解決手段】本発明に係る内面計測装置用ヘッドは、面状の光ビームをパイプ内面に照射するための光照射部と、パイプ内面からの散乱光を受光するためのカメラを有する撮像部と、光照射部と撮像部との間に配置され、光照射部と撮像部とを接続するための保持部とを備える。また、撮像部、保持部、及び光照射部は、第1方向に順に配置されており、保持部が、自在に屈曲するように構成されている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21